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社保審―医療保険部会 資料4
第10回 (H16.10.22)


参考資料(医療費適正化関係)


(1)医療費関係


医療費の動向

医療費の動向のグラフ
注:1) 2000年4月から介護保険制度が施行されたことに伴い、従来医療費の対象となっていた費用のうち、一部介護保険の費用に移行。
2)
出典: GDP・・・平成16年国民経済計算年報(内閣府)、国民医療費・・・平成14年度国民医療費の概況(厚生労働省)、
老人医療費・・・平成14年度老人医療事業年報(厚生労働省)


老人医療費の推移と経済の動向

老人医療費の推移と経済の動向のグラフ

過去10年間の年平均伸び率

国民医療費
(若人、老人
を含む全体
の医療費)

 3.4%
老人医療費  6.6%

高齢者数  4.3%

GDP  0.4%

注1.  国民医療費と老人医療費
については、12年度を除いた
平均である。
2.  GDPの伸び率は、内閣府
『国民経済計算』(平成15年
12月発表)による。

平成12年度の介護保険の創設により国民医療費の一部が介護保険に移行している。
出典: GDP・・・平成16年度国民経済計算年報(内閣府)、国民医療費・・・平成14年度国民医療費の概況(厚生労働省)
老人医療費・・・平成14年度老人医療事業年報(厚生労働省)


国民医療費の見通し

国民医療費の見通しのグラフ

注1:老人医療は平成19年まで対象年齢の引き上げが行われていることに注意が必要。

注2:平成22年度及び37年度の推計値は「社会保障の給付と負担の見通し」(平成16年5月)に用いられた医療費であり、以下の前提をもとに厚生労働省保険局調査課が推計。

(1)将来の人口:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」の中位推計

(2)医療費の伸び:1人当たり医療費の伸びの平成7〜11年度の平均。ただし、加入者の年齢構成の変化による増減分(高齢化分)と制度改正による一時的な延びの減少分を除いたもの(一般医療費2.1%、高齢者医療費3.2%)

(3)年齢階層別1人当たり医療費:平成16年度予算の基礎数値より推計


老人:1人当たり医療費の地域格差(平成14年度)

老人:1人当たり医療費の地域格差(平成14年度)のグラフ

注:1人当たり医療費は、全国平均(73万6,512円)で除して指数化したものを記載した。
資料出所:厚生労働省保険局「老人医療事業年報」(平成14年度)


(2)都道府県ごとの医療特性の比較


生活習慣病受療率の地域差

生活習慣病受療率の地域差のグラフ

資料出所:  厚生労働省大臣官房統計情報部「患者調査」(平成14年)


人口10万対病床数

人口10万対病床数のグラフ

注: 病床数は、病院の病床数と一般診療所の病床数の合計から、介護療養型医療施設の病床数を減じたものである。
資料出所: 厚生労働省大臣官房統計情報部「医療施設調査」(平成14年)、「介護サービス施設・事業所調査」(平成14年)


平均在院日数

平均在院日数のグラフ

注: 精神病床、感染症病床、結核病床を除く病床の平均在院日数である。
資料出所: 厚生労働省大臣官房統計情報部「病院報告」(平成14年)


老人1人当たり日数(入院外)

老人1人当たり日数(入院外)のグラフ

資料出所: 厚生労働省保険局「老人医療事業年報」(平成14年度)


老人1人当たり訪問看護件数

老人1人当たり訪問看護件数のグラフ

注: 老人1人当たり訪問看護件数は、訪問看護(老人保健分+介護保険分)件数/老人医療受給対象者数である。
資料出所: 厚生労働省保険局「老人医療事業年報」(平成14年度)、老健局「介護保険事業状況報告年報」(平成14年度)


都道府県別基本健診受診率(平成14年度)

最高(山形県・64.9%)と最低(高知県・25.6%)の格差は2.5倍

都道府県別基本健診受診率(平成14年度)のグラフ

(出典:平成14年度地域保健・老人保健事業報告)


介護保険第1号被保険者1人当たり支給額(居宅・施設別)

【 都道府県別 】

【 都道府県別 】のグラフ

※1 第1号被保険者数は平成16年3月末現在の数値を使用。
※2 支給額(高額介護サービス費等は除く)は第1号被保険者分のみ使用。
(出典:介護保険事業状況報告(平成16年3月サービス分))


