04/11/19 医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会第8回議事録       第8回医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会                日時 平成16年11月19日(金)10:00〜                場所 東京會舘(霞が関ビル)ゴールドスタールーム ○樋口座長  ただいまから、第8回「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」 を始めます。委員の皆様方、傍聴の方におかれましては、お忙しい中参加していただき まして、誠にありがとうございます。  まず、事務局から委員の出欠状況について、報告をお願いします。 ○総務課長補佐  本日は大道委員、大山委員、神作委員、高橋委員、辻本委員、寺野委員から欠席の連 絡をいただいております。また、楠本委員がご欠席ですが、その代理として、日本看護 協会の柏木様にご出席いただいております。 ○樋口座長  それでは早速、議事に入りたいと思います。我々は今どこにいるのかというと、ガイ ドラインを作るという話と、個別法の検討という2つの課題を持って、この検討会は出 発しています。ガイドラインのほうは、いま「ガイドライン(案)」というのを、パブ リックコメントに提示して、コメントを募集しているということで、第2ステージに入 っている段階です。今月いっぱいだと思いますが、パブリックコメントの募集を行っ て、それが今どのような状況かということも、きっと後で事務局からご説明があると思 います。  今日はもう1つの課題である「個別法の必要性」の部分について、議論していただこ うと思っております。もういくつかの資料が用意してありますので、それらの資料につ いて、事務局から確認いただくとともに、いま述べたようなことについて、まずご説明 を行っていただきたいと思います。 ○企画官  まず配付資料の確認をいたします。資料1から資料8まで、8種類の資料をお配りし ています。あと、委員の皆様方には前回の議事録をお配りしております。これは終了後 にまた読んでいただいて、修正等のご指示をいただければと思っております。  資料1、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラ イン(案)」については、10月29日付でパブリックコメントを実施しているところで す。前回、10月27日の第7回検討会でご審議いただいた時点のものから、座長ご一任と いうことで、3点修正いたしました。細かい修正ですが、修正した所をご確認いただき ますと、1つは「ガイドライン(案)」の38頁、別表1の(1)の「病院・診療所」に、 「歯科衛生士業務記録」と「歯科技工指示書」というのを追加することにいたしまし た。14頁は言葉の話です。「個人情報の取得」とか「収集」といったいろいろな言葉が 混ざっているので、この頁をはじめ何カ所かで、「取得」に統一しております。あと、 例えば36頁が典型的ですが、ほかの所も含めて「苦情処理」というのを、「苦情対応」 に直しました。  そういった文言修正をして、検討会の2日後の10月29日に、パブリックコメントとい う形でホームページに掲載し、記者クラブへの投込みといった形で実施しました。約1 カ月の意見募集期間を取り、期限を11月30日ということで、現在パブリックコメントを 実施しているところです。10月29日の金曜日に出しましたので、今日でちょうど3週間 です。今のところ6件程度で、質問が中心になっておりますが、いろいろなご意見等を いただいております。ほかの分野も含めて見ていただきますと、大体締切り間近にたく さんきますし、いろいろ関係各方面のほうでも、現在、意見を出すべく検討されている という話も伺っておりますので、今後また出てくるのではないかと思っております。そ ういったものを踏まえて、また次回にご審議いただければと思っている次第です。ガイ ドライン(案)については以上です。 ○樋口座長  前回からの経緯と、実際に今こういう形でパブリックコメントを募集しているという ことでした。ですから、現在はまだ数件程度ですし、結局、全部募集期間が終わってみ ないと、様子がわからないということがありますので、多分、次回にはパブリックコメ ントの中でどういう点が問題なのかということを踏まえ、議論することになると思いま す。今回は国会の附帯決議にもある重要3分野の1つである医療分野で、特別法と言い ますか、個別法が必要かどうかということに関して、ご意見を伺うことになります。そ れについても資料がいくつか用意してあるようですので、また事務局からお願いしま す。 ○企画官  資料2から資料7までが、この議題に関する資料として用意したものですが、資料2 がその中心となる資料ですので、これに沿って状況をご説明申し上げたいと思います。  資料2は、「医療機関等における個人情報保護に必要な法制上の措置その他の措置に ついて」という資料です。まず、なぜこの議論が必要なのかという背景等です。閣議決 定している個人情報保護法及び個人情報保護法の基本方針において、どういうことが書 いてあるかということですが、実際のものは資料3という形で、条文の抜粋等を付けて おります。個人情報保護法第6条第3項のポイントを読みますと、「政府は、個人の権 利利益の一層の保護を図るため特にその適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要があ る個人情報について、保護のための格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置そ の他の措置を講ずるものとする」という条文があるわけです。  一体、どういう情報がそれに当たるのかは、法律には書いていないのですが、閣議決 定されている基本方針の中に、この条文に関連したものがあります。資料3の1頁の下 になりますが、「個人情報の性質や利用方法等から特に適正な取扱いの厳格な実施を確 保する必要がある分野については、各省庁において、個人情報を保護するための格別の 措置を各分野(医療、金融・信用、情報通信等)ごとに早急に検討し、法の全面施行ま でに、一定の結論を得るものとする」という基本方針になっております。医療分野とい うのは金融・信用や情報通信などと並び、「格別の措置について一定の結論を得る必要 がある」と言われている分野に当たるというのが、基本方針に謳われております。  なぜ医療分野が「検討すべき」と言われているものに当たっているのかは、何らかの 文書なりで整理されているわけではないのですが、個人情報保護法の国会審議、それ以 前の高度情報通信社会の推進本部なりの議論、この検討会のこれまでのご議論、昨年ま で行われた「診療に関する情報提供等のあり方検討会」の取りまとめなどを参考にし て、なぜ医療分野が、「個人情報の性質や利用方法等から特に適正な取扱いの厳格な実 施を確保する必要がある分野」になるのかということを、事務局なりに整理してみます と、大きく3つの理由があるのかと思っている次第です。  資料2の1頁の2ですが、(1)は安全管理に関する論点です。医療分野に関する個 人情報というのは、漏えいや不当な利用がされたことで、個人の権利利益が侵害された 場合には、他の分野の情報に比べて、被害者の苦痛が大きく、権利回復の困難さも大き いということがあるので、医療分野の個人情報については、安全管理のための格別な措 置が必要とされていると考えます。  (2)は自己情報のコントロールという問題です。患者の自己決定権のもとで、患者 自らが主体となって判断し、医療を受けることができるようにしていくためには、患者 の医療に関する個人情報に関する自己情報のコントロールについては、格別の措置が必 要と言えるのではないかと考えます。  (3)は死者の情報です。個人情報保護法は、生存する個人に関する情報について適 用されますが、医療分野では、遺族への診療録の開示の場合というのがありますので、 死者の情報について他の情報とは異なる格別の措置が必要ということがあるのではない か。こういったことから、「格別の措置」の検討が求められているのではないかと考え ております。  ほかにもあるかもしれませんので、ご指摘いただければと思い、資料上は(4)に 「その他」としておりますが、大きく3つの要素があるのではないかと考えている次第 です。  こういった理由で医療分野というのは、「格別の措置」の検討が必要であるというこ とですが、では現行の法制や個人情報保護法、これまでご議論いただいているガイドラ イン案においては、こういった論点についてどういった対応状況になっているかを整理 したのが、2頁の3です。  