04/08/06 感染症分科会感染症部会新型インフルエンザ対策に関する検討小委員会第九回議事録  厚生科学審議会感染症分科会感染症部会 新型インフルエンザ対策に関する検討小委員会                     平成16年8月6日(金)                    15:00〜17:00                                      厚生労働省共用第8会議室(6F)                    議  事  次  第 1.開  会 2.議  題  1)新型インフルエンザ対策検討小委員会報告書(案)について  2)その他 <資料> 資料1 新型インフルエンザ対策検討小委員会報告書(案)【見え消し版】 資料2 新型インフルエンザ対策検討小委員会報告書(案)【反 映 版】      資料2 ワクチンワクチン 1資料1資料1参資料考資料2−2 鳥インフルエンザ 緊急総合対策について ○廣田委員長 それでは、時間がまいりましたので、ただいまから第9回「新 型インフルエンザ対策検討小委員会」を開催いたします。 では、初めに牛尾課長にごあいさつをお願いします。 ○牛尾結核感染症課長 皆様方にはお忙しい中、またお暑い中、第9回新型イ ンフルエンザ対策に関する検討小委員会にお集まりいただきましてありがとう ございます。 昨年の10月に第1回目の委員会を開催しまして、本日が9回目となるわけで ございますが、この間に我が国におきましても高病原性鳥インフルエンザが発 生し、この委員会でもその対策について御検討いただいたところでございます が、更に新型インフルエンザ対策について、なるべく早く次の一歩を踏み出す べき必要があるというふうに考えております。 そういう意味では、まだまだ 詰め切れていない点もあり、御議論もあるかと思いますが、そのような観点か ら、本日はこの報告書をとりまとめていただいた上で、一旦はこの検討委員会 を閉じさせていただきたいというふうに考えております。 しかしながら、今後も新型インフルエンザ対策を進めていく上で、また新た な局面を迎えるようなことがありましたら、その際は再度お集まりいただくこ ともあるかもしれませんので、その節は何とぞよろしくお願い申し上げます。 そして、本日のこのとりまとめの会議となるわけでございますけれども、健 康局長の田中が出席し、皆様方にお礼とごあいさつを申し上げるべきところで ございますが、昨夕から広島の原爆記念式典に出席しておりますので、局長に 代わりまして、私から委員並びに参考人の先生方に、この間の熱心な御検討に ついて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。 さて、本日の議題でございますが、お手元の議事次第にございますように、 前回、前々回と、この報告書案について2回に分けて御議論をいただきました が、その御議論いただきました意見に基づきまして、報告書案を修正したもの を本日の資料として準備させていただきました。本日は、変更のあった点を報 告書全体について御確認いただきたいというふうに思っております。 それで、資料でございますが、どういう点に御議論があったかという点を「見 え消し版」ということで資料1。 そして、それらを反映させたものを資料2ということでお配りしているとい うことでございます。 それから、本日の議事に入ります前に、7月に健康担当参事官として異動し てまいりました瀬上参事官を御紹介させていただきたいと思います。 ○瀬上参事官 瀬上でございます。よろしくお願いいたします。 ○牛尾課長 また、本日は喜田委員、韮澤委員からは所用により御欠席との御 連絡をいただいております。 また、加地参考人、菅谷参考人には本日も御出席いただいております。あり がとうございます。 それでは、委員長、よろしくお願いします。 ○廣田委員長 それでは、議事に入りますけれども、本日の議題1の「新型イ ンフルエンザ対策検討小委員会報告書(案)について」でございます。 前々回は前段部分、前回は後段部分について議論をいただきました。今回は 報告書全体についてこれでよいか、最終的な内容の御確認をいただきたいと思 います。 それでは、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 資料について、御説明いたします。座って御説明します。 本日お配りしております報告書案は、これまでお示しいただきました原案を 基に、前回までの委員会でいただきました御意見を反映して作成しております。 資料1については、先ほど課長が申しましたように「見え消し版」。 資料2については、「反映版」。 それで、2つの内容は同じものとなっております。 本日は、資料1の「見え消し版」を基に御説明してまいります。 それでは、今から本文の説明に入ってまいります。 まず、「目次」ですけれども、「I.はじめに」「II. 新型インフルエンザ の危機」「III .前回の報告書以降の取組」「IV. 新型インフルエンザに関す る危機への対応」「V.医療供給体制」「VI. 治療薬」「VII .新型インフル エンザワクチン」「VIII.検査等」「IX. 国際的な連携」「X.終わりに」 「XI.資料」の構成となっております。 なお、前回の御議論の中で、新型イ ンフルエンザ発生当初の対応としてはまず治療薬があり、そしてワクチンが生 産されるという観点から、まずは治療薬について論じる方がよいとの御指摘が ございましたので章の順序を変え、「VI. 治療薬」「VII .新型インフルエン ザワクチン」としました。 また、その際に、患者推計が先に来た方がわかりやすいという観点から、患 者推計について記述しております「V.医療供給体制」を先に置いております。 それでは、次の2ページ目をごらんください。 「I.はじめに」については今回が初めての提示でございますので、全文を 朗読させていただきます。 (資料1の2ページ1行目より3ページ最後まで朗読) ○廣田委員長 この部分、御意見ございますでしょうか。 どうぞ。 ○加地久留米大学名誉教授 ちょっと言葉の問題ですけれども、3ページのと ころの上から5行目ですか、「感染拡大を遅らせ」と書いてありますね。これ は、そうなると何となく受け身の感じが強くて、後から出てくるところでは感 染拡大を防止するという言葉になっておりますね。遅らせると言うと、広がる のはやむを得ぬのではないかというような感じになってしまいますから、やは り少し積極的な意味で、防止という言葉、後の方では、例えば23ページみたい なところでは防止と出てくるんです。そう思います。 ○廣田委員長 ほかにございますでしょうか。 それでは、ちょっとまとめて、次にお願いします。 ○事務局 それでは、「遅らせ」の箇所を「防止し」に修正させていただきま す。 続きまして、「II. 新型インフルエンザの危機」に移ります。 主に、変更した箇所について説明させていただきます。 「1.新型インフルエンザ出現の可能性 「過去における新型インフルエンザについては、大正7年(1918年)にスペ インインフルエンザが、昭和32年(1957年)にアジアインフルエンザが、昭 和43年(1968年)に香港インフルエンザが、昭和52年(1977年)にソ連イン フルエンザが出現している」。「の」を「に」に訂正をお願いいたします。 以下の「10年から」以降の文については周期説ですけれども、前回の御意見 を基に削除いたしております。 また、「スペインかぜ」などの表記については、前回の意見を基に「スペイ ンインフルエンザ」などに変更し、括弧書きの「注」に記載しております。 続けて説明させていただきます。 4ページの下の行について、前回の御意見を基に、最初の「特に」は削除さ れておりますが、それ以降の文を今から述べるように変更しております。 「高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染事例を踏まえ、病原性 の特に強い新型インフルエンザウイルス出現の可能性も念頭に置く必要があ る」。 次のページ、5ページをごらんください。 「2.新型インフルエンザ出現理論」。 この出現の理由につきましては、前回の意見を基に順序を並べ替えさせてい ただいております。内容について変更はありませんので、朗読は省略いたしま す。 次のページ、6ページをごらんください。 「4.新型インフルエンザの亜型予測と出現の可能性」。 これにつきましても、特に変更ございません。 次のページをごらんください。 7ページの真ん中、言葉の修正で1か所、「伝播性」のところを「伝染性」 と変更しております。 続きまして、「5.新型インフルエンザが出現した場合の影響」。 最初のポツから数えて3行目から、「我が国においても約38万9千人が死亡 し、社会活動にも甚大な被害・損失を与えたことが記録されている」と。まず、 スペインインフルエンザの人数について、加地先生、菅谷先生等の御指摘を基 に修正を行っております。 また、その次のポツ「1957年のアジアインフルエンザや1968年の香港イン フルエンザでも世界全体で百万人程度の死亡者が記録されており」、ここも数 の訂正を行っております。 次のページをごらんください。 上から5行目からの修正でございますけれども、「より短期間に地球全体へ 波及し、もし、予め適切な備えをしていなければ、かなりの健康被害が出現す ることを想定しなければならない」と、アンダーラインの箇所を修正しており ます。 次に「6.新型インフルエンザへの対応の基本姿勢」です。 ここは、前回の御指摘を踏まえまして、「整理」という言葉を「準備」とい う言葉に変えております。 以上でございます。 ○廣田委員長 ただいまの4ページから8ページまでで御意見がございました ら、お願いします。 どうぞ。 ○加地教授 さっきと同じことで、8ページの最後のところは、ここもやはり 「感染拡大を遅らせ」と書いてあるんです。8ページの下から5行目ですか。 やはり、これは感染を防止とか阻止とかいうこと。 それから、もう一つは言葉でちょっと気になるんですけれども、4ページで 真ん中辺り、「注」のところで、スペインかぜ、アジアかぜ、香港かぜという のをこれからはスペインインフルエンザ、アジアインフルエンザにするという ところの「注」なんですけれども、ここのところで「注」の2行目、「インフ ルエンザはただのかぜとは異なる」というのはちょっと何となく文章としてお かしいので、これは思い切ってのけてしまって、私もインフルエンザはインフ ルエンザウイルスの感染による独立した疾患でとか書いた方がいいかと思った んですが、そういうのも余り詳し過ぎるので、これまでアジアかぜ、香港かぜ、 ソ連かぜと表記したものについては、本報告書ではそれぞれスペインインフル エンザ、アジアインフルエンザとするということでもいいのではないでしょう か。 ○廣田委員長 ほかにございますでしょうか。 どうぞ。 ○岡部委員 ちょっと済みません、前に戻る。 この報告書は委員会が国に対して提出する報告書というふうに考えていいん ですね。そうすると、「I.はじめに」の3ページの一番最後のポツなんです けれども、委員会がまとめておいて委員会に御礼を申し上げるのも変ですから、 これは削除の方が委員としてはいいのではないかと思いますが。参考人はおい でいただいたので、謝意は当然入ってもいいと思います。 ○田代委員 「各委員及び」は除いたらいいのではないでしょうか。 ○加地教授 それは、参考人もいいのではないでしょうか。最後の3行、そう いうことであれば、除いていただいた方が。 ○廣田委員長 それでは、まとめて、次に。 ○事務局 それでは、まず3ページの謝意については、この場で表させていた だくということで、この3行を削らさせていただきます。 続きまして、8ページの「感染拡大を遅らせ」を「防止し」に変えます。 4ページ、「インフルエンザはただのかぜとは異なるという観点から」、こ のフレーズを削除いたします。 以上です。 