04/10/13 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会第8回議事録        第8回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録 第8回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 1 日時 平成16年10月13日(水)17:00〜 2 場所 厚生労働省 共用第8会議室(6階) 3 出席者 〔委員〕    公益代表  保原委員(会長)、石岡委員、稲葉委員、岩村委員、岸委員、金城委員    労働者代表 佐藤委員、寺田委員、真島委員、中桐氏(須賀委員代理)    使用者代表 川合委員、紀陸委員、杏委員、下永吉委員、早川委員 4 議題 (1)「労災保険制度の在り方に関する研究会」中間とりまとめについて (2)「労災保険料率の設定に関する検討会」中間とりまとめについて 5 議事 ○部会長(保原)  ただいまから「第8回労働条件分科会労災保険部会」を開催します。まず、委員の交 替がありましたのでご紹介します。公益委員として、松本斉元読売新聞論説委員から稲 葉康夫毎日新聞論説委員に替わられています。稲葉委員にはどうぞ、よろしくお願いし ます。また本日は内藤委員、高松委員、須賀委員、久保委員がご欠席です。なお、須賀 委員から労災保険部会運営規程第2条に基づき、代理者の出席の申し出がありました。 本日は、中桐孝郎日本労働組合総連合会雇用法制対策局次長に代理としてご出席いただ いています。中桐委員代理には、どうぞよろしくお願いいたします。  事務局のほうで人事異動がありましたので、自己紹介をお願いします。 ○労災補償部長(森山)  労災補償部長の森山です。どうぞ、よろしくお願いします。 ○労災管理課長(及川)  労災管理課長の及川です。どうぞ、よろしくお願いします。 ○主任中央労災補償監察官(小池)  主任中央労災補償監察官の小池です。よろしくお願いします。 ○職業病認定対策室長(伊藤)  職業病認定対策室長の伊藤です。どうぞ、よろしくお願いします。 ○部会長  初めに、労災補償部長から一言ご挨拶をお願いします。 ○労災補償部長  一言ご挨拶を申し上げます。皆様方におかれましては、本日は大変にお忙しい中お集 まりいただきまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。本日の部会は5月以来 の開催で、2点ほどご説明させていただきます。  議題1として、「『労災保険制度の在り方に関する研究会』の中間とりまとめについ て」の報告です。平成14年2月以降、この研究会で9回の議論を行いまして、今年の7 月5日に一定の結論を得て中間とりまとめとして公表しました。内容の詳細について は、後ほど担当のほうから説明しますが、大きく2点です。1つ目は、いわゆる二重就 職者の第1の事業場と第2の事業場の間の移動、また単身赴任者の赴任先の住居と帰省 先住居の間の移動について、通災の対象とすることが適当であるとされたところです。 また二重就職者にかかる給付基礎日額については、複数の事業場の賃金を合算した額を もとに算定することが適当であるとされたところです。今後この部会においてご議論を 賜った上で、改正すべきところは改正していきたいと考えています。どうぞよろしくお 願いします。  2つ目は、「『労災保険料率の設定に関する検討会』中間とりまとめについて」の報 告です。労災保険料率の設定に関する検討会においては、前回の労災保険部会でも説明 しましたが料率設定、業種区分、メリット制の主に3点を本年の5月から検討が行われ て、10月5日の第7回の会合で中間とりまとめという形でまとめられたところです。今 後検討会においては、この中間とりまとめにおいて整理された論点をもとにご議論いた だきまして、来年1月を目途に最終報告をとりまとめていただく予定になっています。 以上の2つの議論について非常に限られた時間ですが、皆様方の忌憚のないご意見を賜 りまして今後の労災保険制度の運営に生かしていきたいと考えています。どうぞ、よろ しくお願いします。 ○部会長  早速、本日の議題に入ります。本日の議題は2つで、「『労災保険制度の在り方に関 する研究会』中間とりまとめについて」、「『労災保険料率の設定に関する検討会』中 間とりまとめについて」です。まず事務局から、「『労災保険制度の在り方に関する研 究会』中間とりまとめについて」の説明をお願いします。 ○労災管理課長  議題1の「『労災保険制度の在り方に関する研究会』中間とりまとめについて」を説 明します。資料として資料1−1と資料1−2をお配りしています。資料1−1が中間 とりまとめの概要で、資料1−2が全体版です。本日は、資料1−1の概要版に基づい て説明します。説明に入る前に、今回のとりまとめに至る経緯を若干ご紹介します。  近年、就業形態の多様化が進展する中で二重就職者、複数の事業所に就職する方々の 数が増加していると考えられる状況があります。また子供の教育等の事情により、単身 赴任者の数も増加していると考えられる状況があります。こういった社会情勢の変化等 を踏まえて、労災保険制度においてどう対応すべきかについて学識経験者の参集を求め て、平成14年2月から9回にわたって労災保険制度の在り方に関する研究会を開催して まいりました。この中では特にただいま申し上げたような背景を踏まえて通勤災害保護 制度の在り方について、これを中心に検討を行ってきたところです。本年の7月5日に 検討事項のうち、二重就職者及び単身赴任者に関する部分について一定の結論を得るに 至り、中間とりまとめとして公表されていて本日ご報告をさせていただく次第です。  資料1−1の概要版で説明します。この中間とりまとめでは、大きく3つの点に触れ ています。論点の1点目は、二重就職者の事業場間移動の問題です。お手元に、席上配 付という形で労災保険法の条文第7条をお配りしていますが、現状では労災保険法にい う通勤というのは、労働者が「就業に関して、住居と就業の場所の間を合理的な経路及 び方法により往復すること」とされていて、二重就職者が事業場間を移動する場合には 通勤災害保護制度の保護の対象とはなっていません。したがって、これを保護の対象と すべきかどうかです。2点目は、単身赴任者が赴任先住居と帰省先住居の間を移動する 場合の問題です。会社から直接帰省先に帰るのではなくて、会社からの赴任先の住居に 一旦寄った上で帰省先に移動する。あるいは、その帰省先から一旦赴任先住居に戻って 会社に出勤する。こういった赴任先住居と帰省先住居の間の移動については、現在通勤 災害保護制度の保護の対象にはなっていません。したがって、これを保護の対象とすべ きかどうかです。  3点目は、二重就職者にかかる給付基礎日額の問題です。労災保険の保険給付の基礎 となる給付基礎日額については、被災前に事業場から労働者に対して支払われた賃金を もとに算定されることになりますが、二重就職者が業務災害や通勤災害に遭った場合に は、業務災害が発生した事業場あるいは当該通勤にかかる事業場の賃金のみをもとにし て給付基礎日額が算定されることになりますが、このような取扱いでよいかです。以上 の論点を踏まえて、研究会で検討した結果の見直しの方向性は、第一に二重就職者の事 業場間の移動の問題は、結論として通勤災害保護制度の対象とすることが適当となって います。その理由付けとして、2つ目の事業場での労務の提供に不可欠な移動であると 考えられること。1つ目の事業場から2つ目の事業場へ直行する場合には、その間に通 常、私的な行為は介在していないということ。二重就職者が増加傾向にあって、事業場 間の移動はある程度不可避的に生ずる社会的危険であると評価できること。こういった 考え方のもとに、これについては通勤災害保護制度の対象とすることが適当という結論 になっています。  単身赴任者の場合の赴任先住居と帰省先住居間の移動です。