04/10/14 第2回社会保障審議会医療部会議事録 第2回 社会保障審議会医療部会 議事録 日時 平成16年10月14日(木) 17:00〜 場所 東海大学校友会館 望星の間 ○企画官 ただいまから、第2回「社会保障審議会医療部会」を開催いたし ます。皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席いただきまして誠にあ りがとうございます。本日は、尾形委員、杉町委員、辻本委員、野呂委員、 福島委員、堀田委員、松井委員、渡辺委員が欠席です。見城委員は遅れてい らっしゃいます。ご出席いただいております委員の皆様方は、定足数を超え ておりますので、会議は成立しております。  資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、資料1「医療に関 する情報提供の推進について」、資料2「安全で安心できる医療の再構築に ついて」、参考1、参考2「医療提供体制の確保についての考え方」、参考 資料2の参考資料として「三位一体改革について」という10月12日付のもの、 参考3「『医療計画の見直し等に関する検討会』ワーキンググループ報告書」、 参考4「規制改革民間開放推進会議の最近の動向について」です。  なお、社団法人日本薬剤師会から、本日の議題に関連して「薬局機能評価 検討事業報告書(抜粋)」について、参考資料の提出がありましたのでお配 りしております。以後の進行については部会長にお願いいたします。 ○部会長 議事に入ります前に、委員欠席の際に、代わりに出席される方の 扱いについてお諮りいたします。医療部会の運営に関しては、社会保障審議 会運営規則に基づき、同規則に定める者のほかは、部会長が定めることとさ れております。これに基づき、当部会においては、委員欠席の際に、代わり に出席される方に関しては、事前に部会長の了解を得ること、当日の部会に おいて承認を得ることにより、参考人として参加していただくことを例外的 に認めることにしたいと思います。その際に、参考人の意見の陳述は認めま すが、部会開催の定足数には勘定せず、議決権もないこととしたいと思いま す。以上のような取扱いでよろしいでしょうか。 (承認) ○部会長 ありがとうございました、いまの件を踏まえ、本日は福島委員の 代わりに高智英太郎参考人、松井委員の代わりに遠藤寿行参考人がご出席で す。  議事に入ります。本日の議題は、大きく分けて「医療提供体制の確保にお ける国と地方との役割分担について」、「医療提供体制の改革について」の 2つがあります。それでは、最初の議題である、「医療提供体制の確保にお ける国と地方との役割分担について」の説明をお願いいたします。 ○総務課長 参考2とその参考「三位一体改革について」、参考3に基づい て、三位一体改革の議論の状況等についてご報告申し上げます。本問題につ いては、前回当部会でもご議論いただきましたが、その後の議論の進行状況 についてご説明申し上げます。「三位一体改革について」、平成16年10月12 日付厚生労働省作成の資料からです。  一昨日、この問題を検討しております官房長官等の関係大臣と、地方6団 体の長の皆さんからなる会議がありました。この会議で、厚生労働省分野の 補助金改革について意見交換、協議が行われました。この資料は、その協議 の場に、厚生労働省の考え方としてお出ししたものです。細かい説明はいた しませんが、1頁には、この問題に対する厚生労働省の基本的な考え方を書 いております。6頁は、地方6団体の提案をまとめたものです。9,444億円と いう、廃止・移譲すべき補助金の提案がなされております。医療関係の補助 金についても、ほとんどが廃止の対象になっています。  7頁で、私どもとしては地方6団体の提案について、医療関係の補助金も 含めていろいろ問題があるのではないか。ここは精査し、地方に同化・定着 しているものについては積極的に見直しをしていくということですが、大部 分の補助金については、1番から6番に書いてあるようないろいろな問題点 があり、いま現在これを廃止するのはいかがなものかということでご説明申 し上げました。  9頁でその1つの大きな例として、国としても「新エンゼルプラン」、最 近では「健康フロンティア戦略」を国家的な課題ということで、喫緊の重要 な課題について総合計画を作って取り組もうとしているところです。提案に よれば、ここに書いてあるようなことで、補助金が激減してしまい、それに よってこうしたプランの実施が円滑にできるだろうかが懸念されるというこ とです。  14頁は、そんなことから6団体の提案はいろいろ問題があり、私どもとし ては賛成できないということです。さらば代案を示しなさいということで官 邸からも指示がありましたので、私どもとしてその代案をどうするかが大き な課題になります。まだまだ内容については精査・議論をしなければいけま せんけれども、14頁の真ん中のポツにあるようなことで、一部については廃 止の方向で検討いたしますが、大部分については、廃止することは困難であ る、地方公共団体の自主性・裁量性にできる限り配慮しつつ、国において実 施することが適当であると考えております。  代案については、社会保障制度の今後のあり方を踏まえ、また地方の役割 を強化することで、一層的確な運営が図れるものとして、国民健康保険、生 活保護、児童扶養手当といった事業において、国庫負担の見直し、都道府県 への負担といったことを提案させていただきました。  具体的に高率補助になっている国庫補助率をどの程度にするか、あるいは 国保の国庫負担をどの程度地方にお願いするかについては、これからさらに 議論を深めて具体的に提案したいと思います。  側聞するところでは、これに対して地方6団体の梶原全国知事会会長は、 議論の土俵が違う、厚生労働省の提案は別の土俵で一人相撲をしているよう なものだ、という発言があったと聞いております。審議時間が非常に短かっ たこともあり、一昨日の段階では十分な議論ができていないと聞いておりま す。私どもとしては、来週もこういった場があるようですので、是非継続し てご相談・ご協議をさせていただきたいということで考えております。政府 の予定としては、今月28日までに各省具体的な補助金の改革案を取りまとめ よという指示ですので、遅くともそこまでには、地方6団体と十分協議をし て案をまとめる、という作業をしていかなければいけない状況です。  以上のような三位一体改革の議論の状況の中で、医療行政の分野について も、国と地方の役割分担はどうあるべきか。その役割分担の下で、医療提供 体制をどう確保していくのか。こういう観点から、この三位一体改革の問題 を整理していくことが大変重要ではないかと考えております。  このような基本的な考え方に立ち、厚生労働省として三位一体改革に適切 に対処していくとの趣旨から、議論のたたき台ということで今般医政局とし ての考え方を取りまとめたものが参考2の資料です。  今後の医療提供体制の確保の基本的な方向性としては、1頁の目指すべき 方向性の(1)から(3)のようなことがあります。これを言い換えると、右側のよ うに患者・国民のQOLの向上、地域格差の是正、限りある医療資源の有効 な活用に向けてのシステム作りといったことが、私どもの目標としてあるの ではないか。  こうした目標に向けて、それでは医療提供体制の行政・制度をどのように 持っていくか。あるいはその補助金をどのように持っていくかというときに、 今まさに三位一体改革という政府挙げての改革に取り組もうとしております ので、こうした視点を踏まえて行う。また、医療行政というのは、大部分が 都道府県の自治事務になっておりますので、都道府県に中心となってこの役 割を担っていただく。そういう意味で、都道府県の役割の充実という視点も 重要ではないか。  そういう観点から、私どもとして今後考えていきたいと思っておりますの は、医療計画制度の見直しをする中で、地域の医療体制整備のための補助金 改革を一体的に捉えて議論していってはどうだろうかということです。医療 提供体制の確保のために医療計画制度が中心的な役割を果たしているわけで すが、後ほど出てくるように、この制度もいろいろ問題点を指摘をされてい て、その見直しが求められていると認識しております。そのようなこともあ りますので、この両者を一体として改革を進めていくことが適当ではないか と考えております。  2頁は、その医療計画制度をどのように見直すのかということです。この 医療計画制度見直しの議論は今回始めたわけではなくて、参考3にあります ように、昨年8月から、「医療計画の見直し等に関する検討会」が立ち上が っており、既に議論が始まっております。その検討会の下にワーキンググル ープができていて、先日、このワーキンググループが報告書を取りまとめま した。今週の火曜日(12日)に第2回の検討会が開かれ、その場にワーキン ググループの報告書が報告されました。  したがって、検討会としての意見はこれからこの報告書を叩いてもらって まとめてもらうということですから、この検討会の方針ではありませんが、 1つの議論のたたき台だと考えております。  I頁に、報告書のポイントということで概要が載っています。2の「医療 計画制度の評価」の2つ目の○印に、「都道府県の医療計画は大まかな社会 目標が提示されているが、それに至る実施計画の役割は果たしていない」と いうところが大きな問題だということで捉えられております。  II頁に、「今後の医療計画制度のあり方について」ということで、医療計 画制度のあるべき姿として、(1)住民に対して中長期的なスパンで捉えた医療 提供体制及びその整備の目標・手順を都道府県自ら明らかにするためのもの とすべきである。(2)具体的な数値目標の設定と評価が可能なものとなるよう 内容を充実すべきである。(3)「作成→執行→評価→次期計画への反映」を1 つの循環となるようにすべきである。こういう基本的な考え方の下に、いろ いろ具体的な提案がなされております。  