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遺伝子治療臨床研究に関する指針■■
平成16年10月15日


個人情報保護に関して検討すべき事項について(案)


■ 個人情報保護法と遺伝子治療臨床研究に関する指針の整理

 個人情報保護に関する法律は、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(行政機関個人情報保護法)」及び「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(独立行政法人等個人情報保護法)」がある。
 ここで、「遺伝子治療臨床研究に関する指針(遺伝子治療臨床研究指針)」とこれらの個人情報保護に関する法律の関係を整理すると、個人情報保護法第8条に「国は、・・・事業者等が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るための指針の策定・・・を講ずるものとする。」とあり、国が指針を策定することが示されている。遺伝子治療臨床研究指針は、遺伝子治療臨床研究の医療上の有用性及び倫理性を確保し、社会に開かれた形での適正な実施を図ることを目的として策定されたものであり、同意の確保や秘密の保持などの個人情報保護の規定が含まれていることから、遺伝子治療臨床研究指針の一部は個人情報保護法第8条の趣旨にかなうものであるといえる。
 個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法及び地方自治体において個人情報保護法第11条第1項の趣旨を踏まえて制定される条例が適用されるそれぞれの研究機関等は、個人情報の取扱いにあたってはそれぞれに適用される法律又は条例を遵守する必要があることは言うまでもない。ただし、個人情報保護法の義務については、学術研究機関が学術研究の目的で個人情報を取扱う場合は、この義務の適用除外とされ、民間研究機関等が学術研究として遺伝子治療臨床研究を行う場合に、個人情報保護法の適用を受けず、それらの機関等については個人情報保護に関して努力義務が課せられている。他方で、当該研究を実施する全ての研究機関等は、遺伝子治療臨床研究指針の遵守が求められている。そこでは、個人情報の取扱いについて、国の研究機関、国立大学法人及び独立行政法人と民間研究機関等との間に区別はない。
 従って、ここでは、遺伝子治療臨床研究指針において、少なくとも個人情報保護法の趣旨を踏まえているか整理を行った。


■ 定義
【個人情報保護法】
(定義)
二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
 この法律において「個人情報データベース等」とは、個人情報を含む情報の集合物であって、次に掲げるものをいう。
 特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
 前号に掲げるもののほか、特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの
 この法律において「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし、次に掲げる者を除く。
 国の機関
 地方公共団体
 独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)
 地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)
 その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者
 この法律において「個人データ」とは、個人情報データベース等を構成する個人情報をいう。
 この法律において「保有個人データ」とは、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は一年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう。

【行政機関個人情報保護法】
(定義)
二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの
 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの
 会計検査院
 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
 この法律において「保有個人情報」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、当該行政機関の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、行政文書(行政機関の保有する情報の公開に関する法律 (平成十一年法律第四十二号)第二条第二項 に規定する行政文書をいう。以下同じ。)に記録されているものに限る。
[行政機関の保有する情報の公開に関する法律]
 第二条 
 2  この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
 政令で定める公文書館その他の機関において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの

【独立行政法人等個人情報保護法】
(定義)
二条 この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人及び別表に掲げる法人をいう。
 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
 この法律において「保有個人情報」とは、独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に利用するものとして、当該独立行政法人等が保有しているものをいう。ただし、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律 (平成十三年法律第百四十号)第二条第二項 に規定する法人文書(同項第三号 に掲げるものを含む。以下単に「法人文書」という。)に記録されているものに限る。
[独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律]
 第 2条
 この法律において「法人文書」とは、独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして、当該独立行政法人等が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
 政令で定める公文書館その他の施設において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの
 別表第二の上欄に掲げる独立行政法人等が保有している文書、図画及び電磁的記録であって、政令で定めるところにより、専ら同表下欄に掲げる業務に係るものとして、同欄に掲げる業務以外の業務に係るものと区分されるもの

【指針】
一章 第二 定義
 この指針において「実施施設」とは、遺伝子治療臨床研究が実施される施設をいう。

<整理すべき事項>
 個人情報の定義について
 指針には個人情報が定義されていないため、個人情報保護法(以下「法」という)第2条を踏まえ、「個人情報」の定義を追加することとしてよいか。

