04/08/24 労働政策審議会 第8回議事録              第8回 労働政策審議会 議事録 1 日時  平成16年8月24日(火)16:00〜17:30 2 場所  厚生労働省 省議室 3 出席者 【委員】公益代表   西川会長、今田委員、齋藤(邦)委員、諏訪委員                  若菜委員、西村委員、樋口委員           労働者代表  岡本委員、小出委員、古賀委員、草野委員                  笹岡委員、林 委員、平澤委員、山口委員           使用者代表  安西委員、伊藤委員、岡部委員、齋藤(朝)委員                  佐々木委員、柴田委員、津田委員、矢野委員 4 議題  (1)「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」について       (2)平成17年度 労働政策の重点事項(案)について       (3)その他 5 配付資料 資料1 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(抜粋)        資料2 平成17年度 労働政策の重点事項(案)        資料3 個人情報の保護に関する施策の推進について        資料4 「仕事と生活の調和に関する検討会議」報告書のポイント        参考  労働政策審議会諮問・答申等一覧 6 議事 ○西川会長  ただいまから、第8回「労働政策審議会」を開催いたします。まず、戸苅事務次官か らご挨拶をいただきます。 ○戸苅事務次官  労働政策審議会の委員の先生方には、日ごろから労働行政の推進にご指導、ご協力を いただきまして、この場を借りて御礼申し上げます。また、本日はご多忙の中、審議会 にご出席いただきましてありがとうございました。  雇用情勢は、内需中心に景気の回復も見られ始めたということだろうと思います。個 人消費も、緩やかに増加しているということです。雇用情勢も、6月の完全失業率が 4.6%で、これは平成12年8月以来ですので、3年10カ月ぶりの低い水準ということで す。有効求人倍率は0.82倍で、平成5年4月以来11年2カ月ぶりの水準となり、総じて 雇用情勢改善が進み始めたということではないかと思っております。  ただ、中身を見ますと例えば24歳以下の失業率は9.2%、55歳以上の有効求人倍率は 0.28倍ということで、若年者・高齢者の雇用情勢はなお厳しいものがあります。特に若 年者については、フリーターは209万人といわれています。フリーターの場合は働こう という意欲があり、あるいは実際に働いている局面もあります。家に引きこもり、とい うことで全く働く意欲を失い、あるいは働く意欲が弱っている無業者が64万人いるとい う状況です。将来の日本の経済、あるいは産業活動を考えると、将来を担っていただく 若い人たちの雇用対策、あるいは意欲を高めるような総合的な対策が必要になってきて いるのではないかと思っております。  雇用情勢全体としては先ほど申し上げたような状況ですが、地域別のバラつきがかな り顕著になってきているということではないかと思っております。全体の有効求人倍率 は、6月で0.82倍、愛知県は1.40倍、青森県は0.33倍ということで、改善している所の 改善の幅は非常に顕著なのですけれども、相変わらず改善が見られない所も少なからず あるということで、こういった地域間のバラつきをどう解決していくのかということも 大きな課題になってきていると認識しております。  2006年をピークに、人口が減少し始めると見込んでおります。一方で平成15年の合計 特殊出生率は1.29ということです。少子高齢化にいかに対応していくかということと併 せて、少子高齢化が進む中で、社会を支える労働力をどのように確保していくのかとい う意味で、女性や高齢者の方々が安心して、あるいは納得して働けるような環境づくり も重要だろうと考えております。  雇用情勢、経済情勢全体にまだ厳しさが残る中で、大規模な産業災害が起き、あるい は長時間労働等で過労自殺をする人たちもなお見られるということです。雇用情勢は全 体に上向いていると申しましても、解決すべき課題は非常に多いわけです。我々として も、こういった課題の解決に向けて、来年度もさらに工夫をこらして政策を推進してま いりたいと考えております。  具体的には後でご説明申し上げますけれども、先生方には労働行政、労働政策の重要 課題については十分なご認識をいただき、貴重なご示唆、ご意見をいただければと思っ ております。今後ともよろしくご指導をお願い申し上げます。よろしくお願いいたしま す。 ○西川会長  議事に入る前に、新たに委員になられた方々の紹介をさせていただきます。公益代表 委員として、労働政策研究・研修機構統括研究員の今田委員です。 ○今田委員  今田です、どうぞよろしくお願いいたします。 ○西川会長  労働者代表委員として、全国電力関連産業労働組合総連合会長の笹岡委員です。 ○笹岡委員  笹岡です、よろしくお願いいたします。 ○西川会長  使用者代表委員として、オーデリック株式会社代表取締役社長の伊藤委員です。 ○伊藤委員  伊藤です。浅井さんの代わりに今回から出席させていただきます。よろしくお願いい たします。 ○西川会長  最後に、使用者代表委員として、全国中小企業団体中央会副会長の佐々木委員です。 ○佐々木委員  佐々木です、どうぞよろしくお願いいたします。 ○西川会長  以上のとおりです。どうぞよろしくお願いいたします。本日は労働政策審議会令第9 条の規定に基づいて本会議を開催し、議決を行うに足る委員のご出席をいただいている ことをご報告申し上げます。また、本日の審議会については、通例どおり公開とさせて いただきます。  議事に移ります。お手許の議事次第にあるように2件ありまして、第1は「経済財政 運営と構造改革に関する基本方針2004について」、第2は「平成17年度労働政策の重点 事項(案)」についてです。その他に報告案件が2件あります。第1、第2の議題につ いて、事務局から説明をお願いいたします。 ○東労働政策担当参事官  資料1「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」について、いわゆる「基本 方針2004」あるいは「骨太2004」と言われているもの。それから、資料2「平成17年度 労働政策の重点事項(案)」についてご説明いたします。  まず、資料1「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」ですが、平成16年6 月4日に閣議決定がなされております。これに基づき、厚生労働省としては、労働政策 の重点事項を来年度について取りまとめているところです。その取りまとめたものが資 料2です。  1頁ですが、「基本方針2004」では、「はじめに」「第1部」「第2部」「第3部」 の3部構成になっております。「はじめに」のところの表題は「日本経済の現状と構造 改革が目指すところ」となっております。「1.日本経済の現状と課題」ということ で、現状と課題について書いてあります。その中で、労働政策関係部分を抜き出したも のが2以下の「集中調整期間から重点強化期間へ」以下の部分です。  重点強化期間として平成17年度が位置づけられ、平成18年度が強化する期間と位置づ けられております。その中で課題として5つ掲げております。1番目は「「官から民へ 」、「国から地方」への徹底」ということです。2番目は「官の改革の強化」、3番目 は「「民の改革」の推進」、4番目は「「人間力」の抜本的強化」、5番目は「「持続 的な安全・安心」の確立」となっています。「はじめに」に記述されている「第四に 「人間力」の抜本的な強化に取り組む」ということを具体化したものが第1部以下の 「重点強化期間の主な改革」以下に書いてあります。  その中で、2の「官の改革の強化」ですが、厚生労働省関係において関連する部分と して、特別会計改革が指摘されております。