04/09/30 医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会第2回議事録                       ┌―――――――――――――――┐                       │照会先:医政局経済課     │                       │(担当・内線)村松(2524)│                       │  代表:5253−1111 │                       │  直通:3595−2421 │                       └―――――――――――――――┘          医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(第2回)           平成16年9月30日(木)10:00〜12:05           於:霞ケ関東京會館「シルバースタールーム」 1.開会 ○村松経済課長補佐  定刻となりましたので、ただいまから第2回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談 会」を開催いたします。まず、本日の出欠状況をお知らせいたしますが、本日は日本精 神科病院協会の川崎様、全国自治体病院協議会の宮川様が御欠席という御連絡をいただ いております。また、日本保険薬局協会の今川様の代理として柏木様に御出席いただい ているところでございます。  本日の資料につきましては、皆様のお手元に座席表、議事次第の他に、資料の1とし て「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会・検討メモ」、2として「卸のグロスマー ジンの内訳」という1枚物の資料を配布させていただいております。それでは以降の議 事進行につきましては嶋口座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 2.議事 ○嶋口座長  おはようございます。それでは早速これから議事に入らせていただきたいと思いま す。今回は流改懇の第2回目になりますが、6月の第1回目の懇談会の後、8月4日と 26日の2日間、準備作業会合を持っていただきました。今日は準備作業会合において出 てきた議論をふまえまして、事務局において作成していただいた検討メモがございます ので、それに基づいてこれから議論を進めてまいりたいと思います。皆様方も各項目に ついていろいろ御発言をされたいことがあると思いますので、メモをとっていただけれ ばありがたいと思います。  それでは早速これから事務局からこれまでの準備作業会合での検討メモの内容をお話 ししていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○村松経済課長補佐  それでは資料1に基づきまして検討メモの御説明を申し上げます。まず一つ目の○で すが、検討の視点ということですが、本懇談会につきましては、各流通当事者の皆様方 に御出席いただいて流通に関する御議論をそれぞれの立場で御発言、御検討をいただく という形で進めておりますが、そもそも医薬品というものが医療を支える基盤であっ て、国民患者がよりよい医療を受けられるようにするためにこの流通というものがどう あるべきなのかということを御検討をいただきたいということで、こうした基本的視点 をふまえた上で、以下ここに書いてございます(1)の生命関連製品としての医療用医薬 品の特性に即した流通過程における品質管理及び安定供給を確保すること、また(2)公 的医療保険制度の下、市場メカニズムが効率的かつ適切に機能するような自由かつ公正 な競争を確保することといったことを確保することが必要であるということを述べさせ ていただいたわけです。こうした基本的視点に立った上で、今後懇談会の検討を進めて いただきたいというふうに考えております。  二つ目以降が具体的な検討事項に関する論点メモでございます。一つ目の○が、メー カー・卸売業者間の取引における割り戻し・アローアンスの適正化ということで、メー カー・卸業者間の取引についての流通改善ということでございますが、一つ目の・に書 いてございますが、これは事実ということでございますが、卸売業者のマージンに占め る割り戻し・アローアンスの比率は拡大傾向にあるということで、これについては資料 の2で卸のグロスマージンの内訳、年次推移という数字、これは卸業連合会さんの方で おまとめになった数値でございまして、例えば平成4年度でいけばグロスマージンが 12.31%のうち、売差、これは一次仕切価から医療機関への売値の差ですが、これが4 年度で5.4%、その一方で割戻し・アローアンス、いわゆるリベートが6.9%といったよ うな比率であったものが、平成14年度に至りますとグロスマージン全体としても12.31 から8.60と縮小していく中で、売差が実は平均的にゼロということで、一次仕切価、メ ーカーの仕切価と同じ値段で医療機関に売っている、そして実際の卸さんの利益という ものは割戻しとアローアンスで全て利益を出しているという現状になっているという、 これは事実関係でございます。  もう一度資料1に戻りまして、こうした割戻し・アローアンスの支払い基準というも のが、以前平成7年2月の流近協提言においては、これの簡素化、合理化にめるべきと いう指摘でございましたが、この支払い基準につきましては概ね進展しているという評 価だったというふうに考えております。しかしながらアローアンスのうちで一部支払い 基準の不明確なものがあるのではないかという御指摘もございまして、これについては 割戻しに振りかえるなど、その比率を縮小していく必要があるのではないかというふう に考えております。  またもう一点、医療機関、調剤薬局サイドからすると、メーカーと卸売業者間の間の 価格形成といったものが不透明、わかりにくいという指摘がございます。これは明らか にする必要があるのかどうかといったことも論点かと思っております。  次は二つ目の○ですが、これは卸売業者と医療機関・調剤薬局間の価格形成という、 もう一方の取引でございますが、これについてはまず大原則として経済合理性に基づく 価格形成がなされるべきではないかという指摘でございます。なお、卸売業者と医療機 関・調剤薬局間だけでなくて、当然先程のメーカー卸売業者間の取引においても同様に 経済合理性に基づいた価格形成というものは行なわれるのは当然であると考えておりま す。  この経済合理性という中で、価格形成の条件として論点があげられておりますのが、 購入量、ボリュームですとか、配送コスト、支払い条件、手形何カ月で切るかといった ようなところですが、その他債権、信用状況といったものもの考慮しながら、その価格 形成というものを経済合理的に決めていくべきであるという指摘がございました。  あと三つは個別の論点ですが、かつて平成7年2月の時には総価山買い、未妥結・仮 納入の是正といった問題、文書契約の推進といったことが指摘されているところでござ まして、総価山買いという取引につきましては、そのうち結果的最終的に医療機関に対 して単品ごとの価格が明示されないといったような総価山買い、これが増加傾向にある という指摘が準備作業会合でなされております。  しかしながらまだこの数字については本日お出ししておりませんが、今暫く総価山買 いというものの取引の実態、本当にどういうものなのかということについてもう少し議 論が必要ではないか。そして数字についてももう少し精査をする必要があるのではない かというふうに考えておりまして、本日は数字自体はまだお示しできる段階ではござい ませんが、増加傾向にあるのではないかという指摘がございます。これについてどのよ うに考えるのかという論点が一点です。  次に未妥結・仮納入、これはあまりにも長期な未妥結・仮納入というものは是正する べきではないのかということで、そのためにはどのような方策が考えられるのかという 論点です。  三つ目の文書契約につきましては概ね進展しつつあるという評価もございますが、ま だまだ一部不十分なところも残されているということで、これを推進していくべきであ るという論点と、その文書契約の内容としても価格が4月に遡って遡及適用するという ことですとか、期中により条件のよい業者に変更できるといったことが文書契約の中に 書き込まれるといったような、いわば片務的な条項というものが散見されるという指摘 がございます。そうした契約内容についてどのように考えるのかという指摘でございま す。  次の論点としては、医薬分業の進展、共同購入・一括購入に対応した情報提供のあり 方ということで、一つは医薬分業の進展に伴って通常診療所に対しては卸さんのMSが 物流とともに情報提供を行なってきたという経緯がございますが、医薬分業の結果、実 際に医薬品の納品が診療所に行なわれなくなったということから、こうした医療機関に 対して情報提供というものを今後どのように行なっていくべきなのかという論点が一つ でございます。  もう一つが共同購入、一括購入ということで、いわゆるチェーンの本部といったとこ ろで一括して契約納入が行なわれた場合に、最終的にどの医療機関、調剤薬局さんに医 薬品が納入されたのかといったことをメーカーが把握できなくなるケースがあるという 御指摘がございまして、その場合にどのようにして最終納入先に情報提供を行なってい くべきかという論点でございます。  次に2枚目ですが、返品の取扱という論点が指摘されております。包装変更、パッケ ージ変更の際に医療機関において医療安全の視点等々様々な視点があろうかと思います が、包装変更をなされた場合に従前の包装のものについては返品されるというケースが あると聞いております。そうした返品を卸さんが受け取った場合に、メーカーさんの方 では実際に返品を認めないというような取扱がなされているという指摘がございまし て、こうした例えば包装変更といった場合について、それをどう取り扱うことが適切な のかということについて、その他返品については様々な類型があるというふうに聞いて おりますが、それぞれについてどのように考えるかという論点があろうと思います。  そして最後にその他ということで書いておりますが、本流通改善懇談会としては直接 の議論のターゲットではないというふうに考えてございますが、極めて関連の深いもの として医療機関・調剤薬局における薬剤管理費用といった問題についてどのように考え るのかという論点が出てきているところでございます。  これらの論点につきまして今後具体的にその内容、改善策等々について御検討をいた だければというふうに考えております。よろしくお願いいたします。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。それでは早速これからフリーディスカッションに入 りたいと思いますが、事務局でこれまでの2回の作業部会の論点をまとめていただきま した、この他にもいくつかあるかもしれませんが、主要なところは大体こんなところか なということでございます。今日の進め方ですが、上の方からいきたいと思いますが、 検討の視点のところ、これについては繰り返し確認されている点でございますから、こ こは少し前提としておいていただく、基本的には市場メカニズムが効率的かつ適切に機 能するような自由かつ公正な競争を確保することというのが、これが基本です。  ただ、それにまつわって特に医療用医薬品の場合には生命関連製品であるという、そ れがゆえに品質管理とか安定供給という問題の特殊性、それからもう一つは公的医療保 険制度のもとにあるという特殊性、これをどのくらい含めて考えるかということが基本 になると思うんですね。ですからそのあたりをどう考えるかということについてはまだ 議論があるでしょうが、それは個別の問題の中でやっていくというふうに御理解を願い たいと思います。  