先生、続けてよろしいでしょうか。 ○廣田委員長 それでは、次、お願いします。 ○事務局 それでは、続きまして9ページ以降、「III .前回の報告書以降の 取組」について御説明してまいります。 「1.インフルエンザ対策に関する法的な整備」。 括弧書きで書いております、「(参考)前回報告書以降の法改正」、これに つきましては、法律名を正確に記載するという修正を行っております。 続きまして、「2.インフルエンザ総合対策」。 これについては、特に変更ございません。「が」というのが一言修正をして おります。 続きまして、10ページ「3.発生情報の収集、分析及び還元【国 内のサーベイランス】」について。 これにつきましても、前回の指摘を踏まえまして、平成11年の法改正で内科 の定点が追加されたことを加筆しまして、ポツの終わりの方から、「それまで の小児科定点に加え内科も定点として追加されたことにより、成人(高齢者を 含む)のインフルエンザも報告の対象となるとともに」という行を挿入してお ります。 また、10ページの最後の「流行中に」というのは、これは必ずしも流行中だ けにとらえられるものではありませんので、「流行中に」という言葉を削除し ております。 続きまして、11ページをごらんください。真ん中「【国際的なサーベイラン スに関する取り組み】」。 これにつきましては、感染症情報センターの御助言を基に記述の見直しを行 っておりますので、朗読させていただきます。 (資料1の11ページ13行目より12ページ4行目まで朗読) ○事務局 以上のように加筆・修正をしております。 続きまして、「4.情報の提供」。 これについては、表記については特に変更しておりませんが、前回御指摘を 受けました「多元電話会議システムの導入」という言葉でよいかという点につ きましては、厚生科学課にも確認した上で、問題ないという意見をいただいて おります。 続きまして、「5.ワクチン」について。 これも同じく、前回の意見を基に12ページの一番下の行、「平成11年度補 正予算の補助金により、新型インフルエンザワクチン製造に必要なバイオセー フティレベルの確保を目的として、製造施設の整備が行われた」。この行を挿 入しております。 続きまして、真ん中少し下の「国立感染症研究所においても、新型インフル エンザワクチンの開発に必要となるリバース・ジェネティクス技術(弱毒化技 術)に関して、特許権の問題は残るものの、同技術について修得している」と いうふうに、表現を一部改めております。 肺炎球菌についても記述する必要があるという御指摘を踏まえまして、13ペ ージの一番下の段落に1文を挿入しております。「肺炎球菌はインフルエンザ 合併症の主要な起炎菌であることから、肺炎球菌ワクチンの接種について、厚 生労働科学研究にて検討が行われている」。 続きまして、「6.検査」に移ります。 この項目につきましては、経済課のデータに基づきまして、1,500 万から1, 550 万に数字の修正を行っております。 「7.抗インフルエンザウイルス薬」について、内容に特に変更はございま せん。 「8.医療体制の整備」。 次のページをごらんください。 15ページ、一番下の3行を、ここではSARSの入院対応医療機関の段落を 削除し、感染症指定医療機関のみの表記としております。 以上です。 ○廣田委員長 以上、今の9ページから15ページの記載について御意見がござ いましたら、お願いします。 岡部先生、どうぞ。 ○岡部委員 10ページの「【国内のサーベイランス】」のところなんですが、 前回のときに指摘しておけばよかったんですが、従来、今までの定点数はたし か2,500 か所、正確に言うと2,400 です。ちょっと数を調べて。多分、2,400 か2,500 かどちらかの数を使っていると思います。 ○廣田委員長 稲松先生、どうぞ。 ○稲松委員 13ページの「肺炎球菌はインフルエンザ合併症の主要な起炎菌」 だけは、もうちょっと説明が必要な気がしまして、インフルエンザに合併する 2次細菌感染症のとか何かちょっと入れないと、文章がおかしいような気がし ました。 それから、質問なんですけれども、抗インフルエンザウイルス製薬の新たに 出てくる可能性はないんですか。現在開発中とか、そういう問題は。 ○事務局 研究レベルとしては研究が進められておるというふうに聞いており ますけれども、この章では、これまでの取り組みについてのみ記述しておりま すので、そこについては触れておりません。 ○廣田委員長 田代先生。 ○田代委員 細かいことですけれども、11ページの真ん中辺ですけれども、 「WHOインフルエンザ指定協力センター」というのは、この「指定」が要ら ないです。 ○廣田委員長 ほかにございますか。 14ページの一番上ですけれども、この「インフルエンザ迅速診断キット」が、 この報告の中で「迅速検査キット」と言葉が2種類出てきますので、これはど ちらが正しいんですか。 ○加地教授 「迅速診断キット」でいいのではないでしょうか。 ○廣田委員長 菅谷さんはどうですか。 ○菅谷けいゆう病院部長 別にこれも、どちらでもいいと思います。統一した 方がいいと思いますけれども、どちらでも。 ○廣田委員長 それでは、「迅速診断キット」で統一をお願いします。 ○事務局 わかりました。 ○廣田委員長 ほかにございますでしょうか。 それでは、まとめて、次にお願いします。 ○事務局 それでは、修正箇所を確認させていただきますと、まず10ページ、 サーベイランスの定点数については「3,000 」を「2,500 」もしくは「2,400 」、 これについては調べた上で修正を行います。 続きまして、11ページ「WHOインフルエンザ指定協力センター」の「指定」 を取ります。 13ページ「肺炎球菌ワクチンはインフルエンザに合併する2次細菌感染症の 主要な起炎菌であることから」というふうに、本文を訂正させていただきます。 それでは、稲松先生、これでよろしいでしょうか。 ○稲松委員 はい。 ○事務局 それでは、そのように訂正させていただきます。 済みません、最後に迅速診断キットについては、言葉を統一いたします。 以上です。 それでは、続きまして、16ページ以降について説明させていただきます。 「IV. 新型インフルエンザに関する危機への対応」。 これにつきましては、前回までの御意見を受けまして、WHOのレベルとの 違いを明確にするため、「レベル」という言葉を「状況」という言葉に置き換 えました。 また、同じく状況の「0〜V」という表記では危険度がまさに段階的に徐々 に上がっているかのような印象を受けるという御指摘がございましたので、 「状況A〜F」という表記としております。 「1.状況別対応の考え」。 この項で出てくる変更は、「状況」という言葉への変更によるものです。 「2.各状況の定義」。 これにつきましても、前回の御意見を踏まえまして、まず状況A〜Fは必ず しも連続でないこと。そして、この状況別対応に鳥インフルエンザへの対応を 置いている理由を書いております。 真ん中下の「状況A〜Fは、必ずしも時系列に対応したものではなく、例え ば、状況Aから一気に」、済みません、以下はアンダーラインはありますが、 場所の移動で、変更はございません。 次の一番下のポツ、「(高病原性)」については新たに挿入しましたので、 一文を朗読いたします。 (資料1の16ページ16行目より最後まで朗読) ○事務局 続きまして、少しページが飛びまして18ページ、「3.各状況の対 応方針」。 「(1)状況A(平常時)」。 この最初の文中では、前回の指摘を基に、「毎年のインフルエンザ対策の積 み重ねの上に成り立つとの認識のもとに」という部分を削除しております。 続きまして、19ページの2行目、「亜型まで検査可能な迅速検査キット」、 ここまでは必要ないという御意見をいただきましたので、この部分を削除して おります。 続きまして、同じく19ページの「(2)状況B(海外での鳥インフルエンザ 発生時)」については、特に変更ございません。 続きまして、20ページ、「(3)状況C(国内での鳥インフルエンザ発生時)」。 2枚めくっていただきまして、22ページ、真ん中少し上の「オ.医療・検査 体制の整備」につきましては少し表現の見直しを行いまして、「鳥インフルエ ンザウイルスに感染した患者では、重症例の頻度が高いという海外の事例に鑑 み、適切な医療を提供するという観点から、必要に応じて個室に入院を求め、 抗インフルエンザウイルス薬の投与等による確実な治療を行う」のような修正 を行っております。 少し長くなりましたので、一旦、ここで切らせていただきます。 ○廣田委員長 それでは、16ページから22ページの間で御意見がございまし たら、お願いいたします。 ○加地教授 19ページの「(2)状況B」ですか、そのところの「ア.情報の 収集・分析」のところの3行目には、「疫学及び臨床データやウイルス材料の 収集」と書いてあります。それで、臨床データというのはやはり非常に必要だ と思いますが、そうすると、その次の行で、「得られた情報等については」と いうところで、「遺伝子レベルの解析」「新型インフルエンザワクチン候補株 の開発」の次に、例えば臨床の立場から言えば治療方針へのサジェスチョンと いうか、治療方針への示唆をすることなんかが必要だろうと。わざわざ臨床デ ータを収集すると書いてありますから、それを役立てるために、それはやはり 非常に、後で抗インフルエンザウイルス薬の使用とかいろいろ出てきますので、 それに参考にするためにも、やはり治療方針への何らかのサジェスチョンをす るようにという言葉を入れてもらっておいた方がいいのではないかと。 ○廣田委員長 そのサジェスチョン、何かいい日本語になりませんか。 ○加地教授 余りいいかどうかわかりません。治療方針への示唆等を勧めるこ とが求められるとか。もうちょっといい言葉があれば変えていただいて結構で す。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○菅谷部長 16ページのところに、「表1 新型インフルエンザに対する状況 別対応」のところなんですが、私、この前もちょっと気になったんですけれど も、これでやっていくと、例えばずっと高病原性鳥インフルエンザが出ると今 度、そのまま新型インフルエンザにいくのではないかという非常に誤解される 面があるから、そこの区別のために一言入れておいた方がいいと思います。 高病原性鳥インフルエンザが出ているということは、当然、新型インフルエ ンザの可能性は確かに高めているけれども、つまり、例えば高病原性鳥インフ ルエンザは家禽等の濃厚な接触をした場合にまれにヒトに感染することはある が、高病原性鳥インフルエンザのヒトへの感染が起きても、それが直ちに感染 力の強い新型インフルエンザの発生につながるわけではない。こういうような 文章を入れておくことを提案したいと思います。 というのは、そうしないと、もしも日本でもまた起きてヒトへの感染例も出 ると、もう新型インフルエンザという騒動になって、そこは誤解がまた、ヒト からヒトには感染しないんだとかそういうのを紛らわしいと思いまして。 ○廣田委員長 いかがでございましょうか。 岡部先生、先生のセンターからホームページとかでそういうことをよく流し てありますね。それとの関連で、個々に書くか。そういった広報の一環みたい なので対応できるから、個々に書いた方がいいかというようなことですけれど も。 ○岡部委員 それは、ホームページの方にはたしか鳥インフルエンザの説明で は類似の言葉は書いてあると思います。ここで一報を入れるかどうかというの は、入れた方が念のためにはなるということでしょうか。 ただ、危惧しているのは、今までのところはダイレクトに感染はないけれど も、理論としてはそれがヒト・ヒトにいく可能性があるから危惧しているわけ ですね。 ○廣田委員長 余り安心されても困るんですね。 ○岡部委員 はい。余り安心されても困るというのは。 ○田代委員 あえて書く必要はないと思います。 ○加地教授 ここは、このままでいいのではないでしょうか。 ○廣田委員長 ここまでで、ほかにございませんでしょうか。 それでは、まとめて、次に行ってください。 ○事務局 それでは、まず、高病原性鳥インフルエンザに対してのアナウンス をここに載せるか否かにつきましては、結核感染症課の方できちんと情報提供 を正しくしていくということを徹底したいと思いますので、皆様方の意見を集 約しまして、ここへは記載せずに現行のままいかせていただきたいと思います。 また、19ページにつきましては、治療方針への示唆という言葉を挿入すると いう変更を行います。 以上です。 ○廣田委員長 ちょっと済みません、今、治療方針への示唆というのが、治療 方針への反映。 ○加地教授 治療方針への反映。いいですね。どうぞ。 ○事務局 それでは、治療方針への反映という言葉を挿入させていただきます。 それでは、続きまして、22ページ、「(4)状況D(海外での新型インフル エンザ発生時)」に移ります。 まず、「ア.法整備」は「ア.法の適用」という言葉に御指摘を受け、変更 しております。 また、同じく前回の御指摘のとおり、冒頭に「WHOが」を挿入しておりま す。 以下は、言葉を少し見直しております。 続きまして、23ページ、「カ.医療・検査体制の整備」につきましては、ペ ージとしては次のページになりますけれども、24ページの一番上のポツから、 「海外から新型インフルエンザ患者が入ってくるなど、国内で新型インフルエ ンザの患者が発生した初期の段階では、感染症法に基づき入院勧告を行うこと もあるので、各都道府県において陰圧病床の確保に努める。また、すぐに、多 数の患者が発生することも想定されることから、一般病床の活用も検討する」。 前回までの意見を踏まえ、以上のように書いております。 続きまして、24ページ、「(5)状況E(国内での少数・限定的な新型イン フルエンザ発生時)」。 これも、前回の意見を反映し、「国内での少数・限定的な」という一言を挿 入しております。 続きまして、25ページ、「エ.医療・検査体制の整備」。 これも1枚めくっていただきまして、「状況Dで確保した病床以上の患者発 生数も想定して、各都道府県等において一般病床等の患者治療施設の確保を行 う」というふうに修文を行っております。 続きまして、同じく26ページ、「(6)状況F(新型インフルエンザ大規模 発生時)」の対応でございます。 1枚めくっていただきまして、「ウ.医療・検査体制の整備」。 まず、ここの最初のポツの修正。これは、他の状況と表現をそろえるような 変更を行っております。 (資料1の27ページ16行目「併せて」より28ページ4行目まで朗 読) ○事務局 続きまして、「エ.ワクチン接種」は、特に変更ございません。 「オ.記録の整備」。 これは、汎流行については記録の整備が必要であるという御意見をいただき ましたので、これを加筆しております。 「・新型インフルエンザワクンの流行について、疫学、ウイルス学、ワクチ ン学、免疫学、病理学、臨床医学などの広範な知見を記録し、整理し、保存す る。また実施された対策野評価・見直しを行うことが、以後の対策の上でも重 要である」。異常のように変更しております。 以上です。 ○廣田委員長 それでは、この22ページから28ページ、御意見がございまし たら、お願いいたします。 稲松先生。 ○稲松委員 インフルエンザの感染が空気感染と考えるか、飛沫感染と考える かという常識があって、一応、飛沫感染で考えましょうということになってい るんだろうと思いますけれども、そうすると、N95マスクは不要。 それから、陰圧室はどうしようかという話になるんですけれども、それで、 余り高いレベルのものを求めてしまうと、実際上の多くの施設で対応できなく なってしまうというのがあるので、高病原性の鳥型がヒトに感染して、当初、 対応が困る段階では、対応がわからない段階ではそれは必要かもしれないけれ ども、適当なところでそこを緩めておかないと、実際上、現場で対応できなく なってしまう可能性があるんです。 飛沫か、空気かというところをきちっとしておかないと、ちょっと混乱する ような気がするんですけれども。 ○廣田委員長 飛沫か、空気かをきちっとするのと、N95マスクというもの、 2つ一緒に出てくるとものすごく混乱すると思うんですけれども。 ○加地教授 稲松先生が私の方をごらんになったので、ちょっと。 インフルエンザの場合は、飛沫感染と、いわゆる空気感染と両方考えておか なければいけないと思います。 ただ、全般的に考えれば、一般の場合であれば飛沫感染でよろしいんですけ れども、閉鎖された空間、例えば病室とか、病院とか、あるいは一般の場所で も閉鎖された空間にたくさんの人が集まると。そういうときには空気感染が起 こるし、流行の立場から考えるならば飛沫感染の方が非常に重要な役割を演ず るわけですけれども、飛沫感染も当然起こると。 それで、一般の方の場合の注意としては飛沫感染の注意というのが一般的で すけれども、流行時にはそういう閉鎖された空間のところに行くという場合に は空気感染も考えなければいけない。 したがって、病院なんかの患者さんを収容しておる病室とか、病院の院内感 染とかというようなものを防ぐ立場から言えば、空気感染も必要である。 ○稲松委員 ということをきちっと書いておかないと、現場で結構困るんです。 飛沫感染とここには書いてあるのに、どうしてN95が必要なのかとか、そうい う質問にちゃんと答えられる括弧にしておかないと、きっと現場で困ると思う んです。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○加地教授 例えば、病院の院内感染を防止するという立場であれば、例えば たくさんの患者が、大部屋の患者さんのうちで1人発病すれば隔離せぬといか ぬわけです。これは、飛沫感染ならば限定されております。空気感染が起こり 得るから大きい、患者さんがたくさん、5〜6人部屋とかというときには患者 さんを移さなければいけない。そういう意味で、やはり空気感染というのは必 要な局面というのは多々あるわけです。 一般の方の場合には、それは飛沫感染でもいいんですけれども、だから、そ このところが難しいですけれども、両方、感染経路としてはあるということは あるんです。 ○菅谷部長 今、稲松先生の言ったこと、実はすごく実際問題的に重要なので、 つまり、今、院内感染のことがすごく進んでしまっているので、空気感染と言 うと同じ病棟に入れてもいけないということになって個室隔離もだめというこ とになって、だから、他の全然、病棟の個室隔離は空気感染のヒトは原則は絶 対だめだから、どこか別の病棟に移さなくてはならないから、この辺のことは 実際問題としては現実的に対応するとは思いますが、ここに余り厳正に書いて おくと、それでなくてはいけないのではないかということになると、うちの病 院には入院させられないということになってくると思います。 ですから、「陰圧病床」と書くと、これはうちの病院は無理だという雰囲気 が出てくるから、もうちょっと、当然大部屋でずっと、その患者さんを入れる のは無理だとしても、できたら個室管理にするというのが今の現状だと思うん ですけれども、それに合ったような書き方をしてしまって、院内感染委員会と いう院内感染の対策のヒトたちは、陰圧病床と言われれば同じ病棟には入れら れないと考えてしまうと思います。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○加地教授 厚生労働省で出しておられる院内感染対策のマニュアルには、大 体そんな厳密な陰圧病床とまでは書いていなくて、個室に移すとかという程度 まで書いてあると思います。SARSみたいに陰圧病床とまでは書いていない。 ○稲松委員 だから、この中にどこまで書くかの問題をきちっとしておかない と、現場ではどうしても重く重く取ってしまうので。 ○菅谷部長 N95マスクのことについては私もそう思ったんですけれども、こ れは外科医はサージカルマスク、あるいはN95マスクというような考え方らし いんです。N95マスクをぱっと推奨しているのではなくて、原則的にはサージ カルマスクでいいような考えでこの文章をつくられていると私は聞いたんです けれども、だから、確かにN95マスクで陰圧と言うと、これはここにまで書く と院内感染対策をやっているヒトたちは非常に困る可能性はあるから、このマ スクの書き方はやはりサージカルマスク、あるいはN95マスクぐらいの書き方 にして、あと陰圧病床の扱いは私は個室管理ぐらいの感じがいいと思うんです けれども。 ○廣田委員長 この陰圧病床は、状況Dですね。 ○菅谷部長 Dということは。 ○廣田委員長 だから、海外発生時で、それが日本に入ってきた初期の段階で すね。 24ページです。上から2行目、「海外から新型インフルエンザ患者が入って くるなど、国内で新型インフルエンザの患者が発生した初期の段階では、感染 症法に基づき入院勧告を行うこともあるので、各都道府県において陰圧病床の 確保に努める」と。だから、これはそういった初期の段階で、入院勧告でさえ 行われる可能性がある時期のことですね。 だから、ここの陰圧病床はどうなるんですか。私は何か、この段階では確保 に努めておいた方がいいような気がしますけれども。 ○菅谷部長 まだ最初の段階で、最初の。こちらの方が。 ○廣田委員長 いいですか。 ○菅谷部長 ただ、稲松先生が言ったそのこととちょっと違って、新型インフ ルエンザが出た場合の患者の対応を院内感染対策的に言うと空気感染に置くの か、飛沫感染に置くのかという意味ですね。だから、最初の段階では空気感染 として扱って、次の段階では飛沫感染ということになるんでしょうか。 ○稲松委員 だから、どの段階でそうするかということを。 ○廣田委員長 ちょっと事務局の方から説明を。 ○事務局 まず、事務局案を踏まえてちょっと御説明してまいりますけれども、 院内感染対策については、実は稲松先生から御指摘がありましたとおり、31ペ ージに少し書いておるんですけれども、31ページの「3.院内感染対策」のと ころで少しわかりやすいように例示を加えておりまして、「新型インフルエン ザ患者と他の患者とは、病室、病棟を別にするなど、各医療機関ごとに院内感 染対策の強化を図ることが重要である」と修正をしておりまして、この中で、 その前に書いておりますように、「『インフルエンザ施設内感染予防の手引き』 等を参考に」ということで、細かい、このような状況ではこうしてくださいと いうことはここで書いていただくということにしておりまして、この報告書は 基本方針を示して、より多くの人に読んでもらうものであるという観点から、 そこについては専門のところに譲りたいと思っております。 また、今、研究班におきまして、この状況ではこういうことをやった方がい いということを少し細かく書いていくことを検討していただいておりますので、 今回の報告書は、まず院内感染はこのような形で書かせていただきたいと思っ ております。 もう一つ、N95マスクかどうかということにつきましては27ページに戻っ ていただきたいんですけれども、この章で書いてある内容といたしましては、 必要なものをきちんと確保し、流通に努めるような必要があるということでご ざいますので、ここでは「(N95マスク推奨)」という1文を取っても十分に 流れは通じるところなのかなというふうに思っております。 以上のような修正でいかがでしょうか。 ○廣田委員長 いかがでしょうか。 ○稲松委員 現場が、患者さん側から厚生省の文書にはこう書いてあるのに、 この病院ではちゃんとしていないではないかということを我々が問われてしま うんです。そのときに言い訳できなくなってしまうんです。その結果が、いや、 うちではインフルエンザの患者は診れませんになってしまうんです。そうしな いための段取りというか、少し付けておいてほしいんです。趣旨はそういうこ とです。 ○廣田委員長 わかりました。 ○岡部委員 でも、それが、この場合の状況E、Fということで分けてあって、 状況Eの限定的な場合は極めて限定的な治療をするけれども、大規模発生にし た場合にはそれでは無理だからと言っているので、ちょっと状況が違うと思う んです。 小規模発生の場合は、やはり一般の医療機関では、もし本当に新型インフル エンザだとなれば継続してみるのはよくないわけですから、私はこのままでい いのではないかと思います。ただ、N95とかそういうようなことは限定する必 要はないだろうと。 ○加地教授 今、岡部先生の御意見でいいと思いますが。 ○廣田委員長 わかりました。 それでは、まとめて、次に行きましょう。 ○加地教授 それから、26ページの「オ.ワクチン開発」というところの3行 目に「ワクチンの生産には最短でも半年程度」と書いてありまして、これは生 産だから半年でよろしいんですか。後の方では、開発には5年かかるとか、こ の前の前回でも、田代先生のお話で随分長いことかかるようなことがありまし て、ここでは「半年」と書いてあるんだと。 ここはどうなんでしょうか。生 産に取りかかれば半年でできるという意味でしょうか。○田代委員 そうです。 ○加地教授 開発は5年ぐらいかかると。 ○田代委員 開発はゼロからの開発です。 ○加地教授 だから、ここはそれでよろしいですか。 ○田代委員 そうです。 ○加地教授 その場合には、そうすると、もし間に合わない、まだワクチン接 種できない段階で流行が既に始まっておるというときにはどうしたらいいかと いうのを、何かどこかで触れる必要があるのではないかという気はしますが。 予防のFとかなんとかもあるのかもしれませんけれども、どこかに書いて。 これではワクチンが間に合わない、流行が始まっている、どうするかというこ とは触れていないんです。そこは雪下先生、非常に一般に患者さんを診ておら れる立場だと切実な問題になってくるのではなかろうかと思いますが。 ○廣田委員長 田代先生、どうぞ。 ○田代委員 新型ウイルスが見つかって、ヒトの世界に入ってきて広がり始め たとわかってから実際にワクチンが供給されるまでに半年くらいかかるわけで すけれども、その間、積極的な治療方法というか、対策としてはやはり抗ウイ ルス剤だと思うんです。 ですから、そのために発生すると考えられる、投薬が必要と考えられる患者 数を算定して、それに十分に供給できる量の備蓄をしておくという方針ではな いかというふうに理解していますけれども。 ○加地教授 先生、その場合は予防投与ではなくて治療の目的ですか。例えば、 医療従事者とか、いろんな立場があるでしょうけれども。 ○田代委員 それは前回、ディスカッションをしたところなんですけれども、 実際、どのくらいの期間、流行が続くかどうかはわかりませんけれども、6週 間から8週間くらいは続くだろうと。その間、医療従事者といいますか、ケー スケアワーカーは日本で100 万人程度いますけれども、そういう人全員にそれ だけの長期間、予防投与するべきかどうかということはなかなか難しいところ だと思うんです。 備蓄量の問題、日本だけでそれだけため込めるかどうかという問題とか、そ れから、勿論、予算の問題とか、安全性の問題とか、まだいろんな未解決の問 題があるかと思うんです。 ○雪下委員 どうしても半年かかるということですから、これは現場としては 何とかそれをあらゆる手で少しでも縮めてもらいたいということ、あるいはも っと予防の対策としてワクチンを使えるように持っていってもらいたいという のが、この間から申し上げているところですが、でも、どうしても半年かかる と。そのために治療薬がまず先だということで、この目次も順番を変えられた ということですから、今のところ、それで対応せざるを得ないのかなというふ うに思っておりますけれども。 ○菅谷部長 ただ、ここに、このワクチンが半年かかるというところが書いて あるところはレベルのどこでしたか。そのところに、その間は迅速診断キット とか、治療薬の確保に努めるとか、そういうことを何か加えておかないと、何 かその間、半年はだめかというような感じに受けるのではないかとちょっと思 うんです。 でも、そこにそういう文章は入っていますか。 ○事務局 それはレベル別対応のところでずっと書いてきておりますので。 よろしいでしょうか。 ○廣田委員長 はい。 ○事務局 今まで田代先生、雪下先生にもおっしゃっていただきましたように、 まず治療薬があるということで治療薬の項に整理しておりますし、また、ワク チンについては前回の御指摘を踏まえ、まずは現在の技術ですぐつくって、そ の後に開発していくというような項目立てを少し変更して、その辺りの見直し を行っておるところでございます。 また、先ほど菅谷先生おっしゃられた、この状況で別の項目についてはどう なっているかについては状況別の対応で書かせていただいているものと思って おりまして、ワクチンの項でタミフルについては、特にまた触れると少しわか りにくくなるのかなと思って、その辺りの表現は簡素化に努めておるところで ございます。 ○廣田委員長 加地先生、今の御説明でよろしいですか。 ○加地教授 はい。 それともう一か所だけ。26ページの(6)のところの2行目ですけれども、 「国内において新型インフルエンザが広範囲に拡大した状態においては、通常 のインフルエンザと同様に、発生状況等」と書いてあるんですけれども、やは りここには、例えば症状とかというのを、新型の場合にはどういう症状を呈し てどういう経過を取るとか、かなり違った症状とか経過があるかもしれないの で、「発生状況等」の「等」の中に入っておるのかもしれませんけれども、発 生状況の次に症状とか、あるいは経過とかというような言葉を入れておいてい ただいた方がいいのではないかと思いますけれども。 実際の診療の現場におられる立場の方にとっては、非常に有用な情報ではな いかと思うんです。 ○廣田委員長 具体的にどういう言葉を入れますか。 ○加地教授 それと先生、もう一つよろしいですか。 ○廣田委員長 ちょっと済みません、今の「発生状況等」のところで何か言葉 が要るということでしたね。 ○加地教授 そうです。 ○廣田委員長 具体的にどんな言葉を入れますか。 ○加地教授 例えば、患者の症状、経過とか。あるいは臨床症状でもいいんで す。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○岡部委員 加地先生がおっしゃっているのは、今の26ページのアのところで すね。 通常のインフルエンザのときでも発生状況の報告はしているんですが、臨床 経過とか、予後とか、特殊な急性脳症みたいなのは別なんですが、報告してい ないんです。そういうシステムになっていないので、それをここに書くと、今 のインフルエンザも全部がらっと変えなくてはいけなくなります。 それは詳細な部分を、先ほどから中里さんもおっしゃっているような各論的 なところで述べるというようなところではいかがでしょうか。今のところは 「等」にとどめていただいてということで。 ○廣田委員長 それでは、もう一点あるとおっしゃいましたけれども。 ○加地教授 27ページも範囲にありましたね。「ウ.医療・検査体制の整備」 というのは、今、説明ありましたですか。そこのところで下の方、下から5行 目、「不急な入院は避ける」というのはインフルエンザの患者さんではなくて、 ほかの疾患の患者さんのことでしょうか。 インフルエンザの患者さんでも、どうしても入院させなければいかぬという 人と、そうではない人とおるだろうと思うので、ここでははっきりインフルエ ンザ以外の患者さんの入院を避けるとはっきりしておった方がいいのではない かと思いますが。 ここの文章の流れから見れば、次に「延期できる手術は延ばす」と書いてあ るから、そこまで行けば、この不急な入院を避けるのはインフルエンザ以外の 患者さんのことだとはわかるんですが。 ○廣田委員長 ほか、ございますか。 ○菅谷部長 そうすると、この26から27ページの「(新型インフルエンザ大 規模発生時)」のところに、今、特に27ページの下のところに、大規模発生時 のところに「陰圧病床のみでは患者への入院治療が実施できないことが想定さ れる」という、これは勿論、当然、こういうふうになるとは思うけれども、こ こでまた陰圧病床を持ち出すと、やはりうちの病院ではちょっとインフルエン ザの患者は診れない。大規模発生時ですから、各病棟にどんどん入れなくては いけないと思うんですが、ちょっとここの文章、この「陰圧病床のみでは患者 への入院治療が実施できないことが想定される」という文章は、もう大規模発 生には除いた方がいいのではないかと思うんです。そうするとおかしくなるよ うな気がします。 除いて、何か別の文章で、入院の病床の確保に努めて、そ の場合にインフルエンザ以外の不急な入院は避けるとか、そういうように文章 を変えた方がいいのではないかと思います。 ○廣田委員長 ほかにございますでしょうか。 それでは、まとめてください。 ○事務局 それでは、これまでの議論を踏まえまして、まず27ページの「ウ. 医療用マスク」の後の括弧書きの「(N95マスク推奨)」という1文は、ここ では取らせていただきます。 また、下から2ポツ目の「各都道府県において確保された陰圧病床のみでは 患者への入院治療が実施できないことが想定されることから」、ここまでを削 除して、ここは大規模発生時について触れているということで、ここはなくて も通じるのかなというふうに思っております。 また、「不急な入院は避ける」の前に、「新型インフルエンザ患者以外での」 という文を入れると。 以上のように修正いたしたいと思います。 以上です。 ○廣田委員長 加地先生、今のでよろしいですか。 菅谷先生もよろしいですか。 ○菅谷部長 はい。 ○廣田委員長 それでは、次、お願いします。 ○事務局 それでは、29ページ、「V.医療供給体制」に移ります。 この章は冒頭で御説明いたしましたように、章の位置を変更して、この場所 に置いております。 また、これからCDCモデルというのは、基本的には医療機関を受診する患 者数を想定するために使用しておりますので、表記についてはそのように表現 を見直して書いております。同時に、後ろに付けております51ページの「表2 CDCモデルによる新型インフルエンザ患者数の試算」についても、同様に 表記を変更しております。 それでは、本文の御説明に入ります。 (資料1の29ページ「1.医療機関を受診する患者数の推計」朗読) ○事務局 続きまして、「2.医療需要に対応できる医療供給体制の確保」。 ここでは、患者数の推計値とベッド数の比較した記述箇所についてわかりや すくするという観点から、2つの比較の並列の表記をやめ、1つのみに記載し ております。 「上記モデルにより、全人口の25%が罹患する、アウトブレイクが8週間続 くという仮定の下で、入院患者の発生分布を試算した結果、1日当たり最大患 者数は、10万1千人となり、利用可能なベッド数(19万3千床)の52%を使 用することで、入院患者の治療と試算された」。 ○事務局 少し行を移動しまして、30ページの一番下。 これに、前回は入院についてのみ書いておったんですけれども、外来の推計 についても加筆いたしまして。 (資料1の30ページ最後の行より31ページ4行目まで朗読) ○事務局 「3.院内感染対策」については、先ほど御説明しましたように、 わかりやすいように例示を加えまして、「新型インフルエンザ患者と他の患者 とは、病棟、病室を別にするなど」という1文を挿入しております。 以上です。 ○廣田委員長 この29ページから31ページ、「V.医療供給体制」で、御意 見をお願いいたします。 田代先生。 ○田代委員 このメルツァーのモデルですけれども、これは過去のパンデミッ クといいましてもスペインかぜと、それから、アジアかぜ、ほとんど除いてあ りますね。それというのは、これに入れるだけの評価に足りるデータがないと いうことで積極的に入れていないわけです。 