これも結論としては、通 勤災害保護制度の対象とすることが適当ということですが、その考え方として単身赴任 という形態は、労働者を住居からの通勤が困難な場所で就労させなければならないとい う事業主の側の業務上の必要性と、働く人の側では持ち家があること、子供の転校を避 けるといったこと等の事情、そういった働く人の側の事情の両者を両立させるためにや むを得ず行われるものであるといった事情があると考えられます。2点目としては、労 働者が業務上の必要性によって赴任先住居に居住しており、また帰省先の住居に労働者 の家族が居住していることからすれば、赴任先の住居と帰省先の住居の間の移動は必然 的に行わざるを得ないものであって、ある程度不可避的に生ずる社会的危険であると評 価できるといった考え方を踏まえて、こういった移動については通勤災害保護制度の対 象とすることが適当であるという結論になっています。ただその場合、現実の単身赴任 者の行動実態を踏まえると、原則としては勤務日またはその前後の日に行われる移動を 保護の対象とすることが適当であるという結論になっています。  3点目の二重就職者に係る給付基礎日額の問題ですが、二重就職者の事業場間の移動 について保護の対象とするという議論に関連して、二重就職者の給付基礎日額の算定方 法をどうするかという問題が生じてきます。これは、被災労働者の稼得能力を補填する という労災保険制度の目的からは、労災保険給付額の算定においては被災労働者の稼得 能力をできる限り給付に的確に反映させることが適当であるという考え方で、業務災害 の場合と通勤災害の場合とを問わず、複数の事業場から支払われていた賃金を合算した 額を基礎として定めることが適当であるという結論になっています。  しかしながらその場合の配慮事項として、メリット収支率の算定の際に個別の事業主 が現在よりも不利になることがないように、必要な措置を取るべきであるとされていま す。すなわち、災害が発生した事業場で支払われた賃金の分のみをメリット制に際して は、その分子に算入するという形で、働く方が受け取るものはその両方を合算したもの であるとしても、メリット制の計算においては当該事故が起きた事業場で支払われた賃 金に相当する分のみを分子に算入する措置を講ずるべきであるとされています。  なお、最後に「その他」とありますが、今回の検討の中ではいわゆる逸脱・中断の扱 いについても議論がなされました。通勤災害の場合、逸脱・中断の特例的取扱いの範囲 の問題というものがあって、通勤災害保護制度のもとでは住居と就業の場所との移動の 途中で経路から逸脱したり移動を中断した場合には、それ以降はその保護の対象になら ないのが原則ですが、逸脱・中断の理由が日常生活上必要な行為、例えば日用品の購入 などを行う場合には合理的な経路に服した後は保護をすることになっています。こうい った状況ですが、逸脱・中断の特例的取扱いの範囲については通勤災害保護制度の創設 当時からの労働者の生活スタイルの変化等を踏まえた場合に、この逸脱・中断の特例的 取扱いにかかる考え方や具体的範囲の取扱いが、現在でも妥当なものであるかを検証す る必要があるという問題意識が示されているところですが、この点については具体的方 向性は引き続き検討が必要とされています。以上が中間とりまとめの概要です。本日 は、この中間とりまとめのご報告をさせていただき、全般的にご意見等をいただければ ありがたく思います。  なお、後ほどその上でお諮りしますが、今後の制度化に向けては本日のご意見も含め て、また論点整理をしながら何回かご議論をいただくことになると考えていますが、本 日は全般的にご意見をいただきたいと思います。以上です。 ○部会長  ありがとうございました。ただいま管理課長から、通勤災害保護制度の見直し等につ いての労災保険制度の在り方に関する研究会中間とりまとめの概要を報告していただき ました。論点は3つで二重就職者の問題、単身赴任者の問題、二重就職者に関わる給付 基礎日額の見直しの問題です。本日は結論を出すということではなくて、自由にご意見 ご質問をいただきたいと思います。  まず初めに二重就職者の事業場間の移動の問題について、ご意見ご質問をお願いしま す。 ○紀陸委員  この中間とりまとめに基づいて労災補償の対象にした場合、中間とりまとめの1頁に もありますが対象人数や給付件数、給付額の見込み、いわゆる広い意味で労災保険の財 政に及ぼす影響はどういうお見通しになっていますか。 ○労災管理課長  財政に及ぼす影響ですが、厳密な計算まではまだできていませんが、対象になる二重 就業している人の数は先ほど説明しませんでしたが、中間とりまとめの後ろに資料編で 付いています。資料1−2の13頁に二重就職者が何名ぐらいいるか。これは総務省の就 業構造基本調査というサンプル調査をもとに推定した数字ですが、平成14年で二重就職 者、両方が雇用である人が81万5,000人です。労災保険の適用労働者に占める割合から 1.7%になることをもとにして、二重就業の場合の移動、あるいはここに単身赴任も数 字が出ていてたまたま1.7%に相当しますが、移動の頻度は通常の通勤よりも少ないと いったこともとらまえて計算すると、例えば複数就業の移動で約3.9億、単身赴任の移 動で約1.36億ということで、概算ですが少なくとも通勤災害にかかる保険料率に影響を 与えるような水準ではないという一応の試算はしています。 ○紀陸委員  約82万人は、パートや派遣の方も含まれている数字ですか。 ○労災管理課長  就業構造基本調査は本人に聴き取りをしていますので、雇用されている人はいろいろ な形態が含まれていると考えられます。 ○紀陸委員  これは基本的に、おそらく通常の企業では二重就業の禁止が就業規則上に定められて いるのが通常だと思いますが、会社の了解なしに副業をしてその途中で起こった事故に ついてまで会社が責任を負うのは、なんとなく変な感じがします。会社の監視せざると ころで副業が行われていて、その場合に起こった事故についてなぜ事業主が責めを負わ なければいけないかがなんとなく釈然としないのです。就業規則上そういう定めにして いるにもかかわらず、そうなった場合にまで及ぼすというのはなんとなく釈然としない 感が否めないのです。会社が了解している場合にという限定付きでこういう制度を適応 するのが筋だと思いますが、その点はいかがでしょうか。 ○労災管理課長  二重就業に関する就業規則の規定の問題とか、そのあたりはこの研究会の中でも議論 があったところで、レポートの本文の6頁の見直しの方向性のなお書きの下のほうに書 いてあります。ちなみに現状においても、二重就業の方が就業規則等では禁止されてい て、事業主も知らないところで複数就業していたというケースで、自宅から2つ目の職 場に行ったケースについては事故があれば労災保険の対象になるということで、今回問 題にしているのは複数事業場間の第1から第2に移動する場合どう考えるべきかという 論点であるわけですが、ここに書いてあるように民事上の問題について労災保険の保険 給付にあたって考慮することには疑問がある。また、兼業禁止の就業規則の効力につい ても、民事的には最終的には裁判所による判断が確定しなければその有効性が判断でき ない場合も予想されるわけですが、そういった判断を待っていたのでは労働者の迅速な 保護に支障を来たすことから、労災保険としての扱いとしては特段の異なった取扱いを することは適当ではないのではないかという一応の考え方になっています。 ○佐藤委員  この報告については、全体的に労働者保護の範囲を広める意味合いで、まだ詳しく読 んではいませんが、いいことではないかと思います。いま言われました二重就業の禁止 の問題があると思うのですが、いま正規労働者は非常に数が減っている。雇用と言うか 就労の多様性、労働の多様性が盛んに言われている現状の中で、1日に2つの事業所で 働くことはやむを得ない状況になりつつあると思うのです。