04/11/11 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会の 第2回議事録 厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会     第2回 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会      日時 : 平成16年11月11日(木)16:00〜18:00      場所 : 厚生労働省 17階 専用18〜20会議室      出席者: 安部 好弘 委員  井村 伸正 委員           荻原 幸夫 委員  高橋 孝雄 委員           埜中 征哉 委員  林  正弘 委員           望月 眞弓 委員      議題 : 1.医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する             作業について           2.その他 事務局  定刻になりましたので、ただいまから第2回「医薬品のリスクの程度の評価と情報提 供の内容等に関する専門委員会」を開催いたします。  皆様方にはお忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。  本日、具体的な作業といたしましては後ほど細かい説明をさせていただきますが、ま ずはリスク評価を行っていく上で、そのもとになる情報の集め方について検討していた だきたいと思っております。それとともに、集められた情報をもとに、どのようにリス クを評価していくかということ、販売部会への検討状況の説明もございますので、その 報告の仕方についても時間の許す限りご議論いただければと思っております。  それでは委員長、よろしくお願いいたします。 埜中委員長  皆さん、お忙しいところをどうもありがとうございます。  まず、委員およびオブザーバーバーの方の出席状況を事務局からお願いします。 事務局  本日、専門委員のメンバーの中で細谷先生、松本先生、溝口先生、3名の先生がご欠 席でございます。なお、高橋先生につきましては少し遅れるという連絡をいただいてお ります。  オブザーバーとして出席されている先生方をご紹介申し上げますと、鎌田委員、吉川 委員、児玉委員、増山委員、安田委員、森委員に出席していただいております。 埜中委員長  議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いします。 事務局  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。一番上に議事次第がありまして、 その下のほうの資料一覧が書いてありますので、それをご覧いただきながら確認してい ただければと思います。  資料1、本専門委員会の委員名簿です。  資料2、前回もお配りしましたが、一般用医薬品の製品群という2枚紙です。  資料3、医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する留意事項ですが、 こ     れも前回お配りしたものと同じです。  資料4、「リスクの程度の評価」の作業のもとになる情報源という1枚紙です。  資料5、「リスクの程度の評価」と「提供する情報」の相関という横表です。  資料6、「リスクの程度の評価」ワーキングシート(素案)ですが、2つに分かれて おりまして、資料6−1が解熱鎮痛薬、資料6−2が胃腸鎮痛鎮けい薬というタイトル になっております。  そのほかに参考資料として、解熱鎮痛薬の医薬用添付文書のコピーがございます。1 がカロナール錠、2がブスコパン錠となっております。  資料は以上ですが、不足等がございましたら事務局までお申し出ください。 埜中委員長  それでは、議事に入りたいと思います。  前回いろいろとお話しいただきましたが、リスク評価、情報提供について一つ一つの 項目をあげていくと、かなりの作業になると思います。なかなか具体的なイメージがわ いてこないということがありましたので、一部の委員にお願いして、評価の情報の集め 方のイメージがわくように、議論のモデルとなる具体例を作成していただきました。そ の作成例が資料6ですが、それをもとにリスク評価の方法を検討していきたいと思いま す。  これについてご議論いただいたあと、時間があれば部会への報告の仕方についてご討 議いただきたいと思います。  一部の委員の先生方にお願いして資料を作っていただきましたが、その説明に入る前 に、事務局から概略をお話しいただけますか。 事務局  それでは、資料に基づきまして説明をさせていただきます。  まず資料2をご覧いただきたいと思います。一般用医薬品の製品群について、85種類 に分けて整理されておりますが、のちほどご説明いただくのは、最初のページにありま す3番の解熱鎮痛薬と15番の胃腸鎮痛鎮けい薬、この2種類が例示されるということで す。  資料3は部会で整理された案ですが、検討していく中での留意事項の項目について、 リスクの程度の評価、提供する情報、情報提供の方法・その他の対応、この3つの大き なくくりで整理したものです。  「リスクの程度の評価」の8項目にはAからHまで、真ん中の「提供する情報」につ いては(1)から(7)まで番号が振ってありまして、のちほどご説明の際にAとか(1)とい う形でご発言いただければ、どの項目についてのお話かということがわかるように工夫 させていただいております。  資料4は「リスクの程度の評価」の作業のもとになる情報源ですが、表になっており まして、左半分が「リスクの程度の評価」項目、右半分が「作業のもととなる情報源」 という見出しがついています。  左側の項目には、資料3で示しましたAからHまでありますが、それぞれについて、 右側の欄の作業のもととなる情報源として、添付文書のどの部分を抽出してくるかとい うことを整理しています。ワークシートをご覧いただく際に、こちらを参考にしていた だければと思います。  Bの相互作用のところをご覧いただきますと、併用禁忌と併用注意という2つに分け ています。併用禁忌の場合は、右側の欄にありますように、添付文書の中の「相互作用 」という欄の中に併用禁忌という情報があれば、その記載内容がワークシートの中に抽 出されてきているということになります。参考としてお使いいただければと思います。  