04/09/27 第11回社会保障審議会福祉部会議事録                第11回福祉部会議事録 1 日時:平成16年9月27日(月)16:00〜17:57 2 場所:経済産業省別館1111号会議室 3 出席委員:      岩田部会長、大石委員、小島委員、京極委員、佐口委員、佐々木委員、      高岡委員、高原委員、新津委員、福原委員、福間委員、松浦委員、      松尾委員、村田委員   欠席委員:      福田委員、堀田委員 4 議事  (1)岩田部会長による開会あいさつ  (2)事務局による委員及び事務局の異動報告、出席状況・資料確認  (3)事務局による資料の説明  (4)審議 5 審議の概要 (小島委員) ○ 退職手当共済制度に入る前に、生活保護制度の見直し問題が一部新聞に出ていた  が、専門委員会の検討状況はどうなっているのか。 ○ 退職手当共済制度は、今の社会福祉施設は大体加入しているのか。また、加入して  ないところは独自に制度を持っているのか。 ○ 見直しに向けての第2の論点(給付の在り方)について、これは高齢者福祉施設だ  けではなくて、すべての施設の見直しというように理解してよろしいか。 (保護課長) ○ 詳細については、部会長とも相談してご報告させていただくが、先週の金曜日に生  活保護の専門委員会を開催し、生活保護の自立就労支援を強力に推進するという観点  から、自立支援プログラムという形を現実的に考えてはどうかということで、厚生労  働省の考え方を説明した。 (岩田部会長) ○ 少し補足すると、専門委員会の方でもう1、2回ぐらい議論を詰めてからまとめる  という予定。専門委員会をやったばかりでまだ決まっていない話。 ○ 事務局の提案としては、自立支援計画ということで、就労が大きなウェートを占め  ているが、現状としては高齢世帯が非常に多いということがある。自立概念は社会福  祉法に基づく自立概念を使うという申し合わせは委員会の中に出ておりますので、急  に就労しなさいということではなく、段階を踏んだ提案をいただいて、それについて  議論を進めているところ。まとまったところでこの部会で御審議いただきたい。 (福祉基盤課長) ○ この制度への加入状況は、平成12年のデータで見ると、施設数ベースでも、人数ベ  ースでも90数%で、ほとんどが加入しているという認識をしていただいてよい。 ○ 独自の共済制度というのも多くの都道府県はつくっているようだが、具体的なデー  タはない。 ○ 給付水準の見直しについて、仮に給付水準や掛金の負担水準を見直す場合、相互連  帯の下にやっている制度なので、各施設共通の給付設計・負担の見直しということに  なる。 (松浦委員) ○ 社会福祉法人はほとんどが退職共済に加入していて、その給与体系は全国的にバラ  ンスが取れているのか。それによっては社会福祉法人で同じ勤続年数でも相当退職金  に差が出る場合が出てくると思う。 (福祉基盤課長) ○ 社会福祉法人の実際の給与体系については、はっきりしたデータはない。当然なが  ら各施設の方で給与水準を決めるが、実際はその地域の民間や公務員の給与水準を見  つつ決められる。 ○ 措置費の仕組みは、公務員の給与水準等もにらんで改善してきたということがあ  り、介護保険についても措置費を出発点にして介護報酬を設定し、その後も介護にお  ける支出と収入の動向を見ながら必要な改定を行っていくような状況。 (高岡委員) ○ 措置制度のときには、年功序列給与体系の下、勤続年数の長い人が高い給料をもら  う仕組みであったが、介護保険になり、雇用形態の多様化や資金使途の弾力化が進  み、大分違いが出てきている。 ○ 給付水準の見直しをどうするかというのは、全国経営協としても大きな課題であ  る。ただし、掛金に対する公的助成については見直すことが閣議決定もされているの  で、受け止めざるを得ないという意識である。それでもこの制度は存続してほしいと  いうことと、制度見直しをしても、今までの職員の期待権は保護していただきたい。 ○ 介護保険施設は職員の人数が多く、掛金に対する公的助成を一気に見直すとなる  と、負担に耐えられない法人もあるので激変緩和の中で移っていっていただきたいと  いうのが、我々の強い要望。 ○ 3分の3を負担するという仕組みについて、職員規模が400 人、500 人規模のとこ  ろも多く、そういうところが年間4,000 万も5,000 万も退職金のために拠出するとい  うことになると、独自にやるという法人も相当出てくることも予測しなければならな  い。加入者の多くを占めている老人施設の加入が少なくなった場合、他の施設に及ぼ  す影響がどうなのか、非常に関心を持っている。 (福間委員) ○ 介護保険施設がイコールフッティングで取り上げられているが、被保険者の範囲に  関して障害者が取り上げられてくると、そこでまたイコールフッティング論になって  いくのではないか。措置施設で成り立っている制度設計が少数派に変化していくこと  をどう見ていくのか。 ○ 国家公務員基準に準拠している支給率自体が長期勤続だと高くなる。イコールフッ  ティングと同時に、給付率で高く設定されていることが結果的に掛金の高さにもなる  のではないか。給付率の問題をどうするのか、議論をかなり踏み込んでするのか。 (佐口委員) ○ 財政状況の問題とイコールフッティングの問題、それから、福祉労働者、特に保険  制度が適用されている人たちの労働条件とか、それから事業体としてどうやって社会  福祉法人を位置づけていくのかという問題が、いろいろな形で入っている。 ○ 例えば、退職一時金制度そのものが、見直しが出てきている問題で、退職一時金と  いうのはもともと定年制度の運用円滑化のためにできた制度で、前提となる賃金制度  だとか、勤続の在り方が規範化されていることを前提としている。それがかなり変化  してきており、一時金をもって前倒ししていくような賃金の在り方というのも選択的  にはできるようになってきている。そういうことを踏まえながら、福祉労働者が安心  して希望を持って働けるような、労働をしている場合と、それから抜け出た場合の生  活の保証というものが、どういう形で実現できるかということを考える中で、この問  題を考えていった方がいい。 ○ 平均勤続加入が6年ということと、長期勤続を奨励する退職手当制度とは、非常に  ミスマッチなので、やはり見直す必要がある。 ○ 始めは、質の高い労働力を確保するということだったかもしれないが、実際の加入  年数を見ると、それは現実としてどうだったのか。 ○ かなり差し迫った議論なので、幾つか政策的に決めていかなければいけない部分が  あるが、賃金体系がどうなっているかということについては、なかなか実態は難しい  という話もあったので、制度上どうなっているか、実態としてどうなっているかとい  うことや、働いている人たちの要望もなるべく調査しつつ、中長期的には福祉労働者  が、希望を持って働けるような労働条件を、新しい環境の中でどうつくるかという観  点からやっていかないと、問題が後ろ向きな議論になってしまい、どう削るか、どう  理由を付けるかという話に終始してしまうとまずい。 (岩田部会長) ○ もともとこの制度は、公私格差問題が背景にあってできたわけで、その前提として  は措置制度ですから、やはり公的責任の中で福祉を供給していくときの人材確保の問  題点は大きかった。そのため、この問題は、いい人材をどう確保して、いい水準の福  祉を供給するかということと関わっている。 ○ 雇用形態そのものが変わっているとすると、一部の人だけカバーされ、福祉分野で  働く人たちの中での格差の問題も出てくる。単にイコールフッティングというより  は、新しい時代の福祉の人材問題と絡んでくる。やはり専門性の問題とか、賃金体系  の中にどう生かされるかとか、その辺も絡んでくる。雇用期間が短いというのは、保  育士などが、比較的若年の女性労働者が多くて、早くに退職されるということも影響  しているのか。 (小島委員) ○ 賃金と退職金は一体的に議論すべき。介護保険施設職員の勤続年数を見ると、今回  の連合の介護施設従事者の調査では、勤続年数平均9.1 年となっている。それから見  ると、現行制度では長期勤続25年、30年で相当金額が上がっていくが、果たして妥当  かどうか検討すべき。 ○ 見直しの論点として、高齢者福祉の公費負担をなくすというが、介護保険施行によ  って、居宅介護の方については民間事業者が相当参加しているが、施設介護について  は引き続き社会福祉法人が多い。社会福祉法人の役割と、民間事業者参入との関係を  どう見るかということも含めて、見直しの第1点については議論すべき。 ○ 高齢者福祉施設だけ公費負担を外すということは、社会福祉法人全体の在り方の中  で、高齢者福祉を担うところと、それ以外のところでどう峻別するのかという、全体  的な位置づけの中で議論することではないか。 ○ 既得権を変えるとなれば、そこは当然賃金、労働条件の大きな変更になるので、当  事者の意向や、当事者の理解と納得を得られるということが前提である。当事者の意  見を聞く場を持ってもらいたい。 (岩田部会長) ○ 支援費が介護保険と統合する可能性の問題など、そういうとどまり方が現実的にで  きるのかという問題があるので、ここでの議論は両面をにらんで、どういう在り方が  あり得るのかという、根本的な問題を議論せざるを得ない。 (高岡委員) ○ 介護保険関係者は十分に認識しているのかもしれないが、措置施設や保育所は対象  になっているという意識がないため、相当摩擦が出てくるような気もする。 (佐々木委員) ○ 経営協には保育の関係者も参画しており、保育関係者の認識は、今、高岡委員が述  べられたとおりと思う。 ○ 比較的勤務期間が短いのは保育士が多いためかとのご発言がありましたが、勤務実  態のつかめるものがあればご教示いただきたい。 (岩田部会長) ○ 専門職制度が導入されて、事業所単位に長く勤めるというより、職種として移動す  る。保育士でも違う保育所にまた再就職する。ソーシャルワーカーとして移動できる  ほどの領域がかなり定着しつつある。そうなると、こういう企業単位の退職金制度は  そぐわない。職種としての待遇改善、リーズナブルな賃金水準や退職金水準というも  のが、退職金というより賃金水準に反映されていれば、自分たちで積み立てていくと  いうような方向もできないわけではない。企業単位で考えた方がいいのか、職種なの  かという辺りが、もう少しわかるといい。 (京極委員) ○ もともと措置制度において職員の待遇状況も民間企業から相当差があったような状  況で、徐々に給料が改善された。この制度も、公務員と比べて制度がないので、国と  法人がそれぞれ出すということでつくった。そのころはまだ待遇状況が非常に悪かっ  たため、福祉従事者の賃金や退職制度は、一般から見ると後追い的に来た。ここに来  て急に財政状況が悪化し、介護保険ができて、イコールフッティングの議論も出てき  て、すぐに対応しなければいけない事態が来てしまった。 ○ 全体として見ると、社会福祉法人で自己完結した体系そのものは、国の補助金があ  るとはいえ、無理があるのではないか。 ○ 今の状況は、民間企業もそうだが、企業年金化していく方向もあり、それを考える  必要がある。確かに6年は短いが、その施設では6年でも、ほかに移るということも  あるので、長い間で生涯賃金のことを考えてみるとどうなのか。 ○ 今、民間企業と社会福祉法人の職員の給料その他、完全にイコールになっているか  どうかについては、企業サイドからは社会福祉法人が有利だと批判されているが、実  態論としては見えないところもあるので、やはり実態に即して議論しないといけな  い。かなり低いところもあると思う。介護保険制度は、他の産業と比べると順調に伸  びているので、公平性の視点からどうなのかという議論は避けて通れない。 ○ 支援費の問題は、これからどうなるかわからないが、介護保険に統合された場合  は、しかるべき介護報酬ということで議論され、給与体系その他にも、現行より有利  な方法でしか業界も納得しない。支援費よりずっと下がって、給料も下がると、だれ  も乗る人がいない。 ○ 将来的には、退職金、一時金も含めて、やはり職員も法人も、産業界全体でお互い  に出してつくっていくような形にしないとうまくいかない。税制上の配慮はないとい  けないが、国が出して維持していくのは、もう不可能ではないか。 (高原委員) ○ 新聞報道によると、民間企業に勤めるサラリーマン等の年間収入が、6年連続して  下がっている。支給水準の見直しというのは、やはり支給率カーブを低下させたり、  算定方式を変更すること等で進めていかなければならないのであり、それがまず大前  提にあることではないか。 ○ 資料にある退職金額のデータを比較することにより、世論が納得できる改正の方向  について、より公平感や透明感というものが出てくるものなので、更に比較できるよ  うなデータがあれば、透明性、説得性の材料として、また、方針を決めていく際の資  料として有意義ではないか。 (小島委員) ○ 連合の調査では、施設で働いている職員の皆さんは今やっている介護の仕事は続け  ていきたいと自分の仕事に誇りを持っているが、今の施設で働いていくかどうかにつ  いては、必ずしも高くない。もうちょっと働きやすいところで働きたいという希望が  多い。退職共済制度に通算制度というのをもっと充実させることも含めて、見直しが  必要ではないかと思う。 ○ 調査では、介護職の皆さんの年収ですと、平均で350 万円、年齢が平均35歳という  ことと、勤続が7.1 年という実態になっている。それから、看護職ですと、100 万近  く収入が高い。当然年齢も高いし勤続年数も長いということもある。一応私どもが調  査した直近の収入についてはこのようなところ。 (岩田部会長) ○ 通算については次回に資料をお出しいただけますか。それで、施設間の移動を促す  ような制度に変えていくのか、それとも1つのところに長期にとどまるという選択に  ドライブがかかるような制度なのか、その辺も制度を考える前提にある。時代的に言  えば流動的な方が、活性化を図っていく上でいいのだということになりますと、退職  金という考え方が大分違ってきます。だから、通算なのか、そもそも退職金がどのぐ  らい目当てになっていくのかという辺りは段階的な問題と、両面で見ていく必要があ  る。 (松尾委員) ○ 私もこれからこの話を各施設種別部会に落としたときに、どういう反応があるか相  当心配なので、きちんと説明することが必要。金がないからやめるというのでは恐ら  く納得しない。 ○ 私どももこの共済に入れない職員のための独自の共済制度を持っているが、もう数  年経てばやめるという人たちが、いきなり給付を落とされると相当ショックを受ける  ので、激減緩和をきちんとして、救ってもらうようにしないと反対が出る。 ○ 支援費はまだ決まってないので、説明の仕方によっては、介護に移るのをやめよう  かという話になりかねないので、そこはきちんと説明が必要。 (岩田部会長) ○ この話は非常に局部的な問題のように見えるが、実は非常に根幹的な問題。 (京極委員) ○ 一般論として退職手当というのはどういう意味を持っているか。生涯賃金の一部で  あるという見方もあるし、老後生活のためというのもある。また、転職したときの支  度金的な役割もある。更には、そこで長く定着してもらいたいという政策意図などい  ろいろな機能がある。それを機能的に整理して、社会福祉法人においてはそれが一般  と比べてどのような違いや共通点があるのか、議論の整理が必要。仮にこの問題が整  理されて、うまく現場で受け止められるとしても、抵抗感があるから、そこは丁寧に  やった方がいい。 (村田委員) ○ 退職金に3分の2も公の負担が入っていたことが驚き。施設職員たちが本当に働き  やすく、自分の能力とやる気に応じてキャリアアップできるようなそういう職場で今  後成長していってほしいが、給料や退職金は働きがいの一つの大きな要因。取材をし  ていて、給料が安いとか、待遇が悪いとか、さまざまな声を聞くが、その実態は、給  与体系がどうなっているとか全然実態はわからない。ましてや国民はほとんど知らな  い。社会福祉法人の職員も辛い、恵まれないと言うが、その実態がどうなのかはほと  んどわかっていないのではないか。 ○ 質の高い人材を確保するためにこういう制度ができたという説明があったが、本当  に質の高い人材を確保することに貢献してきた制度だったのか。時代が大きく変わっ  て、民間企業は退職金すら出ないところもある時代にこのことをどう考えるのか。み  んな非常に苦しい経済状況の中に置かれている中で、これをどう考えていくのか。 (松尾委員) ○ 措置制度というのは、利用者サービス提供に必要な経費だけを措置費として支払う  制度なので、法人はほかに全く収入がなく、退職金を準備することができなかった。  それで、この制度をつくって、退職金を措置制度に準ずるような形でつくったという  経緯がある。措置費は10分の10の公費でやっているわけで、この制度は、3分の2は  公費を入れて法人も3分の1ぐらい準備しなさいということでここまで来た。 (岩田部会長) ○ 昭和36年ぐらいは、よほど社会事業家的な精神がないとなかなか人が来てくれない  という状況があった。ただ、それが変わってきて、人材確保の仕方も、社会福祉全体  での人材の確保という意味と、それぞれの法人の中での確保という意味とがオーバー  ラップした形でここに出てきて、公費を注ぎ込むという意味が、社会福祉全体の人材  の確保向上という意味が、個々の法人に対する自主的な助成ということになってしま  うと、イコールフッティングというところで引っかかる。 ○ 退職金共済の考え方を根本的に変えるということであれば、国や地方自治体は、そ  れぞれの地域や日本における福祉人材をどう確保していくかという、別の形で国は支  えるのだということがあって、この制度はこう変えるということが必要。それから、  その時代の変化の中で、移動も含めた違う制度にするという考え方も当然出てくる。 (福間委員) ○ 介護保険制度になってはっきり出てきているが、措置制度の段階というのは3分の  1の掛金を出せばよかった。老人福祉施設についてはその費用を前提にして介護報酬  は設定されている。全額負担にする場合は、残りの3分の2もカウントした報酬設定  をしないといけない。ただ、全体の経営は今や事業体によってかなり差が出ているの  で、今さらそういうことはできないが、元のスタートからいくとそういう話になり、  規模の小さな事業体だと退職金を積み立てるのが大変厳しい負担になるということ  が、経営実態調査からも、厚生労働省のデータでも見られる。 ○ 今までは措置制度の時代の前提でやってきており、過去債務になるのかもしれない  が、その辺をどうするのかきちっとしておかないと次のスタートの議論に行けない。 ○ 処遇の問題で、介護現場の職員は大体20%〜25%非常勤がいる。これも運営基準  上、何割以上いてはいけないということから、制度が変わって、いかに労働の密度の  濃淡を付けるかとか、24時間のケアをするための人材投入の仕方として、非常勤の体  制が効果的だということから、みなさんかなり工夫をした。 ○ 平均勤続年数が短いというのがあるが、最初の山が3年ぐらいで、新卒の人たちが  3年以内に辞める傾向がある。しかし、追跡調査をすると、この仕事が嫌だという人  はほとんどおらず、福祉に対する気持ちはあっても、人間関係で辞めるということが  あるが、この仕事は好きだからということで転職するという傾向はある。 ○ そういう中での再就職率もあり、全体として介護職は若い層と40代ぐらいに山が出  ており、そういうライフサイクルの中での就労状況というのもあるので、多様な状態  の中でこの退職金という制度が、それにマッチすることも含めた見直しをしながら提  案していくと、事業者または職員も非常に歓迎されるものになってくるのではない  か。 (福原委員) ○ 相当歴史的な経緯等もあって、この問題自体解決していくということは、いろいろ  な取り組みが必要なのだろうということは実感した。ただ、この制度を知らない人が  この制度を見たらどう感じるかというと、加入期間3年以内に半数以上の人が退職し  ているという現状からはこれは退職金、すなわち長期の雇用を促すインセンティブと  して機能するよりむしろ、短期のボーナスとして認識されているのではないかと感じ  る。ボーナスに3分の2の公費が付いているということになると、この業界の中での  民間事業者の競争力というのは、やはり著しく圧迫されていると言わざるを得ない。 ○ 年金のポータビリティーの議論と同様、技術的な問題もあろうが、民間企業では近  年、退職金についてもこれを廃止し、受け取っている報酬の中でその問題を解消して  いこうという動きがある。その要素はやはり入れていかなければいけない。 ○ 議論をする前提として、当然歴史的な経緯等は踏まえなければならないし、それか  ら今、既得権をお持ちの方の処遇を大事にしなければいけないということもあろう  が、純粋に民間の立場からこれを見ると、やはりイコールフッティングという観点か  ら相当問題がある。 ○ とりあえず介護保険に絡んだ事業に限定してということだが、我々が採用活動を行  っていく際の不公平感等から言うと、やはり保育事業のところに相当に大きな不公平  感を感じている部分もあるので、将来的な課題ということになるが、これは単に老人  介護のところの領域だけに議論をおさめていただきたくない。 (新津委員) ○ 措置制度の中で必要だったということであれば、措置制度が非常に独立性を阻害し  てきたという側面がある。補助金というのは、どうしてもそのような状況を出すよう  に思う。多くの社会福祉法人の経営者たちが、非常に自由で個性的で独立性を持った  活動を開始しているので、それらを支援するような検討になるといいと期待してい  る。 (佐々木委員) ○ 改めてイコールフッティングの議論を聞いていて、社会福祉事業の現場は多様で、  なかなかクリアーカットな整理は難しいという感じを持った。 ○ 保育所に関しては、2万2千余箇所の認可保育所の半分以上は公立であり、残りの  ほとんどが社会福祉法人立である実態から、民間との関係だけでなく、公務員労働者  の退職金の動向も考慮していく必要がある。 (松浦委員) ○ この問題が現場に出ていった場合、これは労働問題としてとらえられる可能性はあ  るか。 (小島委員) ○ 労働問題といっても幅広いが、退職金というのはまさに労働条件に関わる極めて大  きな問題である。その制度の見直しということは当然、職員・組合としても大きな関  心がある。 (松浦委員) ○ 社会福祉法人の労働組合は公務員の職員団体ではなく、労働組合法で認められた労  働組合なのか。 (小島委員) ○ そのとおり。 (岩田部会長) ○ 社会福祉でも分野によって非常にトーンが違う。いずれ仕切れなくなるということ  はあるので、仕切るにしても全体的な影響、あるいは今後の方向を示すことになって  くるだろうと思うので、今日の議論を踏まえて、追加資料を事務局で用意してもらい  ながら、次回やっていきたい。 (佐口委員) ○ 追加資料をお願いしたいが、中小企業退職金共済について見直されていると思う  が、これは限定的に国の助成もあり、自治体独自の補助というのもあった。新しい、  ポータビリティーを高めるような在り方も一方であるが、もう一つの在り方として、  中退金が一つとして考えられるとしたら、ここの現状と今どういう形で見直されてい  るかということも詳しい情報を提供していただけると、議論がより具体的になる。 (京極委員) ○ 国が退職金に対して公費を出すというのがほかにあるか。それに近いようなもの  が、公務員以外であるのかその辺を調べていただきたい。 ○ 将来的に経過的な役割はしたが、退職金的なものに対して国が出すこと自体にどう  いう問題点があり、今後どうなるのかということが、今行革の中で議論されているの  で、きちっと議論しないといけない。何となく過去やっていたので、恩情的にという  のもわかるし、歴史的な役割を果たしてきたことも認めるが、賃金や措置費に公費を  入れていた時代はわかるが、今後どうかということで、公費をこういう制度に使うと  いうことはどうなのか、そもそも議論をしないと難しいのではないか。 (岩田部会長) ○ 全体が過渡期で、日本の雇用体系や賃金制度全体が流動的な状況にあるので、うま  くいくかどうかがわからないが、それでも今の時点で一番いい方向性というものが出  せればいいのではないか。課題は幾つか残ると思うが、そういうものも整理しなが  ら、次回にまた少し議論を深め、この辺りでまとめられるというところと、少し課題  として残るというところを仕分けながら、部会での提案というのを出していけたらと  思う。 ○ それでは、次回の日程と、今後の部会の進め方について、事務局よりお願いした  い。 (総務課長) ○ 今後の予定は、11月中に第12回として退職手当共済制度について御議論いただき、  議論がまとまれば12月中に第13回として、社会福祉法人の公益的取り組みの推進や、  管理運営体制の見直しと合わせて、部会としてのとりまとめをお願いできればと思っ  ている。 ○ それから、生活保護についても、今、専門委員会の方でご検討いただいているの  で、併せてこの第13回に報告ができればと考えている。 ○ 必要に応じて、もう少し議論が必要であれば回数を増やし、いずれにせよ年内にと  りまとめをお願いしたいと考えている。 (岩田部会長) ○ それでは、本日の部会は以上で終了する。 (照会先)  厚生労働省 社会・援護局 総務課 企画法令係   03(5253)1111(内線2815)