04/10/12 社会保障審議会障害者部会(第18回)の議事録             第18回社会保障審議会障害者部会 日時  :平成16年10月12日(金)14:00〜17:00 場所  :厚生労働省17F専用第18,19,20会議室 出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、猪俣委員、江上委員、大濱委員      岡田委員、亀井委員、北岡委員、君塚委員、小板委員、古畑委員、小林委員、      笹川委員、新保委員、末安委員、高橋(清)委員、高橋(紘)委員、武田委員、      堂本委員、徳川委員、永井委員、長尾委員、広田委員、福島委員、町野委員 ○京極部会長  遅れて来る方もいらっしゃるようですが、定刻となりましたので、ただいまから第1 8回社会保障審議会障害者部会を開催させていただきます。  委員の皆様方におかれましてはお忙しい中お集まりいただきましてありがとうござい ます。前回は時間が少なくて議論ができませんでしたが、今日は3時間という長丁場で ございます。なお君塚委員が途中で退席されるということですので、よろしくお願いし ます。  それでは、事務局から委員の出欠状況並びに資料についてのご説明とお願いします。 ○間課長補佐  まず、委員の出欠状況ですが、本日は岡谷委員、斎藤委員、丹下委員、野中委員、松 友委員から欠席とのご連絡をいただいております。また、堂本委員、永井委員、広田委 員、町野委員が少し遅れておられます。  続きまして資料のご確認をお願いいたします。お手元に配布させていただいておりま す資料ですが、一番上に、順番がひっくり返っておりますが、資料2「今後の障害保健 福祉施策について(改革のグランドデザイン案)概要」というものがございます。後ほ どこれを最初にご説明をさせていただきます。続きまして、番号がひっくり返っており ますが、資料1、同じく「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン 案)【説明資料】」という製本されたものをご用意させていただいております。  続きまして、資料3「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案 )」の本文、特に内容とか、説明資料とかついておりませんが、やはり製本されたもの です。  次に、参考資料として「障害のある人の「働きたい」を応援する協働宣言」と書かれ た資料を参考配布させていただいております。これは働きたいという気持ちをお持ちの 障害者の方々をさまざまな形で応援されている、例えば企業の方、福祉関係の就労支援 をされている方々、障害者ご自身、当事者であってなおかつネットワークを構築されて いるような方々、あるいはマスコミの方々など、いろんな方々に有識者としてご参加い ただきまして、谷畑前副大臣の下、堀田力先生に座長をお務めいただきまして取りまと めたものでございます。この中身につきましては、現場で発せられているいろいろな言 葉を拾っておりまして、こういった資料をもとに今後企業や福祉関係者の皆様方にも一 緒に頑張ろうということで働きかけをしたいと考えております。これはご参考で配布さ せていただいております。  そしてもう一つ、前回、第17回社会保障審議会において提出された資料として、「制 度改正に係る基本的な視点と主要な検討事項」という資料がございます。  以上、全部で5点の資料をご用意させていただいているところでございます。  そして、委員の皆様には前回の議事録を机の上にご用意させていただいております。 ご発言内容に誤りなどございましたら10月25日(月)までに事務局までお知らせいただ きたいと存じます。また資料の不足がございましたらご指摘ください。以上でございま す。  京極部会長  それでは議事に入ります。前回の部会におきましては、平成17年度概算要求や三位一 体改革に加えて、精神保健医療福祉の改革ビジョンの説明を受け、質疑を行いました。 さらに制度改正に係る基本的な視点と主要な検討事項についての説明があり、今回その 改革の具体的な内容について事務局より提示してもらうこととしております。  かねてから委員の中からグランドデザインを出せ、という声が強かったわけでござい ます。本日はこの具体的内容について意見(案)が事務局より出されております。資料 を見ますと大変盛り沢山の内容になっていますので、今回から数回にわたって順次議論 をしていきたいと思っております。  本日の議論の進め方でございますが、まず、改革の全体像を説明してもらいます。お 手元に配布していただいた前回の資料、制度的課題の解決を図るための政策群と、新た な障害保健福祉施策体系を構築するための政策群の大きく2つに分かれた政策群のう ち、前者について、すなわち、現行の制度的課題の解決を図るための政策群の詳しい説 明をいただいて、そのあと議論していきたいと思います。  なお、新たな障害保健福祉施策体系を構築するための政策群については次回以降、議 論をお願いしたいと思います。  それではまず事務局から改革の全体像と今回議論していただく現行の制度的課題の解 決について、ご説明をお願いいたします。 ○村木企画課長  それではまず私から改革の全体像を簡単にお話したいと思います。  お手元の資料2「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案) 【概要】」というものをご覧いただきたいと思います。  9枚ほどの絵がございますので、この資料を見ながら説明をさせていただきたいと思 います。  まず1ページをご覧ください。1ページは、改革全体を貫く基本的な視点でございま す。これにつきましては、前回この部会でご説明をしたところでございますので、ごく 簡単に復習の意味でご説明を再度させていただきます。  改革の視点ですが、1つ目の視点は、1ページの絵の中の緑のところをご覧いただき たいと思います。これまで障害福祉施策は、年齢や障害で縦割り、横割りというふうに いわれて参りまして、足し算のように制度がなっておりました。この制度を改めまし て、年齢や障害種別に関わりなく、身近なところで必要なサービスを受けながら暮せ る。いわゆる地域福祉の実現を目指すという「障害保健福祉の総合化」という視点でご ざいます。  2つ目の視点は黄色の部分です。障害のある人が就労も含めてその人らしく自立して 地域で暮らし、地域社会にも貢献できる仕組みづくりを進めるという「自立支援型シス テムへの転換」という視点です。  3つ目は、右下の茶色の部分です。これらの障害者を支える制度が、国民の信頼を得 て安定的、継続的に運営できるよう、より効率的で公平な制度にするという「制度の持 続可能性の確保」という視点です。  この3つの視点に基づまして、これからの改革を考えたところでございます。  先ほど座長からお話がありましたように、この3つの視点に基づきまして、現行の制 度的課題を解決するための政策群、それから、新たな障害保健福祉施策体系を構築する ための政策群、この大きな2つに分けて施策を検討したところでございます。  具体的な改革の内容でございますが、それを実現するための法的整備について次の2 ページをご覧いただきたいと思います。  これからご紹介をする改革を実現して、障害者の地域生活や就労を支援していくため の関連法案を次期通常国会に提出したいというふうに考えております。  その際、各障害共通の枠組みにつきましては、関連機関との調整はまだ残っておりま すが、できれば、新しい法律、この絵の中では水色の楕円の中に「障害福祉サービス法 (仮称)」という名前を入れてありますが、こういった共通の新法を制定する方向で検 討したいと考えております。  そして、こうした新しい障害保健福祉の体系をつくった上で、それと介護保険との関 係について年内に結論を得て、必要であれば必要な法改正を実施するということを考え ているところでございます。  それから、これからお示しをする制度改正項目、かなり多岐にわたります。また、実 施までにかなりの準備期間を要するものもございます。具体的な施行スケジュールにつ きましては、これから検討をし、17年度以降段階的に実施をするということになろうか というふうに考えております。  それでは次に3ページをご覧いただきたいと思います。  具体的な制度改革において何を実現しようとしているのか、ということで、実現しよ うとしているサービスの姿でございます。  まず第1に、障害のある方々が普通に暮らせる地域をつくろう、ということが目標で ございます。このため、地域で普通に暮らすということを実現しようとしますと、自分 の町や村、身近なところにサービスの提供拠点があるということが必要になって参りま す。  そのためには、大きな施設が何か所かにポツポツとあるという形ではなくて、例え ば、ハード面についても、学校の空き教室とか、あるいはいま商店街で空き店舗になっ ているようなところ、民家とか、いろいろな場所を活用する。また、運営主体について も社会福祉法人だけではなく、NPOなどにも参加をしてもらう。それから、あちこち に数多くの小規模作業所があります。この作業所もサービス拠点として活躍をしてもら う等々、地域の現在ある社会資源を上手に使う仕組みをつくりたいと考えております。  その際、小さな市町村のことを考えますと、障害者の数は高齢者に比べるとかなり少 ないということもございますので、障害の種別をこえて利用できるような枠組みづく り、あるいは、場合によっては高齢者の方も相互に利用できるような枠組みづくりを考 えたいと思っております。  それから、図の中にもありますが、現在、入所施設に入所していらっしゃる方々も、 このように地域にさまざまな社会資源が出てきますと、自分の施設の日中活動だけでは なくて、こうした地域の他の資源を使って日中活動を選べるというような状況も出てく る。そういった形にしたいと思います。  また、大変重度の方々が地域で暮せる仕組みづくりの基盤を整えたいと考えておりま す。  こうしたことによりまして、よくいわれることでございますけれども、地域に障害の ある方が暮らしている、そういう風景が当たり前になるような地域づくりを目指したい というのが一つの姿でございます。  次に4ページをご覧いただきたいと思います。  これからの障害保健福祉のサービスの体系整備の考え方でございます。左上は目指す 方法ということで囲っていますが、ここに考え方を書いてございます。  一人ひとりのニーズや適性に応じた自立支援がきちんとできる仕組みをつくりたい、 ライフステージに応じた支援が行われる仕組みをつくりたいということですが、その 際、制度はできるだけ共通のシンプルな、単純なものにし、支援は個別のものにすると いう考え方で体系整備を行っていきたいと考えております。  下の絵は施設の例でございます。現在は黄色い部分のように、1つの施設の中でさま ざまなニーズを持った方が混在していて、お一人ひとりのニーズに応えたサービスを提 供するということは非常に難しい制度的な制約があるかと思います。これを個々人の支 援プログラムをきちんとつくって、それに対して本人のニーズや当面の目標が達成でき るようにということで、右側の絵ですが、施設の中をニーズに対応した機能でいくつか の事業に分ける。例えばですが、一般就労に移行したい人を応援する「就労移行支援事 業」とか、生活訓練をして地域で一人で暮らせるようになりたい人を応援する「グルー プ訓練事業」といったような形に機能毎にサービスを構築できるようにして、各施設が よりご本人の目標を実現しやすい、そういった施設運営ができるようにしたい、と考え ております。  こういう観点から、施設、あるいは事業体系を機能、いいかえれば、ご本人のニーズ に対応できる仕組みに着目をして再編をし、報酬はこれに応じて支払われるというふう に体系づくりをしたいと考えております。  次の5ページをご覧いただきますと、これは精神医療の分野の改革でございます。  これについては、一口で申しますと、良質な医療が効率的に提供できる仕組みをつく るということです。これについては前回の部会でご説明申し上げた、精神保健福祉対策 本部から出されました精神保健福祉対策のビジョンに沿った内容でございますので、ご く簡単に説明させていただきます。  (目指す方向)としては、一つは社会的入院をつくらないために、新規の入院患者の 方々、これは自宅への復帰率は1年以内で退院すると非常に高いということを基にしま して、できる限り1年以内の退院を目指す。それから、既に長期入院している方々につ きましては、本人の病状や意向を踏まえて計画的・段階的に地域生活に移行できるよう にします。また、精神医療の処遇の改善と透明性の向上を図るということです。  以上のような形がこれから目指していこうとするサービスの姿でございます。  それでは、そういったサービスを提供するためにどういった制度的な枠組みが必要か ということで、6ページをご覧いただきたいと思います。  まず第一に、市町村中心のサービス提供体制をしっかりつくりたい。それを都道府 県、国が重層的に支えていくという仕組みを構築したいというふうに考えています。  そのため、現状では都道府県において事務が行われている分がいくつかございます。 精神障害の関係の施設サービスですとか、福祉工場、あるいは児童の福祉サービスとい ったところですが、こういったところの事務を順次市町村へ委譲していただくというこ とです。ただ、先ほども申し上げましたように、障害者の場合、数が少ないというケー スもございまして、単独の市町村ではなかなかサービス提供の基盤をつくりにくいとい うケースもあろうかと思います。その場合は広域連合の仕組みを活用できるようにした いというように考えております。  そして、このように、市町村がサービスの提供主体をしっかり担った上で都道府県が 広域的、技術的な支援を行う。例えば、人材育成とか、精神医療の救急体制等々、市町 村では難しい部分を担うことになろうかと思います。  さらに、国は全体の制度的な枠組みをつくるというところを担うというような形を考 えております。  そして、これはかねて非常に大きな課題でございましたが、障害の分野におきまして も市町村が数値目標の入った計画をつくるということを義務付け、それを集めて県の計 画、それを集めて国の計画がつくれるような形にできれば、というふうに考えておりま す。  次の7ページは、こういった枠組みをつくった上で、サービスの提供については、サ ービスの効果的、効率的な提供の枠組みをつくっていく必要があろうかと思います。ケ アマネジメントの制度化等々によりまして限られた社会資源の中で効率的、効果的にサ ービスを提供すること。本人の意向を踏まえながら、公平で、透明な支給決定の仕組み をつくりたいと考えております。この仕組みにつきましては、後でもう少し詳しく説明 をさせていただきますが、特にここで大事だと思っておりますのは、どういう人が、ど れだけの給付を受けられるかということについて明確なルールをつくるということと、 それが外から見える仕組みを是非つくりたいというふうに考えております。いま、特に 在宅系を中心としてサービスは高い伸びを示しておりますが、それらが本当に必要なサ ービスであるということが外からはっきり見えるような仕組みをつくっていきたいとい うふうに考えております。そういう形をつくりますことが、その必要なサービスを国民 全体で支えていただく前提条件になるだろうと考えていますので、そこを是非整理をし たいと考えております。  次の8ページをご覧ください。費用負担の仕組みでございます。  絵がかいてございますが、障害者福祉にかかる費用をみんなでしっかりと支える仕組 みを構築をしたいというふうに考えております。具体的には、ご利用されるご本人の利 用者負担について、これまで応能負担の仕組みをとっておりましたが、これからは使っ たサービス量に応じて負担をする応益負担に制度を変えたいというふうに考えておりま す。  そのことによりまして、当然に扶養義務者負担は廃止をされるということでございま す。また、応益負担の制度をとった場合に家計への影響等々が非常に大きいという場合 もあります。そういったことを考慮しまして、一定の負担上限を設けたいというふうに 考えております。この負担上限につきましては、負担能力の低い方には低い負担上限を 設定したいと考えております。またさらに、これによっても利用に係る負担をすること が難しいというケースにつきましては、なんらかの配慮措置を講ずることも検討してみ たいと考えております。  それから、本人の費用負担に関しましては、もう一つ、入所施設と在宅の間の負担の 均衡を適正なものにしたいということ。  それから、現在、医療費の軽減措置がかなりございますが、それを本当に必要な人に 重点化を行いたいというふうに考えております。  このような負担の適正化、重点化をしっかり行うこと。