まず安全管理について、どうなっているかです。(1)に「刑法、各資格法等における 守秘義務の規定」というのがあります。詳しくは資料5、「医療に関する守秘義務の現 状」というのを、別冊で用意しております。医療関係の資格者については、刑法第134 条で、医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師等についての守秘義務の規定があるわけ です。ここに示されていない資格についても、例えば保健師助産師看護師法の第42条の 2の条文を挙げておりますし、ほかの資格法については、条文を1つ1つ挙げてはおり ませんが、資料5の1頁の表に書いてありますように、各資格法について守秘義務の規 定が置かれているわけです。資格者については、そういうことです。  資料2の2頁に戻ります。いま3の(1)の(1)の3行目以降で、「不妊手術、精神 保健、感染症など、その業務の内容によっては、資格者でない職員についても罰則付き の守秘義務の規定が置かれている」と。資料5で言いますと、2頁以降になります。例 えば母体保護法においては第27条で、「不妊手術又は人工妊娠中絶の施行の事務に従事 した者は、職務上知り得た人の秘密を、漏らしてはならない」という規定があります。 あるいは精神保健等に関する業務についての精神保健福祉法なり、結核予防法、治験の 場面などさまざまな場面については、資格者に限らず、業務に従事した者が知り得た秘 密についての守秘義務の規定があります。こういう個別の業務の内容によって、特別な 法制も整備されております。  こういった特別なものでない、その他の一般の医療機関の職員についてはどういうこ とになっているのか。その従業員個人についての守秘義務の規定はないわけですが、資 料5の3頁の下半分の「その他(従業員に対する監督義務の規定)」ということで、医 療法第15条と薬事法第9条を挙げており、管理者に対して、従業員に対する監督義務の 規定をしております。一方で今回、個人情報保護法でも第21条に、「従業者の監督」と いう条文を置いて、個人情報保護についての管理に関する条文を置いているわけです。 その条文と相まって、管理者を通じて個人データを取り扱う従業員の監督がなされるこ とになっているわけです。そこは法律の話ですが、その法律をさらに具体化したガイド ラインにおいては、管理者である個人情報取扱事業者には、雇用契約や就業規則で、退 職後も含めた守秘義務を課すとともに、教育研修を行うことを医療機関の管理者等に対 して定め、一定の安全管理の規定を置いております。  次は、資料2の2頁の(2)ですが、いまのと若干ダブる所があります。(1)では刑法や 各資格法の関係を申しましたが、(2)は個人情報保護法ではどうなっているか。「医療 機関等は、取り扱う個人データの漏えいの防止等のため、必要かつ適切な安全管理措置 を講ずること」とか、「個人データの取扱いを委託する場合には、委託を受けた者に対 する必要かつ適切な監督を行わなければならない」ということが、個人情報保護法第20 条と第22条に書いてあります。細かくは申しませんが、医療分野についてはガイドライ ン案に数頁にわたり、具体的にどういった取組をする必要があるかを記しております。  (3)は小規模事業者の問題です。個人情報保護法は、取り扱う個人情報が5,000件を超 えない事業者には適用されないわけですが、この頁の(1)に記している守秘義務規定、 あるいは従業者に対する監督の規定というのは、その者が勤務に従事する事業所の規模 を問わず、どんな小規模の事業所の医師に対しても、当然かかってきます。ですから、 そういった規定は個人情報保護法とは関係なく、規模は関係なく適用されているという ことです。  3頁ですが、個人情報保護法自体、5,000件以下の小規模情報者に対しては、法に基 づく事業者としての義務等は課していないわけです。しかし、ガイドラインの議論のと きにもだいぶご議論いただいたように、患者等から見れば事業者の規模等によらず、良 質かつ適切なサービスの提供が期待されるわけですし、どの事業者が「小規模」かわか りにくいということがありますので、ガイドライン案においては、法令上の義務を負わ ない小規模の事業者についても、これを遵守する努力を求めているところです。したが って、守秘義務はもちろんですが、従業者の監督や安全管理、委託者の監督についての ガイドライン案の内容は、小規模事業者も遵守努力が求められます。以上、安全管理に 関する現行法制とガイドラインにおいては、こういった対応がされております。  次に、2つ目の論点の自己情報のコントロールについては、どういう対応状況になっ ているかということです。まず診療録等の開示という場面があります。個人情報保護法 第25条においては、医療機関等は、本人から診療情報の開示を求められた場合、遅滞な く書面の交付等の方法により開示を行うこととなっております。もちろん同条第1項各 号の事由に該当する場合には、全部又は一部を開示しないことがあります。  また、昨年9月に定められた「診療情報の提供等に関する指針」に基づき、インフォ ームドコンセントの理念等を踏まえ、医療従事者と患者等とのより良い信頼関係を構築 することを目的とした取組が既に開始されているわけです。その指針に定められている 内容は、個人情報保護法第25条のルールに反するものではありませんので、ガイドライ ン案においては、患者等からの求めにより個人情報である診療情報を、「診療情報の提 供等に関する指針」に沿って開示される場合には、その内容にも配慮すると書いている ところです。  (2)は開示・不開示の判断の妥当性の客観的評価です。個人情報保護法第25条におい ては、「開示の求めがあった場合、本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利 益を害するおそれがある場合には、全部又は一部を開示しないことができる」というこ とがあるわけですが、「診療情報の提供等に関する指針」でも、そういった判断が恣意 的な判断でないかどうかというのを、第三者的に評価されるべきではないかという論点 があります。  上記の(1)の「診療情報の提供等に関する指針」においては、「開示の可否について は医療機関内に設置する検討委員会で検討した上で決定する」ということを定めるとと もに、「文書でその理由を示すこと」「苦情処理の体制についても併せて説明すること 」となっています。個人情報保護法についても、医療機関等は個人情報の取扱いに関す る苦情に、適切かつ迅速に対応する責務があるということ、そのために必要な体制の整 備に努めなければならないということになっております。  また、認定個人情報保護団体という団体が、対象事業者である医療機関等の個人情報 の取扱いに関する苦情があった場合、その相談に応じたり、地方公共団体が苦情のあっ せん等を行う仕組みもあるわけです。  さらに、主務大臣である厚生労働大臣は、必要に応じて、医療機関等に対し、個人情 報の取扱いに関する報告をさせ、必要な助言ができます。そして法令に違反した場合 で、個人の権利利益を保護するため必要があると認めるときは、当該違反行為の中止そ の他違反を是正するために必要な措置をとるべきことの勧告、命令ができるというの が、法制上整備をされているということで、開示・不開示の判断が妥当であるかどうか というのを、第三者的に見ることができ得る仕組みになっております。  (3)の保有個人データの訂正、利用停止という場面については、個人情報保護法によ り、本人から、内容が事実でないという理由によって、保有個人データの内容の訂正、 追加、削除を求められたときは、必要な調査を行い、その結果に基づいて訂正等を行わ なければならないという条文があり、これは医療機関等についても適用されます。  なお、「個人データを不当に改ざんしてはならない」というのは、言うまでもない話 です。入退室の管理やアクセスの管理など、物理的あるいは技術的な安全管理措置を講 ずることで、改ざん行為が行われないようにすることも必要であるということで、安全 管理措置について、ガイドラインのほうで書いております。  4頁の(3)の「死者の情報について」という論点では、「遺族への開示、死者の情 報の保護」というのを、1つだけ掲げております。個人情報保護法は生存する個人に関 する情報について適用するものなので、ここは対象にしていないわけです。