04/11/15 社会保障審議会児童部会第5回合同検討会議議事録              総合施設に関する合同の検討会議         (中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育部会と           社会保障審議会児童部会の合同の検討会議)                  第5回議事録              厚生労働省雇用均等・児童家庭局          第5回総合施設に関する合同の検討会議 議事次第 (中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育部会と社会保障審議会児童部会の合同の                   検討会議)           日時:平成16年11月15日(月) 10:00 〜11:51           場所:厚生労働省専用第22会議室 1.開会 2.主な論点の整理 3.自由討議 4.閉会 ○岩男主査  それでは、おそろいになりましたので、ただいまから第5回「中央教育審議会初等中 等教育分科会幼児教育部会と社会保障審議会児童部会の合同の検討会議」を開催いたし ます。  本日は、大変お忙しい中、また、お天気の悪い中を御参集いただきましてありがとう ございました。  本日の司会は児童部会側となっておりますので、私が司会・進行をさせていただきま すので、どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思います。  まず、前回の会議を踏まえて事務局で資料を御用意くださっておりますので、その御 説明をお願いしたいと思います。 ○尾崎保育課長  まず、資料の確認をさせていただきたいと思います。保育課長の尾崎でございます。  前回、御議論いただきました主な意見を加えまして、資料1でございますけれども、 「議論の整理」ということで、一番右側に主な意見の欄を設けまして整理をさせていた だいております。これも後ほど、簡単に御紹介をさせていただきたいと思いますし、ま た、今回の御議論を踏まえてここを充実させていきたいと思っております。  それから、御要請のありましたことを踏まえまして、資料2ということで色刷りの 「総合施設の業務イメージ」というものを、横長のポンチ絵のようなものを1枚紙で用 意させていただいております。  参考資料といたしまして、参考1「規制改革をめぐる動向」ということで、幼稚園・ 保育所をめぐります規制改革関係の議論、政府部内で行われております規制改革の特区 とか、規制改革関係の議論を2枚で整理しております。  参考2ということで、これも御要請を踏まえまして、「地域における子育て支援事業 の概要」。厚生労働省サイドの4つの事業を表にまとめたものを1枚紙で用意させてい ただいております。  参考3といたしまして、文部科学省側から「幼稚園における『子育て支援』について 」という資料を1枚紙で用意させていただいております。  以下、御説明をさせていただきたいと思います。  大きい版の資料1をごらんいただけますでしょうか。  「議論の整理」ということで、「主な意見」の欄の要点を御報告させていただきたい と思います。  まず、「1 対象者と利用形態」につきまして、一番右の欄をごらんいただきます。  3歳以上の共通の利用時間は、4時間程度が適当ではないか。  あるいは、配慮が必要な家庭に対するサービスとしては、総合施設の側が拒否できな い仕組みとすることが適当ではないかと。  利用者の視点からは毎週2〜3日の利用とか、午後だけの利用など、いろんなパター ンについて個別のニーズに対応できることが望ましいと。  それから、現に幼稚園、保育所が存在する中で総合施設を考える場合には、3歳未満 の在宅の親子への支援というのがポイントになるのではないかというような御意見がご ざいました。  1枚おめくりをいただきまして、「2 教育・保育の内容等」ということで、一番右 の欄でございます。  3歳以上児の共通の利用時間においては、幼稚園教育要領に基づいて実施することが 適当ではないか。  その次の○でございますけれども、3歳未満児につきましては、大人への依存度が高 い、個人差が大きいという特徴を踏まえて集団で一くくりすることは適当ではなくて、 また、これに対しまして、3歳以上児というものは子ども同士の活動の意義を考えるべ きではないかというような御指摘がありました。  次の項目でございますが、「3 職員配置・施設設備等」ということで、一番右の欄 でございます。  施設設備や職員配置につきましては、保育所の基準を念頭に置くのが望ましいのでは ないか。  次の○ですが、アレルギー児の増加、離乳食の提供、病児への調整食など臨機応変な 対応を考えると、調理室は必要ではないか。更に栄養士、調理師、看護士の配置も考え られるのではないか。  また、3歳児は幼稚園基準の35人以下の1学級に1人の教員ということでは対応が難 しい面があるのではないかという御指摘もございました。  また1枚おめくりいただきまして、「4 職員資格等」ですけれども、一番右の欄で ございます。  幼稚園教諭と保育士資格を併有している必要はないけれども、業務に応じたいずれか の資格保有者が必要ではないか。  職員資格については、専門性の観点から原則をしっかり定めながら、過渡期には柔軟 な対応が可能となるようにすべきではないか。  それから、養成課程の検討が必要ではないか。2年間ではきついと。  実務経験を評価すべきではないかと。  次の○ですけれども、研修の機会の確保が必要ではないかと。  それから、ボランティアの活用、高齢者との関わりなども加味されるとよいと。  最後ですけれども、各種研修に幼稚園・保育所の各メンバーが一緒に参加できるよう な配慮が大切だというような御指摘がございました。  「5 設置主体・管理運営」につきましては、設置主体に制限を設けないとしても、 質を確保できる仕組みが必要ではないか。  それから、情報開示は重要だと。総合施設においても苦情解決の仕組みが必要だと。  それから、事後評価・第三者評価が重要であるという御指摘がございました。  次に、「6 利用料・保育料」につきまして、原則応益負担として、低所得者に減免 措置をとることが妥当ではないかという御意見がございました。  次の「7 財政措置等」ということで、成人から高齢者が個人給付なので、総合施設 についてもそういう個人給付の仕組みを考えてはどうだろうと。  それから、直接市民のニーズに対応する市町村の負担が過大とならないような仕組み が必要ではないかと。  国・地方公共団体が重層的に関与する仕組みが必要ではないかと。社会全体で負担す る仕組みとして、事業主も含めて考えてはどうかという御意見がございました。  最後の1枚でございますけれども、「8 地方公共団体における設置等の認可・監督 等の体制」につきまして、所管については、地方での担当部署は地域の実情に応じて実 際の裁量でよいのではないかと。  また、小学校教育との連続性を考えると、教育委員会の関与を考えるべきだと。  「9 名称」につきましては、「こども園」というのは既にあるので、よく言われて いるので、「総合こども園」がいいのではないかと。  最後ですけれども、「10 その他」といたしまして、総合施設を契機に、幼保と小学 校がより連携をとれるようになることが望ましいと。  一応、こういうふうに整理をさせていただいております。まだ不十分な点はあるかも しれませんけれども、また御指摘をいただきまして、リデュースをさせていただきたい と思っております。  引き続きまして、資料2、色刷りの「総合施設の業務イメージ」でございます。  改めて詳しく御説明を加えるまでもないんですけれども、イメージといたしまして、 中心的になります3〜5歳児の業務のところで、「就学前の教育・保育」というものを 一体としてとらえて、その中に「共通の時間」というような考え方を入れた図でござい ます。 また、0〜2歳児につきましては選択的にといいましょうか、オプション的な 考え方になると思いますけれども、保育を必要とする子どもへの対応というのが薄い黄 色の部分でございます。  また、「親子登園、親子の交流の場の提供等」というパターンですと、その下の薄い 緑の対応ということになろうかと思います。  また、一番下でございますけれども、親への支援といたしまして、「子育て家庭への 相談、助言、支援等」ということでございます。  こういった形で、下の3層の辺が、ある意味では実情に応じた選択的な要素になるの ではないかということで整理をさせていただいております。御意見あれば、後ほど賜れ ばと思います。  引き続きまして、足早で恐縮でございますけれども、参考1「規制改革をめぐる動向 」という資料を御説明させていただきたいと思います。  実は、先週の金曜日でございますけれども、政府の規制改革・民間開放推進会議の方 から文部科学省、厚生労働省ともに呼ばれまして、ヒアリングを受けております。総合 施設についてのヒアリング、あるいは幼保一元化に係るいろいろな規制についてのヒア リングということで、この資料に関わる、どんどんどんどん進めるべきであるという趣 旨のヒアリングをいろいろ受けておりますけれども、これまでの幼稚園・保育所をめぐ ります規制改革をめぐる動向についてということです。  まず、1つ目の○、「規制改革・民間開放推進会議の指摘」ということで、平成15年 12月の総合規制改革会議の決定で、「5 幼稚園・保育所の一元化」ということで、 「(1)少なくとも構造改革特区において直ちに講ずべき措置」ということで、「行政 の一元化、基準の一元化に到達する前段階として、幼稚園と保育所のどちらか一方のみ に課されている規制について、緩和・撤廃すべきである。例えば、保育所のみに義務付 けられている調理室の設置義務については、規制の趣旨に照らして合理的ではないこと から、廃止すべきである」というようなことがこの会議からは指摘をされておるという ことでございます。  その次、これまた別の分野になるわけですけれども、重なり合う部分は多うございま すけれども、構造改革特区、部分的に特区の中で行われます実験的な取り組みというこ とで、幼稚園・保育所の分野ですけれども、幾つかございます。  まず、第一次特区ということで、最初のポツでございますけれども、これは幼稚園に おいて幼稚園と保育所の合同活動をやるということを特区として実験をしているという ことで、これはそろそろ、平成16年11月ですから今月ということになるわけでございま すけれども、各特区の評価をまとめて、これまた特区室と各省との間でいろいろやりと りをしていくというような段階を迎えているというところでございます。  また、同じく、この平成16年11月に評価をまとめるスケジュールになっておりますけ れども、第二次特区ということで、保育の実施について教育委員会、もともと首長部局 の事務ですけれども、教育委員会へ委任するという、特区の11市町村で実施中であると いうことでございます。  また、一番上の第一次特区と表裏になるわけでございますけれども、次のポツでござ いますが、今度は保育所サイドで幼稚園と保育所の合同活動というものが、今、同時並 行で行われているということでございます。  この第一次、第二次特区が平成16年11月の評価まとめということになってございま す。  第三次特区、第四次特区でございますけれども、これは来年5月を目途に評価をまと めるというスケジュールになってございます。  まず、公立保育所において、一番上に指摘があった総合規制改革会議とも連動いたし ますけれども、公立の保育所に限ってですけれども、給食の外部搬入の特区というもの が行われております。後ほど御説明をさせていただきたいと思います。  