04/09/24 社会保障審議会障害者部会(第17回)の議事録             第17回社会保障審議会障害者部会 日時  :平成16年9月24日(金)10:30〜11:15 場所  :厚生労働省5F共用第7会議室 出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、猪俣委員、江上委員、大濱委員      岡谷委員、亀井委員、北岡委員、君塚委員、小板委員、古畑委員、小林委員、      斉藤委員、笹川委員、新保委員、高橋(紘)委員、武田委員、丹下委員、      堂本委員、徳川委員、野中委員、広田委員、福島委員、町野委員、松友委員、 ○京極部会長  それでは定刻を少し過ぎましたので、若干遅れていらっしゃる方もおありかと思いま すが、ただいまから第17回社会保障審議会障害者部会を開催させていただきます。  委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうござ います。それでは事務局から委員の交代、出欠状況ならびに資料について御説明をお願 いいたします。 ○間企画課長補佐  まず、委員の交代につきましては、全国脊髄損傷者連合会の妻屋明委員が御都合によ り委員を御辞退されました。その後任者といたしまして、本日付けで社会保障審議会臨 時委員になられました、全国脊髄損傷者連合会副理事長の大濱眞様でございます。  委員の出欠状況ですが、本日は岡田委員、末安委員、高橋清久委員、長尾委員、永井 委員から欠席との御連絡をいただいております。また、高橋紘士委員が遅れておられる ようでございます。傍聴につきましては、希望者の方が大変多ございまして、今回やむ なく抽選とさせていただいておりますことを御報告いたします。  続きまして資料の御確認をお願いいたします。お手元に配布させていただいておりま す資料は、まず資料ナンバー1番の 平成17年度厚生労働省概算要求関係資料というも のでございます。  続きまして資料2番といたしまして、A4の横のものでございますが、三位一体改革 の動向というものでございます。  それから置かさせていただいている順番が、枝番がついているのが先になっておりま すが、資料3−2としまして、3検討会における検討経緯というものでございます。  順番逆になっておりますが、資料3といたしまして、精神保健福祉対策本部について と題された資料が用意してございます。  資料4といたしまして、制度改正に係る基本的な視点と主要な検討事項という3枚ほ どの紙を御用意させていただいております。  このほかに、本部会の資料番号を打ってございませんが、追加的にお配りさせていた だいておりますのが、先の9月21日に開催されました介護保険部会で提出されました資 料、特に、障害者施策と介護保険の関係につきます資料につきまして参考までに配布を させていいただいているところでございます。資料の不足などがございましたら御指摘 をいただきたいと存じます。以上でございます。 ○京極部会長  それでは議事に入る前に、障害保健福祉部長から一言御挨拶をいただきます。 ○塩田障害保健福祉部長  おはようございます。障害保健福祉部長の塩田です。前回、8月6日の審議会からし ばらく経ちまして、再開の第1回目ということでありますので若干お話をさせていただ きたいと思っております。  この部会では、7月13日に、今後の障害保健福祉施策のあり方について中間的な取り まとめをいただいたところでございます。この部会の中間報告、これからの議論に大変 重要なものですけれども、私ども併せて「障害者の地域生活支援のあり方の検討会」、 同じく「精神障害者の地域生活支援のあり方の検討会」、それから「精神病者のあり方 の検討会」、「こころの健康問題の啓発に関する検討会」と4つの検討会で議論をして いまして、それぞれの検討結果については部会でも御報告したところでございます。  それから、政治の場でも与野党を問わず障害者問題についていろいろな形でPTを設け ていただくなど、議論が進んでおります。特に、自由民主党では新しい内閣改造のあ と、厚生労働部会に障害者に関する小委員会を設けていただきまして、これからの制度 改正などについて本格的な議論をしていただくようなことも聞いております。立法府で も、障害者問題が大変重要な課題として議論が始まろうとしております。  前回、8月6日で4つの検討会の報告などさせていただきましたが、その後大変大き な動きがございました。ひとつは、私どもとして来年度の概算要求を財務省に出した と、後ほど企画課長から御説明させますが、8月20日過ぎだったと思いますが、地方6 団体から「三位一体に関する御提案」をいただいておりまして、これも後ほど御説明申 し上げますが、これからの障害保健福祉施策を考える上にあたって大変大きな影響を持 つ御提案だと思っております。  それから内部の話になりますが、9月2日に坂口厚生労働大臣を本部長とする省内の 精神障害者の保健福祉対策本部におきまして、これからの精神保健、医療福祉の改革ビ ジョンというのを取りまとめたところでございます。  本日は、こういった一連の動きを報告させていただきたいと思っておりますが、こう した大きな動きそれからこれからの皆様方の議論のたたき台となりますよう、たぶん次 回は10月12日を予定しておりますが、次回の部会には、厚生労働省としてこれから障害 保健福祉施策をどのような方向に進めたいと考えているかについて、いわばグランドデ ザインのようなものたたき台、試案を御提案して皆様方の御議論に付したいと思ってお ります。この部会で、御議論いただくだけでなく国民各層で議論をしていただきたいと 思っております。そういう議論の中で、介護保険との関係についてもいろいろな議論を していただきたいと思っているところでございます。  そういう意味で、これから三位一体の改革も年内には一定の結論を国も地方も出さな いといけないという状況になっておりますし、来年は障害者の関連法につきまして、地 域生活支援とか就労支援という観点からなかり大きな改正を障害者福祉法制全体、精神 保健福祉法も含めましてやりたいと思っております。そういう意味で、これから10月、 11月、12月の議論というのは非常に大事なことだと考えておるところでございます。  いずれにしても、障害者の方々が地域で普通に暮らせるような施策を充実、強化でき るようがんばりたいと思っておりますので、いろいろな形で御指導をお願いしたいと思 います。簡単ですが御挨拶とさせていただきます。 ○京極部会長  どうもありがとうございます。私どもからも、この障害施策の大変革期にあたって、 今後とも委員の皆様方には、お力とお知恵をぜひお借りしたいと、いただけるようにお 願いいたします。  それでは議事に入ります。障害者部会では、今まで今後の障害者施策の体系、制度の 大きな方向性を議論してまいりました。そして、第16回障害者部会において今後の障害 保健福祉施策についての中間取りまとめを御了承いただいたところです。  秋以降の障害者部会では、この中間取りまとめを踏まえて個別審議事項についてさら に深めて議論をしていきたいと思っております。  今回はじめに、先ほど部長からのお話にありましたように、平成17年度予算概算要求 の報告を事務局からしていただきまして、その後本年9月2日に開催された精神保健福 祉対策本部の報告をしていただきます。そして最後に、今後の障害保健福祉施策の見直 しの視点と主要な事項について御議論いただければと思っております。  それでは最初に平成17年度予算概算要求について、三位一体改革の現状に触れながら 事務局のほうから御報告をお願いいたします。 ○村木企画課長  それでは私のほうから、平成17年度の概算要求の関係、それから引き続きまして三位 一体改革の状況を御報告させていただきます。  お手元にあります資料の1を御覧いただきたいと思います。平成17年度厚生労働省概 算要求関係資料というものでございます。  まず表紙を1枚めくって1頁を御覧ください。これが来年度の厚生労働省の概算要求 全体でございます。御覧いただきますと、17年度の要求額、一般会計で21兆2,673億円 ということで、16年度に比べまして5.3%増の予算でございます。公共投資関係、12.5% 増。義務的経費、4.5%増。裁量的経費、17.4%増ということで、いずれもかなり大幅な 増額で要求をさせていただいております。  次の2頁を御覧いただきたいと思います。夏の要求では必要経費をぜひお願いをする ということで、高い概算要求をさせていただきますが、これ年末の姿がわかるように絵 を書いてございます。まず、公共投資関係でございますが、前年度比341億円の増で要 求をしておりますが、年末の予算案、政府原案ができあがるところでは前年度比3%カ ットの仕上がりにならなければいけないというところでございます。それからその隣の 一番大きい箱が義務的経費でございます。今、私ども必要な額をそのまま積み上げます と前年度比で1兆800億円の増ということになっておりますが、これは年末までにこの うち2,200億円を削減、合理化をして前年度比で8,576億円増という仕上がりにする必要 がございます。それからその右隣の裁量的経費でございます。これ16年度、7,612億に 対しまして1,127億円増ということで非常に大きな増額で要求をしておりますが、これ も仕上がりにつきましては、16年度に比べまして2%減という形で最終的に仕上げる必 要があるということでございます。これが省全体の姿でございます。  続きまして3頁御覧ください。この中で傷害保健福祉部の来年度の概算要求でござい ますが、義務的経費につきましては6,163億円、4.9%増と。省の全体の伸び率をやや上 回る高さで、義務的経費を要求をさせていただいております。