昨年11月26日に、財政制度等審議会におい ていろいろ提起されているわけですが、改革案等を財政諮問会議に報告することとされ ております。いまのところの予定としては、来月10日に会議が行われると聞いておりま す。  次に、4として「「人間力」の抜本的強化」が謳われています。その中で、「人間力 強化のための戦略の検討」があげられ、昨年、厚生労働大臣、経済産業大臣、文部科学 大臣、経済財政政策担当大臣の4大臣において、「若者自立・挑戦戦略会議」が設置さ れ、昨年6月に「若者自立・挑戦プラン」を策定いたしました。それに基づき、平成16 年中においても、人間力強化のための戦略を検討していくことになっております。  その一環として、ミスマッチを縮小する政策に取り組むこととされております。その ほかに、フリーター・無業者対策、少子高齢化社会の到来等に対応するとともに、男女 共同参画社会の実現を目指し、性別・年齢にかかわらず、仕事と生活のバランスをとり つつ働くといった多様な働き方ができる環境の整備、障害者の雇用等についての指摘を 受けております。  (2)として、「利用者の立場に立った雇用関連事業の再編」ということで、職業紹 介事業について、官・民等を通じての効果的な運用、あるいはハローワークの中での効 率的・効果的な分野についての民間開放が謳われております。それから、雇用保険3事 業について指摘を受けております。  第2部は、「経済活性化に向けた重点施策」です。ここでは「1.地域再生」と「2 .雇用政策・人材育成施策の新たな展開」、「3.「新産業創造戦略」の推進、市場環 境の整備及び発展基盤の強化」の3つが謳われております。  まず「1.地域再生」の中で、(3)として「地域の基幹産業等の再生・強化」につ いて指摘を受けております。。次に「2.雇用政策・人材育成施策の新たな展開」とい うことでは、冒頭にも出てまいりましたが、「若者自立・挑戦プランの強化」を進めて いくということが言われており、3頁「フリーター・無業者に対する働く意欲の向上等 」を図るということで、事務次官の挨拶にもありましたが、意欲や能力を高めるための 総合的な対策を講じていくということです。  次に、(2)「地域主導の雇用政策」です。地域のいろいろな実情に応じるため提案 を受けた競争的・選択的仕組みを創設することになっております。  次に、(3)「労働移動の円滑化等」ということで3つ挙げています。1番目のハロ ーワークについてですが、長期失業者については民間委託しておりますが、その評価結 果を踏まえて、より効果的・効率的な就職支援となるようにその活用を拡大していくこ とが謳われております。2番目の有料職業紹介事業については、求職者からの手数料を 徴収できる範囲について検討する、3番目は、ハローワークあるいは雇用保険3事業に ついて、数値目標の明示を平成16年度から開始しているわけですが、それを踏まえた重 点化・効率化を一層推進することとなっております。  大きな項目の3「「新産業創造戦略」の推進、市場環境の整備及び発展基盤の強化」 です。「新産業創造戦略」の推進」ですが、産業人材の育成ということで、サービス産 業人材、あるいはIT人材等の産業人材を育成するために、いろいろな措置を講ずる、 ということが謳われております。  第3部として、「経済財政運営と平成17年度予算の在り方」という大きな括りとし て、基本的な考え方の中で謳われているのが「主要予算の改革」です。雇用について特 に謳われているのが、「政策効果や実績を検証し、雇用維持支援・雇入れ助成から労働 移動支援・ミスマッチ解消等に重点化するなど、メリハリのある見直しを行う」という ことが謳われております。  こういった基本方針2004の指摘を受け、平成17年度の労働政策を策定している途中引 き続き、資料2「平成17年度労働政策の重点事項(案)」についてご説明いたします。  大きな柱として、「若年者を中心とした人間力強化の推進」です。昨今の大きな課題 として、200万人のフリーター、あるいは60万人の無業者という数字がありますが、若 年者は社会を支える人材であり、こうした状況を放置すると、将来の我が国経済社会に 大きな影響を与えることになります。  そこで、「若者の人間力強化プロジェクトの推進」として、まず、日本全体で大きく 取り組むということで、各界いろいろな方々にご参集いただき、若者の人間力を高める ための国民運動の推進「国民会議(仮称)」を開催し、国民各層の意識の喚起を図るこ ととしております。  2の1つ目の○印ですが、社会生活、あるいは職業生活になかなか馴染めない方々が 多いということですから、その保護者等、あるいは自分から逃げているような若年者に 対し、合宿形式で行い、働く意欲の涵養であるとか、資格取得の講座等を設け、技能の 向上をやりながら、社会に積極的に参加できるようにということで、「若者自立塾」を 創設することを考えております。  3として、「学生生徒に対する職業意識形成支援、就職支援の強化」。4として「若 年者に対する就職支援、職場定着の促進」。ものづくりは日本の大きな財産ですので、 ものづくり立国の推進をを図っていきたいと考えております。  そのほかには◇印ですが、「若者自立・挑戦プランの推進」というのは、日本版デュ アルシステムということでやっていますが、それのさらなる拡充を行ってまいります。 また、企業ニーズ等に対応した職業能力開発の推進、キャリア形成支援のための条件整 備の推進等について取り組んでいく所存です。  第2の柱として、「雇用のミスマッチの縮小のための雇用対策の推進」です。雇用情 勢は若干厳しさが残っておりますけれども、改善はしております。しかしながら、若年 者、高年齢者、女性等についてはミスマッチが依然大きく、また、地域の雇用格差も依 然として残っているということです。こういったことに対し、地域主導の雇用対策、利 用者の立場に立った雇用関連事業に取り組んでいくことにしております。  1つ目の◇印ですが、「地域の雇用創造に取り組む市町村等に対する総合的な支援の 実施」ということで、地域が創意工夫を重ねた点について、国が支援をしていくという ような政策を推進することを考えております。2つ目の、「地域に密着した産業雇用の 再生・強化」では、建設業、林業、コミュニティ・ビジネス等具体的な対策もあります けれども、そこも地域等の関連で政策を展開していくということです。  次に、「民間や地方公共団体との共同・連携による効果的な職業紹介、情報提供の推 進」ということで、いろいろなツール、あるいは機会を通じて就職につなげるという政 策を行っていまいります。最後は、「求職者の個々の状況に的確に対応したハローワー クの就職支援の充実」を実施してまいります。  第3の柱は「次世代育成支援対策の更なる推進」です。平成15年の合計特殊出生率が 1.29ということで、今後社会を担う人をどうやって育てていくかということが大きな課 題です。その中で1番にある、地方公共団体と連携した政策を打っていこうということ です。本日の新聞にも一部出ておりましたが、教育訓練、就職支援措置等を講ずるよう な、あるいは、保育所との連携といった工夫をするような地方自治体について支援をし ていく。あるいは2、3、4、5にあるような対策を打っていくということです。  母子家庭等の対策についても、積極的に自立支援対策を推進してまいります。この分 野については、厚生部局との関連もありますので、その施策と相俟った効果的な少子化 対策を積極的に進めていくつもりです。  第4の柱は「安心・安全な職場づくりと公正かつ多様な働き方の実現」です。昨今、 大規模製造業における重大災害が多発しておりますし、あるいは過重労働による健康障 害や過労自殺等いろいろあります。少子化が進展していく中で、経済社会を今後さらに 発展させていくためにも、こういった課題を解決していくことが必要です。1、2、 3、4にありますように、重大災害の発生に対応するための安全対策の推進、過重労働 による健康障害防止対策、メンタルヘルス対策の推進等に取り組むこととしておりま す。  また、労働契約法制の在り方に関する検討、産業別最低賃金制度の在り方を含む最低 賃金制度全体の在り方の検討など、「適正な労働条件の確保」に取り組んでまいりま す。  