(参考)施設利用率と給付費水準の関係

○ 施設利用率と平均給付額は、極めて強い相関関係が見られる。

施設利用率と高齢者1人当たり給付月額 平成15年10月

施設利用率と高齢者1人当たり給付月額 平成15年10月のグラフ

出典:介護保険事業状況報告(平成15年10月)


(3)医療費適正化の具体的施策


ア.保健事業の推進

健康づくりに関する現行の都道府県の主たる役割

健康づくりに関する現行の都道府県の主たる役割の図


保健事業による医療費適正化の具体例

1. 地域保険(国保)における取組み例
(1)Y県S村
(太田壽城ほか「地域の健康づくり活動における経済的分析・評価に関する研究」(平成9年厚生科学研究)等より)

具体的な取組み
 S村では昭和50年代の国保医療費がY県の平均や近隣町村に比し高かったことから、国保医療費適正化を図るため、住民健診(出張人間ドック)の普及、具体的には、総合健診化、住民組織の活用による受診勧奨、健診スタッフとしての住民の参加の促進に取り組んできた。
 また、健診結果を踏まえ、保健師の戸別訪問等による健康相談、地区栄養推進員による病態別食事の紹介・試食等を行ったり、健診データ、受療状況、投薬の記録などをつづる村独自の手帳を開発・活用したりしている。

  ※成功の要因: 村営診療所の医師が保健事業に協力的
厚生農業協同組合連合会からの健康運動指導士や栄養士等専門職の派遣

上記保健事業の医療費への影響
 健診受診率が50%を超えた時期から、 国保医療費(老人)はY県全体に比して相対的に減少。
   ※ 健診受診率
50年代 約40% → 昭和60年 約45% → 平成2年 約69% → 平成7年 約74%
   ※ 老人医療費(Y県平均との差)
昭和56年 +0.3万円 → 昭和60年 +0.7万円 → 平成2年 −8.3万円 → 平成7年 −25.3万円

上記保健事業の費用等
 健診費用3万5千円/人(18歳以上の受診者全体の費用と老人医療費の減少を比較すると、年間約1,000万円の効果(試算))

(2)国保ヘルスアップモデル事業

   一次予防に重点を置いた健康づくり事業として、糖尿病、脳卒中等の生活習慣病の予備軍に対する個別健康支援支援プログラムを開発・実践し事業の分析・評価を行う事業である。
 指定市町村(平成14年度から16年度にかけて指定)において、指定を受けた年度から3年間事業を実施。

A 福島県二本松市(平成14年度指定市)

 (1)  個別健康支援プログラムの概要−地域社会資源を活用した、運動を中心とする短期集中型個別・集団教室−

 教室での集団指導に加え、検査結果に基づく個別相談を実施。地域にある複数の運動増進施設を使用して、有酸素運動、筋力強化、ストレッチ体操をセットにした運動指導を中心として、2ヶ月間計8回にわたり健康教室を実施。(平成14年度介入群数185名、対照群数194名)

 (2)  介入後1年後の結果

 介入群において、介入前の健康診査結果と介入後1年後の健康診査結果に総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、BMIにおいて有意な改善がみられた。
 生活習慣においても、健康のために何かしている人の割合、適正体重を知っている人の割合、週2回以上運動をする人の割合に有意な増加がみられた。

 (3)  医療費への影響

 (平成14年度の介入群・対照群における介入前後の3ヶ月間のレセプト分析) 介入により、レセプト件数、点数、日数を減らせることが示唆された。

入院外、入院レセプト件数 介入群の介入前後で減少し、対照群で増加
入院外総レセプト点数および日数 介入群の介入前後で微増、対照群で大幅増
入院レセプト点数および日数 介入群の介入前後で大幅減、対照群で大幅増

B 神奈川県藤沢市における取組例(平成14年度指定市)

 (1)  個別健康支援プログラムの概要−専門職による徹底した個別健康相談、指導プログラム−

 看護職による個別の健康相談を出発点とし、3つのコースを設定。
 (平成14年度介入群数978人、対照群数4570人)

コース1 健康診査後の事後指導として個別の健康相談を年1回行い「個人目標を設定」
コース2 個別の健康相談後に、管理栄養士による個別栄養相談を1回実施、集団指導教室は任意参加
コース3 個別の健康相談に健康運動指導士等による個別運動トレーニングを週1回自主的に継続、希望者には栄養指導、集団教室は任意参加

