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薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録


○日時平成16年11月30日(火)  9:57〜11:43
○場所経済産業省別館第827号会議室

○出席者
  委員 豊田委員(部会長)、井上(達)委員、井上(松)委員、岡田委員、小沢委員、
 加藤委員、中澤委員、
  関係省庁 農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室 嶋崎課長補佐
 農林水産省消費・安全局衛生管理課魚類安全室 小嶋課長補佐
  事務局 中垣基準審査課長、宮川課長補佐、近藤専門官、浦上係長

議事
 1.開会
 2.議題
(1) 食品中の残留農薬等に係る基準の設定について
 ・塩酸ラクトパミン(動物用医薬品)
 ・鳥インフルエンザ(油性アジュバント加)不活化ワクチン(動物用医薬品)
 ・豚ボルデテラ感染症・豚パスツレラ症・豚丹毒混合(アジュバント加)
不活化ワクチン(動物用医薬品)
 ・ひらめβ溶血性レンサ球菌症不活化ワクチン(動物用医薬品)
 ・ぶりビブリオ病不活化ワクチン(動物用医薬品)
 ・孵化を目的としたニシン目魚類の魚卵用消毒剤(動物用医薬品)
(2) その他


○事務局
 定刻より少し早いですけれども、委員の先生方がお集まりになりましたので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催したいと思います。
 本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 開会に当たりまして、本来でありましたら食品安全部長の外口から御挨拶を申し上げるところでございますが、所用のため本日は欠席しておりますので、基準審査課長の中垣から御挨拶を申し上げます。

○中垣基準審査課長
 おはようございます。農薬・動物用医薬品部会の先生方におかれましては、日ごろより、食品衛生行政の推進に御協力をいただきましてありがとうございます。本来であれば、食品安全部長の外口が御挨拶を申し上げるところでございますが、本日は国会の用務が入っておりまして失礼させていただいております。
 本日、この部会にお願いいたしますのは、食品中の農薬等の基準設定につきまして、動物用医薬品の塩酸ラクトパミンなど6品目について御審議いただくことにしております。この塩酸ラクトパミンにつきましては、本年2月の部会で御審議いただきました、「国外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に関する指針」というものがございますけれども、この指針に基づきまして残留基準の設定が要請されたものでございます。その他の5品目につきましては、いずれも薬事法に基づき国内での承認に当たり、農林水産省より意見を求められているものでございます。
 なお、いわゆるポジティブリスト制につきまして、これまで当部会で御審議いただいておりました結果に基づきまして、8月20日に、暫定基準の第2次案として公表し、ちょうど今日まで意見の募集を行っているところでございます。いただいた御意見、情報については、事務局で整理した後、改めてこの部会で御検討をお願いしたいと考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。
 また、あわせまして、いわゆる一律基準の問題につきましては、この部会でも再三申し上げましたとおり、食品安全委員会において御審議をいただく必要があると考えておりまして、その調整に向けて役所内での議論もあわせて行っているところでございます。
 以上、簡単でございますけれども、開会に当たり御挨拶を申し上げます。御率直な討議をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○事務局
 本日は、青木委員、大野委員、下田委員、米谷委員、山添委員及び吉池委員より御欠席との連絡をいただいております。農薬・動物用医薬品部会の委員が13名でございまして、本日は7名の御出席をいただいておりますので、部会の委員総数の過半数に達しております。したがいまして、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。
 それでは、豊田部会長に御審議の進行をお願いしたいと思います。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○豊田部会長
 朝からお集まりいただきまして、ありがとうございました。それでは議事に入らせていただきたいと思います。
 はじめに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○事務局
 お手元に配付しております資料として、議事次第がございまして、その後に座席表がございます。それから後が資料でございますが、すべて右肩に資料番号が振ってございまして、資料1−1、資料2−1、資料3−1、資料4−1、資料5−1、資料6−1まで合計6つの資料がございます。それとは別に、参考資料1というものがついてございます。以上が本日の配付資料でございます。

○豊田部会長
 配付資料の不足等がございますか。もしありましたら、事務局までお願いいたします。
 特にございませんか。
 それでは、審議に入りたいと思います。議題1は「食品中の残留農薬等に係る基準の設定について」ということで、本日は、動物用医薬品6品目について審議を行うこととしております。
 まず、動物用医薬品塩酸ラクトパミンにつきまして、資料1に基づきまして事務局から御説明をお願いいたします。この動物用医薬品の基準案の作成に当たりましては、関係委員に既に資料等について御検討いただいているところでございます。よろしくお願いします。