→・  個人情報保護法の「個人情報」では「容易に」が含まれているが、行政機関個人情報保護法及び独立行政機関個人情報保護法の定義では「容易に」の文言はない。遺伝子治療臨床研究は遺伝情報を明らかにする研究ではなく、研究において個人の遺伝情報が明らかになるものではないことから、「容易に」が含まれる個人情報保護法の定義でよいか。

 死者の情報については、法では対象となっていないことから、指針においても「生存する個人に関する情報」とするが、死者の人としての尊厳や遺族の感情等に鑑み、生存者の情報と同様に死者の情報においても安全管理のため、組織的、人的、物理的及び技術的安全管理措置を講じなければならないことを補足することでよいか。

 保有個人データの定義について
 指針には、本人(被験者等)が当該本人の個人情報の開示・訂正・利用停止等を求めることができる個人情報の範囲が定義されていない。法では研究機関等がこれらの対応を求められた場合、応じることができる権限を有しているものの範囲を規定していることから、法に定義されている保有個人データに該当する定義を追加して規定してよいか。

 「個人情報の保護に関する措置を行う者」の位置づけについて
 ○○○を個人情報の保護に関する措置を行う者としてよいか。また、必要に応じて権限及び業務を研究者に委任することができる規定を設けてよいか。


■ 利用目的の特定、利用制限、利用目的の通知について
【個人情報保護法】
(利用目的の特定)
第十五条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。
 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。
(利用目的による制限)
第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
 前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
 法令に基づく場合
 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

(取得に際しての利用目的の通知等)
第十八条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。
 個人情報取扱事業者は、前項の規定にかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は、この限りでない。
 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。
 前三項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
 国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合

【指針】
一章 総則
第一 目的
 この指針は、遺伝子治療の臨床研究(以下「遺伝子治療臨床研究」という。)に関し遵守すべき事項を定め、もって遺伝子治療臨床研究の医療上の有用性及び倫理性を確保し、社会に開かれた形での適正な実施を図ることを目的とする。
の生命を脅かす疾患又は身体の機能を著しく損なう疾患であること。
  2  遺伝子治療臨床研究による治療効果が、現在可能な他の方法と比較して優れていることが十分に予測されるものであること。
  3  被験者にとって遺伝子治療臨床研究により得られる利益が、不利益を上回ることが十分予測されるものであること。

第二章 被験者の人権保護
第二 被験者の同意
  一  総括責任者又は総括責任者の指示を受けた医師である研究者(以下「総括責任者等」という。)は、遺伝子治療臨床研究の実施に際し、第三に掲げる説明事項を被験者に説明し、文書により自由意思による同意を得るものとする。
  二  同意能力を欠く等被験者本人の同意を得ることが困難であるが、遺伝子治療臨床研究を実施することが被験者にとって有用であることが十分に予測される場合には、当該被験者の法定代理人等被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者の文書による同意を得るものとする。この場合においては、当該同意に関する記録及び同意者と当該被験者の関係を示す記録を残すものとする。
第三 被験者に対する説明事項
 総括責任者等は、第二の同意を得るに当たり次のすべての事項を被験者(第二の二に該当する場合にあっては、被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者)に対し十分な理解が得られるよう可能な限り平易な用語を用いて説明するものとする。
  一  遺伝子治療臨床研究の目的、意義及び方法
  二  遺伝子治療臨床研究により予期される効果及び危険
  三  他の治療法の有無、内容並びに当該治療法により予期される効果及び危険
  四  被験者が遺伝子治療臨床研究の実施に同意しない場合であっても何ら不利益を受けることはないこと。
  五  被験者が遺伝子治療臨床研究の実施に同意した場合であっても随時これを撤回できること。
  六  その他被験者の人権の保護に関し必要な事項

<整理すべき事項>
 利用目的の特定について
 法第15条第1項では個人情報保護の利用目的を特定することが規定されている。遺伝子治療臨床研究指針において、倫理審査委員会へ提出する、実施計画書において研究の目的を記載することとなっていること、インフォームド・コンセントの取得時に研究の目的を説明することになっていることから、個人情報の利用目的は特定されていると考えられる。なお、この他に個人情報を利用する場合は、個人情報を取得するに当たって明確に当該利用目的の通知又は公表が必要となる。(取得に際しての利用目的の通知等)参照

 法定代理人等の同意について
一定の条件の下で、法定代理人等(被験者の意思及び利益を代弁できると考えられるもの)の同意による利用も可能としている。なお、法では、本人の同意を必要とするケースとして個人情報の第三者提供等の場合があり、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときなどの一定の条件で例外を認めている。

