04/10/28 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会平成16年10月28日議事録         薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 【日時】 平成16年10月28日(木) 午前9時57分〜午前10時45分 【場所】 中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室 【出席委員】(敬称略)      小沢 理恵子、工藤一郎、鈴木 久乃、棚元 憲一、長尾美奈子(部会長)、      中澤 裕之、成田 弘子、米谷 民雄、山川 隆、四方田 千佳子 【事務局】中垣基準審査課長、宇津課長補佐、蛭田課長補佐 【議題】(1)イソプロパノールの新規指定の可否について      (2) その他 ○事務局  定刻に少々早いですが、先生方お揃いでございますので、薬事・食品衛生審議会食品 衛生分科会添加物部会を開催させていただきたいと思います。  本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、西島委員、吉池委員、山添委員より欠席との御連絡を事前に受けているとこ ろでございます。現在、添加物部会の委員13名中10名の委員の先生方に御出席いただい ておりますので、本日の添加物部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  さて、本日、外口食品安全部長から御挨拶申し上げる予定でございましたが、国会等 の関係で急きょ欠席させていただくこととなりました。本日は、中垣基準審査課長から 御挨拶させていただきます。 ○中垣基準審査課長  おはようございます。委員の先生方におかれましては、日頃より食品添加物行政に御 協力いただきまして、ありがとうございます。  本日、新規指定に向けて御審議いただきますイソプロパノールにつきましては、国際 的に安全性が確認され、かつ汎用されているものとして、国が主体的に指定に向けた検 討を進めた品目でございます。もう既に先生方は御承知のとおり、平成14年7月の食品 衛生分科会の御意見を踏まえて、このような活動をしておるわけでございますけれど も、部会で御審議いただく香料といたしましては5品目目になるかと思います。  本品目は、昨年12月に食品安全委員会にリスク評価をお願いしたものでございます。 現在、食品安全委員会の添加物専門調査会においてリスク評価が行われ、その審議結果 の案についてパブリック・コメントが実施されておるところでございます。食品安全委 員会における最終的な評価は、もう少し時間が掛かるのだろうと思いますけれども、本 日は審議結果の案を基に御審議いただくようお願い申し上げます。  また、報告事項といたしまして、前回の部会で御質問のあった次亜塩素酸ナトリウム に関する通知について御説明したいと考えております。先生方の活発な御議論を賜りま すようお願いをして、私の挨拶に代えさせていただきます。 ○事務局  それでは、座長を長尾添加物部会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいた します。 ○長尾部会長  おはようございます。それでは、配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。 ○事務局  御説明いたします。本日、先生方のお手元に配付させていただきました資料でござい ますが、1ページ目が議事次第となっている冊子が1冊、更に、本日の座席表を配付さ せていただいております。  1ページ目が議事次第となっております冊子の資料を御説明させていただきます。2 ページ目でございますが、委員名簿でございます。  1ページめくっていただきますと、資料一覧でございます。  議題1に係る資料といたしまして「イソプロパノールの新規指定の可否に関する薬事 ・食品衛生審議会への諮問について」でございます。  資料2でございますが、こちらにつきましては「イソプロパノールを添加物として定 めることに係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)」でございます。これは現 在、食品安全委員会においてパブリック・コメントが実施されている報告書の案でござ います。  資料3でございますけれども、こちらにつきましては、添加物部会の報告書案でござ います。参考資料1でございますが、イソプロパノールのガスクロマトグラムでござい ます。  議題2のその他に係る資料といたしましては、参考資料2といたしまして「次亜塩素 酸ナトリウムに酸を混和して使用することについて」でございます。本年8月25日付の 基準審査課長通知でございます。  本日、お手元にお配りしております資料は以上でございます。もし、不足等ございま したら、お申し出いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長  資料は揃っていますでしょうか。