04/11/05 第1回食品の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する研究会 議事録 第1回食品の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する研究会(議事録)                        厚生労働省医薬食品局食品安全部                         平成16年11月5日(金)                         10:00〜12:00                         於:経済産業省別館1012号室 ○広瀬企画情報課長補佐  それでは、定刻となりましたので、ただ今から「食品の安全に関するリスクコミュニ ケーションの在り方に関する研究会」を開催いたします。本日は御多忙のところ、御参 集いただき、厚く御礼を申し上げます。  本日は、金川構成員、神田構成員から事前に欠席との連絡を受けております。  最初に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。  お手元に、議事次第、資料1として「食品の安全に関するリスクコミュニケーション の在り方に関する研究会開催要綱」、資料2「名簿」、資料3「厚生労働省におけるリ スクコミュニケーションの現状」、資料4「主な検討項目(案)」、資料5「今後の進 め方(案)」、参考資料といたしまして、参考資料1「関係法令」食品安全基本法と食 品衛生法の関係している部分の抜粋になっております。参考資料2「食の安全に関する リスクコミュニケーションの現状と課題」内閣府食品安全委員会でまとめたもののう ち、付属資料だけ取り除いた形になっております。参考資料3−1、3−2「意見交換 会における配付資料」、参考資料4「ホームページによる情報提供」、参考資料5− 1、5−2「意見交換会参加者の意見等(アンケート結果)」になっております。  もし、不足等ございましたら、お申し出ください。  それでは、議事に入りたいと思いますが、研究会の開催に当たりまして、食品安全部 外口部長から御挨拶を申し上げます。 ○外口食品安全部長  食品安全部長の外口でございます。  本日は、大変お忙しいところ、研究会に御参加いただきましてありがとうございま す。昨年7月に食品安全基本法が施行されまして、リスク分析の考え方が取り入れられ た訳でございますけれども、その中で新たな取り組みとしてリスクコミュニケーション についてもスタートした訳であります。  これまで1年と少しの間、このリスクコミュニケーションについて色々取り組んで参 りました。私もちょうど最初の1年間、リスクコミュニケーションを担当しておりまし て、実際に1年に30回以上は現場にいたと思いますけれども、その中で心がけたこと としては、省庁間の縦割りが見えないように連携を良くしてやろうということと、それ から参加された方の意見を良くお聞きしよう、こういうことを心がけました。  実際、リスクコミュニケーションの意見交換会の後で、ここの資料の参考5のところ にもありますけれども、アンケート調査を匿名でやりますと、そこの自由記載の所に大 変参考になる御意見をいただきました。  また、意見交換会が終わった後で、しばらく残っておりますと、「みんなの前では言 わなかったけど」というような生の声をだいぶお聞きいたしました。これが大事だなと 思いました。そういった中で、最初は、一方的な行政説明会ではないかというような意 見が、段々、単なる質疑応答ではないかと少しグレードアップしまして、中には少しは 意見交換会らしくなったと、行きつ戻りつではありますけれども多少変わってきたよう に思っております。  もちろん参加される方様々でありますし、要求されることが、それぞれでございま す。それらの方全て満足されるようにするには、まだまだいろんな取り組み、いろんな 工夫が必要だと思っております。食品安全委員会の方でも「食の安全に関するリスクコ ミュニケーションの現状と課題」という資料の中に入っております参考2であります。 リスクコミュニケーションの基本的考え方というもの、その理念等をまとめていただい たところであります。  私どもこの研究会で目指しておりますのは、もちろんこの基本的考え方と共通する部 分が多い訳でございます、もっと実務的に実際にどういうふうにやるのが良いのか。も っと実務レベルでの検証をしていただく。あるいは今後の方向性について御検討いただ く、そういったことを御議論いただければと思っております。  いずれにいたしましても、このリスクコミュニケーション、毎年毎年その中身を発展 させ、より良い物にして行くべきだと思っておりますので、是非、忌憚のない御意見、 御議論をお願いできたら幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○広瀬企画情報課長補佐  ありがとうございました。大変申しわけありませんが、食品安全部長は用務のため、 ここで退席させていただきます。  引き続き、議事を進めさせていただきたいと思います。本日は、初めての会合となり ますので、まずは、各構成員の方から自己紹介をお願いしたいと思います。  岩淵構成員からお願いしたいと思います。 ○岩渕構成員  岩渕と申します。今年の3月まで産経新聞の論説委員にいまして、今は客員で肩書き だけ残っているのですが、食品との関わりと言いますと、BSEの時の農水と厚労省の 調査検討委員会の委員をいたしまして、報告書を一部執筆しまして、農水省と自民党農 林族をかなり手厳しく批判しまして、恨みを買いまして、厚労省には少し迷惑をかけた なと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大山構成員  キューピーの広報室、大山敏雄と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。  私は広報室という所に勤務して8年になります。それ以前は食品のベビーフードの食 品開発ということを担当して参りました。赤ちゃんの食べる食べ物を作るときに、どう しても現場の消費者の意見をくみ上げるということが大事ということでございました。  多分、今日ここで呼ばれていただきましたのは、実際広報室ということでいろんな行 政、業界、消費者との接点を持ってるということで呼ばれたのだと思っておりますの で、よろしくお願いしたいと思います。 ○加藤構成員  初めまして、全地婦連の加藤と申します。私どもの組織は、町や村の婦人会が群市に 加盟いたしまして、群市が県に加盟いたしまして、その県、47都道府県、それから3 つの政令都市が加わりまして、50都道府県市で構成しております全国地域婦人団体連 絡協議会と申します。  私どもは、かつてもう30年代経ちますけれども、かつて、ちふれ化粧品という商品 を化粧品メーカーとともに作り上げて今日に至っております。また、国際協力活動等に おいても、ささやかな活動を25年前からさせていただいておりますけれども、ここで もやはり国連職員等とのコミュニケーションの取り方、事業者とのコミュニケーション の取り方等をして今日に参っておりますので、そのあたりからも、この研究会は食の分 野ではございますけれども、コミュニケーションの取り方等において私なりの発言をさ せていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。 ○林構成員  林でございます。10年前に国立食品薬品安全衛生試験所を退官いたしまして、また 4年前に北里大学も退職いたしました。本来私は医学部卒業の病理学の専攻でございま すけれども、ちょうど40年ほど前にアメリカ留学したときに、ジャマイカ地域の地方 病の、それの原因物質の探索ということを仕事でやりまして、それ以来食品の安全性に 関心をもったということです。  国立衛生研究所の時代に、10数年間FAO/WHOでのリスクアセスメントの仕事 をしておりました。そういう意味で私の現役の時の仕事は、食のリスクアセスメントの 仕事であります。リスクコミュニケーションについては、勉強をし直そうと思っており ます。よろしくお願いいたします。 ○丸井構成員  順天堂大学の丸井です。医学部ですが、公衆衛生学を担当しております。平成13年 から2年間「食物アレルギーに関する食品表示の研究班」を厚生労働省のほうから委託 されました。それがリスクコミュニケーションとの関わりの始まりです。先程、部長が 平成15年7月に食品安全委員会ができてリスクコミュニケーションについて具体的な 話がという話がありました。厚生労働省の科学研究費で平成15年度から食に関するリ スクコミュニケーションということで、継続して科学研究費をいただいて研究班をやっ ております。一応、厚生労働省は、食品安全委員会以前からリスクコミュニケーション の研究を進めていたということになろうかと思います。  ここの所2年間くらいは厚生労働省と農林水産省の共同での「食品表示に関する共同 会議」で二つの省の間の縦割りを少しでも解消すべく動いています。そこでもリスクコ ミュニケーション、いかに情報を共有するか、あるいは双方向で理解しあうかというよ うな話がでておりますし、非常に重要だということは誰しもが認めていることです。こ のような場で、実務的に具体的にどうすればよいか、というようなことが少し議論され 前に進めば良いなと思います。よろしくお願いします。 ○広瀬企画情報課長補佐  ありがとうございました。  続きまして、事務局からも簡単に紹介をさせていただきます。 ○松本参事官  松本でございます。今年の4月に、先程ご挨拶いたしました部長の外口の後を受けま して、リスクコミュニケーションを担当しております。