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社会保障審議会−福祉部会
第12回(H16.11.2) 資料3


三位一体改革について(配布資料)



三位一体改革に係る地方6団体提案に対する代替案

三位一体改革に係る地方6団体提案に対する代替案の図

地方6団体提案を踏まえた補助負担金の改革案

地方6団体提案を踏まえた補助負担金の改革案の図



地方6団体提案に対する厚生労働省意見の概要
(平成16年10月28日提出)


 提案全体に対する意見
〔地方6団体提案〕
  廃止対象補助負担金(厚生労働省所管分)  約9,444億円
 (うち) 特別会計事業 約477億円
施設整備費 約1,576億円
事業費・運営費 約7,391億円

〔厚生労働省意見〕
 地方6団体の提案には、介護保険、老人医療、国民健康保険、生活保護等の負担金に関しては具体案を示さないという基本的問題がある一方、少子化対策等に係る補助負担金と裁量的補助金の全般が廃止することとされており、提案を実施した場合、国民の安心と安全を守るべき社会保障について、一定水準のサービスをどの地域においても格差なく保障するという国の責任が果たせなくなるなど、様々な問題がある。

 社会保障分野においては、地域において実施する事業については国と地方が協力・分担して実施するとの考え方の下で、個別の事務事業ごとに費用負担の在り方が検討され、歴史的・沿革的に、基本的には地方の負担による事務事業の実施に対して国が一部を補助負担することを基本として適用されてきた(地方財政法第10条、第10条の2)。その上で、地方へ同化・定着したものについては、補助負担金の廃止を行うなど、一定のルールの下で具体的な負担関係の見直しが行われてきたところである。
 したがって、今回の補助負担金の見直しに当っても、こうした考え方に立ち、そのときどきの事務事業の同化・定着の度合、国として当該行政に係る関与の度合いやその実施を確保しようとする関心の強さ、地方の住民に与える利益の程度、国及び地方の財政状況等を総合的に勘案して判断することが基本であることから、現時点においてこれらを勘案し、以下の基準により、補助負担金について全体として整理し、提案することとした。

(1)  既に地方自治体の事務として同化・定着しており、現時点及び将来において、全国的に一定の水準が保障されると考えられるものについては、国の補助負担は廃止する。

(2)  全国的に一定の水準のサービスが確保されつつある一方、国民の自立やこのための予防といった国全体の今後のあり方からみて過大なサービスがあるなど地方ごとの実施状況にひずみが生じており、今後地方自治体に対して更に大きな役割を期待すべきものについては、地方自治体の権限、役割等を拡大するとともに、財政的にも相応の責任を負っていただく。

(3)  急速な少子高齢化に対応するサービスなど、未だ地方自治体の事務として定着しているとはいえず、今後国がより積極的に関与して全国的に一定の水準のサービスを急速かつ適切に整備しなければならないものについては、地方の自主性に最大限の配慮を払いつつ、基本的に現行の補助負担金を維持する。

 なお、事業主拠出金などを財源とする特別会計事業及び公債を財源とする施設整備関係補助金は、税源移譲の対象として不適当であることにも留意すべきである。


 具体的な補助負担金の整理

(1)  地方の事務として、既に同化・定着しているもの

 既に地方自治体の事務として同化・定着していると認められる補助負担金については、今回の地方6団体の提案を踏まえ、廃止・移譲する方向で検討する。

 〔税源移譲対象額〕  約600億円程度(精査中)

(2)  全国的に一定の水準のサービスが確保されつつある一方、過大なサービスがあるなど地方ごとの実施状況にひずみが生じており、今後地方自治体に対して更に大きな役割を期待すべきもの

 社会保障制度の今後の在り方を踏まえ、また、地方の役割を強化することで一層的確な運営が図られ得るものとして、以下の制度について、適切な税源移譲の下で、今後のあり方として、サービスを受ける国民の「自立」あるいは、このための「予防」をキーワードに、国と地方が協力し連携していく中で地方の権限の拡大を行うこととし、併せて負担関係の見直しを行う。

(1)  国民健康保険制度

 国民健康保険制度においては、制度の安定的な運営を図るため、保険運営の広域化を通じた保険財政の安定化と医療費の適正化を進めることが必要である。
 医療費適正化に当たっては、医療費に地域格差がある中で、都道府県が作成する医療計画、健康増進計画、介護保険事業支援計画を通じた都道府県を中心とする総合的な取組が必要であり、また、保険運営の広域化に当たっては、保険者と都道府県が連携し、医療費の地域差を縮小し、保険料の平準化を進めることが必要である。

