04/08/17 平成16年8月17日薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会     乳肉水産食品部会 議事録       薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録 ○日時 :平成16年8月17日(火)10:00〜12:00 ○場所 :厚生労働省専用第15会議室 ○出席者:   委員  熊谷委員(部会長)、有馬委員、小川委員、品川委員、鈴木委員、       高鳥委員、成田委員、西尾委員、伏谷委員、山本委員   参考人  (財)水産物市場改善協会おさかな普及センター資料館 坂本(一)館長、         国立水俣病総合研究センター疫学研究部調査室 坂本(峰)室長、        (独)食品総合研究所機能生理研究室 鈴木室長、        (独)国立健康・栄養研究所 吉池研究企画評価主幹   関係省庁 水産庁増殖推進部漁場資源課小松課長   事務局  松本大臣官房参事官、中垣基準審査課長、宇津課長補佐、        宮川課長補佐、近藤専門官 ○議題:  (1)魚介類等に含まれるメチル水銀に関する安全確保について  (2)その他 ○事務局  それでは、少し定刻より早いですけれども、ただいまから「薬事・食品衛生審議会  食品衛生分科会 乳肉水産食品部会」を開催したいと思います。  本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。  開会に当たりまして、大臣官房参事官の松本より、御挨拶を申し上げます。 ○松本参事官  皆さん、おはようございます。7月23日付で大臣官房参事官医薬食品担 当を拝命いたしました、松本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会の開催に当たりまして、一言 御挨拶申し上げます。  先生方におかれましては、日ごろより食品衛生行政の推進につきまして、種々御協力 いただいておりますことにつきまして、厚く御礼申し上げます。また、大変残暑厳しい 中での部会の御出席、誠にありがとうございます。  魚介類等に含まれますメチル水銀に関する安全確保につきましては、昨年6月に妊婦 の方々等を対象とした水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項を公表したとこ ろであります。その後、FAO、WHOの合同食品添加物専門家会議におきまして、耐 容摂取量の再評価が行われたこと。また、平成15年度に実施されました魚介類中の水銀 調査結果などについてもとりまとめられたことなどから、今般、昨年公表いたしました 注意事項の見直しに当たり、御審議を始めていただくものでございます。  本件につきましては、去る7月23日付で食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼し ておりますので、今後、同委員会より通知される評価結果を踏まえまして、最終的な結 論を得るものと考えておりますが、当部会におきましても並行して御検討いただきたい と考えております。各委員におかれましては、忌憚のない御意見、御提言をいただけれ ばと思っております。  簡単でごさいますけれども、開会に当たりまして、御挨拶申し上げます。どうぞよろ しくお願い申し上げます。 ○事務局  昨年の7月に食品安全委員会が設置されましたことによりまして、薬事・食品衛生審 議会の各部会のメンバーの見直しが行われたところであります。本日がこの部会の初め ての会合でございますので、委員及び事務局について、御紹介を申し上げたいと思いま す。  委員の名簿は、お手元にございます冊子の1ページをめくっていただきますと、議事 次第ですが、その次に部会名簿が示されております。事務局の側から見て左側から順に 委員を御紹介申し上げます。  水産総合研究センターの有馬委員でございます。  日本食品分析センターの小川委員でいらっしゃいます。  岩手大学の品川委員でいらっしゃいます。  女子栄養大学の鈴木委員でいらっしゃいます。  国立医薬品食品衛生研究所の高鳥委員でございます。  日本大学の成田委員でございます。  東京大学の熊谷委員でいらっしゃいます。なお、熊谷先生は当部会の部会長でいらっ しゃいます。  国立感染症研究所の西尾委員でいらっしゃいます。  東京大学の伏谷委員でいらっしゃいます。  国立医薬品食品衛生研究所の山本委員でいらっしゃいます。  本日は、このほかに部会のメンバーとしていらっしゃいます、全国消費者団体連絡会 の神田委員、東京海洋大学の塩見委員、東京大学の清水委員から欠席との御連絡をいた だいております。したがいまして、乳肉水産部会の委員13名中10名に御出席をいただい ております。したがいまして、部会の委員総数の過半数に達しておりますので、本日の 部会が成立しておりますことを御報告いたします。  なお、本日は参考人といたしまして、(財)水産物市場改善協会の坂本(一)先生。  国立水俣病総合研究センターの坂本(峰)先生。  (独)食品総合研究所の鈴木先生。  (独)国立健康・栄養研究所の吉池先生にも、御出席をいただいております。  また、関係省庁といたしまして、水産庁増殖推進部漁場資源課の小松課長にも出席を いただいております。  最後に、私ども事務局でございますが、先ほど御挨拶を申し上げました、松本参事官 のほか、基準審査課長の中垣でございます。  基準審査課の課長補佐の宇津でございます。  私の隣が、基準審査課の専門官の近藤でございます。  私は、基準審査課の課長補佐の宮川でございます。どうぞよろしくお願いいたしま す。  それでは、熊谷部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議をよ ろしくお願いいたします。 ○熊谷部会長  それでは、議事に入らせていただきたいと思います。初めに事務局の方から配布資料 の確認をお願いします。 ○事務局  お手元にございます資料は冊子になっておりますこの白い冊子が1つと、クリップど めになっております資料が1つになります。  本日お配りをいたしました、参考資料として、右肩のところに水産庁の漁場資源課と 書かれている8月17日のものがございます。これを参考資料2として追加をさせていた だきたいと思います。  クリップどめの中の方の資料を番号だけ確認をさせていただきますと、右肩の番号 が、資料2−1(仮訳)と書かれているもの。  その次が、資料5−1。  資料5−2。  資料6。  資料7−1。  資料7−2。  参考資料1でございます。  以上が、本日の配布資料でございます。 ○中垣基準審査課長  配布資料の中身について、簡単に御説明させていただきたいと思います。とじられて おります白い冊子の1枚めくっていただいて、3ページ目に配布資料の一覧がございま すので、これをごらんいただきたいと存じます。  まず、資料No.1として、1−1から1−4まで4つの資料がございますけれど も、これは昨年検討していただいた審議会においてまとめられた資料の一覧、及びその 際に発出しましたQ&Aでございますとか、そういう昨年の資料をとりまとめたもので ございます。  次に、資料No.2として、各国の摂食の注意事項をまとめております。2−1がF AO、WHOの専門家会議の概要でございます。昨年の6月に開催されておりますけれ ども、いまだ詳細なレポートというのは公表されておりません。事務局でございますW HOに聞きますと、印刷中という返事をこの3月から聞いておるわけでございますが、 いまだに印刷ができたという返事は承っておりませんので、昨年の6月に発表されまし た概要を2−1として挙げております。  資料2−2が、各国におきます注意事項の対照表の一覧でございまして、その中には 2−2−1からアメリカ、イギリス、カナダ、アイルランド、オーストラリア、ニュー ジーランド、ノルウェー、デンマーク、EUという地域、国々の注意事項をまとめてお ります。 資料No.3が、食品安全委員会との関係でございます。既に御承知かと思 いますが、昨年の7月に食品安全委員会が発足いたしまして、リスク評価は食品安全委 員会の業務ということになっております。この場合で申し上げますと、耐容量を我が国 としてどうするのかというのは、食品安全委員会の御検討ということになりますので、 食品安全委員会に7月23日に評価をお願いしたところでございます。 また、食品安全 委員会には、ハイリスクグループはどういうグループなのか、すなわち影響が最も受け やすいと申しますか、懸念される方々というのはどういう人たちなのかというのを併せ て議論いただくようお願いをしております。と申しますのも、妊婦が対象となるという のは、そうだろうというふうに考えるわけでございますが、各国の注意事項を見てみま すと、また後で御議論願いますけれども、対象のグループというのが若干異なっており まして、我が国としてどうあるべきなのかというのは科学的な観点から食品安全委員会 に御議論賜りたいと思っております。  次の、資料No.4でございますけれども、これが厚生労働省、水産庁、地方自治 体、あるいは諸外国で公表されております、魚介類等における水銀の含有量のデータを とりまとめたものでございます。  次に、資料No.5でございますけれども、No.5は摂食量でございまして、国民 栄養調査を特別に集計をし、国内の我が国の方々がどれぐらい魚を食べているのかとい うデータをまとめたものでございます。  資料No.6、これが今日の一番のディスカッションになるのかなというふうに考え ておりますけれども、水銀の含有量と摂食量をかけ合わせて、水銀としての摂取量を試 算をし、幾つかの仮定を置いて、耐容量と比較をするような暴露評価を試みたものでご ざいます。  資料No.7でございますけれども、その他となっておりまして、7−1と7−2に 分かれておりますけれども、本日提出した資料というのも、かなり膨大なものでござい ますから、その概要をまとめてみたのが資料7−1でございまして、その理解を図って いただくために用意したQ&Aが資料7−2にございます。  参考資料1は、農林水産省のホームページから持ってまいりました、魚介類の栄養・ 機能性でございますし、先ほど御報告申し上げましたように、水産庁の方から新たに資 料が提出されておりますので、それは参考資料2とさせていただいているところでござ います。 以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。資料は全部おそろいでしょうか。  それでは、先ほど来のお話にもありましたように、食品安全委員会におきまして、耐 容摂取量が現在評価中でありまして、その結論を待って、それを踏まえて注意事項の見 直しを行うという段取りになってございますが、まず事務局から資料について御説明い ただきたいと思います。 ○事務局  それでは、まず資料1の昨年公表しました水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注 意事項に関して御説明を申し上げます。  こちらは、昨年の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品・毒性合同部会 での審議結果のとりまとめに基づく公表資料となっております。具体的な内容につきま しては、2ページ目でございます。2ページ目をごらんください。  こちらの公表資料の第1パラグラフでは、魚介類はヒトの健康に影響を及ぼすレベル ではない微量の水銀を含有していることを表しております。  第2パラでは、魚介類の中でも、一部のものについては高いレベルの水銀を含有して いること。  次の第3パラグラフでは、この注意事項の対象者が妊婦等であるということ。対象と なる魚介類は、クジラの一部、サメ、メカジキ、キンメダイであると示しております。  第4パラグラフで、妊婦以外の一般のヒトには、すべての魚介類について、水銀によ る健康への悪影響はないということをお示ししているものでございます。こちらが昨年 公表いたしました注意事項の内容ということでございます。  次の3ページ目でございますが、資料1−2につきましては、公表した注意事項の地 方自治体あての通知文書で、脚注で地方自治体以外にどのような場所にお配りをしたの かということを示させていだいております。  資料1−3及び1−4につきましては、注意事項内容の十分な理解のために公表いた しました「正しい理解のために」及びQ&Aとなっておりますので、御参考いただけれ ばと思います。こちらが昨年公表いたしました、注意事項の内容等でございます。次 に、資料2の説明に移らせていただきます。資料2につきましては、資料番号で言いま すと2−1、19ページでございます。こちらが昨年6月10日から19日までローマで開催 されました、第61回、FAO、WHO合同食品添加物専門家委員会、JECFAのサマ リーレポートとなっております。