審議会議事録  厚生労働省ホームページ

第10回雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会


1 日時平成16年11月30日(火)10:00〜
2 場所厚生労働省専用第17会議室
3 出席者
委員(公益代表)椎谷座長、白木委員
(雇用主代表)奥田委員、才賀委員、下永吉委員、林委員
(労働者代表)池口委員、池田委員、笹田委員、寺澤委員
事務局 大石職業安定局次長 、吉永建設・港湾対策室長
 小宅補佐、森下補佐、下出補佐
オブザーバー
 職業能力開発局育成支援課 杉澤補佐
 国土交通省総合政策局建設振興課労働資材対策室 藤田補佐
4 議題新たな建設労働対策の検討について
5 議事

○森下補佐
 定刻になりましたので第10回労働政策審議会建設労働専門委員会を開催いたします。本日は冨田委員が所用のため欠席となっております。それでは議事に入りたいと思います。椎谷座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。

○椎谷座長
 お早うございます。これからの新しい建設労働対策についてご審議いただいて、今回で5回目ですが、前回11月16日に開催された会合では、「新たな労働力需給調整システム(案)」の概要について事務局から説明があり、そのあと、委員の皆様方に新たな建設労働対策のあり方等について議論していただきました。その際に委員の皆様から、事業主団体の範囲を限定すべきではないかとか、計画の認定や事業主に対する許可の基準を厳格にすべきではないか等のご意見をいただきました。それらを踏まえて事務局で、これらの点について整理した資料を作成しております。本日はこの資料に即して、新たな建設労働対策のあり方等について、さらに議論を深めていただければと思っております。日程としては、11時半ごろまでを予定しておりますのでよろしくお願いいたします。
 それでは事務局から資料の説明をお願いいたします。

○森下補佐
 本日、資料については2種類用意しております。まず、「新たな労働力需給調整システム(案)について」という資料に即してご説明したいと思います。この資料は前回の会合において、需給調整システムについてもっと詳細な説明がほしいというご発言、ご要請がありましたので、それを踏まえたものです。前回、労災の責任負担のあり方についてもご議論がありましたが、これについてはいま内部部局で調整をはかっているところですので、次回以降、整理したものをご提示できればと考えております。
 「新たな労働力需給調整システム(案)について」という資料の1頁目からご説明します。この仕組みの入り口の所で、改善計画の認定対象となる事業主団体、建設業事業主の団体をどういう範囲に設定すべきかという問題があります。この団体としては主として、社団法人、事業協同組合、協同組合連合会、あるいはその任意団体といったものが考えられますので、それを1つずつご説明していきたいと思います。 社団法人は、民法の規定によって行政庁の許可が必要ということになっております。その社団法人の実態を見ますと、経営組織規模が大きい、あるいはその事業実施体制がしっかり整備されているといったことが挙げられるかと思います。こうしたことから基本的に、社団法人はこの仕組みの対象にできるのではないかと考えております。(2)、事業協同組合あるいは協同組合連合会といった団体をどう考えるかという点ですが、事業協同組合については、ポツで書いていますとおり、まず4社以上、小規模でも設立できる。あるいは3つ目のポツにありますように、目的を達成することが著しく困難であるといった場合でなければ、設立を許可しなければならないという仕組みが用意されています。すなわち、事業協については、設立がやや容易にできる。それを裏返せば、実態としていろいろなものがあるのではないかということが考えられます。こうしたことから、事業協という枠組をさらに精査していく必要があるのではないかということで、1から掲げていますように、一定の要件をかけて、対象を絞り込んでいくことが必要ではないかということです。その絞り込みのあり方として1、会員数が一定以上あること。これはすなわち、財政的な基盤がしっかりしているか、あるいは、その事業実施能力があるかどうかということを判断するのに有益な基準ではないかと考えられます。2は建設業に関する事業を適正に実施しているかどうかといったことです。実際にその建設労働者の労務管理の改善を行っているかどうか、あるいは、その認可行政庁への事業報告を、毎年きちんとやっているかどうかといったこと。こういったことを確認することによって、休眠団体であるかどうかが確認できるのではないかと考えられます。2頁目、さらにその絞り込みのあり方として3、独立した事務局体制を整備しているかどうかといったことが挙げられると考えられます。独立した事務局を置くことができるということは、事業を適正に実施する能力があるのではないかということが考えられます。4は、団体の役員に刑法犯がいる等の。いわゆる不適格要件に該当しないといったことが挙げられると思います。
 3番目は、任意団体形式のものも考えられるのではないかということです。最初のポツに書いていますように、任意団体のものについては、公的な関与がやや薄いので、賠償責任の帰属等がやや不明確になる。あるいは次のポツに書いてありますように、財政的な基盤がやや不確実であるといったことから、基本的には難しいと考えられますが、この中からどういったものを対象としていくか、今後さらに検討が必要であると考えております。(4)は、(1)から(3)までの団体について、それぞれ建設事業主の団体であることを確認する必要があるのではないかということです。そのためには当該団体に占める建設事業主の割合も、要件化していくことも考えられるということです。
 3頁目。新しい需給調整システムは第一段階として、まず改善計画を立てるということを挙げております。その改善計画をどのように認定していくかといったことをここで整理しております。やや抽象的な書きぶりになっていますが、以下のようなことです。(1)にありますように、厚生労働大臣が定める建設雇用改善計画に照らして適切なものであること。現在、建設労働者の雇用の改善に関する法律の枠組において、中長期的な方針を定める5カ年計画を作っております。その計画の中に今度、新しい需給調整システムに関する基本的な指針といったものを盛り込むことにしていますので、そういった基本的な指針に則しているかどうかを確認するものです。(2)は改善措置の内容あるいは実施時期が、目標を確実に達成するのに適切なものであるかどうか。いわゆる、ちゃんと役立っているかどうかといったことを確認するものです。その他(3)にありますように、改善計画を達成する見込みが確実であること。いわゆる絵に描いた餅に終わらないかどうかを確認するものです。
 これらの計画の認定要件が満たされなくなった場合には、認定が取り消されるということになるわけですが、個々の事業主が適切にその事業を実施していないことが認められる場合には、その事業主に対する許可を取り消すだけではなくて、翻ってこの計画自体も取り消されるといった措置が必要ではないかということを※で書いております。参考として改善計画の記載事項を付けておりますが、(4)にありますように、これを送出事業主あるいは受入事業主、両方書いてもらうことが必要であるということです。
 4頁目。この仕組みの第二段階として、計画の認定を受けたあと、個々の建設事業主がそれぞれ許可を取っていただくといった仕組みを考えております。個々の事業主が事業を実施するにあたって、どういうことを満たせば許可できるのかを4頁目以下に整理しております。その第一は、当該事業が雇用の安定を目的とするものであること。これはまず1にあるように、雇用確保のための仕事量をちゃんと確保する。いわゆる営業努力をちゃんとしているかどうかといったことです。2、ここは重要な点で、一時的に過剰となる労働者のみを事業の対象にするものであること。これはすなわち、送出専門部門を設けていないこと。あくまで建設業という本体に対して、付随的に行うということです。3送出期間中の賃金について不合理なものとしないこと。その送出労働者が、不当に賃金を削られるようなことがあってはいけないということです。4は、ここは冒頭に申し上げたように労災の責任負担のあり方に関する所で、まだ整理中ですが、ここで申し上げたいのは、最終的に労災に漏れなく加入しているかどうか、そういった状況を最終的に確認する必要があるということです。5として退職が決まっている労働者を送出するものでないということ。6常用労働者のみを送出するものであること。
 (2)は、(1)で述べたこととやや重なる点があるかと思いますが、実態として建設事業を営んでいることを要求する必要があるのではないかと考えております。実態というのは、その建設事業主の売上げとか、そういったものから判断できるのではないかと考えています。(3)、これは言わずもがなのことですが、計画において事業を行うこと。ちゃんと認められたものであるということです。(4)送出労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有することということで、1に書いていますように、送出事業主の責任者として、雇用管理を適正に行えるものが、ちゃんと適切に配置されているかどうかといったことです。これは現行でも、雇用管理責任者といったものを配置する枠組を作っていますので、それをパラレルに考えていただければと思います。
 5頁目。2送出事業主が送出労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等、適正な雇用管理を期待し得るものであること。3送出労働者に対する能力開発体制がきちんと整備されていることが必要ではないかと考えております。ここでは、中長期的に労働者に対して必要な能力を身につけていただくということはもとより、送出にあたって、送出先できちんと即戦力となり得るような能力を身につけていただくことが必要である、そういった短期的な観点からも、能力開発体制がきちんと整備されていることが必要ではないかと考えております。
 (5)、ここは、個人情報を適正に管理し、送出労働者の秘密を守るために必要な措置が講じられているということです。この事業を実施するにあたってはどうしても個人情報を取り扱うことになりますので、労働者の秘密を守るために必要な措置が講じられていることが必要であるということです。1は適正に管理するための事業運営体制が整備されているということです。2は、事業運営体制だけでなく個々の、適正に管理する措置も必要であるということ。やや重複がありますが、そういう整理です。
 6頁目。(6)その他、事業を的確に遂行するに足りる能力を有すること。1に事業を円滑に実施する財政的基盤を有することと書いてありますが、こういう記述をした趣旨は、膨大な赤字を抱えている、膨大な債務を抱えて何年も続いているというような所が、果たして事業を的確に運営するに価するかどうかといったことです。2は、苦情処理体制を含めて、組織体制がきちんと整備されているかどうかを見るということです。(7)は申請者及びその役員中に不適格者がいないことを求めるものです。
 大きく7つ掲げていますが、こういったことを許可要件にすれば、事業主を適正に絞り込むことができるのではないかと考えております。※で許可の有効期間を書いていますが、個々の事業主が受けた許可というのは、あくまでその前段階として要求される改善計画に記載された、事業の実施時期の範囲内で有効であるという枠組をとることになると思われます。その計画を立ててしばらくして入ってきた者については、その残された計画期間のみ許可が有効になるということで、当初から入ってくる人に比べて若干短くなるといった枠組です。なお、その許可の有効期間に加えて、許可の有効期間の更新も受けることが必要という仕組みを考えております。
 7頁目。これは、送出事業主と受入事業主の間で、どんな契約が交わされるのかを整理したものです。契約内容の必須事項としては、次のようなことが考えられるのではないかということですが、ここでポイントとなるのは、請負とは違うということです。すなわち請負のように、点線の所に書いてありますようにビルの5階、6階の内装工事一式とか、あるいは、何平方メートルの整地を行うといった仕事量で表現するものではなくて、1人1日いくらといった表現で明記されるものであると考えております。ア〜コに書いていますのは、個々の労働者が実施する業務の内容、あるいはその労働条件に関するものを明確に書いてほしいということです。そのほか、ケにありますように、仮にその契約の解除をするにあたっては、雇用の安定を図るために、必要な時間的猶予を持って解除の申入れを行うことが必要ではないかといったことも書いてあります。
 8頁目。前の頁が、その契約に必ず記載しなければいけない事項ということでしたが、そのほかにも送出料金とか、あるいは契約不履行の場合の賠償責任といったことについて、契約に記載されることが想定されるということです。
 9頁目。ここは、送出事業主が労働者を送り出すにあたって、あらかじめ労働者から、送出労働者になるということに関して同意を得ておく必要があるだろうと考えております。
 「新たな労働力需給調整システム(案)について」という資料に関する説明は以上です。