2の(4)の「記載事項」のところで、医療計画の目的を達成するための 具体的な数値目標を記載することとし、進捗状況の把握と達成度の評価を実 施できるよう、あらかじめ数値化できる適切な指標を導入する。  III頁の4で、「医療計画に基づいた都道府県の執行管理と推進の方策」と いうことで、この医療計画制度における都道府県の役割と重要性が指摘され ております。4の(2)医療提供体制の充実を図るための総合的な計画とし て医療計画を位置づけ、都道府県段階での補助金等関連制度との有機的関連 付けを図る必要がある。  5で、特にこの報告書が強調しているのは、(3)住民の視点に立った評 価方法(ライフコースアプローチ)の提案ということですが、細かい説明は 省略させていただきますので後ほどご覧ください。  この報告書は、これから検討会で議論していただき、できれば年内に検討 会としての意見の取りまとめをしていただければと考えております。検討会 で意見の取りまとめができましたら、この部会にもご報告し、この部会とし てもご議論いただきたいと考えております。  参考2の2頁に戻りまして、いまのような検討会の報告の内容を踏まえ、 私どもとしては右側にある「国による基本方針の提示」ということで、国が 医療計画の基本方針を示し、国としてあるべき医療提供体制のビジョンを提 示する。そして、ビジョン実現に関係の深い指標を都道府県に提示するとい うことをしたいと思います。  その上で、左側の「医療計画の役割、作成手法の見直し」ということで、 都道府県ごとに、疾患や医療機能ごとに定められた指標に基づく具体的数値 目標を設定していただきます。そして、具体的な実施計画を作ってもらいま す。これまでは、ややもすると計画を作りっぱなしということがありました けれども、国が作成する政策評価項目に従って、都道府県で実施状況につい て定量的評価をしてもらいます。さらに、その定量的評価に基づいて、さら に医療計画の見直しをしてもらう、というようなことをしてはどうかという ことです。  また、「医療計画の内容の充実」ということで、従来の記載に加えて、患 者・住民のQOL向上の観点から、医療機能の分化・連携、病院間、病院・ 診療所間、あるいは福祉サービスとの間の連携といったものを、例えば2次 医療圏内で完結するような形で、具体的に計画として作っていただく。ある いは従来弱かった医療安全、小児救急医療、在宅医療といったものも積極的 に計画の中に取り込んでもらう、といった方向で医療計画を見直してもらっ たらどうか。  3頁ですが、一方で補助金改革については3つの視点があります。1つは、 こうした新たな医療計画制度を、実施計画ということで充実させていくため には、その実効性を確保する必要があるわけですけれども、まさにその補助 金も財政支援という意味では、その実効性を確保する重要なツールですので、 こうした観点から補助金改革を進めていく。また、国の責任の遂行というこ ともありますし、地方の自主性・裁量性の発揮という観点からも、この補助 金改革を考えていかなければいけないのではないか。  結論ですが、改革の方向という形で、私どもとしては今回の三位一体改革 の趣旨に基づき、現行の補助金は精査をした上で、地方に同化・定着してい るものは地方に任せるとしても、そうでないものについては引き続き国の補 助金として維持していくことが必要であると思っております。  ただし、単にこれまでと同じように残すということではなくて、具体的に は都道府県が策定する医療計画の実施を支援する観点から、地方の自主性・ 裁量性が高まるように補助金制度を改革していきたい。具体的には、現行の 補助金について、一部交付金化、あるいは統合補助金化等を行うことにより、 都道府県が自ら策定する医療計画の内容を実行・実現しやすくするようにし たいという趣旨です。  4頁に、こうした医療計画の改正は、医療保険制度との連携・整合性、あ るいは医療計画は介護支援計画や健康増進計画との連携・整合性が求められ ますので、実施時期としては、いちばん最後にあるように、平成18年の医療 保険制度改革と併せて改正をしてはどうか。もちろん、一部前倒しで平成18 年度から実施するというものも当然あろうかと思いますけれども、原則的に は、そういったことではないかということです。5頁は、いま言ったことを、 救急医療を例にしてまとめたものですのでご覧ください。  こんな状況の中で、医療提供体制のあり方については、先月より本医療部 会でご審議いただいているところです。まさにこれから議論してもらうわけ ですので、この資料はあくまでも当部会における今後の議論のたたき台の1 つということで受け止めていただければと思います。どうぞよろしくお願い 申し上げます。 ○部会長 ただいまの説明、あるいは資料に関するご質問も含めて意見交換 をお願いいたします。 ○山本(文)委員 こういう医療計画の案を出されたのですが、開業医(医 院)がいくつあって、大病院がいくつあって、中病院がいくつあって、小病 院がいくつあってという数値を教えてください。このようにやろうといって も、数がどうなっているか把握できないと、納得できません。  2点目は、私はいま地元の救急医療の委員会の委員をしているのですが、 小児科がいなくて困っています。こういう計画は、確かに文言の上では立派 なものだと思いますが、小児科の医師がいないものですから、このごろは各 大学を飛び回っています。大学へ行っても、小児科の先生はいないのです。 いないというのは、小児科が悪いのかどうか知りませんが、小児科医になる 人がいないのです。ですから、救急医療が十分できるのだろうかという心配 があります。  小児科の病気というのは、いまの親は昔とは違って、ちょっとのことで病 院へ行きます。我々が小さいころは、少しぐらい熱があっても病院へ行った りなどすることはありませんでした。今はそういうのが充実していますから、 供給が非常に大きいわけですが、そういう体制が整えられないということに なると、救急医療そのものが成り立ちません。こういう計画を作る場合は、 大学との提携が十分取れるような計画になるべきだと思います。そうしない と、救急医療そのものが充実しないのです。  一方、ヘリコプターで救急患者を送っています。私どもの所でもヘリコプ ターでやっている所はあるのですが、あまり効率的ではありません。ヘリコ プターをやるのなら、本当に充実するようなヘリコプターの救急医療ができ るようにすべきだと思います。このようなこともこの計画の中には入れるべ きではないか。  これらの仕事を、本当に一生懸命やっていただくのは、やはり県が介入す ることがいちばん大事だと思います。こういう計画は大学との連携がうまく いっていないと、県も介入しにくいし、同時に困るのは住民であることにな りますから病院などの数値を教えてください。そして、そういうものも医療 計画に入れられるかどうかを教えてください。 ○総務課長 資料は後でお届けいたします。医療計画に、マンパワーの養成 といったことも入れるべきではないかということですが、確かに現状ではそ ういった面が弱いのではないかと思いますので、今後の見直しの方向として は、そういうことも是非考えたいと思います。 ○指導課長 いくつかご指摘をいただきましたが、救急等についても先ほど 総務課長からご説明申し上げましたワーキンググループの報告書の中で、か なり幅広にいまご指摘の点なども、直にはお答えになっていないかもしれま せんけれども、そういったことも視野に入れた検討をすべきである、という ことが大体盛り込まれてこようかと考えておりますので、検討会の検討の中 で議論させていただきたいと考えております。 ○龍井委員 質問も含めて3点ほど指摘させていただきます。今回出された ワーキンググループの報告の中身については、先ほど説明がありましたよう に、具体的な数値目標の設定、あるいは住民の視点に立った評価方法等々で も前向きの面が出されていると評価させていただきます。  先ほど指摘された、都道府県の自主性、裁量性が高まるように、というと ころがかなり要になると思います。先ほど、一部の交付金化という話もあっ たのですが、どういう実効措置がさらに考えられるのか大いに期待したいと 思います。  2点目は、参考資料2の4頁で、介護の計画との連携の必要性が強調され ています。これも当然の話で趣旨はよくわかるのですが、介護の支援計画に ついては3年ごとになっておりますので、そういう意味での具体的連携をも う少しイメージとして教えていただきたいと思います。  前回の議事録を読ませていただきましたが、第1回の検討会でも要介護状 態の、在宅での支援、医療について指摘があったようですが、その辺は具体 的に医療計画の中で、そうしたことの連携が明記されるべきだと思うのです。 その辺の考えがあればお伺いしたいと思います。  最後ですが、「医療機関の機能分担と連携」という項目が出てまいります。 これは私から言うまでもなく、従来からさんざん指摘されてきた問題です。 改めてそれをさらに具体化するプロセスがいまの段階で何かお考えがあれば お伺いしたいと思います。 ○総務課長 4頁で書いている趣旨は、市町村というよりも県が全体の介護 の需給計画を作っておりますし、健康増進計画も作っています。医療の提供 体制だけを考えても、患者のQOLを考えたときに、病院にいる間はいいの ですけれども、ケアが必要になった場合に受け皿がないということでは困り ますから、当然そういうことで介護との連携を図っていかなければいけない わけです。それを、同じ都道府県が全体の調整をしていただいているという ことですので、都道府県が中心となって、こういった関連する計画との整合 性を図っていただく、という趣旨で書いているところです。  2点目の都道府県の裁量性の問題に関しては、具体的にはこれからの議論 です。中には、国としてモデル的、政策的、先駆的にやっていくような事業 は、いまのような形で補助金は残さなければいけないと思います。