また、こちらのサマリーレポートの仮訳につきまして は、先ほど御説明申し上げましたが、クリップどめの資料2−1、こちらに仮訳を添付 してございますので、こちらも御参考いただければと思います。  このサマリーレポートでございますが、今回の61回会合におきまして、JECFAは 暫定的週間耐容摂取量、水銀に関してでございますが、このPTWIの再評価を実施い たしております。その結論につきましては、冊子とじのページ数で言いますと、26ペー ジをごらんいただきたいと思います。この26ページの下段にEvaluation、評価でござい ますが、欄がございます。この第1パラグラフでJECFAは今回の見直しに当たりま して、出生前の胎児へのメチル水銀暴露がもたらす神経発達への影響を評価した旨を明 記しております。  次の27ページでございますが、こちらの中段におきまして、発育途上の胎児を十分に 保護するために暫定的耐容摂取量につきまして、従来の3.3 μg から1.6 μg の耐容摂 取量を導いた旨を記載してございますので、御確認をお願いいたします。  次に、資料29ページでございますが、こちらに各国の注意事項の比較として、資料ナ ンバーで言いますと、2−2を示してございます。先ほど御説明申し上げましたが、こ の表にありますように、各国とも対象魚種、対象者を定めて注意事項を示しております が、必ずしも内容は一致していません。例えば、対象魚種については食習慣によるもの もあると思われますが、例えば、米国ではナマズが入っていたり、オーストラリアでは オレンジラフィーが入っていたりということでございます。ただし、総じて比較してみ ますと、おおむねサメやカジキ、マグロといった魚種が対象となっているようでござい ます。  また、対象者については、日本は妊婦及び妊娠の可能性のある方としておりますが、 米国におきましては、授乳中の母親が含まれている。また、アイルランドやオーストラ リアなどは全てのヒトが対象になっていると、異なっていることがおわかりいただける と思います。  なお、資料番号2−2−1番から2−2−8番までは、この各国の注意事項の比較表 を作成するに当たりまして、引用した各国の公表資料となっております。ですので、こ の枝番の1番から8番につきましての説明は割愛をさせていただこうと思います。  以上が、資料1と2の説明となっております。 ○中垣基準審査課長  済みません。ポイントだけ、しつこいようでございますが、繰り返させていただきま すけれども、このとじ込みの資料の8ページ、昨年公表したQ&Aをごらんいただきた いと存じます。  まず、この昨年の議論の結果、出した注意事項というのは、だれあてのものかという のを問1と問5を併せて見ていただきたいと思うのですが、あくまで妊婦あるいは妊娠 の可能性のある方、これが対象であると。問5を見ていただきますと、その理由といた しまして、メチル水銀は非常に高いレベルでは水俣病などが報告されているけれども、 この注意事項をまとめた際に試算したようなレベルで懸念される健康影響というのは、 一般成人に対するものではなくて、感受性が高い胎児に対するものだという意味から、 この注意事項というのは、あくまで対象は妊婦を中心としたものだということを言って いるわけでございます。  その次、10ページの問9をごらんいただきたいと思います。魚に水銀が入っておる と、先生方にとっては当たり前のことなんだろうと思いますが、特定の地域とか環境汚 染とかいうようなことではなくて、自然界にある水銀がどうしても入って来るんだとい うようなことを言っているわけでございます。  また、問10でございますが、では、その健康影響として、今、懸念されているものと いうのは一体どういうものなんだろうかということでございますけれども、水俣病とい うようなものではなくて、胎児に対する影響なんですが、その胎児に対する影響という のも、明確に症状として表れるようなものではなくて、神経伝達の詳細な検査であると か精密検査をして、初めて影響がある、ないというようなものが検出できるレベルであ って、通常の社会生活を送る上で問題となるようなものでもないんだというようなこと を述べておるわけでございまして、ポイントはそういうところにあるんだろうというふ うに考えるわけでございますが、それにしても、昨年御議論いただきましたし、資料2 −2でごらんいただきましたように、各国ともこの魚介類を通じた水銀の摂取による健 康影響について注意を喚起しておるところでございますし、よろしく御議論を願いたい というふうに考えている次第でございます。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。昨年以来の国内外の状況について御説明いただいた わけですけれども、御質問ございますでしょうか。  伏谷委員、どうぞ。 ○伏谷委員  食品安全委員会との関係なんですが、この委員会と食品安全委員会との関係はどうな るんですか。 ○熊谷部会長  事務局の方でお答えいただけますか。 ○事務局  説明させていただきます。食品安全委員会につきましては、今回の注意事項の見直し に当たりまして、耐容量、これをお決めいただくということでございます。具体的な注 意事項の中身や、その施策としてどういう対応をとっていくのかということをこちらの 審議会の中で御議論いただきたいというふうに考えております。 ○伏谷委員  その耐容量なんですが、この資料を拝見しますと、高度不飽和脂肪酸とかビタミンE みたいなものがたくさん入っている魚介類を摂取しますと、影響が隠蔽されるというよ うな表現になっているんですが、そこまで議論されるんでございましょうか。  あと、このメカニズムというのは、わかっているんですか。 ○中垣基準審査課長  まず、食品安全委員会とこの審議会の関係について、今、担当の方から御説明しまし たが、言い方を変えますと、この資料2−1、これが国際的な専門家の会議でございま す、JECFAのサマリーレポートでございまして、この結論というのは疫学調査、フ ェローでございますとかセイシェルでございますとか、そういう魚介類をたくさん食べ るところで長期間にわたって行われました疫学調査あるいは動物試験の結果等々を基 に、リスク評価をやっております。その結果が耐容量という形でまとめられておるわけ でございまして、我が国の法制度、昨年できました食品安全基本法から申し上げます と、食品安全委員会というのは、まさしくこのJECFA的な役割を果たすということ になろうと考えております。  資料2−2が、各国がまとめております、その注意事項でございまして、こういった 注意事項を御審議願うというのが、この審議会の役割というふうに考えておるわけでご ざいます。  2番目に、今、委員から御質問のございました、ビタミンEでございますとか、いろ んな魚介類が含む栄養素、あるいは成分というのをどういうふうに考えるのかというよ うなことなんだろうと思いますけれども、そういう意味から申し上げますと、JECF Aで評価の対象となりましたのは、セイシェルあるいはフェローを始めといたします疫 学調査というのが根っこにあるわけでございます。  また、今回、食品安全委員会に評価をお願いするときに、我々もそういった資料を持 ち込んでおりますので、勿論、今後の食品安全委員会の審議がどのようなものに基づい ていくのかというのは、現段階では私は責任を持って言えるところではございません が、推測いたしますと、そういった疫学調査というのが一番根っこにあるんだろうと。 そういう意味から申し上げますと、丸ごとと申しますか、今、先生が御指摘のそういう ものも含んだ上での、あるいはそういった交絡因子を除外した上での評価が下っていく んだろうというふうに考えております。 ○熊谷部会長  よろしいでしょうか。ほかにございますか。  それでは、事務局の方から、またほかの資料について御説明いただけますでしょう か。 ○事務局  それでは、次の資料3について説明をさせていただきます。  冊子の217 ページをごらんください。こちらが食品安全委員会への食品健康影響評価 の依頼についてでございます。今まで当方から御説明申し上げました諸外国の状況等を 踏まえまして、我が国においても昨年公表いたしました注意事項の見直しを図るため に、7月23日に食品安全委員会にメチル水銀に係る耐容量の設定につき依頼を行ったも のが資料3−1となっているものでございます。  また、219 ページをごらんください。こちらの資料3−2は、7月23日の食品安全委 員会への依頼を行った際に、その内容を公表した資料となっておりますが、資料2−2 で御説明申し上げましたように、各国における注意事項の対象者は異なっていることか ら、メチル水銀の耐容量の設定依頼に併せまして、注意事項の対象者となるものについ ても議論をお願いしているところでございます。こちらが7月23日に行いました食品安 全委員会に対しましての依頼内容等でございます。  次に、資料4について御説明を申し上げます。まず、今回の注意事項の見直しに当た りましては、我が国の国民の水銀摂取量を把握することが重要であり、かつ必要である と考えております。水銀摂取量は魚介類等の水銀含有量とその魚介類等の摂食量から求 めることができますので、まず魚介類等の水銀含有量に関しまして、資料4にお示しを しているところでございます。  223 ページをごらんください。こちらの資料4−1は、平成15年度の厚生労働科学研 究の松田先生の御報告でございます。資料4−1の1ページ目の下に事務局の注という 形でお示しをさせていただいておりますが、昨年の検討におきまして、メチル水銀と総 水銀量が逆転するなど、さらなる調査が必要とされたギンダラ等につきまして、研究を 実施したものでございます。結果につきましては、231 ページの表3にお示しをしてお ります。また、資料4−2につきましては、平成15年度の厚生労働科学特別研究の坂本 先生の御報告でございます。資料4−2の左側の欄に研究対象となっております、1番 の我が国と米・英国のデータに大きな差があるものから、6番の缶詰として市販されて いるマグロまでを括弧で囲んで、その研究の対象というものをお示ししております。  しかしながら、そちらにも書いてございますように、魚介類のサンプリング、これが 執行できたのが平成16年1月から3月であったということを踏まえまして、一部の魚 種につきましては、そのサンプリングが不可能であったということも併せて記載をして おります。研究結果につきましては、239 ページにお示ししますとおり、合計で643 検 体につきまして、分析を実施いただいております。  資料4−3でございます。こちらは241 ページをごらんください。こちらは、平成12 年度から平成15年度に実施されました地方自治体の実態調査結果のとりまとめとなって おります。なお、平成12年度につきましては、東京都のみの結果でございます。資料4 −3にお示ししておりますように、魚介類等の種類、これは総計で407 種類、検体数と しては5,588 検体の調査結果を集計したものとなっております。概要につきましては、 以降のページにお示ししておりますので、御参考いただければと思います。  次の資料4−4でございます。249 ページをごらんください。こちらは平成14年度、 15年度に実施されました水産庁におかれます調査結果となっております。こちらの資料 につきましては、マグロ並びに深海性魚類、例で挙げればギンダラなどを対象として調 査を行った結果となっております。  調査結果のまとめにつきましては、4−4の裏面、ページで言いますと250 ページを ごらんください。そして、この250 ページの一番下の欄でございますか、事務局注を付 けております。マグロにつきましては、標準和名、これを基に今回のとりまとめを記載 しておりますけれども、一般に市販されるものにつきましては、俗称と言われるもので 販売されているものもございますので、ごらんになる方がどのような魚種であるのかと いうことが速やかに確認できますように、250 ページの一番下の欄に事務局注というも のを付けております。例で挙げるならば、キハダはキハダマグロ、ビンナガはビンナガ マグロまたはビンチョウ、ミナミマグロはインドマグロ、メバチはメバチマグロ、クロ マグロは本マグロと同義であるということについても併せてお示しをさせていただいて おります。  資料4−5でございます。こちらはページ数で言いますと、271 ページをごらんくだ さい。こちらが魚介類等に含まれます水銀の調査結果のとりまとめとなっております。 調査結果につきましては、国内と諸外国の2つに分割をしてまとめさせていただいてお ります。ここで1点、資料の中に欠落がございますので、追記をお願いしたい点がござ います。資料のページで言いますと、277 ページでございます。  この277 ページの一番上の欄にクジラという欄がございますが、このクジラにつきま して、種類といたしましては、ツチクジラというものの数値が落ちておりますので、口 頭で御説明を申し上げたいと思います。