○事務局
 それでは、塩酸ラクトパミンについて御説明申し上げます。
 まず、資料1−1を御覧ください。本日御審議いただく物質につきましては、こちらの「記」に示しておりますように、塩酸ラクトパミンという物質でございます。本物質は我が国において使用されておらず、「国外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に関する指針」に基づき要請された物質となっております。この要請を受けまして、平成16年4月16日付で厚生労働大臣から食品安全委員会委員長あてに、残留基準設定に係る食品健康影響評価を行いまして、平成16年11月4日付で評価結果の通知をいただいたものが、この資料1−1の資料でございます。
 それでは、評価の内容について御説明を申し上げます。資料の2ページを御覧ください。今回の塩酸ラクトパミンでございますが、「(2) 効能・効果」にお示ししておりますように、生体内でβ−アドレナリンアゴニスト(β−作動薬)として作用いたします。そして、ウシ及びブタの増体重、飼料効率の改善及び赤身肉割合の向上を目的として、飼料添加により使用されるものとなっております。
 次に、「(3) その他」でございます。アドレナリン受容体につきましては、現在のところ、αとβがありまして、さらにそのβ受容体につきましてはβ1 からβ3 が確認されていることが示されております。
 また、3ページを御覧ください。塩酸ラクトパミンにつきましては、2つの不斉炭素を有しておりまして、理論上4種類のステレオアイソマー(RR、SR、RS、SS) が存在しておりまして、本品につきましては、これら4種類の混合物でございます。これらステレオアイソマーのβレセプターの親和性を検討した結果につきましては、最も高い親和性を示したラクトパミンのアイソマーはRRでございまして、β1 及びβ2 に高い親和結合が認められ、3ページの中段にございますが、現時点における知見におきましては、ラクトパミンのRR体はβ2 に対する「完全な」作動薬であり、β1 に対しては部分的作動薬である可能性が高いと推定されているものでございます。
 使用状況につきましては、中段に書いてございますが、ブタ用は1999年に米国で承認され、現在、20か国で使用されている状況でございます。また、ウシ用については、2003年に米国で承認されております。なお、EUにおきましては、β作動薬を成長促進の目的で使用することを認めておらず、我が国においては使用されていない状況となっております。
 次に、「毒性試験の概要」でございます。「(1) 吸収・排泄」につきましては、こちらに書いてございますように、塩酸ラクトパミンは、経口投与後速やかに排泄され、主要な排泄経路は尿中であったことが報告されているものでございます。
 排泄に関しましては、次の4ページを御覧ください。イヌ、サル、ブタ等を用いた経口投与試験の結果が示されておりますが、14C−標識ラクトパミンの単回投与試験において、主要な排出経路は尿であること、また、イヌ、サル、ブタに経口投与した場合、72時間以内に投与量の79%、70%、95%が、また、ウシにつきましては、こちらには4日間と示 されておりますが、96時間で93%が尿中及び糞中から回収されているものでございます。
 「(2) 代謝」につきまして、体内分布につきましては、ブタ及びウシを用いた試験が行われておりますが、主に肝臓、腎臓への分布が観察されているものでございます。また、代謝につきましては、14C−標識ラクトパミン飼料添加による肝臓及び腎臓中代謝物について検討されておりまして、結果として4種類の代謝物が確認され、いずれもグルクロン酸抱合体であったことが確認されているものでございます。
 次に、7ページを御覧ください。「2-2 毒性試験」の「(1) 急性毒性試験」について御説明を申し上げます。この急性毒性試験ですが、経口投与によるLD50はマウスの雄で3547mg/kg体重、雌で2545mg/kg体重、ラットの雄で 474mg/kg体重、メスで 367mg/kg体重と考えられております。
 次に「(2) 亜急性毒性試験」でございます。マウスに用いた3か月亜急性毒性試験においては、血液学的検査等の結果から、NOAELがメスについては、25mg/kg体重/日であったのですが、雄につきましては、25mgでも精巣重量にわずかな減少が見られたことから、NOAELは求められなかったことが示されております。
 ラットを用いた3か月亜急性毒性試験におきましては、血液学的検査等の結果から、NOAELが雄については1.3mg /kg体重/日、雌が 1.4mg/kg体重/日であったことが示されております。
 8ページを御覧ください。こちらに、サルを用いた6週間亜急性毒性試験が示されております。こちらにおきましては、一般的な臨床症状観察では異常は認められませんでしたが、 0.5mg/kg体重/日投与群におきまして、β−アドレナリン作動性レセプター数の減少が認められたことから、NOELは0.25mg/kg体重/日であったこと、また、サルを用いた90日間強制投与試験におきましては、0.124mg /kg体重/日の投与では影響は認められず、本試験におけるNOELは0.125mg /kg体重/日であったことが示されております。
 なお、9ページに、ブタを用いた56日間亜急性毒性試験が示されております。こちらの血液生化学的検査結果等から、NOELは求められなかったことが示されているものでございます。
 次に、「(3) 慢性毒性試験」でございます。この慢性毒性試験では、まずイヌを用いた1年間慢性毒性試験が行われておりまして、5.68mg/kg体重/日の投与群では、血液学的検査、臓器重量等についていろいろな所見が認められておりますが、心拍数の観察結果か ら、本試験においてNOELは求められなかったことが示されているものでございます。
 次の10ページでございます。マウスを用いました21か月間慢性毒性/発がん性併合試験におきましては、子宮平滑筋腫が無投与を含む雌の全投与群で認められておりますが、β−受容体を介した作用機序であるかの確認につきまして、β−受容体拮抗薬であるpropranolol を用いた抑制確認は実施されておらず、また、NOAELは求められなかったとされているものでございます。
 なお、この子宮平滑筋腫に関しましては、この後御説明申し上げますが、遺伝毒性試験のin vivo におきまして、遺伝毒性を示さないことが示されております。そして、このことから、安全委員会の判断におきましても遺伝子傷害によるものではないと考えられているものでございます。
 次に、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験におきましては、60mg以上の投与群においてその影響が認められました。そして、本試験におけるNOAELは2mg/kg体重/日であるとされております。
 また、サルを用いました1年間慢性毒性試験では、 0.5mg以上の投与群において心拍数の増加等の影響が認められ、本試験のNOELは0.125mg /kg体重/日であったことが確認されているものでございます。
 次に、11ページの (4)に示しております繁殖毒性試験及び催奇形性試験でございます。こちらの試験におきましては、ラットを用いた2世代繁殖試験/催奇形性試験が行われておりまして、この試験におきましては、2000ppm 投与群で認められている様々な所見から、生殖発生毒性に対するNOAELは 200ppm (換算すると15mg/kg体重/日)であると考えられているものでございます。
 次に、12ページの「(5) 遺伝毒性試験」でございます。遺伝毒性試験におきましては、変異原性に関する試験について、13ページにin vitro試験の結果の一覧が示されております。in vitro試験におきましては、培養ヒトリンパ球等、一部の試験において陽性を示す結果が報告されておりますが、結果を総合的に勘案した結果では、塩酸ラクトパミンはin vitroで染色体異常誘発を示唆する報告があるものの強いものではないと考えられていること、これが14ページの中段に示されております。また、in vivo 試験につきましては、染色体異常試験等すべての試験において陰性の結果が得られております。
 16ページの第3パラグラフを御覧ください。こちらに示されておりますが、総合的に判断しますと、in vitroで染色体異常誘発性を示唆する報告があるものの、in vivo における小核試験等で陰性であり、生体にとって問題となるような遺伝毒性はないと考えられているものでございます。
 また、慢性毒性の結果から、塩酸ラクトパミン投与におきまして観察される毒性及び生理影響のうち最も鋭敏に観察されるものが、心臓血管系に対する作用と考えられているため、動物種間の感受性も含めまして、一連の特殊毒性試験が行われております。こちらが資料16ページの (6)でございまして、「心臓血管系に対する特殊毒性試験」として取りまとめられております。
 試験項目といたしましては全部で5項目ございまして、順に、「麻酔下のイヌにおける心臓血管系への急性作用」、「覚醒下のイヌへの経口投与による心臓血管系に対する急性作用」、「麻酔下のサルにおける血流力学的影響」、「覚醒及び麻酔下のサルにおける血流力学的影響」、「ヒトボランティアにおける心臓血管系の作用」となっております。これらの結果につきましては、19ページを御覧ください。こちらの一番上に表がございまして、その下の文章でございますが、こちらにお示ししておりますように、以上のお話しいたしました試験系の結果から、塩酸ラクトパミンにつきましては、イヌには特に拡張期に典型的に認められるように、急性の動脈圧の効果をもたらしますが、ヒト及びサルには収縮期の動脈圧に認められるように、むしろ、動脈圧の上昇をもたらすことが示され、ヒトの血管系に対する作用は、イヌに比較してサルに類似していると考えられております。なお、この差が生じるメカニズムにつきましては不明であると示されております。
 次に、25ページを御覧ください。食品健康影響評価でございまして、以上お話ししております結果から、まず「エンドポイントの選択について」でお示ししておりますように、各種の遺伝毒性試験及び慢性毒性/発がん性併合試験の結果から、塩酸ラクトパミンは遺伝毒性発がん性を示さないと考えられております。また、ADIを設定することは可能であるということが示されているものでございます。
 次の項になりますが、「一日摂取許容量(ADI)の設定について」にお示ししておりますとおり、塩酸ラクトパミンのADIにつきましては、サルの1年間慢性毒性試験のNOELである0.125mg /kg体重/日を用いまして、種差10、個体差10の安全係数 100を考慮して0.00125mg /kg体重/日と設定され、さらに、26ページにお示ししておりますが、現時点における国際的慣行を踏まえまして、0.001mg /kg体重/日を採用することが適当であると報告がなされております。
 続きまして、当部会の報告案について御説明をさせていただきます。資料の35ページ、資料1−2でございます。まず、「概要」として、 (1)が品目名、商品名、 (2)が用途、 (3)が化学名、(4) が構造式及び物性をお示ししております。また、 (5)として使用方法及び用量でございます。ブタに対しては、少なくとも16%の粗蛋白質を含んだ飼料に5〜20ppm を体重68〜109kg の間に給与することが示されております。また、ウシに対しましては、増体重及び飼料効率の改善を目的とする場合には、飼料に10〜30ppm を出荷直前まで、増体重及び飼料効率並びに赤身割合向上を目的とする場合には、12〜30ppm を出荷直前まで給与することが示されております。
 次の36ページでございます。「対象動物における吸収、分布、代謝、排泄」につきましては、既に御説明を申し上げたとおりでございます。
 次の「3 残留試験結果」でございますが、対象家畜であるウシ及びブタの筋肉、脂肪、肝臓、腎臓につきまして、14C−標識ラクトパミンを放射活性により、親化合物であるラクトパミンにつきましてはHPLCにより残留濃度を測定した結果を取りまとめております。
 これらの結果につきましては、39ページに取りまとめておりますので、39ページを御覧ください。「(3) まとめ」の(1)ですが、こちらが主たる分布組織であるウシまたはブタの肝臓及び腎臓の総残留に対する親化合物ラクトパミンの割合をまとめたものとなっております。ウシにつきましては、平均で申し上げますと、肝臓が15.6%、腎臓が16.5%。ブタにつきましては、平均で肝臓が20.6%、腎臓が25.6%となっているものでございます。
 また、(2)にお示ししますように、適用方法及び用量の上限における12時間の残留試験結果につきましては、ウシの筋肉、脂肪、肝臓、腎臓でそれぞれ0.02ppm 、0.01ppm 、0.036ppm、0.043ppmとなっております。なお、※印の2でお示ししておりますが、ウシの筋肉及び脂肪につきましては、最高用量の1.5 倍用量となっているものでございます。ブタにつきましても、同様に、筋肉、脂肪、肝臓、腎臓につきまして、0.005ppm、0.001ppm、0.026ppm、0.045ppmの結果が示されているものでございます。
 次に、「4 許容一日摂取量(ADI)の評価」でございます。こちらにつきましては、先ほどの安全委員会の評価結果と内容は同一でございます。
 次に40ページを御覧ください。「5 諸外国における使用状況」でございます。こちらにお示ししておりますとおり、米国におきましては、ウシ及びブタに使用が認められております。また、オーストラリアにおいてもブタに使用が認められているものでございます。休薬期間につきましては、米国では、ウシ及びブタについてそれぞれ1日、オーストラリアではブタについて12時間が設定されております。また、残留基準も、米国及びオーストラリアともに設定されておりますが、先ほど申し上げましたように、EUにおきましては、β作動薬を成長促進目的として使用することは認められていない状況でございます。
 なお、平成16年2月に開催されました第62回のJECFAにおきまして、塩酸ラクトパミンの評価が行われております。こちらでは、ウシ及びブタにつきまして、残留基準の国際基準が提案されておりまして、現在、コーデックスの残留動物用医薬品部会におきまして、ステップ4として検討が行われている状況でございます。
 次に41ページを御覧ください。「6 残留基準値」でございます。まず、規制の対象としましては、ラクトパミンを対象としております。そして、「(2) 残留基準値(案)」では、JECFAの提案を踏まえまして、表に示す基準値を設定したいと考えているところでございます。また、「(3) ADI比」ですが、各食品につきまして、基準値の案の上限まで本剤が残留していると仮定した場合、国民栄養調査結果に基づき試算されるADIとTMDIの比は表に示すとおりで、ラクトパミンとしましては、国民平均、小児(1〜6歳)、妊婦とございまして、それぞれ 1.2%、 2.2%、 1.2%となっております。
 なお、その横に「全ての残留」という形でお示ししておりますが、ウシ及びブタにおける主代謝物がグルクロン酸抱合体であり、食品として摂取した場合、消化管内でラクトパミンに代謝される可能性を勘案いたしまして、一つの目安として、総残留に占めるラクトパミンの割合を残留試験結果から15%と仮定いたしまして、すべての残留をラクトパミンとして算出したADI比につきましては、先ほどと同様、国民平均、小児、妊婦、それぞれ 7.6%、14.4%、 8.0%となっていることをお示ししているものでございます。
 次に42ページを御覧ください。 (4)にお示ししておりますとおり、本剤につきましては、平成16年8月に公表いたしました食品中に残留する農薬、動物用医薬品及び飼料添加物の暫定基準(第2次案)に含まれているものでございます。しかしながら、今回、残留基準を設定することにより、暫定基準の案から削除する旨を記載しているものでございます。
 以上につきまして、御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。