そうでな くて、もう少し都道府県の裁量に任せてもいい、しかしそれは医療計画の内 容に沿ってやってもらうということであれば、そういうものは統合補助金化、 メニュー化というのでしょうか、あるいは交付金化といったことも考えてい いのではないかと思いますが、個々にはこれからの議論だと思います。 ○佐伯委員 今回は、あちこちに「患者の視点」という言葉を入れていただ いたのですが、ワーキンググループの報告書の18頁の上から5、6行目辺り に、「従来の医療計画は、医療提供側の視点を中心に作成される傾向が強く、 受け手の視点が反映されにくい」とあります。全くそうだと思うのですが、 実際にどう取り入れていくのかというのは模索中であるような気がするので す。今回のワーキンググループの委員の中に、純粋に患者の立場の方がいな いということになると、そこで作られたものは従来のものとそう変わらず、 発想が同じような気がいたします。  報告書の16頁の(3)住民参加を求める仕組みの2段落目で「住民が有す る情報量を増大させ」という文章があります。これは、医療・医学について の専門的な知識は一般の方には少ない。だから、そこのところを同じように していきましょう、そこで話をしていきましょうという発想だと思うのです。 逆に言うと、受け手の細々とした、こういうところが困っている、不足であ るということを聴き取り、医療提供側が情報量を増大させる必要があるので はないかという気がいたします。  全国のいろいろな自治体で、実際に住んでいる住民の声、これは数値には 収まらないものもかなりあると思うのですが、積極的に取り入れていただい て、きめ細かな住民のニーズに応えるようなことを考えていただきたいと思 います。 ○指導課長 大変貴重なご提案ですので、ただいまのご意見を検討会にお伝 えし、是非そのような形で各県における医療計画が仕組めるような仕組みを 考えていきたいと思います。 ○大橋委員 先ほど山本委員からお話がありました、小児科医がなぜ少ない かということです。私は、小児科を40年近くやっていますが、時代が変わっ て訴えられることが非常に多いです。患者サービスということで、患者が非 常に強い立場になって、患者の視点で、目線でということでそのようになっ てきています。それで収益も少なければ、小児科医になろうとする人が少な いのではないかと思います。私が答えてはいけないのかもしれませんが、小 児科医としてそう思います。  参考2の5頁で、救急医療の体制、質の高い医療体制の確保ということで すが、いかに夜間に診療していただけるかということが大事ではないかと思 います。子供は夜中に熱を出したり、休日に熱を出したりする場合が多いで すから、そういうときにすぐ診ていただけるような医院があることは非常に 大事だと思います。日本は、犯罪が少なくて治安が良いといままで言ってき たのは、交番があるからだということと同じように、開業医があるから救急 医療もすぐ近くで診てもらえるということだと思います。開業医が夜間もや ってくれて、良い救急センターがあれば、地域に病院があれば、そこへすぐ 送って取っていただけるということ。  取っていただけない、ということが大きな問題だと思います。我々が夜中 に重症患者を診たときに、これは自分の手に負えないからということで大き い病院へ送りたい。そのときに取ってもらえるかどうかが大きなポイントで はないかと思います。そのように感じておりますので、小児科の充実を考え るときに、どうやったら小児科医が増えてくるかをいろいろ考えてもらいた いわけです。そうすると、給料をたくさん出すというような問題になってく ると思います。  私事で大変恐縮ですが、うちは小児科医で、私以外に2人います。いま小 児科医がいないといっても、給料を多く出すと確保できています。ただ、公 的病院の場合は給料が決まっているので、安くてなかなか行けないのではな いかと感じております。小児科医のことは、国でもよく考えてほしいと思い ます。 ○村上委員 救急医療や、特に小児に関して、いま山本委員からしっかりや れとおっしゃられたのですが、この三位一体でいった場合に、その主導権が 地方に移った場合に難しいのではないか。これは、政策的に全部やっていか なければうまくいかないのではないか。いま提案がありました、小児科医の 給料を上げるというのもバラバラにやるのではなくて、全体でやることだと 思います。  今回の三位一体の計画を見ると、その財源等々も全部地方に下ろして、こ れで本当にできるのだろうか。むしろ、こういう大事な点は、この審議会で やっていける立場でやるべきだと思います。前回、山本委員が地方自治を信 用しろとおっしゃいましたが、まさにそのようなことはこういう所でやるべ きで、中央に財源を戻すべきだと思っています。 ○古橋委員 説明の中で、地方に同化・定着している仕組みというのは都道 府県の主体と、都道府県の個性ある方法論で実施していくということは納得 できます。本日の後段のテーマである、医療現場での医療安全の確保に関し ては医療現場では本当に困惑していて、どのようにしていけばいいのか、模 索もし、試行錯誤もし、苦しんでおります。  そういう中では、モデル的な展開や、ある意味で先駆的な方法論の試み、 政策的な実施というのは、国という単位を1つにしたところでやってみる。 そういうものが定着し、実践として、ある意味で同化・定着した段階で地方 がやるほうが、安全という視点を捉えても必要ではないか。果たして、「国」 と「地方」という言葉もいいのだろうか。国が上で、地方が下という一般的 な印象を受けるわけです。補助金行政というのは、地方がいただきに上がる という感覚からは、制度をどんどん開拓していく。地方にある現実的な情報 のほうが価値と意味があることがいっぱいあるわけです。やはり、関係性は 上下ではないという辺りをしっかりと踏まえ、ただモデル的、先駆的、政策 的にやらなければならないこと、まだ模索中であり検討中であるということ は、是非とも国に手がけていただくことが大切だと思っております。  話題になりました医療計画の見直し等々も、過去にやってきて、課題が新 たに出ているので、いま検討に入っているというところでまだ確定もしてい ないわけです。そのような点では、是非とも国の責任においてやること、国 が強いし、偉いからということでは決してないわけです。日本を国という1 つの単位として眺めてやる、という考え方の下で国の責務を強く捉えて取り 組んでいただくということであろうかと思います。 ○松井委員代理(遠藤参考人) 補助金改革については、基本的に地方の自 主性、裁量性を高める方向で、地方にできることは地方に任せるという考え 方での取組みには賛成いたします。その場合にポイントとなるのは、資源の 有効活用ということだろうと思います。各地方自治体によって取組み方が異 なって、その間にベストプラクティスが見えてくるのではないかと思います。 それを見習うという考え方も、医療計画などの枠組みの中に取り込んでいっ ていただければありがたいと思います。  総務課長の説明の中で、10月28日に各省で改革の具対案を取りまとめると いうことがありました。それと、参考2の3頁に書いてある補助金改革との 関係は当面ないと理解してよろしいのでしょうか。 ○総務課長 参考2は、あくまで医療提供体制をどう確保するかという医療 行政の立場から、その方向性を考えていく中で、補助金改革等にどうかかわ っていくかを私どもの考え方としてまとめたものです。率直に言いまして、 廃止をしないものは三位一体とは関係がないといいますか、税源移譲の対象 になりませんので、基本的には関係ないと理解してもらっていいのではない かと思います。先ほど言いましたように、厚生労働省については9,400億円 近くの補助金を廃止し、それに見合う税源を移譲するとの提案が出されてい ます。  この提案は、個別には精査しますけれども、基本的には国としてきちんと 残す。残すのだけれども、医療計画の見直しの中で、より地方に自主性、裁 量性のある、使い勝手の良い補助金にしていく。医療提供体制の構築に向け て、より有効な手段としてこの補助金を使っていくという趣旨での提案です から、9,400億円とは直接関係がないということでご理解いただければと思 います。別の議論だということです。 ○部会長 まだご議論はあると思いますが、もう1つ議題がありますのでこ の 辺で終わらせていただきます。いまお話がありましたが、三位一体改革につ いては、10月下旬に厚生労働省としての代案を提示するということですので、 本日の議論を十分参考にしながら対応していっていただければと思います。  なお小児救急のことですが、私も小児科医でして、坂口前厚生労働大臣か ら研究費を頂戴し、小児科・産科の若手医師を確保・育成する研究をやって おります。本年度が最後ですので提言を出すことになっておりますので、そ れにご期待をいただきたいと思います。ただ1つだけ申し上げたいのは、小 児科医・救急には非常に地域差がありますので、これを具体的にどう解決す るかというのは大きな問題であると申し上げたいと思います。  次の議題は、「医療提供体制の改革について」です。これに関しては、資 料1「医療に関する情報提供の推進について」、資料2「安全で安心できる 医療の再構築について」がありますので、前半・後半に区切ってご議論いた だきます。まず資料1「医療に関する情報提供の推進について」を事務局か ら説明していただきます。 ○企画官 資料1「医療に関する情報提供の推進について」に沿い、現在の 取組み状況等をご報告いたします。1頁で、情報の提供の推進の最初は広告 規制についてです。医療法に基づく広告規制については、平成4年の改正以 来順次広告可能な項目を追加してきております。前回平成14年3月の医療部 会の意見書を踏まえて実施した平成14年改正において、この頁を横向きにし た下半分にあるだけの拡大がされたというのが現在の状況です。  広告規制の論点については、2頁の一昨年3月の意見書にもあるとおり、 平成14年の改正は、患者保護の観点から、現行のポジティブリスト方式を前 提として、客観的で検証可能な事項については原則として規制緩和という対 応でありました。