よろしければ審議に入りたいと思います。  まず、最初に、議題1のイソプロパノールの新規指定の可否について審議を行いたい と思います。事務局より資料について説明をお願いいたします。 ○事務局  御説明いたします。  まず、背景の方から御説明したいと思っております。イソプロパノールでございます けれども、先ほど課長の挨拶にございましたとおり、平成14年7月食品衛生分科会によ り了承されました、国際的に安全性が確認され、かつ欧米で汎用されている添加物とし ての香料の取扱いに従いまして、厚生労働省において資料を取りまとめ、平成15年12月 15日でございますが、香料の指定に関し、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼し た品目の1つでございます。  食品安全委員会におきましては、本年10月5日の添加物専門調査会におきまして審議 が行われ、その審議を踏まえた報告案が取りまとめられ、本年10月21日より食品安全委 員会としてパブリック・コメントが実施されているものでございます。そのような背景 でございます。  資料を御覧になっていただけますでしょうか。資料1ページ目でございますが、こち らは先ほどの御説明のとおり諮問書の写しでございます。  次のページ、資料2でございます。こちらにつきましては、現在、食品安全委員会に おいてパブリック・コメントが実施されている報告書、審議結果の案でございます。こ ちらにつきまして、御説明させていただければと思います。  イソプロパノールでございますけれども、こちらにつきましては、果実、野菜、乳製 品、酒類等の食品に天然に含まれている成分ということでございまして、欧米において は清涼飲料水等さまざまな加工食品に添加されているものでございます。  背景でございますが、先ほど御説明のとおり国際的に汎用されている香料ということ で、厚生労働省が資料を取りまとめ、食品安全委員会にリスク評価を依頼したものでご ざいます。  従来、厚生労働省が食品添加物の指定等に際してまとめております食品添加物の指定 等に関するガイドラインというものがございますけれども、そちらには基づかずに、香 料につきましては、国立医薬品食品衛生研究所の井上センター長を中心に取りまとめい ただきました「国際的に汎用されている香料の安全性評価の方法について」に基づき、 資料の整理が行われているものでございます。  2ページの下の方、安全性でございますが、概略のみ御説明させていただきますと、 遺伝毒性の試験が多数実施されております。その結果でございますが、3ページの上の 方にございますように、特段問題となる遺伝毒性はないという結果が得られているもの でございます。  反復投与試験でございますが、こちらにつきましては、ラットの12週間の試験が実施 されておりまして、NOAEL 870mg/kg/dayと推定がなされております。  発がん性につきましては、IARCの評価におきましては、ヒトに対する発がん性につい ては分類できないという分類がなされております。その他EPA、NPT等におきまし ては、発がん性の評価はされていないという状況でございます。  こちらにつきましては、繁殖毒性試験、催奇形性試験が実施されているところでござ いまして、後ほどNOAELの関係で出てまいりますが、この上のパラ、2世代繁殖試験で ございますけれども、この親及び子動物、児動物に対するNOAEL 100mg/kg/dayという ものが最も低いということで、このNOAELが推定摂取量との比較の際に用いられている NOAELでございます。  その下のパラでございますが、催奇形性試験がラットとウサギで実施されております けれども、催奇形性は認められないという結果が得られております。内分泌かく乱を疑 わせる報告はないということでございます。  5の推定摂取量でございますけれども、こちらにつきましてはJECFAのPCTT法による 推定が実施されております。1995年の使用量調査に基づきまして、米国・欧州における 一人一日当たりの推定摂取量が出されておりまして、4ページの頭でございますが、約 1万μgでございますが、こちらが米国。約8 万5,000μg、こちらが欧州という数字が 導き出されております。ただ、こちらの数字でございますけれども、香料としての使用 のみでなく、抽出溶媒でありますとか、宗教上の理由ということで、イスラム諸国にお いてはエタノールの代替品として、このイソプロパノールが使用されているということ でございまして、そういった目的で使用されているイソプロパノールについても、この 数字の中に含まれているということでございまして、かなり過大な見積もりがなされて いるものでございます。  このような状況におきまして、我が国の香料としての推定摂取量は、米国と同程度で はないかというふうに推定されているところでございます。  一方、米国におきましては、意図的に添加される本物質の従来天然中に存在する成分 としてのイソプロパノールの摂取量については、意図的に添加された物質の0.7倍程度 との報告もあるということでございます。  