 遺伝子治療臨床研究指針において、法定代理人等(被験者の意思及び利益を代弁できると考えられるもの)の同意を可能とする場合は、本人の同意を得ることが困難である場合に加え、遺伝子治療臨床研究を実施することが被験者にとって有用であることが十分に予測される場合、との条件を設けている。これに加えて、法第16条第3項第2号の要件の該当性を倫理審査委員会において審査することを条件とすることにより、法定代理人等による同意が可能であると整理してよいか。

 利用目的変更時の本人同意について
 法第15条第2項においては、相当の関連性を合理的に有すると考えられる範囲を越えての利用目的の変更不可、法第16条では個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えた場合の利用に当たっての本人同意、法第18条第3項では利用目的を変更した場合の変更された利用目的について、本人に通知又は公表することを規定しており、遺伝子治療臨床研究指針で追加して規定することとしてよいか。
 法第15条第2項において認められる範囲の利用目的の変更については、本人の同意は必要ないが、法第18条第3項において、変更された利用目的の本人に通知又は公表することが求められており、規定を設けてよいか。

 法第16条に該当する場合(利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱われる場合)は、改めて本人同意が必要であり、規定を設けることとする。なお、法第16条第3項の適用除外規定についても同様に規定を設けてよいか。


■ 適正な取得
【個人情報保護法】
(適正な取得)
第十七条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。

【指針】
二章 被験者の人権保護 第二 被験者の同意

<整理すべき事項>
 個人情報の適正な取得について
 法第17条において、個人情報を適正に取得することを規定している。遺伝子治療臨床研究指針において、インフォームド・コンセントの取得にあたっては、十分な理解が得られるよう可能な限り平易な用語を用いて説明することとされており、偽りその他不正の手段により個人情報を得ることは想定されず、遺伝子治療指針において法の趣旨を踏まえた対応がなされていると考えられる。


■ データ内容の正確性の確保
【個人情報保護法】
(データ内容の正確性の確保)
第十九条 個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つよう努めなければならない。

【指針】
規定なし。

<整理すべき事項>
 データ内容の正確性の確保について
指針に当該規定はないことから、個人情報を正確かつ最新の内容に保つよう努めることを規定してよいか。


■ 安全管理措置
【個人情報保護法】
(安全管理措置)
第二十条 個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。

(従業者の監督)
第二十一条 個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

(委託先の監督)
第二十二条 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

【指針】
第三章 研究及び審査の体制
第一 研究者
  一  研究者(総括責任者を除く。)は、総括責任者を補助し遺伝子治療臨床研究の実施計画に関する資料を作成するとともに、当該計画を実施し、総括責任者に対し必要な報告を行うものとする。

第二 総括責任者
  一  総括責任者は、次の業務を行うものとする。
 遺伝子治療臨床研究の実施に関して内外の入手し得る資料及び情報に基づき、遺伝子治療臨床研究の医療上の有用性及び倫理性について検討すること。
 1の検討の結果に基づき、遺伝子治療臨床研究の実施計画を記載した書類(以下「実施計画書」という。)を作成し、実施施設の長の了承を求めること。
 遺伝子治療臨床研究を総括し、研究者に必要な指示を行うこと。
 遺伝子治療臨床研究が実施計画書に従い適切に実施されていることを随時確認すること。
 遺伝子治療臨床研究の進行状況及び結果に関し、実施施設の長及び審査委員会に対し必要な報告を行うこと。
 1から5までに定めるもののほか、遺伝子治療臨床研究を総括するに当たって必要となる措置を講ずること。

第四 実施施設の長
 実施施設の長は、次の業務を行うものとする。
  一  総括責任者から遺伝子治療臨床研究の実施(当該遺伝子治療臨床研究の重大な変更を含む。第四章第三を除き、以下同じ。)の了承を求められた際に、遺伝子治療臨床研究の実施について審査委員会及び厚生労働大臣に意見を求めるとともに、当該意見に基づき必要な指示を与え、実施を了承すること。
  二  遺伝子治療臨床研究の進行状況及び結果について、総括責任者又は審査委員会から報告又は意見を受け、必要に応じ、総括責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えるとともに厚生労働大臣に対し報告を行うこと。
  三  総括責任者から受理した総括報告書の写しを速やかに厚生労働大臣に提出すること。
  四  被験者の死亡その他遺伝子治療臨床研究の実施に際して生じた重大な事態及び遺伝子治療臨床研究の実施に影響を及ぼすおそれがある情報について、速やかに厚生労働大臣に報告すること。

