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第10回目安制度のあり方に関する全員協議会議事録


1 日時 平成16年10月13日(水)10:00〜10:45

2 場所 厚生労働省専用第17会議室

3 出席者
 【委員】公益委員  渡辺会長 岡部委員 勝 委員
 中窪委員 古郡委員

労働者側委員  弥富委員 加藤委員 久保委員
 中野委員 山口委員 横山委員

使用者側委員  池田委員 川本委員 杉山委員
 原川委員

 配付資料

資料1 総合指数に基づく都道府県順位と地域別最低賃金額

資料2 総合指数に基づく振分けについて(案)
 (第9回目安制度のあり方に関する全員協議会資料より再掲)

資料3 目安制度のあり方に関する全員協議会のスケジュール(案)


 議事内容

○渡辺会長
 ただ今から「第10回目安制度のあり方に関する全員協議会」を開催いたします。今回は新しい総合指数に基づいたランク振り分け等、ランク区分の見直しについて労使各側で検討いただいた結果を披露いただき、その上で審議をお願いしたいと思いますが、その前に前回、池田委員からご要望があった資料について事務局から説明してください。

○前田賃金時間課長
 資料1をご覧ください。前回、池田委員から、総合指数に最低賃金の時間額を入れたものをということでご要望があり、それで資料1という形で整理しております。左側が前回(平成12年度)の目安制度のあり方に関する全員協議会における総合指数の順番と、平成12年に改定された最低賃金の時間額、右側が今回の総合指数と今年改定された最低賃金の時間額です。ちなみに前回(平成12年度)のところで、長野と広島がCランクからBランクに上がり、茨城がBランクからCランクに下がり、福島がDランクからCランクに上がるという4県の見直しがありました。平成7年のときは、滋賀がCランクからBランクに上がり、栃木がCランクからBランクに上がった。茨城はこの平成7年のとき一旦CランクからBランクに上がり、平成12年にはCランクに戻ったという形になっています。平成7年には三重がBランクからCランクに下がり、香川がDランクからCランクに上がり、宮城がDランクからCランクに上がり、岐阜がBランクからCランクに下がりました。平成7年は7県の移動がありました。
 以上です。

○渡辺会長
 事務局の説明にご質問、ご意見等がありましたらどうぞお願いします。池田委員、よろしいですか。

○池田委員
 はい。

○渡辺会長
 続いて本日の議題である「ランク振り分け等、ランク区分の見直し」について検討を行いたいと思います。まずランク区分の振り分けの案について、検討結果を労働者側からご披露お願いいたします。

○加藤委員
 労働者側の見解を申し上げたいと思います。結論を申し上げますと、前回提起していただいた新しいランク振り分け案(検討のたたき台)に示された4つの案のうち、案の12が最も望ましいと考えています。その理由は、前回配付された資料4に記載されている、総合指数に基づくランク振り分けについて、2の(1)から(3)の留意点に則して検討した場合、(1)のとおり、20指標で算出した総合指数のランク間格差が、BC間は4つの案とも同じレベルですが、案の12はAB間、CD間の格差が最も大きく、データから見た客観的納得性が高いと判断しております。なお、案12は(3)で見たBCランクにおける総合指数の分散度合について、相対的に小さく、この面からも適切だと考えております。

○渡辺会長
 続いて、使用者側からお願いします。

○川本委員
 加藤委員の方から案の12ということでしたが、私どもの方は4つの案のうち、案の5が一番望ましいかなと考えております。同じく前回配られた資料4ですが、留意する事項が3つあります。格差のあるところ、変動は極力抑えること、分散度合も留意することです。この4つの案を見まして、確かに案の5だとBのところの分散度合は多少大きくなりますが、変動幅を抑えつつ、バランスを取るという意味では、案の5が一番適当かと考えております。また、実際、ここに関係する地域の意向を聞いたところ、特に大阪は非常に景況実感が悪い、ここ数年、内部的にも大変悪い状況にあるということで、今回この指数が出たわけですが、Bランクに下がることについて、非常に実態を表しているのではないか、という意見もありました。

○渡辺会長
 前回資料4の総合指数に基づくランク振り分けについて(案)に留意点が3点出ておりますので、ご参照いただきながら、今労使各側からいただいた見解に隔たりがあるようです。ただ、今日は第10回ということでして、今後の日程を考えると、本日できることなら一定の結論を得たいと考えておりますが、ただ今の労使各側の検討結果の表明に関して、それぞれ公益委員の先生からもどうぞ遠慮なく、ご質問、ご意見等がありましたらお願いしたいと思います。