また、裁量的経費につき ましては、1,462億円ということで38.0%増ということでの要求でございます。  内訳を見ていただきますと4頁、これ細かい図になっておりますので後で御覧いただ きたいと思いますが、障害保健福祉関係の予算の構成がわかる表をつけております。手 当や医療費関係が1千億強、それから措置費で400億程度、支援費全体がちょうど部の 予算の半分を占めておりまして、このうちの約5分の1が居宅生活の支援費、5分の4 が施設訓練等の経費、その他で約1千億と、こういう構成になっております。特に、裁 量的経費は居宅生活の支援のところと、その他のところが裁量的経費のウエートが大き いということでございます。  5頁を御覧いただきたいと思います。この内訳を少し整理してございます。一番上は プラン関係の経費を取りまとめたもので、プランだけ取り上げますと28.6%増の要求で ございます。真ん中のところを御覧ください。支援費だけを取り上げてございます。こ の内訳、居宅生活支援費のほうが今年602億の予算に対しまして、871億、44.7%増で要 求をさせていただいております。施設訓練等支援費につきましても、2,983億、3.9%増 ということでございます。  またその下に、額はあまり大きくございませんが精神の関係も非常に必要経費を積み 上げますと高い伸びになっておりまして、精神の居宅生活支援関係が51億で70%増、社 会復帰施設関係が214億円で、13.2%増となっております。  次に医療費の関係もございます。これも実は必要経費を積み上げますと大変高い伸び になっております。更生医療の関係で27.7%、育成医療関係で3.6%、通院医療費で17.4% ということでそれぞれ必要額を要求をさせていただいているという状況でございます。  7頁を御覧いただきたいと思います。最後の頁でございます。こういう形で要求をさ せていただいておりますが、義務的経費は先ほど申し上げたように省全体で2,200億削 減、合理化をするということがございますし、また裁量的経費につきましては16年度に 比べましてマイナス2%で最終的に仕上げなければいけないという状況でございます。 これを御覧いただきますとわかりますように、厚生労働省全体の裁量的経費7,612億円 の要求でございます。仕上がり、年末時点では6,362億まで圧縮をすると申しますか、 査定をされるということになるわけでございます。障害保健福祉の関係は、1,462億円 ということで38%増で要求をしております。省全体の裁量的経費に占める障害保健福祉 部関係の予算のウエートを見ますと、本年度19.2%とういことで障害関係が裁量的経費 の2割を占めているわけでございますが、今要求段階では大変高い要求を出させていた だきましたので、35.8%を占める。要求額の中で35.8%を占めるということになっており ます。  年末には、この要求額をいただくためには、どこか他のところを圧縮をしてというこ とになりますので、大変厳しい状況でございますができるだけこの要求額に近い額を年 末いただけるように私ども努力をしてまいりたいということでございます。  要求時点では大変高いのみで門を出させていただいたということと、年末の査定を考 えますと、大変厳しい状況であるということの御報告でございます。  それから予算の関係では、新聞報道等で本年度の居宅生活支援費の不足の報道がいく つかあったかと思います。まだ、16年度入りましてデータが出揃っていない状況でござ いますので、私ども新聞にありますような「幾ら、幾ら」という不足額の予測がまだで きている状況ではございませんが、直近の伸び等々を見ますと、今年の国庫補助の所要 額、やはり200数十億程度予算を上回る可能性があるというふうに認識をしております。 昨年度は流用でしのいだわけでございますが、大変今年は厳しい状況にありまして、他 からの流用もかなり限られると思っております。また、補正予算の計上につきましても 法律上は裁量的経費であるということもありまして大変困難な状況ではございますが、 いろいろな形で今年の予算を確保についても皆様方の御協力を得ながら最大限の努力を してまいりたいというふうに思っております。以上がまず予算の関係でございます。  これと大変かかわりの深いものとして、三位一体の関係を御報告をいたしたいと思い ます。お手元の資料2、色がついております三位一体改革の動向というのを御覧いただ きたいと思います。簡単に経緯からざっと現在の状況までを御説明を申し上げたいと思 います。表紙をめくっていただきたいと思います。  これまでの経緯でございます。御承知のように15年6月に骨太方針2003で、平成16 年、17、18の3年間で、国庫補助負担金を4兆円廃止をするということが閣議決定をさ れました。この流れの中で全国市長会、全国知事会からは、障害関係の福祉サービスの 補助、負担金は廃止をして地方に委譲すべきという提言が、この秋にはなされておりま す。そして平成16年度、1年目につきましては、1兆円の補助負担金の廃止がすでに決 定をされました。残り3兆円をどうするかということでございますが、今年の6月の骨 太方針2004で、18年度まで、残り2ヵ年の改革の全体像を今年の年末に決定をするとい う方針が示されております。これにつきまして、地方公共団体の御要望の案を地方公共 団体から提出をいただき、それを基に検討をするという方針が決められております。そ して8月に地方6団体からの提案がなされたところでございます。  提案の内容が、次の2頁でございます。大きな枠組みとしまして、地方6団体として は平成18年度まで3年間でございますが、全体で4兆円、残りの2年間で3兆円を廃止 するということ。また第2期ということで、平成19年度から21年度にこの改革を進める ということで、その際には国と地方の役割を明確にした上で、すでに廃止を提言してい る国庫補助負担金のうち第1期改革で廃止されなかったものを廃止するということで、 さらに3.6兆円の国庫補助負担金の廃止が御提言をされたところでございます。  中身でございますが、3頁を御覧ください。第1期、17年度、18年度の国庫補助負担 金の廃止につきまして、厚生労働省関係でございますが、これは9,444億円の補助金の 廃止でございます。うち、施設関係いわゆるハードが1,677億円、運営費関係が7,766億 円でございます。  下に考え方が書いてございます。地方への委譲の対象としないものというのは2種類 ございます。1つは、社会保障関係の負担金のうち、格差なく国による統一的な措置が 望まれるものということで、これの例として生活保護や児童扶養手当が挙げられている ところでございます。こういった種類のものと、もう1つ制度全般の見直しの中で検討 すべきものということで、これが国民健康保健や老人保健制度や介護保険制度というこ とで挙げられているわけでございます。  続きまして4頁を御覧いただきたいと思います。これに照らしまして障害保健福祉関 係についてどういった提言がなされているかということでございます。まず、第1期に つきましては、先ほど申し上げた2種類のうちの後のほうでございます。制度全般の見 直しの中で検討すべきものとして支援費と、実はそれに類似のものというのが廃止対象 から除かれております。とりあえず国に残るということになっております。  それ以外のものはすべて地方に委譲ということでございまして、あとで御説明します がかなり扱いがまちまちになっている状況でございます。また今後のことを考えます と、第2期の改革があるということでございます。制度見直しがある程度見えてくれば その結果も見ながらもう一度地方に委譲するものの検討対象に障害関係があがってくる ということが見込まれるわけでございます。  具体的に、それでは今回それぞれのお金がどういう形で整理をされているかというこ とが5頁でございます。この中で、白い部分と黄色の部分で図表分かれております。黄 色の部分が地方に委譲、白い部分が当面とりあえず制度改正等が国あるので国に残ると いうものでございます。支援費につきましては、在宅はすべて国に残るということです が施設の中で障害児の施設、これ措置で残っている部分でございますが、これが地方に 委譲ということでここで754億円でございます。  医療費は国に残る。  施設整備、ハードの関係はすべて地方に移るということ。  その他のところでございますが、就労支援の関係で福祉工場とか、小規模通所授産と いった支援費に入っていないものにつきまして、身体・知的が国に、それから精神はど うも精神の社会復帰施設のほかのものとの扱いが同じになったようでございまして国に 残るということ。それから、手当て現金給付でやる手当ての部分と舗装具は国に残る。  その他は、すべて地方に行くということで、その他の内訳は次の頁の一番下の欄に書 いてあります。日常生活用具でございますとか、社会参加総合推進事業でございますと か、重心の通園事業、精神科の救急システムの整備事業、こういったものは地方へとい うことでございます。相当扱いが混乱をしているという状況になっております。  それから参考までに、その他の福祉分野の状況を7頁にまとめてございますので見て いただきたいと思います。金額は申し上げませんでしたが、障害福祉関係、およそ6千 億ほど地方への補助負担金がございますが、このうち1千億ほどが地方へ委譲されると いう提案になっております。障害のほうは支援費制度あるいはそれに類似の精神の制度 が大きな制度改正があるので、それの中で検討ということで当面残っておりますが他の 福祉分野につきましてはほとんど地方へ委譲という提案になっておりまして、7頁の上 が老人の福祉分野でございます。介護保険の世界を除きまして2,563億円の予算のうち、 99%ほぼ全額が地方に委譲。