○豊田部会長
 御説明、ありがとうございました。
 それでは、本報告案につきまして、御意見、御質問等がございますか。

○小沢委員
 最終的にこういった畜産物を食べる立場である消費者の立場で、少し感想めいた話になりますけれども、用途がウシやブタの増体重とか飼料効率の改善、赤身肉割合の向上ということで、人間で言えば筋肉増強剤みたいなものかなというイメージがございます。現在、日本では使用されていなくて、今後、国際的に使われていることでポジティブリストの整合のためということは理解できるのですが、一般消費者の感覚からすると、こういう畜産動物の最終仕上げ薬みたいなものとか、ホルモン剤もそうですが、成長促進に使われるホルモン剤などで、EUが相当慎重な態度で臨んでいることがあると思います。実際、こういう薬剤が外国で使用されていることは、日本の消費者は恐らくほとんど知らないですね。あと、現在、JECFAで議論が進められているステップ4ということも聞いておりますけれども、その議論の中でも、EUの代表団がとても慎重な態度で臨んでいることを聞いております。そういうことで、今後の日本の状況を考えても、やはり慎重に望むべきだということを、これは感想ですが、思っております。
 それから、質問ですが、資料1の6ページの代謝物のところで、グルクロン酸の代謝物だと思うのですが、真ん中の表の「ラット、イヌ、豚、牛の抽出可能残留中の代謝物」というところで、特に代謝物Cについてですが、ウシの中でも塩酸ラクトパミンが0.08に比べて0.24。腎臓のところでも、ウシの腎臓で塩酸ラクトパミン0.05が代謝物Cで0.25ということで、この中ではいささか高いのかなという感じもいたしました。代謝物というもの全体を、この取扱いの中でどのように考えるのか。心配がないのかということを伺いたいと思います。

○豊田部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの御質問につきまして、何かございますか。

○中垣基準審査課長
 代謝物の件でございます。今回のこの部会報告書の案として、関係の委員の先生方に見ていただいたわけでございますが、その取扱いが、一つの重要な先生方への御相談事項でございました。具体的には、41ページを御覧いただきたいと思います。ウシの中での代謝物が食用の牛肉あるいは肝臓の中にあって、結果として人間の体内に入ってくる。そのときに、これはグルクロン酸抱合ですので、そのまま出ていくのか、それともヒトの体内に取り込まれるのかという点について、特に代謝を御専門としておられます、本日は御欠席ですが、大野委員、山添委員に御照会したところでございます。
 その結果として、腸内細菌の関係で、グルクロン酸抱合が切れてラクトパミンとして、どの程度かということはいろいろあると思いますが、吸収される可能性があるということが御指摘されたところでございます。その結果としまして、この41ページのADIとの比較ですけれども、グルクロン酸抱合体、すなわち代謝物質も含めてすべてが吸収されるとした場合ということで、言葉がいいかどうかはまた御議論願えればありがたいと思いますが、41ページの下の表、「全ての残留」という形で試算したところでございます。
 この試算に当たりまして、JECFAはデータに基づいて詳細にやっているわけですけれども、そういうことではなくて、一つの目安として一律15%ということで、代謝の試験の中で、結果が一番悪い数字を当てはめた場合というものをここで試算しております。その場合においても、ADIの10%程度におさまるというようなことからして、問題はなかろうという御意見をいただいたところでございます。
 最初の御感想については、私がどうのこうの言う筋合いでもないだろうと思いますけれども、既に御承知のとおり、ホルモンの扱いについては、WTOでEUとアメリカが争っております。日本国政府の方針としましては、WTO条約に沿って対応していくということですし、要は、一つ一つの安全性あるいは安全性の評価結果を踏まえたリスク管理、こういった部会での議論を、透明、かつ、また先生方にお願いしつつ厳正に行っていくことが必要だろうと考えている次第でございます。我々といたしましても、そういう点を踏まえて、先ほど御説明しましたように、代謝物質の扱いについて、先生方のお知恵を借りながら、このような形で提案してみたというところでございます。

○豊田部会長
 ただいま御説明がございましたけれども、それについて何かございますか。

○小沢委員
 今の手元の資料にはないのですが、食品安全委員会に出された申請資料の概要の中に、もしかしたら間違いではないかというものを見つけましたので、後で御確認をお願いします。
 皆さんのお手元になくて申し訳ないのですが、申請資料概要の中の26ページの6−2−1−2のところに、「ブタにおける定常状態到達までの期間の検討」という資料の文面の中にある、肝臓と腎臓と筋肉中の数値と、もう一つは、申請資料概要の中のウシのところの6−2−2−3、29ページ、ウシのところに残る数値が、ブタとウシと同じ数値です。こんなことがあり得るのかどうかよくわかりませんけれども、もしかしたら間違いかと思いますので、御確認をなさった方がよろしいかと思います。途中で訂正されたかどうかわかりませんけれども。

○中垣基準審査課長
 御指摘、ありがとうございます。

○小沢委員
 もう一つですが、今回の数値はJECFAの点を踏まえてということで非常に低い数値になっています。分析法の方は大丈夫なのかなということを伺いたいと思います。

○事務局
 今の御質問の分析法につきましてお答えいたします。
 分析法につきましては、現在開発を行っているところでございますが、これらの数値につきましては十分満たせるものを開発しているということでございます。

○小沢委員
 わかりました。

○豊田部会長
 ほかにございますか。
 また先ほどのところの件でも結構でございます。特に代謝物等の話がさっきございましたけれども。
 私、ちょっと教えてほしいのですが、6ページの上のところに、代謝物A、B、C、Dと出ておりまして、これだけ書いてありますけれども、これは何かの基準を基にA、B、C、D、E、Fというものがあるのかどうか、そこら辺のところ。もし教えていただければありがたいのですが。

○事務局
 今の御質問ですけれども、代謝物のAからDにつきましては、同定ができたグルクロン酸抱合体であるということでございます。種によっては、E、Fというものがマイナーな代謝物としてあったということですけれども、これらについては同定できていないという状況でございます。

○豊田部会長
 わかりました。そうすると、先ほどの小沢委員の話と同じようになるかもしれませんが、代謝物のA、B、C、Dについては分析できることと理解してよろしいでしょうか。