6でございますが安全マージンの算出ということで、先ほどの2世代繁殖試験の NOAELの100mg/kg/dayと先ほどの推定摂取量、11mg/ヒト/日の推定摂取量を日本人の 平均体重で割って推定摂取量を出しておりますが、これと先ほどのNOAELの比を比較い たしまして安全マージンの457という数字が導き出されているところでございます。  本物質でございますけれども、生体内に摂取されました場合には、本物質またはその 代謝物アセトンということで記載されておりますが、そのような形で呼気中、尿中に比 較的に速やかに排出されるというものでございます。JECFAの構造分類としても、クラ スIということで整理がされているところでございます。  8のJECFAでございますが、JECFAにおいても最終的に推定摂取量、この「*」でござ いますが、JECFAの評価に用いられた推定摂取量9,900μgとなっておりますが、これに ついてはクラスIの摂取許容値を上回るものの、本物質またはその代謝物は生体成分に 代謝されて、かつ、そのレベルは生理的範囲を超えないと予測されるため、香料として の安全性の問題はないと整理がされております。  9でございますが、こちらについては我が国の評価手法に基づく評価ということで、 記載されているものでございます。  10でございますけれども、こちらにつきましては、体内吸収分布(ADME)の関係のデー タがございまして、その評価がされております。イソプロパノールの通常の生体内にお ける血中濃度については、いろいろな個人差もあって大きなばらつきがあると考えられ るけれども、正常人において1.95μM以下というような報告がなされています。  一方、過大な見積もりでございますけれども、我が国におけるイソプロパノールの一 日当たりの推定される推定摂取量約11mgを一度に摂取して、かつ、これが100%吸収さ れて、更に代謝されずに体内に分布したと仮定しますと、血中濃度は8.1μMに達すると いう計算がなされております。これにつきましては、半減期が4.8時間というようなデ ータがあるということで、摂取後約10時間でございますが、これで血中濃度は正常人の 血中濃度レベル以下にまで低下するという考察がされております。  5ページ目でございますが、このようなADMEのデータを基に食品安全委員会として は、日常の食生活において摂取する状況はこの仮定と大きく異なって、経口摂取の場合 代謝を受けるということで、体内でイソプロパノール濃度が異常に上昇するとは考えら れないとまとめております。  最終的な評価結果案でございますけれども、生体内において特段問題となる遺伝毒性 はない。本物質の想定される推定摂取量は、クラスIの摂取許容量を超えているという けれども、適切な安全マージン100を上回っており、本物質及びその代謝物は生体成分 に代謝され、かつ、そのレベルは生理的範囲を著しく超えることはないと予測される。 したがって、本物質を食品の着香の目的で使用する場合にあっては、安全性に懸念がな いと考えられるとまとめているところでございます。  この評価結果案を受けまして添加物部会の報告書案でございますが、8ページを御覧 になっていただけますでしょうか。こちらが報告書案でございますけれども、1の品目 名イソプロパノール、2で構造式、分子量等の記載がされております。3、用途は香料 ということでございまして、4で諸外国での使用状況を記載させていただいておりま す。5でございますけれども、こちらについては、先ほどの食品安全委員会の評価結果 案、食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられるという記載で ございます。  推定摂取量でございますけれども、先ほどの食品安全委員会での記載をこちらの方に 整理させていただいているところでございます。  7の新規指定についてということで、食衛法第10条の規定に基づき、添加物として指 定することは差し支えない、と。  9ページの頭に移っていただきますと、ただし、第11条の規定に基づきまして、次の とおり使用基準と成分規格を定めることが適当であるといたしまして、使用基準案でご ざいますが、着香の目的以外に使用してはならない、と。成分規格案として、別紙のと おり設定することが適当ということでございます。  10ページを御覧になっていただけますでしょうか。イソプロパノールの規格案でござ います。こちらにつきましては、含量、性状、確認試験、純度試験、水分、定量法とい うことで整理がなされております。12ページを御覧になっていただきますと、規格設定 の根拠ということで取りまとめさせていただいているところでございますが、国際的な 規格でございますJECFAを参考に、JECFAに準拠して規格の設定がなされております。  なお、基本的にJECFAの基準、規格を採用しているわけですが、純度試験の(2)の比重 でございますが、JECFAでは香料用規格を0.785と一点のみにして示しておりますが、同 じくJECFAでの食添規格、いわゆる抽出溶媒等での使用を想定しておりますが、その場 合にあっては0.784〜0.788ということで、範囲を示して規定しているわけでございま す。  