○椎谷座長
 ありがとうございました。事務局からの説明は以上ですので、あとは皆様方から自由にご意見なりご質問なりをお願いいたします。

○池田委員
 いま森下補佐から提案がなされたわけですが、1頁から質問したいと思います。まず事業主団体の件で、社団法人というのはいろいろな意味で、民法の規定上、公益団体であるし、対象となるということはわかるのですが、2番目の事業協同組合及び協同組合連合会です。吉永室長が言われたことを思い出しているのですが、日本には事業協同組合あるいは連合会というのが、1,200団体ぐらいあると言われています。しかし私はそれ以上あるのではないかと見ているわけです。したがって、どのくらいの団体があるのかをまずお聞かせ願いたいと思います。

○吉永室長
 事業協同組合の数ですが、正直言って、建設業関係の事業協同組合の実態は、正確に把握するのがやや難しい面があります。「建設事業に関する」というところで、どこまでを「関する」という形にするか、非常に算定も難しい状況があります。先般私のほうで、1,000数百あるのではないかとご説明いたしましたが、正確にいろいろな資料に当たりますと、資料によっては5,000程度あるというものもあります。ただ、これがいずれも建設事業主のための事業をやっているかどうかについては、正直、確認が取れないという状況です。大体、最大で5,000程度あるのではないかということは言えるかと思っています。