児童の福祉分野も4,386億円のうちの97%が地方へ委譲とい うことでございますので、推測しますと国民健康保健でございますとか介護保険、ある いは医療といったものは国に残りますが、その他の福祉分野は基本的に地方に任せてく れという御提案かというふうに受け止めております。  この三位一体の提案に対しましての今後の対応の仕方、スケジュールでございます。 8頁にございます。三位一体に関しましては、地方6団体からこのような提言がでまし た。これを受けまして、検討の場として大臣級の会合が官房長官の下に組織をされてお りますし、また地方6団体と協議をする場というのが10月中にもたれるということにな っております。  役所への宿題といたしましては、この地方6団体からの提案を踏まえて各省の改革案 を10月中にとりまとめるようにという指示が来ております。そして6団体からこれを地 方にといわれたものがお渡しできないときは、代わりのものを、委譲すべきものを案を 作って10月中の省の改革案を出すということになっておりまして、それを基に11月には 政府としての改革案がでるということで、予算に少し先立って三位一体の大枠が決ま り、それをベースに年末の予算が決まると、こういう流れになっているわけでございま す。  私どもも地方分権という大きな流れは非常に大事なことで、障害福祉に関しても市町 村がきちんと行政を行っていける仕組みを作るという点では、地方6団体あるいは三位 一体の考え方と大きな流れとしては方向性については一致をしているわけでございます が、どういう仕組みをとれば市町村が責任を持って安定的、効率的に障害者福祉のサー ビスが供給できるかという観点で制度見直しを考えていくということが必要かと思って おります。そういう意味で、現在のこの三位一体の議論それから障害福祉全般の見直 し、そして介護保険の議論、これらを合わせて大きな方向性をきちんとこれから皆様方 と議論をして決めていきたいと思っております。  いずれにしましても、この三位一体で御提案いただいているもの非常に整合性の取れ ないものとなっておりますので、まずは私ども、これは非常に障害者福祉がおかしなこ とになるという、言うべき主張はきちんとしていきながら省全体としてこの問題の対応 策を検討していくということでございます。以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございます。ただいまの事務局からの報告について、御質問、御意見など ございましたら、お願いいたします。 ○笹川委員  17年度の予算もさることながら、16年度に支援費制度で200数十億の不足が見込まれ るということで、これは我々障害者にとっては大変なことです。厚生労働省として何か 方策がおありなのでしょうか。  先ほどちょっと流用は無理だと、補正予算も無理だということになるとまったく目処 が立っていないということになると思うのですけれど、その点いかがでしょう。 ○松嶋障害福祉課長  障害福祉課長の松嶋でございます。先ほど来、村木企画課長のほうから御説明したよ うに、私ども、実はこれから「財源が足りない」という話を財務省に正式表明をしてあ らゆる努力をいたします。まず省内の中でも努力をし、かつ財務省にもその呼びかけを するとともに、私どももやはり自己努力をしないというわけにいかないと思います。自 己努力というのは適正化で何ができるのかというものも考えて、それでどうしてもこの 部分が足りないというふうにこれからつまびらかにして、あらゆる手立てを使って努力 してまいりたいとこのように思っております。 ○大濱委員  今の話の関連ですが、200数十億、日経新聞などでは250億という数字がでています が、それの数字の根拠が具体的にありましたら早いうちにお示しいただきたいというの が1点あります。  それときょうの資料1の概算要求の4頁で、その他の裁量的経費が510億ありますが、 その他の内容について教えていただければと思います。 ○村木企画課長  後段の御質問で「その他」のところでございますが、ここでは例えば小規模通所の経 費でございますとか、小規模作業所それからいわゆる社会参加事業、あと大きいのは発 達障害の関係の経費、その他もろもろでございます。支援費以外の福祉的な経費の中で 就労関係です。 ○伊原企画官  不足分がいくらかという話でございますが、これはまだ我々のほうとして具体的な数 字を把握しておりませんが、現在の段階の趨勢を申し上げますと、3月、4月段階の直 近の実績がだいたい挙がってきております。これに過去の伸び率をかけてみますと200 数十億になるのではないかと、このように考えております。我々が持っているデータは そういうところです。  これから16年度というのは今年の4月から来年の3月まで1年ありまして、いよいよ 最後確定しなければいけない段階で年末の時期を迎えてきますと、より具体的な数字、 5月、6月の数字が挙がってくると思いますのでそれを踏まえて何億円ということがは っきりすると思っています。  現段階で把握しているのは、だいたい200数十億になるのではないかと、それは4月 ぐらいの実績を基に計算したものでございます。 ○京極部会長  特に、内容的には支援費のところが足りないという感じですか。 ○伊原企画官  そうです。支援費が足りないのです。それはホームヘルプサービスもデイサービスも いずれも利用者が非常に増えておりまして、それがそういう4月の段階の実績につなが っていると考えております。 ○京極部会長  他にどうでしょうか。 ○猪俣委員  同じく関連した質問になります。5頁目で支援費制度が871億、これ平成16年度当初 の602億と比べますと、44.7%という今の予算では考えられないくらい努力をしていただ いたということはよくわかるのですが、16年度の必要見込み額はおそらく800、これに 数十億が足されるわけですから850億くらいになるだろうと。そうしますと現実の17年 度の概算要求額というのは、わずか20億程度の増ということになるわけです。実際に必 要な額からいいますと。そうしますと、おそらくまた1年後、3年目になったとき同じ 問題を繰り返すのではないか、要するにこの支援費制度の不足が構造的な問題になって いると考えるしかないと思うのですが、そういう基本的な捉え方はどうなのでしょう か。4割増やしたからいいという感じではもう解決できない問題になっているのではな いかと思うのですが。 ○村木企画課長  先生おっしゃるとおりだと思います。結局、昨年・今年と非常に足元のところが足り ないままで、その不足分プラス次の年の伸びということを見込んでの要求ということで 相当精一杯の要求をしておりますが、構造的になかなかその必要額を積み上げてそれを きちんと要求をして獲得をするという仕組みが弱いということは御指摘のとおりだと思 います。  なお、この871億という予算につきましては、伸びをできるだけ見込んでいくという ことのほかに、運用の適正化それから代替サービスのような新しい形のサービスの要求 等々もするというようなことで、さまざまの努力をした上で871億という私どもに与え られた枠の中で最大の配慮を省内でしていただいた結果ということでございます。 ○京極部会長  福島委員、お願いします。その後で、高橋委員。 ○福島委員  福島です。1つ目は、先ほど猪俣委員がおっしゃったこととほぼ同じことを私も申し 上げようと思っています。ですから質問というより意見になります。  やはり昨年度支援費が不足して、非常に御苦労いただいて、また今年度も200数十億 の不足ということで御苦労いただいていることは本当に伝わってくるのですが、それと 同時に同じことが来年も繰り返すことが想定されるわけです。運営のその他でいろいろ な工夫をしたとしても、やはり相当額の不足がでてくるであろうということが予想され ると思うのです。そうなったときに最低的に財務の査定で削られるのは仕方がないので すが、概算要求のレベルで、これこれの理由でこれだけは増えるのだということをぜひ 理論武装をしてきちんと要求していくということを、厚労省としては今後に向けて、他 の事業も同じだと思いますがやっていただきたいと思います。  お金がないことは皆わかっているのですが、だけどどうしても必要なものがある。こ れをやらないと死ぬ人がいるかもしれない、死なないまでも非常に苦しい状況になる人 がいるということをきちんとアピールしていただいて、その上で財務が査定するかどう かはまた財務の問題ですが、厚労省としてはぜひそのへんはアグレッシブにやっていた だきたいなというのが1つの意見です。  2つ目は質問です。三位一体の地方委譲の問題、非常にこれ重要なことです。個別の 事業になって恐縮ですが、例えば今地方への委譲が提案されているものの中で、メニュ ー事業というのがあります。長い名前の障害者自立支援社会参加総合支援事業(メニュ ー事業)と表にあります。例えば、私など心配しますのは、もともとメニュー事業はメ ニューという名前だけあって地方が選んで実施するかどうかを判断なさっていただくわ けですけれども、これらすべて委譲してしまったら、そもそもこの総合事業をやるかど うか自体も地方の判断になってしまうのか、そうなった場合に、これまでであれば一定 額が国から出るという条件の下で具体的メニュー選択はばらつきがある程度あったもの の、最低限各自治体でなさっているものではそれほど極端な差はなかったと認識してい ますが、これ委譲ですとなった場合にメニューという名前を超えてしまって、そもそも この総合事業自体やらないところがでてくるのがあるのではないか、こういうユーザー 側に不安があると思っています。きわめて深刻な問題だと思いますので、このへん厚労 省としてはこの提案に対してどういう対応をお考えなのかお聞きしたいと思います。 ○村木企画課長  福島委員の御指摘のとおりでございまして、こういった事業が委譲するということに なりますと、今三位一体の議論の中で言われている補助負担金の廃止、地方への委譲と いうことはお財布ごと地方にお渡しすることでございますので、こういった事業をやる かやらないかというところも含めて地方にお任せをするという形になるのだろうと思っ ております。  