04/10/15 予防接種に関する検討会第1回議事録             予防接種に関する検討会第1回議事録                          平成16年10月15日(金)                             10:00〜12:00                          於・厚生労働省共用第8会議室                   議事次第               1.予防接種制度について               2.その他 ○江崎課長補佐  それでは、定刻になりましたので、これより第1回予防接種に関する検討会を開催さ せていただきます。  委員の皆様、本日は御多用の中、御出席をいただきまして誠にありがとうございま す。検討会の開催に当たりまして、厚生労働省健康局長の田中よりごあいさつを申し上 げます。 ○田中健康局長  おはようございます。第1回の予防接種に関する検討会の開催に当たりまして、一言 ごあいさつを申し上げます。  まず、委員の皆様方には大変御多用の中、本検討会の委員の御就任をいただきまし て、厚く御礼申し上げます。  さて、我が国の予防接種制度でございますけれども、明治43年に種痘法というのがで きまして、その後昭和23年に予防接種法が制定されました。それ以降、感染症の流行状 況あるいはワクチンの研究開発状況、それから、予防接種に対します国民の意識の変化 等の動向を踏まえまして、何回かの改正を行い、現在に至っているところでございま す。この間、予防接種が感染症対策の大きな柱の1つとして、生活環境あるいは栄養状 態の改善、医療提供体制の整備等の諸要因とも相まちまして、対象の感染症の蔓延防止 あるいは患者数の減少に大きな役割を果たしてまいったのではないかというふうに考え ているところでございます。  一方、感染症そのものは減少してまいりまして、そのときに有効性よりも副反応に対 する関心が非常に高まってまいりまして、一部には予防接種無用論というようなものも 出てまいりました。より安全なワクチンの開発と、それから、安全な接種方法等につき まして、引き続き努力を傾注していかなければいけないことは言うまでもありませんけ れども、新興・再興感染症をはじめとします感染症の発生あるいは風しんの流行といっ た最近の状況を見ましても、予防接種が有効かつ効果的な感染防御となる疾患に対しま しては、今後も予防接種による感染症対策を継続していく必要があるのではないかと考 えている次第でございます。  平成13年には、高齢者のインフルエンザ予防接種の導入を主たる内容とします予防接 種法改正が行われました。このときに5年を目途に検討を行うという規定が盛り込まれ ております。今回の検討会は、その規定を踏まえるとともに、近年焦点となっておりま す麻しんあるいは風しんなどの個別の予防接種について、いかに改善を図っていくか早 急に御検討いただきたいと考えている次第でございます。法令改正も視野に入れて検討 会を進行させていただければというふうに私どもとしては考えております。  なお、制度的な問題に関しましては、もう少し先になると思いますけれども、順次事 務局の考え方を整理しながらお示ししたいと考えておりますので、そのときにまた御議 論いただければと考えている次第でございます。  委員の皆様方におかれましては、専門的な見地から是非、積極的な御意見をいただき ますようにお願い申し上げまして、最初のあいさつに代えさせていただきます。よろし くお願いいたします。 ○江崎課長補佐  お手元にお配りしております資料の中で、予防接種に関する検討会の「議事次第」と いうものがございますが、今後この議事次第に沿って議事を進行いたします。その前 に、委員の御紹介をさせていただきます。50音順で紹介させていただきます。  まず、東京大学医科学研究所教授で付属病院長の岩本委員でございます。  国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部委員でございます。  聖マリアンナ医科大学医学部教授で横浜市西部病院長の加藤委員でございます。  「ひよこクラブ」編集長の蒲生委員は、本日は欠席でございます。  墨田区役所保健衛生担当部長で墨田区保健所長の澤委員でございます。  日本小児科医会常任理事の竹本委員でございます。  大阪市立大学大学院医学研究科教授の廣田委員は、本日欠席でございます。  福岡市立西部療育センター長の宮崎委員でございます。  日本医師会常任理事の雪下委員でございます。  どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、事務局の方を御紹介いたします。  先ほどごあいさつ申し上げました田中健康局長でございます。  本検討会の庶務を担当いたします結核感染症課の結核感染症課長、牛尾でございま す。  感染症情報管理室長の滝本でございます。  以上でございます。  それでは、資料確認を先にさせていただきます。  ステープラでとめました議事次第が一番最初にある資料が、まず1つ。それから、ク リップどめの資料が参考資料としてございます。3番目に、宮崎委員の方から本日いた だきました「予防接種の見直し」というメモがございます。その3点を本日の資料とし て使います。  中身でございますが、ステープラどめの2枚目を見ていただければ、資料一覧がござ いますが、中身の確認を簡単にさせていただきます。  資料1としまして、開催要綱が1ページ目にございます。  それから、2ページ目に委員の一覧、名簿がございます。  資料2としまして、(1)「予防接種制度の概要」、これが3〜5ページまで。資料2 (2)「予防接種制度の変遷」につきまして6〜7ページ。資料2(3)「予防接種健康被害 救済制度の概要」としまして8〜9ページまで。  資料3でございますが「本検討会における検討事項」としまして10〜12ページまで。  資料4といたしまして「今後の進め方について」が13ページにございます。  それから、クリップどめの方の参考資料でございますが、表紙の次から始まります が、参考資料1として「予防接種とワクチン」、これが3〜6ページまで。両面印刷の 関係で、空白部分にもページが振番してございますので御了承ください。  参考資料2としまして「予防接種法の対象疾患の概要と疾病の流行状況について」、 これが7〜14ページまで。  参考資料3といたしまして、英米の予防接種事業の概要でございますが、まず15〜22 ページまでが「米国における予防接種事業の概要」でございます。それから、次に「イ ギリスにおける予防接種事業の概要」が23〜26ページまで。  参考資料4でございますが、根拠法令等がございますが、いずれも抜粋でございま す。参考資料4−1といたしまして「予防接種法」、27〜32ページまで。それから、政 令でございますが、参考資料4−2としまして「予防接種法施行令」が33〜44ページま で。厚生労働省省令でございますが、参考資料4−3としまして「予防接種法施行規則 」が45〜55ページまで。同じく省令でございますが「予防接種実施規則」が56〜58ペー ジまで。  参考資料5でございますが、5−1として「予防接種(一類疾病)実施要領」、これ が59〜72ページまで。同じく参考資料5−2といたしまして「インフルエンザ予防接種 実施要領」が73〜82ページまで。  参考資料6としまして、平成5年度の「今後の予防接種制度の在り方について」の答 申、これが83〜92ページまで。  参考資料7としまして、平成11年の公衆衛生審議会感染症部会における「予防接種問 題検討小委員会報告書」としまして、93〜110ページまで。  参考資料8としまして、ポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討小委員会が取りま とめました「今後のポリオ及び麻しんの予防接種に関する提言」、これが111〜127ペー ジまでということでございます。  なお、傍聴者の方にお配りしました参考資料は、4〜8までについては省略させてい ただいておりますので御了承ください。  それから、先ほど申しましたが、最後に宮崎先生からの追加の資料として「予防接種 の見直し」がございます。  それでは、先ほど説明しました資料1の要綱について、かいつまんで御説明をいたし ます。  本検討会の目的でございますが、平成6年の法改正によりまして、予防接種対象者に 対します責務を緩和いたしまして「接種義務」から受けるよう努力するという「努力義 務」、こういう基本的な現在の予防接種制度の考え方が取り入れられまして10年が経過 をしました。現行制度が定着していく中で、制度を取り巻く環境が変化しつつあるとい うことから、麻しん、風しんをはじめとする各対象疾病、そういうものの流行状況、そ れから、ワクチンの開発状況など、最近の動向を踏まえた対応が必要となっておりま す。こういうことから、予防接種制度を取り巻く重要な課題について検討し、今後の予 防接種制度の在り方について必要な検討を行う、これが本検討会の目的でございます。  検討会の構成メンバーは先ほど御紹介いたしましたが、予防接種に関する有識者で構 成をいたします。この中から、本日は座長1名を選んでいただきます。  検討会の構成メンバーの任期でございますが、検討結果の報告を最終的に取りまとめ ていただくまでということでございます。  検討会でございますが、厚生労働省健康局長が開催をいたしまして、検討会の庶務は 健康局結核感染症課が行います。原則公開ということで開催させていただきます。  以上でございますが、要綱について御質問等はございますでしょうか。  それでは、要綱に従いまして検討会を進めてまいりますが、まずは、本検討会の座長 を選任させていただきたいと思います。どなたか立候補もしくは御推薦はございません でしょうか。 ○宮崎委員  宮崎でございますけれども、聖マリアンナ医科大学の加藤先生を推薦したいと思いま す。先生は前回の改正のときにもかかわられましたし、その後も日本小児科学会あるい は小児保健協会等々で予防接種に関して中心になって活躍されてきた先生ですので、今 回の検討会でも座長を引き受けていただければと思っているんですけれども。 ○江崎課長補佐  ただいま宮崎委員の方から加藤先生の御推薦がございましたが、皆様いかがでしょう か。                   (拍手) ○江崎課長補佐  それでは、加藤委員に本検討会の座長をお願いいたします。座長席に移動していただ き、それから、今後この議事の運営に関しましても、よろしくお願いをいたします。                (加藤委員、座長席へ) ○加藤座長  聖マリアンナ医科大学の加藤でございます。ただいま御指名をいただきましたので、 約1年弱続く検討会だと思いますけれども、座長を務めさせていただきますのでよろし く御協力のほどお願い申し上げます。  いろいろ予防接種、法律を変えなければならないこともございましょうし、また省 令、その他で、たくさんのことを変えなければならないことは皆さん御承知のことと思 いますので、議論を深めて結論を導きたいと考えております。  また、長い会でございますので、私がどうしても欠席しなければならないようなこと も起きるかと思いますので、その場合には皆様の御了解を得まして、座長代理といたし まして感染研の岡部先生に代理をお願いいたしたいと考えますので、よろしくお願い申 し上げます。