さらに、生活と調和した働き方が選択できるような環境を整備していくということ で、パートタイム労働者と正社員との均衡処遇の推進、あるいはワークシェアリングの 普及促進等に努めてまいります。  最後の「公正な働き方の推進」にあるように、男女雇用機会均等政策研究会報告を踏 まえたその施策のさらなる推進や、個別労働紛争処理対策の推進等を進めてまいりたい と思っております。  第5の柱は、「高年齢者・障害者の雇用・就業支援の充実・強化等」です。まず高年 齢者の関係ですが、改正法が皆様のご尽力、ご理解、ご協力をいただきながら、先般の 通常国会で成立いたしました。継続雇用制度の対象となる労働者の基準の策定等につい て、労使協定が不調に終わったときには、就業規則により定められることとしたわけで す。その期間についても、中小企業については、大企業より2年長く、少なくとも5年 間とすることとし、併せて見直し規定を置くといった特例も設けたところです。  この改正法の趣旨の実現のためには難しい面があろうかと思いますが、各企業におい て総人件費を管理するという観点等にかんがみますと、賃金・人事処遇制度の見直しが 不可欠であると考えております。そこで、人事処遇制度の見直しなどをする支援を行っ てまいりたいと思っております。  障害者の関係では、「基本方針2004」でも謳われておりますが、障害者の自立・社会 参加のためには雇用、就業が重要な柱でです。特に、精神障害者について、有効求職者 数、あるいは就職者数共に増加しており、雇用率制度の適用について、いろいろな課題 はあるわけですけれども、それを早期に解決して実施する、ということが社会的に求め られております。  そこで、精神障害者については、現行の法定雇用率1.8%は変更せず、雇用している 場合には実雇用率に算定することとし、精神障害者を雇用している事業主の努力を評価 するための制度改正を行う、ということで法改正を検討しておりますので、今後よろし くお願いいたします。  第6の柱は、「国際社会への積極的な貢献」です。ILOやOECD等の国際機関を 通じた活動の推進、ASEAN諸国と開発途上国に対する国際協力を推進するととも に、FTA交渉といった対外経済交渉への対応に取り組んでいくこととしております。  以上簡単ではありますが、ご説明に代えさせていただきます。 ○西川会長  ただいまの説明について、ご質問、ご意見等がございましたらお願いたします。 ○小出委員  1つは、若者を中心とした「人間力」強化の推進ということで、これそのものについ ては非常に重要なテーマだと思います。ここに記載されている中で気になるのは、「フ リーター」と「無業者」を同じ扱いで考えていいのかという問題です。もともと「フリ ーター」という言葉が起こり始めたのは、バブル崩壊以降だと思います。バブル崩壊以 降の有効求人倍率は、確かに0.5%ぐらいまで落ちて、その間に企業は何をやったかと いうと、積極的にリストラを行い、失業者を増大させました。それが、今日においては 有効求人倍率も0.8倍とか失業率もある程度減ってきた、という経緯を示していると思 います。  この間、派遣労働者や請負などによって雇用の流動化が非常に起こってきています。 いまの私どもの現場の感覚でいくと、おそらく大手の企業の中で、例えば現場の人間は 要らないというときに、これは何に置き換えられるかというと、派遣や請負です。サー ビス・流通業辺りになると、完全にパートに置き換えられています。  新卒が、最初からパートを希望しているというようなことで、本当に就職するかとい ってもこれはないだろう。そうなってくると、これだけ雇用が流動化する中で、その雇 用の問題をきちんと整理していかないと、ただ単にいままでのような正規社員と、非典 型労働者という非正規社員を区分しておいて、それでまともな雇用といっても非常に難 しい問題になってきている。  逆に言えば、1つには企業はもうリストラも終わっているし、ある程度業績を回復し ているのだから、社会的責任としてもう一度雇用を自らが拡大するという原点に立たな ければいけない。こういうことを言うと経営側は、高卒を配置するような仕事はないの だと言う。ここに雇用のミスマッチが起こるから、それに対してどう対応するか、とい うふうに考えていかなければなりません。我々現場をあずかっている感覚からいくと、 そのために請負などがどんどん膨らんできているのです。  これも逆に見れば有効な労働力なのですが、フリーターというような形でしかないか らそこに入り込んでいることが多いのではないか。典型的なのは、サービス・流通業界 です。ここでは、社員をリストラして、最近はパートに置き換えるということが現実に 行われています。そういうものを野放しにしながら、どう対応するかと言っている。き れい事で教育をやりますなどと述べても、どうもずれているのではないかと思います。  ここで、フリーターそのものは勤労意欲のある者だけれども、たまたま就職できない ということでやっている集団だろうと思います。問題なのは無業者です。事務次官は64 万人と言われましたが、この無業者をどうするかという問題とはきちんと分けて整理し てもらいたい。これを十把一絡げにすると絶対におかしな方向になっていきます。いま の企業で、高卒を採用するような所はないというのが現状だと思います。この部分はき ちんと分けて整理してもらいたいということで問題提起いたします。 ○青木職業安定局長  フリーターと無業者の話ですが、全くおっしゃるとおりです。昨年、関係各省と一緒 にアクションを起こして「若者自立・挑戦プラン」をスタートさせました。これは、小 出委員がおっしゃったように、やる気のある人、簡単に言えばフリーターとか仕事に就 く意欲のある人です。  本日ご説明したのは、それに加えて無業者というか、ニートというか、そういう人た ちに焦点を当てたということです。これが、今年の若者対策の1つの大きな点でありま す。いかにやる気を出すか、というところからスタートしています。フリーターは、仕 事をしたいわけだから、ハローワークなどで相談などの対応ができるわけです。ところ が、そこまで行かない人をどうするかということでやっていきます。それには、国民一 人ひとりへの、大きい意味での啓発、社会的な認識を高めていただく必要があります。 また、そういった人に対応するための「ヤングジョブスポット」のように、とりあえず 仕事以前の話からスタートするということで、施策的にも分けました。そういった意味 で、新しい若者対策を厚生労働行政の中で打ち出したという気持があります。 ○齋藤(邦)委員  地域の雇用開発を考える場合に、非常に小さい所まで目を配り、それをすくい上げよ うという発想が1つ流れているような気がします。それはそれで非常に良いことだろう と思います。地域の実情にいちばん詳しい人たちが考えていることを、できるだけ大事 に取り上げていくべきだと思います。  もう1つは、地域といっていいか、国の雇用政策、能力開発政策の考え方の問題なの かもわかりませんが、いままで雇用対策というと全国一律、全国性質的な助成金制度や いろいろな制度を作っています。そういう発想ではなくて、地域ごとに細分化したよう な形の政策を考えてもいいのではないかと思うのです。  東京のような大都会では、どんな産業もあるし、どんな職種もあるし、自分がやろう と思えばいろいろな能力開発の場があるという所と、そういうものが全くないような所 とは自ずから違ってくる話だと思います。そのときに、東京でいくら最先端技術の能力 開発に助成金を出しても全く無駄だと思います。そんなものはなくても、当然やる話だ と思います。  そういうことではなくて、もっと違う単位で物事を考えるという発想を置くべきでは なかろうか。単純に言うとブロック別という話になってしまうのですが、ブロックとも 違うのだと思うのです。いまの時代に最も合った単位というのはそうではなくて、例え ば北東北3県、あるいは愛知の雇用情勢は非常に良いという話をされましたが、愛知、 岐阜、福井という縦のラインを1つの単位として考える。  