資料5は「リスクの程度の評価」と「提供する情報」の相関ですが、縦軸に「リスク の程度の評価」項目として、先ほどのAからHまで並べてあり、横軸に「提供する情報 」項目として(1)から(7)まで並んでいまして、縦軸の項目と横軸の項目と、どういうと ころがマッチするかということをマトリックスにしたものです。左側のAからHまでを ご覧いただいて、○がついているところをご覧いただいて、視線を上に上げていただき ますと、(1)から(7)のどれかに該当するという形で、どことどこが相関するかというこ とを整理したものです。  今後、リスクの評価に関する作業を行っていく際に、情報とどういう形でマッチング していくかという中で、再度ご議論いただく資料になるかと思います。今日は参考とい うことでお配りさせていただいております。以上です。 埜中委員長  ありがとうございました。この件については、資料6に沿ってお話を伺った後に、ご 討議いただきたいと思います。  それでは、資料6について望月委員にご説明いただきたいと思います。 望月委員  資料6−1、6−2をご説明する前に、資料3、資料4を使って、成り立ちを説明さ せていただきたいと思います。今回、一般用医薬品のリスクの程度の評価を行っていく 上で、どのような資料を作っていったらよいのかということを、埜中委員長、林委員長 代理、安部委員、荻原委員と私で何回か検討を重ねてまいりました。  まず現在入手可能な医薬品の資料の中から情報の網羅性と確実性、信頼性が確保され ているという意味で、各製品の一般用医薬品の添付文書および一般用医薬品に配合され ている成分の医療用医薬品の添付文書をもとに情報を整理してみました。  その過程で、添付文書からリスクの程度を評価するための情報、すなわち資料3の左 側の「リスクの程度の評価」という枠の中に入っているAからHまでの情報を添付文書 から収集していくためには、添付文書の項目に沿った表現にこれを読みかえていくほう が収集漏れがないような形で情報が収集できるだろうということになりました。  その結果を対比させたものが資料4になります。資料4の左側が今の「リスクの程度 の評価の項目」のAからHになります。右側が添付文書の項目にこれを読みかえた形と いうふうにご理解ください。順に説明していきたいと思います。  参考資料1の最後のページにありますアセトアミノフェンの医療用医薬品のカロナー ルという錠剤の添付文書を見ながら各項目について説明させていただきます。  A.薬理作用については、この添付文書の3ページの左側の一番下に「薬効薬理」と いう項目があります。これが薬理作用に相当しますが、この薬効薬理からの情報では直 接はリスクの評価はできないために、今回の情報としては取り上げておりません。ただ し、禁忌、副作用などすべての項目に関連して、薬理作用に基づくリスクは評価される だろうと考えています。  B.相互作用につきましては、添付文書の2ページの左側に3.相互作用とありまし て表があります。この製品については併用注意のみ書かれていますが、併用禁忌という ものがある薬物があります。併用禁忌と併用注意が相互作用の欄に書かれていた場合、 これを抽出することにしました。  1ページの右側の一番下に2.重要な基本的注意という項目がありますが、この項目 にも「併用を避けること」とか「併用を避けることが望ましい」と書かれている場合が ありますので、これも抽出することにしました。  C.重篤な副作用のおそれについては、薬理・毒性に基づく場合と特異体質・アレル ギー等による場合があります。それぞれの項目によって情報提供のあり方が異なるだろ うということもあって2つに分けました。  実際に添付文書上で使う項目は、2ページの左側に4.副作用という項目がありま す。この(1)重大な副作用の項目から重篤な副作用のおそれに関しては抽出することに しました。  ただし、重大な副作用では表しきれない、重篤ではないけれど、患者にとって注意す べき副作用のおそれというのも抽出すべきであろうということで、C′として重篤では ないが注意すべき副作用のおそれというものを2つの項目に分けて抽出することにしま した。  これに関しては、2ページの右側に(2)その他の副作用という項目がありますが、専 門家としての判断も含めた上で、ここから注意すべき副作用を抽出することにしまし た。  なお、その他の副作用以外にも使用上の注意に副作用に関連する症状等の記載があっ て、注意すべきであると判断されたものも抽出することにしました。  D.濫用のおそれですが、習慣性医薬品として指定されているものについて抽出する ことにしました。  E.患者背景(既往歴、治療状況等)については、適応禁忌と慎重投与と大きく2つ に分けています。  禁忌に関しては、カロナールの添付文書の冒頭に禁忌という項目があります。投与す ると病状が悪化したり、重篤な副作用等の転帰をとったりすることがあるので投与はし ないことになっている患者ということになります。  また、この製品にはないのですが、「原則禁忌」というのが記述されている場合があ ります。これも適応禁忌の中で抽出していくことにしました。  使用上の注意の中に「○○の患者には投与しないこと」、「投与を避けること」など の表現がある場合も併せて抽出することにしました。  慎重投与に関しては、カロナールの添付文書の1ページの右側に[使用上の注意]と いう項目があります。この1番が慎重投与となっていまして、これを抽出するのと併せ て、使用上の注意の中に「慎重に投与すること」等の記述がある方については抽出する ことにしました。  2ページの右側に5.高齢者への投与、6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与、7.小 児等への投与という項目があります。ここに関しても「慎重に投与すること」とか「治 療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに使用すること」とか「安全性が 確立していない」等の記述があった場合、これらを慎重投与として抽出することにしま した。  F.効能・効果についても2つに分けました。1つは、その薬が効かないことによっ て症状の悪化につながるおそれの場合の記述、もう1つは、適応対象の症状の判別に注 意を要する場合です。胃の痛みに対して解熱鎮痛薬を使ってしまうみたいな場合です。 その2つに分けまして、いずれも基本的には使用上の注意の中の重要な基本的注意の中 に該当情報があった場合に抽出することにしました。  G.使用方法(誤使用のおそれ)については3つに区分しました。