04/10/22 第10回社会保障審議会医療保険部会議事録            社会保障審議会医療保険部会(第10回)                    議事録           日時:平成16年10月22日(金)10:00〜12:08           場所:霞ヶ関東京會舘シルバースタールーム 星野部会長  おはようございます。定刻になりました。これより第10回医療保険部会を開催いたし ます。委員の皆様には、本日はご多忙の折お集まりいただき、御礼を申し上げます。ま ず本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は井伊委員、岩村委員、大内 委員、齋藤委員、清家委員、山本委員より、欠席の連絡をいただいております。また、 磯部委員は若干遅れているようでございます。続きまして、欠席委員の代わりに出席さ れる方についてお諮りします。齋藤委員、日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革 部会長の代わりの遠藤参考人、日本経済団体連合会国民生活本部副部長のご出席につ き、ご承認いただければと思いますが、いかがでしょうか。どうもありがとうございま す。ではよろしくお願いいたします。  それでは本題に移りたいと存じます。まず2巡目の議論を始めるにあたって、今後の 議論の進め方について議題としたいと思います。それでは事務局から説明を願います。 総務課長、どうぞ。 間杉課長  おはようございます。総務課長でございます。よろしくお願いいたします。資料がた くさんございますが、まず私のほうから資料1と資料2の関係につきまして、ご説明を 申し上げます。  資料1が医療保険部会の今後の議論の進め方をどうするかというふうなことで、ご提 案申し上げるものでございます。本日でございますけれども、2巡目再開にあたりまし て、これまでの議論の中で各委員の先生方共通をしまして、「どういうふうな制度体系 をつくるにしても、やはり適正化の問題というのは真剣に考えていかなくてはいけない のではないか」というふうなご議論が多かったと思います。そういったことで医療費の 適正化の問題、それから併せまして、この問題は保険者の再編の問題と非常に密接に関 係をしてくる問題でございまして、保険者の再編。その中でもやはり今回の制度改革の 非常に大きなテーマでございます国保の再編というふうなことで、ご議論をお願いをし たらどうかというふうなことでございます。  それから11月から12月に入りまして、特に(3)でございますけれども、現在介護保険 のほうで介護保険の利用者負担のあり方につきまして、色々ご議論が行われておりま す。私ども医療保険サイドとしても、整理をしなくてはいけないというふうなことは出 てまいるかと思いますので、その際には必要に応じて介護保険との関連の問題も、併せ て取り上げていただいてはどうかということでございます。  それから17年と書いてございますが、実は保険者の再編の中でも政管健保の問題は、 いまやと申しましょうか、社会保険庁改革の問題と非常に密接に関係をしてきてござい ます。来年の夏までに社会保険庁改革のあり方を示せというふうな宿題もいただいてご ざいますので、比較的来年の早い段階で、保険者の政管問題も併せて健保組合の問題に ついて、ご議論をいただいてはどうかということでございます。それから4月〜6月と いうことで、高齢者医療制度につきまして集中的なご議論をいただいてはどうか。来年 の夏に医療保険制度改革の全体像についてご議論をいただくというふうなことで、ご提 案申し上げるものでございます。  それからこの中で併せまして、本日ご紹介を申し上げたいと思いますけれども、保険 者の再編に関連をいたしまして、いま三位一体というふうなことで、医療保険というふ うな舞台より大きな舞台で、国と地方のあり方ということが議論されてございます。し たがいましてまず冒頭、私のほうから資料の2で現在の三位一体の動向につきまして、 併せてご紹介申し上げたいと思います。  資料2−(1)でございます。冒頭に趣旨のところに最初に書いてございますけれども、 平成14年6月の骨太の方針で、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあ り方、この3つを一体で検討するというふうなことでございます。これまでの経緯でご ざいますけれども、1ページおめくりをいただきまして、「平成16年度の骨太の方針 2004」の中で平成18年までの三位一体の改革の全体像を、平成16年の秋までに明らかに し年内に決定をする。それから全体像には平成17年度及び18年度に行う3兆円程度の国 庫補助負担金改革の工程表というふうなことで、国庫補助負担金の3兆円程度の改革を 行うというふうなことでございます。  続きまして8月になりまして、8月24日に総理の求めに応じまして、地方6団体が改 革案を提出してございます。廃止の対象補助金が約3.2兆円、うち厚生労働省分が9,444 億円でございます。それから税源移譲額が3.0兆円。こういうふうなご提案を頂戴して ございます。  下のほうにまいりまして、9月から国と地方との協議の場というふうなものが、官房 長官を中心に開催されましたが、10月12日と19日と両日にわたりまして、社会保障分野 で私どものほうからも大臣が出席させていただきまして、テーマ別会合が開かれてござ います。  今後のスケジュールでございますけれども、10月28日に迫っておりますけれども、各 省案の提出期限、11月中旬に全体像のとりまとめというふうなことで、私どもは指示を いただいているという、こんな状況でございます。  3ページ目以降は、私どもと地方団体との意見交換の場で、私どものほうからご提出 をさせていただいた資料でございます。税源移譲の対象額といたしまして約9,440億円 というふうなこと。この中で施設整備関係、事業費関係、運営費関係というふうなこと で、各般の分野にわたって補助金の廃止ということは提案されているという、こんな状 況でございます。後ほど国庫の関係でご説明申し上げますので、とりあえず私のほうか らのご説明は以上にさせていただきます。なお、資料2−(2)は、これは8月の段階で 地方公共団体のほうからご提出されましたご提案ということでございます。以上でござ います。 星野部会長  ありがとうございました。それではご意見、ご質問等をお願いいたします。どうぞ、 対馬委員。 対馬委員  今日が第2巡目の初めての議論ということで、私ども、第2巡目の全体の進め方なり 筋道が大体見えるのかなということで、大分意気込んできたのですけれども、ちょっと 肩すかしを食ったような感じがしないことはないのですけれども、特に資料の1のとこ ろですけれども、第1巡目のときに大分議論をいたしまして、一応論点とりまとめとい うことで、かなり不十分、不完全な部分もあるのですけれども、一応そこまで行った。 さらに今回第2巡目ということですから、相当掘り下げたといいますか、項目別に議論 していくと。深堀といいますか、そういったことが必要であろうと思うのですけれど も、どうもこれを見ますと、月が書いてありましてそれから項目が書いてある。これは 議論の進め方というにはちょっといかがなものかなという感じがするわけです。  特に私ども最大の関心であります高齢者医療制度が、一番最後の4月〜6月というこ とでありますけれども、順番はともかくとしまして相当問題が大きいわけですから、時 間もかかるだろう。そうすると詰めた議論が必要だろうということからしますと、もう 少し早めに議論が必要ではないのか。ないしはここに書いてあります項目ごとに少しラ ップをするとか、そういったことも必要ではないか。  いずれにしても、従来の第1巡目と同じような感じで議論していいのか。少し方法論 の工夫も必要ではないのかなと、こんな感じもします。例えばシミュレーションとか、 データについてもできるだけ具体的な数値的なデータをお出しいただきたいし、場合に よっては、例えば公聴会というとちょっと行き過ぎになるのかもしれませんけれども、 色々な検討の場、進め方といったことを含めて、考えたほうがいいのではないかという 感じがいたします。 間杉課長  せっかく夏頃に、いまご提案のお話がございましたように、不十分なものではござい ますけれども、論点整理案という形で一旦とりまとめさせていただいたものでございま すから、もちろん各項目をこれからご議論いただく際には、そこを下敷きにしてといい ましょうか、私どもも掘り下げた議論がしていただけるような、いまご指摘のありまし たデータも含めて、万全の準備をさせていただきたいというふうに思っております。  ただ、色々な進め方があると思ったのでございますけれども、全体像をバチンと出し てやるという方法もあるのかもしれませんけれども、そうではなくて、少し関連するテ ーマごとに分けるような形で、ご議論していただいてはどうかなというふうなことで考 えたものでございます。もちろんこれは何月、何月と書いてございますが、厳密に3月 だ4月だというそういう性格のものではなくて、それぞれ臨機応変に私どもも考えてい きたいと思いますし、いまご指摘がございましたように、高齢者医療制度というのはか なり集中的なご審議をお願いする必要があるだろうと思っておりますし、その方法論な ども少し考えてみたいと思っております。 久保田委員  議事の進め方につきましては、私どもはちょっと意見があります。率直な感想は極め て粗っぽいなというので、肩すかしという感じは同様でございました。やはり1巡目の 整理を一応した上で、2巡目をどういう形でメリハリを付けて深堀をするのかというこ とについては、大変大事な問題だと思いますので、やはりそういうことについて、少し 全体を俯瞰したストーリー性なり、そういうものがまったく資料だけ見ても、何もそれ が伝わってこないというのが率直なところです。あまりにも粗っぽいのかな。技術論的 にも次回、次々回というぐらいの日程は少し事前に提示をしながら、先々というかたち でどうするのかというようなことは、審議会でわりとそういうやり方をやっているとこ ろは多い訳でして、細かいところでいえば、そういうことについてもちょっとしっかり したそういうことについての提示をし、それを議論した上で議論に入っていくというこ とが、とりわけ2巡目の冒頭では必要ではないかと思います。  またこれで見ますと、来年の8月以降はどうするのかなというような感じで疑問点も 湧いてきますし、それからもう1つ。大きな意味で言いますと、これは1巡目の議論の 中でも、議論のやり方につきまして、私どものほうから要望なり問題提起をさせていた だいたことなのですが、財政シミュレーション的な全体を俯瞰する部品といいますか、 組み合わせてといいますか、そういうことについてはできるだけ早く並行しながらも、 全体のそういう設計といいますか、そのイメージが湧くようなものについては早め早め に出していただきたい。またそういうことを並行しながらこうやっていく必要があるの じゃないかというふうに思っています。  背景は前回も申し上げましたけれども、やはり年金問題から始まりましてここ2〜3 年ぐらいは、21世紀の日本の社会保障のあり方をどう設計するのかという正念場に来て いるのではないかというふうに思います。そういう意味ではそういう視点で社会保険料 ・税の問題を含めてどうするかという議論は、同時並行的にこれまたやっていかなけれ ばならないと思っていますので、それを横串を刺しながらトータルでの設計図に行くた めには、一定のそういう手法、ツールも必要ですので、確かに財政論だけが先行すると いうことについては、必ずしもいいわけではございませんけれども、一定の前提条件付 きのそういうことというのは、作業的にも同時並行で何かやれないものかという問題意 識は持っておりますので、これは要望として受け止めていただけたらと思います。 星野部会長  他にございませんか。どうぞ。遠藤参考人。 遠藤参考人  先ほどの総務課長のご説明では、医療費適正化が後半の重要なテーマだということで あった。スケジュールの中で関連するテーマを順次取り上げるというご説明ですが、来 年以降に入りましても医療費の適正化については横串的に通観した1つの大きなテーマ として、第2巡目の議論の中で、常に横に見ながら議論を進めさせていただけきたい。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、岡谷委員。 