まず、分類がクジラ。魚介類等の名前がツチク ジラ。次に、総水銀の欄でございますが、検体数が5。最小値が0.440 。最大値は 2.600 。平均値は1.168 。メチル水銀の欄でございますが、こちらの検体数は5。最小 値は0.370 。最大値は1.300 。平均値は0.698 でございます。申し訳ございませんが、 追記の方をよろしくお願いします。  なお、こちらのデータのとりまとめの結果でございますが、諸外国においてとりまと めましたデータにつきましては、いずれもメチル水銀に関するデータが公表されていな いことを申し添えたいと思います。  資料4につきましての説明は、以上でございます。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。非常に膨大なデータ量で、恐らくすべては目を通さ れていないと思いますけれども、資料4−5のまとめは、前の方の厚生科学研究の結果 も取り込んでいるんでしょうか。 ○事務局  はい。とりまとめのデータの範囲でございますが、この範囲につきましては、271 ペ ージの資料No.4−5の表紙の部分でございますが、こちらの方にお示しをしており ます。厚生労働科学研究につきましても、その参照データとしているところでございま す。 ○中垣基準審査課長  そういう意味から申し上げますと、271 ページのこの参照データのところを見ていた だくとわかるんですが、昨年御審議いただいたデータと、昨年度我々あるいは水産庁で 実施されたデータがすべてここに集計されております。また、我々ホームページ等を通 じて諸外国のデータを入手したんですが、アメリカ、イギリス、EUにつきまして、最 新の公表されているデータをとりまとめたものでございまして、どうも同じ言葉で言っ ておっても、厳密に見ると種が違うとか、そういうことが考えられますので、国内と国 外は別個に集計をしております。また、後で資料6でお示しすることになろうと思いま すが、この中から水銀の濃度が高い魚種については、例えば、国内と国外を比べてどう だというような論議も整理しておりますけれども、この資料4−5で示しておりますの は、集められるだけのデータを国内、国外集めまして、それを一覧表にとりまとめると 大体こんな感じになりますということを一覧表としてお示しをしているということでご ざいます。 ○熊谷部会長  御質問はございますか。  どうぞ。 ○伏谷委員  いただいた資料を少し拝見したんですけれども、標準和名をちゃんと使っていない場 合と使ってある場合と、随分ばらばらなっているような気がいたしまして、例えば、メ ヌケなどはかなりいろんな種類のメヌケというのが。標準偏差を見ますと、この場合は 余り大きくないですかね。キンメダイなどは標準偏差はかなり大きいですね。多分この 辺はそこが非常に水銀量が高いとおっしゃっていますけれども、メヌケなどはそんなに 多くない場合もありますし、そこが必ずしも全部高いということにもならないような感 じもいたします。  この水銀量の問題なんですけれども、食物連鎖の上位になればなるほど高くなるの は、これは理解できるんですが、ただ、そこは必ず大体高いというのがなかなか理解で きない。この辺の水銀がどこから来て、どうたまるのかというのが、そこの場合はわか っているんですか。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○坂本(峰)参考人  国水研の坂本ですけれども、平均寿命が長いというのが1つの要因になっているみた いです。それと、一見して歯が大きく出ていて、肉食性の魚というのが多かったりし て、そういうものがその水銀値を上げている原因の1つと考えております。 魚種によ ってばらつきが大きいというのも一つ、魚の大きさによって、その水銀値というのはす ごく大きく違います。食物連鎖の上にいれば確かに高いわけですけれども、マグロにし てもこの20cmから30cmサイズのときは食物連鎖の下位にいるわけですね。その水銀値と いうのはアジやサバと同じぐらいの水銀値しかないわけです。ですから、どういうサイ ズの魚を使ってはかったかということで、その水銀値というのはすごく大きなばらつき を持ってくると思います。 ○伏谷委員  あと、産地による違いというのはないんですか。 ○坂本(峰)参考人  特定の地域が特定の原因によって汚染されているという場合には、その産地の魚は高 いというふうに言われています。例えば、地名は挙げませんけれども、海底火山がある ような地殻の魚の水銀濃度が高いということは、現在でもはっきりわかっております。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○小松漁場資源課長  水産庁の小松でございます。今、伏谷先生から御質問があった件でありますけれど も、メヌケは確かに水産庁の250 ページをごらんいただければ、そんなに確かに高くあ りません。メヌケ、アカウオ、キンキ、これは一見区別が付くようで、最終的には近い 種は余り区別が付きませんし、先ほど、先生がおっしゃいましたように、メヌケも結構 亜種がたくさんおります。ここが低い理由としては、海底火山がなくて、もし北の方で あるとすれば、汚染の可能性が少ないのではないかと考えられます。海底地形なども調 べる必要があると思います。  キンメダイが、先ほど標準偏差が高いという話でございましたけれども、確かに標準 偏差はそういう値になっておりまして、キンメダイも鹿児島沖から高知沖、長州沖、八 丈と、産地が幾つか特定されておりますから、それに対応するきめ細かいデータが必要 であると考えます。  いずれにしろ、こういう魚、ここにあります250 ページの魚はほとんどが昭和48年に 化学物質が河川等に流入して水銀の規制値ができたことと、大まかに言いますと全く無 関係に水銀が蓄積されるメカニズムがありますので、その辺も御検討の際には是非考慮 に入れていただきたい。むしろ、天然由来の水銀が、公海を自由に動いている外洋性の マグロにおいてはほとんどだと思います。底魚も太平洋の火山地帯や堆、バンクのよう なところにいるということでございますので、人為活動とは随分かけ離れたところにい るにもかかわらず、こういう事態であります。それから、我々日本民族が何百年、何千 年とこういう魚を食べてきたという事実についてもご考慮をお願いしたい と思います。 ○熊谷部会長  ほかにございますか。  どうぞ。 ○有馬委員  メヌケに関しまして、私は昭和48年ごろに水銀測定などのところでデータを何度か見 たこともあるんですけれども、当初は結構高かったです。このデータを見ると低めにな っているということで、やはりサイズの問題がかなり影響しているのではないかと。長 期間の資源利用の間に多少そういうサイズが変わるということで、低めになるとかとい うようなこともあろうかというふうに思いますので、実際の漁業の状態を反映したとこ ろでやはりそういう水銀の濃度なども考えていく必要があろうかというふうに思いま す。 ○坂本(峰)参考人  239 ページ、うちの国水研の方でメヌケもはかっておりまして、メヌケはトータル24 種の中では2番目に高い水銀濃度を示しております。  以上です。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○有馬委員  今の先生のおっしゃった239 ページのデータでちょっと、キダイがちょっと高いデー タを示していると思うんですけれども、これについての理由は何かと。普通のマダイと かそういうのに比べると、同じ仲間だと思うんですけれども、ちょっと高めだというふ うに思うんですけれども。 ○坂本(峰)参考人  現時点で高い理由についてはちょっとわかりません。 ○熊谷部会長  これはいろいろ多種類の魚をお使いになっていますけれども、これは食用に上る、つ まり重さとかサイズは通常流通しているものの範囲内であると考えて、これらのデータ はよろしいんでしょうか。どなたに聞いていいかわからないんですけれども。 ○坂本(峰)参考人  うちのデータに関しましては、市販されているものということに視点を置いて集めて おりますので、特定の特に小さな魚とか大きな魚というのにこだわるのではなくて、逆 に言うと、切り身になっている場合はもともとの魚体のサイズがわかりません。 ○小松漁場資源課長  一般的に申し上げまして、水産庁が提出したデータは、現在流通している魚の魚体サ イズを満遍なく補足しようと考えて調査を実施したものです。先ほど、有馬先生から資 源管理の話も出てきましたけれども、例えば、マグロでもメヌケ、キンキでもそうなん ですが、10年前、20年前に比べまして、若干我々のミスもあるかもしれませんけれど も、その魚体が相当小さくなっておりまして、マグロなどで見ますと、今は商品サイズ で40kgが一つの目安なんですが、40kg上とか40kg下と言いますが、その前後の特にそれ を下回るものの比率が残念ながら年々増えてきています。  我々の調査は、その事態を満遍なく反映しようと思ったのですが、特に去年、今年こ のデータは出ていませんけれども、国立水俣病研究所さんのデータだとか厚生省の委託 調査のデータは、例えば、マグロであっても我々の方よりは相当大きい100kg 以上の、 どちらかと言うとスーパーだとか量販店、普通の魚屋に出てくるものよりは、クロマグ ロなどの場合は高級すし屋や料亭に行くようなものに偏ったサンプリングをしているの ではなかろうかと思っております。この点については、我々はもう少し時間をかけて調 査しなくてはならない訳ですけれども、その結果、水産庁から出ているデータは水銀濃 度が若干低めになっておりまして、我々はそれが事実に近いのではないかなと考えてお ります。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございます。  資料4−2と資料4−4につきまして、水俣病総合研究センター、水産庁のそれぞれ のデータですけれども、ほかにこれらの資料について補足はございますでしょうか。 今、質問にお答えいただく形で大分御説明いただいたんですけれども、もしここで特に ございませんでしたら、先に進ませていただきたいと思いますが、ほかに。  どうぞ。 ○小川委員  水産庁の250 ページのデータなんですけれども、これに関連して、ほかにもこれは関 連があるわけですが、検体の取り方とか測定部位とか、いろいろあると思うんですけれ ども、例えば、この真ん中のクロカジキというのがございますね。250 ページ。このク ロカジキを見ると、総水銀の量とメチル水銀の量というのは、ほかの魚とは何かかなり 違った動きをしているような気がするんですけれども。この場合、平均値も高いですけ れども、変動係数で見ても、ここは何か総水銀の方がすごく高くなっていると。こうい う動きというのは地域差とか、種差とか、あるいは誤差範囲だとか、そういうことで説 明が付くものなのでしょうか。 ○小松漁場資源課長  測定方法については全て確立された、厚生労働省さんで使っておられる方法で実施し ました。この点は有馬先生が詳しいものですから、有馬先生にコメントをお願いしま す。 ○有馬委員  瀬戸内水研の有馬ですが、カジキ類の中でクロカジキだけ非常に特殊な性質を持って いまして、水銀濃度がかなり高いけれども、メチル水銀は低いということは、かなり前 からわかっておりまして、実際にそれをラットなどに食べさせても吸収されないという ようなことの結果は得ております。ですから、ほかのカジキ類ではそういうことはあり ませんで、クロカジキだけの特殊な現象であると思います。  普通、クジラ類の場合には内臓でそういうことが見つかるような現象が起きているん ですけれども、クロカジキでは肉でもそういうことが出て、しかも、水銀とセレンの比 が大体1対1になっているというようなことがわかっておりますので、ちょっと特殊な 例というふうにお考えいただいた方がいいかと思います。 ○小川委員  その場合に、このばらつきが大きくなるというのは、これはかなり大きいのではない かと思うんですが、何か生理的なこととか、そういうことはわかっているんでしょう か。 ○有馬委員  体重の増加に伴って増えるという傾向はあるんですけれども、ばらつきは非常に大き いです。それの原因がどういうふうになっているかということについては、まだよくわ かっておりません。ただ、ばらつきが多いというのは昔からのいろんな文献を調べて も、そういうふうになっておりました。 ○熊谷部会長  ほかにございますか。  どうぞ。 ○伏谷委員  ちょっと聞き忘れたんですけれども、今、我々が食べているのは、かなりの部分は輸 入魚介類が多いわけですが、この中に輸入された魚介類はどのくらい実際に入っている んですか。 ○小松漁場資源課長  水産庁の小松でございますが、キハダの一部が輸入されていますし、クロマグロだと 相当部分、半分以上になるかと思います。