04/10/15 第6回医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会議事録   第7回:ライフサイエンス研究におけるヒト遺伝情報の取扱いに関する小委員会   第6回:医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会                    議事録 1.日時  平成16年10月15日(金) 17:30〜19:30 2.場所  厚生労働省専用18〜20会議室 3.出席委員  位田委員、小幡委員、垣添委員(座長)、鎌谷委員、具嶋委員、         黒木委員(座長代理)、栗山委員、武田委員、富永委員、豊島委員、         廣橋委員、福嶋委員、堀部委員、南条委員、柳川委員、吉倉委員         (事務局)         文部科学省:清水研究振興局長 小田大臣官房審議官               安藤生命倫理・安全対策室長         厚生労働省:松谷技術総括審議官 上田厚生科学課長               高山研究企画官 他 4.議題   (1)遺伝子治療臨床研究及び疫学研究における個人情報保護に係る諸課題への対      応について   (2)その他 5.配布資料    資料1:「遺伝子治療臨床研究に関する指針」について個人情報保護に関して検        討すべき事項(案)    資料2:「疫学研究に関する倫理指針」について個人情報保護に関して検討すべ        き事項(案) 6.議事 ○高山研究企画官  ここからは厚生労働省の「医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門 委員会」及び文部科学省の「ライフサイエンス研究におけるヒト遺伝情報の取扱い等に 関する小委員会」を合同で開催いたします。  最初に委員の出席状況ですが、あらかじめ宇都木委員、大山委員、菅委員、橋本委員 より欠席とのご連絡を頂戴しております。辻委員、南条委員は少し遅れるようです。ま た、今日の進め方ですが、本日及び来週の2回の委員会において、先日ご議論いただい たゲノム指針以外の3指針について、個人情報保護に基づく必要な見直しについてご議 論、ご整理いただきます。その上で、ゲノム指針と同様に必要な措置等を盛り込んでい きたいと考えております。今週、来週と2回、非常にタイトなスケジュールで恐縮です が、よろしくお願いいたします。これから2つの指針をご議論いただきますが、本委員 会の検討結果を整理した指針の見直し案をパブリックコメントにかけたいと思います。  議事に入りたいと思います。2省合同開催ということで、座長と座長代理について、 3省合同委員会において垣添委員に座長を、黒木委員に座長代理をお願いしております ので、この委員会においても同じく垣添委員に座長を、黒木委員に座長代理をお願いで きればと思っておりますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○高山研究企画官  それでは、垣添委員、よろしくお願いいたします。 ○垣添座長  引き続き、よろしくお願い申し上げます。まず、事務局から配付資料の確認をお願い します。 ○事務局  配付資料の確認をいたします。資料1「『遺伝子治療臨床研究に関する指針』につい て個人情報保護に関して検討すべき事項について(案)」、資料2として疫学研究につ いて同様の資料を用意しております。机上配付資料として、それぞれの指針について3 段表として、現行案と改正案、改正に当たっての考え方をそれぞれ示したものをお配り しております。先ほど臨床研究の指針についてご議論いただき、こちらは今回の遺伝子 治療臨床研究にも非常に関係することから、ご参考に先ほどの臨床研究指針の3段表を 付けております。 ○垣添座長  特に過不足はありませんか。本日の議事に入りますが、本日は「遺伝子治療臨床研究 に関する指針」と「疫学研究に関する倫理指針」の2つをご議論いただきます。最初の 1時間程度を使って、遺伝子治療臨床研究に関する指針についてご検討いただき、引き 続き、残りの1時間を使って疫学研究の検討をしたいと思います。  資料1と机上配付資料に基づき、ある程度区切りをつけながら順番に議論を進めたい と思います。まずは定義関係について、事務局から簡単にご説明をお願いできますか。 ○事務局  時間の関係上、一括して説明してよろしいですか。 ○垣添座長  わかりました。お願いします。 ○事務局  資料1に基づいて説明しながら、それが実際の改正案ではどのようになっているのか を新旧対照表で見るという形で説明させていただきます。  「検討すべき事項」の1頁ですが、基本的にはゲノム指針の資料と同じですので、説 明は省きます。5頁の「整理すべき事項」ですが、個人情報の定義の関係です。現行の 指針では、個人情報の定義がありません。そのため、個人情報の定義を追加するという ことですが、「容易に」という言葉を入れるかどうか議論しており、先ほどの臨床研究 指針でも「容易に」という文言を入れた案を出しております。やはりゲノム指針におけ るゲノムの情報の特殊性と、その他の指針で扱うものの特殊性、それぞれ個人情報保護 法上でどれだけ個人情報保護をしていくべきなのかという点で若干違いがあるのかと思 い、ほかの3指針については「容易に」を入れております。要するに、個人情報保護法 に合わせるという形になっております。ただ、公的機関においては、公的機関の法律の ほうで個人情報の定義において「容易に」の文言は入っていません。当然、指針より法 律のほうが重いですから、公的機関についてはそちらが適用されるということです。机 上配付資料の1頁の下に個人情報の定義が書いてあります。  5頁の「保有個人データ」の定義についてはゲノム指針には書いてありませんでした が、この指針においては個人情報保護法の整理と合わせて、保有個人データの定義も入 れました。  「死者の情報」についてですが、この指針では「生存する」を入れてあり、死者の情 報は個人情報からは除いております。