BSEの問題等々で3ヶ月ちょ っとになりますけれども、これまで27回ほどリスクコミュニケーションに行って、こ ちらの考えを伝えることの難しさと、情報を提供するだけ、判断する材料を提供するだ けでなくて、消費者の方あるいは関係者の方々にもそれなりに勉強していただいて、そ の情報を正しく理解していただくということも必要であろうかと思いますが、役所の出 すものは正確性に心がけているばかりで、良く分からないということが良く分かりまし て、いかに分かり易く情報を提供していくかということに苦心をしているところでござ います。  来週から、北海道からのBSEのリスクコミュニケーションで出ずっぱりになります けれども、先生方の忌憚のない御意見を交換していただき、次回からのリスクコミュニ ケーションに生かして参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○原企画情報課長  企画情報課長をしております高原と申します。外口部長と松本参事官は、医学のバッ クボーンをもった専門家で、司会をしております広瀬補佐は薬学のバックボーンを持 ち、私は事務系ということでまた違った切り口でこの問題を考えていきたいと思ってい ます。また、旧厚生省時代に広報室長をしたこともあり、広報広聴活動の大切さと難し さを実感したことがあります。どうぞよろしくお願いします。 ○広瀬企画情報課長補佐  最後になりましたが、本日司会を進行させていただいております企画情報課広瀬と申 します。よろしくお願いいたします。  私も昨年4月から企画情報課、当時の企画課におりましたが、新しく7月からリスク コミュニケーションの取り組みが始まるということで、以降リスクコミュニケーション 担当として参事官といろんなところを回っています。意見交換の場では主にはコーディ ネーターみたいなことをさせていただいているのですが、まだまだいたらない所も多 く、もっと改良すべきところがあるのではないかと考えています。これから先生方に議 論していただけるようなことも、今後に生かしていければというふうに考えておりま す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○広瀬企画情報課長補佐  それでは、議事の4番目になりますが、座長の選出に入りたいと思います。お手元に 資料1の研究会開催要綱がございますが、そこの3の(2)になります。「研究会の座 長は、構成員の互選により選出する」ということでございますので、どなたかご推薦い ただければと思いますが。 ○大山構成員  私が申し上げることは大変僭越ではございますが、林先生にお願いできないでしょう か。  林先生はNPO法人食品保健科学情報交流協議会の理事長でもあられ、消費者の期待 に応え得るリスクコミュニケーションとは何かと言う観点に置いて活躍されておられま す。また最近では東京都の食品安全情報評価委員会の委員長として、食品安全に関する リスクコミュニケーション事例研究などもなされておられますので、林先生にお願いし たいと思いますがいかがでございましょうか。                 (異議なしの声) ○広瀬企画情報課長補佐  林構成員を御推薦ということでよろしいでしょうか。                  (了承の声)  それでは、林構成員に座長をお願いしたいと思います。               (林構成員、座長席に移動)  それでは以降の進行を、座長にお願いしたいと思います。 ○林座長  御指名ということで、まとめ役を務めさせていただきます。非常に間口の広い、奥行 きの深いプロジェクトでございますので、専門の先生方の御協力なしには動きませんの でよろしくお願いいたします。  5番目の議事に入りまして、事務局からの資料説明とありますので、配付資料の説明 をお願いいたします。 ○原課長  それでは、広瀬補佐と分担して説明させていただきます。  お手元の資料1をご覧頂きたいと思います。研究会の狙いと言いますか趣旨等につい てですが、先程、部長の挨拶にもございましたように、3年前のBSE問題を巡る社会 的混乱を契機にして食品行政の在り方を大きく見直すということで、昨年7月に食品安 全基本法が施行されて、内閣府に食品安全委員会が設置されるという形になったわけで ございます。  新しい食品行政の基本的な枠組みと申しますのは、食品安全委員会がリスク評価を行 って、これを受けて厚労省と農水省がリスク管理を行う。新しい3本目の柱としてリス クコミュニケーションを位置づけるということでございます。そういう意味でリスコミ は新しい食品行政の枠組みにおいて、非常に大切な役割なり位置づけを期待されている ということだと思います。  趣旨・目的の所にも書いておりますけれども、現状では、正直申しましてリスコミの 取り組みというのは、緒についたばかりで試行錯誤の段階だろうと思っております。新 しい仕組みですから、定着するのに少し時間もかかるでしょうけれど、これが実のある ものとして定着していけば、我が国の食を巡る社会環境というのは確実にステップアッ プするのではないかと思っております。  この研究会では新しい枠組みがスタートして1年、今日が経過しましたので、これま での私どもの意見交換会などの取り組みをそれぞれの立場から点検と言いますか検証、 御評価いただいて、今後の取り組みについて忌憚のない御意見、アドバイスをいただけ ればと思っております。  資料1の2以降のところには検討事項とかいくつか書かせていただいておりますけれ ども、研究会の具体的な進め方については、後ほど御議論をお願いしたいと思います が、事務局としての思いを5点ばかり申し上げておきたいと思います。  まず一つは、リスコミの意義とか基本的な考え方といったような総論的抽象的なレベ ルの議論ではなくて、あくまでも私どもが、今後リスコミを進めていく上にあたって、 どういう点に注意していけば、より効果的に実践できるかという意味での具体的実践的 レベルでの方法論の御議論をいただければと思っております。  二点目は、17年度以降の事業の運営に、この研究会での御議論をできるだけ反映さ せていただきたいと思っておりまして、そういう意味で、当面、取りまとめを来年の2 月を目途にお願いできればと思っております。以降どうするかというのは、研究の進み 具合をみてですね、その時点で相談させていただければと思っております。  三点目は、研究会としての情報発信は、まずは議事録の公開も含めた公開での運営と いうことで情報発信させていただくことが先決と思っています。報告書というような形 での取りまとめもチャレンジしたいとは思っておりますけれども、形が先にありきとい うことではなくて、参考となる実質的な御意見なり、アドバイスをいただくことが先決 と思っております。  四点目は、資料の4で主な検討項目(案)という1枚紙を出させていただいておりま すが、この研究会の議論の土俵でありますが、メインのテーマとしては、意見交換会の 在り方について御議論いただければと思っております。ただ、意見交換会だけと言うで はなくて、リスコミ全般を視野に入れて可能な範囲で、検討項目の2のところにありま すようなホームページでありますとか、その他の広報活動の在り方についても可能な範 囲で御議論いただければと思っております。  最後五点目としては、意見交換会の在り方ということを念頭に置きますと、事業を効 果的に行うために、プレゼンテーションの在り方と言いますか、リスコミの内容という のが一つの切り口でもう一つの切り口は運営の在り方、開催方法なども含めました段取 り。三つ目の切り口としてスタッフ養成の在り方ですとか、リスコミを担う人とかお金 とか基盤と言うことを考えています。いわば、実践レベルでのサブスタンスとロジステ ィクスとインフラストラクチャ、サブ、ロジ、インフラの三つの切り口で御議論いただ ければと考えております。  以上が研究会の趣旨なり、主な検討項目などについての事務局としての基本的な考え 方でございます。以降、これまで具体的にどんなことをやってきているかということを 広瀬補佐のほうから御説明させていただきます。 ○広瀬企画情報課長補佐  それでは、お手元の資料3を御覧いただけますでしょうか。  厚生労働省のリスコミの現状ということで、まず基本的な考え方ですけれども、当 初、部長の挨拶にもありましたが、3府省連携してやるということと、それから一方的 な情報提供にならないように、双方向のコミュニケーションを目指すということで進め てきているところでございます。  現在まで、いろいろ意見交換会、かなりの回数をさせていただいたところですが、お 手元の資料3の2枚ほどおめくりいただきますと、「意見交換会実施状況」ということ で厚生労働省が主に企画を担当させていただいた意見交換会につきまして、一覧でまと めさせていただいております。このような形で意見交換会を実施していますが、いくつ かタイプに分けられるものですので、それぞれタイプ毎に御説明させていただきます。  また1ページのほうにお戻りいただきまして、まず第一番目として、各地で定期的に 行われる意見交換会ということで、これは年度当初、大体年間どのくらいやるかとか、 どんなところでやるかということを決めて、定期的に進めていくことを想定しているも のです。平成16年度にあたりましては、新たな食の安全の取り組みというのが、まだ 一般に広く知られていないということもございますので、リスク分析の概念ですとか、 リスクコミュニケーションという仕組みも併せてプレゼンテーションの中に入れさせて いただいております。それから、今年は健康食品をサブテーマとして行ってきておりま す。厚生労働省の定期的な意見交換会では、いわゆる全体的な話だけでなく、一つサブ テーマというようなことで、国民の皆様の関心が高いと思われるものの中から選ばせて いただいて、各地で 同じような形式で開催させていただいているところでございます。 進め方ですけれども、前半を講演、後半をパネラーとの意見交換、それから会場との意 見交換というような形で進める、パネルディスカッション方式で進めております。  前半に講演などを入れさせていただいている理由は、リスクコミュニケーションで重 要なこととして、参加している人々の間で、まず基本的な情報を共有した上で、色々意 見を交換するということなので、参加者の情報共有という観点から、最初に講演を入れ て、その講演の内容について後半で意見交換という形になっております。  