それから、前の7ページにあ りました効率的、効果的な提供を行う、そこのところのルールの明確化をしっかりする という、この両方のことはきちんとできることは前提でございますが、それを前提にし まして、ハードルが高いのでなかなか難しいところではありますが、出来得れば、国及 び都道府県の財政的な負担について義務負担化ができないか、というふうに考えており ます。  これは、制度の見直しがしっかりしたものになるということと、またそれに加えて、 世論の後押しがしっかりあるということが前提になりますので、大変難しいとは思いま すが、そういったことを検討したいと思っています。  また、国、都道府県は財政支援をしていくわけですが、その際に地域間の格差調整の 機能を強化していきたい、ということで、障害者の方がたくさん暮らしているような地 域への配慮ができるような形がとれないか、ということを検討しているところでござい ます。  以上が改革の大雑把の方向性でございますが、最後に9ページをご覧いただきたいと 思います。介護保険との関係の整理ということで簡単な絵を載せでおりますが、介護保 険との関係については、別途、次回以降、資料等もご提出をしてご議論いただくことに なろうかと思いますが、今回お示しするのは一つの考え方でございます。今回の改革に よりまして、現状の制度が左上、障害保健医療福祉施策のところの輪郭があまりはっき りしていない、あるいは濃いところと薄いところがあるという現状から、上の右側でご ざいますが、障害保健福祉施策体系をしっかりしたものにする。障害保健医療福祉施策 として何が必要かということをしっかりとしてものにした上で、それと介護保険で共通 するサービスの部分については、介護保険の受給者の範囲が仮に拡大してくるとすれ ば、現在の65歳以上の高齢者と同じように、その部分については介護保険の仕組みを活 用する、ということになろうかというふうに考えているところでございます。  以上、非常に簡単でございますが、概要の説明でございます。引き続きまして、具体 的な制度改正の中身につきまして、特に今日中心にご議論していただきます現行の制度 的課題の解決を図るための政策群について、北川企画官からご説明をさせていただきま す。  北川企画官 それでは、資料3の3ページをお開きいただきたいと思います。  資料3自体が今回、厚生労働省の試案として提出させていただいている本文及び参考 資料ということでございますが、まず、全体の構成を理解していただくために、3ペー ジの改革の基本的方向というものをご覧いただきたいと思います。  内容、大きく2つに分かれておりまして、現行の制度的課題を解決するという点と、 新たな障害保健福祉施策体系を構築する、という構成になっております。  本日、中心にご説明させていただきます現行の制度的課題を解決する、ということに つきましては、大きく3点に分かれておりまして、まず  1 市町村を中心とするサービス提供体制の確立 サービスをどういう主体が提供し て、誰がどういうふうに支援をしていくかという大きな実施にかかわる構造の問題でご ざいます。  2点目が、効果的・効率的なサービス利用の促進 ということで、定まった実施主体 の下にどういうプロセスで事業を決めていくのかというプロセス全体の論点  3点目が、公平な費用負担と配分の確保 ということで、どういうふうな費用関係で この制度を運営していくのか。  大きく3つの制度全体の基礎的な構造を中心に本日はご説明をさせていただきたいと 思います。  さらに次回につきましては、こういう構造の下で具体的にどういうサービスを提供し ていくのか、下に書いてありますような3点について、また改めてご説明させていただ くことになっております。  本文自体は文章と絵が入り組んでおりますので、資料1の【説明資料】と書いてある ものでご説明をさせていただきたいと思います。  1ページは、この案自体が厚生労働省としての試案でございます。こういう審議会で のご議論ですとか、地方自治体等の関係機関との調整を行いまして、施行についても、 (1)地域の基盤や実施体制の整備を要する項目と、(2)制度の持続可能性の確保の観点か ら、できる限り速やかに実施する、という項目に区分して今後整理をしていくというこ とで、本日のご提案の中には具体的な実施スケジュールはお示ししてございません。  さらに精神障害固有の問題につきましては、本日お示ししているもの以外に、前回ご 説明をさせていただいたような改革ビジョンにしたがって進めていくということでござ います。  さらに、介護保険制度との関係につきましては、基本的考え方、論点について別途整 理して提示する、ということで、本日はそれに関する資料はご用意しておりません。  以上です。  という前提で、3ページをお開きいただきたいと思います。  1点目の、市町村を中心とするサービス提供体制の確立という点でございます。  基本的考え方は、図示しているところでございまして、まず市町村に提供主体を一元 化する。さらに、国及び都道府県の重層的な支援を併せて組み合わせることにより、地 域単位で見れば地域福祉というものが実現し、全国的な視野でいえば、均衡ある提供体 制が確保される。こういう問題を成立していくのが重要な課題だというふうに考えてい るところでございます。  下の表をご覧いただければわかりますように、福祉サービスの実施主体につきまして は段階的に都道府県、福祉事務所から市町村に移譲がされてきております。現時点での 状況をご覧いただきますと、例えば、施設については、障害児、精神については都道府 県ないしは政令指定都市が実施主体になっています。さらに、施設の中でも福祉工場と いうものがございますが、これは身体障害、知的障害の場合でも都道府県等においてい るというふうな歴史的な沿革のもとにこうなっているという現状がございます。  さらに、在宅サービスということで市町村に一元化されているものにつきましても、 実際に実施している状況を見ると、下にありますように、各障害種別、サービス別毎に 全市町村に占める実施市町村の割合にばらつきがあるというのが現状ではないかと思い ます。  こういう現状に立脚いたしまして、今後どういう改革をしていくかというのをお示し したのが4ページでございます。  まず、1点目の事務に関する市町村移譲と国・都道府県による支援体制の確立という ものを全体的な絵にしたものです。  まず市町村は、福祉サービスを一元的に実施、自ら支給を決定するという意味合いで の一元的実施でございますが、この件につきましては、都道府県から事務の移譲を行い たいと考えております。  精神障害者社会復帰施設に関する事務、福祉工場(身体障害、知的障害)に関する事 務、さらには、障害児施設の措置事務を基本的に市町村に一元化できないかということ でございます。  ただ、欄外に書いてありますように、障害児の施設につきましては、被虐待等の要保 護性を有する者に関する実施主体の問題があるということで、概ね5年後の施行を目途 に3年以内に結論を得る、というふうに考えております。これは、児童虐待を含む児童 福祉法の改正がいま検討されておりますので、それとの整合性を図りつつ結論を得たい という考え方でございます。  さらに、市町村には、ニーズの把握して計画的にサービスを提供する。事業者を活用 してサービスを提供する、といったような役割を担っていただきたいということで、こ れは下に書いてあるような計画等に基づく整理を段階的に進めていくことを念頭におい ています。  さらに、都道府県に担っていただきたい役割としては大きく3点あると考えておりま して、まず、都道府県内のサービス提供体制を計画的に整備していく。それのツールと して、後で申し上げますような計画に基づく行政を進めるという点であります。  さらに、広域的・専門的な支援、というのをどうしても都道府県に担っていただくべ きと考えております。例えば、障害保健福祉圏域等の広域的な住居支援、精神科救急体 制整備、さらには、非介入的な相談支援といったものも含めて都道府県の役割と考えて いるところであります。  3点目が財政的な支援ということで、先ほど見ていただきましたように、市町村にお いては実施の状況に差があります。そういう市町村間の格差調整とか人材育成を担って いただくことになるのではないかと考えております。  さて、国としてはどういうふうに考えているかということでありますが、当然のこと ながら、制度の枠組みを整備するというほかに、市町村、都道府県の計画をもとにした 障害保健福祉プランというものを策定していく。さらに財政的な支援ということで、都 道府県間の格差調整、都道府県が行う人材育成の支援等々を行っていく。  といったような、市町村、都道府県、国それぞれの役割を分担して効果的なサービス 提供体制が実現できるという仕組みを障害種別をこえてつくっていくということをお示 ししているところでございます。  2点目ですが、その中で具体的に計画的な整備をどういうふうに導入していくかとい うことであります。  一連の流れを書いているものでございますが、国として基盤整備に関する基本指針を お示しさせていただき、市町村の単位で障害者の状況とニーズを把握し、サービス量の 目標を設定していただき、それを確保するための方策を計画として定めていただく。  その計画もとに都道府県では、市町村とニーズを集約し、都道府県内の障害者の状況 とニーズを全体として把握した上で、提供体制確保のための方策等々を計画に位置付け る。  それを踏まえて、国としては障害保健福祉プランをニーズに基づく実績という形での 計画に書いていこうという考え方でございます。  なお、市町村と都道府県の計画は、平成19年より策定が義務づけられます障害者基本 法に基づく障害者計画と一体のものとして策定をしていくということを考えているとこ ろでございます。  このほか、報酬請求事務等の電算化、外部化など、効果的、効率的な執行体制をつく っていく必要があるだろう。  さらに、「精神分裂病」の「統合失調症」への名称変更などの障害等に対する国民の 正しい理解を深める国としての取り組みも併せて強化をしていくということが市町村の 実施体制の中で必要になってくるだろうと考えているところでございます。  以上が1点目の問題でございます。  2点目の、効果的・効率的なサービス利用の促進という観点でございます。  これは利用決定のプロセスをどういうふうにしていくかという問題です。  まず、現状の認識でございますが、居宅支援関係の費用が急増しております。下の表 をご覧いただきますと、ホームヘルプサービスを例にとらせていただきました。身体障 害の場合ですと、平成15年の4月分の事業費の平成16年の3月分の事業費を比較してお ります。人数については28%増、1人当たり平均の金額では8%増、トータルとしては 39%の増となっています。人数と単価の増額によって全体で4割近く増になっていると ころです。  知的障害も同じような形でデータをとらせていただきますと、人数については50% 増。単価については36%増、約4割増ということで、トータルとしてはプラス 105、倍 増以上になっているという状況です。  障害児についても、人数では86%増、1人当たりの平均金額でみますと63%増、全体 でみると 203%増、3倍になっているというところです。  精神障害の状況をみますと、人数については47%、約5割増で、1人当たりの利用金 額でみると14%増、トータルでみると7割弱の増額をしているということで、トータル の金額の大小はそれぞれ制度が始まった時期等で差がありますが、トータルとしては、 人数、1人当たり金額とも急増しているという現状にあるというところでございます。  この点につきましては、必要なサービスを受けられなかった方へサービス提供が確保 されるというのはいい面として評価しているところでございますが、一方では、制度を 管理、維持する仕組みが脆弱であるというところから、制度全体に対する信頼性が揺い でいるというふうに認識をしております。  こういう問題について、信頼性を向上するということが今後の制度の安定性のために は不可欠であろうと考えているところでございます。  それを実現する2つの柱として、1つは制度を維持管理する仕組みをきちんと確立し ていくという点、さらにその仕組みのもとで客観的、合理的な基準、ないしは手続きに 基づいて運営がされていく、という2点において大きな見直しを行う必要があるだろう というふうに考えておるところでございます。  その結果、限られた社会資源の中で障害者のニーズや適性に合ったサービスをより効 果的・効率的に、より公平で透明なプロセスで提供する、ということが実現される必要 があるということです。  具体的にどのような見直しをしていく必要があるかというのが6ページです。  まず、障害者相談支援体制を確立することがこの問題の第一点目と考えています。  先ほど申し上げました都道府県、市町村の役割をそれぞれ相談支援という中でも実現 していただき、全体の手続きを透明化することが必要と考えているところであります。  まず、市町村の役割としては、市町村単位に相談支援機能をきちっと持っていただ く。自ら持ちえない場合には、民間の相談支援事業者に委託できるというふうな仕組み をつくっていくとこが必要だろうと考えています。  都道府県の役割は、これは全域と障害保健福祉圏域に分かれていますが、全域として 考えられるのは、障害者の状態の判定と、各種相談支援事業者のスーパーバイズを行 う。また、各種更生相談所、センターの力を高めていくということで支援体制を確立す ること。さらに、障害保健福祉圏域毎に専門性の高い相談支援事業を都道府県としても っていただき、具体的には住宅入居、危機介入等専門性の高い案件への対応を行ってい く。こういうことを考えていうところでございます。  また、相談支援事業者の中から圏域の中核となるような事業者となるような者に都道 府県が委託できるような規定の整備を行っていくことが必要だろうと考えております。  こうした相談支援事業者の体制を整えた上で利用決定プロセスの透明化を図っていく ことが必要であろうという考え方であります。  左側がサービス利用決定手続きの流れですが、利用者がサービスの利用を行う際に、 相談支援事業者に相談をする場合と、自ら直接市町村に相談する場合があろうかと思い ますが、その両方の場合にも、サービス利用計画案というものを作成していただき、そ れに基づいて市町村が勘案事項と書いてありますが、サービスの利用計画等を審査す る。  さらにその後、審査会ないしは都道府県の専門機関の意見を聞いて、透明なプロセス の中で支給決定をしていただく。このように決定の手続きの見直しをしたいというふう に考えています。  右側は、利用決定後のサービス利用ということですが、利用者の方の中で一部の方、 下に書いてありますが、複数のサービスの利用が必要な方とか長期入所、入院から地域 生活に移行する方など、計画的なプログラムに基づく自立支援を必要とする方、につい ては、自立支援計画を作成して、相談支援事業者のあっせん、調整等、その後のモニタ リングを含めて、適正な利用計画を支援していく、こういう仕組みを導入したいと考え ているところでございます。  このほか、各サービス共通の尺度を開発しまして、客観性のある障害程度区分を決定 し、標準的な費用額を設定するという取り組みを進めるとともに、こういう相談支援体 制を担う人材確保と資質の向上の取り組みを進めていきたい。こういうことを考えてお るところでございます。  3点目に移らせていただきます。7ページ、公平な費用負担と配分の確保ということ でございます。  いま申し上げたような、制度への信頼性の向上ということと表裏一体の問題として、 制度の公平性と持続可能性を確保するということが制度確立するためのもう一つの大き な柱になります。  その中は2つで構成されておりまして、いまの公費に基づく支援制度というのは利用 者の方の負担と財政という形で運営されているわけですが、それぞれに見直しを進めて いくことが必要であると考えているところでございます。  利用者負担の見直しについては、まず基本的考え方として、他制度等と均衡のとれた 利用者負担を導入することが必要である。その際には、受けたサービス量に応じた応益 的な負担ということと、一定の負担上限を設け、これに合わせて扶養義務者負担は廃止 をするという考え方です。  さらに、入所施設と地域生活の均衡ある負担を図り、全体として、負担能力の乏しい 方には配慮する。こういうふうな考え方でございます。  国・都道府県の補助制度についても、他制度と均衡のとれた財政責任をきちんと確立 していくことが必要である。さらに、配分の重点を適宜見直して、入所サービス中心か ら自立支援サービス中心に、医療費負担の軽減措置から地域福祉サービスの確保、とい ったような全体的な配分の重点の見直しをすることが必要になると考えております。  