04/11/12 社会保障審議会障害者部会(第20回)の議事録             第20回社会保障審議会障害者部会  日時  :平成16年11月12日(金)15:00〜17:30  場所  :厚生労働省18F専用第22会議室  出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、江上委員、大濱委員       岡谷委員、北岡委員、君塚委員、小板委員、古畑委員、小林委員、       斎藤委員、笹川委員、新保委員、末安委員、高橋(紘)委員、       武田委員、丹下委員、徳川委員、長尾委員、松友委員 ○京極部会長  定刻を少し回りましたので、遅れている委員もいらっしゃいますが、ただいまから第 20回社会保障審議会障害者部会を開催させていただきます。  委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ、また、きょうはお足元もお悪い中 をお集まりいただき、ありがとうございます。  早速ですが、事務局から委員の出欠並びに資料についてご説明をお願いいたします。 ○間企画課長補佐  委員の皆様の出欠状況ですが、本日は、猪俣委員、岡田委員、亀井委員、高橋清久委 員、堂本委員、永井委員、野中委員、広田委員、福島委員、そして町野委員から、ご欠 席との連絡をいただいております。また、岡谷委員から、少し遅れるとのご連絡をいた だいております。また、障害保健福祉部長は国会の用務のために遅れておりますので、 ご報告申し上げます。  続きまして、資料のご確認をお願いいたします。  資料1「制度改正のスケジュール等について」という標題のもの。  資料2「障害福祉サービス法(仮称)のイメージ」と書かれた色刷りのもの。  資料3「新たな障害保健福祉施策と介護保険との関係整理」という資料。前回、最後 にご説明いたしましたものを少し手直ししてご用意しております。  資料4「障害保健福祉関係費の将来予測(現行制度のまま)」というもの。  また、これらの資料とあわせまして、前回の議事録を委員の皆様の机の上に配付をい たしておりますので、ご発言内容に誤りなどがございましたら、11月26日金曜日までに 事務局までお知らせくださいますようお願いいたします。  また、資料の不足等がございましたら、ご指摘をいただきたいと存じます。  以上でございます。 ○京極部会長  それでは、議事に入ります。  本日の議論の進め方ですが、前回と前々回の部会においては、事務局から示されまし た「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」のうち、二つの 施策論、すなわち現行の制度的課題の解決をはかるための施策と、新たな障害保健福祉 施策体系を構築するための施策について、それぞれご議論いただきました。今回は、そ れらの議論を踏まえて、まず、事務局から制度改正のスケジュール等や新法の骨子、そ して障害保健福祉関係費の将来予測、現行制度のままで推移したらどうなるかというこ とについてご説明していただきます。そのあとで、前回、事務局から説明がありました 新たな障害保健福祉施策と介護保険との関係整理について若干の修正が入った資料が出 ておりますが、それについてご議論いただきたいと思います。  それでは、事務局から資料1の「制度改正のスケジュール等」と資料2の「障害福祉 サービス法(仮称)のイメージ」、そして資料4「障害保健福祉関係費の将来予測(現 行制度のまま)」についてご説明をお願いいたします。 ○北川企画官  それでは、私から資料のご説明をいたします。まず資料2からのほうがわかりやすい かと思いますので、説明をさせていただきます。  まず、「障害福祉サービス法(仮称)のイメージ」でございます。上の大きな四角の 中が、今回、新しく定めたいと考えている福祉関係のサービスの法律。下のほうに、身 体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法といった個別法で規 定されている事項、それら全体を一体のものとして制度を進めていこうという考え方で ございます。  まず、新法自体の考え方でございます。今回の改正は、身体障害、知的障害、精神障 害という障害について、市町村を中心に一元的な体制をつくっていく。それから、国民 の信頼を得られるようなシステムを透明化をしていく。そして、利用者負担と公費によ る制度の財政基盤の確立と公平性を確保していく。そして、障害者の方がたの適性等に 応じた個別支援を実現していく。そういうことを通じて、これまで障害種別、各制度ご とにサービス格差等々がありました現状を改め、支援の必要性に応じて公平に支援が受 けられる普遍的な制度に向けた土台を作っていくという第一歩になるのではないかと考 えているところでございます。  そういう意味で、第1から第7まで大きく骨子ということで書いてございますが、法 律となれば、目的、責務等々の全体的なものを規定する総則というものが規定をされ る。  給付ということで、個別給付、これは福祉系の個別給付、これまで説明をしてまいま りした障害者介護給付、障害者自立支援給付といった支給の内容ないしはその手続、さ らに医療の給付といった意味で更生医療等の給付というのがあわせてある。  事業として、地域生活支援事業ということで市町村事業、相談支援事業、移動支援事 業、コミュニケーション支援事業といった基本的な事業、さらに都道府県事業、ここに は人材育成事業とか広域支援事業というものを活用している。  さらに、障害者計画と一体的に策定をする障害保健福祉計画というものを定め、最終 的に費用負担ということで、市町村、都道府県、国の負担といったものを規定してい る。  こういう大くくりの規定になるのではないかと思っているところでございます。  かいつまんで考え方を説明いたしますと、具体的なこの法律の障害者の範囲は、今回 の改正では、身体障害、知的障害、精神障害、各法の障害者の範囲を基本とすることに なっていくだろうと考えております。そういう前提で、さらに具体的な支援の必要性と いうことについては、各制度に手帳制度がございますが、手帳の有無ということではな く、支援の必要度から尺度を開発いたしまして、各サービス共通の障害程度区分という のを設ける。その程度区分については、当面、例えば介護的な側面については、要介護 度認定基準というものを基本に、さらに障害種別の特性を踏まえたような尺度を組み合 わせる。これはグランドデザインのところにも記述しておりますが、そういう観点で支 援の対象者を明確にしていこうと考えております。  さらに、個別給付を支給決定する段階でございます。資料に出てまいりますが、本 人、家族が相談支援事業者と相談をされたうえ、市町村に申請し、審査会のチェックを 受けたうえで決定をする。それに不服がある場合には不服審査会に申立ができる仕組み を給付の手続の中に決めていくことが必要になると思っております。  医療給付については、現在の手続を基本的に踏襲をしていくことを考えております。  第6の費用負担でございますが、財政基盤の確立、負担の公平ということについて は、前回も申し上げましたように計画に基づく事業整備、利用決定プロセスの透明化、 公平な利用者負担の見直しということを前提にして、国、都道府県の財政責任を強化を していくということで、財政当局と話を進めていきたいと考えているところでございま す。  さらに、個別の法律にどういうことが残っていくかということでございます。例えば いろいろな専門機関、更生相談所、精神保健センターというものがございます。そうい うものは各個別法に規定がなされる。  さらに、「福祉の措置」と書いてございますが、今、従来の措置制度というものが形 としては残っております。権利擁護的なものに発動するという意味があるときに、個別 法にある福祉の措置は現行も個別法の中で規定をしていく、こういった大くくりの枠組 みになると考えております。  続きまして、資料1のご説明をしたいと思います。今申し上げたような制度の大枠の 中で、大きなところについて施行のスケジュールが実際に実施される市町村という目で みてどうなっていくのか、施設という目でみてどうなっていくかということで、ある態 度細かく整理をしたものでございます。  大きな柱となりますのは、市町村、都道府県の障害者サービス、事業計画、それから 障害程度区分・審査会・支給決定等の手続、それから新しい施設体系・事業体系をどの ように行っていくのか、こういう3点に絞って中長期的なイメージのものを作成いたし ました。  まず、事業計画の関係でございます。現行の地方障害者計画というのがございます。 さらに、平成19年4月からは市町村も障害者計画を策定することが義務化される、こう いうことが前提で作っております。  17年の段階で、国として計画の指針案をお示しし、各自治体で利用者の見込み調査を 行っていただく。そういうものを集約したうえで、さらに基本的な指針を国でお示しを し、各自治体においては18年度中に事業計画を策定し、19年4月にはすべての自治体で 出揃っている、ということを念頭に置いています。  期間としては、最初の第1期は20年までといたしまして、21年から第2期のサービス 事業計画が始まっていくということでございます。  そうなりますと、18年度中はすべての市町村が出揃っていないことになりますので、 18年度の実施については、それと並行して見込みによる施行を暫定的に行うことが必要 になってくるだろうと考えております。  2点目の手続関係でございます。16年度中に実態調査等を行いまして、17年度に入 り、区分をどのようにするか、サービスモデルをどのようにやっていくかということを 検討したうえで、夏前後までに新しい区分の考え方をお示しをする。それを前提に自治 体等で実際に認定等の事務が動き出す準備という意味で、マニュアルとかケアマネジメ ントマニュアルといった事務関係のマニュアルをお示しいたしまして、それを担うこと となる自治体の方がたには研修を受けていただく。  そのうえで18年度から、少々日程的には厳しゅうございますが、新しい手続を実施を していく。新障害区分の施行とか、相談支援事業というのが始まる。  ただ、そこでは、これも後ほどご説明しますが、時間も限られていることと、現状を 前提としたということでございますので、並行して調査を進め、21年度にはさらにカチ ッとした障害程度区分というのを実施をしていこう。  こういう2段階で実施をすることを念頭においているところでございます。  さらに、事業体系でございます。法律上の枠組みはどうしても粗々の枠組みになると いうことでございますので、それと並行して施設事業体系の詳細な基準、報酬体系等を 検討していく。その中で経営の実態調査を行ったうえで、夏前後に中間的なとりまとめ を行う。それを前提に予算要求をしつつ、その後、運営基準、報酬体系を年度内に設定 し、18年度から実施をしていくことになります。  ただ、すべてが新しい体系で始まるということではなく、旧体系として残るもの、新 しい体系へ移行したものという両方のシステムが併存して、概ね5年間、22年まで。21 年ぐらいには大多数の方は移行されることを願っておりますが、そういう意味で移行が 進んでいく。  それと並行して、新しい報酬体系ということになりますので、審査、支払いという仕 組みが必要になってくる。そういうシステムについても設計をし、開発を進めていこう ということでございます。  こういう流れをスケジュールとして考えております。  まとめて申し上げると、18年度からすべてが完成形として動き出すというのはなかな か厳しいと考えておりますが、できるだけ完成形に近いものを3年間、実施し、さらに 完成度の高いものを21年から実施をしていく、こういうイメージでとらえていただけれ ばよろしいのではないかと考えております。  1枚めくっていただきまして、実際上、市町村でつくっていただく計画の内容はどの ように考えていくかというイメージでございます。作成の期間については、3年を1期 とする計画にしたいと考えております。第1期については、18年度中に可能な限り早期 に計画を作成していただく。そして、19年度にはすべての自治体において計画が始まる ということでお願いをしたい。第1期の計画期間は平成20年度までとし、第2期以降は 21年度から3年ごとのサイクルが始まる、こういう形でございます。  障害者基本法に基づく計画との関係でございますが、障害者基本法に基づく計画、そ れぞれ都道府県、市町村とございますが、一体のものとして作成をしていく。  具体的に定める事項は、国として定める基本方針が第1、第2、第3とございます。  第1については、個別給付でございますとか地域生活支援事業の対象サービスを提供 する体制の確保に関する基本的事項。  第2としまして、作成に関する事項として1から4まで、基本的な事項から市町村向 けの基本的事項、都道府県向けの基本的事項。詳細についてはごらんいただきたいと思 います。  これの2、3を踏まえて、それぞれ市町村、都道府県で具体的な事業計画を、個別給 付及び市町村の地域生活支援事業といったものについて作成をしていただく、こういっ た枠組みを念頭に置いております。  2ページに戻っていただきまして、こういう一体として策定されるものの手続につい ては、法律に基づく手続のほか、地方障害者推進協議会に諮る等の基本法による手続も 一体のものとするということでございますので、手続を経ていくという仕組みを考えて います。  その他、市町村からは都道府県、都道府県からは厚生労働省、そして厚生労働省でと りまとめて障害者プランを見直しをしていく、こういう関係の仕組みにしていこうとい うことでございます。  一方、精神障害の関係については、医療計画というのが各都道府県ごとで策定をされ ております。