就業の禁止そのものについ てここであまり議論する必要はないと思いますが、そういう実態からするなら正規労働 者よりも圧倒的に多い非正規というか多様な働き方をしている人たちについて保護を与 えるのは、正しいのではないかと思います。  保険関係の成立の問題では、1つの事業所から次の事業所へ行く場合についての保険 関係は、次の事業所が持つと書かれています。ところが、給付基礎日額の算定には両方 の分を勘案する、そう読み取れるのです。そこで何かちょっと矛盾があるのではない か。私はそのほうがいいと思うのですが、そのことについてはあとで説明があると思う のですが、ざっと見たところでは分かりにくい所がありますから、説明してほしいと思 います。  単身の問題ですが、私も単身赴任者でございます。 ○部会長  すみませんが、単身赴任の問題は、この次に議論したいと思います。 ○労災管理課長  給付基礎日額の点ですが、先ほど説明したのが少し分かりにくかったかもしれません が、二重就業の場合には業務災害であれ通勤災害であれ、稼得能力を反映するという形 から両方を合算したものを給付基礎日額として支給するのが適当ではないかというの が、ここで示されている方向性です。  そのうち通勤災害について、第1の事業場から第2の事業場に移動する途中で通勤災 害が生じた場合については、保険関係としては第2の事業場において処理することで考 えるわけですが、通勤災害ですからメリット制の適用はないです。また業務災害につい て第1の事業場と第2の事業場のうち、第2の事業場で業務災害が起きたという場合の 補償する額としては給付基礎日額、2つの職場を合算したものをベースにして支給する ことになります。メリット制の適用につきましては、例えば第1の事業場と第2の事業 場のうち第2の事業場で事故があって、給与としては50、50であった場合、労働者に支 給するときは100をベースにして支給されますが、メリット制の適用については第2の 事業場で起きた場合は第2の事業場で払った50の賃金をベースにして、それをメリット 制の算定値を算定の基礎にするという考え方です。 ○真島委員  事例としてもし分かりましたら教えていただきたいのですが、いま問題になっている 第1の事業場から第2の事業場への移動を対象にして考えているわけですが、後半の所 に資料として載っていますが、実際にそういった事故が発生しているのかどうか、その 辺の事例や判例があるのであれば少し挙げていただきたいです。二重就職者の概念とし てはおっしゃっている意味は分かるのですが、もう少し典型的な働き方として何か事例 というか、例えば昼間会社に就職していて、夜は大学の非常勤講師をしているなど、一 概には言えないのかもしれませんが、何か具体的に分かるもの、二重就職者といったと きの定義がとても広すぎてなかなかイメージがつきにくいので、何か典型的にこういう 働き方の方ですというのが分かれば、教えていただきたいと思います。 ○労災管理課長  二重就職者につきましては、まずバックデータとしましては先ほどご説明しました就 業構造基本調査で、本業が雇用者でかつ副業が雇用者という2つの雇用をしている定義 で聞いている、これが大枠です。その中でどういった方があるか、あるいは実際に事故 がどうかという、事故のデータについては残念ながら特別に調べてみないといまは手元 にはないわけですが、二重就職の方々がどういった形態で事業場間の移動を行うかとい う辺りは、本文の16頁に、直接直行するかどうか、ルートが決まっているかというよう な実態については、同じ調査の中で示されているところです。  あと二重就職者についてどういった方々があるのかという議論につきましてはいろい ろな形態があると思うのですが、例えば研究会で議論する中で出された例としては、私 立大学等の大学の先生が複数の大学を掛け持ちして講義をして、それぞれから給料をも らっているケース、あとは介護の仕事で働いている方々が複数の家庭を回って仕事をし ているケースが事例としては出されていました。  また最近ご案内のようにパートタイマーというか非正規の形態で働く方々が大変増え てきている中では、パートの仕事を複数掛け持ちでやっている形態の方は一般的に見ら れるだろうという議論があったように承知しております。 ○紀陸委員  第2の事業場から自宅へ帰る途中の通災は、全くこの視野に入らないのですか。 ○労災管理課長  それは現行の条文を前提にしましても、事業場と住居との往復ということで、通勤災 害の対象にできる範囲だと考えています。 ○紀陸委員  いずれにせよ、結局就業規則でそう定められて、そもそも第1の事業場に勤めるとき に、働く人も会社と約束をして、それを認識しているわけです。会社もその範囲でその 人を雇って、雇用契約関係に入るわけです。それを全然知らないで、いまのお話の私立 大学の先生、あるいはパートの掛け持ち、介護・看護などの実態としてあるのは分かり ますが、そういう実態があるからといって、会社と従業員の間には一種の信頼関係のよ うなものがあります。それを公的な制度でつくって、大げさに言うと打ち壊してしまう ような理屈が出ているのは何となくおかしい感じがするのです。そういう事実、実態が あるのは決して否定はできないのですが、結局これは事業主が払うお金ですね。  仮にもっと詰めていけば、そこは個人の責任もあるので、保険料の部分は折半でやる など、細かい話が出てくる可能性もあると思うのです。だけれどもそこにいく前に、事 業主としては何となくこれはちょっと変ではないかという感じがどうしても否めないの です。そういう釈然としないような制度を制度改定で論じるというのは、ちょっと理解 に苦しむのです。 ○金城委員  いまのご意見なのですが、たぶん常勤で働いている人が、何か二重に働くイメージを とても強く思っていらっしゃるのではないかと思うのです。でもそれはたった1.7%な のです。例えばパート・パートであれば、パートの場合には副業・二重就業の禁止とい うのはあまりないのではないか。先ほど出ました非常勤講師と正式な講師の場合は、大 学のほうで問題なく認めている慣行になっているようです。全労働者のたった1.7%と いうのですから非常に例外的な人で、いまおっしゃっているようなきちんと常勤である にもかかわらずどこかで働いているような、雇用主にとって意外と言うようなことでは なくて、労働者の中で非常に例外的な人たちを対象にするのだと思うのです。先ほどの 例もありましたが、もう少し具体的な例を出していただけると、納得いただけるのでは ないかと思います。  平成14年ですが、男性よりは女性のほうが多くなってしまっています。これもやはり パートの掛け持ちではないかということを想像させるような数字ではないかと思うので すが、その辺はいかがでしょうか。 ○紀陸委員  ですから逆に、事業主もご本人もそれを知っている場合に限定すればいいのではない かという話なのです。 ○金城委員  非常に複雑なところも出てきますので、たった1.7%ということですから、カバーし ていいのではないかと思います。 ○紀陸委員  冒頭に影響の金額を伺いましたが、たしかにこういう金額ですと財政的にはいいので しょうが、そういう問題より以前に、我々も雇用多様化を推進しようという形で、いろ いろな形態がこれから出てくる可能性はあります。その場合に当事者同士できちんと了 解すべきことは了解した上で制度をこういうものでカバーするのが筋ではないかという 感じがするのです。 ○部会長  私の記憶では、民事訴訟で、兼業禁止の就業規則の効力が否定される例が多かったよ うに思います。 ○岩村委員  ちょっとよろしいですか。いま紀陸委員がおっしゃっている兼業の問題というのは、 法律的には結構難しい話でして、兼業禁止がどこまでできるのかというのは、ギリギリ 詰めていくとそう簡単な話ではないのです。あくまでも労働契約というのは、その時間 会社に勤務するということを約束するだけであって、労働時間を超えたところで企業が 労働者を拘束できるかという話になると、原則論としては非常に難しいと思います。就 業規則で定めていたとしても、それが効力を持つかをギリギリ詰めていくと、結構難し い話ではないかと思います。  