東京も、東京と神奈川と一緒に考えてもいいのかもしれませんけれども、神奈川でも 東半分と西半分とは違うように、1つの都道府県の中でも違う見方をする。あるいは、 県を越えた単位でも物事を考えるという発想をしないと、資金の効率的な運用にもなら ないし、逆に言えば実際に地域の実情に合った形の対策にもならないのではないかと思 います。 ○青木職業安定局長  大賛成であります。政策は、そのようにいっているように思います。今回の目玉商品 は、先ほど事務次官の挨拶の中でも触れられておりましたが、地域のやる気にどう対応 していくかということです。従来、私たちの地域雇用対策はどうだったかというと、確 かに全国一律に見たり、都道府県で見たり、あるいは都道府県の中で有効求人倍率を、 安定所の管轄単位で区切ってみたりということで、ある意味ではお仕着せ型で、デスク プランみたいなことをやっていた部分もあります。自治体や知事から、こういう線引き では困るということを言われたりしております。  大きいグローバル産業に対してどうこうする、という時代ではないように思います。 今回の目玉は、ITがどうというようなことよりも、地域再生の中で各自治体からさま ざまな提案(例えばカブトムシの養殖をやって、地域の主婦や高齢者が働けるようにす る。建設業の多角化の一環として何かやるときに支援すべきではないか等)が出てきま したので、できるだけそういうことに応えていく。  そういうことでいえば、対象となる地域を仮に決めるとしても、それは我々が決める のではなくて意思が一致する範囲でやる。それを県全体でやるのなら県で結構でしょう し、県が複数跨がってやるのならそれも結構です。単独の自治体でも、複合的な自治体 でもやる。そういうものに、できるだけ弾力的に応えられるように、制度設計をしてい く必要があるのではないかということで、いま最後の詰めを行っているところです。 ○樋口委員  フリーターの問題というと、若者の問題という意識が我々には強いわけですが、最近 は30代のフリーターが非常に急増しているということで、フリーターも中年化がだいぶ 進んできています。これは、新たにフリーターになるというよりも、10代、20代でフリ ーターだった人が、なかなか正社員になれなくて、そのまま年齢が高まってきている。  よく、正社員と非正規社員の所得格差やいろいろな雇用条件の格差の問題が指摘され ています。同時に、社会の階層化といいますか、固定化がかなり進展してきています。 そういう問題に、雇用政策をどう対応させていくのかというところが重要な問題になっ てくると思います。  そうしたときに、労働政策審議会のいろいろな部会で、いろいろな法改正をやってま いりました。例えば雇用保険、派遣、労働基準の有期雇用についてなど、それぞれの部 会で一生懸命やってきたわけですが、その結果何が起こってきているか。OECDのエ ンプロイメントアウトルックでは、テンポラリーワーカーとレギュラーワーカー、日本 でいえば正社員と非正社員をそれぞれ別個に基準化して、そのレギュレーションが各国 でどう強いのかということ指摘しています。  これを見ると、日本は非常にバランスが崩れているという結果が出ています。非正社 員については、どんどん規制が緩和される一方で、正社員についてはほとんど手付かず の状態です。そうなってくると、それぞれの部会は一生懸命やっているのですが、それ に横串を刺していく、本来ならば本審の中でどこをどう変えていくのか、というバラン スの議論が起こってしかるべきかと思うのです。そういったところが、徐々に問われる ようになってきているのかという感じがします。  その結果が、いろいろなグローバル化の影響もあると思いますが、企業経営が成り立 つためにはコストの削減が至上命題でありますので、そこに手を付けようということに なれば、どうしても正社員を減らして、非正社員を増やしていく。ここのところ、そう いうバランスが崩れてきているのではないかと思います。  OECDの中で言っているのはOECDの立場ですから、あそこはレギュレーション を進めることによって、雇用機会を創り出すことが重要だということです。同時に、そ の進め方については注意をしていかないと、バランスを失ったような進め方をすると問 題が起こってくるのではないかという指摘がされているかと思います。日本でも、まさ にそういう状況になりつつあるのかということが危惧されます。  事務次官がおっしゃったように、今後の少子高齢化社会を考えれば、若者、女性、高 齢者の働きやすい環境を整えていく中で、格差の問題、固定化の問題をどう解消してい くかということも重要な問題になってきます。正社員の規制緩和をどうするか、という ところも問題になってくるのではないかと思います。できれば、横串を刺すような検討 をここでやっていただきたいと思います。 ○太田政策統括官  まさにご指摘のとおりです。経済なり産業構造が大きく変化する中で、価値観も多様 化しております。企業のニーズや働く者のニーズも多様化する中で、働き方が非常に大 きく変化してきています。正規と同時に、非正規が増えてきています。その中でも、パ ート、派遣、有期雇用のようにいろいろな形が出てきている状況があると思います。  おっしゃるとおり、そのバランスはどうなのかということで、縦割りではなくて総合 的に考えるべきではないかというのは、まさにご指摘のとおりだと思います。その中 で、働き方によって労働条件の不均衡が起きないように、どうやって整合性を考えてい くかというのは非常に重要なポイントではないかと思います。  これからは、人口減少の中で労働力人口も減少していくわけですから、高齢者、若 者、女性、障害者も含めて全員が意欲と能力のある限り働くという社会をつくっていく 必要があると思っています。総合的に見ていくべきではないかというのは、大変重要な 観点だと思っております。我々も、その点は問題意識を持って、しっかり勉強し、検討 が必要な場合にはご議論いただきたいと考えております。 ○林委員  4頁の、「安心・安全な職場づくりと公正かつ多様な働き方の実現」ということにか かわって発言させていただきます。事務次官の説明の中では、「納得して働ける環境」 という言葉があったと思います。その「納得」がいまはできないままに、自ら選ぶとい うよりも、選ばざるを得ない中で、多様化が進められてしまっていると思うのです。こ のタイトルにある「多様な働き方」というところだけが先行して、「公正かつ」と書い てある、「公正」という部分が、法律で必ずしも積極的に進めるという厚生労働省の姿 勢が強く見えてこない気がします。  若者のフリーターや無業者に対する対応としては、さまざまな取組みをするという提 起がありましたが、これらについては労使の利害関係がない、誰も困らない、という意 味では進めやすいわけです。しかし、ここでの「公正かつ多様な働き方」という「公正 」という問題を真正面から、国際労働基準をきちんと受け止めて、国内法を整備してい くことは、労使の利害関係があるために極めて進めにくい分野ではあります。  長い将来を見渡したときに、樋口委員からもあったように、正社員と非正社員のバラ ンスを欠いた状況がどんどん進められていく中では、◇印のところにあるような、環境 整備の中の、とりわけパート労働者の問題は、単に均衡処遇の推進ということで済ませ てはならないと思っております。パートと一般労働者の賃金格差というのは、50%以上 あるということですから、これは根拠のない格差であるし、これが温存され続けている わけです。こういうことについて、もっと積極的に法制度を変えていく必要があると思 います。  とりわけ去年の3月、ここの審議会の下にあります雇用均等分科会においては、その 建議の中で均等待遇確立の法制化の必要性については認められながら、その時期につい ては税や社会保障制度の見直しの動向を見ることになっています。それが、今回の年金 制度改革などを見てみますと、なかなか進みそうにもないという状況があります。これ は、年金改革の動向を見てというよりも、むしろ雇用の部分で均等待遇を積極的に、将 来にわたる不安を取り除き、混乱を生じさせないために、いま手を打つことが極めて重 要だと思っております。