それから、それ以外の香港かぜの流行。その後の毎年の流行で、通常のイン フルエンザの流行の2シーズンのデータが入っていると。当然、そこに入れら れたデータは、これだけでパンデミックが起こるかどうかというのは非常に甘 い推定であると。それがまず1つです。 それから、最初の方に書かれているわけですけれども、病原性の強いインフ ルエンザウイルス、鳥の高病原性インフルエンザに由来する、致死率の高い病 原性の強いパンデミックが起こった場合には当然、入院患者の数というのは、 このエスティメーションよりもずっと大きくなるのではないかというのが心配 されるわけです。 ですから、これだけを見ると、過去の比較的規模の小さかったインフルエン ザ程度のパンデミックが起こった場合には、アメリカでこの程度だろうと。そ れに基づいて日本で試算した場合には、この程度だということなんですけれど も、そこをはっきりさせておく必要はあると思うんです。 ○廣田委員長 ちょっと済みません、甘い推定というのではなくて、甘いとす れば、人口の25%が罹患するという、その設定はよりいいかもしれませんけれ ども、その中での入院患者数であるとか、外来患者数というのは、例えば外来 患者数だったら、日本から見たら甘いだろうと。入院患者数だったら、日本か ら見たら少ないのではないかと。 それから、このモデルのそういった設定の仕方はいろいろあると思うんです けれども、モデル自体が甘いとまでは言えないのではないかと思うんですけれ ども。 ○田代委員 ですから、そういうモデルで試算した場合にはこうであるかと。 だから、それは1つの例だという、それをはっきり書いておく必要はあると思 うんです。こうなるということを必ずしも予想しているわけではないと。 ○廣田委員長 それと、ほかにもいろんなモデルあるみたいですけれども、こ の30ページの2行目ですか、外来患者とか入院患者の時系列の変化です。これ がちょうど、このメルツァーのモデルと対応した形でこれが出て、これが2004 年、今年の3月に出たところまで、メルツァーモデルと、この患者数の推移が 対応しているから非常に使いやすいというモデルにはなっているようですけれ ども、そうでしょうか。 ○事務局 そうです。 ○雪下委員 ちょっとよろしいですか。 この今のモデルは、一般的な治療というものを加えられたときと、それは入 っているのかもしれませんけれども、今、対応しようとしている抗ウイルス剤 を使った場合に、このパンデミックは想定できるのかどうか。 それを使った場合には、最大どの程度まで抑えることができるのかというよ うなことが、ある程度、やはりそういうものの見通しみたいなものを入れてお いた方が、何でもかんでも、後で抗ウイルス剤出てきますけれども、それがこ の抗ウイルス剤のところにはそういうことは書いていないと思うんですけれど も、その見通しみたいなものについて、やはり書いておく必要があるのではな いかと思いますが、いかがでしょうか。何に使っても、これだけ発生するんで すか。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○菅谷部長 これは、アメリカのモデルは高齢者の例年のインフルエンザワク チン接種率を大体何%か、今やっている現行の接種率にして、あとは現在の普 通の治療だけでのモデルです。 ですから、勿論、迅速診断も入るかもしれませんが、抗ウイルス剤を使うと か、あるいは新型インフルエンザになると高齢者だけに打つのではなくて、全 員にワクチンを打つことになると思いますが、そういう場合はこれよりも大幅 に下がるということで、このメルツァーのモデルはちょっと古いんですけれど も、オランダが出しているモデルなんかではノイラミニダーゼ阻害剤をこうい う場合に使うと、勿論、どのぐらい使ったら下がるというのは本当はわからな いけれども、彼らの試算では50%下がると言っています。ですから、ここで日 本で入院患者の数や何かも大体半分になるし、それから、死亡者も半分にはな るだろうというような試算が出ております。 ですから、これはあくまでも、極端な話、何もしなかった場合、現状の医療 体制のままでいった場合の試算だと思います。 ただ、雪下先生の言うみたいに、これだけ出すとやはり誤解を受ける可能性 もあるから、ここに出したときにそういういわゆるインターベンションという か、ワクチンを広く使うとか、それから、抗うつ剤を使うということを除いた 場合の試算であるということは、やはり書いておいた方がいいのではないかと 思います。 つい、この間も新聞に早速十何万人死亡予測とか出ていまして、あれは死亡 を予測しているわけではなくて、何もしなければそうなるけれども、いろいろ やればもっと低くなるんだと言うために出した数字にすぎないんだけれども、 何か書いておいた方がいいと私も思います。 ○廣田委員長 ちょっとよろしいですか。 私、ちょっと考え方、違うんですけれども、これはあくまで推定でございま して、恐らくこういったいろんな患者数の変化とかでほぼ確立して、それに合 わせてその対策も講じるというようなのは、恐らく結核で行われているスティ ブローのモデルくらいではないかと思うんです。例えば、20年ぐらい前に日本 でがん検診がものすごく関心を呼びましたね。あのときにたくさんの報告が出 ているんです。こうやって何十%スクリーニングしたらこうこうこうなって、 何年後にはがん患者が何人減ると。 ところが、10年ぐらい経って、もう一度ちゃんとして、その間に何が効いて いたかと。実際にはスクリーニング受けたヒト、スクリーニング受けなかった ヒトでがんの死亡率がどれだけ変わったかというようなきちっとした調査をし たら、ある部位のがんは、これはやはり余りスクリーニングが効いていなかっ た、検診が効いていなかったと出たわけです。 だから、こういった介入をし たらどうなるかというのはあくまで推定であって、むしろ、それを余り主張す るとかえって誤解を生むというような面もあると私は思うんです。 ○雪下委員 だから、こうやってしておけばこれだけのもの発生するんだと。 そのためにこういう対策を取るんだという、その数字をわかりやすく書いても らわないと、これは私たち現場の医者もそうですが、国民の不安というのは何 やったってこうなのかということを取られてしまうと思うんです。 だから、むしろ、これが前回から抗ウイルス剤によって相当の対策ができる んだということを予測して、その備蓄までも考えているとすれば、こんな想定 を入れる必要はないと私は思っているんです。いたずらに国民を不安がらせる だけだろうというように思うわけです。 だから、これは放置して、いわゆる抗ウイルス剤も使わない、ワクチンも使 わないという状態でおけばこうなるんですということをはっきり書いて、それ に対する対応として次のようなものを考えているので、それによって大部分は 抑えられるとか何か、そういうものをやはり入れておいてほしいと思うんです けれども。 ○廣田委員長 わかりました。 ○菅谷部長 よろしいですか。 今、おっしゃったようなことを書いておいた方がいいと思うんです。 ただ、それこそ廣田先生が言うみたいに、でも、そこで50%減るとかなんと かというのを出すのは行き過ぎだというのはわかるから、大幅に減るとか、か なり抑えるとか、何か入れた方が。 ○廣田委員長 だから、これは介入がないときのものであるというのをはっき り記すということですね。 ○菅谷部長 確かに、ここを読んでいくとそういうこと、余り書いていないよ うに。 ○事務局 雪下先生の御意見につきましては、実は今回、35ページの方に若干 書かせていただいているところでございまして、34ページの終わりの方から3 5ページにかけて、「4.抗インフルエンザウイルス薬の効果と留意点」とい う項目を付けまして、これは前回の委員会で抗インフルエンザ薬の効果につい ても書いておく必要があるという御意見を踏まえて書いておるものでございま して、読ませていただきますと、「新型インフルエンザウイルスに罹患した患 者に対し、発症から48時間以内の早期に、抗インフルエンザ薬を適切に使用す ることにより、入院や死亡といった重症化を一定の割合で減少させることがで き、社会機能の破綻を防止することにつながることが期待される」と。 ちょっと具体的な数字まではなかなか意見が分かれるところかなと思いまし て、ちょっとここでは「一定の割合」という表現しか使っていないですけれど も、それについては、この「VI. 治療薬」の項で書かせていただきたいと思っ ております。 また、もう一つ、医療体系の推計のところにこの部分を書かなかった理由と いたしましては、田代先生の御意見のとおり、これはあくまでもCDCモデル を使って1つの試算を出したものにすぎませんという観点から、余り効果・効 能を更にここに書くということはちょっと誤解を生むのかなと思いまして、繰 り返しCDCモデルを使えば、CDCモデルを使えばということで、この部分 は表記させてもらっているところです。 それで、抗インフルエンザ薬やワクチンの効果がこのモデルに反映されてい ないということなどは、表の試算の説明などの注釈にもきちんと盛り込んでい きたいと思います。 ○廣田委員長 ここには介入がなかったときの推定値であるということを、明 確にどこかに記すということでよろしゅうございますか。 ○雪下委員 はい。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○田代委員 もう一つ疑問点なんですけれども、今のところの30ページの真ん 中からちょっと上ですけれども、抗ウイルス剤とか、ワクチンとか、そのほか の介入がなかった場合に入院患者これだけ出るだろうと。そのときに、10万1, 000 人、外来で来るのでしたか。入院患者ですか。 それで、ベッド数19万3,000 床の52%を使用することで入院患者の治療が 可能であると試算されたということでありますけれども、この52%というのは 通常、一般の疾患で入院している患者がほとんど入っているわけですね。そう いう人を追い出してといいますか、軽い人は出てもらってそこに入れた場合と、 そういうことを想定しているわけですか。 ○事務局 そこについては、算定するに当たっては空きベッド、病床の利用率 というのを考慮した上での計算値でございます。だから、今、入院している患 者さんに出てもらってというような仮定の推計ではございません。 ○田代委員 すると、空きベッドはどのぐらいあるんですか。 ○事務局 それは実際の病床数に、1から病床利用率を引いたものをかけた値 でございまして、ちょっと数字は、すぐに必要であれば出しますけれども。 ○田代委員 細かい点ですけれども、これ読むと、パンデミック起こったとき に入院が必要な患者さんは全員入院させて、十分な入院治療が可能であると。 これはそういうメッセージですか。 ○事務局 いえ、必ずしもそういうメッセージではございませんで、まず、と りあえず、このメルツァーモデルを使って、どれぐらい病床が必要なのかとい うことを試算しましたというにすぎないメッセージで。 ○田代委員 それはわかっているんですけれども、メルツァーモデルで試算す ると、その必要量は確保されていると。そういうふうに解釈していいわけです か。 ○事務局 そこは病原体の強さとか、感染力とか、ピークのでき方とか、いろ んな要素があるかと思いますので、必ずしもこれで確保していると言い切れる ということとは考えておりません。ただ、とりあえず、このモデルを使った結 果をただ単に淡々と記載させてもらっただけというふうに考えております。 それで、空きベッド数につきましては、利用可能なベッド数の見積もりとい うのは19万3,000 床というふうに計算上はなっております。 ○田代委員 先ほどの対策の状況EとかFの場合には、ベッド数の確保に努め るというようなことは書いてあったわけです。不急な入院は制限させるとか。 