 (2)  介入後1年後の結果

コース1 喫煙者の割合の減少、1年後の健康診査受診率の向上
コース2 HDLコレステロール、中性脂肪、体重、BMIに有意な改善。対照群との比較においても多くの改善がみられた
コース3 HDLコレステロール、空腹時血糖、体重、BMIに有意な改善。対照群との比較においては、体重、BMI、運動習慣、健康意識等において有意な差がみられた

 (3)  医療費への影響

 (コース1から3の介入前1年、加入開始年、介入開始2カ年後の介入群、対照群の年間医療費を分析)
介入により、1件あたり費用額、1人あたり費用額、1件あたり日数に減少の傾向が示唆された。

1件あたり費用額 介入群でわずかに減少
1人あたり費用額 介入群でわずかに減少
1件あたり日数 介入群で減少

2. 職域保険における取組み例
(1)従業員約1万人の現業系企業N社の健康保険組合
(太田壽城ほか「職域における健康増進の経済効果に関する研究」(平成9年厚生科学研究)及び同組合からの聞き取りより)

具体的な取組み

1991年度より全組合員を対象に毎年1回の体力測定と事後指導を実施(※)
 測定機器を持つ民間事業者に体力測定を委託し、事業者の専属トレーナーが、体力測定の結果を踏まえ、被保険者に対して事後指導として個別にアドバイスを行う、という形で実施。
 体力測定のメニューは、最大酸素摂取量、上体おこし、座位体前屈、上体そらし、体重、血圧、体脂肪量、握力等。
 事後指導に当たっては、個別に、屈伸力が弱い者に対して自転車を勧めたり、体脂肪が高い者に対してウオーキングを勧めたりすることなどにより、被保険者の健康意識を高め、運動習慣を増加。

上記保健事業の医療費等への影響

 (1) 傷病件数、総傷病日数
 1986年度〜1993年度の年度平均 傷病件数 700件程度、総傷病日数 13000〜15000日
 → 体力測定開始後3年後の1994年度以後は20〜30%減少
(傷病手当金の年間総額と標準報酬月額比も減少)

 (2) 医療費
 体力測定開始後3年後の1994年度から格差指数(健保組合医療費通覧で把握した全組合値に対するN社健保の値)が減少傾向

 1994年度から1995年度にかけて、運動習慣が増加し、全国調査に比し運動習慣を有する者の比率が高いこと、運動習慣のある中高年齢層での収縮期血圧や中性脂肪、血糖の異常者の発生が低いことから、体力測定による効果が得られたと推測

上記保健事業の費用等

 1994年度における費用と効果を経済的に評価すると、4,040円/人・年のプラス(全社では年間3,857万円)(試算)

(2)従業員約6千人の食料品メーカーM社の健康保険組合
 (「健康保険組合保健事業活動事例集」(平成15年度健康保険組合連合会)及び同組合からの聞き取り)

具体的な取組み 特に健診後のフォローの充実

 ・ 4年度〜  ウオーキングの奨励
 ・ 9年度〜  エンジョイウオーキングとして、被保険者に対して歩数計を貸与して実施、健診後の保健指導の充実
(ヘルシーアップ対策(※)の開始)
 ・ 12年度〜  BMI-25以上の者の健康状態の改善の推進
 ・ 14年度〜  糖尿病予防の推進
 ・ 15年度〜  被扶養者への保健指導(健診後の文書指導の充実、ウオーキングなどへの参加呼びかけ。それまでは主婦健診のみ。)

  ※ヘルシーアップ対策(健診後のフォローと自主的健康改善)

 (1)保健指導(対象者は、高血圧、BMI-30以上、新入社員、事業所として必要と認めた者、継続フォローが必要な者、希望者)、(2)BMI対策、(3)糖尿病予防対策からなる。(1)、(2)については、個々の被保険者に対して現在のライフスタイルと健康改善の目標等をカードに記入させ、それに基づいて保健指導を実施。(3)については、要経過観察・経過観察中の者を対象に再検査を行い、保健指導を実施。

上記保健事業の医療費への影響
 ・ 医療費 69,984万円(14年度)→59,365万円(15年度。△15%)
 ・ 糖尿病に係る医療費 3,160万円(11年度)→1,520万円(14年度)→1,353万円(15年度)
 ・ 平成10年度から12年度までのウオーキング完歩者(9月からの2ヶ月間で1日1万歩以上合計60万歩以上の者)と不参加者についての、平成9年度と12年度の医療費の比較

  平成9年度医療費平均 平成12年度医療費平均
完歩者(男性) 10万9668円 10万5498円(△3.8%)
完歩者(女性) 10万1959円 9万7012円(△4.9%)
不参加者(男性) 11万5625円 11万7973円(+2.0%)
不参加者(女性) 9万7532円 9万7339円(△0.2%)