FCC、これは米国の規格でございますが、そちらでは規格がないという状況であ り、日本薬局方におきましては0.785〜0.788という規格値がございます。最終的には、 国際的な流通品も考慮いたしまして、JECFAでの食添規格範囲を示して規定しておりま す0.784〜0.788という規格が採用されているところでございます。  13ページにおきまして、本規格で採用しなかった項目ということで、溶状、沸点、 鉛、蒸発残留物ということで御説明させていただいておりますけれども、いずれも科学 的にその設定をする根拠が乏しいということで、今回のこの規格案の中では採用されて いないような取りまとめをさせていただいているところでございます。  確認試験で採用されております赤外吸収スペクトルでございますが、こちらの参照ス ペクトルが11ページに記載されております。なお、先ほども御説明しましたけれども、 参考資料1といたしまして16ページでございますけれども、イソプロパノールのガスク ロマトグラムを掲載させていただいているところでございます。  以上でございます。よろしく御審議をお願いいたします。 ○中垣基準審査課長  申し訳ございません、1点修正させてください。8ページの下から10行目ぐらいのと ころに6「推定摂取量の目安」というものがございます。一方、食品安全委員会も推定 摂取量を推定していまして、3ページ目の下から3行目に「摂取量の推定」というとこ ろがございます。この2つを見てみますと、基本的に同じデータを使っておりますが、 情報量として食品安全委員会の方が多くなっております。そういうことがございますの で、部会報告書8ページの「推定摂取量の目安」のところは、具体的な案文としては 「上記の食品安全委員会の評価結果案によると次のとおり」として、3ページ目の下か ら2行目の食品安全委員会の摂取量の推定の項を全部持ってくるという形で整理をさせ ていただきたい。すなわち、2つが違うことを言っているかのようなことになると、ま たいろいろな混乱を呼びますので、そういう形で整理をさせていただきたいと思ってお ります。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。  ただいま事務局から御説明がありましたけれども、今回の成分規格を取りまとめられ ました国衛研の食品添加物部から何か追加・補足はありますでしょうか。特にないでし ょうか。  それでは、この新規指定の可否につきまして、御審議・御意見をお願いいたします。 ○小沢委員  安全性の評価の問題というよりも、むしろマネージメントの側面でどうなのかなとい う疑問があるので話したいと思いますが、一番最初に46品目ということでノミネート、 リストに入れたときには、たしかこのイソプロパノールについては抽出溶媒とか担体溶 媒という表現があったような記憶があるのですが、今の文面の中でも欧州では抽出溶媒 というか担体溶媒に使われているというようなこともあったのですが、日本ではどうか ということです。もし使われているのでしたら、そういう抽出溶媒とか担体溶媒として の安全性評価というのは、どういうふうに考えたらいいのかというのが1つございま す。  それと、食品添加物の公定書の中に食品添加物の製造基準として、着色料や天然香料 の類を製造する際に、だから、抽出の目的で使っていいとありまして、いろいろな溶媒 が24種類掲げられていて、この24種類の中にイソプロパノールも入っていて、着色料や 天然香料中の残存量の規定があるのですね。50μg/g、50ppm以上超えてはいけないとい う規定があると。そうすると、今後の取扱いとしては着香の目的なら好きにというか、 そんなにたくさん入れるということは余りないと思いますけれども、使っていいと。抽 出の溶媒として使うのだったら、以前どおり50μg/g以下の残存ならOKというような ことを一体どういうふうに考えたらいいのかなというのが質問でございます。  それと、ちょっと話が離れますが、この24種類の溶媒の中に、食品添加物だったり、 違うものがあったりして、例えばジクロロメタンが入っているのですね。こういうもの が今時入っていて、残存量の規定は30ppmではあるのですが、入っていいのかなという のと、亜酸化窒素も入っているということがございましたので、これはまた次回の議題 にもなろうかと思いますけれども、その辺の整理をマネジメントとしてどう考えるの か。プロパノールと入ってしまったら、私は素人でよくわかりませんけれども、天然由 来のもの、香料に加えたもの、それから、抽出溶媒として使ったものがごちゃ混ぜにな ってしまうのではないかと思うのですね。一般の食品の中では、何とか抽出物というの が今すごく天然系のもので食品の表示を見ていてもはやっているような気もいたしま す。その辺が着香の目的なのか、抽出の目的なのかが線引きがしがたい部分もあると思 うので、片一方基準がある、その基準も何でそういう基準をつくったのかというのがよ くわからないのですが、その辺の整理が大事ではないかと思いました。  以上でございます。 ○長尾部会長  事務局からお願いします。 ○事務局  御説明いたします。本日、御審議をお願いいたしますのは、香料として使用されるイ ソプロパノールの指定の可否等でございます。先生の御指摘にございましたとおり、国 が主体的に指定の検討を行うということで審議会の御了承をいただいた46品目の添加物 の中に、イソプロパノールという品目がございます。こちらにつきましては、この香料 の御審議とは別に、後日、抽出溶媒等の使用についてリスク評価をお願いし、その後に こちらの審議会において御審議を賜ることになるかと思います。  先ほどの添加物の抽出ということで、24種ということで先生から御指摘をいただいて いるところでございますが、こちらにつきましては、製造基準の方で指定がされている ものでございますけれども、要は添加物の添加物でございますので、食品添加物の指定 等の、いわゆる食品の製造加工に用いられる添加物とは異なりますので、そういった意 味で指定等の手続を要するものではございません。ただ、こちらの製造基準の設定等に あたりまして、規格基準の改正等が行われますので、そういった観点で先生方の御審議 をいただくような形になるかと思います。  以上でございますが、御理解いただけましたでしょうか。 ○小沢委員  でも、最終的に食品の中に入ってしまうのは同じですよね。添加物の添加物でも。 ○中垣基準審査課長  それは、小沢委員の御指摘のとおりです。ただ「添加物の添加物」という表現がいい かどうかは別問題ですが、いずれにしても添加物を製造するときに使う抽出溶媒だとい うことは御理解いただけたらと思います。逆に申し上げますと、あるいは量的な評価を していくことが必要になるのだろうと思いますけれども、添加物の製造に使われてい て、添加物の中に残留溶媒として何ppmというような規制をしておるわけでございます。 したがいまして、食品の中に使われる添加物の量というのがあって、その量にまた残留 規制が掛かるということでございますから、量的に申し上げますと2段階の差があると いうことを御理解願いたいと思います。  また、先ほどジクロロメタン等の話もございました。前回公定書をつくる際に、天然 添加物の残留溶媒規制を初めて盛り込んだところでございまして、その際にも御議論願 ったかと思いますが、量的な規制あるいは種類的な規制というものをできるだけ早くや ろうと。また、切替えというものも考えていかなければいけないのだろうと。ただ、そ の時点で、その溶媒を使わないと、なかなか抽出できないというものもあるということ もございましたので、先ほど申し上げましたような量的な問題も兼ね合わせて、現行の 規制というのは成り立っているものだというふうに考えているわけでございます。  前々回でございますか、ちょっと時間的なことは忘れましたけれども、公定書自体に つきましては、第8版に向けて議論をしていただいておりますので、その中でまた御審 議いただきたく機会もお願いしなければいかんと考えている次第でございます。 ○長尾部会長  ほかには、いかがでしょうか。 ○米谷委員  規格の方に入ってよろしいでしょうか。安全性が先でしたら、また後で言いますけれ ども。 ○長尾部会長  いえ、結構です。 ○米谷委員  10ページ、別紙のところに規格がございますが、定量法でガスクロマトグラフィーの 第1法操作条件(2)により定量するということで、それで99.7%以上ということだと思い ますけれども、そのときに当然ガスクロですと水は最初から対象外ということですねと いうことが1点。  それから、今回、鉛の規格は不採用ということなのですが、逆にバナジウムを入れら れなかった理由はどうしてかという、その2点です。 ○長尾部会長  国衛研の先生方。 ○四方田委員  すみません、定量の水というのは、どういうことでしょうか。 ○米谷委員  水分の規格というのが入っていますので。 ○四方田委員  水分規格の補正ということですか。 ○米谷委員  このGC法というのは面積百分率ですね。ですから、水の0.20%を除いてというか、 これ以下ですけれども、当然除いてあると思うのです。ですから、GCにかかったものの 中で99.7%以上がイソプロパノールという解釈でよろしいんですね、という確認ですけ れども。 ○四方田委員  面積百分率ですので、その場合にはガスクロ上にピークが出ている中の比ということ になります。 ○米谷委員  そうですね。ですから、出てこないものも考慮していないし、当然、水も考慮してい ないという。 ○四方田委員  そういうことです。 ○米谷委員  重合物はないということが書いてありますので、ですから、出てきたもののピークの 中で99.7%がイソプロパノールだったという、そういう分析法に基づいているというこ とですね。 ○四方田委員  はい。JECFAの規格も同様になっていると。 ○米谷委員  あと、鉛は方法が五酸化バナジウムに変わったので不採用だということですけれど も、逆に、バナジウムの方の規格が入っていない、バナジウムなんてこういうものは入 ってこないと最初から考えていいのでしょうか。何か理由付けか、説明が必要だと思う のですけれども。 ○四方田委員  鉛規格を入れなかったのは硫酸のそういう理由もあるのですけれども、基本的に香料 の中に重金属規格を入れるかどうかという、そこのところもありまして、基本的には必 要がないというところから出発しています。 ○米谷委員  ですから、そういうふうに書いておかれればと思います。どなたに書いておかれれば と言えばいいのか知りませんが、不必要なら不必要だということで。読んだときには、 方法が変わったから要らないのだというような書き方だったと思いますので、「酸化バ ナジウムにより酸化する方法に変わっている」と書いてありますので、では、そっちの バナジウムの規格はどうなのかという、単純な質問です。 ○四方田委員  バナジウムの残留規格というのは、イソプロパノールで残留側の方の採用はされてお りませんので問題はないのだと思います。 ○長尾部会長  この含量の99.7%は水分は含まない、それは特に何も付け加えなくてこのままでよろ しいですか。 ○四方田委員  はい。面積百分率で求めているというところはわかっていますので。 ○長尾部会長  よろしいですか。 ○事務局  すみません、事務局から確認でございますが、先ほどのバナジウムについてはJECFA、 FCC等でも採用されていないということでよろしいでしょうか。 ○米谷委員  何か書いておいていただければと思いますけれども。 ○事務局  もし、そういうことであれば、そういうことを理由に採用されていないので、本規格 案についても採用しないというような形でまとめさせていただければと思います。 ○長尾部会長  ほかに何かありますでしょうか。もしなければ、審議いただいたということで、イソ プロパノールの新規指定については可とすることといたします。  只今の指摘について幾つか修正をしていただきたいと思います。 ○事務局  事務局の方で整理させていただきまして、先生方に確認をさせていただければと思い ます。 ○長尾部会長  それから、イソプロパノールの新規指定については可とすることとしまして、分科会 へ報告する手続をとりたいと思います。今後のスケジュールを御説明お願いします。 ○事務局  今回の審議結果に基づきまして、薬事・食品衛生分科会での御審議をいただいた後、 パブリック・コメント、WTO通報等所定の事務手続を開始させていただきたいと思っ ております。 ○長尾部会長  それでは、適切に手続を進めていただきたいと思います。  次に、議題2に移らせていただきたいと思います。事務局、説明をお願いします。 ○事務局  御説明いたします。ページで言いますと17ページでございます。参考資料2でござい ます。  前回の添加物部会におきまして、米谷委員の方から御照会・御質問のあった事項につ いて、資料を提出させていただいて御説明をさせていただきたいと思います。こちらに つきましては、本年8月25日でございますけれども、基準審査課長通知ということで発 出いたしたものでございます。  この内容でございますが、次亜塩素酸ナトリウムという食品添加物、使用が認められ ているものでございますけれども、それに塩酸でありますとかクエン酸といったような 酸を混和して使用するという実態がございまして、都道府県等からその使用の可否につ いて照会が相次いでいるというような実態がございましたことから、考え方について通 知を発出したものでございます。  17ページの記のところでございますけれども、1で述べさせていただいている内容で ございますが、こちらについては次亜塩素酸ナトリウムという食品添加物と、食品添加 物として認められております塩酸でありますとかクエン酸、これをそれぞれ組み合わせ て販売すること、更に、殺菌等を行う現場において、事業者が混和して用いるというこ とについては差し支えないというようなものでございます。  その2パラ目でございますけれども、ただし、添加物を販売する事業者が、あらかじ めこの次亜塩素酸ナトリウムであるとか酸を混和して、水溶液として販売するというこ とについては、この販売する段階において何らかの化学反応が生じているというふうに 考えられるということで、これについてはその販売は認められないというまとめをして いるものでございます。  2でございますけれども、こちらについても同じことを申しておりまして、いわゆる 次亜塩素酸水のアルカリ領域のものでございますが、こちらについては現時点で次亜塩 素酸ナトリウムを水溶液で希釈したものと同等ということで取り扱われているわけでご ざいますが、こちらについても酸をあらかじめ混和して販売するということについては 認められないというような内容の解釈通知でございます。  以上でございます。 ○長尾部会長  何かこの件につきまして御意見等ありますでしょうか。 ○米谷委員  今の御説明はよくわかったのですが、私が質問させていただいたのは、この部会とい いますか、平成14年に先ほど御紹介がありました次亜塩素酸水を指定するときに、その ときはそういうものを製造する機器が同時に出てきましたので、委員の先生方からそう ではなくて、次亜塩素酸ナトリウムに酸を加えればできるんじゃないかという意見も出 ておりまして、そのことがずっと頭に残っておりました。