5行目で、基本的に虚偽広告・誇大広告など患者にとって 有害となるもの以外は規制を原則撤廃すべき(ネガティブリスト方式)とい う意見もその部会ではありました。  3頁で、本年1月に「医療分野における規制改革に関する検討会」が報告 書をまとめております。ここでも上半分で、将来のあり方について、さらに 緩和をすることが適当だ、将来的にはネガティブリスト方式にすることも考 えられるとされています。下半分に、当面の取組みとして、今後とも逐次緩 和を図っていく事項として、具体的な検討項目も6点ほど今年1月時点で掲 げました。  4頁は、規制改革の関係の閣議決定でも、ネガティブリスト化を視野、あ るいはポジティブリストの範囲での積極的拡大ということが問題意識として 示されていることを紹介しています。  5頁から9頁は関連の法律、政令、告示を掲載していますが省略させてい ただきます。  10頁に飛びまして、情報提供の手段である、インターネットによる情報提 供についてです。医療機関がホームページ上で実施している情報提供という のは広告に当たるのかということですが、10頁の検討会報告書の冒頭の四角 のアンダーラインにもあるとおり、ホームページの情報は、患者が当該医療 機関について知ることを欲して当該ホームページにアクセスをして取得する ものでありますので、医療法上の広告には当たらない。即ち広告ではなくて 広報である、ということで整理をしております。  したがって、アンダーラインのところにあるように、医療法によって規制 するのではなくて、信頼性の確保については、提供者の自主的な判断に委ね るのが適当と考えております。下段の「おわりに」の(3)(4)にあるように、そ の際の信頼性の確保方策については、規制ではなくて民間団体等による自主 的な取組みが図られることが基本で、具体的方策がさらに検討される必要が ある、というふうに一昨年12月の報告書は整理しております。  11頁では、本年6月e-Japan重点計画を記載しています。ここでも、2005 年度中に結論を得て、速やかに所要の措置を講ずるということが書かれてお ります。  12頁以下は、公的機関によるインターネットでの医療機関情報の提供とい うことで、独立行政法人福祉医療機構が、一般向けにインターネットで提供 している、通称「WAM NET」について概要と、最近はより使いやすくリニュー アルをしましたので、そのリニューアルの経緯等を紹介させていただいてお ります。これを含め、今後とも公的機関による客観的検証可能な事項のイン ターネットでの提供に努めていきたいと考えております。  医療機関情報の提供の最後ですが、16頁で日本医療機能評価機構による病 院機能評価事業について資料を用意しております。事業の目的は、病院の機 能について学術的な観点から中立的な立場で評価をし、機能の改善を支援し、 国民の医療に対する信頼の確保及び医療の質の向上を図るということです。  17頁に、病院機能評価事業の対象としている評価領域を整理しております が、全部で6領域です。I 病院組織の運営と地域における役割、II 患者の 権利と安全の確保、III 療養環境と患者サービス、IV 診療の質の確保、V 看護の適切な提供、VI 病院運営管理の合理性の6領域を対象にし、それぞ れの領域ごとに、さらに細かい項目に分かれていますが、それぞれについて 病院の機能の評価を行っております。  認定病院の評価結果については、その病院の同意を得た上で機構のホーム ページで公開しております。これは広告可能な事項になっておりますので、 病院自らのホームページから同機構の評価結果にリンクさせて情報提供して いる事例もあります。  19頁以下に、名前は伏せておりますが、特定のある病院の例を掲載してお ります。21頁からは、文章で審査結果の総括が書かれ、22頁の下段、23頁以 下に、各対象領域ごとに、この病院であればどのように評価されたかがわか ります。このようなやり方をしているということです。  15頁に戻りまして、平成13年度から広告規制が緩和されたために広告が可 能になりました。医療機能評価機構の受審病院が増加しております。受審病 院は、平成16年9月末現在で1,731となっており、医療提供体制の改革のビ ジョンで、平成16年度中に2,000の病院が受審するという目標を掲げており ますが、着実に増加しております。18頁にグラフを付けております。日本医 療機能評価機構による病院機能評価事業についての説明は以上です。  次に、「診療情報の提供の促進」についてご報告申し上げます。資料の25 頁ですが、昨年5月に成立し、来年4月から全面施行される個人情報保護法 があります。これは基本理念として、個人情報というのは、個人の人格尊重 の理念の下に慎重に取り扱われるべきであると法律の第3条に書いてありま す。高度情報通信社会の進展に伴い、個人情報の利用が著しく拡大している ことを考え、表現の自由等の基本的人権を尊重し、個人情報の有用性を配慮 しながら、個人の権利利益の保護に万全を期すという、保護と有用性の配慮 のバランスをとった法律です。  この法律は医療分野も対象にしております。医療分野というのは、金融や 信用、あるいは情報通信と並び、個人情報保護法の世界でも、保護のための 格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置、その他の措置を講ずるべ き分野と位置づけられております。  また、個人情報保護法というのは、各分野に共通する必要最小限のもので すので、それぞれの分野の実情に応じたガイドラインを策定することが想定 されております。そのため、本年6月以来検討会を開催し、医療機関等にお いて個人情報を適切に取り扱うためのガイドライン策定ということと、あと は個別法の必要性も含めて取扱いのあり方の議論を行っていただいていると いうのが現在の状況です。ガイドラインについては、医療分野と隣接してい る介護分野についても、併せて一体のものとして策定するということで現在 進めております。  この関係で、診療情報の提供の促進については、昨年9月に診療情報の提 供等に関して、各医療機関において則るべき指針ということで、診療情報の 提供等に関する指針を策定しております。その資料を39頁以下に付けており ます。診療情報の提供等の指針では、患者の自己決定権を重視するという、 インフォームド・コンセントの理念に基づく医療を推進するために、診療情 報の積極的な提供、患者の求めに応じた診療記録の開示を行うべきという観 点から、この指針では患者等の求めに応じて原則としてカルテを開示するこ とを求めており、現在その普及を推進しているところです。  この両者の関係に気を配りながら、現在検討中のガイドラインの状況につ いてご説明いたします。25頁の下のほうに、「現在検討中のガイドラインの 概要は以下のとおり」と書いてあります。「1.対象事業者」として記載し ております。検索可能な形で、個人情報を5,000件以上保有している事業者 は、個人情報保護法の個人情報取扱い事業者になるわけです。  事業者のイメージとして掲げてありますが、次の頁の中ほどに、法律の適 用になるのは5,000件以上の個人情報等を保有している事業者ですが、ガイ ドラインでは法律に基づくものでありますけれども、法律の対象ではない 5,000件未満のデータを持っている小規模な事業者についても努力というこ とで遵守を求めることにしております。  39頁以下にある、診療情報提供指針のほうは、もともと規模を限っていな かったわけですけれども、もともと法律に基づくものではありませんので、 この点について昨年9月の指針と、今回作成しているものについて齟齬が生 じることにはならないわけです。  26頁の「2.対象となる情報の種類」として、この法律は生存する個人の 情報を対象としておりますので、このガイドラインも生存する個人の情報を 対象としてガイドラインを作ることにしております。この点について、診療 情報提供指針のほうは、遺族に対する診療情報の提供についても定めており ます。  このこととの関係を申しますと、個人情報が定める本人からの開示のルー ルについては、診療情報の提供指針と、今回の個人情報保護法とは齟齬はあ りません。昨年の指針では、診療記録の開示の求めがあれば、原則としてこ れに応じなければならないとしつつ、患者本人の心身の状況や第三者の利益 を害するおそれがあるときは、全部又は一部を提供しないことができるとな っております。これは41頁ないし42頁にあります。  個人情報保護法第25条も、同様の規定になっています。こういうことで、 齟齬はないという前提で、27頁ですが、診療情報の提供等に関する指針と、 現在の個人情報保護法に基づいて整理をしておりますガイドラインとの関係 ですが、個人情報保護法に基づくガイドラインにおいても、患者等からの求 めによる診療情報の開示に関しては、現在普及を推進している昨年9月の指 針の内容に従う、という整理を個人情報保護法に基づくガイドラインの中に 明記をする、というふうに考えているところです。したがって、死者の情報 について遺族から開示を求めることができるという現在の指針の考え方は、 このガイドラインとは離れ、昨年の指針に基づいて引き続きその考え方でい くという整理になります。  27頁の「4.事業者の責務」以降は、以下法律の各条にあるものを医療・ 介護分野に落とした場合に具体的にどのようになるかを書き込んだものです。 長くなりますので、ここは説明を省略いたします。  29頁ですが、今後のスケジュールとしては、27日に再度検討会を開催し、 案を取りまとめたい。その後、パブリックコメントにかけて成案とするとい う予定を考えています。  30頁以下が検討会の概要です。33頁以下に個人情報保護法の概要を付けて います。また、39頁以下は先ほども申しました昨年9月の診療情報提供指針 が43頁まであります。44頁以下のEBMについてはバトンタッチします。 ○医療技術情報推進室長 EBMについて簡潔に説明します。