○事務局
 このAからDにつきましては、すべてグルクロン酸抱合体ですので、加水分解をして、今、試験法として確立されているのは親化合物のラクトパミンの分析法が確立されておりますので、このグルクロン酸抱合体を加水分解すればラクトパミンとして測定は可能ですけれども、今、こちらの方で試験法を検討いただいているものは、基本的に、加水分解せずにラクトパミンのみを計測するということで検討しております。

○中垣基準審査課長
 混乱させていると思うのですけれども、代謝の試験をする上では、今申し上げましたように、AからDという主代謝物と、幾つかの種ではそれ以外のマイナーな代謝物が確認されている。41ページを御覧いただきたいのですけれども、41ページにあります基準値の案をどのような形でつくるかということが次の議論としてございます。すなわち、親化合物であるラクトパミンのみを基準の対象として考えるのか、それとも、グルクロン酸抱合体に代表されるような代謝物質も含んだ形で基準の対象とするのか。すなわち、代謝物質も含めて、例えば1ppm というような基準にするのかということが次の議論としてございます。その代謝物を含めるか、含めないかで、今度は検査法を考えなければいけない。代謝物を含むとなると、今申し上げましたような、肉をすりつぶした段階で加水分解の操作を加えるなどして、代謝物のグルクロン酸のところを外して、親化合物に一回変換して、それから測定していく。逆に申し上げますと、ラクトパミンだけを基準値の対象にするのであれば、その未変化体である親化合物だけを測定する、グルクロン酸抱合体は測定しないという形で測定法を設定していくところでございます。
 その上で、先ほど私が御説明申し上げましたとおり、この場合には、基準値の対象としては、親化合物のみを対象とする。その上で、いわゆる曝露評価をしていく上では、ここまで考える必要があるかどうかは議論があるところだろうと思いますけれども、この場合には、一番低い数字として、親化合物が全体の15%しか占めていないと仮定して、過剰な計算になるような形でTMDIを計算して、それとADIを比較しているという現状でございます。
 すなわち、基準値の分析の対象はあくまでも親化合物だけにしておいて、その上でヒトへの影響を考える上では、代謝物を過剰になるくらい議論して、それとADIを比較しているということであります。このやり方はJECFAでも採用されておりますし、分析を効率的に進めていく上でもこのやり方の方がいいだろうという考えを今のところ持っているところでございます。

○豊田部会長
 中澤委員、どうぞ。

○中澤委員
 今の課長の御説明でよくわかったのですが、これは代謝物は測定の対象に入れるかどうかは別にしましても、親化合物が、1位と3位の不斉炭素であることから、これは4つの異性体が存在している。今、これはHPLCで検討されているお話ですけれども、その親化合物それぞれが一つのピークになって検出されてしまうのか、それとも、全体を分割することはできないにしても、この異性体が分かれてくるのか。状況によっては、残留試験の設定の仕方、どのようにラクトパミンとして計測するのかということを考えないと、難しい残留試験なのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○中垣基準審査課長
 申し訳ございません。本日は、中心にやっていただいております米谷委員が御欠席ですので、私ども、そのチャートまでは実はまだ確認しておりません。その点はまた国立医薬品食品衛生研究所を中心に、米谷先生を中心に、検査法の検討班の中で御議論いただいておりますので、御報告させていただきたいと思います。

○豊田部会長
 ちょっと教えてほしいのですが、41ページの、先ほど御紹介いただいたようなスタイルの基準値の設定方法、その考え方は初めてと理解していいのでしょうか。

○中垣基準審査課長
 初めてかと言われますと、必ずしも初めてではないだろうと思います。代謝物を入れた形で曝露評価をしていくというのは、その代謝物の毒性の強さによって考えていくべきものであろうと考えております。もちろん、その際に、それを分析法の対象としていくというやり方もあるわけですし、このような形で曝露評価の対象としていく考え方もまたあるだろうと考えておりますが、決して初めてのことではないと思っております。

○豊田部会長
 そうすると、抱合体として生体内に入った場合に一部が分解して親化合物になる可能性もあるということで、そういったことも一応15%程度と考慮してADIのところの安全性評価に考慮していると理解してよろしいでしょうか。

○中垣基準審査課長
 そのとおりでございます。繰り返しになりますけれども、この15%というのは、基準値が親化合物ですので、親化合物が全体の15%程度。すなわち、「1÷0.15」を掛けてあるということでございます。

○豊田部会長
 ほかの委員の方、何か御意見がございますか。

○豊田部会長
 ありがとうございました。
 特に意見はございませんか。
 一応、私としては、そういう考慮がなされていると理解して進めていきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。特に意見がないようでしたら、本報告案をもちまして当部会の報告とさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○豊田部会長
 ありがとうございます。それでは、本報告案をもって当部会の報告書としたいと思います。
 事務局から、今後の手続につきまして説明をお願いします。

○事務局
 それでは、今後の手続きについて御説明申し上げます。
 本件につきましては、既に食品安全委員会からの食品健康影響評価結果通知を受けておりますので、本報告案を部会報告書といたしまして、WTO通報及びパブリックコメントを求めるとともに、食品衛生分科会に諮る予定としているところでございます。
 以上でございます。

○豊田部会長
 それでは、次に、「鳥インフルエンザ(油性アジュバント加)不活化ワクチン(動物用医薬品)」につきまして、資料2に基づいて事務局から御説明をお願いいたします。この報告書の作成に当たりましては、関係委員に既に資料等について御検討いただいているところでございます。

