平成15年度第2回血液事業部会適正使用調査会議事要旨

日時平成16年3月11日(木)10:00〜11:55
場所霞が関ビル33F東海大学校友会館「望星の間」
出席者池田座長
 稲田、川口、河野、清水、白幡、櫻井、鈴木、橋、花岡、堀内、森、森下各委員
(事務局)
金井課長、浦山企画官、関根補佐、田中補佐、堀金専門官、他

議題: 議事要旨の確認
 血液製剤の使用状況について
 輸血医療の安全性確保に関する総合対策について
 我が国における血液製剤の標準的使用量に関する研究について
 平成15年度血液製剤使用適正化普及事業について
 (平成16年3月4日付け血液対策課事務連絡)
 赤血球製剤の使用状況調査について
 その他

議題1について
 議事要旨に関する意見については、事務局まで連絡することとされた。

議題2について
 事務局より、「血液製剤の使用状況について」資料に基づき説明があり、委員から、以下の意見があった。
 ○ アルブミンの自給率が上がることをすごく期待している。アルブミンの製品としての自給率とアルブミンを作るための原料血漿の自給率には大きな乖離があり、この乖離を埋めるように。
 ○ アルブミンと新鮮凍結血漿(FFP)について都道府県格差がかなり大きい。そういうデータを年次ごとに出していくことによって、ある程度の適正使用推進の尺度にすることは可能ではないか。

議題3について
 事務局より「輸血医療の安全性確保に関する総合対策について」資料に基づき説明があり、委員から以下の意見があった。
 ○ 輸血療法委員会又は責任医師を任命して症例検討を行っていただくが非常に大事である。
 ○ 例えば機械的に、使用指針に抵触するようなオーダーがきたら、自動的にはね、はねられてもなおかつ輸血を使用するということになれば、輸血部と個別に交渉するのはどうか。
 ○ 機械的にある線で切って実行するというのもあるが、実態をよく把握して、データをためて、総体としてこれだけ多いのをどう改善していくか。各科の係を決めて、その人が中心になって科の方針を決めていただいて、その科の方針をまとめて病院の方針にする。そういう積み上げ方式で、責任の所在とか適正輸血に対する取組を明らかにする方が、時間はかかるが相当の成果が上がる手応えを感じている。
 ○ 医療機関によっては、輸血に詳しい検査技師に発言権を与えて議論してもらうのはどうか。
 ○ 一番個人差が大きいのは術者の認識であり、輸血療法委員会がどれだけの力を持って、そういう突出して血液製剤を使用する外科医を抑えられるかというのは大変難しい。彼らは、輸血の指針を知っていながら「何故こういうもの」という認識がある。彼らを説得するだけの大規模な研究というものはなく、私たちは患者さんを人質に取られたような状態でなかなか議論できない。検査体制を充実して、きちんとした少なくともその場でデータをもとにした議論ができる体制というのは、正しい輸血をするためには大変に重要なことである。
 ○ そういう外科医たちに自分たちが全国レベルでどの辺にいるのかということを調査し認識してもらう必要がある。
 ○ 輸血を行う術式に関して、ある程度症例を絞って、一体その施設でどの程度なのか、施設よりも細かく術者レベルでどの程度使われているかについて把握して、彼らが全国レベルでどの程度の位置にあるか認識してもらう必要がある。
 ○ 施設ごとに1床当たりの血液製剤の使用量が分かれば、他大学と比較しやすく、使用状況に応じた原因分析や対応もしやすいと考えられる。
 ○ 案外、輸血をオーダーする側で責任体制が整っていない。術後の状態でも、主治医がどのくらい血液が残っているか必ずしも把握していないことがある。
 ○ 国立大学の独法化が4月から始まり、全国的なデータが出てきて、基準というか、評価法のようなものが出てくれば参考になるのではないか。
 ○ 数年前、厚生労働省から研究費をもらって、代表的な外科手術を5つか6つ取り上げて、例えば胃がん患者について施設ごとの患者数、そのうち手術を受けた者数、そのうち輸血を受けた数を調査し、輸血を受けた1症例当たりの輸血量を調べ、比較するのはどうか。
 ○ 血小板の輸注が必要以上に多くても保険診療上は査定されない。ガイドラインから外れる場合には、理由を必ず書くようにすれば、適正化が進むのではないか。
 ○ FFPの対象疾患は、適正使用の基準では「凝固因子欠乏」のみだが、保険の方は「凝固因子欠乏」でなくても査定を受けない。指針と薬の使用基準が異なることから、見直して欲しい。
 ○ 救急手術については、安全性を考慮すると多くなる傾向があるが、実際には使用しなくても済んだというケースがある。

