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第9回多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議議事要旨


日時平成16年10月1日(金)13:00〜15:00
場所厚生労働省専用第16会議室(13階)
出席者今野座長、荻野、小澤、北浦、茂出木の各参集者
議事
 高年齢者ワークシェアリングの現状について(事例発表)
 制度設計、利用に当たっての留意点等について意見交換
(ワークシェアリング導入促進に関する秘訣集や高年齢者ワークシェアリング事例集等を参考に)
 その他

議事要旨:

独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構からの説明後、意見交換

高年齢者ワークシェアリング具体的事例についての説明の概要
A:百貨店(中高年齢者支援制度)
7つあるコースのうち「ワークシェアコース」は原則65歳までの再雇用が選択できる。再雇用後のコースには、「フルタイムコース」、「勤務日選択コース(週4日勤務)」、「時間選択コース(1日6時間勤務)」の3コースがある。
55歳以上の社員も3コースを選択可能だが、社員時に短日数又は短時間コースを選択した場合は60歳以降フルタイムを選択できない。給与は勤務地別に異なり、短日数及び短時間の年間所定労働時間及び給与はフルタイムの8割。
B:繊維工業(再雇用制度)
再雇用適用者の大部分は殖産会社に再雇用され、定型反復等単純作業(職務A)、一定経験による判断業務(職務B)、豊富な経験を要する業務(職務C)の3つの仕事区分に分かれる。
勤務形態は、フルタイム、短日数、短時間など、本人の希望によって幅広く選べる。短時間勤務は時間給による処遇となる。
C:電気機器製造業(ネクストステージパートナー制度)
「直接雇用コース(自社の直接雇用)」と「高齢者雇用会社雇用コース(関係会社の雇用)」があり、1つの社員身分としている。それぞれフルタイム勤務、パートタイム勤務を選択できる。
労働条件の基本的考え方として、60歳以上の処遇水準は以前の処遇と切り離し、「業界・市場水準の賃金」を基本に、その地域でその仕事を外部に委託した場合の水準を考慮して設定。
D:鉄鋼業(シニア雇用制度)
対象者は、定年退職する社内勤務者のうち、再雇用することを会社が必要と認め、これを希望したもの。雇用期間は1年以内で必要に応じ更新できるが、62歳に到達した日以降は更新しない。
配置職務は、現職継続又は経験技能を活かせる職務が基本。勤務形態は、通常勤務と短時間勤務(月12〜14日)の2形態で、短時間勤務は、残業、年休等の欠員補充のほか、技術・技能伝承を図るために活用されている。
E:重機械製造業(再雇用制度)
勤務形態は「フルタイム勤務型」と「パートタイム勤務型(勤務時間短縮型・勤務日数短縮型)」の2形態。勤務時間や休日などについて、フルタイムは定年退職前と同様に、パートタイムは職場ニーズと本人希望に応じて一人ひとり設定される。
再雇用者の賃金は基本給と手当から構成。基本給は、賃金は「定年退職時の本人の職群等級の職能給×成績係数」から算出。「パートタイム勤務型」については、「フルタイム勤務型」の労働時間を基準にして、それぞれ時間給制に換算される。
F:窯業(再雇用制度・シニア社員制度・エキスパート制度)
再雇用制度:1年更新で上限62歳としているが、公的年金の支給開始年齢繰延と連動。フルタイム勤務で、賃金は基本給20万円、賞与は現役組合員の月数の8割。
シニア社員制度:6ヶ月契約で上限は65歳。対象職種はスキルが要求される製造と工事で、製造は仕事量に変動があり、公的年金100%受給を前提にパートタイムで対応(時給制)。工事は施工期間が決められており要員が不足気味ということもあり、フルタイムで対応(日給制)。
エキスパート制度:管理職を対象、関連会社で勤務業務委託の形で働く。
G:電力業(e−スタッフ制度)
会社が指定した12職務に勤務希望者の中から会社が決定。勤務形態は、日勤、3交替勤務、2交替勤務、パート勤務(短時間勤務・短日数勤務)。
賃金は、フルタイムで年収260万円程度、うち本給6割、業績手当4割。パートは、フルタイムの金額を勤務日及び勤務時間に応じて案分。
H:運送業(エルダー制度)
同一職場で現職継続が基本で、勤務形態は「フルタイム勤務」と「短時間勤務」に分かれ、「短時間勤務」は週所定労働時間の違いにより、「A勤務(30〜40時間未満)」「B勤務(20〜30時間未満)」「C勤務(20時間未満)」の3パターンがある。
雇用契約は1年、契約更新は、厚生年金の満額受給年齢と連動して65歳まで。賃金は、時間単価に勤務パターン毎の月平均所定労働時間をかけた額となる。

高年齢者の雇用の状況について、定年時と職務が変わらない現職継続型と、職務が変わる職務転換型の2パターンが見られ、それぞれの賃金の決め方として、現職継続型は、定年時の最終賃金の何割かに設定し、公的給付と合わせて収入を維持、職務転換型は、職務に応じて段階的に決めているという傾向があると考えられる。