ミナミマグロですと、これも半分。蓄養は全 部オーストラリアからの輸入です。クロマグロもほとんどの部分は蓄養、蓄養というの は小さくとって大きく育てる部分ですが、これも輸入ですね。メバチは天然ですが、こ れも半分輸入があります。カジキ類はそんなにないと思いますけれども、若干あると思 います。カツオも生鮮の部分はほとんどないと思います。メヌケ類はアメリカ中心に若 干あると思います。キンメはないと思います。ギンダラはほとんど100 %近く輸入だと 思います。ベニズワイは今は韓国からの輸入があるかどうかわかりませんが、ほとんど 日本だと思います。エッチュウバイガイは、ちょっと私は寡聞にして知りませんです が、サメはないと思います。そんな感じで、あと、ほかの魚種についても、例えば、サ ケなどは今はほとんど6割から7割が輸入でございます。 ○熊谷部会長  水俣病総合研究センターの方のデータにつきましては、輸入も国産も含めてのデータ ですか。 ○坂本(峰)参考人  そうです。マグロに関しましては、地中海で蓄養されたマグロというのが水銀濃度も 高めに、うちの方では出ています。しかし、ここには地中海のマグロのデータは今回は 載っておりません。 ○熊谷部会長  先ほど、魚のサイズとどうも関連があるそうだということと、水銀については何かは っきり見えないというようなこともお伺いしたような気もしますし、今のお話ですと地 中海のものはどうも高いという話ですね。海域による違いというのはいかがでしょう か。 ○小松漁場資源課長  地中海の蓄養の話が出ましたけれども、地中海は高いですね。水銀より我々がもっと 心配しているのは、PCB、ダイオキシンの方が極端に明確にわかります。簡単に言い ますと、南半球はすごくきれいです。ミナミマグロは南半球のクロマグロと言われてい るものですが、これはほとんど低い水銀濃度です。ほかに比べてきれいです。ダイオキ シンの方もそうですが。南半球のクジラは全く、私が言うと何の問題もないと思ってお ります。  やはり、地中海だけではなくて、北海、ノルウェーだとかアイルランドだとか、イギ リスのちょうどアイルランド側ではなくて、北海の方の魚は若干やはり高めに出てくる 傾向があります。こちらは人間活動由来ではないかと思いますけれども、そういうのが 一般的に申し上げまして、確実にこうだというのはわかりませんけれども、高いデータ が出てくる傾向があります。 ○中垣基準審査課長  2点申し上げたいと思います。議論はデータに基づいて議論していただきたい。小松 課長を疑うわけでも何でもないんですが、南の方のマグロは大丈夫だとおっしゃるので あれば、そのデータを出していただいて、全体を比較し、更に統計学的な処理をし、ど うのこうのという議論をしていかないと、我々は何を議論しているのかわからないとい う状態になってしまうというのが1点。  もう一点は、この250 ページのところにある水産庁のデータを先ほど来議論になって おります大きさと水銀濃度で相関があるのかどうかというのを水産庁に試算してもらっ たんですが、ここにあるデータでは一般に相関は見られない。逆に申し上げますと、常 識的に、小さいものより大きいものの方が水銀濃度は高いんだろうというふうに考える わけですが、このデータでは、データ数が多いクロマグロやミナミマグロでは相関が見 られない。メバチマグロでは相関が見られるというような分析のデータもありますか ら、場合によってはまた提出して議論していただればと思いますけれども、そんなにク リアーに大きさと水銀濃度に一致して相関が見られているわけではないんだということ は申し上げておきたいと思います。データ量の問題なのかもしれませんが、必ずしもク リアーに一言で言えるような大きさと水銀濃度の関係があるわけではなさそうであると いうことです。 ○熊谷部会長  データとしてあった方が話がわかりやすいような気がします。ですから、ウェートと 濃度との関連、地域との関連。今日は御用意いただいていませんけれども、いずれそれ をベースにした方がはっきりする気がします。  どうぞ。 ○小松漁場資源課長  今、座長がおっしゃった点、中垣課長がおっしゃった点、我々も暫定的に一応、計算 はしておりますが、今、中垣課長が言われたとおり、メバチだとかクロカジキは強い相 関があり、メヌケ、キンメダイもありますが、一方で、ないものもありますし、中程度 の相関というものもございます。ですから、暫定的な値でよければ、次回までには用意 したいと思います。 ○熊谷部会長  そうですね。それがあった方がいいですね。 ○伏谷委員  248 ページの一番下にメルルーサの加工品というのがありますね。総水銀、メチル水 銀とも結構高い値が出ています。それと、その加工品ではないのがどこかに出ていたん ですけれども、246 ページですね。これは1検体しかやっていなくて総水銀しかおやり になっていないんですが、結構、メルルーサというのは我々は食べている魚種だと思う んですけれども、この辺の資料もやはり必要になるのではないかと。これだけ高い総水 銀が出てきますと。 ○熊谷部会長  これは地方自治体でおやりになったデータですね。すべてをひっくるめたのが、要す るに、資料No.4−5というふうに考えられますので、メルルーサはやはり少ないで すね。 ○坂本(峰)参考人  加工品が乾重量とか、その水分が抜けている状態だと、80%とか90%ぐらいで水分が 入っていますので、こういうことが起こり得るかもしれません。 ○熊谷部会長  一応、いかがでしょうか。御意見、あるいは御質問ございませんようでしたら、先に 進みたいと考えますが。  それでは、資料5以降を、事務局の方から御説明いただけますか。 ○事務局  それでは、資料5番から御説明申し上げます。資料5番以降につきましては、冊子で はなく今度はクリップどめの方の資料となりますので、そちらの資料をごらんくださ い。  「我が国における魚介類等の摂食量」につきましては、国民栄養調査を用いておりま す。集計につきましては、一定の母数を確保するために、平成13年及び平成14年を合わ せまして、各魚介類についての摂食者全員、そして20歳以上の摂食者、また20歳以上の 女性の摂食者について、特別集計を行っておりますが、今回のメチル水銀摂取量の試算 につきましては、昨年の審議の結果にもございますように、健康影響を受ける者が妊婦 等であると考えられることから、20歳以上の女性の摂食者、こちらを用いております。  次のページをごらんください。こちらに参考といたしまして、今回の摂食量の集計に おける、マグロに関しての摂食量についてお示ししております。ここで、摂食者全員の データにつきましては、昨年公表いたしましたデータ内容と大差はありませんが、20歳 以上の摂食者、及び20歳以上の女性の摂食者と比較した場合に、摂食量が異なっている ということでございます。これは、国民栄養調査におけます学校給食の取り扱いの違い によるものと考えておりまして、一般的にこの学校給食を食べている子どもたちにつき ましては、一律に一定のグラム数を毎日摂取するという値を用いていることによるもの だと考えております。  また、その下にございますとおり、今度はマグロの摂食形態を踏まえまして、マグロ 料理について調査を行った結果を(3)にお示しております。この結果により、今回の 摂食量の集計に当たりましては、1人前の量が多い、刺身、寿司、そして鉄火丼の平均 値である約80グラム、こちらを試算に用いることといたしております。  資料5−1の表紙をごらんください。3番の「魚介類等の摂食量」についてでござい ますが、こちらの中の表がございまして、魚介類等で言いますとタイの部分でございま す。このタイにつきましては、平成13、14国民栄養調査という欄につきましては、摂食 者の全員で摂食量が56.2g、20歳以上でありましても56.8g、そして女性の摂食者に限 った場合であっても58.3gという形になっておりますが、昨年公表いたしましたデータ に基づきますと、14.8gということでかなり差があるということでございます。  これにつきましては、摂食者の欄を見ていただきますと、摂食者数が全員であれば 709 人、20歳以上であっても616 人、女性に限った場合には289 人ということでござい まして、昨年の栄養調査の6,890 人というものから比較しますと、かなり人数が変わっ ているということでございます。  この人数の違いによりまして、このような結果が得られているということでございま すが、この点につきましては、少し御説明をいただければというふうに考えておりま す。 ○熊谷部会長  それでは、今の部分について御説明いただけますか。 ○吉池参考人  国立健康・栄養研究所の吉池でございます。今の点についてと、平成10年〜12年まで の国民栄養調査と13年以降については、若干、調査手法自体の変更点がございますの で、それについて御説明をさせていただきます。  まず、タイについてですが、これはマグロの御説明にもあったように、平成12年まで の国民栄養調査では、学校給食においてマグロにしてもタイにしても、約2グラム程度 一人前食べると過重平均としてとったということになってございます。  ですから、学校給食をとった学童・生徒の数の分だけ、自動的に少量のマグロ、ある いはタイをとったといことになっています。  それに対して、平成13年からの調査では、学校給食の中の過重平均成分表の見直し をいたしまして、マグロについては、同じように学校給食の中に残っていますが、タイ については、結果的には平成13年から過重平均成分表には載っていません。そのため、 学童・生徒も含めた全員の中での摂取人数が減るとともに、少量の摂取をした人数が除 外されていますので、タイについては摂取者全員の平均摂取量が大きく変わったという ことでございます。  結論から言いますと、摂取者における真の摂取量を見るという観点からは、平成13年 以降の調査の方がより実態に近いものと思われます。  もう一点、補足をさせていただきます。平成13年の国民栄養調査から、食品成分表が 切り替わりまして、食品番号体系もすべて変わりました。従来は、幾つかの食品をまと めて算出したものについても、細かく番号が付けられました。それに際して、調理等に おける成分値の変化等も考慮されるようになりました。  例えば、魚も摂食形態まちまちでございますが、当然干し物にすると重量が同じ魚で も減ってきます。今回の試算におきましては、干し物等について、既に加工されたもの は生重量に換算しての試算としておりますので、平成10年〜12年の集計結果と比べる と、魚類全体でも20%ほど増えているというのが、そのような理由によるものであると 考えられます。  以上です。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。ただいまの御説明に対しまして、御質問等ございま すか。  どうぞ。 ○坂本(峰)参考人  20歳以上を出産可能者ということで書いてありますけれども、例えば、EPA辺りは 16歳〜45歳、ある特定年齢を出産可能年齢としてとっております。となりますと、この 60〜80歳までの人たちが入っているようなデータというのが、果たしてデータとしてこ こに出すのがふさわしいのかどうか、ちょっと疑問です。 ○中垣基準審査課長  今の坂本参考人の御発言というのは、摂取量の試算をしていく上で、どういうものを 選択していくんだろうという議論だろうと思います。その議論は、また資料6のところ で議論していただければとは思いますが、今、簡単に申し上げますと、利用可能なデー タが、今、3つあるとすると、その中で摂食者全員と20歳以上ではかなり違う、しかも 20歳以上の摂食者と20歳以上の女性摂食者を見ると、ほぼ一致しておるということを考 えると、この3つの中では20歳以上の女性摂食者がいいのではないかということを言っ ておるだけで、厳密に何歳から何歳までがいいとかいうような議論をここで展開すると いうような観点から申し上げたものではございません。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○伏谷委員  この表で、摂食が多い物と非常に少ない物との結果はもう明らかですね。その辺をど う扱うのか。例えば、マグロなんかは多分たくさん食べる人と、少量食べる人と、すご く幅があると思うんです。  ところが、サメとかクジラというのは、ごく限られた人しか食べてないですから、そ ういう人はたくさん食べるわけです。その摂食量を基にして議論するのは、なかなか難 しいんではないかと思うんですけれども、この辺どうか。 ○中垣基準審査課長  このデータをもう少し分析した方がいいのかもしれませんし、あるいは、吉池参考人 の方からまた追加していただければと思いますが、我々分析している限りで申し上げま すと、裾野が広いと申しますか、食べ方に多様性がある。平均値から見ると、90パーセ ンタイルが非常に離れているという特徴がありますのがマグロでございます。 