さらに、いま、整備途上であるということもこれあり、地域間格差が大きいというこ でですので、それを調整する機能を自治体に持たせていくことが必要である。  こういうふうな全体的な考え方で取り組むことが必要ではないかと考えているところ でございます。  1枚めくっていただきまして、利用者負担関係で3点ございます。  これは基礎的なデータを見ていただいたほうがいいと思いますので、本文の9ページ をお開きいただきたいと思います。  表が2つ並んでいる上の表をまずご説明させていただきますと、各制度の利用者負担 の現状をお示ししているものでございます。左2つが支援費制度におけるホームヘルプ の利用者負担、2つ目が精神障害者のホームヘルプの負担、残り3つが他制度における 利用者負担の構成を示しているものです。  他制度をまずご覧いただきますと、生活保護、市町村税非課税世帯等々で基本的にラ インが引かれておりまして、全体としては1割、2割、3割という負担の中で一定の負 担条件が求められるということであります。例えば、10万円使った方であれば、介護保 険の場合であれば1割負担ですから1万円ご負担される。ただ、50万円使用した場合に は5万円とならずに37,200円、24.600円で負担が頭打ちであると、こういう仕組みにな っているところでございます。そういう意味は、一定のサービス量に応じてご負担をい ただいているということでありまして、低所得者の方の割合も相当程度、介護保険の場 合であれば、市町村民税非課税世帯の方が74%ぐらいの方がいらっしゃるという状況で ございます。  一方、支援費制度ないしは精神障害者のホームヘルプ制度をご覧いただきますと、生 活保護受給者、市町村民税非課税世帯、精神の場合には所得税非課税のところまで基本 的には負担を求めないという仕組みになっております。こういう方々が約95%以上にな っていると。実質的にご負担いただいているのは5%ないし7%の扶養者の方だけで、 トータルの給付費用総額に対する負担率は一番下に書いてありますように1%程度とい うのがいまの制度の現状でございます。  他制度を実効負担率からみると極めて低い水準になっている。これは低所得者の方が 多いというだけではなくて、低所得と思われる市町村民税非課税の方等から負担を求め ていないという結果が負担率が低くなっている。こういうのが他制度との違いの特徴と してある、こういうふうにご覧いただければと考えております。  説明資料の8ページに戻っていただきまして、こういう負担の現状については、基本 的には応益的負担に移行していくことが必要だろうと考えているところでございます。  サービスの量に応じて負担が変わる応益負担を導入して扶養義務者負担は廃止をす る。さらに、一定の負担上限を、一般の場合と負担能力が乏しい場合に分けて設定す る。  さらに、点線で書いてありますような、負担上限の軽減措置によっても、利用に係る 負担をすることが困難な方等々については、個別申請に基づいて生計を一にする家計の 負担能力等勘案して減額できる仕組みを導入したい。こういう考え方でございます。  ちなみに、負担上限の該当の有無というのは、ホームヘルプだけということではなく て他のサービスも含めた各サービスに係る負担額の合計で計算していく。こういう考え 方になるところでございます。  2点目の地域生活と均衡のとれた入所施設の負担の見直し、というところですが、8 ページの下の表をご覧いただきますと、身体障害、知的障害、精神障害といった入所施 設がいくつかありますが、負担構成、給付構成が3つの施設で異なっております。  説明が複雑になって申し訳ございませんが、経費の内訳を直接サービス、居住費、生 活費、医療費、医療費というのは風邪をひいたとかいう部分の医療費です。そういう医 療費が入所施設においてそれぞれどういうふうに負担されているかということです。  まず、身体障害の入所施設の場合には、下からご説明しますと、医療費については自 己負担になっています。また、生活費の中では日用品費についてはご負担をいただいて いる。それ以外の直接サービス、居住費、食費に対して給付を行った上で応能負担とい うことで負担を求めるということでございます。実効負担率でみるで9%程度、月平均 32,000円のご負担をお願いしているという状況でございます。  知的障害では、医療費については、全額公費補助、生活費、居住費、直接サービス費 に対して給付対象とした上で応能負担ということで実効負担率10%程度のご負担をいた だく。1人平均3万7千円ということになっていますが、例えば、日用品、医療費の負 担がある・なしということで比較すれば遜色のない負担、ないしは応益負担になってい るということで、違いがあるということです。  精神障害の入所施設については、負担構造がだいぶ違っておりまして、居住費、生活 費、医療費については基本的にご自分でご負担をいただく。人的なサービスについては 補助、支援をする。これは費用の払い方が個人単位ではなく施設単位で払っているとい うことにもございますけれども、こういう形で3障害、それぞれ大きく違うという現状 になっています。  今回こういう3障害共通の取り組みを進めていくという中で、見直しをしたい。それ ぞれ施設全体が変わるということでございます。  その中で、まず直接サービス的な費用については、先ほど申し上げた上の図のような 形で応益負担にプラス一定の負担上限を設けるという負担構成にしたいという考え方で す。居住費、生活費、医療費といった費用については、まず、居住費に関しては、個室 の利用者。長期入所者とそこが生活の場となっている方については施設利用料をご負担 いただくことをお願いできないだろうか。さらに、食費、日用品費については在宅との 費用の均衡を図るという観点から原則自己負担ということを考えられないだろうか。さ らに、医療費についても同様の考え方で原則自己負担をお願いしようということでござ います。  ただ、負担能力が乏しい方につきましては、食費、施設利用料については他制度との 均衡を図りつつ別途の配慮措置を考える、というような考え方をしたいと考えていると ころでございます。  ちなみに、入所施設の場合には実効負担率は9%、10%というふうになっておりまし て、介護保険にほぼ相当するご負担を求めているという状況もございますので、トータ ルとしてどういう負担構成にしていくのかというのを今後さらに考えていくこととして いるところです。  さらに、3点目の公費負担医療に係る見直しでございます。福祉関係で見直しを行う とともに、障害に係る公費負担医療を併せて見直しを行いたいという考え方でございま す。  先ほどの本文の資料の10ページをご覧いただきたいと思います。  障害関係で公費負担医療がございますのは、精神障害者通院公費制度、更生医療、育 成医療の3種類でございます。それぞれの制度、現実的には医療保険制度の自己負担 分、表の右側の自己負担分について、一定の負担軽減を行うという仕組みとして記述し てございます。それぞれの制度が、これも歴史によっていろいろ違いがあります。  まず、精神の通院公費という制度については所得にかかわらず医療費総額に対して5 %ご負担いただくという仕組みになっています。トータルとしては当然ながら実効負担 率は5%。95%は医療保険か公費で支払われる。こういう仕組みになっています。  更生医療については、医療費の大きさにかかわらず、所得に着目して、市町村民税非 課税世帯まではゼロ。医療保険の自己負担分を全額含める。それ以降は所得に応じて負 担していただくということで、トータルでみると、トータル医療費に対して実効負担率 は1%未満。99%以上は保険と公費で支払いをしているという現状でございます。課税 されている世帯の方が対象の半分を占めているという状況です。  育成医療については、ほぼ更生医療と同じような仕組みですが、市町村民税非課税の 方からも一応お金はいただくというところが更生医療と異なっておりまして、全体とし ては13%ぐらいのご負担をお願いしているということでございます。ただ、課税されて いる世帯の方が3/4 以上を占めている。これがいまの現状だとご理解いただければ結構 でございます。  説明資料の9ページに戻っていただきまして、こういう公費負担医療制度を基本的に は共通の仕組みに変えていきたいということで、対象者の問題、それから負担構成の問 題、ということで2点整理をさせていただいております。負担能力の乏しい一定の所得 以下の方と、重度で継続して医療費負担の発生するものに重点化したい。そういう意味 で、一定以上の高額所得の方については全部医療保険でやっていただくというような仕 組みにできないだろうかということです。  具体的には、上の絵の下の箱に書いてありますように、1〜4まで類型でございまし て  (1)は経済的理由から十分の治療を受けずに障害が固定化するおそれとあるグループ   には継続して給付をしていく。  (2)一定の所得はあるけれども、重度で継続的に医療費負担が毎月発生するので家計   に大きた影響を与えているというグループ。これも継続の対象となる可能性がある   ということです。  (3)一定所得以上の方については、いま漏申し上げたように、医療保険による対応で   お願いをしたい。  (4)その他の者については、これまでの給付実績を踏まえ、受診開始から一定期間に   限り給付対象とする。  こういった対象者のイメージを大きく4区分ぐらいにできないだろうかと考えている のが見直しの一点目でございます。  負担のイメージは、下に書いてあるとおりでして、(1)の一定の所得以下の方につい ては一定率、医療保険の負担率より低い負担率で負担をお願いし、医療保険の負担上限 より低い負担上限を設定する。(2)重度かつ継続のグループについては、一定の負担能 力が認められますので、一定率ではいきますが、負担上限を(1)よりは高く設定する。 (3)一定所得以上のグループは、医療保険の負担率によって医療保険の負担上限とする。 (4)その他のグループは、一定率ということだけは確保しますけれども、負担上限とい う意味では医療保険と同額にできないだろうか。  こういった対象者と負担上限のつくり方を整合性をとった形で実施できないだろうか と考えております。  さらに、入院患者の食費については、原則自己負担として、負担能力のない方につい ては配慮することを検討する。ということで、入院と通院のバランスも確保したいと考 えているところでございます。  さらに、精神障害者通通院公費制度というのは、指定医療機関制度がない制度でござ いますので、他制度と同様に指定制度を導入することを検討したいと考えております。  最後10ページは、国・都道府県の補助制度の見直しというところで、2点見直しをし たいと考えております。  いま申し上げたのは利用者負担の見直しでございますが、制度を維持管理する仕組み と併せて、国・都道府県の補助制度を義務とする仕組みに改めるということで、その負 担構成を下に書いてありますように、利用状況に応じて一律に支払う部分と、全国的に 均衡のとれた整備を促していくために使用する部分、仮に調整交付金と呼ばせていただ ければ、そういう2つで構成していくものを国・都道府県の費用として考えています。  さらに、私も実は説明し尽せないんですが、各制度毎、各障害毎、各施設毎に実施主 体が誰なのかということで、国・都道府県・市町村の費用負担割合が全部違います。そ ういうものを統一をして、国・都道府県・市町村がそれぞれの負担割合できっちりすべ てのサービスについて責任を持つ。その中で国・都道府県が一定部分を地域間調整の費 用として使えるような仕組みを導入する。こういうことを考えているというところでご ざいます。  具体的な調整交付金による調整という考え方については、国は都道府県間への調整を 行い、都道府県は市町村間の調整を国から来た調整交付金と自前の調整交付金で行う。 こういった2段階の調整機能が発揮できないだろうか、こういう仕組みを考えていると ころでございます。  最後になりますけれども、この現行制度の3つの課題というものを解決し、土台を強 くするということが不可欠でございます。そうしなければ、次の新たな政策課題にいく ら努力しても土台が動かないということでは意味がないということでございますので、 まずこの政策群について先に説明し、ご議論いただきたいということで説明させていた だいたわけでございます。以上でございます。   ○京極部会長  ありがとうございます。ただいまの事務局からのご報告について、ご質問等ございま したら順次伺いたいと思います。 ○福島委員  非常に膨大な資料ですので、ざっと伺いましたけれども、完全には把握できておりま せんが、いまお聞きした範囲で現時点での疑問点プラス意見を申し上げます。  もしかすると、ほんとは次回以降議論するテーマも入っているかもしれませんが、仕 分けが難しいので、気付いた点を差しあたり4つ申し上げます。  まず、いまここで仮の名前として「障害福祉サービス法」ということで出されていま すが、この新しい法律は支援費制度とか医療保険の制度との統合を必須条件と考えてお られるのかどうか。つまり、来年の時期通常国会で仮に支援費制度と介護保険制度の統 合は、少なくとも現時点ではまだしないということになった場合でも、この障害福祉サ ービス法の成立は可能だし、意味があるとお考えかどうか、この確認が一点です。  2つ目は、法律の趣旨のうち、ばらばらになっていた施策を総合化していく、障害種 別をこえて包括化していくという側面は基本的に重要だろうと思います。ただ、これは 従来からなされている議論ではありますが、包括化、総合化といった場合に、同時に画 一化が生じて個別具体的な特別なニーズになかなか対応できなくなる可能性がある。特 に重度の障害を抱えている人たちが自立生活をしようとする場合に、その人の基本的な ニーズの対応できる柔軟な仕組みがあるのかどうか。  最後の方で、応能負担から応益負担への転換というお話が出ておりましたが、所得が 高くて払える人から貰うというのはよいかもしれませんけれども、やはり厳しい状況の 人もいるだろうと思います。  先ほど介護保険の例で、例えば10万円使ったら1万円だけれども、50万円使っても5 万円にはならないで、37,000円で上限になるという例を出されていましたけれども、障 害者の場合、障害基礎年金が9万弱だし、仮に重複していて特別障害者手当などを貰っ ていても合わせて11万円ぐらい。仮に先ほどの介護保険の上限を当てはめたら、そこか ら37,000円引かれてしまうわけで、収入の4割ぐらいが基礎的なサービスのために取ら れてしまう。これでは生活できないと思うんですね。  低所得者層、あるいは支払い能力が苦しい人たちに手厚く対応するという法律の趣旨 はいいんですが、問題は中身で、どういう数字を当てはめているのか。そのあたりがポ イントだろうと思いますので、現時点でのお考えを伺いたいですし、さらにいえば、典 型的なサービスの提供とは別に、こういった特殊な、数は少ないかもしれませんが、重 度の人の緊急な支援に対応するための別枠の経費をボンドとして確保する等の工夫も今 後必要ではないかと思っていますので、併せて、もしお考えがあれば伺いたいと思いま す。  次、3つめですが、ケアマネジメントのことです。ケアマネジメント制度を導入する ことで一定の効率が図られたり、便利なプラスの面もあるだろうと思いますが、専門家 が入ることでこれまで障害者に対するかぎかっこつきの「専門家」といわれる人たちの 障害者支配、コントロールしてきたという歴史がありますので、それに対して障害者が 自立運動を展開してきたという歴史がありますから、このケアマネジメントの導入にお いても、自分自身でケアマネジメントするとか、自己決定、自己参加の部分をどう考え るのか。障害者自身がケアマネジメントしたり、あるいはケアマネジャーからコーディ ネートされた結果に対して不服申立をするような仕組み等を充実していく。そういった 発想を組み込まないと、また歴史の繰り返しになり兼ねないので、その点もぜひ考慮し ていただきたいという、これはどちらかというと意見です。  最後、4つ目は質問です。いま国連で障害者の権利条約について議論されていますけ れども、聞くところでは、早ければ来年の秋、遅くとも再来年の春ぐらいには条約が採 択されるのではないかと言われています。もちろん、不確定要素はありますけれども、 さらにそのあと、日本政府が批准するのかどうかという問題、条約が発効するのかどう かという問題はあるんですが、これは非常に重要な問題で、そこではあらゆる障害者に 対する合理的な配慮が求められています。つまり、サービスとか施策というものが、い わば行政側からの手助けとして与えているものではなくて、障害者が権利を持った主体 として、たまたま特殊なニーズを持っているけれども、特殊なニーズを持った普通の市 民であるという権利主体として位置付けられてくると思うんですが、この合意的な配慮 ということについて、この新法ではどれぐらい位置付けているのか。