この事業だけではございませんが、私どもとしては障害福祉につきましてはやはりま だ非常に基盤が全国どこでも整っているという状況でもございません。それからこれま でこの審議会でも議論していただいたように、非常に地方間の格差が大きいということ でございますので、もう少し国がかかわる形でこの問題をやっていきたいと、そのまま 地方へ委譲するというのは、先ほどのメニュー事業に関わらず非常にマイナスが大きい だろうと認識をしておりまして、そのへんをしっかり関係者に訴えていきたいと思いま すっております。 ○京極部会長  都道府県と市長会の方もいらっしゃいます。補足意見がございましたらどうぞ。 ○高橋(紘)委員  一言コメントさせいただきたいと思います。私は支援費という仕掛けが実はもう、財 源の委譲が行われているわけでありますが、実質的には費用が市町村に移ったというこ とだろうというふうに思っております。そういう意味でいえば、従来のような思想で何 分の1はいくら国が負担する、何分の1は都道府県が負担するというやり方の在来型の 手法が支援費という地域サービス、これは市町村で生活をしている障害者が市町村で、 地域でニーズを把握して、地域でサービスを供給するというそういう仕組みですから、 これ当然国が3千いくつの状況、いわゆるニーズ把握をしてきちんと把握をしてと、こ れは原理的には無理だという、そういう性質のもの。従来、国は枠をはめておりました からそこでコントロールできたわけですが、そのコントロールを外したわけですからこ れは従来型の補助金の仕掛けでは無理だということをはしなくも暴露したに過ぎないと いう、そういうふうに私は思いますっています。だから従来型で、国がこれだけ負担す べきだ、負担すべきだというそういう手法ではもう通じない、そういう行政サービス領 域になったという、そこらへんの認識をきちんと持たなければいけない。その場合に国 の関与のあり方、最低限のナショナル・ミニマムを保障するあり方というのは、従来型 のやり方ではないのではないかということをもう一度、そこらへんを新しい仕組みを作 り上げるという視点で、「足りない、足りない、財務省でがんばれ」というそういう話 ではないといふうに私は認識をし始めております。そこらへんのことは、これから少し 議論を。  というのは、これから巨大な障害サービス事業というものを地域の中で発生する、巨 大な障害サービス業をどう受け止めるかというそういう議論をこれからしなければいけ ないのに、「足りない、足りない、財務省がんばれ、厚生労働省がんばれ」とそういう 議論で私は、ここ数年は努力していただかなければいけないのが前提でございますが、 少し見方の転換をしないといけないのではないか、そういう意味では自主的に市町村が 亀井委員もいらっしゃっておりますし、堂本委員もいらっしゃっておりますが、地方が がんばっていただいて、それを国が補足するというそういう仕掛けにしないことには無 理で、これがもう三位一体改革というのは単なる財政問題ではなく、市町村の行政のあ り方をものすごく問うのです。要するに暗黙の了解で、暗黙の認識の中で、地方は障害 サービスに不熱心であるというそういう前提で議論をしておりますけれど、私はフクヘ ン的にすべての市町村が障害者サービスをきちんと対応する仕組みを作っていく、そし てその上で一般財源化したらそれは市町村の責務として障害者サービスをやる、そうい う構造を国が誘導するという新しい政策書を入れていただくというそういう視点で議論 をしていただいたほうがよろしいかと思います。 ○京極部会長  堂本委員、亀井委員ございましたらどうぞ。 ○堂本委員  私はたまたまこういうことになるとは全く予想しませんでしたけれども、三位一体の ほうにも関わり、この審議会にも出させていただいているということで本当にいろいろ な意味で心配もし、そして今高橋先生がおっしゃったような視点も持ちながらずっと考 えてまいりました。まず申し上げなければいけないことは、今課長も言われましたけれ ども、もう少し国と地方のあり方を丁寧に考えながら、国と地方の福祉についての政策 をどこでどういう形で作っていくかということを私は議論すべきだと思います。  そのために例えば福祉の問題でも知事会などでももっと踏み込んで介護保険の問題、 その他の社会保障制度のことも、この3兆円の中に入れるべきだという意見がなかった わけではありません。しかしそのときは、たまたまこの審議会に出させていただいてい るので、私はそこではっきり言うことができたのです。今、支援費についても介護保険 についても審議している真っ最中です。その真っ最中のときに、その財源の委譲という ようなことを地方から言ったのではますます混乱をするので、そのことはやめてほしい ということを発言もさせていただき、実際にそうなりました。  しかし、もうひとつの大きな、大きな問題は、やはり今度は知事としての立場です。 どんどん高齢社会は進展しております。そして福祉に関しての予算は本当に市町村の立 場で言いますと完全に破綻してきていると言っていいというふうに思えています。そこ で、行政サービスにすべてを頼っていくような考え方では21世紀の日本はやっていけな いのではないかというのが本音でございまして、千葉では2年間かけて、私も本当に地 を這うようにして障害者の方の御意見を伺ってきたのです。その中でやはり、もう施設 ではなく地域に住みたい、そしてそのために可能なようなシステムを作ってほしいとい うことの御意見が噴出してきました。そのことをどこまでが行政が行い、それから行政 ではどうにも手が届かないようなところも出てきてしまいます。施設ならば施設ですべ てが終わっているのですが、地域で住むことになったら食事の問題あるいは映画を観に いきたい、お友達のところへ行きたい、地域でその人らしく生きるためにはいろいろな サービスが必要になってまいります。その時に行政のサービスと、それから地域社会を そういった障害者を中心としてみんなで周りから温かく守っていくためには、これから どうしたらいいのかということを考えていかない限り財務省にいくら障害者の予算を大 きく出すようにといっても、今、国として全体に700兆なのか1千兆なのかわからない。 それから私ども都道府県あるいは市町村もそれぞれに赤字を抱えているような状況の中 で、行政サービスですべてが終わるということが不可能な時代になってきていると思い ます。  今、高橋先生がまさにおっしゃったように見方を変えなければ対応できないようなと ころに来ている。その見方というのをまさに、私はこの場でもずっと御一緒に御議論さ せていただいて、厚生労働省はそのことに取り組んでおられるのだと思います。しか し、大変不幸なことに3兆円というお金をボンと出されてしまった。例えば文科省のほ うの小学校と中学校をどうするかというような問題でも、知事の中でもおそらく地方6 団体の中で、小学校と中学校を分けて、国はどこから地方がどこからがいいと思ってい る人は誰もいないと思います。しかし、そういった全体像を後から示されるということ で、先にとにかく地方から出せといわれたときに、私たちとしてはそれを出さなければ どうしてもならないということで、きょう御覧のとおりずいぶん不自然でしかも課長が おっしゃったように整合性のないようなことになっているのですが、地方のほうから言 わせていただくと、そういった21世紀の福祉あるいは障害者問題についての国がやるべ き仕事、都道府県がやるべき仕事、市町村がやるべき仕事というのがきちっとお互いに 議論され、その全体像が示される前に財源委譲という問題がでてきたものですから大変 不自然な形になっています。  私が主張したいことは、中央だけでは末端の市町村の現状までなかなか把握していた だくのは難しいということは高橋委員がおっしゃったとおりでございます。ずいぶん市 長さんたち、町長さん、村長さんにも聞きましたけれども、中央はなかなか自分たちを 信用してくれない、また市民も信用しなところもあるけれども自分たちがそんな橋や道 だけ作るなんて思われていたらとても困るというような言い方もされました。ですけれ ども同時にそういうようなことだけを考えるような、これからは首長は日本では選べな いのではないかというところまで御認識をいただくような時代になってきていると、私 はこの間の本当に今座長が大変革だとおっしゃいましたけれど、私はもうほとんど明治 維新以来の革命的な変化が中央と地方との間で起こっていると思います。  そういったときにどうやって障害者の問題をきちっと担保していくのか、それは中央 がやること、都道府県がやること、市町村の行政としてやるべきこと、それからその地 域として市民がサービスをまた提供していくようなネットワークを作っていくというよ うなところまで含めて、今はとても、とても大事な時だろうと思っています。  前のようにただ財源を取ってくるだけではなくて、国のほうにぜひお願いをしたいの は、そういった視点から一刻も早く国と地方、地方はそれぞれの段階との間でのこれか ら21世紀の日本の障害者が本当に地方で自分らしく生きられるような、そういった制度 の確立のために力を尽くしていただけたらと思っております。以上でございます。 ○京極部会長  それでは最後に亀井委員お願いいたします。 ○亀井委員  高橋委員のお話にもございましたけれども、この福祉サービスも基礎的自治体の力量 によって左右されると、いよいよそんな時代がやってきたのかなとこれはきちっと我々 受け止めていかなければならないと思います。堂本委員のほうからもお話がございまし たが、市町村は財政的には破綻の状況であると、まさしくそのとおりです。