そういう計画と整合性のとれたものにしていくことが医療と福祉の連携と いう観点から必要だろうということで、法制度上はそれぞれの計画が整合性が保たれた ものであることを法律上、担保をしていく、こういう仕組みにしていきたいと考えてい るところでございます。  以上が計画の概要でございます。  2点目の手続の関係で、グランドデザインから少し詳細にした資料を4ページに提起 いたしました。具体的な手続をどのようにやっていくかということでございます。利用 者の方が利用したいというときに、相談支援事業者に相談をしていく。みずから直接市 町村に申請していただくことも可能です。  という中で、相談支援事業者がいろいろな情報提供とか利用者の情報把握、サービス 利用計画案の策定と、ご本人、家族等も含めていろいろな相談をして利用計画案をつく っていく。それを市町村に申請をする。そこで先ほど申し上げましたような障害程度区 分に応じていろいろ考えていくことになりますので、障害程度区分というのは一時的に 判定をしていただく。その段階でなかなかまぎらわしいものとか難しいものが当然出て くると思っておりますので、そういうものについては審査会で2次判定を実施していた だいたらどうかと考えております。  2次判定を行ったうえで、長時間利用、非定型等といった利用の場合には、利用計画 案自体についても審査会をやっていただく。そういううえで市町村が支給決定をする。  支給決定の後、利用者の方がたが不服があるという場合には、不服審査会というもの を都道府県に設けまして、市町村の行った障害程度区分の判定とか給付決定についての 審査をしていただく、こういう一連のシステムがつくれないだろうかということでござ います。  給付審査会については、三つぐらい設置主体があるのではないだろうかと考えており ます。一つは、市町村がそれぞれ設置をしていく。二つ目が、広域連合等で設置をす る。市町村だけの集団の場合もあるでしょうし、都道府県が参画する場合もあり得るだ ろう。三つ目のパターンとして、都道府県に市が委託をする。いろいろ考えられると思 いますが、それぞれ地域の事情等があると考えておりますので、いずれかを選択をして いただくという枠組みができないかと考えております。  3点目の施設の移行関係をもう少し詳しくした資料が、5ページでございます。現在 の仕組みについては、障害種別ごとに実施主体が異なったり、費用負担構造が異なると いうことについては、グランドデザインでご説明をしたところでございます。施設の移 行に伴って、そういうことをどのように円滑に変えていくのかというのが非常に難しい 問題であります。  まず、18年度に新体系に全体的に移行をはかっていこうと考えていますのは、訪問介 護、短期入所、グループホームといったもの。そして、市町村が一元的に実施をし、個 人単位の報酬体系とし、国、都道府県、市町村の費用負担、このようにまず移行する。  それ以外のものについては5年間かけて段階的に移行していくことになりますので、 その中でも大きく二つのグループに分かれるであろう。例えば点線の灰色で囲まれてい るのが旧体系のイメージと思っていただければ結構でございます。旧体系のままの施設 の場合は、従来型の報酬体系とか補助になる。具体的には、精神の社会復帰施設がすぐ には移行しないという形をとった場合には、報酬体系は施設単位で払い、補助について は国と都道府県で補助をする、という仕組みを維持する。ただ、それも23年度までのあ いだとし、それ以降に施設ごとに新体系に移行した場合には、支給決定とか報酬体系、 補助といった負担割合も新しい仕組みに変わる。そのように、施設の単位でみてどちら 側のシステムによっているのかということ応じて報酬とか費用負担関係を整理をしてい く、こういう考え方をとっております。  そういう意味では、都道府県、市町村といつ移行するのかという時期について、各施 設ごとによく相談をしていただくことが必要なってくるだろう。そうしないと、施設が 突然、移行するといわれても、自治体側では財政措置もできていない場合もございます ので、そういう移行に関する目安を各地域ごとにつくっていただくことが必要になって くるのではないかと考えております。  児童の施設については、平成21年度までに結論を得て、それから制度改正、移行が始 まると考えておりますので、この中には記載してございません。  以上が資料2の関係でございます。  次が、資料4でございます。これは、現行の障害福祉関係のサービスが今後、現状の トレンドであればどのように伸びていくのかということを単純に推計をしたものでござ います。  まず、2ページをごらんください。この推計で対象としておりますのは、大きく3種 類でございます。居宅サービス、施設サービス、補装具といったものを大きくくくって おります。居宅サービスについては、ホームヘルプ、デイサービス、ショート、グルー プホーム。施設サービスについては、入所系、通所系、その他福祉工場も含めてあると いうことでございます。  すみません、資料が間違っております。「伸び率230%増」「130%増」となっており ますが、伸び率でいきますと、上は「130%増」、下は「30%増」でございます。「2.3 倍」「1.3倍」という言い方もございますが、いずれかでございます。ここの数字を訂 正いたします。  これは件数の伸びでございます。ですから、1人の方が複数のサービスを利用されて いる場合がございますので、直接的にこれが人数とリンクするものではございません。 今の市町村の事務処理上、具体的に何人というのが把握できないのが現状でございます ので、あえて件数ということで推計をしたということを前提といたします。  以上を前提にしまして、さらに件数の伸びを推計をしております。居宅サービスにつ いては、平成15年度中の伸びを実績に、一定程度、その伸び数が逓減をしていくだろう という仮定を置いて23年度まで伸ばしております。一方、1人当たりの給付費も、平成 15年度中には年7%ぐらい居宅サービスが伸びておりますので、それについては23年度 まで単純に同じペースで伸びていくだろうと仮定をしております。  施設サービスについては、過去の実績等を踏まえまして、毎年、1万4000人ぐらいの 増加を見込んでいる。これは、入所、通所含めてということでございます。したがっ て、いろいろな入り方をしてくると思いますが、1件当たりの給付費は変動しない。前 提としては、賃金上昇率等については見込んでいないということで変動しない。こうい う仮定を置いたところでございます。  そういう仮定を前提で数字を伸ばしてみますと、15年の交付決定ベースを実績にして おりまして、給付費ベースで約9000億円でございます。利用者負担分を除いている国と 地方分の費用、約9000億から始まりまして、平成23年度には約1兆5500億円、約1.7倍 になるだろう。年平均約7%の伸びになる、ということでございます。この7%の伸び でございますが、国全体の最近10年間の一般歳出の伸びは平均で1.3%、したがって5 倍以上の高い伸びを示している。厚生労働省の予算という義務的経費を含めたここ2年 間ぐらいの伸びをみますと約4%でございますから、それからみても2倍近い伸びを示 しているということで、この伸びが維持されることになれば財政的には相当厳しい状況 が続くというのが現状でございます。  3ページは、同じように、障害者の方にかかる公費負担医療、医療給付というのが行 われております。それについても、1年間、実績がとれているところが14年まででござ いますので1年ずらしておりますが、同じように推計をしたところでございます。  4ページをごらんいただきますと、三つの制度がございます。対象人数は、平成14年 は、通院公費負医療が約70万人、更生医療は約98万人、育成医療は約14万人の方が利用 されております。直近の人数の伸びをもとに推計をしますと、平成22年にはそれぞれ 115万人、年平均約6%増、更生医療については約195万人、倍増です。年平均9%増。 育成医療についてはほぼ横ばいの15万人。  1人当たりの医療費の直近の伸びをみますと、精神通院公費については単価で1% 減。たぶん軽度の方が参入されて、医療費が相対的に計算上、安くなっているというこ とではないかと思われます。更生医療、育成医療についても、年平均1%ぐらいずつ単 価が上がってきている。こういうのをトレンドとして伸ばしてみたということでござい ます。  そうしますと、医療費ベースでみますと、平成14年から平成22年にかけまして、平成 14年は医療費では約7000億であったものが平成22年には1兆3000億弱と約1.8倍ぐらい 医療費が伸びることになります。その中の約8割弱ぐらいは医療保険で支払っておりま して、残りの2割ぐらいを公費で支払っているわけでございますが、当然、その公費の 割合も同じペースで伸びる。1.8倍から1.9倍ぐらいに増える。結果的に、平成14年ぐら いが約1200億円弱だったものが平成22年度には2100億円を超える、こういう現状にあり ます。  福祉サービスについても、年平均の伸び率にしますと、先ほど申し上げた医療、福祉 サービスの年平均7%と同じかちょっと上回るぐらいの伸び率を示しているという状況 でございまして、これも先ほど申し上げた国全体の財政、一般歳出、厚生労働省に限っ てみても、相当高い状況で伸びを示さざるを得ない状況になっております。  資料説明は以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局からの報告について、ご質問等を含めま してご意見がございましたら、順次、ご発言いただきたいと思います。 ○丹下委員  質問ですが、資料2にありますように「更生」という言葉を今後も使い続けるおつも りでしょうか。私はかつてから、大変語感が悪い言葉だと申し上げてきた覚えがありま す。これは私だけの感覚であって、皆さんはそうお感じにならないというならば、なに をかいわんやでございますが、私の感じでは、これは、あまり縁のない方がたが聞いた 場合には、犯罪者に使う言葉とどこが違うのだということになりはしないか、障害者を おとしめるものではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ○京極部会長  かつてこれはリハビリテーションの略だったのですが、ちょっと今では意味が違って きて、厚生労働省社会局にも更生課というのがございましたが、これはなくなって障害 福祉課に統合されました。これについては。 ○北川企画官  用語の話はこれからだと思いますが、まずここの「更生」は、生きるということにつ いては歴史的に使われてきておりますし、現行の制度としても定着はしているのだろう と考えておりますが、皆さんのいろいろな意見を聞いて、こういう機会でございますか ら、三障害共通の医療給付としていく中でどういう言葉が適切なのかということについ ては、ご議論いただければと思っております。 ○京極部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○徳川委員  資料2について質問します。資料2の下のところに、身体障害者福祉法と知的障害者 福祉法と精神障害者福祉法、児童福祉法と四つあるのですね。前にいただいた資料で は、たしか障害福祉サービス法は新しい法律の統合化ということで、身体と知的と精神 の三つだったと思うのですが、児童福祉法がここに入ったことについてちょっとご説明 いただきたいと思います。 ○北川企画官  たぶんご指摘いただいている資料は、説明資料の概要版のお話だと思いますが、ごら んの図で本体のほうは「障害児」ということも入れまして、児童福祉法も念頭に置いて 整理をしてきているということでございます。  具体的に申し上げれば、施設の再編というのは児童福祉法、一定期間おくれて始まる ということでございますが、現行の居宅のサービスについては新しい法律の中で提起を していこうということで、こういう形の整理をしているところでございます。 ○徳川委員  そうすると障害児以外のものは児童福祉法に、これもよくわからないのですが、入っ ているのだとすると、児童福祉法に入っているものは全部ここに入ってしまう。 ○北川企画官  障害児だけでございます。 ○徳川委員  はい、わかりました。 ○京極部会長  ほかにどうでしょうか。 ○長尾委員  ここで、福祉サービス法の中に公費負担医療ということで、更生医療、育成医療、精 神通院公費負担とまとめられ、精神の通院公費負担がここに入っているわけですが、福 祉という部分と精神の公費負担というのがこれでいいのかどうかということでお聞きし たいのです。もともと精神の通院公費負担というのが精神衛生法に盛り込まれたのは、 ライシャワー事件というのがあったということで、これはおそらく一番小林先生がお詳 しいかと思うのですが、その流れで、精神の通院をきちっと担保して症状の悪化を防ぐ ための施策としてこれは盛り込まれたと私は思っております。それが福祉サービスとい うのと、本来、医療の継続というので、福祉でひとくくりにして本当にいいのか、その 辺は疑問に思うのですが、いかがでしょうか。 ○江上委員  関連で。精神障害者の場合は支援費に入らないで、身体、知的という部分で非常に精 神がおくれてきた背景があると思います。そのような中で、今回のグランドデザインに 関して、身体、知的、精神が一つになることは大変意義あるもので賛成しておるのです が、我々の全家連としましては、次の3点についてお聞きしたいと思います。  一つは、今の長尾先生の医療費の負担の件ですが、今回、精神障害者の場合は、通院 費公費負担の見直し等については、低所得者に配慮があるというものの、精神障害者に とっては非常に問題があると考えております。  その一つは、精神症状が早期治療と継続費用が必要不可欠で、通院に服薬の重要性が 広く認識されてきましたが、ここで長尾先生が言われたように通院費公費負担の果たし た役割は我々としてははかりしれないものがありますが、仮に公費負担の返上があると したら医療離れが起こってくる。  