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資料1

検討事項 時短促進法について

 現下の労働時間等の労働情勢
 企業における人事労務管理の個別化や短期的な業績評価の広まりの中で、職業生活において強い不安やストレスを感じる労働者が増加し、過重労働による健康障害や職場のストレスによる精神障害が大きな問題となっている。
 同時に、少子高齢化の急速な進行等を背景に、多様なニーズを持つ労働者が生涯にわたって意欲と能力を発揮できる環境整備が求められている。
 こうした中で、労働時間についてみると、近年、労働者1人平均の総実労働時間はほぼ横ばいで推移しているが、労働時間別の労働者の分布をみると、長時間労働者と短時間労働者がともに増加する一方で、その中間の者が減少するという「長短二極化」が進展している。また、休日についてみると、週休2日制等の普及率は横ばいで推移しており、年次有給休暇についてみると、取得日数の減少と取得率の低下が続いている。

 労働時間についての対策の経緯
 昭和62年5月の経済審議会建議「構造調整の指針」(いわゆる新前川レポート)において、国際協調と国民生活の向上の観点から労働時間短縮の「政策目標」として、年間総労働時間「1800時間程度」が掲げられ、翌年5月、この内容を盛り込んだ経済計画「世界とともに生きる日本」が閣議決定された。
 その後、平成4年6月に「計画期間中に年間総労働時間1800時間を達成することを目標とする」旨を盛り込んだ「生活大国5か年計画」が、7年12月に「年間総実労働時間1800時間の達成・定着を図る」旨を盛り込んだ「構造改革のための経済社会計画」が、11年7月に「年間総実労働時間1800時間の達成・定着」を盛り込んだ「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」が、それぞれ閣議決定されてきた。
 こうした政府目標の達成に向けて、労働基準行政としては、昭和62年及び平成5年に労働基準法を改正し、週40時間労働制を段階的に実施するとともに、最低基準を規律する労働基準法とは別に、「労働時間短縮推進計画を策定するとともに、事業主等による労働時間の短縮に向けた自主的な努力を促進するための特別の措置を講ずる」時限的な法律として、平成4年に時短促進法を制定し、平成5年にその一部改正により「労働時間短縮支援センター」に係る規定を追加した上で、平成9年及び13年に法の廃止期限を延長し、労働基準法に基づく対策とともに、下記の対策を推進してきたところである。
<時短促進法に基づく対策の概要>
(1) 国による労働時間短縮推進計画の策定
(2) 事業場における労働時間短縮の実施体制の整備
一定の要件を満たす労働時間短縮推進委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例
(3) 同一の業種に属する二以上の事業主による労働時間短縮実施計画の作成
(4) 指定法人「労働時間短縮支援センター」による支援業務の実施

 この間、労働時間短縮に向けた労使の自主的取組と上記の一連の対策等が相まって労働時間短縮は着実に進んできたが、近年、1でみたとおり、その流れに歯止めがかかるとともに、労働時間の「長短二極化」という状況変化の中で、労働者の生活や健康をめぐる新しい課題が生じている。なお、上記の「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」は平成14年1月に閣議決定された「構造改革と経済財政の中期展望について」において「終了することとする」とされ、政府経済計画においては1800時間目標が消滅したところである。

 検討課題の整理(案)
 「平成18年3月31日までに廃止するものとする」とされている時短促進法や、同法に関連する労働時間対策について、18年度以降どのようにしていくべきか。
 その際、以下の点を考慮して御審議いただくこととしてはどうか。
(1) 多様なニーズを持つ労働者個々人の実情に配慮した労働時間、休日及び休暇(以下「労働時間等」という。)の設定が求められていること
労働者の生活面における事情への配慮
(例)教育訓練機関における自己啓発、育児・介護、単身赴任、地域活動
長時間労働者の健康障害が顕在化していることへの対応 等
(2) 労使による自主的な労働時間等の設定の改善に向けた取組を促進していく必要があること
(3) かねてより重要性が指摘されながら時短促進法制定後も改善が図られていない年次有給休暇の取得促進等の課題について、より実効ある対策が求められていること


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