それでは着席させていただきます。  それでは、早速議事に入りたいと考えますが、最初の議題1、予防接種制度について でございます。本日は、まず事務局から予防接種制度の概要及び論点について御説明い ただきまして、大体10時半ぐらいからフリーディスカッションに入りたいと考えており ます。では、事務局の方からよろしくお願いいたします。 ○小林専門官  それでは、資料2に基づきまして、現行の予防接種の制度について、かいつまんで御 説明をさせていただきます。資料2(1)、3ページ目の資料をごらんいただきたいと思い ます。予防接種の制度の概要についてでございますが、我が国の予防接種制度は昭和23 年に予防接種法が制定されて以降、この法律に基づく制度に基づき予防接種が行われて おります。その間、先ほど局長のあいさつにもございましたけれども、いろいろな状況 の変化等々を踏まえて、何度かの改正が行われてきたところでございます。  大きな改正といたしましては、昭和51年に予防接種健康被害救済制度が創設されてお ります。また、平成6年にも大改正が行われております。そのときには、被接種者の責 務の見直しあるいは予防接種の対象疾患の見直し等々の改正が行われております。  また直近では、平成13年に個人予防に比重を置く疾病というカテゴリー、二類疾病と いうカテゴリーが新たに設けられておりまして、インフルエンザがその対象に加えられ ております。  法津につきましては参考資料4−1にございますけれども、法律の目的が第1条に記 載されてございます。これは当初、昭和23年に制定されたときから昭和51年の改正に至 るまでは、伝染のおそれがある疾病の発生及び蔓延の予防ということが、法律の目的と して明記されていたわけでございますけれども、平成6年の法改正で、予防接種による 健康被害の迅速な救済を図るということも法律の主たる目的として条文が追加されてご ざいます。  それから、第2条で対象疾病について規定がございます。この現行の制度下では、対 象疾病が一類疾病と二類疾病の2つに分類されてございます。  まず、一類疾病の方は集団予防に重点を置いているというものでございまして、下の 法第8条の被接種者の義務というところにも関係してきますけれども、一類疾病、現行 はジフテリア、百日咳、急性灰白髄炎、麻しん、風しん、日本脳炎、破傷風、それか ら、政令の中で痘そう、以上の疾患が規定されてございます。これらの一類疾病につき ましては、予防接種を受けるよう努めなければならないという努力義務規定が明記され てございます。  また、二類疾病につきましては個人の予防に重点を置いて、併せて集団の予防を図っ ていくという考え方でございます。この二類疾病につきましては、個人の判断に基づい て接種を行うものということで、努力義務は課せられてございません。二類疾病につい ては、現行はインフルエンザということでございますけれども、法律の附則の中で当分 の間、高齢者に限るということが明記されているところでございます。  また、法律の第7条などで、安全な予防接種体制の整備ということで、平成6年の法 改正のときに予診を徹底すること、あるいは国の責務として予防接種に関する知識を国 民に普及すること、あるいはいろいろな研修なりを図っていくこと等々が定められてお ります。  また、かつては学校あるいは保健センター等々で集団予防接種ということが行われて いたわけでございますけれども、現行の考え方といたしましては、個々の乳幼児の日ご ろの健康状況をよく把握しておられる主治医のかかりつけの先生のもとで、十分な予診 を行っていただいて個別に接種していくという考え方で実施をされてございます。そう いった考え方も平成6年の制度改正で盛り込まれたものでございます。また、接種要注 意者への安全な接種のため、予防接種センターの推進事業といったことも平成6年以降 実施をしてきてございます。  また、法律第11条以降には、予防接種による健康被害の救済措置について規定がござ います。  それから、1ページめくっていただきまして4ページでございますが、最近の制度の 見直しあるいは制度の運用状況について御報告させていただきますと、まず、一番上の 方に天然痘、いわゆる痘そうでございますけれども、昨今テロの問題が非常に注目され てございますが、仮に天然痘のウイルスが生物テロに使用された場合、直ちに予防接種 を行う必要があるということで、平成15年10月に政令改正を行いまして、痘そうを一類 疾病の対象疾病として規定してございます。ただ、これは現行は定期接種の対象となっ てございません。あくまでも臨時に緊急に必要となった場合に接種を行えるような措置 を行っているというところでございます。  それから、予防接種法による健康被害救済制度、法律第11条以降の規定でございます けれども、これは基本的には予防接種を受けた本人が健康被害を受けた場合に救済の対 象となるということでございます。現行はポリオで生ワクチンが使われてございます が、その特性上、二次感染、接種を受けた方の家族なりに感染するというおそれがある ということでございまして、平成16年度よりポリオ生ワクチン二次感染救済事業を予算 措置として開始しているところでございます。  また、平成16年3月にポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討小委員会から、ポリ オの予防接種については、ワクチン由来の麻痺を防ぐために、現行の生ワクチンから不 活化ワクチン、IPVと呼ばれてございますけれども、IPVへの変更を検討すべきだ という提言を受けてございます。現在、認可申請中のポリオ不活化ワクチンが安定供給 されるようになったときには、ワクチンの変更を行う方針としてございます。  また、麻しんの予防接種につきましては、1歳代での罹患者を減らすために、標準接 種年齢を従前は生後12か月〜24か月と定め、1歳代で受けてくださいということを推奨 してきたわけでございますが、1歳代での麻しんの流行を防ぐため、1歳になった直後 に受けていただくという考え方から、12か月〜15か月、1歳3か月の間に予防接種を受 けていただきたいということで、予防接種実施要領の改正を昨年11月に行ったところで ございます。  1ページめくっていただきますと、これが現行の対象疾患と法律上政令で明記された 対象の接種期間についてまとめてございます。  6ページ、7ページにつきましては、制度の改正のこれまでの経緯でございます。説 明は省略させていただきます。  8ページでございます。資料2(3)でございます。予防接種健康被害救済制度につい ても、併せて御説明をさせていただきます。  予防接種につきましては、その実施に当たって関係者がいかに注意を払っても、極め てまれではございますけれども、不可避的に重篤な副反応が起こり得ます。疾病、障 害、死亡等の健康被害を生じることもあるということでございます。そういった観点か ら、法律に基づいて接種を行った場合に健康被害を生じた者に対して、社会的公正を図 るとともに予防接種に対する信頼を確保するということで、予防接種健康被害救済制度 というものが盛り込まれてございます。  実は、この制度につきましては当初、昭和45年に閣議決定に基づいて被害救済が行わ れていたものでございますけれども、昭和51年の法改正で正式に法律事項として盛り込 まれてございます。また、平成6年の改正時には、この制度の充実が図られてございま す。  この被害救済制度の実施主体は市町村でございまして、対象となる予防接種の種類 は、予防接種に基づく先ほども申し上げました各種の予防接種、それから、結核予防法 に基づく予防接種、BCGにつきましても、この被害救済の対象になっているというこ とでございます。厚生労働大臣が予防接種を受けたことによるものであると認定した疾 病、障害または死亡のような健康被害を受けた場合に救済を行うということでございま す。  9ページ目に現行制度の給付の概要がございますけれども、これも説明は省略させて いただきますが、費用負担につきましては国が2分の1、都道府県が4分の1、市町村 が4分の1の費用負担を行っているということでございます。  なお、関係する資料でございますけれども、参考資料4、5及び6、7、8に、この 間の資料について準備してございますので、また適宜ごらんいただきたいと考えており ます。  以上、予防接種の制度の概要について御説明させていただきました。 ○加藤座長  ありがとうございました。  今、小林専門官から御説明がございました予防接種制度の概要についてでございます けれども、この件に関しまして何か御質問がございましたらお受けいたしますが、よろ しゅうございましょうか。  1つだけ小林先生、この予防接種の表がございますね。 ○小林専門官  対象疾患の表でございますか。 ○加藤座長  いえ、種類。天然痘が新しく入ったもの、5ページ。そのBCGのところですけれど も、今度新しく変わったところだと思いますが、第13条の定期というものと第14条の定 期外というところの御説明をちょっとしていただけますか。 ○小林専門官  BCGにつきましては、もともと予防接種法の枠の中ではなく、結核予防法という法 律の枠の中で実施している制度でございまして、御案内のとおり先般、法律の改正が行 われてございますけれども、BCGにつきましては従前は、乳幼児に対して4歳未満の 方に対してツベルクリンを実施した後にBCGの接種を行うという形で実施されてきた ものでございます。それが定期接種として行われていたものでございますが、第14条の 方で定期外接種といたしまして、都道府県知事が結核予防上特に必要があると認めたと きに、その対象者及び期間、期日を指定して実施するものが定期外の接種というもので ございます。 ○加藤座長  そうですか、ありがとうございました。では、一般的には第13条の定期で行うと。 ○小林専門官  今後は原則生後6か月までと、やむを得ない場合には1歳までということで、定期の 予防接種がダイレクトBCG接種で行われるということでございます。 ○宮崎委員  関連してちょっとよろしいですか。1歳までというのは、1歳未満という意味です か、それとも2歳未満という意味ですか。 ○小林専門官  1歳未満ということでございます。生後12か月までということでございます。 ○加藤座長  ほかによろしゅうございますか。  それでは、ないようでございますので、本検討会では多様な課題について検討を進め ていくことになりますので、論点を事務局に整理していただいてございますので、御説 明をお願いいたしたいと存じます。 ○牛尾結核感染症課長  それでは、資料3、10ページでございます。私の方から御説明させていただきます。  冒頭、局長のごあいさつにもございましたように、できるだけ個別の問題で解決を早 くしなければいけない問題については、できるだけ早く議論していただいて実施に移し たいと思っております。一方、横断的あるいは制度的な課題では、もう少し我々の方で 議論を深めまして、またこの検討会の後段と申しますか、来年以降にでも順次提示して いきたいと思っております。  まず、個別の予防接種に関する現状認識あるいは課題、そして、どのような方向性で 持っていくべきか、あるいはこの検討会で御議論いただきたいというところをお示しし ております。  