上記保健事業の費用
 約2,000万円(うち、ヘルシーアップ対策に約500万円)


イ.急性期医療の質の向上と効率化


医療提供体制の確保に関する現行の都道府県の主たる役割

医療提供体制の確保に関する現行の都道府県の主たる役割の図


急性期医療の質の向上と効率化に関する
診療報酬上の主な施策について


平成4年度
 (常勤医師数・外来入院患者比率に基づく評価)
 ・ 保険医療機関の常勤医師数・外来入院患者比率に応じた入院時医学管理料加算の新設

平成9年度
 (平均在院日数・紹介率に基づく評価)
 ・ 保険医療機関の平均在院日数に応じた入院時医学管理料の体系化(急性期入院加算の新設)

平成12年度
 (外来機能の分化の促進)
 ・ 外来における機能分化を進めるため、200床以上の病院における外来診療料を新設、逆紹介を評価
 (入院基本料の創設)
 ・ 看護体制、平均在院日数等の基本的な入院医療の体制を総合的に評価する入院基本料を新設し、初期加算・長期減算をそれぞれ設定
 (紹介率の高い病院、地域において高度な急性期入院医療を行う病院の入院医療の評価)
 ・ 紹介外来加算・紹介外来特別加算の新設
 ・ 急性期特定病院加算の新設

平成14年度
 (大病院の再診に係る特定療養費制度の導入)
 ・ 200床以上の病院の再診に係る特定療養費制度の導入
 (病床機能の分化の促進)
 ・ 精神科救急入院料の新設
 (重症患者等の入院割合に応じた評価)
 ・ 特定集中治療室管理料について、重症患者等の入院割合に応じた評価の見直し

平成15年度
 (急性期入院医療に係る包括評価の実施)
 ・ 特定機能病院(82病院)における急性期入院医療に係る診断群分類別包括評価(DPC)の実施

平成16年度
 (DPCの試行的適用)
 ・ 急性期入院医療に係る診断群分類別包括評価(DPC)の民間病院等における試行的適用の開始(62病院、2年間)
 (病床機能の分化の促進)
 ・ ハイケアユニット入院医療管理料の新設
 ・ 亜急性期入院医療管理料の新設
 ・ 臨床研修機能病院入院診療加算の新設

(参考)

入院基本料加算 点数 算定要件 医療機関数
入院時医学管理加算 60点/日
14日を限度
常勤医師数:許可病床数の12/100以上
外来入院患者比率:1.5以下
102
紹介外来加算 100点/日
(特定機能病院は140点)
14日を限度
許可病床数:200床以上
紹介率:30%以上
488
紹介外来特別加算 50点/日
14日を限度
紹介外来加算の要件を満たすこと
外来入院患者比率:1.5以下
162
急性期入院加算 155点/日
14日を限度
紹介率:30%以上
平均在院日数:17日以内
診療録管理体制、医療安全管理体制の基準
332
急性期特定入院加算 200点/日
14日を限度
紹介患者比率:30%以上
平均在院日数:17日以内
外来入院患者比率:1.5以下
診療録管理体制、医療安全管理体制の基準
19

※医療機関数は平成14年7月1日現在


「医療提供体制の改革のビジョン」(平成15年8月)及び平成14年3月医療部会意見書の進捗状況(抄)