○古郡委員
 今、川本委員の発言の中で、Bの分散度合は大きいけれども、変動幅を抑えつつバランスを取るのであれば、案の5がいいというのがちょっと分からないので、その点をもう一度詳しく説明していただきたいのですが、従来のルールに則れば案の12がいいのではないかと、私は思います。

○川本委員
 私どもとしては資料4で言いますと、個々の都道府県のランク間の移動や各ランクごとの都道府県の数の変動を極力抑える、というところに特にウエートを置いたということです。

○古郡委員
 指数の差が大きいところでランクを分けるという点で案の12は適っているわけですから、案の12がいいと思います。

○岡部委員
 昔、関西経営者協会は非常に誇り高き人たちの集まりだったと記憶していますが、今回このランク区分見直しで大阪が1ランク下がるということについては、抵抗というか、我々を馬鹿にするのかというような意見はないですか。

○川本委員
 今岡部委員からご指摘がありましたこと、実は、私もその辺を大変気にしていて、その地域とも連絡を取り合ったわけです。先ほど申し上げましたように、関西地区については、非常に景況感も悪いし経済実態が悪いということです。今、「誇り高き関西地域」ということでしたが、その誇り高き関西地域自身が、実態としてもうこのAランクという状況ではないということを、ここ数年話し合ってきていた実態があるということで今回、もうAに留まるという実態にはないという強い意向がありましたので、それを踏まえて案の5ということを述べさせていただいたものです。

○山口委員
 経営者側の関西の人たちはそうかもしれませんが、労働者側の関西地域の意見は、絶対に下がるのはいやだというように、強く表明しています。

○勝委員
 私も基本的な3つのルールに従って考えると、労働者側の提案の方が、この3点にかなっているのかなという気がしております。今、議論されているように大阪をどう扱うかというところが、一番違う点なのではないかなと思います。今日の資料1を見ますと、大阪の最低賃金額は704円ということで、かなり高い水準にあるということを考え、ルールに従えば大阪は確かに上のランクに入るべきかもしれませんが、賃金としてはやはり抑えていくような形にすべきかなという気も若干しております。ここの部分で意見の相違があるのだろうと理解しています。ただ、今までのランクの振り分けについては、あくまでこのルールを守ってきたということを考えると、今回はこのルールに従ったほうがいいという気はしております。

○杉山委員
 今、大阪が話題に上がっているわけですが、Dランクの徳島が上がるということについて意見を聞いたところでは、やはり四国の中のまとまりということからいくと、2対2になるよりは1対3の方がまとまりが良いという意見が強く出てきたようです。その意味では案12は、徳島の問題が逆に起こるのではないかという気がします。

○山口委員
 それぞれのお立場なり個々人によっても、感情も入るし、いろいろな意見があるとは思うのです。しかし、私は前回担当していて茨城に説得に2回ほど出向いて大変な議論をしたのですが、最終的にはやはりこういう決められたルールの下で、中央段階として割り切らざるを得ないというところで押し切らないといけないと思います。1つ1つのところであまり配慮しすぎることやその地域の感情論だけではなくて、制度全体の整合性というか、ある意味ではルールに少し則ったような、重点を置いたような区分のあり方を考えるべきだと思います。

○渡辺会長
 私自身もよく理解していないのかもしれませんが、留意点の(2)の「各ランク毎の都道府県の数の変動を極力抑える」というのがあります。例えば、経済指標から見て、Dランクというのは、なるべくCに上がることについて、労使ともに、水準が上がっていって上位に移動していくことが望ましいとすれば、「ランクの県の数の変動を極力抑える」というのは、どういう趣旨で留意点になっているのか分からないので、加藤委員、お分かりならば教えていただけませんか。こういうのも1つの重要な決定で、1つの行政上の安定性と言いますか、継続性と言いますか、変化に対応しつつ、しかし安定かつ継続性ということが重要だと思いますが、その点はよく分かるのですが、それ以上の理由があるのかどうかということですが。

○山口委員
 前回だったか、こういう話をしているときに聞いたのですが、ミゾとか分散度合をあまり考慮しすぎると、4ランクよりもむしろ5ランクとか6ランクがいいとか、既に、労働者側は7ランク制を検討したこともあるのです。そっちの方への流れが加速してしまうおそれがあり、ある意味では4ランクということを強く念頭に置くとあまり数の変動がない方がいいとする趣旨のことを先輩から聞きました。

○川本委員
 山口委員のご説明に若干付け加えます。5年に1回ではありますが、上がってみたり下がってみたりと、同じ県が行ったり来たりするというのも問題があるので、そういうのも加味しつつというのがこの(2)の趣旨だろうと思います。