まず、はしか、麻しんでございますけれども、これは既に説明がありましたように、 ポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討小委員会から平成15年3月に提言がございま して、その中で提言されているもののいくつかは既に実施しております。すなわち、標 準接種年齢を従来の12か月〜24か月ということから、12か月〜15か月というふうに変更 いたしまして、1歳になればできるだけ早く接種していただくという方向にいたしまし たと同時に、1歳6か月健診、3歳時健診、そして就学時健診において接種漏れ者の確 認を求めるということが1つ。  この検討小委員会がそもそも立ち上がった理由としましては、麻しんの我が国におけ る流行というものが国際的にも非常に関心を生んでいたところでございまして、「○」 の2つ目にございますように、各市町村、医師会等によりまして、かなり接種率の向上 を図っていただきました。新しい試みとしては、本年から日本医師会、日本小児科医会 による子どもの予防接種週間の設定並びに土曜日・日曜日における接種機会の確保とい う、これも提言に沿った内容の事業を行っていただいています。  それから、麻しんにつきましてもvaccine failureが存在するということと、それか ら、一方で流行の減少に伴いましてbooster効果が低下するということがあるということ でございます。  それから、国際的な動向としましては、日本が属しますWHO西太平洋地域委員会に おきましても、来年の総会におきまして、この西太平洋地域における麻しんの elimination、つまり根絶とは言わないまでも、通常の発生はあったとしても大流行に 至らないような状態をeliminationと言っているわけでございますけれども、 eliminationを達成する年度というものが2012年というふうに設定されるという案が 今、WHOの方で検討されております。そういう意味では、西太平洋地域に属する我が 国としても、国際的な協調を図る観点からも更に努力していかなければならないという のが現状及び認識でございます。  そのための手法としまして、平成18年度とここに書いてございますが、この時期につ きましては必ずしも平成18年度とまだ確定しているわけではございませんけれども、麻 しんの2回接種を導入すべきではないだろうかと思っております。ただ、問題としまし ては、では、2回目をいつ接種するのか、そして、その接種する方法、単身でやるのか あるいはMRワクチンあるいは一部にはMMRワクチンの再導入というふうな御意見も ございますが、この2点につきまして早急に専門家の御意見を踏まえながら決めたいと 思っております。  2番の風しんでございますが、平成6年の制度改正に伴いまして、風しんの予防接種 をの対象からもれた年齢層が生じましたが、当該年齢層の者に対する経過措置期間が昨 年9月30日に終了いたしました。この経過措置終了前あるいは後におきましては、繰り 返し我々としては通知等を出しまして、地方自治体に呼び掛けたところでございますけ れども、残念ながら本年になりましてCRSの届出が相次ぎ、CRSの発生が現時点で は6例になっております。すなわち、風しんの流行というものが見られたわけでござい ます。特に平成16年、本年の初頭に風しんの流行の兆しがあったものですから、緊急に 風しん流行に伴う母子感染の予防対策構築に関する研究班、平原研究班を設置いたしま して、9月9日に緊急提言を取りまとめていただいたところでございます。  この風しんにつきましても麻しんと同様、vaccine failureの存在、それから、やは り同じ問題としまして流行が減少することに伴ってbooster効果の低下があるというこ とから、緊急提言にも書いてございますように、2回接種というものを導入すべきであ ろうと考えております。この論点としましては、やはり同じでございまして、2回接種 する2回目の時期、そして、使用すべきワクチン等について、麻しんと並行して検討す べきだろうと思っております。  (3)のポリオでございますけれども、これはポリオ及び麻しんの予防接種に関する検 討小委員会の提言において、方向性としてはIPVを導入するということが既に提言と してはいただいているわけでございます。論点としましては、IPVの承認審査の見込 みを踏まえながら、IPVへ転換すべき時期を明確にすべきではないかと思っておりま す。ただ、若干の問題としましては、抗体産生能は当然OPVの方が高いわけでござい まして、IPVに移行した際に接種率が低下しない方策というものも併せて検討すべき ではないかということでございます。  なお、小林の方から説明させていただきましたように、当面の間OPVを使用する間 におきましては、二次感染者救済制度を継続すべきであろうと思っております。  (4)のインフルエンザでございます。これは平成13年の予防接種法改正によりまして 二類疾患に位置付けられ、対象者は高齢者に限定されているところでございます。その 後、高齢者、乳幼児に対するワクチンの有効性について調査研究を行ってきたところで ございます。  論点としましては、高齢者のインフルエンザへの有効性というのはかなり確実なもの と思っておりますが、それを更に乳幼児等に拡大すべきかどうか、あるいはもし、まだ 知見が不十分であるならば、更に研究を進めるということになろうかと思っておりま す。  それから、(5)の日本脳炎につきましては、既に専門家にお集まりいただきまして一 度議論をいたしましたので、方向性としてはかなり固まっていると思っております。7 月に日本脳炎に関する専門家会議を開きまして、結論としましては患者数等は減少して いるものの、日本脳炎ウイルスの現在の浸いん状況を考えると、今、日本脳炎ワクチン の接種をやめるべきではないという結論をいただいたと思っております。  ただ一方、現在のワクチンよりもより安全なワクチンの開発が進められておりますの で、そのワクチンの開発動向を見ながら、新しいワクチンへの移行ということをすべき ではないかと考えております。  それから、(6)でございますけれども、未対象疾患の是非と書いておりますが、肺炎 球菌、おたふく風邪、水痘が前回にも議論になりました。それから、今の日本人は40歳 あるいは50歳以上はA型肝炎に関する抗体をほとんど保有しているはずでございますけ れども、年齢構成の推移とともにA型肝炎についてもユニバーサル・ワクチネーション をする必要があるのか、あるいはインフルエンザb菌などのワクチンの有効性を指摘さ れる方もいらっしゃいますので、そういった現在の予防接種法の中に規定されていない ワクチンについて、どれを導入すべきなのかあるいは導入しないのか、その辺について の議論をさせていただければと思っております。  それから、2番「横断的・制度的課題」は、現時点におきましては、極めて簡単に事 項だけを掲げさせていただいております。これにつきましては、また御質問があれば私 なりの今の考え方をお示ししたいと思いますが、現時点に起きましては、できるだけ1 番の個別のワクチンに問題に焦点を絞っていただきたいと思っています。  以上でございます。 ○加藤座長  ありがとうございました。  ただいま牛尾課長から本検討会での検討事項についての御説明があったところでござ いますけれども、このほかにも検討する事項があれば、各委員から検討事項を提出して いただいて検討するという形で、牛尾課長よろしゅうございますか。 ○牛尾結核感染症課長  はい、結構でございます。 ○加藤座長  ということで、1番のところは恐らく法改正がなく、検討会である程度の方向性が出 せる問題であろうかと。それから、12ページの「横断的・制度的課題」については、恐 らく法的な改正が必要と思われる中身が入ってまいりますので、これに関しては行政の 方からの御意見を少し伺いながら、私どもが参考意見を述べるというような形になろう かと考えておりますので、当面のところは1番「個別の予防接種に関する課題」という ところで議論を進めていきたいと考えております。  本日は第1回目ということでございますので、大体1時間ちょっとお時間がございま すので、フリーディスカッションという形で各委員の御意見を伺ってまいりたいと思い ますが、いろいろお話しになりますと、各専門の先生方もおられますので、多分1つの 題目だけで1時間以上掛かってしまうこともあろうかと思いますので、とりあえずのと ころは1課題について10分程度議論いただいて、余りましたらば追加ということで御議 論をいただきたいと思います。  それでは、とりあえず資料3の10ページ、まず麻しんのところでございますけれど も、牛尾課長から御説明のありました現状と論点ということを踏まえて、どうぞ御自由 に御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。今の論点は、2回接 種法を行ってはいかがであろうかということが1点。それから、2回やるとなれば接種 時期はいつにするのがよろしいのかということが2点。それから、接種するワクチンの 種類は、どのようなワクチンを接種したらよろしいかというような3点が挙げられたと 思いますが、どうぞ委員の方の御忌憚のない意見をお聞かせいただきたいと思います。  では、岡部先生から口火を切っていただきまして。 ○岡部委員  はしかの問題については、ポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討小委員会で、と にかくはしかの問題をもっと強調してやるということは、これは随分おかげさまで医師 会あるいは小児科関係の学会、あるいは地域の先生方とか行政とか、相当な取り組みが なされたと思います。現実にサーベイランスのデータをもってみても、今年のはしかは 少なくとも過去20年間で最低になっていると。しかも、殊にターゲットとして1歳代で の患者数の減少が見られ、そこでの予防接種率が上がり、血清抗体の上昇が見られてい るといったようなことから、少なくとも自然に1つの周期の中で収まってきているとい うよりは、やはりきちんとした活動によってかなりコントロールされてきたのではない かと思います。  ただ、大分少なくなってくると、また以前のごとくだんだん忘れ掛けてくるというよ うなことが一つ問題であると思いますけれども、ここら辺で踏ん張るかどうかというと ころが、はしかに対する対策。  そして、海外でも、先ほど課長からお話がありましたが、WHOの西太平洋地域事務 局だけではなくて、世界中と言うとちょっと大げさですけれども、はしかに関心を持っ ているeliminationを行っている国々は、日本はどういうようなことをこれからやっ ていくかというのを非常に注目していると思いますので、はしか対策は非常に国際的な 意味も含めて重要ではないかと思います。 ○加藤座長  ありがとうございました。  岡部先生よく御承知のとおり、サーベイランスの予測からいくと、日本でははしかが 大体まだ10〜20万人の患者さんがおられると。このところ、今先生がおっしゃったよう に大体8〜10万人ぐらいですか。 ○岡部委員  5万人前後ぐらいまでは落ちていると思います。 ○加藤座長  落ちているということですが、しかし、米国・カナダ等では手で数えられる程度の患 者さんしかいないというのが現状ですので、やはり、はしかに対する予防接種というも のは厳重にやっていかなければいけない問題ではなかろうかと考えておりますが、宮崎 先生、何か御意見ございますか。 ○宮崎委員  本当にいい状況に今来ていると思うんですけれども、平成6年の改正までは、はしか の接種率というのは70%台に低迷していたのが、義務を少し和らげたにもかかわらず、 あるいは個別接種に持っていたにもかかわらず、逆にはしかは非常に接種率が上がった んですよね。90%までそれだけで上がって、その後いろいろな先生方の御努力なりで95 %か、実施率でいくと瞬間的には100%を超えた年が1回あったと思うんですけれども、 要するに、今からの基本的なことは、先ほど課長が言われたようにeliminationという こともはっきり打ち出すかどうかがまず第一で、日本から一旦はしかをなくすには、や はり2回接種あるいは2回接種の機会をつくるということが必要になってくるだろうと 思います。その隘路に恐らくなるのは、最近よく会で話題になりますけれども、一番か かりやすい保育園に行っている子どもたちが一番受けていない、あるいは乳幼児健診に なかなか来ない一定の、ある意味で社会的な感染症に対するハイリスク群が数%残るだ ろうと。そこへどうアプローチしていくかが最後の追い詰めるところで問題になってく るだろうと思います。そういう意味で、日曜日とか土曜日、祝日接種ということが今後 大事になってくるかなとも思います。  それから、もう一つはboosterが掛からなくなって2回やるという考え方も勿論あり ますが、やはり1回目でつかない人が数%出てくるということと、やはり接種漏れをど こかで早目に救済していくという意味での2回接種ということもあり得ますので、私は 2回接種には2つの意味合いがあるだろうと思っています。その兼ね合いで、どこでや っていくかということを議論していけばいいと思っています。 ○加藤座長  ありがとうございました。  今、宮崎先生がおっしゃったとおり、米国でMRを2回接種したときも、最初の1回 目では接種率が十分に上がらなかったということがきっかけとなって2回接種をして、 接種率が上がったということで、教科書的にはいわゆるセカンダリー・フェーリアを防 ぐためということにはなっておりますけれども、現実問題としては接種率が上がる。古 い学者の中には、日本で2回接種しても1回もやらない人は1回もやらないで、2回や る人は2回やるだろうから意味がないという意見もあったことはあったんですが、今ま でのインターナショナルの経験では2回接種することによって、宮崎先生がおっしゃっ たように接種率も向上が考えられるということであろうかと思います。今後、はしかに 関しては各論で述べていくことになると思います。したがって、接種する時期の問題、 低年齢層で2回やってしまうのか、中学生でやるのか、そういうようなことはまた各論 のときにお話をいただくことにいたしますけれども、その2回接種ということについ て、雪下先生いかがでしょうか。 ○雪下委員  医師会としましては、微力ながら接種率の向上ということでいろいろな活動をさせて いただき、また、小児科医会の協力を得て、子どもの予防接種週間を3月1日から1週 間ということで実施させていただきました。約1万数千人の人が接種を受けているとい うことが結果として出ております。今年度も、来年3月1日から1週間実施する予定 で、前年度の反省を込めながら普通の日の夜間も時間を限定して接種をしていただくと いうこと、今までは法制で定められているものに限定しておりましたが、その枠を広げ て、かかりつけ医の判断によっては法外の接種についても相談に乗り、接種をしてもい いという、少し枠を広げて実施したいと考えております。全国で約7,000くらいの医療 機関に協力してやっていただいているというのが現状であります。  1つ、前からちょっと心配していたのは、0歳児の発生というのは10〜12%くらいあ って、しかも重症化しやすいということもございまして、それについての対策というよ うなことを前の委員会で申し上げていたんですが、それについては1歳児、そのほか乳 児期の発生率が下がると、恐らくそれに準じて下がっていくから心配ないのではないか というふうに岡部先生から聞いておりましたが、必ず数が10万人から5万人ぐらいに減 ってきたということですが、0歳児についてはどんなことでしょうか。 ○岡部委員  数年前の段階で、まだたくさんの患者さんが出ているといったようなときには0歳児 での患者さんの発生もあって、一部地域ではやはり1歳前に任意の形でも積極的にやっ た方がいいというふうにして実施されたところもあります。  それから、WHOあるいはCDCも非常に流行しているところでは0歳児における接 種、9か月が目安になりますけれども、その辺の接種はコントロールするのには非常に 意味があるといったようなことで現在、例えば中国とか、この辺ではパプアニューギニ アが生後6か月あるいは8か月の接種ということをやっていますけれども、免疫状態が きちんとしていない人に接種をするといったような問題、あるいは生ワクチンを早期に 接種するという問題、あるいは母体からの免疫がまだ残っている可能性があるので、む しろ効果がなくなるといったような問題から、あえて0歳を定期のような形でルーチン に行っていくということは、多少問題は残るのではないかというような意見を申し上げ たことがあります。それで結局、0歳児の多くの子どもたちの感染源というのは大体お 兄ちゃん、お姉ちゃんあるいはどこかからの持ち込みなので、簡単な言葉で言えば、そ ちら側をつぶせば0歳児に与える影響は極めて少なくなっているだろうというのが、12 か月〜15か月をターゲットにということだったんですけれども、それはこれだけ少なく なってくると、逆に0歳児も接種の対象にするというのは、むしろリスクとベネフィッ トのバランスで考えると、リスクあるいはまだ解決されていない問題があるので、それ をエビデンスをとりながら0歳児に移行していくというのは非常に時間も掛かるし、問 題も出てくるのではないかと思うのが私の意見です。ですから、むしろ1歳児での強化 ということは、0歳児の患者さんを少なくしていくということに結びついていく可能性 があるので、流行しているときは別ですけれども、だんだん患者さんの数が少なくなっ てきたところで0歳児を対象にする、あるいは更にそこを集中するというようなこと は、私は必要ないのではないかというふうに今も思っています。 ○加藤座長  ありがとうございました。  先ほど牛尾課長の方から接種ワクチンの種類についてという御指摘がありましたが、 竹本先生に実地のところでお聞きしたいんですが、意味合いは、例えば麻しん・風しん の二種混合ワクチンが認可された場合、MMRは若干おたふく風邪というところが一応 見直しの状態になっているので不可能ではないと思いますけれども、今後のお話の材料 として話題提供だけしておきますが、MRワクチンが開発されている会社と開発されて いない会社があったとしたときに、保護者としては1回で接種していただく方がありが たい。だけれども、接種する側から見ますと、2回やった方がエコノミカル上都合がい いというようなこともなくはないですね。ですから、そんなようなことも考えた上で、 全国、日本じゅうですべてMRワクチンが開発されてくると、この話はややこしくない んですけれども、そうでもないことも起きる可能性があるということがありますので、 その辺のところを今日は無理だと思いますが、御意見をお伺いいたしますが、今日のと ころはいかがでしょうか。 ○竹本委員  小児科医はエコノミーのことは余り考えていないのではないかと思うんです。小児科 医は疾病を防ぐ方に向かって一生懸命努力しているわけですからエコノミーはいいんで すが、やはり接種率を上げるという意味では、はしかと風しんを別々にというとなかな か来られないということを考えると、1回で両方が終わってしまうということは、お子 さんのためにもいいのではないかと。私はMMRワクチンのときにも、中止になってし まったんですけれども、私個人でも2,000例ぐらいやって1例も事故はなかったんです が、ワクチンのときになぜそういう選択肢を残してくれなかったのかなと個人的には思 いました。ですから、2種類のワクチンが1回で済むならば、接種率の向上にも役立つ のではないかという感じがしております。 ○加藤座長  ありがとうございます。  それでは、またその件に関しては、次回の各論のときにでも医会の御意見をおまとめ いただいた上でお話を伺いたいと思います。  次に、風しんに移らせていただきます。風しんは、先ほど牛尾課長からお話のあった とおり、現状または論点に関しましてはほとんど同じでして、残念なことに若干、近時 風しんの流行があちこちに見られた関係上、CRSが従来1例程度であったものが6例 程度見つかってきたということから、この際風しんについても、はしかと同様に2回接 種を行うという方向はいかがであろうかということに対する検討でございます。御意見 をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  澤委員、何か御意見ございますか。 ○澤委員  風しんなんですけれども、私たち行政の立場から言いますと、接種率が非常によくな いというのが一番の課題でありまして、2回法ということより以前に、何とか接種率を 上げたいというのが私たちの一番の目的です。  それで、今年はいろいろ問題がありましたので、医師会の先生方とも相談しまして、 公報に出してみたり、区が使えるメディア、いろいろなものを使って接種を呼び掛けた んですが、なかなか思うほどは上がってこないということがありまして、その辺をこれ もどういうふうにしてやっていくか。特に私どもの区民ではなかったけれど、区内の病 院でこの患者さんが1人出ましたので、危機感もございまして、何とか上げたいという のが強い思いでございます。ですので、2回法はどうかとおっしゃられても、2回法が いいとか悪いという話以前に、1回でも早く打つ人を多く増やしたいというのが今、私 たちの考えているところです。 ○加藤座長  ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。  先ほどの麻しんと同じですけれども、接種の機会を増やすことによってbooster効果 をねらうということも勿論当然のことながら、接種機会を失った方にもう一度接種機会 を与えるというような意味合いもあって、接種率が今よりも下がることはまずないであ ろうと。2回接種法を導入することによって。そういうことも期待されるわけですが、 岡部先生、何かございますか。 ○岡部委員  接種する側、医療関係者は風しんの基本的な問題点というのはわかりながらやるんで すけれども、恐らくは接種を受けられる一般の方というか、子どもたちも含めてです が、風しんはやはり基本的に軽い病気だし、余り広がらないし、妊娠と言われても先の 話ですし、ピンと来ないのがほとんどだと思います。しかも、半分の男は余り関係ない 話ですから、風しんは危ないよと言っても、なかなか受けていただけない。しかし、も うちょっと長い目で見たら、つまり公衆衛生的に見れば、これは非常に問題をはらんで いるのと、風しんが直接引き起こすCRSだけではなくて、妊娠された方がもしかする と風しんになったのではないか、ならないのではないか、あるいはこの間の熱は何だろ うかということで、非常に不安で9か月、10か月を過ごす、あるいはそれがきっかけで 流産するかと非常に問題点は多いと思います。