04/08/27 第27回職業安定分科会議事録              第27回職業安定分科会 議事録 1 日時  平成16年8月27日(金)10:30〜12:00 2 場所  経済産業省別館827会議室 3 出席者 委員 (公益代表)            諏訪分科会長、大橋委員、椎谷委員、白木委員、樋口委員          (雇用主代表)            石原委員、紀陸委員、成宮委員、尾崎委員代理(深澤氏)          (労働者代表)            池田委員、須賀委員、堀委員       事務局  大石職業安定局次長、大槻審議官、            金子高齢・障害者雇用対策部長、            岡崎総務課長、宮川企画課長、石田高齢者雇用対策課長、            坂口需給調整事業課長、伊藤若年者雇用対策室長、            吉永建設・港湾対策室長 4 議題 (1)高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の施行について (2)新たな建設労働対策の検討について (3)その他   ・ 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)   ・ 労働政策審議会職業安定分科会運営規程の一部改正について 5 議事内容 ○諏訪分科会長  定刻となりましたので、第27回職業安定分科会を開会させていただきます。  議事に先立って、4名の委員が交代しましたので報告いたします。最初に公益代表委 員ですが、廣見さんと松本さんが退任し、新たに 大橋勇雄 一橋大学大学院経済学研 究科教授 並びに 椎谷 正 財団法人雇用振興協会理事長  のお2人が就任されました。また、使用者代表委員の田勢さんが退任し、成宮 治  全国中小企業団体中央会専務理事 が就任されました。さらに、労働者代表委員の久保 さんが退任し、成瀬 豊 電機連合書記次長  が就任されました。  これに伴って、当分科会の部会委員についても交代が必要となりましたが、これら部 会委員については、分科会長のである私の指名によることとなっておりますので、これ に基づき報告をさせていただきます。  まず、雇用対策基本問題部会ですが、公益代表の廣見さん及び松本さんの後任とし て、大橋勇雄委員と椎谷 正委員、また使用者代表の田勢さんの後任として成宮 治委 員、さらに労働者代表の久保さんの後任として、成瀬 豊委員をそれぞれ指名させてい ただきます。  次に民間労働力需給制度部会ですが、こちらは使用者代表の田勢さんの後任として成 宮委員を指名させていただきます。  さらに労働政策審議会の臨時委員に変更がございます。労働者代表の津田弥太郎さん の辞任に伴って、高村 豊 JAM組織局長  が就任されました。なお津田さんは雇用対策基本問題部会の労働者代表委員でしたの で、その後任として高村委員を指名させていただきます。これらによる当該分科会と各 部会委員の状況については、本日お配りしている名簿のとおりです。それでは、本日ご 出席の新任委員の皆様に一言ずつ挨拶をいただきたいと思います。 ○大橋委員  一橋大学の大橋です。この機会に日本の労働政策を勉強させていただきたいと思って おりますので、よろしくお願いいたします。 ○椎谷委員  椎谷です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○成宮委員  全国中小企業団体中央会の成宮です。どうぞよろしくお願いいたします。                 (出席状況報告) ○諏訪分科会長  なお、事務局にも異動がありました。これは事務局の方からご紹介をお願いいたしま す。 ○総務課長  4月の人事異動に伴って私どもの方にも異動がありましたので、紹介いたします。安 定局次長の大石、安定局担当審議官の大槻、高齢・障害者雇用対策部長の金子、需給調 整事業課長の坂口、企画課長の宮川、高齢者雇用対策課長の石田、若年雇用対策室長の 伊藤、建設・港湾対策室長の吉永、以上です。よろしくお願いします。 ○諏訪分科会長  それでは議事に入らせていただきます。最初の議題は「高年齢者等の雇用の安定等に 関する法律の一部を改正する法律の施行について」です。はじめに事務局から説明をお 願いいたします。 ○企画課長  資料No.1の2頁から説明させていただきます。高年齢者等の雇用の安定等に関する 法律の一部の改正については、本年1月20日の労働政策審議会における建議に基づい て、私どもが必要な法案を国会に提出し、6月11日に可決・成立し公布されました。