二つ目は、差別と偏見の中で、離れた病院に精神障害者の方が多く通院しています。 そういう中で交通費の負担も多くなることとともに、一般に精神障害者の家族は高齢者 が多いうえ、入院費の負担等で家計が非常に余裕のない状況にある。  そういう部分を含めて、この公費負担の問題についてはぜひ考えていただきたい。  それと、せっかくの機会ですので、あと2点ほどお願いしたいと思いますが、小規模 作業所の位置づけがどのようになっておられるか。精神障害者にとって、小規模作業所 は地域生活の中で大変重要な役割を担っています。さまざまな形態があって、その中で 利用者がニーズに合った選択が可能となっていますが、今回のグランドデザインについ ては、その位置づけが明確でないと考えております。  最後に、絵に描いたモチとならないように予算の裏付けを示していただきたいと思っ ております。グランドデザインについては、先ほど言いましたように、我々、精神障害 者の家族会としては非常に評価していますが、その面、はたしてこれが実行できるだけ の本当の予算の裏付けがあるかということで、今後の具体的なスケジュールも含めて出 していただけたらと考えております。 ○京極部会長  それでは、まとめてお答えいただけますか。 ○北川企画官  まず、精神の通院公費の関係でございます。委員からお話がありましたように、ライ シャワー事件という、精神障害者の方が当時のライシャワー駐日大使を刺したという事 件をとっかかりに、精神医療自体が大きく変わらざるを得なかった。そういう中で医療 自体も、例えば入院型を中心とするように舵が切り替わったことと並行して、精神の通 院公費特例については公費負担がなされる、こういう歴史的な沿革があることは事実で ございます。  ただ、現在においては、いろいろ検討会等でも議論されてきたところだと思います が、多分、生活習慣病と同様に精神疾患はだれでもかかる病気なのだという認識で今 後、取り組みを進めていくべきではないかというのが多数の考え方になったと考えてお ります。  そういう中で、例えばこういう言い方が適切かどうかわかりませんが、精神疾患を有 するすべての方に特別の措置というか、一種、通院公費という制度になるわけでござい ますが、そういうことが、はたしてそういう理解との関係においてどうなったのかとい う意見をおもちの方もいらっしゃると思っておりますし、さらに、受診確保という面で の重要性もございますが、一方では、これが比較になるかどうかというのもあると思い ますが、高齢者の方は10%負担でございますが、受診率でみれば、若年者に比べると数 倍、非常に高い受診率の状況にあるなかで、現在の5%という水準がはたして絶対的な ものなのかといった観点も含めて、現在、検討しているところでございます。  そういう中で、三障害共通に負担能力の乏しい方、重度でかつ継続的に医療を必要と する、たぶんこういう方は高額な医療費が通院でもかかっていらっしゃるのだろうと思 います、そういう方に重点化をはかっていく。さらに、福祉サービスの負担率とか医療 保険の負担率の均衡をはかった負担をしていく。さらに、精神通院公費の平均的な医療 費、先ほど、年額、少しずつ下がっているという数字、マイナス1%というのをお示し しましたが、足元の平均で見ると月額約3万2000円でございます。そういう中で、5% という数字であれば平均的に1600円ぐらいのご負担をしていただいているわけでござい ますが、そういう均衡の中で、生活実態等をみて過剰な負担とならないような上限額を どのようにするか、そういう中で考えているところでございます。 ○伊原企画官  小規模作業所のお話についてでございますが、今回の障害者サービス全体の見直しの 中では、従来のサービスは事業体系全体を見直そうというのが基本的な考え方でありま して、いろいろな事業体系をご提案申し上げております。小規模作業所についても、こ の中で特に今の状況からいたしますと、要支援障害者雇用事業であるとか、就労移行支 援事業であるとか、あるいは生活福祉事業とか、あるいはデイサービス事業とか、こう した類型へと変わっていただくということを一つ念頭に置いています。  こうした観点から、来年度の予算でございますが、小規模作業所への支援充実強化事 業という予算要求をしておりまして、何年かかけてこうした新しい類型へどんどん移行 していっていただきたいと思っておりまして、その支援も我々としてはやっていく必要 があると考えております。 ○村木企画課長  予算の裏付けがないと、絵に描いたモチになってしまうというお話がございました。 本当に私どももそのとおりだと思っております。いくらデザインがいい形になっていて も、お金がついてこないと実現ができないわけでございます。私どもも精一杯の努力を したいと思っておりますが、まず第1は、実際に国とか都道府県とか市町村が障害福祉 に関してどういうことをきちんとやっていかなければならないのか、その責務を法律に どこまで書けるかというのが非常に大事なことになってくると思います。法律できちん と国会で認めていただいて法律責務があるのだということになれば、それに従った必要 な予算の要求がしていけることになるのだろうと思っております。  特に今回、ぜひ実現したいということでお話しを申し上げました義務負担化の話でご ざいますが、そういう形になれば、法律に従って市町村が使ったお金について国の補助 がついていかないということはなくなるわけでございますから、そこは一つ、それが実 現すれば大きな進歩になるだろうと思っております。  ただ、法律にどう書いても、いくら予算がつくというのは法律が決めてくれるわけで はございません。残念ながら、毎年の予算要求の中で勝負をしていくという現状は変わ らないわけでございます。先ほど北川企画官から説明がありましたように、現状の制度 のままで年々の予算の伸びをみますと7%の伸びということでございます。一方で、一 般会計は政府全体としては1%強、厚生労働省の予算も4%前後の伸びでございます。 義務的経費になりましても、来年度の17年度予算を見ていただいてもわかると思います が、そのままでいくと1兆800億増えるけれども、その中から2200億の削減をしろとい われております。国の財政事情が変わらない限り、こういう状況はずっと続くわけでご ざいますので、こういう制度をつくりましても、財政が厳しい以上は、さらに厳しい制 度改革を迫られるということは当然あるのだろうと。財政事情の中で厳しい状況は変わ らないということは、正直に申し上げたいと思います。 ○京極部会長  ありがとうございました。 ○長尾委員  先ほど北川企画官から、精神の場合も生活習慣病と同じような、だれでもかかり得る ものだと。だれでもかかり得るものというのはそのとおりではございますが、これは前 回もお聞きしたときもそのようにおっしゃられたのですが、生活習慣病と精神疾患、特 に統合失調症を中心とする狭義の精神病との差をきちっと認識しなければいけないと思 うのです。  生活習慣病はそれぞれが自覚されてきちんと自分なりにコントロールされるものと、 精神疾患で、なぜ措置入院があり、本人の同意でない医療保護入院があるのか、その差 は大きいのだということをきちっととらえておかないと、みんな一緒なのだという話と ちょっと違う部分がある。その部分もきちっと踏まえて考えて、いかに通院で軽快して よくなられても、きちっと通院が担保され、治療が続けられないと、そういう事態にま た陥るのだということをよく理解したうえでいわれないと、ちょっと違うのではないか と私は思うのです。 ○北川企画官  つけ加えて申し上げさせていただきたいと思いますが、そういうことももちろん当然 踏まえたうえで、したがって経済的に負担能力の乏しい方ですとか、重度で医療的な継 続的なかかわりが強く必要になるという方に対しては、重点化をはかっていくことが必 要だと考えているところでございます。 ○京極部会長  これは個別にまた少し議論が必要かと思いますので、ほかのご意見はいかがでしょう か。 ○武田委員  二つ質問があります。  その前に、先ほどの財政の説明で伸びが7%という話だったのですが、伸びというも のは、もとがあってそこで伸び率、特に精神だけではないと思うのですが、サービスが 少ないところでやっと利用できるようになったら伸び率が高いという解釈になってしま うと、少し心外かなと。もっともっと本当にサービスの必要な人たちが利用できるよう なものにしていくのが、このグランドデザインの一つのポイントではないかと私は考え ておりました。ただし、財源には上限がある、青天井ではないということも踏まえたう えで、どのようなデザインをしていくかという背景があるのではないかと思っていまし たので、単にお金がかかる、かかるということではなくて、いろいろ工夫があって広く 必要な人にサービスが受けられるようなサービス体系をつくることが目標だと私は思っ ていましたので、そこら辺をお聞きしたいなというのが1点。  それとスケジュールのところで、1ページ、5ページで今後のスケジュールがおおむ ねみえてはきました。そこで、精神等については都道府県、それとほかの障害者と違っ て施設単位のサービスということで、多分こういう段階的な新体系への移行になってい るかと思うのですが、先週までの改革のグランドデザイン案の26ページにあります施設 体系、事業体系の見直しのところで、おおむね5年かけて新体系への移行というところ で、生活療養事業は身体、生活福祉事業は身体、知的とあり精神は対象になっていませ ん、あとの3類型、デイサービスを含めて4類型のところは三障害とも載っているの に、二つの療養事業と生活福祉事業という身体、あるいは身体と知的だけになっていま す。  ここが質問したい大きな事項で、なぜ精神が入っていないのかというところをお尋ね したいです。私は、生活福祉事業も療養事業も、これは機能がそれぞれ違うから療養が 必要であるというところで、あえてこういう分け方をする必要があるのか、せっかく福 祉の統合というところで、またこういうふうに分けるのかな、という疑問が一つありま す。  その2点をお願いします。 ○村木企画課長  まず、予算の点でございます。私どももこのグランドデザインをつくるときに大事な ことの一つとして考えたことは、本当に必要なサービスについてきちんとした安定的な 財源が確保できること、財政的な支えがあること、ということでございます。そういう 意味で、このグランドデザインの中にサービスの効率性、公平性、利用者も含めてみん なで負担をするというところを相当きっちりと組み込んだつもりでございます。そのこ とによって、その制度の中で運営をされて、必要な経費について国からきちんと予算を もらう、ということをやっていきたい。これは申すまでもない前提でございます。  しかしながら、国全体の予算は非常に伸びないなかで、いくらこちらが正論であって も天井がつっかえてしまうということはありますので、私どもは、これができたからこ の制度でやっていくものはきちんと財政的に保障されるとはいえないほど厳しい事情に ある。厳しいからこそ、こういう制度改革を一生懸命やっていかなければいけないし、 さらにできる工夫があれば引き続きやっていかなければいけない状態だと認識をしてお ります。 ○北川企画官  事業の再編の関係でございます。  まず、生活事業の対象者のイメージでございますが、基本的にはここでは重症心身障 害の方、それから難病、筋ジストロフィといった方を念頭においておりまして、具体的 には、今でも医療機関で対象になっておられる。施設の場合もありますし、病院の委託 病床という形で対象になっておられる方を念頭に置いているということでございます。  ただ、精神障害の方の中に療養的に重度の方の受け皿が必要であることは間違いない ところでございますので、それは逆に言いますと、病床の機能再編という中で重度療養 の方を念頭に置いた病床のタイプというものを整理をしていこうと考えている。そうい うことで、ここで福祉サイドは、医療サイドのきちっとした枠組みをつくることを重点 に置いているということで、精神関係については生活療養事業を対象にしていない、こ ういうことがまず第1点でございます。  生活福祉事業については、基本的には重度の方の活動の場と念頭に置いているところ でございます。一方、現在の精神障害者、社会復帰施設等を利用されている方の症状 等、いろいろな数値の見方はあるのだと思いますが、例えば逆の形でみさせていただき ますと、入所者の障害の程度は軽度の方が非常に多い。さらに、入所時に対する実地の 訓練について、例えば生活訓練施設等ですと、みずから実施しているものもあります が、基本的には外部に任せている。そのようにいろいろなタイプで多様であることか ら、現状の施設利用の類型等をみていると、こういう生活支援の対象となるような方を 福祉サイドでどれほどタイプ分けされているのか、数値化はなかなかしづらい部分があ ります。  いろいろ関係者の方とも、同じような質問を今、ご議論いたしているところでござい ますが、具体的にどういう方が対象となっていくのか。こういう生活福祉事業というの は、他の事業とは異なりまして期間を定めずにやっていこうと思っております。ここに すべての方が対象となって、従来の滞留しているといった施設と同じような場がまた再 現されてしまうことについてはぜひ避けていきたいというのが我々の考え方でございま すので、どういう基準で考えていくのかということをもう少し具体的に考えていくなか で、事業を対象とするのか、するとした場合に、どういう方を対象にして、どのように うまく適性に合った処遇がされていくのか。そこに入ったらそこからもう動かないんで す、ということにならないような仕組みをどのようにつくっていくか、ぜひ逆にお知恵 をお貸しいただければありがたいと考えております。 ○武田委員  今の件なのですが、特に生活福祉事業については、もちろん最後におっしゃったよう に、どうゲートをつくっていくか、これがないといけないと思います。ただ、私たち、 ACT−3で重度精神障害者を地域で包括的に支えるモデル事業が始まっているのですが、 精神だけでなく知的身体においても、重度の障害者がどのように地域で暮らしていくか というときに、アサーティブなコミュニティトリートメントというものがあれば、もっ ともっと重度の方が、入所ではなくて、あるいは入院でなくて地域で支えていける、そ こに精神が入っていないことをとても残念だなと思います。きちっとそういったゲート をつくる、あるいは基準をつくっていく中で、特に精神の場合は、そのとき、重度であ っても、必要なサービスの提供があればそこから抜け出していく道も大いにある。であ れば、なおさらここのところを使っていく必要性があるのではないかと考えていますの で、ぜひ一緒に考えていただければと思います。 ○大濱委員  最初に、資料の1のスケジュールの件なのですが、これは、17年度に相当量のスケジ ュールで、検討内容も多様になるわけで、特に障害者の場合、審査会の係わり方が議論 の内容で多大な影響があります。これらを7年度中にこのように7月までに障害程度区 分を決めて、それから新区分としてマニュアルを作成して、審査会設置、この1年間で これが本当にできるのかということで、そのあともすぐ認定開始に入る。ここに不服審 査会があるということでバックアップの機構があるということなのですが、1年間でこ れをやるというのは相当きつい。17年度のこれを見ますと、全体が相当量のボリューム の検討課題が挙がっているわけです。これが本当に17年度中に全部できるのかというの は大変疑問に思っているので、これについて十分議論を尽くす余地をもうちょっとつく っていただきたいというのがまず第1点です。  あと、資料4の給付の伸びの数字、これは7%で8年間、伸びっぱなしです。しかし、 私たちは、障害者は、600万人といわれていますが、ある程度まで地域に移行したら、 そのあと、フラットになると思っています。ずうっと7%伸び続けるという数字はあま りにも粗すぎる。これから3年とか4年ぐらいたてば、この数字は横ばいになり、その 後、逆に直線のカーブが下に落ちてくるのではないか。あまりにもこの数字は粗すぎる なということが実感です。  あと、グランドデザインの件でもう1点、最後に言わせていただきます。特別給付の 中に、生活支援事業ということでしか移動介護が入っていないのですが、個別給付の中 にも移動介護が位置づけられる必要があるのではないか。日常生活支援というのがそう いう意味ではあるわけですが、それの位置づけが全くはっきりしていない。そこをどう するのか、早めに私たちにちゃんと示していただきたい。  以上3点ですが、よろしくお願いします。 ○北川企画官  まず、日程の関係でございます。ご指摘がありますように、自治体の立場からみて も、多分、相当努力をしていただかなければならない日程であるとは我々も思っていま す。ただ、一方では、先ほども申し上げましたように、財政基盤の確立といったものを 進めていく中で条件整備を確実に進める必要がある中で、18年から強化をしていくとい うことを考えれば、こういう日程で進んでいくことを選択せざるを得ないのではないか と考えています。そういう条件が整わないということであれば、先ほど申し上げたよう な財政的な問題は解決せず、問題が逆に拡大をしていく、そういう関係にあるのではな いかと考えております。  そういう意味で、皆さんのご協力を得ながら、ぜひこういうスケジュールで進めてい きたいと考えているのが1点目でございます。  伸びの推計の前提でございますが、お手元のファイルの中のグランドデザインの説明 資料の3ページでございます。そこに、実施主体という数の問題もございます。実施し ていない市町村数はまだまだ多数ございますので、人数は相当程度これからも伸びてい くだろう。実施を始めた市町村の中でも普及をするということで、多分人数が伸びてい くのではないかという点がまず1点ございます。  さらに、例えばホームヘルプの利用の状況でございますが、5ページを見ていただき ますと、1人当たりの金額にしても、身体障害の方であれば8%程度でございますが、 他の障害であれば36%、63%といった伸び方をしている。そういうのを平均化して 7%とみているということでございますので、それが3〜4年程度ですぐ小さな数字に なるということは、現状のトレンドでみるに、やはり厳しいのではないかとみておりま す。ただ、あくまで推計でございますので、確実にこうなるという話ではなくて、その ように将来を見越していろいろなことを議論をしていく。甘い見方をすれば財政的には 破綻をきたすことも当然ございますので、ここはいろいろな推計の仕方は確かにあると 思います。ただ、現在のトレンドを基本に考えればこういう仕組みになるだろうと考え ているところでございます。 ○大濱委員  移動介護のことは。 ○北川企画官  日常生活支援とか移動介護の位置づけについては、今現在、内部でも考えているとこ ろでございますので、基本的な考え方をもう一度整理して、次回の審議会の場でお示し をしたいと思っております。 ○大濱委員  このスケジュールの17年度、財政的な関係でこういう形のかなり窮屈なことを検討し なくてはいけないことはよくわかるのですが、では、その窮屈な検討をするとき、この 検討の中に私たちも入ったような形の検討はできるのですか。それとも一方的な形で例 えば障害区分程度が一方的に提示される、そういうことはないのでしょうね。そこら辺 だけは確認したいと思います。 ○京極部会長  では、事務局。 ○村木企画課長  関係者のご意見をよく聞きながら検討していきたいと思っています。 ○京極部会長  では、徳川委員。次に安藤委員、お願いします。 ○徳川委員  今の大濱さんの意見とダブってしまうかもしれませんが、これは17年の3月ぐらい には国会に出して決まってしまうと伺っているのですが、それで動いていくのか。そう すると、私たちは大枠では今度のグランドデザインについては本当にいいと評価してい るのですが、詳細については、私どもは今、460施設全員がこのグランドデザインを研 究しながら、その問題点についていろいろと集めているところであります。そういった ものを出しながら、今後、厚労省ともお話し合いをしていくことになりますと、いつご ろまでそういうことが可能なのか。17年の3月ごろの国会で決まってしまったらそれで 終わりなのか、それともその後にも続いて話ができていくのか、我々と厚労省とのお話 し合いのスケジュールをもう少し教えていただきたい。  そして、ある程度決まったときに、支援費のときでもそうだったのですが、ほとんど 利用者の方はわからずに動いているのですね。なんか変わったよ、という程度のことで 結局動いている。それではせっかくの法律の改正というものが意味がないわけで、利用 者の方とかまたはご家族の方とか、そういうところにもはっきりと説明をしていかなく てはいけない、そういう時間もいると思うのです。  このスケジュールの表をみると「都道府県等」と書いていますが、都道府県等への説 明会はあるのですが、施設関係、利用者関係、または利用者、またはその家族というも のに対してどのように説明をするか、その時間がほしいのですが、その辺のスケジュー ルについてお考えを教えていただきたいと思います。 ○北川企画官  まず、スケジュールのお話でございます。法律上に書かなければいけない事項と、法 律の枠組みの中でさらに下位法令で詳細を決めていくべき事項と両方あると思っており ます。そういう意味で、法律上に書くべき事項については、法律の提出が2月ぐらいに なると思いますから、年内ぐらいには確定していなければ、逆に法律として出せない。 こういうことになります。ただ、施設の具体的な運営とか人員配置とかいう話になって くれば、多分下位法令の運営の世界になってくると思いますから、そうなりますと、18 年の予算編成プロセスの中でいろいろ議論をしていく。実際上、お金に絡む話になって まいりますので。  そういう意味では、まずそこにありますように、中間まとめと書いてあるのが、例え ば夏ぐらいまでを一定の仕切りにして、さらにそこで残された課題を実際の施行まで詰 めていく。こういう3段階ぐらいのスケジュールになってくるのではないかと思ってい ます。  そこで、利用者の方とか施設の関係者に対する広報という意味であれば、中間まとめ とか新区分が夏ぐらいにできれば、そこから広報をするような体制には十分なっていく のではないか。そこから先は本当に細部の問題が残っていると思いますので、そういう 意味では半年近い時間は確保されている。その中で丁寧な説明をしていくことは可能で はないかと考えております。 ○安藤委員  このスケジュールについての確認ですが、この計画で実際にやっていける環境にある かどうか、ちょっと気になるのです。三位一体の改革に関係して地方6団体は補助負担 金廃止の方向をまだ変えていないわけなのです。非常に難しいと思いますし、政府は地 方交付税の廃止、減額という話もしていますし、地方では財源問題で非常な危機感をも っているわけなのです。このような計画をお聞きしても、地方6団体とか行政の財政状 態をみると、受け入れる環境にあるかどうか、この計画が浮き上がってひとり歩きして いるような感じもするのですが、具体的にその面でどのような調整が行われているのか お聞きしたいのです。  二つ目は、応益負担にこだわるようですが、そちらとしては国民の理解ある障害者の 負担という考えを出していますけれど、今は国民の皆さんの理解も相当進んでおりま す。実際には所得のある障害者の負担というものを、障害者としても自覚しています。 ただ、24時間介護が必要な重度の障害者とか所得のない障害者について、今までのよう に応能負担を維持するという考え方も必要ではないかと思うのですが、原則、応益負担 でなくても、そのような障害者に手厚くサポートしていくことは国民全体の理解になっ ていると思うのです。 ○京極部会長  それにつきましてどうでしょう。 ○村木企画課長  まず、私から1点目の三位一体改革の関係、ご報告も含めてお話しをしたいと思いま す。  三位一体の改革については、地方6団体から提出をされた案については、この審議会 でもお話しをしたとおりでございます。そのあと、あの案に対して、厚生労働省から省 としての対案を10月28日に提出をしたところでございます。生活保護等々、別の6団体 からお示しいただいた以外のものを対案としてお出しをしたところでございます。  特に障害保健福祉に関しては、この前ご報告したとおり、6000億ほどの地方への予算 のうちの1000億ほどが三位一体で地方へ移譲ということになっておりましたが、私ども の対案ではそれはできませんということで、基本的には障害保健福祉の補助負担金は維 持をする。また、その中で一部、自治体の自由度とか裁量を拡大ができる、そのほうが よくなるものについては、交付金化とかそういったものをするということで対案を出し たところでございます。  厚生労働省の対案は各委員に郵送したところでございますので、皆さん、ごらんいた だいていると思いますが、それ以降、大臣を筆頭にして関係者の理解を求める努力をし ているところでございますので、なかなか展望がみえていないのは事実ではございます が、いずれにしましても11月中には政府としての方針が決まる。それをやりませんと、 来年度の予算編成すらできません。そういうことになりますので、私どもの願いが届く ことを祈っておりますが、そうでなくて全く違う方向になって、このグランドデザイン の足もとが揺らいでしまうということであれば、また設計をつくり直すことも必要にな るかと思いますが、そういうことがないように最後の努力をしているところでございま す。 ○北川企画官  それから、負担の関係でございます。応益負担、一種の定率負担ということでご提案 いたしておりますが、一方では、負担能力の乏しい方には低い負担上限を設けている。 その負担上限という設定に関しては、応能負担的な考え方が導入される。よく応益、応 能と対比的に議論されますが、今回ご提案いたしましたのは、基本的には応益なのだけ れども、負担の上限については応能的に設定をしていくという、組み合わせた仕組みに なっていると理解をしていただくのが一番正しいのではないかと思っています。  ただ、そのときに負担上限をどのように設定をしていくかというのは、いろいろな問 題を含んでいると思っていますが、現状のような応能負担の中で利用者負担をされてい る方が在宅ではほとんどいらっしゃらないという状態については、社会的な理解を求め ていくのは非常に厳しい状況にあるのではないかと。もちろん生活の状況を見極めつ つ、一定の低い負担上限をどのようにつくっていくのか、こういう問題なのではないか と考えております。 ○村木企画課長  ちょっと補足します。先ほど、三位一体の中でこのグランドデザイン、非常に心配だ というお話をいただきましたが、実は今、障害保健福祉について大きな制度改革をやり たいということで検討していますが、市長会と町村会には何度か私どもは説明をさせて いただいておりまして、特に11月10日の市長会にはこのグランドデザインの内容ををか なり詳しくご説明をいたしております。このスケジュールも含めてお話しをし、それか ら、内容については、大きいところで非常にいい方向ではないかとご評価をいただいた と考えております。そういう意味では、一定の理解を得つつあると私は考えておりま す。 ○京極部会長  ありがとうございました。私の印象でも、大濱委員が先ほど質問している17年度のタ イトなスケジュールですね、厚生労働省も体力的にもつのかなという感じがいたします が、しかし、こういう思い切った改革は、私も障害者基本計画の座長をやっていて、こ の中にもそのときの委員がいらっしゃいますが、いろいろ思いがあったのですが、あの 計画では「必要な法的整備」という言葉以上のことは書けなくて、国の審議会や国会で 議論することを行政計画に書き込むことはできませんので。