もう1つは、就業規則などで二重就職をしてはいけないと規定をしているということ と、労働者が規定に違反して二重就職をして、第1の職場から第2の職場へ行く過程で 事故に遭ったというときに、就業規則に定めてあって労働者も知っているという理由 で、重大な事故などに遭って非常に大きな被害を受けたときに、それは労働者も知って いたのだから本来引き受けているリスクなので補償しなくてもいいという理屈が立つか というと、私はそれは難しいだろうと思います。  業務災害の場合も同じで、就業規則でいろいろな安全規定等を定めている。労働者も それを知っているではないか。その安全規定を守らないで業務災害が発生したときに、 労災の補償をしないのかといったらそうはならないのだと思います。就業規則上どうい う義務付けをしているかということと、事故などが発生したときに補償するかどうかと いうこととは切り離して考えるのが筋なのではないかと思います。とりわけ労災の場合 には、重過失でない限りは労働者も過失があったとしても補償するのが原則ですから、 そういったことを考えたとしても二重就職、あるいは兼業を就業規則で禁止しているこ とから第2の職場へ行く途中で起きた事故というのは、労災では使用者の許諾がない限 り補償すべきではないという結論には至らないのではないかと思います。 ○部会長  そのほかご意見がありましたらお願いします。 ○中桐氏(須賀委員代理)  実は私どもの所属する連合でもだいぶ前になりますが、当時、たしか日経連だと思い ますが、二重就労を報告した中で推奨するようなものがありました。たしかマルティプ ルジョブホルダーという形でアメリカの事例などを紹介しながら、日本にもこういうも のが必要だという論調だったと思います。その際に連合としては、二重就業者について 特に安全衛生の面で、そこまでして、例えば過重労働がなくなることを考慮しまして、 反対だ、それよりも大事なことは第1の仕事、1つの仕事でちゃんと生活ができる賃金 を保障してくれということで、市民生活闘争に臨んだことはあります。  しかしながらその後にたくさん法改正がありまして、パート・派遣がいま職場にはた くさんいるわけでして、現在この問題は、私自身は是非必要だと思っています。すでに 職場にそういう方がたくさんいますし、1つの事業場、1つのパートだけでは食べてい けない方がいらっしゃる。また正社員であっても賃金が低くてほかの仕事をしたり、朝 新聞配達をしている方もいらっしゃいます。そういう多様化している中で労働者保護を 図る場合に、先ほど言ったように本来ならば1つの仕事でちゃんと生活ができるとなる べきですが、現実はそうではないわけですので、そういう方々の労災、通勤災害につい て保護されるべきだと考えております。以上です。 ○部会長  ありがとうございました。そのほかございませんでしょうか。  時間の関係もありますので、今日結論を出すというものではありません。どういうご 意見があったかを今日の議論を参考にして、事務局でまた次のまとめをしていただきた いと思います。  次に、単身赴任の問題に入ります。後ろのほうに資料が付いていますが、裁判にも関 わっていることですので、ごく簡単に裁判の話をしていただきます。 ○労災管理課長  資料1−2の中間とりまとめ本文の15頁は、平成12年の秋田地裁の判決で、国が敗訴 した事案です。事案の概要に書いてありますように、秋田県男鹿市内で、自宅に家族を 残して建設工事に従事していた鳶職人の方3名が、休日を利用して会社所有のワゴン車 で自宅に帰って、就労日の前日に自宅から赴任先宿舎へ戻る途中に橋から転落して、全 員が亡くなったという事案です。たしかご自宅が新潟にあって、新潟から秋田の間を車 で移動して、しかも前日着くように移動されたという事案でした。  判決につきましては、被災者の赴任先の宿舎は通勤災害における「住居」であるとし ながら、本件の場合は工事現場と一体となった付帯施設である赴任先の宿舎に向かう行 為は、まさに「就業の場所」に向かうのと質的に異なるところがないというべきである から「就業の場所」と同視できる。また鳶職という危険な業務に従事することに備え て、十分に体調を整えるために就労日の前日に赴任先宿舎に帰任しようとした場合は、 その移動は業務に密接に関連するというべきで、「就業に関して」行われたものと解す べきということで、通勤災害に該当する判断をされた。これを踏まえて国としては控訴 をしないで通勤災害の支給をしたという事案です。  本件の事案につきましては、赴任先の宿舎が工事現場と一体となった付帯施設であ る、就業の場所と同視できると認定されているところが1つの要因となっていますが、 こういう形について、前日移動することについても合理的な理由があることも含めて判 断した事案です。こういった判決があったことも、今回単身赴任の方の移動について検 討する1つの背景になっているということで、紹介させていただきます。 ○部会長  ありがとうございました。いま紹介をしていただいた裁判例も含めて、単身赴任者の 赴任先住居、帰省先住居間の移動につきまして、通勤災害制度の適用をすべきではない かというのが、中間とりまとめの方向です。  単身赴任者の数につきましても、先ほど見ました13頁ですが、これはほとんど二重就 職者と同じ数になっていますが、このことについてご意見がありましたら、お願いしま す。 ○佐藤委員  単純な質問をします。例えば8頁に結論的なことが書いてあるのですが、勤務日当日 又はその前日に行われる帰省先から赴任先への移動、あるいは逆のケースですが、勤務 日というのが前後にないと駄目だと読み取れるわけです。比較的例えば年末年始の休暇 であれば、こういう例とちょっと違った移動をすると思いますが、そういったものにつ いては、この解釈は厳密なのでしょうか。 ○労災管理課長  いろいろ議論があったわけですが、先ほどの秋田地裁のケースでも新潟から当日車で 就業場所に直行したという場合であれば帰省先も住居と見られますから、それは通勤災 害と認定されたわけですが、前日に一旦赴任先住居に帰ったということで最初認定しな かったというのが、争われたケースです。ただ判決も言っていますように、前日に帰っ て体調を整えるというケースが保護されないのはおかしいではないか、というのがこの 判決の前提になっているということだと思います。  今回の研究会の議論の中でも、単身赴任の方々の帰省等に関する実態についていろい ろ調査した結果が一部資料にも載っていますが、特に帰省先から戻るというケースにつ いては、交通事情もあるので前日のうちに赴任先住居に帰って体調を整えて、それで翌 日出勤するという生活実態が多いことも踏まえて、一応前日となっているわけです。  いまの通勤災害制度につきましては、就業に関し住居と就業の場所との間を往復する ということで、就業に関する往復ということがあります。したがいまして、帰省先と赴 任先の住居の間を往復するにしましても、やはり就業に関しという従来の考え方を踏ま えた上での対応をしていく必要があるのではないかと思います。いろいろなケースがあ るので一概に、杓子定規に決められない部分があるのかもしれませんが、就業日からか なり離れた日数に移動することについて、就業に関しての移動と見ていいかという辺り の論点が議論の中でもありまして、そういった観点からは生活実態、それから就業に関 しということの解釈からいって当日または翌日を一応の原則とするのが適当ではないか というのが研究会での議論だったと承知しています。 ○部会長  この点、いかがでしょうか。 ○紀陸委員  通常は企業の場合ですと、単身赴任の方に家へ帰る手当を支給する場合がありまし て、大概毎週、場所とか距離にもよるのでしょうが、月に一遍ぐらい、ある程度定めて います。その場合には手当を払います。業務関連性だけではなくて、どういう場合を保 護の対象にするかという点で、いま申し上げたような点は、この中でご検討された経緯 があるのですか。 ○労災管理課長  単身赴任の定義について詳しく踏み込む、あるいは検討する議論にはなっていないの かもしれませんが、単身赴任については例えば単身赴任手当込みの制度もあります。そ の場合には単身赴任手当の支給要件や家庭の事情などいろいろありますので、制度化し ていく上では単身赴任をしている家庭の事情といったことを踏まえて、一定の要件をベ ースにして決めていくという考え方を進めていくことになるのではないかと考えている ところです。 ○紀陸委員  多少限定するというお考えがあるわけですか。 ○労災管理課長  ですから、仕事の都合と家庭生活との調和という観点が基本にあると思いますので、 単身赴任を余儀なくされている状況の中には、例えばお子さんの教育の事情や、両親の 介護をされているなどいろいろなケースがあると思いますので、そこの辺りは具体的に は書けないのかもしれませんが、一定の要件で書いていくことになるのではないかと思 っています。 ○佐藤委員  単身赴任の手当があるかないかは、あまり重要な問題ではないと私は思います。卑近 なことで私自身のことを言うと、月1回の手当があるのですが、都合によっては2回、 3回と多くすることはあるわけです。それはいま課長なりがおっしゃっていたような事 情があるので、必要性と、手当が支給される、あるいは交通費が支給されるという問題 は、あまり引っ付けて考える必要はないのではないか。私は今回出されている結論は、 基本的に賛成です。 ○労災管理課長  1点だけ補足しますと、研究会の議論の中でも単身赴任手当の支給をしているか否か ということと、扱いを関連づけて対応すべきという議論ではなかったと思います。 ○部会長  そのほか、いかがでしょうか。 ○中桐氏(須賀委員代理)  基本的には賛成で支持したいと思いますが、ひとつ今後の検討会で検討をお願いした いのですが、私は中央の審査会の参与をしていて、最近こういう事件を扱いました。  その方は現場の責任者で、週末に実家へ帰り、工事現場のそばの宿舎に向かう途中車 が衝突して亡くなったのですが、そこで問題になったのが、これがあればたぶんその方 は認定されたと思います。もう1件大事な問題は、台風が接近していて、彼は現場の責 任者として所長には連絡を取らずに自発的に現場へ向かって、現場でいろいろなものが 飛び散らないように防止する目的でというのが家族の主張だったのですが、所長がそう いうことを命令していないということだけでも認定にならない理由になるのです。そう いうことも今後起きてくるのではないか。台風や突発の事故のときに自発的に判断して 現場に向かう、それがたまたま帰省先からだったということです。  あと、ここでも出てきている前日帰るのかいつ帰るのかという問題で、何か基準を変 に設けられますと、2日前は駄目だということが出てくるとちょっとつらいと思います が、その辺の考え方は内部では何か議論をされたことはあるのでしょうか。 ○労災管理課長  就業関連性との関係を主として、当日または前日というのを原則にという議論でした が、本文の8頁をご覧いただきますと、真ん中辺りにただし書として書いてあります。 ただし、急な天候の変化によって交通機関が運行停止になるといったような外的要因等 によって当日や翌日に移動することができない場合等について、例外的な取扱いを検討 することが必要であると考えられる、という記述もありますし、まだ今後詰めていく中 では、そういった決め方については検討していく課題であろうと思っています。 ○部会長  そのほかございませんでしょうか。  急いで恐縮ですが、3番目の論点、二重就職者に関わる給付基礎日額についてのご意 見、ご質問をお願いします。  特にございませんようでしたら、3つの論点について一応ご意見を伺ったということ で、本日の時点では特にご意見がないようですので、この報告書で見直しの提言された 事項につきまして、今後の検討の進め方について、事務局から説明をお願いします。 ○労災管理課長  それでは、労災保険制度の在り方に関する研究会の中間とりまとめにおいて、見直し の方向性が提言された事項につきましては、本日のご意見等も踏まえまして事務局のほ うで論点整理をさせていただいて、それをまた提出させていただいた上で、本部会で年 内に2、3回ほどご議論を賜った上で、部会としての考え方をとりまとめていただけれ ばと思います。 ○部会長  いま事務局から説明があったような形で今後検討を進めていくということでよろしい ですか。ありがとうございました。  次の議題に移ります。「労災保険料率の設定に関する検討会」中間とりまとめについ て、事務局からご説明をお願いします。 ○労災保険財政数理室長  私から、資料2−1及び資料2−2に基づいてご説明します。労災保険料率の設定に 関する検討会については、昨年12月の総合規制改革会議の第三次答申において、業種別 リスクに応じた適正なルール等の設定について、より専門的な見地から検討を行い、今 年度中に結論を得べきであるとされたことを受けて開催しているところです。料率設定 の在り方、料率に密接な関連のある業種区分の問題、メリット制についても、併せて検 討をしているところです。本年5月12日以来いままで7回開催し、今回、論点整理をし て中間とりまとめという形でまとめられたところです。  内容について簡単にご説明します。資料2−1が今回とりまとめた中間とりまとめ で、資料2−2がこの検討会の中で使用した基本的なルール設定に関する考え方につい ての関連資料です。まず、中間とりまとめの前に資料2−2の関連資料を先にご説明し ます。初めに制度の現状等についてご説明します。  1頁の参考資料1、2頁の参考資料2は、本年3月の部会のときにご説明した検討会 の開催要綱と参集者の一覧です。3頁の参考資料3は、規制改革・民間開放推進3か年 計画です。これは規制改革会議の第三次答申を踏まえて閣議決定されたところですが、 今回の検討に関わるところを抜粋したものです。この中にあるように、業種別の保険料 率の設定について、業種ごとに異なる災害リスクも踏まえ、専門的な見地から検討して 早期に結論を得るとされています。  参考資料4は、現行の料率区分表、業種区分、51に分けておりますが51の業種区分と その労災保険率の一覧表です。  6頁以降の資料5以降は、料率設定の基本的な考え方をまとめたものです。5−1 は、現行の労災保険率設定の基本的な考え方をまとめたものです。料率については、労 災保険率について、法令の定めにより将来にわたる労災保険の事業に係る財政の均衡を 保つことができるように、事業の種類ごとに過去3年間の保険給付等に要する費用の予 想額を基礎として、過去3年間の災害率、労働福祉事業及び事務費の予想額、その他の 事情を考慮して定めるということになっています。具体的には、その下の表のような考 え方でまとめています。  業務災害は短期的な給付と長期的な給付、長期的な給付は年金等になりますが、それ で財政方式を分けています。短期給付分については一定期間、これは3年間ですが、そ の収支が均衡するように定めるという方式、純賦課方式でやっております。長期給付分 については、年金という形でお支払いしていくので、20年なり30年以上の給付を続けて いく形になります。これは、災害発生時点において将来にわたる年金給付等に要する費 用を全額徴収するという考え方の充足賦課方式を採用しております。これにより将来給 付分については、積立金という形で保有しているところです。  なお、この方式は平成元年以降に採用しており、昭和63年以前においてはこの方式で はなく、将来6年分しか取っていないといった状況でしたので、将来にわたる積立金に ついて現行の財政方式の導入前に裁定された年金受給者について必要な費用の不足分に ついて過去債務という形で平成35年まで均等に賦課している過去債務分があります。  それ以外に非業務災害分、これは専ら通勤災害に当たりますが、その分と労働福祉事 業及び事務の執行に要する費用分については、全業種一律という形で設定しておりま す。  