まず使用量に上限 があるもの。2つ目は過量使用や誤使用のおそれがあるもの。3つ目は長期使用による 健康被害のおそれがある場合です。  添付文書の1ページの右側に[用法・用量]、その下に[使用上の注意]、その中の 2.重要な基本的注意、2ページの右側に8.過量投与という項目があります。使用方 法ですので、このあたりから情報を抽出することにしました。  H.スイッチ化等に伴う使用環境の変化については添付文書からの情報とは異なる質 の情報ですので、Aの薬理作用と同様に、抽出の対象とはしないことにしました。  以上のような形で、リスクの程度の評価に必要なAからHの情報を一般用医薬品と医 療用医薬品の添付文書から抽出する作業を、解熱鎮痛薬、胃腸鎮痛鎮けい薬について行 ってみました。その結果が資料6−1と6−2になります。  資料6−1の左端の欄を縦に追っていただきますと、これが解熱鎮痛薬に配合されて いる成分になります。いろいろな成分が入っています。痛み止めの成分と、そうではな くて睡眠作用のあるものとか胃腸障害を軽減するものとかいろいろありますが、それぞ れについて資料4のAからHに対応するものを横軸にとりまして、その下に、添付文書 の該当項目を読みかえたものを書いてあります。  資料6−1の1ページに○があるところと○がないところがありますが、これは該当 情報があったかなかったかということを示しています。  その次のページを開いていただきますと、○がついているところにはこんな情報があ りましたよということが書いてあります。  今回は情報を整理するところまでに作業はとどめておりまして、リスクの程度の評価 は一切行っておりません。これを土台に、今後それをしていくことになると思います。  この整理の段階で、一般用から得られる情報は医療用に比べてかなり少ないことがわ かりました。その一方で、一般用にはセルフメディケーションを意識した独自の情報が 入っていることもわかりました。  これらのことを勘案して、リスクの程度の評価を行っていく上で入手しうる情報とし て、とりあえず幅広い情報を集めるという考え方に立って、医療用医薬品の添付文書か ら情報を抽出して、次に情報提供のあり方を考える段階に入った時に一般用医薬品の添 付文書の情報も念頭に置いて検討するということではどうかと考えております。  これからの作業では、各成分ごとに、まず医療用医薬品の添付文書を用いて、6−1 に示しましたワークシートを埋めていくという形で項目ごとに情報を整理して、その上 で、今後、リスクの程度の評価を行っていくための土台の材料にしてはいかがかと考え ております。以上です。 埜中委員長  ありがとうございました。今のご説明で、これからの作業のやり方についてイメージ がおわかりになったと思います。医療用医薬品の添付文書から拾い上げて、6−1の表 をまとめて、皆さんが見やすいようにして、これを集積していく作業をしていこうとい うことだと思いますが、何かご意見はございますか。 高橋委員  Cは重篤な副作用となっていて、添付文書では重大な副作用となっていますが、使い 分けがあると思うんですが、その点について説明していただきたいと思います。 望月委員  重篤な副作用のおそれというのは、添付文書の項目に合わせて重大な副作用に読みか えをさせていただきました。重大な副作用がイコール重篤だけではないと思うんです が、整理としてはそうさせていただいて、それ以外に注意すべき副作用というのがある だろうということで、「その他の副作用」にも着目しました。  アスピリンの医療用医薬品の場合は「その他の副作用」という項目の中に胃痛とか消 化管出血のようなものが出てきますが、アスピリンが配合された一般用医薬品の添付文 書にはそういう表現が出てこない場合があります。そういう場合、専門家としての判断 で、それは注意すべき副作用のおそれとして評価しておいたほうがいいだろうという意 味で、重篤な副作用のおそれというのを片方は重大な副作用で整理をして、もう片方は その他であっても注意すべきものという形で抽出しようという整理の仕方をさせていた だきました。 高橋委員  重大性あるいは重篤性を考える上で副作用の頻度というのは、この段階では勘案され てないと理解してよろしいでしょうか。 望月委員  はい。 高橋委員  副作用の起き方が突然起こってくるものと、徐々に発症して内服しているご本人も気 がつくような形で起こってくるものと、発症の仕方にもいろんなパターンがあると思う んですが、それについてもこの段階では勘案されてないということですか。 望月委員  はい。ただ、今回のワークシートでは、長期に投与という項目が別途、使用方法のと ころにありまして、長期に使用すると起こってくるような副作用に関しては、そこであ る程度は整理ができるようになっています。そんなに長く使わなくても起こってくる副 作用というのは、その他の副作用の中で抽出されてくるという形になります。 埜中委員長  頻度からリスクを判定するとか、頻度は低くても重症度があるのはリスクを高くする とか、そういう評価はいろいろとあると思うんですね。それは後で個々にやることにし て、今回は、まずリストを作ってしまおうというのが作業をしている者たちの考えで す。 増山部会委員  先ほどのご説明の中で、セルフメディケーションに配慮した説明が一般用医薬品の添 付文書にあるというお話しでしたが、具体的な例があれば教えていただきたいんです が。 望月委員  医療用の添付文書では重篤な肝障害のある患者さんは禁忌ということで使用してはい けないとなっていても、一般用ですとそれは「使用してはいけない人」という記述には 入って来ません。一般用の場合は肝障害のある人は服用前に医師または薬剤師に相談し てくださいという記述になったりしています。これは重篤な肝障害ということで重篤度 を評価しなくてはいけないためではないかと思います。  大衆薬同士の併用については医療用にはあまり反映されておりません。医療用でも解 熱鎮痛薬同士は「併用注意」としてあがってきますから読みかえできるものも一部には ありますが、全ての大衆薬について書かれているわけではありません。 埜中委員長  この委員会での作業の進め方についてご意見はございませんか。これで進めていくと しても85項目ありますので、大変な仕事になると思いますね。主に医療用薬品の添付文 書から拾ってきて表を作っていくということなのですが、それ以外の情報も取り入れて いくことは必要だと思います。 