04/10/07 第六次看護職員需給見通しに関する検討会第4回議事録        第4回「第六次看護職員需給見通しに関する検討会」議事録 日時   平成16年10月7日(木)      13:00〜 場所   厚生労働省省議室 ○赤熊補佐  ただいまから、第4回第六次看護職員需給見通しに関する検討会を開催いたします。 委員の皆様におかれましてはご多忙中のところ、当検討会にご出席いただき、誠にあり がとうございます。本日はあいにく佐藤委員が議会等のため、ご欠席との連絡を受けて おります。それでは座長、よろしくお願いします。 ○宮武座長  日本医療労働組合連合会から、資料配付という要請がきております。                  (資料確認) ○宮武座長  では前回に引き続き、需給見通しを策定するに当たっての基本的な考え方の検討をし ていただきますが、その前に、前回宿題となっていた資料について、菊池委員と事務局 から出ておりますので、その説明をお願いします。最初に菊池委員からお願いできます か。 ○菊池委員  資料3の「看護職員1人当たりの超過勤務時間の年次推移」です。これについてご質 問がありましたので、本会のデータを準備いたしました。この調査は4年に1回やって おり、1995年、1999年、2003年の調査結果です。これは9月の時点を取った、1カ月間 のスタッフの超過勤務時間です。病棟から見ますと、1995年は6.6時間だったのが、1999 年には6.8時間、2003年には6.5時間ということで、本会の調査からは2003年で増えてい るという実態は、必ずしも見られておりません。外来については最近になるほど、超過 勤務時間が若干増えるという状況です。手術室については1999年がいちばん高く14.5時 間、2003年では13.2時間でした。手術室については交代制だけでなく、オンコール体制 を取る所が多いので、そういう体制を取っている場合の超過勤務時間も含んでおりま す。超過勤務時間の推移については、4年に1回実施している本会のデータからは、 2003年において外来だけが増加しているという状況が見られております。  資料4は、「手術室の夜勤体制」です。これもご質問があって、同じ調査結果から取 ったものです。手術室の夜勤体制はオンコールを取る所が多く、3分の2を占めており ます。2003年時点でも68.7%が、オンコール体制を取っております。交代制の勤務を取 る所も1割弱あって、2003年で三交代を取る病院が4.8%、二交代制を取る病院が5.5% です。そのほかに当直制が6.7%です。  資料5が、「夜勤人数別看護単位数」です。これは一般病棟についてのデータで、三 交代と二交代に分けて取っております。三交代の深夜勤については、1995年時点で2人 夜勤が56.7%と、いちばん多いわけですが、1999年では2人夜勤が49.2%、3人夜勤が 40.5%というように3人夜勤が増え、2003年になると3人夜勤が48.5%ということで、 いちばん多くなっております。その次に2人夜勤が39.7%で、そのほかに4人夜勤、5 人夜勤、6人夜勤というように、夜勤人数を多くする病院の割合が増えてきておりま す。  二交代制についても同じような傾向があって、1995年では2人夜勤が50.3%と半数で した。1999年には2人夜勤が45.8%と少し減りましたが、その分3人夜勤等が増えて、 3人夜勤が39.5%、2003年では3人夜勤がいちばん多くなり、49%を占めております。 また4人夜勤や5人夜勤も増えているという状況です。前回のご質問にあったことにつ いて、今回のデータを説明させていただきました。 ○宮武座長  関連して、事務局からも資料を出していただいております。資料6と7になります が、説明をお願いします。 ○野口看護職員確保対策官  資料6は平成14年10月現在で、やや前の時点ですが、病床規模別に夜勤の配置人数が どうなっているかということと、三交代か二交代かによって違いがあるかを、「医療施 設調査」より出してきた数字です。  まず三交代制を見ますと、病床規模が少ない、ここで言うと300床未満の所では大体 6割、ないし50床未満になりますと7割近く、3分の2が2人夜勤という体制になって おります。300床を超えますと5割を超えてきて、6割ぐらいが3人夜勤体制となって おります。結果としてこれを合計いたしますと、2人夜勤、3人夜勤ともほぼ同じぐら いの割合になっているというのが、「医療施設調査」の結果です。  二交代制の場合はどうかと申しますと、三交代制とあまり違いはないと言うことがで きますが、300床以上の病院を見ますと、3人夜勤の割合が三交代制よりもやや多いと 言えるのではないかと思います。しかし、全体の合計数で見ますと、2人夜勤が約5割 に対し、3人夜勤が4割ということで、全体として見れば2人夜勤のほうがやや多いと いうことになります。これはなぜかと申しますと、実は二交代制の場合は1人夜勤が1 割ぐらいあるというところが、影響しているのではないかと思われます。  資料7は、病床規模別に看護配置がどうなっているかです。入所者の状態にも関係が あると思いますが、300床を超えますと、半数が2対1の看護になります。500床を超え ますと3分の2、900床を超えますと9割弱が2対1となるという状況です。100床から 300床までは大体4割ぐらいになっているという状況かと思います。なお、4対1の看 護で49床以下50床未満の所を見ますと、平成14年10月時点では、23%の所がまだ4対1 です。これには医療法標準の経過措置というのがあります。200床未満の所は平成18年 2月末まで、4対1でも可という経過措置があるかと思います。看護配置は年を追って 充実されてきているのだろうと思います。 ○宮武座長  看護協会および事務局からの資料について、ご質問ご意見はありますか。 ○西澤委員  資料3の病院数は回答病院数で書いているのですが、アンケートをどれだけの病院に 出したかということと、超過勤務時間がゼロ時間の病院数がどれだけあったかを、教え ていただければと思います。 ○菊池委員  この調査は、日本看護協会の会員が勤務する全国の病院ということで調査しておりま す。2003年の場合は、6,652病院に調査票をお配りし、回収数が2,565通で、このときの 回収率は38.6%です。その前の1995年、1999年については、いま手元にはありません が、大体同じような傾向です。データ数が回収数よりも少ないのは、該当する病院、正 確な回答をしてくださった病院だけを集計しておりますので、回収した調査票数そのも のより、それぞれ少ない数になっています。  「ゼロ時間」と回答した病院については、1999年のデータですが、病棟で「超過勤務 がなかった」と回答した病院は16.3%ありました。手術室の場合は7.0%、外来の場合 は24.7%ありました。後の点については、今日は手持ちがありませんが、傾向としては 大体同じような傾向を示しております。 ○尾形委員  資料3については先ほどご説明がありましたように、病棟勤務の場合は1人当たりの 超過勤務時間が、横這いか少し減っているのに対し、外来が増えているというのは、ど ういう要因によるものとお考えでしょうか。 ○菊池委員  これはいろいろ聞くところからのこちらの推測ですが、外来の機能がかなり変化して きており、日帰り手術が実施されたり、化学療法や輸血も外来で実施するなどの機能の 変化があるというのが1点です。あと、勤務者の体制の組み方としては、外来だけの体 制と病棟だけの体制という組み方でなく、外来と病棟を一緒にした勤務体制を組む所が 増えてきたということも聞いております。ただしデータとして取っているわけではあり ません。 ○宮武座長  資料4の「手術室の夜勤体制」の調査で、「夜間対応はない」というのは、夜間はや らないということですか。 ○菊池委員  選択肢として「夜間対応なし」というものを設けて、○をしていただいたわけです。 そのようにお答えしていただいておりますので、夜間の対応は基本的にしていない病院 というように考えています。 ○宮武座長  手術をしていないということですね。 ○菊池委員  これは手術室がある病院での回答です。 ○宮武座長  ほかにございますか。なければ本日の主要なテーマである、需給見通し策定に当たっ ての基本的な考え方について、ご意見をいただきたいと思います。前回の議論の後、各 都道府県に問合わせをした意見が集まっておりますので、まずその概要について、事務 局から報告をお願いします。 ○野口看護職員確保対策官  資料1をご覧ください。前回の検討会で、「需給見通し策定にかかる基本的考え方」 (たたき台)という形でお示ししておりますが、それについて各都道府県にご意見を求 め、8月25日付で私どものほうから意見照会をいたしました。期間がやや短くて恐縮で したが、以下は9月15日までにいただいた回答を取りまとめたものです。県名は出さな い前提でお伺いしておりますので、県名については省いております。なお、いろいろな ご意見をいただいておりますので、策定に関しては、基本的に寄せられたご意見をでき る限りそのまま載せるよう配慮しております。ただ行政の内部的なことについては、煩 瑣になりますので、省略しております。例えば説明会をしてほしいというご意見もあっ たのですが、そのようなものについては、省略させていただきました。  寄せられたご意見の数は41都道府県です。そのうち全く意見がないという意見をくだ さった県も、1県ありました。この時点で6県来ておりませんが、中でまだ意見がまと まらないとか、手続中であるということで、この時点では寄せられておりません。今後 寄せられる可能性もありますので、事務局としてはその際には、寄せられた意見も踏ま え、さらに検討していきたいと考えております。  項目は基本的に資料2、ないし前回のたたき台に書いている項目に沿う形でまとめて おります。