根拠に基づく 医療といっていますが、英語のevidence based medicineの略としてEBM という言い方もしています。科学的根拠に基づくと同時に患者の状態や意向 に応じて、臨床現場で診療を行うというのがEBMの考え方です。こういっ た考え方に基づいて、診療ガイドラインを作成する支援を研究班を通じて行 ってきました。現在まで20疾患の診療ガイドラインが完成しており、引き続 き3疾患について作成中です。これらの診療ガイドラインに基づき、日本医 療機能評価機構において、医療情報サービス事業、通称「Minds」と言ってい ますが、こちらでインターネットでこれらの診療ガイドラインをわかりやす い形、検索機能なども付加した形で提供する事業を始めています。  併せて診療ガイドラインの根拠となった医学文献等の関連する情報の提供 も行うということで、すでに今年の5月から4疾患については医療提供者向 けの提供が始められていますし、今後、一般向けの情報提供もすることにな っています。詳しくは最後の45頁に一覧表がありますが、こういった20疾 患について、今後逐次、インターネットに基づく情報提供をしていくという ことです。  なお、これら診療ガイドラインの対象となった疾患については、医療技術 評価の検討会があり、その委員の皆様方に、患者数、あるいは診療に関して ばらつきがあるので、標準化が重要な疾患など、いくつかの観点から優先度 を付けていただき、これらの疾患を選んでいただいたということです。クモ 膜下出血、喘息、糖尿病、脳梗塞については今年の5月からすでに医療機能 評価機構のホームページから情報提供が始まっています。  肺がん以降、8つの疾患については今年度中に掲載予定です。また、いく つかの疾患については一般向け情報も提供していくということで、医療機能 評価機構の医療情報サービス事業では、一般の立場、患者の立場の委員の方 も入っていただいている委員会があり、その委員会で一般向けの情報の内容 や提供の仕方についても、ご検討をいただいているところです。 ○部会長 それではただいまの説明、あるいは資料に関する質問も含めまし て、ご自由に意見交換をお願いできればと思います。 ○山本(信)委員 お手元の資料で本日、番号がつかずに配らせていただい た薬剤師会の資料について少し説明したいと思います。患者の視点の尊重と いう観点から、医療機関を客観的に選択できる情報を提供することについて は、私どもは大変重要だと考えておりますので、是非この検討会で十分に議 論をさせていただきたいと思います。そうした医療機関の客観的な情報の重 要性ということを踏まえ、日本薬剤師会ではすでに機能している先ほどもご 説明がありました病院の機能評価を参考に、薬局の機能についての評価事業 を開始しています。  こちらは厚生労働省の補助金を頂戴し、14年度から第一次作業が始まって いますが、基本的には、薬剤師だけでなく外部の第三者の方にもご参加いた だき、住民が安心して、あるいは安全に薬局が選べるような客観的な情報を 機能評価としてできないかということを念頭に置き、現在作業を進めており ます。その概要がお手元の番号のない資料です。すでに報告書ができ上がっ ていますが、今回は一部を抜粋させていただきました。今後はお手元資料に ございますような試行等を経て、最終的には病院薬局の機能評価という形で 公表できるような作業を進めたいと考えていますので、是非その中身につい て、概略ですがお読みいただき、今後の議論のご参考にしていただければと 思います。 ○部会長 それではこの件も含め、ご意見がありましたらどうぞ。 ○小山田委員 広告規制の緩和についてですが、実は1頁、2頁に書いてあ りますが、14年度のときにこのように広告可能な事項が決められたわけです。 そのときの議論で、まず患者の立場からということで、今日もおいでになっ ていると思いますが、いろいろな団体から、ありとあらゆるというと語弊が ありますが、考えられる情報のすべてが出され、これを広告すべきだという 議論がありました。その大部分が採択されましたが、しかし全部ではありま せん。しかし、今日私が申し上げたいのは、10頁にあるようなインターネッ トによる情報の提供と広告規制の関連です。インターネットであれば何を出 してもいいのだと。しかし、片方は広告という形ではまだ規制があります。 そうすると、これからはだんだんインターネットのほうが使いやすい時代に なり、インターネットは何を広告してもよろしい。しかし、広告としてペー パーで出すときには規制があるというのは、時代にマッチしないのではない か。時代遅れではないか。1例だけ申します。私はそのときに強く反対し、 これは広告すべきではないと言い、病院団体もすべてそれに賛成して削られ たのが、実は手術成績です。これはいろいろな事情はおわかりだと思います が、インターネットではしっかりと出してあるところがあります。そうした ことから考えると、インターネットの時代にどうあるべきか。インターネッ トで何でもやっていいということが基本だと書いてありますが、もしそうで あったとしたら観点を変えて、いかなる情報が患者にとっていい判断材料に なるか。むしろもっと積極的に患者にとってわかりやすい情報提供とこうあ るべきだという、あとはこのevidenceと同じようにガイドラインをしっかり と出して、インターネットであれ何であれ出すのであれば、こういったこと も広告してくださいという、広告規制を外してインターネットと同じように して、インターネットで出すときでも例えば手術成績も出せというのであれ ばそれを出してもよし、しかし、いろいろな疑念がありますが出すときには、 重症度、軽度、中症度にわけてください。それについての扱い件数はそれぞ れの判断で出してくださいとか、あるいは手術に際してがんの手術のときに、 迅速病理的な検索を行っていない病院がいまはいっぱいあります。そんなと ころでがんの手術を受けていいか、ですから、がんの手術をしてもいいとい う広告を出すときには、迅速病理診断ができるかどうかをちゃんと広告して ください。もっといっぱいあります。むしろ堂々と出すべきことをこの部会 なら部会で作れというのなら私は作ります。そうしたことで、できる限りイ ンターネットで出せるものをもっと多く出してくれと。患者が選べるように ということを私は考えていますがいかがでしょうか。 ○部会長代理 部会長代理の立場でどの程度自分の意見を言っていいのかち ょっと迷うところもありますが、いま小山田委員のおっしゃったことは私も 同感です。1つお聞きしたいのは、厚生労働省も大変大きな問題として取り 組んでいる自殺の問題について、最近は自殺ネットというものが大まかにま かり通って、何人もが募集をして自殺しています。すべてこれがインターネ ットを通じて行われているときに、こういうものは総務省対応なのかもしれ ませんが、厚生労働省としてどのような規制をするのか、早くそういうもの を削除させろと。例えば自殺ネットにそういったことを申し入れておられる のかどうか。あるいはどう対応しようとしているのか。いま小山田委員がお っしゃったこの医療問題とは、話はずれるかもしれませんが、自殺という問 題は厚労省にとっても大きな問題でしょうし、その点はどう対応されると考 えておられるのかお聞きしたいと思います。 ○総務課長 その点については事実確認ができていませんので、申し訳あり ませんが、後ほど委員に回答します。 ○佐伯委員 いまの小山田委員がおっしゃったことも、私も患者の立場とし て、是非その方向に進んでいただきたいと思っています。医療や医学の専門 的なことがわからないだろうというのではなく、いまは専門的な文献を読め る人も随分増えていますし、いろいろな協力体制の下で、自ら勉強して自分 の大事な1つしかない命を全うするというところに、どれだけ医療提供側も 明らかにしていくかということで、一緒に進んでいくということで情報を提 供するのが前提になるのではないかと思っています。 ○龍井委員 関連してなのですが、いまのお二方のご指摘はとても重要なご 指摘だと思います。どうしても医療機関側が広告をしたい中身と、患者サイ ドでは、専門性を持っている患者と、本当に単純に医師の配置や医療費のデ ータを知りたいという患者の場合がありますが、これはどうしてもすれ違う 場合が多々あるわけです。今回初めて参加して資料を読ませていただいたと きに、前の論議結果を知らないものですから、広告できる事項で、目を疑っ てしまったのですが、いま提起があったように義務化までいかないまでも最 低限優先するもの、つまり患者側のニーズをヒアリングされたと聞いていま すが、実際に多くの患者がどんなことを知りたがっているかというニーズ把 握みたいなことを的確にされた上で、そのものについてガイドラインなり優 先順位を付けるなり、あるいは一部義務化ということもあり得るかもしれま せん。いずれにしてもそういう方向での検討を是非お願いしたいと思います。  あと簡単に2、3点指摘させていただきますと、2頁の中、5頁にかけて 指摘されているいわゆる死亡率の問題、スタッフの略歴など継続検討となっ ている事項がいくつか指摘されていますので、それは是非この部会で取り上 げていただけないかと思います。同じようなことで、医療機能評価機構によ る評価のみがいまは広告されているわけですが、今後の課題としてはそれ以 外の機関の設置も含めての考えがあってもいいのではないかと考えています。  最後に質問ですが、電子カルテ、レセプトの電算処理について、数値目標 が2001年に定められていたと思うのですが、これがいまどうなっているか、 現状を教えていただきたいことと、それが達成していないとすれば、どうい う理由によるものと把握されているか。特に予算措置がされていたと思うの ですが、それがどのように使われたのか、後ほどで結構ですのでお願いいた します。 ○部会長 いまお答えできますか。 ○医療技術情報推進室長 ご質問の電子カルテ関係のことについてご説明申 し上げます。