 このため、
 医療計画においては、
 疾患や医療機能ごとに定められた指標に基づく具体的数値目標(地域の疾病構造の特徴、住民ニーズを踏まえた目標値等)を設定するとともに、
 政策評価を通じて絶えず効率的な医療提供体制が構築されるよう見直す
 また、患者・住民のQOL向上の観点から、医療機能の分化・連携や在宅療養を推進する内容に見直す
ことを通じて、急性期から回復期、在宅療養へという流れを確立して医療の効率化を図る。
 健康増進計画においては、
 国が生活習慣病対策についての基本方針を示すとともに、重点的に取り組むべき対象疾病や具体的な目標・手法等を提示し、
 都道府県がこの目標を実現するための方策を健康増進計画に規定し、
 この計画の下、医療保険者と市町村等とが連携して健診及び事後指導等に取り組む
ことにより、都道府県が中心となって生活習慣病予防対策を進める体制を整備する。
 介護保険事業支援計画においては、
 医療計画と連携して、退院後の自宅療養及び自宅以外の多様な住まいにおける療養を支える受け皿に係る計画を策定し、地域における介護・福祉サービス基盤整備を推進する。
こととしており、これらの改革によって保健医療分野における都道府県の責任の明確化及び役割の強化を行うとともに、財政面からの支援として、都道府県の自主性に最大限の配慮を払いつつ、分野ごとの大括りな交付金・統合補助金(後述)を創設することとする。

 このように全体として保健医療分野における都道府県の役割の強化を行う中で、国民健康保険制度においても都道府県に国民健康保険事業における財政調整権限を付与し、地域の実情に応じた保険運営を目指すとともに、財政的にも地方自治体に相応の責任を果たしていただくこととし、地方の必要とする財源が確保されることを前提に、国民健康保険法の改正により、負担関係の見直しを行うこととする。

  〔税源移譲対象額〕(精査中)
    都道府県負担割合   5%の場合
  約3,100〜3,500億円
   〃  10%の場合
  約6,300〜6,900億円

(2)  生活保護制度

 生活保護制度においては、従来の経済的な給付に加え、地方自治体が被保護世帯の実情に応じた自立・就労支援を実施する制度へ転換していくことが必要。
 したがって、新たに「自立支援プログラム」を導入し、国があらかじめ示すきめ細かな指針の下で地方自治体がその自主性・独自性を生かして自立・就労支援メニューを整備するとともに、被保護者に対してそれぞれの状況に応じたプログラムへの参加を指導することにより、その自立・就労を支援することとする。なお、被保護者がプログラムへの参加を拒否する場合等には、地方自治体の判断で保護の停廃止等を実施できることとする。
 また、併せて、生活保護に係る事務について、アウトソーシングの推進や事務実施に係る裁量の拡大を行う。

 これに伴って、財政的にも地方自治体に相応の責任を果たしていただくこととし、地方の必要とする財源が確保されることを前提に、生活保護法の改正により、負担関係の見直しを行うこととする。

  〔税源移譲対象額〕
国負担割合 2/3の場合  約1,900億円
1/2の場合  約5,700億円

(3)  児童扶養手当制度

 生活保護制度と同様の改革を行う。

  〔税源移譲対象額〕
国負担割合 2/3の場合  約340億円
1/2の場合  約1,000億円

(3)  未だ地方自治体の事務として定着しているとはいえず、今後国がより積極的に関与して全国的に一定の水準のサービスを急速かつ適切に整備しなければならないもの

(1)  地方自治体の自主性・裁量性を更に発揮していただくため、大幅な改革を行うことが相応しいもの

 未だ地方自治体の事務として定着しているとはいえず、今後更に国が積極的に関与して推進する必要がある事業のうち、地方自治体の自主性・裁量性を更に発揮していただくことが相応しいものについては、今回の提案の趣旨に鑑み、大幅な改革を行うこととする。
 具体的には、従来の細分化された補助金・負担金を、分野ごとの大括りな統合補助金・交付金へと再編・統合する(名称は全て仮称)。

社会福祉 セーフティネット支援対策事業(統合補助金)
医療・保健衛生 保健医療提供体制整備交付金
保健医療提供体制推進事業(統合補助金)
障害者施策 障害者地域生活支援事業(統合補助金又は交付金)
高齢者施策 地域介護・福祉空間整備等交付金
介護保険地域支援事業交付金
児童福祉 次世代育成支援対策交付金
児童虐待・DV対策等総合支援事業(統合補助金)
母子家庭等対策総合支援事業(統合補助金)
母子保健医療対策等総合支援事業(統合補助金)

(2)  従来通りの補助負担金体系でなければ施策が実施できないもの

 上記以外の補助負担金については、従来通りの体系による必要があることから、引き続き、継続して実施していく。

児童保護費等負担金
(民間保育所の運営費、養護施設・乳児院等の運営費等)
障害児施設等の運営費
SARS対策等の感染症対策


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