詳細に は覚えておりませんけれども、昨年の審議会に提出したものでは、恐らく90パーセンタ イルが平均値から5倍ぐらいのところにある。それ以外の魚種で、勿論非常に少ないサ メでございますとか、クジラでございますとか、そういうものは分析もかないませんか らなかなかあれでございますけれども、一般的には平均値の2倍ぐらいのところに90パ ーセンタイルがある結果だったと思います。 ○熊谷部会長  ほかに御質問ございますか。  どうぞ。 ○坂本(峰)参考人  今の90パーセンタイルで御質問があるんですけれども、例えば、マグロだと、食べる 人が6,830 人いますと、例えば、90パーセンタイル上位10%をとりますと683 名になっ て、それはほかの魚種、いずれよりも多い人たちが食べているということになります。  その場合に、摂食量というのが、例えば、100gを超えるというふうに試算されるわけ ですけれども、そこのところはどういうふうに評価したらよろしいんでしょうか。 ○中垣基準審査課長  いまだ精査が必要ですが、13年、14年のデータを分析した、手元にあるのが、まず魚 一般で申し上げますと、摂食者の平均が、ここにございますように82.7gでございます が、90パーセンタイルが168g 、95パーセンタイルが208gとなっております。また、手 元にタイがございませんで、手元にあるのを申し上げますと、マグロでございまして、 マグロの摂食者平均が26.3g、90パーセンタイルが65.3g、95パーセンタイルが100gでご ざいます。精査した上で次回提出したいと存じます。  また、坂本参考人から御質問のございました、仮に例えば90パーセンタイルや95パー センタイルあるいは100g以上の方が、人数としては多い、これをどういうふうに考える のかという御質問だったと考えてございますけれども、今回どのような形でこの魚介類 の摂食による水銀の影響というのを国民に情報提供し、また注意を喚起し、一定のこと をやっていくかどうかというのは、まさしくこの部会での御議論ということになってま いるわけでございますが、諸外国の方法、あるいは昨年の審議会でとられた方法という のは、例えば、一切れ食べるとしたら週に何回にしてくださいとか、100g食べるとした ら2週に1回にしてくだいとか、そこにおられる方御本人がこれからどうすればいいの かということに対する注意事項を、昨年まとめていただいたところでございますし、諸 外国でもやはりそのようなやり方がされているんだろうと考えるわけでございます。  一方、坂本参考人の御指摘というのは、今、食べている人がどれぐらい摂食している のか、どれぐらい暴露しているのかという現状分析の話でございまして、そういう意味 から申し上げますと、少し趣旨が違うのかなと思います。最終的に我々が、仮に諸外国 と同じような、あるいは昨年の審議会と同じようなことをやっていくのであれば、一切 れとか、平均的な摂食量がどれぐらいあるのか、要するに、一切れにしてくださいとい ったときに、その一切れというのがつかみようがないわけでございますから、そういっ た意味での議論になっていくのかなと思っております。 ○熊谷部会長  恐らく、その議論の内容にも関わる問題だと思いますけれども、ほかにその部分につ いて、どうぞ。 ○小松漁場資源課長  先ほどの坂本先生からも出たんですが、今、90%、95%、100 %という話が出まし て、特に私が気になるのは、20歳以上の女性摂食者の部分なんですが、私らが一般的に 調査をしますと、魚、特にマグロの部分は加齢が進むと食べる人が多いものですから、 その辺きちっと、もしオーバーしてたくさん食べている人があれば、そこを是非次回ま でにしていただきたいと思います。我々の方でも、ちょっと調査をしてみますけれど も。 ○熊谷部会長  今ごろになって、こういうことをお聞きするわけですけれども、これは約五千世帯、 1万5,000 人を対象にされているわけですね。13、14年合わせると、大体3万人を対象 にしていて、この摂食者数というのは、いつの時点で食べたか、食べないかを聞いてい るわけですか。 ○吉池参考人  お答えいたします。11月のある1日に調査をするということになっておりますので、 調査日1日のみの実態です。 ○熊谷部会長  そうすると、それは朝から晩まで通常の生活の中で、食べたか、食べないかという質 問なわけですか。 ○吉池参考人  実際には、食べたか、食べないかということではなく、1日について朝から夕飯、間 食に至るまで、詳細な秤量記録をしていただくということになっております。休日を除 く、普通の日にお願いをするという形です。 ○熊谷部会長  これは、この魚介類等につきましても、ここに挙げた以外にもたくさんあるわけです か。 ○吉池参考人  はい。 ○熊谷部会長  そうですか。どうもありがとうございました。ほかに御質問、よろしいでしょうか。  それでは、先に進みたいと考えます。それでは、資料6になりますか。 ○中垣基準審査課長  すみません。その前に資料5−2について、吉池参考人の方から簡単に御説明いただ ければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。 ○吉池参考人  先ほど、中垣課長の方から、今回の摂取実態がどうかといった、平均値の議論もさる ことながら、1回当たりどのぐらいマグロを摂取しているのかということについて、何 らかのメッセージを国民に送ることが大事であるという話がございました。  5−2の説明をします前に、5−1の2ページ目の「まぐろ摂食量度数分布(摂食者 )」のところをごらんいただきながら、5−2を見ていただければいいかと思います。 学校給食を除く18歳以上のデータとすると、40gあたりのところにピークがあり、60、 あと100 前後のところのあるというようなことがございます。  マグロという魚の摂食実態を考えたときに、ほかの魚は切り身を買って家庭で焼いた り、煮たりということが多いわけですが、マグロについては生で食べるということがか なり多いと。外国などの勧告等では、マグロステーキというものがかなり出てきます が、日本ではそういう食べ方は余りしません。そこで、外食や市販食品を買ってきて食 べる際の1回量の目安というのが重要になるということで、5−2にございますよう に、11地区で調査をお願いしまして、実際に栄養士、管理栄養士の方に、スーパー、あ るいは外食、飲食店等で買い上げ調査をしていただきました。  それに基づく1回分、1人前としてのマグロの平均重量を見ますと、例えば、ツナサ ラダというのを見ますと大体20g、サンドイッチ、これは三角サンド2つを1人前とし たときには約30g、サンドイッチ1個だけを取り出すと23〜24gになるようです。  刺身でとると50〜60g、寿司ですとマグロのみか、いろいろなものが組み合わさって いるものによって、大きな差がありますが、20とか70g、一番量の多いものが鉄火丼で 100 gという結果を見ますと、先ほど御説明した国民栄養調査、これは各家庭に直接お 聞きするもので、この市販品調査とは全く独立して行われているものですが、その結果 とほぼ一致した食べ方の実態が浮かび上がってきているのではないかと思います。  以上です。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。御意見、あるいは御質問、よろしければ先に進みた いと考えます。よろしくお願いいたします。 ○事務局  続きまして、資料6について御説明を申し上げます。資料6の内容につきましては、 まず内容としまして、多くの仮定に基づいているということでありまして、確定された 内容ではないことですから、その正確な理解と、あと風評被害への留意につきまして、 資料6につきまして、すべてのページにつきまして、その文章の末に四角で囲ってござ いますが、注意書きを加えております。  内容につきましては、「この試算は多くの仮定に基づくものです。正確な御理解をお 願いするとともに、報道等に当たっては、風評被害が生じることのないよう御配慮方お 願いします」という旨を追記しております。  それでは、内容について説明いたします。まず、摂取量の試算につきましては、各魚 介類の水銀濃度に、当該魚介類の摂食量を乗じて算出いたしております。  次に、試算対象の魚介類についてですが、こちらについては総水銀0.4ppm以上、そし てメチル水銀が、0.3ppm以上を1つの目安といたしまして魚介類を選択しております。 この際の対象となる魚介類については、(2)にお示ししております表のとおりで、18 種類の魚介類となります。  また、その2ページ目以降で3ページ目になるわけでございますが、この3ページ目 に示しますように、検体数が少ない魚介類等につきましては、試算の対象外という形で 取り扱っております。  次に、7ページ目の別添1をごらんください。こちらが先ほど18種類の魚介類等につ きまして、実態調査におけるメチル水銀濃度、そして20歳以上の女性摂食者の平均摂食 量、こちらを乗じまして得られたメチル水銀の摂取量の結果の一覧という形になってお ります。 また、別添1につきましては、先ほど来から御説明申し上げますように、マ グロ料理からの摂取量についても合わせて試算しておりまして、こちらについても参考 という形でお示しをしております。  続きまして、3ページ目の2について、御説明を申し上げます。こちらは「水銀の摂 取量と耐容量の比較」について説明をしているものです。  今回の試算におきましては、2つの耐容量をまず仮定いたしております。1つは、昨 年の審議会で用いました耐容量、3.3 μg/kg体重/week 。もう一つは、第61回JECF Aで再評価が行われました1.6 μg/kg体重/week というものでございます。  資料6の4ページ目をごらんください。水銀につきましては、魚介類は勿論のこと、 魚や野菜といったほとんどの食品に含まれておりますので、水銀の摂取量と耐容量の評 価を行う際には、各食品の水銀摂取量を勘案する必要がございます。このため、1日摂 取量調査結果を用いております。この調査結果から、平成15年の魚介類からの摂取比率 につきましては、84.2%という形になっております。また、総水銀の摂取量は1日1人 当たり8.1 μg ということであることが表からおわかりいただけると思います。  次に、5ページ目をごらんください。水銀の摂取量と耐容量との比較を行うために は、検討対象であります魚介類等以外からの水銀の摂取量を勘案する必要がありますの で、先ほどの一日摂取量調査結果を用いまして、3つの仮定を設定いたしております。 こちらにつきましては、5ページ下段のグラフも御参照いただきながら参考にしていた だければと思います。  まず、仮定1でございます。仮定1は、検討対象以外の魚介類からの水銀摂取はない と仮定した場合です。この場合、検討対象魚介類等からの摂取可能量というものはグラ フの仮定1にもお示ししておりますように、耐容量から一日摂取量調査結果からのその 他の食品の水銀量を差し引いたものとなります。なお、この試算につきましては、検討 の対象以外の食品からの水銀摂取量を過小に評価しているものと考えられるものです。  次は、仮定2でございます。仮定2は、検討対象以外の魚介類からの摂取量を一日摂 取量調査の魚介類からの摂取量の半分と仮定した場合です。この場合、検討対象魚介類 等からの摂取可能量はグラフの仮定2にお示ししておりますように、耐容量から一日摂 取調査結果のその他の食品及び魚介類の2分の1の水銀量を差し引いたものとなりま す。  次は、仮定3でございます。仮定3は、検討対象以外の魚介類からの摂取量を一日摂 取量調査における魚介類からの摂取量と仮定した場合でございます。この場合、検討対 象魚介類からの摂取可能量というものはグラフの仮定3にもお示ししておりますよう に、耐容量から一日摂取調査結果の総量を差し引いたものとなります。そして、これら の3つの仮定、そして、先ほど御説明申し上げました2つの耐容量、この仮定を組み合 わせました6つの類型につきまして、耐容量の範囲内で1週間に摂食できる量の試算を 別添2にお示ししております。そして、摂食頻度ごとの摂取量と耐容量との比較を別添 3−1及び3−2にお示ししております。  まず、別添2をごらんください。こちらが耐容量の範囲内で1週間に摂食できる量と なっている表でございます。例を挙げて御説明申し上げれば、表の一番上にあります魚 介類等の欄でございますが、エッチュウバイガイ。こちらにつきましては、昨年の審議 会で用いた耐容量を用いた場合でありまして、更に仮定1の場合であるということであ る場合には、1週間当たりには318.4gの摂取が可能であるということを示しておりま す。  以降、右にずれまして、仮定2の場合は269.7g、仮定3の場合には221.0gという形に なっております。  また、更にその右隣につきましては、JECFAの再評価の結果を用いた場合でござ います。