○池田委員
 ということになりますと、1,200社から5,000社になって、さらに、もしかするともっとあるということが予測される。最初、我々が議案をいただいて通したときの1つの大きな柱は、暴力団の防止、あるいは悪質ブローカーの防止等と、それに伴う中間搾取等々の問題があります。そういう意味で、5,000社も6,000社もあって、それを認定するときには大変問題があると思っているわけです。特に1頁に書いてある「会員数が一定数以上であること」。今後把握してやると言うのですが、ここに書かれるのだったら、ある程度の案があると思いますので、是非そこを答えていただきたいということが1つ。2つ目は、2が大変心配です。休眠中のそういう団体が、この法案が通ると逆に起きてしまって、目覚めて、これはいい、こんな素晴らしいものができたのか、ということで手配師的な、労働者を送る派遣的な役割を果たす。そういうことが本当に心配されているわけです。したがって、この認定にあたっては大変厳しく縛りをしなければいけないと思っています。
 その縛りの1つは、私はその委員もやっていますが、派遣法で派遣元を認可する場合には、必ず審議会を通して、そして認可をするということになっているわけです。このスキームを見ますとそういうものがない。この窓口はすべて行政の、地方労働局になるのではないかと思っています。地方労働局がペーパーで出てきたものについて認可をして、許可をしてしまう。これでいいのかという問題が出てくるわけです。やはり、もう1つクッションを置いて、公的な場で議論ができて、問題があったときはその審議会、例えば建設専門委員会で結構だと思うのですが、そういう中できちんと質していくという形にしないと、5,000、6,000ぐらいある協同組合、あるいは連合体の中で、先ほど私が言った暴力団の防止、あるいは悪質ブローカーの防止が本当にできるのか。そこを大変心配しておりますので、事務局からお答えを願いたいと思っています。

○吉永室長
 1点目は、実態についてどういうふうに把握しているのかというご質問でした。正直言って実態把握はこれからです。事業協同組合によって、十数社程度でもきちんと事業をやっていると見込まれる所、あるいは、50社程度をもって事業をやっている所、きちんと事業を行っていると考えられる所もいくつか把握しておりますが、それをもって、同様のものがすべて今回のスキームにのせられるべきものかどうかということについては、もうしばらく時間をいただいて詳細を検討して、大枠については法律の中に書き込むべき事項というものもありますが、細則になる部分もありますので、施行までにきちんと実態を把握して、きちんとした整理をしたいと考えております。
 2点目は、要件についてどう考えるのかということでした。池田委員ご指摘のとおり、いかにブローカーを排除するのか、暴力団を排除していくのかということは今回のスキームの1つの中核です。そういう意味で、正直言って、これだけで足りるのかどうか。もう少し検討すべき事項があるのではないかと考えておりますが、ここに書いてあるような状況であれば、それをもって直ちに、事業を実施できないとは考えられないのではないかと考えております。また、今回のスキームを活用するために急遽、休眠していたものがまた起き出して事業を行うというご指摘もありましたが、例えばここで記載している「認可行政庁への事業報告を適正に実施している」という要件。休眠している所というのは、それをやっていない所がかなり多いのではないかと考えております。最低限こういうものを毎年きちんと行政庁に出している所、それに併せてその表側になるものとして、事業を実際に実施しているという所、そういうところが確認されれば、そのようなものが入ってくる、あるいは、利用してブローカー的な動きをするということは、かなり抑制できるのではないかと考えております。これも実態を把握するとともに、それにあわせた形で、最終的な要件をどういう形で設定すべきかというあたりの精査をした上で、施行までの段階で改めてお諮りしたいと考えております。
 3点目は、私どもの行政庁の中のチェックだけでは必ずしも十分ではないのではないか、類似の仕組みである労働者派遣事業では審議会に諮っているということで、それと同様の制度で、外部からの目によるチェックも必要ではないかというご指摘だと思います。このご指摘、非常にもっともなご指摘だろうと思っております。私どもも、本日の案にはお示ししておりませんが、どういう形で行政庁外からの意見を聞くことができるのかということについて検討しております。今回のスキームは大きく、事業主団体の認定の段階と個別の許可の段階ということで、2段階あります。非常に手厚くやるということであれば、この2段階ともにそれぞれご意見を聞くということも、選択肢としてはあり得るのかなと思っておりますが、なかなかそこまでの事務処理の手数をおうことが適当かどうかを、内部で議論しているという観点で今回の資料には入れておりません。実際の運用としては、事業主団体の計画と個別の許可の申請。少なくとも初回の許可の申請について平行して精査をして、それぞれを確認した上で、適切であれば事業主団体の計画を認定し、個別の許可も行うというやり方が適当ではないかと考えております。そういう意味で、その段階で公労使の皆様のご意見を聞きながら、この団体は適当ではないのではないか、あるいは、この事業所についてはいろいろな評判があるのではないかというようなご指摘がいただけるのであれば、今回のスキームを適正に運営する意味で、非常に役に立つのではないかと考えています。現在私どもが腹案として持っている考え方としては、以上のようなやり方で、池田委員ご指摘の問題点をクリアできるのではないかと考えております。

○池田委員
 もう1点だけ。2頁の3の中に「独立した事務局体制、事務所や事務員が整備されている」とありますが、ペーパーで出されてくるわけですから、実態を把握することはなかなか難しいと思うのです。ペーパーだけで本当に事務局があり、事務員がいるということがわかるのか。私ははっきりしないと思うのですが、どのような形でこの事務局や事務員が整備されているということが、労働局の窓口ではっきりできるのか。それが1点です。
 2つ目は3、4、任意団体の形式のもの。先ほど言ったように事業協同組合、連合会が5,000も6,000もある。さらに任意団体まで含める。あるいは4番目の、建設事業だけでなくいろいろな業種のものも入れている。これは、新しい法律を作る場合には少し広げすぎであるし、こういうものはまず頭に入れないほうがいいのではないかと、私は思うわけですが、その2点についてお答え願ればありがたいと思います。