岡谷委員  進め方についてで、先ほどの説明で介護保険についても適宜関連があればということ で、この場で議論をするということだったのですが、特に高齢者の医療制度を考えてい くときに、やはり介護保険制度と非常に関係がありますので、見ていると介護保険は介 護保険、医療保険は医療保険と、非常に縦割りの中で、なかなか横のつながりが見えな いような状況でいつも議論が行われておりますので、その点は少し工夫をしていただき たいなと思っております。 星野部会長  ありがとうございました。他にございませんか。それでは他にご意見がないようでご ざいましたら、今後、先ほどの対馬委員、あるいは久保田委員、岡谷委員等のご要望を 踏まえながら、今後このようなスケジュールで議論を進めてまいりたいと思いますが、 よろしゅうございますか。ありがとうございます。次に医療費の適正化対策について議 題としたいと思います。それでは事務局から説明を願います。 間杉課長  資料3と資料4でございます。医療費の適正化対策というふうなことで、これまでも この審議会で私どももご紹介申し上げ、また様々なご意見をいただいてまいりました。 先ほど岡谷委員からも介護保険との関連というふうなご意見もありましたけれども、医 療提供体制あるいは介護保険、そのへんも少し見据えた上で、どういうふうな対応をし ていくべきかというふうなことについての、私どもなりの案をつくらせていただいたも のでございます。ご説明をさせていただきますと、1に基本的な考え方とございますけ れども、これまでご議論いただきましたように、1の特に(3)にございますけれど も、医療費の水準は地域における病気の状況及び患者の受診動向その他、医療提供体制 あるいは介護サービス等々と、様々な指標と関係をしてくるものでございます。また都 道府県ごとに様々な地域差がございます。こうした状況を踏まえまして、いかに都道府 県単位で様々な関係者が連携して適正化に取り組んでいくかというふうなことがテーマ でございます。また、(4)にございますように、そういった地域の様々な特性に応じ て、若年期からの健康づくり、あるいは高齢者の生活機能を重視した医療・介護サービ スの提供に取り組む。国民の生活の質の向上を図ることを通じて、医療費の適正化の実 現を目指すというふうな考え方でございます。  2で1つのこれはツールでございますけれども、閣議決定にも書かせていただきまし たけれども、都道府県が様々な関係者を含めた協議の場を設け、まず地域の医療特性を 把握・分析した上で、医療費の適正化に向けて取り組むための計画をつくる。(2)で ございますが、そういった医療特性を把握・分析し、当該地域における課題を明らかに した上で、具体的な取組のあり方を検討する。  2ページでございますが、(3)で特にその中で(1)、(2)、(3)と書いてございます けれども、生活習慣病予防を中心とした保健事業の推進。それから急性期医療、それか ら急性期からいかに地域へとつなげてくいかといった点。そういった視点をそれぞれ取 組の目標を設定した上で、策定をしていただいてはどうかということでございます。同 時に(4)でございますが、健康増進計画、医療計画、介護保険事業支援計画。こうい ったそれぞれのパートパートごとの計画との整合性の確保。(5)でございますが、国 も県とともにそういった取組に対して、様々な支援というと口幅っとうございますけれ ども、様々な計画の実効性ある推進のための施策を推進するということでございます。  3で具体的対策でございますが、(1)でまず生活習慣病予防を中心とした保健事業 の推進でございます。生活習慣病の発生抑制、それから加入者の健康度やQOLを向上 させることにより、中長期的な観点から医療費の適正化を図るというふうなことで、具 体策といたしまして、1つは科学的根拠に基づいた効果的な保健事業の手法の開発・普 及というふうなことで、具体的にはということで、地域の取組、あるいは職域の取組と いうことで、これまでもご紹介をさせていただいておりますけれども、こうした事例の 収集・分析を行うことを通じて、効果的な保健事業の手法を明らかにしていくというこ とでございます。  3ページ目でございますけれども、保険者と地域保健が一体的に保健事業に取り組む 体制をつくっていくというふうなことでございます。それから特にエでございますけれ ども、そういう取組を通じて、これまで必ずしも十分に行われてこなかった健診後の事 後指導とかフォローアップについて、体制を強化するというふうなこと。それから保険 者同士の連携というふうなことで、特にサラリーマンの現役時代、あるいは辞めてから というふうなことで、職域と地域とまたがってくるわけでございますけれども、そうい ったことでの一貫した健康管理、あるいはいまともすれば抜けがちになっている被扶養 者に対する保健事業の取組などを推進するというふうなことでございます。  (2)でございますが、高齢期においても疾病の特性や重症度に応じた質の高い急性 期医療というふうなものが求められるのではないかということでございます。具体策の アでございますけれども、急性期と申しましても様々なものがございます。したがいま して、それぞれの地域特性を踏まえた専門性に応じた機能の明確化を図るということ。 それから急性期の入院患者に対しては、必要な医療資源を集中的に投下をする。一方で 在院日数の短縮を図るというふうなことでございます。ウで、DPCの試行が始まって ございますけれども、その導入の影響を検証し、精緻化を図りながら包括評価の実施に 向けて検討を進めるということでございます。それからエでございますが、とかく急性 期のあと、いかに地域や家庭に帰っていくかということが大事なポイントでございます ので、そういった急性期あるいは回復期から慢性期へと至る患者の流れを円滑なものに するために、地域における医療機関の連携を推進するというふうなこと。具体的にはと 書いてございますけれども、あとでまたご紹介申し上げますが、急性期医療を担う病院 が、その病院を退院したあと、どうやって地域へ戻すか。そこまでを視野に置いた診療 計画を作成するというふうなことによって、地域の医療機関との連携強化を図るという ふうなことでございます。  それから4ページ目。(3)地域における高齢者の生活機能の重視でございます。こ のへんになりますと介護サービスとの連携問題が出てまいるわけでございますけれど も、基本的な考え方といたしまして、急性期入院から在宅の多様な居住の場での療養に 至る患者の流れというものをつくり出していくというふうなことでございます。在宅に おける介護サービスと連携した医療サービスの充実を図るというふうなこと。具体策と いたしまして、まず受け皿確保というふうなことで、多様な居住の場として、例えばケ アハウスとかグループホーム、ユニットケア型特養等々の質的あるいは量的な充実を図 るというふうなこと。それから入院から在宅に円滑に移るということは、大変重要なこ とだと思います。入院医療の提供者と在宅医療あるいは介護のサービス提供者の間の連 携を強化する。それから既に要介護認定を受けている高齢者が心身の状況に応じた必要 な医療を受けるために、地域において医療・介護の間で一層連携がとられるような、そ ういう仕組みを検討するというふうなことで、とりわけと書いてございますが、在宅で サービスを受ける後期高齢者に対して、地域で主治医やケアマネジャーが一層協働でき るようにするというふうなことでございます。  それからエはちょっと視点が異なりますが、療養病床とか訪問看護とか訪問リハビリ とか、いま医療保険と介護保険と相互乗り入れになっているようなサービスがございま す。その機能分担のあり方を明確化をするというふうなこと。それからオでございます けれども、介護保険施設のホテルコストとか食費に係る費用負担のあり方に関する議論 というのが出てまいりますが、それを踏まえ医療保険制度としての対応のあり方を検討 するというふうなことでございます。  簡単に資料4で、関連するデータをご覧いただきたいと思います。まず医療費の関係 で、4ページまでは全国的な状況でございますので省略をさせていただきまして、5ペ ージ目でございますが、これは各県のいわゆる老人の1人あたり医療費の地域格差とい うものでございます。これまでお示ししたものでは北海道が実は一番高かったのでござ いますが、直近のデータが出まして、平成14年度で右の方の福岡県が1人あたりの老人 医療費が高いということでございます。紫が入院でございますので、福岡は入院で、そ れから北海道が2位でこれも入院が高いというふうなことでございます。中ほどをご覧 いただきますと、大阪が続いておりまして、これは赤の外来が高い。こういう状況でご ざいます。真ん中ほど長野がございまして、長野は入院、外来ともに低い。それから一 番右に沖縄がございますけれども、沖縄は入院は高いですけれども、外来が低いという ようなことで、結果的にはトントンという、こんな状況になっているというふうなこと でございます。  6ページ以降は都道府県ごとの医療特性というふうなものをご覧いただきたいと思い ます。医療費に関連してくる様々な因子があるわけでございますけれども、まず7ペー ジでございます。これは生活習慣病の人口10万対の受療率の地域ごとの違いで、いわば どういうふうな病気になっているかというふうな、各県ごとの病気の構造を示したもの でございます。ブルーの点線が脳血管障害、下の緑が心臓病、紫の細い線ががんであり ます。一番下の点々が糖尿病というふうなことで、ご覧いただきますように、それぞれ 高さは違いますけれども、大体2.3倍とか2.4倍とか2.7倍で、2倍〜3倍ぐらい、それ ぞれ各県ごとにこういった病気の状況について違いがあるというふうなことでございま す。したがいまして、まず自分たちの県がどういう病気で、どういうふうな医療費の使 われ方をしているのかというふうなところを押えていくということが、非常に重要なこ とではないかと思うわけでございます。  8ページが人口10万対病床。これも病床数と入院医療費が非常に強い相関があるとい うふうなことをこれまでお話しをさせていただいてまいりました。ご覧いただきますと 高知が一番高うございます。それから左のほうの神奈川が一番低い。こんな状況でござ います。  9ページをおめくりいただきまして、平均在院日数でございますが、これも同様に高 知が一番高いというふうなことでございます。それから医療費が一番安い長野は平均在 院日数が一番短い。こんな状況であります。  10ページは外来であります。これは老人1人あたりの年間の通院日数でございます。 一番高いのが大阪で、先ほど冒頭ご覧いただきました大阪の医療費というのは、外来で 高うございますが、年間の通院日数が高い。それから沖縄の外来は低かったわけでござ いますけれども、年間の通院日数は沖縄は一番低い。こんなところでございます。  11ページが訪問看護の件数で、在宅サービス系ということで1つ代表例をとってみま した。これも在宅系の訪問介護が一番普及しているのが長野、一番低いのが香川。こん な状況であります。  12ページ。これも健診を受けたか受けないかというふうなことと、医療費というのが 比較的強めの相関があったわけでございますけれども、一番高いのが山形、一番低いの が高知でございます。  13ページは関連する介護の関連サービスの普及状況と申しましょうか。ご覧いたたき ますように、施設系は全国的にもそれぞれ高いところ、低いところ、あるわけでござい ますけれども、下のオレンジがまず在宅系でございまして、特に在宅サービスのばらつ きというものが見られるところでございます。  14ページは省略をさせていただきます。15ページからが医療費適正化の具体的施策と いうふうなことで、保健事業の推進として17ページをご覧いただきたいと思いますが、 健康づくりに関するいまの都道府県の主たる役割ということでございます。まず健康増 進計画ということで、下に記載事項が書いてございますけれども、それぞれこういった 分野ごとに数値目標を設定して、それぞれの県内での取組を進めるといったことになっ てございます。そういったことを市町村の老健ヘルス事業などが実際の実施部隊として 行う。そんな体制になってございます。  それから18ページからは、保健事業をやったことによって医療費が適正化をされたと いう具体例でございます。これはいくつかこれまで紹介させていただいたものも含まれ てございますが、そのあと少しデータの追加などができたものがございますので、また 改めてご覧いただきたいと思います。まず一番目は国保の取組でございます。住民健診 として例えば出張人間ドックなどを行った結果、真ん中の丸でございますけれども、健 診の受診率が50%を超えた時期から、その国保医療費が県全体に比べて相対的に減少傾 向を辿っているというふうな事例でございます。  