ということは、結局足りない状況が生じるだろうということを想定していると 思うんですけれども、すると、ここまで来ると空きベッドの52%使用すること で可能であると。十分余裕があるのではないかというふうに誤解というか、そ ういうふうに読めるんですけれども、そこはそうではないわけでしょう。だか ら、そこは誤解を招かないようにきちっと書いておく必要があるのではないで すか。 ○事務局 わかりました。これは我々の試算といたしましても、使えるベッド 数を最大限活用したらこうなったという試算ですので、田代先生御指摘ありま すように、そこは誤解のないように、ちょっと少し表現を考えたいと思います。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○岡部委員 田代先生もおっしゃっていたんですが、このメルツァーモデルを 使ったというのは1例としてというのを是非一つ入れておいていただきたいと 思うんですけれども、その状況設定もいろんな介入をしていないけれどもとい うことを入れると同時に、というのは恐らく、今後、いろんな推計出てくる可 能性もあるし、これを金科玉条のごとくではないんだというようなことは書い ておいた方がいいと思いますけれども。 ○廣田委員長 今、聞きましたか。 ○事務局 ごめんなさい。 ○廣田委員長 1つのモデルであるメルツァーモデルを使ったものであると。 これを金科玉条のごとく振りかざすのではなくて、そういったトーンで記載す るようにということです。 ほか、よろしいでしょうか。 どうぞ。 ○雪下委員 今、先生言われた、この空きベッドの半分で大体間に合うからま あいいだろうというようなことで、あとは淡々と書かれたということですけれ ども、その下を見ますと、急がない入院をやめろとか、手術はなるべく延ばせ とか、そんなこと関係ないのではないですか。それならば、そんなものを書く 必要ないのではないですか。 それで、空きベッドというのはいつも空いているベッドという意味ではない んです。例えば85%占床率があれば、あとの10%か15%というのは入退院と かそういうことでもってのそれを融通するというか、その空きベッドですから、 必ずしもそれが全部ぽんと空いて、そこへ入れられるという問題ではないし、 それも偏在しているし、だから、実際問題としてそんなことはナンセンスなん です。半分で間に合うんだから大体よさそうだなんていうのは、私は書く必要 は全然ないと思いますけれども。 ○菅谷部長 やはり、そこは私もそう思うんだけれども、ここの「2.医療需 要に対応できる医療供給体制の確保」となっていて、最初のは推計だから推計 でいいんですけれども、その次のところにこういうふうに、ここの最初のとこ ろに、これは推計のところですね。またCDCモデルを持ってきて、CDCの モデルに入院のことを持ってきて、その下にもっと非常に具体的な、患者さん が増えたら個室管理から多床室管理とか、こっちは非常に具体的なことで、推 計の話と具体的な話と両方入っているから、だから、ここは最初の1のところ は推計であって、2は医療供給体制を実際にどういうふうに確保するかという ことであれば、このCDCモデルのこれは、もしかしてここに書いたようなこ とは1のところに持っていって、2は「新型インフルエンザ患者発生当初には、 感染症法に基づき入院勧告等」というところから2を始めた方がわかりやすい かなとも思います。 そうしないと、ここは何か、確かに今、雪下先生がおっしゃったとおり、入 院患者の治療は全然可能みたいなことが書いてあって、でも、それは全く雪下 先生のおっしゃるとおりで、絶対足りなくなると思います。現状から考えれば 大騒ぎになると思いますけれども、この前のシドニーインフルエンザでもベッ ドがなくて各病院大騒ぎだったんだから絶対足りないわけで、だから、もしも このことを持っていくんだったら1のところに持っていって、2番はこの一般 病棟の積極的活用などを推進する必要があるというような話に持っていった方 がいいと思います。 ○廣田委員長 そうですね。 ○事務局 それでは、よろしいでしょうか。 ○廣田委員長 それでは、それでちょっとまとめて。 ○事務局 それでは、これまでの御議論を踏まえまして、まず、このベッド数 の推計辺りの項目については推計の方に持っていくと。その上で雪下先生等御 指摘のとおり、まず、この推計値があくまでも全国使用可能な病床のすべてを 使用した場合であり、患者の地域的な偏在とか、そういったものは考慮されて いないため、やはりベッドが不足することも十分に考えられるというエクスキ ューズを本文中に明記した上で、以下の項目につなげていきたいというふうに 思います。これでいかがでしょうか。 ○廣田委員長 よろしゅうございますか。 ○事務局 それと、1つの例としてという言葉を書き込むということで修正を 行いたいと思います。 ○廣田委員長 それでは、次、お願いします。 ○事務局 それでは、32ページ、「VI. 治療薬」に移ります。 「1.新型インフルエンザ発生時に備えた抗インフルエンザウイルス薬の種 類等」。 ここは、特に変更ございません。 「2.抗インフルエンザウイルス薬の特徴等」。 ここも、特に変更ございません。 「3.抗インフルエンザウイルス薬の備蓄」。 「(1)リン酸オセルタミビル」。 「さらに我が国では表3のとおり、リン酸オセルタミビルが最も多く流通し ていることから、リン酸オセルタミビルを新型インフルエンザ対策として備蓄 する薬剤の第一候補として、以下のとおり整理する」。 続きまして、33ページに移りましてポツの2番目ですけれども、5章でも書 いておりますように日本の特徴を踏まえまして。 (資料1の33ページ7行目より34ページ3行目まで朗読) ○事務局 最後に、塩酸アマンタジンのところにつきましては、「棚損」とい う言葉を「棚卸し損失」という言葉に代えさせていただいております。 少し長くなりますので、一旦、ここで切らせていただきます。 ○廣田委員長 今の32ページから34ページ、御意見ございましたら、お願い します。 加地先生。 ○加地教授 一番最初の32ページですか。一番最初にはノイラミニダーゼ阻害 剤として、「(リン酸オセルタミビル、ザナミビル水和物)」と書いてありま すけれども、以下になってくるとザナミビルのは全然出てこないんです。リン 酸オセルタミビルだけになっています。ザナミビルにしても、やはりここでは 入れておく必要があるのではないかと。 勿論、現状としてはリン酸オセルタミビルが一番広く使用されておりますけ れども、これはやはり、こちらは内服でいいと。片方は吸引するとかそういう こともありますけれども、もう一つ、現在の段階としては、今はインフルエン ザのAもBも流行しているわけです。そうすると、例えばアマンタジンはAし かないからということですけれども、今度、ザナミビルというのは吸引という 投与方法に問題があるということもありますけれども、やはり3つとも、私の 言いたいのは、これはノイラミニダーゼ阻害剤としてやはり両方とも挙げてお く必要があるのではないかと。 それと同時に、アマンタジンについても、やはりこれは今までの流行ですと Bも入ってくるものだからノイラミニダーゼ阻害剤をよく使っておるという現 状もあるだろうと思います。新型の場合はAということですから、アマンタジ ンについてもやはりしかるべくきちんと入れておかないと。これの文脈をずっ と見る限りでは、何かリン酸オセルタミビルばかりが出てくるような感じです。 表4にしても、ザナミビルなんかないですね。のけてしまっているので、そ こはやはり、そういうザナミビルも取り入れてきちっと記載をするし、また、 アマンタジンというものも、これは現実の問題として、この前もインフルエン ザのA、香港型の流行のときにもいろんな局面では確かにアマンタジンも使わ れております。 いろんな問題、例えば副作用の問題とか、耐性キャピトルの問題もあります けれども、それはきちんと記載した上で3つとも取り上げて、きちんと整理し ておく必要があるのではないかというように思います。 それと、もう一つは、前からの流れもそうですけれども、それでは、この新 型インフルエンザになった場合にはすべての患者さんに全部、例えばリン酸オ セルタミビルと抗インフルエンザ薬を投与しなければいけないのかという問題 も私はあって、それはやはり新型インフルエンザの臨床像というか、症状とか 経過にも関連してくることであって、現実の問題としては今、ベトナムとかタ イで鳥インフルエンザがヒトに感染した場合は非常に致死率が高いので、すぐ に抗インフルエンザ薬の使用ということになってくるわけですけれども、現実 の問題として何千万人と出てきた場合には非常に重症な方も勿論おりますし、 入院が必要な方もおるでしょうけれども、CDCのモデルがさっき問題になり ましたけれども、そういうのと考えるときは当然、やはり軽症の外来患者とい うのも挙げてあるわけです。そういうときにすべての例で、このリン酸オセル タミビルが必要かというと必ずしもそうではないだろう。そこがやはり、この 新型が出た場合の臨床像を早く把握してということが治療指針のあれになるだ ろうというように思います。 何かここでありますと、この文脈を全部読みますと、新型インフルエンザに なったらオセルタミビルを全部使いなさいというようなことになってきてしま っておるというのがちょっと、私、行き過ぎではないかと思います。 ○廣田委員長 ほかに。 稲松先生、以前のこの委員会でザナミビルについて。 ○稲松委員 以前から、今、加地先生が御指摘のことは言っているんで、是非 そうしていただきたいと思います。 実際、備蓄云々とか、買い上げとか言ったときに、やはり相手が1人か2人 かで随分相談も違いますでしょうし、それから、これから3代目が出るのかど うかはわかりませんけれども、出ないかな。でも一応、そういうものもあるん でしょうし、ここで余りタミフルに絞って話をしていくのはちょっと片手落ち な気がいたします。 それから、安全性とかも考慮するとかえって吸引薬の方がいいという意見も 恐らくこれから強まってくるような気もいたします。 ○加地教授 それと、もう一つ。 それから、例の耐性の問題で、アマンタジンは耐性が30%できやすいので、 何か印象としてだめだという感じのようですけれども、これは菅谷先生、河岡 先生と御一緒にアマンタジン投与例での患者さんから分離したウイルスの耐性 の問題を何回か私、講演会で聞く機会があったんですけれども、実際問題で、 その耐性がどういう意味があるのかということも私、問題だろうと。耐性がで きても、それはやめればまた耐性が。 ○菅谷部長 元に戻ります。 ○加地教授 元に戻るとか、それでは、耐性になったのが今度流行するのかど うかとか、その辺、ちょうど一般に耐性と書きますと、どうしてもMRSAみ たいなことを考えるわけなんです。そうすると、これ、もうやめておこうとい うことになって、リン酸オセルタミビルだけになってしまうような感じになっ てしまうんだけれども、そこはもしできれば、一応、そこら辺まで学会でも報 告されておる事項でありますから、そこまで注釈を入れてきちんと、薬という のは雪下先生、いつもお感じになっておる、実際に使われる立場としてみれば 非常に詳しく情報必要なんですね。現に、アマンタジンもかなり使われておる のは事実ではあると思うので。 ○菅谷部長 今の稲松先生や加地先生のお話の中で私が思うところは、1つは、 確かにノイラミニダーゼ阻害剤の中でザナミビル、これは非常にいい薬なんだ けれども、これを日本でもっと広く使ってほしいんだけれども、ただ、そのザ ナミビルをつくっている会社自体がものすごく生産規模を縮小していますから、 いわゆる新型インフルエンザに使うのは到底、私は実際問題として無理だと思 います。 というのは、例えばG8での会議でもこういうアマンタジンの会社とか各社 を呼んだんですけれども、ザナミビルの会社は出てこなかったです。そういう 新型インフルエンザ対策に協力する気はないということです。