それを考えて子どもに接種をするという のは、なかなか若いお母さんも本人もわかりませんので、接種率を上げるということは 単独でやるのは非常に難しい。ということは、先天性風しん症候群の診断、その他の問 題もありますけれども、そういう悩みを解消するのは、この際と言うとあれですが、は しかと風しんがもし一緒にできるならば、そういったような形で接種率をほぼ同時に、 少なくとも麻しんレベルに引き上げれば、感染力としてははしかよりもはるかに低い病 気ですから、相当CRSあるいはCRSを考えなければいけない悩みということは解消 されていくだろうと思います。 ○加藤座長  ありがとうございました。  風しんに造詣の深い、宮崎先生。 ○宮崎委員  基本的に岡部先生の御意見と同じです。風しんはやはり疾患のイメージからいって、 どうしてもはしかほど接種率が上がらない。はしかが上がって少し引きずられて以前よ りよくなってはきているんですけれども、それでも80ぐらいが精いっぱいでしょう。風 しんという病気は、よくかかる層があるパーセント以上に抗体陽性率が上がると本当に 流行は少なくなってくるわけで、かつて大流行していたころに定点当たり10だとすれ ば、最近は流行したと言っても0.1のレベル、100分の1までは落としてこれています が、もう一息です。ですから、非常に簡単な方法はMRに持っていくと恐らく接種率 が、90数%いきますので、CRSの問題は今よりぐっと危険が少なくなるだろうと思っ ています。  ただ、やはりウイルスというのは手強いところがあって、そうやっても成人でワクチ ンを打っていない、何百万人の男性が残っていたり、経過措置世代で接種率が低い層は 残りますので、しばらくそこをどうカバーしていくかというのは、大きな課題としてま だ残るだろうと思っています。平成6年に改正するときに主な接種対象を子どもに持っ てきたわけですけれども、まさかMRワクチンの導入がこんなに遅れるとは私は思って いませんで、もっと早く出てくるだろうと思っておりました。 ○加藤座長  ありがとうございます。  風しんはCRSが大きな問題となろうと思いますので、この検討会がどのような方向 で進んでいくか、まだ私も暗中模索ですけれども、世の中のすべての皆様方に御理解を していただいて2回接種をするという方向に行かなければなりません。行政側と相談の 上、例えばCDCで御活躍中の加藤先生をお呼びして公聴を開くとか、そういうような 形で万人の方々に御理解をいただくというような機会を得られればいいかなと個人的に は考えております。今日出た話題については、恐らくこの選ばれたメンバーだけでお話 をしても説得力は欠けますので、その都度、専門家からのヒアリングを受けながら討議 を重ねていくというふうな方法になろうかと思いますので、よろしくお願いいたしま す。  それでは、次にポリオにまいりたいと思います。ポリオも非常にはがゆい状態が現在 続いておりまして、これは前回、私が小委員会の委員長を務めさせていただいたときの 提言に書きましたとおり、早急に不活化ポリオワクチンを導入していただきたいという こと申し上げました。それは、大体330万人の生ポリオワクチン接種に当たって、ワク チン由来の麻痺者が1人出てくることとか、または580万人に1人の二次感染者が出て くるということでございました。行政の方は、素早く二次感染者についての救済制度を とってくださったわけですけれども、極めて遺憾ながら日本での不活化ポリオワクチン の開発が非常に遅れております。ただ、セービンの、いわゆる生ワクチンを不活化する ということで非常に安定したワクチンであるということが1点、当然欧米でも不活化ワ クチンは接種されておりますけれども、それがワイルドの株であるというところに若干 怖さがあるというところが1点ございます。  それから、当然、三種混合ワクチン、DPTと不活化ポリオのワクチンの接種時期が 重なってくるわけなので、そのときの答申としては、同じ日に右の手にDPT、左の手 に不活化ワクチンという形で、同日接種を勧めていただきたいということを御報告いた しました。しかし、ベストな方法は、不活化ワクチンとDPTワクチンが製造側の御努 力によって4価の不活化ワクチンを製造していただければ、これは1回で済むというこ とで大変ありがたいことです。  これも実際に、他の国では4価のDPTワクチンがもうつくられておるわけですけれ ども、いろいろな問題点があります。それは何かといいますと、日本の百日咳ワクチン に勝る百日咳ワクチンはないということなのでございます。したがって、日本の百日咳 ワクチンを他の国の百日咳ワクチンでもって取り替えるというわけには、なかなかまい らない。治験の時間も非常に掛かるということで悩ましい事態でございます。座長とい たしましては、一日も早く日本での不活化ポリオワクチンの開発、導入、認可が進めら れることを切に祈るわけでございますけれども、この件に関して委員の御意見、澤先 生、いかがでしょうか。 ○澤委員  DPTの接種率はかなりいい方向にいっておりますので、もし同時にできるというこ とであれば、かなりうれしいかなと思います。といいますのは、今私ども保健センター で行っていますのは、集団でかなりたくさんの人数を相手にやっておりますので、あの 方法が果たしていいのかと言われますと、やはり一抹の不安がないでもないですので、 そういう意味では、そういう形に持っていっていただけたらと思います。 ○加藤座長  ありがとうございます。  雪下先生、何か御意見ございませんか。 ○雪下委員  ポリオ自身については特別ないんですが、これはちょっと各論のところであるのかも しれませんがポリオの二次感染については、予算措置しましたけれども、ちょっとイン フルエンザ二類と勘違いしているのかもしれませんが、補償額は半額でしたか。 ○小林専門官  二類疾病であるインフルエンザにつきましては、いわゆる乳幼児のポリオや麻しんと 比べれば救済の額は低いという形になっております。 ○雪下委員  公的な補償というのは二類インフルエンザの場合と同じですか。 ○小林専門官  ポリオ二次感染者の救済の額は、インフルエンザの二類疾病と並びの額となっており ます。 ○雪下委員  そのままですか。 ○小林専門官  そうです。 ○雪下委員  ポリオの場合ですよ。 ○小林専門官  ええ、ポリオの二次感染者ですね。要するに、一次感染者本人が麻痺を来たした場合 というのは……。 ○雪下委員  それと差がないということでいいんですか。 ○小林専門官  差がございます。要するに、一類疾病としてポリオの予防接種を受けた方本人である 乳児が麻痺を来たした場合は、法律に基づく一類疾病の救済額になりますけれども、二 次感染、要するに親御さんなどがかかったような場合につきましては……。 ○雪下委員  インフルエンザの二類並みということですね。わかりました。 ○小林専門官  二類並みということでございます。 ○雪下委員  余計なことですみません。 ○加藤座長  宮崎先生、いかがでしょうか。 ○宮崎委員  岡部先生か、厚生労働省の方にお聞きしたいんですけれども、世界的な根絶の目標、 現時点でいつまでに大体根絶、あるいはそれから何年間観察期間を置いて、何年間ぐら いワクチンを続けないといけないという見通しがあればお聞きしたいんですが。 ○岡部委員  WHOの方も大分ぐらぐら動いているようで、私もその都度聞いて2000年が2005年に なり、2010年になりといったようなところで、一体いつなのかというところが、はっき りどうもつかみ切れないところがあります。現実としては、ほとんどの国でエラディケ ーションが進んできて、現在アフリカとインド亜大陸がその中心になって、1,000例いく か、いかないかぐらいだと思うんですけれども、しかし、一方で生ワクチンによってそ れを根絶していって、では、不活化ワクチンに切り替えるのかどうか、そういうような ことが恐らくは、この間の議論では途上国等でポリオがゼロになったら2年間監視をし て、そのままストンと落としてしまう。つまり、ワクチンを一切やらないといったよう なことも再び議論されてきています。  それから、不活化ワクチンを導入する、しないというのは、既にそれぞれの国のポリ シーによって決めているので、WHOとしては不活化ワクチンを進めない方向、積極的 にという意味で、そんなようなことも議論されています。  もう一点問題になっているのは、例えば、日本の不活化ワクチンの非常に有利な点と いうか、製造側にとってもいいのは、セービンを使っているということで製造上の安全 性等が、さっき加藤座長がおっしゃったようなことが担保されているので、このセービ ンのメリットというのがあるわけですけれども、今までポリオがなくなってきたときに は封じ込めをして、ワイルドポリオについてはP4クラスで取り扱うということに合意 されていたのが、イラディケーションされた後はセービンも含めてP3ないしP4とい うようなことになってくると、今度製造上の難しさが出てくる。それが生ワクチンをや めてしまおうかという議論になってくるらしいんですが、不活化ワクチンのワクチンを 何に使うか、それについても今のところはっきりした方針というのは、私たちのところ にも半年ごとにどなたかが来て話すたびに少しずつ違ってきているという状況ですの で、なかなか最終的な段階でWHOも基本方針を出しかねているのではないかと思いま す。 ○雪下委員  数年前、いわゆる副反応が起こるということから、何とか不活化ワクチンにという話 が出たときには、今言われた絶滅宣言というのが近いだろうから、それが少し開発を遅 らせていたのかというような感じで私は見ていたんですが、今例えばセービンみたいな 安全なワクチン株からつくるとすれば、あれからもう2年も3年も経っているわけです が、開発が遅れているというふうに思うのですが、それには何か理由があるのですか。 ○加藤座長  座長の方から、いろいろ複雑な問題ですので。2000年にポリオの委員会が開かれたと き私は参加しておりませんけれども、それは多分2005年に根絶宣言が出されるであろう と思われるので、しばらくの間は生ワクチンでやっていきましょうということだったと 思います。  2003年、私が小委員会の委員長になったときには、インドでたまたままた多発してし まいまして、1,000人ぐらいの患者さんが出たという事実がございましたので、少なく とも最低10年以上はワクチンを接種していく必要があるであろうと。そうすると、10年 続けていく中で、毎年毎年三百数十万人に1人、生のポリオワクチンのために麻痺の患 者が出てくるということは非常に切ないことであるというふうに国も私たちも考えたと いうところで、不活化ワクチンの導入を急いでいただきたいと申し上げたところでござ います。  では、なぜ不活化ワクチンがそんなに時間が経っているのになかなか出てこないのか ということに関しては、こういう国の委員会で果たして討議すべきかどうかということ は後で課長と御相談申し上げますが、座長といたしましては、ポリオの各論になった場 合には、製造者側からお言葉をいただきたいと考えております。これはここだけの話で オフレコでも結構ですけれども、DPTとの混合ワクチンを製造する側、または不活化 ポリオワクチンを実際に製造中のポリオ研、それらの見解、なぜ国民がこれだけ前から 言っていることに対して反応できないのかということは、国民に対して、これはもう3 年ぐらい前から新聞に出ているんですね。