こちらは先ほどの臨床研究指針と整合性がとれて いないところがありますので、事務局のほうで整合性をとらせていただきたいと思いま す。この「生存する」を入れると、死者の情報はどうでもいいのかということになりま すので、安全管理措置の細則により、死者についても情報の取扱いについて配慮するこ ととしています。ただ、開示などもすべて含めて、生きている人も死んでいる人も全く 同じに扱うという形ではないという整理をしたということです。  「『個人情報の保護に関する措置を行う者』の位置づけ」です。今回の資料中に○○ ○と、空白になっている箇所があります。これは先ほどの臨床研究指針における議論を 踏まえて、決めるということで、空白にしております。基本的に、先ほどの臨床研究指 針の検討結果に合わせる。安全管理措置など組織上の対応が求められるものについて は、研究機関の長が行う。一方で、開示、利用停止等の対応の責任者の部分は、研究責 任者が行うという整理だと理解しております。臨床研究指針の新旧対照表でそのように 整理しておりますが、それに合わせて遺伝子治療の臨床研究についても整理をしたいと 思っております。  8頁の「利用目的の特定について」は、3段表の3頁に相当するものがありますが、 8頁のいちばん下で、この指針において「法定代理人等の同意を可能とする場合は、本 人の同意を得ることが困難である場合に加え、遺伝子治療臨床研究を実施することが被 験者にとって有用であることが十分に予測される場合」という条件を課しました。この 条件を課すことで、法律の第16条第3項第2号の要件等を満たすという整理をし、それ をさらに倫理審査委員会がきちんと見るという形にしております。  9頁の「利用目的変更時の本人同意について」ですが、これは基本的に法律の条文を 踏まえながら、指針の中にそれぞれ盛り込んでいるところです。10頁の「適正な取得」 「データ内容の正確性の確保」、これもいずれも法律あるいはゲノム指針と同様です。 12頁の「安全管理措置」、新旧の10頁ですが、これについても基本的にゲノム指針、要 するに法律と合わせています。14頁に「研究従事者等の監督について」と「委託先の監 督に係る規定」がそれぞれ盛り込まれております。これは3段表の12頁に書かれていま すが、これも基本的にはゲノム指針と同様です。  16頁の「第三者提供の制限について」、3段表の13頁にありますが、これも基本的に はゲノム指針等に合わせているものです。以下、18頁、19頁も整理としてはゲノム指針 と合わせる形で整理をしてありますし、21頁の訂正等、利用停止等の規定、23頁の手数 料、手続きの問題についても、ゲノム指針とそろえています。24頁の「理由の説明」、 3段表の16頁にありますが、いずれもゲノム指針等、法律に即した形で改正していま す。また、苦情処理についても、法律に即した形で見直しをしているものです。 ○垣添座長  遺伝子治療臨床研究に関する指針に関して、個人情報保護法との関係での整理を、資 料1と机上配付資料に沿ってご説明いただきました。ゲノム指針の見直しでご議論いた だいたところとかなりオーバーラップしていますが、それ以外の部分も含まれています ので、時間の関係で、一括して何かご質問、ご発言等ありましたらお受けしたいと思い ます。 ○鎌谷委員  遺伝子治療に関しては、個人情報の保護が厳格であるという必要性は、それほどはな いと思うのです。むしろ遺伝子治療をやる前に、この人はどの遺伝子が悪いとか、どの ように悪いということを決めて、その下に治療するということで、どこが悪いというこ とがわかるので個人情報にはなると思うのです。その部分は、遺伝子治療のための診断 の部分とも考えられると思うのです。ですから、診断あるいは解析の部分には非常に個 人情報が存在するのですが、治療行為そのものにはそれほど存在しないのではないかと 思うので、私はそれほど、遺伝子治療そのものに個人情報保護法に関係がある部分が多 いとは考えません。 ○垣添座長  たぶん大方の委員の理解もそうではないかと思います。つまり、ゲノム指針に関して は、ご指摘のように個人情報に直接的にかかる部分ですので、いろいろご議論いただき ましたが、遺伝子治療に関してはそういう部分は薄くなるのではないか。したがって、 先ほどの事務局からのご説明にもありましたように、「容易に」というのがここでは入 っているわけです。そういう整理になっているかと思います。ほかにいかがでしょう か。 ○吉倉委員  いまのコメントに関係があるのですが、遺伝子治療に関してはカルタヘナ議定書に関 係して、モニタリングがいわゆる開放系利用のカテゴリーに入るので、その辺のところ は少し考えておいたほうがいいかもしれないですね。 ○垣添座長  もう少し発言を補足していただけますか。 ○吉倉委員  簡単に言うと、複製できるベクターを、遺伝子治療に使うことはあり得るわけです ね。そうすると、そういう人たちに二次感染が起こったりするということがあり得るの ではないか。というのは、もしそのようなベクターを使えば、アデノウイルスベクター などは増えるベクターを使う場合もありますから。そういうことから言うと、完全に個 人を特定できないような状況というのは、ひょっとしたら難しい。そういう別のレギュ レーションの面から不適当かもしれない。いま思いついた話で、頭の整理ができていな いのですが、遺伝子治療についてそういう面があると思います。 ○高山研究企画官  ただいまの吉倉委員からのご指摘ですが、遺伝子治療に関しては生物多様性の関係 で、いわゆるカルタヘナ法の規定がかかっています。それについては、別途、それに問 題がないかどうか、ご審査いただく体制をとっております。現在、別途審査していただ いているところですが、その関係でこちらと対応するかどうか、これについてはもう一 度、次回までに調べさせていただきます。その審査の過程では、いま研究を止めるなど という事態には陥っておりませんので、それだけ報告しておきます。 ○垣添座長  どこで検討しておられるのですか。 ○高山研究企画官  カルタヘナ法に基づく委員会を、厚生科学審議会科学技術部会の下に設けて、そこで 吉倉委員が座長で議論いただいていますので、委員とも相談の上、必要な規定が漏れて いないかどうかを確認したいと思います。 ○位田委員  先ほど鎌谷委員がおっしゃった件なのですが、遺伝子治療そのものでは、確かに個人 遺伝情報が明らかになるとか、それを扱うという話ではないのですが、診断の部分では 扱う可能性があるということになると思うのです。それはこの指針の対象になるのか、 ならないのか。つまり、どこから遺伝子治療の臨床研究が始まって、どこでその研究が 終わるのか。その辺りはどうなのでしょうか。確かに、狭い意味の遺伝子治療はこれで いくのはわかるのですが。 ○高山研究企画官  まず、何か病気になって病院に行き、診断を受け、治療を受けているというところに ついては、医療機関における個人情報保護で、いま医政局がガイドラインの作成を進め ています。そこで確定したあと、どう治療していくかの1つの選択として、実験的な臨 床研究を行うかどうか、患者の自由な意思に基づいて始めるわけですが、その立てられ た計画の開始から計画の終了までは、臨床研究の範囲だと思います。研究が終わって、 通常の治療を開始するのであれば、また医療の範囲に戻っていくということで、立てら れた計画での範囲内のところは指針が適用されるという形で考えております。 ○位田委員  わかるのですが、鎌谷委員がおっしゃった診断という部分が、研究計画に入るのか、 入らないのかというのが気になるのです。 ○鎌谷委員  私の意見は、検査あるいは診断の部分は切り離したほうがいいと思うのです。なぜか というと、遺伝子治療そのものに個人情報があるわけではなくて、それに関係する診 断、検査、研究のほうにあるわけだから、そういうことを言うと、それが関係する医療 行為すべてを網に掛けなければいけないということになるので、問題がある部分は切り 離して、遺伝子治療そのものはそれほど関係ないというようにしておいたほうが、私は 研究の推進のためにはいいのではないかと思います。 ○黒木座長代理  診断の部分は、ゲノム指針で十分カバーできるのではないかと思います。 ○鎌谷委員  実際に遺伝子治療をするときには、最初からやろうと思ってやるわけではなくて、ま ず診断があって、治療に適当であると判断したら、そのように移るということなので、 その部分は診断と考えたらいいのではないでしょうか。 ○事務局  診断については、まさに医療行為であり、医療のガイドラインの範疇に入ると思いま す。 ○垣添座長  ほかにいかがでしょうか。問題を先送りしていますので、いずれどこかで整理しない といけないと思います。つまり、研究と臨床の境目、あるいは研究と臨床試験、治験と の関係など、既にいろいろ問題としてご指摘いただいているところです。 ○鎌谷委員  遺伝子治療について、特別に法律やガイドラインを作る理由は、遺伝子を替えること がものすごく倫理的に問題があるということで、個人情報の問題ではないと思うので す。もちろん遺伝子治療というのは、倫理的にすごく問題にしなければいけないのです が、それは遺伝子を替えるという行為そのものに問題がある可能性があるということだ と思うのです。 ○事務局  先生がおっしゃるとおりで、ゲノム指針と遺伝子治療臨床研究指針では、ゲノムと遺 伝子という言葉のために、これらの指針が非常に似ているようなイメージがあるのです が、ゲノム指針では、解析されたデータの個人情報をしっかり保護するべきだというの は非常に大切です。ただ、遺伝子治療臨床研究指針の場合、研究自体についていろいろ と留意すべき面は当然あろうかと思いますが、得られた情報については、ゲノム指針で 扱う情報と比べると、個人情報の保護の必要性は違うのではないかと思っているところ です。 ○垣添座長  ほかにいかがでしょうか。いまの事務局からのご説明、それからこのご議論を聞いて おりますと、遺伝子治療研究に関する指針における個人情報保護は、あまり大きな問題 にならないという感じです。特にご議論がなければ、これで次の疫学研究指針に移って よろしいですか。                  (異議なし) ○垣添座長  続きまして、「疫学研究に関する倫理指針」の資料の説明をお願いいたします。 ○事務局  「疫学研究に関する倫理指針」について、資料2と机上配付資料の対照表を適宜ご参 照いただきながら、説明いたします。資料2の3頁、整理すべき事項です。先ほどの遺 伝子治療研究指針やゲノム指針で、いままでいろいろ見てきたわけですが、それぞれ性 格を異にする部分があって、こちらの疫学指針については、情報保護の必要性という意 味ではなくて、形式上という意味で、ゲノム指針に近い面があります。というのは、資 料を提供する機関があって、研究をする機関がある。同一法人の中で、2つの別々の機 関があり得る。これはゲノム指針でも同様のことがあって、疫学研究についても同じよ うな状況が考えられます。一方、遺伝子治療臨床研究については、基本的にはそうした 状況は考えられないだろうということで、ゲノム研究や疫学研究とはそこの性格が違 う。そのため、個人情報を管理する人、責務を課す人を誰にしようかといったときに、 遺伝子治療研究の場合は、研究の中で閉じられた空間のトップの人に課すことで対応で きたのではないか。  ところが、ゲノム指針については、法人の長という、かなり上のレベルで課さなけれ ばいけない。この疫学研究指針についても、そうした意味で、どうしても同一法人の中 で試料等提供部門と研究部門に跨がる機関があることから、法人の長に課さねば整合性 が取れないということを懸念しています。ただ、個人情報保護の必要性から見て、ゲノ ム指針と比べて疫学指針で扱う情報の性質が異なるのではないかと考えています。委任 規定はゲノム指針でも設けていますが、この疫学研究指針についても法人の長という形 で課してはいますが、それを委任規定で下すことができるようにし、実務上、研究者か ら見て、研究に支障がないように、できるだけ配慮していきたいと考えているところで す。  併せて、研究そのものについて責任者を規定しています。これは個人情報保護とは別 に、疫学研究指針の中で研究そのものについて、いろいろ責任を課しております。