事務局  ワークシートの意味合いとしては、今後いろんな評価をしていく上で、入手可能な情 報を項目ごとに整理してみて、整理されたものをもとに具体的な評価につなげていくと いうことで、最初の段階がこのワークシートという理解でよろしいんでしょうか。  医療用の添付文書をもとした表になっていますが、一般用の添付文書と比較できるよ うな形でワークシートを作った上で、評価につなげていくという方法がとりえるのかど うかとか、このあたりも議論しておいたほうがいいかと思いまして、そういうやり方は どうなのかということについてご意見をいただければと思います。 埜中委員長  一般医薬品の添付文書と対比させるような表はできますか。 望月委員  この医薬品群の中で整理をしてはみたんですが、医療用医薬品の添付文書の項目立て と一般用の項目立てが違っておりまして、パラレルに抽出するというのはかなり難しい 作業になるかと思います。実際に対比表も作ってみたんですが、とても複雑な形になり ます。皆さんとの話し合いの結論としては、医療用医薬品から抽出された情報で代用で きる形になるだろうという結論でした。 埜中委員長  まず医療用の添付文書で項目立てをして、これからリスクを見て、最後に一般用の添 付文書を見て、ここを変えようという形で作業を進めていけばいいということですね。 望月委員  そう思います。 埜中委員長  作業の進め方についてご意見はございますか。このへんがわかりにくいとか、こうい うふうにしたほうがいいだろうというご意見があれば、ぜひ伺いたいと思いますが。こ ういう具体的な例が出たので、作業の進め方にイメージがわいてきたと思うんですが、 いかがでしょうか。  胃腸鎮痛鎮けい薬のほうはブランクになっているところがありますね。類似薬から推 察して、そこに○をつけていくという作業をするんでしょうか。 望月委員  そのあたりは先生方にご意見を伺いたい部分なんですが、一般用医薬品に配合されて いる成分のすべてが医療用として販売されておりません。このため、医療用医薬品とし ての添付文書が入手できないものがたくさんありますので、そういったものは今回の資 料では空欄になっています。医療用医薬品の添付文書が入手できる類似の薬物群につい て全部情報を整理してみた結果では、類似の薬理作用を持つ薬物群については、医療用 の添付文書が入手できる範囲で代表できるのではないかと考えております。 埜中委員長  一つの群としてまとめて書くということですね。 事務局  この表で医療用の添付文書の整理をした後に、最後の確認で一般用の添付文書を見な がらというお話をされてたんですが、最終的に確認するにあたりまして、一般用医薬品 と医療用医薬品では用法・用量も違いますし、効能・効果ということで適用される患者 さんの違いもあります。  一般用医薬品のリスク評価をする場合、医療用と一般用の対比の作業をする時のしや すさということを考えて、先ほど望月委員が医療用の項目に一般用の項目を当てはめる のは難しいとおっしゃいましたが、可能な部分については、あらかじめ項目を入れてお いたほうが、最後にリスクを評価する段階でスムーズにいくのではないかと思います。  今回用意していただいた資料では使用量に上限のあるものということで1日何グラム までというような医療用のほうの上限が書かれていますが、これに対比するような形で 一般用の用法・用量を用意しておいたほうが、最後の確認の作業の段階で楽になるので はないかと思うんですが、そのへんはいかがでしょうか。 望月委員  今ご指摘がありました用量のところは反映できるかなと思います。個別になります と、配合薬がほとんどですので、どの情報なのかというのが複雑に入り組んでしまいま すので無理だと思うんですが、一般用医薬品としての用量は普通はどのくらいなのかと いうのは反映できると思います。配合されたものですと個別にやっていくことになるの で大変かもしれないんですが、できなくはないかと思います。  今回の解熱鎮痛薬と鎮痛鎮けい薬の範囲では、用法・用量は一般用のほうが飲む量が 少ないだろうと予想してたんですが、現実には決してそんなことはなくて、医療用とほ ぼ同じぐらいの量でです。ただし、1錠中に含まれている量は少ないので、医療用です と1回1錠飲むところが一般用ですと1回2錠飲むとか3錠飲むとか、そういう形のも のがほとんどだったように思います。たまたま今回の2群がそうだったのかもしれませ ん。 埜中委員長  この前、望月先生たちと作業をした時には、医療用の添付文書からの抽出だけではな くて、一般用も見て作業を進めております。完全に医療用が終わってから一般用を見る というのではなくて、その都度、考慮してやっていきたいと思いますが、表にして比較 するというのが作業的に難しいということです。 安部委員  私も望月先生と一緒に作業をさせていただいたんですが、医療用と一般用を見てみる と、ずいぶん違いがあります。医療用の添付文書ですと、数年前にネガティブな情報を 優先的に書きなさいというふうに組み替えが行われたと思います。そういう意味で添付 文書でリスクが見やすくなってるんですが、一般用医薬品の添付文書を見ますと、ネガ ティブな情報についての表示が見えにくくなっている。薬効とか、こういう症状に使っ てくださいということは添付文書の最初にちゃんと書いてあるんですが、副作用などの ネガティブ情報は昔の医療用の添付文書のように隠れたように書いてある。  隠してはいないんでしょうけど、あまり目立たないように書いてある。医療用では禁 忌となっているような対象者は服用前に医師、薬剤師に相談してくださいという記述に なっていて、飲んではいけませんということにはなってないんですね。  そこのところのバランスを考えますと、最初に医療用医薬品で薬の物性などを見てお いて、一般用医薬品の添付文書とか表示とか情報提供のところで、そこまでは必要ない だろうという場合には、なんらかのちゃんとしたエビデンスをもって必要ないというふ うに緩めることが必要ではないかと作業をしていて思いました。 埜中委員長  非常に重要な指摘で、今回、我々が目指しているのはそこだと思います。 事務局  今後の作業をできるだけ標準的なものにしていくために細かいことを確認させていた だきたいと思います。先ほど用法・用量の話が出ましたが、その時の比較の仕方として は、医療用の用法・用量で上限がどのくらいかというのを見ていくことになるのかなと 思います。一般用の場合は配合していい1日当たりの上限量が決まっているものがあり ますので、その2種類を比較するような形で物事を見ていくということでいいのだろう と思います。 