ご指摘がありましたように、電子カルテ、レセプト電算処理な どを含め、保健医療分野の情報化に向けてグランドデザインを平成13年に発 表し、平成15年にはe-Japan戦略で医療が取り上げられ、e-Japan重点計画 の中にも位置づけられています。電子カルテ、レセプト電算それぞれについ て、平成18年度に向けて目標が掲げられています。  例えば電子カルテですと400床以上の病院、あるいは診療所の6割以上に 電子カルテを導入するというのが目標になっています。現状を申し上げます と、電子カルテといってもいろいろなものがあり得るわけです。まず、比較 的普及が進んでいるものとしてオーダリングシステムという、検査や処方を 自動化していくものがあります。これについては400床以上の病院で平成14 年10月時点の医療施設調査の数字で50.3%と50%を超える数字になってい ます。一方、医師の書く診療録も含めた全面的な電子カルテシステムについ ては、同じく2年前の数字で400床以上病院の2.5%、診療所は2.6%に留ま っていますが、平成13年度および14年度には補正予算による導入支援もあ り、この実績を含めると400床以上の病院では12%程度になっています。ま た、調査の中で具体的な導入予定ありを含めると、2年前の時点で30%程度 にはなっています。 ○企画官 広告規制関係のご質問を小山田委員をはじめとしていろいろ頂戴 したわけですが、広告規制の問題について、前回からさらに検討となってい る項目などを含め、さまざまな項目について、ポジティブリスト前提でどう いうものが拡大可能かという話も当然ご議論いただきたいと思っていますし、 そもそも広告規制をどのような形にしていくかということについても、ご意 見をいただければと思っています。  インターネットの関係は、一応現時点での整理として、紙だから、あるい はインターネットだからということではなく、インターネットのホームペー ジは探している人がアクセスしていくので、いわば病院が紙で作っているパ ンフレットに性質は近いという意味での広報ということです。何もしなくて も目に入ってくるのが広告という概念整理で、10頁の「インターネット等に よる医療情報に関する検討会」では昨年12月に整理をしているわけです。そ うはいっても何でもインターネットだったらいいというわけではなく、何で も規制をすればいいという話でもないものですから、規制は広告だというこ とで、そのインターネットによる情報提供はどのようなものが患者の選択に とって望ましいのかということについて、昨年12月の時点で提供者の自主的 な判断に委ねつつ、その信頼性確保は民間団体での自主的な取組みが期待さ れるのではないかということが整理されています。ただ、それでいいのか、 もっとかかわりをしていくべきではないかということであれば、ご意見をい ただければと思います。 ○村上委員 インターネットで自分のところの成績を広告している所もある のですが、5年生存率にしてもとらえ方が自分にいいように、いちばんいい 成績が出るようにやっているわけで、これをそのまま野放しにしていいのだ ろうかといつも思っています。これはベンチマーキングのような形で、どこ かできちんと決めたそれに則ったものを認めるとか、何かの規制をかけない と、「あそこの病院はすごいいい成績だ」と。簡単な患者しかやらなければ いい成績に決まっているわけですから、そのようなものをインターネットに 関しても規制をかけるべきだと思います。 ○古橋委員 医療における情報提供という視点では、患者の視点の重視が医 療へのいろいろな取組みについて第一に言われているわけで、ペイシェント ファーストという点からいくと、ほかの市場では必ずユーザーのニーズを調 査するわけです。そういう点で厚労省は医療を受ける受療者としての国民、 患者やその家族は、どんな情報をいま最もほしがっておられるのか、あるい は提供された情報が患者側にとって必要なものとして手に届いているのかど うかという視点から、世論としての患者のほしい情報は一体何なのかという 辺りを調べておられるのでしょうか。あるいは集約的に把握しておられるの かどうか、そこがとても大事だと思うのです。医療という、ある意味で人の 健康の問題ですので、いままで緩和されてきて公開され、広告され、広報さ れてきている情報は、提供側の論理はかなりあったと思います。私も実は提 供する側で仕事をしているわけですが、これからはユーザーのニーズがどこ にあるかということをしっかりとらえていないと、すれ違いが起きるという 気もします。厚労省としては患者の視点の重視という点で、患者に必要な情 報は、例えば上位いくつとか、そういう辺りで大まかに項目的にとらえてい るのかどうか、ありましたら教えていただきたいと思います。 ○企画官 十分なものではないかもしれませんが、厚労省の統計情報部で実 施している受療行動調査があります。調査の中に「病院を利用するにあたり ほしいと思った情報は何ですか」ということを複数回答でいただいているも のがあります。外来の方の場合は「医師の専門分野」という回答がいちばん 多く40数パーセント、「予約制の有無」が40%弱、「夜間・休日診療の実施の 有無」の3つが上位の3つです。  入院患者については「入院に必要な経費」が1番で、「医師の専門分野」、 「療養の環境」が上位であるといった統計が現在持っているデータです。 ○古橋委員 そんな程度なのですね。 ○企画官 統計としてはそうです。 ○古橋委員 もっと掘り下げた掌握はできていないと思ってよろしいのでし ょうか。 ○企画官 本日手持ちのものとしてはこの程度です。 ○佐伯委員 情報提供と並んでなのですが、26頁に「法では取り扱う個人情 報の数が5,000件未満のところでは」というところがあります。ただ、医療 においては1人診療所であっても、これを適用するともっていっていただか ないと、国民皆保険ですので、どこで医療を受けるかわからないわけで、行 った先が5,000件未満、以上ということで違ってくるのは、とても具合が悪 いだろうという気がします。そこは是非、積極的に見直していただきたいと 思います。  今年の厚生労働白書に国民の7割を超える数の方が医療に対して不安を抱 いている。その不安の要因は何かというと、60.1%の方が挙げているのが医 療従事者と十分なコミュニケーションがとれないときというのがここに書か れています。十分なコミュニケーションがとれないというのは、挨拶やそう いうことではなくて、自分が今後どのようになるのか、いま何が行われてい てというようなその辺りのことが、自分にわかるようなコミュニケーション がとれないということだと思いますので、是非積極的に進めていただきたい と思います。 ○福島委員代理(高智参考人) 先ほど事務局から「WAM NET」に関するご説 明がありましたが、今日はこの席には関係資料が配付はされていませんが、 私ども健保連においては「健保連病院情報」に先ごろ「ぽすぴたる」という 愛称を付けまて、Patient Oriented Systemということですが、昨年の10月 20日から開始し、試運転という位置づけでやってきました。現在9,100弱病 院のうち、2,600を超える病院に登録していただいています。各病院団体、 そのほかの診療団体の方にも非常に大きなご協力をいただいた成果だと思っ ています。これの主な特徴と今後の取組み等について、次回、福島委員から 資料に基づきご紹介させていただければ大変ありがたいと思います。  大きな特徴だけを述べさせていただきます。取り扱っている疾患、あるい は病態、それに対応可能な検査、治療法、あるいは手術が容易に検索できる。 インフォームド・コンセントとセカンドオピニオンへの具体的な取組みがわ かる。診療科別の医師数と常勤医師数の状況がどうなっているかということ がわかる。学会認定専門医数についてもすぐにわかる。あるいは看護体制や 専門スタッフの配置状況、専門外来、あるいは日帰り手術、1泊2日手術の 状況の取組みについても検索が可能である。リハビリテーション、あるいは 在宅医療についての情報も盛り込んでいます。  もう1つ大きな特徴として、単純に病院から情報提供いただいたものを貼 り付けるのみならず、各病院における得意分野、あるいはアピールしたい点 について、400字を上限として掲載させていただいている。現在2,600病院で 約30%、20床以上の保険医療を担当する病院の30%が集載されていますが、 今後このパーセンテージを超す病院数を、併せて増加を狙っていきたいと思 っています。お許しいただければ、日を改めて福島委員に資料に基づき、よ り詳細にご説明させていただければありがたいと思っています。 ○企画官 先ほど佐伯委員から出された5,000件未満の件ですが、個人情報 保護法はきちんと法律を守らない場合に主務大臣ないしは都道府県知事から 改善勧告を受けたり、それに従わない場合は命令、罰則となるわけですが、 そこまでいく規定が適用されるのが法律で5,000件以上の事業所となってい ます。この個人情報の取扱いにあたってどうするかというこのガイドライン は、どの病院が、どの診療所が対象かというのは患者さんにはわかりません ので、小規模の診療所も含め、すべての診療所が同じ基準でこのガイドライ ンでやっていただく。ただ、法律が直接発動されて、罰則まであるような所 は一定以上の事業所という、これは全部に共通な形になっているということ です。各事業所が守っていただきたい基準としてのガイドラインは、すべて の事業所対象にということで整理をしています。そうでないと、そこは法律 を変えないとならなくなるものですから、ガイドラインとしては小規模なも のも同じ基準で守っていただく、法律の関係では努力義務という形になりま すが、守っていただくということで作っていく、ということに整理したとこ ろです。 ○松井委員代理(遠藤参考人) 広告規制の問題については私どもも虚偽、 誇大広告など、患者にとって有害なものかどうかという問題点を整理した上 で、将来的に広告規制を外していくという方向性が望ましいと考えています。 