二番目として特定トピックを扱っているものがございます。今年の例では、6月30 日に「残留農薬等のポジティブリスト制導入に関する意見交換」や9月17日に「水銀 を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項に関する意見交換」を実施しております。 こちらは前半を講演若しくは、行政説明などで、後半は、公募で意見陳述人を募集いた しまして、その意見陳述人によるラウンドテーブルでのディスカッションをさせていた だいております。その後、会場との意見交換ということで進めております。  また、今年度は特にBSE問題等ございまして、緊急に「BSE対策の在り方に関す る意見交換」を各地で実施させていただいておりますが、このBSEの進め方について は、前半が講演若しくは行政説明、後半が会場参加者との意見交換ということで、特に 前の2つのように、どなたか選ばれた方での前列での議論はなく、説明の後に直接会場 との意見交換をする、いわゆるレクチャーフォーラム方式で実施しています。これが意 見交換の状況でございます。  詳細は先程の2ページ以降のものをそれぞれご覧いただければ、共通するものなんか も多くなっておりますので、詳細な説明の方は省かさせていただきます。それから意見 交換の関係では、後ほどアンケート結果も紹介させていただきたいと思っております。  その次に、食品の安全確保に向けた取組のホームページということで、「食品安全情 報」の更新に取り組んでおります。これは、厚生労働省における食品の安全に関する取 組をまとめたホームページとして、厚生労働省のホームページの一つ下の階層にあるも のですが、直接ここに飛びにくいということがございますので、まず厚生労働省のホー ムページのトップに、左端のほうに食品安全情報という枠を作りまして、そこをクリッ クするとそこから飛べるような形で設置しております。  当初も「入手したい情報がなかなか探しにくい」ということとか「掲載までに時間が かかっている」というような御指摘もありまして、食品安全情報のホームページの中に 「このホームページの探し方」というような項目を作ったり、「最新のお知らせ」とい うページを別途設置いたしまして、省内での掲載手続きが終わるまでの間、暫定的に国 立医薬品食品衛生研究所に御協力いただきまして、割と短時間でアップできる仕組みを 作らせていただきました。ホームページの中でちょっと目立たないのかもしれないです が、参考の4を見ていただければと思います。参考の4の一番右の方の下の方に、「食 品の安全性に関する行政の取り組みや情報提供のあり方についての御意見があれば、下 記メールアドレスまたはFAXにてお寄せ下さい」とあります。いわゆる一般の方、消 費者の方、事業者の方も含めて意見の受付をさせていただいております。  寄せられた意見については、内部で担当課に解答の作成をお願いしたり、確認した上 で、最終的に回答を返す形になりますので、時間が遅いというようなことが御意見とし ては寄せられているところですが、お寄せいただいた意見をお返ししています。  それ以外は政府公報による情報発信の事例として、具体的には参考4の後ろに、3枚 ほどおめくりいただきますと「にっぽんNOW」があります。これは昨年の9月に発行 されたもので、この時は、昨年8月12日に食品衛生協会との共催で行った「食品衛生 に関する意見交換の会」の記事で載せていただいて、新たな食の安全の仕組みとして、 改正食品衛生法の話ですとか、リスク分析の取り組みなどを紹介しています。  また、裏側にありますけれども「オンライン広報通信」ということで、「国民の健康 を第一に」、「新しい食品衛生法がスタート」など食品衛生法改正の中身について解説 するものを載せております。これは例ですが、他にも、日曜の朝早くで、あまり皆様ご 覧にならなかったかもしれないのですが、日本テレビの「新ニッポン探検隊」。日曜日 の朝6時半から6時45分まで、という時間帯で日本テレビで枠を取って放送いただい ているものでございます。ここでは、輸入食品の水際の検査、チェックが行われている 神戸検疫所の活動などをビデオの映像ですとか、アナウンサーの解説付きで御紹介いた だいております。その他「時の動き」「Cabiネット」「新聞広告」など、政府公報 による情報発信に努めてきたところでございます。  その他は5番目「既存の取組みの着実な実施」ですが、これまでもリスクコミュニケ ーションに関する取組としては、規制の設定又は改廃に係る意見提出手続き(いわゆる パブリック・コメント)があります。これは内容について皆様にお示しして、皆様から 御意見をいただくという仕組みでござますが、こういったものですとか、後は審議会の 公開、情報公開など、いわゆる情報提供に関するものにも、取り組んできたところでご ざいまして、これらを着実に実施するということを進めてきました。  後は、意見交換会の実例ということで、少しまた意見交換会の説明をしたいと思いま すが、参考3−1と参考3−2、これは意見交換会の場で配布させていただいた資料の 例でございます。同じようなものがいくつかありますので、代表的なものを選ばせてい ただきました。3−1の方はいわゆる全国で定期的に行うものです。1ページおめくり いただきますと、資料1とありまして、これは内閣府食品安全委員会からの御説明をい ただいているものでございます。このようにパワーポイントなどを使って、また、中に 絵をいれるなどの工夫をして、なるべく分かり易いものとなるよう工夫しているところ でございます。  資料2といたしましては、「健康食品の賢い使い方」ということで、このような資料 を使って健康食品というのはそもそも何なのかということとか、どういったことに注意 すれば良いのかというようなことなどを紹介させていただきました。  もう一つの参考3−2の方はこれは、特定トピックの例といたしまして、最近話題に もなってきておりますBSEの意見交換会で配らせていただいた資料でございます。B SEの資料については参加者の名簿を付けているのが他の意見交換会とは違うところに なりますが、資料2の方から実際の説明ということで、この時は、食品安全委員会の事 務局の評価課長がプレゼンをいただいています。食品安全委員会から、9月に取りまと めいただいた日本におけるBSE対策について、中間とりまとめを御紹介いただいて、 その後厚生労働省や、農林水産省におけるリスク管理について御説明させていただきま した。なるべく、ビジュアルというか絵や写真などもいれて、より実体感のわくような 形でのプレゼンにしているところです。  最後にアンケートを紹介させていただきますが、参考5−1と5−2になります。5 −1がいわゆる全国で定期的に行っているもののタイプ、それから5−2がBSEの意 見交換会でのアンケートに、若干、アンケート調査の様式自体も違っておりますので、 最初に調査票そのものも付けさせていただいています。例えば5−1で、おめくりいた だきますと、比較のために平成15年の10月に札幌で開催した時のアンケートの集計 結果と、それから、今年の4月26日に栃木県宇都宮市で開催した時の集計結果を御紹 介させていただいております。実は意見交換会に集まってきていただいている方なんで すが、毎回大きくは変わらないとは思うんですけれども、9−1のところに消費者、そ れから食品等事業者、マスコミ関係者、地方公共団体の職員というふうにありますが、 だいたい消費者の方が20〜25%くらい、それから食品等事業者が30%くらい、そ れから、マスコミの方は来る時と来ない時とあるわけなんですが、あとは、地方公共団 体の職員の方が20%、というような構成になっております。地方公共団体の職員の方 は、これはリスコミについては国だけでなく地方においても、県レベルで、さらに市町 村レベルで行われるということでございますので、参考までにということで、見に来て いただいているようです。広報等につきましてはホームページやプレス発表などをして るんですが、プレス発表などですと、必ずしも紙面が大きくならないというようなこと や、掲載されても毎日必ず載っているわけでもないということもございますので見逃さ れている印象を受けています。ただ、地方紙などに掲載いただきますと、わりと読まれ ているようです。  あとは、若干飛びまして、次のページに9−5というのがありますが、本日の意見交 換会についてお尋ねします。ということで、中身について確認させていただいておりま す。この時は、中身については、理解できたという方と概ねできたという方が69%、 だいたい70%近くでございました。その次に9−6ということで、意見交換会につい て満足できましたかということで聴きましたが、この、10月31日札幌の例では、で きたという方と概ねできたという方が4割ちょっとということで、あまりできなかった という方とできなかったという方が3割くらいに、足すとなるというふうな状況でござ いました。その時の意見として、内容がちょっと事業者向けだったんではないかという こととか、説明の内容が多すぎるということとかですね、パネリストからの紹介の時間 が長いということとか、意見交換のテーマが多すぎ、というようなことをいただいてお ります。さらには、当時は添加物についてサブテーマにさせていただいており、9−7 で添加物についてどういうところが問題かということで、これも自由記載で書いていた だいております。詳細な紹介は省かせていただきたいと思います。それから本日部長の 挨拶にもありましたが、9−8のところで、意見交換会の進め方について、ほんとに自 由記載で、意見交換の良かった点悪かった点、忌憚なく書いていただいたところでござ います。これがその生の御意見といいますか、色々と意見がありまして、こちらの意見 は例えば、分かりやすかったという方とわかりにくかったという方、相反する意見とい うものも当然出てきています。