近い将来、条約採 択、批准、国内法の整備、改正が出てくるだろうと思うんですが、そういうことも視野 に入れた新法の構造になっているのかどうか。ご見解を伺いたいと思います。以上で す。 ○京極部会長  全体としては次回以降しっかり議論しないといけない点をご指摘いただきましたけど も、どうでしょうか。今日はごく簡単に触れていただいて、次回以降皆さんで、行政に お答えいただくということではなくて、審議会のメンバーからもご意見をいただきたい と思います。 ○北川企画官  では簡単に。まず、障害福祉サービス法の関係で、介護保険との関係で2点ご指摘が ありましたが、この改正自体は介護保険との関係そのものについて議論するためのもの ではなく、障害者施策としてどうあるべきかということをご提案させていただきまし た。ただ、一方では今日ご説明、詳しくはしておりませんが、個別給付の仕組みが変わ ったり、事業体系が変わったりすることから、現在でも支援費制度と介護保険の関係が あるのと同じ意味で、今後の新しい体系と介護保険はどういうふうに整理していくかと いうことは新しい法体系の下で当然議論しなければいけない事項になってきますので、 その点については次回以降、論点についてご説明させていただきます。  権利条約の関係については、当然、支援費制度自体が障害者の方の権利を視野に入れ て制度化されてきたという経緯でございますので、権利、義務表裏一体のものとして新 しい法律の中に位置付けるということは検討したいと考えております。  それからケアマネの関係ですが、絵に少しございましたように、利用計画案自体は必 ず相談支援事業者を経由しなければいけないことを考えているわけではございません。 当然、自分の案を提示した上で行政の方で審査をするというような仕組みを念頭に置い ているところでございます。ただ、全体のプロセスは透明化を図りたいということで、 審査会ですとか、専門機関といったことで、第三者の意見を聞いて決定していくという プロセスは制度化をしていくことが必要だろうと考えております。 ○京極部会長  それでは、いまの問題については福島委員から意見がありましたので、次回皆さんか らも伺いたいと思います。  それでは、当面の対応課題ということでございますか。安藤委員、江上委員。 ○安藤委員  安藤です。この改革案は基本的に理解できるんですけれども、内容的にも将来の方向 としてすばらしい案になっていると思いますが、どんなすばらしい案であっても、障害 当事者が利用しにくかったら何もならないわけです。この改革のキーワードは応能負担 を応益負担にするということにあるのではないかと思います。したがって、障害者が非 常に使いにくいし、中身については難解な部分もあって、障害を持つ当事者自身の理解 がなかなか難しいのではないかと思います。いまの段階では、障害をもつ当事者には受 け入れ難い改革案でしかないと私は思います。  障害者の自立とか自己実現がうたわれていますけれど、障害者は、これは自立とか、 自己実現のためのサポートを抑制する改革案というような受け方もするではないかと心 配いたします。したがって、このような応益負担にする場合には、一方の所得保障を具 体的にどうするかというような案をセットとして出すべきですが、具体的な数字が出て いない中での応益負担の案には問題があるのではないかと思います。  改正法案を時期通常国会に出す予定だそうですけれど、それでは検討の時間はあまり 長くないということで、次期国会に改正案を出す場合、17年度予算との関係がどうなる のか、そしてまた問題として、17年度障害者施設はどのような予算内容で行なわれるか というが当面の課題であると思うんですけれど、これについてお伺いしたいと思いま す。 ○北川企画官  まず1点目の福祉サービスの負担の見直しの関係でございます。この点については支 援費制度の検討が議論されているという問題だと我々は認識しておりまして、現在の支 援費制度の負担の仕組みはいわば激変緩和のために措置制度と同様の仕組みになってい ると考えています。ただ、福祉サービスが従来措置制度から普遍的な契約に基づく制度 に変わっていく中で、負担についても利用したサービス量に応じた応益負担とするとい うことは必然的に行われるのではないか。契約に基づき自分の必要な量を求めるという ことであれば、それに応じて負担が求められるというのが必然的なものではないかと考 えています。ただ、その水準については今後の検討事項ということでございますが、方 向性としては、先ほど申し上げましたように、負担に一定の上限を設けるということを 前提にし、その負担の一定の上限等については他制度との均衡を図りながら考えるとい うことで考えているところでございます。  それから、どういうスケジュールでやっていくのか、17年度は当面どうするのかとい う問題でございます。この改正については、全体としていろんな改正内容がございます のでどういうスケジュールにするかというのは今後の課題でございますが、先ほどご覧 いただきましたように、実質負担は1%程度しかないというような現状でこのまま17年 度も制度を維持できるのかという問題については検討すべき事項があるだろうと思って おりまして、段階的に経過措置も見直しを進めていくことが必要なのではないかと考え ているところでございます。 ○京極部会長  なお、先ほどの説明の中で、応能負担から応益負担に変わる場合には、能力について は本人の所得能力のみならず、扶養義務者の能力ということが必ず出てきますので、こ れは障害者団体からかなり前から指摘されていて、それはやめたほうがいいんじゃない かということで、その問題はかなりクリアできるという説明があったように記憶をして おります。  それでは、江上委員、お願いいたします。 ○江上委員  資料2の「今後の障害保健福祉施策について」の2ページですが、ここに「障害福祉 サービス法(仮称)」の中に身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、 要するに3障害横並びのような形が提案されるということは、私たち精神障害者の組織 をもつ全家連としては画期的なことではないかと考えております。いろいろな問題があ るにせよ、このようなことが提案されながらやっていけることは我々精神障害者の全国 組織としてすばらしいことだと判断しております。以上です。 ○京極部会長  関連で、今日出席できなかった全日本手をつなぐ育成会の松友委員から意見が寄せら れています。参考資料で配ろうと思ったんですが、いまの江上委員のご趣旨と近いとこ ろがあると思いますので、ご披露いただけますか。 ○間課長補佐  それでは松友委員より、今日出席できないということで意見を送付いただいておりま す。それを読み上げさせていただきます。 「「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」への意見                           2004年10月11日       社会保障審議会障害者部会・臨時委員       社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会・常務理事 松友 了  高い理念で始められた社会福祉基礎構造改革は、特に障害者福祉においてはその戦略 がよく見えませんでした。その中で支援費制度という戦術(プログラム)が拙速に打ち 出され、財政を中心とした破綻状態に陥ったといえます。そのため、財源論を基本とし た戦略を早急に整える必要性がある、と私は主張してきました。その意味で、今回の 「グランドデザイン案」は時期を得ているし、方向性においても評価できるものといえ ます。  特に「制度は共通に、支援は個別に」という方向は極めて正当であります。制度(法 体系や財政基盤)が分離している現在の状態は早急に改善されるべきです。それは、障 害種別(要支援の原因)や年齢における分断も含みます。総合化こそがノーマライゼー ションの理念であります。その意味で「障害福祉サービス法(仮称)」の提案は遅きに 失した感は否めませんが、正当に高く評価できることであります。  しかしながら、応能負担から受益者負担への転換は、利用者においては極めて大きな 影響があり、そのための納得できる論理と十分な説明が求められます。全日本育成会 は、6月18日の当部会でのヒアリングに際し「介護保険との統合は必然」という結論を 提示してきました。そこでは、受益者負担への転換も前提にしたものです。それゆえ、 私たちなりの理解と覚悟を持っていますが、利用者の納得を獲得する必要があります。  私たちは、この間進行している構造改革を単なる財政危機の回避策とはとらえていま せん。地方分権を含めて、規制緩和とは国民(市民)への分権であり、それゆえに国民 (市民)としての参画も責務があると考えます。そのような「パラダイムシフト」を前 提に、今回の障害施策の改革を理解する必要があります。そうであるとすれば、財政上 の危機状態に対しても、国民(納税者・被保険者)の立場や思考を配慮して、議論する 必要があると考えます。  私たちは改革に臆病であり、ましてや既得権については絶対的なものとして論じてき ます。しかし、大きな改革には紆余曲折がつきものであり、その混乱と迷走を正面から 受け止めて、いかに突破すべきかを考えるべきであります。その際は、押したり引いた りしながら、方向性として安定と発展が保障される結論であるべきです。その意味で、 私たちにおいては、今回の「グランドデザイン案」を正当に受け止め、正面から論じる ことが急務であると考えます。」  以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございます。広田委員、大濱委員。 ○広田委員  わかりやすい日本語だったんですけれど、すごくわかりづらいところもあって、北川 企画官のお話のところの「精神分裂病」が「統合失調症」に変わったことを国民に知ら しめることが精神障害者の啓発だというお話をされていましたいけど、そんな低い志は やめていただきたい。別に病名が変わったからといって病気が治るわけではない、とい うふうにひとつ申し上げたい。それと、病名が変わって喜んでいるのは家族と医者だ と。告知しやすくなったということです。精神障害者本人の中にはそんなに喜んでいな い人もいます。我々は治りたいんだということです。これが一点です。  それから、通院公費負担のところのお話が出るんですけど、間補佐にしろ、北川企画 官にしろ、事務局、毎回これだけ膨大な資料は大変だということはわかりますけど、い きなり、通院公費負担といっても、もっとわかりやすく、つまり、精神障害者の医療と いうのはこうなってるんだよ、とちょっと書いておいていただきたい。  皇室の雅子様も適応障害で、皇后様も失語症になられたわけだから、領域がない。自 衛隊の方にもお会いしましたけど、メンタルヘルスだと。神奈川県警もメンタルヘルス だと。あっちに行ってもこっちに行ってもメンタルヘルスという世の中で、ある意味で は、精神の病も一般的な病気になってきたわけですから、精神の病気を特別扱いされた くないということで、通院費も一般の医療費でいいんじゃないかというふうに言ってい る人たちもいます。一方では、患者会などで活動している仲間たちは現状を望んでいる と思います。私なんか、ある意味では、治らないんだったら、逆に難病にしてくれと、 極論ですが思っていますけど、そういうことをわかりやすく説明していただきたいとい うふうにお願いをしておきたいと思います。  それともう一つ、いわゆる障害福祉サービス法は江上さんも松友さんもすばらしいと いっています。これができますと、精神保健福祉法が分離して、精神保健法と障害福祉 サービス法に分かれるんでしょうか。ということと、さっきの、通院公費負担のところ は非常に重要なポイントですから、前回もさらっと言われちゃって、今回もさらっと話 してましたけど、重要なことですので慎重に取り組んでいただきたいし、是非多くのコ ンシューマの意見を聞いていただきたいと思います。 ○京極部会長  それについてはちょっと補足をしていただけますか。 ○北川企画官  1点目は、普及啓発のところですが、志が低いといわれて残念な思いをしたわけです けども、本文の方では先ほど申し上げたような検討会の報告を踏まえてやるということ が書いてございますので、単に事例として説明資料ではスペースの関係もあってという ことでございますので、ご了承願えればと思います。  それから、通院公費の関係の資料については、本文の参考資料にはいくつかあると用 意しましたが、それを全部入れると30ページぐらいの大部な資料になるので説明上、こ うさせていただいたということで、個別にご説明をする必要があるときにはさせていた だきます。  それから、全体の意見ということについては、こういう審議会での意見、その他の意 見を聞く中でさらに法改正をするときには、たぶん国会等で審議されることになると思 いますので、そういう中で適宜いろんな意見を聞いていければと考えているところで す。 ○京極部会長  精神保健福祉法はどうなるのか。 ○北川企画官  すみません、それについては説明資料の最後の19ページをご覧ください。これはまだ 粗々のイメージですけれども、これはまだ法制的に関係先と調整しないといけないとい うことでまだまだ素案であるということを前提にご説明申し上げますと、福祉サービス に係る共通課題というのは、例えば、給付の体系、施設・サービス体系ということで、 こういうものは共通項と形でできるのではないか。  そして、ここにはそれぞれの個別法に残るものが書いてあります。精神保健福祉法は 実際にどういう構成になるかというと、共通法にどれくらいのことが書けるかというこ とで決まってくるわけです。 ○京極部会長  当面はとりあえず、障害福祉サービス法と個別障害者法を棲み分けるという表現です ね。  では、大濱委員、徳川委員。 ○大濱委員  資料2の7ページ、審査会設置等による支給決定の透明化、というところですが、こ の審査会というのは、審査ということで、必ず審査を通さなければいけないという手続 きになるようですが、これには非常に疑問があるんですが、今後そういう形で審査のメ ンバーとかそういうものも含めて、その中で全部決定するのは非常に問題であるととら えております。はっきり言って、審査といっても、障害者の場合と高齢者の場合は非常 に違うわけです。高齢者の場合もそうですが、要介護度の審査は、市区町村でひいひい いってるわけですよね。数が多くて、こんなに審査できないよ、という声を市区町村の 窓口で聞いてるわけですが、それに障害者が入っていって、審査会がちゃんと成立する のか。ある意味でこういう審査会はむしろ費用の無駄使いじゃないか。  透明化ということはいいんですが、審査会を必ず通すということで、そのメンバーは 医師と一部の専門家といわれる人たちの審査会で支給が決定されるということになると 非常に危険があります。私たちの障害については、障害者でないとわからないことがも のすごくいっぱいあるわけです。例えば、身体障害者の中にもいろんな身体障害があり ますから、その障害分野毎に医者は本当にわかっているんですかと言いたいぐらいにい ろんな問題があるわけで、しかもそれが実際のサービス内容にマッチングするような形 になると、審査は非常に複雑な過程になりますから、審査会を通してケアマネジメント ができるという単純な発想ははっきり言っでやめていただきたいと思います。この部分 は是非とも削除していただきたいというのが第一点。  それとお聞きしたかったのは、扶養義務の問題ですが、扶養義務者負担の廃止という ことになっていますが、これは障害者個人に着目して、個人の負担能力に応じてという ことを言ってるんですかね。  2点、とりあえずお聞きしたいと思います。 ○北川企画官  まず、審査会の関係ですけれども、審査会につきましては、本人の障害の状況等から どんなサービスが必要であるかということについて、客観的、専門的立場から評価を行 うという機関として考えておりまして、種々の分野の専門家など中立的な第三者で構成 されるということで、透明な手続きを担保するという重要な位置付けになっています。 利用者の方の意向が支給申請のサービス利用計画案等に示されているところであり、こ れも踏まえて審査が適正に行われるように市町村等にはお願いしていきたいと考えてい るところでございます。  それから、費用負担の関係ですけれども、説明資料の8ページをご覧いただきます と、サービス量に応じてご負担いただくということで、一般と書いてあるところは原則 的な負担領域ということになるかと思います。