こ の内容はすでにご承知かと思いますが、若干説明させていただきますと、少子高齢化の 進展や年金の問題などを背景として、高齢者が社会の支え手として活躍できるよう、65 歳まで働ける労働市場の整備という観点で改正させていただいたものです。その改正内 容はただいまから説明いたしますが、本日はその改正内容を施行するに当たって必要な 政省令の整備について、当分科会のご議論をお願いします。  改正内容をかいつまんで申し上げますと、3点ございました。(1)が65歳までの雇用 の確保です。定年の引上げや継続雇用制度の導入などを65歳まで求めていく、義務化し ていく。ただし、労使協定によって継続雇用制度の対象となる労働者に係る基準を定め たときには、希望者全員を対象としない制度も可能とする。あるいは、施行日より政令 で定める日までの間、建議においては、当面大企業は3年間、中小企業は5年間とされ ていたところですが、労使協定ではなく、就業規則等に当該基準を定めることが可能と なっております。この制度は年金支給開始年齢の引上げに合わせて、2013年度(平成25 年度)までに段階的に引き上げるという内容です。  (2)が中高年齢者の再就職の促進ですが、これも2点ございます。募集・採用に当た って上限年齢を設定する場合に、その理由の明示を求めるという内容、それから事業主 都合で離職を余儀なくされる高年齢者等に対して、事業主がその職務経歴や能力などを 記載した書面を交付するということをお願いする内容です。  (3)が多様な就業機会の確保で、シルバー人材センターにおいて労働者派遣事業を行 う場合の特例です。「許可」を「届出」とした理由ですが、シルバー人材センターは高 齢法に基づいて指定業務、監督などの規定が整備され、存在や活動が制度的に担保され ていること、その構成員がシルバー人材センターの運営に関する意思決定に参加できる ので、労働者保護に欠けるような事態が生じるおそれが少ないと考えられること等々を 踏まえて、いわゆる事前規制としての「許可」から事後規制としての「届出」という形 で整理させていただきました。  (2)と(3)の内容については、公布の日から6カ月以内の政令で定める日ということ で、12月上旬までに施行しなければならない。(1)については、準備期間等もございま すので、平成18年4月1日となっているわけです。  1枚前は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正し施行するに当たっ て、当分科会に検討をお願いする事項をまとめたものです。政令事項と省令事項があり ます。政令事項としてはその施行日です。「公布から6カ月以内の政令で定める日」を 定めなければなりません。2番目として、就業規則などにより継続雇用制度の対象とな る労働者の基準を定めることができる特例期間に係る期日、あるいは中小企業における 当該期日を定めなければなりません。またその中小企業の定義も定めなければなりませ ん。  省令事項としては、先ほど(2)の2つ目で申し上げた書面、求職活動支援書の作成手 続や記載事項、募集・採用時の上限年齢設定理由の提示方法、シルバー人材センターに よる派遣事業の届出方法等の内容を定めなければなりません。  今後のスケジュールですが、この建議についてまとめの議論を行っていただいた雇用 対策基本問題部会で、9月中に具体的内容を検討していただきます。またその結果を踏 まえ、求人者が職業紹介事業所を利用する場合の上限年齢設定理由の提示については、 民間労働力需給制度部会において検討していただき、その上で政省令案や要綱等を労働 政策審議会、具体的にはこの分科会に諮問したいと考えております。 ○諏訪分科会長  ただいま説明のあった件について、皆様からご質問やご意見等をいただきたいと思い ます。 ○須賀委員  高齢法の一部改正については、昨年末から今年初めにかけて、相当この中で議論をさ せていただき、かなり難産をした経過があります。それでお伺いしたいわけです。これ から労使で基準をつくるということになるわけですが、その基準をつくる際には、今回 の法改正の趣旨を十分に踏まえて明確にする必要があると考えており、そのことを省令 の中に書いていくべきではないかと私どもとしては考えております。この点についてお 考えがあれば伺いたいと思います。 ○企画課長  継続雇用制度の対象に関する基準については、すでに法律で、いわば制度的には書き 切った内容になっていると理解しておりますが、具体的にその基準の内容を労使間で十 分協議の上、各企業の実情に応じて定めるということがこの法律の趣旨と考えており、 その内容については、原則として労使に委ねられていると考えております。このため、 行政側が省令その他の方法によってあらかじめ基準の具体的な内容に関する、ある意味 で一方的な考え方を示すということは、本来労使に委ねられるべき基準の定めをある方 向に誘導するような可能性もあり、適当ではないのではないかと考えています。ただ し、高齢法の趣旨が「高齢者が意欲と能力に応じて働き続けることができる労働市場の 整備」で、その趣旨を踏まえると、厚生労働省としてはできる限り具体的で明確な、客 観的な基準をつくっていただきたいと考えているところです。  厚生労働省としては、平成18年4月の施行に向けて労使間で話し合いに取り組んでい ただく際には、基準に関する事例の収集や提供等も行って、企業の参考となるような情 報提供を適宜行っていきたいと考えております。 ○須賀委員  おっしゃった趣旨はわかった上での質問なのですが、労使に委ねる、その趣旨を生か す、あるいは客観的な基準をつくるということについては、今説明のあったことでいい と思うのです。そういうものを仮に定めていくときに、大企業や労働組合がある所では きちんとした対応がとれると思いますが、中小企業などで、なかなか思うようにいかな い部分もあるのではないかと想定されますので、是非モデルとなるようなものを準備し ていただければありがたいと思います。少なくとも「会社が必要とした者」という基準 は明らかに高齢法に違反することになりますので、こうしたことを是非周知徹底するた めにも、先ほどご説明にもありましたようなことを、更に注意深く指導できるような体 制を整えていただきたいと思います。 ○高齢・障害者雇用対策部長  須賀委員からご指摘がありましたが、確かに労働組合がないようなケースでは、今お っしゃったようなこともあるのかなと思っております。ただ、私どもとしては、何か行 政サイドのほうが誘導するような形になるのは適切ではないと思っております。そうい うことから考えて、必要な情報や事例を集めて提供していくことが基本的に大事だろう と思っております。例えば高齢法の趣旨に照らして、これは少し適切さを欠くのではな いかといったことについては、指針という形をとらないかもしれませんが、こういった ものの考え方も広めていくことも必要かと思っておりますので、そうした観点から必要 な対応をきちんと行ってまいりたいと思います。 ○須賀委員  よろしくお願いいたします。 ○諏訪分科会長  本件については、その具体的内容の検討につき当分科会の雇用対策基本問題部会及び 民間労働力需給制度部会において、審議をいただくこととしたいと存じます。それらの 結果が取りまとまり次第、諮問案についても事前にご検討いただいた上で、当分科会に 報告していただくのが適当ではないかと考えます。そのように取り計らわせていただい てよろしいでしょうか。                 (異議なし) ○諏訪分科会長  ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。次の議題は「新た な建設労働対策の検討について」です。はじめに事務局から説明をお願いいたします。 ○建設・港湾対策室長  お手元に資料No.2として、議題と同様の「新たな建設労働対策の検討について」と いう資料を用意させていただきましたので、これに即して説明いたします。  まず基本的な視点として、建設業をめぐる状況について。現在、全般的な雇用の状況 は、厳しさが残る中、改善の傾向が見られるという状況です。しかし建設業について は、いまなお、改善しているとは言えない状況です。指標的には改善しているような指 標も見られますが、よく見てみますと、首都圏におけるマンション営業が増えていると いうようなもので、建設業本体の労働雇用状況が改善しているとはなかなか言えない状 況です。  2頁目に現在の状況について、非常に概略な図ですが、用意してあります。建設投資 については平成2年がピークです。その当時から比較すると、投資額が大体3分の2ま で減少しているという状況にあります。  雇用労働者数については平成9年がピークです。ここからは大体1割減っているとい う状況です。  許可業者数は平成12年度がピークですが、ここから約1割程度減っている状況です。 どのくらい過剰であるかという議論は非常に難しいのですが、全体として見て、いわゆ る供給過剰の状況にあるということは間違いなく言えるところです。  