第六章 雑則
第一 記録の保存
 実施施設の長は、遺伝子治療臨床研究に関する記録に関し、保管責任者を定め、適切な状態の下で、研究終了後少なくとも五年間保存しなければならないものとする。
第二 秘密の保護
 研究者、審査委員会の委員、実施施設の長その他研究に携わる関係者は、遺伝子治療臨床研究を行う上で知り得た個人に関する秘密を正当な理由なく漏らしてはならないものとする。その職を辞した後も同様とする。

<整理すべき事項>
 安全管理措置について
 安全管理措置について、遺伝子治療臨床研究指針では研究者等の守秘義務や遺伝子治療臨床研究に関する記録に関し、保管責任者を定め、適切な状態の下で保存することを規定しているが、個人情報の遺漏防止は個人情報保護にあたって重要であると考えることから、どのような措置が必要であるのか以下により示すこととしてよいか。
→(対応案)
   ・ 研究内容に応じた組織的、人的、物理的及び技術的安全管理措置を講ずることを規定する。また、細則において、組織的、人的、物理的及び技術的安全管理措置について、以下のように示すこととする。
組織的安全管理措置について
  組織的安全管理措置とは、安全管理について研究従事者等の責任と権限を明確に定め、安全管理に対する規定や手順書(以下「規定等」という)を整備運用し、その実施状況を確認することをいう。組織的安全措置には以下の事項が含まれる。
  (1) 個人情報の安全管理措置を講じるための組織体制の整備
  (2) 個人情報の安全管理措置を定める規定等の整備と規定等に従った運用
  (3) 個人情報の取扱い状況を一覧できる手段の整備
  (4) 個人情報の安全管理措置の評価、見直し及び改善
  (5) 事故又は違反への対処

人的安全管理措置について
 人的安全管理措置とは、従業者に対する、業務上秘密と指定された個人情報の非開示契約の締結や教育・訓練等を行うことをいう。人的安全管理措置には以下の事項が含まれる。
  (1) 雇用契約及び委託契約時における非開示契約の締結
  (2) 研究従業者等に対する教育・訓練の実施

物理的安全管理措置について
 物理的安全管理措置とは、入退館(室)の管理、個人情報の盗難の防止等の措置をいう。物理的安全管理措置には以下の事項が含まれる。
  (1) 入退館(室)管理の実施
  (2) 盗難等に対する対策
  (3) 機器・装置等の物理的な保護

技術的安全管理措置
 技術的安全管理措置とは、個人情報及びそれを取り扱う情報システムのアクセス制御、不正ソフトウェア対策、情報システムの監視等、個人情報に対する技術的な安全管理措置をいう。技術的安全管理措置には、以下の事項が含まれる。
  (1) 個人情報のアクセスにおける識別と認証
  (2) 個人情報へのアクセス制御
  (3) 個人情報へのアクセス権限の管理
  (4) 個人情報のアクセスの記録
  (5) 個人情報を取り扱う情報システムに対する不正ソフトウェア対策
  (6) 個人情報の移送・通信時の対策
  (7) 個人情報を取り扱う情報システムの動作確認時の対策
  (8) 個人情報を取り扱う情報システムの監視
 研究従事者等の監督について
 研究従事者等の監督について、遺伝子治療臨床研究指針では、研究に携わる関係者の秘密の保護に関する規定があるものの、研究従事者等の監督に関する規定はない。
 研究従事者等の監督については、「実施施設の長」の業務に追加することとしてよいか。

 委託先の監督に係る規定
 委託先の監督について、遺伝子治療臨床研究指針に規定はない。
 委託先の監督に係る規定を遺伝子治療臨床研究指針に追加することとしてよいか。