19ページからはいま国保のほうで、ヘルスアップモデル事業というふうなことで実践 的な取組を続けてございますが、Aは福島県の二本松市の例でございます。Aの下の (2)にございますけれども、介入後1年間で様々な指標で優位な改善が見られたという ふうなこと。それから(3)にございますように、レセプト件数、点数、日数が減ってき ている。こんな結果が出ております。  20ページも同じようにこれは神奈川県藤沢市の例でございますけれども、同様に介入 後1年ぐらい経って、同じような受診率の向上、あるいは各種の数値の改善、医療費の 減少というふうなものは現れているというふうなことでございます。  21ページ・22ページは職域の取組ということで、これは健保組合2つの取組でござい ます。それぞれ医療費の減少傾向が出ているというふうなデータでございます。  23ページから急性期医療の質の向上と効率化ということで、まず24ページでございま すが、医療提供体制の確保に関する現行の都道府県の主たる役割というふうなことでご ざいます。医療計画として下の赤で記載事項を整理してございますけれども、単に医療 圏を定め基準病床数を算定するということだけではなくて、この医療計画の中で医療関 係の施設、あるいは医療関係施設の機能分担あるいは連携といったものについても考え ていくという、こんな枠組みになっているわけでございます。  その連携関係でちょっと飛びまして恐縮でございますが、30ページでございます。こ れは以前、熊本市で地域の医療機関連携というふうなことで、連携クリティカルパスの 事例をご紹介申し上げました。その後の情報でございますが、31ページをお開きをいた だきまして、医療連携クリティカルパスということで、熊本市の病院で自分の病院内で の各科連携というふうなことではなくて、退院後のそれこそ自宅に至るまでの計画を、 連携パスということで入院時に最初につくってしまうという、こんな取組が行われてい るわけでございます。  (2)に様々ございますように、人工骨頭をはじめとして、こういった様々な病気に ついて連携パスが使われているというふうなことでございます。右上の(3)でござい ますけれども、これまでこんな使用数があるというふうなこと。それから(4)の導入 効果でございますけれども、この通常パスというのはこのD病院の中だけのパスでござ います。それのみを使った例。それからD病院を出てから先の転院あるいは自宅、そう いうことまで見据えたパスを使った例というふうなことで、全体としての在院日数が減 っているというふうなことで、地域連携をやったことによって、早くご自宅のほうへ退 院ができた。こんな事例でございます。  それから32ページからが、介護サービスと連携した在宅医療の充実というふうなこと でございまして、33ページはいまの介護サービスに関する現行の都道府県の主たる役割 というふうなことでございます。下の赤いところにございますが、都道府県各県で介護 保険事業支援計画というふうなものをつくる。これは3年ごとに見直すというふうなこ とになっておりまして、各年度ごとに、介護サービスを必要とされる方はどのぐらい出 てくるだろうか。それに対応してサービスの量というものはどれだけ見込めばいいか。 こういうふうな介護面でのいわば供給計画でございます。  それから34ページでございますが、いま第3期の介護保険事業計画というふうなこと で、平成18年度から平成20年度の計画の策定作業が行われているというところでござい ます。その基本的な考え方でございますけれども、介護保険3施設及び介護専用の居住 系サービスの適正な整備とございますけれども、下の図にもございますけれども、全体 的にはこれからも増やしていかなければならない。ただ、その中で介護保険3施設を中 心に、施設系のサービスというふうなものは全体的に41%から37%というふうなこと で、割合は徐々に減らしていこうというふうなこと。それからその一方で、2つ目の○ でございますが、多様な住まいの普及の推進というふうなことで、グループホームでご ざいますとか、ケアハウスでございますとか、そういった居住系のサービスの充実を図 っていこうというふうなことでございます。下から2つ目の○でございますが、介護保 険の3施設につきましても、重度者への重点化ということで、介護施設は比較的重い方 々を中心に対応していこうというふうなこと。それから介護保険3施設の個室・ユニッ トケア化というふうなことで、できるだけ介護の施設のほうも自宅の生活環境に近いか たちをとっていく。そんなことで施設系の重点化と在宅系の充実。こんな施策がこれか ら展開されようとしている。そんな状況でございます。  最後に35ページでございますが、介護の担当部局でも医療の提供体制との連携という ことは、かなり強く意識をしてございまして、これは私どもの老健局のほうから課長会 議での配付資料の中にあるわけでございますけれども、医療計画の見直しと介護との連 携というふうなことで、現在、医療計画に関する見直しの検討が行われているというふ うなことでございますけれども、病気ごとに疾病ごとに国が定める指標に従い、都道府 県において、地域の実情を踏まえた具体的な数値目標を設定した医療計画を策定する。 地域における入院治療から在宅医療に至るまでのそういった連関したサービス体制を整 備するというふうなこと。それから一番下でございますけれども、退院後の自宅療養や 生活基盤を支えるという観点を十分踏まえた計画をつくる。そんなことで、介護と医療 提供体制との相互連携ということは、かなり強く政策的にも意識をされてきている。そ んな状況でございます。  このあと恐縮でございますが、若干の時間をいただきまして、関連をいたしました健 康増進栄養部会のこれは健康づくり、それから医療提供体制側はいまどういうふうな検 討が行われているかというふうなことをご紹介申し上げたいと思います。 石井課長  続きまして資料5のご説明をさせていただきます。健康局総務課長の石井でございま す。資料5の表紙にございますが、厚生科学審議会に地域保健健康増進栄養部会が置か れておりまして、そのご審議の状況のポイントを申し上げます。まず健康日本21の中間 評価の関係でございまして、2ページからがその該当部分でございます。この資料の上 では健康日本21そのものは割愛いたしておりますが、栄養、食生活、運動など、9つの 分野、70項目にわたり、平成22年度の目標値を定めたものでございます。これが平成12 年に策定されておりまして、5年目を迎えるものですから、来年度を目途に中間評価を 行う予定でございます。  3ページ以降をざっとご覧いただきますと、3ページの一番上にございますが、目標 値に対する暫定直近実績値ということでございます。数字が並んでおりますが、今回の 資料では右側から2つ目の欄に網掛けのある項目がご覧いただけると思います。この項 目が、実は平成12年にそれぞれの項目の目標値を策定しました状況から、むしろ悪化し ている、目標値から見れば遠ざかっているということが、現行のデータから伺える項目 でございます。  1つ、2つご紹介しますと、1.1「適正体重を維持している人の増加」の関係ですが、 上から3つ目をご覧いただきますと、20〜60歳代の男性の肥満という項目がございま す。左から2つ目の大きい欄を見ていただきますと、策定時は24.3%でございました。 一方、右から3つ目の欄をご覧いただきますと、目標値は15%以下でございます。これ が、暫定直近実績値では29.4%ということで、先ほど申し上げましたように、残念なが ら目標値に照らしますと遠ざかっている状況でございます。またそのすぐ下に、40〜60 歳代の女性の肥満という項目もございますが、同じようにあまりいい傾向を示していな いということでございます。  次の4ページをご覧いただきますと、4ページの下半分が身体活動・運動というカテ ゴリーでございます。2.1から2.3というのが20歳以上の方の平均ですが、2.3「運動習 慣者の増加」というところをご覧いただきますと、28.6%、24.6%が平成12年に策定し た当時に現状値ということで捉えた数字でございます。これらが暫定直近実績値では 31.6%、28.3%ということで、この項目自体は改善傾向を示してございます。ただ、そ のすぐ上の2.2の「日常生活における歩数の増加」というところをご覧いただきますと、 網掛けがございまして、男性・女性とも残念ながら目標値からは遠ざかっているという 状況でございます。  以下、時間の制約がございますので割愛をいたしますが、例えば6ページの一番上の 「多量に飲酒する人の減少」の男性のほうですけれども、目標値から遠ざかっていると いう状況です。  これらのデータは暫定直近実績値でございまして、2ページに戻っていただきます と、この健康日本21、9分野70項目の中間評価を今後進めてまいります。直近のデー タ、関連するデータを収集していきまして、中間評価を進め、また、その中間評価結果 に基づきまして、今後の健康日本21の推進方策の方向性というものを、この地域保健健 康増進栄養部会で議論を進めていただたくことしております。  こういう大きな点を含めました地域保健健康増進栄養部会の今後の検討事項が1ペー ジでございます。ご覧いただきますように、1次予防、2次予防、これらを支える推進 体制という大きな3本の柱を考えております。まず1次予防につきましては、いましが た申し上げました中間評価、またそれを踏まえた今後の施策の方向性をご議論いただく ことにしております。また2次予防でありますが、介護保険制度の改革、また老人保健 事業の見直しの議論、さらには当医療保険部会でご審議を進めておられます医療保険制 度改革に関する議論、そういったご議論との連携を図りつつ、健診や事後指導のあり方 について、ご議論を進めていただくことにしております。また、推進体制でございます けれども、先ほども三位一体改革の議論のご紹介がございました。こうした三位一体改 革の議論も見据えながら、生活習慣病対策や地域保健対策を進める上での国、都道府 県、市町村等の役割と責務について、ご議論いただくことにいたしております。  18日の部会にこうした検討事項をお示ししまして、今後の進め方についてご了承を得 てたわけでございますが、その際に出ましたご意見をご紹介申し上げます。まず1つ は、2次予防の関係で強いご指摘がございました。健診はやりっぱなしでは効果がない ので、健診後の事後指導を重視すべきである。そのことで個人の意識、個人の行動を具 体的に変容していくことが重要であるというご意見をいただいております。次に、推進 体制に関するご意見がございました。市町村に健康増進計画をお作りいただくようお願 いしておりますが、現状では3分の1強の市町村での策定にとどまっているという段階 でございます。そういうことから、健康づくり対策に関する市町村での取組にばらつき があり、これはそれぞれの市町村の自主性に任せていることに問題があるのではないか というご指摘を受けたところでございます。  さらには、今後、中長期的な視点からの医療費適正化といった観点も含めて保健事業 を強化していくためには、医療保険者と市町村がしっかり連携をとって事業を進めてい くことが必要であり、そのためには、都道府県の役割が重要であるというご指摘をいた だいております。具体的には、都道府県に健康増進計画をお作りいただいております が、その中に保健事業の方針や管内の各事業者の事業内容・事業量などを、国の指針等 を踏まえてしっかりと位置づけていただくこと、国はこうした都道府県の取組について 財政的な支援を行っていくこと、これらの必要性についてご指摘をいただいたところで ございます。  今後、当面は月に1回程度のペースでご議論を進めていただくこととしております。 原課長  医政局総務課長でございます。私のほうから医療保険制度と密接な関係を有します、 医療提供体制の見直しについての検討状況についてご報告を申し上げます。資料をお付 けしておりませんけれども、先月から社会保障審議会医療部会におきまして、幅広い観 点から次期改革に向けて検討が開始されております。昨年8月にとりまとめました医療 提供体制のビジョンに基づきまして、ご議論をいただきたいと思っておりますけれど も、私ども事務局としては、できますれば来年の年末までに医療部会で意見書をとりま とめていただきたい。そして合意が得られるようであれば、平成18年に予定されている 医療保険制度改革と一体となって、必要な法律改正、医療提供体制の改革に取り組みた いというふうに考えているところでございます。  