ですから、そろそろ国としても一定の見解を 出しておかないと、極めて不自然な状態が続いていると。雪下先生の意見がまさにその 御意見だと思うんですけれども、その意見を申し述べる場がないんですね。したがっ て、また課長さんと御相談しておきますが、ポリオの各論になった場合には、関係の製 造者の方々から、なぜそうなっているのか、やりたいけれどもやれないと言う方もおら れるでしょうし、どうしてもできないと言う人もいるかもしれない、いろいろな意見が あると思いますが、それはまとめて現状を報告する。それが出ないのならば、輸入をせ ざるを得ないということになるかもしれない、いろいろな視野を含めて少しけじめをつ けたいと私は考えておりますが、それはまた、行政上いろいろ難しい部分もあると思い ますので、課長と御相談いたしたいと思います。よろしゅうございますか。  それでは、続きましてインフルエンザに移らせていただきます。  インフルエンザは、先ほど課長から御発言がございましたとおり、二類疾病に平成13 年から位置付けられまして、一定の高齢者に限定されておりますが、その後果たして対 象者を広げるかどうかというようなことについての議論になろうかと思いますが、この 件に関して御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。  竹本先生、いかがでしょうか。 ○竹本委員  毎年この時期になると小児科医は非常に苦労するんですけれども、まず電話の応対 で、幾らでやってくれるのかという経済的な電話の問い合わせがあって、何軒か電話し ながら決めているのだと思うんですけれども、それから、もう一つは、子どもが3人と か4人いる家庭で2回ずつ接種するということになると、非常に経済的にも大変な家庭 が出てくるので、できれば年少者に対して、高齢者とともに年少者の発病率も高いの で、その辺のところも必須のワクチンとしてやっていただければなという感じがいたし ております。 ○加藤座長  ほかにいかがでしょうか。 ○澤委員  よろしいでしょうか。私ども墨田区でも高齢者の方は三十数%の接種率、特に昨年は SARSの影響でかなり接種率がよかったんですけれども、議会などでも、やはり子どもの 予防接種はどうしてできないんだという御質問もございますし、区単独ではできません ということなんですが、希望としては住民からもかなり聞いておりますので、そういう 方向にもし行けるようなことがあれば、それはうれしいです。 ○加藤座長  ありがとうございます。  この年齢、特に乳幼児等に関するインフルエンザワクチンの接種に関しては、一昨日 11日の日本小児科学会の予防接種委員会で検討いたしまして、日本小児科学会としての 見解というものを提出いたします。これは今、文書を作成中でございますので、作成が でき次第、牛尾課長のところにお持ちいたします。多分、大きな問題となると思われま すので、プレスにも公表したいと考えてございますが、ほとんど中身が決まっておりま すので、岡部委員長、軽く。 ○岡部委員  小児科学会の予防接種委員会、そのメンバーが3人この検討会委員の中にもいるんで すけれども、厚生労働省の厚生科学研究費の中で神谷班というのが構成されまして、乳 児・幼児に対するインフルエンザワクチンの評価というようなことを公的にやっている 研究班ということで、その結果を踏まえて小児科学会は判断をしましょうということ で、その結果を約2年お待ちしておりました。確かに、幾つかの研究がありますから、 必ずしもすべてが神谷班と同じ研究の結果ではないということは承知しておりますけれ ども、マルチでやった研究結果をまとめたものでは、年齢が下がればその効果というも のも減少していくわけですけれども、大体幼児ということでは、たしか30%ぐらいの効 果が期待できる。これを「30%しか」あるいは「30%はある」というような表現で随分 変わってきますが、乳児については数も非常に少ないので、その評価が極めて難しい。  それから、その30%の評価というときに指標としていますのは、神谷班ではウイルス の分離あるいは抗体の上昇というよりは、その症状である発熱ということを評価にして いるので、その中には幾つかのインフルエンザウイルスによる感染症以外のものが含ま れている可能性がある。そういうことによっては評価の違いが出てくるわけですけれど も、3年間の結果を受けたのでは、一定の効果があるけれども、高齢者等々に比してそ の効果は上がるものではない、むしろ下がっているということ。  それから、もう一つ安全性ということに対しては、これは見るべきもの、つまり特別 な副反応は見られていなかった。それから、昨今の子どもさんに対して接種した後の事 故調査あるいはその報告を受けても大きい報告はないので、副反応に関しては重症なも のはあったとしてもまれであろうというような結論です。  それらを取りまとめて、小児科学会としては、任意接種によって一定の効果はこのぐ らいであるということを示した上で、そのメリットを感じる方にはやはり接種をお勧め する、任意接種の形でお勧めしたらいいのではないか。すべての乳児・幼児に対して接 種をしてくださいというような、いわゆる定期接種型ではないということが小児科学会 の大体のまとめだったと思います。  ちょっと記憶だけでしゃべっているので、もし間違いがありましたら、宮崎先生と加 藤先生に加えていただければと思います。 ○加藤座長  いずれにいたしましても、今、正式な文書を作成中でございますので、それができ次 第、感染症課長のもとに私か岡部が参上させていただきます。  今、乳児とおっしゃいましたけれども、1歳未満に関しては症例数が少ないので判断 ができないということでございます。1歳以上6歳までの間に関しては、28〜33%にお いて有効性が認められたというふうに神谷班では申しております。もっと有効であると いう報告もたくさん出ておりますが、正式な研究班としての報告はそういう結果でござ います。  ただ、御承知のように、タミフルという抗インフルエンザ薬が出てきてしまいました ので、インフルエンザワクチンを接種した後で熱が出た人に対してタミフルを飲ませて しまうと、有熱期間が短くなってしまいますので、インフルエンザワクチンの効果がよ かったのか、タミフルで有熱期間が短くなってしまったのかというのが非常にわかりに くい時代になってきました。したがって、有熱期間だけでインフルエンザに対するワク チンが効果があるかどうかということを評価するのは非常に難しい時代に入ってまいり まして、場合によっては、もし厚生労働省に気概があれば、再度研究班をつくり直して ・・・。ワクチン接種後の効果判定にはインフルエンザウイルスの分離を行う方法もあ ろうかと思います。その辺のところはまたインフルエンザの各論のところで議論を進め ていきたいと考えております。  インフルエンザに関しては、いかがですか。 ○岡部委員  ちょっと追加させていただいてよろしいですか。2〜3思い出したことがあったんで すけれども、そのときの議論の中で、例えばある地域、ある県に限定して、ある県全体 での調査では有効性が見られたというような報告があったり、あるいはこの間のワクチ ン学会でも、ウイルスを分離したところで見たのでは、小児に対しても効果があったと いう報告は報告としてはあるんですけれども、では、その次を待って、その次を待って ということでは小児科学会としては見解が出ないので、現在までの神谷班をベースにし て、現在の判断をするということを決めております。したがって、今後の研究のいろい ろな進展によっては、当然変化があり得るということです。  それから、もう一つ恐らく関心があるのは、急性脳症との関係でそれを防ぐかどうか ということが、小児に対するワクチン効果ということの評価の一つの指標になると思う んですけれども、これは岡山大学小児科の森島教授の主催する研究班、いわゆる森島班 の方では、現在のところ、脳症発症についてワクチン接種者の方が有意にそれを下げる というようなデータは得られていないということがありますので、インフルエンザワク チンが急性脳症を防ぐかどうか。かかり始めてしまったものについても、それ以上の進 展を食い止めるという結果も出ていないというのが森島班の見解だと思います。ただ、 森島班あるいは神谷班あるいはそれを討議した小児科の委員会でも、感染そのものがあ る程度防げるのであれば、それは脳症の発生率も当然下がるであろうから、そういう意 味での効果はあるけれども、インフルエンザワクチンが急性脳症を防ぎますという表現 は、現在のところできないのではないかといったようなことも加えてありました。  以上です。 ○加藤座長  ありがとうございました。 ○雪下委員  これは毎年問題になることでありますが、なかなか決まった形に持っていけないとい うので苦労しているわけです。痴呆のある高齢者に対しての接種という問題、これは 今、個別接種で個人の同意を得て、署名しなければできないということになっておりま して、法律家が委員会に入りますとこれができなければ絶対だめだということで譲らな いわけです。しかし、個別接種といっても問題になっておりました施設等での高齢者の インフルエンザによる死亡例というものは、ある程度施設の上での集団発生を防がなけ れば、それを予防することはできないということになると思うので、そこから言います と、今の例えば特別老人ホームいわゆる特養の痴呆を持っている老人というのは、私が 嘱託しておるところでも大体4割近くおりまして、結局そのものが予防接種を受けられ ないということになると、施設内での集団発生を予防するということはとてもできない ということになります。今のところは保護者とかかりつけ医といいますか嘱託医と本人 とのあうんの呼吸でやっているというのが現実だと思いますが、その辺の法的な枠組み をもう少ししっかりしていただきたいと思うのです。  というのは、例えば医療法におきましても、痴呆老人に対しても医療行為というのは 本人との契約のもとに成り立つということでありまして、痴呆老人の同意を得なければ 病気を治せないということにつながるということで、その辺のところをやはり予防接種 についても同様な考え方として扱われるのが当然ではないかと思うのです。何回申し上 げても法律家は「うん」とは絶対に言わないので、その辺のところを委員会としての意 見を少し強く言っていただけないかというのが1つであります。  それから、インフルエンザにつきましては、毎年不足の問題と料金の問題で大変厚生 労働省にも毎日のように苦情が来ると言われていますが、日本医師会にも専門官を専属 に置かなければならないほど苦情が来ております。昨日も京都の小児科の先生から料金 の問題について、日本医師会が何もしていないのはどういうことなのかと、1時間くら いにわたって文句を言われました。この料金の問題はいつも申し上げているんですが、 これはマスコミも言っても絶対に書いてくれませんけれども、独禁法により、決められ ないという部分がございまして、例えば今までですと、金額を固定しないで3,000円以 上ならいいだろうということになっていたんですが、その3,000円以上でもだめだとい うことで、一昨年でしたか、四日市の医師会が公取からおしかりを受けまして、それを もっていけないということになりました。全く決められずかえって混乱を起こしている というのが現状であります。  