先ほどもご指摘がありましたが、治療実績については客観的で検証可能なも のというようなガイドライン等を作って、広告規制を外していく方向性が望 ましいと考えます。  EBMの推進についても患者の立場から考えると、ある程度ガイドライン があることによって安心感が得られるということもあるので、是非一般向け の情報も非常にわかりやすいような形で提供することによって、医療の質の 向上に役立つことを期待したいので、ご努力を今後ともお願いしたいと思い ます。 ○古橋委員 ただいまの厚労省のご回答の中には、やはり患者が知りたい情 報というのは専門分野において、ここの病院はどんな専門性が高いか辺りは、 高いニーズがあるとお聞きしました。これからはそこの広報広告という視点 では、専門分野、得意分野などを規制を緩和しながら、多く広告、広報して いくということが許されることが大事と受け止めたわけです。看護界も現在 専門性を模索しながら、専門看護師、認定看護師、その他学会等で認定を受 けた限られた領域に深い実践力を持つ者等々の誕生が始まっています。そう いうことについても、ある意味で患者に必要な情報として役立つということ が大いに、いまの受療行動調査等からも考えられるとすれば、そういうもの に対しても広報広告ができるということも、また必要ではないかと考えます ので、議論の土俵に上げていただければと思っています。 ○土屋委員 先ほどからインターネット等の情報提供が出ていますが、少な くとも人間の生命、身体、健康に関する情報は第三者が大丈夫であるという、 きちんと検証済みのものであるべきです。そうであればこそ、こういう広告 の規制があるわけで、よく言われるのはここにも書いてありますが、提供者 の自主的な判断に委ねるというのですが、では受け手のほうはどうしたれよ いのか。例えば何か怪しげな治療法、あるいは怪しげなまだ大丈夫かどうか わからないいわゆる健康食品のような広告がされて、それにより健康被害が 日常的に起こっています。必ずそのときの言い訳は「自己責任」だという話 が出てきます。少なくとも人間の生命、身体、健康にかかわるようなことに 関しては、野放しは絶対に駄目だと思います。ですから、ではその仕組みを どうするのか。第三者的に大丈夫であるという検証ができない限り、自己責 任でいいのだという無責任なことはいえないと思いますので、情報公開がい ろいろ言われていますが、少なくともこの分野に関しては、相当慎重である べきだと思います。 ○部会長 いろいろ貴重なご意見を頂戴しましたが、一応この辺でこの問題 は止めまして、もう1つありますので資料2の「安全で安心できる医療の再 構築について」の説明を事務局からお願いします。 ○医療安全推進室長 資料2の1です。まず医療安全推進総合対策を踏まえ た実施状況についてご説明します。医療安全推進総合対策は医療安全対策検 討会議が平成14年4月に意見を取りまとめ、提言としてお示しいただいたも のです。この実施状況については右側に記載されています。主な提言として は、医療機関における安全対策ですべての病院、有床診療所に対し、平成14 年10月1日から、(1)から(4)の安全管理体制の構築を制度化しています。また、 これに加え特定機能病院及び臨床研修病院に平成15年4月1日から安全管理 者、安全管理部門、患者相談窓口の設置を制度化しています。詳しくは3、 4頁の参考2、3にありますので、後ほどご覧いただきたいと思います。  次に医薬品、医療用具等にかかわる安全性の向上です。医薬品の類似性を 客観的かつ定量的に評価する手法の開発、人間の特性を考慮した医療用具の 実用化研究推進、開発指導、医薬品、医療用具情報の提供、添付文書の標準 化については、それぞれ厚生労働科学研究費等により対応しているところで す。  医療安全に関する教育研修ですが、国家試験の出題基準への位置づけ、医 師、臨床研修等における修得内容の明確化のうち、国家試験については平成 17年度出題基準で措置済みとなっています。また、この臨床研修等における 修得内容の明確化については、研修目標での位置づけ等を行っています。  最後の四角の中の、医療安全を推進するための環境整備等ですが、医療安 全に有用な情報の提供、ヒヤリハット事例収集の全国化のうち、このヒヤリ ハット事例については本年4月1日から対象機関を拡大し、全国展開を図っ ています。また、事故事例情報の取扱いについては、今月の1日から医療機 能評価機構により収集を開始しています。  平成15年度から都道府県単位、二次医療圏単位で医療安全支援センターの 設置を進めており、すでに47都道府県において設置されていますが、今後は 二次医療圏単位での設置を進めていただきたいと考えています。関係資料は 14頁、15頁です。この14頁に医療安全支援センタの設置のイメージ図、ま た15頁に設置状況があります。この設置状況にあるように、16年7月20日 現在の数字ですが、47都道府県で設置されています。  1頁に戻っていただき、医療安全に必要な研究の計画的推進です。各種の 研究を厚生労働科学研究において実施しているところです。  次に16頁です。以上、ご説明したとおり、医療安全推進総合対策を踏まえ、 各般の施策を実施してきましたが、昨年は相次いで医療過誤事件等が報告さ れたことから、12月24日に坂口厚生労働大臣から、厚生労働大臣医療事故対 策緊急アピールが出されました。この大臣アピールの詳しい内容については、 19頁の参考1のとおりです。この19頁にあるように「人」「施設」「もの」 の3つの柱を立てて、新たな取組み、対策の強化を進めることとしたもので す。16頁に戻っていただき、この大臣アピールにおける施策例と、その進捗 状況についてご説明いたします。まず、「人」を軸とした施策の主なもので すが、医師等の資質向上については、先ほどご説明したように国家試験の17 年度出題基準で措置済みとなっています。また、この対応状況の中程にある 安全安心の助産ケアにかかる推進事業については、25頁に参考資料を付けて いますが、平成17年度予算要求中です。また、研究の推進などを実施してい ます。2つ目の刑事事件とならなかった医療過誤等にかかる医師法上の処分、 再教育等については医道審議会における検討、および15年度からの研究費等 において対応しています。  2の「施設」を軸とした施策ですが、1)の事故情報の収集・分析・提供 システムの構築等のうち、第三者機関における事故事例情報の収集・分析・ 提供システムの構築については、先ほどご説明したとおりです。また、診療 行為に関連した死亡の調査分析に係るモデル事業については、後ほど資料に よりご説明いたします。  次頁です。ハイリスク施設・部署の安全ガイドライン導入については、平 成17年度予算で要求中です。また、手術室における透明性の向上については、 医療施設等施設整備費補助金等へのメニューの追加について、17年度の予算 要求中で、また併せて16年度から研究を実施しているところです。小児救急 システムの充実としては、救急医療対策実施要綱および医療施設運営費等補 助金交付要綱を通知しているところです。周産期医療施設のオープン病院化 ですが、同じように17年度予算においてモデル事業を要求中です。参考資料 が27頁に付けてあります。  最後に「もの」を軸とした施策ですが。治療法選択にかかるEBMの確立 およびガイドラインの作成支援については研究を行っているところです。ま た、薬剤等の使用に関する安全管理の徹底についてはシステム開発費を16年 度から計上しており、また、関係の通知において各医療機関に検討を依頼し ているところです。  次頁です。また、輸血の管理強化については平成16年7月に「輸血医療の 安全性確保のための総合対策」を策定しています。新しい技術を用いた医療 安全の推進については新規技術の研究ということで、平成15年度から実施し ているところです。  26頁です。この大臣アピールの施設を軸とした施策の中の事故情報の集計、 解析、提供システムの構築にかかる事業として、平成17年度予算において、 この診療行為に関連した死亡の調査分析にかかるモデル事業を要求している ところです。事業の目的と概要にあるとおり、医療の質と安全・安心を高め ていくためには、診療の過程において予期し得なかった死亡等の医療関連死 に遭遇した場合に、正確な死因の調査分析を行い、同様の事例の再発を防止 するための方策が専門的、学際的に検討され、広く改善が図られることが必 要ということで、この事業を要求しているところです。 ○部会長 それではただいまの説明、資料に関する質問を含めて、どうぞご 自由にご討議をいただきたいと思います。 ○古橋委員 いまのご説明にもありましたように、安全面では医師の臨床研 修必修化という、大変大きな制度が動き出したわけですが、医療事故の中に は当事者として多く看護職がそのかかわりがあるということも看護界として は大変緊張感をもって受け止めております。看護界の反省すべきところも 多々あるということは十分に承知をした上で、いまいろいろ看協界等でも情 報を集めてみますと、新卒間もない新人時代に事故を起こしていくというよ うな実態、傾斜的に新人時代の事故の多さということも明らかになってきて います。そういう点では、いま現場へ新人たちが出ていくときに持っている 実践技術の足りなさということも大いに議論になっていますので、医師、続 いて歯科医師が臨床研修の必修化というものが制度化されていくという中で、 看護職の卒後新人時代の臨床研修が、どうあるべきかということを、医療界 全体のテーマに是非ともしていただければと思っています。  もう1つは、夜間における看護業務の量です。これはお気付きと思います が、多い所は1人のナースが30人、ランクが高くても10人に1人で、その 中には大変な重症者、人工呼吸器を付けた方々もおられるわけで、夜間にお ける看護職の人員配置は、ほとんど乱暴といえるど、ある意味で危険をはら む体制の中で業務が動いています。そういう点ではいま夜昼のない医療業務、 あるいは在院日数が非常に短縮して業務濃度が濃くなって、高速な回転が始 まっております。