これ はいままで研究機関の長、例えば病院長などに課していたわけですが、これを個人情報 保護と一緒に法人の長に上げてしまうのは行き過ぎで、実際、研究現場に影響が出るの ではないかと思っております。研究そのもの、個人情報保護に関係のない部分について は、今までと同様に、基本的に研究機関の長、病院長や学部長に課すようしたいと考え ております。3頁、4頁については、網掛けの部分は、基本的にはゲノム指針と同様の 形です。ただ、死者の情報については、これも「生存する」を含む形となっており、先 ほどの遺伝子治療臨床研究指針とそろえております。  「容易に」については、ゲノム指針と比べると、こちらも保護の必要性が薄いのでは ないか。要するに一般の法律である個人情報保護法と並ばせる程度でいいのではないか ということで、個人情報保護法の適用をそのまま活用して、「容易に」という言葉は残 すという形で整理しております。「保有個人データの定義」については、先ほどの遺伝 子治療研究と同じように設けております。5頁の「個人情報の保護に関する措置を行う 者」の位置づけは法人の長に課して、それを適宜委任できるという形で対応してまいり たいと思っているところです。  10頁の「利用目的の特定」についても、基本的にはゲノム指針、遺伝子治療研究指針 を踏まえて、現行指針で足りないところを適宜補ったものです。利用目的に関して、そ れぞれ条項を盛り込んでおります。  12頁にゲノム指針と比べて疫学指針の違う所がありますので、それを説明します。ゲ ノム指針では、インフォームド・コンセントにおいて、本人同意が取れるのではないか ということで、いくつか整理をしました。ところが、疫学指針の場合、インフォームド ・コンセントを要しない場合があります。この場合でも、こういうことには気を付けて くださいということが書いてあります。インフォームド・コンセントを受ける場合と、 インフォームド・コンセントを要しない場合はここを気を付けるという両方を入れるこ とで、最終的に個人情報保護法の要件を満たす形で整理をするということです。  具体的には、3段表の11頁に7として、「研究対象者からインフォームド・コンセン トを受ける手続き等」の改正案のただし書きの所で、こういった場合にインフォームド ・コンセントを受ける手続きを簡略化すること、もしくは免除することができると示し てあります。赤で書いてある所を新しく追加しながら、併せてその下の細則の所に、イ ンフォームド・コンセントを簡略化したり、免除していい場合の細則が書いてあります ので、この細則の中の条件も照らし合わせながら見ているところです。12頁は、いま見 たところでの整理がされているところです。  13頁の「適正な取得」、14頁の「データ内容の正確性の確保」、15頁の「安全管理措 置」は、いずれもゲノム指針、個人情報保護法、先ほどの指針に同じように書いてあり ます。また、18頁の第三者提供の話についても同様に整理しております。  21頁の「保有個人データに関する事項の公表等」についても基本的にそろえているの ですが、先ほど言った、インフォームド・コンセントを取らない場合についてはこうし なさいという担保を、ここで示しています。インフォームド・コンセントを取らない場 合にはこうしなさいという担保の仕方がほかにも出てきますので、ご留意いただければ と思います。  23頁の「保有個人データの開示」、24頁の「訂正及び利用停止」、26頁の「手続き及 び手数料」は、いずれもほかの指針と並んでいるものです。28頁の「理由の説明」の真 ん中よりやや下に、2つポツがあります。この2つのポツも、やはりインフォームド・ コンセントを取る場合はこれで担保できている。取らない場合、簡略化の場合はこの要 件で担保している、という形での整理です。また、いちばん下のポツ以降はゲノム指針 と並んでいます。以上です。 ○垣添座長  何かご質問、ご発言がありましたらお受けしたいと思います。いまのインフォームド ・コンセントの件ですが、これは疫学研究を進めていく上での倫理指針上のインフォー ムド・コンセントと個人情報保護との関係で、どのようにかかわるのですか。 ○事務局  個人情報保護法上、本人の同意を要件としているものがあります。その「本人の同意 」をインフォームド・コンセントで整理しているのが、ゲノム指針の整理です。 ○垣添座長  いまの点は、疫学研究をなさる富永委員、豊島委員何かご意見はありますか。 ○富永委員  疫学研究で、調査対象者と対面で調査ができる場合は、当然きちんとした形でインフ ォームド・コンセントは取らないといけないし、取ることができます。ただ、数千から 数万、あるいは十数万という大規模なコホート調査になると、対面でいちいちコンセン トを取れませんので、集団で説明会などを開いたり、広報で通知したりして説明した上 で、通常、文書で郵送、あるいは配付する形で説明します。その中で同意をしていただ く、氏名を記入していただくという形で、個人情報を厳格に守った上で回収すれば、こ れはできます。  あとのデータの取扱いなのですが、連結可能匿名化というのは重視されていますが、 疫学研究によっては、匿名化すると全く最初から研究が成り立たない場合もあるので す。特殊な疫学的研究なのですが、レトロスペクティブ―プロスペクティブ・スタディ といって、後ろ向きに一度返って、前向きに追跡するような研究がありますが、後ろ向 きに返るときは、医療機関などでどういう症例があるか調査しないといけないのです が、過去数年、あるいは十数年にわたって、過去のデータを調べないといけないので、 そういう場合には匿名化すると医療機関で全く調査できませんので、匿名化しないで内 容整理をしないといけません。ですから、そのような場合でも、きちんとデータを取っ て、データベースができてしまってからはもちろん匿名化しますが、一時期、個人情報 そのものがないと症例が把握できないということもあります。一般論としては、12頁の いちばん上に書いてあるように、「疫学研究は法第16条第3項第3号の例外規定の『公 衆衛生の向上』の要件に該当する」ということで、これは明示していただいて結構なこ とだと思っております。 ○垣添座長  わかりました。そうすると、疫学研究を進めていく上で、インフォームド・コンセン トに関しては12頁に書いてあるようなことでよいということですか。 ○富永委員  はい。 ○事務局  いまのお話の関連で、3段表の11頁の「インフォームド・コンセントの簡略化等」の 所で、個人情報保護法の中で、特に公衆衛生の観点から重要なものについては、いろい ろな面で適用除外とされているところがあります。それらを踏まえて、「インフォーム ド・コンセントの簡略化等」においても、(5)で「当該疫学研究が社会的に重要性が高い 」、要するに疫学研究は公衆衛生の問題ですから、公衆衛生のこの研究が社会的に重要 性が高いということで、それらを担保したり、その他についても公衆衛生という観点 で、非常に重要なものについてもある程度手続きを簡略化できる。これはすべて個人情 報保護法で認められている範囲の中で整理しているところです。 ○柳川委員  インフォームド・コンセントの受け方や簡略化のことが書いてありますが、原則はど こかに書いてありますか。三段表の10頁に、インフォームド・コンセントの中身につい ては確かに書いてあるわけですが、この間ゲノム指針の検討のときにも議論になりまし たが、面談によって直接コンセントを得る方法もある。それから、文書によって得る方 法もある。それも例えば郵送などで得る方法もあるわけですが、その原則というのは、 どこかに記述されているのでしょうか。 ○事務局  3段表の12頁に、それぞれの研究を区切って、その状況をそれぞれ場合分けして、そ れぞれについてインフォームド・コンセントをどのように取るかを示しております。ま た、具体的にインフォームド・コンセントはどういった事項を含むかについては、5頁 に細則という形でかなり細かく書いているところです。 ○柳川委員  インフォームド・コンセントに関して、3段表の13頁、インフォームド・コンセント の最後の所に赤で書いてある、「研究対象者となる者が研究対象者となることを拒否で きるようにしなければならない」という所がよくわからないのです。既存資料のみを用 いる場合に、拒否できるようにしなければならないというのは、そういうことが本当に 可能なのかどうか。どういうことを想定しているのか。例えば、ある集団で血圧の分布 を知りたいとき、分布表を作るとすると、その中の1人の人が拒否したときに、それを 除いてやれという意味なのかどうか、それを教えていただきたい。 ○事務局  既存資料の提供のときの話ですが、これは別の所にもありますので、両方関連して説 明させていただきます。22頁に「既存資料等の提供に当たっての措置」というのがあり ます。要するに、研究を始めるときに既にデータがあるものを研究者に提供されるとい うケースですが、場合によっては、疫学研究者ではなくて、提供した人に個人情報保護 法上の問題が出てくる可能性があるというところがあります。この人を法律から守って あげようという形で、いくつか要件を課す必要があると思っております。23頁の赤で書 かれた部分も、そういったことで加えたものです。いまご指摘のあった13頁も、そうい ったことで加えたものです。13頁については、具体的に一人ひとり聞いてというのは不 可能に近い話なので、このようなことについての情報を公開する。情報を公開して、仮 にその対象者から自分の情報を削除するよう要望があれば応じようというもので、拒否 できることを担保しておけばよいと理解しているところです。 ○柳川委員  11頁の赤字の下の(1)に「当該疫学研究が、研究対象者に対して最小限の危険を超え る危険を含まない」、これの意味がよくわからないのです。これは以前からもあるとこ ろです。 ○事務局  この場合、おそらく研究対象者がこのような疫学研究の場合に、それほど危険はない だろう、というのがまずあるのだと思います。したがって、基本的にそういった危険は ないのだろうけれども、それがあるようだったらいけないということを、このような持 って回った言い方をしているのではないかと思っております。 ○具嶋委員  5頁の「インフォームド・コンセントの受領に関する細則」の所ですが、昨日もある 倫理委員会で議論になったのは、そのときは臨床研究だったのですが、研究の目的を狭 義に取るのか、包括的に取れるのかどうか、保存期間をどのぐらい取れるのか、その辺 が議論になったのですが、この辺は特に記載されていないのですね。 ○事務局  具体的な所については、Q&A等でも対応したいと思っております。個人情報保護法 は一般法ということもあろうかと思いますが、利用目的の特定といった場合に、例えば ゲノムについての解析研究をすることが利用目的の特定になっているという言い方をさ れたことはあります。ですから、利用目的の特定が疫学研究だけよいのかということに ついては、個人情報保護法との関係においてはよろしいと理解しております。その辺は 事務局でもよく調べて、またQ&A等で対応できるものについては対応したいと思って おります。 ○南条委員  資料2で、専門家の方々はこれでわかるかもしれないのですが、私はわからないので す。28頁の「インフォームド・コンセントを受けることを必ずしも要しない場合」の下 のほうで、「要しない場合については、当該研究の実施についての情報を公開すること を規定しているが、あらかじめ開示ができない事項が想定される場合は、そのことを公 開する内容に含めることを示す」、これは拡大解釈してしまうと、これも開示できな い、これも開示できないと全部言えば、それで済むということがあるのかどうか。つま り、できないと言うことをもって情報を公開することになるという意味に読めるのか、 開示できない場合が想定される場合はできないと言えば、それで公開したことになると いうことなのか。この文章の読み方がわかりにくいので、説明をしていただきたい。 ○事務局  法25条第2項では、開示ができない場合は、理由を説明するよう努めることが規定さ れております。「開示ができない事項が想定される場合は、そのことを公開する内容に 含めることを示す」とは、開示できない理由もそこで公開しておくと書いたようです が、読みにくい文章になっているかと思います。要するに法律の第25条第2項の規定に 沿うようにしたいというものです。 ○垣添座長  開示できない場合は、あらかじめインフォームド・コンセントの中に記しておけとい うわけですね。 ○事務局  その理由を示しておくということです。先ほどの最小限の危険ですが、研究対象者に 対して、最小限の危険を超える危険を含まないようにしなさいということで、細則で は、最小限の危険を「日常生活や日常的な医学検査で被る身体的、社会的危害の可能性 の限度を超えない危険であって、社会的に許容される種類のものをいう」とあり、要す るに危険が全くないということは、さすがに無理がありますので、基本的には危険がな いと示すために、このような文になったのではないかと思っております。 ○位田委員  先ほどの「開示できない事項が想定される場合」ですが、これはあらかじめそういう ことがあり得ることを研究計画の中に書き込んでおくという趣旨ですね。そうだとする と、こういった理由によって開示できない可能性があるということも、倫理委員会が判 断をして、もし倫理委員会の判断でこれは開示していいのだという結論が出れば、開示 されるケースもあり得るということでよろしいですか。つまり、研究責任者が開示する ことと開示しないことを勝手に判断するのではなくて、最終的にはある時点で倫理委員 会のチェックが入ると、それでよろしいですか。 ○垣添座長  これは具体的にはどういう場合が考えられるのでしょうか。 ○吉倉委員  情報公開法の場合とは違うのはよくわかっているのですが、情報公開法の時にはあら かじめこういうものは公開対象にならないというガイドラインが来ました。だから、そ ういうのを一応想定して、こういう項目を作られたのですか。要するに、厚労省か文科 省か、そういうガイドラインを作る所で今後、具体的な実例を示す予定でおられるので しょうか。 ○事務局  実例を示すことになるかどうかわかりませんが、このあとパブリックコメントを行う と、研究者からいろいろなご質問、ご不明な点、ご意見などをいただくと思います。ご 意見については、修正すべきものは修正しますし、ご質問の点で、わかりにくいものに ついてはQ&Aで対応していきます。その中で、なるべくわかりやすく示していく必要 があろうかと思います。「例えば」という形で示すこともあろうかと思います。そうい った形で対応させていただきたいと思っております。 先ほどの件を説明させていただきます。今回3段表の3頁に「計画書に記載すべき事項 に関する細則」を設けております。その中の6番目のポツに、「インフォームド・コン セントを受けるための説明事項及び同意文書」を研究計画書の中に盛り込むことにして おります。  5頁に「インフォームド・コンセントの受領に関する細則」を設けて、どういったも のを説明するのかという一般的な事項を示しております。その中に「研究対象者等から の開示の求めに対し、開示ができないことがあらかじめ想定される場合は、当該理由」 を説明することで、研究計画書の中にこれが入ることにより、倫理審査委員会で審査を された上でインフォームド・コンセントを取る、という流れになっております。 ○豊島委員  開示できない場合の簡単な例はできない。普通は統計解析を要するようなもので、そ の途中の段階で病気の関連などの場合には開示できないのです。本人から要求されて途 中の段階で言うと、かえって害になるし、迷わすことになりますから、そういう場合は 普通の例にはなると思います。 ○福嶋委員  ちょうどインフォームド・コンセントの話題なので、この場がディスカッションの場 でないことは重々承知しておりますが、一昨日のディスカッションの中で不十分な点が あったと思います。疫学にしても、臨床研究にしても、インフォームド・コンセントの 担当者というのは医療従事者には限られておりません。ゲノム指針のところだけ、「履 行補助者は医師及び看護師等医療従事者でなくてはならない」というのは、極めて不合 理だと私は思います。3省合同の委員会でディスカッションすべきだと思いますが、個 人情報を守るために十分エデュケーションを受けた人が、個人遺伝情報の重みというこ とを十分認識した上で対応すべきであって、研究責任者と契約を取り交わしてきちんと やりますという方に任せたほうが、より個人情報は守られると思いますので、是非、次 回の11月2日の会議のときにもう一度審議していただきたいと思います。 ○垣添座長  繰り返しご発言いただいていることはよくわかっておりますし、ご指摘の点は私自身 はそのとおりだと思うのですが、前回の議論の際に一足飛びにそこまで行ってしまって いいかといったこともあって、原案どおりになっていますが、必要でしたら次回ご議論 いただければと思います。 ○小幡委員  この3段の対照表の22頁ですが、赤字の改正案の所で、匿名化している場合は第三者 提供に当たらないということになろうかと思うのですが、(1)の「当該資料が匿名化さ れていること」で、連結可能匿名化であって、対応表を有していない場合はこれに入る のだということです。(2)はそうではない場合ということだろうと思うのですが、「当 該資料が連結不能匿名化されていない場合において」とありますが。 ○事務局  それについては資料の訂正ミスで、ここで事務局が意図していたのは、(1)以外の匿 名化がされていない場合については、(2)のア、イの条件であるという所をお示しした かったのです。 ○小幡委員  そうですか。そこの対応がうまくできていないのでお聞きしたかったわけで、つまり (1)でない場合という意味合いですよね。 ○事務局  そういうことです。 ○小幡委員  わかりました。 ○柳川委員  いまの3段表の14頁の上のほうに、代諾者からのインフォームド・コンセントのこと が書いてありますが、(2)で未成年者の場合で、特に16〜19歳の方々については、代諾 者と本人と、両方のインフォームド・コンセントを得なければならないというのは、本 当に現実的かどうか。例えば高校生にかなり大掛りな仕事に協力してもらうときに、代 諾者というのは親なのかどうか。その両方が本当に必要なのかどうか。その下の(3)で すが、たぶんこれは死亡原因や病理所見などを頭に置いているのだと思いますが、「生 前における明示的な意思に反していない場合」ということがわかるのかどうか。