ただ、法的に65歳以上の老人に実施する場合には、どこの市町村におきましても、料 金を決定する基準というものが決まっております。これは初診か再診料プラスワクチン 代、それから、ディスポの注射器等を使いますから、その材料費プラス技術料というこ とになっておりまして、それが3,500円とか4,000円前後ということになると思います。 そういうことで自治体ではみんな算定しておりますので、それに準じて医師会の先生方 も料金を決めてやっていただきたいということを申し上げているわけです。ただ、医師 会に入っていない先生方の中で、土曜なら土曜に予防接種をやると言うと何百人という 人が来るということで、子どもですから0.1ないし0.2mlとか使うので、1本を5人くら いにも使えるなどということで安くやっておられるところもあるわけです。しかし、一 般の医療機関では感染を防ぐために1人1本使用を原則としており、65才以上の法定以 外の接種につきましては、健康被害に対して何らの公的補償はないということを十分わ きまえて十分診察の上適応を決め、やっていただきたいということを医師の先生方には 申し上げているところであります。  その辺のところを十分マスコミの人にも理解していただきたいと思うし、ただ、公取 で決めていることが、実際はかなり混乱を起こしているということがあるわけでありま すので、検討会等で適切な金額というものを決めて、大体の目安の料金をむしろ公取に 申し入れていただければと考えております。 ○加藤座長  ありがとうございました。  前段の痴呆の方に対するインフルエンザワクチンの接種に関しては、平成13年の法律 で決定したわけですけれども、あくまでもこれは第二類疾病として、意志が自由に表現 できる方においてのみ接種をするというのが、政治的な妥協点であったというふうに聞 いております。したがって、現在、高齢者に対してインフルエンザを接種していること が世の中に広く受け止められているということであれば、雪下先生がおっしゃるよう に、更に幅広い方々にも接種していくという方向が可能ではなかろうかと考えますけれ ども、これを法律化するときには法改正でございましたので、国会での議事が必要であ ったというようなことも聞いておりまして、これが精いっぱいなところだったというの が現状であったと聞いております。今、インフルエンザのワクチンがどれだけ評価され ているかということを踏まえた上で、次回また各論のときにディスカッションになると 思いますけれども、最終的には健康局長の出番になってくるかなというふうに私は考え てございます。  それから、料金設定のことに関しては非常に難しいところがございますので、検討会 というよりは、むしろ日本医師会の雪下先生の絶大なる力で御指導いただきたいと考え ております。よろしゅうございましょうか。  それでは、次に、日本脳炎にまいります。日本脳炎は御承知のように、現在行われて いる日本脳炎ワクチンは非常に安全性がありまして、副作用もほとんどありません。抗 体価もよく上がってよいワクチンでありますが、残念ながらマウスの脳を使っているワ クチンでございまして、そのためにいろいろなものが入り込んでくる可能性がある。ま た、それは関係があるかないかは別として、日本脳炎を接種した後にADEMという副反 応、合併症が起きたという事例が幾つか続いて出てきたことも事実でありますし、ま た、この脳を使うワクチンによって数多くの動物の脳を使い、そして、それを殺すとい う動物愛護上の問題もかなり問題化されてきております。  一方においては、ベロ細胞によるワクチンは幾つか認可されているところでありまし て、我が国では数社がベロ細胞を使った組織培養型日本脳炎ワクチンの治験を行って、 そして、近々これが終了して、センターに送り込まれる状況にあるというふうに聞いて おります。結局ワクチンを変えるかどうかという簡単なようで難しいお話なんですけれ ども、このことについて委員の御意見を伺いたいと存じますが、いかがでしょうか。  岩本先生、何か日本脳炎に関して。 ○岩本委員  特に余りアイデアがないですけれども、培養には血清とかは要らないんですか。 ○加藤座長  血清は多少は入ってくると思います。すべてのワクチンで例の狂牛病関係の血清が問 題になってきて、これが恐らく来年3月までにはすべての会社がクリアして、これがオ ーストラリアでBSEが出てしまうとアウトなんですけれども、恐らくオーストラリア 産の血清に全部変更になるというふうに伺っております。ただ、ワクチンの最終段階で 入ってくるということは絶対になくて、ごく初期の段階のところで、先生は御専門です からよくおわかりですけれども、ごく初期の段階の培地に使われるだけですので、例え ば、牛の肉を食べるのを1とすると、10の7乗から8乗分の1の危険性だそうです。だ からといって、全く危険はないよと言うわけにはいかないので。肉を食べるんじゃない んですよ、狂牛病にかかってしまった脳みそを食べた場合、それに比較すると、10の7 乗から10の8乗分の1の確率で起きないとは言えないということで、それをとってくだ さいと。これは同じ厚生労働省でも薬務局の方が言っている話ですので、そういうこと が現状で、メーカーの方々は大変苦慮しているのが現状であろうかと思います。  いかがでしょうか、日本脳炎に関しては。 ○竹本委員  ワクチンそのものではないんですけれども、今現在、北海道がワクチンを打っていな いんですね。今、人口の流れとしても北海道へ転勤する人間と、それから、向こうから 転勤してきたり、あるいは大学などで上京してくる人も多いので、そうしますと、転勤 してきた人は年齢が外れてしまうと全部自費でやらなければならない。経済的な負担も 大きいので、その辺のところを全国共通で国民全部という形でやっていただければいい のではないかと。現実に厚生労働省でも、北海道から来るエキノコッカスのことなども 指導しているようですけれども、人間の方もそういう注意力ということで是非、国民一 律にワクチンをやっていただければと思っております。 ○加藤座長  大変、貴重な御意見をありがとうございました。これは御承知のように、都道府県の 知事の決定権でございますので、政府に決定権がありませんので、知事が要らないと言 ったらやらなくてもよろしいという法律がありますので、私はいつも北海道で講演する ときには、私に質問しないで知事に抗議しろと言っているんですけれども、知事さんが どう考えるかというところであろうかと思っておりますが、またこれも各論のところで お話しいただければよろしいかと思います。よろしゅうございますか。  それでは、先に進ませていただきます。まだ対象疾患となっていないワクチンの導入 について。前回、平成6年のときの委員会では、ここに書かれてありますように肺炎球 菌とおたふく風邪と水疱瘡、この3つが議論上に乗りましたが、これにインフルエンザ が入っていたわけですけれども、インフルエンザが高齢者に対しての予防接種の導入と いうことに後日なったわけです。この3つの病気については、審議が残されておるとこ ろでございますが、余り時間もございませんので、1つにつき5分ぐらいずつお話をい ただきます。  肺炎球菌は、実際には今2歳以下の子どもたちにはT−cellインデペンデントのワク チンなので有効でないということで、7価の肺炎球菌ワクチンが今、治験中です。実際 に世間に広まっているのは23価のワクチンで、議論している最中には、まだこの肺炎球 菌ワクチンの接種者が年間に1,000人いなかったんです。ところが、2000年から2001年 にインフルエンザが大流行いたしまして、そのときにたくさんの死亡の方が出ました。 その死亡者の大体8割が肺炎で亡くなっておりまして、その8割の中の30%が肺炎球菌 による肺炎で亡くなったということが、これもマスコミを通じての報道がありましたの で、それを契機に肺炎球菌ワクチンの接種者が増えまして、現在15万人を超えている 方々が肺炎球菌ワクチンを接種しているというのが現状でございます。  したがいまして、これも今後の議題となると思いますけれども、従前の疾病に加え て、肺炎球菌による肺炎も対象疾病に入れるかどうかというようなことなのでございま すけれども、御意見ございませんか。  宮崎先生、いかがでしょうか。 ○宮崎委員  今、先生が言われたように、本当に急に接種数が増えてきて、ほとんどが高齢者の接 種だろうと思います。高齢者の肺炎が問題で、インフルエンザ桿菌などもありますが、 肺炎球菌というのは非常に大きな問題ですので、内科側からのリクエストがあれば、定 期化の候補の1つだろうと思っています。小児に関しては先ほど御説明もあったよう に、新しいタイプのものでないと定期には導入できませんので、まずは治験の結果を見 ながらということになるかと思っています。 ○加藤座長  ありがとうございました。  岡部先生、何かございますか。 ○岡部委員  いずれにしろ、肺炎そのものを防ぐのではなくて、肺炎球菌による全身性感染症を防 ぐというような効果ですので、肺炎球菌ワクチンを接種さえすれば肺炎を防げるといっ たような一部の考え方は違っているようです。ただ、肺炎球菌に関して研究班がありま して、私のところでもそれを高齢者における、例えば、抗体の持続あるいはその効果と いったようなことは次第にデータが固まりつつありますので、そういったようなことは この間に提供していけるのではないかと思っております。今のところまだオンゴーイン グなものですから。 ○加藤座長  ありがとうございました。よろしゅうございますか。  次は、おたふく風邪ですが、おたふく風邪は平成11年のときに議論がありました。こ れが対象疾病にも乗らなかった理由は、残念ながらおたふく風邪のワクチンそのものが 依然として無菌性髄膜炎を起こす、その程度ははっきりわかりませんが、5,000人から または8,000人、または1万ドーズに1人ぐらい無菌性髄膜炎が出るということが問題 になっておりました。そういうような理由から、その当時これがペンディングになった 理由は、新たなおたふく風邪のワクチンが開発されるのであれば、この疾病を対象疾病 に入れますという前提条件がついていたというふうに覚えておりますが、その後私がい ろいろ散見したところでは、なかなか新しいワクチンが出てきているという気配はない と考えますが、委員の方でどなたか御意見ございますか。勿論、自然のムンプスにかか った場合の無菌性髄膜炎の発症率に比べれば、はるかに低いわけですけれども、ワクチ ンというものは健康な方を連れてきて、健康な方に接種して、その健康な方が無菌性髄 膜炎を起こしてしまうという因果関係がございますので、若干難しいところがございま す。いかがでしょうか。 ○岡部委員  外国ではMMRを使ってという枕詞がよく使われるんですけれども、実際にMMRあ るいは風しんを含めておたふく風邪あるいは水痘も、目を向けているのは実はまだいわ ゆる先進国で、途上国ではそれに関するものが不明である、そこまで手が届かないとい うような状況が世界的な動向だと思います。ただ、WHOも現在、風しんあるいはおた ふく風邪、水痘の今までそういう調査が行われていない国に対して次第に掘り起こすと いいますか、サーベイランスを強化して、その病気のインパクトをディジーズ・バーデ ンといったようなことをだんだんデータを増やしつつあります。