その後、減額をするとか、負担能力が乏 しいという世帯に属するかとどうかということについて認定をする際には、当該ご本人 が属する世帯の所得状況について勘案し、さらに個別認定によって減額をする場合に は、生計を一にする家計の負担能力を勘案して減額される。こういうふうな考え方をと っているところです。その世帯の関係の範囲については、現状においては、扶養義務者 にご負担いただくということはなくなるわけですが、減額等を行う場合に他制度が考え ているような範囲で減額等行う場合にどういうふうに考えていくかは今後の検討課題と 思っております。 ○大濱委員  全然納得してないんですが、はっきり言ってですね、いまのそういう形の、透明化と か公平性というのは、ドクターとか専門家でちゃんとできるということでお考えなんで すか。例えば、障害者のニーズがちゃんと把握できて、そういうことで透明化が図ら れ、公平性が図られると考えられているということですか。 ○北川企画官  そこですべて本人の負担を利用計画案を考えずに決めるということではありません で、本人の意向が入った利用計画案が提示され、その中で市町村職員では判断に悩む事 例がたくさんあると思います。特に市町村職員の方は事務職ですから、経験の多いいろ んな中立的な第三者の方の意見を聞きながら、意思決定プロセスの透明化を図ることは 非常に大事なことだろうと考えているということでございます。 ○大濱委員  あんまり時間をとったら恐縮なんで、これでやめますが、長い障害者運動の歴史の中 で、障害者が自分自身のニーズについていろいろ話し合いをして、実際に支給のニーズ はだんだんに決められてきたという経緯があるわけですよね。それをいまここで一遍に どんでん返しをするというのはかなり無理があると思うんですね。そのへんについて は、どのぐらいの時点で、どれぐらいの間隔をおいて審査会をつくるかという具体的な スケジュールはあるんですか。 ○北川企画官  この件につきましては、まず制度を基盤的なものにしていくということでできる限り 体制が整えば速やかに施行したいというふうな事項の一つだと考えております。  なお、つけ加えて説明させていただけば、説明資料の6ページの絵をご覧いただけれ ばと思いますが、利用計画案をつくる段階ですべて相談支援事業者を経由しなければい けないということではなくて、自らのサービスニーズを把握しておられる障害者の方は 自ら申請を行うというルートを設けており、その上でどういうふうなプロセスで決定を していくかという問題だと認識をしているところでございます。 ○大濱委員  審査会を通さなくても決定ができるということなんですか、ここで言ってることは。 審査会は通すということでしょう。審査会は必ず通して決定されるということですよ ね。 ○北川企画官  基本的には具体的な審査会の運用については市町村が決定することになりますけれど も、当然この審査会設置の目的からみて、例えば、定型的な基準を外れるような場合で すとか、市町村が判断に困る場合は当然出てくるだろうと考えていますので、そういう 点を重点的に審査会でやっていただく。個別の短時間で判断されるものまですべて審査 会にかけるといった煩瑣のところまでは考えでおりませんが、どういうものをかけるか ということについては重点化を図っていくことは必要だろうというふうには考えていま す。 ○京極部会長  審査会のあり方については専門的な見地から議論したほうがいいと思いますけど、一 方で措置については細かくやらないといけないし、専門性がなくて、あとは勝手にやっ てくださいというのはおかしいんじゃないかということで、場合によっては委員として 障害者当事者にも入っていただくことも考えて柔軟に対応していったらどうかと思いま す。  次は、徳川委員。それから、長尾委員。 ○徳川委員  今回の改革案、非常に大きいもので、戦後の福祉を総点検するようなものであって、 今日発表されたので、私どもの組織、団体にはまだ言ってありませんから、そこでまた 判断を仰ぐわけですが、私個人としては、この改革案、大枠として異論ございません。 新しい時流に乗ったものとして、私は評価をしております。  ただ、2点だけご提示しておきたいと思います。  1つは、いま大濱さんがおっしゃったことでありますが、細部の問題で非常に研究を 要する問題じゃないかと思います。あまり拙速にやってしまうとおそらくまたミスマッ チが起こってせっかくの改革案が成立しないということになってしまったら大変なこと であります。特に私もいま大濱さんがおっしゃった審査会の問題と、それからもう一つ は負担の問題、これは一番大きい問題になってくるんじゃないか。今日は細かいことは 言わないということになっていますので、次の段階でまた詳しく申し上げますが、大ま かに言いまして、審査の問題はその当事者の人生を決定する大きな問題です。これにつ いて本当に慎重にやっていただきたい。利用者の方が納得する形でやることをお願いし たいと思います。絶対にミスマッチの起こらないようにしていただきたいと思っており ます。  もう一つは、負担の問題ですが、応益負担にするということに私は賛成であります が、応益負担と上限をつくるということは本当になじむんでしょうか。例えば、応益負 担の場合はお金さえ払えば個室を使うこともできるし、というんですが、一定の上限が 決まった場合は、所得の低い人は個室に入りたくても入れないというようなことが起こ るんじゃないか。その場合には上限ではなくて、むしろ足りないところを税で補助する という形、上限ではなくて補助という形をとるべきではないか。このへん少し応益負担 の問題はもうひとひねりしなければいけない問題があるのではないかなという気が私は いたします。詳しいことは今日は申し上げません。  2点目、簡単に申し上げます。もう一つ大きい問題は、こういった大きな改革をする のに財源はどうなのか。さっきもお話があったように、パイが決まっている中で大きな 改革をしても、これはいままでやったことを再整理するにすぎなくなってしまうんです ね。これが本当に生きたものになって、障害者の方たち、また地域に住むすべての方に プラスになるためには相当な財源が要ると思います。そうしないと、前の支援費と同じ ことになってしまうのではないか、という心配があります。  例えば、財源の問題で、つい先日、京都でシンポジウムがありまして、部長もお出で になったし、府知事もお出でになったんですけども、その時にデンマークの方の発言が あって、日本は消費税が5%だけど、デンマークでは50%だ。だから豊かにやれるんだ と。日本の場合は5%で足りない、足りないといって我々苦労しているけれども、もし 1%上げたならばおつりかが来るよと、これは山田知事がおっしゃったんですけど、私 は詳しくはわかりません。けど、このように財源問題がほんとにきっちりしていなかっ たら、これが成功しないと思うので、そのへんについて国はどういうふうにお考えにな っているか。こういったことは相当のお金を積んでいかなければできないことなので、 財源問題に対する今後の別の取り組みについて、もしお考えがあれば教えていただきた い。2点でございます。 ○北川企画官  まず負担の関係ですけど、説明資料の8ページの下の絵をご覧ください。先ほどの私 の説明をはしょったところもあるかもしれませんが、施設入所者の方の場合は、負担構 造が2種類になると思っていただけばいいと思います。  直接サービスのところは応益負担に一定の負担上限を設けるというスタンスと、プラ スいま委員からお話のあった個室利用とかいう施設利用についてはそれとは別にご負担 を求める場合がある。さらに、一定の負担能力が乏しいような場合については、負担上 限の中ではなくて、いま委員がおっしゃったような個別給付として別途負担を軽減する ような措置も考える。こういう意味でございますので、まさしく委員がおっしゃったこ とと同じようなことで事務局としては考えているということでございます。 ○村木企画課長  それから財源がどうなるかということでございます。これは非常に大事な問題だと思 っております。私どもはこういう改革をやっていきたい。やらなければいけないと思う 理由の一つがそこなんだろうと思います。例えば、来年度の予算要求を見ましても、事 務的経費というのは1兆8百億の当然増があるわけで、そこから幾分か削られますが、 それだけの伸びをどうしても必要な経費として予算の枠組みでも見込んでいるわけでご ざいます。そういう意味では、障害者福祉のお金が国全体の予算が膨んだとしてもどう しても必要なものであるということがきちんといえる仕組み、それから、払える人はき ちんと負担もしていますと。それ以外のところを公的なお金でお願いしているんです、 ということが言えるような形にして財源をいただくことをきちんと要求していける。そ ういう形にしたいという改革だというふうに私は思っております。 ○京極部会長  いまの支援費で市町村でどんどんやれ、ということですと、国や県は将来は一般財源 化して予算は確保しなくても結構と、交付金と地方税で障害者福祉はどうぞ勝手に市町 村でやってください、ということになってしまいますと、いまここで考え出されたよう な点はほとんどぶっ飛んでしまいますので、国がやるべきもの、県がやるべきもの、市 町村と、役割分担をして、重層的な体制の中で市町村の主体性が十分発揮できるような ことだと思うんですけど、そこらへんがいませめぎ合っているというところではないか と思います。  お待たせしました、長尾委員。 ○長尾委員  財源のことを私も聞こうと思ったんですけど出ましたので。ちょっと細かいことです けど、先ほど広田委員が言われた精神の通院公費負担についてですが、所得の多い少な いは別として、その間の人で、重度かつ継続の人が公費負担にかかるという状況になっ ているんですが、精神の場合は継続的な医療が必要であるということと、軽快していて もそれが必要なんだと。いわゆる重度にならないために継続した医療が必要なんだとい うことがあるわけです。ですから、そのへんはきちっと今後考えていただかないと、重 度でなければかからないよという話になると、精神の場合は非常に厳しくなるというこ とがありますので、そのへんを今後考慮していただきたい。  それから、もう一つは、本文の5ページで、地方社会福祉審議会で精神保健福祉に関 する事項を検討することとした場合には、地方精神保健福祉審議会を置かないことがで きること等を検討すると。そこできっちり検討していただいたらいいわけですけども、 精神保健福祉に関してのことが、もし置かないということであれば、そこに今後の人的 なものとして精神保健福祉関係者の参加を十分認めていくというようなことも配慮して いただかなければいけないのではないか、ということです。 ○北川企画官  まず後者の点から。後者の点は、そういう場は要らないと提案しているつもりではな くて、いろいろそれぞれ共通の枠組みを制度化しようという中で、それぞれの仕組みが 分かれているのは地方のやり方としてもやりにくいのではないかということで、障害関 係の共通する場を設けるということであれば、あえて審議会を置く必要はないというこ とにできないか、こういう考え方でございますので、先生がおっしゃったご心配のない ようにしたいと思います。  それから、通院公費の関係でございますが、たしかに精神疾患の場合には長期にわた る医療が必要であるという観点がございますが、また違う観点から見れば、生活習慣病 の一種とまではいいませんが、同様に継続的に必要な医療というのは他の分野でも結構 ある。そういう中で限られた公費というものをどういうふうに重点的に配分をするかと いう観点でこういうご提案をさせていただいたということでございます。ただ、重度の 方というのはどういうふうに態様の方なのかということについては今後考えていくべき 事項としてあると思っておりますので、さらにいまの医療の内容をよく考えてどういう 方が対象となっていくのかということについては、厚生労働省として明らかにしていき たいと考えております。 ○笹川委員  3点お尋ねをいたします。先ほど福島委員からも出ましたけれども、私どもはこの障 害の一本化ということには反対はいたしません。ただ、問題は一本化されることによっ ていろいろと弊害が出てきたので困る。身体障害者の場合、大濱さんが言われたよう に、障害の種別によってニーズが違います。そういう種別による違い、それから等級、 こういったことをどう位置付けていくか。このへんをはっきりさせていただきたと思い ます。ご承知のように、障害者の雇用の促進に関する法律、これでは全く種別も等級も 配慮されていません。その結果、重度障害者はずっと置きざりにされているんです。こ ういう結果が明らかになっている以上、法律の中でどう位置付けていくか。このへんを 是非十分検討していただきたいと思います。  第2点としましては、本人のニーズに合わせてサービス提供するということであれ ば、当然その支給量というものもなくなると思うんですが、このへんはどうなんでしょ う。そして、支給量がなくなったとすれば、どういう形でサービス提供ができるのか。 例えば、前日に言って次の日にサービス提供を受けるということが可能になるのか。こ のへんですね。  それからもう一つ、先ほど費用負担の問題で、他の制度との公平性というお話がござ いました。具体的にその他の制度というのは何を指しているのか。例えば、介護保険で したら仕組みそのものが全く違うわけで、それは対象にならないと思うんですけども、 他の制度との公平性、合理性、これはどのへんのところをお考えになっているのか、お 尋ねしたいと思います。 ○北川企画官  いまご質問いただいた事項は次回以降のご説明のほうがいいのかなと思いますが、説 明資料の12ページ、新しい給付体系ということで考えている例でございますが、障害者 の関係の介護を中心とした給付、それから自立支援を中心とした給付、それから、地域 生活支援事業といった3つの新しい体系で給付体系がつくれないかということを考えて います。いま委員から、弊害が出ては困るというお話がありましたが、こういう個別の 多様なニーズについては個別の事業体系の中で各自治体ではニーズを把握してどういう 提供を行っていくのかを考えて財源配布を考えていく。こういう形で問題が発生しない ようにしていくということになるのではないかと思っております。  例えば、地域生活支援事業の中に移動支援事業と書いてございますが、こういう事業 については、いま申し上げたように自治体が具体的な地域のニーズを把握して、それに 必要な財政的措置を事業者のお願いをしていく。こういう構成になろうかと思っており ます。  それから、費用負担の他制度との関係ですが、他制度といったときに、いま事務局が 念頭に置いていますのは、契約をベースにした仕組みということでございます。それが 公費であろうが保険であろうが、基本的には契約だということと、いろいろ多様なサー ビスが提供される可能性があるということを念頭において考えております。そういう意 味では、今日ご説明に参考で供したような保険制度等が比較する尺度としては用いられ るのではないかと思っております。ただ、全くそれと同じようにするかどうかというの はあくまで今後の検討課題、障害者の方の実際に本当にお困りになっている方の所得の 状況等によっては突然変わってくる点があろうかと思っておりますので、そういう所得 状況について、時間は限られていますが、できるだけ見極めていきたいと考えていると ころでございます。 ○京極部会長  先ほどのご説明で、地域生活支援事業というのを一つに事業として介護給付とは別に 打ち立てると。それと並んで障害者自立支援給付でもやると。3本立ての体系にという ことですので、新しい考え方だと思いますが。 ○北岡委員  細かい議論はこれからということで、私がこれからしゃべることが細かいことなの か、大きいことなのかもよわからないですけど、一つの意見というか、これは今後この 審議会で議論したいと思うことが一つありまして、あと2つは質問なんですが、その1 つは、障害福祉サービス法について、私も個人的には必要なものだろうという理解を持 っておりますが、これは共通の利用の仕組みを構築するというだけではなくて、障害種 別をこえて利用者のサービス受給権みたいなことについて、法体系としてどこまで迫る のかという議論はこの審議会で行いたいと思います。今回のグランドデザインが保護か ら自立への転換ということにおいてはそういうことが必要ではないかというように思っ ておりまして、今後の議論になるのかと思いますが、その視点の議論をしたいなあとい うことが1つです。  それから質問が2つなんですが、分厚いほう、資料3の7ページの3)に関係する質 問になるかと思いますが、これまではホームヘルパーとかデイサービスなどのサービス 毎に支給決定をしてきた方式から、サービスの総量とか総額を決める方式に転換してい くのかなあというように思うんですけれども、そのへんは何かそういうビジョンがある のかということ。  