埜中委員長  こういう案を作って、これに沿って作業を進めていくということで、皆さん方、ご了 承いただけますでしょうか。部会の先生方、そういう方針でやってよろしゅうございま すか。それでは、85項目ありますが、それに沿って検討を進めていきたいと思います。 ほかに何かご意見はございませんか。 事務局  先ほど医療用にない成分は同種のものでくくれるというお話があったんですが、くく る時にどこに着目するかというと、薬理の教科書に出てくる化学構造とか基本的な薬理 作用とか、そういうところで同種であれば同じような扱いをしてもよろしいという考え 方でよろしいでしょうか。 井村委員  それしかないですから、よろしいんじゃないでしょうか。 埜中委員長  今日ご了承いただきましたので、あとは具体的に進めていくということで、この問題 はよろしいですか。 事務局  情報の整理の仕方としては、いったんここで区切っていただいてもよろしいかと思い ます。 埜中委員長  次は一つ一つの項目になりますが、望月先生から説明していただけますか。 望月委員  リスクを評価するための材料としての情報の整理は、この形のワークシートでよろし いという話になったんですが、このたたき台をリスクの評価の材料としていただくため に、もっとこういう形の表現で整理をしたほうがいいということがありましたら、お出 しいただければと思います。  資料6−1の1ページのB.相互作用のところは左側が併用禁忌、右側が併用注意と いう欄に分かれています。イブプロフェンは併用禁忌に○がついていますが、その情報 の表現としては、その次のページの下のほうにジドブジンというHIVの薬では、血友 病患者は出血傾向が増強するという理由までは書いてありますが、この表現でリスクと しての評価をしていただけるのかどうか。そのあたりは今日のこの場では難しいかと思 うんですが、次回にでもご意見をいただいた上で整理に着手したほうがいいかもしれな いと思ってるんですが。 埜中委員長  最後にはリスクの評価をやるわけですが、作業を進めていく上ではそのへんも考慮し なくてはいけないと思いますね。どのくらい重篤な症状が出てくるかというと、医薬品 の副作用報告のような症例一覧表みたいなものがあると評価しやすいんですが、一般用 の薬の合剤で症例報告はあまりないので、そのへんはなかなか難しいと思いますね。高 橋先生は小児科医としての経験から判断していきますか。 高橋委員  非常にたくさんの薬剤について、それぞれたくさんの項目を情報収集したあと、それ を判定する段階が非常に大変な作業になると思います。今はAからHまで横並びで網羅 的に情報を分類しながら収集していきますが、どこかの段階で重みづけというのが必要 になってくると思うんですね。常識的に考えると副作用の重篤さという項目がリスクを 判断する上での重みづけとして一番大きくなると思うんですね。  その一方で、非常にまれな組み合わせで、珍しい病気の患者さんに使用された場合に 起こりうる副作用のリスクを判定する上で、どの程度、重みづけをするのかということ を次の段階で決めなくてはいけないと思います。いま望月先生があげられたのはいい例 だと思うんですが、そういう例をいくつかあげていって、重みづけの指標を決めて、そ のパターンに従って全体を評価するということになると思うんですね。本当は一つ一つ 全部やらなくてはいけないと思うんですが、それだと何年かかっても終わらないという のが私の危虞するところです。 埜中委員長  部会ではリスクの評価についてずいぶん討議されたと聞いております。部会の方のご 意見も入れてリスク評価をしていかなくてはいけないと思うんですが、そのへんについ てオブザーバーの部会の先生方はいかがですか。  我々は各項目を全部抽出して、その中でリスク評価をしないわけではなくて、ある程 度はやっていくんですが、最終的にはリスク評価の指標みたいなものを作っていく。そ れに合わせてやっていきたいというのが我々の考えなんですが、部会の報告書を見ると リスク評価というのは非常に難しくて、結論が出てないような感じがしたものですか ら。こういうふうにしたらいいとか、どういう方向でやったらいいとかサジェスチョン があれば伺いたいと思うんですが。なければ、我々の案のようにやりなさいというお墨 付きがいただけたものと理解しますけど。 増山部会委員  この作業表を見ていて、最終的にリスクを評価するというのはすごく難しいなと改め て実感しました。アスピリンとか単体で作用を見ているわけですよね。でも医薬品には たくさんの成分が含まれているわけで、個々では問題なくても、5つとか6つの成分が 一緒になった時のリスクは大きいと思います。かぜ薬なんかそうだと思うんですが、飲 む側は熱がなくても総合感冒薬のほうがいいんじゃないかと思って、全部の作用がある ものを飲むというのはよくあることだと思うんですね。成分に加えて、消費者の知識と か、どういうケースで飲むのかとか、いろんなことを考えると、かなり難しい作業にな るなというのが私の個人的な感想です。 安部委員  今回の対象となる成分は、免疫抑制剤とか抗癌剤とか、もともと物質として非常に大 きなリスクがあるものではなくて、物質としては長年使われていて、比較的安全に使わ れている大衆薬ですよね。それを使用する消費者の状況とか、何か病気をもっていると か、別の薬を飲んでいるとか、必要な知識がなかったり、必要な情報がなかったりする 場合に起きるリスクは、供給する側が口頭とかで説明する情報もあるでしょうし、添付 文書もあるでしょうし、購入する時に消費者が一番最初に見る箱に書いてある情報、そ ういうところを勘案して、状況に応じてどういうリスクがあるかというところに着目し て評価をしていかなくてはいけないのではないかと思っています。もちろん物の評価も しなくてはいけないわけですけど。 埜中委員長  今日いろいろとご意見を伺って、作業としては6−1、6−2にあるようなものをし ていくけど、ただ単純作業ではなくて、リスクなどを考慮しながら検討する。最終的に はリスクを分けで、それを情報発信することになると思うんですが、今日のご意見で は、そういうことを考慮して作業を進めていったほうがいいということだと思います。  85項目について一部の先生方でやるのは大変だと思うんですが、いかがですか。 望月委員  大変なことは確かです。解熱鎮痛薬について整理をする時に、まず最初に解熱鎮痛薬 に配合されている成分の抽出がありまして、そのあと、それぞれの成分を含んだ医療用 医薬品が販売されていれば、その添付文書を収集するという過程がありまして、その次 にこの表に関して整理をしていくという形になります。  