均等待遇原則を明らかにしたパート労働法の制定に、もっと積 極的になっていただきたいという思いがあります。  そのようなことをきちんと進めていくことが、公正な働き方の推進の中にある、いわ ゆる企業の社会的責任の1つとしても進めていくという姿勢が必要だと思います。そう いうことを進めていかないと、将来的に社会保障制度が、そこの枠に入らない人々をど んどん放置して、いま34%を超えた非典型の人たちの割合を、さらにどこまで増やして いってよしとするのか。枠外の人たちをいっぱいつくることになりはしないか、という 懸念を非常に強く持っています。この際、是非とも国際労働基準の、ILO100号や175 号を本気で日本の中に取り入れて、実効を確保していく覚悟が必要なのではないかと思 っております。これは使用者だけの問題ではなく、我々内部においても、極めて大きな 議論を呼ぶことではありますが、決断をしなければならないと思っております。 ○伍藤雇用均等・児童家庭局長  パート労働法の問題につきまして、ご意見がありましたので申し上げます。ご指摘の とおり、昨年審議会でいろいろご議論をいただきまして、いろいろあります問題の中で も、労使の隔たりが非常に大きな問題ですので、段階を踏んでいくことが妥当ではない かということで、現在、指針の改正をお願いして、これの普及に努めているところで す。  おおむね1年近くなりますが、各地で説明会であるとか、コンサルタントの派遣であ るとか、積極的にいま取り組んでいるところですので、これがどの程度浸透するか、時 期をみてよく把握をしたいと考えています。そういった上で、これは労働側の中にも大 変難しい問題があろうかと思いますが、こういった方策が我が国の風土に合っているの かどうか、少し幅広に検討をしていくべきことかなと考えています。 ○柴田委員  平成17年度の労働政策の重点事項の資料2の1頁に書いてあります、「学生生徒に対 する職業意識形成支援」の問題について質問や意見を申し上げたいのです。私は愛知県 の経営者協会の会長をやっていますし、愛知県の職業能力開発協会の会長もやっている わけですが、特に小中学校の時代に、職業意識を生徒に植え付けることは非常に重要な ことだと考えまして、現実にもう数年にわたり、各中学校に我々のメンバーの中から人 を選んで、学校に職業教育、ものづくりの尊さといった職業観を植え付けるための授業 を申し出て、実行をしているわけですが、問題点が2つあります。  1つは、中学校においては、職業の時間といいますか、ものづくりの時間というもの に対する配慮がほとんどない。これは進学率の問題もありまして、そういう需要がない ということで、非常に冷たい答えしかないものですから、我々から申し出をしても学校 で受け入られるケースが少ない。これは各県によって、例えば中学校を卒業して就労す るケースが多い県とそうではない県との差があるとは思いますが、こういう形で若年者 を中心とした人間力強化というテーマを、厚生労働省や文科省が労働政策の重点事項に 置かれることは、非常に私は大事なことだと思います。しかし現実には過去何年もやっ てみて、現実とこういう政策で紙に書かれたこととの乖離が、簡単に埋まらないのでは ないかという強い危惧を持つのですが、その辺についてご見解があればお話を聞きたい と思います。 ○青木職業安定局長  大変積極的なご活動をしていただいていることを、まず敬意を表したいと思います。 いま柴田委員が言われたような事態は現実に起きています。いま私どものやっている小 中学生向けの職業意識形成支援の授業は、具体的には第一線でハローワークと、その管 内にある中学校・高等学校と、需要があるかどうかということを話し合いながら、学校 単位で時間をつくっていただいてやっていく。つまり、どこかでオーソライズされた時 間ではないということが、まず多いようです。  したがってむしろ現場の校長先生だとか、ご担当の先生の理解度によって、実際の活 動もずいぶん制約を受けている。これは、おっしゃるとおりです。そのようなことも私 どもは意識をしまして、次官からも話させてもらいましたが、各大臣の会合であると か、さまざまなレベルでそういったものを訴えかけてまいりました。それでやっと文部 科学省も「キャリア教育」という言い方で、そういったことを本省レベルから各教委に 働きかける事態になってきましたが、なお一層そういった面についてお話を、各ハロー ワークの段階、労働局の段階でもできるようにしたいと思います。中卒で就職するから といって、いますぐキャリア教育なり職業意識啓発教育が要るわけではないわけで、そ このところは柴田委員が言われるとおりです。将来のために小学生・中学生のときから 意識を身につけることが大事なので、そういった面も含めて、より一層地域での活動、 あるいは本省での働きかけが必要だと思います。 ○柴田委員  いまの問題で、実は何度も提案をして、もちろん文科省にもそういうことを申し上げ ました。厚生労働省が私どもの経営者協会にそのような方針を出すということは、言っ てみれば地方に対する丸投げ方式に近いような形なのです。各地方の経営者協会や各地 域にある能開協に「よろしくお願いします」「そういう運動をしなさい」という通達は 来るわけです。  ところが現実には、いま申し上げたように、実際に活動を行っても障害が多すぎるの です。極端な場合ですと、各中学校に工作の先生はもういらない、職業の時間というの は教育していないという学校が多い。それぞれの県の教育委員会を通じて、民間レベル を含めて、我々が企業として国のために重要なことだという目的は一緒なのですが、そ の手段は非常に難しくて、いま言われるような形で、簡単にこの問題は克服されない。 そういったことを今までの経験からいくと強く感じます。その点について労働政策の重 点事項と書かれた以上は、ただ地方に通達を流すというやり方ではなくて、かなり綿密 な調査及び問題提起をご自分たちでおやりにならないと、この問題は大変重要であると 同時に、非常に難しいと思いますので、重ねて発言をさせていただきます。 ○上村職業能力開発局長  先ほど安定局長から話がありましたが、去年度・今年度と能開局で、文科省と一緒に なって「中高生仕事ふれあい事業」をやっていまして、たぶんそれで能開協会にも連絡 がいったのだと思います。平成15年度で言うと、中学86校、高等学校110校でし て、今年度もやっていただくことにしています。  例えば高校の先生が書かれた事例集の冊子を作ったのですが、それの巻頭言を東京都 の高等学校の校長先生が書かれました。これを見て、結構評価されているな、うまくい っている部分がかなりあるかなと思っていたところが正直な気持ですが、いま言われた ような話がありましたので、連絡を密にしたいと思います。  この事業では文科省も一緒になって、同じようなことをやっています。内容として は、短いところでは数日、経験者との語らいだとか、実際に工場に行くだとか、名工の ような人を呼んできて話を聞くということ。長いものでは数週間、それぞれ時間を作り 出してやっておられる所もかなりありまして、そういう意味では正直言ってうまくいっ ていたと思っていたので、改めて十分考えていきたいと思います。 ○伊藤委員  資料2の「平成17年度労働政策の重要事項(案)」の4頁で先ほど林委員が話されて いた、「多様な働き方を選択できる環境整備」の中で、事前に私どもは「仕事と生活の 調和に関する検討会議」の報告書をいただいて分析をいたしました。小出委員や樋口委 員のおっしゃる正社員・非正社員のバランスが悪いというお話の中で、火に油を注ぐよ うな形になるのですが、一応、商工会議所として、企業の90%を代表して、我々が今ま で申し上げていることを初めに申し上げさせていただきます。  その報告書によれば、労働時間の短縮政策の一環として、一般労働者、短時間労働者 を問わず週40時間以内においても、所定労働時間を超えて労働をする場合には、時間外 の割増賃金の支払いを義務化する、ということが提案されている。週40時間以内という のは、労働基準法の法定時間以内であり、時間外の手当の割増しには反対だという意見 を述べさせていただきます。  