国もまさし くそのとおりでございまして、長期債務700兆抱えてそして国家予算が82兆のうち税に よる収入はたった41兆と半分しかないわけです。これあと5、6年したらもう1千兆の 長期債務を抱える国になってしまうわけです。GDPが500兆の国が1千兆の長期債務を抱 えたら、そんな返していけないということでございますから、今そういう国全体の危機 の中で国も県も市町村もなんとか持続可能な社会を作っていくために大改革を行ってい ると、そんな状況かなと思うのです。  ただこの福祉の問題については、企画課長のほうからもお話がございましたが国の分 担、責任あるいは市町村、県の責任ということを、これからきちっと国と地方が十分に 話し合った中でその充実の仕組みづくりをこれからより進めていかなければならない と、こんなふうに思っています。  それで支援費は破綻の状態というお話がございましたが、まさにそのとおりでしてま だまだ支援費制度がありながらサービスを提供されていない町村はたくさんあると思う のです。それをがんばっている市が受けてやらせていただいていると、こういう部分も 多々あるということは御理解をいただきたいですし、支援費とあるいはまた介護保険と の関連の中でのいろいろな温度差がありますが、それは支援費制度の提供がなされてい るか、なされていないかとその部分の温度差でもあるということで私は思っているわけ でございます。  今、我々基礎的自治体は、財政規模をこれから拡大していくというのは絶対できませ んから、財政規模を縮小させつつも地方自治体の責任におけるサービス、それから事務 事業を維持する向上させていく、それが最大の課題でしてそのための大改革を行ってい るということでございます。これは福祉の分野でも同様のことが言えるわけです。財政 難というこの厳しい現実は我々しっかり受け止めた中で、将来的ビジョンをきっちりお 示しをしていかなければならないとこんなふうに思っております。  障害福祉部長のお話にもございましたが、私どもはノーマライゼーションの理念とい うものを現実のものとしていくために、障害ある方もあるいは高齢者の方も住みなれた 地域社会の中で普通の生活を続けていける、そんな地域で支えあう、助け合っていくよ うな共助の社会、つまり地域福祉ということをこれからより以上に推進をいたしていか なければならないと思っておるわけでございます。  国にあってもこれから自主主体である基礎的自治体との議論を大いに行っていただい て、そしてその方向性を定めていかなければならないと。トータルでいろんなことを考 えていかなければならない、そんな時代でもあるというふうに思っております。それは 例えば障害であったり高齢者であったり、次世代育成であったり、あるいは男女共同参 画社会であったり、別々で別々の部局で話をしていたらそれは正しいことですけれど も、トータルにするとやはりおかしいという部分もあるわけです。次世代育成というの も、男女共同参画社会を推進していくという、実はこれは高齢者福祉の充実で、あるい はまた障害者福祉の充実に直結する問題でもあるわけでございますから、そんなものを 一挙にドーンと引き受けている基礎的自治体にとって、トータルにそういう議論が国と できる機会を与えていただきたいなと、こんなふうに思っておるわけでございます。私 のほうからは以上です。 ○京極部会長  ありがとうございました。議論がたくさん続くと思うので、他の議題もございますの で、とりあえずきょうのところは抑えたいと思います。 ○丹下委員  部会長、今のことに関連して一言だけ。 ○京極部会長  では、一言。 ○丹下委員  先ほど御説明のあった支援費の予算不足の件です。先ほどの御説明では、その主な原 因として利用者が増えたというお話でしたが、これは理由の説明としてはまことに不十 分と申し上げざるを得ないです。利用者が増加した原因は何かと、どういう理由で増加 したのだというところまで掘り下げなかったらこの問題の答えにはならないと私は思う のです。16年度の予算不足がどのくらいになるかということは年度末を待たざるを得な いだろうと思いますけれども、しかしその理由がどういうことであるのか、果たしてこ れは是認すべき妥当なものなのか、あるいは何か直すべき原因があってそれを直すこと によって改善されるのかということの掘り下げはぜひ早急にやらなければならないと思 います。それがないと、この審議会のこれからの議論というのは出発できないのではな いかという気がするのです。それがもう既に検討しておられるだろうと思うし、まして や15年度のあの苦い経験もお持ちのわけですから、一刻も早く早急に出していただきた いということです。 ○京極部会長  事務局で何かありますか。 ○村木企画課長  大変大事な御提言でございますので、また増加の要因等々を分析して御報告させてい ただきたいと思います。 ○京極部会長  2つ議題が残っております。1つは精神保健福祉対策本部について、それからもう1 つは、今後の障害保健福祉施策の見直しの視点と主要な事項について、でございます。 順次議論していこうと思いましたけれど、時間が少し押し迫ってきましたので事務局の ほうから一括して御報告いただきまして、そのあとで御議論に入りたいと思います。  矢島精神保健福祉課長 それではお手元の資料3-2、3検討会における検討経緯に ついて御説明をさせていただきます。この検討会の経緯につきましては、この部会で適 宜報告をさせていただいているところでございますが、3つの検討会の検討が終わりま したのでここで御報告をさせていただきます。  まず1番目の心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会でございますが、こ れは昨年の10月から開催させていただきまして3月に終わりました。これについては既 に御報告をさせていただいております。  2番目でございますが、精神病床等に関する検討会です。これにつきましては昨年の 9月から今年の7月まで計11回開催をさせていただきまして、8月に最終のまとめを公 表させていただきました。最終まとめのポイントでございますが、目標値を設定した計 画的な医療提供体制の再編ですとか、患者の病態に応じた病院・病床の機能分化。入院 形態ごとの入院期間短縮と入院患者の処遇内容の改善について、が最終まとめのポイン トでございます。  3番目の精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会、でございますが、これ につきましても昨年の10月から今年の7月まで計12回開催をいたしまして、8月に最終 まとめを公表をさせていただきました。最終まとめのポイントといたしましては、ライ フステージに応じた、住・生活・活動等の支援体制の再編。重層的な相談支援体制の確 立。市町村を中心とした計画的なサービス提供体制の整備でございます。  これを受けまして、精神保健福祉対策本部が開かれたわけでございますが、これにつ きましては企画官のほうから報告をいたします。 ○北川企画官  資料の3をお開きいただきたいと思います。内容が3つに分かれておりまして4枚程 度の絵、7枚程度の概要、それから本文という構成になっております。時間の都合もご ざいますので、真ん中にあります(概要)というものに従いまして若干御説明をさせて いただければと思っております。  まずこの改革のビジョンでございますが、今御説明をさせていただきましたように、 3つの検討会の結論を踏まえまして9月初旬に厚生労働大臣をヘッドといたします、精 神保健福祉対策本部というのを開催いたしまして、省としての考え方としてお示しして いるものでございます。今後、こういう場での御議論ですとか地方公共団体の皆様の意 見を聞きながら17年における精神保健福祉法の改正をはじめとする施策群の実施につな げたいということでとりまとめているものでございます。  まず基本的な考え方でございますが、「入院医療を中心から地域生活中心へ」という 考え方を推し進めていくというために、国民各層の意識の変革でございますとか、立ち 後れました精神保健医療福祉体系、これは医療面、福祉面双方の体系を、再編と基盤強 化を今後10年間で進めていこうということでございます。  「受入条件が整えば退院可能な方」、入院の患者さん今30万人おります。年間30万人 を超える方が入院され、30万人を超える方が退院されて、30万人の方が入院されておる という中に、7万人の退院可能な方がいらっしゃるわけですが、これらの方は下のカッ コに書いてありますように全員が長期の入院の方ではございません。そういうものをで きるだけ解消していくという観点から、医療面での精神病床の機能を分化し強化してい くと、地域生活の受け皿を強化していくことということを合わせて10年間で解消してい こうと、これが基本的なこのビジョンの前提でございます。  2頁目でございますが、達成目標として国民意識の関係、それから精神保健医療福祉 体系の再編ということで数値目標を掲げたところでございます。まず、意識の関係では ございますが、精神疾患は生活習慣病と同じく誰もがかかりうる病気であることについ ての認知度というのを90%以上にしていきたいということで目標設定をしております。 現時点におきますと、家族会の調査によれば約5割の方はそういう認識を持たれておる わけですから3割強の方は「どちらともいえない」と、「そうは思わない」という方も 15%ぐらいいらっしゃるということで、できるだけ皆さんが自分の問題として考えてい くように誰でもなるものなのだという認識を90%以上に上げていきたいということで目 標値を設定しております。  それから精神保健医療福祉体系の再編目標ということで、これ少し技術的になります が、端的に申し上げますと、先ほど申し上げたように新規で毎年30万人の方が入院され ておるわけです。そういう退院のスピードというのは県によって違います。