○渡辺会長
 どうもありがとうございました。いま、個別、具体的には大阪の問題と、四国の徳島の扱いの問題が出ており、山口委員の方からは、個別、具体的にはいろいろあっても、最終的な決定には応じていただけるように説得するほかないという、大局的な意見もいただきました。

○池田委員
 大阪というところは難しいところで、阪神タイガースは今年は弱いので下がったかもしれませんが、中央で決めると中央が決めたのではないかということで、逆にまたライバル心を持つ気質があります。資料1を見ると、最低賃金額の格差について、平成12年と比べると小さくなっており、1つだけ気がかりなのは経営者側の反応です。それによってBランク全体が、大阪に倣えということで引上げになるとか、大阪は実態賃金は高いわけですから、総合指数は低くても、最低賃金の額としては3番目にあるわけで、その辺は慎重に検討しなければならないと思います。

○原川委員
 私もいろいろ地方に聞いてみたのですが、大阪はやはり、この指数の状況を率直に受けとめたいということで、下がるということでもいいという意向でした。その1つの理由としては、東京は別格として、神奈川などに比べ、実際、この指数でも差があるというようなことで、Aランクというのは経済実態に合わないということを聞いております。
 千葉は大阪と同じ指数ですが、実感として東京、神奈川、愛知と比べ格差があるのではないかということで、ここも、Aランクはなかなかきついという感じでした。徳島は、先ほど杉山委員から発言がありましたとおり、四国の中では香川は抜きんでていて、ほかの愛媛、高知、徳島というのは大体横並び、同じような経済力で、いままでDランクできたということですから、ここは同じランクにおいておいた方がいいのではないかと考えます。

○渡辺会長
 四国4県の現状とバランスということでいろいろご意見もありました。いずれにしても本日労働者側から前回の振り分け案12、使用者側からは案5が望ましいと、それぞれご意見がありましたが、この振り分け案について労使各側の意見をお聞きしたのは今日が初めてですので、本日中にこのいずれにするかまとめることは困難だと思いますので、次回の11月8日の第11回目安制度のあり方に関する全員協議会において引き続き審議をして結論を得る、という運びにしたいと思いますがいかがでしょうか。 (了承)

○渡辺会長
 それではこれについてはそのような扱いにさせていただきたいと思います。
 続きまして、本日、その他の議題として、これまで一通り議論が行われてきました「改定のあり方」及び「金額水準のあり方」について、追加的にご発言があればお願いしたいと思います。まず「改定のあり方」について、改めてご意見がありましたらお願いします。

○原川委員
 繰り返しますが、目安改定の理由としては、熾烈な競争の中で国際競争力を維持するため、コスト削減ということが企業の大きな課題となっていて、その方向はこれからも続くのではないかということ、それから、国際的に見ても賃金レベルが高い、あるいは働き方の多様化ということで、賃金一辺倒というような考え方から、時間とか、生き甲斐というようなところまで、いろいろな選択肢が出てきたということで、毎年賃金を大幅に引き上げるというようなことは段々なくなりつつあります。また、企業としても、経営環境から賃金に対する考え方も変わってきていますし、賃金を大幅に引き上げるというような状況ではなくなってきた、ということが言えるのではないかと思います。
 こうした中で毎年諮問が行われ、これにはコスト、あるいは大変な労力を費やして行われているわけですが、ここ数年は0円を基調として、±1円といった攻防が行われているのが実情です。そういうことですから、毎年改定するという制度の意義、あるいは効果ということを考えると、どうも薄れてきているのではないかと考えます。したがって、3年に一度というのが難しければ、2年に一度諮問するというようなルールを作って、そういう方式で行うのがよいのではないかと思います。そうすれば行政コストの削減にもつながり、制度の効率化にもつながるというメリットも出てくると思います。
 そういった主張を繰り返してきたわけですが、この目安制度のあり方に関する全員協議会では目安についての審議をするということです。この2年に一度のルールというのは中央最低賃金審議会と地方最低賃金審議会、両方一緒に行わないと効果がない、あるいは支障が出るということが考えられますので、中央最低賃金審議会と地方最低賃金審議会の両方一緒に2年に一度なら2年に一度諮問する、という形を取ったほうがいいと思います。今、9月から開始されている最低賃金制度のあり方の研究会の場で、このような課題についても引き続き検討していただきたいというお願いはしておきたいと思います。
 もう1つ、最初のころ、中央最低賃金審議会や地方最低賃金審議会で、毎年の改定の際に、引下げということができるかどうかの結論はまだ出ていないというような話がありましたが、地方最低賃金審議会の会長からのヒアリングのとき、会長が、引下げができるのかというような発言もあり、地方最低賃金審議会の方でもそういうことができるのかどうかということについて疑問、あるいは、できないと考えている方も多いのではないかと危惧されます。そういうことはできるのかできないのかということについて、はっきり明示していただきたいと考えますので、これについてもよろしくお願いいたします。