次のポツですけれども、幼稚園と保育所の保育室につきまして共用化を実施するとい うことでございます。  それから、第四次特区では、保育所と合同活動を行う場合の幼稚園の面積基準につい ての特例ということでございます。  こういったものが、来年5月の評価の期限ということで、現在進行形であるというこ とでございます。  1枚おめくりをいただきまして、ただいま触れました公立保育所における給食の外部 搬入、第三次特区で行われている実験ですけれども、それについて、更に資料を1枚付 けさせていただいております。  これにつきましては、最初の※でございますけれども、「前提」といたしまして、地 方公共団体が、特区における効率保育所の運営の合理化を進める観点から、公立保育所 の休職を外部搬入することが特に必要と認められる場合の特区を認めようということ で、現在、行われているわけでございます。  「必要な要件」といたしまして、そこに(1)から(4)まで書いてございます。  特に(1)辺りでございますけれども、調理室として加熱、保存、配ぜんのために必 要な調理機能を有する設備を有することと。加熱、保存、配ぜんの必要な調理機能とい うものは、公立保育所の外部搬入の場合でもちゃんと考えてくださいというように言っ ておりまして、具体的には、再加熱を行うための設備。2つ目には、冷蔵庫などの保存 のための設備。配ぜんといたしましては、給食を配ぜんするための適切な用具及びスペ ース。体調不良児などの対応に支障がない設備等を有することと。  それから、当然のことですが、(2)、入所児童の食事の内容・回数・時機に適切に 応じられること。  (3)で、衛生基準をちゃんと守ってくださいと。  (4)で、必要な栄養素量を給与してくださいと。  そういったことを必要な要件として、特区の実験をやっていただいているということ でございます。  具体的にやっておりますのは、一番下の表でございますけれども、今、9市町村で実 施をしていただいておりますけれども、やや特徴がございまして、特区室の間でこれま で行われていた議論で言われていたものとはやや様相を異にしておりまして、純然たる 外部委託という格好ではなくて、ごらんいただきますとおり、どちらかというと都市部 でない地域で公立の学校給食センター、一番右から2つ目の欄をごらんいただきます と、搬入元が学校給食センターのところに○がずらっと並んでございます。この学校給 食センターを活用して、保育所の方に外搬の給食を提供するという形で行われていると いうのがほとんどでございます。  1か所、鳥取県の羽合町で、3歳以上児が学校給食センターから、その他、3歳未満 児については、一番右の備考のところに、1保育所でまとめて調理をして他の保育所に 搬入をしているということが行われておりますけれども、例えば、広い意味での給食の 外部調理をしたものを持ち込んできているという実態には余りないということと、0〜 2歳児については、各特区と言えども、やや慎重な取り組みが行われているというふう に私どもの方では理解をいたしております。  現在、これが来年5月の評価を目指して進行しているという状況にあるわけでござい ます。  足早で恐縮でございますが、次の資料、参考2でございます。  前回、御指摘をいただきましたので、子育て支援事業を厚生労働省サイド、文部科学 省サイドでそれぞれ参考2、3で整理をいたしております。  厚生労働省で取り組んでおります子育て支援事業を、表の形で4つの事業を御紹介し ております。要点だけ御説明をさせていただきたいと思います。  まず、「地域子育て支援センター」「つどいの広場」「一時保育」「特定保育」とい ったようなものでございます。  概要といたしましては、「地域子育て支援センター」ですけれども、地域子育ての基 盤をつくるということで、そこにAからBまで5つの事業の類型を紹介しております。  ざっとごらんいただきますと、Aで子育て不安の相談指導。  Bで、子育てサークルの育成。  Cで、特別保育。  Dで、ベビーシッターなどについての情報提供。  Eで、いわゆる保育ママさんですけれども、家庭的保育を行う者への支援。  こういった事業のうち、その上に※で書いてございますけれども、2つから3つの事 業をやっていただく場合、それについての支援をしているということでございます。  実施主体が市町村で、各施設、児童福祉施設などに委託をしてやっているということ で、面積基準等はございません。  ただ、職員の配置基準として、今、御紹介をしました5つの事業のうち3つ以上やっ ている場合には、専任の従事者を2人置いてください。2つやっている場合には、1人 置いてくださいといったようなことを言っております。  ただし、資格を特に問うているわけではございません。利用料も特に想定はしてござ いません。  実施箇所としては2,500 か所ほどございますけれども、ほとんどが保育所で、保育所 の保育士さんの専門的な技量というものを活用しながらやっているというのが「地域子 育て支援センター」の概要でございます。  次の「つどいの広場」は、「地域子育て支援センター」と非常によく似ておりますけ れども、主に乳幼児(0〜3歳)の子育て中の親子について集う、あるいは交流の場所 を提供するといったような事業でございます。  週3日以上の開設を要件といたしまして、適当なスペースを使って、大体10組以上の 親子が利用できる広さというものを考えてございます。  配置基準は、子育てアドバイザーを2名以上。1名はボランティアでも結構ですと。 資格は特に問いませんということで、全国76か所ほどで行われているということでござ います。  右の2つ、「一時保育」「特定保育」というものは、保育所で行われます本来の保育 以外の一時預かりのような形での、言わば専業主婦の方をも視野に入れた支援というこ とでございます。  上に書いてございますとおり、これは保育の対象となる、つまり保育に欠けるとは限 らない就学前の児童について一時的に預かるということでございまして、A、保護者が 短時間勤務、職業訓練、就学などで断続的に使いたいという場合。あるいはB、保護者 の傷病、看護、冠婚葬祭といった場合。C、保護者の育児疲れなどの私的な理由。こう いった場合について、保育所で一時預かりをするという事業でございます。  面積基準につきましてはありませんけれども、空きスペース。専用の部屋での実施を 原則とするが、空きスペースを利用していただいて結構だと。  当然、これは保育所で行われますので、保育士さんがこのケアをやっているというこ とで、全国で約五千か所ほどで行われているということでございます。  これは利用料を半分お支払いをいただいて、残りを公費負担で、国、県、市町村で分 けているというような事業でございます。  一番右の欄、「特定保育」でございますが、これは「一時保育」と非常に似ておりま すけれども、もう少し長めに預かるパターンでございまして、一定程度の日時、大体、 月64時間以上の、どちらかというとパートでお仕事をなさっているような方の断続的な 保育のペイケアというような形を想定しております。  例としては、※で書いてございますけれども、午後のみ4日間利用するとか、あるい は週に2日利用するとか、こういったパターンを想定しております。  勿論、保育所で行われます保育の実施に基本的に近いものですので、面積とか保育士 などは通常の保育の実施と同じように考えております。  数としては、「一時保育」との区別がなかなか難しいんですけれども、8か所という ことで少のうございますけれども、16年度からはかなり増えつつあるという状態でござ いますけれども、「一時保育」と「特定保育」はなかなか区別しづらいということもあ りまして、来年度の概算要求ではまとめて要求をさせていただいておるという状況でご ざいます。  以上、厚生労働省で取り組んでおります子育て支援についての御紹介でございます。  次の参考3は、文部科学省の方から御説明をしていただきます。 ○蒲原幼児教育課長  それでは、参考3に基づきまして、「幼稚園における『子育て支援』について」、御 説明をいたします。  幼稚園関係については、幼児教育進行プログラムという、言わば5年間の文部科学省 として進むべき施策の大綱がございます。その中で、幼稚園というのは親と子の育ちの 場であるべきだ。あるいは、地域の幼児教育支援センターであるべきだということが盛 り込まれておりまして、そうした考えに基づいて幾つかの子育て支援を行っておりま す。  ここでは、「預かり保育」について若干の資料を御説明しておりますが、「預かり保 育」のみならず、例えば未就園児の親子の登園とか、あるいは園庭開放とか、あるいは 子育ての相談とか、幅広く各園において行われている状況にございます。  そのうちの「預かり保育」でございます。平成15年6月1日現在の実施数、全体の約 三分の二の園で行われているという状況になっております。  これを約十年前、平成5年と比較しますと、この表の一番右のところにございますけ れども、当時は大体、約20%、5つに1つという数だったんですけれども、これが直 近では3つに2つということで、この10年の間で大幅に増加をしてきている状況にござ います。こうした「預かり保育」を支援するために、私学助成の枠組みを用いまして財 政的に支援をしているという状況にございます。  先ほど申しましたとおり、「預かり保育」以外にもいろんなメニューがございます。 先月、中教審の中の幼児教育部会本体で今後の幼児教育についての議論をいただきまし て、中間報告をまとめたところであります。その中においても、言わば幼稚園が従来の 3〜5歳のお子さんに対するいろんな幼児教育を充実することに併せて、これからは家 庭や地域の教育力を上げることが大事だという指摘がございまして、幼稚園としても従 来にも増して、そういう家庭、あるいは親に対する、親が親として育つことに対する支 援をやるべきだという方向が打ち出されております。  文部科学省としては、こうした中間報告、あるいは今後まとめられる最終報告を踏ま えて、更に子育て支援、そういう親の支援、親が親として育つための支援ということを 一所懸命やっていきたいというふうに考えております。  以上でございます。 ○岩男主査  ありがとうございました。  この会議につきましては、11月末に最終報告をとりまとめるという方向で考えており ます。そこで、本日は各論点につきまして、ただいまの御説明も踏まえて、できれば次 回には最終報告の案を御議論いただけるような方向で、御議論いただければ大変ありが たいと思っております。  それでは、どなたからでも結構でございますので、御自由に御発言いただければと思 います。  吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員  前回、欠席いたしまして、今日も11時過ぎに中座しなければならないものですから、 申し訳ございませんが、先に発言をさせていただきます。  私、今、ちょうど秋田県の総合施設検討委員会というのができておりまして、そちら の委員もやっておりまして、この間、素案が出てまいりました。国の議論より少し先行 しているんですけれども、そのことと、今、各地でいろんな幼保一元的な取り組みが進 んでおりまして、いろんなところに関わってみたりしたものがございますので、そのお 話を少し申し上げて、今後、国としての総合施設のイメージがどうあるべきかという話 を申し上げたいと思います。  まず、秋田県の場合ですけれども、県の教育委員会に幼保推進課という一元的な窓口 をつくっておりまして、保育所も幼稚園も県の教育委員会で所管するということでござ います。  今、秋田県モデルとして目指している総合施設というのは、1つは、基準的な面で申 し上げると、基本的な利用対象者は1〜5歳児ということで、0歳は義務化はしない と。