先ほどからパート社員とか正社員のバランスが悪くて、企業がもっと雇用を作り出せ と言われていますが、冷静に考えてみると、決して日本はいま状況が良くなったわけで はなく、我々多くの企業がこのような状況の中でも経営をし、生き伸びていられるの は、実は企業努力により、短時間労働者をうまく活用しているからです。では、何で雇 用を作り出せないのか。例えば世界の賃金格差がなかったら、こういうことは起きなく て、我々の努力がまだ足りないということで攻められる、これは当然です。世間一般に 皆さんも認知されていることは、隣の国の中国、もしくはその近隣の国から、本当に安 い物が大量に入ってきてしまう。  我々は企業経営者ですからずるい部分もあります。仮にこういうことによって労働コ ストが上昇するようなことがこのまま続くのであれば、労働を作り出さないで海外に出 ていってしまうよという、最悪な事態も頭に入れていただきたい。いま私たちが商売を しておりますと、本当にどうやって作るのだろうというもの(例えば皆さんがよく目に する100円ショップなどにあるもの)は、製造コストだけの理論では絶対にできないの です。けれどもあのような物が繁栄しているのを目の当たりにして、こういう部分に 我々は反対をしなければならないということを、申し上げさせていただきます。 ○矢野委員  まず若者の雇用の問題なのですが、無業者・フリーターが増えているといういまの状 況は、将来の日本の経済とか社会を考えたときに大変大きな問題になります。これを関 係各省、労使、教育機関がみんな集まって、どうしたらいいかということを考えていこ うとする取組みは大事なことだと思っております。それはそれとして、この重点施策と の関係での考え方を申し上げたいと思います。  若者の無業者・フリーターといっても、中身は実にさまざまですので、処方箋はそれ ぞれ、その中身に応じて書くべきだと思うのです。一律に200万人を、一律に300万人を というのではなくて中身を分類して、それに重要度といいますか緊急度を考慮して、答 えを出すという取組みが必要だろうと思っています。  そういう意味で例えば職業観を育成する意味で、産学協同の形でインターンシップが 行われたり、あるいはデュアルシステムなどの新しい方策がとられているのは、それは それでいいことだと思っています。特に我々がいちばん心配しなくてはならないのはど ういう層であるかというと、仕事に就きたいのだけれども、いま適切な職場がない層、 または自分自身の能力とのミスマッチというのもあるかもしれない。意欲を持っている 若者をまず最初に救うべきだろうと思うのです。いつまでも親のすねかじりをすると言 われているフリーター、これも実は長い将来を考えると大問題なのです。それよりもも っと切実な層、これをどう捉えるかということが大事だと思いますので、その辺につい てこの重点施策を実施する上で、一層検討を深めてほしいと思います。  高齢者の問題ですが、これから高齢化社会がどんどん進んでいくわけでして、社会全 体として高齢者パワーを、いかに活用するかが大事だと思っています。雇用の継続の法 制化が今度決まったわけですが、私は個人差の大きい世代にとっては、その一部に過ぎ ないと思っています。例えばもっとボランティアをしたい、学校教育に参画する、中に は自分が今まで勤めていた会社はいいからほかで働きたい、途上国の援助をしたい、N POなどいろいろな考え方がこの世代にはあるのだろうと思います。是非そのための環 境整備をしっかりしていく必要があると思います。これが国の政策としての大事な役割 ではないか。厚生労働省だけでできないことが多いと思いますが、検討をしていく必要 があると思います。  この重点施策の中には入っていない雇用問題として、外国人労働の問題があると私は 思っています。これはいますぐということではないのですが、中長期的にこの問題を捉 えて、問題を整理し、処方箋を作っていくことが必要だと思います。  たまたまFTA交渉の関係でフィリピンの看護師を、どうしようかということが話題 になっていますが、足元では不法就労者がどんどん増えている、という現状をどう見る かです。これは建て前と実態との間に、もう大きなギャップが生まれているということ だと思うのです。そろそろいまの制度自体が限界にきているのではないかと思うわけで す。これには関係省庁が力を合わせていただきたい。日本経団連として提言書を春に出 しましたが、いろいろな形でこれは国民的課題として、中長期課題として取り組んでい く必要があるだろうと思っています。  最後に、先ほど樋口委員が言われた「労働政策全体を横断的に見る視点」について は、私も賛成です。この労働政策審議会がそういう役割を負う、重要な場でもあろうと いう認識は私ももっています。 ○戸苅事務次官  若年者対策について、今回どうしてこういったことに取り組もうとしたのかについて 話したいと思います。実は我々も今まで若年対策というのは、主として雇用保険を財源 にしてやってきたというわけがあって、雇用保険に入っていた若者を対象にしようとい うのが1つあった。もう1つは貴重な財源を使うのに、そう働く意欲のない若者を対象 にするほど余裕はないということで、意欲はあるけれども、なかなか就職できない若者 を対象にしようということで、ここ数年若年者対策にもかなり力を入れてきたわけで す。  そのために例えば就職が困難な者を、企業が試行的に3カ月雇っていただく試行雇用 をやってみました。やってみましたら、取りあえず3カ月の試みの期間で雇用された人 の7、8割が常用就職というか、そのまま正雇用に結び付いたということで、それなり に効果があったと思います。  今年からは経産省、文科省と一緒に、「若者自立・挑戦プラン」を始めました。ここ で民間のノウハウも入れながら、ワンストップサービスセンターを作って、やる気があ っても、なかなか思うような仕事に就けない、あるいは全く仕事に就けないといった若 者に対する支援をいろいろな形で、各省、民間がいろいろな知恵を出し合って、支援し ていこうということで取り組んできたわけです。  ところがその間、どういうことが起きていたかというと、フリーターがどんどん増え てきている。フリーターの中でもやる気のあるフリーター以外に、無目的にとにかく正 規の雇用、常用雇用には踏ん切りが付かない。働いてはアルバイトをし、働いてはアル バイトをして、親のすねをかじりながらと、こういった形のフリーターの割合が増えて きている。  もう1つは無業者が増えているのです。先ほど樋口委員が言われるように、無業者と フリーターを年代別にとってみますと、30代の無業者がかなり増えてきている。これは どういうことかというと、10年前、20代で無業者であった人たちが、10年後の今まだ30 代で無業者になっている、といったことだろうということに、我々は思い至ったわけで す。  2007年から労働力人口が減少傾向に入るという中で、そういった無業者あるいは意欲 の低いフリーターといった人たちを、そのまま放置しておくことは本当に大丈夫なの か。いまヨーロッパの失業率は10%ぐらいになっていますが、いま日本の失業率はまだ 4%ぐらいです。若い人たちだけの失業率は9%台なわけです。失業率9%台の人たち が中高年になったときに、いまの中高年のように3%台の失業率まで戻るのだろうかと いう不安が我々にはあります。その辺りを考えて10年先、15年先、20年先の対策になる のかもしれませんが、ここは思いきって一般会計を財源にして、意欲の乏しい若年者へ の対策をとってみようと思ったわけです。  このようにヨーロッパの例を見てもやっていますし、アメリカの場合も見ています。 アメリカでは、どちらかというとエスニックなどの子どもたちが、そのまま放っておく と非行に走ったり犯罪に走ったりということになるため、親と切り離して全寮制のよう な格好で、とにかく労働に親しませて、技能を身に付けさせ、資格を取らせて自立させ るということを、社会政策的労働政策でやっているのです。それを日本もそろそろやっ たほうがいいのではないかということで、今回取り組んでみようと思ったわけです。  