■ 第三者提供の制限
【個人情報保護法】
(第三者提供の制限)
第二十三条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
 法令に基づく場合
 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
 個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。
 第三者への提供を利用目的とすること。
 第三者に提供される個人データの項目
 第三者への提供の手段又は方法
 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。
 個人情報取扱事業者は、前項第二号又は第三号に掲げる事項を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。
 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前三項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。
 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合
 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合
 個人データを特定の者との間で共同して利用する場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。
 個人情報取扱事業者は、前項第三号に規定する利用する者の利用目的又は個人データの管理について責任を有する者の氏名若しくは名称を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。
(開示等の求めに応じる手続)
法第二十九条
 開示等の求めは、政令で定めるところにより、代理人によってすることができる。
第八条 法第二十九条第三項の規定により開示等の求めをすることができる代理人は、次に掲げる代理人とする。
 未成年者又は成年被後見人の法定代理人
 開示等の求めをすることにつき本人が委任した代理人

【指針】
第二章 被験者の人権保護
第二 被験者の同意
  一  総括責任者又は総括責任者の指示を受けた医師である研究者(以下「総括責任者等」という。)は、遺伝子治療臨床研究の実施に際し、第三に掲げる説明事項を被験者に説明し、文書により自由意思による同意を得るものとする。
  二  同意能力を欠く等被験者本人の同意を得ることが困難であるが、遺伝子治療臨床研究を実施することが被験者にとって有用であることが十分に予測される場合には、当該被験者の法定代理人等被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者の文書による同意を得るものとする。この場合においては、当該同意に関する記録及び同意者と当該被験者の関係を示す記録を残すものとする。

<整理すべき事項>
 第三者提供の制限について
法第23条において第三者への提供が制限されているが、遺伝子治療臨床指針において定められていないので、追加して規定してよいか。

 個人情報を第三者へ提供する可能性がある場合又は共同研究の場合には、予め同意を得ておくように規定を設けるとともに、第三者提供の制限について規定を設けてよいか。


■ 保有個人データに関する事項の公表等
【個人情報保護法】
(保有個人データに関する事項の公表等)
第二十四条 個人情報取扱事業者は、保有個人データに関し、次に掲げる事項について、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)に置かなければならない。
 当該個人情報取扱事業者の氏名又は名称
 すべての保有個人データの利用目的(第十八条第四項第一号から第三号までに該当する場合を除く。)
 次項、次条第一項、第二十六条第一項又は第二十七条第一項若しくは第二項の規定による求めに応じる手続(第三十条第二項の規定により手数料の額を定めたときは、その手数料の額を含む。)
 前三号に掲げるもののほか、保有個人データの適正な取扱いの確保に関し必要な事項として政令で定めるもの
 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの利用目的の通知を求められたときは、本人に対し、遅滞なく、これを通知しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
 前項の規定により当該本人が識別される保有個人データの利用目的が明らかな場合
 第十八条第四項第一号から第三号までに該当する場合
 個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの利用目的を通知しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。

(保有個人データの適正な取扱いの確保に関し必要な事項)
第五条 法第二十四条第一項第四号の政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
 当該個人情報取扱事業者が行う保有個人データの取扱いに関する苦情の申出先
 当該個人情報取扱事業者が認定個人情報保護団体の対象事業者である場合にあっては、当該認定個人情報保護団体の名称及び苦情の解決の申出先

【指針】
第二章 被験者の人権保護
第三 被験者に対する説明事項
 総括責任者等は、第二の同意を得るに当たり次のすべての事項を被験者(第二の二に該当する場合にあっては、被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者)に対し十分な理解が得られるよう可能な限り平易な用語を用いて説明するものとする。
  一  遺伝子治療臨床研究の目的、意義及び方法
  二  遺伝子治療臨床研究により予期される効果及び危険
  三  他の治療法の有無、内容並びに当該治療法により予期される効果及び危険
  四  被験者が遺伝子治療臨床研究の実施に同意しない場合であっても何ら不利益を受けることはないこと。
  五  被験者が遺伝子治療臨床研究の実施に同意した場合であっても随時これを撤回できること。
  六  その他被験者の人権の保護に関し必要な事項

<整理すべき事項>
 保有個人データに関する事項の公表等について
法第24条では、保有個人データに関する事項、利用目的の通知について規定している。遺伝子治療臨床研究指針では、実施計画書において実施施設の名称(法第24条第1項第1号に関する事項)を記載することとされているが、その他の事項については規定がない。