今回の作業は初めから終りまで自分一人でやってみましたが、私は添付文書を見るの は慣れているほうだと思うのですが、解熱鎮痛薬だけをやるのに日勤帯の時間を1日は 遂やしました。間違いがあってはいけないと思って何回も見直しましたので、それも含 めて日勤帯の時間をほぼ1日使いました。添付文書の収集から始まって、最後の情報整 理、見直しまでということですが。 埜中委員長  皆さんで手分けしてやっていかなくてはいけないですね。実務的に何か問題点はあり ましたか。 望月委員  医療用の添付文書を用いる場合、先発品と後発品といろいろな添付文書があります。 先発も後発もわからないような成分と、きちんと先発品がわかるような成分があるわけ ですが、先発品がわかる場合には、基本的には市販後調査は先発品のほうが情報を収集 していると思いますので、それが添付文書に確実に反映されているという意味で、先発 品の添付文書を使用させていただく。それ以外に関しては、どこの製品のものを使って もいいのかというあたりのご了解をいただけるとありがたいんですが。 埜中委員長  医薬品では添付文書は先発品と後発品は同じにそろえてありますよね。違いますか。 事務局  市販後に出てきた副作用情報をもとに使用上の注意の改定を行う場合は、「こういう 成分を含有している医療用医薬品についてはこの副作用を追記する」という形で業界団 体等に指示しておりますので、市販後に出てきた副作用情報に伴って添付文書に注意を 付加するということであれば、そこは先発品も後発品も区別なく記載されていると考え ていただいて結構だと思います。 埜中委員長  市販後調査の前の段階のデータが書いてあるものがよくありますよね。それが違うわ けですか。 望月委員  今回、先発品と後発品と両方使ってやってみたものもあるんですが、情報の書き方が 異なっています。必要な情報は全部載ってるのかもしれないんですが、量が違うかなと いう感じを受けました。 埜中委員長  我々医療側で使っている時は先発品も後発品も添付文書は同じような感じですよね。 事務局  今回、AからHまで各項目ごとに情報を抽出してくる時に使う個所に関しては基本的 に同じだと思います。いろいろ情報をたぐる上で、同じ成分で異なるブランドの添付文 書を全部見なくてはいけないかというと、そうではないと思いますので、どれかで代表 させるとすれば、扱いやすいものを一つ使っていただければ、基本的には同じものにな るかと思います。 井村委員  望月先生がちょっと違うのではないかと思うとおっしゃったのですが、どういうふう に違うんですか。 望月委員  今回は副作用の発現頻度で抽出するのではなくて、専門家として考えた時に重要だと 思われるものを抽出することになりますので、いいとは思うんですが。1回目の抽出作 業の時に、その他の副作用の中から抽出するものとしては、中止したり減量したりする 必要があるという記載がある場合、それを抽出しようということで作業を始めたんです が、そのあたりになりますと添付文書ごとに記述が微妙に違ってるんですね。基本的に は同じような情報が書かれているんだけど、頻度が違うとか、そのへんは製品ごとで副 作用の収集症例数なども異なっているので、変わってくるのかなと思います。 埜中委員長  事務局として、ここを検討してほしいというところはありますか。 事務局  先ほどイブプロフェンの例で、相互作用の併用禁忌のとらえ方ということで例示をさ れていたかと思いますが、イブプロフェンの場合ですとジドブジンというものが書かれ ているというところで事実が確認できたということだと思います。全体をやってみて、 併用禁忌の欄にどういう記載が具体的に出てくるかを横の目で見てみて、その時にどう いう幅の記載があるかを見た上で、その項目をどう捉えていくかという作業にならざる をえないのかなと、先ほどのご意見を聞いて、いま思っていたところです。  いずれ個々の項目を何らかの形でどう評価していくかという議論になると思います が、その際、どういう情報がそこに吸い上げられて、各欄に書かれているということが 確認された段階で、その項目をどのくらいのものとして扱っていくかという議論がなさ れるのかなと思いました。 安部委員  ワークシートを埋めていく中で、添付文書の主要文献のところが企業情報しかないと いうものもありますので、同一の企業の同一の情報というんでしょうか、そういったも のに関しては本来でしたら評価済みの情報を見なくてはいけないんでしょうけど、今回 は時間の関係で添付文書でやるということですので、ちょっと偏った可能性があるもの に関しては評価情報を読まなくてはいけないかなと思っております。 増山部会委員  確認させていただいていいでしょうか。資料2の一般用医薬品の製品群の表なんです が、コンタクトレンズ装着液とか一般用医薬品から医薬部外品に移行しているものも入 っていると思うんです。これはたまたま入っていたのかもしれませんが。スイッチした ものとか、販売形態によって医薬品を扱う範囲が若干違うと思うのですが、そういうも のが全部入っていると考えてよろしいでしょうか。 事務局  85のリストアップした製品群に関しては、市販されている本の各カテゴリーごとのも のを列記した形になっていますので、つい最近、部外品に移行したような品目に関する ものもこの中には一部ございます。その中で顕著なのが66番のコンタクトレンズ装着液 なんですが、今までここに該当していたものは全部部外品になっていると思います。今 回は一般用医薬品を中心とした検討ですので、事実上は空欄のような、作業の必要がな くなっている部分に当たるのかなと思います。  ほかの移行品目に関しては1から85の中に少しずつ散らばっているような状況ですの で、残されたものについての検討は必要になってくるかと思います。 埜中委員長 これ以外に残されたものがあるということですか。この中に入らないで。 事務局  85のうちのほとんどについて、そのうちの具体的な個々の1品目、1品目の中で部外 品になったものはありますが、なんらかの製品がそれぞれのカテゴリーの中には存在し ますので。 埜中委員長  この中ですべて網羅できるということですね。 事務局  存在するものの中で成分を捉えて、情報の抽出というのは作業として出てくるかと思 います。 埜中委員長  先ほど望月先生が先発品と後発品の添付文書があまりにも違うものがあるとおっしゃ ったので、そういうものについてはノーテーションをつけておいて進めて、あとで整理 していただいたらどうかという提案でございます。