内容については、論点を現在議論しているところでございまして、これからの議論で ございますが、やはり医療提供体制の核として、医療法あるいは医療法に基づく医療計 画制度が中心的な役割を持ってくるわけでございまして、私どもとしての次回改革の中 心的な課題であるというふうに認識をしております。  お手元に資料6を配付させていただいておりますけれども、この資料は現在行われて おります三位一体改革の議論も踏まえまして、医療計画制度と補助金制度の見直しとい うことについて、私ども医政局としての考え方をとりまとめ、先日、医療部会に提出 し、ご議論をいただいたものでございます。簡単にご説明を申し上げますと、1ページ 目でございますが、目指すべき方向性という中で、現在、三位一体改革の視点と、そし て医療行政の事務というものは、ほとんどが都道府県の自治事務になっておりますの で、都道府県の役割というものが重要ではないかと思います。そうした視点に立ちまし て、医療計画制度の見直しと地域医療の提供体制整備のための補助金改革というもの を、一体のものとして関連させながら、改革をしたいということでございます。  2ページ目でございますが、医療計画制度のほうでございますけれども、これは実は 昨年の8月から、すでに検討会を開催して議論をしてきております。先般、ワーキング チームによる報告書がまとまったところでございまして、実は私どもの案もそのワーキ ングチームの報告書に沿って見直したつもりでございます。内容としては、現在、医療 計画が病床規制という柱と、もう1つの法定記載事項ということで、救急に関する事項 でございますとか、地域における医療機関の機能と分担・連携に関する事項等々といっ たものについて、記載をしてもらうようにお願いをしておりますけれども、県によって は事情が大分違いますが、必ずしも具体的な整備目標というものまで盛り込まれていな いというような傾向がございます。したがいまして見直しの方向としては、左側にあり ますように、疾患や医療機能ごとに定められた指標に基づきまして、具体的な数値目標 というものをぜひ盛り込んでもらいたい。そのことによって、(2)でございますけれど も、具体的な実施計画という形で医療計画というものを充実・強化したい。さらに事後 評価といいましょうか、国が作成する政策評価項目に従いまして、定量的評価というも のを実施してもらうというようなことでございます。  また真ん中にございますように、内容としても、患者・住民のQOL向上の観点か ら、医療機能の分化と連携として病院間、あるいは病院・診療所間、あるいは福祉在宅 サービスとの関係といったものを、具体的に盛り込んでもらう。点線で囲ってあります ように、例えば急性期、亜急性期、回復期、そしてかかりつけ医の下での在宅での療養 という流れを原則に、2次医療圏内で完結する医療提供体制を確保してもらう。そうい う具体的な計画を盛り込んでもらうことによって、結果として平均在院日数の短縮とい ったことにもつながり、患者・住民のQOLの向上につながるというふうに考えている ところでございます。  3ページ目でございますが、一方の補助金改革でございますが、こうした実効性のあ る実施計画としての医療計画制度にしていくためにも、それと一体となって補助金とい うものを交付していってはどうか。また(3)にありますように、現在、三位一体改革で 求められております地方の裁量性、自主性の発揮というような観点から、そういう意味 で使い勝手のいい補助金改革というものを、医療計画の見直しに沿って行っていっては どうかということで、現在、局内で議論をしているところでございます。この案をたた き台の1つとして、今後医療部会でご議論いただきたいと考えているところでございま す。以上でございます。 星野部会長  どうもありがとうございました。それではご意見、ご質問等をお願いいたします。ど なたからでも結構でございます。西村委員。 西村委員  医療費の適正化対策について4点ほど意見を申し上げたいと思います。示されたこの 方向性については私は異論はありませんし、今後、三位一体改革等の完了は微妙です が、都道府県を中心とした適正化政策はとられるということが、ぜひ必要だと思ってお りますが、それに当たっていくつか申し上げたいことがあります。いずれも国の役割と いうのをおそらく信用できる、信頼できる情報の提供等々であろうかと思いますが、そ れに関して今日のご報告を聞いて、若干危惧するところがあります。  まず第1番目は、生活習慣病対策に関わる色々な保健事業の推進をうたっておられま すが、実はこういう対策というのは誰が考えても分かることで、すぐに効果が出てくる ものと、長期的にしか効果が現れないものがあります。ところがいまのご説明では、一 方で保険局は色々なそういう資料をお出しになって、医療費との関係をお出しになって おられる訳ですけれども、栄養部会の報告等には、医療費という視点はほとんど入って いないように見受けられました。ひとつはっきりさせていただきたいのは、医療費適正 化ということで、このことを議論するのである以上、その医療費の適正化と健康増進 は、どのように関連するのかについて、保険局が責任を持って進めていかれるのか、そ れとも健康局が責任を持って進めていかれるのかを、はっきりさせていただきたいとい うのが第1点です。  私はちょっと追加的に申し述べさせていただきたいのですが、色々医療費の適正化に 関してたくさんの資料をお出しいただいて、今日のは別として、以前いただいたのは、 資料を取り寄せて調査報告書等を拝見いたしましたが、その分析結果にはかなりの精粗 があるように見受けました。つまりかなりきちっとした分析結果であるものもあります し、ちょっと大ざっぱ過ぎるという議論もあったと思います。もちろん私は「その大ざ っぱな結果が意味がない」というふうに申すわけではなくて、当然、こういった疫学的 な調査というのは、いま申したように非常に長期に及ばないと、結果がはっきりしない というケースもございますから、一次的にいわば一種の一次レポートという形で報告さ れることの意義を否定するつもりはありませんが、こういったものを指針に都道府県が 色々な施策を行っていく際に、やっぱりどの資料がどの程度信用できるかという、これ は一種のメタアナイシスと申しますが、そういったものの開発というものも重要な課題 ではないかと思います。これが第1点。  第2点は、この施策を進めていかれる上で、色々な健康診査、二次予防という健康診 査等に属する健診の話がたくさん出てまいりましたが、残念ながらこれに関しては私の 知る限り、被用者保険のデータが必ずしも十分に厚生労働省の中でも把握されていると は思っておりません。したがって都道府県単位で問題を見る際、ここだけですとある程 度比較は可能でありますが、全体の比較をしていく上で、あまりにも調査をしていくた めのデータが不足しております。このことはぜひ今後、積極的に推進していただきたい と思います。  第3点目は、医政局のほうからご報告があった医療提供体制に関わることですが、こ れは以前に浅野委員からご指摘があって、非常にもっともだと思いました点であります が、様々な医療提供体制の確保と医療費適正化との関連については議論されております が、非常に重要であると思われる医師数との関連について、誰がどこで議論をされてこ られたのかというのは、残念ながら見受けられません。おそらく都道府県は、つまり医 師確保が非常に難しい都道府県で非常に医療費が高いところと、難しいけれども医療費 が高くないところがございます。しかしいずれにせよ、一様に都道府県は医師確保に様 々な苦労をなさっているということがある。つまり医療費抑制のために、一般的には医 師数が多いとやはり医療費が高いという傾向にありますが、では医療費抑制のために医 師数を抑制すると、これは当然住民からの大きな不満が出てくる。この問題を今後どの ように解決していくのかも、できましたら医療提供体制の確保についての審議会等でご 議論いただければありがたいと思います。  最後に、ちょっと余談めいて大変恐縮ですが、やや大きな話をさせていただきたいと 存じます。これまで医療保険の話をしているわけでございますが、私の印象では、いわ ゆる今回色々な形で推進すると言われておられる健康増進、あるいは保健衛生対策の分 野は、基本的には厚生労働省のご報告は、国や都道府県という公的機関が中心となって 担うということを前提としたご報告であるように見受けられます。しかしながら、実は 最近、例えば簡易血液検査の手法が開発されたり、あるいは家庭用血圧計が非常にソフ トウエアと連動したかたちで有効に利用されたりして、民間の活力が相当増してきてお ります。むしろ私は、例えば先ほどご指摘あったように、都道府県間の受診率の大きな 格差があり、それがかなり永続しているという現状を踏まえたとき、これまでの現状を 中心とした行政能力の格差というものがあるのではないかとも疑わざるをえないという ふうに理解しております。したがって一歩突っ込んで、医療保険の範囲という問題とは 少し離れますが、ぜひとも民間の活力をいかに利用してこの健康増進策を考えていくか という視野もお入れいただきたい。ちょっとこの審議会の話とはズレますが、以上で す。 星野部会長  どうもありがとうございました。ここですぐ反応するのは難しい問題もかなり含んで いるように思いますけれども、事務局。 間杉課長  このあと必要に応じて両課長は反応してくれると思いますが、いまのご指摘は、健康 局と私ども保険局とのものの見方の違い、突っ込み方の違いという、そんなことではな いかなと思っておりますけれども、この審議会を開かせていただきましてから、そうい う意味で保険部門も健康部門も常に連絡をとりあって、色々な議論でデータ収集などを やるように大分なってまいったと思います。先ほど保険局がやるのか、それとも健康局 が適正化ということをやっていくのかというふうなお話もありましたけれども、やはり 少なくともこの場の議論といたしましては、これまでご覧をいただきましたように、や はり医療費というものが、特に生活習慣病が退職後の年齢で非常に外来医療費を押し上 げる。それからそれが後期高齢期の75歳を過ぎたあたりから、今度は入院医療費に転換 して入院医療費を押し上げるというふうなことが、大体構造が見えてきているわけでご ざいますから、そういう意味では出発点の入口のところで、段階ごとにどうやって止め ていくかという事を本気で考えていかなくてはいけない。その辺の問題認識が各局でわ りあい共通するようになってきたということです。データのとり方等まで気を付けたい と思いますし、それから被用者保険のデータは必ずしも十分ではない。これはまたご指 摘のとおりでございます。これまで国保あるいは老人中心にデータをとらせていただき ましたけれども、いまそういう意味で被用者保険のほうも色々なデータを収集中でござ います。また改めてそのへんもご紹介できるかと思っております。 石井課長  健康局でございます。4点目にご指摘のありました点についてでございますが、私ど も、健康増進や地域保健の行政を進める上では、やはりご指摘ありましたように、民間 部門の活力や色々な力を活用していく視点は持っておるつもりでございます。先ほど説 明の中でふれました健康日本21も、まさに国民的な取組ということで、様々な関係団体 にも国民会議にお入りいただくなど、そういう視点を活かした活動を進めております。 ただ、そういう中で、やはり公的部門、行政というものがどこまで、どういう内容で責 任を持つかという点については、きちんと整理をしていく必要があると考えております し、今後、整理していきたいと思っております。 原課長  医師数と医療費の関係のご指摘がございました。医師の地域偏在ということがいま問 題になっていまして、近々、医師の需給見通しについて検討会を立ち上げ、来年末まで には作業を終えまして、医師確保対策という形で医療部会としても取り組んでいくこと になろうかと考えております。そういう中で医療費との関係を少し意識してということ でございますので、事務局として、そういったことも少し意識をしながら考えていきた いと思います。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、久保田委員。 久保田委員  この医療費の適正化の問題は、横串的な意味合いの大変重要な問題だというふうに認 識をしています。様々な改革をやるにせよ、ここがちゃんと実効性を上げる改革という ことにならなければ、おそらく21世紀に本当に生き残っていけるサステイナブルな制度 改革ということになっていかないのではないかというふうに思います。