○事務局
 それでは、資料2について説明させていただきます。
 資料2−1から御覧ください。「記」の下に4品目ありますけれども、これらの品目につきましては、いずれも農林水産省の方に承認の申請がなされているものでございまして、承認に当たりまして、本年10月1日付で農林水産大臣から厚生労働大臣あてに、薬事法に基づく動物用医薬品の承認に係る意見を求められているものでございます。
 まず、資料2−1では、記の1、鳥インフルエンザ(油性アジュバント加)不活化ワクチンとして、ノビリスIA inac 、AI(H5N2亜型) 不活化ワクチン(NBI)、レイヤーミューン AIV)の3つの製剤について御審議いただくこととさせていただきたいと思います。
 2ページに参りまして、これにつきましても農林水産省から動物用医薬品の使用基準の設定に係る意見を求められているものでございます。厚生労働省といたしましても、農林水産省からの意見聴取を受けまして、食品安全委員会に10月1日の同日付で残留基準設定に係る食品健康評価を依頼しているものでございます。
 それでは、3ページから御説明をさせていただきます。
 これは一つ目の製剤のノビリスIA inac についての食品健康影響評価の案でございまして、食品安全委員会の専門調査会での審議が終了しまして、現在、パブリックコメントを募集しているものでございます。この品目につきましては、本年3月に、当部会におきまして御審議いただきましたノビリスインフルエンザH5というもがありますけれども、これと同一の品目でございます。
 その際の経緯を簡単に御説明いたしますと、「1.はじめに」に記載がありますが、平成15年末よりアジアにおいて高病原性鳥インフルエンザが大流行し、日本においても平成16年1月に79年ぶりに発生が確認された。このため、国内で高病原性鳥インフルエンザが流行を見せるという緊急事態に備え、農林水産省において鳥インフルエンザ不活化ワクチンを国家備蓄することが決定され、これに当たって農林水産省から厚生労働省あてに意見を求められました。
 これを受けまして、厚生労働省から食品安全委員会に、「鳥インフルエンザ不活化ワクチンの使用に係る肉、卵その他の食品の安全性」について意見を求めました。食品安全委員会における食品健康影響評価といたしましては、休薬期間、使用法について留意点を付した上で、「適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は実質的に無視できると考えられる」との結果でしたので、これを踏まえまして、当部会におきましても、「残留基準を設定しないこととする。」との報告を取りまとめいただいたものでございます。
 一方、当時の評価につきましては、緊急的に輸入・備蓄されるに当たって実施されたものでございまして、薬事法に基づく製造承認または輸入承認を受けたものではありませんでしたが、今般、薬事法に基づく承認に必要な安全性等に関する試験が整備されまして、「ノビリスIA inac 」という商品名で承認申請がされたため、改めて本日御議論いただくものでございます。
 評価案の内容につきまして、簡単に御説明を続けさせていただきます。3ページ目の下から3行目、「3.鳥インフルエンザ不活化ワクチンについて」を御覧ください。ノビリスIA inac は、H5N2亜型の培養ウイルス浮遊液をホルムアルデヒドで不活化したものを主剤としまして、アジュバントとしては軽質流動パラフィンを含む不活化ワクチンでございます。4ページに参りまして12行目あたりですけれども、それ以外の成分としましては、ソルビタンモノオレエート(乳化剤)、ポリソルベート80(乳化剤)、種ウイルス液の培養に用いられたゲンタマイシン、不活化剤として使用されたホルムアルデヒドが含まれております。
 これらのヒトに対する安全性につきましては、4.の4-1 の1行目あたりにありますけれども、国家備蓄の際に既に検討されており、主剤は不活化されて感染力がなく、含有されている軽質流動パラフィン等についても、用法・用量、食品添加物やヒト用医薬品としての使用実績等を踏まえて、摂取による健康影響は無視できる範囲であると評価されているところでございます。
 5ページに参りまして、「4-3 アジュバントの消長確認について」でございます。アジュバントの消長試験につきましては、下から3行目あたりにありますけれども、現在実施中ですが、本品と類似のアジュバントを含んだワクチンにおける消長確認試験から、先の評価と同様36週間の休薬期間が設定されているということでございます。
 「5.食品健康影響評価について」に参りまして、安全委員会における結論といたしましては、先に評価された時点より新たに食品を介してヒトの健康に影響を与えると考えられる新たな知見は認められなかったことから、適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は実質的に無視できると考えられる。ただし、国家備蓄ワクチンの評価においても指摘された次の点については、引き続き留意すべきであろうということで、留意点が付記されているところでございます。
 それでは、9ページの資料2-2-2 を御覧ください。こちらはノビリスIA inac にかかる本部会における報告案についてでございます。「1.概要」として、(1)品目名、商品名、 (2)として用途、 (3)有効成分、 (4)適用方法及び用量。ここに使用法がありまして、8〜10日齢のニワトリの頸部中央部皮下に1羽当たり 0.5mLを注射する。採卵用鶏及び種鶏では、その後の6〜10週目に 0.5mLを頸部中央部皮下に追加して注射する。なお書きとしまして、使用上の注意事項として、食鳥処理場出荷前36週間は注射しないこととする休薬期間が設定されております。
 (5) 諸外国における使用状況ですけれども、当ワクチンの同等品が、メキシコ及び香港において承認、販売されているということでございます。
 「2.残留試験結果」につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。
 「3.ADIの評価」につきましても、先ほど御説明したような評価案が公表されております。
 10ページに参りまして、「4.残留基準の設定」ですけれども、当部会といたしましては、「食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととする。」として取り扱うこととしたいという案でございます。
 続きまして、2つ目の製剤の御説明をさせていただきます。11ページ、資料2-3-1 を御覧ください。こちらも同じく鳥インフルエンザ(油性アジュバント加)不活化ワクチンで、商品名が「AI(H5N2亜型)不活化ワクチン(NBI)」でありまして、食品安全委員会における食品健康評価の案でございます。こちらにつきましては、先の商品と違いまして、今回が初めての審議でございます。
 「1.はじめに」にありますように、薬事法に基づき、動物用医薬品として新たに輸入承認の申請がなされたものでございます。
 「3.鳥インフルエンザ不活化ワクチンについて」へ参ります。この製剤につきましても、先ほどのノビリスIA inac と同じくH5N2亜型の培養ウイルス浮遊液をホルムアルデヒドで不活化したものを主剤とするものでございます。または、それ以外の成分としましては、軽質流動パラフィン、ソルビタンモノオレエート等、保存剤としてチメロサール等が含まれているものでございます。
 4.に参ります。安全性につきましては、ヒトに対する直接的な病原性等の検討は実施されていないということですけれども、鶏肉、鶏卵等の食品を介してヒトがウイルスに感染したという事例は現在まで報告されていないこと、本ワクチンの主剤は不活化されており感染力を失っていることにされております。また、アジュバント等につきましても、これまでに動物用医薬品専門調査会において審議された範囲内でございまして、今般のワクチンについても、その含有量等から、摂取による健康影響は無視できる範囲であると考えられるとされております。
 12ページに移りまして、「4-3 アジュバントの消長確認について」につきましても、先ほどの商品と同じように、消長確認試験は現在実施中であるが、先に評価された今回のノビリスIA inac にならって36週間の休薬期間が設定されております。
 食品健康影響評価の案としましては、13ページの5.ですけれども、先ほどと同様の評価がされております。
 続きまして、15ページの資料2-3-2 を御覧ください。AI(H5N2亜型) 不活化ワクチン(NBI)に係る本部会の報告案についてでございます。概要として、 (1)品目名、商品名。 (2)用途、 (3)有効成分、 (4)適用方法及び用量。使用上の注意事項として、食鳥処理場出荷前36週間は注射しないとする休薬期間が設定されております。(5) 諸外国における使用状況として、同等品がメキシコ、グアテマラ及びエルサルバドルにおいて承認、販売されているということでございます。
 「2.残留試験結果」につきましては、先ほど御説明させていただきましたように、摂取による健康影響は無視できる範囲であると考えられるとの評価案が公表されております。
 「3.ADIの評価」につきましても、先ほど御説明させていただいたような評価案が公表されておりまして、結果として、当部会として、16ページの「4.残留基準の設定」のところですけれども、「食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととする。」として取り扱いたいという案でございます。
 続きまして、3品目目の説明をしたいと思います。17ページ、資料2-4-1 を御覧ください。ここはレイヤーミューンAIVの食品健康影響評価の案でございます。これにつきましても、「1.はじめに」にございますように、薬事法に基づき、動物用医薬品として新たに輸入承認の申請がなされたものでございます。
 この製剤につきましては、「3.鳥インフルエンザ不活化ワクチンについて」のところですけれども、亜型が異なるH5N9亜型の培養ウイルス浮遊液を使っておりまして、β−プロピオラクトンで不活化したと。それから、アジュバントとして軽質流動パラフィンを含む。その他の成分としましては、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80、ホルムアルデヒド、チメロサール等が含まれているということでございます。
 これらの安全性につきましては、4.に記載がありますけれども、先ほどのものと同様、特段問題はないということとされております。
 18ページに参りまして、ここで訂正が一つあります。4-2 の (2)の8行目、「21日齢時」から始まる文章の3行目に、「試験期間中に1羽が死亡したが」とありますけれども、申請書等を確認しまして、起立困難となったため剖検をしたということで訂正させていただきたいと思います。ここにつきましては、食品安全委員会にも記載ミスであることを確認しているところでございます。
 それでは、「4-3 アジュバントの消長確認について」に参りまして、御説明を続けさせていただきます。これにつきましても、アジュバントの消長試験は現在実施中ですけれども、本品と類似のアジュバントを含んだワクチンにおける消長確認試験から 210日の休薬期間が設定されております。
 19ページに参りまして、「5.食品健康影響評価について」ですけれども、主剤、添加剤等についても特段問題はない、含有成分の摂取による健康影響は実質的に無視できると考えられると評価され、先の2品目と同一の評価案が公表されているところでございます。
 21ページ、資料2-4-2 に参りまして、レイヤーミューンAIVに係る本部会の報告案でございます。「1.概要」として、先ほどと同様、(1)品目名、商品名、 (2)用途、 (3)有効成分、 (4)適用方法及び用量、 (5)諸外国における使用状況。この製剤におきましては、諸外国において承認、使用されていない状況でございます。
 「2.残留試験結果」につきましては、先ほど御説明させていただきましたように210日の休薬期間が設定されております。それから、「含有量等から、摂取による健康影響は無視できる範囲であると考えられる。」という評価案が安全委員会において公表されているという記載をさせていただいております。
 「3.ADIの評価」につきましては、先ほど御説明させていただきましたような評価案が公表されているところでございます。
 22ページに参りまして、「4.残留基準の設定」ですけれども、当部会といたしましては、「食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととする。」として取り扱うこととしたいという案でございます。
 以上につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○豊田部会長
 ありがとうございました。
 それでは、この報告案につきまして、御質問、御意見がございますか。
 特にございませんか。
 1点だけ。諸外国の使用状況ということで、メキシコがいっぱい書いてありまして、よく使われているということでしょうか。