しかし、今度、それが実現 した形で出てきたことは評価していいのではないかと。  ただ、時間的に間に合うかということなのですが、これはおしりに火がついているの で、地方6団体の意見、私は反論を書こうと思って新聞等に投書しているのですが、17 年度、18年度で障害者の児童・者の予算は国から切ってしまうというわけですね。だか ら、国のほうでも提案しない限り財政的な根拠を根っこからとられてしまうので、新し い改革の方向を示して、そして必要な予算を確保するという、そちらの情勢からきてい る面も多々あって、18年度、19年度、ゆっくり検討しましょうというときにはもう土台 がなくなっているという話ですから、それから国が、では予算をつけて何かしましょう といってももう無理な話で、地方に財源を移譲してしまっているから、国は予算を確保 できないわけです。そういったご時世もあるのではないかという印象をもっています。  大変だと思いますが、我々も個別のことについては大いに議論して詰めていかなくて はいけないし、特に障害者団体の方がたはいろいろ今までの経緯もあってご要望はたく さんあると思いますが、それは厚生労働省とのコミュニケーションを密にしていただい て、国のほうも、先ほど徳川委員から出たように、地方との関係だけでなしに障害者自 身との関係を少し大事にしてやっていただきたいと思います。 ○村木企画課長  それから、やや蛇足ではあるかもしれませんが、私どもの体制もできるだけ強化をし て、この準備作業を丁寧に進めていきたいと思いまして、実は今月の10日に障害保健福 祉改革推進室という、略称タコ部屋でございますが、発足をしたところでございます。 12名のスタッフで専任7名ということでございます。室長は私でございますが、実質 上、次長の伊原企画官が取り仕切って相当厳しい作業を乗り越えていくつもりでござい ますし、また、施行に向けて必要な中の体制も整えながら一生懸命やっていきたいと思 っております。 ○京極部会長  すみません、また次回に議論できると思いますので、もう一つの論点であります資料 3の「新たな障害保健福祉施策と介護保険との関係整理」、これはずっと議論してきた ことでありますが、改めて事務局にご説明をお願いしたいと思います。そして、この議 論に入っていきたいと思いますが、よろしいですか。では、よろしくお願いいたしま す。 ○北川企画官  では、私から資料3についてご説明をいたします。まず、2ページの「障害者施策と 介護保険との現在の関係」ということでございます。いろいろ介護保険との関係につい ては議論がされておりますが、まず、現在の関係を正確に理解を深めようということ で、こういう資料を用意いたしております。  1点目の「対象者の関係」でございます。現在の介護保険でございますが、被保険者 という方については40歳以上の方が対象になっております。そういう意味で、40から65 歳以上の方については2号被保険者ということで、保険料平均月額約3500円ということ でございます。この保険料については、医療保険の保険料に上乗せをした形で徴収をさ れている。給与明細をごらんいただければ、40歳になると突然、介護保険料の数字が入 ってくる、こういう仕組みになっております。  一方、65歳以上の方については1号被保険者ということで、毎月、年金から天引きさ れていると思いますが、保険料の平均月額約3300円が納付されているということでござ います。  ここについては、40歳以上の方はすべて保険料を納付していただいているというのが 現状でございます。  一方、どういう方が給付の対象になっているかというのが箱の中でございます。65歳 以上の方については、要介護状態にある方であれば原因を問わずに給付対象になってお ります。そういう意味で、障害者の方も対象になる。そして、介護保険が優先適用をさ れる。こういう関係になっております。  40から65歳までの方の給付要件については、特定疾病で要介護状態にある方に限定さ れているということで、事実上、障害者の方はここでは給付対象外になる。そして介護 保険が適用されない。こういう関係になっております。65歳以上でみれば、保険料を払 っていて給付が受けられる。40から64については、保険料を払っているけれども、障害 ということでは給付は受けられない、こういうのが現在の障害者の方の現状でございま す。  ただ、例外がございまして、※で書いてありますように、身体障害者療護施設、重症 心身障害施設等、障害程度が重度で入所期間が長期になるものは、通常、入所する施設 の利用者については、介護保険の適用除外となっております。理由としては、カッコ書 きに書いてありますように、地域生活等において介護保険に基づくサービスを受ける可 能性がない、地域生活というのは想定されないという前提で、粗っぽい整理だとは思い ますが、施設の入所については保険料を一部免除している施設があるというのが現状で ございます。  介護保険の創設当時、なぜこういう設定をしたかというところでございます。被保険 者については、介護保険制度は老化に伴う介護ニーズにこたえることを目的とするもの である。老化に伴う介護ニーズは、高齢期のみならず中高年期にも生じ得るのだ。40歳 以降になると一般に老親の介護が必要となり、家族の立場からは介護保険上の社会的支 援という利益を受ける可能性が高まる。そういった意味で40歳以上に限定をしたという ことでございます。  受給者という面でございます。第1号被保険者については高齢者なのだから、その原 因を問わず要介護は一般的に対象としていこう。第2号被保険者、40から64歳について は、老化に伴う介護という観点から具体的な対象範囲を決めるということで、特定疾病 ということで限定がされた、こういう経過でございます。あくまで高齢者の介護を進め ていく保険だ、こういう前提で制度設計がなされたということです。  ただ、当時も障害との関係の議論はございましたが、介護保険法の附則で、見直しの ときに再度検討をする、こういう経過がなされております。  では、給付の対象となるサービスはどうなるのかということでございます。現在、65 歳以上の方については、介護保険で使えるサービスは優先的に使っていただくというの が法律上の整理になっておりますが、介護保険による給付を利用できる方が利用可能な サービスについては、他の高齢者の方とは異なり、既存の高齢者サービスでは障害者の 特性に合ったサービスを受けることが難しいことから、事実上、ホームヘルプサービ ス、居宅支援のサービスに限定がされているということでございます。  私は高齢の障害者なのだから、特養に入れたり入ったりということは介護保険の適用 になる可能性はあるわけですが、事実上はなかなか受け入れてもらえないという現状の 中で、福祉サイドのほうの施設の利用に限定がされる、こういう関係になっているとこ ろでございます。  したがいまして、仮に両制度を利用する、今であれば65歳以上の方の給付のイメージ でございますが、居宅支援費の関係のサービスについては、法律上は介護保険給付が優 先的に利用がされ、それで上限等がひっかかる場合については、さらに上の部分の障害 福祉サービスから給付がされる。一方、非共通部分となる例えばグループホームとか他 の入所施設といったものについては、そもそも介護保険の給付の関係がございませんの で、障害保健福祉として必要額が給付される、こういう関係でございます。  介護保険の有無にかかわらず、外枠の太い黒い部分については必要額というのが決定 され、その一部が介護保険として優先的に利用される、こういう関係になっているのが 現状でございます。  これが、議論を始める足もとということでございます。  4ページでございます。今回、整理をしていくことで基本的な視点がいくつかあるだ ろうということで、三つほど整理をいたしました。  一つは、障害者の介護保険制度における公平をどのように確保していくのか、こうい う観点でございます。年齢、障害を超えたユニバーサルな保健福祉体系へ介護保険が移 行すべきで、それを障害者の目でみてどのように考えるのか、こういうことでございま す。介護保険の被保険者として保険料を負担をする。これは、40歳以上の方も、医療保 険に加入されていれば負担をしているということでございます。そういう意味から、当 該障害者の方が利用可能なサービスの範囲を、実質的に高齢者サービスと同程度に拡大 していくということがあるのではないか。65歳以上の人もしかり。といった負担と給付 の範囲の問題を考えていくことが必要だろうということでございます。  今回、特に居宅支援費、施設支援費という仕組みから、介護給付、自立支援給付と枠 組みを変えますので、当然、そういう関係において重複して優先適用できるようなサー ビスをどのように考えていくかという問題が生じてくる、こういうことでございます。  2点目が、総合的な自立支援システムの持続的な発展の確保という観点でございま す。効果的・持続的な障害保健福祉体系というのが、先ほどの財政試算を少しお出しし ましたが、今回、障害保健福祉施策の見直しとあわせて介護保険との関係を見直すとい うことになれば、総合的な自立支援システムに財源を重点的・効果的に投入することが 可能になってくる。その仕組みをどのように考えていくか、こういう観点があるのでは ないか。  3点目は、少し切り口が変わってまいりますが、今でも現に両制度を利用する方がい らっしゃるということでございます。それを新しく今回、障害関係のサービス支給決定 等の手続を変えることに伴って、そういう整合性、効率性をさらにあげていくことが必 要なのではないか、こういう問題設定でございます。これは、介護保険がどうなろう と、今後とも関係がある以上、必要になってくる部分であります。  そういう意味で、障害者が必要量の障害保健福祉サービスを確保するという観点か ら、介護保険を利用する場合としない場合において、手続や利用者負担総額に整合性を 欠いたり、事務処理が非効率にならないようにしていくことが必要である、という観点 の整理がもう1点ある。  こういうことで、基本的視点として3点、整理いたしました。ここまでは、前回お出 しした資料と同じでございます。  5ページ以降については、今回、追加的にお出ししました一定の考え方の整理という ものでございます。  まず、整理すべき論点の全体の基本的な考え方として、現行と同様、新法に介護保険 料の給付との調整規定は設ける必要はあるだろうと考えております。現行、身体障害者 福祉法等ではどのように規定されているかといいますと、「居宅生活支援費の支給は、 当該身体上の障害の状態につき、介護保険の規定によりこれらの給付に相当する給付を 受けることができるときは、その限度において、行わないものとする」ということで、 介護保険の給付を優先的に利用するという規定が現在も置かれている。これに相当する 規定は、今後とも設けていくことが必要になるだろうということでございます。これが なければ、逆に65歳以上の方でも保険料を払うけれども給付はないということになる、 ということでございます。  特に精神障害の場合については、法律上のこういう規定もない現状にございますの で、特にこういうことで整理を進めていくことが必要になってくるだろうと考えていま す。  さらに、ただ具体的にどういうものが調整対象になるのかというのは、多分法律上の 事項ではなく、個別の下位法令等で整理をして具体的に決まっていく。こういう問題で 一定の時間をかけて整理をしていけるものだと理解をしていただければ結構でございま す。  そういう枠組みの中で、6ページ、個別のそれぞれの論点でございます。  まず、1点目でございます。介護保険の対象となる受給者、サービスというのをどの ように考えていくのかということであります。1点目は、両制度で共通する利用可能な サービスの範囲をどのように考えるかということでございます。法律上の整理、下位法 令の整理とそれぞれの論点がございますが、まず、障害者介護給付というのを今回新た に設けようとすることになりますと、介護という点で共通部分が非常に多いと思います ので、法律上どのように整理をしていくのかという切り口です。  さらに、法律上の整理が終わったあと、今後、具体的に詰めていく中で、整理の際に 考えられる視点として、既存の介護サービスと類似性があるかないか。類似性はあるが 非常に高いのだけれどどうするのか。現時点では、障害者の特性の要素が非常に大き く、うちのサービスにはなかなかなじまない部分もあるけれども、障害者介護給付から みて整理の軸としてこういう三つぐらいがあるのではないだろうかということでござい ます。  さらに、自立支援給付についても、リハビリテーションという機能訓練等については 共通部分はある。また、法律上どのように整理をしておくのかという点の問題がござい ます。  さらに、具体的に入れる・入れないといったものを決めていくときに、リハビリとい う面で類似性が高いグループと、その他の自立支援給付の中にも、就労移行支援という のは青壮年層に特有で、介護保険とはだいぶ違うといったものについて、大きくくくら れていくのではないだろうか、こういう点がございます。  三つ目の問題は、これは相当技術的で申し訳ないのですが、施設体系を見直す。入所 者の方も地域のサービスを選んで利用できるようるする、こういう考え方も改正でとっ ております。そういたしますと、介護保険の現在、適用除外となっている入所施設の利 用者の方も、場合によっては地域で活動する、さらに介護保険型の適用とするサービス を利用した場合、どうするのか。こういったことになると、今現在、地域で出ていくこ とはないだろうという前提で適用除外になっている部分について、理由を少し考えてい くことが必要になってくるのではないか。