そういった意味で、先ほど来いろいろご意見が出ていますが、意欲のある若者でフリ ーターの中でも目的を持っているフリーターと、意欲の乏しい、あるいは意欲のないフ リーターなり無業者をうまく区分けして、きめ細かな対策をとっていくということで、 今回考えてみたわけです。問題は一般会計予算要求です。この厳しい財政下、どこまで 取れるかということですが、労使のそれぞれの代表で委員の方々が来られていますの で、是非ご支援をお願いしたいと思います。  特に国民運動については、先ほど説明している者が啓発だと言っていましたが、私は 啓発だとは思っていないのです。これは労使、教育界全部を含めて、官民挙げて取り組 むという運動でやったらどうかという発想で考えています。この国民運動の予算が取れ たときには、またそれぞれ労使の団体、あるいは学者の先生方にもお願いに行こうと思 っていますので、その際にはよろしくお願いいたします。  あとは、本日いろいろご意見をいただきましたので、これについて会長、公益委員の 先生方ともご相談をしながら、この審議会をどう進めていくのかについて、また考えさ せていただきます。 ○林委員  2点申し上げます。1つ目は学生たちの体験の問題で、柴田委員から学校側が、なか なか受け止めてくれないという実情をお聞きしましたが、上村局長が言われたように私 もうまくいっている例を体験していたものですから、大変意外な気がしました。そこは もう少し連携がいるのと同時に、労働組合がそういうことに協力をすることも必要だと 思います。中学生が体験的な学習をするために、受け入れてもらえるほど大きな所がな いので、学校現場は苦労しているようです。そのとき、労働組合の協力があったという 事例があったものですから、その辺りの情報交換もいるかなと思います。大学のインタ ーンシップ制度についても、我々の所に大学からどこか紹介して、受け入れてほしいの だと。大変手間のかかる仕事なので難しいけれども、経営者協会の協力などを得て紹介 をしたケースもあったりして、情報交換の必要性を組合としても感じたところです。  2点目は格差と固定化の問題が樋口委員からございましたが、その問題について厚生 労働省の雇用均等・児童家庭局が、大変な努力をしていただいていることは、十分承知 をしているわけです。ただ、格差と固定化が進んでいくスピードと、法整備へのスピー ドとがあまりにも違いすぎるという問題があります。その辺りは雇用均等・児童家庭局 という問題よりも、全体としてここに公労使が集まったものとして、お互いにそのスピ ードでいいのかということも検討に値する、是非考慮していただきたいと思います。 ○岡本委員  労働政策の重点事項の中のメンタルヘルスの推進について一言申し上げたいのです。 冒頭の事務次官のお話にもありましたように、過重労働による労災申請が増加傾向にあ って、特に中高年を中心にした自殺者が増加している傾向にあると思います。そういっ た中でメンタルヘルスの積極的な対策を行うことと、自殺予防を積極的に行うことは、 大変必要なことだと思っています。  1つ提言をさせていただきたいのは、いまは企業のメンタルヘルスについて、あるい は、いわゆる「心の病」を抱えた後のケアについては、かなり議論がされていると思う のですが、まだ心の健康を保つ職場環境についての議論ができていないのではないかと 思います。そううつ病になる原因の1つには、職場によるいじめがあるということはよ く聞くことです。パワーハラスメントについて、いまのところ定義が確立はしていない のですが、是非、厚生労働省としてその課題について取り組んで研究をしていただきた いと思います。セクシュアルハラスメントについては定義が確立して、法改正があり指 針が出たことによって、職場での対策はだいぶ進んだと思っています。しかしパワーハ ラスメントの定義を作るのは、セクハラ以上に難しいことだろうと思います。推進とい うことで書かれていますが、この研究についても是非検討をしていただきたいと思いま す。 ○草野委員  時間がないようですからやり取りはやめて、要請だけしておきたいと思います。3つ ありますが、1つは地域の雇用問題です。先ほど次官や青木局長から、地域から自主的 に、あるいは独創的にもってきたものに対応していきたい、というお話がありました。 いまの緊急雇用創出の特別交付金の事業との関係をどう整理していくのかが、非常に大 事なポイントだろうと思います。  一部、マスコミ等では、緊急雇用特別交付金については、何かバラまきだとかいう批 判があるやに聞いていますが、私どもの地方からは、非常に効果的に活用されていると いう意見が大変強いわけです。冒頭の次官のご挨拶にもありましたように、景気回復に よって雇用情勢が良くなっている所もありますが、依然としてまだ大変厳しい情勢の所 もありますので、地域の雇用問題については、今回の重点政策の中でも、きっちりと対 応していただくように是非お願いしたいというのが1点目です。  2点目は、樋口委員からありまして、矢野委員も賛成されましたが、この労政審の中 で基本的な分野について、あるいは各分科会・部会に跨がる問題について議論をしてい こうということについては、私どもも賛成です。樋口委員が言われた非典型と典型労働 者の間のレギュレーションがどうかという問題については、ひょっとすると、意見の違 いがあるのかもしれませんが、基本的には議論をしていくということについては、私ど もは賛成なので、是非この労政審を活用していただきたいというのが2点目です。  3点目は、製造業への派遣が解禁になっていますが、請負と派遣との関係がこれから どうなっていくか、私どもも少しウォッチをしていきたいと思っています。いま製造業 で直接ではありませんが、偽装請負という現象がかなりの所で散見される。このことが 製造業の派遣との絡みで浮き彫りになってくる可能性もあるので、私どももチェックは しますが、厚生労働省としてもしっかり対応していただいて、できれば定期的に意見交 換をさせていただく機会をもってもらいたいと思います。 ○西川会長  あと2つ報告案件があります。1つは「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを 確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針について」です。参事官から説明を お願いします。 ○東労働政策担当参事官  資料3です。「個人情報の保護に関する施策の推進について」です。具体的に申しま すと冒頭にあります「個人情報の保護に関する法律」、これが平成15年5月30日に施行 されていますが、本格的には平成17年4月1日より全面施行となっています。その中 で、厚生労働大臣としまして、「国の施策」の第8条により雇用管理情報について指針 を策定することになっていまして、それを策定しましたということの報告です。  3頁以下にその指針の中身、7頁以下に法律の条文そのものがありますので、簡単に 説明いたします。  第一条の「目的」ですが、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護す ることがこの法律の目的であると謳っています。第二条で「定義」を書いています。ま ず「個人情報」とはということで、これは生存する個人に関する情報であるため、原則 として死亡者にはかからないということです。ただし死亡者についても、相続等の関係 において、何らかの情報が出ると生存する個人の方の特定ができる場合では、それが該 当するという整理になっているやに聞いています。  第2条第3項に「個人情報取扱事業者」という概念があります。「個人情報データベ ース等を事業の用に供している者をいう」ということで、そこに国、地方公共団体、地 方独立行政法人など例外規定はありますが、基本的には個人情報データベースを使って いれば、事業の用に供しているので、普通の企業の方々もその情報自体を商売としてい なくても、かかってくるということです。  