そのへんも統一することが大切です ので、お気づきになった時はお願いします。 望月委員  全ての後発品、先発品の添付文書を比較することは無理かも知れませんが、もし、情 報に違いがあることに気づいた場合は情報量の多い添付文書からワークシートは作成し て、こちらのほうは少なかったということを明記するように致します。 事務局  部会への報告については、このワークシートが示されて、ご説明いただくことになる と思いますが、部会でどういう説明の仕方をしたらいいかという議論を少ししていただ ければと思います。今日この場で出ました意見、こちらから確認させてもらった事項を 書き出して、一つの考え方を文章にしたものもワークシートと併せて報告の内容として はどうかと思っているんですが、報告の仕方についても少しご議論いただければと思い ます。 埜中委員長  22日に部会で私が報告しなくてはいけないんですが、この委員会としては6−1、 6−2にあるような各医薬品について一覧表を作って、それに従って作業を進めていく ということを申し上げたいと思っているわけです。リスクの評価というのは最後にまと めてやろうと思っていたんですが、個々にもその場でいろいろと検討しなくてはいけな いという意見があった。部会ではリスクの評価法についてかなり検討しておられたの で、そのへんのご意見を伺いたいと思って部会に出席したいと思っています。そのほか にこれだけは言っておけということがありましたらお願いしたいんですが。 事務局  先ほどのコメントが不足していましたので付け加えさせていただきます。情報の集め 方についてワークシートを使うということが今日議論になりましたので、その先の作業 を委員会でした上で部会に報告した時に、そもそもこのワークシートに基づく整理の仕 方自体がいかがなものかという話になった場合、せっかく委員会の中でやってきたこと が最初に戻ってしまうような状況になりますので、まずは情報の集め方はこういうふう に整理してみたいという部分を部会に報告して、ご確認いただくことが必要かと思いま す。そろそろ情報の集め方について委員会の中でまとまってきた段階で報告というタイ ミングが来たのではないかと思ったので、先ほどのような提案をさせていただきまし た。 埜中委員長  望月先生のお世話になって、解熱鎮痛薬と胃腸鎮痛鎮けい薬のワークシートが出てき たわけですが、今後これをどのようにして広げていくか。それも報告しなくてはいけな いと思うんですが、望月委員は何か案がございますか。 望月委員  いま事務局からありましたように、作業に入る前に、このシートの項目で抽出して材 料にするということを部会のご了承を得た上で作業に入りたいと思っておりますが、部 会の委員の半分ぐらいの方にオブザーバーとして出席いただいているんですがいかがで しょうか。 高橋委員  こういった抽出方法でいいかどうか、部会でゴーサインを出すかどうかで作業が無駄 にならないようにというご指摘ですが、ある程度、情報が抽出されたものを見て判断し ないとわからないので、やってみて、うまくいくかどうかということが重要だと思いま す。  アトロピンに関して全く情報がないですよね。記載がないのでしょうがないんですけ ど、明らかに指摘されるようなポイントがこの時点で抽出されているので、それをその まま持ち込むよりは、なんらかの解決策を示していただいて、それについて部会で検討 したらいかがかなと思います。 望月委員  今回の成分抽出に関しては、承認基準にリストされている成分を基本として抽出作業 に使いました。承認基準にはリストされているけれども、現在、製品としてその成分が 配合されて出回っているものが全くないような成分もありまして、作業をしていく上で は、現在、出回っている製品の成分を対象にして作業をしたほうが効率はよいかなと思 っています。アトロピンについて現在市販のものに配合されているかどうかまでは確認 しておりませんが、かなりの成分があまり使われてなかったりします。 埜中委員長  部会への報告に先立って、こちらでしておくこととか、部会の先生からこれだけはや っておいてほしいということはございませんか。 井村委員  非常に大変な作業をしていただいておりますので、これが無駄になるなんていうこと は絶対にありえないと思います。部会のほうで何かこれに付け加えてくださいという話 はあるかもしれませんが、これではならんなんていう話はないと思います。作業は進め ていただくようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  15日に3回目の委員会がありますよね。そこでの作業はどういう予定になるんでしょ うか。 事務局  このタイミングで部会に報告したほうがいいということになれば、部会への報告の仕 方について、こういう資料で報告をしたらどうかという具体的な議論ができればと思っ ています。そういった確認のようなことが必要であれば、15日の委員会が使えるかと思 っております。 高橋委員  大変重要なファクターが時間だと思うんですが、膨大な情報を処理する必要があると いうことで、部会が空回りしては困ると思うんですね。必ず出るであろう議論は、これ は第一段階で、リスクに関する情報の抽出の段階だとは言いつつ、この情報を使ってリ スクをどう評価しますかという話が必ず出てくると思うんですね。その次に、それに応 じてどういう情報提供をするかという議論になると思います。段階を追ってやっていく にしても、第一段階の情報収集の段階で、それをどのように利用していくかということ について議論が進められるような素地が必要だと思うんですね。  85全部についてやるのは無理なので、解熱鎮痛薬は役に立つ薬のグループですので、 一つだけ例をあげていただいて、その中で具体的にこの情報をどうリスク評価に結びつ けていくかということについても、部会が検討する上で参考にできるような資料という かアイディアというか、そういったものが付加されたような形で情報提供されるとさら にいいかなという気がします。 埜中委員長  今後いろいろなデータが出てきて、リスクの評価は最後にやるとしても、少なくとも 解熱鎮痛薬については一つの例を作っておいて問題提起にするということですよね。 高橋委員  例えば解熱鎮痛剤に関しては、こうやって抽出された情報をこのように利用して、リ スクを考えましょうとか、リスクにしても重い軽い以外にリスクの種類がありますよ ね。