これは、こちらの改正に伴ってむこうが影響 を受けるという考え方になっております。こういう論点が相当あるのではないかという ことでございます。  さらに、介護保険の受給者範囲の変更。これは、介護保険部会で本来、議論していく 事項でございます。そういう中で、2号被保険者に係る例えば老化に伴う介護ニーズと いうのは、現在、制限されていることをどう考えていくのかという論点。さらには、被 保険者、受給者の対象年齢の40歳未満について、引き下げるのか・維持するのか、とい った論点が出てまいります。  これを障害保健福祉施策からみてどのようにみえるかということでございますが、2 号被保険者として介護保険料を負担しつつも、障害に起因する要介護状態について給付 が現在受けられないことについて、障害者の公平という意味から確保がされるという見 方ができるのではないか。負担はあるが給付はないというところを改善していく、こう いう評価もあるのではないか。  さらに、要介護状態にある高次脳機能障害、難病等、いわゆる身体・知的・精神とい った三障害にはくくれない類型の方、いわゆる制度の谷間という部分について、対応が 一定程度可能になってくる、こういった考え方が整理できるのではないだろうかという のが、受給者サービス関係の考え方でございます。  7ページは、今度は両制度を併用する場合の整合性の確保でございます。これは、現 在でもある問題だと理解をしていただければけっこうでございます。そして、障害者本 人にかかる問題として二つあるのではないか。  一つは、介護等に係る尺度の整合性をどのように確保していくのかということでござ います。併用できるというのが現状になっていますので。そういう中で、一定の検討を 進めていくことでやっていこうということでございます。当面は、介護的側面について は、障害種別の特性を踏まえた尺度を組み合わせていこうということを念頭においてお ります。  2点目は、利用者負担の取り扱いでございます。1点目は技術的な問題ですから、今 後、調査等を深めていく中でやっていこうということであります。問題は多分2点目で ございまして、両制度を利用した場合には、それぞれ定率負担が生じることになります が、障害保健福祉サービスの利用者の負担上限に係る計算方法をどのように考えていく かということでございます。負担上限の額も決まっていない中でこの議論をするのもな かなか難しいかとは思いますが、理論的には、障害者介護給付という全体に対して介護 保険が優先適用される。  いずれも仮に定率負担だとしますと、それぞれにA、Bといった負担が出てくるとい う関係になります。仮に制度でそれぞれ負担上限をもったとしますと、一応別制度にな りますから、A、Bとそれぞれ負担をすることになります。そうすると考え方として、 一つの制度を利用したときに比べて負担が増える場合が出てくる。そういう場合にどう いう計算方法をとっていくのか、そこは技術的な問題ですが、併用したから不利になる ということを避けるという論点がいります。現在は、実際上、居宅サービスについては 負担をされている方がほとんどいらっしゃらないということで、こういう問題は顕在化 をしないわけでございますが、今後、応益的な負担を求めていけば、こういう問題につ いて一定の対応をしていくことが必要になってくるということでございます。  そういう中で、二つ考え方があるだろうと考えております。一つは、世帯に与える負 担という点を重視して合算して計算すべきだという考え方。2点目は、利用額に応じた 負担という点を重視して別に計算をしていこうという考え方でございます。  それから、2点目でございます。これは技術的になってまいりますが、市町村、サー ビス提供者に係る問題として、要介護認定を受けるということで手続について整合性を きちっとはかっていくことが必要だろうということでございます。1枚めくっていただ きまして、先ほど見ていただきました審査会、不服審査会との関係をさらに介護保険を 仮に併用していく、今でも併用されている方がいらっしゃいますが、そういう事務を円 滑にいくように流れをつくっていくことが必要であろうということでございます。  基本的な流れは変わっておりません。申請の段階で要介護認定と障害の支給決定の後 に申請というのは同時に行っていただく中で、市町村でそれぞれ1次判定を行い、2次 判定の段階で整合性のある判定をそれぞれしていただく。そのうえで、さらに給付の中 身、介護給付については上限が決まっていますからその中で自動的に決まっていきます が、障害者給付については上限は設定せずに利用に応じてやっていくということですの で、先ほどと同じような利用計画案に対する意見を提示をする。その中で最終的に要介 護認定とか支給決定を行っていく。それに対して不服のある場合は、新しく障害の場合 はそれぞれの制度に不服審査会というのを設けることとしておりますので、それぞれに 対して不服を申し立てていくという道をつくっていく。  基本的には同じ流れで、障害者の方がこれを申請してからまた別の申請もしなければ いけない、といった重複がないような仕組みをとっていこうということがあるのではな いかということでございます。  7ページに戻っていただきまして、市町村、サービス提供者も両方併用する場合に は、いろいろ事務処理に難しい問題も出てくることもございますので、例えば請求書の 様式を共用のものとしていくといったことで事務処理を効率化できないかどうかとか、 指定という業務について一定のみなし指定といった効率的な仕組みが取り入れられない かとかいった、事務処理上の簡素化も考えていくことが必要になってくるだろうと考え ております。  以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございます。ただいまの事務局からのご報告について、ご質問等がござい ましたら、順次、ご発言いただきたいと思います。 ○安藤委員  単純な質問かもしれませんが、支援費制度も介護保険との統合という話が以前ありま した。その時点で支援費制度について精神障害者の方についていろいろな問題があっ て、その不満の中で今度、グランドデザインという新しい企画が出てきたわけですね。 したがって、この改革のグランドデザインの中で議論していくのが重要であって、なに も介護保険との関係性など考えなくてもよいのではないか。まず、グランドデザインの 中で障害者福祉というものを全体的に整理し、何年かかかってきちんと完成したあとで 介護保険との関係を考えていくという方程式ができないものか。今、お話を聞きます と、法律の整合性とかいろいろ難しい問題もあるようですが、どうして今、介護保険と の関係を整理しなくてはならないのか、そのメリット、デメリットがよくわからないの ですが、それをまずお伺いしたいのです。国の財政的な問題ですか、それとも障害者自 身がもっと利用しやすいとか、制度的に重視するというような点ですか。 ○北川企画官  まず、障害者の方を支えていく仕組みはいろいろな制度があるわけでございます。今 回、障害者のグランドデザインで提案している制度も中心的なものになりますが、一方 では、現在の介護保険制度においても65歳以上の障害者の方については一定の支援をす る仕組みがある。ほかの制度にもあるという中で、現行の法体系においても障害者の施 策と介護保険との一定の優先適用関係を置いているというのが、まずこの議論の振り出 しでございます。  その中で、その調整のやり方が適切なのかどうかというのは、先ほど申し上げた給付 の範囲というのが、障害者にとってはすごく狭い範囲になっているのではないかとか、 保険料を払っているけれどもなかなか給付を受けられないという現実をどのように考え ていくのか、というような観点が一つあるのではないかという点でございます。  2点目は、財政的な面といえばそうなのかもしれませんが、そういう制度等をうまく 活用できれば、さらに財政的な重点的な配分が一方では可能になってくる部分があると いう現実はあるだろうと思っております。  3点目は、先ほど言ったように事務的な話でございまして、個々の使い勝手がいい・ 悪いという話、今、現実はあまり顕在化していませんが、これから多分問題になってく るだろうという問題について、きちっと手当をしていくことが必要だろう。これは、関 係が拡大する・拡大しないにかかわらず、こちらの制度が変わったことに伴って顕在化 する問題として整理をしていくことが必要だろう。  こういう三つの切り口、ちょっと複雑かもしれませんが、そういう観点で整理が必要 になってくると考えたところでございます。 ○高橋(紘)委員  今のご発言のやりとりを伺っていて、若干コメントをさせていただきたいのですが、 これは、介護部会の資料に出ておりますが、介護制度については年齢で区分するという のは理念的におかしいと私はかねがね考えております。そういう意味では、0歳から介 護の必要な方がたには給付を行う、そういう仕組みをつくるのが大前提でございます。 もちろん、今の介護保険は高齢者介護保険でございますから、老化に伴う要介護状態と いうことに引きづられた制度設計になっておりますが、これは介護保険部会の議論をレ ビューしております立場からいえば、かなりそこら辺がフレキシブルな構造になりつつ ある、そういう方向で出ている。とりわけ私は注目しているのは地域密着型サービスと か、地域のさまざまな支援をできるような仕組みにしていこうという方法がございます ね。そこら辺は一つの方向性が出ていると思っていますが、障害者サービスを市町村で これからやるということになれば、このやり方の基盤を十分活用していけると私はみて おります。  第2の点は、私は1号被保険者ではなくて2号被保険者でございますが、障害をおも ちの方も2号被保険者の保険料を負担しているわけでございます。これが実は給付にな っていないということは、制度上の、むしろ介護保険の欠陥だと私は思っております。 当然、介護の請求権があって、訴訟を起こしてもいいぐらいの話だとかねがね思ってお りまして、そういう意味ではここの問題をどう考えるかという理論でいえば、調整をす ることは極めて合理的だと私は考えております。  さらに、もちろんその背景にございますのは、前も大濱委員がおっしゃいましたグラ ンドデザインを絵に描いたモチにしないため、そういう議論がございますが、これは現 実問題としてやはり介護保険を活用するということは、先ほど企画官が障害特性に応じ たサービスに資源集中をする、そういう構造が可能になってくるということでございま すが、これはとりわけ大濱委員から、給付が全体、横に並ぶのではないかとおっしゃい ましたが、私はそうは思っておりません。ややしばらく相当な障害者施策の整備のため の資源投入が必要である、そういう認識を大濱委員以上に私はもっております。そうい う意味では、それを可能にする仕組みは、介護保険の活用はここでも有力な選択肢とい いましたが、私はそう考えております。  現在のさまざまな判断を、これは理念的な判断ではなくて現実判断を媒介とし、今の 制度構造を把握するならば、こういう整理をきちんとして介護部会に提言するというの は我々の責務ではないかと私は認識しております。もちろん、さまざまな指摘があるの は承知しておりますが、そこら辺は制度上の工夫と概念の整理、これは非常に短い期間 の中でもやっていくべきことだと考えておりますが、大筋はそういう方向でぜひ議論を 組み立てないと、まさにグランドデザインがグランドでなくなる、私はそういう危惧を 極めて強くもっております。以上でございます。 ○斎藤委員  この資料の4ページの基本的視点のところにも「就労促進等による障害者の自己実現 」と書かれておりますが、これはもとへ戻ってグランドデザインの話をしてよろしいの ですね。前回、質問ができなかったわけですが、どこで質問すればよろしいのでしょう か。このグランドデザインの件です。 ○京極部会長  では、どうぞ質問してください。 ○斎藤委員  このグランドデザインの概要を、この1ページに基本的な視点として3本の柱が示さ れまして、それに基づいて、先般、説明がなされたわけです。この中で「制度持続の確 保について」というのは、我々も非常に重要な課題だととらえております。その上に立 って意見を申し上げたいと思いますが、「自立支援型システムの転換、保護から自立へ 」という大きな柱が立てられております。この中の「障害者が就労を含め、その人らし く自立して地域で暮らし、社会に貢献できるシステムを進める」、これが今回のデザイ ンの大きな柱の1本であります。これは大変すばらしいことでありますし、我々もその 目標に向かって今やっていくところであります。  この短い表現の中にいくつかのキーワードがあるわけです。一つは自立した生活、一 つは社会参加、一つは社会貢献、そして就労ということがここで表現されております。 これらはだれもが願っていることでありますが、現実問題として残念ながら実現できて いない。そのために、施設にいたり居宅で親の庇護のもとに生活している、こういう現 状ですね。これをこのデザインで打破して新しい制度にもっていこう、こういうふうに 解釈をしているわけであります。  この実現には、私は最低三つの条件が揃うべきだと。一つは所得保障です。一つは住 宅政策です。一つは支援スタッフを含んだ支援システムです。ところが、このデザイン 案にこの三つの具体的な推進策が私は読みきれないわけであります。それで、一つ目の 所得保障について我々は、ただのお金をください、こういうふうには申しておりません し、心身状況が許すならば少しでも働いて収入を得たい、これはだれでも願っているこ とだと思っています。  そこで、前回、笹川委員だったと思いますが、所得保障について質問をされました。 北川企画官は、「所得保障については稼働能力の向上で考えている。ストレートな所得 保障については今は考えていない。