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資料3

「痴呆」という用語の変更の必要性


 高齢者の尊厳に欠く表現であること。

 「痴」には「おろかなこと、ばか」という意味があり、また、「呆」には「おろかなこと、あきれる、あっけにとられる」という意味がある。「痴呆」という用語そのものは、「あほう」という意味から由来しており、「痴呆」と呼ばれる高齢者に対する尊厳やいたわりを欠く表現である。
 また、当事者本人や家族にとっては苦痛を感じたり、より一層不安にさせられる表現である。
 さらに、介護の現場においては、本人なりの生活の仕方や潜在する能力を極力大切にし、本人の人格を尊重してその人らしさを支えることを基本とする方向で取り組みが進んできており、こうした新しい「痴呆ケア」の基本的な理念になじまない表現である。

 「痴呆」の状態や症状について、誤解を招く表現であること。

 「痴呆」という用語は、「痴呆」になると「なにもわからない」、「なにもできない」状態になるという誤解を生じさせる一因となっている。こうした誤解があるために、本人が抱いている不安や焦りの気持ちを周囲が理解することの妨げとなっており、本人ができることまで周囲がやってしまい本人の能力を更に低下させることにつながっている。

 「痴呆」の診断や予防が進みにくいという弊害があること。

 「痴呆」という用語は、「痴呆」と判断されることに対する恐怖心や恥ずかしさを感じさせ、このことが痴呆の早期診断や痴呆予防教室への参加が進まない一因となっている。




(参考)

 「精神薄弱」を「知的障害」に変更したケース

(1) あたかも精神全般が弱い又は精神全般に欠陥があるかのような印象を与える。
(2) 障害者の人格自体を否定するニュアンスをもっている。
(3) 不快語、差別語であるとの批判がある。

 「(精神)分裂病」を「統合失調症」に変更したケース

(1) 精神それ自体の分裂と解されることが多い。
(2) 患者の人格の否定につながっており、患者・家族に苦痛を与えている。
(3) 社会的にも偏見、差別、スティグマを助長してノーマライゼイションを阻害し、社会的な予後を不良なものにしている。
(4) 医学的にも、病名告知が進まないという弊害がある。


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