市町村がやる分については構わないけれども、0歳は全員、すべての市町村でやる べきという考えではないということです。  それから、利用形態は利用者と施設の直接契約。  そして、利用時間が、いわゆる保育所的な利用が午前8時から午後5時まで。幼稚園 的な利用が午前9時から午後2時まで。ただし、開所時間はどちらも最長朝7時から夜 7時までと。保育料も設置者が設定するという形です。  それから、延長保育、一時保育等のいわゆるオプション的な部分は、利用状況に応じ た応益負担を原則として、かつ、在宅の子育て支援について別途、利用料徴収を考えて いるということで、決してただではないということのようでございます。  それから、保育料は応益負担ですけれども、減免措置は別途、対応を考えると。  職員資格については、保育資格と幼稚園教育免許、両方を併有しなければいけないと いうのが秋田の考えのようでございます。  それから、秋田版総合施設では、園長、いわゆる保育者のほかに栄養士、調理員、看 護士等も配置をし、職員配置基準は基本的に保育所に準じる。ただし、3、4、5歳児 についてはチーム保育を原則とする。  それから、相当な研修の機会を確保するということのようでございます。  もう一つは、この秋田版の総合施設を中核に地域ネットワークをつくって、在宅子育 て家庭に対する出前型の相談活動も実施したり、有識者による保育サポートチームを設 置して、いろんな子育ての相談・助言・指導も行うということのようでございます。  それから、特徴的なのは、1〜2歳児について、いわゆる保育所的な保育に欠ける子 どもだけではなく保育に欠けない子どもについても、いわゆる非定型的に4〜5時間程 度の幼稚園的な利用も可能にするというのがかなり特徴ではないかと思います。  ちなみに、向こうは既に名称案としてキッズセンターとか、子ども園とか、子ども交 流センターとか、子どもセンターとか、子どもの広場、あるいは子どもプラザといった 意見が出ていたようでございます。  一方で、今、品川区に幼保一体型の施設が2つございまして、1つはぷりすくーる西 五反田という、前回も少し御説明があった公設民営によるNPO法人立の幼保一体型施 設と。私も、このNPOのメンバーなものですから、企画段階から関わっておりました が、この6月からスタートいたしまして、いわゆる認可の保育所と、認可外の幼稚園 と、子育て支援センターの3つを複合的に持ったという形の一体運営をやっておりま す。  0、1、2歳児は保育所とほぼ同等の仕組みで、3、4、5歳児になると幼稚園とい うことになりますが、そこに大幅な「預かり保育」を導入して保育所機能を相当持たせ ていると。したがって、0〜5歳を通じた一貫した保育教育という前提に立って、最長 開所時間が午前7時半から夜8時半まで13時間開所ということのようでございます。  一方で、品川区にはもう一つ、二葉すこやか園という公立による一体型施設がござい まして、ここは公立幼稚園と公立保育所がいわゆる年齢区分という形で、0、1、2で はなくて、0、1、2、3歳児までが認可保育所で、4〜5歳児が幼稚園で、「預かり 保育」機能を組み込ませるという仕組みです。  もう一方で、埼玉県松伏町というところには、民間ですけれども、学校法人の松伏幼 稚園と、社会福祉法人のこどもの森保育園というのが一体型施設をつくっておりまし て、これは平成13年度からやっておりますけれども、ここは保育所が0、1、2、3、 4、5歳児、全部が対象。幼稚園が3、4、5歳児。これを一体的に運営するというこ とで、幼稚園には「預かり保育」を組み込んで、幼稚園、保育園ともに7時半から19時 まで開所して、いわゆる重なる3、4、5歳児の共通部分は合同的な保育をしながら、 かつ、それ以外に縦割保育とかコーナー保育ということで異年齢も、幼稚園、保育園超 えて交わるような、かなりいろんな複合的な保育活動をされているようです。  それから、在宅の地域子育て家庭に対しては、子育てサロンということで、幼保一体 の園に割にいつでも受け入れて、子どもの親が一緒に活動できるということをここは重 視しているようでございます。  もう一つは、福井県が大変特徴的な一体施設が多いところでございまして、松岡町と いうところは町全体の就学前の施設をすべて幼保一体化の発想でとらえておりまして、 3、4、5歳児、いわゆる幼稚園対象年齢時を想定したものを幼児教育の部とし、0、 1、2歳、3歳未満児を対象としたものを幼児保育の部として、いわゆる従来の保育所 というのは0、1、2、3、4、5歳児ですから、幼児教育と幼児保育の両方を持って いるものをいわゆる幼児園と呼んで、3、4、5歳児のいわゆる幼稚園教育的なものを 持った施設を従来どおり幼稚園と呼んで、しかし、体制は一元的にしております。  というのは、幼稚園では朝8時から夕方6時までをスタンダードな時間としておりま して、いわゆる保育所的な部分は朝8時から夕方6時まで。これは時間に比例した保育 料徴収をしておりまして、幼稚園部分も朝8時から夕方4時までですが、昼2時までに 帰れば2時間早く帰るということで、その分、基準の保育料が下がると。あるいは、幼 稚園でも「預かり保育」を組み込んで、夕方4時ではなくて6時までいればプラス2時 間分払うということで、そういう意味では幼稚園と保育園の扱いが全く一緒になってい るという、極めて不思議というか変わった体制をとっておりまして、しかも、0、1、 2歳については町独自で保育に欠けない子どもも町の独自負担で、必要があれば受け入 れるということにしているようでございます。  あるいは、同じ福井県の丸岡町では、これも町全体を幼保一体型施設に持っていこう としておりますが、それぞれの一体型施設によって対象年齢が0〜5歳のところと、1 〜5歳児というところと、2〜5歳児という、大変バリエーションがあって、一律、画 一には決めていないということのようでございます。  ほかにも全国、いろいろあるのでございますが、そういうものを見ていくと、これか らあるべき総合施設というのは幼稚園と保育園をただ単に足して2で割るというもので は違うのではないか。そして、最低基準という発想がございますが、特に総合規制改革 会議の方が幼保いずれか低い方の基準以下にせいというかなりむちゃくちゃなことを言 っておりまして、でも、そうではないのではないか。最低基準にしてしまうと、最低基 準さえクリアーすれば、ぎりぎりでも超えればそれでいいという、逆に最低基準が基準 を更に、それぞれ個性を発揮して超えていくことのインセンティブにならない側面があ るのではなかろうかと思います。  そういう意味では、国としてある種、最大公約数的なスタンダードと。最低基準とい うよりは、一つの目安、スタンダードみたいな発想をして、逆に最低基準さえ超えれば いいというものにしない方がいいのではないかという気が私はします。その上で、あと はそれぞれの地域が、まさにその地域にふさわしいローカルオプティマムとして、それ ぞれの総合施設の多元的な取り組みを可能にする方が実はいいのではないかというふう に思います。  以前の議論では、余り在宅子育て家庭の支援を充実すると「つどいの広場」その他と バッティングしたりという話もありましたが、例えば、ある地域に1か所しか総合施設 がない場合は、地域事情によってそこがそういう機能をもっと持った方がいいでしょう し、「つどいの広場」が相当整備されている地域であれば、そこはもうやらなくてい い。  しかし、それはその地域地域の事情によって地域が判断すれば、基本的にはいいので はないか。何か最低基準的にこれがいいとかいかぬとか、そういうことの発想は私はや はり超えた方が実はいいのではないかという気がいたしております。  所管にしても、秋田県のように県教育委員会に幼保一元窓口にするところもあれば、 恐らく知事部局に一元的にすると困るでしょうし、市町村に至っては更にいろんなバリ エーションがあるのではないかと思います。それはそれぞれの地域の多様性、多元性を 認めると。  ただし、子どもの処遇環境として、やはり、より理想に近づけるために子ども環境と してある方がいいのではないかという意味の目安をスタンダード的に示して、そのでこ ぼこは、多少下回るものがあるけれども、しかし、もっと上に行くものもあるという、 まさに総合環境として考えればそれでもいいだろうと。1項目だけ最低基準的なものを 下回っているから、それですべてがだめという窮屈なことにしない方がいいのではない かというふうに私は思います。  以上でございます。 ○岩男主査  ありがとうございました。各地の先行的な事例を御紹介いただきましたけれども、出 発をしたけれども、こういうところは少し問題があったというような問題点は何かござ いませんのでしょうか。 ○吉田委員  今、挙げた以外では、山口先生がいらっしゃるので言いづらいですが、岡山市が岡山 式カリキュラムということで幼保一体的にやって、やはり、ここも経営者の異なる社会 福祉法人と学校法人が一体的な施設に入っているようでございますが、詳細は知りませ んが、やはり設置主体が異なるものが入ると、そこでなかなか一貫した運営がしづら い。あるいは、職員の研修にしても、交流にしても、なかなか難しいというケースはあ るように思います。  あとは、私の見ている範囲では、総合施設的な取り組みをすると、かなり職員のロー テーションが、つまり、子どもの保育時間がかなり多様な受け入れになりますので、そ れに応じた職員体制をとる。しかも、公立ベースの総合施設は臨時職員が結構入ってい ますので、正規職員と臨時職員、そして子どもの保育時間がかなり多様化しているもの に対応するためにかなり職員ローテーションが複雑になって、それを踏まえた上で、更 に研修をうまく組み合わせるというのは相当知恵が要るかなという印象は受けていま す。 ○岩男主査  ほかに、どうぞ、御自由に御発言をいただきたいと思います。  どうぞ、小笠原委員、お願いします。 ○小笠原委員  私どもが子どもを実際に保育し、処遇するということは質をしっかりと担保して、地 域に対しても信頼を得られるような中身にするということです。今、吉田委員がおっし ゃいましたように、設置者側の姿勢というものは非常に大事になると思います。  私が以前から残念に思っておりますのは、総合規制改革会議が保育所に対する規制を 改革する案として、先ほどから出ております調理室の問題がありました。今や現実には 公立保育所における給食の外部搬入というものは進められておりますし、新たに総合施 設の中で調理室を造る、造らないという問題は、その地域や市町村の考え方、施設の立 地条件とか設置者の条件等(社会福祉法人に限らない条件)によると思います。  国より御説明がありました参考1の2枚目の、特区の「公立保育所における給食の外 部搬入方式の容認事業」ということで、既に公立の保育園でこういう実績がなされてい るということなんですが、これが総合施設における私の意見になるかどうかわかりませ んが、あるいは愚痴になるかもわかりませんが、私の法人では老人福祉事業の一つとし て、厚生労働省の補助事業でありますところの配食サービスを毎日100 食、今までに8 年間ぐらい各高齢者の家ごとにケータリングしております。この配色サービスの最大の 目的は高齢者の安否確認でございますが、一人ひとりの夕食のお弁当をつくって、食品 衛生法上の規定や、その他ものすごい細かい指導を基にあって実施しております。しか し、開始当初は県の保健所が食事の配達や保管の過程で起き得る食中毒や感染症による 影響を心配して実施には大反対、市の保健所は最終的に賛成という形で進めてまいりま した。  本当に同じ行政でこんなに見解や指導が違うのかと思うぐらいあって、そのような中 で今日まで実施してきまして、食事の怖さとか重要性というものはつくづく感じること が多くありました。