○吉永室長
 まず、お尋ねの1点目。事務局体制の確認の方法について、ご指摘がありました。契約の認定、あるいは許可の場合も同様ですが、基本的には書類上の審査というものが一義的に行われるわけです。そこから、例えば電話をして確認した場合に違う名前を答えれば、明らかにそこは専門の事務局体制ではないことが明らかになる、という確認の仕方はあるだろうと思っています。
 もちろん書類審査だけで十分だとは思っていません。必要に応じて現場に赴き、その実態があるかどうかということも確認したいと考えています。その辺りを全て悉皆でやるべきかどうか、いずれにしても疑わしいものについては徹底的に調査をする体制が必要だろうと思っています。
 もう1点、任意団体については手を広げすぎではないか、というご指摘がありました。私どもも同感の部分があります。一義的に任意団体を入れるということについては、消極的に考えるべきだろうと考えています。ただ、建設業の事業主団体の実態を見た場合に、全国団体についてはもちろん法人格を、社団なり、場合によっては財団というのもありますが、社団法人、民法法人になったというのがある。都道府県の建設業協会についても社団の法人格を持っている。
 もう1つ、専門工事業者の団体で見ますと、全国団体についてはもちろん社団の法人格を持っておられる。ブロックの団体についても、社団を持っておられるところもある。ただ、都道府県レベルの専門工事業者の団体については、必ずしも法人格を持っておられないところもあるのではないかと考えています。
 1つは先ほど申しました、都道府県レベルの建設業協会についての考え方で、都道府県全体でその事業をやっていただくということが可能であれば、まさにその都道府県協会でやっていただきたいと考えています。ただ、規模の、面積的な意味でも、人口的な業者の数の意味でも、あまり大きな単位でこの事業ができるのかどうかということを考えた場合に、現実的な事業実施体制ということからすると、支部レベルの運用というものも念頭に置く必要があるのではないかと考えています。
 また、専門工事業者の場合で言えば、実際に手が足りないという形で、実態として人のやり取りがなされているとすれば、地域レベルの、その団体レベルということが多いのではないかと考えています。そういう意味で、そういうものを積極的に排除していくことが必要なのかどうか、場合によって対象に含めていくことも考えていく必要があるのではないか、ということで今回の(3)に「団体形式のもの」という形で提案させていただいているところです。
 もとより一義的には、池田委員がご指摘のとおりに、任意団体というものは非常に責任体制が不明確であるということ。財政的な意味でも、非常に基盤が弱いということで、ともすれば事業が適正に実施できるのかというような問題もあることを考えれば、一義的には非常にネガティブに考えるべきだろうという点については全く同感です。この辺りはある意味、制度を最初から入れていくことが適当かどうかということも、もう少し検討したいと考えております。私どもで考えているものも、任意団体であれば全てというものではなくて、例えば上部に傘がかかっている部分に限定する形で、実際の事業の実施体制がとれるものについて入れていく、ということも念頭に置くべきではないかという意味です。ですから、それ以外の傘がかかっていないものについては、かなり難しいだろうと思っているということです。
 以上のような状況ですので、これも先ほど申しましたように、施行までの間にもう少し検討させていただき、どういう形での認定が可能かどうかがまとまらなければ、他の部分が先行するような形もあり得ると思っています。いずれにしても、いま申し上げたような趣旨で入れているということにご理解をいただければと思っています。

○寺澤委員
 今回の趣旨が、いわゆる緊急避難的な雇用という問題に対して対処していきたい、というのが1つあるということと、いまスキームを見ますと有料職業紹介事業も入ってくるわけですよね。その事業の認可として、いわゆる計画の中に。そうなりますと、緊急避難ということになると、かなりこの計画自体は短期間ということが想定されますよね。
 ところが有料事業紹介ということになると、一定の長い期間の中で事業としてやっていくというような形にもなるということで、いわゆる改善計画の期間ですね。概ねどの程度の期間というものを頭に入れて、スキームをいま考えていらっしゃるのかなというところを少しお聞きしたいと思います。

○吉永室長
 今回の紙の中に、明示的に記載しておりませんが、改善計画については概ね3年程度ということで考えています。緊急避難的な措置ということで、もう少し短期間ということも考えられると思いますし、ある程度体制を組むということで、もう少し長期間の考え方というのもあろうかと思っています。
 ただ、あくまでも景気のサイクルもありますし、実際の建設業の状況が刻々と変わっていく中で、非常に長期間、例えば5年や10年の計画を立てるということは、適当ではないのではないかと考えているのが1点です。
 また、実際に事業を運営するに当たって、1年限りの事業というものではなかなか実際の事業主の方々も、使っていただくという形にはならないだろうと思っています。もとより3年という形でもう少し短期間の計画ということも、お作りいただくのであればそれでもかまいませんし、3年経ってみて状況が改善しないということであれば、計画を更新することも場合によってはあり得ると考えております。
 参考までに、今回の検討の1つの経緯となった岐阜県の建設労働協会の事例からしますと、やはり3年の期間を定めて事業主間で相互に融通をし合い、3年後に協業あるいは合併という方向に持っていきたいというのが提案の趣旨でした。そういう意味からも、計画期間を3年という形に設定しようと考えております。

○池田委員
 4頁の「就業機会確保事業の具体的な許可基準」で、労災の件については1つ、またご検討願いたいと思っているわけです。
 大切なことは送出事業主のところにいる余剰労働者を、受入事業主側に融通、派遣をするわけです。そのときの問題点の1つは、送出事業主のところにいる労働者が、受入事業所のところに行きたくないということもある。あるいは、労働条件や賃金が雇用契約なされていますから、行く場合についてはどのような条件の中で、心配ですから、そういう不安が送られる労働者の中にあるわけです。
 やはり不利にしてはいけない。そこで送出事業主と融通される労働者の中に、同意と言うか、書面によってきちんと同意書みたいなものが交わされると思っているのですが、そういうことは考えているのですか。

○吉永室長
 いずれにしても、私どもとしても法律の中である程度明記しようと考えている次第ですが、仮に法律の改正を行わないにしても送出労働者になるということは、個別の労働契約の非常に重要な変更になると考えています。そういう意味で、労働条件を変更するに当たっては、本人の同意が必要であるということは、当然であると思っています。
 この点については、法律の中でも具体的に明示する必要があると思っていますが、重要な労働条件の変更について同意が必要であるということは、当然であると考えています。そこを様式行為として書面を必要にするかどうかということは、引き続き検討したいと考えていますが、いずれにしても具体的にどういう形での同意が必要になるか。また、実際に就業機会確保事業で送り出しをされる場合に、どういう条件であるかということ。具体的にどういう就業場所で、条件で、場所から、時間から、安全衛生管理の対象から、そういうものについては書面で明らかにする必要があると思っています。
 いずれにしても、そういう同意のあるなしと、具体的な労働条件になる就労機会確保事業における条件というものが曖昧にならないような形にしていく必要があると考えています。

○池田委員
 そこは大変心配しているわけです。これは才賀委員のほうがよくご存じだと思いますが、才賀委員が専門業者は5万ぐらいあるのだと言われています。どのぐらいの規模なのかわかりませんが、圧倒的に労働組合というのがないのではないか、というように予測するわけです。できれば後で才賀委員から、そこらの点についてご発言をいただければありがたいと思います。
 労働組合が介入できない、労働組合と経営者がきちんとできないというようなところの人たちが圧倒的に出るのではないか。そういう意味で、大変そこは心配しているところです。そこも答えていただきたいのですが、4頁の(4)「送出労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有する者」とあります。IIのところに、「送出労働者の数に応じて、一定数の責任者が選任されること」と。一定数ということですから、具体的にどのぐらいのことをお考えになっているのか、まずお聞きしたいと思っているわけです。
 それから(2)「実態として建設事業を営んでいること」と言われています。先ほど聞きますと、森下補佐が言われたときは売上高だけであります。それだけではないのではないかと。例えば手配師的な、派遣労働者を送っている条件。売上高だけではなくて、もっと条件というのがあるのではないか。その2点についてお願いしたいと思います。