○農林水産省(薬事・飼料安全室)
 メキシコでは、このワクチンを使っております。今回評価していただきますノビリスIA inac 、AI(H5N2亜型)不活化ワクチン(NBI) 、この2つのワクチンはいずれもメキシコ製で、現地で実際に使われているワクチンでございます。

○豊田部会長
 これは前にも出てきたと思いますけれども、ワクチンの添加物の中にホルムアルデヒドの話が前に出てきたような気がします。チメロサールがあるということが出てきているのですけれども、この文献か何か後ろの方を見ると、前に既に何か入れましたよと出ています。この文献を見てみましたら、「府食第○○号」の「府」の意味がわからないので教えてください。

○事務局
 これは内閣府から出されている「府食第」ということで「府」が入っているものでございます。

○豊田部会長
 今の添加物についてはどうですか。問題ないと書いてあるのですけれども、過去にどのような経緯でそうなっているのか、わかっていたら教えていただきたいのですが。

○中垣基準審査課長
 その詳細まで食品安全委員会の動きを承知していないというのが事実でございますが、一般的に申し上げますと、先生が御指摘なのは、チメロサールに含まれる水銀の問題、あるいは、その毒性の問題だろうと思います。ヒト用のワクチンの話の方がどちらかというと詳しいのですけれども、チメロサールの含有量をできるだけ下げていくように、今やっているところだと聞いております。恐らくは、動物用医薬品においても、必要に応じてそういう措置が考えられているのだろうと思いますけれども、特に食品安全委員会の業務である打たれた動物が食品として出回ることに問題があるかと言われると、そこまでの問題はないよという現段階での見解ではなかろうかと考えている次第でございます。

○豊田部会長
 わかりました。
 ほかに何かございますか。

○農林水産省(薬事・飼料安全室)
 私どもから厚生労働省さんに御連絡していなかった点が一つございまして、資料2−2のノビリスIA inac のところですけれども、9ページ、1.の (4)の「適用方法及び用量」のところで、「8〜10日齢」となっております。これにつきましては、薬事・食品衛生審議会の動物用医薬品等部会の御審議の中で、8日齢以上と直すようにと、審査の中でそのようになっております。実際に食品安全委員会さんの評価案も、4ページの一番上の行は「8日齢以上」となっておりますので、それと合わせることからも、9ページの評価書につきましては、「8日齢以上」と御訂正していただければと思っております。御連絡が遅れまして大変申し訳ございませんでした。

○豊田部会長
 という修正がありましたが、よろしゅうございますね。
 それでは、本報告案をもちまして当部会の報告とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○豊田部会長
 特に異議がないということで、ありがとうございます。それでは、本報告案をもちまして、当部会の報告書としたいと思います。
 事務局から、今後の手続きにつきまして説明をお願いいたします。

○事務局
 本件につきましては、食品安全委員会からの正式な通知を受けた上で、特段修正の必要がなければ、報告案を部会報告書として食品衛生分科会に報告するとともに農林水産省に通知をする予定としております。

○豊田部会長
 わかりました。
 それでは、次に、「豚ボルデテラ感染症・豚パスツレラ症・豚丹毒混合(アジュバント加)不活化ワクチン(動物用医薬品)」、「ひらめβ溶血性レンサ球菌症不活化ワクチン(動物用医薬品)」、「ぶりビブリオ病不活化ワクチン(動物用医薬品)」の3品目につきまして、資料3〜5に基づきまして事務局から御説明をお願いいたします。この報告書の作成に当たりましては、関係委員に既に資料等について御検討いただいております。よろしくお願いします。

○事務局
 それでは、資料3から資料5に基づきまして御説明いたします。
 まず、資料3−1を御覧ください。これは資料2−1と同じものでございまして、ここでは、「記」の2〜4はいずれも不活化ワクチンですけれども、その3品目について御説明させていただきます。
 2は「豚ボルデテラ感染症・豚パスツレラ症・豚丹毒混合(アジュバント加)不活化ワクチン」ですが、これは商品名が2つありまして、同じものですけれども、これにつきましては資料3。「ひらめβ溶血性レンサ球菌症不活化ワクチン」については資料4、「ぶりビブリオ病不活化ワクチン」については資料5によりまして説明させていただきます。
 それでは、3ページの資料3−2を御覧ください。食品健康影響評価の案でございまして、食品安全委員会の専門調査会で審議、パブリックコメントも終了している状況であると承知しているところでございます。
 1.でございます。不活化ワクチンの説明ですけれども、以下「リニシールドTX4」と略させていただきますけれども、ここに使っている製造用株として、米国動物用生物学的製剤の許可を受けているボルデテラ・ブロンキセプチカ、以下「Bb」と略しますけれども、これの2菌株。それから、パスツレラ・ムルトシダ、以下「Pm」と略しますけれども、これの2菌株。豚丹毒の1菌株の培養液をホルムアルデヒドで不活化させたものを主剤とし、妊娠中の親ブタの豚丹毒の予防、移行抗体による産子の萎縮性鼻炎、パスツレラ性肺炎及び豚丹毒の予防を目的として妊娠豚の筋肉内に注射して使用される。それから、アジュバントとしては水酸化アルミニウムゲルが使用されているものでございます。
 4ページに参りまして、「3.リニシールドTX4の安全性に関する知見等について」のところですけれども、 (1)ヒトに対する安全性につきましては、本ワクチンについて、ヒトに対する直接的な病原性等の検討は行われておらず、Bbは免疫力の低下したヒトに対し日和見感染すること、Pmはペット等の咬傷や掻傷から感染すること、豚丹毒は類丹毒としてヒトにも感染することが知られている。しかしながら、この主剤はホルムアルデヒドで不活化されており、感染力を有しているものではないとされております。
 それから、アジュバントとして使用されている水酸化アルミニウムゲル、不活化剤として使用されているホルムアルデヒドにつきましては、これも食品安全委員会の専門調査会について検討が行われておりまして、本剤についても用法・用量を考慮すると、これらの摂取による健康影響は無視できる範囲であると考えられるとされているところでございます。
 続きまして、「(2) 妊娠豚における安全試験」ですけれども、ここで、妊娠3か月のブタに、初回と2回目は約3週間、2回目と3回目は8週間の間隔で3回、対照群・常用量・5倍用量の各3頭ずつ摂取を行いまして、注射部位における臨床所見、病理組織学的検査により検討がなされております。結果としましては、このパラグラフの下から5行目あたりにありますけれども、臨床所見におきまして、一過的に紅斑、腫脹、熱感、硬結等の変化が認められ、剖検及び病理組織学的検査では白色部と肉芽腫様病変が認められましたが、これらは経時的に縮小し、回復性を示したと評価されております。
 5ページに参りまして、食品健康影響評価の案ですけれども、「当ワクチンの主剤はBb、Pm及び豚丹毒菌培養液をホルムアルデヒドで不活化させたものである。このように主剤は生菌体を含まず、感染力を失っているため、主剤のヒトへの病原性は無視できると考えられる。また、製剤に使用されているホルムアルデヒドや水酸化アルミニウムについては、既存の毒性評価とワクチンの摂取量を考慮すると、含有成分の摂取による健康影響は無視できると考えられる。このことから、当該生物学的製剤が適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられる。」として公表されているところでございます。
 続きまして、7ページの資料3−3、当部会における報告案について御説明をさせていただきます。「1.概要」としましては、 (1)品目名、商品名、 (2)として用途、 (3)有効成分、 (4)適用方法及び用量、 (5)諸外国における使用状況を記載しております。このワクチンの同等品につきましては、米国、メキシコ及びペルーにおいて販売されているということでございます。
 「2.残留試験結果」につきましては、先ほど御説明差し上げたとおりですので省略させていただきまして、8ページを御覧ください。「3.ADIの評価」につきましても、御説明させていただいておりますとおりで、以下に評価を記載させていただいております。
 これを踏まえまして、「4.残留基準の設定」のところですけれども、当部会といたしましては、「食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととする。」として取り扱うこととしたいという案でございます。
 続きまして、資料4−1と書かれた資料を御覧ください。3ページから御説明させていただきます。ひらめβ溶血性レンサ球菌症不活化ワクチン、商品名が「Mバックイニエ」の食品健康影響評価の案でございます。
 「1.ひらめ溶血性レンサ球菌症について」ですけれども、この疾病は、海水魚ではひらめのほか、ぶり、まだい等にも頻繁に発生が報告されておりまして、養殖場で被害が大きい疾病であること。それから、主な病原菌としては、Streptococcus iniae であるとの記載がございます。
 2.のMバックイニエについてのところに参りまして、Mバックイニエは国内で分離されたS.iniae を培養し、ホルムアルデヒドで不活化したものを主剤とした不活化ワクチンである。また、アジュバント等の関係ですけれども、不活化に使用したホルムアルデヒドが微量含まれるほか、特に添加剤は使用されていないということでございます。ホルムアルデヒドの残留につきましては、既に過去に動物用医薬品専門調査会において評価されており、その含有量について、今回のものについても摂取による健康影響はないと考えられるとされております。
 3.の安全性に関する知見等については、「(1) ヒトに対する安全性について」のところに記載がありますが、ヒトに対する直接的な病原性等の検討は行われていないが、主剤であるS.iniae はヒトに対しても病原性を有するものの、本ワクチンの主剤は不活化されているということで、魚類及びヒトに対する感染力を失っており、ヒトに対して病原性を示さないと考えられるとされております。
 4ページへ参りまして、食品健康影響評価の案としましては、結論としては下の2行ですけれども、「当生物学的製剤が適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられる。」という評価案が公表されているところでございます。
 続きまして、7ページ、資料4−3を御覧ください。こちらは当部会の報告案でございます。「1.概要」として、先ほどと同様、 (1)品目名、商品名、 (2)用途、 (3)有効成分、 (4)適用方法及び用量、 (5)諸外国における使用状況ということで、諸外国においては承認されていないということでございます。
 「2.残留試験結果」におきましては、実施されていませんけれども、食品安全委員会における食品健康影響評価案においても、ワクチン中のホルムアルデヒド残留については、「過去に動物用医薬品専門調査会において評価されているが、本ワクチンについてもその含有量等から、摂取による健康影響はないと考えられる。」という評価案が公表されているところでございます。
 「3.ADIの評価」につきましては、先ほど御説明いたしましたように、以下の評価案が公表されているところでございます。
 8ページに参りまして、「4.残留試験の設定」のところでございます。当部会といたしましては、「食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととする。」として取り扱うこととしたいという案でございます。
 さらに続きまして、資料5−1を御覧ください。こちらにつきましても、3ページ目から御説明をさせていただきます。ぶりビブリオ病不活化ワクチン、商品名「ノルバックス ビブリオ mono」の食品健康影響評価の案でございます。
 まず、「1.ビブリオ病について」ですけれども、この疾病は、以前の審議にも出てきたものですけれども、水質悪化とか水温急変、輸送等のストレスが要因となって発症する魚の疾病であること、稚魚では死亡率が高いということでございます。原因菌としては、Vibrio anguillarumですけれども、ぶりのビブリオ病の病原菌は、V.anguillarum の血清型はほとんどがJ−O−3型であるということでございます。
 2.に参りまして、この製剤はホルマリンで不活化したものを主剤とした不活化ワクチンであること、不活化に使用したホルムアルデヒドが微量に含まれるほか、特に添加剤は使用されていない。ホルムアルデヒドの含有量は微量である。さらに希釈して使用されるため、食品中に残留する可能性は認められないということでございます。
 3.の安全性に関する知見等につきましては、ヒトに対する直接的な病原性等の検討は行われておりませんけれども、主剤であるV.anguillarum は、人獣共通感染症の病原体とは見なされていない。それから、本ワクチンは不活化されており、感染力を有していないとされております。
 4ページに参りまして、「4.食品健康影響評価について」は、最後のところだけ読ませていただきますけれども、「適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられる。」との評価案が公表されているところでございます。
 7ページ、資料5−3の御説明をさせていただきます。こちらが当部会の報告案でございます。「概要」といたしまして、 (1)品目名、商品名、 (2)用途、 (3)有効成分、(4) 適用方法及び用量。これは、先の2つとは違いまして、先の2つは注射剤でしたけれども、これはワクチン液の中にブリを30秒間入れるという使い方であるという記載をさせていただいております。 (5)諸外国における使用状況として、類似品がノルウェー及びフィンランドにおいて承認、使用されているということでございます。
 「2.残留試験結果」につきましては、先ほど御説明させていただいたとおり、ホルムアルデヒドの含有量は微量である。希釈して使用されるため、食品中に残留する可能性は認められないという評価案が公表されているところでございます。
 「3.ADIの評価」につきましては、先ほど御説明させていただいたとおりでございます。
 8ページに参りまして、「4.残留基準の設定」でございます。当部会といたしましては、「食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととする。」として取り扱うこととしたいという案でございます。
 以上につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○豊田部会長
 ありがとうございます。
 それでは、本報告案につきまして、御質問、御意見がございますか。
 私から。資料4−2のひらめβ溶血性レンサ球菌症不活化ワクチンについて、ひらめの ほか、ぶり、まだいにも書いてありますが、ぶり、まだい用には使わないのでしょうか。