見方につきましては、以降、同様でございまして、集計につきましては、魚介 類等カジキ、クジラ、そして、次ページに移りまして、サメ、マグロ。参考と致しまし て、その他のマグロ類につきましても、同様にお示しをしているものでございます。  次に、別添3をごらんください。別添3−1につきましては、昨年の審議会で用いた 耐容量3.3 μg/kg体重/week との比較でございます。そして、別添3−2がJECFA での再評価を用いた耐容量、こちらは1.6 μg/kg体重/week との比較となっておりま す。  別添3−1の方をまずごらんください。こちらは、仮定1、仮定2、仮定3ごとに色 別を用いまして、試算結果をお示ししております。この表の見方といたしましては、例 えば、まず第2欄目のマカジキという欄がございますが、このマカジキについて御説明 申し上げますと、仮定1の場合は毎日このマカジキを摂取した場合に仮定1における耐 容量を超えてしまうということをお示ししております。ですので、この耐容量を超えな い形で摂取をしようという形の場合では、週に6回までが耐容量の範囲内であるという ことをお示ししております。そして、以降、黄色、青につきましては、順に仮定2、仮 定3とこれをお示ししております。見方に付きましても、同様に仮定の2を超えない場 合には、週5回まで、そして仮定3を超えない場合には、週4回までという形でこの表 をごらんいただければと思っております。  以降の表のとりまとめにつきましても、同様にとりまとめを行っておりますので、各 表につきまして、御参考いただければというふうに考えております。  表6の説明につきましては、以上でございます。  今回、この作業につきまして、水産庁から冒頭御説明を申し上げました、参考資料2 が配布されておりますので、この点につきまして、水産庁から御説明をいただけばとい うふうに思います。 ○小松漁場資源課長  どうもありがとうございます。それでは、参考資料2。今日の日付で「水産庁漁場資 源課」と書いてあるものです。  マグロとカジキ類にとりあえず暫定的に限って水銀の摂取量の試算の考え方をまとめ てみましたが、厚労省さんの方の資料と同様に我々の方もいろんな仮定に基づいており ます。我々の方はマクロのアプローチを心がけてみました。マグロ類については、やは り色々な種類のマグロがあるので、ここでブレークダウンをこの種類ごとに心がけてみ ました。マグロ類というのは厚労省さんの方の摂食調査で一括マグロ類でありますけれ ども、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ等に分かれ、カジキも分かれており ますということをここで計算の仮定として述べております。  したがいまして、(3)でありますけれども、やはり供給量が多いメバチ、キハダの 1人当たりの摂食量とクロマグロやミナミマグロという、その供給量が少ないものとは リスク管理の検討の方策としては別の観点から検討することが必要ではなかろうかと考 えます。表1をご覧いただければ、マグロ類の国内の供給量について数字を示したもの でございますが、マグロ類合計が約40万トン、39万8,970 トンのうち、キハダマグロと メバチマグロがそれぞれ40%弱強でございまして、クロマグロ、ミナミマグロがそれぞ れ2万トン、1万トンでございます。その中間にビンナガが入ってまいります。  カジキにつきましても、クロカジキ、マカジキ、メカジキがこのようなブレークダウ ンになっておりまして、例えば、仮定の話でありますが、20歳以上の女性の摂食量が先 ほどの厚労省さんの方の説明では、マグロの場合は35.7gをこのマグロの数字をかけて ブレークダウンしますと、キハダ、メバチの方に特化して、クロマグロ、ミナミマグロ はほとんど食べないということになります。カジキについても同様に、クロカジキ、マ カジキ、メカジキに大体こちらの方は満遍なく分解されます。  次のページでございますが、同様に今度は水銀の濃度との掛け算をしてみましたけれ ども、我々の方は水産庁調査を1つのデータとして使ってみました。キハダマグロはほ とんど水銀濃度が見られません。0.06を使いましたし、ビンナガが0.16、ミナミマグロ も0.24等々でございまして、メチル水銀で0.3 を超えているのがクロマグロ、メバチ、 マカジキ、メカジキでございますが、先ほどの20歳以上の摂食者の量をかけますと、メ チル水銀の摂取量の1日当たりのμg が一番右のところに示してございます。その結 果、4番の摂取頻度ごとの摂取量と耐容量の比較でございまして、4の(2)に昨年の 審議会で用いたPTWIと、今、JECFAから出てきております1.6 と両方にらみま して、先ほどの厚労省さんの方のシナリオの1、他の魚介類からの水銀摂取はなしと仮 定というのと、シナリオ3、これは他の魚介類から全部とっているというのと、シナリ オ2のその間を半分にするのと、全部一応我々の方でも計算してみた結果の結論が、5 のところに書いてありますが、これがちょっと見にくいものですから、結論は後で読ん でいただいて、一番最後の表を見ていただければと思いますが、PTWIが3.3 μgの 場合、毎日食べてシナリオ2にかかるのがメカジキということ。シナリオ3にかかるの がメカジキの週6回。もし、1.6 になった場合においては、以上のようなところでござ いまして、メカジキが同様にシナリオ1でも週4回まで引っかかってしまう。シナリオ 2で、週3回。シナリオ3で、週2回で引っかかるということでございます。  1回の摂取量などがこういうふうに、例えば、では、クロマグロ1.9gなのかと言わ れますと、マクロでみれば、例えば100g食べたところで鉄火丼でマクロ計算で見れば、 鉄火丼の中に先ほどの調査で結構クロマグロを出てきているということは出てきており ますけれども、全体の供給量からみればそういうことにはならない。やはり、キハダだ とかメバチ、そのほかのマグロを食べている方が多いということに我々の方は考えます ので、こういうマクロ的なアプローチの方も是非御検討の際には御考慮に入れていただ きたい。供給量の平均値で見るとこういう状態です。  以上、御参考までに申し上げました。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。  ただいまの御説明、事務局の御説明に御意見あるいは御質問ありますでしょうか。  どうぞ。 ○坂本(峰)参考人  魚介類中の総水銀に占めるメチル水銀の割合というのが日本だけなんですね、75%と 出しているのは。EPAとか欧米ではもう90%以上ということで計算されていまして、 正確に抽出された場合には、90%以上という、今回我々が提出した資料でもタイ類を除 いては90%以上、95%以上となっておりますので、対外からの非難もしくは国内を守る 良心的なデータの出し方としては、総水銀を用いた方がより正確なデータに近いのでは ないかと感じております。 ○熊谷部会長  これは分析法と直接関連したことなんだと思うんですが、その点の確認なんですけれ ども、メチル水銀はメチル水銀として測定しているわけですね。つまり、国内のデータ につきましては、総水銀から推定した値ではないわけですね。ちょっと意味がつかめか ねているんですけれども。 ○坂本(峰)参考人  メチル水銀を魚体の中からどれだけ正確に抽出するかによって、そのメチル水銀とし て出した値というのが、その総水銀の中に占める比率というのが変わってくるわけなん ですね。今、使われている公定法というのは、昭和47、48年のころに認められた方法 で、その場合の抽出率というのは約七十五%。だから、日本の摂取基準の場合でトータ ルが0.4ppmで、メチルで0.3 というのはその辺から来ているわけなんですけれども、欧 米、EPA、アメリカとかは魚介類中の貝類は除きますけれども、水銀はほとんどがメ チル水銀ということで、すべて総水銀で評価しているはずなんです。 ○熊谷部会長  非常に基本的な部分なんで、かなり大事な部分ではあると思うんですが。 どうぞ。 ○中垣基準審査課長  今回のこの資料6の試算というのは、メチル水銀として報告があったものについて は、その濃度を使っております。恐らくは、そのメチル水銀として報告したときの検査 法の問題が幾つかあるのかもしれないし、最新の方法にのっとってやられていないのが あるのかもしれないということなんだろうと思います。  一部にメチル水銀としての検査法が不十分なものが仮にあるとすれば、メチル水銀の 数字の代わりに総水銀を用いて計算すれば、安全側によった計算ができるのではないか というのが、坂本参考人の御意見だろうと思います。そこはまたここでのディスカッシ ョンをすればいいんだろうと思います。  と申しますのも、今回のこの資料6は、2つの試算を行っておるわけでございます。 すなわち、資料の9ページにございます別添2というのは、耐容量に2つの仮定を置 く、ベースとなるその他の食品からの摂取量に3つの仮定を置くという計6つの仮定を 置いた上で、すべての調査の平均のメチル水銀濃度を試算の根拠に用いております。そ の上で、食べられる量というのを、これは試算している。すなわち、先ほど、その前の ときに坂本参考人からおっしゃったような、たくさん食べている人はどうするんですか とか、あるいは水産庁から先ほど、参考2で御説明のあったような、マグロで35g と言 っても流通しているものとしてはキハダとかメバチとか、そういうものが主なものだか らというような議論があるわけですが、そういった議論ではなくて、特定の魚を食べる としたら量として一体どうなんだということを試算をしておるのが別添2でございま す。  別添3というのは、1回に食べる量というのを平均量だと仮定をして、その平均量で 食べた場合に何回食べたら、その耐容量を超える超えないというのをやっている。そう いう意味で申し上げますと、1回に食べる量は平均量という仮定を置いておるだけ、別 添3の方が別添2に比べてもう一つ仮定を置いておるということになるんだろうと思う わけでございます。したがいまして、最終的な結論の方向性を諸外国であるとか、ある いは昨年と同じような形で、というようなことを念頭に置いていくと、どれぐらいの量 を食べられるのかというのが議論になってまいるわけでございますし、そういうもので 申し上げますと、別添2の議論がより目的にあった合目的な試算にはなるんだろうとい うふうに考えておるわけでございますし、参考2でお示しいただきましたマグロの摂食 量の中身をより詳細に考えると、メバチとかキハダが多くて、クロとかミナミが少ない というのは、そのとおりだと私も思いますし、長期的な慢性暴露として、どれぐらいの 暴露があるのかというのを試算する際には、恐らくそういったことも参考にするんだろ うと思いますけれども、最終的な注意事項というのが、例えば、カジキだと週に何gぐ らいというような試算をしていくのであれば、別添3とか参考2とかではなくて、別添 2的な試算になっていくんだろうというふうに考えておるわけでございます。この別添 2の試算というのを試算はあくまで目安でございますから、メチル水銀でやるのか、そ れとも先ほど参考人の坂本先生からおっしゃったような総水銀でもやってみるのかとい うような議論は、また当然のことながら、考えなければいかぬのだろうと思っていると ころでございます。 ○熊谷部会長  別添2の数値というのは、もしメチル水銀の回収率を分析の70%と置くと、単純にこ れを0.7 倍すればよろしいわけですか。 ○中垣基準審査課長  先ほど、カジキ、マグロについても御議論があったようにいろんなものがありますか ら、総水銀の平均値で試算をし直すということになると、恐らくは全体的な傾向として は、部会長がおっしゃるように1.2 倍とか1.3 倍とかいうような傾向になるんだろうと 思いますが、魚種によってどうなるのかというのはちょっと予測が付かないところだと 思います。 ○熊谷部会長  事務局に御説明いただいた別添3の数値と、こちらの水産庁から御説明いただいた数 値との違いというのは、要するにマグロ、例えば、クロマグロですと、それをマグロと 置き換えた摂取量を使っているのと、分解して使ったという違いという理解でよろしい わけですね。  御質問ありますか。  先ほど、私ちょっと誤解があるかもしれないんですけれども、メチル水銀と総水銀の データを見せていただいたわけですが、最終的に最後の資料にとりまとめて、お示しい ただいたわけですけれども、方法はすべてその古い公定法と考えて、それはいろいろな んでしょうか。 ○中垣基準審査課長  はい。 ○熊谷部会長  そうですか。そうすると、1つにまとめるというのも、その点を含んだ上でのまとめ というふうに考えるべきなわけですね。そうすると、古い方法と新しい方法との相違と いうのは、回収率で行くと20%ぐらいの違いと思えばいいわけですか。 ○中垣基準審査課長  大ざっぱに言うと、そういう3と4という、すなわち75%程度というのが1つの目安 としてあるんだろうと思いますけれども、個々の事例によって大きく異なりますので、 また必要がございますれば、総水銀の報告された実際の数字に基づく別添2なり別添3 なりというのを用意させていただこうというふうに考えております。 ○熊谷部会長  その総水銀の測り方によっては、総水銀の測定値というのは変わらないものなんです か。 ○坂本(峰)参考人  総水銀は、ほぼどこの施設ではかっても同じ値を出しております。メチルに関しまし て、すべてその総水銀にしていいかというと、クジラみたいに約25%から50%しかメチ ルがないものもありますので、その辺はやはり慎重にしなければいけないのかなとは思 います。 ○熊谷部会長  そうすると、一応データとして、総水銀もメチル水銀も両方あった方がいいだろうと いう考え方ですかね。  御意見あるいは御質問、いただければと思います。  どうぞ。 ○有馬委員  坂本先生の方でおやりになっているこれは、資料No.4−2ですか。冊子の方です ね。この方のところで見ると、メチル水銀の総水銀に対する比率が90%以上ですよとい う数値が出ていますけれども、その前の方に資料No.4−1の方で、これは国立医薬 品食品衛生研究所の方でおやりになっているデータによると、同じような方法で、工程 法とアルカリ分解−ジチゾン抽出法でやられていて、それの結果を見ると、これは232 ページですかね。直接抽出法とアルカリ分解−ジチゾン抽出法と、これは坂本先生の方 でおやりになっている方法だと思うんですけれども、そんなに差は出ませんよというふ うな結果が出ているように思います。  その前のところで、231 ページのところでは、総水銀に対するメチル水銀の比率とい うのが100 %のものもありますけれども、60ぐらいから100 の間でばらついていて、80 ぐらいとかいうのが平均値になるんでしょうかね。そういうふうなデータもありますの で、まだ、今の段階ですべてメチル水銀だというふうなことをこの中で議論をしていい かどうかというか、もうちょっとデータをいろいろ集めてからの方がよろしいのではな いかというふうに思います。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○坂本(峰)参考人  今、そこにいらっしゃる鈴木先生の御主人、元国環研の所長、鈴木継美先生ですけれ ども、昔、ミスター水銀とか言われた先生で水銀に非常に詳しくて、日本の基準値は 0.4 と0.3 はおかしいなと。魚も90%以上はメチルにして考えるべきだと。欧米、アメ リカ、すべてそういうふうな値が出ていますので、75というのを表に出すということ は、ちょっとやはりおかしいのかなという気がします。 ○熊谷部会長  ちょっと時間も迫ってまいりましたので、もし、ほかに今すぐ御意見がありませんで したら、次に進みたいと思います。  次の資料はあるんですね。これで終わりではないですね。  資料7ですか。それについて、御説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料7について御説明いたします。  資料7−1につきましては、冒頭申し上げましたように、今回の部会の概要をとりま とめたものとなっております。  また、資料7−1につきましては、別添として資料が1から4まで付いております が、これにつきましては、既に御説明申し上げました資料の再掲という形で添付させて いただいております。  そして、次の資料7−2につきましては、Q&Aという形になっております。  この資料7−1及び資料7−2は、いずれも関係者の方々に短時間で内容について御 理解をいただくために作成したものでございます。  この資料7につきましては、部会の終了後に厚生労働省ホームページにて公表の方を 予定しております。ですので、内容について御確認いただきまして、特段の御意見がご ざいましたらお願いいたしたいと思います。 ○熊谷部会長  そうしますと、ちょっと資料7−1についてざっと御説明いただけますでしょうか。 ○事務局  それでは、資料7−1について御説明をいたします。  資料7−1につきましては、まず「1.はじめに」という形で書いてございます。こ ちらにつきましては、魚介類等についての栄養学的なメリット、そして、一部の魚介類 につきましては低濃度でありましても水銀を含むと。そして、また一部については高い ものも見受けられるといった一般論について記載してございます。  そして、「2.我が国における『水銀を含有する魚介類等の摂食に関する妊婦等への 注意事項』の見直し」ということでございまして、「A経緯」、こちらは、昨年の注意 事項の公表。そして、その後、JECFAにおきまして暫定的週間耐容摂取量の見直し が行われたということと、諸外国においても妊婦等に対しての一定の注意事項が出され ているということが記載してございます。  Bにつきましては、これらの状況を踏まえて食品安全委員会に対しまして食品健康影 響評価につきまして依頼をしたという内容を記載してございます。  Cにつきましては、本会の議論でございますが、「薬事・食品衛生審議会における検 討」ということでございまして、今回の検討会においては厚生労働省、水産庁、そして 地方自治体等々において実施されました魚介類等に含まれる水銀含有量をお示ししてい るということ。そして、平成13年、14年のデータから魚介類等の摂食量を算出している ということ。そして、これら等を用いて最終的に水銀の摂取量の試算を行い、そして、 耐容量の比較を今回の部会で行ったということを記載してございます。  こちらにつきましても、内容については非常に多くの仮定を含む議論でございますの で、下線が引いてございますが、「しかしながら、耐容量については食品安全委員会の 評価結果に基づく必要があるほか、これらの試算は多くの仮定に基づいておりますの で、正確な御理解をお願いするとともに、報道等に当たっては、風評被害が生じること のないよう御配慮方お願いします」という旨を記載してございます。  そして「3.今後の予定」といたしましては、食品安全委員会の食品健康影響評価の 結果を踏まえまして、薬事・食品衛生審議会におきまして検討を進めたいということを 書いてございます。  なお、文章中の注等につきましてはホームページで参照できる旨を示しております。  次に、資料7−2でございます。  Q&Aにつきましては、7月23日に食品安全委員会に安全性評価の依頼を行った際に おつくりしたものを更に付け加えたものとなっております。  1番については、まず、「メチル水銀による影響を考えると、魚介類は食べない方が よいのですか」等々が始まりまして、2番につきましては経緯。なぜ、この時期に注意 事項の見直しを行うのか。  問3につきましては、今後の予定はどのようになるのかということでございまして、 まず「7月23日、食品安全委員会にリスク評価を依頼しました」ということと、今日で ございますが、2番といたしまして「食品安全委員会における議論と並行して、8月17 日に審議会における注意事項の見直しについて検討を始めたところであり」ということ と、9月17日におきましては意見交換会を開催したいという予定についてお示ししてお ります。  問4につきましては、食品健康影響評価を依頼した事項の内容について御説明をして おります。  問5につきましては、メチル水銀の健康影響というものについて御説明をしているも のでございます。  問6でございますが、こちらが「魚介類等による水銀の摂取量の試算が8月17日に公 表されましたが、どのようなことに注意すればいいのでしょうか」ということでござい ます。これを今回、新たに追加してございます。  1番につきましては、魚介類等は、たんぱく質を多く含む等のメリットを記載してお ります。また、しかしながら、一部の魚介類については水銀濃度が高いものもあるとい うことと、水銀による胎児への悪影響を防ぐ観点から、妊婦等について水銀の接種に一 定の注意が必要であるということを1番に示しまして、そして、17日に公表しました試 算結果については、多くの仮定に基づくものであることを御理解いただきたいというこ と。そして、結論を得るためには食品安全委員会の耐容量の評価等が必要であるという ことについてもお示しをしております。  問7につきましては、注意事項の対象となっておりますマグロにつきまして、摂食量 の違いがあるのはなぜかということについて御説明を申し上げております。これは、先 ほど文章の中で説明しました内容と同様でございます。  最後に、参考といたしまして、平成11年度漁業白書より抜粋いたしました「水産物の 栄養面での特徴」というものを記載してございます。  以上でございます。 ○中垣基準審査課長  今、担当の方から御説明申し上げたとおりでございますが、この資料7−1、7−2 というのは、あくまで事務局でございます厚生労働省基準審査課の名前で出すものでご ざいます。  と申しますのも、本日の会議の冒頭で幾つかのテレビカメラが回っておりましたとお り、それなりの関心があるのだろうと思います。一方におきましては、本日お配りした 資料1から資料6というのも当然公表でございますし、本日の会議も公開で行っておる わけでございますが、一般の方々がぱっと見て御理解いただくためのものというのを用 意しないと、どこかの一部だけ切り取って議論される、関心を呼ぶというのも事務局と してはいかがなものだろうかと思っておるわけでございます。  また、本日の部会で何かの結論を得られたわけでも全くございませんので、今日の部 会の結果というのを説明するということでもなくて、本日の資料、御議論賜った事項等 について事務局としてのとりまとめ、こういう観点の資料である、更には現段階でこう いうふうに考えておるというようなQ&Aをまとめたという性格のものでございます。  是非、そういう性格のものではございますけれども、専門の御観点からここはこう直 した方がいいというような御意見等ございましたら、御指摘賜れば幸いでございます。 ○熊谷部会長  いかがでしょうか。  どうぞ。 ○坂本(峰)参考人  直接、今、まとめられたこととはちょっと違うんですけれども、私もいたずらに水銀 の有害性を唱えるつもりでも全くありませんし、一日平均摂取量というのが魚で80グラ ムとしますと、メチル水銀の摂取量が大体8μg ということになっておりますね。とし ますと、魚の水銀濃度に直しますと、それは0.1ppmになるわけです。  それで、0.1ppmという値が現在、日本人の食べている平均としての魚の水銀濃度であ って、魚をきちんと特定の魚種に偏ることなく平均的に食べていれば、決して高い水銀 濃度のものを食べているわけではないと。  だから、特定の魚に偏るということがやはり特定の魚が持っているリスク、そういう ものを浴びる可能性がありますので、満遍なく魚を食べていればほぼ問題ないというこ とになるかとは思います。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。ほかにございますか。  このQ&Aに書かれている問6のところの水銀の摂取量の試算というのは、具体的に どういう形で公表されるんでしょうか。 ○中垣基準審査課長  それは資料6−1でございます。 ○熊谷部会長  資料6−1を、これは丸ごと公表。 ○中垣基準審査課長  この会議が公表でございますから、ここに出した資料も当然のことながら公表でござ います。 ○熊谷部会長  これらの資料のことを指すわけですね。わかりました。  どうぞ。 ○小松漁場資源課長  資料7−1の13ページのクジラのところで3点ほどありますが、第1点はちょっと御 訂正をいただきたいんですが、我々もうっかりしていまして事前に事務局に言っておく べきだったんですが、クジラの5番目、ニタリイルカというのがありますが、これはニ タリイルカではなくてニタリクジラの誤りです。  イルカとクジラは、学術的にはどちらも鯨類でありますけれども、大きくなったとき の体長4メーターで、4m以上をクジラ、4m以下をイルカと分けております。 第2 点は、先ほどの坂本先生の御発言にも関連するんですが、このデータは13年度の厚生省 の委託研究から持ってきたもので、我々、もっとデータ新しく取り直すということであ れば、例えばイワシクジラなんかは1検体ではなくて数十検体まで持っていけますけれ ども、ごらんいただいてわかると思うんですが、イワシクジラ、ニタリクジラ、それか ら、ミンククジラ、これらはヒゲクジラでございます。  あとは、イルカ類、それから、大型のクジラでもマッコウクジラ、これはハクジラで ありますが、ハクジラはイカなどを中心に食べていまして、食物連鎖が1段上でござい まして、ですから、総水銀やメチル水銀とも高く出てきますけれども、ヒゲクジラはオ キアミとか、食物連鎖の下の方にあるカタクチイワシとか、こういうものを食べていま すので、南太平洋、北太平洋ともメチル水銀、総水銀とも非常に低く出てまいります。  ですから、先ほど総水銀とメチル水銀等の話が出ましたけれども、少なくともヒゲク ジラは何の問題もなくて、多分ハクジラについては、先ほどのクロカジキみたいなメカ ニズムが働いているのではないかと思います。  