しかし、将来、課題として検討することもある」、 こういうふうに答えています。所得保障について稼働能力の向上をはかる、このことに ついては私も全く同じ考えです。  そこで、今回、就労問題を一つの柱に取り上げておりますが、今回のグランドデザイ ンの概要のところには、就労促進についての言葉は一個も出てきません。本来ならば、 この概要の3ページの「障害者が常に地域で暮らす」というあたりに大きな柱で位置づ けられるものだろうと思っております。そして、やっと説明資料の2ページの2の2 に、「雇用施策と連携した就労支援」という項目が出てきまして、15ページだったと思 いますが、そこで縷々説明がされております。べつに労働のほうを批判するわけではあ りませんが、長年労働施策をいろいろやってきていただいております。  しかし、現実の数字を少し挙げさせていただきたいのですが、昭和52年ですか、身体 障害者雇用促進法によって法定雇用率化された。あのときの雇用率が、多分0.9前後だ ったと記憶しております。現在、もしダブルカウントをしなければ、対象従業員数1700 万に対して18万ぐらいの障害者雇用ですから、1.08%ぐらいです。27年間、全然改善さ れていない。  さらに、ハローワークに対する求職者が今、15万5000〜6000人、多分登録される。新 規だけで8万人台登録されています。就職に結びついているのは20%以下です。新規に 対しても30%台です。さらに、養護学校の毎年3月に卒業する若者、この人たちも就職 に結びついているのは20%以下です。こういう障害者の雇用状況の厳しさを今回の改革 の中でどう改善するか、この案をここへ出してもらわないと、人間らしく地域で生活す るということは成り立たないと思うのですね。  その上に立って、今回、施設の体系を見直す。このときに、今の例えば授産施設、こ れは障害者、母子家庭のお母さん、いろいろおりますが、9万人を超える人が利用して おります。今回、障害者関係で申しますと、どこにいくのか。今のような厳しい雇用状 況の中で就労移行がどうしたらできるのか、このことをデザインに書いていただけない かということです。  もう一つ、福祉工場です。福祉工場の改善版がここにありますが、福祉工場を成立さ せるためにはいくつかの条件が必要です。一つは仕事の確保です。今は仕事が全くとれ ないのです。ご承知のように、日本の経済市場も大体中国を中心に東南アジアへいっ て、安い品物をつくっていると彼らも装備しているわけですから、そういう中で限られ た職員数でどうやって仕事をとろうとしているのか。それから、企業が我々に仕事を出 してくれたものに対する支援策、優遇政策、これもここに出てこない。  もう一つは費用負担の問題です。福祉工場というのは雇用契約です。今回、義務的経 費化したいと、大変ありがたいことです。しかし、義務的経費イコール個人給付です ね。今、福祉工場は箱投げですが、個人給付になる。個人給付になると費用負担が発生 するのです。福祉工場の従業員は雇用契約を結んでおって、なぜ施設利用料を払わない といけないのか。これはだれが考えてもおかしい。地域生活を実現するためには、私は 絶対、雇用を促進すべきだと思っています。整備すべきだと思っています。そういう案 をこの中に書き込んでいただきたい。  先般、丹下委員が、労働と福祉の連携策を法律に書き込んでほしい。二つ目に、地方 の人たちが都会に出てきて働けるシステムをつくってほしい。これはあたりまえのこと なのですね。きのう出ましたが、10月1日の高校生の来年度の就職内定ですね、これは 4倍の差があるのです。都会では60%を超えている。北海道では14〜15%。これは全 部、授産施設や更生施設に同じことがいえるのです。そうすると、この中で地域をどう 活性化させるかというのはグランドデザインに出ていない。  今いった点をぜひ、お答えはいりませんので、書き入れてください。よろしくお願い します。 ○京極部会長  私も障害者基本計画に携わった関係で、所得保障とひと言でいいますが、実は生活保 護も所得保障ですし、障害年金も所得保障だし、一般就労の稼得収入も所得保障だし、 福祉的就労等もそうですし、さらには職業リハビリとかその就労支援に対する施策、こ れも所得保障につながるわけなので、総合的な体系で一つのところに全部書き込むわけ にはいかないので、障害者基本計画をそれぞればらして書いてあるわけであります。今 回は障害福祉サービス法なので、雇用促進についてここに書くこともできませんし、生 活保護についてどうするかとか、あるいは障害年金をどうするかということは年金法で すから、そういう点では、他の連携とか抽象的な表現できちっと、丹下委員からもご指 摘があったのですが、理念のところで書き込むということで。  それを具体的に議論しますと、では雇用促進の審議会で議論したよ、とここで勝手に 決めてしまう、あるいは障害年金のことをここで決めてしまう、生活保護のことをここ で決めてしまうということになりますので、ないものねだりではなくて前向きに考えて いただいて、方向性としては全く斎藤委員のおっしゃるとおりなのですが、この障害福 祉サービス法の中に何もかにも書いてしまうことは法的にはできないことではないかと 思うので、その辺は違いはないのですが、丹下委員に発言していただいて、事務局から お答えいただきたいと思います。 ○丹下委員  今、斎藤委員がおっしゃったこと、それから部会長のおっしゃったことはそのとおり ではないかと思っております。ただ、雇用あるいは就労という概念で障害者が世の中に 出ていただくことにつきましては、確かに障害者雇用をつかさどる審議会の仕事ではご ざいますが、我がほうで必要な意見を申し上げるということはいっこうに差し支えない だろう。しかも積極的に申し上げるべきだろうと、私はそう思っております。 ○村木企画課長  私どもは、このグランドデザインを書くときの基本的視点として三つだけに絞ったそ の大きな一つの柱が自立支援ということで、その中でも就労のウエイトは非常に大きい と思っております。グランドデザインの本文を読んでいただければ、福祉施策の中でや れることについて一生懸命私どもは書き込んだつもりでございますし、そこについては またご意見をいただきたいと思います。  それから雇用政策でございますが、今、障害者雇用審議会で議論が進んでいて、こち らも同じく次期通常国会で障害者雇用促進法の改正法を提出をするということで、福祉 の部分と雇用の法律とが同じ国会に提出をされるというのはまたとないチャンスだと思 っております。実は雇用審議会でも議論は進んでいて、福祉との連携による就労支援に ついて、むこうの法律にも何かしらの規定を設けて、ハローワークがちゃんと実施をし ていくという位置づけをしたほうがいいのではないかというご議論もされているようで ございます。  そういうことも含めまして、もしお許しがいただけるようでございましたら、次回、 少し雇用の審議会の議論の状況等々もこの審議会で担当課からご報告をいただき、また ここでこれらに関するご意見をいただければ非常に有益かと思いますので、そういった 形をとらせていただくことでいかがでございましょうか。 ○丹下委員  お願いします。 ○京極部会長  では、笹川委員。 ○笹川委員  私は、今回のグランドデザインは本当にすばらしい発想だと思って素直に受けとめて いたのですが、先ほどの高橋委員の発言を聞いていますと、将来的には介護保険にすべ てまとめるというような、ちょっとそんな印象を受けたのです。厚生労働省自身はその 辺はどうお考え方なのでしょうか。 ○高橋(紘)委員  私はそういうことは申し上げておりません。 ○笹川委員  補完的な法律であるのか、本当に障害者のためにこのグランドデザインをつくるの か、先ほどのご発言を聞いていますと、0歳から介護保険に入って、すべてそれで対応 すべきだというご発言だった。そういうことなのでしょうか。 ○高橋(紘)委員  すみません、誤解を招きまして。要するに、長期ケアニーズの介護サービスについて は0歳から対応。というのは、今の議論と斎藤先生の発言は、実はここの問題をどう考 えるかということで重要な考え方のポイントの問題にかかわっていると思いますので、 少し発言をさせていただきたいのです。  今回は、先ほど申しました障害保健福祉のデザインなのですね。しかしながら、現実 には障害者の問題としては、先ほど斎藤委員から指摘のあった所得の問題あり、就業の 問題あり、住宅の問題あり、あるいはバリアフリーの問題あり、ディジタルディバイス の問題もあり、さまざまな障害者固有の、障害者であるがゆえの社会的不利という問題 は厳然としてあるわけです。私はかねがね、所得保障に対はきちんとしたデータをつく ってほしいと思っているのですが、しかしながらここで議論しているのは保健福祉、あ る意味では生活支援サービスというふうに、私なりに言わせていただければそうかもし れない、保健福祉なのですね。  しかしながら、さまざまなインターフェースはあるけれども、障害者ではなくて障害 にかかわる保健福祉サービスについてどういう支援を行うか、それについて一般制度と しては介護保険を活用し、障害について起こる固有の問題については自立支援とか三つ の給付を制度として補完するような形で組み合わせて総合的な施策にすべきである。に もかかわらず、なおかつそれで対応できない所得保障の問題があり、住宅政策の問題が あり、情報バリアフリー、そういう重層的な構造の中の一つを解こうとしている、そう いうふうに考える必要が。  ただ、従来の障害者福祉政策の中には、一般施策で非常に不十分だった問題があるの で、例えば施設給付の中に住宅対策的な側面が入って、ごじゃごじゃの問題をさまざま なものが引き起し、一般障害者雇用が非常に不完全だったので障害者福祉で雇用の問題 に対応せざるを得なかった状況があった。所得保障もそうでございます。だから、応能 負担をせざるを得なかった。所得保障がきちんとすれば、応益負担が具体的にワーカブ ルになる。そういう関係だと思いますので、そこら辺の整理をしながら議論をする必要 があるのではないかと思います。 ○京極部会長  笹川委員は、厚生労働省の見解をただすということで。 ○村木企画課長  私は、このグランドデザインのご説明を申し上げたときに何度か申し上げたと思いま すが、障害者の保健福祉がいかにあるべきかという絵をしっかり書くことがこのグラン ドデザインの目的であると思っております。そういう意味で障害者福祉、障害保健福祉 のこれからのあり方の全体像をきちっと書くということでございます。  ただ、障害者のための施策ではない形で介護保険という制度があって、それがどうし ても重なる部分があります。今は制度的に65歳以上だけが重なっておりますが、介護保 険が変わると重なる部分が増えてくる可能性があるわけでございます。そういう意味で は、そこの整理はきちんとしなければいけないし、そのときに、より国民としての我々 の生活、障害者の方の暮らしがよくなる形でその整理をどうするかということは、ここ でご議論いただければいいと思っております。  そういう意味では、どちらかが主でどちらかが従属的とかということではありません し、特に障害福祉施策としてはこのグランドデザインをしっかり議論をすることが基本 だと考えております。 ○京極部会長  この審議会でずっと議論をされてきたのですが、ややもすると障害者施策と介護保険 の統合という狭い枠で議論して、またそれについて賛否があった気がしますが、今回の グランドデザインは、障害施策のあるべき体系、もちろん就労支援とか所得保障とか、 いろいろな関連施策については議論が尽きないのですが、全体像を示して介護給付部分 と日常生活支援給付の部分と地域生活支援の事業と三つに整理したそのうえで、介護保 険との統合、障害者介護給付についてはどうするかという2段階で議論をするので、議 論の整理としては非常にはっきりしてきたのではないか。  今までは1段階で、いきなり介護保険との統合ということで議論しましたので、少し 詰まっているのでなかなか先に進まなかったきらいがありますが、障害施策のあるべき 方向からこの審議会は議論していくべきで、介護保険のあるべき姿は介護保険のほうか ら議論していく。これが将来、一致してくれば一番いいのですが、さしあたり障害者施 策のあり方を議論していただいて、私も障害者部会のメンバーでありますが、あわせて 介護保険部会のメンバーでありますので、介護保険部会、障害者部会がまとまってこう いうふうにしましょうということでないと、皆さんの理解はなかなか得られない。非常 に壁がありまして、障害者介護給付の部分を介護保険でどうカバーするかというところ まで、なかなかこの部会も進まないわけなので、そこはよくよく議論して、障害者施策 のあるべき方向から私のほうは議論を詰めていきたいと思っています。  何かほかに。 ○北岡委員  三つほど意見を申し上げたい。  一つは質問をさせていただきたいと思います。まず、介護保険の問題についてなので すが、今、安藤委員や高橋委員からいろいろお話が出ました。私は、例えば900兆円の 赤字を抱えていて、社会保障費を削減すべきだという大合唱が今、行われている中で、 税財源の支援費制度をどうやって今後発展させていくのかという問題についてどう考え るか。支援費によって、確かに障害のある人の地域生活が実現しているということも事 実だと思いますが、一方で、限られたパイにおいてその分、使えない人たちがいること も冷酷な現実として私は理解をしているということがあります。  自治体の財政力によって左右されないでサービスが提供されることを考えるときに、 国民全体が必要なお金を出し合って、それが目的のために使われる特定財源とでも申し ますか、そういうものを用意していく必要があるだろう。障害者独自の支援費制度と連 動させて、介護保険制度をそのための仕組みとして活用していってはどうかということ を、まず一つ、意見として申します。  