それで今二つ目のところの御説明をいただきましたが、メーカー・卸売業者間の取引 における割戻し・アローアンスの適正化、それから三つ目の○の卸売業者・医療機関/ 調剤薬局間の価格形成のあり方、この二つを一緒にやろうかなと当初思っていたんです が、どうもこのあたりの議論が重くなりそうですので、別々にやっていただいてよろし いでしょうか。  それでは最初にメーカー・卸売業者間の取引における割戻し・アローアンスの適正 化、この問題から早速入りたいと思いますが、実は私もいろいろ調べてみて、作業部会 の中でも議論が出たんですが、もう一回クリアにしておくべきことは、ここで言う卸売 業者マージンというのは、これはグロスマージンであるわけです。グロスマージンの中 には三つのサブカテゴリーがあるようで、いわゆる売買差益という、メーカーさんが卸 さんに対して支払う時に出る差益、これがいわゆる第一次利益と言われているもの、そ れからその次に割戻しというのがあって、これは売り上げに応じて、しかしながらこれ はある程度ルールが明確化されている、これが第二次利益というらしいです。それから そのあとにアローアンスというのがありますが、これが第三次利益です。アローアンス のところがややまだ不透明になっているかなということで、アローアンスのうち支払い 基準の不明確なものは割戻しに振りかえるなど、その比率を縮小していく必要があるの ではないかという、こういう御指摘だと思います。  もう一つのメーカーと卸売業者間の価格形成の問題ですが、これを医療機関・調剤薬 局に明らかにする必要があるかどうかという、これはかなり本質的な問題に関わってま いりますが、私もあの時の作業会合でどういう議論だったかをもうちょっとクリアにし た方がいいと思う。というのは価格形成が価格の構造の問題なのか、それとも価格決定 のプロセスの問題なのかという、ここをちょっとクリアにして、それからなぜこういう 議論が改めて出たのかということを含めて、まず最初に卸業者代表の方とメーカー代表 の方に簡単にこのあたりの作業部会の検討の大雑把な趣旨だけ少しお話をいただけると ありがたいと思います。では卸業者さんの方からお願いします。 ○伊藤委員  それでは少し説明をさせていただきます。先程、嶋口座長、それから事務局から細か くお話がありましたように、内容としてはそういう今現在の状態でございます。そこの ところの御指摘にございますように、一部アローアンスのうち支払い基準の不明確なも のがやはり依然として存在しております。  当然のことながら検討の視点にございますように、自由かつ公正な競争を確保する、 あるいは生命関連商品としての特性に即した流通過程をよりしっかりしていくというと ころからいきますと、やはりメーカー・卸間の取引のさらなる透明性が必要になってく る、その覚悟が必要であるというように考えております。したがいましてそのようなア ローアンスは極力排除する必要があるのかなと、このように考えておるわけでございま す。そのためにそれらのアローアンスを極力割戻しに振りかえると同時に、市場実勢価 をふまえた仕切価の修正、または仕切価修正機能をもつ割戻しの柔軟な設定が行なわれ ることが必要であるというふうに考えております。  続きまして二点目の部分ですが、価格形成という部分をどう捉えるかという部分です が、基本的にメーカー・卸売業者間の個々の価格形成というのは自由主義経済のその市 場の中で行なわれているものでございまして、取引当事者間同士の機密事項に該当する わけでございます。これは当然第三者に公表すべきものではないと、このように考えて おりますし、このことを第三者に公表するということになりますと、我々企業の生命線 そのものが非常に危うい存在になってしまうということを考えているわけでございま す。これにつきましてはやはり第三者に公表すべきではないと考えております。以上で す。 ○高見委員  この割戻し・アローアンスにつきましては、この検討メモに書いていただいている通 りかなと、このように認識しております。かいつまんで申し上げますと、現在の割戻し は直接取引先である卸さんに供与されまして、その大半が仕切価格を修正する性格のも のでございます。予めその支払方法、あるいはその支払い基準が取引契約書の中で卸さ んに明示されているという現状でございます。このことから現在の割戻しは卸さんと医 療機関等との交渉における卸さんの納入価格に反映されるものであると考えておりま す。したがいまして現状の割戻しが市場価格の形成を歪めるものではないと考えており ます。  一方、アローアンスは先程若干御説明がございましたように、一般的に販売促進的な 要素が強いものでございまして、通常の取引において存在自体が別に否定されるもので はないとは思いますが、支払方法,あるいは支払い基準が不明確である場合はやはり自 由で公正な競争という点から問題があろうかと思いますし、グロスマージンに占める割 合が極端に大きい場合、あるいは累進性の高い場合などは、卸業者さんの自主的な価格 形成に支障をきたす恐れがあると考えまして、独禁法上の問題も絡んでくるかなと考え ております。したがいまして支払い基準の不明確な割戻しは明確化を図っていきまし て、また不明確なアローアンスはその比率の縮小に向けて努力すべきものと、このよう にメーカーとしては考えております。  それから二点目の件ですが、仕切り価格の設定は市場及び競争の状況を勘案して、メ ーカーの責任とリスクで決定しているという現状でございます。仕切価格は商取引の契 約事項として取引先卸のみに通知すべきものと、このように考えております。したがい まして仕切り価格を公表するということは、卸業者さんの仕入れ原価を取引先である医 療機関に公表するということになってしまいまして,取引上で極端な不利な立場に立た されるのではないかなと危惧しております。医薬品でありましても、一般取引慣行と同 様に取引は対等な立場で行なわれるべきでございまして、仕切り価格というのは公表す べき性格のものではないと、このように考えております。以上でございます。 ○嶋口座長  当事者であるメーカーさんと卸業者さんの立場を今御説明をいただきましたが、これ からはフリーな御質問あるいはディスカッションがあればと思います。何か御意見はご ざいますでしょうか。 ○三上委員  市場メカニズムが機能した自由かつ公正な競争というのがどういうことを意味するの かということですが、今のお話を聞きますと、なるべく透明にして、アローアンスもな くしてやろうじゃないかというお話なんですが、医薬品販売における商取引上の競争と いうのは、一つは価格による競争と、あとは付加価値的なサービスによる競争によって 販売競争が行なわれるということだと思うんですが、その競争の部分というのは、はっ きり言いますとアローアンスの部分で競争するんじゃないかという気もするんですが、 今の話ですと公正競争規約とかもありますが、なるべく競争を避けよう、そして透明に しようというふうなお話のように伺えますが、その辺のところはどのようにお考えかを ちょっと伺ってみたいと思います。 ○伊藤委員  おっしゃる通り、アローアンスというのは販売促進的な意味がございますので、当然 のことながらそのこと自体をなくしてしまおうということではございません。ただ、ア ローアンスというものの中にいろんな基準がございまして、その基準の不明確なもの、 あるいはグロスマージンというものに占める割合が非常に過度になっているようなもの というのが競争自体を歪めてしまう可能性がある、したがってそういうものに関しては できる限り割戻し等のところにもっていって透明化を図っていただきたいということで ございます。アローアンスそのものを否定することではございません。 ○仲谷委員  メーカー側の立場から、いま公正競争規約というお話がございましたので、そのこと につきまして、もちろん三上先生には十分御理解をいただいているところですが、皆さ ん必ずしも同じ水準で御理解をいただけているものでもないと思いますので、ちょっと その公正競争規約ということについて御紹介をさせていただきたいと思います。  今の三上先生のお話にもありましたが、競争ということについて、この公正競争規約 では否定しているものではないということが大前提になります。公正競争規約というの はルールができてもう20年になるわけですが、基本的な考え方というのは、まずお医者 さんが患者さんに対して医療を行なうという時には、ベストの医療を選択しているわけ ですし、当然患者さんもお医者さんがベストの医療をしてくれているというふうに信じ ているわけです。そういう意味でお医者さんと患者さんの間の信頼関係で医療は成り立 っているというふうに思っております。  医薬品の選択も全く同様で、お医者さんがその患者さんにとってベストの医薬品を選 択しているという状況にあるわけですし、患者さんにもまた自分にとって一番いい薬を お医者さんが選択してくれているというふうに思っていただいているわけです。そうい う意味で私たち医薬品産業といたしましては、そのお医者さんと患者さんの信頼関係を 損なうような行為があってはいけないということを胆に命じて取り組んでおります。  その視点に立って考えました時に、あまり過大なサービスの提供によりお医者さんの 処方を歪めてしまうようなことになってはいけない、そういう思いから過大なサービス 提供ということについては極力控えていこうというふうに考えております。ですから全 くサービス行為による競争を排除しているというわけではなくて、お医者さんの医療行 為を歪めることのないようにという配慮から、公正競争規約を作って運用をしておりま す。  そういう一定のルールの中で、しかも過剰規制にならないようにとたえずチェックを しながら、ある時には公正取引委員会にも御相談にあがるとか、あるいはルールの変更 については日本医師会さん、あるいは他の医療機関団体さん等にも御相談にあがらせて いただくというようなことをしながら運用を図っているというもので、最初のところに 戻りますが、競争を阻害している、あるいは全く否定しているという性格のものではな いというふうに他の皆様方にも御理解をいただきたいと思います。以上です。 ○大塚委員  次の薬価改定で薬価が下がるのを防ぐために、メーカー側においては正味仕切価格を 高く設定しておられるのが現況です。その結果、平成14年度の卸のグロスマージン、今 日いただきましたが、販売差益、売差はゼロになっております。これでは卸は経営困難 となるために、割戻しとかアローアンスによる収益確保に頼らざるを得ない現状でござ います。  平成2年に日米構造協議が開かれて、日本の医薬品の流通に関する協議が行なわれて おります。メーカーは小売り価格に関与してはいけないと決定されております。一般商 品はメーカーが希望小売り価格を設定しておりますが、医療用の医薬品では薬価が設定 されております。現行の薬価算定方式では薬価差を極力少なくするためには、正味仕切 価格を高値に設定せざるを得ない。  高仕切価格を続けることで最大の危惧は、薬価と実勢納入価格との乖離防止を行なう ことで、再販価格維持を認めることになるのではないかと、このことが大きな問題があ るのではないでしょうか。また現在行なわれているアローアンスとか割戻しは全ての医 薬品には適用されておりません。特にアローアンス等は新規薬価収載医薬品やメーカー が売り込みたい薬品に限られております。  その結果、例えば三共さんのノスカールとか武田さんのアバンなど、一度は薬価収載 になりましたが、その後削除されております。現行の医薬品取引ではアローアンスは透 明性をもっと高め、極力縮小すべきだと思います。それから割戻しも透明性があるとは 言え、極力縮小すべきであり、メーカーと卸間にリーズナブルな売差を求めるべきでは ないでしょうか。  