それから、いろんな委員の方が費用負担のことをおっしゃいましたが、私も費用負担 のあり方について見直すべきではないかという意見を個人的には持っておりますが、そ の中で応益的な負担を導入するというときに、例えば、2000年の社会福祉法の改正のと きに応能負担でいこうということになったんだと思いますが、当時と比べて障害者の所 得とか就労はそう大きく変化はしていないけれども考え方を再整理されたというような ことなのかどうかということ。これまでの2000年の関係の中で一つ整理をしたほうがい いとかなと思いました。  11ページの最初の○の最後に「これに併せて扶養義務者の負担は廃止する」というこ とと、3つ目の○に「生計を一にする家族の負担能力を勘案し減額できる仕組みを導入 する」と書いてありますが、今後相関関係をご説明いただければと思いました。  知的な障害を持つ人は家族の意向によってサービスが制限されることも考えられまし て、自立支援システムという方向から考えると、このへんは基本的な考え方に関わる問 題かと思いまして、このへんをご質問したいと思います。  北川企画官  まず1点目の、認定を総量でやるかどうかという話ですが、現状でいろんなサービス が使われております。そういうデータの用意をいましているところですが、全体で一本 でやれるのか、当面それぞれのサービス毎でやらざるを得ないのか、ということについ ては、データを見て今後判断していきたいと考えております。  それから、利用者負担の関係ですが、2000年の前回の改正との関係ですが、我々の認 識としては、当時も支援費制度のときには議論されて、それで決着がついたということ よりは激変緩和ということで、措置制度と同様の負担とされたという経過的な位置付け だったのではないか。ここで支援費制度を含めて本来あるべき姿に立ち戻って全般の見 直しをしていくことが必要なんじゃないか。こういうのがいまの我々の考え方でござい ます。  扶養義務者負担については、法律上の扶養ということで負担を義務を負っているとい うような一義的な負担と思っておりまして、そういうものについて廃止をする。ただ、 こういう制度ですので、ご本人の負担を軽減するか、しないかという問題だというふう に認識しておりますが、そういう場合には社会全体の負担能力をみて、減額する、しな い、負担を減額する、しないという判断をしている制度というのが現在においては一般 的な制度であるということから、こういう記述をさせていただいております。ただ、具 体的に、生計を一にする家族の範囲について現行制度、他制度の仕組みを踏まえてさら に検討すべき事項だろうと考えているところでございます。 ○京極部会長  前の障害者合同企画分科会で三浦文夫先生が座長をなさって提言が出ていますが、こ こでも出たと思いますが、応益負担を将来方向として考えるけれども、当面は障害者の 状況を考えて応能負担の原則をとるけれども、近い将来検討する、という結論を出し て、検討する、ということで終っていたわけなので、その検討の結果が今回出てきたと いうことかと思います。 ○武田委員  今後の議論になるところかもしれないんですけど、先ほどから出ています、審査会の 構成員ですが、是非議論を重ねていただきたいと思います。これまでも生活のところ を、私たち精神のところは特に医師の意見書というものが必要になって、実際的に医者 がどれだけ生活をわかるのだろうかという、もちろん医療のところはきちんと診断し、 薬物で治療していただきたいというのはあるんですが、生活にかかるところを見極める 人を審査会に入れるような形にしていただきたい。透明性を持つ上で審査会は重要だと 思っております。  それともう一つ、客観的な支援というところで、支援の尺度の開発の方を進めていか なければならないと思いますし、すぐに完璧なものができるとは限らないと思います。 介護保険のときにもかなりいろいろとどういった介護度を判定するための尺度が必要か ということで、いろいろ議論されてきたところですが、現状においては、障害者につい て支援の尺度、ものさしが十分なものがない。はじめから十分なものはできないとは思 いますが、是非議論をしていただいて、少しでも尺度のテストを始めていただいて、よ りよいものがどうしたらできるかを議論していただけたらなと願います。  3点目ですが、それに合わせて、やってきた支援が本当にその人にとって必要なもの であったかどうかという第三者評価ももちろん必要なんですが、企業においては、福祉 でもISOはあるんですが、もっと本当にこれが他者評価、自己評価も含めて、その人 に効果のあるサービスであったかどうかというようなところも、どういったものがあれ ばいいのかというような議論とか検討とかを始めていただきたいなと。ここにある今回 のすばらしいグランドデザインが活きていくためにもそういったことの検討を始めてい ただけたらと願っております。  それと、声の大きい人、言える人、どういう形でも表現できる人、支援が必要だと言 える人たちはいいんですが、支援が必要だと言えない人たちに対して、本当に必要な支 援を供給、提供していくにはどういったことがいいかも支援の尺度の中で考えていただ きたいなと思います。  それから、これで終わりですが、資料2の6ページにありますように、気軽に身近で サービスが受けられるということで、NPOとか社会福祉法人等ということでサービス 事業者の敷居が低くなることはとても望ましいことなんですが、ただ、そのことによっ て、質の悪いサービスが提供されないような、なんらかの評価基準といったものも、私 たち自らもどうあればいいか考えていかなければいけないことですし、行政側がそこら へんのところをどのようにしているかということを知りたいですし、今後の議論で是非 やっていただきたいと思います。 ○京極部会長  ご提案もありましたけど、お答えを。 ○北川企画官  まず、審査会の関係ですけど、先ほどからいろいろな観点からご議論いただいている ところでございますので、事務局として一度考え方を整理したいと思っていますが、具 体的には個別の特殊の方にお任せをするということではなくて、いろんな方面からいろ んな見方ができるような人をグループとして考えて対応いくという考え方を基本にして いきたいと思っているところでございます。  それから、尺度の関係をいろいろお話をいただきましたが、いまデータを集めている 最中ですので、基本的にこれはこれでいきます、というふうに明言できる段階ではござ いませんし、最初から完璧なものができるとは我々も考えておりませんので、ご指摘を 踏まえて着実に実行していける尺度を育てていきたいと思っております。  最後のサービス事業者の評価基準については次回以降の話だと思っていますが、ご指 摘のように評価は今後の重要な課題になると思っていますから、国としても評価の指針 となるようなものをつくっていきたいと考えておるところでございます。 ○京極部会長  私のほうでもちょっとつけ足しですが、審議会で申し上げたんですが、支援費制度に は、介護保険と違って苦情処理に関する制度的な位置付けがないということで、新しい 障害福祉サービス法では苦情処理の仕組みについて、評価システムと並んできちっとつ くる必要があるのではないかと思います。  末安委員、それから高橋(紘)委員。 ○末安委員  いまずっとお話を伺っていて、1990年の老人福祉関連八法改正から介護保険に至るプ ロセスを重ねて考えざるを得なかったんですけれども、共通点はたくさんあると思いま すが、決定的に違うのは、当事者の方々の意思の発動があって、制度がこれでいいのか とか、あるいは当事者の立場に立った制度を充実してほしいということで、到達したん だなあと私は思っております。  それを考え合わせると、今回のご提案を今日拝見して、このことをどうしてもお聞き しておきたいというのが1つありましす。それは市町村の役割をどう考えているかとい うことでしす。というのは今回のご提案を見ると、現行のサービスの再編、もしくは強 化ということはわかったし、細部はともかくとして、費用負担について見直しをしてい きたいという点についてのお考えも理解できたのですが、現行のサービスがすべてで満 足している方もいるかもしれないけども、そこのサービスでは十分ではないと考えてい る人もこれまた少なくないと思うんです。  かゆいところに手が届くとよく言われますけども、そういうことがたくさんあると思 うんですが、今回のご提案から見ると、市町村の独自性といいますか、現行制度の中で も不十分なことはたくさんあるけれとも、当事者の方のご意見を取り入れて、市町村が かなり苦労したり、知恵を絞っているところもたくさんあるわけです。  精神障害者のホームヘルプサービス、ここで見ても達成率、非常に低いんですけれど も、中には市町村の首長さんが、道路を一本舗装するのを諦めてというか、我慢して待 ってもらってホームヘルプサービスにお金をつけようじゃないか、と言われた首長さん がいらっしゃる。それはもっと予算があれば潤沢にやりたいけど、できないんだという ことの悲鳴みたいなものだと思うんですけども、そういうことも考え合わせると、今回 この制度がもし実現されたとしても、できるのにやらないという人がいたら、ちょっと 言い過ぎかもしれませんが、当事者の側からすれば、できるのにやらないという人がい たらどうするのかということは切実なものとして上がってくるのではないかと私は思い ます。  また一方で、現行制度の中でも十分に頑張っているという市町村の方たちへの評価、 いまサービス評価のことはだいぶ議論になりましたけども、非常に頑張っていらっしゃ る市町村に対する評価とか、後押しとか、介護保険のときにも後半議論になりましたけ ども、そういうことに対するイメージというか、市町村に頑張ってもらうというなんら かのメッセージか、イメージみたいなものをお聞かせ願えないかなと思います。 ○北川企画官  私の説明が不十分だったのかもしれませんが、市町村に頑張っていただくけれども、 国も都道府県にも応援していくというのが基本的なコンセプトです。その中でまずサー ビス量を計画的に整備については、説明資料の4ページの下にあるように、ニーズの把 握を市町村にしていただいて、それに伴って必要な支援を都道府県、国が行うというよ うな仕組みをつくっていきたいというのが一点。  さらに、例えば、重度の方に重点的に対応しているとか、地域によって一生懸命やっ ておられる対応が違うのかもしれませんが、そういうふうな問題については、10ページ の下にありますように国とか都道府県自体が、重度障害者の割合とかサービス水準の格 差が急激に増え始めているといったような状況に対して、国とか都道府県の財政的な配 慮を入れていくということが考えられないかということ。  さらには、個別の市町村の自主性みたいなものを活かしていただくということについ ては、今日は説明をしておりませんが、12ページの上、先ほど見ていただいたような地 域生活支援事業といったような事業構成の中でいろいろな支援を考えていく、というふ うな3つのポイントでできないかと考えているところでございます。 ○高橋(清)委員  お願いが2つと質問が2つあります。今回のこの年齢、障害種別をこえた福祉のシス テムというのは、私は多くの人から歓迎されるのではないかと思います。本当にこうい うものが当事者の方に満足してもらえるような形になるには重要な問題がいくつかある と思いますが、その中で私は特に2つの点をお願いしたいと思います。  1つは、正しい知識の普及啓発ということです。この制度が本当に国民の皆さんに理 解されてサポートされるようなシステムでないといけないと思いますが、そのためにも 正しい知識、私は特に精神疾患、精神に係わるものとして申し上げますが、それが正し く理解されて、国民のすべての人が自分の問題としてもとらえられるような形に是非し ていただきたいと。たしかに、改革ビジョンの中にもそれはうたわれていますけれど も、どうもうたい文句だけであって、具体的な方法とか予算的なものはまだちょっと心 許ないような感じがしますので、是非そこをよろしくお願いしたいと思います。  それから、もう1つは人材の問題です。審査会の審査員にしてもそうですし、ケアマ ネジメント従事者にしてもそうですけど、ほんとに人材が少ないように思います。です から、そのへんの人材の底辺を広げる方策と、さらにその中で経験と実力を持った上級 の指導者的なもの、その両方を育てるようなシステムを是非これから検討していただき たいと思います。  それから、お尋ねしたい点が2つあります。説明資料の6ページの2)利用決定プロ セスの透明化というところです。これは、ケアマネジメント制度との関連でお伺いする わけですけども、ケアマネジメント従事者が立てたケアプランがここで審査されるとい うふうに理解してよろしいかどうか。もしそうであれば、先ほど武田委員から出たよう な主治医の意見で生活がわかるかという懸念は出て来ないように思うんですけども、そ の点が1つ。  もう1つは、法律の棲み分けですが、こういう福祉的なものを総合的に包含した法律 を1つにくくった場合に、精神保健法の医療に係わる部分がどこに行くかということ で、もし仮に精神保健医療が精神保健法に残るというふうにしたら、説明資料の17ペー ジの(3)の中のかなりの部分は精神保健法の方に行くというふうに理解してよろしい のかどうか。その点をお伺いいたします。 ○北川企画官  まず説明資料の6ページですが、利用決定の段階で利用者の方が市町村から委託を受 けた相談支援事業者に依頼し、ないしは自らサービス利用計画案を提出するという2つ のラインを考えています。この場合、相談支援事業者には、本文のほうに書いてござい ますが、一定の研修を終えた方をおくということを念頭において、具体的にはケアマネ ジメント研修等を終了した方ということを念頭に、ということでございますので、相談 支援事業者を経由されるような場合には、いまおっしゃったような生活面でのことが確 認され、本人の意向も踏まえた上で利用計画案というものがつくられる。こういうこと になります。  それから新しい法律の関係で、先ほども少し申し上げましたが、あくまでもいまの段 階で考えていることですが、少なくとも精神医療の本体的なところについてたぶん共通 の障害福祉サービス法に入れるということはないのではないだろうか、というふうは思 っています。そういう意味では、精神保健福祉法の中で対応する。または詰めの仕事と して解決の中で対応していくということで考えております。  それから、人材育成については、国と都道府県の役割の中で少し考えておりまして、 12ページの上の絵にありますように、都道府県の事業として人材育成事業というのが地 域生活支援事業の中で市町村支援事業ということでやっていただけないだろうかと考え ております。そういう事業として都道府県単位できっちりやっていただき、国としては こういう人材育成事業を担うティーチングリーダーといったものを国としてきちと養成 していくという仕組みで対応していく。という流れです。 ○高橋(清)委員  どうもありがとうございました。 ○大濱委員  説明資料の12ページですが、ここでは、介護給付と自立支援給付と地域生活支援事業 とこの3つに分かれていますが、いまこれを見ますと、介護給付の中の訪問介護の中に 現在ある移動介護というものがなくなるということなんですかね。それで地域生活支援 事業ということで、この中に入ってくるという、いままでの支援費とは全く変えた方向 にするということなんですか、これは。 ○北川企画官  移動介護の関係ですが、移動介護の利用状況を担当課で精査をしているところでござ いますが、移動介護の中でも例えば、利用形態からみて非常に手続きが煩雑とか、使い 勝手が悪い、というような声もある一方で、重度の方で外出時の支援が必要な方が一定 の支援を求めるという場合もいろんな使われ方があるというふうに理解をしておりま す。そういう中で通常の移動の一部を支援していくというものについてはできるだけ効 率的、ないしは効果的な提供ということで、個別給付時は事業形態で行ったほうが効果 的な場合も多いのではないかというようなことで、基本的には地域生活支援事業で考え ていく、という提案になっていますが、この件については次回以降詳しく考え方をご説 明したいと思っていますが、現時点での考え方はそういうことでございます。  ただ、非常に重度の方で外出等に一定の支援が必要になってくるというような場合等 については、どういうふうな給付体系で行うかということについては今後引き続き検討 すべき事項であると考えておりまして、次回にもそういう考え方がご提示できればとい うふうに考えているところでございます。 ○永井委員  全体的な全体像としてはこういう方向にならざるをえないというか、なって当然だと いう感じがしておりますが、個別性に対する対応ですね。