○吉永室長
 1点目、雇用管理者についてのご質問がございました。現行法においても、雇用管理者を選任していただくという形で、雇用管理者はもっぱら募集採用、あるいは雇用管理の事務をとっていただいているということです。
 今回、ここで「送出労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有すること」と改めて記載しておりますのは、雇用管理の技術と言いますか、自分の現場、事業所での就労という意味での雇用管理から、他社に送り出した状況での雇用管理の質が大きく変わるのではないかということで、改めてこの要件を記載しております。
 今回のスキームは繰り返しになりますが、ある意味緊急避難的なものということで、非常に多くの労働者を送り出すということは実際には想定しておりません。そういう意味で、ここで「送出労働者数に応じて、一定数の責任者が選任されること」と書いておりますが、通常のケースで、1人で雇用管理ができないケースというものは、あまりないのではないかと考えています。実際に1人の雇用管理者が雇用管理ができないという場合、例えば100人もいれば、1人では雇用管理ができないだろうと推察することができます。ただ、100人であれば2人いるのかというようなことは、今回のスキームにはあまり馴染まないのかなとも考えています。
 ですから、多くの労働者が送り出されるような場合について、1人の雇用管理者ではできないことを記載している意味でして、具体的に何人ならどうということまでも念頭に置いているというものではないと。ある意味、きちんと雇用管理をしていただきたいということで記載しているものです。
 2点目として、「実態として建設事業を営んでいることの要件として、売上高だけでは足りないのではないか」というご指摘がございました。ある意味、売上高、建設事業に係る請負工事代金をどういう形で得ているのかを見ると大体わかるのかなと考えています。もう少しつめて考える必要があると思っていますが、実際にどういう作業をやっているのかも確認する必要がある、ということであれば、そういうものも確認する必要があるのかもしれないと思っています。
 また、実態として、どこまで今回の対象となる事業主が、持っているかどうかは別にして、公共事業をやる場合については、経審のようなものをやっていると。経審のほうを持っているようなところで、ランクがいいものについては、それだけ見てもある意味で信頼できる事業主であると言えるのかなと思っています。
 この辺りも、もう少し実態に合わせた形が適当かどうか、詳細をつめていきたいと考えています。

○椎谷座長
 他にございますか。はい、笹田委員どうぞ。

○笹田委員
 先ほど池田委員のほうからも出されたのですが、2頁のいわゆる刑法犯のところ。これは大体、こういう類は各省庁とも、やはりそういう並びになるのですが、役員中に刑法犯がいないことということなんですよね。諸々、昨日もちょっと他のこういう絡みであったのですが、やはりこういう表現です。これで解決がつくという話ではないのです。まさに、役員中に入れっこないんですよ。入りっこない。何で裏社会かと言うと、裏で操作、つまり支配するわけだからね。このことは書いておいていいのだけれども、その辺を読んでおかないと、大体この社会は、裏社会というのはまさにそういうことなんですからね。あまりこういうことで、何かスラッと書いて、これで解決するものではないという、このややこしい裏社会のややこしさというのはありますから、ちょっともう少しね。不適格者の排除が後であるのですが、ちょっとその辺は、もう少し工夫したほうがいいのではないかと思います。
 それと、これは前回か前々回に私も言ったのですが、これらにまつわる、いわゆる融通のし合い等とは言いながらも、建設業ではそれぞれの専門工事業者でも、ゼネコンさんでも、末端までの労使関係は成立しにくい。したがって労働組合もできにくいのです。労使関係のところではね。
 一企業、例えば出して悪いのですが、才賀さんのところは労働組合がないはずです。そういう意味では、我々としては労働者の権利なりを守るという立場からすれば、そういうものがない中で、労働者の権益が一体どう守られていくのかという点では、かなり厳しい。私は、2回目には反対だという話をしたのですが、依然としてそこはものすごいネックになる。これは私の発言から納得していただけると思うのですが、やはり建設業の特殊性なのです。重層下請制度ですからね。そこは容認するとしても、そういう中で、なおかつ労使関係での労働組合というのが生じにくいと言うのか、請負業ですから、ないということがネックになって、我々はなかなか感知できにくいなという点が、これが出来てしまうと将来的にはあります。
 そういう意味で私のほうは反対だということを言っているのですが、その辺も含めてものすごく慎重な対応が必要ではないか、もっともっと議論していく必要があるのではないかというのも、前々回も言ったと思うのですがちょっとあります。
 我々労働組合のサイドからすると、寺澤さんだとかこちらのほうは、企業にも雇われている、いわば企業の中でもホワイトカラーの部分で、下請の中の部分での労使関係、労働組合の生まれる土壌というのはなかなかないというのを、1つ前提として認識をしておいていただきたいと思います。
 それから、ちょっと気になりましたのは、「送出労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有すること」の中の、5頁にいきまして2。こういう表現でいいのか、ということなのです。「送出事業主が、送出労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等」見込まれる。見込まれればいいのですか、ということなのです。
 さらに、そのiのところにいきますと、「労働保険、社会保険の適用等送出労働者の福祉の増進を図ることが見込まれるものであること」。見込まれればOKしてしまうという表現ではなくて、これは前提でしょう。つまり労働保険、社会保険は、送り出しの事業主が入っているものだということが前提ですから、もっと言えば、あえてこんなことを書く必要はないです。なおかつ「見込まれる」なんて、こんな中途半端な、どうでもいい判断を与えるような表現はしないほうがいいのではないかと思っていまして、えらく気になるところ。「見込まれればいいんだろ」というような話になってしまうわけです。ここはえらく気になったところですから、他にもあるかもしれませんが、この辺は問題だと思っています。