ガイドライ ン案も法律の整理を前提としつつ、1)で遺族への診療情報の開示については、法律の 適用がない、したがってガイドラインも対象にはしていないのですが、「診療情報の提 供等に関する指針」においては、遺族についても求めがあれば開示をすることになって おりますので、定められている手続きに従い、同指針の規定により遺族に対して診療情 報の提供を行うということで、引き続きその整理をしています。また、ガイドライン案 の中では、患者等が死亡した後においても、その情報を保存している場合は、漏えい等 の防止のため、生存する個人の情報と同等の安全管理措置を講ずるべきものと記してい ます。  なお、個人情報保護法では死者の情報は含めない形にしていますが、死者に関する個 人情報保護のあり方をどうするかについては、資料3の2頁にありますように、衆議院 と参議院で個人情報保護法の附帯決議がされております。参議院の附帯決議の第六号 に、法の全面施行後3年を目途とした個人情報保護法の検討というのがあって、死者に 関する情報をどうするかというのが、3年後の検討の1つのポイントとなっているとい うことを、関連情報として申し上げておきたいと思います。  何ゆえ医療分野というものが、格別の措置を検討する必要があるとされているのかに ついては、大きく3つの論点があるのではなかろうかと考え、その論点について、現行 法制なりガイドラインなりでどういう対応になっているかということを見ていただいた わけですが、こういった状況になっているということを踏まえ、格別の措置としての 「法制上の措置その他の措置」をどう考えるかというのを、5頁でお示ししました。ま ず、来年4月から個人情報保護法が全面施行となるわけですが、施行時に医療分野にお いて格別の「法制上の措置」としての個別法が要るのかどうかというのが1点ありま す。もう1点は、医療分野についての格別の措置の内容というのを早急に検討して、法 の全面施行までに一定の結論を得るということで、どうするかということを一応決めて おかなければならないわけです。  格別の措置というのは、「法制上の措置その他の措置」という表現がされており、そ れについて検討するわけです。下に5つありますように、医療関係資格者については、 法制上、特別な守秘義務が規定されていること、不妊手術、感染症等特定の業務につい ては法制上、資格者でない職員についても特別な守秘義務が規定されているというこ と、小規模事業者についても、法が適用される事業者と同等の措置をガイドライン上求 め、まずこれを守っていただこうとしていること、遺族からの死者に関する診療情報の 提供の求めについても、「診療情報の提供等に関する指針」に従って、遺族に対して提 供するよう定めていること、また死者に関する診療情報についても、生存者の個人情報 と同等の安全管理措置を講ずるようガイドラインで定めていること、ということをもっ て、現段階として「法制上の措置その他の措置」が講じられていると評価していいかど うかというあたりを、ご議論いただければと思っている次第です。  なお、関係資料としてそのほかに付けているものを、簡単にご説明いたします。資料 4の「医療機関等が保有する個人情報の流れ」のイメージは、第1回の検討会のときに も資料としてお示ししました。このように情報が流れる、こういうように情報が管理さ れるということを前提に、どういう措置が必要かということをお考えいただく際の1つ の参考資料になるかと思って、またお配りしております。  資料6は、個人情報の保護に関する各分野ごとの関係省庁が、それぞれどのような検 討状況になっているかです。1頁では基本方針にも例示されている医療、金融・信用、 情報通信という3分野をまず書いております。現在、それぞれの省庁、それぞれの分野 において、ガイドラインの検討が行われるとともに、いちばん右の欄にありますよう に、医療分野等々でガイドラインをそれぞれ作り、法制上の措置の要否について、年内 に一定の結論を得るということで、現在検討が進められているという状況です。それ以 外の各分野についても、それぞれ各省庁で現在検討が進んでいるということを、一応資 料としてお示ししております。  資料7は、「医療機関等における個人情報の取扱いに関連するこれまでの議論」で す。最初の2頁は、第7回までの検討会の間に、委員の皆様方から法制上の措置に関し てどういったご意見があったかということを、これまでの議事録から拾い上げてみたも のです。ご参考にしていただければと思います。  2頁の2つ目と3つ目の○の所に、「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討 会」の話が出ております。昨年9月に「診療情報の提供等に関する指針」を策定してお りますが、「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」は、昨年6月に報告書 をまとめています。その際の報告書において個別法の議論があり、それについて報告書 で論点をまとめたのが、最後の2枚です。前の検討会でどんな議論があったのか、そこ で法制化についてどういう議論があったのかということを書いております。  平成15年5月に個人情報保護法が成立し、平成15年6月に報告書がまとまったわけで す。下線を引いてある部分ですが、「診療記録の開示を含めた診療情報の提供に関する 個別法による早急な法制化」については、これを求める意見として(1)で、すべての医 療機関でそういったことが出来るようにするためには、個別法の法制化が必要であると いうことです。これは個人情報保護法が、一定の小規模機関は対象としないということ を念頭に置いたものです。(2)ですが、個人情報保護法では遺族からの求めが対象にな らないので、個別法が必要だといった議論が、昨年の検討会であったということです。  次の○です。一方で、個人情報保護法で医療機関が原則として開示義務を負うという ことになるわけですので、そういうことを前提として、さらに個別法の法制化について 必要性は乏しいという意見が書いてあるのが、下のほうです。(1)にありますように、 法律で一律というのではなく、自主的な取組を促進すべきで、ガイドラインでいいので はないかというのが昨年の議論でした。あと、法律上の義務とすることで、診療録の在 り方が悪くなってしまう可能性があるのではないかという議論もありました。  なお、4頁ですが、そもそも医療基本法というのが要るのではないか、現在の医療法 では第1条の2の「医療提供の理念」、あるいは第1条の4の「医師等の責務」で、よ い医療を提供するとか、インフォームドコンセントを実施するというのがあるわけです から、まずこういったことをちゃんとやっていくのが大事だといった議論が、前の検討 会ではあったということで、報告書のベースで紹介させていただきました。  以上、「法制上の措置その他の措置」といった格別の措置についてどう考えるかとい うことを、資料2から資料7に沿ってご報告いたしました。 ○樋口座長  その問題について、これから各委員にご意見を伺いたいと思っていますが、その前に 私のほうから2つだけ申し上げます。1つは確認、1つは少し大枠的な話です。  第1点は、資料6でこういう表をいただいていて、各省庁、ほかの所がどうやってい るかという話があります。「重要3分野」と言われる分野があって、それは医療、金融 ・信用、情報通信であると。私が仄聞するところによるというか、新聞その他で見る と、たくさんの数の情報漏えいが問題になっているのは、重要3分野の中では通信の分 野や金融・信用の分野です。それに比べれば、医療についての情報漏えいという話は、 新聞等では少ないと思うのです。向こうでも検討していると思いますが、金融・信用や 通信の個別法制定の必要性について、個別法を作らないといけないという形で議論が盛 り上がっているということはないと考えてよろしいですか。そういうことを確認するの も難しいかもしれませんが、現状においてという認識だけでいいです。 ○企画官  私どももあまり詳しくは承知していないわけですが、各省庁において、いろいろ検討 されております。ただ、個別法が要るという形で議論が盛り上がっているというように は聞いておりません。 ○樋口座長  もちろん、これからどういう形で報告書が出てくるかというのは、我々の所もわから ないし、向こうもわからない状況ではあるけれど。 ○企画官  それについての情報は、あまり持っておりません。 ○樋口座長  2つ目が、これからの議論の大枠です。事務局の説明の中にもちゃんと入っていたの ですが、結局、個別法や特別法の必要性というのは、なぜ特別法が必要かという話と、 必要だとしたらどこがという話があります。つまりWhyとWhatということです。 