医のエセックス、倫理について、医師にコストの安い医薬品を提供すれば、医師の診 療行為にあってはならないような結果が招来されるというような危惧の念をお持ちでご ざいましょうが、そのようなドクターは私は稀ではないかと思います。 ○嶋口座長   ありがとうございました。ということはここにあるような将来的にアローアンスの 比率は当然不明確なものは減らしていくべきであって、それから暫く割戻しの方に合理 性のあるものに振りかえるけど、将来的にはやっぱり売買差益の方でちゃんととるべき だという、そういうことですね。ありがとうございました。 ○柿田委員  今の大塚先生のお話と同じで、私どもの方で二三調べてみたところでは、結論的に病 院、医療関係、特に大きな病院との間での問題は仮納入であるとか、契約がなかなか妥 結しないなどといった点であろうと思われます。病院側が様子見をしているということ であろうと思います。つまり、お示し頂いたように薬価形成の中でこの割戻し・アロー アンス部分がウエイトが高いという実態があるからであろうと思いますが、医療機関側 からみますと、提示される薬価が大変流動的で不透明ということになります。そのた め、それを見極めて次の自分たちの妥結のステップに行くような仕掛けになっていかざ るを得ないわけですね。  正味の仕切価がある程度リーズナブルなものであれば、そういったものは発生しない わけで、先程御指摘のように割戻し・アローアンス部分をなるべく比率を下げていただ き透明性を確保していただく方法を工夫することが流れをスムーズにする方法なのでは ないかなと思っているわけです。 ○松谷委員  大塚先生御指摘の通り、平成4年の新しい方式に変わった時点で、その当時、厚生省 と公正取引委員会が新しい流通のあり方としては、我々に一次差益で大体7%、それか ら割戻し・アローアンスを含めて全体を10とするなら7対3ぐらいのものが大体妥当だ ろうというようなところから始まったのが、今現在は7が0になってしまっているわけ ですが、その間の事情の中で私が感じていましたのは、平成4年の時は例の薬価算定の 時に使う一定幅というものが15%で始まって、15%が10になって、もう一回見直すとい うことになっていたんですが、見直しの議論がされないままに5になり2になりという ことになると、名前も今度は調整幅というふうに変わって、そういう中での一次売差が 過去言われていたような7対3でいいのか、私は0はやはり非常に異常だと思っている んですが、今の調整幅2の中で現実に7対3のような取引実態でうまく運用できるのか なというのが、実際に我々営業している中では、ちょっとそこらへんのものについて、 逆に言うと皆さんからいろいろ御意見というものが出ないと、なかなか卸とメーカーさ んとの間でそういうものが、我々はもっと仕切価を下げてくれという要求をもちろんし ているわけですが、そういう社会的、特に医療用医薬品で言えば保険制度の下とあると いった意味では社会的合意がどこかでぜひ必要であると考えます。それにはこの流改懇 の場所が非常に適切ではないかと思います。私はそういうところを期待をしている部分 もあるということを申し添えたいと思います。 ○漆畑委員  日本薬剤師会の漆畑ですが、今、皆さんの御意見を伺っていて、これに関しては特に その意見に反論をしたということではなくて、概ね賛成なんですが、ただ私が伺ってい て、まずこの一つ目の割戻しとアローアンスの比率の問題なんですが、今日いただいた 資料の2では売差と割戻し+アローアンスとなっていますので、割戻しとアローアンス の比率はわかりませんから、先程売差それから割戻し・アローアンス三つに分けて、特 に卸さんとメーカーさんの間ではこのアローアンスの比率をもう少し縮小すべきだとい うことで、そこは同じ考え方だと思うので、それはそれで当事者の御意見がそういうこ とならばと思うんですが、聞かせていただく立場では、割戻しとアローアンスの比率が わかりませんから、それについてそれ以上御意見を言うような状況ではこれではないん ですね。  ですからもう少し松谷委員がおっしゃったような議論を進めるということであるなら ば、このこともちょっと明らかにしていただくというか、この場で検討するということ であれば、その内容については私どももう少し知りたいと思います。いずれにしても売 差がゼロというのは、これはやっぱり通常の取引では考えにくいことですから、これは 皆さんの御意見の通りだと思います。  それから二つ目のメーカーと卸業者の間の価格形成を云々でありますが、これはメー カーさんと卸さんの取引を、これは商取引の内容ですから、開示するものではないとい うのは、私もその通りだと思うんですが、事務局にお聞きしたいんですが、この議論は 一体どういうことでこういう議論になったのかというのがわかりにくくて、ただ、私は 当初これに類似したようなことを言った覚えがあります。  しかし、それはメーカーさんと卸さんの取引を医療機関や薬局に教えろと言ったので はなくて、これで議論をするために、ここにあるように価格形成がどうされているかと いうのを教えていただかないと、要するに何%引きということではなくて、価格形成が どういうふうになっているかを教えていただかないと、メーカーさんと卸さんはわかっ ているかもしれないけれど、それ以外の方は議論をしにくいということで、価格形成が どんなふうに成り立っているのかを知りたいという意味で、私はこのようなことを言っ たような記憶もあるんですが、それは先程卸さんとメーカーさんがお話をされたような 通常の取引の中で、メーカーさんと卸さんの取引の値段を教えなさい、開示しなさいと いうことでは全くございませんので、あくまでも議論の材料でそういうことがあればい いということであったと思います。そこは誤解のないようにしていただければと思いま す。 ○仲谷委員  この売差がゼロという、この資料2に基づいてのいくつかの御意見を頂戴しました が、メーカーとしてもともと売差がゼロになるような価格設定で仕切価を設定している わけではないんです。メーカーとしては仕切価の上で一定の売差をとれるということを 想定して仕切価を設定し、また割戻し等も設定しているというのがまず入り口での実態 なんです。  ただ、それが卸さんと医療機関との価格交渉の結果、だんだん市場価格が下がってい っていて、その結果このようになっている。先程伊藤さんの方からももう少し割戻し体 系の柔軟性があってもいいのではないかという御指摘もございましたが、それはおそら く仕切価を変更するとかというようなことにもつながっていくんだろうと思います。  しかし、先程高見さんの方から御紹介させていただきましたように、割戻しの下に正 味仕切価があるというふうな認識をしております。私たちは売差がゼロでも構わないん だと言いきるわけではありませんが、今、漆畑先生が御指摘になられたように割戻しが 仕切価から上にどのぐらいあって、その下にアローアンスがどのぐらいあるんだという ことについては御議論の必要があるかもしれませんし、そのアローアンスが本当に不明 確であれば、やはりそこは明確にしていかなければいけないでしょうし、割戻しに移せ るものなら移さなければいけないというふうには思っておりますが、売差ゼロだからい きなりそれはおかしいという議論ではないんだろうというふうには思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。そのあたりはかなりコンセンサスを得られているのではな いかと思うんですが。それでは次は江口さん、お願いします。 ○江口委員  我々ジェネリック医薬品販社協会としては、今の議論をお聞きしまして不思議だなと いうものがあるんですね。というのは我々今までアローアンスという言葉そのものをあ まり聞いたこともないようなメーカーと我々の取引だったんですね。やはり契約できち っとしているもの、仕切りというものは初めから値段がきちっとしているんだと思うん です。と同時に割戻しというのも年間取引の中でのこれだけ売った場合、これだけ支払 いサイドが短い場合はこれだけリベートを出すというような格好での明確なものがある と思うんですが、このアローアンスというのは、これは場合によっては契約というか、 そういうもの明確なものがないんじゃないかな。  実はよく考えると、どうも交際費的要素があるんじゃないか。メーカーさんと問屋さ んでの間の決算だとか、これだけ売ってくれればどうだというような格好での、商売と はちょっと違ったところでのアローアンスというのがあるんじゃないかな。これは税法 上からいくと交際費的要素で判断される点もあるんじゃないかなというふうに思うわけ なんです。それと同時に末端の問屋さんから医療機関に売る場合の、その価格も場合に よっては力と力の関係と同時に、どうもやはり価格そのものの明確な単価というものよ りも交際費的な要素があるんじゃないかなというふうに私などは判断をしております。  現実に私どものジェネリック関係では、もう仕切り値がほとんど一本化だったんです が、この頃メーカーさんもだんだんと問屋さんに行かれるようになりまして、割戻し的 な要素を取り入れるような格好になりつつあるんですね。だから我々の考え方からする と、まあこれは新しいというか、進んだ商売のやり方かなというふうに私どもは思って おります。 ○嶋口座長  アローアンスは交際費的なものは言い切れないとは思いますがね。ただ基本的に売差 というのは最初からクリアになっているものだと思いますが、割戻しとアローアンスは 取引後に決まる部分がありますので、そういう意味からいうと明確さというのは事前に クリアになっていれば明確であるけれども、事後的に、あるいは結果的に出てくるもの がやや不明確、その不明確の中でも割戻しの部分についてはかなりルール化ができてき たのでクリアになったんだろう。ただ、最後に残った砦のような、アローアンスのとこ ろにちょっと両方の側面が入っているかな、ここのところをもう少しクリアにするとい うのが今回のここの議論の中身かなと思います。ただ、アローアンスそのものは販促的 な意味合いで、他の業界でもないことはないわけだと思いますので、そういうふうに理 解していただきたい。 ○高見委員  先生の仰るとおりだと思います。アローアンスにつきましては、いわゆる販路別だと か品目別だとか、あるいは期間を限定してだとか、そういう意味では明確なんです。支 払う場合にそれが2カ月続いてるだとか、あるいは契約条件に対して結果が出てないだ とか、いろんな点で問題があるが、いわゆる価格のバッファーとして一部不明確な部分 がある。これはやはり本当に卸さんの経営という問題とも関わってくるんじゃないかな というふうに考えております。 ○渡辺委員  卸連の渡辺ですが、先程仲谷さんがおっしゃった、仕切価は適正な価格に基づいて一 次差益がとれるだろうという仕切価にしておりますという御発言があったと思います が、私どもの卸連の見解と若干そこが違うんですね。それの前提は先程私どもの薬価 差、R圧縮というのがあって縮小してきた。15%ぐらいあったものから縮小した段階の メーカーさんの仕切価というのは次の薬価を見越しての仕切価になりますので、それが 薬価差を圧縮してきた。  ところが調整幅2%での改定は、これで3回目なんですね。だから購入者側からみれ ば、薬価差縮小が難しくなってきた。要は、行き詰まってきた天井まで縮小されたとい うことで売差がとれなくなってきたということで、卸連側としては売買差益ができる実 勢価格にはなってないということは思っております。 ○嶋口座長  それではこれについては議論がまだたくさんあるとは思いますが、別にここで終わっ て最終結論ということではございませんので、後ほど少し時間がございましたらこの点 を含めて全体のまたディスカッションをしたいと思いますので、一応最初のメーカー・ 卸売業者間における割戻し・アローアンス適正化ということについてはいろいろな方々 から貴重な御意見をいただいたということで、改めてまた事務局サイドの方でとりまと めて別の機会に披露したいと思います。  