いろんな方がいらっしゃいますので、そこは必ずしも画 一したものにはならない、とはいいつつも、改善すべき点については、いただいた御指 摘ですので、色々改善する方向で、考えていくべきだと思っています。この中では、行 政説明が長いというようなこと。改善すべき点の、上から3番目になりますが、行政説 明が長すぎるとか、意見交換の時間が短いというようなか、それからパネラーが多すぎ る、というようなものをいただいております。  次に栃木県宇都宮市の例でございますが、この間、何回かリスコミを重ねております ので、パネラーの数を少し減らすとか、講演の方も、昨年は法改正の関係もありました ので、3府省でそれぞれ説明の時間をとってたのですが、それは安全委員会からの御紹 介だけにして、いわゆるリスク分析の考え方と、それからサブテーマという2本立て、 テーマ自体絞ったという風な工夫をさせていただきました。事前に私どもこういった意 見交換会を開催するにあたっては、事前質問ということで、申し込み票にも質問意見な ど書いていただいているのですが、そういったものについても、最初の頃は意見交換の 場で一杯一杯で、全部テーマとして取り上げていったんですが、それではなかなか十分 な意見交換ができないということで、事前意見に対しては回答をつくり紙で、参加者の みなさんに配布する、というようにしておりました。それから、その中でも、いくつか のものについては、意見交換の場で取り上げて、参加者の方と議論して深く掘り下げる というふうな取り組みをさせていただきました。そういうような若干の改正をさせてい ただいた後、少し、意見交換会の満足度も変わってきているわけなんですが、次のペー ジの9−6の意見交換会の内容についてお尋ねいたします、というところで、やはりこ こで満足できたという人というのが前回よりも少し増えている。76%くらいで少し増 えたということでございます。それと、Q8のところにやはり進め方について、色々良 かった点悪かった点いただいておりますが、ここでも若干パネリストが多いという意見 が出ているんですが、全体的にテーマが多すぎるというものとかはなくなってきてい る、というふうに認識しております。少しずつではありますが改善が働いてきているの ではないかと考えています。これは定期的なものでございますが、あともう一つBSE の関係のものがございます。こちらは、説明内容について理解できたかというような事 でございますが、やはり理解できたという方とだいたい理解できたという方で、7、8 割の方ということで、比較的理解はしていただいているということでございます。意見 交換会の開催自体についても評価する、やや評価するということで、評価はしていただ いているということでございます。ただ、色々意見はありまして、一つはその、参加い ただいた方には、問6の関係では、様々な立場の参加者の意見が聴けて参考になったと いうような意見もいただいているのですが、一方では、本日の意見がどういう風に反映 されるのかなどの貴重な意見をいただいているところでございます。説明の時間が長い とか、意見交換の時間を長くして欲しいとか、専門用語が多すぎるとか、まだまだ細か くは色々と意見があるところでございます。こういうようなことで、詳細についてはま たそれぞれ御覧いただければと思います。ありがとうございました。 ○林座長  どうもありがとうございました。今回、第1回目の研究会ということで、研究会の目 的、輪郭、意義というものが、何かおぼろげながら理解できたような感じがいたします けれども、これからの意見交換会を通じてはっきりさせたいと存じます。  意見交換に入りますが、内容が多いので、いくつかに分けて議論した方がよろしいか と思います。最初に研究会の運営、検討項目から始めて今後の進め方について御議論い ただき、その後、今回のメインの議論である厚生労働省におけるリスクコミュニケーシ ョンの現状についての御議論に入ってはどうかと思います。まず、研究会の運営、検討 項目、今後の進め方について御質問御意見お願いしたいんですけれども、まず事務局の 方から研究会の運営のポイントについてご意見がありましたらお聴かせ下さい。 ○広瀬企画情報課長補佐  それでは、企画情報課長の方から。 ○原課長  それでは、今日は初回の会合ですので、まずは、この研究会がどういう事をやってい くかという辺りのところを自由に御議論いただければと思います。先程、説明を省略さ せていただいたんですけれど、資料5を御覧をいただきたいと思います。事務局として の作業手順というかスケジュール感として、御意見いただければと存じますが、今日1 1月5日にスタートしたわけですけれども、来年2月中をメドに当面の取りまとめをお 願いしたいということであります。まず議論の入り方としては、各分野で知見をお持ち の構成員の先生方にもお入りいただいてますので、まずは、各構成員の先生方から、次 回次々回あたりは、御発表いただき、そういう意見交換を2回ばかりさせていただけれ ばと思っています。それから年明け、4回目、5回目当たりで検討項目に沿った議論な り、取りまとめの議論なり、そういう形で進めていければというのが私どものスケジュ ール感でございます。 ○林座長  どうもありがとうございました。だいたいの議論の対象がお分かりいただいたと思い ますが、何か、御意見はありますか。 ○岩渕構成員  具体的にどういう内容のリスコミをやってるかということをもう少し分かりやすく、 実は私、リスコミの現場に実際に行ったことは、何回か東京での分は聴きましたけれど も、ないんですね。それで、どういうふうにやってるのか、実をいうとみなさんの認識 といいますか、具体的なイメージがわかないということもあると思うんですよ。それ で、それからのものというか、ビデオでも撮ってるとか、そういったものはありません か。そういうのがあれば、ちょっと見ればイメージがきちんとわくと思うんですが。そ うでなければ、例えば、日テレで流してるものとかですね、何か手がかりがないとそれ こそ行政説明が、非常に分かりやすい状況説明ではありましたけれども、単に説明だけ では分かりにくいなという様な感じがありましてですね、その程度の認識で、我々のイ メージで議論すると少しずれてしまう恐れがあるなと。少し効率的にやるためにはイメ ージというかビジュアルの格好で何か無いかなとそういう風に感じるんですが。いかが でしょう。何かありませんか、次回の頭でも。 ○広瀬企画情報課長補佐  意見交換会のうち、直近のものではないんですけれども。職員への周知の目的などを ふくめて、何回かビデオに撮っているのがあります。これを全部見てしまいますと2時 間3時間になってしまいますが、御用意させていただきたいと思います。 ○林座長  私も今まで何回か厚労省、あるいは農水などの意見交換会出たことありますけれど も、内容は、インターネット、ホームページでとれます。それから厚労省と食品衛生協 会との共催で先日行われた農薬のポジティブリスト制の話し合いの会については、食品 衛生研究の中にかなり分かりやすく解説が載る様です。 ○松本参事官  だから5分か10分でもかまわないの。 ○林座長  そうですね。 ○原課長  ある意味で百聞は一見に如かずだと思いますので、特にBSEについては全国津々浦 々で、リスクコミュニケーションを開催しようということでやっております。もし先生 方のお時間がある時に、現場を見ていただくことが可能であれば、それが私どもにとっ ても有り難いと思います。開催のスケジュールとかまた改めて御案内します。 ○林座長  ビデオを貸していただいて、出がけに2、30分見てくるということもあると思いま す。今までリスクコミュニケーション会で色々な経験をお持ちの方も多いと思いますけ れども、出席者がどのような問題に関心を持ってられるか、お気づきになりませんです か。 ○広瀬企画情報課長補佐  また、アンケートのところになりますが、実はアンケートを取った際に、どんなトピ ックを取り上げて欲しいかについても、1番最後で聞いております。これは参考5−1 の1番後ろのところにありますけれども、関心の高いものになりますと例えば輸入食品 の問題ですとか、残留農薬の問題ですとか、添加物の問題ですとか、あとは遺伝子組換 えや健康食品とか、検疫所や保健所の監視指導の問題、後は食品の汚染物質の問題、そ ういうようなことで、やはり総説的なものよりはトピックの方に関心はあるのかなと考 えています。ただ、意見交換の最初の時間に総説を入れさせていただいてますのは、そ もそも、リスク分析というものを、東京では何回か意見交換会も開かれ、みなさんだい ぶ御存知かとも思いますけれども、地方では私どもが行ってないところもまだたくさん ございますので、そういう地域では初めて聴くという方も多いということがあります。 また、食品安全委員会が昨年立ち上がっておりますけれども、御存知ない方も結構いら っしゃるということもございますので、食品安全委員会の活動をお知らせするというよ うな意味も含めまして、総説的なものも入れさせていただいています。コミュニケーシ ョンというよりは半分、説明会的なイメージも入っています。 ○加藤構成員  いつも規模的には200〜300とかそういう規模でしたか。 ○広瀬企画情報課長補佐  だいたい200くらいの規模で考えております。規模についてもみなさんから色々御 議論あるところでして、もう少し少人数の方が煮詰まった議論ができるのではないかと いうお話もいただいているところでございます。少し色々な取組を御紹介するような事 も兼ねております関係上、人数を集めさせていただいているというのが現状でございま す。 ○林座長  はい、どうもありがとうございました。何かリスクコミュニケーションの現状につい ての議論に入ってしまいましたが、元に戻りまして、資料4のですね、主な検討項目に ついて御議論ございませんでしょうか。意見交換会の効果的な進め方、プレゼンテーシ ョンの在り方とか、運営の在り方、こういう事について、何か御意見ございませんでし ょうか。 ○加藤構成員  このアンケートの結果を拝見していておもしろいなと思いましたのは、専門用語とか 技術用語が多くてですね分かりにくいって、それをお答えになられる方がですね消費者 の方ではなくて、地方公共団体、それから食品の事業者の方がそういうふうにお答えに なってらっしゃる。専門家の方にとっては有用な言葉も、一般大衆の方にとってみれば 障害である場合も多々おありになるんだろうと思います。ましてやこういう2、300 という規模でおやりになられる場合には、非常に配慮しなければならない点かなと思い ます。それと規模って大事ですよね。国がやれる、やる規模、それから地方公共団体の 役割っていうこともあるわけですから、より現場に近いところ、もっと小規模なものを 開催していくとかっていう役割分担みたいなことが今後必要ではないかとアンケートを 拝見して感じました。 ○林座長  どうもありがとうございました。どうぞ。 ○岩渕構成員  この参加者ですかね、参加者が、こうやってみるときれいに分かれていて、消費者と 関係業界と地方公共団体という三者構成になっているということは、要するにどういう 事かというと一般的な、いわゆるスーパーに買い物に行く主婦層というのはたぶんあま りいないなという様な感じを受けるんですよね。要するに消費者運動やってるあるいは 関連している様な、あるいはそういう意識の高い人たち、食品事業者という様な、関係 者がほとんどという風な感じなんで、だから、その限りでいうと今やってるリスコミと いうのは関係者間でのリスコミというふうに、僕は受け止めているんですよ。だからこ の取り組みの限界というのもここにあると思うんですよね。で、なお関係者間のリスコ ミであるとすれば、もう1番基本的に大事なところは事業者にインチキをやらせないと いうことが本当は1番大事なところなのであって、そこのところは、リスコミの範疇で はないんだけれども、そういう意味でいいますと、関係者間のリスコミってすごい大事 なんですよ、大事なんだけど、それが我々、今こう議論する土俵としてね、全く一般の 素人の人たちを相手にしたリスコミというイメージでことで考えると、たぶん実際とか なりズレが出てくるんじゃないかと、それちょっと吟味する必要がありますよね。だか ら、そこのところの実態はどうなのかなと思うのですが、事務局の方としてはどうなん ですか。 ○原課長  まず、意見交換会の狙いは、広く国民一般の方を対象とした双方向の意思疎通です が、実態は、やはり特定の会場に交通費をかけて、時間も使って来られる方ですから、 やはり、それなりのモチベーションのある方がほとんどだと思います。ということで言 いますと、岩渕先生がおっしゃったように、ある意味、関係者の方が多いというのは、 実態だろうと思います。  例えば、平日の午前午後とかという時間だけでなく、平日の夜の時間帯であるとか、 休日に開催させていただいた例もありますけれども、やはりそういうケースを見ても、 今申し上げたような状況というのは基本的にあまり変わらないかなという認識です。そ ういう意味では、狙いなり建前と実態というのが、多少違いがあって、そこは我々とし ても、どのように対応していけばよいのか、非常に頭を悩ましているところです。 ○丸井構成員  今のお話、意見交換会の対象は誰かというお話がありました。この研究会は総論の話 をするのではないというお話ですが、ちょっとだけ戻ります。例えば参考2の食品安全 委員会の報告書、これは「食の安全に関するリスクコミュニケーション」という報告書 ですが、今回、我々の研究会は「食品の安全に関するリスクコミュニケーション」とい うことで、なぜ食でなく食品の安全なのか。  食の安全といいますと人が絡んできます。食品の安全と言いますとモノの安全の話に なります。私の感じとしては、「食の安全」と「食品の安全」はずいぶん違います。今 回もし食品の安全にだけに限定するとすれば、例えば消費者がどういうふうに食べるか という話は全く抜きで、モノの話に議論を集中させるのか、ですね。であるとすると、 先程、岩渕構成員がおっしゃったように、例えば製造関係の方がターゲットの場合。そ れから一般の消費者(食べ物に関して素人というのはいないので、全員が食べ物のプロ ですけれども)、国民全体だと思いますが、いくつか層を分けて考えていくことになる と思います。それは、これからのいろいろな議論の中で出てくると思いますが、それに しても、今回の研究会「食品の安全に関するリスクコミュニケーション」。これは食品 安全委員会でいう「食の安全に関するリスクコミュニケーション」と多分、意図的に少 し変えられたと思うのですが、何かその辺のところが、変えられた意図があるとすれ ば、進め方全体に関わるので、御説明いただければと思います。 ○原課長  率直にいいまして、意図的な変更というのはございません。そういう意味で言います と、むしろ「食」に関するリスクコミュニケーションのあり方というように、タイトル も直した方が良いのかもしれないなと思いながら聞いておりました。あまり幅を狭めよ うというような意図はございません。 ○林座長  よろしいでしょうか。私もそのように感じておりました。 ○丸井構成員  今の話を伺って、そのとおりだと思います。むしろ、例えば農林水産省の研究会であ れば、食品についてモノについて注目すると言うことで構わないと思うのですが、厚生 労働省の研究会で「食品」というふうに、むしろ食品安全委員会の「食」の安全よりも 限定した言い方になったところが、ちょっと解せなかったので。  今、課長から仮のご提案がありました。例えば、「食に関するリスクコミュニケーシ ョンのあり方に関する」というふうな、もう少し広い視野だということを何処かのとこ ろで、きちんとしていただければ良いなと思います。 ○林座長  そうですね。その点はよろしくお願いいたします。丸井構成員にお伺いしたいのです けれども、先程、加藤構成員のほうからプレゼンテーション、説明の時にいろんな専門 用語ですね、これがむしろ障害になる場合があると。特に先生の場合、ご専門がアレル ギーとか免疫ということとかになりますと、なかなか理解できない面があるので、その 点をですね、リスクコミュニケーションの時にどうしたらよいかというようなこと。こ れプレゼンテーションのあり方ということで、何か御意見がありましたら、お教えいた だきたいなと。 ○丸井構成員  すいません。私はアレルギーとか免疫とかが専門ではなく、公衆衛生学が専門で、元 々、免疫ではなく疫学の専門です。個別の話という意味では、この意見交換会、実は私 一度、昨年の九月、金沢で講演を一度やっております。意見交換会一度は出席して状況 を大体承知しておりまして、その中の責任の一端を負っておりました。  確かに用語は非常に微妙なところだと思います。先程も少し触れましたけれども、対 象がもし地方公共団体の方だけであれば、お互い了解した言葉で、専門用語を使いなが ら話をしたほうが、濃密な意思伝達、意見交換ができると思います。あるいは、食品関 係の業者の方だけを集めたのであれば、それでまた、そのレベルでの話ができる。消費 者でしたら、専門用語を使わない普通の言葉の方が、むしろ分かり易いということで、 少々、一つ一つの言葉をかみ砕いて時間がかかっても、そのように話を進めるというこ とになります。この意見交換会の場合には、先程のような、やや行政で専門的に仕事を されている方、モノを作っている方、それから消費者というのが全部集まっているの で、どうしても、その構成をどう考えるかによって、プレゼンテーションする側がどう いう言葉を使うかというのが難しいことになっていたと思います。 ですから、最大公約数として分かり易い言葉を使って、説明するのが本来の形であろう と思います。  ただ、専門家とか行政の方にそれを要求しても、今まだそれがなかなか上手くできな い状況にあります。そういう意味で、プレゼンテーションのあり方ということで、もう 少し専門用語を使わない、あるいは専門用語を使う時にはきちんと分かり易く説明をし て使うなど、いくつかの提言なり何なりをご提出したほうが良いのだろうなと思いま す。 ○大山構成員  確認も含めてなのですが、これは食品の安全ということだけで、先程、高原様のほう から広くということをおっしゃっていましたけれども、安心の方も含めていると理解し てよろしいでしょうか?言葉で「安全」「安心」はまったく別物なのだと思います。安 全は理屈で通る。安心は感性の、感じの問題ですから、どんなに安全と言っても安心し ていただけなければなりません。私ども食品企業の場合には、安全と安心はまったく別 物と理解しております。従来、例えば10年前であったら、安全ならば安心だったけれ ども、今はそんなことありません。「安全」と「安心」はまったく別物だと、理性と感 性で分かれるのです。今回の「食品の安全」ということの中で捉える時には、安心も安 全も両方捉えてリスクコミュニケーションその理解でよろしいのでございましょうか? というのが一点と。  二点目にですね、資料1のほうでお配り頂いてる2の検討項目の中で、「これまで実 施してきたリスクコミュニケーションについて」とあるのですが、厚生労働省のほう で、考えられていらっしゃることの中で、どのような事が問題として考えられているの でしょうか。こういう問題があるからこの場で検討してくれというような、各論的なテ ーマというのがあるのかなと思ったのです。 「どうも業者間のリスコミじゃないか」という岩渕様の御指摘もありましたけれども、 そういう問題があるのだから、より消費者の方にも分かり易くするためにどうあるべき なのか、というようなことなのでしょうか。  検討項目1、2、3、4ありますけれども、その中で何がここで課題にすべき事なの か、というのが、今ひとつ自分が理解できていないという点でございます。 ○原課長  それでは、まず第一に「安全」と「安心」ということですが、ケーススタディからと 言いますか、BSEの問題で全国津々浦々でリスクコミュニケーションを農林水産省、 安全委員会と連携してやらせていただいておりますけれども、それを見ますと、やはり サイエンスの問題としての安全ということと、それから消費者の心理も含めた、安心し て食していただけるかどうかということには、差というか距離があって、むしろ今、全 国津々浦々でやろうとしているリスクコミュニケーションというのは、それを出来るだ け埋めて、安心して食していただこうという、そういうことで取り組んでおります。そ ういうことから考えましても、やはり、大山構成員がおっしゃった意味での、あくまで 安全が基本ではありますけれども、安心というものも含めた意味の取組としてリスクコ ミュニケーションがあるのではないかということで考えております。  それから、第二点のもう少し各論的な、具体的な検討テーマがないかということでご ざいますけれども、今例えば、我々がどういうリスクコミュニケーションをやっている かという現状。例えば、今日、先程も使っている資料等は例示で見ていただきましたけ れども、そういうものを見ていただいて、どういうところを改善していけば良いのかと いうことをそれぞれの立場で、忌憚のない御意見なりアドバイスをいただきたいという ことです。事務局として、今の時点で検討項目を細かくかみ砕いて、お尋ねするという ことは考えていないのですけれども、ただ、今日、この検討を続けて御議論頂く中で、 もう少し事務局として何かかみ砕いた方が良いというふうなことでありますれば、それ はまた、そういうことで対応いたしますので、その辺りも含めて御意見をいただければ と思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。一つだけ言わせていただきますと、「安全」と「安 心」というのは確かに、これは別の概念です。でも、科学的に安全であるというような ことを、理性が受け止めれば、それは安心であるという感性が生まれてくる。ですか ら、別々なのだけれども、頭の中では「安全」が分かれば、「安心」が生まれてくると いうことで。先程おっしゃったように、昔は「安全」と「安心」はかなり接近していた と。今は分かれてきたということですね。私はリスクコミュニケーションで考えなけれ ばいけないことは、以前には接近していた「安全」と「安心」が何故乖離したかという 事の問題であると思うのです。これは非常に大きなテーマだと思います。 実際に私た ちはいろんなデータを見せられて、安全であるということで納得したりすれば、感性と しての安心は生まれてくる。どんなに正しい科学的知見であっても、これが受け入れら れないとすれば、どんなに立派な業績であっても、安心は生まれてこないということ で、何故乖離したかということを十分考える必要があるのかなと思っております。  次に研究会の運営のあり方の中で、スタッフの養成のあり方が挙げられていました が、これについて何か御意見ございませんでしょうか。コーディネーターとかモデュレ ーターとかですね。  スタッフが少ないから日本では意見交換会が上手く行かないというようなことも言わ れておりますけれども、実際にいかがでしょうか? ○広瀬企画情報課長補佐  補足をさせていただきますが、先程5−1のアンケートの3/4ページのQ8の所の ですね「良かったと思う点」の上から4番目の所に「有識者の講演は分かり易く大変良 い」というコメントが寄せられているのですが、丸井先生が参加していただいている時 もそうなのですけれども、割と有識者の方からの説明は分かり易くて良いのだけれど も、裏を返すと行政説明は分かりにくいという事なんですね。そこはやはり、プレゼン テーションのスキルにつきましても先生方がお話になる場合と、我々行政官が話す場合 とで、受けた方の理解度が違うのかなと。そういうところは、まだ若干改善の余地があ るのではないかと感じている所でございます。  専門用語の話も先程ありましたけれども、そういうものを含めても、まだ有識者の講 演が分かり易いということでしたので、最近の意見交換会では、有識者の講演を中心に 位置づけるようなことをしております。  BSEのような行政的なものにつきましては、講演というよりは行政対応という形に なりますけれども、その他の、各地で定期的に開催するものについては、例えば沖縄の 例では、食品安全委員会の小泉委員のほうから御講演いただいておりますし、健康食品 の方は、健康栄養研究所の先生から講演をいただいていた状況です。 ○岩渕構成員  あ、いいですか。 ○林座長  どうぞ。 ○岩渕構成員  今の様に用語説明分かりにくいと言うことなんですが、それはだから、正確にきちん と伝えようと思うから分かりにくくなるんであって、そういう意味で言いますと、先ほ どからこだわりますけれど、ビデオをもうちょっと活用するっていうのを考えた方がい いと思うんですよね。それで、基本バージョンの一つのビデオを作って、例えば関係業 者のものと一般の消費者のものという形で、それぞれのバージョンで何個か作ってです ね、それで見せて説明するのが一番分かりやすいんだろうなというふうな感じはいたし ますね。それをやると、全体の長さの中でも緊張感が比較的途切れずに一般の人たちが ついていけるんじゃないかというふうに思います。もしなければ、それはそれこそ日テ レで流したやつそのままぱっと、ふさわしいのがあればですね、それ見せるだけでもや っぱり全然違いますよね。時間の節約にもなると思います。 ○林座長  そうですね、他に何か御意見ございませんでしょうか。  先ほどね、行政官の説明がわかりにくいといったご意見がありましたが、専門家が聴 いておりますとですね、行政官の話は、なるべく間違いのないように、気を配っている ためか、逆に分かりいいんですね。  何か他に。加藤構成員何かありませんでしょうか。 ○加藤構成員  もちろん、情報の受け手のトレーニングも大事だろうと思うんですけど、やはり発信 いただく、行政とか専門にこだわりませんけれども、発信いただく側のトレーニングと いうのがとても大事なんだろうと思います。どういうふうにトレーニングすればいいの かはよく分かりませんけれども。それとあともう一つは、場数を踏むというんでしょう か、さきほど部長の御挨拶の中にもございましたけれども、終わった後の懇談の中で何 気ない話の中から貴重な意見をいただくとか、そのようなお話ございましたけれども、 やはり場数を踏んでいくことによって、伝えやすい言葉だとか、内容だとかいうことも 修練されてくるのかなという気もいたします。 ○林座長  ありがとうございました。それをするためにはどうすればいいかというとですね、や はりあのリスクコミュニケーション、あるいは意見交換会をしますですね、でその効果 をフォローをすることが一番重要だと思います。 ○大山構成員  先生一つ。 ○林座長  はいどうぞ。 ○大山構成員  昨年のBSE脊柱の時に、Q&Aがでました。その中に脊柱とは何かという事で、絵 で説明があり、大変分かりやすいQ&Aだったと思います。こんなふうにできるんだ と。こんな言い方をすると大変失礼なんですが、大変分かりやすいQ&Aだったと思っ たんです。絵にして説明して、これが脊柱なんだよとわかりやすく御説明があった、大 変優れたQ&Aだったんじゃないかと感じた次第なのです。たぶん、それ以前のものに 比べたらかなり分かりやすくなっており、なんかきっと訓練があったんじゃないかとい う感じはするんですが。専門的な人が御指導され、大変分かりやすくて良かったな、と いうのが私の感じでした。このスタッフの養成という点からも専門の方がいろんな人 に、例えば行政の人に、我々業者にも、お教えいただけると良いと思います。情報を発 信していく立場でおりますので、どういうふうに発信したらより受け入れられるのかと いうことを自分も勉強したいと考えておりますので、そういう養成するところがあると いいなという感じはしております。 ○岩渕構成員  いいですか。 ○林座長  どうぞ。 ○岩渕構成員  例えば今までやってきたリスコミ、意見交換会の中で、通常ですと、例えば消費者団 体の人とかは、事業者に対してキツイものの言い方とかですね、双方で議論になるとい うは現実的にありそうだなというふうな漠然とした印象があるのですが、具体的にはそ の辺りの議論というのはどんなものになっているのですか。質問なのですが。 ○広瀬企画情報課長補佐  国の意見交換の場での議論は、消費者と事業者で激論になるということはありませ ん。地方のレベルはそのような事例もあるそうなのですが、どうしても国の場合は、ど ちらも国が何かおかしいのではないかということで、国と消費者、国と事業者という感 じの議論で進んできているというのが、今までの意見交換会の印象です。そこは、うま くコーディネートできていないということもあるのかと思います。 ○林座長  意見交換会と言いますかリスクコミュニケーションというのは、いろんな分野の方々 がですね、必要な情報を共有した上で意見を交換するということが原則ですよね。、も し必要な情報を共有しないで行きますと、これは話がかみ合わない。先程、行政と企業 の話し合いがうまくいくというのは、やはり必要な情報を共有しているというのがある からだと思います。そういう意味で、やはり共有しなければならない必要な情報という のは何かということを考える必要があると思います。  私、今まで何回か意見交換会を外から拝見させていただいて感じたことですが、やは り一番大きいのは特に消費者の方と企業の方、消費者と行政の方の場合にですね、本当 に専門家、企業の専門家の方、行政官の間では、当たり前の情報、これは別に取り上げ なくて良いのではないかという情報がですね、実は消費者にとっては系統的に説明をし なければならない重要な情報である場合があるのですね。それが共有されていないため に、大きな問題になることが多いというふうに私は非常にそれを感じましたので、やは りプレゼンテーションのあり方。これは例えば配布資料とか、あるいは最初の総論的な お話の中で、そういう問題をきちんと含めることが大事かなというふうに感じました。 ○原課長  いくつか忘れないうちに。例えば、ケーススタディでちょっと見ていただければと思 いますが、参考の3−2という資料。