こうした状況の中で、政府としては建設業から他産業への労働力移動、あるいは新規 事業への転換について、取組みを積極的に行うということです。これは国土交通省を中 心として対応しているところですが、いわゆる「骨太方針2004」というもので、各省連 携して対応することとされています。  別の観点ですが、4頁に建設業における労働者派遣に対する要望が掲げられておりま すが、最近いくつか新しい動きが見られます。1つは構造改革特区提案で、長野県の小 谷村から、村内の建設業者が共同で人材派遣会社を設立して、建設業の従業者を1カ所 に登録して、近隣地域あるいは県内の建設会社に派遣したいという要望が出てきており ます。  また地域再生検討の中では、岐阜県建設業協会より、市町村単位で事業協同組合を設 立した上で、当該組合に限り、建設労働者派遣業務適用除外を緩和してほしいという要 望が出てきております。これらはこれまで労働者派遣法において建設業務が適用除外業 務になっている中で、建設業は非常に厳しいという状況を踏まえ、緊急避難的な意味も あり、雇用の安定、またはその前提となる企業の維持の観点から有技能労働者を確保し ていきたいという要望ではないかと考えております。  資料の1頁に戻りまして、これまで中長期的に言われた議論ではありますが、技能労 働者の高齢化が進んでいるという問題が、目前に迫っております。大体、技能労働者の 過半数が45歳以上であり、またその半数が55歳以上という状況になっており、その技能 を確保していくことが非常に喫緊の課題となっている状況にあります。  こういう状況の中、厚生労働省としては、資料の5頁にあるような建設雇用再生トー タルプランというようなもので、1つは業界内での円滑な労働移動を支援していく。2 つ目としては、建設業外への円滑な労働移動を支援していく。3つ目の柱として、建設 業内外の新規・成長分野への進出を促進していく。4番目として、労働移動、能力開発 に関する情報提供・相談援助を充実させていく。こういう取組をしているわけですが、 いま申し上げたような状況を踏まえて、更にこういう対策を総合的に考えていく必要が あるのではないかと考えている次第です。  2の検討課題は4項目ですが、いま申し上げたようなことを中心に議論すべきではな いかと考えております。  1つは、事業主の新分野進出について今、助成金を中心とした支援措置を講じている わけですが、これをどういう形で進めていくのか。2点目として、建設業離職者の労働 移動はなかなか難しい面があり、これを如何に円滑に促進していくのか。3点目とし て、先ほどの地域再生、あるいは経済特区という形での要望があるわけですが、このよ うな非常に厳しい状況を踏まえて、何らかの新しい取組が可能かどうか。4点目とし て、中長期的に今後どういう形で有技能労働者を確保し、あるいは業界内に留めていく か。こういう形での議論がいま必要ではないかと考えている次第です。  先ほど「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2004」において、新分野への進 出についての取組を各省庁が連携して対応すると申しましたが、これのスケジュール が、今年度秋までにという形で政府内で議論が進んでおります。スケジュール的には若 干出遅れている部分もありますが、こういう状況を踏まえて、なるべく早く検討事項に ついて議論を取りまとめていただければ、来年度以降の対策に速やかに取り組むことが できると考えております。つきましては本分科会、あるいは基本問題部会、更にその下 に建設労使が入っている建設労働専門委員会も設置されておりますので、こうした分野 で議論をしていただき、今後の方向性についてご報告いただけると幸いであると考えて いる次第です。 ○諏訪分科会長  ただいまの説明をめぐって、本件につきご質問なりご意見がありましたらお願いした いと思います。 ○池田委員  今、吉永室長から、基本的な視点から検討課題まで説明していただきましたが、建設 業をめぐる情勢については若干意見が異なっているわけです。6月1日に日銀の短観が 出ましたが、その中でも、建設業も二極化が非常に進んでいるということでした。ゼネ コンや大手住宅メーカーは改善されている、即ち利益が非常に上がっているという方向 です。しかし中小零細業者は大変厳しい情勢にあります。  どういうことかというと、まず仕事がないのです。2番目には賃金が上がらない。