労働者に対するアンケートをしてみると、定年後に短時間で働きたいという希望は結構あるが、現実にはフルタイムを選択するケースが多く見られる。継続雇用の人はフルタイムを選択し、職務が変わった人は短時間で働いているという傾向があり、その原因としては、継続雇用の場合はフルタイムの働き方が選択肢の1つとしてあるが、退職後に別のところで働こうとすると、フルタイムの仕事が存在しないということも考えられるのではないか。

定年を境に生活パターンを変えて別のことをやりながら短時間で働くか、生活パターンを変えないで継続雇用でフルタイムで働くか、その選択を定年前からできる仕組みを作っている企業もある。

2.意見交換での主な発言内容は以下のとおり

短時間勤務の導入が進んでいる業種として小売業が挙げられるが、営業時間の延長に伴い労働時間と営業時間とを分離せざるを得なくなり、その中で、交代制や時間帯による繁閑等を考慮し、働き方の見直しが進められたという面がある。

業種によっては、短時間勤務を組み合わせるやり方がそぐわないものもある。設計や製造などは、作業の工程や効率から考えて、繁忙期に短時間勤務の人を組み合わせて一連の業務をやるということがなかなか難しいと思われる。業務毎に場合分けをして、どれだけアプリケーションがあるか考えていかなければいけない。

業種の違いのほか、同業種の中でも、例えば小売業では販売や現場の管理職など短時間勤務を取り入れやすい職種と、企画や最終判断を下す経営者など短時間勤務を取り入れにくい職種があり、多様な働き方がある中でどのような形にしていくのがよいかが検討課題であると考えられる。

組織上の位置と担当する仕事も関係してくるが、短時間で働くことによって影響を受けるであろう本人のキャリアについて納得できる人が増えてくれば、ワークシェアリングも進むのではないか。

自分たちの職場で短時間勤務を組み合わせることは可能かどうか考えることが重要である。制度設計に当たり、ワークシェアリングをどのような理念で設計するか、また、実際に設計した後に現場で運用することとなる管理職や労働者への気配りも重要である。

3回育児休業を取得したある女性労働者の例によると、育休の取得によって自分のキャリアが制約されることについて本人が納得しているという話を聞いたことがある。男性はなぜそういう意識を持てないのか。

3.事務局より、次回の日程について、11月19日(金)10:00〜12:00に開催する旨説明。


照会先:
雇用均等・児童家庭局 短時間・在宅労働課 企画法規係
電話03−5253−1111(内線7876)


(参考)

多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議開催要綱


 趣旨
 多様な働き方を推進する多様就業型ワークシェアリングに取り組んでいくためには、企業の活力や経営効率・生産性を高め、雇用機会を拡大し、労働者がその能力を十分発揮できるようにし、多様な働き方が労使双方にとって適切な選択肢として位置付けられる必要がある。しかしながら、例えば短時間正社員制度を導入しようとすると、社会保険料をはじめとする人件費コストの増大への対応、業務の円滑な引継や分担の方法、その他解決すべき問題点が多く、企業においても導入になかなか踏み出せない現状にある。
 そこで、本検討会議では、多様就業型ワークシェアリングの業界、企業での普及促進を図るため、制度導入に当たって生じうる問題点及びそれに対する解決策をできるだけ具体的に提示し、当該企業における制度導入検討の際の参考に資することとする。

 構成等
(1)本検討会議は、雇用均等・児童家庭局長が企業の労務管理に詳しい学識経験者、実務者等の参集を求めて開催する。
(2)本検討会議には、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。
(3)座長は、構成員が互選し、座長代理は座長が指名する。

 検討事項
 本検討会議では、以下の事項について検討を行う。
(1)多様就業型ワークシェアリングを企業に導入する場合の選択肢の検討
(2)(1)で得られた各選択肢について、制度導入に当たって生じうる問題点のピックアップ
(3)(2)の問題点に対する解決策の検討(利用しうる既存の助成金の精査を含む)
(4)その他、多様就業型ワークシェアリングの導入を後押しすると考えられる事項の検討

 運営
 本検討会議の庶務は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課にて行う。


(参考)

多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議参集者名簿


平成16年10月1日現在
  氏名 役職
今野 浩一郎 学習院大学経済学部経営学科教授
  荻野 勝彦 トヨタ自動車(株)人事部企画室主担当員
  小澤 明子 日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員
  北浦 正行 社会経済生産性本部社会労働部長
  武石 恵美子 ニッセイ基礎研究所上席主任研究員
  田村 雅宣 日本労働組合総連合会総合労働局中小労働対策局長兼労働条件局長
  土田 道夫 同志社大学法学部教授
  成瀬  豊 全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会書記次長
  茂出木 幸二 日本経済団体連合会組織協力本部本部長
  山極 清子 (株)資生堂CSR部次長
(敬称略・50音順、○は座長)


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