議題4について
 事務局より、「我が国における血液製剤の標準的使用量に関する研究について」資料に基づき説明があり、委員から以下の意見があった。
 ○ 輸血療法委員会が機能しているかも調査する必要がある。例えば、不適切な輸血のオーダーが出たときにどうするか。あるいは不適切であるということを判断するだけの材料が与えられているか。
 ○ コンピュータ上ICD入力されているような比較的標準的な病院で、輸血をしてICD10で出てきた疾患群のどのくらいに使用されたのか比較的速やかに出してもらえれば、疾患ごとの使用量がわかる。なお、少なくとも悪性腫瘍だけはさらにサブグループに分けた疾患群での集計が必要。
 ○ 使用量の多い医療機関では、コンピュータ管理されていると思うので、そういうところにさらに詳細なデータを求めるのはどうか。今回の調査は、総論で聞いているが、例えば、本当に輸血療法委員会が機能するためには、各科又は疾患ごとのデータを求めながら、これに相当答えられた施設を母数にして求め、これが我が国の主立った数字だということを示せば、輸血療法委員会での議論に厚みが出る。
 ○ このような調査が時々来る。医療機関はかなり努力してデータを出すが、どの様に取り扱われているかわからない。還元されていない。
 ○ 今回の調査は極めて一般的な調査であり、ここから適正使用の結果が出てくるか非常に疑問である。具体的なことについて調査しないと適正使用に結びつかないと思う。具体的にすべての症例をやらなくても良く、年ごとに疾患等を変えるのはどうか。
 ○ 東京都、福岡県が類似の調査を行っている。東京都では医療機関、血液センター、輸血学会関係者及び献血の団体が集い、こういった調査結果をもとに適正使用の取組について議論することが、非常に効果を上げている。研究班で行ったある県では、血小板が非常に多く使われていた施設が翌年突然少なくなる一方、別の施設が突出して多くなった。調査すると、使用量の多い医師が別の医療機関へ移ったためであることが分かった。他の都道府県でも医療機関別の実態調査をやってもらい、需給調査や適正使用に役立ててもらってはどうか。
 ○ 患者調査に輸血又は血液製剤の使用状況の項目を入れて欲しい。
 ○ 使われる側、オーダーする側、使う側お認識が一致しないと上だけで調査してもダメ。実際に使っている医師がどういう感覚で使っているのか、輸血を受けた人がどう考えているのかなどについて、調査を加えた方がよい。
 ○ 患者さんの満足度調査は、大規模な調査であれば難しく、医療機関ごとに行っているところがあれば提供いただくとして、少なくともインフォームド・コンセントがしっかりなされているかについて伺うのが大切。
 ○ 輸血の問題は、大きな病院が必ずしも主ではなく、小さな病院もそれなりに血液をいかに転用して無駄なく使うかという問題がある。

議題5について
 事務局より「平成15年度血液製剤使用適正化普及事業について」資料に基づき説明があり、委員から以下の意見があった。
 ○ ガンマグロブリンとアルブミンを薬局で管理しているところが多い。そのことに関する輸血の方の認識が他に比べて少ないと思われる。各県などもその辺に力を入れてもらいたい。FFPとアルブミンを保険対策として交互に使うという使われ方がまだ無くなっていないという問題がある。
 ○ アルブミンの管理が輸血部に移ることによって、1〜2年の間に使用量が半減した。少なくともアルブミン、できれば免疫グロブリンを含めて一元管理で輸血部に移すことを進めていただくと、適正使用を実施する上で非常に役立つ。
 ○ 都道府県単位で合同輸血療法委員会を開催し、施設間の温度差、機能の違いを議論し、目線を合わせることは意義がある。

議題6について
 事務局より「赤血球製剤の使用状況調査について」資料に基づき説明があり、今後、患者さんの予後調査を実施する旨報告された。

議題7について
 その他の議題として、特に議論はなかったが、議題3に関連して委員から意見があった。
 ○ 原因究明の観点から、輸血前後の検査は必要であり、保険適用されるか否かについて、できない場合は具体的にどうするかを検討いただきたい。
 ○ 血小板輸血の適正使用について、現在研究班で検討中であり、今後方針を出すべく努力しているところ。

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