今後の議論の進 め方が出されていますがこれが出てきている理由や、これを今後どういうふうに展開し て、具体的な施策なり具体的なところに落とし込んでいくのかというのが、ちょっとま だよく見えない。大変重要な問題だと思っています。前回1巡目でまとめた中間的なま とめといいますか、事務局案というものを見ていますと、必ずしもこういう柱立てにな っていない、地域の取組というような表題になっていると思ったのですが、ぜひしっか りとした柱立てという位置づけにしていただきながら、どこでどういうふうに議論を し、最終的にどう決着を持っているのかということにつきまして、また一工夫をお願い したいと思います。  保険者も関与できる形でどう実効性ある医療費適正化の結果を出していくのかという ことは非常に問われると思います。ここで品揃えをされていることについては、それは もっともなことで、こういう方向かなとは思うのですが、本当にこれで効果が上がるの かとか、数字的にもどうなのかというようなことについて、これからの議論の中でどう 深堀をしていくか、あるいは担保していくかということが非常に大事ではないかという 感じがいたします。そういう意味で言いますと、すでにスタートを切っております老人 医療費適正化指針に基づく具体的取組はいまどうなっているのか。あるいはこの保険者 協議会の設置状況とか、参加メンバーだとか、進捗状況だとかいうのが、具体的にどこ までどう進んでいて、そこからはどういうことに今なっているのかという具体的なレベ ルに少し落とし込みながら、それを検証していくというようなことも非常に重要だと思 いますので、そういうこともぜひご報告をいただきたいなと思います。  いずれにせよ、本当にこれで結果が出るのかどうかということを含めて、まだまだ確 信ができない感じもいたしますので、一番最後のページに参考ということで少し書かれ ておりますが、これからの議論の中では少し違った観点での議論、あるいは従来、テー ブルに載ってきた議論等々に尽きましても、一度検証しながら、どうやって医療費の適 正化を本当に確固としたものにするのか、実効性を挙げるのかということについての議 論が必要という問題意識を持っております。 星野部会長  浅野委員。 浅野委員  いま様々なところから資料が次から次へと出てきたので、かえって明らかになったの ですけれども、これは社会保障審議会医療保険部会だから仕方がないと思いながら、知 事の立場、県の立場から言うとちょっと変だなと思う部分があるので、抽象的かもしれ ませんが申し上げておきます。県で医療保険というのはツールなのです。医療そのもの もツールで、アウトプットは何かという議論というか関心があるわけです。知事として 県民のために何を保証するのか。税金をもらって県政を運営しているときに、何を実現 するのか。いまここでされているのは、どうも全部医療適正化になだれ込んでいくよう な資料の内容説明のように若干聞こえました。  我々から言うとアウトプットは県民の健康の保持増進なのです。そのためのツールと して医療保険があり、そしてそれもツールというよりも、十分な医療が得られるという ことがツールで、それはしかし医療保険というのが適正に運用されないと、医療保険が パンクしてしまうから元も子もなくなるのでという。だから目標として置いているの は、我々は決して医療費の適正化ではないのです。そういう立場で私も出ているもので すから。そうするとちょっと何か医療保険部会とはいえ変だなと思います。例えば介護 保険といったときに、介護保険の適正化のためにやるのではなくて、当然、知事の立場 からしても、地方の立場からしても、介護が必要になっても安心して暮らせるようなこ とにする。それから介護によって家庭崩壊がなされるということをしないようにすると いうのが目標で、決して介護保険の適正化ということに血道を上げることが目標ではな く、それはツールなわけです。同じことで医療保険もそうなのですが、いまあまりにも 医療保険の財政の問題が頭にありすぎて、そこに行ってしまうのではないか。  何でこんなことをいま予め言うかというと、今日も都道府県の役割、ということで、 これから議論になりそうです。そのときに何か都道府県の役割で、「おまえは適正化に 少し一翼を担え」ということばかり言われているような気がして、なにか各県の成績表 を見せられていました。長野県がここは偉い。福岡県はだめだ。福岡県知事がたまたま いませんけれども、それはそうじゃないのです。そういうふうに説明はしなかったけれ ども、そのように聞こえます。だからもうちょっと広く、知事というのは医療保険だけ やっているわけではありませんし、ほとんど関心がないと言ってはいけないのだけれど も、そこが問題って…。本当は「アウトプットは何か」ということを、これは厚生労働 省でやっているのですから、そういうことを言わずもがなではありますけれども、ちょ っと時々言わないといけないと思って言いました。 星野部会長  どうもありがとうございました。どうぞ。 間杉課長  すみません。言わずもがなかとは思いましたが、私ども国にとってもそれは医療保険 というのは、私どもにとってもツールだと思います。結構いま知事がおっしゃったのと 同じように、国民と言っては私どもも口幅ったいですが、国民の健康を守るというふう なことが最終目標でございます。やはりそのときにどうツールそのものが崩壊しないよ うに持っていくか。先ほど申し上げたのは、これは何も福岡県が悪くて長野県が良くて というふうなことを申し上げたわけではなくて、それぞれ様々な事情を抱えているのだ と思うのです。その抱えているというのは最初のところでやはり脳卒中がどうしても多 いとか、いや、そうじゃくて、がんが多いとか、そういうふうに特質があるということ を、一度やはり知事の方々にもご覧いただきたい。そうすると自分のところの病気とい うのはどういうふうなことになっていて、それが医療にどういう影響を与えているのか というふうなこと。  そうするとこれは医療費云々の問題もありますけれども、その1つ手前の問題とし て、やはり県民の健康ということを考えたときに、入口のどのあたりから手をつけてい ったらいいかというふうなことに関して、不幸にしていままでの色々な医療制度体制の 中で、そういうふうなトライアルというのがあまりこなされてきていなかった。それは 私どもも十分反省すべき点かと思います。そこをこれからはぜひ一緒にやりませんかと いうふうなことを申し上げている、そんなつもりでございます。成績表を付けているわ けではございません。 星野部会長  いまの浅野委員と総務課長の議論を聞いていて、大変重要なポイントを議論されてい るなという気がするのですけれども、私は若い頃、三木内閣が出来た頃に「生涯設計計 画」だったか「生涯福祉計画」だったか、三木内閣の看板にする政策として出てきまし たが、短命だったものですから、形となってきちんとできませんでした。そういうこと で、何かその中にもちゃんと健康の問題が入っていたと思うのです。いまの議論を裏側 から見ると、健康というのがやっと国レベルでも国家目標として、「こういうものだよ 」というふうに浮上してきて、きちんと整理されて捉えだしてきたのかなと。  今までは浅野委員が言われたように、局部的に保険財政だとかそういう格好で、もち ろん非常に重要なことなのですけれども、むしろそういう捉え方が強いのですけれど も、いま議論されている筋書きというのは、予防から始まって、ここにはホスピスの話 はないのですけれども、人間が、国民が一生ずっと過ごしていくときに、一番高い価値 の1つとして健康というのがあるはずなわけです。その高い価値について一体どういう 我々は国民同士で維持し合っていくかということの、1つのまだまだ粗々だとは思いま すけれども、絵の筋書きがいま提供されていて、それについて改めて保険医療という観 点で、どうそれと整合性を合わせながら行くかという議論に、やっとなってきたのかな と私は思っておりまして、改めてそういうことを思い起こさせていただいたような気が いたしました。ありがとうございました。私のは感想でございます。岡谷委員、どう ぞ。 岡谷委員  ここでこんなことを言っていいかどうか分かりませんが、この医療費の適正化という ところの中に書かれてありますが、医療提供体制をどのように改革していくかという内 容については、本当にそのとおりという部分は非常に多いと私も思いますが、この適正 化というふうに言ったときには、これはもう医療費の抑制ということとイコールなのか どうかという点が、非常に気になります。それは例えば急性期の入院患者に、必要な医 療資源が集中的に投入されるようにして、在院日数の短縮を図るというようなことが書 かれているわけなのですけれども、実際には、いま5年間で10日間、平均して在院日数 が特に急性期の病院で短くなってきているわけですが、本当にそこに必要な医療資源が 投入されているかというと、例えば医師の数もそうですが、看護師の数などはアメリカ の4分の1とか5分の1の数で、同じような密度の医療をこなしていっている。非常に そういう部分では、働く側の努力によっていまの水準が保たれているわけなのですけれ ども、そういうことをずっと続けていくことが、本当に国民のためになるのかどうか。 本当に質の高い医療を提供できることになるのかということについて、やっぱり疑問に 思います。  それから入院から在宅にということは、患者たちの生活の質を上げていくためには、 非常に有効なことだと思いますが、では入院医療よりも在宅医療のほうが本当に効率的 なのか。あるいはそのあたりの財政的なシミュレーションとかというのは、十分に行わ れていないような気がするのです。ですから入院から在宅にというようなところでのシ フトが、なかなか起こっていかないという問題もあるのではないかと思いますので、必 要な医療を本当にちゃんと提供しようとしたときに、いまの医療費が本当に適正なのか というような視点も、あるのじゃないかなというふうに思いますので、そういう方向で の議論もしていただきたいというふうに思います。 星野部会長  冒頭、西村委員が4点について、具体的なデータの整備と評価分析用の当然エビデン スになるわけですから、そういうものについて「こういうところはどうもまだ不十分じ ゃないか」と言われたのは、まさに今の岡谷委員の言われたことに、非常に関係するの だと思います。つまり「何が目標か」という場合に、「QOLですよ」というのを一言 で言えば簡単なのですけれど、「QOLって一体どこでどういうふうに判断するのかね 」という問題になるわけで、それでいま岡谷委員が言われたような「QOLとコストベ ネフィット」です。そういうものがちゃんとあるのかというと、いまの段階ではとても 評価できないのではないか。先ほど西村委員が言われたような点が、事務局もこれから 十分配慮しながらデータを集めていくと言っておりますので、そういうのが本当に集ま るとすれば、だんだんと一歩一歩近付いていけるのではないか。それがまさに先ほど議 論のあったような、全体のことを進めていくのではないかなという印象を私は持ちまし た。事務局は答弁要りません。他に御意見がございましたら、どうぞ。遠藤参考人、ど うぞ。そのあとで漆畑委員、どうぞ。 遠藤参考人  先ほどの資料3で、医療費適正化対策の事務局案というのがお示しされておりました けれども、この中で生活習慣病予防対策とか高齢者の生活機能の重視という点は非常に 重要な点だ思います。ただ、それは1つ1つの予防を実行するのは個人であり、個人の 自助努力に負うところは非常に大きいだろうと私は思っております。そのため、その適 正化計画をつくったにしても、その個人が実際に行うためには、コスト意識の涵養のた めに、一部負担あるいは逆のインセンティブといったものを十分組み込んで考えていく 必要があると思っております。  それから先ほど久保田委員がご指摘されておりましたけれども、同じ資料の4ページ に、参考書き程度の書き方で、老人医療の伸び率管理の話が指摘されておりますが、一 番懸念しております医療保険制度が持続可能になっていくためには、やはり医療給付費 の伸びは、どうしても経済と整合させていく必要があると思っております。可能かどう かも含めて、医療費の中期的な目標を立てて、それをどう実現するかということを、や はりこの医療保険部会の場で議論していかなければならないと思いますし、そうした考 え方は基本的な視点として持っていくことが不可欠だろうと思います。  それからまたその参考書きの中で個別的な例として、公的保険の守備範囲が示されて おります。自助努力ということを申し上げましたけれども、やはり自助努力する範囲 と、それから公的守備範囲というものをきちんとして、どう組立てるかということを議 論していく必要があると思います。