まず需給見通し策定の必要性については、特段のご意見はきておりません。 策定の方法に関しては、いくつかの項目が出しております。例えば最初の策定方針に関 しては、曖昧な基準が多いので、もう少しわかりやすい基準を出してほしいという意見 がございました。国としての基本的な基準があってこそ、都道府県でさらに実情を加味 できるというご趣旨のご意見だと思います。需要者の算定、供給者の算定に関しては、 特にご意見は寄せられておりません。  見通しの期間をどうするかについては、前回の検討会でも5年というご意見をいただ いており、県のからも5年にしてほしいというご意見がありました。ただ、その他のご 意見としては、現状に即した見込みにするためには、5年では長いのではないか、3年 にしてもいいのではないかというご意見もありました。また市町村合併等で現在、地方 自治体は非常に動きがあります。二次医療圏も当然見直しが迫られることもあるので、 今需給見通しを策定するのは非常に微妙なのではないかというご意見もありました。  前回の検討会では政策的要素と見通しとの関係が、大きな議論のテーマとなったかと 存じます。これに関しても、いくつかの都道府県から寄せられております。まず政策的 に看護職員の配置基準等を設定すべきではないかというご意見が寄せられております。 医療事故防止や新人看護職員育成の観点から、看護職の配置数は政策的に進めることが 重要であるというご意見です。具体的には1.5対1まで引き上げたらいいのではないか、 インフォームド・コンセントに携わるような職員の配置を進めるべき、病棟の機能分化 に基づいて、より高い傾斜配置の傾向を踏まえたほうがいい、福祉関係施設の目安とな る配置数が必要であるというご意見です。なるべく政策的に基準を出したほうがよいの ではないかということだと思われます。  その次としては、医療計画あるいは介護保険事業支援計画という形で、都道府県で既 存の計画があり、その中で看護職員のことが触れられているところがありますので、そ ういう配置数に合わせたほうがよいのではないか、もしくはそれがもうすでにあるか ら、新たな政策的な配慮は難しいのではないかというご意見でございます。さらにやや 踏み込んで、現状だけでは変わらないので、やはり目標値を出すべきだというご意見も あります。  その一方のご意見としては、ただ理想的な基準ないし数値と、現実とのギャップもあ るのではないか、そのギャップはどう考えたらよいのか、目標値があれば理想的な全国 統一の需要数が算定できるが、それと経営者側が考える需要数とでは乖離があるのでは ないか、それはどう考えるべきかというご意見があります。逆に、例えば医療法標準の ような配置基準のものと、それよりも実際には多く配置されているといった場合、見通 しとして配置基準を見通しにすることになるのはいけないのではないかというご意見が あります。そういうことにはならないと思いますが、そういうご意見も寄せられており ます。  2頁の2つ目ですが、政策的要素については加味する必要はあるが、調査結果を集計 してみないと分からないのではないか、調査の集計結果が出てから、政策的要素につい て考えたらよいのではないかというご意見もありました。  また地域間格差の問題もあります。都市部と過疎地の問題、「離島加算」の問題を考 慮すべきだというご意見です。医療安全は大変な重大課題で、「リスクマネージャー1 人」の配置が必要ではないか、あるいは看護職員が適正配置されれば、医療事故は未然 に防止されることが多いのではないかということを踏まえ、きちんと配置すべきではな いかというご意見が寄せられております。質の向上という非常に重要な要素に関して も、政策的に含めるべきだというご意見があります。例えば専門性の高い看護業務を担 当する看護師について考慮する、新人看護師やその指導者については、ここでは「6カ 月」と書いてありますが、一定期間を考慮する必要があるのではないかとのご意見で す。要するに6カ月間は人数にカウントしないという意味だと思います。  都道府県に調査いただく期間に関しても、いくつか寄せられております。まず、いつ からこの調査に着目するのかということに関しては、4月からという所はありません。 年度当初はかなり忙しいので、実際にはなかなか着手できないというご意見かと思われ ます。それに応じて終了時期についてもご意見をいただいております。当初は日程案と して、4月から7月末でお示ししてあったかと思いますが、終了時期は8月末、9月 末、ないし10月末というご意見が寄せられてきております。そのほかのご意見として は、現在の見通しの期間は暦年であるが、これを年度に変更してはどうかというご意見 が寄せられております。その趣旨は何かと言いますと、年度に遅らせますと3カ月間の 余裕が出るので、3カ月間余計に調査できるという趣旨のようです。調査期間は9月か ら翌年3月までとありますが、ここでも言っておられる趣旨は、9月1日時点で都道府 県で調査し、その集計結果を国のほうで3月までにまとめればいいではないかというご 趣旨だと思われます。  あとは個別論で、各都道府県は具体的にどういう調査をするのかという部分です。最 初に、検討の場を設置したらよいのではないかということに関しては、条件付きで賛成 というご意見が寄せられております。ただ、この条件には、個別に見るとやや温度差が あります。構成員等の細かい制約は設けないで任せてくれというご意見がある一方で、 むしろ人員構成、検討時期、検討内容等を明確に示してほしいというご意見がありま す。また設置はいいけれど、旅費や報償費などのお金がなかなか大変だとか、関係団体 との調整が必要で、短期間での運営は難しいなどの理由で、結局既存の検討会で議論し てもいいのではないかというご意見が寄せられております。  一方で、設置の必要はないのではないかというご意見もあります。これは調査方法に もよりますが、国が統一的にやるのであれば、あえて県でそういう検討会は不要ではな いかというご意見かと思われます。3頁の2つ目のご意見も、同じ趣旨だと思います。 見通し策定だけのために検討会を設置することは、実務的にも期間的にも困難であるの で、ヒアリングなり文書による意見聴取でいいではないかというご意見です。  調査の主体となる実態調査をどうするかという項目ですが、まず総論的には調査内容 や方法については費用がかかる、あるいは時間的制約があることを十分考慮してほしい ということです。その次は前向きなご意見です。医療関係団体から需給の均衡という表 現と現実の現場実態とは、かなり乖離がある、問題が多いのではないか、実態調査を実 施することは現状が明らかになるだけでなく、改善すべき点なり今後の動向を把握する 上でも有効ではないか、むしろ前向きに実態調査をやってほしいというご意見だろうと 思います。また調査に当たっての経年変化の把握というご意見もありました。  実態調査をどう実施するかということについては、すべての施設について全数調査す べきというご意見が、24県から寄せられております。以下、簡単にご紹介いたします。 地域事情や病院等の実態がさまざまなので、抽出がなかなか難しい、そういう意味で全 数調査をしてほしいというものがございます。同じようなご意見で、圏域によって調査 対象数に格差があるため、抽出調査は困難である、各施設の今後の動向を踏まえる必要 性から、全数調査が望ましいというものもございました。やや違う意見としては、標本 調査が統計学的に正しくとも、関係者の了承は得られないのではないかというものもご ざいました。また看護職員の年齢差が地域によってあるので、抽出するのが難しいとい うご意見で、全数調査を希望するという県があります。  他方、全数調査と抽出調査を組み合わせてもいいのではないかというのが、7県から ありました。例えば2つ目にありますように、無床診療所は抽出調査のほうがいいので はないかというご意見がございました。同じように病院、診療所、介護施設は全数調 査、その他については抽出調査、あるいは今までの実績値から推計する方法によって行 ったほうが、効率的ではないかというご意見もあります。すべての施設について抽出調 査でいいというご意見は、4県から寄せられております。  抽出か全数かという区分けには入りづらい施設があり、それらを「その他」というこ とで区分しました。介護保険関係ないし社会福祉関係の施設については、施設数が多い 一方で、看護職員が実際に勤務している割合は全体から見れば少ないので、費用対効果 の面を考慮したほうがよいのではないかというご意見だろうと思います。  (3)は、4頁の調査項目についてです。まず、ここで総論として問題になりますの は、国としての基本ないし標準という話と、地域特性との問題です。1つのパターン は、国がひな型ないし標準型を示すべきだというご意見です。最初にご紹介するのは、 国が標準型を示して各都道府県が課題や特徴を追加する、国が調査票の基本項目(ある 程度具体的内容)を提示し、各県がそれを参考とする、ひな型として調査票の様式およ び積算手順を示してほしいというご意見です。そのひな型をどのように考えるかという 点においては、やや慎重なご意見として、調査票を例示する程度であればよいが、全国 を一律に統一様式での実施を義務づけることはしないでほしいというご意見もありま す。反面、調査票を統一又は標準化してほしい、用語や内容については、統一的用語を 説明すべきという、やや統一論に近いご意見もあります。  以下は労働環境、就業状況、質の向上、その他というように分けておりますが、調査 項目として必ずしも需給に直接関係しない部分についても、この際全数調査的にするの であれば、調査項目を起こして分析・活用すべきだというご意見と受けとめておりま す。例えば労働政策を取り巻く環境に配慮した項目、子育て支援、家族介護の問題に対 応する幅広い項目、ないしは定着率や就業者率の促進の反映、看護職員不足の理由、大 卒看護師の採用予定がこれに当たります。