以上が基本的な考え方ではありますが、7頁、8頁の資料5−2のように、料率の算 定の際に短期給付と長期給付の一部に相当する費用については全業種一律で計算してお ります。具体的には5−2に書いてありますが、短期給付のうち災害発生から3年を経 たような給付分、長期給付のうち被災後7年を経て支給開始したものについては、全業 種一律で算定しております。この考え方としては、労働基準法第81条において打切補償 という規定があります。被災後3年を超えても傷病が治ゆしない場合は3年経過時点で 打切補償をしてもよいとされており、災害発生から3年を経た短期給付分については当 該事業場の業種だけに負わせることは適当ではないということで、労働者保護及び産業 間扶助の観点から全業種一律で算定しております。  先ほどの労働基準法第81条においては、3年経過時点で1,200日分の打切補償を行う こととされていますが、これを労災保険法の傷病年金で換算すると、ほぼ4年分に相当 します。例えば被災後3年以内に障害が残った場合、労働基準法上の規定に基づく災害 補償においては、例えば1級の場合は1,340日分となっています。これは労災保険の障 害年金、1級であれば、313日分に換算すると大体4年相当となります。基準法に基づ く遺族補償は1,000日分という規定ですが、これを労災保険の例えば家族4人で見ると、 ほぼ4年となっています。  つまり、基準法で見ると、災害発生から例えば最高で3年間の短期給付は基準法での 規定としている。それから治ゆ後最高4年少しの長期給付に相当する分を事業主責任の 範囲としております。そのために計7年以内に支給開始した長期給付については当該業 種に賦課しておりますが、その超える分については、全業種一律で算定しております。 こういった考え方で業種別に算定しており、それをもとに料率改定を行うことになりま す。  9頁の参考資料5−3です。算定される数値に基づいて平成15年度に料率改定したと ころですが、この算定される数値は、先ほどご説明したような形で災害発生による保険 給付の状況を反映したということにもなるので、算定値が下がった場合には、事業主の 労働災害防止の努力の反映とみなすことができます。したがって、平成15年度において はすべての業種で算定された数値が低下したといった状況もあったので、算定数値の低 下という形で表われた事業主の労働災害防止努力を評価した改定をさせていただきまし た。  参考資料5−4は業種区分の考え方です。現在、51の業種に区分しております。これ は業種ごとに災害の種類、作業態様が異なるという実態を踏まえて保険集団としての規 模、労働災害防止活動の浸透、費用負担の連帯性という観点から業界組織などを考慮し て定めているところです。  11頁に業種別、事業場数、労働者数の表を掲載しております。現状はこうなっている ということです。鉱業などでは、例えば1,000人台の業種区分がありますが、第3次産 業が主となるいちばん最後のその他の各種事業が第3次産業、サービス業等が含まれて いる業種ですが、ここにおいても適用労働者数が2,800万人で、全体の6割を占めるよ うな大きいものまである状況です。  その背景については12頁、昭和30年以降の適用労働者割合の推移を見たものです。労 災保険法発足は昭和22年ですが、この労災保険制度の発足当初においては、現在のよう にすべての業種が強制適用ではなかったという状況があります。第3次産業を中心とし たような業種については任意適用の時代があり、昭和40年代に順次強制適用化されたと いう事情があります。それから、第3次産業については、製造業や鉱業などと比較して 災害率が低いということもあり、その他の各種事業という形でその適用が進んだという ことです。その他の各種事業については、一部の業種については別業種に分けられたこ ともありましたが、第3次産業化の進展もあり、その割合がどんどん増えてきたという 背景があります。このように第3次産業を中心としたその他の各種事業が非常に大きい 区分になっていることもあり、適正な大きさにしてはどうかといった議論がされたとこ ろです。  メリット制の概要の資料を13頁以降に付けております。メリット制は、趣旨の所に書 いてあるように、事業の種類が同一でも作業工程、機械設備及び作業環境の良否、事業 主等の災害防止努力の如何等により事業ごとの災害率に差があるということで、事業主 の災害防止努力をより一層促進するという観点から、各事業ごとの災害の発生状況に応 じて労災保険率又は労災保険料を上げ下げするという制度です。これはそういった形で 一定要件の事業について適用しており、各事業ごとの労災保険の収支状況に応じて、13 頁の下にメリット収支率の式がありますが、こういった収支率の状況に応じて、継続事 業においては±最大40%の範囲内で、有期事業、いわゆる建設事業や林業等の事業につ いては±35%の範囲内で労災保険率または労災保険料を増減させる制度です。  16頁の特例メリット制は、専ら中小企業を対象としたものです。中小企業が安全衛生 措置を講じた場合、その申告によりメリットの増減幅を特例的に±45%にしようという 制度です。こういった制度等の概要についてご説明したところです。  いちばん最後にメリット増減幅の改正の経緯ということで、メリットの増減幅制度発 足以降の増減幅の状況についてご説明しております。  以上が基本的な考え方の資料ですが、それに基づいて資料2−1へ戻らせていただき ます。いままでに7回の検討会が行われ、論点整理という形で中間とりまとめをまとめ たところです。中間とりまとめの内容については「はじめに、検討すべき課題、検討会 での意見、今後の検討の進め方」という形でまとめております。  「はじめに」については、1頁で労災保険料率の設定に関する検討会の開催の経緯、 2頁で労災保険制度の理念、目的、基準法との関係等を記述しております。3頁では検 討の視点をまとめております。  労災保険率については業種ごとに定めております。これは、災害率が事業場ごとに異 なるということで、労働災害補償にインセンティブ促進の観点から設定しているわけで す。その中で労災保険制度においては、社会保険であることから必ずしも収支均衡をさ せる必要があるという考え方は特にとっておらず、給付の一部に相当する費用について は、全業種一律賦課とさせていただいております。そういう中で、労災保険率改定に関 する基礎資料の公開や決定手順の一層の透明化が求められたところです。また、業種別 のリスクを正確に反映した設定とはなっていないのではないかという問題提起がされて いるところです。  業種区分は51に区分していますが、長年にわたる産業構造の変動によって非常に小さ い規模から大きな区分の業種も現れていることから、こういった現状を見直す必要があ るのではないかと考えられます。  メリット制に関しては、労働災害防止をより一層反映させるためにメリット増減幅の 拡大についての要望が事業主団体の一部からされているということもあり、こういった 項目について総合的に検討をしたというところです。  4頁以降が「検討すべき課題」ということで、現状と課題という形で整理しておりま す。現状については先ほど簡単にご説明しましたので、課題の部分だけをご説明しま す。  労災保険率に関しては5頁で整理しております。労災保険率においては、災害リスク を反映したものとすべきとの考え方のほかに、社会保険として必ずしも収支均衡する必 要はないという考え方もあるため、これを踏まえて適正な料率の在り方についての検討 を行うこととしております。  料率を設定するルールについては、必ずしも全般にわたって明確にされていなかった 面があるのでより明確にする必要があることと、長年の産業構造の変動により規模が小 さくなった業種で過大な負担となっているような問題、保険料の水準が過度に変動する ことを避ける観点から行っている激変緩和の措置の在り方についても検討することとし ております。  業種区分の問題については、現状は先ほどご説明しましたが、課題は6頁に記載して おります。