医療保険におきます一部負担の問題、それから参考 書きの中で指摘されているような、保険免責制といったようなことも含めて、十分な時 間を割いて議論をしていくことが必要だろうと思います。  それから4ページの(3)の(2)のアのところで介護保険サービスと連携して、在宅 医療を充実させるという方向性が出されておりますけれども、医療機関からの転換を含 め、多様な居住の場の充実を図ることが書いてございます。制度の組立て方如何による のですけれども、場合によっては医療費が適正化しても、かえって介護給付費が増加し てしまう結果にもなりかねませんので、このへんについては、診療報酬や介護報酬、あ るいは利用者の自己負担などの制度設計には非常に注意してやっていくべきだろうと考 えております。特にカッコ書きで色々な施設の例示がされておりますけれども、それぞ れ役割分担があろうかと思いますので、そのへんの整合性をとった形での進め方を、非 常に注意していく必要があるだろうと思います。  それから資料4の中では、保健事業の適正化の具体策が示されていて、大変参考にな ると思います。非常に良い事例というのは、先ほどご指摘ありましたけれども、ホーム ページなどで公開することにより、色々な保険者が主体的に取り組めるような環境整備 を進めていく必要があるだろうと思います。  それからホテルコスト・食費につきまして、介護保険のほうで具体的な数値が厚生労 働省から、昨日発表されておりますが、医療保険部会でも、入院時において、その取扱 いについて、ぜひ介護保険と整合性をとるような形で進めていっていただきたいと思い ます。  最後に1点。大変プリミティブな質問なのですけれども、財政シミュレーションに関 係すると思うのですが、保健事業をすることによって健康が維持され、その結果として 長生きしたといった場合に、医療費や年金の給付費も含めて社会保障給付費は、一体ど のような結果になるのかということを、検討していただければありがたいと思います。 ぜひ社会保障制度一体改革の一貫として、この医療保険制度改革に取り組んでいただけ ればありがたいと思います。 星野部会長  ありがとうございました。漆畑委員、どうぞ。 漆畑委員  私も全体的なことよりもちょっと小さなことで申しわけないのですが、これの事務局 案で健康増進事業とか疾病予防の事業について、都道府県、市町村、それから各保険者 の役割とか連携について色々触れられていて、この部分について賛成で異論もありませ んけれども、具体的なことをどうするかという議論はここですることになると思うので すが、その中で健康増進計画が、市町村がまだできていないところがあるというのを、 ちょっと意外に感じたのですけれども、それは計画というのは過去実績が、前にも申し 上げたのですけれども、市町村はかなり実績を積んでいて、それに私どもは医師とか薬 剤師とか看護師なども参加させていただいて、実際に健康増進事業の一環として健康教 室のようなものを開かれたわけですけれども、そこの健康教室のようなものに参加され ている一般の市民の方の多くは、実は現に疾病を持っている方なのですね。  目的は疾病予防とか健康増進を目的にそういうものが開かれるのですけれども、私ど も実際にそういうところへ行ってみると、現に医療機関にかかっている方が大変多いと いう実態がございまして、そういう意味でいえば、都道府県・市町村・保険者の役割も 大変重要なのですけれども、これはもう異論のないところなのですけれども、やっぱり 医療機関との連携がないと、効率が悪くて実効性が上がらないと思いますので、この中 のこの事務局案の中に、疾病予防と健康増進に関して、医療機関とか薬局ごとの連携に ついての記述がほとんどないものですから、そういう視点で少し議論を進めることがで きればいいかなと思います。特に医療保険制度ですから、保険でのことも含めて、その へんの連携について、もう少しご議論いただけるようなメニューにしていただきたいと 思います。  具体的にはこの中にもありますように、健診後の事後指導とかフォローアップについ てということで、保険者が中心になって取り組んでいく体制を強化とすると書いてあり ますけれども、これはぜひやっていただきたいし、これは具体的にはやはり医療機関の 役目になると思いますし、そういう意味ではかかりつけ医の活用とか、一番最後の参考 のところにありますけれども、一般用医薬品とかそれの類似薬の活用なども、ぜひメニ ューとしてご議論いただきたいと思います。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、対馬委員。 対馬委員  保険者としましては、この医療費の適正化計画は非常に重要だと思いますし、ぜひ私 どもも入って積極的にやっていきたいと、こういうふうに思うのですけれども、ただ、 ちょっと要望がありますのが、これも各県ごとにということですから、ひょっとします と医療費適正化協議会ということになるのかもしれませんけれども、もともとこういう 色々な協議会的ないしは委員会的なところが結構多いのですが、特に最近は健診シーン なり健康増進との絡みなんかもあるのでしょうけれども、健康増進事業協議会とか保険 者協議会というのも、ここにもちょっと出ておりますけれどもございますし、いまつく りつつあるわけですし、またこういったのができるわけですね。  要望というのは、先ほど久保田委員もちょっと言われましたけれども、やはり協議会 というのは当然ながら、「つくって、魂を入れるかどうか」ということだというふうに 思いますので、私どもも積極的にやっていきますけれども、ぜひ中身をよろしくお願い したいということがありますし、また、いま言ったような色々なところがあるものです から、特に各都道府県の健保組合なり色々なところへ行きますと、同じような内容のも のがいくつもできるようなところがあるわけですね。ですからそのあたりについては、 ぜひ効率化というのでしょうか、ないしは同じような機能を持っているのであれば、ち ょっと細かくなりますけれども、会議の開催でありますとか色々な形でもって効率化も 図っていただきたいし、また実効が上がるということが一番重要だと思いますので、ぜ ひよろしくお願いしたいというふうに思います。 星野部会長  ありがとうございました。他にございませんか。もし意見がないようでしたら、もう 1件あるものですから、そちらの議題に移らせてただいて、その中でもし言い落とした なと思うことがあったら、また付け加えても結構ですから、次に進めさせていただきま す。次に保険者再編、国保について議題としたいと思います。それでは事務局から説明 をお願いします。 唐沢課長  国保課長でございます。それではお手元の資料7というところに、「国民健康保険に おける都道府県の役割の強化」という資料がございますので、時間も押してまいりまし たので、簡潔にお話をさせていただきます。まず1ページめくっていただきまして、資 料の1ページ・2ページ目が考え方を整理をしておりまして、3ページ以降が関連資料 になっております。適宜関連資料を参照しながらお話をさせていただきます。まずご承 知で言うまでもないわけでございますが、国民健康保険の財政は非常に厳しい財政状況 になっておりまして、市町村は非常に苦労をしているというのが現実でございます。こ れは言うまでもないわけでありますが、その状況下で国民健康保険として取り組まなけ ればいけないことというのは、すでに明確でございまして、第1点はいままで色々ご議 論が出たような医療費の適正化ということでございます。第2点目は保険運営の広域化 ということでございまして、これはちょっと関連をして資料をめくっていただきまし て、9ページをご覧いただけますでしょうか。  その9ページのところに、昨年の3月に閣議決定をいたしました基本方針として、い わゆる医療保険改革の基本方針でございますけれども、その中の保険者の再編・統合の 中におきましては、国民健康保険について、「市町村国保については、市町村合併特例 法の期間中は、市町村合併の推進や事業の共同化等により保険運営を図る。さらに、 国、都道府県及び市町村の役割を明確にした上で、都道府県と市町村が連携しつつ、保 険者の再編・統合を計画的に進め、広域連合等の活用により、都道府県においてより安 定した保険運営を目指す。なお、被保険者管理や…」こうなっているわけでございま す。「また、低所得者を多く抱える市町村国保の保険運営の安定化を図りつつ、財政調 整交付金の配分方法の見直しや都道府県の役割の強化を図る」。こういうことが基本方 針で規定をされております。  次の10ページは読みませんけれども、地域における取組ということで、ただいまのお 話がございましたような医療計画でありますとか、介護保険事業支援計画と健康増進計 画というようなお話が規定をされているわけでございます。そこで最初の1ページにお 戻りをいただきまして、そういう意味で医療費の適正化と保険運営の広域化を推進して いくことが、国民健康保険の安定のために必要であるということであります。特に医療 費の適正化については、これまでただいま資料の説明がありましたので、くどくど申し ませんけれども、例えば1つだけ申し上げますと、先ほどの健康増進栄養部会の関連の 資料の中に、糖尿病の腎症合併症としての腎不全ということでございますけれども、そ の新規の糖尿病腎症の患者というのは、1998年と2002年の間に、10,700人から12,600人 に約2,000人増えているわけでございます。これはQOLを非常に悪化をさせるだけで なくて、大変高いコストの医療費がかかっているわけでございまして、結局、その医療 費の適正化と先ほどお話がございましたけれども、生活習慣から改善するという意味で の非常に広い意味での取組が必要になっているのではないかと思っているわけでござい まして、そういう意味でここの資料にございますように、予防段階での健康増進計画は 生活習慣の改善からの取組ということになりますけれども、そういうもの。それから急 性期の介護段階という、こういう医療費適正化が必要であろうということでございま す。  次の2ページをお開きいただけますでしょうか。もう1点は保険運営の広域化でござ います。この国民健康保険の保険者でございますけれども、現在、これはなかなか広域 化を進めていくのは色々な工夫をしていく必要があるわけでございますけれども、例え ば資料の6ページをお開きいただけますでしようか。そこに保険者の規模別構成割合と いうものがございまして、一番下の黒い部分は国民健康保険の被保険者数3,000人未満 の保険者でございます。それが35.8%ということで、3,000人規模ということで、保険 財政を安定的に運営をしていくというのは何らかの不可抗力の予測できないような要因 によって、なかなか不安定になるということもありますので、できるだけ広域化をして いくということが必要なわけでございます。  広域化を推進するためには、やっぱり市町村同士で医療費の水準があまり違っている ということでは具合が悪いわけでございます。これはその前の5ページのところに、都 道府県の地域差の比較ということで、これは国民健康保険の都道府県の地域差の比較 で、年齢を調整をしたあとでございます。全県同じ全国平均の年齢構成にしたという修 正後でございますけれども、これはここに県ごとのものが先ほどと同じように載ってお りますが、実は県内の市町村の間でも、医療費の格差、それから保険料の格差というの はございまして、これが大きければ2倍を超えておりますし、それから小さいところで も1.6倍ぐらいの差があるわけでございまして、そういうものをやはり平準化をしてい くということが、保険運営の広域化のために必要なわけでございます。  そういうことで資料をまた戻っていただいて、2ページをご覧いただきたいと思いま すけれども、そういう観点から医療費の地域差の縮小と保険料の平準化を進めて、保険 運営の広域化を推進をしていく必要があるというふうに考えているわけであります。そ のために大きな2というところにございますけれども、都道府県に対しまして、医療費 の適正化、保険料の平準化における役割・責任というものを強化をしていただいて、国 民健康保険における財政調整機能の付与、市町村に対する誘導、それから都道府県の役 割としての責任という両面から、国民健康保険の給付金に対する都道府県負担の導入と いうことを、現在、三位一体関連の中で提案をしているということでございます。