配達しても高齢は当方どもの指示通りに食事をしてないものですか ら、毎日眠れないぐらいの心配がありました。それはO−157がはやりますと、神経 はびりびりいたしまして、今日は大丈夫だったろうかとか、あるいはお年寄りでござい ますから、即日に食べませんで、冬だと2日、3日「おこた」の中に入れたり、夏は直 射日光の当たるところに置かれたり、あるいは冷蔵庫に入れたとしても2日、3日もた せるのです。  またそれを朝に回すとかお昼に回すという、お弁当を分けて節約してお食べになると いう事態からかんがみると怖くなります。  保育所というのはその場でできるだけ早く食事をするということが条件ですからいい んですが、外部搬入というのはやはり私は基本的に心配でございます。  実は、私のところの施設は3つございまして、1つの保育所が5月のゴールデンウイ ークに調理室の改善をいたしました。そのときに1つ保育所から改修している園に搬入 させましたが、これも大変な労力がございました。運ぶ車両の確保から配達人と調理す る人件費も考えるとランニングコストが相当かかるのではないかと思いました。  ただ、もう一つ、外部搬入の場合、残念なのは味覚という問題が、どうも総合規制改 革会議の先生方の中では、子どもの教育の中での味覚を発達させる論議が全然ありませ んで、たとえば、麺類に当たりましては伸び切ったものが出てくるとか、せっかく手づ くりのケーキをつくっても、パンをつくりましても、暖かいパンとかできたてのうまさ というものが伝えられないというところもあります。確かに、今、ケータリングの技術 というのは、以前、岩男先生もお話ししましたように相当発達しておりますが、今、日 本の状況の中ではかなりコストがかかるようです。本当に、本来のいいケータリングを するのだったら、コストが相当かかるのではないかと心配をしております。それは地方 自治体がおやりになることですからコストを無視してもいいんでしょうが、ここのとこ ろはやはり食品衛生法上とか、安全をしっかりとやっていきませんと、実際にやってい る本人といたしまして大変心配でございます。  もう一つ述べさせていただきますと、後のページのカラー刷りのところでございまし て、子育て家庭への相談、助言、支援等、また親子登園、親子の交流の場の提供など大 変ありがたいと思います。  総合施設の基本的な問題でいろいろ論議され今までの経過を振り返りますと、やはり 総合施設の名前のとおり、ここを中心といたしまして、「地域子育て支援センター」で ありますとか、「つどいの広場」「一時保育」「特定保育」とありましたものを施設の 職員だけで頑張るのではなくて、これは市町村によって違いますが、地域社会にいらっ しゃる、たとえば地域子育て力をつけるという意味で母子保健推進員の活用を進めてい くことができればと思っています。実際、現場におりましてわかることは、保育園は、 年に1回から2回の、歯医者さんによる検診がございますが、歯科医に限らず、歯科衛 生士による親子の歯磨きの指導でありますとか、口腔衛生などを積極的にやっていただ ければと思います。  もう一つは、食という問題が出ております。これは家庭内の食事は随分壊れていると いうことがずっと、いろんなメディアでも言われております。ですから総合施設では子 育て真っ最中の親子さんが来られるわけでございますから、保健師さんの指導はもとよ り、栄養士さんによる家庭の食事助言やアドバイスを含めて、子どもさんの各年齢にお ける食事の重要性は大事ですから、行政から積極的に派遣できるような形にしていけ ば、あまりコストはかからずに済むのではないかと思います。  次に職員配置でございますが、総合規制改革会議では、職員配置では限りなく幼稚園 の職員配置に近づけるようにという答申しておりますが、私どもが想像するのは、現在 0歳児が入りますと、3対1。1〜2歳児は6対1という基準がございます。3歳児は 20人に1人ですが、これを総合規制改革会議は「緩めろ」ということで来ておりますの で、これ総合規制改革会議の言う線に近づけるということは、良い職員を配置し、それ を定着させるということには大変なことです。でも吉田委員がおっしゃいましたよう に、本来なら最低基準というものを作らなければならないと思うんですが、幼稚園の職 員配置基準でやりますと良い職員が育っていかない、配置できない、過重労働になって しまうというところがあります。  方策といたしましては、これはやり方なんですが、イメージ図にありますように子育 ての支援でありますとか、親子登園、親子交流の提供の場に、職員を配置をしっかりと して、その職員を施設全体の中でやりくりができるようにできないものかと。  つまり、イメージ図にありますように子育て支援とい1階の部分から2階の保育の部 分に流動的に職員配置が行えるような弾力的な配置があれば、たとえ、幼稚園的配置を 強いられても、形として35:1であっても、それは決して最低基準(ナショナル・ミニマ ム)というものにせず、ナショナルスタンダード的なもので描いたほうが得策ではない かというふうに考えております。  以上でございます。 ○岩男主査  どうぞ、田村委員、お願いいたします。 ○田村主査  今、お二人の委員からのお話がございました。  いろいろな意味での基準というようなものを緩めろという話が出ている。つまり、基 本的な発想としてはナショナルミニマムからローカルオプティマムにという流れがある という、規制緩和の考え方が基本にあって総合施設の議論が展開しているということは よくわかるわけですけれども、この合同会議でしっかり抑えなければいけないというふ うに常日ごろ思っていることは、対象があって、その対象が生まれてから年齢に応じた 発達課題を持って成長していくわけです。その対象があるということを忘れないように しないといけないと思います。  つまり、何でも地域に任せればいいんだということだと、最低基準、あるいはスタン ダードも示す必要はないんだというような発想になりかねないわけです。どうも、そう いう議論が横行し始めているのではないかということを危惧いたします。  やはり、必要なことは、ある年代に応じてなされねばならないことがあるわけですか ら、それを保証するような基準的なものはここで議論してちゃんと提示しておかないと いけないのではないかと。提議の仕方は最低基準という形になるか、スタンダードとい う形になるか、それは議論の中で決めていけばいいんだろうと思いますが、何にも示さ ないで全部地方任せというのであれば、これはそのしわ寄せが全部、対象である子ども たちにいくということになりますから、その辺は慎重に議論すべきだろうというふうに 思います。  現在、いろんなことが決まらないうちに各地域でやっていることを私たちは知ってお くことは必要だと思いますけれども、それを参考にして、この会議で決めてしまうとい うことは避けた方がいいだろうと。やはり、この会議で出した議論を地域で選考してや っていただいている方々が参考にしていただけるようなものを、議論を詰めて提案して いくという覚悟が必要ではないかというふうに思いまして、一言申し上げさせていただ きました。  何にもないのでは本当にぐずぐずになってしまうという、設置基準にしろ、教育水準 にしろ、いろんな面での考えというものは提示しないといけない。これは非常に大事な ことではないかというふうに思いますので、よけいなことかもしれませんが、申し上げ させていただきました。 ○岩男主査  ありがとうございました。  中村委員、どうぞ。 ○中村委員  私も、やはり保護者の観点と、現実、子どもの観点を見失っているのではないかとい うふうに思います。上の方で、こうであったらいいのではないかということでずっと羅 列されているような気がいたします。  先ほど、小笠原先生がおっしゃいましたとおり、給食のことに関しましても、今、も のすごくO−157という問題が逼迫しておりまして、これが給食センターでつくられ て、その中に1個のO−157が入りましたときに、それが地域の全部の保育施設に行 ってしまうという、特に抵抗力の弱い子どもたちにそれが降りかかったときにとんでも ないことになってしまうという私たちの現在やっている衛生管理上から考えますと、到 底考えられないような現状があると思います。  やはり、何が必要かということです。今、お母さんたちが何が必要か、子どもたちに とって何が必要かという、そこからこの総合施設というものを考えていかなければいけ ないと思うんですけれども、待機児童がたくさんおりますことから、やはり働くお母さ んたちにとっては安心して子どもを預けられる保育施設が必要だと。そこから始まるべ きではないかというふうに思います。  やはり保育園というところは最低基準に守られているという安心感がありますので、 規制緩和をして、調理室もない、資格者も適当な人がいるが、広さも片隅でというふう な形で始めたときに、お母さんたちはしっかり選ぶと思います。やはり、きちんとした 資格者がいて、ちゃんとした給食を提供してくれて、そして、困ったときにきちんと相 談に応じてくれるベテランの保育者がいる。そういったところに自分の大切なかわいい 子を預けたいと思うのではないでしょうか。そういう観点を忘れないで、この総合施設 ということを考えていかなければいけないのではないかというふうに私は思います。 ○岩男主査  酒井委員、どうぞ。 ○酒井委員  繰り返しになってしまうかもしれませんが、私も今まで出ておりますように、基準を しっかり明確にすべきというふうに思っています。  この会議の第1回目のときにも申し上げたんですけれども、今、この総合施設のまと めというものは、世間的に、社会的に大きな注目、そして、期待を集めていると思いま す。昭和30年代から幼保のことはずっと浮きつ沈みつしながら繰り返されてきて、そし て、ここへ来て一元化ではなく、むしろ、新たな制度をつくるという方向で来ているわ けですから、その社会の期待をしっかり担うためにはいいかげんなものでなく、期待に 応えるようなものをつくるべきだというふうに思います。  もう一つ、幼稚園と保育所と、そして、この総合施設というものができたときに基本 になるものがあいまいですと、就学前の教育が混乱するのではないかというふうに危惧 しております。  就学前の子どもたちがどのように過ごしていくかということは、日本の将来にとって 大変大きなことですし、小学校以降の教育に大きく関わってくることです。この時期の 子どもは未分化ですから、なかなか成果としてははっきり表れにくいものなわけですけ れども、だからこそ慎重に、そして、将来、その子たちの成長がきちんと保障される形 で、ここでは一つひとつをしっかり吟味すべきだと。そういったことを念頭に、この議 論が進むことを期待したいと思います。 ○岩男主査  北條委員、お願いします。 ○北條委員  諸先生がおっしゃっております基準をはっきりさせようということには当然、賛成で ございますし、質を確保するということが大切だと思います。  随分、前のことになりますが、かつて、社会的に、いわゆるベビーホテルというもの が厳しく批判され、そういう劣悪なところに子どもを託するというのは好ましくないと いう観点から、非常に強調されたはずでございます。  しかしながら、いろいろ見ておりますと、この規制緩和の名の下に、かつて指弾され たベビーホテルと一体どこが違うのかというような施設が堂々と動いておる。それは必 要があるからということでしょうが、息を吹き返しているということは、子どもの幸せ という観点から見ると、誠に正しくないことであろうと思います。規制緩和の中で、子 どもを安上がりに育てようということは基本的に間違っているということを強く訴えて いただきたいと思います。  