その中で、この間のグランドデザインが次回には出るということですが、移動支援の 問題をどう考えるかということがその中でも気になっています。今のところ、前回の社 会保障審議会でも、事業だけに限らず個別給付も一方で、場合によってはそう考えてい るというようなお話があったかと思いますが、個別給付ということはどこかでちゃんと 考えていかなければ、障害のある人が地域の中で暮らしていくことの実態を、安心して いただくということについては非常に必要なキーワードになってこないかと思っており ますので、次回、この部会で提案されるというご説明がありましたが、ぜひそういう視 点でとりまとめをいただけたらと思います。  三つ目ですが、応益か応能かというときに、北川企画官から応益と応能みたいなこと のお話がありましたが、私は、弱者として無償に近いサービス利用を求めるのか、自立 した社会的存在として一定の負担をしたうえで、その権利としてサービスを使うという 分岐点にあるのではないかと一方で思っておりまして、そういう意味では応益的なもの を取り入れていくことが必要ではないか。  ただ、そのときに、先ほどの斎藤委員からのお話などと重複すると思いますが、就労 保障とか所得保障の議論が机上の議論にとどまっているような感じもしております。働 いて納税者になろうという意思をおもちの方においても、現段階ではそれはご負担しよ うと思ってもできないという現状が一方でありまして、サービスがもし応益ということ が討議されたときに、利用できなくなるのではないかという不安をおもちの方もたくさ んいらっしゃるということもあります。そのために、上限の問題については十分にご配 慮いただいた案をお示しいただければと思っております。  それから、一つ質問なのですが、サービスの給付決定の手続のところで、これは一 つ、大濱さんからご意見が出るのかなと思ったのですが、みずからサービス利用計画案 の作成の場合、これは点線になっているのですね。ほかは実線になっていて。特にこれ はそういう意味はあまり詮索しなくてもいいのかもしれませんが、何か意図があるの か。  そのことと、介護認定審査会と障害者給付審査会は同じような位置づけになっている のかどうか、この辺についてお答えいただけたらと思います。 ○京極部会長  まだこれから議論で詰めなくてはいけないご質問が入っているかと思うのですが。 ○北川企画官  最後の点だけお答えしていればよろしいのかなと思いますが。 ○北岡委員  点線になっているのは。 ○北川企画官  点線になっているのは、特段、他意があるわけではございません。制度的には当然、 こういうものは認めていくべきものだと思っていますが、現実の世界の量からみると、 すべてご自分で申請されていく方は量的には多くないのかなというイメージを少し出し た程度の話でございますので、実線でもなんら問題があるところではございません。  それから、介護認定審査会と障害者給付審査会の位置づけの違いということでござい ますが、先ほども少し触れましたが、区分は認定、それから介護状態を認定するという 意味では基本的に2次判定ということでは同じような位置づけでございます。ただ、給 付の仕組みとして上限あり・なしということがございますので、その点、障害者給付審 査会の場合にはサービス利用計画案に対する具体的な意見はいっていただく場合が追加 的にあり得る、こういう違いがあると考えております。 ○徳川委員  先ほど、高橋委員と斎藤委員の発言を聞いていて、全く矛盾するものでないし、私は 高橋委員のお考えはまさにそのとおりだと思って、賛成いたしております。ただ、0歳 から高齢者まで、介護という面では同じ内容のものであると思いますが、本当に0歳の 子ども、または障害者、高齢者の介護の内容というか質が全く同じかというと、そうで もない。その辺ははっきりしておかないと、ただ分量だけでいくとこれは危ないなと思 っております。  といいますのは、私たちの協議会でも、この辺をはっきりするために10月に500人ぐ らい職員を動員して、そして1人の職員に1人がストップウオッチをもってついて、介 護の量、そして介護の内容を24時間タイムスタディとして調べました。そして、今、そ れを三菱総研で分析し、解析しているところであります。これができたら、また非常に お役に立つと思っているのでありますが、まずやってみて、これは高齢者と障害者の施 設に分けてやったのですが、全く違うなという意見が出てきました。例えば夜のナース コール一つにしても、障害者のほうでは鳴り続ける、高齢者ではほとんど鳴らない。そ こには、分量だけでなくて内容の違いがあるのではないかと。  その辺を、介護の判定のところでどうとらえていくかということは非常に重要であり まして、この資料3の7ページには、非常に簡単に「障害種別の特性を踏まえた尺度」 と書いてありますが、これを具体的にどうやっていくのか。この辺によって、ただ少し こういったニーズが多いからつけ足しましょうということなのか、それとも内容が本当 に高齢による障害をもった人の介護と、それから障害者の介護とは全く違うのか。例え ば障害者の場合でも、出産直後に脳性マヒをもったお方と、中途で交通事故などで障害 者になった方とは、我々のほうの介護でも全く違ってくるのです。その辺の介護の違い をどこで・どのように・だれが判定していくか、これをしっかりしてこなくてはいけな いなと。これについてどのように考えていらっしゃるのかということでございます。 ○京極部会長  今後の国の検討スケジュールも含めてお答えいただければ。 ○伊原企画官  先ほど北川企画官がご説明しました制度改正のスケジュールのところにございます が、まさにこれから考えていくのですが、障害程度区分については、今、要介護認定と いうものがどれほど障害者の方がたにあてはまるかという調査をやっております。こう した結果が出てくるのはもう少し時間がかかると思いますが、出てきたものなどをみな がら、できるだけ実態に即した障害程度区分を考えていきたいと思っております。もう 少し研究が進みますと、具体的なことが申し上げられると思いますが。 ○京極部会長  では、松友委員、それから末安委員。 ○松友委員  高齢者の介護と障害者の介護はいかに違うかというお話があったのですが、同じ障害 者でも全部違うわけです。まして知的障害といっても違うわけで、だから、結局は障害 者福祉制度でも三つに法律が分けられ、分断されているわけですね。今度は年齢で分断 されている。本当に切り刻まれているわけで、これはケア論と支援論の話と制度論を分 けて議論しなければいかんのではないかと。ですから医療でも、小児科、精神科、脳外 科、いろいろあるわけで、ところがそれぞれに法体系があるのか、保険制度が別なのか というと、これは一本なのですね。これは実際の個別的な支援というか治療とか、それ はまさに個別化されている。そのあたりの議論がなぜ福祉だけこんなに、年齢で切る、 障害で切る、なんで切る、これはひと言でいうと、あまりお金を使いたくないと。十把 一からげでやっていくということのあらわれだと私は思うのです。  でも、そのあたりをもっと構造的に考えていかないと、結局はいろいろな海外との比 較等をされて福祉についての予算は著しく少ないというデータはいわれているのです が、福祉施策だけが医療とか教育に比べると法体系、制度体系、さらには財源までばら ばらになっているという状態は、ここで一気に改善していかない限りは、社会保障に対 する抑圧的な今の議論を突破できない。そういう意味では、介護と統合なのか、介護を 利用するのか、言い方は別としても、私たちは介護部分については共通で考えるべきだ といってきているわけです。  それで、三つほどわからないことがあります。いろいろきょうは説明を聞いているの ですが、本当にわからなくて自分の能力に悩んでいるわけですが、一つは、先ほど笹川 先生が質問されたのと逆のほうなのですが、グランドデザインがこんなに立派にできて いるのではなくて、そのままでいいではないかという話もあるのですが、グランドデザ インと介護保険制度とどこが違うのかなという感じがするのです。ほとんど一緒ではな いかと。そうしたら、グランドデザインは支援費制度として小さな島でいくのと、同じ ようなことが大きな島でいっている介護とでなんで分けていくのか。全然違って、こち らが圧倒的にという形だったらまた別だけど、よくも悪くも、応益負担にするのだ、な んとかするのだとみても、どこが違うのだと。そういう流れでは、大きなメインストリ ームにつないでいかないと大変なのではないかという思いがさらにするのです。  ですから、グランドデザインそのものの評価はいろいろ議論はあろうかと思います が、これが出されていて、それをつなぐかつながないかは別としながらも、どこが違う のか、ひと言で教えてほしいというのが第1点です。  2点目は、きょうの説明の資料3の7ページの上から3.(1).(1)の「平成21年 度の施行を目指して」と、これは何を施行するのががわからないのですが、何を施行す るのかなということなのです。別のスケジュールを見ると18年から施行するとか、21年 度は第2期しか施行ではないはずなのに、何を施行するのか、そのことでどこがどうな のかというのを教えてほしい。  三つ目は、これは理念的なことですが、それこそグランドデザインができて、サービ スについては障害全体を横断して云々と。しかし、いわれたようにこれはサービス給付 のことだけの横断なのですね。であるとしたら、この流れからみて、なんで知的障害者 福祉法、身体障害者福祉法等の分断された法体系そのものの総合化はスケジュールの中 に入ってこないのか。これが平成21年か45年かともかくとして、当然、これでいけば理 念的に戦略的に次にはこれにいくのだというのを打ち出していかないと、ちょこちょこ っとお金を出すためだけのレジを一緒にしたぐらいの話でいくと、社会保障審議会の位 置づけが疑われるというか、本当にそういう事務的な部分だけを統合したサービスをつ くるだけの議論では、ちょっと気勢があがらないというか。そういう総合的な基本的な 法そのものの福祉をやるのだ云々であるのだったら、福祉法の3本の総合化のスケジュ ールというか見通しについての考えを聞かせてほしい。  以上3点です。 ○北川企画官  まず1点目につきましては、障害者の方は年齢層、障害の種別もいろいろ違います し、状態も違うということで、高齢者の介護保険で用意されているメニューよりは広い 範囲のメニューを今回のグランドデザインでは提案させております。その中で介護的な もの、自立支援的なもの、地域生活を支える事業といった三つで構成しておりますが、 包含関係のメニューの広さといえばグランドデザインのほうが広い。だから、介護保険 が対象としているサービスも含んでいる関係になっておりますので、そこについては共 通する部分がある。そういう意味では、同じということではなく、規模の大小は別にし まして、サービスメニューからいくとグランドデザインのほうが広い範囲をカバーして いる、こういう違いがあるということではないかと思っております。ただ、共通する部 分をどうしていくのかという問題整理がいる、こういう認識でございます。  2点目でございますが、資料1の1ページで、障害程度区分というもので18年から走 るものと21年から動くものと二つあろうかと思います。これと、資料3の説明が不十分 で申し訳ございませんが、こちらの理解をしていただければいいと思いますが、まず現 状の実態調査をしてモデルなどの検討をして、新しい障害程度区分を18年から施行す る。そのときに、あわせていろいろなやってみたものの追跡の調査は当然必要になって まいりますので、そういう調査をしながら再度見直したものを21年から施行していく、 こういう2段階を念頭に置いているところでございます。  そういう意味で、最初に読んでいただいたところは21からの話でありまして、その下 に18からの話が書いてある。こんなイメージをもっていただければ。連動していません ので申し訳ございません。  それから、資料2の下の四つ法律があるのをどう考えていくのか、こういうお話だろ うと思います。ここの部分については、確かに一緒にしていける部分もあると思います が、一方では、例えば精神保健福祉法に医療というところについてかなり他の障害とは 違う枠組みをもっているところもあるということでございますので、単純にそこまでつ くって一本化をしていくというのは、現状においては難しいのではないだろうかと考え ております。  そういう意味で、できるだけ今回は共通化できる部分を抜き出して、こういう形の新 しい共通法の枠組みとして提示をしてきているということでございます。それ以外の部 分、逆にここに書かれている障害以外のほかの障害の谷間といわれている部分をどうす るかという問題も含めて、再度、この法律が実施されたあと、経過的に検討していく事 項なのだろうと考えているところでございます。 ○京極部会長  時間がきまして、引き続き次回以降も議論をしていきたいと思いますので、本日の議 論はここまでにさせていただいて、先ほど手を挙げた方は、次回、真っ先にご発言いた だくことにいたしたいと思います。  最後に、次回の日程等について事務局よりお願いいたします。 ○間企画課長補佐  次回は、引き続きまして、今後の障害保健福祉施策についてのご議論をお願いしたい と考えております。次回は、11月26日金曜日、午後のおおむね3時ぐらいの開始を予定 しております。いつもとちょっと違いまして、経済産業省9階・第944会議室において 開催させていただきたいと考えております。 ○京極部会長  以上で本日の部会を終了いたします。委員のご協力を得て、時間どおり終わりまし た。ありがとうございました。                                     (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)