この2つは実は密接に関連していて、こういうところが必要だから法制化するという話 と、すぐリンクするような話なのですが、議論の中でそういうことがあるのかどうか、 詰めていこうということだと思うのです。  資料2は、とりあえず重要3分野とされていて、やはり医療が問題であるということ の背景というか、一種の理由だと思うのです。そこに「理由」とありますから。これは 私なりの理解なので、当たっているかどうかは分かりませんが、そこへとりあえず3つ 掲げてあるのは、本当は理屈を付ける必要もないぐらいに、医療分野の情報が重要だと いうのは、当然のようにも思います。結局、第1点は被害者の苦痛が大きく、権利回復 の困難さも大きいということがあります。自分が病気である、あるいは特殊な病気で差 別されてきた例というのが、もちろん日本でもあります。ですから、そういうことを非 常に恐れていて、やはりこれはセンシティブ情報だという話がある。それに対して、ど れだけの安全管理ができるかという話がある。それが第1点です。  2点目が自己情報のコントロール権です。当たっていないかもしれませんが、私の理 解によると、自己情報コントロール権でどういう情報が問題になってきたのかという と、私はそもそもアメリカの法律を勉強しているので、アメリカなどでも医療関係の情 報で、プライバシーや医療情報に関するインフォームドコンセントなどが、強く言われ てきたという歴史的な経緯があるように思います。  3点目が、個人情報保護法は生存している個人に関する情報ということになっていま すが、医療には死に向かわざるを得ない面があるからという話です。  これらについての今の事務局からのご説明は、今の法制度でどういう対応がなされて いるのかということを知った上で、なお、特別法というものが必要かどうかについて、 議論をしていただきたいという趣旨だと理解していいですか。 ○企画官  はい。 ○樋口座長  いかがでしょうか。個別法、特別法の必要性、あるいはこういう点についてはどうな のだろうかということについて、ご意見、ご質問何でも伺いたいと思います。 ○宇賀委員  個別法が必要な理由を、いま3つ整理していただいているのですが、あと1つあるの ではないかと思ったのです。諸外国の個人情報保護法やプライバシー保護法で、医療分 野についての特別の規定として比較的見られるのが、開示をするときに開示請求者が医 師を指定し、その医師を通じて開示をするというものです。つまり、本人に診療情報を そのまま見せてしまうと、いろいろなマイナスの影響が出てくることがあるので、医師 という専門家が説明を付けて、情報を開示するという規定があります。  前にもこの検討会で申し上げたことがあるのですが、こういう規定が必要かどうかに ついては、総務省に設けられた「行政機関等個人情報保護法制研究会」という、行政機 関個人情報保護法と独立行政法人等個人情報保護法の原案を作った委員会でも、ちょっ と検討したことがあります。そういう必要があるのかについて、開原先生に参考人とし て来ていただいて、ヒアリングをして、そのときにそのこともご質問したことがあるの です。開原先生のご意見では、特にそういう法制上の措置は必要ないというご意見でし た。ですから行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法でも、そういう 規定は設けませんでした。  また、現在の個人情報保護法で、そのような場合にどう対応できるかということです が、第25条第1項第1号に、「本人の権利利益を害するおそれがある場合」というのが 含まれておりますので、カルテを開示することによって、例えば本人が非常にショック を受けて病状が悪化するようなときには、不開示にするという形で対応できることにな っております。開原先生もそういうご意見でしたし、私も特に現段階で法制上の措置が ぜひ必要だと考えているわけではないのです。しかし医療の分野でなぜ個別法が必要か というときの議論としては、今述べた仕組みは諸外国でもよく見られるものですので挙 げておいて、その上で、今はこういう形で対応できているからということであれば、そ ういう説明をしておいた方がいいのではないかと思いました。 ○岩渕委員  いま、縷々説明いただきましたが、それぞれの分野の代表の方もいらっしゃるので、 その角度から見た個別法の制定のメリット、デメリットというのも、是非お聞きしたい というのが1つです。  もう1つは、死者の情報について言うと、診療情報提供のガイドラインでもあるので すが、介護についてはどうなっているのでしょうか。注意書きか但書きか何かが必要に なるのではないかと思うのです。 ○企画官  今回は医療ということに着目して、資料を作っております。昨年の「診療情報の提供 指針」というのは、診療情報についてですが、今回のガイドラインを作る際、介護事業 者についても遺族への情報の開示については、「診療情報の提供等に関する指針」で、 遺族にも開示しましょうという形で整理をしています。個人情報保護法とは関係のない 話になるものですから、それ以上は書いていませんが、医療事業者だけでなく、介護関 係の事業者についても、医療分野での取組を参考にして、「同指針の規定により遺族に 対して診療情報、介護関係の記録の提供を行う」というように、今回整理したガイドラ インに記載したわけです。そういったことで今後は介護関係の事業者についても、医療 のほうでやっているものを参考にして、これに沿ってやっていただきたいということ で、今回のパブリックコメントのガイドラインを整理しているという状況です。 ○樋口座長  いまの岩渕委員のご意見に乗って、逆質問するようで恐縮ですが、重要3分野には入 っていないけれど、特に介護の分野というのは入れてもいいようなものですよね。それ は当然だと思うのです。今回ガイドラインを作るに当たって、医療だけでなく介護と併 せて、ひとつガイドラインを作ろうよということで、一応こちらの叩き台はまとまった わけですが、さらに、介護の分野でこれでは足りない、やはり法律まで考えたほうがい いよということは、おありかおありでないか伺うことはできますか。 ○岩渕委員  先ほど座長が、医療分野では情報漏えいのケースがあまり多くないとおっしゃいまし たが、最近いろいろと出ているようです。それほど大量の個人情報ではないのですが、 個別には結構シリアスになりかねないような情報漏えいがあるようです。最近では介護 でもいろいろ不正請求絡みとか、さまざまなことで問題もあるのです。ただ、介護の面 から見て個別法が必要か、医療と比べてどうかと言われますと、まだそういう状況では ないだろうという感じがいたしております。つまり、医療に準じてというのが今の段階 ではいちばん順当なと言いますか、収まりのいい形になるのではないかと思います。で すから介護を取り上げて特段ということでは、全くないと思います。 ○樋口座長  いまの岩渕委員のご意見で、機会を与えられたので一言。多分、現状の認識につい て、十分理解しておられない部分があります。ただ、医療の部分で問題が少ないから個 別法を作らなくていいのではないか、と私が思っているということはないです。もし冒 頭の発言がそういうように聞こえたとしたら、それは私の舌足らずでした。ニュートラ ルで、現状のところでどうなのだろうかという話だけで、ほかの分野はどうだろうかと いうことをお聞きしただけの話ですので、その点は言葉の足らざるところを、ちょっと 補わせていただきます。  ほかの委員の方はいかがでしょうか。この問題について、それぞれ関係している所 で、もし、既に何か議論をしてくださってきているのであれば、もちろん個人的な意見 で結構ですし、自分の周りではこういう感じがあるということをおっしゃっていただく と。今日どうこうするという話ではなく、議論の第1回目でもありますので、いろいろ な考え方を、とにかく突き合わせて見たいということです。いかがでしょうか。 ○高津委員  資料2で、なぜ必要かということと、2頁で、今どういうように対応しているかとい う説明がありましたが、これらを見ますと刑法など、いろいろなところで義務というも のの網が掛かっているわけです。これをそれぞれ末端に帰って啓発するということにな ると、整備の仕方が非常に難しいのです。例えば、ちゃんとした個別法があれば、それ に則ってきちんと説明しやすいという感じがしております。ただし、あるためのいろい ろなメリット、デメリットというのは慎重に考えないと、非常に細かいことを縛るよう になりますので、いま個人的には、あったほうがいいとはい言えませんが、あるといろ いろなことが伝えやすいという感じがしました。 ○樋口座長  そうですね。