承りますと、そろそろまとめに入られるということですので、こういうことを申し上 げると、またひんしゅくを買うかもしれませんが、最初の会議のときに申しました、私 どもの国は小学校入学前の子どもを一体、どういうところで、どういうシステムではぐ くんでいこうとしているのかと。その展望の中に、この総合施設というものが位置づけ られていないのではないかということを申し上げましたが、ここに至りましても、残念 ながら、私はその感をぬぐい去ることができません。  恐らく、これは全国の保育園の先生も、幼稚園の先生も、今、社会的にはこの総合施 設というものが期待を集めているというお話がございましたが、これはなかなか現実に は積極的にはなっておられないわけでございます。それはやはり、このいわゆる総合施 設というものが今後、どうなっていくのか。幼稚園でもあるのかないのか、保育園でも あるのかないのか、全く違うものなのか。仕方がないんですけれども、そこら辺が明確 でないまま動いていっていくということに、私は基本的な不安を感じております。  その上で、まとめの時期であれば御確認をお願いしたいことは、再三にわたりまし て、公私の問題が取り上げられてまいったはずです。公立の、これはいわゆる箱もので はないわけですけれども、公立の総合施設、それから、民間の私立の総合施設、あるい はこれが重なり合った場合もある。いろいろなタイプが出てくるわけでしょうけれど も、ここのところは必ずしも明確でないんですが、その間に、いわゆる格差というのは ないんだろうという気持ちでずっと来ておりますが、必ずしもはっきり確認されたわけ ではございませんので、いわゆる官と民の格差というのは、いわゆる総合施設において はないということを示していただくことが一つは必要だろうと思います。  それから、設置主体のこともいろいろ言われております。ただいま、給食のお話もご ざいまして、ちょっと観点が違うので恐縮でございますが、設置主体が違うと、私ども は幼稚園をやっておりまして、例えば公立の幼稚園と私立の幼稚園、それから、保育園 があるわけです。そうしますと、例えば給食というのはどこでもやっています。やって いないところも勿論、あるわけでございますけれども、そうすると、社会福祉法人が実 施する事業は多分、原則、消費税を例に挙げれば非課税であろうと思います。学校法人 が運営する幼稚園の場合の給食は、国税の見解では原則課税でございます。これが今 度、総合施設では一体、設置主体がいろいろ規制緩和の流れの中で出てくるわけです。 そうすると、設置主体が異なると、仮に給食を実施した場合、課税問題は設置主体の違 いによってでこぼこが出てしまうというような一つの問題が出てくるのではないかと懸 念しております。  最後になりますが、先ほど中村先生からも御発言がありましたけれども、保護者と子 どもの立場、取り分け、子どもの立場というのが大事。勿論、保護者が安心して預けら れるということは当然、必要なことでございますけれども、子どもの権利を守るという 観点が強く示されることを願ってやみません。よろしくお願いいたします。 ○岩男主査  この辺りで、全般の部分をまとめさせていただきたいと思うんですけれども、つま り、基準についてですけれども、明確な基準をこの会議として出すということについて は、どなたも御異論がないというふうに理解いたしましたけれども、それでよろしゅう ございますね。                (「はい」と声あり) ○岩男主査  これまでも、この3の資料の2ページにもございますけれども、職員配置、それか ら、施設・設備等について、いろいろ御意見が出てきているわけです。  皆様の御意見はすべて、質をきちんと担保する仕組みをつくるということだと思いま す。その基準を全国スタンダードとするのか、どういう基準にするのか、それはまだ、 これからの御議論だと思いますけれども、少なくとも子どもの最善の利益ということを 中間まとめでも言っておりますので、そのような視点で基準を明確にするということ で、前半の部分については御異論がないというふうに考えておりますけれども、よろし ゅうございますでしょうか。                (「はい」と声あり) ○岩男主査  それから、2点目として、公私の格差について、ただいま北條委員からお話がござい ましたけれども、この点については、まだほとんど議論が行われていないように思いま す。もし、御意見がございましたら、特に、この点について御意見をいただければと思 います。そして、その上でほかの論点に進むことができればというふうに思いますけれ ども、いかがでございましょうか。  問題点の御指摘はございましたが、北條委員としては、どういうふうにここの意見を まとめてほしいという御意見なのか。 ○北條委員  現状におきましては、保育園の場合には基本的には公私の別はないと。ただ、今、財 政支援の形が公立と民間は異なっておりますけれども、基本的にはないという理解でよ ろしいんだと思います。幼稚園の場合には、公私間の格差が相当大きいわけでございま す。資料でも確認済みのことでございます。  今回のいわゆる総合施設というものが、一つは今までいろいろあった問題を、直ちに 解決するというのは無理でございますけれども、解決していく一助になってもらいたい という願いがございます。また、ずっと続いてきた議論の中でも、できる限り民間活力 を活用するとか、そういう議論はずっと出ていたわけでございます。  それらを合わせますと、例えば利用料ということがすぐ問題になってまいりますけれ ども、これはやはり、全国一律になるのか、地域でかはわかりませんけれども、これが 公立の施設であろうが、民間の施設であろうが、合体型であろうが、これがばらばらと いうのは、この時期に来てあり得ないことですから、当然、これは同一基準になると思 います。  それから、そこへの財政支援の在り方も今後の課題だと思いますけれども、当然、し ていくわけです。そうすると、設置主体がどうあろうとも、そこへの財政支援というの は、ある意味では、微妙な点がいろいろありますから難しい点があるのは十分、わかっ ておりますけれども、原則として、やはり同じ水準にならなければおかしいわけでござ いまして、御確認いただきたいのはそこら辺でございます。 ○岩男主査  どうぞ。 ○國分委員  2つのことを申し上げたいと思います。  最初に、基準の問題ですけれども、この総合施設の大きな特徴の1つは、私の理解で は柔構造といいますか、やわらかい構造ということがあると思うんです。コアになる部 分と、オプションで行われる部分という意味で、かちかちのものではないということに あると思うんですが、基準といいますと、どうも、そのかちかちになっていることが言 わば前提になってしまうので、私の理解では、ここで言う基準といった場合には、それ ぞれの仕事の内容によって、それぞれ基準があるということ。施設・設備にしろ、職員 にしろ、あるいは内容にしろ、そういう基準でないと、せっかくの柔構造というものが かちかちになってしまうおそれがあるのではないかと、  私はそういうふうに理解しているんですが、そういうことでいいのかというのが1つ と。  それから、今、議論になっております公私の問題ですけれども、これはちょっと微妙 で、ここで議論するというよりも展開を見るよりないんですけれども、どういう財政措 置。それは市町村自体の財政措置。それから、それが私立等の場合であればいろんな補 助事業等々において、今、三位一体の議論がされておるわけで、これが微妙にどころ か、大きく、その在り方に関係するわけで、これがはっきりしない段階で議論しても余 り意味がないし、ここで議論して決めたことが、採用してくれるならいいですけれど も、そうでない別の力で動いているようです。  その辺、公私の問題を含め、財政を議論すると、どうしてもそこへ行ってしまうよう な気がするので、どうも、この合同部会の守備範囲を超えているところで何か動いてい るような気がするのですが、厚生労働省なり、文部科学省なり、今、進行中のもので物 が言いにくい段階かとは思いますけれども、差し支えない範囲でおっしゃっていただけ ればと思うんです。 ○岩男主査  大変、難しい問題なものですから、これまで私たちも議論をしないというよりも、む しろ、できずにいたんだろうと思うんです。 ○尾崎保育課長  國分委員、御指摘のとおりでございまして、三位一体の関係ですと、前回もお話があ ったと思いますけれども、厚生労働省サイドで申し上げますと、地方六団体側からの要 請としましては、保育にかかる費用としては、ハードもソフトも全部ひっくるめて、補 助金・負担金すべて廃止をした上で地方の方に税源移譲をしてほしいという要請を受け ておるわけです。  厚生労働省の方からお返しをしているお話としては、先ほどもお話が出ておりました けれども、公立保育所のソフトの経費につきましては、今年度から一般財源化されてい るわけでございますけれども、これは民間の保育所を一般財源化するという前提でやっ た話ではございません。  そういうことで、昨年末の政府与党の合意もございまして、民間保育所の運営費、ソ フト経費につきましては負担制度を維持するという前提で考えておるのですということ で、地方側からの要請に対しましては別の対案を、国民健康保険やら、生活保護やら、 児童扶養手当やら、地方に自主性を持ってもらった上で、その辺の県の負担率を考える という格好での対案を出しておるという状況でございまして、この対案をそのまま結論 としていただけるのかどうか、まだ話は、政府与党をひっくるめて現在進行中である と。  当初、示されたスケジュールでは、今週18日に政府与党でその辺の合意をできればし たいということで方針を示されておるわけでございますけれども、そのまま当初スケジ ュールどおりでいくのか、もう少し後までずれ込むのか、その辺はまだわからないとい う状況でございます。  幼稚園も恐らく、似たような事情だと思います。 ○蒲原幼児教育課長  幼稚園の関係でございますけれども、幼稚園関係では三位一体改革で地方から言われ ています事項、2つございます。  1つは、幼稚園就園奨励費の関係。これは、市町村が幼稚園にお子さんを通わせてい るときに保護者に払う幼稚園就園奨励費でございますけれども、これに対する国として の補助であります。これが約百八十億上がっております。  もう一つは、私学助成の中の幼稚園分ということでございます。これは私立の幼稚園 に対して都道府県がその団体に対する助成を行って、これに対する国の補助ということ で、これが幼稚園関係、約三百三十億ございます。  合計で、500 億が幼稚園関係で三位一体の、言わば地方に移譲すべき補助金として上 がっているということでございます。  これにつきましては、我が省、いろいろなほかの補助金もございますけれども、この 部分については、言わば、これに代わる何か代替案はなくて、やはり、これを維持すべ きだということで考え方を出しておりまして、そうした方向で現在やっているところで ございます。全体のスケジュールは、先ほど尾崎課長から説明があったとおりでござい ます。  いずれにしても、ここの場では、これは前回も私、申し上げましたけれども、恐らく 厚労省も一緒だと思いますけれども、今の段階では、これは予算要求から始まって、一 応維持をするということでこれまで来ておりますので、この場ではそういうことを一つ 前提に置いて議論をするということではないのかというふうに私は考えてございます。 ○岩男主査  何か、ほかに御意見ございましたら。  柏女委員、どうぞ。 ○柏女委員  少し、基準の問題に戻ってよろしいでしょうか。 ○岩男主査  はい、結構です。 ○柏女委員  基準という言葉が適当なのかどうかということも含めてなんですけれども、先ほど、 北條委員が、今回の総合施設の検討というのは乳幼児保育、あるいは教育の在り方の全 体的な展望の中でこの総合施設を位置づけていかなければいけないという提案をされて いらして、実は、私もずっとその立場で提案を続けてまいりました。  この議論の中では、それはなかなか難しいのではないかというふうに既に感じており ますけれども、でも、この総合施設の設置というものが私はそれぞれの、つまり、幼稚 園教育や保育所保育の在り方に何らかの形で影響を与えるものでなければならないとい うふうに考えています。  そうした場合に、幼稚園について幼稚園の設置基準というのがあるわけで、保育所に つきましては児童福祉施設最低基準というのがあるわけで、それと全く別のものとして 総合施設の基準が一個のものだけでつくられてしまうというのは、この総合施設の全体 に広げていくという点ではどうなのかという思いを持っています。  そういう意味では、吉田委員が最初に言われたことと深くつながるのですけれども、 例えば、この総合施設が幼稚園としての基準を満たしているが、保育所としての基準を 満たしていない施設はあると思う。それから、幼稚園としての基準は満たしていないけ れども、保育所としての基準は満たしている。あるいは、保育園、幼稚園、両方の基準 を満たしている。両方ともの基準は満たしていないという、4パターンができてくるは ずだろうというふうに考えます。  そうしますと、この幼稚園、保育所の両方の基準、つまり、幼稚園の設置基準には適 合しない。あるいは、保育所の児童福祉施設最低基準にも適合しない。つまり、両方と も認可外になってしまう。この部分について、どういうふうなものがいいだろうかとい うふうな基準をつくって、4タイプのものがつくれるようなふうにしていくのが、私は 現実的なのではないか。あるいは、そうすることがこの乳幼児保育施設の在り方を更に 全体に広げていくためのきっかけになるのではないかというような気がしておりまし て、そんなことも基準の中に考えていただければありがたいという、私の思いです。 ○岩男主査  門川委員、お願いします。 ○門川委員  保育園関係者、幼稚園関係者が同一テーブルで厚生労働省も文部科学省も含めてこう して乳幼児の学び育ちの施設づくりが検討されることは非常に画期的なことです。総合 施設、間もなくまとめていただくと思うんですけれども、かたくなな基準というのは非 常に難しくて、地方に任せていただくということは非常に大事だと思いますけれども、 この総合施設が幼稚園、保育園がそれぞれ積み重ねてきたものの質をさらに充実させて いくということが大切。当面、三元化になっていくわけですけれども、そのそれぞれを 充実させていくような役割を果たさなければならないということを痛感しています。  そして、そのときに、今、三位一体改革のことをここで議論する場ではなかろうと思 うんですけれども、少なくとも、それぞれ総合施設が幼稚園機能、そして、保育所機 能、それぞれを持っている。その機能に着目したときには現行、ないしは将来の制度が 費用負担、財政措置において、その制度が維持される、または同等に扱われることが大 事。  本来でしたら、新しい政策を誘導するような場合には、そこの方が少し手厚くなると いうことが普通、今までの国の施策だったと思うんですけれども、少なくとも同等の措 置がされること、そして、これは難しい問題ですけれども、幼稚園のサイドからいえ ば、公立と私立の非常に費用負担等の格差の問題についても解決の方向への一歩になる ようなことこれらができなければ、せっかくの総合施設が画竜点睛を欠いて、質の低下 に結びつきかねない。そんなことになってはだめではないかということで、これは文部 科学省、厚生労働省の方々の御尽力をお願いしたいということだと思います。 ○岩男主査  無藤委員、お願いします。 ○無藤委員  今のお二人の委員の御意見に重なることですけれども、基準というのか、スタンダー ドというのか、私はある程度、いろんな項目についてしっかりとしたスタンダードみた いなものを打ち出した方がいいと思っております。  しかし、同時に、弾力的、柔構造というお話がありましたけれども、地方ごとに対応 できるためにはしっかりした基準というか、スタンダードの、個別の内容からはずれる けれども、しかるべき理由があって、その趣旨としてはある程度満たせるという幅を許 容していくということが必要だと思うんです。  調理室の話にしても、私は調理室があった方がいいと思いますが、それは一つのしっ かりしたスタンダードだと思いますけれども、しかし、地方ごとの個別の事情をいろい ろ考えると、実質的にはそう不都合なくできる。外部から入れる場合も不都合なくでき る場合もあるわけです。  非常に、当たり前のような例を出せば、最近、小学校の一部を使った保育所ができて おりますけれども、一応、別組織になるわけですが、そうすると、小学校の給食室から 別に持ってこれるんですが、しかし、今は別に調理室をつくらなければいけないわけで す。  例えば、そういうふうに実情に即して言えば、スタンダードを守らなくても趣旨とし ては生かせるというのがありますので、やはりそういうふうに個別に明確な数値的なス タンダードというか基準が必要なものもありますけれども、やはり多くは保育・教育の 趣旨という意味で説明していって、実際にそこにずれた場合も、こういう理由の下でそ れはある程度、実現できるということがはっきりしていれば認められるのではないかと いうふうに思っております。 ○岩男主査  山口委員、どうぞ。 ○山口委員  少し視点を変えたお話をしていきたいと思います。  資料の3ページのところに、ボランティアの活動とか高齢者との関わりとかというの が加味される方がいいというふうなことが書かれています。  やはり、今の学校そのものが閉じられているのではなくて、できるだけ多くの地域住 民の参加という形で開かれていることです。子どもをお預けするのではなくて、もっと みんなができる範囲で、子どもたちに関わっていこうではないか。それが、子ども有無 にかかわらず生きがいにもなるし、日本の未来を考えるということにもなるんだろうと いうふうに私は思っているんです。  実は、私は以前に児童部会にヒアリングに呼ばれたことがありまして、そのときに幼 稚園と保育所を一体化することのデメリットではなくてメリットは何かという課題をい ただいて、実際に岡山県の施設を見たりしながら考えたことがありました。その資料は 見ていただければ、記録には残っていると思うんですが、そのときに私は、キーワード は相互性と相補性であると考えました。  相互性というのは、親と子どもが学び合う、子どもと子どもが学び合うという、これ はエリクソンなんかも言っていますけれども、親子関係の中でとか、教師と子どもと か、保育所と子どもの中で、子どもに関わることの中で関わった人が育つ部分というこ とがすごく重要です。  同時に相補性、これは余り使われていないかもしれませんが、お互いに補うという相 補性というキーワードなんですが、例えば保育時間が4時間の子と8時間の子がいる。 それがお互いに補い合う。例えば、保育所の子どもは長く集団に居ますから、その中で の集団でのルールとかそういうことはよくわかっているかもしれないです。  でも、家庭で育っている子ども、今度は逆に広い層のさまざまな体験を持っているわ けでしょう。それが一緒に総合施設の中で関わることの中で、お互いに補い合ったり学 び合ったりするという側面がとても大切です。これはやはり、幼稚園であったり、保育 所であったり、別々ではできなかったこと、総合施設でないとできないことです。そう いう意味では、1人の子どもをめぐる、実に多くの親とか社会の人たちがいるわけで、 それらの人々との関わりが大切です。  そういう人たちと関われるようなシステム。そして、そのことが社会をすごく活性化 できるような役割にもっていければ、今までなかったものが総合施設では出せるのでは ないかというふうに、理想論かもしれませんけれども、私は考えています。 ○岩男主査  ありがとうございました。  このボランティアとか高齢者の活用というのは、私は非常にこだわっているところ で、是非、新しい部分として総合施設には入れていただきたいと思います。  ちょっと確認なんですけれども、先ほどの調理室のことですが、2つの御意見がある ように私は伺いました。つまり、中村委員は、どうしても調理室は総合施設には必要で あり、クリアーしなければいけない条件だというふうにおっしゃっているように聞きま した。  一方、ただいまの無藤委員の意見、あるいは柏女委員も恐らくそうではないかと思う んですけれども、あることが望ましいけれども、ない場合にも何か違う対応で機能的に 補うことができればそれでいいのではないかというふうに承ったんですけれども。 ○柏女委員  私はそうではなくて、例えば3〜5歳についてはあり得るだろうと。つまり、総合施 設にもいろんなタイプがあるわけですから、例えば、先ほど吉田委員がおっしゃったよ うに、0歳児は対象としないという。そうすると、0〜2歳は対象としない総合施設が できてくることもあり得るわけです。  つまり、3〜5歳の「預かり保育」の部分を中心とした総合施設ができてくることも ある。そういう場合には、幼稚園型のあれだと。だから、0〜2歳がやる場合にはやは り保育所型だということで、そこに調理師さんが必要なのではないかというふうな考え 方です。○岩男主査  そうすると、無藤委員は保育所型の部分でも、先ほどの具体的に十分機能を満たして いるというようなことで考えておられて。 ○無藤委員  そうです。保育所型といってもいろんな、多分、0〜2歳を扱うとしても、実際に は、例えばもっと具体的に言って、0歳児を預かっているときに調理室がないというの は恐らく実績に非常に難しいと思いますけれども、いわゆる離乳食が済んで、2歳過ぎ るぐらいになれば隣から持ってきても実質的にできるのではないかとか、それでは、ア レルギーのお子さんがいたらとか、非常に細かい話なので、その辺は柔軟に、特に市町 村の小さい町の範囲でいえばかなり個別に考えられるというふうに思います。 ○岩男主査  どうぞ、門川委員、お願いいたします。 ○門川委員  そのことに直接ではないんですけれども、京都市でこの4月から養護学校を総合制、 地域制の養護学校に新設・再編しました。肢体不自由の子どもと発達遅滞の子どもがと もに学ぶ一人ひとりのニーズに応じた教育を保障する総合養護学校として新しく建てる とともに、従前の養護学校を再編したんです。  そうしますと、6歳から高等部、18歳まで、流動食から刻み食、普通食、発達段階、 障害に応じてさまざまな給食を用意しなければならない。教育活動も一人ひとりの子ど もに合ったカリキュラムをつくっていこうという取り組みです。同時に、給食も一人ひ とりの子どもにあった給食を提供していこうというときに、民間の専門業者に委託する ことにしまして、クックチル方式といっていますが、栄養職員を総合して養護学校に専 任配置し、再加熱したり、簡単な調理ができる施設は総合養護学校におく。4月からや り始めたんですけれども、非常に好評なわけです。  直営では、それぞれの養護学校でそれだけの6歳から18歳まで、また、アレルギー除 去食をはじめ、一人ひとりの子どもの状態に合った給食というのはとてもできないの が、民間の最新の技術を使うということと、各学校で栄養職員の指導のもとにそれを再 加熱したり、あるいは簡単な調理はそこでやるということを合わせることによって、非 常に好評な給食ができているということも、また参考までに。 ○岩男主査  ほかに、何か御意見ございますでしょうか。  最近のケータリングはものすごく進んでいて、これは年寄り向ですから全然条件が違 うんですけれども、今、デパートがこの分野に力を入れていて、各デパート、しのぎを 削っているようです。  