項目 記載内容 進捗状況
(2)  質が高く効率的な医療の提供
III  質の高い効率的な医療提供体制の構築
(1) 医療機関の機能分化・重点化・効率化
 一般病床と療養病床の区分の推進
(1)  一般病床、療養病床の区分届出についての周知徹底
(1)  第四次医療法の改正により、病院の病床は、「一般病床」、「療養病床」、「精神病床」、「感染症病床」、「結核病床」に区分されているが、このうち、「一般病床」と「療養病床」の区分の届出が平成15年8月31日までに適切に行われるよう、それぞれの基準の内容等について、引き続き、周知徹底を図る。
 平成15年9月現在、第四次医療法改正による病床区分の届出について、届出が必要なすべての病院について届出が受理された。(平成15年9月調査結果公表)
(2)  医療計画の見直し
(2)  病床区分の定着後の基準病床数の算定式の策定や医療計画の記載事項の拡充など、地域の実情を踏まえて医療計画の見直しを進める。
 平成15年8月から「医療計画の見直し等に関する検討会」において検討中。平成16年12月を目途に報告書とりまとめ予定。
・検討のポイントは以下の通り。
 ア  現行制度の評価と今後の在り方
(ア)  現行の医療計画制度についての効果の検証・評価
(イ)  医療計画見直しの検討の参考とするため諸外国の医療計画制度 についての調査研究 等
 イ  現行の医療計画に係る課題
(ア)  基準病床数の新たな算定式
(イ)  病床の特例制度及び既存病床数の補正の取扱い
(ウ)  公私の役割分担の明確化等、記載事項の見直し 等
 <医療部会意見書>
 2 病院病床の機能の明確化・重点化
   地域医療計画については、本来社会が求めている機能に対して新規参入規制になっている面があるとしたら、議論すべきという意見があった。
留意事項
 「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月閣議決定)において、医療計画の病床規制の結果、既存の病床が既得権益化され、当該地域に質の高い医療機関が参入することを妨げている等の問題点が指摘され、平成17年度前半までに病床規制の在り方を含めて医療計画について検討し、措置するべきであるとされている。
 機能分化の推進
(3)  機能分化の推進
(3)  医療法に基づく一般病床と療養病床の区分を基本とし、患者がその病状に応じてふさわしい医療を適切に受けられるという観点から、急性期医療、難病医療、緩和ケア、リハビリテーション、長期療養、在宅医療等といった機能分化を推進する。
 (2)(医療計画の見直し)に同じ
 都道府県が実施する医療機能調査(疾病対策別の医療機能に関する調査等)、医療機能分化推進事業(患者紹介率の向上、平均在院日数の短縮等を目標に掲げ、医療の質の向上及び医療提供体制の効率化を図ることを目的とする)に対して補助。
 <医療部会意見書>
 2  病院病床の機能の明確化・重点化
   病院病床については先の医療法改正において、平成15年8月末までに療養病床と一般病床に区分されることとされているが、さらに広告規制の緩和を含めた医療情報の提供と患者の選択が進むことによって、病院病床の機能分化が促進されると考えられる。
 なお、病院病床の機能分化については、急性期の患者にとっては望ましい方向である一方、亜急性期、慢性期の患者に係る病床の在り方は慎重に検討すべきという意見があった。
 
(4)  療養病床、介護老人保健施設等への転換
(4)  医療と介護の連携を進め、生活の質(QOL)を重視した医療が提供されるようにする。このため、病院病床の療養病床、介護老人保健施設等への転換を図る医療機関を支援する。
 医療施設近代施設整備事業として以下の病院に対して補助。
病院の老朽化等による建替等のための整備事業において、整備 区域の病床を20%削減(ある一定条件では10%削減)する病院
改修により療養病棟を整備する病院で、ある一定条件の他、整 備区域の病床を10%削減する病院
(5)  調査・検討
(5)  医療機関や病床等の機能分化・重点化・効率化を推進するための効果的な方策等について調査・検討する。
上記(2)(医療計画の見直し)に同じ。
 病診連携・地域医療連携等の推進
(6)  地域医療支援病院の承認要件の緩和による病診連携の推進
(6)  地域医療支援病院の承認要件の見直しを行い、その普及促進を図ることにより、診療所を支援し、病診連携を推進する。
 地域医療支援病院の承認要件について、
平成16年5月に行った告示改正により開設主体の拡大を行うとともに、
同年7月に従来からの紹介率に加え、逆紹介率についても紹介外来制を原則としていることの基準として新たに要件として追加し、承認要件の緩和を行った。
(7)  地域における医療連携、医療機関と薬局の連携、保健・福祉との連携の推進
(7)  紹介率・逆紹介率の向上を図るとともに、入院診療計画(いわゆるクリティカルパス等)における適切な退院計画の作成、退院に向けた情報提供やサービス調整による、適切な入院医療やリハビリテーション、退院後の療養生活の確保や社会復帰の支援を行うなど、地域における医療連携、医療機関と薬局の連携、更に保健・福祉との連携を推進する。
上記(2)(医療計画の見直し)に同じ。