○渡辺会長
 改定のあり方についてご意見をいただきましたが、この問題についてさらにご意見ありますか。

○山口委員
 一般的な労務コスト的な、賃金コストみたいな話と最低賃金というのは、私たちは常にそれを主張しているわけですね、水準も含めて。そういう点で言うと、水準のあり方ということを一緒にしながら、幅広い議論を是非お願いしたいと思います。上げるか下げるかという話もそうなのですが、どちらかに決めた方がいいのかどうかというのは、交渉事としてやる上ではあまり良くないのではないかなと思っております。我々はILO本部に事務局としてお伺いをしながら、一定の返事もいただいていますが、そうは言っても、大混乱したりいろいろな状況が考えられるわけです。仮に、下げてはいけないと言ったら、もうプラスしかないということとなり、地方最低賃金審議会の審議においても、プラス傾向に引っぱられて、ある意味では好ましくない状況があるかもしれません。仮に引き下げてもいいという結論が出たときには、正に、地方最低賃金審議会の審議における大混乱が考えられ、我々からすれば、引き下げてはいけないという結論を出すように議論することはやぶさかではないにしても、後々の地方最低賃金審議会での混乱を考えたらやはり水準としてどうあるべきかを考えるべき時期に来ていると思います。今、一般賃金は構造改革の中でどうするのか、労使間の率の問題の中でかなりやられています。世の中のゆとりがあった時は、最低賃金の水準というのは上げられるだけやはり上げていくんだと考えていました。ただそうは言っても労働者側が、食えないからどんどん上げていけと言って、労働市場を混乱させるのも、それはいろいろな問題があると思いますので、そういう点ではやはり最低賃金制度がうまく成り立って運用されていて、ある意味では、労働者側からすれば、不満ながら、機能しているという実態の中では、あまり極端な結論などは示さないほうがいいのではないかと思っております。

○中野委員
 国際競争におけるコストの削減というような問題も出ていましたが、そのことによって無限競争地獄に陥るのを避けるために最低賃金が存在し、第1条に公正競争の問題が記述されているのもそのためではないかと考えております。その意味では、中央最低賃金審議会は最低賃金法の枠の中で審議を行うわけですから、法の趣旨を踏まえた論議をしなければならないのではないかというのが1点目です。
 2点目は、社会的な格差の問題がかなり大きな問題として取り上げられてきているように最近は感じております。その格差の問題なりを解決する意味でも、最低賃金の重要性は高まっているのではないかと思いますし、そういう意味では先ほど山口委員が言われたように、今の水準が本当にどうなのだろうかということも含めて考えなければならないのではないかと思っております。
 また昨今は、特に若者の間でフリーターとかニートとかいう人たちが増えていますが、労働市場におけるそういう格差の問題とか、労働意欲をどうするかという問題も含めて、最低賃金というのは労働市場における有効な政策であるはずですから、そういう意味では、最低賃金のあり様も含めた毎年の審議というのは、非常に重要なのではないかと思っております。現に、1993年でしたか、最低賃金制度をなくしたイギリスでも、1998年に復活をしていますし、この1年間だけでイギリスの最低賃金は4.5£から4.85£に上がったと聞いております。0.35£は70円弱になるのだろうと思いますが、それほどの引上げが進んでいるということも含めて、毎年の審議の中で水準も含めて、きちんとした論議をすべきではないかと考えております。

○渡辺会長
 ありがとうございました。それでは、従来からの議論にもある「金額水準のあり方」について、何かありましたらお願いします。

○加藤委員
 この目安制度のあり方に関する全員協議会もまとめに近くになってきましたが、何度も課題提起している点ですが、改めて要望したいと思います。それは、ただ今の議論にもありましたように、目安審議において、もっと水準を重視した検討が行われるべきではないかということです。最低賃金の決定にあたっては引上げの必要性とか、あるいはどの程度引き上げるのかといった、いわゆる上げ幅についての検討も重要な要素ですが、最低賃金の適正な水準、つまり根っこからの高さについても十分に検証しつつ審議することが大切ではないかと思っております。そうした観点からは賃金改定状況調査結果に、とりわけ第4表にあまり偏重することなく、目安審議の場に賃金実態や生計費など、様々な資料が提示されるので、そうした資料を総合的に検討しつつ、水準のあり方についても十分な審議が行われるような、そうした審議運営のあり方を要望しておきたいと思います。