医療情報についてはこういう1本の法律で、こういう体制で守ろうとし ている、あるいは例外的に使っていい部分はここだという形ではっきりしていたほう が、国民のみんなにとっては分かりやすいのではないかというご意見ですね。ほかには いかがでしょうか。 ○山本委員  医療情報という観点からしますと、この場の議論ではずっと医療機関等、あるいは薬 局ということで、きちんとした位置づけがされているわけですが、全体的な「医療情報 」「医療関連」と言いますと、ついつい私どもはすぽっとどこかへ抜けてしまいます。 そういった意味からすれば、現行法の中で十分規定されているとは思うのですが、個々 に薬剤師なり薬局なりに十分な説明をし、さまざまな表示をさせることについて、どん な形の個別法が必要なのか、ちょっとイメージが湧かないのですが、高津委員がおっし ゃるように、きちんと規定されたものがあったほうが説明しやすいような気がします。  現行のもので、これまでの議論を踏まえて考えれば、診療録との並びで私どもは考え ればよろしいわけですから、十分対応できるのでしょう。ただ、体系的なものを考えま すと、何か位置づけがあるとより説明しやすいですし、個々の場面での情報の扱いが、 極めて安全になるのではないか、効率的に使われるのではないかという気がいたしま す。やはり少し議論していただいて、個別法の必要性があるかどうか、十分詰めていた だければありがたいという気がいたします。 ○樋口座長  看護協会のほうで、こういうところのことは議論なさっておられませんか。 ○柏木参考人(楠木委員代理)  個別法の必要性については、一応検討はしているのですが、やはりメリットやデメリ ット両方ありますので、その中でうまく整理をしていって、意見としてまとめていきた いというように思っています。現時点で必要かどうかに関しては、一定の結論はまだ出 ていないような状況です。 ○樋口座長  翻ってこの問題は、もう1つの課題である、我々がみんなで一緒に作ろうとしている パブリックコメントを求めているガイドラインが、どういう役割を果たし得るかという 問題と裏腹ですよね。特別法を作る必要があるのか、ガイドラインでやられるのかとい う面と、個人情報保護法という一般法と、医療の面ではやはり一般法だけでは足りない のかどうかという話があります。これは宇賀委員にお聞きしたいのですが、そもそも情 報の関係では情報開示や何かで、教育情報と医療情報については何らかの形で特別扱い と言いますか、むしろ開示のところで難しい要件が入るような話があったのが、ともか く個人情報保護法自体は医療情報を区別せず、医療情報についてもちゃんと個人情報保 護法で一定の体制を整えました、という形になっているというのは確かでしょうね。 ○宇賀委員  そうですね。 ○樋口座長  病院の関係の方ではいかがでしょうか。 ○武田委員  私は法律のことはあまり知りませんが、個人情報保護法である程度決まっていること ですし、その行動に対してガイドラインで十分認められていても、行動が規制されてい るわけですから、個別法が要るのかなと思っているのです。メリットはいろいろあるで しょうけれど、かえって診療上の萎縮とかが起こらないかという心配はあります。ガイ ドラインのほうが取っ付きやすいと思います。 ○樋口座長  これは法律論にわたるのかもしれませんが、宇賀委員にお尋ねします。個人情報保護 法で十分かという議論の中に、いくつかの論点があると思います。1つには個人情報保 護法の解釈の問題があって、できればそこをこれから教えていただきたいのです。私が 患者だとして、個人情報保護法に則って、自分の情報を医療機関が持っているとしま す。「開示」と言っているわけですから、どういう情報を持っていて、その内容がどう いうものですかということを求めることができる。医療機関側には開示の義務がある と、はっきり書いてあるのですが、何らかの理由ですぐに開示してくださらないという 場合、2つの考え方があるわけです。  1つは、個人情報保護法の中で苦情処理と言いますか、私がそれはおかしいじゃない かという形で、まず医療機関に申し立て、医療機関の所でうまく自分が納得できないよ うだと、その上の認定情報保護団体というものが、多分これから認定されるでしょうか ら、そういう所へ問題を持っていって、それで何らかの客観的な紛争解決を図ると。そ れでもどうしようもないような場合は、行政的な所で主務大臣である厚生労働大臣が、 いちばん上の監督者でもあるから、そこの所で何らかの処理がなされるだろうという手 続の流れがありますよね。  そうでなく、私がいきなりというか、途中でかもしれませんが、裁判所へ出ていっ て、こういう形で開示してくれないけれど、開示をしてくれないだろうかと、開示を求 めたいと裁判で訴えることはできるのでしょうか。ここのところがはっきり書いていな いのです。 ○宇賀委員  確かに個人情報保護法の書き方と、行政機関個人情報保護法と独立行政法人等個人情 報保護法の書き方は違っています。個人情報保護法では「開示の求め」「訂正等の求め 」という言葉ですが、それに対して行政機関個人情報保護法や独立行政法人等個人情報 保護法は、「開示の請求」とか「訂正の請求」というように、「請求」という言葉を使 っていますので、確かに言葉は違っています。個人情報保護法のほうでは「個人情報取 扱事業者の義務」という形で書いているのですが、反面で個人情報取扱事業者がそうい う義務を負っていることから、開示を求める者にも請求権があると言っていいだろうと 思います。したがって、断ることができる場合というのは、個人情報保護法第25条第1 項第1号に列記されているものに限られるわけで、それに該当しないにもかかわらず拒 否されたのでしたら、開示を求める訴訟は提起できると考えていいと思います。 ○樋口座長  そうだとすると、その点で個人情報保護法が足りないから、特別法が必要だという話 にはならない可能性があるわけですね。 ○宇賀委員  そうですね。 ○樋口座長  これは抽象論になるのかもしれませんが、こういう個別法を作ったときのメリット、 デメリットというのは、資料7の3枚目にありますように、すでに厚生労働省でも別の 検討会で検討しているわけです。これは個人情報保護法を前提にした上での議論ではな いので、一部当てはまるということだとは思いますが、すでに検討している面があるの だろうと思います。メリット、デメリットとしてどういうものが考えられるかというこ とについては、いかがですか。メリットのほうだけでも、あるいはデメリットのほうだ けでもどちらでもいいのですが。 ○宇賀委員  まさに先ほど座長が整理されたように、まず、なぜ必要かということがあって、その ためにガイドラインで足りるのか、それとも個別法が必要なのかという議論になってく ると思います。外国の例を見ますと、確かに医療の部分については特別の規定が置かれ ていることが少なくない。それは先ほど申したように、開示をするときに通常ですと、 直接開示請求者に渡すのに対して、医療の場合は開示請求者が自分の信頼できる医師を 指定し、その医師を通じて開示をするわけです。それは、おそらく直接見せるよりも専 門の信頼できる医師が説明付きで開示をすることが、医療の情報の場合には特に必要だ ろうという配慮があるのだろうと思います。この点については行政機関等個人情報保護 法制研究会においても、一応検討はしたのですが、専門の先生から必要ないというご意 見があって、特段の規定は設けなかったわけです。  現行法上もこれを直接見せてしまうと、例えば患者がショックを受けて病状が悪化す るようなときには、不開示にすることができるようになっていますので、一応そこで対 応は可能です。開原先生には既にお聞きしたのですが、ほかの方がそこをどうお考えに なるのか、医療の専門の分野からご意見をいただければと思います。 ○樋口座長  開示も保護の手段であるととらえることも出来ると思うのです。開示と関係なく、そ もそも保護の体制をどう取るかというのがありますよね。医療機関にいろいろな義務を 課して、とにかく情報が漏えいしないようにきちんとしないといけないというのが、い ちばん大事なわけです。その点で、あとは手法の問題になるのだろうと思います。すで に我々には個人情報保護法があって、来年4月から施行されるわけですから、それを前 提にした上での特別法なのか、我々が作っているようなガイドラインか、あるいはガイ ドラインをもっと直していく必要があるのか。そのあたりの比較衡量はどうでしょう か。 ○宇賀委員  個人情報保護法では5,000ということで裾切りをしているわけです。そのため、小規 模な開業医ですと、対象にならないものが出てくる。今回のガイドラインではそこも含 めておりますので、ガイドラインでどれだけ実効性があるのかだと思います。