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第8回多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議議事要旨


日時平成16年9月9日(木)10:00〜12:00
場所厚生労働省専用第21会議室(17階)
出席者北浦座長代理、荻野、小澤、武石、田村、成瀬、山極の各参集者
議事
 役職に就いているパートタイム労働者からのヒアリング
(株式会社クレディセゾン)
 パートタイム労働者を役職に登用している企業からのヒアリング
(小売業C社)
 その他

議事要旨:
 株式会社クレディセゾンによる説明後、意見交換
※AC(Auto Call)センター長からの説明の概要
半年前に、パート(メイト社員)から年俸制の嘱託社員(契約社員の一種)としてACセンター長に昇格した。現在部下は約400名で、役職は部長相当となっている。
会社がパートにも正社員と同じようにリーダー研修等を実施した点や、女性に仕事を任せてきたことが、パートとして順調に働いてこられた要因である。
今回の抜擢のメリットとしては、他のパート社員の中でも意欲のある人や若い人にとって、キャリアの見本となる点があげられる。
注意した点は既存の正社員の反応で、正社員は試験を受けた上で昇格・登用するが、今回の場合はそうではなかった。正社員と非正社員とのあり方について問われている時期ではないか。
※人事担当者からの説明の概要
要員体制は、社員1,600名、常用雇用のパート・契約社員1,600名と、アルバイト・派遣社員約3,000名。
雇用区分は、社員、契約社員、メイト社員に分類される(社内では正社員・非正社員という呼び方はしていない)。メイト社員とは、いわゆるパートタイマーの形で、時給契約である。現ACセンター長はメイト社員(時給制)から契約社員(年俸制)への契約変更となる。
社員は、永年雇用型の正社員で、全職種を対象とした職種間のローテーションを実施している点が、契約社員・メイト社員と異なる。
契約社員・メイト社員も、発揮能力を捉える人事考課と、成果主義を前提とした賞与の業績評価などを行っている。

前センター長との賃金格差について

 前センター長は正社員の女性であり、前任者に比べると賃金は低くなった。考え方として、部門長相当職の年俸テーブルがあり、その職務の給与部分は賞与で同額となっている。その他に個人に付く職能等級でランクが決まっており、その職能等級部分の給与水準の格差が低くなっている。メイト社員は職能給を別管理にしており、今回のように急に契約社員になっても社員としての等級の昇格はないため、その部分の差はある。

センター長の権限について

 センター内の人事ローテーションや評価は基本的にセンター長に任されている。ただ、評価は人事部で全体調整している。正社員の仕組みなど、本人にとってまだ分からない部分があるので、基本的には正社員の課長が補佐しているが、権限そのものは、前センター長と同じである。

契約社員・メイト社員の役職登用について

 能力・成果主義を取り入れた「メイト社員制度・カウンター契約社員制度」を導入しており、係長相当に位置づけられる役職位に、メイト社員で52名、カウンター契約社員で18名が登用されている。

雇用形態の転換制度について

 転換制度については15年程前から仕組みを持っており、出産等を理由に退職した正社員を再雇用する意図と、働きながら育児をしたい社員のために、まずメイト社員になって勤務時間と仕事を契約という形で決めようという意図でスタートした。仕組みとしては、社員、契約社員、メイト社員の間を完全に行き来できるが、元々メイト社員から社員への転換は、会社として職種間のローテーション人材を求めているので、試験や面接等のプログラムを与えて判断している。年齢制限はないが、何年以上勤務という条件は設定している。

社員とメイト社員の処遇差について

 よく働くメイト社員は働かない社員に対して不満を持っていると考える。ただし、一昨年から、職能等級により社員でも考課で降格を導入しており、能力を発揮しない人は賃金が下がる場合もあり得る。

将来目指す雇用フレームについて

 社員を、労働時間当たりで求められるような働き方をする人は時間給型、成果を求められるような働き方をする人は年俸制や裁量労働制といった形に区分けし、それぞれの中間層で従来の正社員型にほぼ近い形で、月給型の契約社員を目指していく労務構造に変える計画をしている。


 小売業C社による説明後、意見交換
※人事制度改革についての説明の概要
パートタイマーは全従業員の約8割強で、労働時間に換算しても、約8割がパートタイマーという状況。5年程前からパートタイマーの能力アップを考えてきた。
役割、仕事基準の均衡処遇を実現するとともに、全従業員に共通の資格制度を適用し、登用・教育機会の均等を実現し、年齢・勤続年数等の要素を排除し、能力を基準とした人事体系とするという考えで制度設計した。
社員、パートタイマーといった呼称をなくし、正規社員、非正規社員の垣根を取った形に変更。基本的に、転居転勤する人(NR社員)としない人(コミュニティ社員)という形で括り、その中で役割の違いに応じて職群に分類。
コミュニティ社員は、仕事の中身が作業中心のオペレーション層と、マネージメント層に分類。
NR社員 コミュニティ社員
マネージメント層 オペレーション層
転居転勤する 転居転勤しない
長期契約 期間契約
日給月給 日給月給 時間給