それでは二つ目のところですが、卸売業者と医療機関/調剤薬局間の価格形成のあり 方についということで、ここもかなり本質的な問題で、たとえば総価山買いが増加傾向 にあり、これどのように考えるかというのは、さてこれがいいのかどうなのかというこ とを含めて議論をしようという議論があったような気がします。それからもちろん未妥 結・仮納入の問題、それから文書契約がかなり片務的である云々とあったのですが、こ のあたりについてやはり卸サイドの方から簡単な御意見をいただきたいと思います。松 谷さん、お願いします。 ○松谷委員  当然、価格形成のあり方としては購入量や配送コスト、それから支払い条件、信用等 を考慮して、それぞれ個々に検討するのは当然のことだと思います。医療用医薬品とし て特殊だという部分で言えば、すべての商品に薬価があるので総価山買いがあったり、 一括購入などの問題が発生しております。一括購入というのは量が多くなれば安くなる というのは、ある意味では当然だと思うんですが、その量が多くなるという意味で言え ば、医療用医薬品は医師の処方があって初めて薬が出るということでありますから、大 量にまとめて買ったからといってそれで需要が増えるわけではなくて、そういう意味で の共同購入による単価の下落が大幅に出る商品では性格的にないというふうに我々は認 識しております。共同購入等でこれだけまとめたからいくらにしろという強い要望があ りますけれど、これに対してはなかなかそれに応じられるような状況下にないというこ とは十分御認識願いたいなと思います。  それから一括の価格交渉があったとしても、個々の配送は従来通り全部個々に配送す るというような場合であったら、コスト削減にもつながらないというような意味で、こ の一括購入等についても、医療用医薬品についてはちょっと違う観点を持っていただく 必要があるのではないかというふうに思っております。  先程事務局から御説明があったんですが、総価山買いという一般的に言う言葉自体の 理解の仕方についても非常に問題があるというふうに思っております。今、実情で行な われていますのは、全て薬価に対して何プロという交渉が非常に多くて、山というのは その山の中にどういう商品があって、その商品がその期間中どれぐらい消費されるだと か、こういうものか明確になっているものを山買いと昔は言っていたのですが、今はそ ういった種の細かいそういう需要まで予測した総価山買いにはなってなくて、極端なこ とを言うと薬価に対して何プロ引きだというだけの交渉という意味でいうと、銘柄別薬 価収載という意味でいったら、その銘柄がなかなか反映しづらくなっております。医療 保険制度上とまた薬価基準制度、それから銘柄別という意味でいったら非常に問題があ るのではないかということを感じております。  そんな中で私どもの調査できちんとした分類ができていませんので、概ねということ で申し上げますと、今、現在総価山であるというふうに申告しますと、これは一応薬価 調査の対象にならないということになっております。そんな中で全品が総価契約になっ ているのは200床以上の病院で約10%、それから20店舗以上お持ちの調剤薬局チェーン で言いますと約20%、それから単価に置き換えているけれども、その単価が全部一律の 単価、例えば12プロ引きなら12プロ引きで全製品とも12プロで全商品を報告していると いったような、全商品一律単価でやっているものを含めますと、200床以上の医療機関 で約30%、20店舗以上持っている調剤薬局チェーンさんでいうと約75%という率でござ います。  ここらへんについてはもっと細かい詰めをしないと数字だけ一人歩きをすると困りま すので、これはもう一度経済課の方とも議論をするというふうに、その総価の定義をき ちんとしてからもう一度提出したいと思っておりますが、大雑把に我々が卸連として認 識しているのはそういう程度でございます。そういう意味ではやはり薬価調査の上から も、また銘柄別薬価という意味からも問題のある購入方法ではないかというふうに理解 をしております。  また、総価交渉が行なわれた中で、総価で一応妥結しても、そのあと一律の単価とい うことではなくて、卸がその単価を割りふって報告するような、我々はそれを総価とい うふうに理解しているんですが、そうじゃないという見解もあるんですが、そうなると 一部のメーカーさんの商品が極端に単価を安く出さないとその総価率に達しないとか、 そういう意味で不合理な価格設定が出てくる危険性があるというふうに認識しておりま す。  それから未妥結・仮納入でございますが、薬価改定後の納入価格決定するまでに6カ 月以上の日時がかかる医療機関が200床以上で約70%、20店舗以上の調剤薬局さんで約 60%、それが1年を越えるとか2年経たないと、次の薬価が決まる直前にならないと価 格が決まらないというような先も相当数ありますので、この調査についてももう一度精 度を高めたものをきちんと作った上で公表したいと思って、今日は中間的な傾向だけの お話にさせていただきます。  これがなぜ問題かというと、やはり未決定先というのは一応薬価調査上は薬価調査の 対象にならないということになっています。そうなると圧倒的に薬価調査の対象になら ないところが、またそういう医療機関さんや調剤薬局さんが比較的総価的に価格を決め られるところが多いということになると、そういうところの部分が薬価調査に反映され ないのであれば、これはやはり薬価調査の制度上という意味では問題があるのではない かと理解をしております。  それから文書契約について言いますと、未だ十分とは思っておりませんが、200床以 上の病院さんでは今約60%が文書契約を結んでおります。それから病院全体で言うと42 %、診療所が36%、調剤薬局さんが69%ということで、調剤薬局さんが一番文書契約を 結んでいるのは多いということでありますが、この中では取引のあり方等まで細かく契 約しているのとか、支払いサイドまで全部入れているとか、いろんなことについて言う と契約そのものが非常に不備なものがたくさんあるということであります。  それから一部官公立病院さんの契約書でいうと、返品の受付等とか、また新たな業者 を入れるとか、いろんなことについては非常に片務的だと思われるような項目が中に入 っているものが散見されますので、こういうものについては我々も自主的に交渉をして いくべきだというふうに理解をしております。 ○嶋口座長  ありがとうございました。それを卸側の一つの考え方というふうにお聞かせいただき ましたが、医療機関並びに調剤薬局側の方からお願いします。 ○柏木委員(今川委員代理)  保険薬局協会の柏木でございます。総価買いの定義がいま出ておりますが、私どもが 受け止めております総価山買いとちょっとニュアンスが変わっているかなという感じが しておりますが、最初の1の方の議題と若干ダブらせていただきますが、問題は価格の 正当性は何をもって立証していこうかということが一つの問題点だと思うんですが、メ ーカーさんと卸さんの御議論を聞いてみますと、その辺がどうも私どもにとっては非常 に不透明である、信頼がおけないということですから、じゃあ何をもって信頼できる価 格かというと、薬価基準を一つの分母にしてしまえばということ、これは多少苦肉の策 ではございますが、そんな形が総価買いに行ってしまったのではないかなという感じが しております。  だとしますと価格の信頼性を損ねているものはやはり不透明性だと思うんです。先程 来卸連さんもメーカーさんも、第三者に公表すべきでないと、その価格形成のあり方、 アローアンス・割戻しも含めまして、でもそれだけ割戻しとかアローアンスのシフトが 不透明ですと、私どもが実際購入する価格は何をもって立証してくださるのかというこ とになると思うわけです。むしろこれからは情報開示はもう時代の流れだと思うので、 むしろ思い切ってそういったことに踏み込まないと総価買いの問題についての解決策と いうのはなかなか見えないような感じがしております。 ○大塚委員  薬価算定方式の制度疲労の結果、もともとこの薬価算定方式というのは市場実勢価 格、加重平均値という非常にいい方法だったと思いますが、真面目にこれに対応した場 合には薬価がその都度下がっていくということで、仕切り価格を高く設定して対応し た。その結果先程も議論になっております割戻しとかアローアンスなどが起こっており ます。  一方、医療機関とか調剤薬局の方はこれに対応するためにはどうするかということ で、総価山買いとか、山買いもいろいろございまして、メーカー別の購入パーセンテー ジ、薬価別のパーセンテージ、いろいろな方法が行なわれておるようでございます。現 在の薬価算定方式を続けて行かれるならば、山買いは私は認めるべきだと思います。他 に対処する方法がないんじゃないでしょうか。 ○嶋口座長  認めてもいいじゃないかと、こういう御意見もあり得るということでございますが、 他にいかがでしょうか。 ○大来委員  医療機関にとっても卸にとっても総価山買いというのは事務効率化の面で一つの合理 性がそれぞれあるということについてはわからないではない。しかし、薬価制度と、こ の総価山買いを絡めますと、問題のある取引の形態であると言わざるを得ない。  それは何かといいますと、総価山買いによって価格自体が大きくバラつくからであり ます。例えば単品で開業医の価格と、総価山買い等によって、いわゆるバイイングパワ ーを発揮した場合、価格に大きな差が出てきます。こういう価格のバラつきというもの は社会的な公平性に欠けると考えられ、総価山買いのような取引慣行というのは、好ま しい慣行ではないと、こう言わざるを得ないというふうに考えております。 ○嶋口座長  先程の松谷さんの御意見の中で私も確認したかったのですが、この総価山買いの部分 については銘柄別薬価収載には載せないというのは、これは事実なんですか。 ○松谷委員  薬価調査の対象にしないということです。ですから他の医療機関のものは調査に入っ ていて、完全総価のものは薬価調査の対象になってないということになると、非常に大 きな取引があるにも関わらず、総価であればそれは薬価には反映しないということで す。 ○嶋口座長  というと今のメーカーさんのお立場は、それに反映しないならばいいということにな るんでしょうか。 ○大来委員  これは大変難しいところであります。 ○嶋口座長  総価山買いだけでなくて、一般の議論でも結構ですから他に何か御意見はございます か。 ○三上委員  総価山買いというのはいわば包括払いのような形で、現在診療報酬の中でも包括払い 定額制というのが拡大していく傾向にあるわけですが、総価山買いを否定するというこ とであれば、そういう方式自体も問題である、何を使ってもみんな一緒である、銘柄に は関係ないんだというふうな考え方ですから、そういうことなんですが、もともと包括 払いというのは事務的な経費とか、あるいは全体を抑えるための道具として出されてき たものですから、一概に山買いが悪いということは言えない。  それからバイイングパワーを発揮することによって価格のバラつきが起こることが社 会的公平性に欠けるんだという話でしたが、それは逆に言えばどういう形で流通しよう が価格を一定にする方が社会的公平性を欠くんじゃないか、頑張ったところに頑張った だけのご褒美がないということも非常に問題ですから、やはりバイイングパワーが発揮 されて、適正な競争が行なわれるという方が公平ではないかと私は思っております。 ○漆畑委員  この○の部分の全体なんですが、一番最初の価格形成の条件のところなんですが、配 送コストに始まって、ここに書いてあるのはこの通りだと思うんですが、実際にはこれ プラス、本当は卸さんと医療機関・薬局間のサービス、これは直接価格に関係したこと だけ書いてありますが、その配送頻度とか、そのサービスがこれには本当はあるわけ で、その議論があって初めて結果的に、じゃあどういう値段でということもあると思い ますので、その部分がまずこの論点では抜けていることが一点です。  