○吉永室長
 笹田委員より、いくつかご指摘がございました。1つは実際の要件の中で、役員だけの適格要件を見るということが十分でないのではないか、というご指摘でした。正直に申しまして、私どもも同感です。ここに記載している要件は、最低限の要件で、これにどういう要件を付け加えていったらいいかということを、鋭意検討しているところです。これだけで不適格な業者、団体が排除できるとは考えていませんので、こういう形で要件をかければもっと適格に排除できるのではないか、というようなご意見があれば、積極的にいただければ参考にさせていただきたいと考えています。
 実際に合法活動をしているような企業や団体が、実際には適切でないということ。こういう情報は、なかなか行政にも入ってこないということで、先ほど池田委員がご指摘になったような形で、審議会の場等々で、「ここは、実は問題があるのではないか」というような情報をいただければ、それについて鋭意精査をして何らかの形で排除するということも検討したいと思っています。
 また、いまほど労働組合が出来にくいというようなご指摘がございましたが、600万の就業者のうちの笹田委員の組織の組織率だけを考えても、一般の他の全産業の組織率よりは、はるかに高い組織率を持っておられるようにも考えております。いずれにしても組合員であれば、その組合を通じた形での問題解決ということができると思っております。そういう意味で私どもとして、労働組合あるいは事業主団体に、そういう問題が起きたときの処理について、期待している部分が非常に大きいわけですが、そのようなカバーがない部分についても、例えば労働者個々人から行政に対して申告をしていただく。あるいは今回の考え方で言えば、その計画を認定している団体に対しても苦情を言っていただく。そういう中で事業の適正な運営を確保していく、というようなことも考えている次第です。なかなかそれでは担保できないのではないか、というようなご指摘もございますが、どういう形で事業の適正な運営を担保していくのかを引き続き検討したいと考えております。
 それから、もう1点。「福祉の増進を図ることが見込まれる」という書きぶりへのご指摘がございました。この点もおっしゃるとおりです。ただ、ここで「見込まれる」と記載しておりますのは、実際に許可を取らなければ事業はできないわけで、事業ができないものに対して、その事業実施後にこういうことをやっていただくというものですので、そういう意味で「見込まれる」と記載したものです。
 ここで「確実に見込まれる」と書いても結局一緒ですが、要するに見込まれるということが、実際に事業を実施したときにも適正にやっていただくということの前提であるという点。それは、まさに笹田委員のご指摘のとおりだろうと考えています。そういう意味での記載だという点については、ご理解いただけるかと考えています。

○椎谷座長
 見込まれたけれども駄目だったら取り消す、ということになるのでしょう。

○吉永室長
 はい。最終的には改善命令をかけ、是正をさせ、それができない場合については座長がご指摘のとおり、許可を取り消していくという形。あるいは、最終的には改善計画の取り消しということにもなり得る、というものです。

○才賀委員
 先ほどから集中攻撃を受けているのですが、我々のところになぜ労働組合が出来ないか。最大の理由は、やはり銭を払うのが親であって、もらうのが子なんです。その理屈の中で生活をしているものですから、それではその中でどうかと言うと、やはり福祉の問題から、生活の問題から、衣食住、そっくり親父が面倒を見て、最終的には嫁さんの世話までするというところ。そういう親子関係の中で生活をしているものですから、なかなか労働組合が出来ないというのがまず第1点。それと同時に、雇用に関係してはいやなら辞めていく。それで旅をして、例えば自分が資格を2つでも、3つでも取って、また「親父、これだけ表へ行って修業して帰ってきたよ。使って」というような帰り方の繰り返しなのです。そのために帰ってくれば、いくらかでも給料が上がっていくというようなものですから、日本国中建設労働者が動くというのは、その辺だというように思います。組合というものは一切ありません。
 それと、私がこれを反対という最初の意見は、労働組合も作らずに雇用関係をきちんと守って子どもを育てていった親が、いまこういう世界になってしまったらだれが面倒を見るの、だれが教育をしていくの、みんな1人でほうり放していいのという心配が1つあるのです。けれどもこの世の中ですから、しょうがないから大同について、小さいところは何か反対をしていかなければいけないのかなと。それと同時にいまの事業協同組合にしろ、社団法人にしろ、少なくとも20年、25年ずうっとやっている団体で許認可というのであればいいけれども、眠っていて急にこれができたからといって起き出して、「はい、やりますよ。また新たに作ってやりますよ」というような団体については、少し考えてもらいたいなと思います。

○林委員
 3つほどですけれども、1つはさっきから組合の方も言っておられますが、不適格な団体や不適格な業者、これは排除しなければいけない。これはそのとおりだと思います。しかし、そうは言っても、今度はやる気のあるところまで、「これだけ面倒な手続を踏むのであれば」という尻込みをさせてもいけない。これはこの前も申し上げましたように、二律背反的なところがございます。
 そこらをどうするかということなのですが、例えば3頁の団体が出す計画のときに4番で送出事業主、これはいちばんポイントだと思いますが、この送出事業主に対して、どういう事業主がこういうことをやりますということを記載することになっています。しかし、団体の計画が提出されてから、「あんな事業なら、やってみよう」という事業主が必ず出てくる。そういう事業主が出てきた場合の措置です。もう一度、団体の改善計画を出し直すのか、あるいは包括的に認められておれば、あとは事業主の個々の申請だけでいいのか。そこらの関係がちょっと分かりにくいと思いますので、お願いしたいと思います。
 2点目は、1点目にも関連していますが、4頁に記載されているのは、団体の改善計画の要件なのか事業主の要件なのか、本当に真剣に読まないと分からないようなところもあります。できれば団体が出す改善計画の概要ですね。フォームでも結構ですが、それと事業主が出す、団体が承認を受けてから事業主が出す要件のフォーム、そこらを大まかなところでも出していただければ、「ああ、こういうことを書いて出せばいいのかな」というのが、よく分かるのではないかと。いま出されている文書だけを読みますと、いったい何を書いて出せばいいのかというのが、少し分かりにくいと思いますので、もう少しはっきりとしていただければと思います。
 それから3点目ですが、5頁の単純な質問です。3の4行目のところに、「送出労働者に受講を義務づけた教育訓練について費用を徴収する・・・」とあります。費用の徴収のことは別として、ここで言われている送出労働者に期待されている義務づける教育訓練というのは、どういうことを考えておられるのかというのが3点目です。

○吉永室長
 1点目のご質問、送出事業主受入事業主が変更する場合につきましての改善計画の取扱いです。具体的な大枠に影響を与えないようなものにつきましては、基本的な計画についてはそのままの認定にして、届け出事項にしようと考えております。例えば実際に10社くらいでやっていたものが、いきなり100社入るとか、大きく計画のあり方そのものに変更を与えるようなものであれば、そこは改めて認定計画を取り直していただく必要があると思っております。非常に軽微な変更に該当するようなものにつきましては、届け出程度、あるいは実際にその内容にわたるようなものについては、当然に計画の認定を取り直していただく形になるということを原則で考えております。
 2点目、改善計画の認定と個別の事業主に対する許可の要件等が非常に見にくいというご指摘でした。これは改めて整理をして、見やすいものにして、次回にでも提出したいと思っております。
 3点目のご質問です。能力開発体制の関係ですけれども、「送出労働者に受講を義務づけた教育訓練について」、ここで書かれていますのは、単に人を出すだけではなく、人を出しても将来的に剰余労働者という形で雇用を継続していくということ、その前提として能力開発をきちんと手を抜かずにやっていただきたいということです。先ほどの事務局からの説明にもありましたが、概ね2通りの受講の中身があるのだろうと思っております。1つは大枠として自分の会社の中で、スキルアップをしていく意味での全体的な教育訓練はどうあるべきか。ライフステージに応じた形で、どういう形で技能をスキルアップしていくのかという大きな流れ。もう1つは短期的なものとして、他社で就労する。他社の現場で必要となるような能力開発、具体的には新技術を使うこと、例えばゼネコンの系列が違えばいろいろ使っている機械も違うということもあるかと思います。そこの作業をするに当って必要となるような非常に短期的な技術、技能を身に付けるということもあるかと思っております。そういう意味で、2通りのものが送出労働者に対する教育訓練として考えられるわけです。常識的には、前者については通常の剰余労働者と同様ですから、送出労働者から費用を徴収するということは、考えられないだろうと思います。それと併せまして実際に就労加工事業で他社に就労する場合につきましても教育訓練を行う。要するに、実際に就業加工事業では儲けないけれども、その教育訓練では儲けるというようなことがないように、確認的に記載した内容です。