質の向上については、質の実態調査も兼ねた 調査項目、専門看護師、認定看護師の採用の実態、研修実施体制などが該当します。不 足の場合には、原因に対する対応策が見えるような調査項目を設定するということで、 いくつか関連した調査項目を設定したいというご希望も寄せられているところです。  「需要数の推計」については、具体的にいくつかご意見が寄せられております。最初 に労働時間ですが、週40時間労働、週休2日制、逆に週所定労働時間を短縮化する方向 性を入れてはどうかというご意見がございました。超勤に関しては、超勤の実態から、 不足と言われる看護職員の需要数を算定する方法については、統一的な考え方を示す必 要があるというご意見がありましたが、これはなるべく超勤を解消する方向を目指して はどうかというご趣旨だと思います。  産前・産後休業に関しては、制度的には産前6週産後8週です。根拠はわかりません が、産前8週産後8週としてはどうかというご意見が寄せられております。産前・産後 休業の算定を、施設の看護師数全体を基数として算定であると、男性看護師、高年齢看 護師も含まれるので無理だったというご意見があります。もちろん私どもはこれまで、 出産適齢期の看護職の方を前提としていた議論をしておりましたので、こういうことで はなかったと思います。何らかの誤解があったのではないかと思われます。  育児休業に関しては、子が1歳になるまでの休業というのが基本形だと思いますが、 子が1歳6カ月になるまでの休業、公務員は3歳までという言い方もあります。これま でもご紹介しておりますが、公務員に関しては最近の制度改正で、育児休業期間が3歳 まで延びています。民間の労働者に関しては、現在1歳6カ月に延長するという改正法 が提案され、これはまだ成立しておりませんが、そういう状況にあるということを、お そらく先取りされた表現だろうと思います。公務員に限らず実情を踏まえ、期間の延長 を見込むべきである趣旨であろうかと思います。  介護休業については、これもやや具体的なご提案がありました。在宅医療の推進の観 点から、被介護者が三親等以内の場合は、実態の最長期間を目標とするというご提言が ありました。これらの休業に関して共通したようなこととして、けが、病気、家族の急 病等の労働損失の影響を踏まえた代替要員の確保というご意見もありました。年休に関 しては目標日数を20日とし、全員が取得するというご意見があります。夜勤に関して は、急性期医療を担う病棟においては、手厚い看護職員の配置が必須である、あるいは 夜勤回数の減少といったご意見があります。  研修に関しては、全員が年2回以上研修受講の機会が得られるような余裕率を見込む べき、国として看護職員の研修で何を必要と考えるか例示してほしいというご意見もあ ります。またパート、アルバイトの取扱いということでは、基本的な考え方を示してほ しい、パートも算定してはどうか、パートタイムで就業する職員は今後増加するのでは ないかというご意見もあります。  その他としては、看護職員の勤務状況の実態をとらえることが必要であるというご意 見がありますが、これは当然かと思います。診療報酬体系の変化についても、可能な限 り推計してほしい、医療機関ごとの定着率が必要である、あるいは需給見通しと従事者 届の施設区分を一緒にしてほしいというご意見もありました。  病院に関しては、勤務場所の特性に配慮すべきである、「望ましい配置」として基準 を示してほしい、それに関連して医療の高度化・複雑化に伴う必要人員の算出につい て、具体的な考え方を整理してほしい、あるいは病院は入院だけでなく、外来機能もあ るということで、外来機能の多様化による機能強化に合わせた配置の増加が要るのでは ないか、入院日数の短縮化に対して考慮するというご意見があります。具体的な数字が 出ておりますが、30対1は実態に即していなく、15対1ぐらいになっているのではない かという声も出されております。「在宅ケアの推進」を具体的に示したほうがよいので はないかとの意見もいただいております。病院における助産師の配置についても具体的 なご提言があり、そこから少子化の影響をどう見込むかというものもあります。  助産院制度についてもご意見が寄せられております。「院内助産院」というのは聞き 慣れない言葉ですが、どうも産科病棟の発展型のようなことで、一部で取り組まれてい るようです。いわゆる医療法上の助産院とは違って、病院内にあるものですが、わりと 独立性の高い助産師がいて助産を取り扱機能であろうかと思われますが、そういうもの を評価してほしいということであろうかと思います。また、産科看護師の問題から助産 師医療の必要性が高まっているというようなご指摘もあります。  診療所に関しては、有床診療所の夜間緊急対応のための職員配置が要るのではないか というご意見があります。訪問看護ステーションの部門では、医療ニーズの高い在宅療 養者の増加と今後の需給状況を考慮することについて、どのような指標にすべきなのか を示してほしいというご意見があります。介護保険関係ですと、在宅介護支援センター を位置づけてほしいとのご意見もございました。社会福祉施設は、最近、児童問題が非 常に問題になっておりますので、児童相談所、児童自立支援センターをしっかり把握す べきではないかというご意見もございます。事業所・学校等に関しては、養護学校には 看護師1名配置として試算してはどうか、また行政・研究機関、研修機関、職能団体等 の事務局も考慮すべきであるというご意見が寄せられております。また、従事者届で把 握している施設以外からも広く情報を集めるため、調査実施について県民に広報し、ニ ーズの把握に努めるというご意見も寄せられております。  次に、「供給数の推計」にまいります。新卒に関しては、入学卒業状況調査の過去の 動向から推計するが、過去何年で推計するか国で決めてほしいというご意見が寄せられ ております。そのほかに県内就職率の追加の問題や、卒業者数の見込みなどについて、 具体的なご意見が寄せられております。また、いくつか出ているものとして、一人前に なっていない新採用者をどのように考えていくのかというご指摘もあります。  少子化については、少子化傾向を加味する必要があるのではないか、少子化、高学歴 化、域外流出・流入を可能な限り的確に算定する必要ではないかとのご意見がございま す。そのほかに見込むべき要件として、学校・養成所における社会人入学の動向や中退 といった問題も考慮せざるを得ないのではないかというご指摘があります。  再就業者に関しては、根拠となる数字が要るのではないかというご意見があります。 具体的にいくつかの算定方法が寄せられております。まずは、実態調査をする結果の中 で、各施設からの再就業者数も把握してはどうかというご意見です。また、就業を継続 できるような諸施策の効果を見込むべきではないかというご意見があります。業務従事 者届については、各都道府県において独自に項目を追加されているようですので、その 結果とナースバンクの実績数等を勘案して、今後の動向を推計してはどうかというご意 見が寄せられております。あるいは過去3年間のナースバンクでの実績だけでなく、ハ ローワークその他も調査してはどうかというご意見もあります。ナースセンターの調査 結果を使っているが、厳密に言えば再就業者数は個人名で寄せられていないので、1人 が何回かカウントされているおそれもあるのではないかとの疑問の声も寄せられており ます。  8頁ですが、潜在看護師の問題も出ております。潜在看護師数がすべて再就職の対象 とはならない、転職者が増加している現状も考慮してほしいというご意見があります。 また先ほどもありましたが、ナースバンク以外のハローワーク、あるいは民間職業紹介 所についても、算出の根拠に加えるべきではないかというご意見があります。最近はセ カンドキャリアという取組みが、脚光を浴びつつありますので、それをどのように活用 したらよいのか提示してもらいたいというご意見がある反面、セカンドキャリアを算定 に含めてもよいのだろうかという、やや慎重論もあります。以前に検討会でも申し上げ た通り、実は、潜在看護師というのは55万人いらっしゃるのですが、これは非常に貴重 な財産であります。しかしながら、これは全国の数字であって、各都道府県ごとにどれ ぐらいの潜在看護職員数がいるのかわからないので、これが何とかわからないかという ご意見が寄せられております。  前回の平成12年に策定したときも、都道府県に調査をお願いしているわけですが、前 回の経験を踏まえ、何か提言はないかということで聞いたのが6番目です。いくつか寄 せられております。まず国から積極的に情報を提供してほしいとの意見をいただきまし たが、これは当然のことで、私どもも情報を提供したいと思っております。それから他 県の方法が参考になるので参考にしたい、あるいは職種別の算定ということで、看護職 員は保健師から助産師というように、職種が分かれているが、これは不可能だというご 意見が寄せられております。供給面については、二次医療圏別で把握可能な配慮がほし いというご意見があります。ただ医療圏ごとの把握は難しいというご意見が、もう一方 で寄せられております。  看護職員不足については、県ナースセンターとの連携強化を図り、再就業相談会のあ り方を検討した、あるいは前回の調査に盛り込んだ看護職員の質の向上に関する調査結 果を基に、施設における看護職員の研修プログラムの作成に取り組むことができたとい う意見があります。単に需給見通しを作成しただけでなく、その調査の過程ないしそれ を活用して、具体的な看護職員確保対策に取り組んだということを、前向きにおっしゃ ったわけです。今回も是非、そのような方向性が出ればと希望しております。  