それから松谷さんがおっしゃった一括購入のことは最初から論点になっているわけで すから、ここのところでこの四つのポツに整理されてないのが変ではないかな。それは やっぱりこのところに特に一括購入で松谷さんがおっしゃる通り、一括購入と言ってる けど個別に配送しているという実態としてやっぱり一括購入と捉えにくいものをどうす るかというのをここでちゃんと論点として入れていただきたいと思います。  それから総価山買いの件なんですが、私は総価山買いで取引できてない立場から言い ますと、一体どういう経緯で総価山買いになるのかというのがよくわかりません。卸さ んの立場で問題があるとおっしゃるのはよくわかるんですが、それなのに先程の暫定的 な数字では大変びっくりするぐらいの多い医療機関、薬局が総価山買いをしているとい うことになりますと、それはどういう動機で一体そういうふうになったのか。  要するに一人ではできないことですから、お互いの関係の中でできてくるので、一体 どうしてそうなるのかという、買い手が総価山買いにしろと言えばそうなるというよう な簡単なことであったとすれば、私も明日やってみようかなと思うんですが、多分そう じゃないと思うわけで、一体どうしてそうなっているのかというのがよくわかりませ ん。  ですからそれを議論するのだったら一体何がそうさせているのか、薬価のことだけで はないと思いますね。保険のことで薬価のことをいろいろおっしゃいますが、薬価の算 定方法が変わって薬の値段がそれによって変わるとすれば、結局それをまた元に取引は 交渉されるわけですから、私はあまり関係ないと思います。  それからもう一つは全体の保険ですから、そういう意味で言えば診療報酬も調剤報酬 もやっぱり公定価が決まっているわけでありまして、仕組みそのものが一定のルールで 一定の単価を決めるという方法で行なわれているわけですから、私はそのことだけに責 任を押しつけるような、そういう議論の仕方は結局解決策を見い出さないことになりま すから、それは別なところではするにしても、この場でそれをどういうふうに議論して も多分ここでは結論は得にくいと思います。  それから薬価調査の妨げになっているというのは、総価山買いはその通りだと思うん ですが、でも今のお話を聞いていると、薬価調査に反映してないのはむしろ安く買って いるものが反映してないわけだから、反映したらもっと安くなっちゃうのではないかと いうふうに、要するに印象としては今総価山買いはどのぐらいかというのは出てないわ けですから、それはなかなか言いにくいかも知れませんが、多分、卸さんの経営を圧迫 する要素であるということは、総価山買いというのは実は安いということですね。  ということで言うならば、それが薬価調査に反映してないというのだったら、それは むしろ薬価が実勢価格を反映してない、高い水準で薬価改定が行なわれているというこ とになるわけで、そういう意味では薬価調査の妨げになっているので、それは結果良か ったのかな。これはもちろん皮肉でありますが、そういうことになることと、それから これもそういう事実があるのならば、それはよくわかりますが、私もそう思うのです が、それはこの場の議論というのは薬価調査の方法をちゃんと議論していただくことで あって、これもそういう問題点の指摘はできるけれども、解決策をここで御提案できる ような状況にないと思います。  それから未妥結・仮納入も、これは例えば必ずしもどんな取引も最初に取引条件が決 まって納めるということが、他のものもできてないように私も聞いておりますが、ただ 6カ月とか1年とかというのは、これはやっぱり異常すぎると思いますので、これにつ いては改善をすべきと思います。  文書契約も浸透することについては私はいささかも反対はありませんで、やっぱりき ちっとすべきたと思っているんですが、ただ、追加項目の付議する契約の内容があると いうことについて言えば、これも個々のケースがわかりませんから、総花的に言えば、 これも取引関係でお互いの中で書かれることですので、要するに一方的に片方が書いて それで契約が成立するということではないと思いますから、松谷さん自らもおっしゃっ たように、御自身としても努力はされていると言いましたが、これはお互いの関係にあ るということで、もしその内容で具体的なものでそこまで追加項目に加えるのはおかし いじゃないかということがあれば、お出しいただければそれについては議論ができると いうふうに考えますが。 ○江口委員  私は総価山買いの数字は薬価調査に入ってなかったということは知らなかったんです が、だんだんと今から総価山買いというのは増えてくると思うんです。大きな市場を作 っていきますと、それが実際薬価調査の対象にならないということはちょっとおかしい んじゃないかな。と申しますのは、我々ジェネリック薬品の場合は個々の小さな売り上 げをやりながら競争をしているわけですから、これは全て薬価調査の対象になります。 ですから当然意外に安い値段での評価を受ける、  ところが大量に出ているものが総価山買いのために市場調査の時に出ないということ は、どうも新薬とジェネリックとの薬価の統一性というのが欠けるような気がするんで すね。だから今度でもものすごくジェネリックの薬価が低く対応させられたというよう なことになっているんじゃないかなというふうに思っております。ぜひそういう面で の、薬価調査そのものも現在今度は他計調査ということでございますけれども、明確な 形でやっていただきたいなというふうに考えております。以上です。 ○磯部経済課長補佐  今、薬価調査の話が出ておりますので、事務局の方から少し誤解のないように御説明 をしておきたいと思うんですが、先程松谷会長からもお話がございましたが、現在の薬 価調査の上では、基本的に総価山買いも対象にはなっております。ただ、先程の全品総 価、つまり基本的に薬価基準が銘柄ごとに価格を決めるという性格上、個々の銘柄ごと に価格がわからないものについては薬価調査がテクニカルにできないこともございまし て、個別の価格が出ないものについては、薬価調査の性格上今のところできていないと いうことを申し上げておるので、総価山買いの個々の価格が決まるものについては当然 総価山買いであっても、個々の単品ごとの取引であっても薬価調査の対象にしておりま して、それについては全て報告をいただいているということで、誤解のないようにして いただければというふうに思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。総価山買いもいくつかのパターンがあるということは既に この部会の中では了承されておりますが、その中で今おっしゃったような意味で対象に なるものとなり得ないものがあるという、そういう御説明ですね。ありがとうございま した。 ○松谷委員  総価山買いについて、今おっしゃった通りだと思うんですが、同時に未決定という、 その期間中未決定という部分も対象にならない、その未決定というのが先程申し上げた ようにいろんなパターンの、我々卸の側からすると総価だと言っている部分が未決定と して報告されているものは、私の聞いている範囲では薬価調査の対象にならないという ことになると、総価が相当部分薬価調査の対象になってないというふうに私は理解をし ておったんですが。 ○磯部経済課長補佐  今の会長のお話の通りでございますが、やはり薬価調査の性格上、その取引されてい る価格を調べるということでございますので、未決定というのはその時点で価格が決ま っていないということでございますので、そういう点については当然薬価調査に入って こないというのは、薬価調査の性格上致し方ないところでございます。そういう意味で たしかに会長がおっしゃるように未決定の部分が報告されていないというのは事実だと いうふうに思います。 ○嶋口座長  今日はお二人の学者の先生がいらっしゃってますが、このあとでちょっとお二人の見 解をお聞きしたいと思います。最初の方の割戻し・アローアンスの適正化と、それから 今の卸売業者さんと医療機関ならびに調剤薬局さんとの価格形成のあり方の、ここのあ たりで何かコメントがございましたら上原先生からよろしくお願いいたします。 ○上原委員  まず一番最初の検討の視点なんですが、(1)というのは流通過程における品質管理、 安定供給を確保する、(2)は市場メカニズムをできる限り反映させる、実はこれは(1)と (2)を両立させるのは難しい局面があるんです。ただ、我々研究者及び最近の動きから 見ると、(1)に関してはいわゆるトレーサビリティというんですが、だから単品がどう 流れて、どこを通っていく、これが確保されることが(1)の条件だ、これを確保しつつ (2)を実現していく、そういう理解を私は検討の視点でしました。  それからをもう一つ、この(2)なんですが、メーカーと卸売業者間の価格形成、これ は公表するかしないかの問題なんですが、ちょっと皆さんやや流れからずれているなと いうことを感じましたので少しだけ申し上げたいと思います。例えばチェーンオペレー ションをしている時に、一つの企業でチェーンオペレーションをしている時に本部から 小売店に行く、これは内部振り替え価格ができるんですが、これは公表しないというの は確実に言えます。原価の公表というのは内部のイノベーションと関わっているからで す。これがフランチャイズシステムになりまして、フランチァイズシステムの本部と加 盟店との間、この取引において原価の公表は拒否できないというのが普通です。  ですから私は例えばメーカーが卸売価格を設定してる時に、その価格の原価について 公表せよというのは、これはできない。だけど流通業者がメーカーから仕入れた価格を 公表してもかまわない。問題なのは、それをとっているマージンについて、この原価を 公表するのは拒否される、そういうふうにして考えるべきだ。  ということはどういうことなのかといいますと、今、アメリカとかヨーロッパの流通 の一つのイノベーションの方向を見ていますと、メーカー間で競争する、その競争価格 をそのまま反映して、メーカーの価格で小売りに流すんです。それでどうするのかとい うと別な卸売りのサービスでとっていく、つまりサービスとものとを分けた考え方も一 つあるということです。こういう考え方に立てば、かなり割戻しとかアローアンスの考 え方について一つの視点を得ることができるんじゃないか。  それからもう一つなんですが、割戻しについて申し上げます。先程も出ていたんです が、売り手が買い手に相応の割戻しをする、含めてリベートと言うんですが、リベート を与える根拠は、取引量が多いからではないということなんです。例えば売り手から買 い手に大量に商品が流れた、買い手が売り手に対してそれに見合うリベートが要求でき るのは、売り手のコストを下げたからです。  これはアメリカでいくつも判例があるんですが、500しか仕入れてないところでリベ ート率が1%だ、それから1,000仕入れているところがリベート率2%、リベート率の 低いところが公正取引委員会に訴えて勝訴した例がたくさんあるんです。これはなぜか といいますと、僅かしか仕入れてないところがトラック1台で仕入れた、年間500仕入 れたところが1台1台毎日個数でやったらかえってそちらの方がコストがかかるわけな んです。だからやっぱり考え方として、売り手のコストをどのぐらい下げたかというと ころでリベートの考え方をはっきりさせていくということが必要である。  この路線の延長で考えますと、総価山買いということについても同じことが言えて、 単にまとめて買ったから価格がどうのという問題とは別なことで考えなければならな い。これは最近インターネットマーケティングの理論でバンドリングという概念が出て きていますね。