これはBSEのコミュニケーションで最近リスコ ミで使っている資料なのですけれども、その後ろの方になりますけれども、「特定の危 険部位」ということで、なかなか口で説明しても分かりにくいということで、こういう ビジュアルなものを入れさせていただいています。おそらく発展途上だろうと思うので す。  岩渕構成員がおっしゃったように本当はビデオみたいな形で、我々も作りたいと思っ てはいるのですけれど、一つずつ出来るだけビジュアルにしていくという努力をしてお ります。それから、行政官の説明が分かりにくいというのは、恐らくいくつか要素があ るのだろうと思います。役人の性として、正確に説明したいということがあります。あ と、いろいろと雑談してますと、特にBSEの問題ですと、大きな社会的混乱を招いた ことに対する、行政に対する不信感があるので、なかなか、一度信頼を失った人間が、 説明してもしっくりこないという点があると思います。そういう意味でも、やはり有識 者の方とか学者の先生とかそういう方のお話をできるだけ、上手く組み合わせながらや っているという状況ではありますけれども、そうはいっても、行政側としても、もっと できるだけ分かり易い情報発信なり、説明するためにどういうふうにしていけば良いの かということを、スタッフ養成も含めて、いろいろと工夫していく必要があると思って おります。  この研究会にはリスクコミュニケーションの技法などについて知見のある構成員にも お入りいただいておりますので、プレゼンテーションを行う側のレベルアップと、でき るだけ、情報を共有して議論ができるような、そこはある意味参加していただく側の、 経験の積み重ねみたいなものもあるのかもしれないのでけれども、その辺りももう少し 現状を、また別の機会に御説明させていただき、御議論いただければというふうに思い ます。 ○林座長  どうもありがとうございました。  はい、どうぞ。 ○岩渕構成員  いくつか、まだすっきりしない点があるので、改めてお尋ねしておきたいと思います が。要するに、業者間あるいは関係者間のリスコミと、それこそ、一般のいわゆる家庭 の主婦に対するリスコミとやはりこれはかなり様相が違う。それは、先程もおっしゃっ たように基礎的な素養というと変ですが、基礎的な知識のレベルからしてかなり違うと いうこともあると思います。ここで扱うのはそこまで含めた形のものであるというふう に考えて良いのかどうかということですね。そういう点で言いますと、今までのやり方 できていると、やはり関係者間の範囲内ではないかというふうに、私自身は疑いを持っ ているのですが、そうするとやはりズレがどうしても出てくるなというな感じが、限界 も出てくるなと思います。  ですから、我々の議論の仕方として、これからやっていく場合には、ケースA、ケー スBというふうな訳ではないのでしょうけれども、そこの所を何らかの色分けをしてい かないと、全部一緒くたにこうあるべきだと言って、一つのやり方、提言で全部やれる ものだと、私は思えない。ですから、リスコミの対象によって様相が変わってくるとい うのが、第一点ですよね。  それから、先程、座長が指摘された中で、座長があまり強くおっしゃらなかったので すが、安全と安心の考え方のなかで「安全」と「安心」は別のものだという言い方が関 係者の間でいかにも、まことしやかに出てくるというのは、これはいかがなものかとい うふうに思います。それは、ですから今までの、最初に私が言ったように、業者にイン チキするなと言うのが基本だというふうに申し上げましたけれども、なぜ、「安全」と 「安心」がかくも隔離してきたかというと、行政も含めて、これまでに行われてきた個 別具体的な事例に対して、国民がそのたびに不信を募らせてきた部分というのが、やは りあるのですね。ですから、それをどういうふうに解消していくかというその問題もあ るのですが、その場合にですね、特に行政、まあ業界でも良いのですが、行政の場合特 に、例えば行政説明が分かりにくいとか言われていますが、分かりにくいだけではない のだと思います。行政というのは何故かすごい責任感を感じてしまうのですね。必要以 上に。我々が思うに。それは、だからあまり責任感を感じすぎると、うざくなるんです よ。重すぎるんですよ、国民から見ると。そこのところの気持ちの有り様を気楽に考え ていただきたい。  つまりどういうことかと言うと、行政というのは今まで行政指導をやってきた長年の 経験からですね、説得するとかですね、国民を教育するとかですね、潜在的にそういう 意識がどこかに働いているのではと。他の行政分野、皆そうですけれどもね。だから、 そこのところを肩の力を一回抜いて、先程、図らずもおっしゃいました様に、信頼を失 ったのですから、もう一回信頼してくれとあまりがっつかずに、もっと気楽に、単に情 報提供で後は国民の皆様の判断に任せるくらいのつもりでった方が、リスコミとして は、私はうまくいくと思うのです。  それは、業界についてもまったくそうだと思います。業界の人に「安全」と「安心」 は別ものだというふうにはっきり言われるいうのは甚だ心外であるということを申し上 げておきたい。 ○林座長  何かございますか。 ○原課長  岩渕構成員のご指摘の中で、対象者の範囲をどういうふうに考えるかということがあ りましたが、やはり、基本は幅広い方々だと思います。私など、リスコミだけではあり ませんけれども、行政施策などをどういうふうに説明するかという時に、絶えず念頭に おいているのは嫁さんや娘にどういう説明をして分かってもらえるかということです。 リスコミの場合ももちろんそういうところが大切なのかなと思っておりまして、ですか らこの場での議論も、いわゆる関係者ということにとどまらない、できるだけ一般の食 卓を預かっておられる主婦や、中高生とか、そういうところまで視野に入れて御議論い ただければと思います。  実際問題としては、意見交換会だけで考えてみた場合に、来られる方が関係者がその ほとんどだというのも実態だと思いますし、考え方としては、関係者間の議論が積み重 なってレベルが上がることによって、全体の食を巡る社会環境がレベルアップしていく という面もあるのは事実だと思いますので、少し、そうした実態を睨みながら、気持ち としては、広く国民を対象にしたあり方というのを御議論いただければと思います。 ○林座長  はい、どうぞ。 ○丸井構成員  今のお話の、誰を対象にするかということにつきまして、関係者というのは一体何な のかというのが良く分からないのです。それは様々な側面があるので、切り分けられる とは思うのです。経路の一つが、先程来の意見交換会です。実際には、今日のこの研究 会はそうでもないのかもしれませんが、重大な決定をすれば当然、その日の午後のテレ ビ、ラジオ、新聞、そして雑誌といわゆる報道、マスコミを経由して国民全般に染み渡 っていくので、課長の奥様も、帰宅されて話を聞く以前に、テレビを観て様子を知る訳 ですね。  ですから、国民という1億2千万人全体に浸透させるという個別の方法の一つ、ある いは非常に大きい経路として、マスコミ、報道というのがあって、そのへんのところ実 際に岩渕構成員は一部を担っていらしゃったのだと思いますし、役割が非常に大きいと 思います。  そのうち、次回、次々回くらいのところで私の研究班での状況を、ご報告をすること になるかと思います。国民1人1人に直接、厚生労働省が情報を出すということは不可 能ですので、媒介となっているマスコミが、厚生労働省の意図をきちんと汲んで、そし て国民向けに分かり易い言葉で報道できる、そういう流れを作るということも、非常に 大事なことです。という、いきなり国民に落ちてくるのではなくて、その間の経路とい うものを少し見直して、どこに力を入れると、コミュニケーションが良くなるのかとい うようなことも考えるようになるのだと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。対象がどうあろうとですね、やはり食の安全の確保 ということが究極の目的ですから、対象によって考え方や方法は変わるかもしれないで すけれども、究極的には一緒なんですね。ですから、対象によって方法を替えるとかあ るいはメディアを利用するとかというようなことはありますが、目的は明確にしなくて はいけないということですね。  何か加藤構成員、御意見を。 ○加藤構成員  岩渕さんが先程からおっしゃっているリスコミの対象の話がございましたけれども、 私は、主婦とか女性とかにかかわらず、また性別、年齢にかかわらず、対象を考えてい くべきだろうと思います。その時に、これまでの意見交換会の実施状況を拝見してい て、やはり主催が国という事もございます、一部、食品衛生協会のものもございますけ れども。このあたりは、何といいますか、主催するときに、事業者とコラボレートして 主催してみるとか、少し形態も変えていくと、層が広がっていくのかなと思います。  どう見ても、この会議名、会議内容からすれば、普通の若い男性でも女性でも、ちょ っと気軽にいってみようかという感じではないですよね。その辺りの工夫も必要なのか なということと、それから、我々の団体でも、栃木の意見交換会に出席してみたいとい う栃木県婦連の組織から問い合わせが合った時に、ぜひどうぞと私申し上げたのですけ れども、一つは、アクセスの仕方が普通の人にはですね面倒な部分があるのではないで しょうか。インターネットで気軽に申込ができる人も、たくさんいらっしゃるでしょう けれども、そうでない方もキャッチしていくものがもう一工夫あると良いのかなと思い ました。 ○林座長  先ほどのスタッフ養成、インフラの整備と言うことで何か岩渕構成員ご意見はござい ますか。 ○岩渕構成員  いえ、そこまではまだ考えていません。 ○林座長  大山構成員は何か。 ○大山構成員  はい、ちょっと意見が出ません。 ○林座長  では、私もまだ考えてないんですけども、重要だということだけは感じているんです ね。