○農林水産省(魚類安全室)
 はい。ぶり、まだいについては、既にレンサ球菌のワクチンがほかに承認されているものがあります。

○豊田部会長
 わかりました。ほかにあるからということですね。
 資料5−2のぶりビブリオ病の不活化ワクチンですけれども、これは、この案のところでは、稚魚のみとしてありますけれども、成魚で使ったらどうなりますか。成魚ではこういう感染は起こらないから必要がないということなのか、その辺、よくわかりませんでした。

○農林水産省(魚類安全室)
 成魚については、注射ワクチンで効くものが既に承認されておりまして、それが30g以上のものとなっております。今回は、新種ワクチンはもっと小さな、注射ができないようなものに対して使うということで申請が上がっております。

○豊田部会長
 わかりました。ありがとうございます。要するに、用途別にちゃんとやっているということのようでございます。
 ほかにございませんか。
 特に意見がないようでしたら、本報告案をもちまして当部会の報告にさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○豊田部会長
 ありがとうございます。本報告案をもって当部会の報告案としたいと思います。
 事務局から、今後の手続につきまして、説明をお願いいたします。

○事務局
 これにつきましても、食品安全委員会からの正式な通知を受けた上で、食品衛生上の修正が必要でなければ、報告案を部会報告書として食品衛生分科会に報告するとともに、農林水産省の方に通知する予定としております。

○豊田部会長
 ありがとうございます。
 それでは、次に、「孵化を目的としたニシン目魚類の魚卵用消毒剤(動物用医薬品)」について、資料6に基づき事務局から御説明をお願いいたします。この報告案の作成に当たりましては、関係委員に既に資料等について御検討いただいているところでございます。よろしくお願いします。