例えば私と個々人によって価格が違う。なぜ個々人によって価格が違う のか。組み合わせが違うからです。嶋口さんは私と同じ本を買う時に書評つきではなく て単品で買った、私はインターネットで書評をつけてくれと言った。そうしたら私と嶋 口さんの価格が違う、こういうやり方はある。これは個別価格というんですが、おそら くそういうような位置づけを総価山買いができるかどうかの問題となるわけです。  つまり組み合わせによる付加価値を構成できるかどうかという問題です。そのために は明らかに単品レベルの市場価格競争が見えてないと、需要側は納得できないというの が私の考え方でございます。だからメーカーと卸の価格を秘密にしなくてもいいんじゃ ないかということです。新しいイノベーションはむしろ秘密にしない方向に動いている ということをちょっと申し上げたいと思います。以上です。 ○三村委員  現状の中で問題ということで定義いたしますと、やはり売差ゼロというのは基本的に はやはりおかしいというふうに思っております。これは考え方として、確かに明らかに どのような活動とどのようなコストに対してどういったような、例えばそれに対価があ るかという考え方で当然構築はされるべきだということですし、それに対して割戻しと いうのは、ある意味ではそれに対応しているということであるのですが、おそらく医薬 品流通における最大の問題は、全て後調整、全て自己修正ということで、全てが成り立 ってしまっている、それが最終的に一年二年たっても価格が決定していないという、こ れはやはり異常事態であろうと思います。  今の上原先生がおっしゃったこれは明らかに新しい考え方で、むしろそういった考え 方も当然あり得るということも一つ前提とした上ではありますが、しかしあらゆるメー カーの経営、卸の経営、あるいは病院・調剤薬局の経営ということにしますと、全て事 後的に修正され、事後的に調整されるというあり方がずっと流れとして過度にでき上が ってしまったということに対しては、やはり明確に歯止めをかけるべきであるというふ うに思います。  ただ、なぜ売差がゼロになったのかということについては、明らかにまさに制度疲 労、そのものの問題も当然あると思いますし、あるいは卸さんと医療機関との間の交渉 力というのが相当に歪んでいるというような話も、おそらく卸さんの方もそういったよ うなことも日々あると思います。  ただ私が一番懸念いたしますのは、今の割戻しとかアローアンスの体系は、どちらか というと例えば仕入れ金額、仕入れ数量であるとか、あるいはプロモーション的な活動 ということに非常に特化して、あるいは偏っていて、例えば本来卸売業がやるべき活動 であるとか、それは当然医療機関側から見た時に、希望する活動もあるわけなんです が、それに対しての基本的な流通の対価としてマージン部分という議論が完全に飛んで いってしまっている可能性がある。  それからおそらくこれは後で出てくる、なぜこれだけ返品問題が非常に大きな問題に なり得るのか、取引体系が実は日本的取引体系の中にありますので、卸さん自身は当然 ある意味でのリスクを抱えた取引をされている。そのリスク部分に対してどうかという 議論が売差ゼロというのは、これは実は流通論の原理からするとあり得ないということ であろうかと思います。  もちろんそうなりますと制度疲労そのもの、根本的に全てが一律薬価制度ってそのも のが本当はいいのかどうかとかいうことを含めて本来議論するべきだと思うんですが、 やはりまずは一つはここまで行き過ぎたことについて自己調整部分が全てを全体として 覆ってしまっているということについての歯止めということは流れとして作るべきでは ないかというふうに感じました。 ○嶋口座長  ありがとうございました。それではあと二つ残っておりますので、お二人の御見解を 一つの見方としてぜひまた参考にさせていただきたいと思います。次は3番目の問題で すが、医薬分業の進展、共同購入、一括購入に対応した情報提供のあり方ということ で、これについて議論をしたいと思います。これにつきましては当事者のメーカーさん のお立場からまずお願いします。 ○仲谷委員  製薬協の仲谷です。この情報提供ということに関しては、私たちの認識としては、従 来ですと今ほど面分業も進んでいないという状況でもありましたから、実際に御処方い ただいている先生方というのはほとんどわかっていて、きっちりと情報提供ができてい たという状況にあります。ただ、ここまで分業が進んできますと、本当の処方元の先生 方が即座には把握できないという状況にあります。  そのために医薬品情報、特に私たちが懸念するところは安全性情報に関わるものなん ですが、納品をさせていただいている医療機関ですとか、あるいは調剤薬局さんにはそ れが十分できるわけですが、その元であるお医者さん、院外処方をされている先生方に 対する情報提供というところが困難な状況にあるという現状にあります。  では実際にはどんなような対応をしているかというと、当社のMRの場合でも、150 軒ぐらいの開業医さんを訪問させていただいているMRは、例えば副作用情報等につき まして3時に大体公表されることが多いんですが、患者さんが先生のところに翌朝の新 聞を見てこういうことになっているけども私が飲んでいるのはこれじゃないですかとい うようなことになって、先生がそのことを知らないという事態が起こったら困ると危惧 するわけです。  そこで何をするかというと、自分の訪問させていただく150軒について、まずその3 時から7時の4時間ぐらいの間に全部電話をして、それで実際にお使いいただいている かどうかということを確認させていただき、まずはFAXでお使いいただいている先生 にはその情報をお届けする、そして後日改めてきっちりとした御紹介にあがるというよ うな対応をしているというケースがあります。こういう意味で今現在でも全く処方元の 先生方に情報ができてないというわけではないんですが、大変な労力をかけているとい うのが実態です。  ですからこのような場合に、例えば公的な組織でのインターネット情報ですとか、あ るいは日本医師会さん、あるいは日本薬剤師会さんのネットワークを活用させていただ くというような形で、まず第一報を、患者さんに伝わるよりはお医者さんですとか薬剤 師さんに速やかに伝わるというような方法の構築ということをぜひ期待したいし、それ に向かった取組みを一緒に考えさせていただきたいと、そんなふうに思います。 ○嶋口座長  それではこれについてまたいろいろ御意見を伺いたいと思います。 ○伊藤委員  医薬品卸連の伊藤でございます。今メーカーさんの方からMRさんの役割についてお 話がございました。一部緊急情報、あるいは副作用情報等につきましても、卸もその情 報伝達という部分を担っております。当然のことながらなかなかMRさんは担当軒数を 非常に多くお持ちということもありますし、一時期に訪問できないという部分がござい ますので、それを我々の営業、MSが代行をしているという部分もございます。  当然のことながら、我々がそれぞれのところに商品を納入させていただいております ので、我々のところが最もどの先生がどの商品をお使いかということがわかっていると いう部分がございます。したがいまして一次情報につきましては、我々そこには十分活 動をさせていただいているということでございます。  しかしながらどうしても分業をされている処方元の先生方ということになりますと、 ここのところというのが非常に難しい部分が出てまいります。正直申し上げまして分業 している先生方のところに関しましては、我々は収入がゼロでございまして、ものを売 ることができませんので、したがいましてそういう活動に見合うフィーみたいなことは きっちりと考えていただきたいというふうに思っております。  それから調剤薬局さんへの情報提供に関しましても、我々一次情報としていろんなと ころにいろんな形でお届けをしておりますし、我々はこの医療というところに携わる企 業として我々の卸としてのその使命ということで、DIの部門を持ったりして、そうい うことの対応もさせていただいているということでございます。 ○漆畑委員  今お二人からお話がありましたように、ここにも書いてありますように、たしかに分 業によって情報の提供の方法が大変変わっていて、メーカーさんも卸さんもそれについ て大変御尽力いただいてることもよく承知しておりますし、先程仲谷さんがおっしゃい ましたが、私どもも薬局にそういう緊急安全性情報などはメーカーさんから提供をいた だければ同時配送できる仕組みも持ってはいるんですね。  そういうことを持ってはいるんですが、そういう意味では今いろんなメーカーさん、 卸さんや医師会も私どもも、重層的に情報提供をするということで多分今の状況が担保 されていると思うんですが、もう一つ、取引の内容が把握できないから情報提供がしに くいというのは、実態としてはその通りだと思うんですが、医療機関も薬局も医師も薬 剤師も現に使っているから、あるいは処方するからの薬だけの情報があればいいという わけじゃなくて、いろんな患者さんを見たり、いろんな患者さんへの調剤をするわけで すから、現に自分が使ってない処方の薬でも、あるいは患者さんが他の医療機関でもか かっていて飲んでるかもしれない、それに対応しなければならないということがあるわ けですから、情報ということで言えば、取引、あるいは現に自分のところで取り扱って いる薬の情報があれば、それで処方も調剤も成り立つことではないので、これはいずれ にしても分業に限らず医薬品の情報をいかに迅速提供するかというのは大きな課題で、 多分ここはメーカーさんと卸さんだけで解決できないところがあるんですね。  厚生労働省とかあるいは医師会とか薬剤師会とか組織、そういうものを含めて何か団 体がタイムラグのないように必要な医薬品情報がたえず送れて、あるいは医療機関や薬 局に入手できるような仕組みがないと、これは多分個々のメーカーと個々の卸の努力で はいずれにしても十分にいかないと思いますから、そこのところの議論というのはまた 別な観点で必要かなと思います。  ただ、今の状況が、お二人が御指摘されたような状況にあって、それでメーカーさん も卸さんもそれについていろいろ御尽力をいただいていることはよく承知をしておりま す。それでも情報がいかないところもあれば、あるいはそれによってずいぶん助けられ ている部分もございますので、そこはむしろ感謝申し上げたいんですが、全体の情報と して先程言いましたようにもう少し分業非分業に限らず、これだけやっぱり医薬品の情 報についてシビアな時代になってきているわけですから、もう少しそこはここなのか、 別なところかもわかりませんが、検討が必要だと思います。  特に新聞の情報が早いというのか、多分出所は厚労省だと思うわけですが、先程おっ しゃる通り、薬局とか医療機関が知り得る前に新聞に載るようなことがございます。早 いのがいけないと言っているわけではないんですが、本当はそれが最終エンドユーザー であります患者さんにも医師にも薬剤師にも同時に伝わるような方法でないと、そのち ょっとしたタイムラグが誤解を生んだりすることも事実ありますので、そういうことも 含めて検討が必要だと思います。 ○江口委員  情報という時に一番問題になっているのは、MRの数が多いから情報が円滑にいって るような風潮に思われるんですね。この問題はできましたら今のお話のように、全て業 界、または厚生省あたりと総合的にみんなで考えていく問題じゃないか。この頃はとも かくMRの数が多いことが情報の伝達がうまくいってるような、それがまた営業的な判 断になっているような気がいたしますが、その辺をちょっとお考えいただければなとい うふうに思います。 ○渡辺委員  今の情報問題ですが、漆畑先生からござましたように、実は卸もアピール不足なんで すが、厚生労働省もそうだし、卸もそうですが、インターネットでアクセスはものすご く早くできるようになったんですね。