これからも、また更に民間でいろいろ工夫が行われる分野のような気がしておりま す。中村先生とはちょっと意見が違うようですけれども。 ○中村委員  今、確かに社会がいろいろ、経済活動の成果もあってそういうふうなこともあるんで しょうけれども、やはり保育園というところは子どもたちが心身ともに成長し続ける場 所なんです。その中で、やはり食べるものというのは保育内容と同等の重みを持って、 私たち、考えております。  食育ということも、今、すごく大事に言われておりまして、給食室からとんとんとん と聞こえてくる調理の音とか、季節ごとのいいにおいとかそういうものを感じながら、 やはり、その場にいる幸せというのか、雰囲気というのか、そういうのを感じながら生 活することも私は本当に大事なことだと思うんです。それもなしで、時間になったらこ んにちはと言って保冷車がやってきて、冷凍食品をちんとして、はい、どうぞと。それ はどんなものかなと。  私は、スウェーデンに行ったときに確かにそういう様子を見ました。冷凍食品をちん として、カレーか何か、そんなような感じのシチューみたいなものでしたけれども、機 械的にぽんぽんぽんとちんとしたものを回している様子を見て、その中に入っているお 野菜の形もはっきりしないぐらい煮溶かされてしまって、流動食としては消化機能とし てはいいんでしょうけれども、そういうものを食べながら育った子どもの食感覚という ものが一体どんなふうに育っていくのだろうかと私は思います。  やはり、季節になったら混ぜ御飯とか、行事のときの行事食とか、おひな様のときの おすしとか、そんなようなものを四季折々、保育園でにおいと音を感じながら子どもた ちには食べさせたいと、私は切に思います。それがやはり大事な教育の一端だというふ うに確信して保育をしているものですので、是非、そのことは日本の子どもを大事に育 てているという観点からして外してほしくはない部分だと私は思っております。  以上です。 ○岩男主査  おっしゃることは大変よくわかるので、それも大事なことは私も十分わかるんですけ れども、子どもは3食全部保育園でいただくわけではないんです。ですから、朝御飯は お母さんがおみそ汁をつくり、とんとんとんとネギを刻む音とか、おみそ汁のにおいと か、あるいは夜御飯とか、ほかのチャンスもあると思うので、3食のうち1回でも外で 作ったものではいけないのかというそこのところを、結局、どのような形でまとめるか 悩むところでございまして。 ○中村委員  今、若いお母さん方、保育園で食べる以外の2食がケータリングだったりしているん です。朝晩セットのケータリングだったりしているもので、せめて保育園ではというの が。 ○岩男主査  それはちょっとおかしいように思うんですが、現実はそういうこともよくわかりま す。  ほかに。  どうぞ、酒井委員。 ○酒井委員  調理室から離れてよろしいですか。 ○岩男主査  結構でございます。 ○酒井委員  幾つかございます。  まず、資料1です。基準を何らかの形でつくっていこうということですので、細かな ところなんですけれども、1ページの「親」のところです。「親子登園や親子の交流 」。こういったことは是非とも入れ込んでいっていただきたいところですけれども、こ ういったことをしていくためには人材の確保が必要だと思いますので、何らかのそうい った点での記述が盛り込まれるといいと思っております。  それから、「利用形態の在り方」のところに、「配慮が必要な家庭等が排除されない ような仕組み」というのがございます。例えば、これが障害のあるお子さんの受け入れ とか、家庭に課題を抱えている方の受け入れとか、そういったときには現場の経験です と専門家のケアが欠かせないだろうというふうに思いますので、そういった意味からも 専門家なり、あるいはそれに準ずる方の支援というものが明文化されるといいというふ うに思います。  今度は、2ページに行きます。  「3 職員配置・施設設備等」の備考の欄、前回出された「主な意見」の欄で、一番 上の○に「施設設備や職員配置は保育所の基準を念頭に置くのが望ましいのではないか 」というふうにございますが、これを一緒くたにして保育所の基準を当てはめますと、 かなりさまざまな不都合が起きてくると思います。  例えば、施設設備でありますと、幼稚園の設置基準と保育所の児童福祉最低基準を比 べてみますと歴然としておりますけれども、保育室、あるいは遊戯室、あるいは園庭と いったものの広さは、幼稚園は一定のものは確保されていて、それに比較しますと、保 育所は3分の1ということになります。これは共通の時間というものを過ごすときに、 幼稚園教育、あるいは幼児教育の部分が大きな位置を占めていますので、そういった点 から考えますと、この辺はしっかり吟味をしていく必要があると思います。  保育所のお子さんの様子を見ていますと、保育時間の中で活動する場と、あるいは食 べ物をとる場と、お休みする場とが同じようなところもあったりします。そうでないと ころもあると思いますけれども、幼稚園ですと活動の場がしっかり確保されています し、それから、自然環境等も園庭が確保されていますので、しっかりキープができるわ けです。そういった点から、施設設備につきましては、この記述はもう一度考え直して いただく必要があると思います。  職員配置の方は、確かに幼稚園の3歳以上35人以下ということで一からげにしてしま うのは危険があると思いますので、これはまた双方を併せ持ちながら、総合施設はどう いった形がよいのかということできちんとした基準が必要かと思います。  3ページです。  「5 設置主体・管理運営」のところの「主な意見」の一番下です。「事後評価・第 三者評価が重要」というふうな意見があったということでの記述ですが、勿論、これは これで必要なことだろうと思います。ですけれども、第三者評価ばかりを重視してしま いますと、形あるもののチェックになってしまって、サービスがどの程度できたかとい うようなことになりがちだろうと思うんです。  質の維持、向上ということをするためには、何度かここでも申し上げたと思います が、これは保育・教育に当たっている者自身の自己点検・自己評価。そこに加えて、関 係者による外部評価というようなことが非常に有効であるというふうに考えております ので、この辺も、もし基準がつくられるのであれば、その辺を加味したものにしていた だきたいというふうに思います。  ついでに言わせていただきますと、先ほど、高齢者とかボランティアという話がござ いましたので、そこと重複すると思いますが、「10 その他」のところにでも加えてい ただくとよろしいと思いますが、次世代育成支援ということを、次世代の親となる人た ちを育成していくというような視点からも、小・中・高校生、大学生、若い方々が子ど もというものに関わる場として総合施設が機能していくことを、今後、少子化等の抑制 を考えたときにこれが極めて有効ですので、そういったことも総合施設で行えたらと期 待いたします。○岩男主査  ありがとうございました。  ほかに、何か御意見ございましたら。 ○田村主査  資料1の5ページのところで、地方公共団体、「教育及び福祉の観点からの関係部局 の専門的な関わりについてどう考えるか」という項目で、これは前に申し上げたような 気もするんですが、0〜5歳の幼児教育という、3〜5歳の幼児教育ということでもい いんですが、特別支援教育という観点が大事になりだしているんです。  LDとかADHD、いろんな問題があるんですけれども、ああいうのは非常に現場の 御意見をお伺いすると増えてきていると。その原因がまだわからないんですけれども、 確実にそういうことが現象として表れているんです。ですから、そのことはちょっとコ メントしておいた方がよろしいのではないでしょうか。  教育委員会との関わりの中でやれることだと思うんですけれども、文部科学省として はこのことについてかなり本腰を入れてやろうという、今までもやっていましたけれど も、更にちゃんとやろうという答申が出たばかりですし、それは是非、幼児教育も含め てやっていただきたいというふうに思います。その際、総合施設は取りかかりになりま すので、是非、コメントを付けていただければと思っています。 ○岩男部会長  今、おっしゃったところで、私、教えていただきたいんですが、私は全体的に、でき るだけ各総合施設が創意工夫ができるような仕組みをつくることが望ましいというふう に思っているわけです。質の担保は同時に行われなければいけないけれども、そういう 場合に、どこから教育委員会との関わりというのが出てきたのか。  多分、私が前回中座してからではないかと思うんですけれども、これは教育委員会が 関わることがどういうメリットがあるのか。あるいは、関わらない方がどういうメリッ トがあるのか、ちょっとそこを教えていただきたいと思います。  どうぞ。 ○田村主査  それでは、委員、いらっしゃいますから、おっしゃってもいいんですけれども、私が 委員長のときに出てきた話で、保育所で子どもを育てる中で得られた資料、あるいは情 報を教育委員会が全然受け取らないんだそうです。それは、連続した教育ということを 考えると実に具合が悪いわけです。  昔は、幼稚園と小学校はそれに関係があったわけです。幼稚園がいろんな連携の情報 を提供しても小学校側が無視するというか、受け取らない。それが大分、そこのところ に来てよくなってきたんです。保育所とは、まだ全然だめなんだそうです。  ですから、教育委員会がいろんな意味で積極的に関わるという、これは保育所もどん どんそういうことを言いにいくとか、情報を取るとか。先ほどの特別支援活動の答申の 中にも、幼児教育のときからそれを配慮する必要があるということを私の方でお願いし て書いてもらっているんです。  ですから、それをこちらも受けて、その部分について、今、教育委員会が中心になっ てやることになりますから、関連を持った方がいいというお願いをしたわけです。そう でないと、連続がつかなくなるんです。  御説明していただけますか。小笠原先生でしたね。 ○小笠原委員  保育所という立場上、申し上げたんですが、幼稚園には国立、市立、そして私学とい うふうになっておりますが、保育園の場合は特に、今、先生がおっしゃいましたよう な、障害のボーダーにかかる子どもさんとか、それだけではなくて、子どもさんが虐待 を受けているに近い状況にあったりする例があります。  このような状況があれば、恐らく保育園から離れて小学校に上がると虐待が起きるの ではないかと危惧するのです。例えば生活保護を受けているという方なんかはよく行政 は把握されているんですが、そういう明らかに公的な資金といいますか、援助されてい ないお母さんたちの中には、育児の問題とか家族構成で問題があって、どうしても小学 校に上がったときの担当の先生に掌握してほしいという思いがたくさんございます。  ですから今、小学校では1年生の取扱いについては保育園以上の職員配置(保育園は 4〜5歳児は30対1)するというようなことも出ているのだと思います。保育園は8時 間以上預かりをしておきながら30対1で、小学校に上がると30人学級に2人ぐらい教師 を置かなければ授業がうまくいかないとかという状況があると。  もう少し小学校との連携を保育園側がうまくとれれば、学校の先生はいろんな情報を 得ながら、その子のケースというもの配慮しながら最善の努力ができるのではないかと いうことがございます。  地方によっては保育園と同じように私学の幼稚園でも連携がうまくとれないところが あると聞き及んでいます。北條先生方はちゃんと連絡・連携はとれているようでござい ますが、まだ地方ではとれていないところがたくさんございまして、保育園で子どもさ んを親とともに育て、これからが大事だという時期にあって、後のフォローをちゃんと していただきたいと思うときに分断されてしまうと本当に残念で。