看護職の人員配置は決しておねだりではなく、現実的な業 務量の中で、よりこれがきちんと計算され、患者の疾病構造、年齢構成、医 療内容、業務量から検討される必要があると考えます。医療安全の面からの 新卒看護職の臨床研修ということと、医療現場への看護職配置を是非とも課 題として取り上げていただきたく発言させていただきました。 ○部会長 いまのことで看護課長、何かございますか。 ○看護課長 ただいまの古橋委員のご発言ですが、私どもも特に新人の看護 師の事故も含め、非常に激しく動いている現場の中で、新人がリアリティシ ョックを受けて、早い時期に退職してしまうケースもあるということなども 聞き及んでいることから、昨年、新人看護職員の臨床技能の向上に関する検 討会を開かせていただきました。その中で新人の1年間の研修の到達目標、 指導側の指針という2つをまとめていただきましたので、今年度からそれを 全国に普及すべく、いま取組みを進めているところです。  また、配置の問題、特に夜間の配置に関してはまさにおっしゃるとおりで、 夜間の業務量がかつてに比べると非常に密度が高まっているということもあ ります。いまちょうど看護職員の需給の検討会を、18年度以降の見通しを立 てるべく、スタートをさせております。その中で夜間の看護体制については 少なくとも3人以上を配置する方向で、今後、都道府県にもお伝えして、需 要の計算をしていただく予定にしております。 ○佐伯委員 前回の会でもお話したのですが、医療用具部会にも出ており、 もう3年間ぐらい医療用具にまつわる死亡事故、あるいは有害事象が報告さ れています。いまはかなりデータが上がってきているものもあるのだろうと 思うのですが、改めてまたこの新事業に着手するのももちろんいいのでしょ うけれども、いまある資料のところからもスタートできるのではないか、ま だ始めていなかったのかというのが、ちょっと正直のところびっくりしてい ます。人員配置に関しても臨床工学技士、あるいは病棟薬剤師にもっと出て きていただきたいと思っています。  最後の26頁でちょっとわからなかったことがあるのですが、大きなタイト ルには「死亡の調査分析に係る」とありますが、事業の目的と概要のところ には「死亡等の」と「等」が入っています。例えば何か事故が起こって、そ の後、半身不随になるとかいろいろな状況があると思うのですが、ここのと ころの「等」があるなしという辺りの趣旨を教えていただければと思います。 ○医療安全推進室長 初めに26頁のモデル事業の「等」についてご説明しま す。「死亡等」とありますが、原則この事業については法医学、病理学の先 生と臨床医を加えた解剖を実施し、その報告書を提出し、また、併せて臨床 面での調査をして、これらの資料を基に診療行為との関連を評価するという 事業ですので、診療行為に関連した死亡を対象としていますが、この「等」 については、診療の過程において予期し得なかった死亡、合併症に伴う死亡 など、いろいろな死亡のケースがあるということで、「等」を付けさせてい ただきました。ちょっと表現ぶりが悪くて申し訳ありません。  また、医療用具等については委員ご出席の医療用具部会ですでにヒヤリハ ットなどで集められた情報を踏まえてご検討いただいているところで、医療 関係の企業等と個別に改善の相談などもしていると聞いており、そういった ものを基に通知などを発出したり行政的な措置を行っている例もあります。 ○部会長代理 同じく26頁の件なのですが、いろいろな学会が強く望んでき て、こういう形で出てきているのは大変素晴らしく、またうれしいことなの ですが、司法や警察の力、あるいは医師免許を監督されておられる厚労省が 医道審議会を通しての権限とか、医師法を監督されているという立場の権限 のない組織で、どこまで踏み込んだ調査ができるのか疑問もある。何らかの 権限的なものを省令のようなもので認めるものにしていって、踏み込める権 限を持たせようという考えなのか、その辺りをお聞かせください。司法力も ない、警察力もない、医療法を監督する権限もないこういう組織だけで、学 会を中心とした人たちという形で、厚労省はそこのところをどのようにやろ うとされているのか。 ○医療安全推進室長 このモデル事業については現行の法律の下での事業で すので、あくまでも犯罪がかかわるような異常死として届け出なければいけ ないことが明確な例など、この事業では対応できない部分もあります。ただ、 このモデル事業については、1つは個別事例について評価結果を出して、医 療の透明性を確保するという面に加え、こういった事業を実施し実績を積む ことにより、こういったことをやっていく場合の問題点を整理し、運営方針 などを逐次見直しながら進めていこうと考えております。当然この運営委員 会の中には警察関係者や法律関係者にもご参画いただくことを考えています。 ○箱崎委員 医療の安全と医療提供と絡めての部分ですが、歯科の側から一 言だけ申し上げます。実は病院歯科という病院における歯科の重要性が増し ていると考えます。いわゆる顎骨骨折や交通事故等、あるいは高齢化社会の 中で歯科の外科的処置を行う際に、全身管理を伴うような事例が増えていま す。そういった意味で安全確保が非常に厳しくなってきているという現状が ありますので、もちろん病院歯科での二次医療の確保という非常に大きな問 題を、今後どうとらえるかという大きな観点もあろうかと思いますが、背景 には診療報酬の問題やらいろいろあろうかと思います。ただいずれにしろ病 院歯科での歯科の二次医療の安全確保という部分から、厚労省の中でも積極 的に検討していただきたいということを申し上げたいと思います。 ○部会長 これで最後にいたしますので、短くお願いいたします。 ○山本(信)委員 医療安全の切り口を「もの」と「人」と「施設」の3要 素に分けられて緊急アピールが出されていますが、医療事故の中には医薬品 に絡むものが多くあり、そういった意味では「もの」の中の医薬品、その「 もの」を管理する「人」としての薬剤師という観点が必要かと思います。私 ども薬剤師の養成年限が6年に延長されましたが、先ほど古橋委員がご指摘 になりましたように、看護と同様に、薬剤師が医療に参画する上で新人の臨 床研修というのは当然必要であろうと考えていますので、その辺りについて もご議論いただければありがたいと思います。  もう1点は、医療安全を確保する上で何が大事かというと、もちろんシス テムも大事なのですが、それと同時にそれにかかわる人、専門職、医療職の 数を確保するということが大変重要であろうかと考えますので、薬を扱う薬 剤師の数が医療提供体制の中でどうあるべきかということも併せてこの中で ご議論いただければありがたいと考えています。 ○大橋委員 現場からの医者として、いまいろいろと討論をして本当にごも っともだという意見だと思っていますが、救急医療で患者というのはいつで も夜間、特に夜間でもすぐ診ていただけるということが大事で、治ればいい のであって、すぐやっていただけるような体制づくりを決めていただきたい と私は願います。鴨下先生のことは私は小児科医ですから知っていますが、 私の時代では先生は雲の上の人です。我々は労働者です。ただ我々は現場で いっぱい患者を診ることは数では負けないと思いますが、そういうときにあ たったときに、とにかく病気は早く診て、治ってくれればいいのだと。重症 は大きい病院でちゃんと後を受けてくれればいいのだと。情報提供でもこれ はゆっくりの病気のことです。広告規制緩和、情報提供は大事なことだと思 いますが、その点はそれはそれで討論してもらっていいことだとは思ってい ますが、現場からは是非すぐ救急体制ができるようにしていただきたいと厚 労省の皆さんにお願いをします。 ○部会長 限られた時間の中でいろいろたくさんのご意見を頂戴してありが とうございました。一応本日の全体の議論はこれで終了したいと思います。 事務局から今後の日程等についてお願いします。 ○企画官 ありがとうございました。本日は限られた時間の中で、ご意見が 言い足りなかった委員の方がおられると思いますが、ファックス、メールな ど何でも結構ですので、何かございましたら事務局宛てに送っていただけれ ば、年内のフリートーキング一巡後の論点整理に活用させていただきたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。  日程の前に、資料で参考4と書いてある4枚ほどの紙がございます。「規 制改革・民間開放推進会議の今後の動向について」という資料です。これは 去る10月5日に規制改革の医療ワーキンググループというところから、厚生 労働省に対して質問として出されたものです。「医師・医療従事者の質の確 保で、医師資格の更新制度の導入についてどう考えるか」、あるいは「地域 医療計画の見直しに関して病床規制や地域の連携、公的病院の在り方をどう 考えるか」など、また3頁には「レセプトやカルテの電算化の具体的推進を どうするのか」といったようなことについて質問があったわけです。4頁に はメンバー表があり、このうちの◎、○が付いている方および下の2人の専 門委員となっている方が医療ワーキンググループのメンバーということです。  これらのほか、規制緩和の関係ではこのほかに株式会社の医療法人出資の 問題など、いろいろ指摘があるわけですが、これらは次回、あるいは次々回 のこの医療部会のフリートーキングのテーマにも含まれていますので、また、 こういった問題も指摘されているということを念頭に、またご議論いただけ ればと思っている次第です。  次回の日程ですが、11月11日(木)午前9時半から、厚生労働省の7階の 専用第15会議室で開催したいと思っておりますので、よろしくお願いいたし ます。なお、次々回、4回は12月16日(木)午前10時からを予定しており ますので、よろしくお願いいたします。 ○部会長 それでは本日はこれで閉会にいたします。大変お忙しい中を長時 間にわたってありがとうございました。