私ども副作用情報が出ますと、その日のうちに入 力をして、ネット画面で見れるような仕組みです。これは先程三村先生もおっしゃった ように、卸の基本形がマージンの中で、医薬品の安全流通というものに対して投資はし ているんです。ただ、その中での、今の発注でも何でもそうですが、ネットを使う使わ ないというのは先生方の中の状況が、やはり温度差がだいぶあるんです。  先程メーカーさんからもありましたように、情報を均一に早くとなると、これは人の 手では無理です。医療機関数が18万調剤薬局含めてある中で、MRさん2,000人、3,000 人のところで時間的タイムラグというのは患者さんから見れば不公平が出るのは当たり 前なんですね。それは通信を使うしかないということで、システムの投資をしているわ けです。ある意味ではFAX、こういうことをやっている。  そういうものが卸の方でも反省しているのは、世に訴えていかなかった。それと品質 問題についても、機能としてはしているんですね。だから日本の中の流通の役割という ものが費用対価が認められない、ややもすると欧米から見てなぜ日本の卸は高コストな んだと、こう言われるんですが、高コストというよりもそれを求める顧客もあるわけな んですね。それに対して合わせていこうとすると、最低限これだけの流通マージンが要 りますよということを言っているんですね。  先程上原先生からごさいましたが、実は価格を公表してないんですが、実は知ってい るんです。先程卸マージンが8.6になって、14年の時の薬価ダウンを、それと全部調べ ていきますと卸の仕切価は80%前後とこれはわかるはずなんです。その中で外に出せば どれだけ出して、どれだけ卸に残るかというのははっきり出ますから、これを見れば薬 価がありますから、どれだけが実勢仕切価だとわかるんです。  通常、商売の中である一定価格と仕切価の中で20%の中で利益をとって顧客に満足さ せるというのは、私は至難の技だろうなと思うんです。それが防いでいたのが平成4年 のリーズナブルゾーンの15だろうと思うんですね。それが10年以上たってきて、誰かお っしゃっていましたが、制度疲労が来たのではないかというのが、今のこの議論のもと にあるのではないかなというふうに思うんです。  言いたいことは、システムの投資をして、そういうインフラを各社がやっておりま す。本当は各社がやらずに重複せずにどこかでそれをやればもっとコストは下がるんで しょうが、今の段階、医療機関さんも調剤薬局さんも、そのインターネット機能に対す る設備投資というのはされないで、どちらかというとそれを誰か第三者にやりなさい、 アウトソーシングをするのであればその対価としては必要な利益率はいただきたいとい うのが私のものの考えているところです。 ○関口委員  日本病院薬剤師会の関口でございます。今の情報提供の話について少し病院の方の実 情をお話をさせていただきたいんですが、病院でもかなり院外処方箋がどんどん出てい まして、院外処方箋だけに採用するというような登録の仕方をしている病院も結構ござ います。そうすると実際ドクターは院外処方で処方を書きますが、病院には薬は納入さ れないという状況がありまして、そういったようなケースの時に情報提供がどうなるか というのに対して非常に不安を持っている部分がある。ただ、病院の薬剤部ではどの先 生がどの薬を院外に処方しているかという情報は掴んでおりますので、できるだけその 病院の薬剤部を有効に活用していただければ、情報提供は結構できるのかなと思いま す。  それからもう一つインターネットのお話がございましたが、ただインターネットも私 どもの調査では一応会員の6,000の病院で55%程度が薬剤部から直接インターネットに アクセスができて、例えば医薬品機構のホームページですとか、厚労省のホームページ とか、必要な情報をとれるけれども、残りの45%ぐらいはまだそういう環境にないとい う状況があるということです。 ○仲谷委員  この情報のことについて、先程の御紹介の中で少し足りなかったなという点は、今、 漆畑先生からも関口先生の方からも御指摘いただきましたように、それぞれ調剤薬局の 先生方ですとか、あるいは病院の薬剤師の先生方からお話を伺い、実際に処方されてい る先生をお教えいただいて、MRはその先生のところに御説明に上がらせていただいて いるという実態があるというのも付け加えておかないといけないかなというふうに思い ました。  それともう一点は、確かにまず緊急的には全員に必ず伝わるということを第一義に考 えるべきであろうと思いますし、そのためのシステム構築ということについて取り組ん でいかなければいけないというふうには思っておりますが、あわせて私たち製薬企業に 課せられている義務としまして、課長通知であれば30日以内に必ずその処方されている 先生のところにお話にあがらなければいけない、緊急安全性情報であれば2週間以内に お伝えに上がり、しかもそれを全部記録にとって届けなければ行けない、そういうふう な義務も課せられておりますので、先程来のまず情報を伝えるということが重要だとい うことと合わせて、メーカーにはそれは当然の義務として私たちは果たしているという ことについても御認識をいただきたいと思います。 ○嶋口座長  それでは医療側の方からお願いします。 ○柿田委員  病院側から申し上げるといわゆる医薬品情報の中でとくに医薬品の安全性情報の問題 とレーサビリティの2点が医薬品の安全上大切だと思います。  医療安全情報というのは本来厚生労働省がそういうものを発信するわけですから、も ちろんメーカーもお作りになる責任上の問題もあるわけですが、伝達のルートとしては 流通の議論ではなくて、先程漆畑先生がおっしゃったように、医師会であるとか薬剤師 会であるとか、そういったルートを多方向で通じて伝達していただくものかと思いま す。大学病院は通常すぐ情報を受け取れますが、開業の先生の場合も別途安全という見 地から医師会のシステムがすでにあるし、問題はそれをいかに徹底するかということだ ろうと思うんですが。それとは別に新薬情報つまり通常のDIは、これは流通の話だと 思うんですが。  それから2番目がトレーサビリティの問題です。私どもが処方した薬品が、はたして どこへ患者さんが取りに行かれたか、地域に限定はありませんから、そのトレースは非 常に困難になっている実態はあると思いますね。  これはむしろ最近コード化してみたり、いろんな工夫がされておりますので、メーカ ー等でいろいろ御工夫をいただいて、トレーサビリティが十分確保できるシステムをお 考えいただければ、今のIT化の時代ですから可能かなと思います。 ○伊藤委員  卸連の伊藤です。今、柿田先生がおっしゃられた部分とつながるんですが、特にトレ ーサビリティの部分から考えますと、我々もその一翼を担う卸としまして、我々が直接 納入している先、これについてはある一定の形で我々も捕まえられるような、仕組みも 構築しておりますし、そのような形になっております。しかしながら一括購入という形 をとられますと、我々はその先に対してどこにどういうふうに商品が流れているのかと か、実は今掴めれないという状況でございます。したがいまして本来的にはそれは購入 者の責任として当然やっていただくべき事柄だと思いますし、そこができないのである ならばその購入そのものというのはトレーサビリティの観点からも非常に問題のある購 入の仕方ではないかと、このように考えております。 ○奥村委員  先日、この問題に関して9月13日に厚労省は取り違え医薬品の防止策として識別バー コードを作るということが報道されましたが、この問題とも絡んでおるんだと思うんで すが、私はこれと関連して、現在電子カルテの方の共通コードにも関係しておりますの で、この辺との整合性がとれておるのかどうか、その辺をちょっと後で教えていただけ ればありがたいと思います。以上です。 ○嶋口座長  今回の全体については、方向については皆さん方そんなに大きな異論はないような感 じがするんですが、それをどのように分担してやっていくかという問題で、それがゆえ にシステムでいくか、他のメディアを使うか、それとも厚労省がもっとそこに指導力を 発揮するか云々という、そういう問題になってくるのかなという感じがいたします。  まずここも議論はいろいろしたいところでございますが、時間の関係もございますの で、大変貴重な御意見をたくさんいただきましたから、それをまた改めてまとめる形を とりたいと思います。それでは返品の取扱について、これについても少し議論をさせて いただきたいと思いますが、これはやはり卸の方からの御意見をいただいた方がいいで しょうかね。 ○伊藤委員  卸連合会の伊藤でございます。先程事務局の方からお話がありましたように、ただ単 純に包装変更等に伴う返品だけではなくて、その他の返品についても種々あると思いま すが、とりあえず包装変更というところに少し絞ってお話をさせていただきたいと思い ます。当然のことながら医薬品というものでございますので、これの返品という部分に つきましては資源の無駄遣いという部分があるわけです。当然のことながらここにコス トがかかってくるわけでございまして、商品そのものの無駄遣いという部分と、コスト を無駄遣いするという部分でございます。我々卸としましては、その流通を担うものと して、よりメーカーさんとの円滑化、あるいは医療機関さんとの情報の共有化というこ とで返品の発生防止に努力をしてまいりたいと思っております。  ぜひ医療機関さん、調剤薬局さんにお願いをしたいのですが、医療用医薬品における 包装変更等につきましては、商品そのものの品質あるいは価値を下げるものではござい ません。一般消費財でごさいますとデザイン、あるいはそのような部分が変わることに よって商品そのものの市場価値が下がってしまうという部分がございますが、医療用薬 品につきましては、そのこと自体で商品の価値そのものが下がるというものではござい ませんので、できればできる限り購入在庫については極力消化をしていただきたいと考 えております。  それから製薬メーカーさんに対しましては、包装変更を行なう場合には必ず卸の流通 在庫の状況を十分に調査した上で実施をしていただきたいと思います。なお、包装変更 と申しましても、ただ単に外箱の包装変更ということではなくて、ヒートシール等の変 更というものもあるわけでございまして、医療機関さん、あるいは調剤薬局さんが患者 さんに提供する場合に二種類のものが入るということはまずいわけでございまして、し たがいまして包装変更後一定の期間経過した後、卸が在庫として持っている変更前の商 品を再度流通させるということは、そういう場面での混乱を招くことにもつながりかね ません。  したがいましてできましたらメーカーさんの団体における取引契約のモデル契約書の ところにも返品条項に卸メーカー双方で協議して決定するというようなことを明記して いただけると非常に我々としても有り難いなと考えておる次第でございます。 ○渡辺委員  今、伊藤さんからありましたが、追加でお願いしたいんですが、実は私ども社内で今 困っていることは返品問題はいいんですが、実は戻ってくる商品の中で包装が開いたも のがチェックしづらいという問題が出ているんです。これは中が抜けたり、商品の数が 足りなかったり、故意につめられている場合もありますが、医薬品の包装について全品 一回私ども社内でチェックしたことがあるんですが、実は医療用医薬品という非常に安 全性が高いものがセロテープ1枚だけで封印をしているというような現実問題なんです ね。  これは製造メーカーさんにもこのシールをはがしたり箱を開けたらもう二度と閉まら ないような形にしていただかないと、これは返品のチェックをするというのは、期限の 問題もあるのですが、こういう第三者がチェックしない、私どもも感応試験もやらせて いるんですが、この分についてはぜひ私ども製薬協にも申し入れたんですが、コスト問 題とか云々がありましたが、これは少し改善の余地があるのではないかな。  