この 問題は大きな三位一体の議論の中で論議をされておりますので、帰趨そのものはそちら が中心の場になって動いていくということになると思いますけれども、具体的な都道府 県・市町村等の役割、それから例えば誘導的な支援方法等につきまして、もちろんこち らの会で十分にご議論をいただきたいと考えているわけでございます。以上でございま す。 星野部会長  どうもありがとうございました。それではご意見・ご質問等をお願いいたします。ど うぞ。 河内山委員  唐沢国保課長のご説明の中で、最後に三位一体ということが一言出てまいりましたけ れども、浅野委員がお話しになるほうが適切かと思いますが、私自身も8月18日に全国 市長会として今回の補助金・交付金削減のリストといいますか基本的な案について、全 国市長会で最終的にこれを了承するかどうかという政策推進委員会というところへ出ま して、その場に同席をしておりますので、そういう立場からも申し上げたいと思います が、全国の市におきましても、今回の三位一体改革について、どの補助金、どの交付金 というものが、いわゆる改革の対象になるのかどうかということを議論しますと、本当 に1つ1つを言い始めますと、それぞれ個別の事情を抱えている中で、全員がこれで申 し分がないというか、完全に一致して、これはもう補助金改革の対象にすべしというふ うに決めたようなプロセスではなくて、地方分権の本格的な推進のためには、やはり税 源の移譲というものを総理自らが具体的数値をもってお示しになっているときに、ちゃ んと地方6団体、その中の市長会としても責任あるご回答をしないということではいけ ないのではないかという、みんな相当に志高く、小異を捨てて大同を求めるという気持 ちで、あの改革案を出したところでございます。  今回はその中で国保、介護、厚生労働省が現在補助交付されている金額で言います と、非常に大きな金額で、これについてはリストに入っておりません。これは言うまで もないことですけれども、現在、介護保険制度の改革、医療制度改革が行われている中 で、最初の資料2でお触れにはなりませんでしたけれども、地方6団体の意見というか プランの問題点という中に、これが入っていないのはおかしいじゃないかというのは、 そういう意味合いですので、それで入っていないということでございます。  そういう三位一体改革の議論の中で、今回の国保の運営に関しての新しい厚生労働省 としての考えが出てきたわけでございまして、これについては従来から市町村として国 保の運営について、あるいは国保の保険者というものについて、都道府県もやっぱり一 役担うべきではないか。あるいは都道府県も利害の関係者にならないと、なかなか医療 費の適正化、あるいは健康づくりを一体的に行うのは難しいのではないかということを 申し上げてまいりましたので、その点については私どもは評価をしなければなりませ ん。けれども、唐沢課長が最後に言われましたように、何と言いましてもこの三位一体 改革の中で11月中旬ぐらいまでに政府としてお決めになる中に、これが入ってくるとい うのは、ちょっと我々としては唐突な感がいたしまして、十分これは議論しなくてはな らない。「三位一体は三位一体で進めなければならない」ということを、申し上げなけ ればならないと思っております。それ以外に国保の問題についての色々な今回の新たな 提案、医療費の適正化を含めて、大いに都道府県の方々が役割を担っていただくという ことについては、従来から申し上げてまいりましたことですので異論はございません。 そういうことだけ申し上げたいと思います。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、浅野委員。 浅野委員  いまの三位一体改革については、河内山委員の論と一緒ですが、若干違いまして、 「ちょっと唐突」というのは、私の場合は「大いに唐突」ということで、その程度の違 いはありますが、今日お配りいただいた資料2−(1)の資料に、三位一体改革の趣旨及 び経緯というのがございます。2ページには最新の平成16年度「骨太の方針2004」とし て今年の6月閣議決定のものがあります。これの一番最後の小さな丸ポツで、「何でや るんだ」ということが書いてありますけれども、「国庫補助負担金の改革については… 」というところですが、税源移譲に結び付く改革。その次ですが、「地方の裁量度を高 め自主性を大幅に拡大する改革を実施する」と。今回のこれが三位一体改革と言われて いる部分です。財政調整交付金の部分を県に付与すると言われているのですけれども、 付与されなくてもいいのですが、それがこの三位一体改革の文脈の中で、それがどうし て地方の裁量度を高め、自主性を大幅に拡大するという所以なのですかということは、 これはもう明らかだと思います。それとやっぱり河内山委員が最後のほうにおっしゃっ たように、国民健康保険の運営の中で都道府県の役割はどうするかということについ て、こうやって議論しているわけですから、私も出てきて、これをぎっちり議論するの にやぶさかでないというか、聞きましょうと。しかし、こんなに前倒しにするほど、煮 詰まっていないわけです。それは経過のことだけで反対するというのではなく、趣旨は いま前段に言ったことですが、いずれにしても、その両方の理由で、これは三位一体改 革という文脈の中で、その土俵に載っけてくるのはご勘弁願いたいということをまず申 し上げます。  それだけだとちょっと否定のことで、次も否定なのですが、若干、いまご説明いただ いた資料について、今度は三位一体改革とは別に、そもそも論のところでちょっと異論 を提起したいと思います。いまの1ページ目ですけれども、表がありますね。予防段階 というのがあって、健康増進計画ということで、今日も色々お話のあった健康づくり、 発症予防というのがあります。真ん中に「いずれも都道府県が作成主体、都道府県の役 割の強化が必要」とあります。  そして2ページ目に行くと、そういうのが都道府県の役割なのだから、医療費の適正 化にも都道府県は関与する。したがって何か都道府県の負担を導入すると、こういうふ うになっているのは、何か論理的のようだけれども、全然論理的でないという感じがす るのですね。ちょっと本質の議論で、これは色々議論があると思うのですが、さっき申 し上げたいと思ったのは、健康増進の問題です。健康づくりです。これはそもそも論と して公的なセクターが関与するという本当の理由というのは、ちょっと私は言語化がな かなかしにくいと思うのですね。  例えばこれは公衆衛生の分野ですけれども、伝染病予防のために公的セクターがや る。これは当然です。それはその人個人の問題ではなくて社会防衛ですから、その人だ けが病気になれば済むという問題ではないので、エイズの問題についても、その他SA RSにしても、色々なうつる病気について、公的セクターが税金をもってこれに関わっ ていくというのは当然でしょう。しかし、生活習慣病もそうだと思うのですけれども、 それで困るのは誰ですかとなって、隣人はそんなに困らないですしそれは個人、本人で あろうと思います。それから保険で言ったときに、例えば生活習慣病というのは裏から 言えば、生活習慣がなっていないから、なるのだというようなことでしょう。だとする と自業自得みたいなものです。加害者は本人だというようなものです。例えば火災保険 の場合に、自分が放火したのに火災保険は出ないです。自分がその原因をつくったので すから。それと同じに考えていいかどうか分かりませんけれども、だとすれば、この部 分で本当にギリギリ言うと、医療保険のほうで細工すべき部分もあるのかもしれませ ん。そうやってなった部分については、自己負担は半分とか、そもそも見ないとか、全 部自分でやるとか。ただ、それは糖尿病の原因をそこまで言うというのは難しいかもし れませんけれども、理論的にはそういうことだと思います。  交通事故の予防についてキャンペーンに公的セクターも金を払っています。これは被 害者がいるからです。交通事故でぶつかった人ではなくて、ぶつけたわけですから、そ れによって被害者がでるので、これは税金を使ってもやらなくてはいけない。健康増進 は加害者と被害者が一緒ですから。伝染病以外は。だとすればというのがまずそもそも 論であって、さっきもちょっと言ったように、別にそれは医療費の適正化のためにやっ ているわけでもないのです。そういうことを都道府県がやっているのだから、それは都 道府県の責任で、健康増進計画の作成主体は都道府県。だから、国民健康保険において もおまえが費用を持つんだよというのは、ちょっとそこが論理的にどう結び付くのかな という。重箱の隅をつつくような議論ではないつもりで言っているので、ここはもうち ょっと精緻な議論が要るでしょう。ただ、まあ、何らかの形で都道府県の責任をもうち ょっとというのは、これは理屈が立てば、また知事として県民税を払っている人に説明 がつくのであれば、それは乗りましょうということなので、そこのところはもうちょっ と、こういう結論になるにしても、リーズニングは精緻に行かないと、なかなか納得で きないというふうに思います。 星野部会長  どうぞ。 唐沢課長  決して浅野委員に反論するわけではございませんので、まず申し上げておきます。な かなか三位一体は非常に大きな問題でございますので、私どもが訴えたかったことの1 つは、医療保険制度の安定というものにとって、国民健康保険の基盤や体力の強化とい うのは非常に不可欠である。常に改革の成功は国民健康保険制度の安定と非常に密接に 結び付いてきたという歴史がございますので、その体力・基盤の強化のために、合理化 を進めていかなければならないだろう。これはあまり異存のないところだと思うので す。その際に、やはり広域自治体としての都道府県の役割というのは大変重要だろうと いう点は、私どもはぜひ訴えたいという点でございます。  それからこの時期をどうするかということは、大変またこれも1つのご議論でござい ますけれども、国民健康保険のような大きな制度についての、例えば負担をお願いする ということであれば、これは義務的な負担金になりますので、例えばすべての都道府県 に対する確実な財政措置というものが、どうしても必要なわけでございます。そういう ものと併せてご議論をいただく。つまり今回は税源移譲ということで、交付税というこ とになりますと不交付団体という問題が出てまいりますけれども、税源移譲という形で いまご議論されているわけでございまして、財政的にはそういう時期と一体的にご議論 いただくのが、私どもとしては1つの考え方ではないかというふうに思っているわけで ございます。  3つ目は大変本質的なご提案がございまして、これはむしろ委員の先生方からご意見 をいただいたほうがよいと思います。もちろんお一人お一人の健康をどうするかという のは、それぞれの方の生き方の問題ですけれども、ただ、社会全体にはやはりメリット 財的な性格の財というものもございますし、それから個人の生き方については干渉しま せんけれども、社会全体としては施策になるものというのは、例えば教育ですとかある いは文化とか、そういうようなものの施策というのはありますので、非常に難しいとこ ろではありますけれども、これはむしろ委員の方のご意見をお伺いしたいと思っており ます。 星野部会長  どうぞ、浅野委員。 浅野委員  いまあまり難しいことを言い過ぎました。もうちょっと簡単な部分で言いますと、昭 和36年に国保制度ができたときに、市町村が実施主体ということで始まったわけです ね。いまこれから国保制度をつくろう。そのときにどういう枠組みでということを議論 したのではなくて、そこからの連続性の中でどうするかと言っているときに、むしろい ま平成の大合併で市町村合併が進められています。我が宮城県内においても、10ヶ町村 がひとつになって1つの市になる。9つの町がひとつになって1つの市になるというよ うな方向で、いままでの小さな町というのはなくなるのです。人口1万人以下がもう4 つだけになります。国保実施主体はまさに自治体なので、いまのもう1つの合併の流れ としては、国保についてもむしろ広がりをやっていくという、ちょうどその時期に、逆 に国保は市町村でだめなのだから、問題がすごく大きくなってきたから都道府県でとい うのは、ちょっと歴史的な流れから言っても、大変タイミング的に難しいのではない か。合併のことを申し上げるのを忘れたので、これももう1つの論点ではないかという ことで、ちょっと付け加えさせていただきます。 星野部会長  西村委員、どうぞ。 西村委員  浅野委員のお話はまったく全部賛成ですが、理論的裏付けということで短時間に簡単 に申し上げたいと思うことがございます。先ほど浅野委員が予防したりとかそういうこ とは個人の責任ではないかと。私もそう思っております。