熊本市地域における急性期から慢性期に至る医療機関の連携
〈地域の属性〉
 (1)  熊本市(人口:65万人、病院数:95(うち200床以上:20)診療所:550)は熊本2次医療圏と同範囲
 人口当たり病床数、医師数が多く、1人当たり医療費も高い
 (2)  市内に4つの急性期特定入院加算を算定している病院(うち2つは地域医療支援病院)、その他公的病院2、大学病院1。回復期リハビリテーション病棟は市内282床(6病院)。
 急性期特定入院加算算定病院間で自ずから特徴の違いが生じ、地域の医療機関(開業医等)にとって患者の病状により適切な連携先を見つけることが可能
 地域において、情報の共有や連携に向けた課題への対応のため、長年、医師会・病院関係者の連絡会議等を開催。さらに、いずれの急性期特定入院加算算定病院においても、地域の医療機関との勉強会、研修等を通じて自院の特徴や機能連携の方針を周知したり意思疎通を図っており、紹介・逆紹介の増加等により地域において医療機関の連携が進められている。

熊本市地域における急性期から慢性期に至る医療機関の連携の図

(参考) D病院における「医療連携クリティカルパス(連携パス)」について

(1) 連携パスの基本構造
具体的な内容は連携施設と協議して作成する。

連携パス
当院の患者用
クリティカルパス
転院施設での
予想経過
最終目標達成
(3) 年間連携パス使用数(平成15年)

大腿骨頸部骨折:  189例
脳血管障害: 132例
腰椎手術: 24例
頸椎手術: 16例
人工膝関節: 12例
(2) 現在使用されている連携パス

人工骨頭置換術  ・ 大腿骨頸部骨折骨接合術
人工膝関節置換術  ・ 人工股関節置換術
頸椎椎弓形成術  ・ 腰椎椎弓切除術
肩腱板修復術  ・ 下肢骨折手術
脳血管障害  ・ 胃癌手術
大腸癌手術
(4) 大腿骨頸部骨折における連携パスの導入効果

通常パスのみ使用例(平成11年1月〜12月)
 転院  72例  在院日数28.5±11.1日
 自宅退院  16例  在院日数41.6±19.4日
連携パス使用例(平成13年1月〜8月)
 転院  77例  在院日数19.6±7.9日
 自宅退院  10例  在院日数27.0±5.8日


ウ.介護サービスと連携した在宅医療の充実


介護サービスに関する現行の都道府県の主たる役割

介護サービスに関する現行の都道府県の主たる役割の図


第3期介護保険事業計画(平成18〜20年度)の策定に当たっての考え方
(平成16年10月12日全国介護保険担当課長会議配布資料より抜粋)

地域ケアの推進と施設サービスの見直し
 ○ 介護保険3施設及び介護専用の居住系サービスの適正な整備
 (※)介護専用の居住系サービス:痴呆性高齢者グループホーム・特定施設の一部(介護専用型の有料老人ホーム)を想定

平成16年度
要介護認定者数(要介護2〜5)に対する施設・居住系サービス利用者の割合は41%
→
  平成26年度
    37% 以下
   (平成16年度よりも1割引下げ)
【これからの整備のイメージ(全国推計)】
これからの整備のイメージ(全国推計)の図
 ○ 多様な「住まい」の普及の推進
 ・ 高齢者単身世帯の増加
 ・ 都市部の高齢化の急速な進行
 ・ 高齢期の住み替えに対するニーズ
→
多様な「住まい」の普及
→ 高齢者が安心して暮らせるよう、介護が付いている住まいを適切に普及
 ○ 介護保険3施設利用者の重度者への重点化
平成16年度
 入所施設利用者全体に対する要介護 4,5の割合は59%
→
  平成26年度
    70% 以上
 ○ 介護保険3施設の個室・ユニットケア化の推進
平成16年度
 ・3施設の個室割合は12%
 ・介護老人福祉施設(特養)の個室の割合は15%

→
平成26年度
 3施設の個室・ユニット
ケア割合
50%以上
 特養の個室・ユニット
ケア割合
70%以上


医療計画見直しとの連携について
(平成16年10月12日全国介護保険担当課長会議配布資料より抜粋)

医療計画見直しとの連携について

 厚生労働省では、現在、医療計画に関する見直しに関する検討を行っているところである。その検討においては、疾病ごとに国が定める指標に従い、都道府県において、地域の実情を踏まえた具体的な数値目標を設定した医療計画を作成し、地域における入院治療から在宅医療に至るまで、住民の視点にたった医療提供体制を整備することを目指した計画とすることが議論されているところである。

 各都道府県におかれては、こうした医療計画の見直しの検討状況を踏まえつつ、医療計画作成担当部局との連携をとりながら、介護保険施設における環境改善等について、退院後の自宅療養や生活基盤を支えるという観点を十分踏まえた計画を作成することが求められるので、留意いただきたい。


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