賃 金が下がっているのです。賃金を上げている企業というのは、中小業者では10%もあり ません。私ども全建総連という労働組合では東京都連に14万人いますが、1万人を調査 したら、7.8%しか事業主が賃金を上げておりません。下げている方が47.8%、もう50 %近くになっているという状況です。  次に、指値発注で儲からない。バブルの絶頂期は平成元年だと思います。そこからど んどん下がってきましたけれども、半値8掛け2割引、まさに自転車操業です。ですか ら大変な事態です。  次の問題は、銀行など金融関係機関の貸し剥がしや貸し渋りで大変困っていることで す。私たちの仲間には事業主もいますし、一人親方もいます。純粋な労働者もいます が、事業主の四十数パーセントの方が貸し渋りで本当に困っている。貸し剥がしで困っ ている方もたくさん出ているのです。  その人たちはどうするかというと、警視庁が発表したとおり、3万4,000人ぐらい自 殺で亡くなっているのです。その中で7,000人ぐらいが中小零細業者、その中の圧倒的 多数が建設業者です。  帝国データバンクの昨年1年間の調査があります。負債総額1,000万円以上で倒産し た件数が4年連続5,000件を超えている。すごい状況が現在続いています。最後には雇 用労働者が大変先行き不安を感じている。ですから、先ほど吉永室長が言われたのです が、建設業をめぐる状況は、確かにこういう書き方もありますが、実態経済や実態調査 等々がきちんとなされれば、その厳しさがはっきりおわかりになると思っています。そ こで私がいま言った状況を、吉永室長がどのような形でお考えになっているのか、そこ らをお聞かせ願えればありがたいと思います。 ○建設・港湾対策室長  非常に実態に即したお話をいただきまして、ありがとうございました。統計、新聞報 道等で状況を確認するところですが、非常に厳しいということは、池田委員ご指摘のと おりだろうと思っています。実際に建設投資が非常に減少しています。今後とも、この 辺りの改善は期待されないわけでして、そういう中で雇用就業の場が一層減少していく だろう、いまも非常に厳しい中で、更に厳しくなるだろうという見通しを持っている次 第です。  そういう基本問題に基づき、今回の新たな建設労働対策を考えていく必要があるだろ うということで、今回ご提案している次第です。そういう意味で率直な実態等について ご発言をいただきながら、またそれに即した形での対策についてご提言いただけると、 非常にありがたいと考えている次第です。 ○池田委員  わかりました。次にまた問題点をひとつお願いしたいと思います。実は今日の分科会 が開催されるというご通知をいただきました。新たな建設労働対策の検討ということに なっています。ところが8月10日に『建設産業新聞』がこの新たな建設労働対策問題 を、大きく一面で出しました。それから8月25日に『日刊建設工業新聞』、8月25日 『建設通信新聞』、これがやはり一面に大々的に出ています。  業界新聞が書くのですから、これは報道の自由ですからいいのですが、問題は我々は 今日吉永室長から聞いて初めて、新たな建設労働対策の骨子が出てきたわけです。とこ ろが8月10日に、もう具体的な内容に踏み込んだ報道がされている。更に25日の2つの 業界新聞にも、内容が細かく具体的に出ているわけですから、「火のない所に煙は立た ず」ですから、やはりそこらは事務当局から積極的に業界新聞に協力をなされたのかお 聞きしたいところです。以上です。 ○建設・港湾対策室長  池田委員ご指摘のとおり、業界紙が度々この問題について、報道がなされたのは事実 です。正直に申しまして、8月の当初出た段階では非常にこういう問題もある、こうい う考え方もあるのか、という形で参考にできるのかというふうに考えていた状況ではあ りますが、ご指摘の8月25日、あるいは3紙程度の業界紙にほぼ同内容の記事が出てい ました。私もこの立場にいなければ、私の立場にいる人間が何らかの形で流したのでは ないかというふうに思ってしかるべき状況ではないかと思います。  ただ現実問題としまして申しますと、この問題は非常に難しい問題でして、業界紙が 更に詳細には書いているのですが、そういう形での対応というものは、なかなかそれの みをもって難しいと思っていますし、まだ部内でも、どういう形で議論を進めたらいい のかということ、あるいは審議会にどういう形でお諮りすればいいのかということを苦 慮している状態でして、私どもからそういう情報を流したということはありませんし、 今事務的に考えている者からしても、更に違うものであるということは、今の時点で申 し上げておきたいと思います。