その他の要望としては、看護必要度に応じた看護職員の配置数が、診療報酬や需給見 通し策定に反映されるように期待したいという声、あるいは多くの県から、予算確保が 厳しいので、何とか国からの予算措置ができないかというご希望があります。私どもと しても概算要求をしておりますが、ご存じのとおり今は三位一体改革であり、なかなか 厳しい状況下にあります。ただ私どもとしても財政当局に対し粘り強く要求しておると ころであり、是非頑張りたいと思っております。自由貿易協定(FTA)の話もござい ます。外国人労働者受入れ拡大の方針が報道されていますが、需給見通しにどのように 盛り込まれるのかとの疑問も寄せられています。そして、やや細かな話ですが、業務従 事者届について、パートやアルバイトがもっと適正に反映されるように指導してほしい というご意見も寄せられております。  以上、各都道府県から寄せられたご意見をご紹介いたしました。 ○宮武座長  大変多岐にわたるご意見と、注文も当然あるわけです。どこから議論を始めてよいか 分からないくらい多岐にわたりますが、ご覧いただいてご意見なり、ご質問なりがあり ましたら、自由にご討論願いたいと思います。最後のほうでおっしゃいましたが、各県 ともどういうようにすれば需要数が押さえられるかについて、皆さん苦労なさっている と思います。例えば他県の策定方法を参考にしたいとか、質の向上に活かせるような調 査になったなどというサンプルがあれば、今は見ることができるのですか。 ○野口看護職員確保対策官  今後の話ですが、資料2で各県のご意見も踏まえた基本的考え方の非常に大まかなも のを、またご議論いただきたいと思います。その中で国としてある程度の方向性を出す べきだというのであれば、私どもとしても都道府県の担当の方や、ここにいらっしゃる 委員の方から個別にさまざまなご助言をいただきながら、ひな型と言いましょうか、ど ういう調査をしたらよいのか、さらに具体的に固めていきたいと考えております。その 際、事務局としてはもちろん都道府県の方々との意見交換も必要でしょうし、場合によ ってはある程度固まった段階で説明会や、各都道府県の事例の紹介等について取り組み たいと考えております。 ○宮武座長  わかりました。折角このような調査をするのですから、質の向上につながるような調 査項目などがあると、有意義なことになると思いますね。 ○浅川委員  質問と言うより感想です。都道府県は大変熱心に、需給見通しの策定に関する意見を 寄せてくださったように思うのです。今回、こうして寄せられたご意見の中で、看護課 としてはこういう観点について大切にしていきたいとか、このように各県の反応をとら えているなどという感想がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。 ○野口看護職員確保対策官  それについは資料2の中で若干挙げたつもりですので、資料2の説明に移らせていた だいてよろしいでしょうか。 ○宮武座長  では都道府県からのいろいろなご意見については、資料2の説明の後にでも、繰り返 しご意見なりご質問なりを受けるということで、先に進めます。それでは資料2「需給 見通し策定に当たっての基本的考え方」の説明を願います。 ○野口看護職員確保対策官  先ほどご紹介した都道府県のご意見のうち、現時点で反映させたいものについて盛り 込んだという意味で、そこに私どもの気持がちょっと入っているのではないかと思って おります。  最初に、「需給見通し策定の必要性」に関しては、前回たたき台として出したもの と、基本的に変わっておりません。議論のあった政策的要素をどう加味するかというの は、この後の2の(5)でも出てきますので、そこで補足したいと思います。この需給 見通し自体は、看護政策、すなわち看護職員の質・量をどう確保していくのかというこ とを考える上で、非常に重要な基礎資料です。もし、この見通しの中で確保していかな ければいけないことが明らかになれば、それに目指して国も都道府県も努力していきた い。そういう意味での基礎資料として位置づけたと考えております。  2番目の「策定の方法」の(1)「策定方針」については、各都道府県からいろいろ なご意見をいただいたのですが、やはり基本的には統一的な策定方針に沿って、各都道 府県で需要数・供給数を算定していただき、それを積み上げるということにしたいとい うものであります。二次医療圏の話もありましたが、私どもとしては、二次医療圏ごと に求めるのではなく、各都道府県ごとに積上げを求めたいと考えております。そして、 この検討会のご議論を踏まえ、最終的には厚生労働省において需給見通しを策定したと いう形になるのではと考えております。(2)(3)は、特に変更はありません。  (4)は前回、年数が空白でしたが、前回の検討会の議論と都道府県からのご意見を 踏まえ、平成18年から平成22年までの暦年で5年間ということにし、これを一応明記さ せていただいております。なお、3年でどうかというご意見もありました。前回もそう であったように、一応5年ですが、もし必要があれば、当然5年前であっても適宜見直 していきます。これは、おそらく最後の検討会の報告でまとめていただくときに、また ご議論になる点だと思います。  なお、暦年か年度かということに関しては、もちろん年度というのも可能ではありま すが、従事者届が12月末の時点になっておりますし、年から年度になりますと、3カ月 間の空白が生じますので、素直に考えれば年でよいのではないかと考えております。こ れについてもご議論いただければ、ありがたいと思います。  次は(5)「政策的要素」です。当然、需給見通しというのは、政策的要素とは無縁 ではないと考えております。基本的にオール・オア・ナッシングという議論ではなく、 ややグレー的で説明しづらいのですが、実態はそういうところではないかと考えており ます。もちろん医療政策は基本的に各都道府県ごとにお考えいただいて、国全体で考え ていくという形ですので、国や各都道府県の医療政策の観点から、看護職員がどれだけ 必要かという望ましい最低の基準というのは、当然あると思います。それに加えて、さ らに望ましい水準というのも、やはりあると思います。そういうことをきっちり提示す ることが必要ではないでしょうか。しかし現実に需要が発生するためには、各医療機関 で看護職員を求めていただかなければいけませんので、各医療機関等の判断を踏まえて 把握することが基本になるのではないかと思われます。  供給については、当然現状の供給はわかりますが、問題は今後の動向をどう見るかで す。ここは単純に今後の動向を考えられるわけでもないのではないと思います。例えば 定年延長の動向がどうなるのか、再就業の促進がどれだけ進むのかというのは、一定の 政策効果ないし状況の変化というものがあり得ますし、その辺をどう加味するかという ことがあると思います。そういう意味で需給見通しについては政策的要素も入り込んで きた上でつくられていくものだと考えられます。  (6)の「調査期間」ですが、各都道府県で、来年度から具体的に調査に着手してい ただいてはどうかと考えておりますが、調査の締切りは7月末をちょっと延ばして、9 月末までとし、厚生労働省に提出していただきたいと思います。そういう意味では時間 的に厳しくなることから、検討会の先生方の日程にご無理な面があるかと苦慮している のですが、都道府県から9月ぐらいまでは必要だというご意見が結構ありましたので、 きちんとした調査をしていただくためにも、ここではこういう形で提案しております。  「各都道府県の調査方法」ですが、まず検討の場を設置するかどうかについては、私 どもは国としての標準、基本の問題と、各都道府県で独自にお考えいただきたい部分も ありますし、関係者の皆さん方の協力、理解、納得というのも、重要な要素であるかと 思いますので、各都道府県ごとに検討の場を設置いただいてはどうかと思います。ただ し非常に手間暇かけて設置いただくということではありません。もちろん、そういうこ とを目的としているわけではありません。既存の医療審議会というものが、都道府県に はあると思いますので、そういう審議会等を活用いただくということでよいのではと考 えております。  (2)の「実態調査の実施」は、やはりやらせていただきたいと考えております。そ の際、先ほどの都道府県のご意見を踏まえ、調査対象施設ごとに少し色分けをしたらど うかというご提案です。1つには看護職員の需要の多い施設、ないし需要として非常に 把握しやすいと思われる施設について、全数調査を基本としてはどうかということで、 ここでは病院、有床診療所、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、助産所、看護 学校、看護大学、保健所、市町村、児童相談所を含めたその他行政機関を挙げておりま す。  全部が望ましいのですが、以下については必ずしも全数調査をしなくても、既存の統 計資料を活用いただいたり、抽出率を設定したりして、抽出調査をしていただくという ことでもいいのではないかということで、ここには無床診療所、特別養護老人ホーム、 ホームヘルパーの事業所、社会福祉施設、学校について掲げました。なお、抽出率をど うするかについては、今後検討しなければいけませんが、抽出調査の場合には統計的に 適正な抽出率を用いて算出することになろうかと思います。  (3)の「調査項目」ですが、この表現ぶりがやや微妙な表現となっております。全 国共通の調査項目を盛り込んだ標準的なひな型を基本とし、それに各都道府県が、地域 の特性を考慮していきます。当然、各都道府県にはいろいろなお考えがあるかと思いま すので、それを踏まえた調査項目を追加するという形で、基本の部分とオプショナルな 部分とを両方合わせた調査をしてはどうかという考え方です。  