 法第24条第1項第1号、第3号及び第4号について、インフォームド・コンセント取得時の説明文書において当該事項を記載することを規定してよいか。

 法第24条第2項及び3項については、個人情報の利用目的がインフォームド・コンセント取得時に説明されることから規定しないこととしてよいか。


■ 保有個人データの開示
【個人情報保護法】
(開示)
第二十五条 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示(当該本人が識別される保有個人データが存在しないときにその旨を知らせることを含む。以下同じ。)を求められたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
 他の法令に違反することとなる場合
 個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの全部又は一部について開示しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
 他の法令の規定により、本人に対し第一項本文に規定する方法に相当する方法により当該本人が識別される保有個人データの全部又は一部を開示することとされている場合には、当該全部又は一部の保有個人データについては、同項の規定は、適用しない。

(個人情報取扱事業者が保有個人データを開示する方法)
第六条 法第二十五条第一項の政令で定める方法は、書面の交付による方法(開示の求めを行った者が同意した方法があるときは、当該方法)とする。

【指針】
規定なし

<整理すべき事項>
 開示について
法第25条では、定められた場合を除き本人から開示の求めがあった場合には、開示しなければならないと規定している。遺伝子治療指針では、被験者からの開示の求めについて規定していないため、追加して規定してよいか。


■ 訂正等及び利用停止等
【個人情報保護法】
(訂正等)
第二十六条 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないという理由によって当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を求められた場合には、その内容の訂正等に関して他の法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの内容の訂正等を行わなければならない。
 個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの内容の全部若しくは一部について訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知しなければならない。
(利用停止等)
第二十七条 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第十六条の規定に違反して取り扱われているという理由又は第十七条の規定に違反して取得されたものであるという理由によって、当該保有個人データの利用の停止又は消去(以下この条において「利用停止等」という。)を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等を行わなければならない。ただし、当該保有個人データの利用停止等に多額の費用を要する場合その他の利用停止等を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第二十三条第一項の規定に違反して第三者に提供されているという理由によって、当該保有個人データの第三者への提供の停止を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、遅滞なく、当該保有個人データの第三者への提供を停止しなければならない。ただし、当該保有個人データの第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の第三者への提供を停止することが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
 個人情報取扱事業者は、第一項の規定に基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について利用停止等を行ったとき若しくは利用停止等を行わない旨の決定をしたとき、又は前項の規定に基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について第三者への提供を停止したとき若しくは第三者への提供を停止しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。

【指針】
第二章 被験者の人権保護
第三 被験者に対する説明事項
 総括責任者等は、第二の同意を得るに当たり次のすべての事項を被験者(第二の二に該当する場合にあっては、被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者)に対し十分な理解が得られるよう可能な限り平易な用語を用いて説明するものとする。
  五  被験者が遺伝子治療臨床研究の実施に同意した場合であっても随時これを撤回できること。

<整理すべき事項>
 訂正等について
 法第26条において、保有する個人情報に関し訂正等及び通知の規定がある。遺伝子治療臨床研究指針には、このような規定はない。

 被験者又は代諾者から、実施施設が保有する被験者が識別される個人情報の内容が事実でないという理由によって当該情報に対して訂正、追加又は削除を求められた場合に、調査結果に基き、内容の訂正等及び通知を行うことを規定してよいか。なお、法では本人から訂正等の要求があった場合までしか想定されていないが、指針では、提供者の判断及び理解力を考慮の上、本人に代わりインフォームド・コンセントを与えることができる法定代理人等を選定することを可能としていることから、代諾者等からの申し出も受け付けるものとするが、この場合はその事実性について、特に慎重に判断する必要がある。

 利用停止等について
  法第27条において、法第16条(利用目的による制限)又は第17条(適正な取得)に反した個人情報の取扱がなされている場合に、利用停止及び消去を求めるなどの規定がある。遺伝子治療臨床研究指針では、同意の撤回を随時行うことができると規定されており、個人情報の利用停止等は同意の撤回であると考え、整理することとしてよいか。