今回こういうような次亜塩素 酸ナトリウムに酸を加えて次亜塩素酸をつくるようなものが認められるというような通 達が出されたので、前回質問をさせていただきました。  これは、次亜塩素酸ナトリウムに限ったことなのでしょうか。それとも食品添加物一 般に混ぜて使ってもいいよというようなところまで踏み込んでおられるのでしょうか。 塩素剤といいますか、こういうものに限っての話なのでしょうか。それとも食品添加物 全体に掛かってくるものなのでしょうか。 ○中垣基準審査課長  一般論で申し上げますと、食品添加物の使用の規制の中に、混ぜて使ってはならない というような規制はないわけでございます。逆に申し上げますと、食品を製造する上で 一般的に通常の形で使われていく、そこではいろいろな食品の原材料が混合されるでし ょうし、食品添加物も当然のことながら混合されていくということなのだろうと考えて おります。  また、その際に、新たな化学物質が、安全性の懸念が発生するような程度にまで出て くるようなことというのは、ちょっと考えにくいというようなことから、恐らく混合し て使ってはならないみたいな規制というのは現実問題としてやっておりませんし、通常 の食品製造過程では、添加物が原材料と混ぜられるというのは普通の状態としてあるの だろうと思います。ただ、この通知で言っておりますのは、あくまで固有名詞で言って おりますので、先生の御懸念のいろいろなことというのは、また個別にはあるのだろう と思いますし、たとえば、非常に反応しやすいというようなこともあるのだろうと思い ますが、あくまでこれは一般名詞で言っている通知ではなくて、固有名詞で言っている 通知だと解釈しております。 ○米谷委員  以前に私が実際に分析を担当したのですが、例えば、既存添加物のコチニール色素に みょうばんを加えて反応させてカルミンのようなものをつくる過程で、コチニール色素 とみょうばんに別々に漬ければ反応できますけれども、そんな面倒なことをせずに最初 から混ぜて、そこに食品をポンと漬ければ、今回と同じような例になるんですが、そう いうところまで踏み込んでおられるのかなということを考えたものですから。 ○中垣基準審査課長  まさしく私が固有名詞で書いていますと言ったのは、先生のおっしゃられるようなこ とが今回の通知を基に出てくる。言葉は悪いですが、悪用してくる人たちが出てくると いうのは、我々の考えるところでございませんし、想定しているところではございませ んから、そういう意味でこれは固有名詞の通知になっておるということを申し上げたと ころでございます。 ○米谷委員  あと1つだけ。次亜塩素酸ナトリウムにクエン酸ぐらいだったらいいのですが、塩酸 ではうまく加えないと、いきなり低pHにすると塩素が出てくるので、そういう注意点 なども本当は要るのでしょうが、実際それは使う方にお任せということでよろしいんで すね。そこまで親切に、強酸を混ぜる時はというような注意なんかしなくても。 ○中垣審査基準課長  これは混ぜて使えと奨励しているわけではございません。逆に申し上げますと、一部 の都道府県では容認していたけれども、一部の都道府県ではまずいのではないかと言っ ていた。要するに国内に混乱があった。先ほど申し上げましたように、使用基準の中で は混ぜて使っちゃだめというような規制はないわけですし、一般の製造工程では、いろ いろなものが混ぜて使われるというのは当たり前なのだろうと思います。このときに、 使用基準で言っていない「混ぜて使うな」というところまで言わなければいけないのか どうかというのを判断したものでございますので、その範囲内の通知だとお考えいただ ければと思います。 ○長尾部会長  ほかに御意見ありますでしょうか。よろしいですか。 では、本件に関しましては意見は出尽くしたと思います。  ほかに報告事項はありますでしょうか。 ○事務局  ございません。 ○長尾部会長  それでは、次回の予定をお願いいたします。 ○事務局  次回の添加物部会でございますけれども、定例としております第4木曜日でございま す、11月25日木曜日の午前10時より予定しているところでございます。議題等につきま しては、改めて御案内させていただきます。 ○長尾部会長  それでは、本日の審議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。 ○事務局  どうもありがとうございました。                  ┌――――――――――――――――――――┐                  |照会先                 |                  |厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課|                  |         担当 蛭田 中村 坂西|                  |    Tel.03-5253-1111 内線2453,4281|                  └――――――――――――――――――――┘