先ほど座長からもご指摘がありましたように、単に需給に直接関係する項目だけでな く、今後の政策を考える上で参考になる情報も、是非入手したいということで、各医療 機関における看護職員の離職の原因、今後どう確保したいと考えているのか、質の問題 の他にどういう情報を取るのがよいか、検討していきたいと思います。調査項目があま り多くても負担になりますので、その辺は今後ご議論で適宜検討するということにして はどうかと考えた次第です。  「需要数の推計」にまいります。(1)「前提とされる勤務条件等」については、前 回のたたき台よりもかなり積極的にいろいろな要素を入れました。まず労働時間です が、「週40時間労働」に加え、「週休2日制を基本」という表現を入れています。また 「過大な時間外勤務がある場合には、その削減を目指して、必要な増員を考慮する」と いう1項を入れております。  産前・産後休業、育児休業、介護休業について、それぞれ項目ごとに休業した場合の 代替職員の確保、育児・介護休業法の改正の動向を、それぞれ明記しました。  年次有給休暇については、法定の休暇日数の消化を基本とすると。現状は消化の割合 は半分にやや満たないという状況だったと思いますが、一応消化を基本として、現状に 対する改善を何とか見込めないだろうかという方向性を出しております。  夜勤の問題については前回、複数夜勤としか書いていなかったのですが、さまざまな ご意見を踏まえ、医療密度の高い非常に必要と思われる一般病床の場合には、3人以上 の夜勤体制を目指すという項目を付けました。また前回も委員からご指摘がありました ように、「二交代の場合、就労時間により適正な改正を考慮する」という表現がよくわ からない部分もありますので、二交代、三交代を含めて共通的に「1人当たりの夜勤時 間は4週当たり64時間以内を基本とする」という表現を追加いたしました。  7の「研修体制」ですが、看護職員の研修に必要な人員のイメージとしては、研修に 出ている人の代わりとしての代替要員の問題と、研修を指導する人が要るという問題 で、その両方を明記いたしました。また研修の特に重要な例示としては、新人看護職員 研修の実施というのがあります。これは医療安全の面からも、非常に重要な課題である と思っておりますし、医師の臨床研修が何とかこの4月から始まっておりますので、看 護職員の方々も、是非新人研修ができないだろうかという意味で、特に加えておりま す。  他に、パートの取扱いについてのご指摘もありましたので、(8)にその項目を追加 いたしました。  (2)の病院ですが、(1)は特に変更ありません。(2)にはハイケアユニットだけがあ ったのですが、さらに、亜急性期入院医療管理料の導入という表現を追加いたしまし た。また産科・産婦人科病棟における助産師数の算定、専門性の高い看護業務の職員の 配置という所を入れました。外来も同じように、助産師の問題と専門性の問題を入れま した。  手術部門について、手術台1台につき、3人以上の配置ということを新しく明記いた しました。中央材料部門についても1人以上の配置と明記しました。特殊診療部門で は、ICU、CCU1床につき、1人以上配置を断定させていただきました。看護管理 部門、病院管理部門ですが、前回のたたき台では看護管理部門で括っていたのですが、 看護管理と病院管理とに項目を分け、病院管理部門を独立させ、病床規模に応じて、リ スクマネージャーないし感染管理などの医療安全のための体制確保の問題、特に、入院 から在宅へという流れの中での地域医療連携として、退院調整ナースの配置が進んでい るので、そのような問題について明記いたしました。看護管理部門については、看護職 員数に応じてマネージメント機能の強化を見込むという表現を追加いたしました。診療 所については、有床診療所と無床診療所とに項目を分け、有床診療所については産科診 療所の問題を追加しました。  6頁の(4)、(5)は特に変更はありません。(6)の(3)介護老人福祉施設、つ まり特別養護老人ホームですが、最近、非常に医療ニーズの高い入所者が増えてきてお り、看護職員の夜勤の問題が課題になりつつあるのではないかということで、入所者の 状態に応じ、夜間配置についての考慮もいるのではないかということです。(4)の居宅 サービスでは、県の意見にもありましたが、在宅介護支援センターを例示として明示し ております。7頁の(9)保健所・市町村のところで、健康増進法の施行等に伴う需要 の増加が、保健所や市町村もあるのではないかということで追加しました。 (10)は、各県の意見でもありましたが、特に盲・聾・養護学校では、現在大変医療ニ ーズの高い痰の吸引、経管栄養、導尿といったことが必要な子どもたちが入学してきて いるという状況の中、それをどのように受け止めていくべきなのかが課題になっており ます。つい先ごろ、私どもが設置している研究会において、看護職員の配置、看護職員 の指導を前提として、一定の行為について教員が実施することもやむを得ないというま とめをさせていただいており、近々、それに基づいて行政的な通知を出していくという 段階にきております。そのようなことも踏まえ、盲・聾・養護学校に1名以上の配置を 基本とするという表現を追加しました。  5の「供給数の推計」の新卒のところで、流出入の問題について、都道府県ごとに出 入りがありますが、全国的に見れば±0になりますので、それについては厚生労働省か らの入学卒業状況調査結果を基に、各都道府県においてプラスマイナスがうまくいくよ うに考えていただきたいと思っております。再就業についてですが、ナースバンクだけ ではなく、今回の実態調査結果によっても把握できるのではないかということで実態調 査、ナースバンク以外にハローワークなどさまざまなところがあり得るので、これをど う見込むのかが今後の検討になりますが、そのような意味で、実態調査及びナースバン ク等を通じて再就業者数の現状、今後の動向を把握するとしています。  なお、潜在看護師を都道府県でどう見込むのかという議論がありましたが、これはど う考えるかを前提とした基本的な数字だろうと思いますので、潜在看護師(約55万人) の活用については明記いたしました。新たな取組みとして脚光を浴びつつあるセカンド キャリアは馴染みのない言葉ですが、定年あるいは定年ちょっと前で早期に退職したベ テラン看護師の方が、それまでの経験を活かし、病院にまた勤めるだけではなく、介護 施設や福祉施設、保健相談員として地域活動に参加するといった形で、さまざまな分野 に第二の人生としてチャレンジをするという動きが出てきていますので、それについて も考えていくべきではないかということです。(3)の退職減ですが、再雇用制度なり 定年延長等といった動きについてどう見込むのかという意味で明記しました。  以上、基本的な考え方ですので、細かいところは別として、基本的にはこのようなこ とで若干の修正をし、私どもの気持を入れさせていただいたのが資料2です。 ○宮武座長  これも随分多岐にわたっていますが、議論をお願いしたいと思いますし、ご質問も自 由にしていただければと思います。最初から全部ということになると整理が付きにくい と思いますので、「需給見通し策定の必要性」辺りから順次議論をお願いいたします。 ○菊池委員  前回の資料5の部分をもう少し具体的に書いて、加えていただきたいと思います。需 給見通しを策定するに当たっての理念について、厚生労働省もいろいろと提供体制の改 革ビジョンなどを出されていますが、その中で質の高い医療を提供するといったことが ありますので、医療安全の問題、インフォームド・コンセントの理念に基づく医療を推 進するために質の高い看護が必要である、医療技術の高度化や病院機能の分化で在院日 数が短縮し、看護業務の密度が高まっているなどといった状況のことも入れながら、理 念的なことももう少し表現したほうがいいのではないかと思います。説明の中では言葉 として示されていたので、そのことを必要性のところでも書き込んでいただければ、全 体の目的がはっきりするのではないかというのが意見です。  需要の考え方など、前のたたき台よりも具体的になっている部分があると思います が、今日は基本的な方向をこれで確認し、県に示すときにはより具体的なものに加えて いくということで意見を述べればいいのでしょうか。例えば、2頁の「政策的要素」で は、需要については「望ましいと考えられる事項を提示する」、供給については「一定 の政策効果も加味する」ということで、いまはこのような書き方ですが、その辺をこの 中で提示していくということで考えておけばよろしいのでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官  この検討会の進み方の中で紹介いたしましたが、粗々ではありますが都道府県向けの メッセージというのが、今回の「基本的な考え方」の考え方です。実態調査を含めて、 来年度、都道府県に真剣にご協力いただきたいということと、中身としてはこのような ことを考えているというのをいまの時点で出したいというのがその趣旨です。というの は、繰り返しになりますが、都道府県の意見にもあったように、予算も時間もかかると いうことで、調査に向けての準備をしてもらう、体制をつくっていただくという問題も あります。また、予算要求の議論がこの秋からすでに始まっているはずですので、とに かく予算確保をしてほしいというのが私どもの気持です。そのための基礎材料として、 需給見通しの策定のための作業をやるかやらないがはっきりしないのではなく、「やる ことになっている」ということを、是非、都道府県側にご理解いただきたいという意味 で、いまの時期になるべく出してほしい。  そのような意味で、より細かな中身については、今後、委員の皆様方の知恵も個別に お借りし、都道府県の担当者とも相談しながら、さらにつくり出していただき、次回な いし次々回の検討会で細かいものにして議論いただきたいというのが、いま考えている 私どもの想定です。 ○宮武座長  都道府県向けのメッセージではありますが、世の中の人、皆様の目に触れることにな るわけで、もう少し丁寧に書いてはどうかということですが、それについてはこれから 再検討していただければと思います。 ○浅川委員  2頁の(5)「政策的要素」について、「国や各都道府県の医療政策の観点から」と 書いてありますが、広がりとしてはかなり広いので、医療政策では表現としてちょっと 狭過ぎるのではないかと思います。例えば、保険医療福祉、健康政策などといった言葉 のほうがいいのではないかと感じますが、いかがでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官  いまの時点での意見を踏まえて資料2を修正したもので出すのか、これはこれとして 出させていただき、このような意見があったということで各委員の意見を付けて都道府 県に出すのがいいのかということがあります。私どもとしては、現時点でこのような意 見を事務的には考えていますが、これを検討会で議論いただき、各委員からこのような 意見をいただいているということを付けて各都道府県の参考にしたいと思っていたので す。検討会を直近に開く予定がありませんし、おそらく、いろいろな意見があるので、 考え方の調整としてはそこまでまとめ切れないのではないかと思ったのです。その辺を 先にご議論いただいたほうがいいのかもしれません。 ○宮武座長  あまり長文なものというわけにはいかないことはわかりますが、今の問いかけに対し て、皆様のご意見はいかがでしょうか。 ○浅川委員  可能な範囲で、今日の部分を修正していただければと思います。意見を付けるという 方法もよろしいと思いますが、作業的にそれほど大変でなければ、若干の修正は加えた ほうがわかりやすいと思います。あと、これは加えてほしいというものもあります。 ○宮武座長  審議会や検討会の検討結果のまとめではなくて、都道府県に対しての要請文という性 格もあるわけですから、あまり軸にこだわったり、長文になったりするとメッセージに ならなくなるということもわかります。委員の意見を、多少本文の中で活かしてもらえ ばという提案ですが、この件について他にご意見はありませんか。なければ、いまの看 護政策の方向という形で答えていただいたのですが、西澤委員が言われたように、以前 は良質で安全な看護の提供が図られることと具体的に書かれてあったので、それも加え ていただくということになると思いますが、それはご検討ください。 ○青木委員  前回に比して、需要に関してはより具体的に記載してあることは大変良い方向性では ないかと思います。いまから私が述べることに間違いがあれば指摘してください。問合 わせしたことではありますが、供給数を把握するときに、従事者届に基づいて行うこと によって、パート職も1名としてカウントされているということであれば、非常に不正 確な就業者数が算出されてしまう。大変卑近なことを申し上げますが、私が主催してい る小さな医療機関では、パート職の割合は18%です。他に頼る統計がないので、18%の うち、そのパート職がどれだけ常勤換算で仕事をしているかを調べたら、48%、約50% でした。  ちょっとグローブな話をしますが、全体の中で20%パートがいて、もし、このパート のうちの50%仕事をしているという話になると、全体では10%就業者数が下がるわけで す。もちろん、大きな病院においては、そんな大きな数のパート職がいるわけではない ことも承知していますし、福祉施設等はパート数が非常に多いと記憶しております。も し、そこの把握が私の述べた事実どおりであれば、例えば、青森県では平成15年の需要 数が1万7,300いくつ、現時点の就業者数は1万6,500、その差850というのは、1万 6,500の10%の1,600名がさらに足りないことになるはずです。  需要に関して1項目入れたことは今日わかりましたが、供給もしくは就業者数の把握 という項を設けていただき、いま述べた、就業者の数を何とか正確に把握するというこ とを項目として入れていただきたいと思います。現在は厚生労働省の資料で調べるよう にしていますが、「医療施設調査病院報告」というものが厚生労働省の統計情報局から 出されています。同じく厚生労働省から、「賃金構造基本統計調査」というものも出て います。2番目に述べたもので、パート全体が常勤換算で何パーセント仕事をしている かという平均的な数字をつかむには、ややグローブ過ぎるかもしれませんが、一応これ も1つの参考になるのではないかと思いますので、そのようなところを加味してお願い したいと思います。 ○野口看護職員確保対策官  結論として、委員が指摘された点は、今後検討しなければならない1つの課題だろう と認識しております。これまではパートの割合はかなり低いのです。第2回の検討会で 出した資料ですが、特に看護職員を対象とする医療機関では、平成3年で病棟、外来合 わせて6.7%がパート、臨時の割合です。平成11年は逆に下がっていて、5.2%という状 況です。もちろん、個別の医療機関では委員が指摘されたような医療機関も多数あると は思いますが、全体として見ると、パート、臨時の割合はそれほど多くないというのが 現状でした。各県の意見からもあったように、パートの形態が増えるのではないかとい う指摘もありました。  なぜ、供給を1人で数えていたのかというと、パートであろうが常勤であろうが、資 格を持っているのは1つの資格であり、その資格をつくるためには学校に入ってもら い、試験を受けてもらう、その養成過程という面では1なのです。現にパートで働いて いる人も、潜在力としては常勤になるかもしれない潜在力を持っているということもあ り、現実的に就業者数で取っているという統計的な話もあり、それで供給数を出してい る。ただ、それは意図的にやっているわけではなくて、パートの割合も少なかったとい うことも踏まえて、そんなに差はないだろうという前提でいままで考えてきたというこ とであります。  ただ、特に最近の入院期間の短縮化という傾向の中で、現場の不足感の実感と、マク ロ的な看護職の需給見通しの結果が乖離しているのではないかという意見が、非常に強 く寄せられるようになってきています。その1つの背景にこの問題もあるのではないか という指摘として、よく理解できる点もありますので、その辺はどのように考えていけ ばいいのか。例えば供給について、パートの部分を常勤換算するような方式があるのか どうか、委員が指摘されたことも含めて、今後検討していかなければいけない課題だと 考えております。 ○宮武座長  具体的に就業者数の把握というところ、何か方法を見出して、都道府県に指示すると いうことになるのですか。 ○野口看護職員確保対策官  都道府県の意見にもありましたが、従事者届ではパート・アルバイトがあまり把握さ れていないのではないか、一方で委員の懸念ほど従事者届には入っていないのではない かという指摘もあり、その辺も踏まえながら考えなければいけないと思っております。 ○菊池委員  2頁の「実態調査の実施」のところですが、看護職員の多い所、把握しやすい所を全 数調査とするという説明がありました。介護保険施設関係で、特別養護老人ホームだけ が既存資料、抽出調査ということになっていますが、先ほどの説明にもあったように、 特別養護老人ホームもかなり重症化してきているし、今後もその傾向は高まると思われ るので、老人保険施設だけではなく、こちらも全数調査に入れてはどうかと思います。 このようにした理由というのは何かあるのですか。 ○野口看護職員確保対策官  確かに、特別養護老人ホームにおける看護職員の配置の必要性が高まるのではないか ということは、先ほど夜間配置の問題でコメントした通りだと思っております。老人保 険施設は、分ければ医療施設に入っており、特別養護老人ホームは福祉施設に入ってお りますので、看護職員の配置も違うし、入所者の状態も老人保険施設のほうがより医療 ニーズが高いという点が、看護職員配置にも言えます。単に統計的に何人というだけで はなく、実態を見て、入所者の状態から看護職員のニーズを把握したほうがいいのでは ないかという配慮で考えさせていただきました。  それに比べ、比較論ですが、特別養護老人ホームは定型的に言えるのではないかとい うことが1つ、いま、非常に数が増えている施設なので、現状で実態把握することで現 にある施設、設置が現実化している施設を入れるかどうかという議論もありますが、実 態調査しようにも、今後5年間を見通した上で施設がまだ無いわけです。そのようなこ とがあるので、全数調査とした場合の意味合いが違うかもしれない。看護職員全体のシ ェアの中での特別養護老人ホームの人数のシェアの問題、そのような考慮の中で、抽出 に位置づけてはどうかという考え方をしたわけですが、当然、委員の言われたような考 えもあると思います。 ○宮武座長  特別養護老人ホームを含めて全数調査、抽出調査の2本立てでいくということについ ての意見があると思いますが、いかがでしょうか。 ○浅川委員  実際の調査等に向けての検討会がもう1回ありますので、今後ご議論いただくことに なるのかもしれませんが、もし、盛り込めるようなら盛り込んでいただきたいのは、助 産師の算定についてです。今回、要所要所で触れているのはいままでと違い、職種別に 必要数をある程度見込んでいくという観点を明示していると思います。保健師はどうす るかということに関しては、この中では多少見えにくいので、その点が見えるような記 述が必要ではないかと思います。  もう1点、看護師養成所のところには、今後の新設・廃止の状況を考慮すると7頁に 書かれてありますが、今後の問題も踏まえるとすれば、臨時実習指導体制の充実も加味 するといったことを1行書いていただけるといいのではないかと思います。 ○宮武座長  それは活かせると思います。 ○野口看護職員確保対策官  いまのご意見に関して、助産師、保健師の部分についてですが、職種ごとに出すべき ではないかというのが基本論ですが、やはり最終的には、看護職員全体の需給見通しで はないかと思います。その中で、例えば助産師は最近非常に問題になっている領域でも あり、助産という他と違う独占業務があって、それに応じて配置も代替が利かないとい う問題もありますので、今後どう見込むのかということを検討したいという意味で、必 ずしもこの段階で、助産師を別掲してやるかどうかというところまでは、触れてはいな いつもりです。逆に、それも含めて今後検討したいと思っております。 ○浅川委員  関連して、最近、看護協会にもよく相談があるのですが、准看護師として仕事をした が、入ってみたら内診の技術を覚えるようにと言われている、自分はしてもいいのかと いう問合わせが何件か続いてあります。おそらく、診療所における助産師の配置が十分 ではなくて、そのような意見も出てくるのではないかと思うのです。助産師の必要数は すでに見込まなければいけない時代ではないかと感じますので、是非進めていきたいと 思っております。 ○田村看護課長  それに関連して、浅川委員が言われた保健師の必要数に関しては、保健師の業務は保 健師の名称を使って行うものという規定もあり、市町村や保健所にいくつの定数がある とか、それを今後どのくらい増やしていきたいといったような総務省、厚生労働省健康 局の考え方が一方にあるので、実際にこの中でそれを規定する出し方が非常に難しいと いう実態もあります。 ○浅川委員  よくわかるのですが、保健師の希望でもありますのでよろしくお願いいたします。 ○内藤委員  4頁の「夜勤体制」について、先ほど「二交代の場合は」という文章は不適切である と伺い、よくわかったのですが、私はいまフレキシブルな勤務体制ということで夜勤も 含めていろいろと考えています。夜勤専従の問題などいろいろなことを考えたときに、 改めて三交代や二交代を言う必要があるのかを考え、一人当たりの夜勤時間は「4週当 たり64時間以内」という点があれば、どのような体制であっても夜勤は64時間以内とい うところで試算をしていただくことになるのではないかと思います。確かに、統計的に は三交代と二交代がいま中心になっているとは思いますが、敢えて、それを書くとすれ ば、いろいろ工夫していますから、その他の体制ということも入れておいたほうが適切 ではないかと思います。  もう1点、7頁の最後にある「退職等による減少数」のところで、今後の体制も含め てこのような調査をしておくことを承りました。ここに次世代の育成支援ということが 入っていますので、特に院内保育所を持っているのかどうか、それは24時間体制である のかどうか。もう1点は、保育所の年齢のときはいいのですが、小学校低学年のとき、 学童保育は5時、6時までですので、ナースたちにとってはこのことが鍵で、一旦辞め なければならないということが現場にあります。そのようなことを含めての調査が出て くる内容になれば、実態がしっかりとつかめるのではないかと思います。 ○宮武座長  夜勤時間の考え方について、事務局でお答えいただけますか。 ○野口看護職員確保対策官  多くの医療機関の関係者が見てわかるようなやり方が望ましいと思って、このような 書き方をさせていただいております。ご指摘も含めて、どうしたらいいのか検討したい と思いますが、三交代でなければいけないとか、二交代でなければいけないという意味 ではなくて、三交代の場合はこうだ、二交代の場合はこうだという言い方であると思い ます。その他のやり方の場合はというようなことが可能であれば、検討したいと思いま す。 ○青木委員  先ほどの助産師の話に少し戻るのですが、浅川委員は准看護師からの相談があったと のことでしたが、それは准看護師にかかわらず看護師においても同じことがあるわけで す。現実の問題として、先ほど問題提起があったところは、非常に大きな問題として今 後クローズアップされる可能性が強いと思います。今、全てのお産の数の46%ぐらいが 有床診で行われている。地方にいくと、これが56%ぐらいになったはずです。そうする と、現実の姿を無視することはできない。しかし、有床診において、助産師の数という のは圧倒的に少ない。どうにもならないから高齢の方をパートで1人雇い、何とかして いますという話も出てくるわけです。全体の傾向として、この学会の先生方が、お産は 病院で、有床診は検診でいこうという方向性というのは、おぼろ気ながらに見えている かもしれませんが、現実問題はそんなに簡単に片付かないと考えることが正しいと思い ます。いま助産師がどのような状況にあるのかということを、この場が無理であれば、 他の場でもいいですから考えて、何とか把握していただければと思います。 ○宮武座長  ご意見、ご要望として聞いていただければということですね。 ○菊池委員  いくつか細かい点ですが、3頁の「需要数の推計」、育児休業の算定のところです が、従業員が300人以上の所は、次世代育成支援のための事業主行動計画を立てること になっていると思います。各病院などで、その計画を立て、どのくらいの人が休暇を取 るか、代替要員をどう確保するかという計画を立てられると思うので、そのようなこと も考慮することを加えてはどうかと思います。  2点目ですが、4頁の「夜勤体制」について、医療密度が高くなってきており、特に 急性期一般病棟の場合は、夜間の業務が多く、昼間に近い形になっております。全国の データを見ても3人以上ということでシフトしてきていますが、これからの変化を考え ると、ますます忙しくなってくるのではないか。サービスの質の確保という観点から、 入院患者数10人に1人ぐらいの看護職員の配置が必要ではないかと考えますので、それ を入れていただきたいと思います。  3点目に、4頁の産婦人科病棟の分娩件数を踏まえた助産師数の算定についてです が、確かに、分娩は基本的な助産師の業務として重要だと思いますが、最近ではお母さ ん方へのお産までのいろいろなケアや指導、生まれた後の母乳の保育についての相談、 乳房マッサージ、育児不安を抱えた方への相談など、お母さん方から質の高いサービス が求められているということがありますので、分娩件数は踏まえても、サービスの質を 上げた形での算定の仕方を考慮するような表現にしていただければと思います。  5頁の病院管理部門についてですが、医療安全の観点から、リスクマネージャーは非 常に重要な役割を果たしていますが、現在、リスクマネージャーを置いてはいても、兼 務の施設も結構あり、実際に病院の中で役割を果たすために、専任で配置しなければ十 分な役割を果たせないことから、リスクマネージャーや感染管理担当者の配置は専任で 確保することで書き込んでいただければと考えます。 ○宮武座長  育児休業についても次世代育成支援で行動計画を作るということは、当然、都道府県 もご存じなわけで、この要望書以外のところにそのような留意点を書く、この検討会で の意見を書くということになると思います。夜勤体制についても、菊池委員の要望は3 人以上というところに具体的な数値を書き込むようにということですか。意見として併 記するのではなく、本文に書くようにとの要望ですか。 ○菊池委員  本文に書いていただければと思います。 ○宮武座長  これについては委員それぞれにご意見があるかと思いますが、いかがでしょうか。 ○田村委員  夜勤のことですが、10人に1人などのように書いていただかないと、病棟の中の忙し さ、科によっても違ったりするとは思いますが、背景やユニットなどを取っている所は 規定されているからいいのです。60床に3人というのと、40床に3人となってきますの で人員を入れてほしいと思います。 ○西澤委員  看護職の方の労働条件が非常に厳しいことはわかっているのですが、一般病棟と言っ ても、その病院によって入院患者の質や状態が全く違うので、一律に入れてしまうのは ちょっと無茶ではないかという気がします。この程度の中で考慮していただき、実態調 査をするときに、その病院が本当に医療度の高い人がいる場合は、当然その人数でくる でしょうし、そうではない場合にはこれでよいと言ってくれるので、少し柔軟性を持た せて、私はこのままのほうがいいのではないかと思います。 ○宮武座長  この件について、他に何かご意見はありますか。この場合、賛否を採って多いほうの 意見をというわけにはいかないと思います。 ○田村看護課長  夜勤体制の場合、入院患者10人に対して1人夜勤を入れることになると、病床50床で 夜勤5人、深夜5人、準夜5人となります。そのような体制になると、基本的に1.5対 1の看護職員配置をキープしないと、夜勤は入院患者10人に対して1人ということには ならないだろうと思います。そうなると、状況は難しいと考えます。医療密度の高い一 般病床というものが持つ意味合いをどのようにイメージするか。下のほうに書いてあり ますがICUやCCU、背景やユニットといったレベルだけを想定するのか、もう少し イメージとして普通ケアに近いところまで広げるのか、さまざまなイメージがあると思 いますが、10人に1人というのは、現実的には非常に厳しい数字になってしまうのでは ないかという印象を持っております。 ○田村委員  夜勤のことですが、いま、現場では抑制廃止ということがよく言われているのです が、夜勤になると日勤との格差があって、抑制しなければいけない。したくはないのだ が、現状を見ていけないからしなければいけないということもありますので、柔軟にす ることはいいのですが、その辺を加味した良い方法があればお願いしたいと思います。 抑制しているのが現実ではないかと思います。 ○浅川委員  今回はこのぐらいでいいのではないかと。あまり書き過ぎると、次の調査のときに不 自由になると思います。