と申しますのは過去こういう一般食品、グリコの事件があったり、例えば自動販売機 のオロナミンCの問題があって、今は100円200円の商品が一度パチッと開けたらもう閉 まらないというような商品に全部変えていってるわけです。医療用医薬品は一箱が何万 もするものが、現実見ていただければ紙の箱でテープを貼ってあるだけという、非常に 価値と包装がアンバランスかなと思う。  多分薬局の皆さん方も返品をされる動機というのは、自分のところに新しいものを患 者さんにきちんと出したいということがあるんですが、いろんな事情があって返品され る、卸がそれを今焼却したりしているわけですね。こういう問題は医療全体の安全供給 という、先程から出ている中での仕組みをぜひ御一考願いたいという気持ちが本質でご ざいます。 ○大来委員  ただいまのメーカーのセロテープによる包装の件でありますが、卸連からの申し入れ にを受けて、業界としては日薬連を通じて各メーカーに対応を要請している現状であり ます。しかしながら未だに問題があるのであればお申し越しをいただいても結構だと考 えております。 ○嶋口座長  それはかなりテクニカルな問題になりますので、むしろ制度の方の問題でちょっと議 論してみたいと思うんですが、時間の関係がございますので、もし医療機関、薬剤、薬 局の立場で今の返品問題と、それからその他にあります薬剤管理費用の問題も含めてで も結構でございますから、何か言い分がございましたら。 ○大塚委員  医療用医薬品の特性に即した、いわゆる流通過程における品質管理及び安定供給とい う、非常に大事な問題、これを確保するためにはやはり医療機関、調剤薬局における薬 剤管理費を認めるべきだと思います。そのコストはリーズナブルなコストで結構でござ います。要するに管理費用というものは利益というコンセプションではなくして,やは りこれは経費と考えていただきたい。ぜひ取り入れていただきたいということでござい ます。 ○嶋口座長  それでは他の方々、この返品問題、それから薬剤管理費用、ちょっと質がいくらか違 うかもしれませんが、この二つの問題について何か御意見をいただきたいと思います が。 ○奥村委員  ぜひ返品率を公表していただいて、今大塚先生がおっしゃったように、それをコスト 化するということは、やっぱりそういった妥当な数字を前提としてやられるべきではな いか。それをここで協議すべきではないかというふうに私も思います。 ○嶋口座長  コスト化するというのはどういうことでしょうか。 ○奥村委員  要するに経費として認め、原価の中に参入する、いわゆる保険点数化するということ ではないかと思います。 ○嶋口座長  それは返品の問題ですか。それとも? ○奥村委員  返品の問題です。 ○嶋口座長  返品は是正するという方向でいくので、コスト化するということは正当化するという ことになりますでしょうか。 ○奥村委員  これは例えばある面で必然的に発生する部分もあるんじゃないでしょうか。当然これ までで返品を削減する方向で努力しなくちゃあならないということも事実ですが、私ど も医療機関の中ですでにどうしても期限切れというのが発生してしまいまして、それを 返品するということはできませんので、今そんなことを申し上げたような次第でござい ます。 ○関口委員  医療機関の方からですが、特に今は特定生物由来製品ですとか、それから麻薬・毒薬 ・向精神薬等、要するに管理にすごく手間のかかる薬品が非常に増えてきておりますの で、ぜひその管理に要する費用については、例えば診療報酬で担保するのか、いろんな 方法があるとは思いますが、ぜひ先程大塚先生がおっしゃいましたように、何らかの格 好で担保していただけると非常に有り難いと思います。 ○漆畑委員  日本薬剤師会の漆畑ですが、返品の取扱について、その状況をちょっとお話させてい ただきたいのですが、まず基本的に私も返品はやっぱり是正をする方向でということで 思っておりますので、返品を認めてくれという意味ではなくての状況の説明なんです が、薬局は特になんですが、処方箋によって調剤ということは在庫管理が非常にしにく い環境にございます。要するに予測がたちにくいという全くの受け身でありますから、 そういう意味では不良在庫が発生しやすい。  それからこれは返品にあたりませんが、場合によっては1,000錠の包装の医薬品を仕 入れて、患者さんに必要な部分の調剤を行なって、これは全部そのまま残るということ をあり得るわけで、そのまま3年の期限切れということもあり得るわけで、そこのコス トの点で問題があるんですが、それは今の状況がそうだということであって、だとして も返品についてはいずれにしても私は是正すべきだと思います。  その中で起きているのは、私どもの調査では返品が受け入れていただけないという か、別にそれが悪いといっているのではないのですが、そういう小さな取引の薬局と、 ある種取引の規模がそうさせているのか、いわば比較的返品が自由にできている、卸さ んとして受け入れざるを得ない、そういう薬局等に内部の調査で最近は非常に分かれて おりまして、そういう意味では返品の是正とともに、多分医療機関もそうかもしれませ んが、非常に不公平な取扱になりますから、それが商取引の中で個々の問題といえばそ れまでなんですが、そういうことも含めて医薬品という特性を考えたら、やっぱり返品 は是正をした方がいいと思います。そういう方向で議論をした方がいいと思います。  それから薬剤管理費用なんですが、私はこの場で議論するのは適正と思っておりませ んが、一応中医協委員ということもありますので少し御説明をさせていただきますと、 たしかに薬剤管理費用については中医協でも論点になっていて、私ども医師会も薬剤師 会もこれについて実際どんなコストが発生しているか、資料を中医協に提出させていた だいたりしていることもあるんですが、これの議論というのはこれからも多分中医協で 行なわれることになると思うのですが、ただ現状で言えばそういうものについて廃棄と か管理のコストが発生しているものは,医療機関、薬局の経営の費用として、もうすで に調査の中に入っておりますから、もし診療報酬の問題で言うならば、個別にこういう ものを抜き出すか、今のように全体の中で含めておくのかという議論であって、要する にコストがかかっているものについては、現にコスト調査をしているわけですから、そ れが目に見えるか見えないかということはあるにしても、全くそれが現状の診療報酬と か調剤報酬に反映してないということではございませんので、もし論点があるとすれ ば、それを包括して例えば基本的な診療報酬とか調剤報酬の中に入っているじゃないか というのではなくて、個別にそれを抜き出すかどうかという議論であるんですよ。その ためにそれがどのぐらいかという、その議論は過去2回の会の中で行なっていますが、 ですから単純に薬剤管理費用について見るか見ないかという議論ではありませんので、 そういう意味ではそこまでの議論というのはここで馴染みにくいような気がします。 ○大塚委員  保管管理料を中医協の場で検討するというのは私は場違いだと思います。医療に関す る、いわゆる薬剤に関する問題であって、診療行為に対するものではございません。し たがって保管管理料というのはこの懇談会でこそ議論すべきだと私は思います。薬剤と 全く関係のない、いわゆる薬価の算定は中医協でされておりますが、管理料というもの は薬価とは関係は実際はないわけですから、だからそこのところをしっかりと認識して いただかないと困ります。 ○松谷委員  ちょっと議論が長くなるかもしれませんが、実際に今薬価算定の中の調整幅という時 に、中医協の中で調整幅の中に薬剤管理料が入っているか入ってないかという議論がこ の2年前にありまして、医師会の先生方はそこの中に薬剤管理料が入っているから2% はこちらの取り分だというような主張も実際になさいました。  我々の理解ではR幅が15から10になるまでの間は取引条件の差異等という等という字 が入っておりまして、そういう一つのバッファーとして10まで認められていた頃には、 その10の中には薬剤管理料だとか、いろんなものは入っているというふうに理解してい たんですが、その後5になり2になった時点では、R幅が縮小した分だけは必ず診療報 酬に振り替えるということの約束のもとに5と2になっていったわけで、その時に振り 替わったというふうに理解しているんですが、ただし、先程漆畑先生もおっしゃったよ うに流近協の提言ではその振り替える際に明確に分かる形で振り替えろという提言がな されていたのが、総合的に振り替えられたと言うか、我々も見て全然分からない形で振 り替えられたということで議論がそのまま残っているので、その意味では私はこれはは っきりさせてもらわないと、2プロというものが流通安定のためというふうになってい るんですが、それはそれじゃあ流通安定のためにその部分が損耗料だとか管理料という 意味で出されるということになると、私どもの取引条件の差異だとか、包装間の差異だ とか、こういうものに全然それが働かなくなってしまうという、たった2プロでござい ますから、そこらへんを私どもは感じているということだけ、ちょっと御説明をさせて いただきます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。時間が12時まででございまして、まだまだこのあたりの問 題はかなり議論をしなければならない、特にまた返品問題は包装変更後に伴う返品とい うことですから、メーカーさんの言い分もまたいろいろあるんじゃないかと思います が、残念ながら時間がございませんので、また引き続きこれらの問題についても今後の 会合で議論をしていきたいと思います。三村先生、上原先生、何か一言ございますでし ょうか。 ○上原委員  返品問題なんですが、なぜ返品が起こるのかといいますと、多分過剰供給だと思いま す。しかし医薬品について過剰供給をむやみに否定すると、これまた社会性をおびな い。私が一つ考えるのは、薬剤管理ということで、需要管理費用をむしろ少し高めるよ うにして、そこで返品の費用を下げていくという、これはアイデアなんですが、そうい う考え方があってもいいんじゃないかというような気がしております。 ○三村委員  返品に関する議論の流れは全体的に正しい方向に向かっていると思います。ただ、こ れは基本的に個別に解決する問題ではなくて、明らかに全体をマネジメントするという 形で、メーカー、卸、医療機関との間の連携の中でぜひおやりになるべきだ。特に今の 難しい医薬品についてではなくて、例えば期限切れであったとか、例えば不良在庫にな ったとかという話はむしろ今日的ないろんなマネジメントの工夫で解決可能だというふ うに感じております。 3.閉会 ○嶋口座長  それでは一応ここで第2回流改懇の会を閉じたいと思います。いろいろまだ御発言さ れたかった先生方は多いと思いますが、御発言の機会が少なかった先生には大変申し訳 ないと思っております。では事務局、よろしくお願いいたします。 ○村松経済課長補佐  それでは予定の時間でございますので、本日はこのあたりで終了させていただきたい と思います。今後のスケジュールといたしましては、年内何回か懇談会またはその非公 開の準備作業会合というものを開催して、本日の議論をさらに深め、もう少し整理をし て行きたいというふうに考えております。お手元の方にスケジュール表を置かせていた だいております。座長と相談をさせていただきまして、年内の座長のスケジュールがと れる日を書かせていただいております。本日御記入いただきまして、机の上に置いてお 帰りいただくか、もしくは後ほどFAXで事務局までお送りいただければと思っており ます。次回の日程につきましては、その調整の上で別途御連絡を申し上げたいと思いま す。本日はどうもありがとうございました。