そして小学校に上が ってからいろんなことが出てくるのです。  その後のこととしては、児童民生員がフォローしてくれることもありますが、児童民 生員と教育委員会との関係に隙間がありまして、その後どういうふうに児童民生員がフ ォローしてくれるのかというのになりますと、知っている限り芳しくないのです。  これからの次世代育成というのは、そういう意味で保育園から上がった子どもさんの ことを小学校でもそういう福祉的な面を把握していただくようにしてもらいたいと思う のです。教師は自分の教え方についていけないとか、自分の枠の中に入らないからだめ だというのではなくて、やはりその子のバックボーンもちゃんと見てもらえるというよ うな状況があればという願いを述べた次第です。余計なことで、また小学校に対して失 礼なことでございますが、教師を2人置くという意味も、私はそういう意味で連携が得 られないと配置しなければならないであろうと思いまして。やはり小学校との連携が非 常に大事です。保育園での情報というものがそこでストップしてしまいまして、保育所 の自己満足で終わってしまうというところがございますので、提案を申し上げた次第で ございます。 ○岩男主査  それは教育委員会を介さなくても、直接に地域の小学校との連携で片づくというふう に考えればよろしいということでしょうか。 ○小笠原委員  教育委員会に小学校に上がる気になる子どもさんの情報を出して、その子どものお願 いを申し上げたんですけれども、教育委員会はでは、それは個人のプライバシーに関わ る問題だということで拒否されるんです。何度もお願いしたのですが、すべてプライバ シーで片付けられて、受け付けられないと。また小学校の先生もそのことを知るという ことはできないと。  行政側が教育指導で扱うことが何でプライバシーなのかと。私は教育現場として、個 人情報を何に悪用されるのか、何でそういう問題があるのかという気でおります。 ○岩男主査  実は、私はどちらかというとプライバシー保護の視点から教育委員会の関与というの を受け止めておりまして、つまり、学校側に家庭、あるいは児童に対する予見を与え る。  ですから、それがいい意味で、今、おっしゃったようなことで問題がうまく解決でき るような方向に行く場合はいいんですけれども、そうでないケースというのもあり得る のではないかということを実は心配をしたんです。  どうぞ、無藤委員、お願いします。 ○無藤委員  今のこととほかのこともあるんですけれども、1つは幼稚園と小学校の関連でいえ ば、もともと幼稚園から指導要録というものを小学校に渡すことになって、情報を伝え る義務があるわけで、それが余り機能していなかったところについて幼小連携という形 で、今は二次的に情報をきちっと伝え合うということです。その中で、小学校側の実質 的には抵抗というのが非常にあったと思います。今もあると思いますけれども、その一 番大きな理由は、今、おっしゃった与件を申したくないということだと思いますけれど も、私は、それは現実の実践の中で非常にはっきりしているのは、与見であろうと情報 はあった方がいいということだと思うんです。  それはどうしてかというと、与見を持たないということによって1年生の1学期の混 乱というのは非常に激しくなるということと、もう一つは、与見であろうと何だろう と、情報交換の機会があるということは幼稚園・保育園側が小学校に意見を言えるとい うことになりますので、その批判も可能ですし、また、幼稚園・保育園側が自分の子ど もが小学校に入ってどういう形になっているかの情報を今度は得られますので、そうい う方がいいのではないか。つまり、情報交換を閉ざすことでそれぞれ自立するよりは、 情報交換をむしろ豊かにする中で批判的なことを含めて一緒に考えた方がいいのではな いかというのを基本的には思っています。  もう一つ、教育委員会の関与で必要だと思うのは、保育所の場合には保育課ないしそ れに該当する名前のところが面倒を見るわけですけれども、そこにさほどには専門的機 能は持っていないわけです。教育委員会というのは、主としては小・中学校ですけれど も、教育に関するさまざまな専門的機能があって、例えば障害児の教育部分も指導主事 なりいるわけですけれども、そうした人たちが必ずしも幼児はわかってはいませんが、 いろいろな形で援助はできますので、そういう教育委員会が持っているリソースをやは り活用した方がいいのではないかというふうには思っております。  ついでに、2〜3、これまでの委員の先生方の発言に加えたいんです。  1つは、障害児の利用の問題なんですが、総合施設に対して私はかなり期待が高まっ ていくのではないかというふうに思っておりますが、その際に障害児という名称ではな く、もう少し広い言い方にした方がいいと思います。それは実際問題としては、例えば 満3歳ぐらいですとなかなか障害というのを診断することが難しい。それから、診断の ためには保護者の了解が要りますが、それを取ることも難しいということがあります。  例えば、先ほど出たLDとかADHDは、現在の研究水準ですと5歳ですと診断でき ますが、3歳はかなり難しい。それから、自閉的な傾向ですと3歳はできるけれども、 1歳半だとちょっと難しいとかいうことが現実にはあります。しかし、実際に保育され る方々からすると非常に保育が難しくて、1人付けなければできないというケースが非 常に増えているわけです。その辺の配慮が要るというふうに思っています。  もう一つ、別のことですが、先ほど園庭の話が出て、私はこれは典型的に、先ほど申 し上げたスタンダードということに該当する例だと思うんですが、つまり、園庭という のは保育所では義務づけられていなくて、近所の公園等でもいいということになってい ますけれども、実際問題として、園庭のある保育所とそうでない保育所が選択可能な ら、多くの保護者は園庭のある保育所を選ぶわけです。でしたら、その方がいいだろう と。それは保育者の方々も保護者も思うわけです。  そういう意味では、義務づけられていないけれども、やはりほとんどの保育所関係者 も園庭がある方がいいと思っているわけです。可能なら、できる限りそういう方向にす るという努力をされているわけで、そういう意味での望ましさを持った、しっかりとし たスタンダードとしては園庭というのは基本的には示されていいと思うんです。ただ、 特に都会の一部ではそれが厳しい場合もあるので、絶対不可欠とすると総合施設がつく れなくなってしまう部分もあると思います。  最後に、第三者評価の問題で、私は自己評価、関係者評価に加えて第三者評価が必要 だと思うんですが、確かに第三者評価というのは、例えば厚生労働省関係でいえば、 今、福祉施設について進められておりますけれども、先ほどの議論でいうとどうしても 最低基準をクリアーというところに評価がどうしても行きやすい傾向があります。そう いう意味では、最低基準をクリアーしなければいけないんですけれども、その上でどこ まで高い、望ましいレベルに行っているのかとか、目指しているかという、そちらの高 いレベルの質の評価も加えていくと。  そうすると、何がいいかというと、例えば先ほどから出ている食育です。私は、これ は完璧に、100 %、どの園でもしなければいけないとは思わないんですが、やはり非常 に望まれることなので、そういうところを努力されているところは食育という項目では 非常に高い点が付くとか、そういうことを入れていかなければいけない。そうでない と、日本の保育の質が上がっていかないというふうに思っています。 ○岩男主査  山口委員、どうぞ。 ○山口委員  そろそろ時間がなくなっていますから、私は名前に非常にこだわっているんですけれ ども、結局、成人病というのが誤解されるというので生活習慣病になって非常にすっき りしました。やはり、総合施設ということをどんどん言っていると、何か味も素っ気も ない総合施設という名前が市民権を得るみたいで、私はちょっと怖いんです。  それで、本当にこの実態を反映するような夢のあるというか、例えば子育て園とか、 余りぴんとしないけれども、できるだけ多くの方の知恵を結集して、本当にいいネーミ ングでないと、私は名前というのはすごく大切だというふうに思っています。  最後に、それだけ言います。 ○岩男主査  どなたか、名前についても。  どうぞ、案とかおありで。 ○田村主査  具体案というよりは、どうでしょうか。必ずお一人1つだけ案を考えてきていただい て、それをここで出されて。 ○岩男主査  最低基準ですね。 ○田村主査  はい、最低基準です。そうでないと、これは出てこないと。皆さん、遠慮がおありに なるので、一つ。  ですから、委員会に出る人は必ず1つ考えてきて。 ○岩男主査  宿題ですね。それでは、1つ以上ということで。  どうぞ、柏女委員。 ○柏女委員  5ページの8番のところなんですけれども、総合施設の所管について、地方公共団体 の裁量でいいのではないかということで、私も提案をしたんですけれども、総合施設が 教育委員会の所管になった場合には、いわゆる小学校との連携がかなりうまく進むだろ うと。  その場合に、もう一つは、福祉、保健、医療との連携。つまり、地域の中での連携と いうのがすごく難しくなってしまうという問題があるので、逆の意味では、そういう意 味で総合施設について地域、あるいは福祉、医療。そうした分野との連携の問題という ことも記述をしておくことが大切なのではないかというふうに思います。  ちょうど、折から、今の国会で市町村に子育て支援のネットワークをつくっていっ て、そして、そこで支援機関を決めて、継続的に援助をしていくという法案が出ており ますので、そうしたところとも密接に関わっていくことが大切なのではないかというふ うに思います。  以上です。 ○岩男主査  いかがでございましょうか。そろそろ予定の時間に近づいておりますけれども、何か 御意見ございましたら。よろしゅうございますか。  それでは、本日の議論はこの辺りにさせていただきたいと思います。  これからの進め方でございますけれども、冒頭に申し上げましたように、今月末まで に最終的なとりまとめの案をつくりたいというふうに考えております。これまでの御議 論で、かなり方向性が出てきたというふうに思っております。  次回は、報告書案を用意して、それを御議論いただくというふうにしたいと思います けれども、中間まとめのときと同じように、田村先生と無藤先生と私で案を起草すると いうようなことを任せていただければ、そのようにしたいと思いますが、よろしゅうご ざいますでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○岩男主査  ありがとうございます。  それでは、3人で報告書案の起草をいたしまして、次回に皆様からの御意見をいただ くということにさせていただきたいと思います。  最後に、事務局から何か御連絡ございましたら、お願いをいたします。 ○尾崎保育課長  次回の日程でございますが、あらかじめ、各委員にお伺いして、まだ決め切れており ませんので、具体的に決められた段階で、次の事務局、文部科学省側がやってくれます けれども、そちらの方から各委員の方に御連絡をさせていただきたいと考えております ので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○岩男主査  それでは、これをもちまして、本日の会合を終了したいと思います。  どうもありがとうございました。               (照会先)雇用均等・児童家庭局総務課 (担当)水口                     03−5253−1111(内線7823