ガイドラ インのようなソフトローであっても十分に実効性が担保されるのであれば、あえて個別 法までいかなくてもいいのでしょうが、そこがもし不十分ということになれば、やはり 個別法でそこまで含めるという議論になると思いますので、そこは医療や看護の世界 で、こういうガイドラインができたときに、どの程度皆さんがしっかり遵守されるのか ということになってくると思います。 ○樋口座長  もう一点、これも私の感想のようなことですが、現行の体制でも、例えばこれだけの ことはしているという中で、やはり守秘義務が強調されます。今日の事務局からの説明 で、ここだけを強調しているということはなかったと思いますので、それは大丈夫だと 思いますが、あまり守秘義務だけ、例えばお医者さんには守秘義務がかかっているから 大丈夫だというのは、ちょっと違うと思うのです。つまり、そういうことをあまり強調 すると、そもそも医療については、個人情報保護法だって要らないのではないのという もともとの議論に戻りかねないような話があるのです。  それから、こちらのほうが重要だと思いますが、それは揚げ足をとるみたいな議論だ と思いますから、実際に情報の漏えいには、大きく分けて2つの形があって、とにかく わざと、故意に、情報を窃取して売るとか、とにかく誰かを害してやろうというので流 すとかという類のものがあって、それに対処しているのが守秘義務です。これは犯罪に なります。当然、故意に基づく場合です。  しかし、私の認識不足かもしれませんが、情報の漏えいの多数は、不注意でうっかり と、そのデータをそこへ置きっぱなしにしたり、ということのほうが世の中では多いの ではないかと思います。それは守秘義務違反になりませんから、立ち所、少なくとも犯 罪になるという話ではないのです。むしろ、別の安全管理措置がどれだけとられている かのほうが大切になるので、あまり守秘義務だけを強調するのではなく、一般には守秘 義務が刑法や監督法に書いてあれば、という理解がされる場合があるような気がするの で、そこはちょっと違うのではないかと個人的には思っています。松原委員、お医者さ んの立場からいかがですか。 ○松原委員  実際上、これまでにも明治維新から100年以上にわたって、医師免許制でやってきて、 それほど大きな問題が起きていないと私は思っております。私ども守秘義務をかけられ ておりますので、そういったことはない。また、うっかりの問題も、実際のところそれ で大きな事故になるかと言えば、現在までのシステムであれば問題はなかったわけで す。問題はデジタル化の時代において、一遍に誰かが悪意を持って抜く、あるいは過失 があって抜かれたときに大きな問題が起きる点です。そこのところを個人情報保護法で きちんと管理していくのが、今回の法律のいちばん大きな目的だと思いますので、そう いうことができるようにすれば問題はないのではないかと思います。 ○武田委員  個別法の制定ですが、資料7の3頁の上のほうの○に、個人情報保護法について、診 療情報に関する個別の法律が必要であるということですが、これができるとなるとどう なのですか。診療情報に関する個別の法律が必要であるというのは、大体どんなような ものが出来るのでしょうか。 ○樋口座長  特に(2)に関係してということですよね。参議院の附帯決議でも、特に死者について という話が出てきていて、ここだけを取り出すような個別法というイメージなのかとい うことかと思いますが、どんなものですか。 ○企画官  医療分野についての個人情報の保護がどういうイメージかですが、1つは一般の個人 情報保護法と同じような条文をずっと書いていって、特有の部分をプラスアルファする 形の法律でやるというやり方と、この部分だけは別な取扱いをするという法律を作ると か、いろいろあると思います。そういうことがあったほうが説明しやすいという観点か らもし作るとすると、同じような内容でもずっと書いていって、一般の情報と同じよう な内容でも、重複しますが書いていったほうが説明しやすい、見やすいということはあ るかと思います。そうではなくて、どこが違うかというのを明確にするとすると、違う ところだけ書いていくということもあると思います。そこはどういう目的でやるかによ って、作り方があるかと思います。 ○樋口座長  先ほど私が申し上げたのは、なぜかという話と、何を盛り込むべきかという話の「何 を」というところで、どういうイメージかということですよね。いま企画官がおっしゃ ったのは、やはりわかりやすさ、一本立てになっているということであれば、死者だけ ではなく全部、生存する個人の情報と死者と両方をカバーするようなものを作るが、生 存する部分については、きっと個人情報保護法と同じような条文をまた並べるという形 で、重複するような話になるかもしれませんというお話ですよね。 ○企画官  そうです。例えば、安全管理なり保護の部分は一般の個人情報保護法でよく、診療情 報の開示の部分だけ別の法律にした場合、今ある「診療情報の提供等に関する指針」を 法律にすると、その分野については特別法でやりますという調整規定か何かを置いた上 で、遺族に対しても開示するというようなその場面の法律を別に作るとか、そんなこと もあると思います。安全管理についてもっとプラスアルファの法律が要るとなればどう するか、というようなアプローチがあると思います。 ○武田委員  診療情報の指針では改ざんというか、変更ができないですよね。明らかに記載した元 のものを残しておかなければいけない。そういう場合、個人情報保護法ですと、改ざん してくれと言えば改ざんしなければいけない。その辺のところが少し難しくなってくる のではないかと思いますが、どちらを優先するのか。法律になれば、法律のほうに従わ なければいけませんし、そこに問題があるのではないかと思います。 ○企画官  改ざんとおっしゃいましたが、厚いファイルの124頁に「診療情報の提供の指針」を 付けていますのでご覧ください。「診療情報の提供等に関する指針」でも、「5.診療 記録の正確性の確保」では、診療記録を正確かつ最初の内容に保つ、訂正する場合は、 訂正した者、内容、日時等がわかるように行わなければならないということで、不当に 変える改ざんは行ってはならないということですので、本人から事実に関して違うとい う求めがあって、それで訂正するというのは、「診療情報の提供等に関する指針」でも 個人情報保護法でも、それは駄目と言っているわけでは当然ありません。不当に改ざん してはいけないと言っているだけです。「診療情報の提供等に関する指針」でも、事実 ではないことの指摘があってそれを直すのは、別に不当な改ざんではありませんので禁 止されていないと理解しています。そこはずれがないと理解しています。 ○武田委員  わかりました。細かいことで申し訳ありません。 ○樋口座長  ガイドラインという名前なのか、法律なのか、どれだけの違いがあるかということは やはり重要ですよね。名前が重要だという場合も、世の中にはあると思いますが、本当 は実質がどれだけ違うかという話があって、今日の議論の中でも、個人情報保護法が政 令と一体化して、まず、個人情報保護法自体が生存者だけだという話と、政令のほうで 5,000件という数字が出てきているので、5,000件以下の診療所等も、こちらで作ってい るガイドラインは適用対象ですよと、ただし、法律上ぎりぎり詰めると努力義務ですと いう話ですよね。ここは法律プラス政令で5,000件という話ですが、現実問題として、 実際に来年の4月以降に、小さい診療所で、うちは5,000件以下であると、あれは努力 義務なのだと。そういう診療所があるとは、本当は思えないので、空理空論ですが、と にかくうちはそんなものは知らないよというときに、監督機関である厚生労働省として は、あれは努力義務で法律上の義務はないのだから、一切法的な規制権限がないという ことになることはないですよね。 ○企画官  個人情報保護法に基づいて、という話ではもちろんできることは限られるわけです が、医療機関の業務のあり方としてどうかという話はございます。 ○樋口座長  こういうガイドラインがあって、努力義務としてだけでも。まさに努力もしていない という。 ○企画官  理屈で申しますと、そこについては何の法律に基づいて何というかということもあり ますが、そこはこのガイドラインを出す際にも、これは小規模の事業者も対象にして遵 守を求めるガイドラインですよということで、周知を図りますし、実際、そんなことは 法律に書いてないから関係ないという事業者があった場合、一定の指導ということは理 屈の世界としてはあると思っています。 ○樋口座長  5,000件を超える所で同じような所が仮にあった場合、その違いというのは。 ○企画官  医療機関に対する指導が、個人情報保護法に違反していますよという指導になるの か、あるいはガイドラインに違反していますよという指導になるのか、その違いはある と思います。ただ、医療機関はこういうことを遵守する必要があるという目的の部分で は違いはないと考えています。 ○岩渕委員  ちょっと心配なのですが、そこで裁判になった場合、行政指導の有効性云々、法的な 拘束力云々という話に、当然ながら、裁判の場合はなりますよね。そういうふうに想定 しておく必要があると思います。その場合の有効性をどうやってきちんと担保できるの か。現実にはそんなことはあり得ないとか、行政指導で何とかなるといういい加減なレ ベルで判断すべきことではないような気がします。もう少し法的にきちんと対応できる かどうか。そういう問題も、そのうち出てこないとも限らないと思います。 ○樋口座長  私はいい加減に行政指導したらいいと言っているわけでもなく、もちろん岩渕委員も そう理解しておられるわけではないと思いますが、個人情報保護法自体が、監督する主 務大臣が勧告等の指導をする形になっているものですから、その指導と結局どれだけ違 うのかをお聞きしたかっただけなのです。 ○企画官  言葉足らずでしたが、もし主務大臣、あるいは都道府県知事が小規模な事業者に対し て、個人情報保護法に基づき勧告などをしようとする場合、法律は適用されないのでは ないかという話があるわけです。一方で、一般の医療機関への指導監督という観点で、 その運営が著しくて適正を欠いているという場合は、都道府県知事が業務等についての 報告を求めたりするという、一般的な医療法の規定があるわけです。そこは運営の不適 切さにもよりますが、その場合によって医療法に基づくことはありますし、個人情報保 護法に基づく権限としていく以前の段階として、具体的な行政指導ということもありま す。業務のあり方の一般論として、個人情報の取扱いも業務の一部になると考えていま す。 ○山本委員  先ほど個別法の必要性について、そうした議論が要るのではないかと申し上げたので すが、附帯決議にも3年を目途にということがございますので、座長がおまとめになっ たように、不注意で出ていくもの、悪意を持ってその情報を流すものという整理の仕方 があって、また、現在のガイドラインが、情報を扱う者の情報の扱い方についてきちん と規定していて、かつ、個人情報保護法という基の法律があって、その中ではどういう 扱いをすればいいかということが規定されていて、取り分け医療関係者、あるいは看護 関係者にとっては、このガイドラインに従った取扱いをすることが、有効かつ安全な理 由になるということで理解をすれば、特段すぐに個別法を制定してという必要はないと 思います。  ただ、5,000件の問題等、果たしてガイドラインをどれだけ守れるのか、私どもはあ まり信用ないのかもしれませんが、少なくとも今まではきちんと守ってきました。そう した中での不注意での事故というのがあったと思いますが、重大なことになったケース はないと考えています。このガイドラインとこの後作られてくる「Q&A」により個々 に整理されて、かつ、それぞれの団体が自分たちの仕事に見合った、より細かな対応を ガイドラインに則した決め方をしていけば、十分な効力を発するのだろうという感じが します。そういった意味からすれば、このあと国がお作りになるQ&Aを受けて私ども としても何か検討ができるのではないかという気がいたします。 ○岩渕委員  ガイドラインの議論と個別法の議論は、本来であれば個別法のほうが最初に議論すべ きことだったのではないかという気がしないでもありません。この順番できているとい うことは、たぶんガイドラインで済むのではないか、という流れが1つあるのかなと。  それとは別に、私は昨年の「診療情報の提供等に関する指針」の策定にも少しかかわ りまして、そのときの最後の議論では、今後の状況を見てという文言を入れました。そ の段階での判断から言いますと、情報提供についてのはっきりした法的な規定があまり ない中で、個人情報保護法という大きな網がかぶさるということは、患者側から見て も、かなり前進であるという評価の上に、それでは状況を見て問題があればまた法制化 を考えるというような結論で落ち着いたと理解しているのです。ですから、その流れか らいきますと、確かに個人情報保護法が今度施行されるという、1歩前進か2歩前進か わかりませんが、そうした中で言えば、その段階から現在までに大きな問題が出てきて いるかというと、そういう状況でもないし、時間的にもさほど経っていないということ があります。  そういったことも勘案しますと、取りあえず個人情報保護法の施行後の状況を少し見 た上での判断になるのが妥当ではないかと、私自身は思っています。それにつきまして は、診療の現場やいろいろな所からきっとさまざまな意見もあるだろうと思います。情 報開示について言えば、日本医師会はじめ、それぞれの現場で真摯に取り組んでいると 信じております。その信頼を裏切るような行為は、今のところまだ聞こえてきておりま せんので、もし具体的なケースがいくつか出てくるようでしたら、また話は別ですが、 現段階では施行後の状況を少し見るのが、歴史的な流れから見ても最も妥当な結論では ないかと思います。  そういう意味から言えば、前の検討会で言ったように、例えば3年後とか、そういう 期限を付けて見直すことは十分あり得ますし、そうあるべきだと思います。私の意見と しては大体そういうところです。 ○樋口座長  この検討会で2つの課題があって、個別法の必要性について議論する部分と、ガイド ラインを作る部分というのが、本当は論理的には、まず、いま議論をしているところを やっておいて、それで個別法の必要までは取りあえずはなくて、しかし、ガイドライン は必要だと、こういう話になってからということで、論理が少し逆転しているのかなと いうご指摘があり、そういう面も論理的にはあるような気もします。  私の理解では、一方で現実論として、来年の4月の施行前に法律を作って、しかも国 会を通さなければいけないわけですから、それはスケジュール的にほとんど不可能とい うか、たぶん無理なことであるという判断があるのです。そうすると、法律はできな い、法律は作ったほうがいいよという結論だけが出ても、来年の4月に、個人情報保護 法、はい施行ですという形で、病院の関係者であれ、患者であれ、介護の関係者であ れ、立ち所に困るのではないかということで、やはりガイドラインを作ろうという話が あったと。これを先に作っておいて、こっちの議論を棚上げにしようという意図ではな いと私は理解しているのです。現実的にはガイドラインを作ってみて、本当は今日の議 論は、こういうガイドラインがあるのですが、これでは足りないだろうかという形で議 論しているのは、岩渕委員が指摘するように、もしかしたらアンフェアなのかもしれま せん。それがなくて議論しておいて、ということもあるのかもしれませんが。 ○岩渕委員  こういう手法ももちろんありだと思います。第1回に簡単な議論は必要だったかな、 というふうにちょっと思っているだけの話です。 ○樋口座長  今日は他の委員の方もお忙しくて、比較的多数の方が欠席でもあり、それぞれの専門 家の委員でおられますので、その方たちのご意見も伺う必要がもちろんあります。それ は次回にということもありますが、事務局のほうで、次回に急にということではなく て、今日ご欠席の方には何らかの形で事前に、個別法、あるいは特別法の必要性につい てどのようなお考えなのかを聞いておいていただきたいと思います。そういう形で、次 回、もう少し議論を詰めたいと思います。もちろんパブリックコメントの中でも、特別 法が是非とも必要だとか、こういうガイドラインがあるのだったらいいよというような ことがご意見の中にあるかもしれないので、それも含めて次回、継続して議論していく 形でよろしいですか。  それでは資料8もありますし、これから事例集を作成することはどうかということ が、ガイドラインのところでも議論になっていましたので、それについて事務局からご 説明をお願いします。 ○企画官  それでは資料8です。事例集ということで、ガイドラインをさらにもう少しわかりや すくしたようなものになるかと思います。この検討会で、こういった場合はどうなるの だろうかというご質問があったり、あるいはパブリックコメントでもいろいろ質問が出 たりしております。また、事務局で説明会等に行きました際に質問が出たこともあるわ けですが、そういったものについてQ&A的な形式で、さまざまな場面において関係事 業者はどういう具体的な措置をとればいいのかということを、事務局で作成して公表し ていく。