濫用に関するリスクと、起こった副作用の重さに関するリスクは種類の違うリスク ですし、年齢によって全く副作用が違うというのは、飲まれる方の背景に重きのあるリ スクになりますし、リスクの種類も分けなくてはいけないと思うんですね。  部会のほうでも頭の片隅にはあると思うんですが、そろそろ具体的な議論を進めない と間に合わないような気がいたしまして、そのきっかけになるようなデータを少しでも 報告していただけるといいかなという気がいたします。 埜中委員長  リスクというのも一重丸にするのか二重丸にするのか、リスクとしてどこまで評価す るのか。点数制というのはなかなかできないと思うんですが、点数制的なものにするこ とを試みるのか、そのへんのところが難しいんですね。重篤さからみたランクづけ、も う一つは頻度からみたランクづけをやってみて、その両方を総合判定してランクづけを するという形にだんだんなっていくんだろうと思いますけどね。 井村委員  こういう情報の中で、重篤な副作用の頻度というのはどのくらい得られますでしょう か。 望月委員  重大な副作用の場合は頻度不明というのが多いんですが、母数がわからないというの が実情だと思います。その他の副作用に関しては0.1%未満と0.1%以上5%未満とか大 きなくくりで書かれていますので、どの程度参考になるかわかりません。 高橋委員  重篤な副作用に関しては頻度にかかわりなく情報提供する必要が出てくると思います し、重篤な副作用のある程度以上の薬物はこういったカテゴリーに許されてないと思う んですね。頻度が問題になるのは、それほど重篤ではないけど非常によく起こりうる副 作用がある場合だと思うんですね。ですから重篤な副作用の頻度が不明というのはあま り問題にならないような気がします。 望月委員  その他の副作用というのは0.1%未満、0.1から5%以上かまたは頻度不明という大き な枠組みのくくりの記述で登場する形になりますので、0.1から5%の間の副作用の発 現頻度というのをどちら側に偏った頻度ととるかというのは難しい部分があるかもしれ ません。ここは医薬の専門家委員会ですから、専門家の立場で、経験的なものも踏まえ てこれはかなりの確率で起こるし、非常に注意すべき副作用ではないかという判断をし ていただく方が確実かもしれないという気がいたします。 埜中委員長  高橋先生とか我々小児科の医者というのは解熱剤をやると薬疹がよく出るとか、そう いうことはわかりますので、医療側からサジェスチョンできると思いますけど、安部先 生のように実際に現場で売っておられる方が副作用の頻度を把握するのは難しいことで すか。ある程度の頻度はわかるんですか。 安部委員  いや、全然わからないですね。添付文書上に何%と書いてあっても、これは起こりに くいか起こりやすいかは個々の消費者には関係ないんですね。起こってしまえば100で すし、起こらなければ0ですし。眠気とかそういうのは個人の感受性で起きるかもしれ ませんけど、起きた時に大変なことになる、それを未然に防ぐために情報提供できれ ば、そういうところがリスクとして押さえるべきポイントじゃないかと思います。  スティーブン・ジョンソン症候群は大変重篤ですけど、起きるか起きないか、飲んで みないとわからない。起きるとわかっていたら飲む人はいないわけです。起きた時に重 篤な症状かもしれないということで、いち早く受診をして処置をするために情報提供を するわけですので、10万人に1人SJSになる、だから薬を飲まないという選択はない かもしれませんし、飲まないという選択もあるかもしれません。情報提供をして、その リスクを消費者が知って、飲まないでおこうとか、そんなことはまれなのであれば、私 は痛いから鎮痛剤を飲みますよという選択権は消費者にあるんじゃないかと思いますの で、我々がリスク分類をして、ちゃんと情報提供できる状況を作ることが大切なのでは ないかと思います。 埜中委員長  今回のこの委員会は薬の安全性の段階づけということが使命として与えられているの で、危険度とかリスクのランクづけのようなことはしなくてはいけない。一般薬だから 安全だというけど、スティーブン・ジョンソン症候群はかなり重篤なものですから、そ ういうものが起こるとなると、危険度の高いところにランクづけられると思うんです ね。個々のものについて現場の方と話をしていかないとわからないですね。  医薬品ですと、ある薬でスティーブン・ジョンソン症候群が起こったのは何%かとい うのは出てきませんけど、毎年どのくらいの頻度で出てくるかというのは情報としては 集められるわけですね。もし必要であれば、カロナールでSJSがどのくらい出たかと いう報告はつかまると思うんですね。そういうものも参考にすべきだと思いますが、そ ういう重いものよりは、一般薬ですから軽いものが多いわけですよね。そのへんの評価 は難しくなると思いますけど、11月15日に、そういうことも含めて討議しますか。 事務局  予定として15日がありますので、いま話題になっています抽出した情報の取り扱い方 とか、安全とかリスクとかすべて含めて討議をしていただくことになります。どういう 形で報告できるかということを併せて議論していただいて、まとまったところはまとま ったという報告になるでしょうし、いろんな意見があるという内容であれば、議論がさ れたという報告になるかと思います。15日はそういう使い方は可能かと思います。 埜中委員長  15日にそういうことでいろいろと討議をして、部会に報告ができるようにしていきた いと思います。今日はいろいろとご意見をいただいてありがとうございました。ほかに 何かございませんか。  それでは、11月15日に委員会が開催されますので、本日いただいた意見を踏まえて、 事務局と私で案を作って、次回の資料の準備をさせていただきたいと思います。次回、 いろいろご討議いただいて、それを部会に上げたいと考えております。 事務局  次回は15日、午後4時から6時となっておりますので、よろしくお願いいたします。 埜中委員長  それでは、以上をもちまして本日の委員会を終了させていただきます。どうもありが とうございました。                                     (了)                         (照会先)                         厚生労働省医薬食品局審査管理課                            TEL:03-5253-1111(代表)                           担当:紀平、山脇(2743)