こういうス ピードを全国のトップ3ないし5の平均に相当するスピードに上げようということにな れば、全体的に底上げになるという考え方がまず平均残存率(1年未満群)を24%以下 にするとこういう考え方でございます。  さらに1年以上入院されている方が現在20万人ぐらいいらっしゃいます。そういう方 も2割ぐらいは毎年退院をされていく構図になっているわけですが、そういう退院する スピードについても全国のトップ3ないし5の平均値になるように、退院のスピードを 上げていこうと。こういうことで全体として10年間で7万床相当の病床数の減少が促さ れるだろうという考え方でございます。  日本全国で、現に実施されている地域にみんな追いついていろいろ取り組みを進めて いこうとこういう考え方でやっていこうということでございます。  資料の3頁ですが、それをどういうふうな枠組みで進めていくかということにつきま しては、個々のプレ施設、市町村だけががんばってもなかなかうまくいかないだろうと いうことで、国、都道府県、市町村がそれぞれ役割を担って計画的に進めていくことが 必要だろうと考えております。  まず、今後10年間を前半・後半で大きく区分して、前半に大きな制度改正を含む見直 しを進めていくという中で、考え方としましては、都道府県単位で達成目標を実現する ために地域の実態を正確に把握して医療・保健・福祉が連動した計画的な取り組みを進 めていきたいという考え方であります。  医療の分野では都道府県、現在医療計画というのを策定しておりますが、そういう計 画の達成目標を反映した精神病床に係る算定式というものを策定するとともに、実現の ための具体的な方策について数値目標を明示した計画を作っていこうと。  一方、保健・分野では、先ほど少し話題がでておりましたが、精神障害者のニーズ等 の実態を把握した市町村が供給目標というのを策定し、これに基づき都道府県が全体的 な施設整備を含めた供給体制を確保していくという仕組みを入れていけないだろうか と。  国としては、こういう基礎的なニーズに基づく調査、結果を踏まえて、全国的な計画 を定めてサービス供給体制の必要な財源確保等を行っていく仕組みをできないだろうか と、こういうふうな考え方が大きな枠組みとして考えているところでございます。  個別の分野別の重点の施策は4頁以降でございます。まず1点目の国民意識の変革と いう点でございます。精神疾患に関する現状といたしましては本文のほうに書いてござ いますが、同じ精神疾患でも痴呆症に関しては、名前は今いろいろ検討されています が、自分もいつなるかわからないという認識はここ10年ぐらいで急速に広がきている。 ただし一方、統合失調症とか気分障害などの精神疾患に関しては、多くの人は「自分は 無縁だ」と考えているというのが実情だろうと。こういう現状認識の下にいろいろ取り 組みを進めていくことが必要だということでございます。  施策の基本的な方向としては精神疾患に関する基本的な認識を高めていただきたい と。それを踏まえて態度の変容とか適切な行動を促していきたいと、その情報を提供す る対象者に応じて地域単位での取り組みですとか、マスメディアを通じた取り組みとい うものを総合的に進めていくことが必要であろうということでございます。  当面、実施していくものとしては、検討会でまとめていただきました「こころのバリ アフリー宣言」資料の後ろのほうについておりますので、ぜひ御覧いただきたいと思い ます。そういうものが国民的な運動となるように広く呼びかけていきたい。さらに10月 末には精神保健週間というのが毎年ございます。さらには10月初旬には障害者週間とい うのもできました。そういう中で政府の広報ですとかマスメディアの特集等を通じて広 くいろいろな情報が国民の皆さんに目に触れるようなことを取り組みを進めていきたい と。こういうことを当面重点的にやっていこうということでございます。  精神医療の関係でございます。精神医療の現状としては細かく言えばいろいろきりが ないわけですけれども雑駁に申し上げますと、諸外国につきましては、ここ数十年間で 病床削減ですとか地域生活支援の体制強化の施策を進められて、人口当たりの病床数が 急速に減少していると。一方わが国で関係の施策が必ずしも十分ではなかったというこ とから、病床数はおおむね横ばいであると。さらに、その病床数を見ると地域間格差も 非常に大きいともっぱら長期入院患者の方の数により、地域の病床数の差が非常に大き いと。先ほど申し上げたような新規の入院患者さんの退院するスピードについても、地 域間で大きな格差がある。さらに1年以上入院して退院される方というのは、実は家庭 に復帰する率がガクンと下がる。そういう意味では地域との関係では1年というのは大 きな意味を持っていると、こうような大きな現状認識で施策の考え方をとっているわけ でございます。  考え方として、ポイントだけ申し上げますと、まずこういう病院、病床の機能強化を して患者さんのニーズ、状態にあったものにして強くしていくことが必要だろうと。積 極的なかかわりを持って、目的をもって医療を提供していくことが必要だということで ございます。そういう意味で、○の2つ目にありますように、急性期、社会復帰リハ、 重度療養当の機能を分化で強化をするということで、患者さんの病状に応じた適切な医 療を病棟ないしは病室単位で柔軟に実施できる体制を、早急に平成18年度には実現する ことを目指したいという点が1点目であります。そのために研究等を進めて、中央社会 保険医療協議会でよく議論をしてほしいということであります。  2点目は4つ目の○にありますように、精神科救急については、現行の一般救急シス テムと同様に、輪番制などの二次医療圏単位での既存体制に加えて、センター的な機能 というのを各都道府県に配置をしていきたいという点が大きな2点目でございます。  3点目は下から2つ目にありますように、自傷、他害のある恐れがあるということで 措置入院という仕組みがございますが、そういう受け入れる病院の質の向上ということ で病棟の看護職員配置を3対1以上にする等の医療体制の改善というのを、地域ごとの 事情に応じて段階的に進めていくと。こういうようなことを柱とした再編を進めていこ うということを考えているところでございます。  次が地域の生活支援の関係でございます。地域支援についても簡単に現状認識を申し 上げますと、精神障害者の方は入院されている方も含めて一般住宅で生活したいという ニーズが非常に強いということであります。一方住宅を提供する側、貸主等から見ると 緊急時の対応等に不安が強く、十分に提供がなされていないということで需要供給のと ころにどうしてもマッチしないという状況がある。そういうものをうまくアイルを改善 していかない限り、まず地域で住むという大きな課題が解決できないといった問題点が あるだろうというふうに考えてございます。  さらに社会復帰施設につきましても、先ほどの病院と同様に退所される方のうち3割 は実は病院に再入院されているという現状もあるという意味で、施設自体も今のままで は地域に送り出す機能が非常に弱いという意味で、その施設の機能強化というのを合わ せて進めていくことが必要であろうという問題意識が2点目でございます。  さらに就労という意味で見たときに、では授産施設からどれくらいの方が就労に結び ついているかというと、退所者のうちの方の2割程度ぐらいが就労しているということ で、住むところも少なければ、住んだとしてもなかなか就労というところにうまく繋が っていかないと、こういう問題についても解決していくことが必要だろうということが 現状の認識でございます。  そういう意味で、今後の施策としてどういうふうに進めていくことが必要かというこ とが基本的方向で3つまとめてございます。1つは、先ほど申し上げた住まいという問 題です。それから生活と支えるということ。それから就労等の活動というものをどうい うふうに支援をしていくかという体系から全体を再編する必要があるだろうと。さらに 相談支援体制、知的障害、身体障害に比べると非常に市町村の体制が弱いということも 現実としてございますので、そういうものを強化していくために、都道府県、市町村が 役割を分担しつつ相談支援体制を強化していくことが必要であろうと。さらに、市町村 を中心とした計画的なサービス提供体制を確保していくことが必要であろうというよう な3つの視点からまとめておるところでございます。  2つ目の○から、当面実施するものとして御説明しますが、相談支援体制につきまし ては市町村による相談支援体制を基礎といたしまして障害保健福祉圏域、都道府県の3 層の体制を標準として、今ある資源の活性化、強化を通じて、さらには場合によっては 新しい相談支援事業者という制度的な位置づけを設けることによって、いろいろな地域 の事情に応じた相談支援体制が確立できるような枠組みを作っていこうという点が1点 目でございます。こういう場合に、例えば市町村等で十分に対応が難しいと思われる危 機介入的な対応等については、障害保健福祉圏域に設けられるような中核的なセンター 等で対応していくといったことも年頭に置いているところでございます。  それから2点目としまして、住まいの問題として単身入居ということを進めていくた めに、先ほど申し上げたような緊急時の連絡先ですとか、身元保証を求める住居提供等 のニーズに対応する体制を障害保健福祉圏域ごとに確保していこうということでござい ます。それから4つ目の○でございますが、これも各障害共通の問題になると思います けれども、障害者の雇用を促進していくと、現在雇用サイドで精神障害者の雇用問題に ついて新しい立法的手当てが検討されておりますが、それと並行して現在あります精神 関係の授産施設というものを就労をずっと継続をしていくもの。