というのは、食の安全の問題にはというのは、どんな専門家でもまだ不確実な面が 常に伴っている訳でして、その点を踏まえて、専門家でなくとも、食の安全を理論的に 優しく解説できるという人が中間に入っていただけると、かなりのハイレベルの問題を 理解できるということになります。例えば、いろんな社会学的な問題などは私はわかり ませんけれども、やはり適切な新聞の論説を読むと、ある程度わかったように思いま す。そういう意味のインフラの整備というのは大事だと思いますので、これは岩渕構成 員に次回かその次までにちょっと考えていただきたいなと思います。  では、その次に、今後の進め方という点についてですが、資料としてはどこにありま すか。 ○広瀬企画情報課長補佐  資料5になります。 ○林座長  資料5ですね。資料5の進め方について何かご意見ございますでしょうか。11月2 6日に各構成員からご意見をいただく、それから1月の前半もご意見をいただいて、4 回目に主な検討項目に沿って議論する。そして、5回目に中間とりまとめということ で、タイトなスケジュールですけど、各構成員からそれぞれの立場でのご意見をいただ くということがこれが一番重要だと思いますので。具体的に何かお考えはありますか。 事務局として。 ○広瀬企画情報課長補佐  可能であれば、次回から、何名かの先生に、ご自分がこういう取組をしているので、 こういったことを生かしたほうがいいのではないかとか、また、いろいろ各所の意見交 換会を見ていてここはこうしたほうがいいんじゃないかとか、お感じになったことをま とめて御発表いただければと考えております。 ○林座長  とすると、これは2回で全部の構成員のご意見をいただくといたしますと、1回で何 人ですか、3人か・・・。 ○広瀬企画情報課長補佐  3名か4名の。 ○原課長  全体7名の研究会で、座長を除かせていただいた6名の構成員を2回に分けて、も し、必要があれば、外部の方をゲストスピーカーで来ていただくとか、そういうこと も、座長とご相談させていただきたいと思います。 ○林座長  となると、各構成員の方に30分前後のお話をいただくと、そういうことになるんで すかね。 ○原課長  例えば、20分くらいで、そのあと、意見交換を。 ○林座長  20分くらいでおまとめいただいて、あと、10分くらい議論すると準備いただかな いといけないということもありますので、この点について、どなたかご意見ございます か。 ○広瀬企画情報課長補佐  丸井先生は、実は26日には学校の行事などもございまして難しいというお話ですの で、そのへんは事務局の方で少し調整をさせていただきまして、先生方に連絡をとって 発表いただく先生をセットしていきたいというふうに考えております。 ○林座長  事務局の方で決めていただいてよろしいですか。なるべく早く決めていただかないと 準備が間に合わないということで、ひとつよろしくお願いします。  で、第4回目に主な検討項目の議論ということですけれども、何か今後の進め方につ いてご意見はございますでしょうか。大山構成員、何か。 ○大山構成員  進め方ですよね、これで了解でございます。 ○林座長  加藤構成員もよろしゅうございますね。  今後の進め方は、事務局の案通りにやらせていただくということですね。何か更に追 加、御意見があればよろしくお願いいたします。  意見交換会の最終的な目的はそれによって消費者の方々と行政の方、消費者と企業の 方の間に、考え方が接近してくるということあるいは同じような基本的な考え方を持つ ことができるというようなことが、これが非常に望ましいことだと思うのですけれど も、それを検証しなければならないと思います。  意見交換会の成果がどうであったかということの検証、これが、今までのリスクコミ ュニケーションの取組の中に、そういうことのメカニズムが組み込まれていたかどうか と。  リスクアナリシスの中に行政が決めた措置をモニターして、必要によって見直すとい う項目がございますが、リスクコミュニケーションの場合でも、その効果についてのモ ニターしてそれをレビューするということが必要なのではないかと思います。アンケー トも一つのモニターだと思うのですけれども、それに従って、今後どのように改善した ら良いかというような点について御意見ありましたら。 ○原課長  今、格好の素材がBSEに関するリスクコミュニケーションではないかと思っており ます。BSEのリスコミを今、全国津々浦々でやろうということで、相当その現場業務 に、かなり追われている部分があり、いろいろ入手しているアンケート調査とかそうい う貴重なデータをですね、正直言って、分析なり、整理できていないというのが率直な ところでありますけれども、できるだけ早く整理をし分析していきたいと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。他に何か。  前に大分県でリスクコミュニケーションの会がありましてですね、その時、私コーデ ィネーターをさせていただいたのですけれど、ちょうどその頃はアカネ色素の問題があ ったんですね。非常に紛糾するかと思ったんですけれども、その時ですね安全委員会の 資料を大分県の行政官の方が、非常に分かり易く、今後の見通しまで含めて解説してい ただいて、聞いておられる方に良く理解していただいたということを経験しています問 題によっては専門家の意見も取り入れて説明すると理解を深めることになると思いま す。  時間がちょうど十二時になりましたのですけれども、他に御意見がなければ。 ○加藤構成員  一つだけよろしいでしょうか。主な検討事項の資料4の中に、1の3つ目のマルのス タッフ養成の在り方についてという。これは参考2の7月に発表されました食品安全委 員会のリスコミの現状と課題の5ページ目にですね、リスコミの手法と手段のところ で、「(1)リスクコミュニケーションを推進するための専門家を養成する。」と書い てありますが、これとリンクする話なのですか。そうではなくて、あくまでもこれは意 見交換会のコーディネーターを含めたスタッフを養成する、こういうお話ですか。  あと、もう一つ質問は、今日は検討項目の1を中心にお話がいろいろ出たと思います が、2番の、リスコミの在り方について、ホームページだとか、厚労省がおやりになっ てらっしゃる広報手段のあり方等についての、お話というのは、2回目以降のスケジュ ールに入ってくるのか、いないのか、その2つお願いします。 ○広瀬企画情報課長補佐  今日、御説明させていただいた中には、ホームページについてもこんなホームページ を作ってますとか、こんな政府公報していますというものがありますので、これについ ても、ここが分かりにくいとか、こういうことをしたほうが良いとかいうお気づきの点 があれば、次回、御意見を発表いただく際でも結構ですし、忌憚のない御意見をいただ ければと思います。  それと、最初の御質問にありました、専門家の養成ということが、安全委員会のほう の現状と課題で書かれておりますけれども、こちらはもう少し大きな話かなというふう に私ども理解しておりまして、例えば大学とかでですね、こういうことを研究する研究 者といいますか、そういう講座を増やすとか、いわゆる専門家の方を増やす必要がある のではないかという趣旨かなと理解しております。  私どものほうは、むしろ行政スタッフのほうを、実際やってる担当者についてはどう スキルアップをしていくかということになります。また補足させていただきますが、現 状と課題の一番後ろのところに、農水省の研修の実績というのが資料としてついていま す。これ実は厚労省のほうは農水省に遅れをとっているところなのですが、農水省は既 に研修を何回か実施されております。中身としては、いかに分かり易く情報提供を行う かというような事例をシミュレーションというようなことで、あるシナリオに沿って、 実際にいくつかの担当に分かれて実際にやってみて、どこが問題だったかというような ことの検証もされているというふうに聞いております。  講師の方で、甲子園大学の木下学長のお名前があがっておりますけれども、今回研究 会にお入りいただいている金川先生も、木下先生とチームで研修をされている方ですの で、次回以降にその辺のお話もいただけるのではないかと考えております。 ○林座長  検討項目の内容が多いですね。ただ漫然と話し合いをしてもなかなか、こうまとまり が着かないので、できればですね、ホームページのあり方、広報活動のあり方というこ とについては、加藤構成員と神田構成員と先生に少し考えて頂きたいというようなこと はいかがですか。  それから、例えばですね、今のスタッフ養成のあり方ということの中の、行政スタッ フがスキルアップするためには、どの点を考えて行くべきかということについて、これ は、私、丸井先生あるいは大山構成員に考えて頂くというようなことはいかがでしょう か。先程、構成員からの発表の話がありましたが、その内容について、少し注意して欲 しいというようなことを、事務局からの依頼ということがありますとですね、できれば そのほうが考えがまとまるんじゃないかとということもありますので、いかがですか。 ○原課長  各構成員からご発表いただく、テーマ設定なり中身については、基本的にお任せさせ て頂きたいというふうに思います。丸井先生であれば、厚生労働科学研究の研究の状況 的な話もございましたし、それぞれのお立場で。  今、座長からご指摘のあった、もう少しテーマ毎に各構成員の先生との連携を密にし たらどうかということだと思いますけれども、そこは、宿題としていただいて、また進 め方を御相談させていただきます。 ○林座長  何か御意見がなければ、事務局にお返しします。 ○広瀬企画情報課長補佐  次回は11月26日を予定しておりますので、次回以降、発表等を踏まえた議論を進 めていただくことになるかと思います。  その他、特に伝達事項等もございませんので、長時間御議論をいただきありがとうご ざいました。これをもちまして研究会を閉会させていただきます。                                     <了> 照会先:医薬食品局食品安全部 企画情報課 内線(2493、2452)