今の意見は、現場から考えると本当にもっともだと思いますの で、調査の時点でどのようなタイプの病棟、どんな患者を預かっている病棟ではどの程 度の夜勤配置なのか、本当はどのような配置にしたいのかといった辺りが把握できたと きに、初めて特徴を持った算定ができるのではないかと考えます。 ○宮武座長  菊池委員、いかがでしょうか。夜勤体制が大変厳しい中で働いていることは重々承知 しておりますし、より多く改善しなければいけないことも当然わかっているわけです が、ここに「10人に1人」と書くことで、逆に、その意味合いのとらえ方が難しくなっ てくる。3人以上の夜勤体制をベースということにしておき、この検討会でこの種の意 見があったということを付記して都道府県に伝える、そのような形で納得していただけ るかどうかということです。 ○菊池委員  4頁の表現を見たとき、「医療密度の高い一般病床」と書いてあったので、背景やユ ニットほどではないが、医療密度が高いというレベルかと思いました。いまの診療報酬 でも入院基本のいちばん高い基準のところで、2対1が1.7対1まですでにいっていま すので、これから医療密度はますます高まるだろうと考えると、やはり1.5対1ぐらい まではどうしても必要になるのではないかと思います。そのような意味で、夜勤も10対 1ぐらいにはなるのではないか。今後の5年間を見通すという意味で、これから夜勤の 問題は非常に大きくなると思いますから、それぐらいを見越したほうがいいのではない かということで意見を申し上げました。  現実的には厳しいという意見もありましたが、やはりどのような体制をつくるべきか という見通し、理念を考えたときに、10対1ぐらいは入れていただきたいというのが本 音です。医療密度の高い一般病床という表現をどのように取られるかで、実際には調査 の仕方、書き方がちょっと違うのではないかと思うので、その辺を区分できるような調 査で工夫ができれば、段階別の基準の設け方もできるのではないかと思いますが、いま すぐには提案できませんから、そこを工夫していただければと思います。 ○宮武座長  調査表のひな型を作るときに、将来的にはより密度の濃い看護体制を取るということ が含まれていればということですね。それはこれから作ることになっていますので、事 務局がその要望を活かせるような形にするということでよろしいですか。 ○花井委員  夜勤のところで、二交代の場合の適切な回数という表現があるのですが、これは当然 64時間という時間が前提とされているのかということの確認が1つあります。もう1 つ、先ほどフレキシブルにという話が出て、この文章をあまり変えないという話ですか ら意見として述べたいのですが、交代制の場合、勤務と勤務の間隔がどのくらいかとい うことで、もちろん患者にとっての安全もありますが、働いている看護師の健康問題を 考えると、例えば4週64時間という時間は前回と比べると少なくなっているのでこのま までいいと思うのですが、その間隔がどうかということがこれだけでは担保されないと いう問題があります。今回ここで直してほしいということではなく、ILOで決められ ている、勧告で出されているような12時間の間隔を置く、夜勤と夜勤の間は勤務の間隔 を置くということも本当は考えていただきたいという要望があります。  下のところに、「産科・産婦人科病棟」というのがあるのですが、分娩数もそうかも しれませんが、これからの5年間を考えたときに、いま婦人科の診療所やクリニックが 随分増えており、病院の中でも女性専用の診療科があちこちに出来ています。また、女 性もそれを要望しているという状況がありますので、そこが今後増えていくのではない かという思いを持っています。もちろん、いまここでというのはなかなか難しいのです が、もし、その辺の考えがあれば、そのようなことについてどのようにとらえているの かお聞かせていただきたいと思います。 ○野口看護職員確保対策官  最初の4週当たり64時間以内を基本ということについてですが、この文章上、わかり にくくて恐縮ですが、二交代、三交代の前に書いてあり、先ほど口頭で説明したとお り、全体を含めて4週当たり64時間以内を基本とするということで、全体にかかってい るのです。その中で、三交代の場合、特に1人月8日以内という基準をつくり、二交代 の場合はさまざまな労働時間があるので、就労時間により適切な回数を考慮するという ことになります。この表現は非常に抽象的ですが、花井委員の言われた適切なという意 味では、その気持は込めたというところです。  女性外来については、最近非常に増え、ニーズも高くなっているということは承知し ておりますが、それをここに書くほどではないということで書いてありません。これは あくまでも概要ですので、今後さらに調査項目等の請求をする中で、指摘も踏まえて検 討を深めていきたいと思っております。 ○尾形委員  全般的なコメントを1点、個別のコメントを1点述べたいと思います。細かい点は別 として、今日提示されたペーパーは、全体としては都道府県からの意見をかなり取り入 れる形で、良いものになっているのではないかと思います。先ほど事務局の説明にもあ ったように、都道府県の予算を確保するという戦略的な観点からすると、細かい点の補 足は追ってやるにしても、このようなものはできるだけ早く出してやったほうがいいの ではないかと思います。それが全体的なコメントです。  個別の事項ですが、5頁の病院の「外来部門」のところで、最初に「医療ニーズの高 い外来患者の増加を考慮する」と書いてあり、これはこれで結構ですが、先ほど菊池委 員からもあった、外来機能の変化をこれに入れてはどうかと思います。日帰り手術の増 加のように、従来、入院機能で担っていた部分が外来に変わってきているという変化、 広い意味では医療ニーズが高いということに包含できるかもしれませんが、ちょっと違 うのではないかということが1つあります。  一方で、入院と外来の機能分化、特に急性期の病院では入院中心になってくるという 点からすると、外来機能そのものが変化してくることを踏まえた表現を入れてはどうか と思います。 ○上泉委員  調査項目についてですが、今回の需給見通しの基本的な考え方として、良質で安全な 看護の提供という質的な部分が加味されたことが、非常に大きな点ではないかと思って おります。そのようなことを考えると、調査項目に、例えば看護サービスの質に関連す る調査もするといったことを加えてはどうかと思いました。 ○宮武座長  鎌田委員、介護保険の見直しなどで、だいぶ変化が生じてくるのではないかと思いま すが、その観点からご覧になっていかがですか。 ○鎌田委員  特養の問題などでは、地域では3年先ぐらいまでに特養や老健の新築という議論をか なりしているので、県レベルで言えば、それはたぶん把握できると思います。特養の実 態調査だけではなく、新築する可能性の高いことに関しては推定ができるので、それは 少しどこかに加えておいたほうがいいのではないかと思います。全体を通しては尾形委 員と同じで、県に連絡をするという意味では十二分だと思います。厚生労働省は足りて いると言っているのに、現場では足りていないのではないかという感覚の違いがあった わけですが、このぐらいまでいければ、感覚の違いを埋められるような調査をするとい うことが県に伝わっていくのではないかということで、全体的には賛成です。 ○宮武座長  だいぶ時間が経過しましたが、この検討会そのものについては、しばらくお休みをい ただくということになるのでしょうか。制度改正等の議論がまとまったころに、再開す ると聞いておりますが、今後のスケジュールも含めて事務局より説明をお願いいたしま す。 ○野口看護職員確保対策官  先ほどご議論いただきましたとおり、今回の資料2については、いまの時点で直した ほうがいいだろうということで、各委員の了解が得られるところを中心に、少し追加修 正をさせていただきたいと思います。それについては座長と相談しながら、検討会をも う1回開くということではなく、各委員に了解を得た上で、各県に示すというプロセス を取らせていただきたいと思います。  次回の検討会についてですが、これまでの日程でいうと、次回はより細かなことを含 めたもので、2月ぐらいに開催し議論いただいて、4月からの県の調査に活かすという 段取りでしたが、委員の方々から2月ではなく、もっと早期の開催が必要ではないか、 もう少し検討時間がいるのではないかという意見も寄せられております。ただ、まだよ く見えないさまざまな制度改正の動向もありますので、次回開催して、どこまでの検討 をすることが可能かという状況や委員の日程調整の問題も踏まえて、2月よりも早く開 催できるのであれば、また座長と相談した上、考えさせていただきたいと思っておりま す。 ○宮武座長  2月より早く開くときには、都道府県に示す調査表のひな型をご覧いただき、検討し てもらうことになるのでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官  そのようなこともあり得るかと思います。その途中段階のものなのか、あるいは、そ れまでのさまざまな制度改正の状況であるのか。とにかく、議論していただきたい事項 の熟度が高まった段階で、またご相談させていただきたいと考えております。 ○宮武座長  わかりました。ひな型については、間に合うか間に合わないかは別としても、各委員 に相談し、これでいいかどうかといったことになるわけですか。 ○野口看護職員確保対策官  はい。 ○宮武座長  わかりました。開催しないときにも、事務局から連絡があって、調査表のひな型等に ついてご意見を賜ることがありましたら、是非ご協力をお願いいたします。本日は以上 で会議を終了いたします。 ┌───────────────┐ |照会先            | | 厚生労働省医政局看護課   | | 赤熊(内2593)、吉武(内2597)| | ダイヤルイン 03-3591-2206  | └───────────────┘