さらに就労に強く移行 を支援していくもの等々に機能面から再編をしてそれぞれの役割をきちっと評価したう えで、報酬等を支払っていくというような仕組みにしていこうというふうに考えており ます。  それから下から2つ目の○ですが、現在の利用決定についても居宅と施設で大きく今 分かれています。これは平成11年の改正で、居宅支援事業ホームヘルプ等のサービスは 市町村の事業ということになり、平成14年から施行されていると。施設については、ま だ現段階では都道府県の費用が補助されるというふうな仕組みに二元化をしてございま す。さらにもっと申し上げますと、居宅については市町村が利用決定をいたしますが施 設については利用決定という行為がございません現状におきましては。そういうふうな 非常に施設と地域でちぐはぐになっているものを全体としてケアマネジメントを活用し て、総合的な「自立支援計画」と、住まいの問題、就労の問題等々広く含めた支援計画 を定めて、給付決定がなされる仕組みというものを作っていきたいということでござい ます。  最後になりますが7頁であります。こうした問題を確保していくという中で、当然人 材の確保、再教育・再配置ということが今後問題になっていくということになります し、既存の精神保健福祉施策におきます医療・福祉双方の重点化ないしは効率化という 取り組みも必要になってくる。さらに一定の新規の財源を投入するということは当然必 要になってきますので、必要となる支援の内容とか費用というのを明確に国民に示して いくと、その上で、新規財源確保について社会的合意を取っていくという取り組みが必 要になるだろうというふうに考えておるところでございます。  そういう観点からいくつか今後早急に決めなければいけないと思っている点がござい ます。1つは、2つ目の○にありますように障害程度等の尺度の明確化をしていく、障 害程度等の違いに応じたサービスメニューの整理とか標準的なケアモデルの開発を通じ て、必要な費用額と、障害程度別等のですね、ものを検討して国民に提示をしていくこ とが必要になるだろうと考えています。  それから3つ目の○にありますように、費用が先ほど予算のところで御説明していま すが、福祉の予算も増えていますが精神関係の公費の予算の7割が精神の通院公費負担 でございます。その予算が今年の要求でいけば80億ぐらい増えておりまして、そういう ものを医療提供の実態、利用者の症状、経済状況、地域間格差等について分析をし効率 化を図ると、そして福祉分野への重点化を図っていくというくだんの取り組みを行って いく必要があるのではないかと考えているところでございます。  以上、本文を御覧いただければよろしいかと思いますが、こういう問題を検討してご ざいます。精神疾患の問題として行っていくものについてはそれを中心に、さらに3障 害共通の取り組みとして行っていくべきものについては、後ほど御説明があると思いま すが、さらに議論を深めていくというやり方で進めていこうと思っているところでござ います。長くなりましたが以上でございます。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。重要な問題ですので、御提案したいのですが10分ぐ らい延長させてよろしいでしょうか。今の報告が20分以上だったので、大事な問題です ので、5分で片付けるわけにいきませんのでよろしゅうございますか、それでは10分程 度ということで延長させていただきます。それでは御報告をお願いします。  村木企画課長 今、精神改革のビジョンの報告をいたしました。それも踏まえ、また 支援費制度になってからいろいろな課題が見えてきております。そういった課題を踏ま え、またさらには障害福祉については長期的に懸案になってきたさまざまな問題がござ います。そういったものも踏まえまして、7月に出していただきました中間取りまとめ をベースにして、これからの制度改革、方向性、この審議会で秋に御議論いただきたい と思います。  きょうは、まずそれについて基本的な視点とそれからこういったことが主要な検討事 項になるのだろうということを取りまとめましたので、それを簡単に御報告させていた だきます。  資料4を御覧いただきたいと思います。まず、制度改正に係る基本的な視点を3つに 整理をしてございます。1点目、障害保健福祉施策の総合化ということでございます。 先ほどの三位一体の議論とも関連をしてまいりますが、これからの障害福祉を考えてい くときに、身体・知的・精神等と障害種別で縦割りになってきた考え方を改めて、『市 町村を中心にして、年齢や障害種別、疾病を超えた一元的な体制を整備』するという基 本的な視点が必要だろうと。そしてその中で、創意や工夫ができる制度全体を効率的、 効果的に運営できるそういった体系を作って『地域福祉を実現』をするということをひ とつの柱にしたいということでございます。  それから2つ目の視点でございます。自立支援型システムへの転換といっておりま す。障害施策につきましては、これまでこの間地域でそれぞれの人が支援を受けて自立 した暮らしができるようにということを理念として掲げてまいりました。これをきちん と政策のレベルまで落としていって保護等を中心としら仕組みから『障害者のニーズと 適正に応じた自立支援』を通じて地域での普通の暮らしを促進する仕組みへと転換を図 り、障害のある方の『自己実現・社会貢献』が実現できるということを大きな目標にし たいと考えております。また、このことは地域全体の活性化、地域再生へもつながるこ とだろうと考えております。  それから3つ目の視点でございます。先ほど申し上げた1、2を実現するためにも、 これを支える制度が持続可能性のあるものでなければならないということで、ここでは 非常に率直に、現行の支援費制度や精神保健福祉制度は、既存の医療保険制度や介護保 険制度と比較して制度を維持管理する仕組みが極めて脆弱であるという認識に立ちまし て、これから必要なサービスを確保し、障害のある方の地域生活を支えるシステムとし てきちんと定着をしていける制度を作ろうと。またそういった制度にするためには当然 でございますが、国民全体の支持が必要になるということで制度づくりに関しては『給 付の重点化・公平化』、『制度の効率化・透明化』を図るということが必要であると。 こういった視点で制度を抜本的に見直していこうと。これが制度改革の3つの大きな基 本的な視点でございます。  2枚目は、それを図柄にしたものでございますので、あとで御覧いただきたいと思い ます。  これをベースにして具体的な検討項目でございます。大きく2つのグループに分けて おります。1つ目の上のほうのグループでございます。これは現行の制度いろいろな課 題を抱えております、この現行の制度の制度的な課題を解決するための政策群というこ とでございます。それから2つ目のグループは、これからの新しい障害保健福祉施策の 体系を構築するために必要な政策群。こういう2つのグループに大きく分けておりま す。それぞれ3つの柱を立てております。  まず1つ目、現行の制度的課題の解決を図るための政策群でございます。柱の1つ目 は、市町村を中心とするサービスの提供体制を作るということでございます。福祉サー ビスの国、県、市町村の役割分担をしっかり考え、特に具体的なサービスの提供主体と して市町村をしっかりと位置づけていくということでございます。また、それにあたっ てはそれぞれ市町村がきちっとしたサービスの計画を立て、それを基にしてこれからの サービスの充実、計画的に整備をしていくということを図っていきたい。また事務執行 体制も効率化し、これらを支えていくために、国民全体の理解を得るための施策を展開 をする必要がある。これが一つ目の柱でございます。  次に2つ目の柱でございます。制度として効果的・効率的なサービス利用の促進をし ていくという観点でございます。サービスを利用するための一番基本になる相談支援体 制について重層的にきちんとした体制の確立をすること。またサービス提供のために必 要になる支援の必要度に関してきちんと共通のものさしを作っていくこと。他サービス 利用に際してのケアマネジメントの制度としての導入、それから支給決定プロセスの透 明化。そしてこれらを支える人材の確保、資質の向上。これが2つめのグループでござ います。  3つ目でございます。公平な費用負担と配分ということで、福祉サービスあるいは医 療サービスを利用するにあたっての利用者負担が適正かどうかということで見直しをす る。それから地域差が非常に大きい中で、この地域差を調整するシステムを導入してい く必要があるのではないかということでございます。以上が最初の大きなグループ、現 行の制度的課題の解決を図るための課題でございます。  次に、これからの新たな障害保健福祉施策の体系を構築するための政策群ということ で、これも柱が3つでございます。  1点目でございますが、障害保健福祉サービス体系の再編でございます。視点のとこ ろでも申し上げたように、すべての障害をお持ちの方が地域で自立した暮らしをしてい ける、そのために必要なニーズに沿った形でサービス全体を体系的に整備をするという ことが必要だろうというふうに考えております。そういった考え方に基づきまして具体 的な施設でございますとか事業体系の見直し、あるいは施設の設置者、事業の主体等々 の参入用件の見直し等も図っていく必要があるということでございます。またサービス の質を確保するためにも権利擁護の推進と評価の仕組みの導入、これが大事かと思って おります。そういった形で、サービス体系の整備をいたしますと、報酬体系もそれに適 合した形の報酬体系を導入するということが必要になってこようかと思います。これが 1本目の柱でございます。  次の2点目の柱として、ライフステージに応じたサービス提供ということでございま す。個別の問題いろいろあろうかと思いますが大括りに言いますと、まず障害児、子ど ものところの施設のあり方、事業のあり方このへんのサービス体系の見直しが必要であ ろうかと思っております。