そうすると、水痘もお たふくも、特におたふくの方は難聴の問題があったり、髄膜炎の問題があったり、ある いは水痘も含めて入院期間であるとか、あるいは小児が休む期間の問題、そういったよ うな広い、病気そのものですぐに実施的になるというようなこと以外の面からの評価が 少しずつ出てきているというのがあります。  この間、WHOのおたふくを含むような、水痘はちょっと別だったんですけれども、 ムンプスに関する疫学的な研究状況といったような会議があったんですが、いわゆる先 進国の中でムンプスの発生状況を見ると、その中の3分の2ぐらいは日本からの報告例 であるといったようなことで、余り芳しくない評価がありました。サーベイランスをき ちんとやっているという点では評価があったんですけれども。そういったようなことも 含めて、この病気のインパクトの強さというようなことを判断していく必要があるだろ うと思います。 ○加藤座長  ありがとうございました。  また、各論のときに。 ○竹本委員  今、岡部先生がおっしゃったように、水痘などでは特効薬という形で出てきたんです が、おたふくだけがそういう薬ができていないので、本人自身も幼稚園、保育園あるい は小学校を休む率も高いのと、それから、やはりそれに伴ってお母さんの働いている家 庭でも、その期間ずっと休まなければならないと。中小企業などでは、そのために会社 を辞めさせられるような例も出てきているようですので、できればおたふく風邪、ワク チン予防法で接種できるようにしていただければありがたいなという感じがします。 ○加藤座長  ありがとうございました。  次に、水痘に移ります。水痘は平成11年のときにはボーダーラインで、上がるか上が らないかというところで結局上がりませんでしたが、私は小児科医ですので水痘を見る たびに、日本にこのような汚い病気が蔓延していて許されるのかどうかと、これは許さ れない、小児科医としてはどうしても許しがたいという意見を申し述べました。現在も 同じ意見です。今、竹本先生からお話がありましたけれども、勿論お薬はございますが 価格が高いということとか、または罹患率がおたふく風邪よりもはるかに高い、そし て、感染性が非常に強いということを考えた場合に、米国でもルーチン化されていると いうことも考えたときに、水痘というものはそれほど強いワクチンではありませんけれ ども、やはりワクチンである程度抑えるべき病気ではなかろうかと。座長からこういう 話をしてはいけないのでしょうけれども、私はそう考えておりますが、澤委員、いかが でしょうか。 ○澤委員  私どもも保育園に入園している率が非常に高いということと、私どもの区は中小零細 企業がたくさんある町なんですけれども、働いている女性が多いです。できればそうい うものを制度化していただいて、保育園などでの蔓延が防止できればと思います。 ○加藤座長  ありがとうございます。  先ほど竹本委員からもお話があったように、これはなりますと働いているお母さんは 休まなければならなくなって、休んでいる会社は、また仕事が大変になるというイタチ ごっこの状態。日本はそのためにお父さんが休むなんてことは絶対にないですから、こ の病気はなくならない病気なんですね、残念ながら。しかし、どこかで食い止める必要 があろうかと思いますので、また各論のところで白熱した御意見を伺いたいと存じま す。  では、次に、その他の疾患でA型肝炎は飛ばしまして、インフルエンザb菌のHibワ クチンについて入ります。御承知のように、これは幾つかのスタディがありますが、現 在日本では5歳以下の子どもたちをプロスペクティブにもレトロスペクティブにも見ま すと、髄膜炎になる人数が大体5歳以下の年齢のうち10万人当たり8人です。そうする と、年間に約500人がインフルエンザ菌のbタイプで髄膜炎になって重篤な症状を残し ているというのが現状でございます。先進国でこのHibワクチンを接種していない国と いうのは日本だけでございまして、非常に情けない状態であると。私ども日常診療して おりますと、海外から帰ってきた方々には、必ずこのHibというものが予防接種手帳に 書かれてございまして、日本ではないのでしょうかということを必ず聞かれます。そう いうようなことから、このHibを取り上げてあるわけですが、この件に関して御意見を 伺いたいと思います。 ○竹本委員  これは日本小児科医会、それから、日本外来小児科学会、それから、日本小児科学会 もそうですね、三者で要望書も出ているので、是非これを検討していただきたいと思い ます。 ○加藤座長  いろいろな学会で厚生労働大臣の方に要望書が出される予定と聞いておりますが、そ れだけ皆さん身につまされる病気であって、しかも、このワクチンをすることによって 米国ではこの病気がゼロになってしまったんですね。これは非常に大きなことでして、 ワクチン効果が非常に強いということと考えております。  岡部先生、何か追加はございませんか。 ○岡部委員  おっしゃるとおりだと思います。いろいろな方面からのデータも積み重なっているの で、これはエビデンスに基づいてかなり言えるだろうと思います。 ○加藤座長  宮崎委員、いかがですか。 ○宮崎委員  私は仕事柄、障害児を診ていますけれども、やはり後天性の感染性脳障害の中で、こ れは必ず出てくる。死亡した場合あるいは重たい後遺症を残した場合、どのくらいの社 会的負担があるかというのを計算してみたんですけれども、かなりの金額に、恐らく100 億円ぐらい行くのではないかと思いますので、十分定期の議論の対象になる疾患だろう と思いますし、私の周りの小児科の現場の医者からも、とにかくなぜこれを早くやらな いんだということでせっつかれております。 ○加藤座長  ありがとうございました。  そういうことで、これもまた後日、いろいろなデータを基に議論させていただきま す。  残りましたのがA型肝炎。A型肝炎は御承知のように、16歳以上の方には認可されて おりまして接種されてございます。特に、東南アジア等に行かれる方でA型肝炎に感染 される方が非常に多うございまして、なぜかA型肝炎に関しては小児でも治験は既に済 んでおりまして、審査センターの方まで上がっているワクチンなんですけれども、8年 間くらい御返事がない。「だめ」とも言わないし「いい」とも言わないと。こういう不 思議な状態で宙ぶらりんになっているワクチンですので、中にはドクターの自己責任で もって15歳未満の方にも、このワクチンを接種しているという先生方もおられます。決 して危険ではないんですが、しかし、一応それは医師の責任で行うという形になってお りますので、許可はされていないワクチンでございます。したがって、是非この機会に この検討会で、このA型肝炎のワクチンが進行していくような方向でおまとめをいただ ければありがたいと考えておりますが、何かA型肝炎で御質問ございますか。 ○岡部委員  A型肝炎は国内においても時々散発で起きることがあって、特にやはり食事関連の感 染であるということで、もし議論をしていただけるならば、広く全体にということでは なくて、特定のターゲットに絞った場合の接種の推奨が可能かどうかといったようなこ とを議論していただければと思います。前回のときも特定の、端的に言うと食事をつく ったり、そういうような調理をする方は一つのリスクにあるわけです。本人だけではな くて、感染の拡大という意味で。そういった方への接種の勧奨がどういう形でできる か、ちょっと議論していただければと思います。 ○加藤座長  ありがとうございました。  ほかによろしいでしょうか。 ○澤委員  保健所では食中毒も対応しているんですけれども、時々患者さんが出てきまして、原 因はということで食品や、水を検査しています。やはり検討していただけたらなと思っ ています。 ○宮崎委員  治験にも関わりましたし、その後、実際に海外に行かれる方にもかなり接種しました けれども、それこそ医師の責任で小さい子にもやったことがありますが、ワクチンとし ては非常にいいワクチンだと思いますね。混ぜものもむだなものが入っていませんし、 抗体も非常によく上がるということで、製品としては非常にいいのではないかと私は思 っています。 ○加藤座長  そういうことで、どのような考え方でA型肝炎を進めていくかは、これからまた課長 さんと御相談をしながら進めていきたいと思いますが、本日は時間がまいりました。議 論が尽きないところでありますけれども、予定の時間になりましたので、今日はこの辺 りで閉めさせていただきますが、今後のスケジュール等につきまして事務局からお話を いただきます。 ○小林専門官  では、資料4、13ページに今後の進め方についてまとめてございます。当面は月1回 程度開催していきたいと考えてございまして、第2回目を11月24日の午前中に予定させ ていただいております。次回以降、個別の予防接種に関する課題について、委員の先生 方に加えて、関連分野の専門家にその都度参考人として御出席いただきながら進めてい きたいと考えております。  具体的には第2回目、次回には麻しんと風しんに特化した議論をしていただくと。そ れ以降、インフルエンザあるいはそれ以外の疾患について個別具体的に御議論いただき まして、また4月以降には横断的・制度的な課題についての検討を行い、夏をめどに議 論を取りまとめていただきたいと、このように考えている次第でございます。 ○加藤座長  ありがとうございました。  何かそのほかに確認事項はございますか。 ○岡部委員  先の話なので、ちょっと制度的なことを1つだけなんですが、前の会のときも話題に なりましたけれども、やはり接種を進め、接種率を向上するため、あるいは学校のよう なところの集団で感染を予防するということで、やはり国が行うべき方策の「国」は必 ずしも厚生労働省だけではないと思いますので、そこの連携を何らかの形でとっていた だきたい。つまり具体的に言えば、文部科学省との話し合いかあるいは連携についての 問題もやっていただきたいということ。  それから、接種の機会を与えるということは、その保護者に対してできるだけ予防接 種を受けに来られるような状況をつくらなければいけないので、その病気で休んだとき に一緒に休むのは非常にダメージが掛かりますけれども、それは病欠だったり、学校保 健法に欠席扱いにしないというようなものがあるんですけれども、予防接種に行くとい う行為は、全くその人が個人的に学校を休んで行かなければいけないというのがありま すので、接種機会の増大という意味で、厚生労働省の労働の方も是非、ここが適当かど うかわかりませんけれども、是非議論していただければと思います。 ○加藤座長  ありがとうございました。  学校が関連しているので、なるべく文部科学省との間の横の連絡をとっていただきた いということとか、または予防接種に連れてくる保護者の労働、それから、予防接種に 来る子どもに対する病欠的な扱い、そのようなことも範疇に入れて議論していただきた いと、こういうことでよろしゅうございますか。ありがとうございました。  ほかにはよろしいですか。  それでは、本日は多少時間がございませんでしたけれども、長時間にわたりまして貴 重な御議論をいただきまして、ありがとうございました。これをもちまして、第1回の 検討会を終了させていただきます。ありがとうございました。                               紹介先                         健康局結核感染症課予防接種係                         TEL:03-5253-1111内線(2385)