資料3 |
1. | 表示対象品目の見直し
アレルギー物質を含む食品に関する表示制度が導入されてから約3年間が経過し、この間新たな疫学調査(平成12〜14年度厚生労働科学研究「食物アレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究」(主任研究者:海老澤元宏 独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部長))等が実施されたことから、これらの報告書等を参考とし、平成16年2月より農林水産省と共に食品表示制度全般を御議論いただいている「食品の表示に関する共同会議」及び薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示部会において、アレルギー表示制度全般の見直しを検討していただきました。 この中で、個々の品目について検討をした結果、表示することが義務である特定原材料については、引き続き維持すべきであること、また、表示することが望ましい特定原材料に準ずるものについては、制度導入以降3年間しか経過していないこと等を踏まえ、現在の19品目を引き続き維持するとともに、新たに「バナナ」を追加することが適当であるとされました。 この議論をふまえ、現在の特定原材料及び特定原材料に準ずるものについては、引き続き維持することとし、バナナについて新たに特定原材料に準ずるものとして加えることになりました。 |
2. | 特定原材料等を使用していない旨の表示の新規促進
特定原材料に準ずるものに関する情報が提供されてないために、それらを使用しているか、していないかの判断ができず、食物アレルギー患者が摂食可能な食品が狭められていることから、ある特定原材料等を含んでいるだろうと消費者が一般に認識する食品において、その該当する特定原材料等を使用せずにその食品を製造等した場合、該当する特定原材料等を使用していない旨の表示を今回新規に促進することになりました。 例えば、一般に「ケーキ」には「小麦粉(特定原材料)」を使用していますが、この「ケーキ」に「小麦粉」を使用しないで製造した場合には、「本品は小麦粉を使っていません」と表示していただきたいと考えています。 なお、特定原材料等を含んでいないと消費者が一般的に認識する食品、例えば、ミネラルウォーターに大豆を使用していない場合に、「本品は大豆(特定原材料に準ずるもの)を使っていません」という表示まで促進しようとするものではありません。
「使用していない」旨の表示は、「含んでいない」ことを必ずしも意味するものではありません。表示をする者が、特定原材料等の使用の有無について適切に確認したことを意味するものです。 例えば、一般に「ケーキ」には「小麦粉(特定原材料)」を使用していますが、この「ケーキ」に「小麦粉」を使用しないで製造した場合に、「本品は小麦粉を使っていません」と表示されることがあります。しかし、コンタミネーションなどの小麦の混入の可能性を否定するものではありません。
一括表示枠外にどのアレルギー物質を表示対象としているかについて(特に推奨品目である特定原材料に準ずるもの)表示するなどの取組みを進めることは有用であると考えられます。 例えば、(1)全ての特定原材料に準ずるものを対象としている場合は「本品は食品衛生法で規定されている特定原材料等に準ずるもの(アレルギー表示推奨品目)についても表示対象にしています」。また、(2)鶏肉、牛肉を対象としている場合「本品は食品衛生法で規定されている特定原材料等に準ずるもの(アレルギー表示推奨品目)の鶏肉、牛肉についても表示対象にしています」などと表示することが考えられます。また、ホームページ等を活用して、情報提供することも有用でしょう。 |
3. | アレルギー疾患を有する者に分かりやすい表示方法
食物アレルギー患者の視認性を高め適切な判断を可能にする方策として、特定原材料等の文字の大きさや色を変えることを可能にすることとなりました。 具体的には、複数の特定原材料等を表示する場合には、すべての特定原材料等について統一した大きさや色となるよう優良誤認にあたらないように配慮しつつ、文字の大きさについてはおおむね他の文字の1.5倍程度以下に、文字の色については背景となる容器包装を考慮し、見やすいように表示します。 なお、文字のフォントを変えたり、太文字にすること、下線を付けること、網をかけること、影つき文字、中抜き文字、浮き出し文字、浮き彫り文字等にすることも、上記の趣旨に反しない場合においては可能です。 |
4. | 制度の普及啓発、研究の促進等
食品を製造加工して、消費者に直接販売する対面販売や店頭量り売り、外食産業事業者等については、法的義務はありません。しかし、健康被害防止のために、アレルギー表示の法的義務はない対面販売や外食産業においても食物アレルギー疾患を持つ者に対する情報提供の充実を図っていただきたいと考えています。 具体的には、食物アレルギー患者が必要とする情報を正確に提示できるように整備するとともに、品書きやメニュー等を通じ情報提供の充実化に向けて自主的な取組みをしていくことが大切です。 なお、情報提供を行う際には、どのアレルギー物質を表示対象としているかに消費者が認識し易いよう、「当店のメニューでは、食品衛生法における表示義務品目(特定原材料)である卵、乳、小麦、そば、落花生について表示をおこなっています」などの表示によって注意を促すことができると考えています。 |
5. | その他
鶏を処理するする過程での混入により、鶏肉製品に卵のたんぱく質が検出されるケースがあることが報告されています。 しかしながら、このようなケースは、卵を原材料として使用しているわけではないので、原則、法的な表示の義務はありません。 ただし、卵のたんぱく質が鶏肉製品に高い蓋然性で数μg/ml濃度レベル又は数μg/g含有レベル以上で検出されるということであれば、健康被害防止の観点から、注意喚起を行うことが望ましいと考えています。 |