人材の養成というお話が何度 か出ましたけれども、その人たちの質を高くすることが必要だと思います。で、コーデ ィネーターとかケアマネジャーの実態を私も地方におりますので、見てみますと、慣れ てしまって非常にクールな対応が多いように思います。ある程度ローテーションで慣れ ていることも重要なんですが、時々この人材をリフレッシュするというような、ハート を回復するというのでしょうか、そういうローテーションも大事かなあと。コーディネ ーションにバラエティがあればあるほど大事だなあという感じがしております。そのこ との人材養成が一つです。  それから、こうやって考えてみますと、応益負担になるわけですから、どうしても負 担増ということにある程度なるのではないかなと思います。そのための何が負担になる のかということはもう少しマイナスデータというんでしょうか、そういうものをはっき り出していただいて、それをお互いに障害者の方々と一緒に納得するということが一 つ。また、その負担ができるようにするには、先ほどからもご意見が出ておりましたよ うに、就労ということが非常に大事で、就労できないバリアを非常に低くしていかなけ ればいけないのではないかと思っております。  例えばなんですが、障害者雇用率という一つの義務があるんですけれども、罰金を払 えば一応いいわけですが、国や自治体の障害者の雇用率を少し上げること。それから、 例えば、最近、公益法人とかいろいろな外郭団体がハンドレージングというので国の税 金をもらって事業をすることが多いわけですが、アメリカなどの例でも、そういう税金 を貰ったところは必ず障害者を雇用するという義務があるところが多いんですね。で、 そういうここをもう少しはっきりして、ごく普通に障害者がまわりにいる。そのことに よる理解というのは非常に大事なことだと思うんですね。そういうことも、とにかく税 金を使うような事業者、これは男女共同参画でも同じなんですが、公共事業を請け負っ たところも含めて、そういうところには障害者雇用をもう少し厳しく促すというような ことを盛り込んだといかがかという私の提案です。 ○北川企画官  たぶん次回以降の中で就労支援策をどういうふうにしていくかということがご議論に なるかと思っていますが、そういう中でいま考えていることなんかもご説明できるかと 思います。 ○嵐谷委員  ちょっとピントを外れてるかもしれませんが、ここに障害者の家族介護というのか、 家庭で生活していて、夜とかホームヘルパーとかに来ていただけないときの家族による 介護というか、支援の仕組みをどうするのかというところが私はちょっと気になるので すが。これは介護保険でもあったかと思いますが、家族介護には、資格がなければ、の 費用は負担できないとかいう部分があったかに思いますが、障害者としても、家族に対 する支援、援助というか、これを考えてあげるべき部分があるのでないかな、というふ うにも考えます。もちろんそれには難しい問題があろうかと思います。  また、審査会のケアマネジメント云々というような話がございますが、身体障害者の 相談員は全国にかなりの数おりますが、この人らにそういう資格を与えてあげれば、か なり障害者の理解が得られるのではないかというふうにも考えます。  そしてまた、よく障害者と高齢者をイコールで結んだような状況がすべて介護とか支 援とか援助とかに全部出てくるんですが、高齢者と障害者はきっちり違う部分がありま すので、そのあたりをはっきりと分けて検討していただきたいというふうにも思いま す。  以上です。よろしく。 ○北川企画官  いま特に家族介護のお話ございましたが、先ほどから、世帯の範囲をどうするかと か、家族との関係は歴史的にもご議論のあるところだと思いますので、事務局としてこ れといった定見はございませんので、できればこういう場で引き続きご議論いただだけ れば有難いと思っております。 ○京極部会長  それでは、小林委員、猪俣委員、岡田委員。 ○小林委員  今日は改革の基本方向のうち、現行の制度的課題の解決する、ということ、半分の説 明をお伺いしました。私は基本的にはこの方向でいいから、是非とも皆さん頑張ってほ しいと思う次第です。ただ、細かい点でちょっと気になる点をご質問したいんですが、 まず、概要の7ページの左の欄に、・障害者本人の意向を踏まえながら、より公平で透 明な支給決定、とあって、右側には・審査会の設置等による支給決定の透明化と、こう 書いてあるんですが、これは確認をしておきたいんですが、私は精神障害の場合、患者 さんのプライバシー保護ということをすごく気にしておりまして、公平で透明な支給決 定というところに精神障害者の方々のプライバシーが侵されるのではないかということ を、この表現だとそうも読めてしまうので、そこを大変気にしております。そこについ て、もう少し誤解のないようなご説明がいただけると大変有難いと思う次第です。  もれからもう一点は、精神障害者の外来医療について、事務局と私と少し認識が違う のではないかと思った点を申し上げます。  精神障害者の治療というのは昔に比べると相当進んできまして、1年以内に退院する 方が相当多くなった、というのはご存じだと思うんですが、ただ、その人たちは治った ということでなく、薬を飲みながら、病院の中にいる必要はない。緩解をしている方向 に向かっているという状態なわけですね。先ほど長尾先生もおっしゃられたように、薬 を飲むことによって症状の悪化を防いでいる。そういう場合に、重篤といえるのかどう かというのは、意見が別れるんじゃないか。だから私は、そこは精神医療の特殊性とい うことを、もう少し専門家の意見を聞いてよく考えて、外来医療でいいというのは、も う入院しなくてもよくなったんだから、重篤ではない、といわれてしまうことが私は大 変心配である、ということであります。  そして、その外来の患者が、先ほど北川さんが、指定医療機関にお願いをする、と言 われた。そこがよくわからない。外来医療でやっているということは、指定をすると医 療機関の数は減ってしまう。そうすると、自分の行っていた病院に行けないということ になってしまうと、これは精神医療の上で大きな問題ではないかと心配をしています。 指定をするというのは、全精神医療機関を指定するなら、全部とはいわなくても、90何 %指定をするというのなら心配もしないんですけど、先ほどのご説明だと、育成医療と か何かと同じように、というような言葉が入ったような気がしましたので、となると数 が少なくなる。それでは、精神科の外来医療がだんだんだめになってしまう。それは今 日、精神科の患者さんは昔に比べれば増えていない。入院患者は減っているわけです。 いまでもだんだん入院患者は減っているわけですから、外来の大切さということを思え ば、そのへんについては、指定医療機関の数はきちっと確保していただきたい。少なく とも、入院医療機関の分は全部確保していただきたい。このように思うんですが、いか がでしょうか。 ○北川企画官  まず、プライバシーの関係につきましては、ご指摘のとおり、当然のことと思ってお りまして、手続きの中では透明化を図っていますが、個人のプライバシーについては確 実に考慮しているというのは当然のことと思っています。  それから、通院控除の範囲の話ですが、おっしゃるとおり、投薬で症状を抑えて安定 化を図るというのは当然精神医療のありようとして理解しているつもりでございます が、一定以上の所得能力のある方については引き続き期限なく給付の対象にしていくと いうことは、果たしてそこまで求められるものなのかどうかという重点化の問題があ り、通常であれば、ほんとに疾患でお病みになっている方であれば、低所得のグループ に入っておられる方が対象ということかと思われますが、そういう方については引き続 き給付の対象とするか、こういう前提でものを考えているということでございます。  それから、指定医療機関については、具体的にはどういうところを対象としていくか ということでございますが、当然、いま受け皿となっていただいているような精神科な いしは神経内科については指定していくことが当然必要になってくるというふうには考 えております。ただ、こういう指定をする考え方がいい精神医療を公費投入することで 担保したいということでございますので、そういう基準については実態を踏まえながら よく考えていきたいと考えているところでございます。 ○猪俣委員  グランドデザインの本文の9ページと10ページですが、各制度の利用者負担の比較が 出ております。これは各世帯の課税状況から見た収入がどうかということが出ているわ けで、これは非常に貴重なデータで初めて出していただいたと思うんですね。これがな ぜ貴重かと申しますと、今後この制度の利用者が格段に増えていった場合に、応益負担 となって利用者負担が総額どういうふうに変化していくだろうかということを予測させ るものにもなるわけです。それから、永井委員がおっしゃったように、就労保障や所得 保障ということを考えていくとき、これも非常に貴重なデータになるわけだろうと思う んです。そういう意味では、600万のそれぞれの障害者全て、あるいはその世帯の就 労状況がどうなのかという基礎的なデータ、こういうものは通院公費負担で先ほどから 問題になっていますが、ここに所得に応じた自己負担制度を導入した場合に、大体の見 通しがつくわけです。そういう点でこれは非常に基礎的なデータになりますので、厚労 省が持っておられるか、あるいは精神に関しては全家連さんのほうが家族会のデータを 把握しておられるか、そういうものがもしあれば是非お示しいただきたいと思います。  私は全体としては障害種別に係りなくやっと精神も仲間に入れてもらえたということ で、この審議会にずっと参加してきてよかっと思っております。是非進めていただきた いと思います。 ○北川企画官  正直申し上げまして、出せるデータがあればここに載せたかったということでござい まして、たしかに精神の関係の通院控除を受けている方の所得分布というのは非常に難 しい。現時点の統計資料にはなっておりません。ただ一部というか、各地域のご協力を 得て、全体をカバーするものにはならないかもわかりませんが、代表的なものとしてわ かる範囲で把握を進めたいと思っております。 ○岡田委員  この度、この資料が送られてきたのは昨日でございまして、中身を十分に読みこなす だけの時間と能力がなかったものですから、今日の説明を聞いていろいろな点をかなり 理解できたつもりでおります。しかし、それでもなおかつ、まだそれに対する私なりの 評価を下すだけには至っておりません。そこで大変抽象的なことを伺いますが、たしか 平成14年12月の新障害者基本計画の中では、冒頭に障害の有無に関わらずすべての人が 共生できる社会をめざす、このようにうたってあったと思います。そういう観点に立っ て私たちこの日本は将来福祉を中心としてどんな社会を構築するということが前提にな っているのか。やや具体的にいうならば、例えば、北欧社会をモデルにしているのか、 あるいはアメリカ型社会なのか、あるいはヨーロッパ的な社会をめざすのか。それとも 東洋の我が国は独自な社会をつくっていこうとするのか。そういった点についてひとつ 教えていただきたいと思います。  2つ目には、あれだけ措置制度に対して否定的な見解とともに肯定的な高い評価をも ってスタートした支援費制度が財源の問題によって大きな壁にぶつかったわけでござい ます。私どもは支援費制度がこれから成熟し、そして拡大していくことによって理想的 な状態に近づいていくものと考えておりまして、それから、今日ご提案になったような グランドデザインの方向に自然に行くのではないか、こんなふうに期待しておりまし た。しかし、財源論によって大きく壁にぶつかったことはご承知のとおりです。一方、 政府が進めております三位一体の改革については昨年来、大変大きな関心を持っており ましたが、私どもが関心を深めましたのは、地方6団体の意見によっていよいよこれが 何か具体的な姿を示しそうだ。その時になって、従来あります福祉制度が変わらざるを えなくなってきたというような印象を持っておりました。  そこて私の聞きたいのは、そういう財源論と三位一体の改革を今後前提とするなら ば、このようなグランドデザインをつくらざるを得なかったのかどうかということを率 直に教えていただければ有難いと思います。  それから3つ目でございますが、今回のこの資料の中には非常にいろいろな言葉が使 われておりまして、どうも理解しにくいところがあります。例えば「自立支援」という 言葉一つでも、どういう意味で使っているのかよくわかりません。そこでお願いであり ますが、ここで使っておられるいくつかの言葉について辞書をつくっていただけない か、そう思います。どういう意味であるかということをちゃんと明確にしていただかな いと、どうも自立支援が本人ができるように仕向けていくこと、というような論調で使 われているような気がしてなりませんし、そのほか、大変いろいろな言葉の使い方、例 えば「地域生活」といいますが、地域生活とは何なのか、地域とは何なのか、どういう 状態が獲得できたらそれを地域生活というのか。そういったことを共通の理解として持 っておく必要があるのではないかと思ってそのような提案をさせていただきます。 ○村木企画課長  難しいご質問ばかりだったように思いますので、直接、的確にお答えできるかどうか わかりませんが、まず1つ目の、この改革によってどういう社会を目指すかというとこ ろでございます。私どもこの改革の絵をかくときに、14年の障害者基本計画を相当意識 をしたと思っております。その中でもとりわけ、先生がおっしゃられた、すべての人が 共生できる社会というところをかなり意識をしました。それを言葉だけではなくて、い かに制度に下していくかというところで、まだ十分言い尽してないかもしれませんが、 今日お示しをした概要の中で地域社会の絵を3ページにお示しをしておりますが、でき るだけ地域の普通の場所に普通の形で障害者の方々が生活できるような形をつくりたい ということで制度改革の方向を目指そうとしたと思っております。  もう一つは、同じ資料の4ページですが、自立というのはこれも辞書が要るのかもし れませんが、一つには就労の支援、あるいは地域の中で一人で、あるいは少しサポート された形で暮らすということをかなり意識をして、それを具体化するためには、施設の 体制や事業の体制はどうあればいいかということを検討いたしました。そういう意味 で、これがヨーロッパ型なのか、アメリカ型なのか、はたまたアジア的なものなのかと いうところは私はうまく答えを申し上げられませんが、基本計画で目指したこと、福祉 の分野でできるだけ実現するということを整理したつもりでございます。  それから2つ目のご質問ですが、支援費制度がスタートしてから財政面でもかなり大 きな壁にっぶつかったということは先生のおっしゃるとおりでございます。それから、 それと併せて、地方分権、三位一体の改革があって、6団体からも非常に大きな地方分 権に対する意見が出てきたわけございます。そういう意味では、今回のグランドデザイ ンは三位一体があったからつくらなければいけなかったということではありません。も ちろん。障害者福祉についてこれまで審議会をはじめとしてたくさん検討を重ねてき て、課題がたくさん残っていた。それに対して、いま財政的な危機もこれありですが、 ピンチであると同時にチャンスであるという思いから大きな改革をしたいとことでこれ を書きました。  中身につきましては、特に自治体と国の役割分担ということはかなり意識をいたしま して、地方分権、地域が特に基礎的な自治体である市町村がいろんな工夫ができる形と いうのは相当意識をしてこの仕組みをつくったつもりでございます。  それから、最後の辞書というのは、すみません、言葉の使い方も気をつけ、定義も明 らかにしていく必要があろうかと思いますので、それはやっていきたいと思います。  自立ということがかなり大きな意味でこの資料では使ったつもりでございまして、た だ、一人で住めるとか、仕事ができるとかいうものではなく、支援費の一つの大きな課 題でもありました自己決定、自分で自分の生活、人生をプランニングをしていくという ところをかなり意識して自立することが不可欠だという思っております。 ○京極部会長  なお、部会長としてではなくて、2年前の新しい障害者基本計画の座長をやってまし て、そのとき、ここにご参画の委員もいらっしゃいましたけれども、障害者の法律が縦 割りになっていますので、それを1つにしたらどうかということを計画の中に入れたら どうかというのがございまして、行政計画に具体的に法律を盛り込むということはいか んせん、ちょっと出すぎということがあったので、私も苦労いたしまして、皆さんおご 意見をまとめるべく、必要な法的整備ということで、その意味は障害者権利条約の受け 止めとか、障害者に関する統一的な法律の制定を含めて計画案をつくりまして、そし て、それが閣議で決定されたという経緯がございます。