■ 開示等の求めに応じる手続き及び手数料
【個人情報保護法】
(開示等の求めに応じる手続)
第二十九条 個人情報取扱事業者は、第二十四条第二項、第二十五条第一項、第二十六条第一項又は第二十七条第一項若しくは第二項の規定による求め(以下この条において「開示等の求め」という。)に関し、政令で定めるところにより、その求めを受け付ける方法を定めることができる。この場合において、本人は、当該方法に従って、開示等の求めを行わなければならない。
 個人情報取扱事業者は、本人に対し、開示等の求めに関し、その対象となる保有個人データを特定するに足りる事項の提示を求めることができる。この場合において、個人情報取扱事業者は、本人が容易かつ的確に開示等の求めをすることができるよう、当該保有個人データの特定に資する情報の提供その他本人の利便を考慮した適切な措置をとらなければならない。
 開示等の求めは、政令で定めるところにより、代理人によってすることができる。
 個人情報取扱事業者は、前三項の規定に基づき開示等の求めに応じる手続を定めるに当たっては、本人に過重な負担を課するものとならないよう配慮しなければならない。
(手数料)
第三十条 個人情報取扱事業者は、第二十四条第二項の規定による利用目的の通知又は第二十五条第一項の規定による開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。
 個人情報取扱事業者は、前項の規定により手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならない。

(開示等の求めを受け付ける方法)
第七条 法第二十九条第一項の規定により個人情報取扱事業者が開示等の求めを受け付ける方法として定めることができる事項は、次に掲げるとおりとする。
 開示等の求めの申出先
 開示等の求めに際して提出すべき書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)の様式その他の開示等の求めの方式
 開示等の求めをする者が本人又は次条に規定する代理人であることの確認の方法
 法第三十条第一項の手数料の徴収方法
(開示等の求めをすることができる代理人)
第八条 法第二十九条第三項の規定により開示等の求めをすることができる代理人は、次に掲げる代理人とする。
 未成年者又は成年被後見人の法定代理人
 開示等の求めをすることにつき本人が委任した代理人

【指針】
規定なし

<整理すべき事項>
 開示等の求めに応じる手続きについて
 法第29条では、開示等の求めを受け付ける方法を定めることができることを規定している。遺伝子治療臨床研究指針では、このような規定はない。

 法ではあくまでも「方法を定めることができる」としていることから、インフォームド・コンセント取得の際の説明文書の記載事項において、開示に関する事項に、必要に応じて開示の求めを受け付ける方法を説明することを規定してよいか。

 手数料について
法第30条では、開示にあたって、手数料を徴収することができることを規定している。遺伝子治療臨床研究指針には、このような規定はない。

 法ではあくまでも「手数料を徴収することができる」としていることから、インフォームド・コンセント取得の際の説明文書の記載事項において、開示に関する事項に、必要に応じて手数料を徴収する場合は、手数料を説明することを規定してよいか。


■ 理由の説明
【個人情報保護法】
(理由の説明)
第二十八条 個人情報取扱事業者は、第二十四条第三項、第二十五条第二項、第二十六条第二項又は前条第三項の規定により、本人から求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨を通知する場合又はその措置と異なる措置をとる旨を通知する場合は、本人に対し、その理由を説明するよう努めなければならない。

【指針】
 規定なし

<整理すべき事項>
 理由の説明について 
 法第28条において、法第24条第3項(個人情報の利用目的の通知)、法第25条第2項又は第3項(個人情報の開示)、法第26条第2項(個人情報の訂正等)、法第27条第3項(利用停止等)の措置をとらない場合等に理由を説明するよう努めることとされている。遺伝子治療臨床研究指針においては、このような規定はない。

本指針において、
 法第24条第3項(個人情報の利用目的の通知)に関して、遺伝子治療臨床研究指針ではインフォームド・コンセントを得ることを必要としており、利用目的を通知しないことは想定されない。
 
 法第25条第2項又は第3項に関し、開示ができない場合は、理由を説明するよう努めることを規定してよいか。
 
 法第26条第2項(個人情報の訂正等)に関し、提供者又は代諾者等からの開示及び訂正要求内容に対して訂正しない場合は、その理由を説明するよう努めることを規定してよいか。
 
 法第27条第3項(利用停止等)に関し、利用停止等ができない場合は、理由を説明するよう努めることを規定してよいか。


■ 苦情処理
【個人情報保護法】
(個人情報取扱事業者による苦情の処理)
第三十一条 個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない。
 個人情報取扱事業者は、前項の目的を達成するために必要な体制の整備に努めなければならない。

【指針】
規定なし

<整理すべき事項>
 法第31条において、苦情の適切かつ迅速な処理に努めることとされている。遺伝子治療臨床研究指針には、このような規定はない。

 苦情処理を実施及び苦情の窓口として、被験者又は代諾者が申し出のしやすい窓口を設置するよう配慮されるよう規定してよいか。


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