○事務局
 それでは、資料6について御説明いたします。
 「記」の下にありますけれども、「孵化を目的としたニシン目魚類のブロノポールを有効成分とする魚卵用消毒剤」の承認に当たって、また、2ページですけれども、使用基準の設定について農林水産省から意見を求められているものでございます。これにつきましては、農林水産省からの意見聴取を受けまして、厚生労働省としても食品安全委員会に、同日の9月3日付で残留基準設定に係る食品健康影響評価を依頼しているものでございます。
 それでは、3ページ、資料6−2を御覧ください。食品安全委員会における評価結果の案でございます。この製剤は、商品名が「パイセス」でございます。有効成分はブロノポールでございまして、孵化を目的とした、さけ・ます・あゆ等のニシン目魚類の魚卵に付着するミズカビの寄生繁茂の蔓延抑制のために用いられるものでございます。
 「1.孵化を目的としたニシン目魚類の魚卵消毒剤について」の記載のところですけれども、これはニシン目魚類の卵の採取、授精、孵化の過程におきまして、死卵が発生するとこれにミズカビが寄生繁茂し、周囲の生卵に蔓延して、発眼率、孵化率に大きな影響を及ぼす。このため、定期的に魚卵を消毒しまして、ミズカビの発生を抑制する操作が行われるということでございます。これまでは、消毒剤としてマラカイトグリーンというものが汎用されてきたのですけれども、これは毒性が強い、発癌性、催奇形性が指摘されているということで、この使用を制限する方向に世界的にあるということでございます。今回のブロノポールにつきましては、これの代替ということですけれども、効果、安全性が高いということで、欧州を中心に切り替えが進んでいるということでございます。
 2.ですけれども、この製剤の主成分であるブロノポールの用途、作用機序等について説明がされております。詳細は割愛させていただきます。
 4ページを御覧ください。「4.パイセスの安全性に関する知見等について」でございます。「4-1 ヒトに対する安全性について」ですけれども、ブロノポールについては遺伝毒性を発現しない。発がん性は認められないということでございます。EUにおきましては、1998年に、サケ科の魚卵の殺菌に限定して使用が認められ、その後、2001年には、魚卵だけではなく、魚類全般に適用範囲が拡大されております。EUでは、EMEAでも評価がされておりまして、ADIが20μg/kg体重/日と評価されているところですけれども、いずれの場合も、使用法と残留性を考慮してMRLの設定は不要とされているところでございます。
 それから、この製剤は、溶解補助剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルが含有されておりますけれども、遺伝毒性、発がん性、発生毒性、蓄積性のいずれもないと評価されているところでございます。
 続きまして、「4- 2 残留性について」でございます。今回の承認申請では、魚卵用の消毒剤ということですけれども、魚卵における残留のところで、ブロノポールの残留性試験は実施されていないということでございます。しかしながら、一般に魚卵の卵膜の物質透過性が低く、n-オクタノール/水分配係数が 1.3であることを考慮すると、これが高度に濃縮・蓄積される可能性は低い。さらに、ブロノポールで消毒された魚卵を孵化・育成させ、これが成魚として食品に供されるまでには少なくとも数か月を要することから、成魚の薬浴試験で認められた魚体可食部におけるブロノポールの減衰を考慮した場合、孵化を目的としたさけ・ます・あゆ等のニシン目魚類の魚卵の消毒に用いる限りにおいては、ブロノポールが食品中に残留することはないと考えられるとされております。
 5ページに参りまして、「5.食品健康影響評価について」ですけれども、これにつきましては、7行目あたりに、「所定の用法・用量で使用される限りにおいて、主剤であるブロノポールが食品に残留する可能性はないと考えられる。」、それから、「適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると考えられる。」という評価案が公表されているところでございます。
 7ページを御覧ください。資料6−3でございます。当部会の報告案ですけれども、「1.概要」、 (1)として品目名、商品名、 (2)用途、 (3)有効成分、 (4)適用方法及び用量。これは、ニシン目魚類の魚卵を、授精24時間後から発眼卵として検卵するまでの間、1日1回30分間薬浴するということでございます。 (5)諸外国における使用状況ですけれども、英国、ノルウェー、チリ等で承認・使用されているということでございます。
 「2.残留試験結果」につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。ブロノポールが食品中に残留することはないと考えるという食品安全委員会の評価案が公表されているところでございます。
 「3.ADIの評価」につきましても、先ほど御説明させていただいたとおりでございまして、以下の評価案でございます。
 8ページに参りまして、「4.残留試験の設定」についてですけれども、当部会といたしましては、「食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととする。」として取り扱うこととしたいという案でございます。
 以上でございます。御審議、よろしくお願いいたします。

○豊田部会長
 ありがとうございます。
 それでは、本報告案につきまして、御質問、御意見がございますか。

○小沢委員
 質問ですが、対象の魚種の書き方ですけれども、「さけ・ます・あゆ等ニシン目」と書いてある。普通、EUの方では「サケ科」と書いてあるし。さけ、ます、あゆがなぜニシン目なのか。ニシン目となると、ニシンの仲間ではないかと。これがニシンの仲間とは思えないのですが、何かそういう分類の理由があるのかどうか。
 それから、書き方ですが、よくこういうもので対照するときに、「あゆ等」とかと書きますよね。そうすると、その「等」にどういうお魚が入るのか、入らないのかということ がよくわからないので、その魚種の特定を正確にした方がいいのではないかと思います。
 それと、マラカイトグリーンがずっと使われてきて、これは毒性が強すぎるので代替ということのようですが、マラカイトグリーンは、卵だけではなくて、魚とか生け簀の消毒にも使われてきたのではないかと思います。孵化するための魚卵だけとなると、このブロノポール自体が魚本体に使われたり、生け簀の消毒に使われるということは、どのように考えたらいいのでしょうか。使ってはいけないということなのか、あるいは、そういう申請があったときに、また食品安全委員会に審議をかけていただくことになるのでしょうか。

○農林水産省(魚類安全室)
 まず、ニシン目の話ですが、昨年の法改正に合わせまして、使用基準の対象動物の書き方が変わりまして、それによって目ごとに書くことに変更になっております。そのときに、ギンザケ、ニジマス、ヤマメ、アマゴ、イワナ、サクラマス、サツキマス、アユ、その他のニシン目魚類として「ニシン目魚類」と分類するようになりました。

○小沢委員
 それは、生物学的な分類とは一致するのですか、しないんですか。

○農林水産省(魚類安全室)
 生物学的な分類は、いろいろな新しい知見が来るとクルクル変わっているので、その使用基準を決めたときの段階で決めたということです。

○小沢委員
 それは使用基準を考えるときに、便宜的にニシン目にさけを入れたということですか。

○農林水産省(魚類安全室)
 そうです。

○小沢委員
 わかりました。

○農林水産省(魚類安全室)
 もう一つ、施設の消毒については、薬事法で規制する範囲ではないので、どのようになるのでしょうか。

○農林水産省(薬事・飼料安全室)
 恐らく、魚体そのものの消毒とか生け簀の消毒となりますと、この製品の効能追加という形になると思いますので、いわゆる事項変更承認申請が出てきます。そうなると、当然、食品安全委員会、厚生労働省さんの方に意見を聞くことになりますので、その際は、当然、それに関する安全性、有効性のデータがついていますので、それでまた御審議をしていただく形になると思います。

○豊田部会長
 よろしいでしょうか。

○小沢委員
 わかりました。

○豊田部会長
 ほかにございますか。
 ちょっと教えてほしいのですけれども、資料6−3の最初のところに、「孵化を目的とした」と限定しているのですが、孵化を目的とした卵が食用に回るということはないのでしょうか。

○農林水産省(魚類安全室)
 通常の流通で言えば、あり得ません。というのも、孵化を目的としたものは、さけで言えば、川に上っていって、さけ・ます孵化場で採るものでありまして、食べるイクラは海の方で採ったものですので、通常の流通形態ではあり得ません。

○豊田部会長
 そのルートがきれいに分かれているという意味ですね。

○農林水産症(魚類安全室)
 はい。

○豊田部会長
  (4)の適用方法のところですけれども、薬液に1日1回と書いてあるのですが、これはほかの日にやってもいいということでしょうか。

○農林水産省(魚類安全室)
 この1日1回というのは、毎日という意味です。ですから、卵に眼が見えるまでの間、一番効果的なものが毎日です。2日に1回ですと効果が落ちてきます。ただ、どのように使うかは、その養殖場におけるミズカビの発生状況とか費用を考えながら使っていくと思われますが、毎日やるのが一番効果的です。

○豊田部会長
 そうすると、長いとどのくらいやりますか。

○農林水産省(魚類安全室)
 例えば、さけで言いますと、水温によって孵化までの日数が決まってきますので、8度の水温ですと60日ぐらいかかりますし、その間の水温によっても決まってきまして、今回の試験ですと、北海道では6週間ぐらい使っておりまして、宮城県では4週間ぐらいだったと思います。ですから、水温によって違いますので一概には言えません。

○豊田部会長
 わかりました。ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 それでは、特に意見がないようでしたら、本報告案をもちまして当部会の報告とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○豊田部会長
 ありがとうございます。それでは、本報告案をもって当部会の報告書としたいと思います。
 事務局から今後の手続につきまして説明をお願いいたします。

○事務局
 本件につきましても、食品安全委員会からの正式な通知を受けた上で、修正等必要な事項がなければ本報告案を部会報告書といたしまして、食品衛生分科会に報告するとともに、農林水産省さんに通知する予定とさせていただきたいと思います。

○豊田部会長
 ありがとうございました。

○農林水産省(魚類安全室)
 先ほど、レンサ球菌のワクチンの件で、ぶり、まだいで承認されていると言ったのですが、間違いでして、ぶりだけです。まだいについては、まだ承認されているものはありませんでした。

○豊田部会長
 ただいま御訂正がございまして、ぶりのみということだそうでございます。
 それでは、議題2「その他」で、事務局から連絡事項等があればお願いします。

○事務局
 参考資料に、現在の食品健康影響評価の依頼の状況などが出ておりますが、次回は、既に御案内をいたしておりますように、12月14日の午前中に行うこととしております。
 こちらからの連絡事項は以上でございます。

○豊田部会長
 ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。皆様、どうもありがとうございました。


照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課
(03−5253−1111 内線2487,2489)


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