だから、そのときからずっと課 題になっていまして、しかし今回グランドデザインが初めて出ましたので、行政的なご 苦労が大変あったと思います。思いは、そういう法律が出てきたということは内閣の新 しい障害者基本計画の懇談会の総意でもあるということをとりあえずお伝えしたいと思 います。 ○福島委員  私の理解が足りないだけなのかもしれませんが、今後の議論のために確認を少しと、 あと意見も申し上げます。  まず確認させていただきたいことの一つは、サービスの自己負担のところで、扶養家 族の負担はなくなる方向で検討せいというお話はあったと思いますが、その一方で生計 を一にする同一生計者の所得も勘案せいという文脈も出てきましたし、じゃあ、扶養義 務者が同一生計者だったらどうなるとかとか、このへんが少し混乱しておりますので、 クリアにご説明いただきたいと思います。  もう一つは、審査会のところで、ケアマネジャーがつくった計画について審査をする ということはわかったんですが、本人が作成して市町村に直接出したものもやはり審査 会で審査するのかどうか。そこを確認していただきたいなと。意見としては、京極先生 もおっしゃっていたように、審査結果なども含めた苦情処理的な部分、不服申し立てと いう制度は必ずつくるべきだろうと思います。もし、審査会制度をとるとしてもです ね。  最後にこれは個人的なつまらない意見ですが、さっきの自立の話、これは難しいこと ではなくて、私が使っている自立の定義は、障害者が、例えば今日の晩メシに何を食い たいかということを自分で決めて、自分の財布と相談をして実際に食べられること。自 分がつくるか、人につくってもらうか、出前をとるか、外に行くかは別だけど、とにか く自分の食いたいものを食えること。これが自立生活の象徴だろうと私は思っておりま す。 ○北川企画官  まず自己負担の関係ですけれども、整理して申し上げますと、現在の障害関係の福祉 制度の費用負担者というのは本人のほか概ね扶養義務者負担ということがある。精神障 害と生育関係は別ですが、制度的にある。この仕組みは本人の負担が一定額に見たない 場合に法律上、直接扶養義務者に求めるという仕組みになっています。  今回の案というのは、障害者本人が受けたサービスについては、障害者本人のみが法 律上の負担義務者となる、というふうに改めまして、扶養義務者が法律上負担義務者と なる仕組みについては廃止したい、ということでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、一定の負担上限を設けるという中で、本人が低 所得者で負担が困難と思われる場合には一定の負担上限を引き下げることを考えている わけですが、その場合には、通常世帯単位の家計が営まれているという実態を踏まえま して、同一世帯に属する方の負担能力全体を勘案して下げる、下げないというのを考え る。ということで、こういう仕組みでございまして、ただ、具体的にどういうふうにし ていくかというのは、現行制度とかも勘案して、さらに考えていくということでありま す。  それから、利用決定プロセスの関係ですが、説明資料の6ページをご覧いただければ と思います。今回の提案自体は、利用決定全体のプロセスを透明化したいということで ございますので、自らサービス利用計画案を提出する場合においても基本的には市町村 の審査会、都道府県の専門機関、第三者の評価する仕組みを導入したいと考えていると ころでございます。  それから、苦情処理の手続きの関係でございます。これは審査会があるから必要ない というのとは別の問題かと思いますが、先ほど座長から話がありましたように、苦情処 理という仕組み自体必要なのかいうことについては考えていきたいと考えております。 ○京極部会長  亀井委員、その次に新保委員。時間が押してきましたので、ほかにどうしてもいう方 にいらっしゃいましたら。 ○亀井委員  先刻、末安委員から市町村に関するご意見を頂戴いたしました。その発言の裏には市 町村にサービス提供主体を一元化していくということに対しての不安もお持ちではない かというふうにもとらせていただいたわけですが、今日出された制度の方向性というの は、まさに我々からすれば点的対応から面的対応を可能ならしめる、そんな制度の方向 性にある。こんなふうに私は思っておりますし、市町村の頑張りを支援する、そんな制 度としての方向性も見えてきたな、というふうにとらせていただいているわけですが、 ただ、私は心配な部分も2点ばかりあります。その部分ご如才なきことと思いますけれ ども、ちょっとご所見をお聞きいたしたいと思うんですが、その1点目は、支援費制度 があってもサービスが提供されていないという市町村が半数あるわけです。これをなん とか、我々の仲間でもあるわけですが、なんとかしていきたいなという思いの中で、広 域連合的なこともここに盛り込まれましたけれども、広域連合に向けての仕掛け、都道 府県との連携の仕掛けということをどのようにお考えかなあということがございます。  それから、高齢者福祉計画であったり、あるいは障害者福祉計画、これは地域福祉計 画にリンクしていくものでなければならない。集約されていくものでなければならない わけでございます。ところが、この地域福祉計画を策定した、あるいは策定中である。 これがまだ50%なんですよ、三重県の場合。堂本委員がお越しですが、千葉県の場合は どうかわかりませんけれども、私ども三重県の場合は50%でございます。早急にこれを 策定していただかなければならないと思うんですが、このへんの国としての支援という か、取り組みというか、都道府県との連携の中でどのようにこれをお考えかなあという ことです。私のところでも地域再生計画の一つとして地域福祉計画を策定し、来年から 現制度の中でもこの地域福祉計画というものを実行していこうとしているわけでござい まして、生活圏域も小学校区単位でやっていこうかなと思ってやっているわけですけれ ども、それがいかに地域再生に貢献していくかという社会実験でもあるわけですが、ま たいろいろご指導もいただきたいし、ご支援もいただきたいと思っているわけですが、 この地域福祉計画という、ほんとにベースになる計画を市町村に策定いただく、そのへ んのことを、障害だけではなしに、介護の分野も非常に重要なことになってくるんです けれども、このへんの取り組みについて企画官にお伺いをしたいと思うんですが。 ○北川企画官  まず1点目の広域連合への取り組みとしてどんな仕掛けが考えられるかということで あります。当面、広域連合に参画するとなるとそれぞれの自治体が事務を持ち寄って連 合を組むということになりますので、我々イメージしているのは市町村だけの連合もご ざいますが、場合によっては広域的な業務をもつ都道府県自体にも参画していただいた ような広域連合が考えられないだろうか、ということです。それをどういうふうに支援 する仕組みがあるのか、まだ具体的な提案まではきてないんですが、先ほど申し上げた ような、調整交付金のような仕組みを一部活用するといった中で広域連合の創設から一 定期間については支援するということも選択としてはあり得るじゃないかということは 考えております。 ○松嶋障害福祉課長  地域福祉計画の関係でございますが、たしかに市長さんおっしゃるとおり、1600市町 村においてまだ地域福祉計画が策定されていないという実態だと思います。それらの状 況は町村合併等があるということを含めてそれらの動向を踏まえてという回答が多かっ たように思いますが、私が思うには、障害者プランにおいても量的な整備は明記してい なかったという部分もございます。ここで介護保険の計画ならびに新障害者プランとで もいいましょうか。そのへんが動き出しますと、地域福祉計画もおのずとして行くのか なと。本来それらを束ねて横に切った計画というのが地域福祉計画ではないかと思いま すけれども、卵が先かにわとりが先かという議論はありますけれども、これらを束ねた 計画が地域福祉計画ではないかなと思います。以上でございます。 ○京極部会長  時間がきましたので、手短かに、新保委員、安藤委員、堂本委員で最後とさせていた だきます。 ○新保委員  それでは手短かにお話させていただきます。精神障害者にかかわる者として、改革の グランドデザインが示されましてある意味で感慨を持ってこの資料を見ておりましたの で、話をする機会を逸してしまったというぐらい、実は障害保健福祉の統合化について 思いは大きなものがございます。そして、その改革の3つの基本視点を進めていくに当 たって、先ほど企画課長が共生社会の制度に下ろすという強い意思ないしは意欲を示さ れましたので、是非この三角形がうまく機能するような形で制度が実体化するとうれし いなと思っています。ことに障害者にかかわる市町村への支援体制の中で、義務化を図 ると同時に、義務化を進めていくときにまさに障害者の個別のニーズに見合った形で制 度が実体化されなければいけないのだろうと思うわけです。そのときに、先ほど岡田委 員もおっしゃいましたが、私はこの基本的視点、3つの丸を眺めながら、自立支援と応 益負担への移行との気持ち上のギャップを少し感じますので、このギャップが埋まるよ うな形で応益負担になっても自立支援が行われなければいけないのだろうと思っていま す。  例えば、ここでその自立をどう考えるかということは大変大きな課題ですから、自立 というのは依存との関係を当然のように念頭において考えないと、利用者にとってそこ での自己実現が正当ものにならないというようなことも含めて考えていく。そうしませ んと、ついつい就労等の支援が優先してしまって、ある意味でワークファーストという か、働けるようになれ、なれと尻をたたくような自立助長が前面に出ては困るという気 がするわけです。障害者にしてみると、働く権利もありますけど、働かない権利もあ る。そのことを併せ考えながら、障害者の日中の活動の場をどういうふうに機能させて いくのかということを考えていかなければいけないのだろうと思っているわけです。そ うしませんと、通所機能の形態がいわば、力量のある者とない者に振り分けられてしま って、障害者の社会貢献のあり方そのものが見えなくなってしまうというようなことも 置きてしまいますので、是非そういうことのないように、自立と依存の関係をうまく制 度化するにはどうしたらいいのかというようなことも含めで、この基本的視点を実体化 させていただきたいということだけをお願いしておきたいと思います。 ○安藤委員  今後の対応の方向ですけれども、先ほど三位一体の話が出ましたけれども、地方分 権、一般財源化が一つの流れになっていって、政府として 3.2兆円の補助金廃止とか権 限移譲の方向を決めているだけで、地方6団体が3兆円程度の補助金廃止の廃止という 案も出てきましたが、これは地方分権、一般財源化の流れでやむをえないという考え方 で、総理府とか全国知事会、市長会、町村会まで回ってお願いをしているわけですが、 その中での話では、国が事業とか予算を持っていてもいまは発展できない。地方が予 算、事業も持っていればもっと発展性があるのではないかというような非常に積極的な 意見も出てきているわけです。この案は地方分権、一般財源化に逆行するというか、対 抗的な案になっているんですけれど、障害者団体はどう受けとめていいのか、この案に ついては政府全体のテコ入れとか、協力団体の積極的な協力がないと、地方自治体と政 府の一体案の方向として、また地方6団体を説得するという努力が、ここで審議する以 上に重要になると思うんですけれど、そこはどうなんでしょうか。 ○京極部会長  お答えは後にして、堂本委員から先に、手短かによろしくお願いします。 ○堂本委員  遅くなったので、ちょっとピント外れなことを申し上げてしまうかもしれませんけ ど、先ほど亀井市長さんのおっしゃったとおりでございまして、千葉県の場合でも合併 のこともありまして、なかなか地域福祉計画ができてはいません。だもんですから、特 に介護の方などでも、面としての福祉計画を出して、その中に施設なり、グループホー ムなりを位置付けなさいというような国の方のご指示と申しますか、そういう方針でい らっしゃるので、いま市町村はとってもとまどっていることは事実です。  それから、いま安藤委員から地方6団体のことでご心配のお話がありました。たしか にすべてが計算し尽され、整備され尽され、微に入り細にわたって検討された上で今回 の6団体の案が出たわけでは決してございませんで、3兆2千億というお金が先にあっ たことは事実でけども、生活されるところに近いところでの行政サービスに移行したほ うがいいということは事実です。それで、いま申し上げたいことは、たしかに自立を支 援するのか、それとも本当に障害者の皆様が自立を実現するためにこれからどうしてい くのかという、いってみれば、関東大震災以上の大きな地震のときを経ているわけです けども、千葉県としては県での計画はつくりました。その中のことを、抽象的で申し訳 ないんですけども、障害者の方たちを真ん中において、地域の住民も、それから市町村 のレベルも、都道府県のレベルも、国も、この変動の時期を経て、私も精神障害者のこ とを考えると感慨を覚えるものがございます。そういった形で3障害が統合されてい く。そして本当に皆様が生きやすい、住みやすい日本の社会をつくるというような大き なところから考えていただけたらどんなにいいだろうか。細かいことではたくさんご心 配がおありになるんじゃないかと思うんですけども、都道府県の立場から申しますと、 市町村にこういしていただきたい、ああしていただきたいというのはあるんですが、な かなかそこに追いつきません。今度は都道府県が国に追いつかないほど激動しています ので、個人個人の障害者はもっととまどっておられると思います。しかし、ここをなん とか切り抜けて、ここであんまり大きな問題が起こらないような方向で、あらゆる立場 の人が協力し合っていく以外にないのかなというふうに私の立場ではいま思って、必死 になってやっているところなんですね。  ですので、抽象的な言い方で申し訳ございませんけど、ここは一つひとつ問題をあげ つらっていったら際限なく問題だらけだろうと思います。それをなんとかお互いに障害 者の方を真ん中において、みんなで、地域の方も行政の側も一生懸命やっていきたいと いうふうに、全国的になんとかそういうことが実現できたらいいと思っております。 ○京極部会長  時間がきましたので、最後に事務局から。 ○村木課長  三位一体との関係が一部の委員の方からありましたので、それについてお答えをした いと思います。今回の三位一体の議論の中で、私ども障害福祉の分野がほとんどの補助 金、負担金が大きな制度改革の見直しの中で検討すべきものとして地方への移譲を相当 部分が外されております。そういう意味では、私どもはこれからの障害保健福祉の制度 のあり方がどうなるのか。とりわけ、国と自治体との役割分担がどうなるのかというこ とをきちんと絵をかいて、地方自治体にお示しをする必要があるのだろうと思っており ます。で、今回のグランドデザインは先ほどもご説明したように、私どもとしてはかな り三位一体の議論や地方分権に沿ったものとして書いてみたつもりでございます。そし て、基礎的な自治体がサービス提供の主体を担い、それからまだ非常に未成熟な分野の ある障害者福祉について、枠組みづくりは国がもう少しやらせていただくという形で絵 をかきました。この案をここでご議論いただくとともに、地方自治体の方々、6団体の 方々ともよく議論をして、自治体の方々が納得できる軽の絵にしていくという作業が必 要かと思っております。 ○京極部会長  ありがとうございました。多くの視点から議論いただきまして、つきないところでご ざいますが、時間がちょっとオーバーしました。司会の不手際で恐縮でございます。  次回は、新たな障害保健福祉施策体系の構築、について詳しい説明を求め議論したい と思います。最後に、次回のスケジュールについてお願いします。 ○間企画課長補佐  次回は、改革のグランドデザイン案についてご議論をお願いしたいと考えておりま す。次回は10月25日(月)午前10時から2時間半程度を予定しておりますが、厚生労働 省7階の専用第15会議室において開催させていただきます。現時点での出欠状況がお わかりでしたら、お手元にございます出欠表にご記入をお願いしたいと存じます。な お、詳細につきましては、いつもどおり本日事務局よりご連絡をさせていただきますの で、よろしくお願いをいたします。 ○京極部会長  以上で本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございました。                                     (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)