給与体系について

 NR社員は、日給月給で資格給と能力給からなる給与体系、コミュニティ社員(マネージメント層)は日給月給で資格給と能力給に職位給が加わる。コミュニティ社員はNR社員と比較して基本的に転居転勤がないため、転勤自体が相当少なく、そのため、職位による仕事、役割の違いを職位給という形で処遇に反映させ、やる気を引き出す制度としている。従って、職位についたら職位給がつくこととなる。賃金テーブルは、各資格ごとに3種類ある(N社員、R社員、コミュニティ社員)。

登用制度について

 コミュニティ社員が転居転勤できるようになり、その時点でマネージメント層の仕事に就いていればNR社員に転換可能。年1回申告ができ、面接の上、転換を認める。

NR社員の転勤について

 1年半から2年に1回、長くても3年。中には4、5年という場合もあるが、基本的にそういったパターンで転勤しながら、経験を積んで昇格していく。

外国人、障害者、若年層、高齢者の雇用について

 基本的に国籍、性別、年齢等は問わず、法律上労働が可能で、試験にクリアした人を採用しているが、日本語が喋れることが大前提。障害者の雇用率は、2003年度年間雇用率1.89%。若年層については、いわゆるフリーターと言われる人もコミュニティ社員制度の中に位置づけている。従来はパートタイマーとして扱われ、社員への道はなかったが、コミュニティ社員制度に組み込まれているということで、NR社員に登用を希望してくるようなケースも出てくるものと思われる。高齢者については、60歳の再雇用制度を取っている。全社員同じ扱いで、制度としては65歳を制限としている。

元正社員で転居転勤をしないためコミュニティ社員になった社員の処遇、反応について

 基本的に従来の契約で長期の日給月給の形でそのまま処遇。コミュニティ社員制度導入時はいろいろな意見があった。人事で手分けし、全員に面談。結果的には、これまでよりもステップアップの道が開けたということで、歓迎している人が多い。


3.事務局より、次回の日程について、10月1日(金)13:00〜15:00に開催する旨説明。


照会先:
 雇用均等・児童家庭局 短時間・在宅労働課 企画法規係
 電話03−5253−1111(内線7876)


(参考)

多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議開催要綱


 趣旨
 多様な働き方を推進する多様就業型ワークシェアリングに取り組んでいくためには、企業の活力や経営効率・生産性を高め、雇用機会を拡大し、労働者がその能力を十分発揮できるようにし、多様な働き方が労使双方にとって適切な選択肢として位置付けられる必要がある。しかしながら、例えば短時間正社員制度を導入しようとすると、社会保険料をはじめとする人件費コストの増大への対応、業務の円滑な引継や分担の方法、その他解決すべき問題点が多く、企業においても導入になかなか踏み出せない現状にある。
 そこで、本検討会議では、多様就業型ワークシェアリングの業界、企業での普及促進を図るため、制度導入に当たって生じうる問題点及びそれに対する解決策をできるだけ具体的に提示し、当該企業における制度導入検討の際の参考に資することとする。

 構成等
(1)本検討会議は、雇用均等・児童家庭局長が企業の労務管理に詳しい学識経験者、実務者等の参集を求めて開催する。
(2)本検討会議には、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。
(3)座長は、構成員が互選し、座長代理は座長が指名する。

 検討事項
 本検討会議では、以下の事項について検討を行う。
(1)多様就業型ワークシェアリングを企業に導入する場合の選択肢の検討
(2)(1)で得られた各選択肢について、制度導入に当たって生じうる問題点のピックアップ
(3)(2)の問題点に対する解決策の検討(利用しうる既存の助成金の精査を含む)
(4)その他、多様就業型ワークシェアリングの導入を後押しすると考えられる事項の検討

 運営
 本検討会議の庶務は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課にて行う。


(参考)

多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議参集者名簿

平成16年9月9日現在
  氏名 役職
今野 浩一郎 学習院大学経済学部経営学科教授
  荻野 勝彦 トヨタ自動車(株)人事部企画室主担当員
  小澤 明子 日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員
  北浦 正行 社会経済生産性本部社会労働部長
  武石 恵美子 ニッセイ基礎研究所上席主任研究員
  田村 雅宣 日本労働組合総連合会総合労働局中小労働対策局長
  土田 道夫 同志社大学法学部教授
  成瀬  豊 全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会書記次長
  茂出木 幸二 日本経済団体連合会組織協力本部本部長
  山極 清子 (株)資生堂CSR部次長
(敬称略・50音順、○は座長)


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