○林委員
 訓練のほうはよく分かりました。多分、送出教育なんかをやっていますので、安全の話が実務面では問題になると思います。いまは送出教育は同じ事業主であれば、事業主が雇入れ時に教育して、送出し時に教育して、また新規入場時に教育するという3つの段階をとっています。送出教育をどちらでやるのか、ものによって具体的にはいろいろ出てくるかと思うのです。これはもう少し、具体的になってからの話にしたいと思います。ありがとうございました。

○奥田委員
 意見ですが、送出事業主をどうやって選別していくかというようなことだと思うのです。笹田さんがおっしゃっていました期待する、見込まれるという表現でなくて、やはりどういう実績かというのをきちんと。例えば、10年間やっている、期間、労災保険をどうやってかけているのか。というのは、具体的には企業にはお金が出ていくわけです。その支払明細とか、厳しく言えば教育しているのかというのは、担当者はだれか、会社の組織、役割分担表をつけるなど、具体的な実績がきちんとある期間分かるというような書類等で、その辺の送出事業主の内容をきちんと詰めるということが大事ではないかと。この表現から形さえ整えば、何とか進むという感じがちょっと。僕も笹田さんと同意見なのですけれども、形さえ整えばできるのではなくて、いままで何をやってきた送出事業主かというところをきちんと把握して、許認可を与えていく。それをきちんと押さえていかないと、なかなか形だけの審査になっていくと、すり抜けるのではないか。そういう意味でのいままでの実態をどう把握していくのかということを、もう少し我々も勉強して、送出事業主の選定をきちんと見ていかなければいけないのかなと思います。これは団体等が儲かる話ではないから、連帯責任の立場でしょうから、送出事業主がどうやって、自分の経営を守るか、雇用を確保するかというところに重点があるかと思いますので、その辺の送出事業主の選別をどうするかを、もう少し掘り下げた、制度的に仕組みを作ったほうが、笹田さんが心配する裏社会の排除ができるのではないか。休眠中が来て、書類を出したら通ったということのないようにするには、期間、実態、お金、組織、そういうもののきちんと書類を整えて、きちんと確認していくという作業がいるのではなかろうかと思っています。

○吉永室長
 いまの奥田委員からのご指摘は、非常に重要な点だと思っております。それをどういう形で担保するのかがいちばん重要で、その点で考えられるだけのものを考えたつもりですけれども、なかなか実際に運用するにあたって、果たしてそれで足りるのかという点、さらにいろいろご指摘をいただき、実務上で問題がない形にしたいと思っております。特に、例えば労働保険の関係、社会保険の関係等々、入っているのかどうかということ。一つのメルクマールとして重要だと思っております。労災につきましてはもちろん入っていただいている事業所は、きちんとした事業所だと思いますけれども、大多数の事業所は労災については元請にという形が実態だろうということです。
 少なくとも、雇用保険につきましては事業主に入っていただくことが最大の前提だろうと思っております。教育訓練につきましても実際にきちんとやられているかどうかということを確認する必要がありますし、雇用管理者がだれかということと併せまして、実際の作業指示制がどうなっているのか。また、企業全体の体制から見て、どういう位置付なのかという辺り、その辺りをきちんと把握して、そこが書面上どおりきちんと動いているのかどうかをチェックしていくのが審査の第一歩だろうと思います。ご指摘の点を踏まえながら、問題のないような形での運用をしていきたいと考えております。

○林委員
 さっき、私がお願いした団体と事業主が提出する「フォーム」には、審査のための必要事項を書いていただけると思います。この「フォーム」は左側に記載項目、右側にチェックポイントというのがあって、どういうことを審査するかというのを対比で書いていただいたら、一目瞭然で何を審査しようとしているか、それをどういう基準で審査するのかというのが分かります。大まかなところ、さっき私がお願いしたフォームで、団体の計画と事業主の届け出の必要記載項目とその項目をどういうところにポイントを置いて審査するのかということの2つ出していただいたら、我々もパッと理解できると思うのです。確か、そこがいちばんポイントかと思いますので、次回はひとつ、分かりやすいのを出していただいたらと。

○吉永室長
 詰まっていない部分もありますけれども、具体的にこんな感じの案という形でお示しできればと考えております。

○池田委員
 5頁です。10番目「苦情処理の場合、責任者が日帰りで往復できる地域に送出」ここで素案のときに出てきたのですけれども、緊急的かつ限定的な地域を指定するということになっております。責任者が日帰りで往復できる地域ということの具体的な意味です。事務局が考えているものは、地方労働局を頭に据えて、指導や監督、苦情等々の問題を考えているのではないかと想定するわけであります。いま新幹線では、大阪に2時間40分くらいで行ってしまうわけで、日帰りと言ったら大阪まで跨る。そうすると、大阪にいくと東京労働局、神奈川労働局、静岡労働局、京都の労働局、大阪の労働局もあるわけで、こういうようになってくると、本当に指導と監督がどこでやり、どういうような連携でやれるのか大変心配です。日帰りで往復できる地域というのは分かるけれども、こういう表現でなくて、きちんとどこでどういうような形でやっていくのかという限定的な形を示さないと、これは指導、監督、苦情処理の場合も出てきますから、具体的なことを室長からお示し願えればありがたいと思います。