第3項の五号の取扱いは、「個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害 するおそれが少ないものとして政令で定める者」というのは、過去5カ月以内に5,000 人分の情報がない個人あるいは法人等の団体等のことで、これについては除外しますと いう規定になっています。別途報道機関ですが、著述をやる方、あるいは大学等の研究 機関、宗教団体、政治団体については、基本的にはこの法律を除外することになってい ます。  こういうような「個人情報取扱事業者」の中に、普通の企業も入るため、厚生労働大 臣が指針を定めろということで、定めたものが3頁以下です。「趣旨」は外し、「用語 の定義」からです。事業者については、先ほど申し上げたように、過去6カ月間で 5,000人分の情報を持っている方です。ただ、第四(6頁)にありますが、5,000人未満 の方であっても、この指針をできるだけ遵守して、その適正な取扱いができるように努 力してくださいということを謳っています。これが指針の中身です。  第三以下に「事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図る指針となるべき事項 」として、利用目的の特定に関する事項であるとか、あるいは本人に関する事項。4頁 で安全管理措置、あるいはその従業者の監督に関する事項。四で、委託先の監督に関す る事項。5頁の五の、第三者に提供することは本人の同意がなければ、原則としてでき ないということ。六として、保有する個人データの開示に関する事項等について規定し ています。  6頁の九については、労働組合の関与が書いてありますが、ビデオとかオンラインに よって、モニタリングをやる形で情報収集を行っているという例も見られます。そうい ったケースについては、労働組合等と事前に、そういう形がいいのかどうかを協議して ください、あるいは個人情報について開示を求められた際においても、その開示をする ことによって、事業全体が差し障りが生ずるというものを、範囲を定める際には労働組 合と基本的に協議をしてくださいという規定になっています。以上、簡単ですが、説明 です。 ○西川会長  これに関しましてご質問はいかがですか。ご意見がありましたら後でも伺うことにし て、もう1つの議題、「仕事と生活の調和に関する検討会議」の報告書について、事務 局から報告をいただきます。 ○松井勤労者生活部長  「仕事と生活の調和に関する検討会議」の報告書についての説明をさせていただきま す。この検討会議は昨年の10月に8名の学識経験者の方にお集まりいただき、諏訪先生 を座長といたしまして、13回にわたる議論の結果を取りまとめたものです。詳しくはお 手元に関係資料も含めて配付しておりますので、ご覧いただければと思います。  今日ここで報告させていただきますのは、検討会議の最終回(13回目)、まとめの会 議の場で、出席された複数の委員の方からの提言という形で、最後のアドバイスをいた だきまして、それを踏まえてということになっています。即ちこの報告書では、1つ は、今後幅広い議論を喚起するための種が仕込まれているというものであるし、関係審 議会等でしっかり議論されるように期待するというご提言がありました。また、この報 告書を契機に今後、労使さらには国民の間で働き方についての議論が深まることを期待 する。他省庁の所管にわたる点も含めて、突っ込んだ議論がなされるよう、こうした成 果は大切にしてほしいということがありまして、事務局に対し報告書を広く関係者の 方々に周知するようにという提言を受けていますので、この場で紹介をさせていただく ことにいたします。  資料4にこの報告書の概要がありますので、これについて説明させていただきます。 この議論の背景は、総論にあるように、人材を基盤とする我が国の中で、持続的成長を 可能にする経済社会を実現するためには、意欲、能力が発揮でき、人材育成が必要だと いう認識の下に、そういったことを実現する1つの手段として、仕事活動と仕事以外の 活動の調和を図るということで、問題を考えたらどうかという提案です。  その中で、特にそういったことができれば、働く方々が、仕事時間と生活時間を納得 のいく形で組み合わせると同時に、処遇についても均衡が取れるといった効果もあるの ではないかということで、持続的成長、あるいは次世代育成支援に資するという基本的 視点です。  各論には、いま申し上げたことを実現するために、(1)労働時間について、(2) 就業場所について、(3)所得の確保について、(4)均衡処遇について、(5)キャ リア形成・展開についてといった論点を掲げて、それぞれ所定労働時間の抑制、年次有 給休暇の取得促進、労働時間規制にとらわれない働き方。次の就業場所については、在 宅就労を例えば育児・介護の事例を中心に、もう少し拡充、あるいは複数就業をするこ とを前提とした社会保障制度の中立性確保。所得の確保については、労働条件の変更時 にも、賃金に関する情報をしっかり提示する。  最低賃金制度については、労働時間の短い方にも適用とか、時間表示ということで一 本化。さらに均衡処遇については、均衡処遇の実現に向けた取組みを行うことで、法令 上、明確にしていくという方針というか考え方も出すし、さらに年金の適用を検討する 際の均衡処遇の実現が急務といった提言です。  さらには、それらをベースにすべきといいますか、こういったことが実現するために もキャリア形成・展開が極めて重要である。即ち生涯学習の必要性が高まる中で、職業 キャリア権というものまでも想定しながら、今後の労働政策の基本軸を考えるといった 提言です。  結語として、我々が目指す社会を一言で言えば、「懐の深い社会の実現」という表現 にし、関係者の各取組みを列記しております。最後、特に政府としては、この調和の実 現に向けた環境整備に早急に着手するようにといった提言をいただきました上は、最終 報告の中で提言のあったことを着実にこなす中で、その実現に向けて取組みをしていき たいと考えております。 ○西川会長  大変分厚い報告書ですが、拝見していないのですが、以上のコンパクトな説明をして いただきましたが、何か是非聞いておきたいというご意見等がありましたら、出して下 さい。いかがでしょうか。 ○今田委員  国民的に大変重要な争点について、学識者のご努力で大変立派な報告書といいます か、幅広い国民生活全般にかかわる枠組みというものが提示され、なおかつ個々の具体 的な労働政策、労働時間、働き方、均衡、そうした個々の課題にもブレークダウンした 提言がなされて、画期的な報告書である。厚生労働行政として、こうしたものが打ち出 されたということを大変高く評価しますし、今後の方向として、こうしたものが基礎づ けられるならば、大変心強いと感じました。是非、個々の政策においても、これは非常 に幅の広いテーマなので、各労働の分科会その他で、各々のテーマをより深く議論され て、制度の改革など、いろいろな提言が具体的なレベルで実現されることを願います。 私自身もそのための基礎的な作業などにも取り組みたいと思っていますし、労働行政と しても力強く推進していただければと思いまして、あえて発言させていただきました。 ○西川会長  ほぼ時間になりました。ただ、会長として初めの議題の2つに関して、皆様から出た ご議論は、今までにないというと語弊があるかもしれませんが、比較的両側からいいご 意見が出て、ギャップももちろんあるわけですが、当審議会としてはかなり実のある議 論ができたように思います。暑い中皆さんにご協力をいただきまして会長としてはあり がたく思いました。  議事録については当審議会の運営規定第6条により、会長のほか2人の委員に署名を いただくことになっています。小出委員と齋藤委員に署名委員になっていただきたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。これをもって本日の会議を終了させていた だきます。どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省 労働政策担当参事官室 総務係     TEL03−5253−1111(内線7717)