要するにすごく簡単に考えれ ば、例えば都道府県というのを1人の人間と考えて、47人でみんな自分たちで健康にな るように努力しなさい。その結果が努力しなかったところは罰があります。努力した ら、よろしいですよという仕組みにしようというのが、私は基本だと思うのです。した がって、今はそういう論理で方向的には進んでいくと私は理解しています。ただし、先 ほど申したように、ちょうど浅野委員がおっしゃったように、糖尿病が生活習慣だけで 決まるのであれば、まさにそうなのですが、糖尿病はかなり遺伝的な要因によっても決 まってくる。同じく都道府県の医療費の違いというのは、ただ単に予防だけで決まって いるわけではないという、そこのところをやっぱりもう少し交通整理をして、はっきり させる必要があり、特に私は強調申し上げたいのは、ちょっとやっぱりこのまま行く と、厚生労働省にだまされるというところがある。  それはどうしてかというと、短期的に効果が出てくるものと、はっきり分からないこ とが多いですが、でも大部分予想されることは、長期的に予防をやると効果が出てきて 医療費が抑制されるということのほうが、これは分かりませんが、どちらかというと多 いのではないか。そうするとやはりそこはもう少しはっきりさせて、制度改革というの をやっていかないとだめではないか。それはまさに河内山委員がおっしゃった、どれぐ らいの時間をかけて考えていくのかという問題とも、私は少し関連しているのではない かというふうに思います。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、河内山委員。 河内山委員  以前にも申し上げたことがあるのですが、いま西村委員がおっしゃったとおりなので すが、短期的に国保の状況というのが非常に危機的な状況で、私どもは山出市長会の会 長に言わせれば、破綻寸前ではなくて、すでに破綻状況だ。これは一保険者の努力によ って何とかできるようなもう状況でなくなったので、都道府県、何とか助けてくれと、 こういう意味合いではないのです。やはり構造上の問題が非常にあります。介護保険制 度ができたときは、やはり日本全国の小さな町・村であっても、農業者もしっかりして おられたし、地元の個人商店さんもがんばっている。いまやそういう方は非常に少なく なりまして、国保に入ってこられる方は、1つにはリストラをされて、これも繰り返し 言っていますので、もう、そう詳しく申し上げませんけれども、そういう方が入ってこ られる。失業された方が入ってこられる。それから無職、それから被用者保険からのO B組。そういう状況ですから、やはりこれは何とか健康づくり等々によって効果が上が る部分ももちろんなのですが、皆保険制度というものを維持するために、国保というの を一体どう考えるのかということは、やはりこれは短期的な課題としてちゃんと結論づ けないと、やはり皆保険あってというのがやはり非常に日本のこれは良いところだと思 いますので、そういう議論もひとつしていただきながら、浅野委員に「ああ、そうだな 」と思っていただくような、これから我々も発言していきたいと思っております。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、岩本委員。 岩本委員  三位一体で議論をされるという事務局の説明がありましたけれども、三位一体を見ま すと財政論が先行しております。例えば教育にしても教育の本質論が語られないまま、 議論がされている状態でありまして、こちらの話もやはり社会保険の中での公費負担と いうのはどういうものかという基礎的な議論をした上で、都道府県負担が妥当かどうか という議論を、やはり三位一体の場ではなくて、こちらの医療保険部会のほうでして、 考えたほうがいいというふうに思います。そのときにここで書かれているような理屈、 医療費の適正化、保険料の平準化のために、地方の負担が必要か。都道府県の負担が必 要かという議論になるかと思いますけれども、私としてはなかなかそういう理由は見つ けにくいというふうに思います。いまの公費負担というのは、社会保険でやっていると ころで、受益と負担がリンクしづらく、保険が成立しないところに入っているというこ とでありまして、その部分は社会保障制度自体はまず第1には国の責任であるというこ とで、国費で一貫して持つのが妥当ではないかというふうに思います。  仮にこれをもっと地方が入って、都道府県なり市町村なりとした場合に、制度が非常 に複雑になります。元を遡れば、このお金を出すと言いましても、それは納税者が税金 を払って出すわけですから、納税者が国に国税を納め、地方に地方税を納めるというふ うになっているわけで、それが複雑に流れ流れてややこしいことになるというよりは、 この問題に関して公費負担をするというところの主体をスッキリとはっきりさせて、そ こにいくら出す。それでどれだけ出すかを決めるというふうにしたほうが、納税者の立 場から見た場合、政府を納税者の代理人と位置づけた場合、制度がスッキリするという ことが1点です。  もう1つ。医療費の適正化のインセンティブになるかという点なのですけれども、こ の部分ですが、給付費の10%ということになれば、若人ですと7割給付ですから医療費 の7%ですね。その部分が財政責任だということです。医療費適正化の努力をするとい うことは、100円節約すれば7円自分の負担が減るというそのぐらいのインセンティブ で、非常に弱いインセンティブになるわけです。医療費適正化のインセンティブという のは、それを発揮して本当に医療費適正化のあることが、これまで議論があるようにな かなか分からないものですから、できるだけ強いインセンティブを1つの主体に与え て、そこにリーダーシップをとってもらうという、そういうふうに持っていったほうが いいのではないか。逆にここで分散していきますと、都道府県は仮にこういうことをや りますと、効果があるかどうか分からないところへ努力するのではなくて、ブツブツ文 句言いながら払うという状態で終わってしまうという可能性があります。  そうすると、そういうインセンティブはどこが発揮できるかと言いますと、これはや はり医療費の増加がそのまま痛みに跳ね返るような主体ということであって、これは保 険料に映させるということで、加入者が要するに負担する。そして加入者が利害を共有 する保険者です。保険者が加入者の代理人として、医療費の適正化を目指すという、そ ういう構造にやはりして考えていくべきではないかというふうに思います。そうすると 逆にこういうのは責任を分散させるということで、誰がリーダーシップをとっていくの か分からなくなるということで、あまり得策ではないのではないかというふうに考えま す。  そういった意味から、都道府県負担の導入というのは適切ではないし、保険料の平準 化ということで言えば、これは都道府県単位で完結させるよりは、日本全国でやったほ うがもっと平準化が進むわけですから、最初に申し上げたように、都道府県に税金を払 うのも国に税金を払うのも、これは国民がやっているわけですから、そういった観点か ら見れば、全部国費負担で保険料の平準化を図るということは極めて合理的であって、 それを都道府県負担に帰るのは、むしろ逆行するということが言えるかと思います。そ ういう様々な要素を考えますと、ここで書いています都道府県負担の導入というのは必 要なく、私はすべて国庫負担でやればいいというふうに思います。以上です。 星野部会長  どうぞ、久保田委員。 久保田委員  三位一体が話題になっておりますし、2−(1)で資料をもう出されていますので、議 論になっておりますので、いま労働組合の連合でも少し下から積み上げて、見解をまと めたところですので、少し主張しておきたいと思います。基本的にはやはり国が何をや り、地方が何をやりということを、もう少し明確に国民的議論をした上でやるべきであ ると考えます。その場合に地方分権一括法で規定されています8つのメルクマールだと か、それからこれは連合独自で議論を積み上げてきたことではありますが、社会保障制 度における国と地方基本的な役割分担という意味からすると、お金の問題やナショナル ミニマムやあるいは全国的な感染症対策等々は国がちゃんと責任を持ち、医療とか福祉 サービスの現物サービスの基盤整備みたいなものは、やはり地方が責任を持つというよ うなことは考えられるのではないか。そしてとりわけその現物サービスの中の医療サー ビスは行為的な観点から、都道府県が主たる責任をこれから持ちながら、介護とか福祉 サービスは、市町村が責任を持つみたいな基本的な考え方を打ち立てながら、これから の設計をすべきではないかという考えでいます。  そういう意味からすると、今回の具体的なことにつきましては、連合としては子育て 支援などとか少子化対策は、これも社会全体でこれから取り組むべき問題だと思ってい ますし、保育所の待機児童の問題や児童虐待対策は、地域差が非常に大きいと考えま す。あるいは障害者福祉等々もサービスの基盤整備がまだまだ不十分であって、こうい うものもちゃんと国がすべき。SARSなどの感染症対策は一地方で完結する問題では ありませんから、当然、国でやらなければだめだといえます。さらには生活保護や児童 扶養手当等々もナショナルミニマム、児童福祉法に代わる現金給付ということで、これ もやっぱり国の役割。そういう意味からしますと、逆に国民健康保険とか、あるいは老 人保険制度というようなことにつきましては、医療サービスの基盤整備という点で、歴 史等を持って進んできていますし、逆に医療費の偏在とか地域格差に着目をして、やる 余地もあるのではないかという意味からしますと、この国保や老人保健の分野におい て、どういう役割を地方として果たしていくことができるのか。国と地方の公費負担の 割合は、むしろここのところで本丸として真剣に議論していくべきではないかというよ うな見解を持っております。 星野部会長  ありがとうございました。もうおひと方ぐらいどうぞ。どうぞ、北郷委員。 北郷委員  浅野委員の言われた「なんで生活習慣病をやるのだ」と、こういうことなのですが、 それにズバリお答えになるかどうか分からないのですが、河内山委員が言われましたよ うに、国保は非常に苦しいものですから、なんとか医療費を下げようと思って、保健事 業を一生懸命にやるのですが、そのときに私も色々やってみての感想ですが、保険財政 のためと言うとこれは現実には動かないのですね。保健婦さんとか関係者は、結局のと ころ、実際に健康は色々気の毒な状態になる。寝たきりになったりとか、足がだめにな ったり、あるいは人工透析になったりとかということで、そういうことを防ぐというや っぱりそういう気持ちでない限り、本当の本物の保健事業にならないということを非常 に感じまして、それでさっき星野部会長が途中でおっしゃいましたように、健康という ものに対する価値が認識されて、それが福祉国家の1つの健康の実現ということが、や はり目標として大きく考えられてきた。やはり世間一般の人がみんなそういうふうに考 えてきた。高齢化社会だからなお一層だと思うのですが、そういうことではないかと。 私も保険者の一翼でございますから、河内山委員がおっしゃるように、国保財政は非常 に苦しい。だからついどうしても財政が良くなるようにというようなこともつい言うの ですけれども、やっぱり本当に人を動かすためには、そういうものでは動かないと、こ ういう感じを強く持っています。お答えになるかどうか分かりませんが。やっぱり県に しろ市町村自治体にしろ、やっぱりそういう1つの目標のために、みんなで協力してい くというのが基本だろうと、こういうふうに思います。 星野部会長  どうもありがとうございました。この議論は尽きないと思いますが、予定の時間にな りましたので、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。しかしながら、ぜひ まだ私はこういうことを言いたいという方がいましたら、お一人ぐらいは結構ですけれ ども、どうぞ。 久保田委員  混合診療の問題について非常に気になっております。基本的には安易に拡大していく ことについては、極めて問題だというスタンスでいるのですが、その議論については、 この場ではどうするのか。 星野部会長  ちょっと今日は。それではどうもありがとうございました。次回の日程につきまして は、事務局において調整の上、ご連絡することとしたいと思います。本日はご多忙の 折、お集まりいただきありがとうございました。ご協力ありがとうございました。                                     <了> (照会先)  厚生労働省保険局総務課企画調査係 (代)03−5253−1111 (内線)3218