小規模な業種から全体として6割を占めるような業種もあることから、最近 の産業構造の変動、技術革新の進展状況、保険集団としての規模等を踏まえて業種区分 に関する基本的な考え方に基づき改めて検討することとしております。  メリット制の課題は7頁で整理しております。メリット制は労働災害防止のインセン ティブを促進する観点からは必要な制度であるかと思いますが、メリットの適用要件の 問題とメリット増減幅をどう設定するかという課題があるということです。検討してい く中で、最近では全般的に災害率が低下している中で労働災害防止のインセンティブを より高めるという観点からメリット制がどのような役割を果たし得るかを考える必要が あるのではないか。適用要件の緩和なりメリット増減幅の拡大でいくと、現象としては メリットにより減少している事業場の割合と増加している事業場の割合では減少してい る事業場の割合が多いということもあり、財政面では保険料収入が減少する効果をもた らすことから、その減少分を確保するためには全体の労災保険料率が引き上がる効果が あるということになり、その場合にはメリット制が適用されない事業場にとっては不利 になるといったことの財政的な影響なども含めて検討する必要があるのではないかとい う整理です。継続事業と有期事業との増減幅の差についても検証したらどうか、特例メ リット制については充分活用されていない現状を踏まえて検討してはどうかということ で整理しております。  8頁以降については、検討会の中で出された参集者の意見を整理しております。両論 併記の形で整理しております。  意見の中身について簡単にご説明します。労災保険率の負担の在り方について、例え ば急激な産業構造の変動の影響により外部的な要因で負担が激増した業種については、 全業種の調整が必要ではないか。本来的には災害リスクに応じたような率に料率を近づ けるべきであるが、料率を引き上げる際には激変緩和が必要である。基礎データの公開 や手続の透明性についても担保された形でやるべきではないかといったご意見が出され ています。  業種区分については、業種区分を見直すにあたっては保険集団としての規模を考える べきである。考え方としては災害リスクの幅を広くするという考え方をとれば業種の統 合という形になるかもしれないが、災害リスクに応じたような方向として考えるのであ れば「事業主の災害防止努力」を重視するような方向で、逆に業種を細分化するという 考え方もあるので、その2つの考え方をうまく考慮する必要があるのではないか。  「その他の各種事業」について、非常に大きな区分を占めている所があったので、そ の状況を見直す場合にはその適正な労働者割合を考える必要があるのではないか。業種 を細分化するようなことにあたっては、データの整備をしっかりとしていく必要がある のではないか。  メリット制については、メリット制によって労働災害防止インセンティブを促進する ためには、要件の拡大なりメリット増減幅の拡大を進めるべきではないか。  一方で、現状のように災害率が非常に低下しているような状況ではメリット制の拡大 は更なる災害防止の効果があるのか疑問ではないか、慎重に対応すべきではないかとい ったご意見もあります。  要件については、小規模になるほど災害発生割合が全産業より少なくなることがあ り、そういう場合には例えば無災害だったことがたまたま規模が小さいがために起きた のではないかということも考えられるので現行の給付データからはなかなか判断が難し いのではないか。  特例メリット制については、申請実績が少ないという状況もあったので、それについ ては検証が必要ではないか。  今後、これらの論点整理をもとに更なる現状分析、具体的な方策等について検討する ことを考えております。来年1月には最終報告としてまとめていくことを考えておりま す。資料2−1、資料2−2についての説明は以上です。 ○部会長  どうもありがとうございました。ただいま、労災保険料率の設定に関する検討会中間 とりまとめとして労災保険率、業種区分、及びメリット制についてご説明をいただきま した。これは申し上げるまでもなく、総合規制改革会議の答申に基づいて閣議決定がな され、業種別リスクに応じた適正な保険料率の設定をすべしという要請に基づくもので す。ただいまのご説明についてご意見、ご質問がありましたら、お願いします。 ○佐藤委員  業種区分はこれ以上細分化していく必要がないのではないかと思います。その他事業 については、一定に括りをしなければいけないとは思います。しかし、日本の産業全体 構造から見た場合に最終的に至るところは同じではないか、建設業と製造業が全く違う 分野で物事をやっているかと言うとそうはなっていないのではないか、そのようにも思 うわけです。そういう意味で、この規制改革会議が言っているようにその業に災害が多 かったので業種区分をより細かくするということはあまり必要がないのではないか、そ ういうことをすることによって社会保険という観点が更に抜けていくのではないか、そ のように思います。  料率の問題についても、特定の業種だけを思いきり引き上げるといったことが今の業 種区分と相まって起こる可能性があります。私は、そのことについても先ほど言ったよ うに、全体的な産業構造は時代とともに変化もしていくわけで、それほど強弱を付ける 必要がないのではないかと思っています。  メリット制の所に業者団体からそういう要望があるとの記載があります。現実に申し 上げると委員がお見えですから失礼かもしれませんが、建設業の団体から現行の35%を 40%にしてほしいということが業界誌で報道されています。35%にするときにも相当な 議論を交わしたと、私は思っています。デメリットも当然あるわけですが、労働安全衛 生についてインセンティブを与えるということはあまり立証されていない。厚生労働省 も労災隠しは犯罪だと言うほど、これが各医療機関にポスターとして張られる。どの業 種を指しているかはわかりませんが、主に建設業が多いと思いますが、そういうことを 招く結果になっているのです。  ちょっと失礼かもしれませんが、保原部会長もある雑誌の中でメリット制について言 及された論文を一部書かれて、そのことが労災隠しにつながる、そう断定的には書いて いないと思いましたが、読ませていただきました。そんなことから私たちは35%のとき も盛んに議論をしたわけですが、今回、今日結論が出ているわけではありませんが、業 界の要望のみを取り上げて、それがいいことかどうか、十分に検討をしていきたいと思 います。 ○部会長  そのほかにご意見はありますか。 ○紀陸委員  岩村委員をはじめ、委員の方々に中間とりまとめまでご尽力をいただいた点は多とい たします。業務上災害の減少傾向で料率自体が少し低下傾向にありますが、これからの 審議でお願いしたいと思っておりますのが労福事業の分です。これは、1000分の7.4の うちの1000分の1.5で全業種一律に固定となっているのです。保険料率の在り方につい て論議をいただく場合に、労福事業の部分を是非ご検討いただけないかという要望で す。どこまで踏み込むかによって論議の仕方も違ってくると思いますが、保険料率の検 討の際には労福の在り方をもう1回、私どもは不可欠の問題だと思っておりますので、 今後も検討会の中で是非ご論議いただきたいと思っております。この際、要望させてい ただきたいと存じます。 ○労災管理課長  検討会座長の岩村委員がいらっしゃいますので、もし違っていたらおっしゃっていた だければいいのですが。労働福祉事業の扱いについては大事な問題だと思っておりま す。私どもとしても、労働福祉事業の改革見直しについて鋭意取り組んでいるところで す。その点については、また機会を改めて当部会にも報告させていただくことがあるだ ろうと思っております。  本研究会における論点の整理に際しては、本研究会で一般的に検討する業種別リスク 等を踏まえた業種別の保険料率の設定の在り方が基本的な論点ということです。