その2 点です。 ○事務局  これもいままでの指針と同じもので、特に改正していないものです。16歳の場合どう なのかということですが、ある程度年齢が高くなってくると、本人の意思もある程度尊 重していかなければいけないのではないか。15歳だったらいいのか、14歳だったらいい のかと、いろいろ議論はあろうかと思います。この指針上では、16歳での整理をしたの ではないかと思っております。  また、「死者であって、生前における明示的な意思に反していない場合」とはどのよ うな場合か、例えば宗教的な理由で、この方はある教徒で、疫学研究の対象となること については絶対に拒絶されるということがあった場合など。研究対象者が死ぬ前に、疫 学研究の対象になるのは絶対駄目だとは、通常おっしゃらないでしょうから、想定しに くいのだと思います。ただ、死者であっても意思をできるだけ尊重するという意向で設 けられたと理解しております。 ○黒木座長補佐 「代諾者が16歳以上の場合は、代諾者本人の」というのは、疫学とは 違うのですが、例えば教育現場で自分の遺伝子型がアルコールに強いか、弱いかを調べ る場合には十分それが可能で、実際そのような実習を行っております。 ○柳川委員  遺伝子の場合はそうなのですが、かなり大掛りなメルクマールを使っていたというよ うなときに。 ○黒木座長代理  これはたぶん十分可能だと思います。 ○柳川委員  いずれかでいいような気がするのですが。 ○垣添座長  資料2の中にいくつか、「○○でよいか」という疑問形のものがありますが、それは みんな固めていかなければいけませんか。 ○事務局  「よいか」という点について、考え方を示したものがこの3段表です。これに、良い か、悪いかについての叩き台を示しております。 ○富永委員  3段表の14頁のいちばん上の「代諾者」の(2)で、「16歳以上の場合には、代諾者と ともに、研究対象者本人からのインフォームド・コンセント」というのは、柳川委員は どちらかでいいのではないかとおっしゃっていますが、それでいいのではないかと思い ます。両方から取らなくていいと思います。 ○位田委員  両方から取らなくていいという理由がよくわからないのです。大規模だからというの は、確かに研究をする上ではそのほうがやりやすいと思うのです。しかし、実際に情報 はそれぞれの個人から集めるわけですから、大規模だからどちらかでいいというのは、 理由としては不十分だと思います。 ○富永委員  未成年者の16歳以上19歳までだと、十分自分で判断ができるのではないかと思います が。 ○位田委員  これはゲノム指針のときもいろいろ議論をしましたが、やはり未成年者から試料をい ただく、もしくはデータを取るという場合には、その未成年者は完全な成人ではないの で、そういう能力はまだ完全には得ていない。いかに理解ができたとしても、1人だけ でそれでいいという能力はまだ備えていないとみなして、代諾者が必要だと。ただし、 小さい人は説明してもわからないと思うので、当然、代諾者が基本になるのですが、あ る程度の年齢になれば教育もある程度できていますから、説明をすれば理解してもらえ ることはできるだろう。その場合に、本人は嫌だと言っているのに、代諾者がイエスと 言うケースもあるし、その逆の場合もありますから、そういう場合は当然2人の同意が そろわないとできない。 ○富永委員  本人が16歳以上ですから、高校生または18歳、19歳、大学生1、2年ぐらいですね。 本人がいいと言っても、代諾者に一応了承してもらえるかどうか、意見を聞かないとい けないということになるわけですか。 ○位田委員  未成年者の保護という点からすると、それが妥当だと思っております。 ○黒木座長代理  この問題は、前回の3年前のときに議論した問題で、未成年者は代諾者が必要だとい うことで、その基本の上に16歳以上のときは本人も取らないと、本人がそれだけ判断で きる資質を持っているからということで、本人はプラスされていると考えるほうがいい のではないかと思います。 ○垣添座長  そうですね。ゲノム指針を作るときに、未成年者の扱いは随分議論しましたね。その 整理がそのままここにも現れていると考えます。小児がんのお子さんなどで、16歳以下 であっても、10歳、あるいは10歳を切る方でも、がんの実態をきちんと説明すると相当 理解されますので、こういった規定もいずれまた変わっていく可能性はありますが、現 在のところはこのままにしておきましょうか。ほかにいかがですか。 ○鎌谷委員  個別にどの文言がということはないのですが、疫学をやっておられない先生方に説明 すると、疫学研究というのは日本ではものすごく遅れているのです。しかも疫学研究と いうのが、国民の安全と健康を守るために最も重要な研究だと思うのです。例えばいま 言われた中で、私はこの研究に参加しないと言われると、実は疫学研究ではものすごく 問題が多くて、バイアスがかかって、本当のことが証明できないこともすごく多いこと も指摘しておきたいと思うのです。だから、疫学研究の重要性が日本は極端に理解され ていなくて、本当はそれが国民の健康を守るためにものすごく重要であって、個人の尊 厳や権利の兼ね合いは難しいと思うので、自分は参加しないなどと言われると困る。そ れによって結果が曲げられて、結局それを応用したときに国民がものすごく困ることも 事実なのです。この説明を読んで、そういうところも考慮していると思うのですが、そ の点に我々としても理解はしていただきたいと思います。 ○位田委員  いまのご発言では、疫学研究の重要性が、どの程度国民に理解されているかというこ とのほうが問題になるのだろうと思うのです。疫学研究自身の重要性は当然あるのです が、いままで国民に、それを理解するような教育なり、広報なりをどの程度してきたか ということが問題で、それが必ずしも十分ではなかったので、疫学研究自身が遅れてい るということなのだろうと思います。私は別に反対意見を申し上げているわけではあり ません。 ○鎌谷委員  そのとおりで、これは文部科学省に言っておきたいのですが、例えば疫学や統計の教 育は、欧米諸国に比べて極端に遅れている。