第1 |
・3 研究者等が遵守すべき基本原則
(1) |
研究者等は、疫学研究を実施する場合には、事前に、研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則とする。 |
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第3 |
・7 研究対象者からインフォームド・コンセントを受ける手続き等
研究対象者からインフォームド・コンセントを受ける手続等は、原則として次に定めるところによる。
ただし、疫学研究の方法及び内容、研究対象者の事情その他の理由により、これによることができない場合には、倫理審査委員会の承認を得て、研究機関の長の許可を受けたときに限り、必要な範囲で、研究対象者からインフォームド・コンセントを受ける手続を簡略化すること若しくは免除すること又は他の適切なインフォームド・コンセント等の方法を選択することができる。
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<細則>
倫理審査委員会は、インフォームド・コンセント等の方法について、簡略化若しくは免除を行い、又は原則と異なる方法によることを認めるときは、当該疫学研究が次のすべての要件を満たすよう留意すること。
(1) |
当該疫学研究が、研究対象者に対して最小限の危険を超える危険を含まないこと。 |
(2) |
当該方法によることが、研究対象者の不利益とならないこと。 |
(3) |
当該方法によらなければ、実際上、当該疫学研究を実施できず、又は当該疫学研究の価値を著しく損ねること。 |
(4) |
適切な場合には、常に、次のいずれかの措置が講じられること。
ア |
研究対象者が含まれる集団に対し、資料の収集・利用の内容を、その方法も含めて広報すること。 |
イ |
できるだけ早い時期に、研究対象者に事後的説明(集団に対するものも可)を与えること。 |
ウ |
長期間にわたって継続的に資料が収集又は利用される場合には、社会に、その実情を、資料の収集又は利用の方法も含めて広報し、社会へ周知される努力を払うこと。 |
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(5) |
当該疫学研究が社会的に重要性が高いと認められるものであること。 |
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(1) |
介入研究を行う場合
(1) |
人体から採取された試料を用いる場合
ア |
試料の採取が侵襲性を有する場合(採血の場合等をいう。以下同じ。)
文書により説明し文書により同意を受ける方法により、研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則として必要とする。 |
イ |
試料の採取が侵襲性を有しない場合
研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則として必要とする。この場合において、文書により説明し文書により同意を受ける必要はないが、研究者等は、説明の内容及び受けた同意に関する記録を作成しなければならない。 |
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(2) |
人体から採取された試料を用いない場合
ア |
個人単位で行う介入研究の場合
研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則として必要とする。この場合において、文書により説明し文書により同意を受ける必要はないが、研究者等は、説明の内容及び受けた同意に関する記録を作成しなければならない。 |
イ |
集団単位で行う介入研究の場合
研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを必ずしも要しない。この場合において、研究者等は、当該研究の実施についての情報を公開し、及び研究対象者となる者が研究対象者となることを拒否できるようにしなければならない。 |
<細則>
1 |
研究対象者となることを拒否した者については、個人情報は収集しないが、集計に当たっての母集団に加えることができるものである。 |
2 |
この場合の情報公開は、特に研究対象者が情報を得やすい形で行われることが必要である。 |
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(2) |
観察研究を行う場合
(1) |
人体から採取された試料を用いる場合
ア |
試料の採取が侵襲性を有する場合
文書により説明し文書により同意を受ける方法により、研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則として必要とする。 |
イ |
試料の採取が侵襲性を有しない場合
研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則として必要とする。この場合において、文書により説明し文書により同意を受ける必要はないが、研究者等は、説明の内容及び受けた同意に関する記録を作成しなければならない。 |
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(2) |
人体から採取された試料を用いない場合
ア |
既存資料等以外の情報に係る資料を用いる観察研究の場合
研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを必ずしも要しない。この場合において、研究者等は、当該研究の実施についての情報を公開し、及び研究対象者となる者が研究対象者となることを拒否できるようにしなければならない。 |
イ |
既存資料等のみを用いる観察研究の場合
研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを必ずしも要しない。この場合において、研究者等は、当該研究の実施についての情報を公開しなければならない。 |
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第3 |
・8 代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける手続
研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることが困難な場合には、当該研究対象者について疫学研究を実施することが必要不可欠であることについて、倫理審査委員会の承認を得て、研究機関の長の許可を受けたときに限り、代諾者等(当該研究対象者の法定代理人等研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられる者をいう。)からインフォームド・コンセントを受けることができる。
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<細則>
研究対象者本人からインフォームド・コンセントを受けることが困難であり、代諾者等からのインフォームド・コンセントによることができる場合及びその取扱いは、次のとおりとする。
(1) |
研究対象者が痴呆等により有効なインフォームド・コンセントを与えることができないと客観的に判断される場合 |
(2) |
研究対象者が未成年者の場合。ただし、この場合においても、研究責任者は、研究対象者本人にわかりやすい言葉で十分な説明を行い、理解が得られるよう努めなければならない。また、研究対象者が16歳以上の場合には、代諾者とともに、研究対象者本人からのインフォームド・コンセントも受けなければならない。 |
(3) |
研究対象者が死者であって、その生前における明示的な意思に反していない場合 |
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第4 |
・10 資料の保存及び利用
(2) |
人体から採取された試料の利用
研究者等は、研究開始前に人体から採取された試料を利用する場合には、研究開始時までに研究対象者から試料の利用に係る同意を受け、及び当該同意に関する記録を作成することを原則とする。ただし、当該同意を受けることができない場合には、次のいずれかに該当することについて、倫理審査委員会の承認を得て、研究機関の長の許可を受けたときに限り、当該試料を利用することができる。
(1) |
当該試料が匿名化されていること。 |
(2) |
当該試料が匿名化されていない場合において、次のア及びイの要件を満たしていること。
ア |
当該疫学研究の実施についての情報を公開していること。 |
イ |
研究対象者となる者が研究対象者となることを拒否できるようにすること。 |
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第4 |
・11 他機関等の資料の利用
(2) |
既存資料等の提供に当たっての措置
既存資料等の提供を行う者は、所属機関外の者に研究に用いるための資料を提供する場合には、資料提供時までに研究対象者から資料の提供に係る同意を受け、及び当該同意に関する記録を作成することを原則とする。ただし、当該同意を受けることができない場合には、次のいずれかに該当するときに限り、資料を所属機関外の者に提供することができる。
(1) |
当該資料が匿名化されていること。 |
(2) |
当該資料が匿名化されていない場合において、次のア及びイの要件を満たしていることについて倫理審査委員会の承認を得て、所属機関の長の許可を受けていること。
ア |
当該疫学研究の実施及び資料の提供についての情報を公開していること。 |
イ |
研究対象者となる者が研究対象者となることを拒否できるようにすること。 |
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(3) |
社会的に重要性の高い疫学研究に用いるために人の健康に関わる情報が提供される場合において、当該疫学研究の方法及び内容、当該情報の内容その他の理由により(1)及び(2)によることができないときには、必要な範囲で他の適切な措置を講じることについて、倫理審査委員会の承認を得て、所属機関の長の許可を受けていること。 |
<細則>
1 |
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既存資料等の提供を行う者の所属する機関に倫理審査委員会が設置されていない場合において、(2)又は(3)の倫理審査委員会の承認を得ようとするときは、他の機関、公益法人、学会等に設置された倫理審査委員会に審査を依頼することができる。 |
2 |
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倫理審査委員会は、(3)により、他の適切な措置を講じて資料を提供することを認めるときは、当該疫学研究及び資料の提供が、7柱書の細則の(1)から(5)までのすべての要件を満たすよう留意すること。 |
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