それを 踏まえて労災保険率、業種区分、メリット制という論点を整理しております。労働福祉 事業についてはそのような業種別リスクという観点というよりも、労働福祉事業として どういった事業をやっていく必要があり、それに対してどういった保険率を設定するか という問題ということで、本研究会のそのような検討の枠組の中では対象としなかった という整理にしております。  しかしながら、紀陸委員がご指摘のように労働福祉事業の在り方は大変重要な問題で あると思っておりますので、私どもとしては、今後の労働福祉事業の在り方の検討とい ったものも含めて改めてこういった当部会の場でご議論いただくのが適切ではないかと 考えております。 ○部会長  ありがとうございます。 ○岩村委員  いまの課長のご発言のとおりです。私から特に付け加えることはありません。 ○紀陸委員  これだけのメンバーの方々に料率の問題についてご論議いただいているわけです。 7.4のうちの1.5というのは大きいですね。結局、それが全体の料率の在り方について無 視できないものもいろいろ含んでいますので、併せて、せっかく専門家の方々がお集ま りになっていますのでご検討いただきたいという趣旨です。 ○岩村委員  ご意見はいま承りましたが、労働福祉事業に係る料率の部分は料率だけを議論するわ けにはいかないのです。やはり労働福祉事業の中身自体の議論をしないことには料率の 問題が出てこない話でして、そういう点では本検討会で議論するには必ずしも適してい ないのではないでしょうか。むしろ、先ほど労災管理課長がおっしゃったように労働福 祉事業そのものを取り上げていただき、この部会の場あるいは別の検討の場を設けて、 労働福祉事業の在り方そのものをまずご議論いただくということのほうが先ではないか と私は考えております。そういうことで先ほど管理課長からもご紹介があったような形 で整理をさせていただき、今回の中間とりまとめとした次第ですので、ご理解を賜れば と存じます。 ○部会長  労働福祉事業について紀陸委員からご発言がありました。この研究会は閣議決定との 関係で平成16年度中に一応の結論を得なければならないので、先ほど当局からご説明が あったようにまだ結論に至っていない部分がかなりありますので、そういう意味でも労 働福祉事業については別に機会を設けて検討させていただきたいと、私個人としては思 っております。  そのほか、関連あるいは別のご意見等がありましたらお願いします。 ○中桐氏(須賀委員代理)  先ほど佐藤委員から労働側の立場でご発言をいただきました。それで基本的には賛成 ですが、メリット制の問題については労働災害防止のインセンティブを促進する面も否 定できないわけで、検討会の課題ではありませんが、労災隠しは、こういう制度を悪用 する方がいるから起きる問題だと思っております。これは事務局へのお願いですが、労 災隠しの罰則をもっと厳しくしてそれを悪用する方がいないように抑制するといったこ とも別途どこかでご検討いただければありがたいと思います。労働者の中で労災隠しや メリット制等の関連があるという指摘は多く出るものですから、本来のその法を悪用し ている部分での対策を是非強化していただきたいのが1点です。  検討会の報告書の中に過去債務分について「もう賦課するほどの意味合いがなくなっ ていると考えることから廃止してもよいのでは」という意見が出ています。これは今も そのように判断できるほどのものになっているのかどうか、その辺を教えていただきた いのです。 ○労災管理課長  労災隠しの問題についても、これまで議論がいろいろあったように承知しており、懇 談会等も設けて対応の在り方については検討してきた経緯もあると思っております。ま た、監督行政も含めて大変重点課題として取り組んできているという経緯があります。 制度的にもっと何かできないかというご指摘ですが、ただちにこの場で即答できない難 しい問題だと思いますが、ご意見として承りたいと思っております。  過去債務分についてですが、これまで平成元年の制度改正以降、計画的に過去債務分 を徴収して料率に過大な負担をかけないようにという考え方でやってきているわけで す。その考え方自体は、行政としてはいま変化しておりません。ただ、次回、平成18年 改正に向けてはまたいろいろな前提を置いての計算をしなければなりませんし、最終的 にはそういった中で決まっていくと思いますが、いままで行政として特に考え方を変更 しているということはありません。 ○部会長  そのほか、いかがでしょうか。 ○杏委員  資料2−1の8頁3、冒頭に「検討会での意見」と掲げてある中の1の(2)業種別 の保険料負担の在り方の中身について質問させていただきます。検討会全体が労災保険 制度がスタートしてから現在に至る歴史と言いますか、経過を踏まえて議論されている ようで、これは大変結構なことではないかと思っております。そういったことを踏まえ ての質問になります。  1の(2)の真ん中辺りに「外部的な要因によって負担が激増した業種も存在してお り」という1項があります。この「外部的な要因によって負担が激増した業種云々」と いう所をもう少し具体的に、あるいは例示でも結構ですから、検討会の中でどんな話が 出ているかを伺えたらと思います。 ○労災保険財政数理室長  外部的な要因として、例えば典型的なものとして考えられるのはいわゆる石炭産業の 問題かと思います。それについてご説明します。  エネルギー政策の問題で、どちらかというと石炭から石油への転換が行われてきたと いう状況もあります。それは、当該石炭産業における状況とは違ったいわゆる外側の要 因によって起きたような問題もあります。例示としてはそういった例があるということ です。石炭の鉱山の閉山などで従事する労働者がどんどん減り、産業の業種の規模とし て小さくなってきたということがあります。 ○岩村委員  1点補足します。いまの石炭の例で言えば、過去において大規模災害が発生し、した がって多くの被災者がその業種に残っている。しかしながら、いま室長からご説明があ ったように産業自体は小さくなってしまっている。しかもそれは別に産業が何か予防施 策を怠ったから云々という話ではなく、国の施策などのいろいろな動きの中で産業自体 の規模が縮小してしまって、しかし給付自体は減らないという、そういう状況が起きて いるということをここでは主として想定しております。 ○部会長  よろしいですか。そのほか、ご意見、ご質問をお願いします。特にないようでした ら、事務局から本件に関わる今後の予定についてご説明をお願いします。 ○労災管理課長  今日は労災保険料率の設定に関する検討会の中間とりまとめをお示ししましたが、今 後については、この中間とりまとめにおいて整理された検討課題について本日の審議で のご意見も踏まえつつ、労災保険料率の設定に関する検討会において引き続き具体的方 策等の検討を行っていただき、年明けに最終報告をまとめていただく予定です。部会に おいても、改めてご議論をいただきたいと考えております。  なお、平成18年度の次回予定の料率改定については、本年度中にとりまとめる労災保 険料率の設定に関する方針を踏まえるとともに過去3年間の保険給付等の状況を見つ つ、来年度、当部会でご審議いただきたいと考えております。 ○部会長  ありがとうございます。本日は、以上で議事を終了します。事務局から、今後の予定 の説明等について何かあればお願いします。 ○労災管理課長  特にございません。 ○部会長  特にないようですので、これで終了させていただきます。  なお、本日の議事録の署名委員は、労働者側代表として寺田委員、使用者側代表とし て川合委員にお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。                照会先:労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係                    電話03-5253-1111(内線5436)