第3点目は、ちょっと坂本先生の国立水俣病総合研究センターにお願いなんですが、 去年配られたパンフレットでは、クジラを一括しております。多分、それは御研究がハ クジラ、イルカ類を中心だったと思いますけれども、全部のクジラがあたかも悪いよう に書いてありますが、是非、ヒゲクジラの方は何の問題もありませんので、ハクジラと 御訂正をいただければと思います。 ○坂本(峰)参考人  それはうちの方でもそういうふうに出してあると思いますけれども、特にミンククジ ラは普通のアジ、イワシ、サバよりも水銀濃度は低いというのはこちらの方、十分把握 しております。 ○小松漁場資源課長  それでは、是非、もう一度。私は、去年のこの会合で見たときにはクジラと書いてあ りましたので、私の記憶が間違いであれば。 ○坂本(峰)参考人  いや、その中に個々に出してあるものは別に一つひとつ出したとありますし、それ と、問題なのは市販されているもののパッケージにクジラとしか書いていない場合に、 国民がどういうふうな選択肢を持てるかということが問題ですから、種をきちんと書い てあって。 ○小松漁場資源課長  表示の義務づけですね。それはJAS法でもきちんと決まっていますので、その辺も 徹底したいと思います。 ○熊谷部会長  ほかに、御意見ございますか。  どうぞ。 ○伏谷委員  多分、間違いだと思うのですが、資料6の2ページ目の魚類の一番上から2番目、ト チザメというのがありますね。こういうサメはいませんので。多分、ドチザメの間違 い。でも、普通、ドチザメというのは食べないですね。これはちゃんと御訂正願った方 がいいのではないかという。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○坂本(一)参考人  恐らく、沿岸性のドチザメのことだろうと思うんです。これは食べます。一番浅いと ころにいるサメなんですが、普通、生かゆでて食べます。恐らく、普通に取れますの で、そうではないかと思います。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。  特段の御意見ないようでしたら、栄養素の供給源という観点で、今日、参考人でいら しています食品総合研究所の鈴木先生からそこらのお話をいただければと思います。 ○鈴木参考人  資料としますと参考資料No.1というのがありまして、一番最後の方に付いていた ものだと思いますけれども、ここにありますように、確かに魚介類にはいろいろな栄養 成分があります。  2ページ目には、その主たる栄養成分を書いてあります。例えば、ビタミンA、B12、 D3、ビタミンE、カルシウム、鉄、亜鉛、セレンなどとありますが、こういったもの はあくまで栄養成分ですから、足りないと欠乏症というものが出てきます。  欠乏症も右の方に、ビタミンAだと鳥目と昔から言われていますものとか、網膜機能 が低下するとか、このようにごらんのとおりの欠乏症が出てくると。ただし、現在の日 本人ではなかなかこういった欠乏症が出ることに、不足するということは余りない。と いうのは、それだけ食生活がいいということを示していると思います。  しかし、こういったものをほんのちょっと多く取ったからどうかというと、なかな か、それでよりいい効果があるかどうかということはまだ難しいところがあると思いま す。少なくとも、これは栄養成分というのは欠乏するといけませんというものでありま す。  次に、3ページ目になりますけれども、機能成分というふうに書いてありますが、最 近20年ぐらい前からいろいろ食品中の生理機能成分についての研究というのが進みまし て、1次機能というのは、この栄養的なもの。  2次機能は、いわゆるそしゃくとかそういったことと関係がある、いわゆる味とか、 テクスチャーとか、そういったもの。  それから、3次機能として、生体影響の及ぼす機能があるんだということが言われて おります。  その中でも、特に魚介類には、ここに示しておりますDHA、これはドコサヘキサエ ン酸といいます。それから、EPA、これはエイコサペンタエン酸というのでEPAと 言っておりますけれども、学術的にはIPAと言われることがあります。  この2つは脂肪酸です。ですから、油の多い魚類に比較的リッチ、いわゆる豊富な脂 肪酸であります。ですから、クロマグロの脂身とか、スジコ、ブリ、サバとか、こうい ったようなものにDHAが多いと。それから、EPAですと、イワシとか、サバ、ブ リ、マグロの脂身というようなところに非常に多く含まれております。  一方、油以外のものですと、タウリンとかアスタキサンチン、その他まだいろいろあ りますけれども、こんなところが代表的なものではないかと思います。  このDHAというのは、人間の体の中では特に脳に多いんです。それから、網膜のと ころにも濃度的には多く入っております。それから、絶対量としては脳が非常に多い。 脳の細胞膜の中に入っていて、その細胞膜機能と関係があるということまでもよくわか っております。  それから、子どもの場合で言いますと、脳の発達に非常に役に立つということが、ヒ トの研究でも、動物実験でも、また、疫学的な研究成果も出てきております。特に、妊 娠期の最後の3か月には非常に重要であると。というのは、これは未熟児の研究からも そういったことが裏づけられております。  また、最近では、痴呆症の予防にもなるのではないかというようなデータも出ていま す。これは疫学的なデータもありますし、ヒトでの研究が今、始まりつつあるところで ございます。それから、網膜にあるということで視力との関係も多少出てきておりま す。  EPAというのは20年ぐらい前から、皆さん御存じだと思うんですが、エスキモー、 いわゆるイヌイットと言われますが、グリーンランドのところのエスキモーと、デンマ ーク人の食生活を比較したときに、このEPAをエスキモーの人たちがよく食べていた ために血栓症になる人は少ないとかそういったことが疫学的に出てきまして、それでい ろいろ研究してみると、このEPAが非常に役に立っているんだということが言われて います。  タウリンについては、これも大分前から研究されておりますが、サザエとかカキとか イカ、あとはマグロの血合肉、こういったところにも相当入っております。動脈硬化予 防とか、心疾患予防、それから、胆石の予防などの効果が期待されています。  アスタキサンチンにつきましては、まだ十分研究はされておりませんけれども、赤い 色素ということで、サケの赤身、それから、イクラ、スジコ、こういったものの赤い色 です。それから、オキアミの殻の赤いところ、エビの赤いところもそうです。それか ら、マダイなどの表面の赤い色、こういったものは大体アスタキサンチンです。  このアスタキサンチンは、特に生体内の抗酸化作用があるということで、活性酸素を 除くような効果があるということもわかっておりますし、そういったことから、免疫機 能の向上作用なども期待されるということが言われております。  魚介類というのは、こういった機能を非常に多く含むんですけれども、ただ単にこれ を含むから体にいいというだけではなくて、実は、ここは水銀のことについての議論を やっているわけですけれども、メチル水銀というものを考えると、やはり脳に行って脳 での障害ということだと思うんです。  それで、脳の障害の中でもいろいろな説はあるというふうに聞いておりますけれど も、その1つに酸化障害、いわゆる組織を酸化させることから神経細胞のアポトーシス といって、自殺作用が起こって、それで神経細胞が脱落していく、少なくなっていく。 それによる知能障害ということも一つ考えられるということがあります。  と申しますと、実は、このDHA、脳において言いますけれども、たくさん食べます とやはり脳で増えていきます。それで、増えたときに、そのDHAそのものは非常に酸 化されやすいんです。DHAそのものは二重結合をたくさん持ちますので、そこにどん どん酸素を取り込みます。  しかしながら、取り込んだ後のDHAというものは比較的排せつされやすいようで す。結果的に、そういうものを取って脳でDHAが多くなると、脳の酸化ストレス度は 下がる、低くなるということがわかってきております。最近、そこら辺わかってきまし た。そうしますと、動物実験のレベルですが、記憶学習能などはそれに従って高くなっ ていくということもあります。  また、脳の酸化度が下がるだけではなくて、DHAはシナプスというところの細胞膜 に入って、その細胞膜の流動性を若干上げる。そういうようなことも結果としては出て います。まず、1つはそういった酸化障害を逆にDHAは防いでいくということが最近 の知見です。  それ以外にも、このタウリンなどを見ましても、実はタウリンについても、やはり酸 化と関係するグルタチオンペルオキシダーゼなんていう、これは酸化物を除くような酵 素なんですが、こういったものも活性を上げるというようなこと。それから、肝臓とか 膵臓などの過酸化物が実際に減少するというようなこともわかっておりますし、また、 肝臓や何かの薬物代謝酵素活性である、酵素と言われておりますチトクロムP450 など の活性も上げていく。したがって、それは取り込んできた、例えばメチル水銀などの解 毒などにも役に立っているのではないかと思います。  それから、更に皆さん御存じのようにビタミンEは酸化を抑えると言われる一つの、 それ自身も酸化される、酸化ストレスを抑えるというビタミンなんですけれども、こう いったものも、先ほど多目にやりますというお話をしました。 ○熊谷部会長  済みません、時間がかなり迫っていますので。 ○鈴木参考人  わかりました。  更に、アスタキサンチンなども同様の効果というのは期待されています。  それから、先ほどセレンという話も出てきましたけれども、セレンなんかも水銀と1 対1の複合体をつくって水銀毒性を弱めるというような話もありますので、そういった ようなことが全体にあって、ある程度の低いレベルであれば無作用量というものが出て きているのではないかと。そういったことに貢献するようなものでもあるというふうな ことを付け加えさせていただきたいと思います。  以上でございます。 ○熊谷部会長  いろいろ魚の機能について御説明いただきまして、どうもありがとうございました。 今のも含めまして、全体で御意見、いかがでしょうか。  どうぞ。 ○中垣基準審査課長  今、鈴木参考人がおっしゃられた後半部分、すなわち、メチル水銀の健康への悪影響 を打ち消すような成分もいろんな魚に入っているんだというような御発言がございまし た。  これは、最初に伏谷先生がおっしゃられたことと同じなんだろうと思っております が、食品安全委員会の中で評価がされていきますけれども、そのデータというのは先ほ ど申し上げましたようなヒトの疫学調査によるデータでございますから、そういう意味 ではすべてを包含したものになっていくんだろうと期待しておりますし、セレンについ てはお配りしておりますJECFAのデータによりますと、セレンが一定の方向に働く かどうかというのは相矛盾する記述だというふうな結果がございますし、いろんな議論 があるところだろうというふうに考えておりますけれども、いずれにしましても、リス クアセスメントにつきましては食品安全委員会の結果を待ちたいというふうに考えてお ります。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。  ほかに御意見ございませんでしたら、今日は食品安全委員会でまだ評価中ということ で、注意事項の見直しにつきましては結論を得ないということで進めてまいりました。 今後、評価結果が提出された後に注意事項の見直しをここで諮っていくことになろうか と思います。  先ほど来、いろいろ御意見を出していただきまして、それを踏まえて恐らく次回は審 議することになろうかと思います。そういう進め方になろうかと思いますが、御意見ご ざいますか。  特にございませんようでしたら、今後の日程につきまして事務局でございますでしょ うか。 ○事務局  今後の日程でございますが、部会長からお話がありましたように、食品安全委員会で の評価の結果を待ちまして、その評価案が提示された段階で開催をしたいというふうに 考えております。  日程の方は、今のところよくわかりませんので、追って事務局から各委員の先生方に 御相談を申し上げたいと思います。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。  それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。どうもありがとうござ いました。                                       了 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2488,2489)