○池田委員
 将来的な問題として、今回も皆さん遅くまでやって一応ゼロということにしたのですが、都道府県単位ではほとんどが上げています。特にAランクの方が金額の上げ幅が大きくなっております。やはり経済というのは、全国レベルで一緒に上がってくるところがいいわけで、格差がなくなると同時に、ブロックというのもひとつの大切な見方だと思うのです。例えば四国をとっても、徳島などは最低賃金から見れば他の県と同じです。それがなんでランクが上がるのかということもあるでしょう。だから、総合指数から見た目安の作り方も必要でしょうが、逆にそのブロックとして、本当にブロックの中で、大阪が上がってくれないと日本の経済がおかしくなってしまうということもあります。そんな意味から、本当に関西がこれでいいのかという見方もしなければいけないでしょう。今、愛知県は万博もあり非常に元気がいい、総合指数は上がるかもしれないけれど、実態賃金が安いことから経済が良くなっているという面もあると思うのです。そのような見方からするとやはり総合指標も必要だし、またその賃金がブロックとして、今道州制の問題が出ていると同時に、これが適正なのかということも見なければいけない。さらに、前から申し上げているように、全部の賃金を上から並べてみて、高い県と低い県の区分けをして見るなど、将来、いろいろな角度から見て目安を作る必要性もあるのではないかと思います。

○渡辺会長
 大変新鮮なご意見をいただきました。

○川本委員
 賃金水準のお話が出ておりますので、以前にも申し上げたことですが、もう一度申し述べさせていただきます。最低賃金制度ですが、各地域の労使によって実質的に賃金交渉をやっているのがこの制度だろうと思います。毎年、労使の話合いをした結果を積み重ねてきたのが、現在の各地域の最低賃金額になっているということだろうと思います。もう少し具体的に言うと、最低賃金法にもあるとおり、労働者の生計費、類似の労働者の賃金の実態、通常の事業の賃金の支払能力、この3つを中心としつつ、経済動向とか雇用状況とか、そういうものも含めて指標や実感、実態というものも踏まえつつ議論の結果、毎年取り組んできたものということで、やはり現在の最低賃金額というのを重く受け止め、かつ尊重する必要があるだろうと思っております。
 さらに、「各地域によって話し合っている」ということの意義を申し上げますと、先ほど交渉と申しましたが、労使の話合いということで、労使関係上は非常に重要な役割を果たしてきた、そういうシステムだろうと思っております。したがって、ただ何かの基準だけに照し合わせてパッと決まるのではなくて、様々なものを含めた議論をしつつ、毎年議論を重ねてやってきたものを尊重しつつ、また、その役割も重視する必要があるだろうと思っております。

○渡辺会長
 ほかにありませんか。
 いろいろな角度から改定のあり方、賃金水準のあり方という、これまで議論を継続してきた問題についてここで意見が出されました。こうした意見も踏まえて次回に事務局から報告案を示してもらう、という運びにさせていただきたいと思います。 今日ご議論いただく議題についてはこれで終了しますが、最後に今後のスケジュールについて事務局からご説明をお願いしたいと思います。

○前田賃金時間課長
 資料3をご覧ください。今後のスケジュールです。
 報告取りまとめまであと3回、予め予定を入れていただいております。年内にこの報告を取りまとめていただきたいということで、8月26日の第8回のときにお示ししたスケジュールを、今回若干変更させていただいております。第8回のときには、次回の第11回においては報告骨子案を提示するというような形でお示しさせていただいたのですが、あと3回で取りまとめという今後のスケジュールを考え、さらにこれまでの議論等も踏まえ、次回、事務局の方から、報告骨子というより、報告案を提示させていただき、その後それについてご検討いただいたらいかがかということで、若干修正させていただいております。

○渡辺会長
 骨子ではなくて報告案ということですね。

○前田賃金時間課長
 はい、そうです。

○渡辺会長
 詳しいめのものということです。事務局の今後の進め方に関する説明について、ご意見、ご質問がありましたらどうぞ。あと3回の議論で結論を出すという運びです。

(了解)

○渡辺会長
 それではこのように進めてまいりたいと思います。 次回の全員協議会について確認いたします。次回は11月8日(月)午前10時から、場所は経済産業省別館8階の827号会議室を予定しております。議題はご説明がありましたように、この全員協議会報告案の提示を予定しております。 以上、第10回目安制度のあり方に関する全員協議会を終わります。本日の議事録への署名委員として久保委員と原川委員にお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。




(照会先)
厚生労働省労働基準局賃金時間課指導係(内線5532)


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