非常にご迷惑をおかけすることになっている点について は、お詫びしたいと思います。 ○諏訪分科会長  それでは、ほかにご質問、ご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。では 本件について雇用対策基本問題部会で検討することとさせていただきます。そして、雇 用対策基本問題部会およびその下に置かれています建設労働専門委員会において、深く ご審議をしていただこうと考えています。その結果が取りまとまり次第、当分科会にも ご報告をいただくというような段取りで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○樋口委員  どういう議論になるか、議論の進展によってわかりませんが、もし派遣に関係するよ うなことが出てくるような場合であれば、この部会に報告なさると同時に、民間需給制 度部会でも、議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○諏訪分科会長  この点、事務局の側、何かございますか。 ○建設・港湾対策室長  現在どういう形の報告書を取りまとめていただくかということは、なかなか予断がで きないところですが、関係する部分を対象としたことについては、また部会長にご相談 させていただいて対応したいと考えています。 ○諏訪分科会長  それ以外のご質問、ご意見、ありますでしょうか。では先ほど提案申しましたような 段取りで進めることでよろしいでしょうか。                 (異議なし) ○諏訪分科会長  ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。「その他」の 議題になります。2点ございます。まず、第1点目の議題は、「雇用保険法施行規則の 一部を改正する省令案要綱」についてです。これについては、本日付けで厚生労働大臣 より労働政策審議会あての諮問を受けていますので、これについて審議をさせていただ きたいと思います。初めに事務局からご説明をお願いいたします。 ○若年者雇用対策室長  「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」についてご説明します。初めに お手元の資料No.4に基づきまして、省令案要綱の趣旨、概要についてご説明します。  職業経験・技能等に鑑みまして、安定した職業に就くことが困難な者について、試行 的に、これは3カ月以内ですが、雇い入れた事業主に奨励金を支給しまして、常用雇用 に結びつけることを目指します試行雇用、いわゆるトライアル雇用制度というものがあ りまして、現在その対象区分の1つとして、30歳未満の若年者が位置づけられているも のです。これら30歳未満の者にかかわりますトライアル雇用制度については、制度創設 後、昨年度末までの2年余りに、このトライアル雇用を終了した若者の約8割が当該事 業所での常用雇用に移行しますなど、安定した就職の促進という観点で、実効を挙げて いるところです。  一方、これらの層の上の年齢層に当たります30歳代前半層の雇用状況を見てみます と、いわゆるフリーター数の増加率が他の年齢層を上回っている実態にありますなど、 不安定就労の実態がこの30代前半層にも及んでいる、こういった状況にあるところで す。  こうした実態を踏まえまして、これら30歳代前半層を安定した雇用に結びつけます就 職支援策の一環として、この試行雇用制度の活用が有効と考えられますことから、本年 10月1日より、現行の試行雇用奨励金対象年齢30歳未満の者とされていますところを、 これに30歳代前半層を追加いたしまして、35歳未満の者とすることについて雇用保険法 施行規則の所要の改正を行うことをお諮りをするものです。  次に資料No.3、こちらが諮問の文書で、次頁が省令案要綱です。「雇用保険法試行 規則の一部を改正する省令案要綱」として「第一 試行雇用奨励金の対象となる求職者 として、30歳以上35歳未満の者を加えるものとすること」。「第二 この省令は、平成 16年10月1日から施行するものとすること」となっています。説明は以上です。 ○諏訪分科会長  ありがとうございました。本件についてのご質問、ご意見をいただきたいと思いま す。 ○須賀委員  この制度、私どもも評価しているわけですが、現状の施行の中でどの程度の数が対象 になったのか、そしてそれを35歳に広げると、更にどういうふうな数の各層が対象にな ってくるのかという状況について、お尋ねしたいと思います。 ○若年者雇用対策室長  現行のトライアル雇用の実績について、ご説明したいと思います。昨平成15年度の実 績としまして、先ほど申しましたように、現状では30歳未満の方のみを対象としている わけですが、このトライアル雇用を終了した方が約3万2,000名です。先ほど8割と申 しましたが、その3万2,000名のうち、約2万6,000名が当該事業所での常用雇用に移行 したところです。ちなみに本年度については、まだ第1四半期までの実績しか出ていま せんが、この第1四半期の実績としまして、前年の平成15年度の第1四半期に比べて、 27%ほどの増加ということで、昨年度の3万2,000人というペースを更に上回っている ところです。  今回お諮りしています対象者として、追加予定をしております30歳代前半層について は、その求職者の実数ですとか、あるいは長期失業の実態などに鑑みまして、10月1日 施行予定以降半年間で、この30歳代前半の部分だけで、大体2,000人程度の利用を私ど も見込んでいます。 ○紀陸委員  このトライアル雇用の成果は私どもも評価していますが、2,000人という数字ですが、 基本的にはお金は三事業ですね。 ○若年者雇用対策室長  このトライアル雇用の対象者については、雇用保険の被保険者であった者、それから 例えば学卒未就職者など、就業経験が全くない者、両方の特性を持っている者が対象に なり得るということで、財源としましては、現在でも雇用勘定と一般会計両方により措 置していますが、その大宗は雇用勘定により措置しています。 ○紀陸委員  被保険者でない人たちを対象にするのに、何で雇用というのは三事業になるのです か。タイソウというのは話はわかりませんね。そこがよくわからない。タイソウという のはどういうことですか。 ○若年者雇用対策室長  先ほど申しました大宗というのは、予算の比率として、雇用勘定のほうが大宗を占め ているということですが、運用に当たっては就業の経験がある者に関しましてはその趣 旨を取りまして、雇用勘定により措置し、先ほど申しました学卒未就職者など、就業経 験のない方については一般財源により措置をしています。 ○紀陸委員  先行き、だんだん対象の方々が増えてくるかと思いますが、保険の財政のほうとして は大丈夫そうなのですか。見通しですね。 ○若年者雇用対策室長  年度中途で、こういった形で対象者の年齢層を拡大しようとしているわけですが、今 年度については既定の予算の枠の中でもともと対象にしていました30歳未満の方に、い わゆるしわよせが発生しないという見込みの下で、今回の措置を取らしていただいてい るところです。来年度以降については、若年者をめぐる非常に厳しい雇用環境の中で の、トライアル雇用の有用性などに鑑みまして、このトライアル雇用の枠自体につきま しても、一定の拡大を図っていくということで、概算要求については調整を図っている ところです。 ○紀陸委員  2,000人でどのくらいコストの増になるのですか。 ○若年者雇用対策室長  今年度の予算枠につきましては、試行雇用奨励金につきまして、5万1,000人の枠を 準備していますが、来年度につきましては、学卒未就職者の実態等に鑑みまして、6万 人を超えるトライアル雇用奨励金の枠の準備をするということで考えています。 ○諏訪分科会長  ちょっと紀陸委員の質問とはずれていたような感じはするのですが、その2,000人とい う人たちにかかるコストですね。 ○若年者雇用対策室長  2,000人の方々に関しましては、このトライアル雇用奨励金の支給額が1人1月5万 円です。通常はトライアル雇用の期間が3カ月ですから、今回の措置によりまして、実 際発生するコストとしては、私どもの見込みどおりだとするならば、2,000人に5万円 と3カ月を乗じた額が実際のこのトライアル雇用奨励金の総額です。 ○諏訪分科会長  よろしいですか。 ○紀陸委員  はい。 ○諏訪分科会長  ほかにご質問、ご意見をどうぞ。よろしいでしょうか。これは、今後とも非常に重要 な問題になっていくだろうと思われるのですが、今回はとりあえずこのような措置を取 るといことで、意見を求められているところです。そこで当分科会として、どのような 考えを述べるかということですが、この省令案要綱につきまして、これを妥当と認める ということにいたしたいと思います。いかがでしょうか。 ○須賀委員  それで結構だと思うのですが、私どもなりの認識、あるいはいま諏訪分科会長もおっ しゃいましたように、若年雇用の問題というのは、非常に重要な問題で、国の将来にか かわってくるほどの大きな課題だというふうに私どもは考えています。できれば改正に 対する意見については、先ほど会長がおっしゃったようなことでよろしいと思います が、是非そういう課題をはらんでいるので、政府としても、もっとしっかり総合的な対 策を打つようにという意見が述べられるのであれば、是非そのこともお伝えいただきた いと思います。 ○諏訪分科会長  それではただいまのようなご発言があったということを議事録に留めまして、それを 含めて本件について、これを妥当とするという方針にさせていただきたいと思います が、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○諏訪分科会長  ありがとうございました。それでは事務局に報告文の案を用意していただいてありま すので、これをご配付いただきたいと思います。               (報告文(案)配付) ○諏訪分科会長  ただいま、お手元に配付されているとおりですが、このようなことでよろしいでしょ うか。                  (異議なし) ○諏訪分科会長  ありがとうございました。当分科会といたしましては、このお手元の案を妥当と認 め、労働政策審議会会長に報告申し上げたいと思います。最後になりますが、「その他 」の議題の2点目です。当分科会運営規程の改正です。事務局からご説明をお願いいた します。 ○需給調整事業課長  資料No.5をご覧ください。内容的にはその趣旨にもありますように、先般の法律改 正で、平成16年3月1日から地方公共団体が無料職業紹介事業を行うということになり ました。いま分科会に置かれています部会の名称が「民間労働力需給制度部会」という 名称をいただいているのですが、「民間」以外の者についても需給調整機関ということ で加わったことから、所要の改正をさせていたただきたいということです。改正の内容 につきましては、そこに書いており、資料の2枚目に新旧を付けていますが、分科会の 運営規程の第5条と別表に名称等がございますので、そちらの規程を改正し、部会の新 たな名称を「労働力需給制度部会」ということに改めると同時に、所掌事務についても 所要の整備をさせていただきたいという内容です。説明は以上です。 ○諏訪分科会長  ただいまのご報告につきまして、何かご質問、ご意見がありましたら、お願いいたし ます。部会長がいらっしゃいますが、よろしいでしょうか。 ○樋口委員  よろしいのではないでしょうか。ただそれが取れることによって、今までは別だった のですが、今度はハローワークとかどうなるのかなというのは、気になるところです。 ○諏訪分科会長  今の点はどういうふうになりますか。部会の取り扱う事項をどのように見直すのでし ょうか。 ○需給調整事業課長  私の課自身ではないのですが、資料の4頁に別表で全体の各部会の現行の所掌事務が ございまして、雇用保険部会、今般労働力需給制度部会という形にしていただいた事項 以外につきましては、大きな括りとして、いくつか書いてございますが、基本的には雇 用対策基本問題部会のほうで全体としての議論はしていただくということになろうかと 存じます。 ○諏訪分科会長  ということだそうです。 ○樋口委員  はい、ありがとうございました。 ○諏訪分科会長  では、当面はそのような管轄区分で進めさせていただくということになろうかと思い ますが、何かほかにご質問なり、ご意見ございますでしょうか。それでは特にご意見が ありませんようでしたら、ただいまの説明のとおり、当分科会運営規程を改正すること にいたしたいと存じます。よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○諏訪分科会長  ありがとうございました。ではそのように取り扱わせていただきます。では、その 他、ご質問、ご意見等がありますでしょうか。よろしいですか。特にございませんよう でしたら、本日の分科会を終了いたします。                 (署名委員の指名) 本日はお忙しいところご参集いただきまして、どうもありがとうございました。                       (照会窓口)                        厚生労働省職業安定局総務課総務係                        TEL :03-5253-1111(内線5711)