第1章 | 救命治療、法的脳死判定等の状況の検証結果 |
1. | 初期診断・治療に関する評価 |
(1) | 脳神経系の管理について
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(2) | 呼吸器系の検査治療について 来院時の呼吸状態は自発呼吸であり、呼吸数17回、規則的で酸素マスク8L/分、FiO240%にて動脈血中酸素分圧は93mmHgであった。その後、集中治療室にて呼吸状態がモニターされ、呼吸状態は安定していた。9月10日に意識レベルの低下に伴い呼吸障害が出現したため、経口的に気管挿管が行なわれ、人工呼吸にて呼吸管理が開始された。この間Oxygenation index (PaO2/FiO2)は200前後にコントロールされていた。来院時の呼吸管理、また呼吸障害の出現時に対処した気管挿管などのタイミング、その後の呼吸器管理はすべて適切であった。 |
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(3) | 循環器系の検査治療 来院後ただちに集中治療室にて、心電図、血圧、脈拍、尿量が経時的にモニターされており、適切な経過観察がなされていた。 血圧は来院時186/73(mmHg以下同じ),その後245/120に上昇したためペルジビンの静注にて最高血圧160〜180、最低血圧100〜80にコントロールされていた。しかし9月10日18時突然の血圧低下あり、ただちにドーパミンが投与され、以後は最高血圧は90〜100以上に保たれ、その後、昇圧剤にて血圧はよくコントロールされ、適切な循環管理が行われた。 |
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(4) | 水電解質の検査治療について 来院時は、Na145mEq/ml、K3.6mEq/mlであり、経過中Naの最高値は155mEq/ml、最低値は137mEq/ml、Kは最高値4.0mEq/ml、最低は3.0mEq/mlにコントロールされていた。ナトリウムに関しては意識障害の原因や増悪因子となる低または高ナトリウム血症とはなっていないと判断することができる。 |
2. | 臨床的脳死の診断及び法に基づく脳死判定に関する評価 |
(1) | 脳死判定を行うための前提条件について 本症例は平成15年9月7日15:15に突発性の右半身麻痺、言語障害で発症し、脳血管撮影にて、左内頸動脈閉塞症と診断された。このため血栓溶解療法は行わず保存療法を行った。 9月9日には、意識レベルがGCS13から8に低下し、CT所見上、左大脳半球に広範な脳梗塞が認められた。 9月10日17:00には、急激な血圧低下とともに深昏睡(GCS3)となり、自発呼吸の停止、両側瞳孔散大が出現した。 9月11日2:30に臨床的脳死と診断され、6時間36分後に第1回脳死判定を行い(9月11日12:05終了)、8時間後に第2回脳死判定を行った(9月11日19:35終了)。 以下に要約するように、本症例は脳死判定対象例としての前提条件を満たしている。
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(2) | 臨床的な脳死の診断及び法に基づく脳死判定について
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