基本的に、法に基づいて各事業者、あるいは関係業界団体で、具体的な措置を どうやっていくか考えていただくことになりますが、そういったことを検討の参考にし ていただくべく、事務局で整理して公表していくことを考えたいと思います。その際、 どういう場面についての例を示せばいいのか、これまでの議論から、個人情報に関する 相談体制はどういうふうに作ったらいいのか、窓口をどのぐらいの規模で、どれぐらい の期間開くか、あるいは、院内研修等に個人情報を使う場合、どういう形がいいか、あ るいは委託先にも監督をと言いますが、どういうやり方をすればいいか、そういったこ とについてQ&A形式で整理をしたらいいかと思います。  その他にも、実際その現場に関係の深い委員の方々がおられるわけですが、こういう 場面についてどうしたらいいのかという例示があるとありがたいとか、どういう事例集 を作ればいいか、なかなか思い至らない部分があるものですから、こういう具体例が欲 しいということをいただければと思います。また、基本的形式と違いますが、書面を作 る場面の話や院内掲示の話もありますが、こういう院内掲示もということで、細かいと ころまでは事業者によっても違いますが、あまりぶっきらぼうな院内掲示をするのもよ くないわけですし、こんなような感じの掲示ということで、例示的な形で示すなり、各 事業者ができるだけ取り組みやすくするための例をお示しできればと思いますので、こ ういう場面の例を作るのが望ましいとか、ご指示をいただければと思います。 ○樋口座長  次の頁の事例集の記載イメージについてはよろしいですか。 ○企画官  事例集の記載イメージということで、1頁目の1つ目のポツの「個人情報に関する相 談体制のあり方」に関して言えば、例えばどういう点に気を付けて相談体制を作るかと いう問いや、全時間帯に開設している必要があるのかとか、小規模事業所の場合、専門 窓口が必要なのか、教育をどうしたらいいかなど、これまでいろいろな問いがあったり しますので、それに対して答えるという形で、こういうようなイメージの事例集、Q& Aという形で作るのが使いやすいのではないか、こんなイメージで作っていただければ いいかと考えているところです。 ○樋口座長  FAQというか、事例集というか、こういうものについてはいかがですか。 ○岩渕委員  かなりわかりやすく書いてあるので、これでいいと思います。ただ、どれぐらいの量 になるのかわかりませんが、かなりの量を作っていただきたいと思います。というの は、医療もさることながら、介護の現場では、疑問が非常にあるようなので、かゆいと ころに手が届くと言いますか、間違いのないように、できるだけわかりやすく、丁寧に 書いていただきたいと要望しておきます。 ○樋口座長  私から2点だけ申し上げます。岩渕委員がおっしゃることは誠にごもっともだと思い ますが、一方で、個人情報保護法を見ると、認定情報保護団体のところで指針を作るよ うに、というのが明文で書いてあります。それがいい例かどうかわかりませんが、例え ば薬局だと日本薬剤師会というところになるのかどうかも私はわかりませんが、薬局に 特化したような質問があって、それに対して、これはどうですか、これはこういうふう にしておくのが個人情報保護法及びガイドラインの趣旨からしていいように思われます というようなのは、認定情報保護団体のレベルでも併せて作っていただくような努力を していただくのが望ましいし、かつ、そちらの団体のほうがむしろいろいろな事情がわ かっているということもあるので、厚生労働省のレベルであらゆることを全部、かゆい ところに手が届くところまで言ったほうがいいのかという、役割分担をどうするのかと いう課題はあるような気がします。  もう1つは逆の話ですが、ここでは「医療・介護関係事業者が行うべき措置の例」と いうのがまず例として挙がっています。これは個人情報保護法が適用になったときに、 患者の情報をとにかくこういう形で保護するのですよ、ということをシステムをアップ して、あるいは意識をアップすることがいちばん重要ですから、こういう事例がたくさ ん出てくるのは当然だと思います。一方で、それら全部患者のためでもあるので、患者 サイドからすると、今度はこういうことはどうなるのという話のFAQも、もちろんこ こで排除している意味はないので、たまたまここへ明示されていないだけだと思います が、そのFAQを見るのは、個人情報取扱い事業者だけではないという確認をしておく 必要があると思います。  事例集の作り方や、その他でいかがですか。こういうものは今まで作ったことがある のですか。 ○企画官  よく質問のあるような事項について、質疑応答形式で作ってお示しすることはいろい ろな場面ではございます。詳しさとか手の届き具合の濃淡はあると思いますが、こうい ったQ&A形式で作って、ホームページに掲載したりすることはいろいろな分野で行っ ています。 ○樋口座長  他にございませんか。それでは今日の議事の全体を通して、どんなことでも結構です が何かございませんか。あるいは今日問題にならなかった事項でも構いません。 ○高津委員  最後に認定個人情報保護団体の話が出ましたが、例えばその認定個人情報保護団体の 機能や、そういったものはどう作っていけばいいか、具体的な研修等の機会はあります か。それとも各団体で何かの勉強をしながら作っていくとか、その辺はいかがですか。 ○企画官  認定情報保護団体の条文は個人情報保護法の中にあるわけですが、できるだけ民間で の取組をしていただく、国はそういう場へ行って支援するという枠組みがあるわけで す。こういう団体になるためには、何の要件が必要かとか、あまりそういったことは法 制上ないことで、基本的には各団体において、個人情報保護のためにこういった取組を していこうと思うという形で認定団体になる、簡単に言うとそういう枠組みです。  したがって、基本的には各団体でいろいろな機会を通じて研究なり、勉強なりをして いただく形になります。そういった場面で、私どもは一定のお手伝いをさせていただく ことになると思います。 ○高津委員  こういうことをやるよということで、何か申請すれば認定するという仕組みなのです か。つまり、要件というのがある程度、絶対これだけは織り込んでくれとか、そこはこ ちらで勝手に考えてやればいいという、そういうふうに解釈したらいいですか。 ○企画官  認定団体の規定の条文はあまりございませんが、個人情報保護法ですと、第39条に認 定の基準というのがあります。まず、認定団体はどういうことをするかということです が、厚い資料の72頁に関係の条文があります。個人情報の取扱いに関する苦情の処理や 情報の提供、そういったことの事業をやるという形で認定を受ける。認定の基準は、業 務を適切、かつ、確実に行うに足りる団体であるかどうか、知識能力、経理的基礎があ るか、不公正な事業をする恐れがないかとか、そういったことですので、そういう意欲 のある団体ですと、おそらく大体認定されることになると思います。基本的な構造とし てはそうなっておりまして、できるだけこういった取組を一生懸命やっていただこうと いうことで、この法律ができていると考えています。 ○樋口座長  これは何かスケジュールというのはあるのですか。例えば来年の4月に完全施行です が、その前に認定する必要があるということでもないのですか。 ○企画官  この個人情報保護法は、法律全体公布の日から施行ですが、この認定団体の規定を含 めた第4章は平成17年4月施行になります。関係条文を事前にできるということにはな っておりませんから、基本的には平成17年4月以降の認定になります。認定自体の行為 は平成17年4月になりますが、これに関連する取組をやること自体は、もちろん妨げら れていないわけですので、法律に位置づけられた形が施行後の話になると思います。 ○樋口座長  他にご意見等はおありですか。よろしいですか。それでは、今日はこのぐらいにした いと思います。今後のスケジュール等について事務局からご説明をお願いします。 ○総務課長補佐  本日ご議論いただいた内容について、さらにご意見などがある場合には、今後事務局 にメールなりファクシミリで提出していただきたいと思います。次回については、各委 員にすでにご案内しておりますが、12月9日(木)午後6時から開催の予定です。 ○樋口座長  それではこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。                  照会先  医政局総務課                  担当者  濱田・安川                  連絡先  (代表)03-5253-1111 (内線)2522