また、青壮年期につきましては雇用施策と連携のとれた形で 就労支援の実施をするということが柱かと思います。また、これは極めてこの審議会で も議論されたことでございますが、大変重度の方に対するサービスの確保も非常に大事 なことになろうかと思います。以上が、2つ目のライフステージに応じたサービス提供 という柱でございます。  3つ目、良質な精神医療の効率的な提供、これは先ほどとダブりますので詳しく申し 上げませんが、病床の機能分化、地域医療体制の整備、入院患者の適切な処遇の確保、 精神医療の透明性の向上、これらが課題になってこようかと思います。  以上、大きな2つの政策群ときちんと政策の方向性を出した上で、介護保険制度との 関係につきましても、介護保険制度を活用するのか、しないのか、あるいはどの部分に ついて介護保険制度が活用できるかといったことも検討をしていく必要があるというこ とでございます。大変、簡単な説明でございましたが、検討項目をお示しいたしました ので、次回これを具体化した形で、今後の精神保健福祉のグランドデザインと、制度改 革のグランドデザインとして議論のたたき台を次回の審議会にお示しをできればという ふうに考えております。以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告につきまして2つありました けれど、時間が限られていますのでお一人1分以内で発言をお願いしたいと思います。 松友委員から。 ○松友委員  松友です。最後のグランドデザインのいわゆる基本になるものについて、大変よろし い方向が出されていると思うのですが、私たち、やはり一昨年12月ですか障害者の新し い基本計画が出されたわけですが、実はその直前に、Sキャップが大津で琵琶湖宣言とい うものを出して、大きく世界的な流れの中での方向性をだしているわけです。それはい わゆる「インクルーシッブでバリアフリーな権利に基づく社会」と、いうなれば3つの キーワードが出されていて、かなりそこにその理念というかに加えていると思うのです が、少し弱いのは「権利に基づく」というところの言葉が弱いかなというところを抑え ていただけないかという感じがしました。よろしくお願いします。 ○広田委員  精神科救急のことですが、中核的なセンター機能を持つ救急医療施設を都道府県に作 るということですが、他の病気ですと身近なところで使うのになぜこれから都道府県で 作るのかなと。中身は何かということです。あと、塩田部長がいろいろなことをおっし ゃったのですが、私は精神医療サバイバーとして精神障害者がでてきていますが、多く の仲間の声を聞いていただきたいと。特に北川企画官がおっしゃった通院公費というと ころを何か削りたいようなお話ですから、そのへんのことはもっといろんな人に話を聞 いていただきたいということです。  それから精神科救急医療システムが国のお金でなくなってくると。なくなってくるの だけれど口だけは出すのかなという感じです。救急というのは2つありまして、救急車 で行く普通の救急と、自傷・他害の恐れのある人を警察官が保護して医療保護を行う救 急とありますが、この都道府県はどちらをイメージしているのかということをお聞きし たいと思います。 ○京極部会長  時間の関係で、まとめてあとで事務局のほうでお答えいただきます。 ○小林委員  このペーパーの中にでてこないことですが、ひとつだけ御要望を申し上げたいと思い ます。精神障害者というのは、病気が治ってそしてタックスペア、英語を使ってはいか んね。税金を払うところまで働くようになる人がいる。そういう人たちがいらっしゃる し、これは精神障害者以外の方でも福祉のお金をいただくというのではなくて、私も税 金を払うようになっていきたいと、そういう人たちがいるのだと。だからそういう社会 に戻って、社会で貢献する人を作っていこうというイメージがこれ全体読んでいてもあ まりでてこないので、なんとかどこかの形で文章化していただけると大変ありがたいと 思います。 ○武田委員  資料3の最後のほうで、精神障害利用決定の流れというところで別紙21あるのです が、この方向性を非常に望んでいる市町村のところで責任を持っていただける方向性と いうのがなかなか見えてこない中で、こういった流れになることを望んでいるのです。 しかし現実のところ、ここらあたりいったいどこらあたりを目指してやっていらっしゃ るのか、そういったときに一体ハードルとなるものはないのかということが若干気にな って、できるだけ早くこの流れにしていただきたいと思いつつ、どこらあたりでこうい う流れになっていくのかなということをお聞きしたいと思います。 ○斉藤委員  資料4の説明を聞きまして、1のところに障害施策の総合化ということを念頭におき まして、資料3の説明の中の別紙16、ここにつきましては、当然今厚生労働省の所管の すべての施設、例えば訓練校も含めてこういうふうに再編するということなのかどうか を確認したいと思います。 ○大濱委員  村木課長の示された総合化というのは大変重要なことだと思っていますが、この中に ある次の検討事項と記載されていますが、この検討の結果、今の障害関係の福祉法のあ らゆるところで切り貼りでバラバラに改正されるのではないか、やはり総合化という限 りは、基本的に総合福祉法のようなものできちんと担保する方向を確保してもらいたい ということが1点です。  その地域生活を大切にするということであれば、地域生活を担保するような法律を作 るような方向で考えていかないと、この政策というのは今ある法律の、各種障害を含め た法律がバラバラにまた切り貼りされるだけだと、将来的にバラバラになってくるので はないかという懸念があります。法整備を含めた担保を検討していただきたいと思いま す。 ○京極部会長  さまざまな御意見をいただきましてありがとうございました。次回以降のたたき台に なると思いますが、私のほうからも少し意見を述べたいと思います。政策理念というの をやはりきちっと踏まえて、その下での政策体系ということで、権利の話もでました が、それから現行の制度の解決と将来の新しい施策、たた二つ重ねたものかどうか実際 には一体のものになるわけですので、そのへんの整理も必要かと思います。まとめまし て事務局のほうで、御質問等でたところで、また次回時間がありますので、最小限お答 えできればと思います。 ○北川企画官  まず精神科救急につきましては、24時間精神科救急ということを念頭においておりま すので、特定の措置入院という医療形態を念頭に置いているものではございません。  それから都道府県単位ということでございますが、一般医療の救急についても都道府 県をベースに二次医療圏単位ないしは全県1本でというようなイメージで整備をしてい ますので、そういう形に準じて各都道府県どういう形で整備するかはよく計画を作って いただきたいと考えているということでございます。  それから資料3と資料4関係していくつかお話があった、例えば利用決定に市町村は どういうふうに絡めていくのとか、施設体系をどういうふうに再編をしていくのかとい うお話がございました。こういうことについては次回以降の検討課題だと思っておりま すので、そういう中で具体的な案をお示ししながら、よく御議論いただければと思って いるところでございます。 ○村木企画課長  個別の御質問、まず斉藤委員からの御質問でございますが、特に就労等々は雇用関係 の政策との関わりが大変深いと思います。障害者雇用促進法の改正も別の審議会で議論 が始められておりますので、それときちんと連携を取れる形でこれからの検討を進めて いきたいというふうに思っております。  それからその他たくさんの御指摘をいただきました。非常に大きな課題もあって、次 の法改正のとき全部できるのかどうかということもございますが、その大きな方向性と 今度のステップでできること、次のステップでできることというようなことを少し仕分 けをしながら、この場で御議論を今後いただければと思っております。 ○京極部会長  それでは最後に、次回の日程について事務局より御説明お願いいたします。 ○間企画課長補佐  次回はただいまお話がございましたように、障害保健福祉施策の見直しに関する案に ついての議論をお願いしたいと考えております。  次回、10月12日、火曜日、午後から厚生労働省17階専用、第18、19、20の会議室にお きまして開催をさせていただきたいと考えております。現時点での出欠状況がおわかり でしたら、お手元にございます出欠表に御記入をお願いしたいと存じます。  また、次々回以降の障害者部会の日程調整をさせていただくために、お手元の日程調 整表にも御記入をお願いしたいと存じます。現時点で御予定が不明の場合には、後日フ ァックスにて御送信くださるようお願いいたします。  なお、10月12日の次の回の障害者部会は、今のところ10月の下旬を考えております。 委員の皆様の御都合を踏まえ、詳細につきましては後日事務局より御連絡をさせていた だきますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。  次回の時間は正式には決まっておりませんが、1時ないし2時ぐらいから予定をさせ ていただきたいと考えております。およそ時間にしますと、3時間ぐらいお時間をいた だくことになるのではないかと考えております。詳細につきまして、後刻後連絡をさせ ていただきたいと存じます。 ○京極部会長  それでは、きょうはありがとうございました。座長の不手際で時間をオーバーしたこ とをお詫びいたします。                                      以上 (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)