だから、私は医師であろうが、国民であろ うが、その重要性を全然理解していないと思います。これを理解しないと、これからの 国民の健康と安全にとって非常に問題を生じる可能性があると私はいつも言っているの です。位田委員の言うとおりで、国民がその重要性をどれだけ理解しているかというこ とが非常に重要であって、これは法律の問題、あるいはガイドラインの問題ではないと は思いますが、我々はそういうことも考えなければいけない。 ○垣添座長  前回のゲノム指針の議論のときに、たしか佐々委員からのご指摘で、教育、あるいは ゲノムの研究全般に関する一般の方の理解を求めるように、前文かどこかに文章を入れ る話になっていますので、いまの話もそれにつながるようなご発言ではないかと思いま す。ほかにいかがですか。 ○小幡委員  いまの話につなげると、この個人情報保護というのは、研究者の方にとって研究しに くくなるという面ばかり捉えられると、大変悩ましいのです。そうではなくて、「疫学 研究なども、取得された個人情報は変に使われることはありません。きちんと法制度上 も保護されるのです」ということを国民の方にわかっていただくと、本来は進みがよく なるはずなので、そういった観点から個人情報保護も理解していただければよろしいの ではないかと思います。 ○福嶋委員  質問なのですが、3頁の「研究計画書に記載すべき事項」、5頁の「インフォームド ・コンセントの受領に関する細則」が赤字で書かれています。これは個人情報保護法に 適用させるためというよりも、臨床研究に関する倫理指針と合わせるためというように 理解してよいでしょうか。 ○事務局  個人情報保護法上、「本人の同意を必要とする」などの要件を課されるものがいくつ かあります。本人に対して、例えば利用目的などを明示しなければいけない。そういっ たものを指針に盛り込むことによって、個人情報保護法をクリアしている部分がかなり を占めているというものです。 いま福嶋委員がおっしゃったとおり、ここに掲げている研究計画書とインフォームド・ コンセントについては、ほかの3指針についてはどのようなことを研究計画書に盛り込 むか、またどういうことがインフォームド・コンセントを取る際の説明事項として必要 なのかというところは示されているのですが、この疫学研究指針については示されてい ませんでした。今回、先ほど申し上げたとおり、個人情報保護の中で、いくつかの要件 として本人の同意が必要な事項があるのですが、そこはインフォームド・コンセントの 中で取れることを明示しておくことが必要ではないか。それを明示するに当たっては、 臨床研究指針を参照して、事項を拾い上げさせていただきました。 ○吉倉委員  3段表の23頁ですが、3の「疫学研究の実施及び資料の提供の情報には、以下の情報 が含まれるものとする」とあります。これはどういう意味ですか。私自身はこれが何の ために書いてあるのか、よくわからない。要するに意味がよくわからない。 ○事務局  右端のカラムにあるとおり、法の第23条第2項のとおり、こういったことをお知らせ しておいて、あらかじめ拒否できるようなことを設けておけば、第三者に提供するに当 たって本人の同意は必要ないという、オプトアウトの要件があります。それをこの指針 の中に盛り込んでいるものです。 これは細則ですので、前のページの本則、11(2)「既存資料等の提供に当たっての 措置」の(2)で、「疫学研究の実施及び資料の提供についての情報を公開していること」 と規定しています。この「公開している」とは、細則に示されたこの情報を公開してい るということで、法第23条の中の第三者提供の制限の適用除外に対応するという関係で す。本則と細則を両方合わせることで、法律の第三者提供の制限の要件を満たすと整理 しております。 ○位田委員  どういう意味かよくわからないです。 ○事務局  細則だけではなく、本則と合わせると、22頁の(2)の(2)のアに書いてある法律の 第三者提供制限の適用除外になっているような情報について公開していることが、既存 資料の提供に当たっての措置の1つです。「既存資料の提供に当たって」とは、第三者 提供の制限を課せられる可能性があることから、本人同意が不要の場合のケースについ て、23頁の赤字で書いてある部分をすべて満たして公表していれば、第三者提供の制限 の問題はクリアできますという読み方です。 ○垣添座長  これはもう少し整理してください。 ○位田委員  これは法律家が読むと大体わかるのです。全部読み合わせするとわかるようにはなっ ているのですが、たぶん現場の研究者の方が読まれるとわかりにくいと思うのです。も う一回、22日に審議がありますので、それまでにできるだけわかりやすい文言に書き換 えていただいたほうがいいのではないかと思います。 ○小幡委員  ここは法第23条第2項をそのまま書いているわけですよね。 ○事務局  本則の「疫学研究の実施及び資料の提供の情報には」が、細則に書かれた4つの点と 対応していないように見え、それでわかりにくいのかと思われます。よく整理いたしま す。 ○垣添座長  ほかに何かありますか。よろしいですか。今日の議論はこれで閉じさせていただい て、事務局から今後の予定をお願いします。 ○高山研究企画官  今日も熱心なご議論をありがとうございました。またお気付きの点がありましたら、 誠に恐縮ですが18日(月)中に事務局まで、メール、ファックスでご意見をお寄せいた だければ助かります。本日のご意見や、併せていただいた意見を踏まえて、次回22日の 会議において、もう一度修正案についてご議論いただいた上で、パブリックコメントの 手続きをとりたいと思っております。  次回の会議ですが、22日(金)午後1時半から4時半、場所は三田の共用会議所で す。次回は、2省の合同委員会を先に開催し、厚生労働省の単独の委員会を開催いたし ます。 ○垣添座長  本日はどうもありがとうございました。                                 ―――了――― 【問い合わせ先】  厚生労働省大臣官房厚生科学課  担当:鹿沼(内線3804)  電話:(代表)03-5253-1111     (直通)03-3595-2171