○吉永室長
 ご指摘の点、地域の問題をどういう形で考えていくのかという点で非常に重要だろうと思っております。前回も若干触れましたけれども、基本的には今回のスキームは、地域にどういう形で安定させるのかが主な眼目であるという意味で、自ずから狭い地域の中で実施されるものだろうと考えております。一つ考えられますのは、事業主団体が計画を作成する段階で、ある程度そこのどういう事業主が受入事業主になり、どういう事業主が送出事業主になるのかを書いていただきます。実際に送出事業主の事務所の範囲と、実際の作業現場がどこかということは、必ずしも一致しないわけですけれども、ある程度その中でどういう地域で全体の団体としての事業が行われるのかということも、きちんと見たいと思っております。
 ここで責任者が日帰りで往復できると書いていますけれども、それと同様に、団体としてきちんと責任を持っていただくということも考えておりますので、団体が管理できる範囲というものも自ずからあると思っております。そういう意味で、実際に実施される場面を考えると、現在、作業員宿舎を建ててまで事業をやるということが非常に難しいという状況からすると、通常の作業が行われている、マイクロバスで移動できる範囲ということが当初は想定されるだろうと考えております。
 しかしながら、実際に団体が管理をできる、または苦情処理の体制も組めるということであれば、広域というものも排除はされないと思いますけれども、原則は先ほど申しましたような範囲になると考えております。労働局できちんと責任を持って、指導、監督をすることが前提です。ただ、一つの労働局で見るということではなく、連携した形で県境を跨るような場合につきましても、連携して有効な指導監督をしていきたいと考えております。
 繰り返しになりますけれども、事業主団体の活動ができる範囲での管理、もう一点、まさに事業主が雇用管理ができる範囲という意味で、かなり限定的な形で運用がなされるのではないかと考えます。

○池田委員
 心配しているのは、こんなことは絶対あり得ないかもしれないけれども、労働局同志の、はっきり言えば責任の転嫁というものが非常に恐いのです。そこらはきちんとしておかないと、はっきり言ってそんなことはあり得ないと室長は言うと思うけれども、この問題は例えば地域が東京都である。ところが、神奈川で現場があって神奈川にも労働局がある。そのときに、なすり合い。「これはあなたのところが申請したのだから、東京労働局でやりなさい」とか、あるいは神奈川労働局でやりなさいとか、そういうことが起きると、そこの労働者に大変迷惑になります。明確に、ここはきちんとしておかないと、責任のなすり合いが始まるのではないか。それは本当にまずいなと思っているのです。そこらはやはり厳格にきちんとして貰いたいなと思っています。

○吉永室長
 ご指摘のようなことが起きると、まさに問題だろうと思っております。私どもとしてはそういうことは起き得ないと思っておりますけれども、最終的には私ども本省の職員も指導監督の権限を持っておりますので、そういう事態が起きれば当然本省からも職員を派遣して、実際の指導監督を行うと。もともとはこれは労働基準局長の許可ではなく、厚生労働大臣の許可で考えております。厚生労働大臣の責任において、処理をするという体制を組みたいと考えております。

○池口委員
 7頁、8頁になるのですが、まず7頁の点線の中、請負工事ではないからこういう表現になるのは分かります。次の頁をめくりますと、同じ点線の中で1人1日いくらという表現。単価という考えであれば、1日1人いくらというのは分かるのです。前も私は質問したと思うのですが、働く人の責任感と安全意識という中で、やはり1人1日という表現がこのように出てきますと、建設現場でも1人で1日で終わる仕事というのは、よほどのことがない限りないと思うのです。例えば1人1日という単価はあるにしても、ある限定する期間やエリアというものを含めた表現にしていただかないと、本人にしてみれば、ひょっとしたら明日はまた違う現場かもしれない。そうすると、今日はここ、明日はここ。今日1人足りないから、1人寄こしてくれ、今日3人いないから3人寄こしてくれというのは、今回の趣旨にそぐわないのではないかと思うのです。1日1人いくらという表現があまり表に出てくるとどうなのかなと思うのです。期間を限定した場合に、今度は派遣法との絡みで、週何日、月何日という就労日数の制限の問題が出てくると思うのです。その辺の調整もひとつ一緒にお願いしたいなと思います。

○吉永室長
 ご指摘のとおり今回のスキームは、雇用の安定のためのもので、実際に仕事がない期間に行ったなら、会社に行って働くというものです。そういう意味で、行った労働者が具体的にどういうものをやるのか、どういう期間やるのかということは、非常に重要だろうと思っております。7頁、8頁で期待しておりますものは、事業主間の送出事業主と受入事業主でこういうことを、もちろん書面で定めていただくというものです。
 基本的にはこれと同等の記載事項、必要なものが労働者にも書面で渡るということを考えております。その中で重要なのは、1人いくらということがもちろん事業主間では非常に重要なわけですけれども、具体的にどういう作業をやるのかということ、その選定としてはどこの現場でやるのか、だれが指揮命令をするのか、残業が必要な場合はどういう形で作業をして、そのマキシマムは何時間なのかということは、まさに働く方にとっての基本的な事項だろうと思っております。
 その中身が基本的に事業主間の契約の必須記載事項であるということ。その中で、業者間で支払われる対貨がどういう形で算定されるのかが、先ほどのご指摘にありました1人いくらという形の記載が想定されるということです。それは単に1人いくらで何でもできるということではなく、事業主間の計画であるその現場でどういう作業、その期間、時間、何時から何時まで、いつからいつまでということをきちんと書いていただく。ほかにも安全衛生に関する指導体制をきちんと書いていただく。それを前提とした上で、その業務について1人いくらということです。したがいまして、今日はこの現場で明日はこの現場と。もちろんそういうこともあり得ると思います。それはそれぞれきちんとした事業主間の契約に基づいて、それぞれ可能な限り時間的に余裕を持った形で、事業主から労働者にもこういう形になっているから、示していただくということが重要だろうと考えております。

○椎谷座長
 よろしいですか。今日はかなり細かいお話になったものですから、細々としたご議論もありました。一応先ほどもいろいろとご質問もありましたけれども、次回にも資料を用意していただくものがあると思いますが、この辺でよろしゅうございますか。それでは、「新たな労働力需給調整システム(案)について」は、この程度にして、また次回以降ということで、この辺で終わりにしておきたいと思います。若干時間がありますので、もう一つ、まだ未定稿ということですけれども、資料が用意されておりますので、取りあえず説明だけをしていただくということにいたしましょうか。時間が足りないですか。よろしいですか。

○吉永室長
 時間が中途半端になるかと思いますので、次回改めて。

○椎谷座長
 分かりました。それでは、本日はここまでにさせていただきます。次回は本日の議論の内容を十分に踏まえた上で、さらに検討を深めていこうと思いますので、よろしくお願いをします。最後に本日の議事録署名委員の指名をさせていただきます。本日の署名委員は雇用主代表の才賀委員、労働者代表の笹田委員にお願いをいたします。では、次回の日程等につきまして、事務局からありますか。

○森下補佐
 次回の日程につきましては12月10日金曜日です。ちょっと朝早い時間帯ですけれども、8時半から10時とさせていただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いをいたします。

○椎谷座長
 次回はものすごく早い時間で恐縮ですけれども、よろしくお願いをします。それでは、本日はこれまでとして閉会といたします。ありがとうございました。


照会先厚生労働省職業安定局
 建設・港湾対策室 建設労働係
TEL03-5253-1111(内5804)


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