全然生産縮小し て、できたらもう生産したくないという感じで。 日本では、ザナミビルはほとんど使われていませんけれども、ですけれども、 それでも世界一なんです。ナンバーワンで一番使っている国なんです。だから、 世界ではほとんど使われなくなって。 それと、あとは新型インフルエンザとなると、あれはザナミビルは吸入器具 が必要だから、それでやはり少し問題がある。ただ、今、言った耐性の問題も 全然ないし、治療薬としては非常にすぐれたところがあるとは思います。です から、もしもこれが日本で今後、供給される可能性もあるんだったら、是非こ れは新型インフルエンザ対策に持っていくのはいいと思うけれども、ただ、つ くっているところがもうそういう気はないという感じです。 だから、抗インフルエンザウイルス薬の特徴の中にリン酸オセルタミビルと 同時に、このアマンタジンと2つ並んでいますけれども、その中に1つ特徴と して入れるのは、私は勿論いいと思います。そういう、何もこのリン酸オセル タミビルだけでやろうとしているという印象になるのは確かにまずいので、そ ういうのはいいと思います。 ただ、もう一点の加地先生のおっしゃる、全員を治療するのかという問題で すが、全員を治療するのかという問題は確かに日本だけはものすごく生産量が あって、全員を治療するのかは確かに非常に消費量が多くて問題あるかもしれ ませんが、ただ、先生、実際問題として、患者さんは絶対タミフルを処方しよ うとして言ってくるから、逆に言うと、よほど政府というか、医師会というか、 学会というところが全員にはタミフルは必要ないんだ、タミフルというか抗ウ イルス剤の治療は必要ないんだということを、日ごろはこれだけ潤沢に使って いて、新型インフルエンザのときだけ全員治療する必要がないんだというよう なキャンペーンはなかなか張れなくて、実際問題としては全員が来るだろうと 思うから、だから、全員が必要かどうかというのはわかりますけれども、実際 問題としては全員が是非治療ということで来ると思います。 あとは、やはりアマンタジンが余り新型インフルエンザに適さないというふ うにWHOも言っていますけれども、その理由は耐性の問題と、もう一つは耐 性がやはり高率に出るという問題で、ただ、それは先ほど加地先生がおっしゃ いましたように、我々の調査でも、ほうっておくとまた元に戻るので耐性が消 えていくんですけれども、ただ、やはりもっと大きな問題は、アマンタジンの 場合は神経系の副作用の問題はやはり大きいというのが、新型インフルエンザ で広く使う場合のやはり大きな問題点だろうと思います。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○加地教授 アマンタジンの副作用については、小児科の場合はわかりません けれども、内科の領域ではパーキンソンその他で非常に使われておりますから、 しかもあれは、パーキンソンの場合は長期に使うんです。なので、使われる先 生方というのはよくわかっておられると思います。 小児科はちょっと不安かもしれませんけれども、内科はあんなのはしょっち ゅう使っておるわけでして、そういうことだから、特に勿論、副作用としての 記載は必要なんですけれども、それゆえに、これはもうだめだということには ならないだろうと。しかも、アマンタジンでもインフルエンザの治療の場合は、 割に短期間の投与で済むと思います。 ○廣田委員長 アマンタジンは、アメリカでは高齢者施設でどんどん使ってい ますね。 ○加地教授 そうです。それで、使い方も高齢者の場合は、例えば1日200 ミ リとか、あるいは100 ミリなんですけれども、高齢者の場合は減量するとかそ ういうことは皆さんよく御存じなんです。だから、一応、記載は必要ですけれ ども、副作用の問題はそういうことと、耐性の問題はいろいろ、今、わかって きつつあるところ、いろいろあると思いますけれども。 ○廣田委員長 どうぞ、田代先生。 ○田代委員 これはアマンタジンを備蓄するというのは、イギリスなんかはず っとその計画を進めてきたんですけれども、昨年から東南アジアで流行してい る鳥のインフルエンザで、ヒトが何人か感染していますけれども、そのヒトた ちに感染したウイルスはすべてアマンタジンに、耐性と言っていいのかどうか わかりませんけれども、抵抗性のウイルスが効かなかったと。 それで2002年以降、東南アジアで広がっている鳥のウイルスは、半分が大体 アマンタジン抵抗性のウイルスです。そういうことがわかってきたので、新型 インフルエンザ、Nの遺伝子が鳥由来かどうかはわかりませんけれども、そう いう可能性もあるということで、アマンタジンだけに備蓄を頼るのは危険だと いうことで、イギリスは今、ノイラミニダーゼインヒビターに変えようという 動きをしています。 一方、ノイラミニダーゼインヒビターについてはノイラミニダーゼ、今のと ころ9つの亜型を使っていますけれども、すべて感受性がある、ノイラミニダ ーゼインヒビターは効くんだという実験成績がありますので、どちらの方が効 かないというリスクが高いかと考えると、ノイラミニダーゼインヒビターの方 が安全というか、チョイスすべきだろうというふうに考えていますけれども。 ○廣田委員長 WHOはたしか、アマンタジンはパンデミックには適さないと は言っていないですね。 ○田代委員 適さないとは言っていないですけれども。 ○廣田委員長 余裕があれば、ノイラミニダーゼインヒビターがいいと。 ○田代委員 それはもう、価格の面で圧倒的に違いますから。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○加地教授 それでやはり、この新型インフルエンザが出た場合にまずやって いただきたいことの1つは、そういう新しい新型インフルエンザウイルスの薬 剤感受性へのチェックなんです。 今、おっしゃいましたように、1997年のときの鳥インフルエンザの場合はア マンタジンは感受性だったんです。今度の鳥インフルエンザは耐性の問題が非 常に取り上げられておる。だから、今度は初めからアマンタジン耐性であるか どうかというのはわからぬわけでして、やはり、そこから調べてみる必要があ るということ。 それから、もう一つは、このH5N1の場合の人間の症状というのを見てい ますと、単なるH5N1のウイルス感染増殖によって起こっておるものか、も うちょっと違うようなファクターが入ってきている可能性、例えば非常に重症 化しておる今度の症例を見ますと、インフルエンザウイルス感染と、それに続 いて起こる、例えば高サイトカイン血症というのが非常に重要ではないかとい うようなことを示唆するデータなんです。 だから、私、やはりその辺を臨床の立場としては、ただ、抗インフルエンザ 薬だけでいいのかどうかということも問題であるし、だから、そこで私、臨床 症状云々とさっきから申し上げているわけでして、ここは勿論、抗インフルエ ンザ薬としていろいろ挙げるのは必要ですけれども、そのほかのことも実は考 えておかぬといけないと。抗インフルエンザ薬を投与すれば、それでもう安心 かということと。 もう一つは、非常に軽症の場合というのが当然、存在は考えられ、この場合 は必ずしも抗インフルエンザ薬は必要ではないのもあるかもしれないというこ とで、私、しきりと申し上げるのは流行の初めからそういう臨床像をきちっと 把握することが必要だろうと。 したがって、対応というのは抗インフルエンザウイルス薬を中心に、ほかの いろんな指示療法というのが必要になってくるだろうということもあるもので すから。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○事務局 ちょっと議論の途中ですけれども、加地先生、先ほどから御指摘い ただいております臨床像の把握が非常に大切であるという記述に関しましては、 24ページ、「(5)状況E(国内での少数・限定的な新型インフルエンザ発生 時)」のアの項目での2ポツ目に、「発生地区等で精密調査対象集団を設定し、 抗体価等の詳細なデータを収集し、その解析に努める」と、この辺りで先生御 指摘のことを踏まえてやるつもりにしておりますので、例えばその後に、「努 めるとともに、その情報を診療等に還元する」とか、勿論、その前に抗体価等 だけではなく、病像とかそういった適切な表現を盛り込んだ上でそこはやって いきたいというふうに考えております。 そこで集まりましたデータの下に、確かに加地先生御指摘のとおり、全ての ヒト等には治療がない可能性などもありますので、こういう場合は必ずしも受 診しなくていいなどのメッセージは28ページの上の方で、「自治体、NGO、 報道機関等とも連携し、新型インフルエンザについて正しい知識を得て、冷静 かつ適切な受診に努めるよう広く呼びかける」ということで、そこはやってい きたいというふうに考えておるところでございます。 ちょっと途中ですが、説明させていただきました。 ○廣田委員長 菅谷先生、どうぞ。 ○菅谷部長 あと、54ページの表4なんですけれども、ここにオセルタミビル とアマンタジンのそれぞれの特徴が書いてあるんですが、これのオセルタミビ ルの「薬剤耐性ウイルス出現の頻度」というところが、見ていただくと、そこ には「高くはない」と書いてあるんですが、これは直していただいて、実際問 題としてパケットインサートに、日本でのオセルタミビルの添付書には成人0. 3 〜0.4 %、小児4.5%の耐性出現と書いてありますので、それに正式に書いた 方がいいと思います。 あと、乳幼児の投与時には耐性ウイルスが、これは河岡先生と私たちのグル ープの共同研究でございますが、乳幼児に出すと耐性ウイルスが、これは「30 %」と書いてありますが、20〜30%出現とするということです。 それと、その隣のアマンタジンのところですけれども、アマンタジンはCD Cのガイドラインでインフルエンザの治療に使用した場合、3分の1の患者に 耐性ウイルスが出現するということが記載されているから、それを書いた方が いいと思います。大体33%ぐらいになります。 あと、ここに最新の、やはり河岡先生とのデータを加えれば、小児では70〜 80%に耐性ウイルスが出現するという報告はあるということになります。 あと、もう一点、「薬剤耐性ウイルス出現の頻度」のその下に「副作用」の ところがありますが、「副作用」のところがタミフルとオセルタミビルとアマ ンタジンと全く同じ文章になっていますので、これはやはり、オセルタミビル が今、広く使われている理由の1つは副作用が少ないということがあるんです けれども、副作用は少ないということはあっても、ここに書いてあるとおり、 投与件数が増加した場合はどういう副作用が出るかはわからないから、この文 章でいいと思いますが、アマンタジンの方は、この「備考」のところに書いて あります、この文章を持ってくればいいのかなとも思いますが、例えば、これ は何もWHOだけではありませんが、WHOでは、新型インフルエンザ発生時 の抗インフルエンザウイルス薬としてM2イオンチャンネル阻害剤、これはア マンタジンとかリマンタジンのことですが、アマンタジンを使用しなければい けない場合には、副作用と薬剤耐性の出やすいことを承知して投与すべきであ るということで、やはりアマンタジンの方が副作用が出やすいということは、 ここで比較で書いておいた方がいいと思います。 以上です。 ○廣田委員長 いろんなデータソースからこういう表をつくるとなかなか一定 しませんので、例えばWHOのパンデミックプランと言っていいんですか、抗 ウイルス薬のガイドラインとか、何かああいうデータソースをはっきりさせて、 それから書くという方がよろしいのではないでしょうか。この研究ではこう出 た、この研究ではこう出たと言うと収拾つかなくなりますので。 田代先生、たしか、あの委員会にデータありますね。あれを参考につくると いうような形で。 ○田代委員 あれのときが、2年くらい前ですね。あのときはまだ、十分なノ イラミニダーゼ阻害剤の耐性のデータはなかったんですけれども。 ○廣田委員長 あれと、例えばCDCのインフルエンザ対策の委員会レポート、 2つぐらいでこれをつくるというような。 よろしいですか。 ○事務局 はい。 ○廣田委員長 時間が随分経過しておりますし、それから、加地先生から非常 に重要な御指摘をいただきまして、ちょっと時間かかりそうなので、私、ちょ っと手を入れていますので変更点を読ませていただきます。 加地先生の御指摘は、ザナミビルも忘れるなということであります。 それでは、32ページから、「1.新型インフルエンザ発生時に備えた抗イン フルエンザウイルス薬の種類等」で、まず最初のポツですけれども、ノイラミ ニダーゼ阻害剤(リン酸オセルタミビル、ザナミビル水和物)、それから、M 2イオンチャンネル阻害剤(塩酸アマンタジン、リマンタジン)があり、この うち、国内の確保量はと。一応、ここは、日本では流通していないけれども、 リマンタジンも書いておいた方がいいのではないかと。 「2.抗インフルエ ンザウイルス薬の特徴等」で、抗インフルエンザウイルス薬のうち、国内で流 通している3種について、その特徴を表4にまとめたで、54ページの表4にリ ン酸オセルタミビルと塩酸アマンタジンの間にザナミビルも書くということで す。 「3.抗インフルエンザウイルス薬の備蓄」で、「(1)リン酸オセルタミ ビル」を「ノイラミニダーゼ阻害剤」として項を立てると。 それで「WHOは、副作用と薬剤耐性の観点から、新型インフルエンザ対策 としては、入手可能であればノイラミニダーゼ阻害剤を選択するのが望ましい としている」と。後は、これは削除でいいのではないかと。何か、WHOでも リン酸オセルタミビルを推奨しているような雰囲気になってしまいますので、 ちょっとここでとめると。 2つ目のポツですけれども、昨シーズン(2003−2004年)は、約1,420 万人 分のリン酸オセルタミビルと、21万人のザナミビル水和物が確保され、前者の 確保量は全世界の約半数を占めていると。これはザナミビルも記載すると。 次のポツに移って、このように諸外国と比べると、我が国では、通常のイン フルエンザの治療として、ノイラミニダーゼ阻害剤が広く使用されており、既 に一般の医療機関への流通が確立していると。 その後の3行は、発症後48時間以内の投与というのは添付文書みたいなので、 これは削除。 次のポツで、このため、日本においては、医療機関を受診すると推計される 患者の多くがノイラミニダーゼ阻害剤を処方されることを想定して、必要と思 われる量を推定することが大切であると、ずっと続きます。 33ページ、下から7行で、したがって、現在、国内の供給体制において確保 することが可能なノイラミニダーゼ阻害剤を、政府としては、官民併せて云々。 次の34ページで、「(2)塩酸アマンタジン」の上ですけれども、そのポツ、 「国内で」から始まるところですけれども、「国内で」を削除しまして、「抗 インフルエンザ薬」、それから、その下の行、「の備蓄方法としては、製剤買 い上げ、バルク買い上げ、流通備蓄などが考えられる」。それで「これらの方 法を」で、この後、挿入で、これらの方法を、国内で量も多く使用されている リン酸オセルタミビルを例にとって、表5にまとめたと。 こうしますと、オ セルタミビルと、それから、ザナミビルを大体同じように記載しておるという ことで、実際にはオセルタミビルが使われているというのは最後のポツのとこ ろで書いておると。 いかがでございましょうか。 それでは、ちょっと確認して、次に移りましょうか。 ○田代委員 ちょっと質問なんですけれども、33ページの下の7行分のところ なんですけれども、2,500 万人分を確保ということと、備蓄ということなんで すけれども、備蓄するのはどこかにストックパイルですか。その数値はどうな るわけですか。 そこで、例えば2,500 万人分必要であると。そのうち、この1,420 万人はマ ーケットというか、メーカーが持っていると。その残りを、国ないし地方自治 体とかそういうところで備蓄をしておくと。そういうようなことなんでしょう か。 ○廣田委員長 ちょっと確保と備蓄の使い分けを。 ○事務局 まず、田代先生おっしゃられるとおり、まず2,500 万人分という目 標値がありまして、ただ、そのうちの現在流通している量がありますので、そ の残りの部分につきまして国、地方自治体、医療機関において適切な役割分担 の下で備蓄するというふうに使い分けているところでございます。その適切な 役割分担をどうしていくかについては、今後、行政的に考えさせていただけれ ばというふうに考えておるところです。 ○田代委員 その1,500 万人分のメーカーが持っているという、流通している というのは、将来にわたってある程度、確保できている数字なんですか。 ○事務局 まず、今年度の数についてはまだ正式にはいただいていないところ ですので、その数を明記するというのはここでは避けさせておりますし、大丈 夫というふうにメーカー側も最大限努力していただけるというふうには聞いて おるところでございます。 ○稲松委員 そうすると、買いだめの予算規模はどのくらいになるんですか。 ○牛尾課長 予算規模につきましては、国会での審議を経ませんと予算が決ま りませんので、今、この段階では明確なところは申し上げられませんが、ここ で記載しておりますように、適切な役割分担で国だけが行う、適切な役割分担 と申しますのは、国だけが行うのか、地方公共団体にもお願いするのか、その 辺の案分によっても国の予算規模というのは大分異なってくるわけでございま す。 御案内のとおり、かなり厳しい財政状況でございますので、一定の負担とい うものもやはり地方自治体にお願いしながら、しかし、やはり国としても必要 量というものは確保する。そして、我々の気持ちとしましては、この報告書を 踏まえてトータルとして2,500 万人分を確保するという方向で考えていきたい というのが今の考え方でございます。 ○菅谷部長 廣田先生、今の話ですけれども、ノイラミニダーゼ阻害剤として 2,500 万人分という意味ですか。そういうことですか。 ○廣田委員長 でしょうね。だから、ここでは。 それで、最後に、国内で量が多く使用されているリン酸オセルタミビルとい うので。 ○菅谷部長 アマンタジンは含めないで2,500 万人分。 ○廣田委員長 私の考えでは、その最初の出だしがWHOは、入手可能であれ ばノイラミニダーゼ阻害剤を選択するのが望ましいと言っているわけですから、 入手可能ならそっちで、それがやはり優先されるのではないですか。 ○菅谷部長 わかりました。 ○廣田委員長 それでは、まとめて、次に行きましょうか。 それでは、岡部さん。 ○岡部委員 今の33ページの議論のところなんですけれども、私、前回欠席し ていたので今さら言うのは申し訳ないんですが、この新型インフルエンザの患 者数の推計はやはり、このメルツァーのモデルを基本にしているので、この患 者数は前述の医療供給体制によれば約二千五百万人程度はあるという数字が出 てきた。何々のとおりと言うと、非常にこれが金科玉条のような感じがしてく るので。 それから、2,500 万人程度があるから、この2,500 万人を確保するというこ とがあれば十分であるというような印象にはならない。ミニマムで可能なとこ ろでは、この辺が目標であるというような表現の方がいいと思うんです。 いずれにしろ、次の方でこれがなくなったときというのは書いてありますけ れども、これだけあれば十分いくんだということでは、この委員の中でも決し てだれも納得していないと思うんです。ですから、そこら辺を表現を入れてい ただいた方がいいと思うんですが。 ○廣田委員長 よろしいですか。 どうぞ。 ○雪下委員 33ページの「適切な役割分担のもとで、地方自治体及び医療機関 においても備蓄」ということですが、使われるのは医療機関で使うしかないわ けですから、医療機関で使うに当たって、医療機関で自分の使うものについて は備蓄していろと。それで、その不足については自治体が確保しておいて、そ の都度、それを供給していくという意味でしょうか。 ○牛尾課長 その辺のところはまだ明確に固まっているわけではございません けれども、いわゆる大流行がない時点におきましては、通常の流通ルートに乗 った形で卸から医療機関という形で使用されるんだろうと思いますが、ここで 言う自治体、医療機関においても備蓄を行うという考え方は、一旦発生します と流通にもかなりの打撃があるということを考えますと、例えば国の1か所、 あるいは都道府県の1か所だけで置いておきますと、いざというときの48時間 投与というものが間に合わなくなるのではないかということを危惧しておりま すので、それが第1点。 それから、もう一つは、1か所で備蓄するというのはやはり、かなり大きな スペース、あるいは保管を必要としますから、実際に使われる一番近い医療機 関でストックしてもらうということが危険分散にもなるのではないかというこ とを考えております。 ですから、ここで言う医療機関は通常のシーズン、あるいは通常のインフル エンザに使用していただいているのとは別にストックをある程度やっていただ けないかという考え方で内々おるというところでございます。 ○雪下委員 だから、要するに国と地方自治体は、別に金出して備蓄するとい うことではないわけでしょう。 ○牛尾課長 いえ、国、地方自治体も備蓄する。 ○雪下委員 買い上げておるんですか。 ○牛尾課長 その辺は、これからまた考える関係でございますけれども。 ○雪下委員 実際、実施するのは医療機関で有料で、あるいは保険診療でやる わけですね。 だから、流通というか、それを確保する意味で自治体が協力す るということですね。 ○牛尾課長 そうです。 ○雪下委員 だから、金を出すわけではないですね。 ○牛尾課長 それは難しいかなと。 ○雪下委員 買い上げて、国で今度、医療機関に売るわけですか。 ○牛尾課長 国の備蓄というのは、インフルエンザの発生が全国均一に発生す るとは必ずしも限らない。そのときに、やはり国の備蓄分というものを地方の 方に、もし不足した場合に供給しなければならない分として国も一定分を確保 しておく必要はあるだろうというふうに考えております。 ○雪下委員 それでは、原則はメーカーと問屋がやればいいんですね。それを スムーズにいかせるために、国とか自治体がそれについて協力する、保障する ということですね。そういうことで考えればいい。 ○牛尾課長 そこら辺の仕組みを、この報告書をいただいた後によく考えてい きたいと思っています。 ○事務局 それでは、少しまとめに入らせていただく前に、岡部先生からの御 意見、33ページの2,500 万人程度の前半部分は、前述の医療供給体制によれば というふうに修正いたしたいと思います。 それで、後段の最小と書くかどうかの辺りについては、我々としてもこれが 最大値ではないと思っている理由から、前の「最大」を削るということをさせ ていただいておりますが、それでよろしいでしょうか。 ○岡部委員 これ、「2,500 万人程度」に「最大」を消したわけでしょう。そ うではなくて、2,500 万人分を確保することで十分であるといったような形に ならないようにした方がいい。 例えば、ミニマム量2,500 万人とか、そういったような表現になるのではな いかと思うんです。あるいは、現在の流通機構からいって可能な量がこのぐら いであるといったような書き方ではないかと思うんです。 ○事務局 一応、先生、ここの部分の中段の表現については、まず、前述の医 療供給体制によれば、まずこうなりますと。その上で「政府としては、官民併 せて2,500 万人分を確保することが選択肢として挙げられる」ということで、 量については、こちらの後段の方で触れていることになりますので。 ○岡部委員 そうです。 ○事務局 ですので、ここに最小とか書くのは、実は医療供給体制の25%推計 値のところの中では一応マックスの推計値は使っているんですが、それを書き ますと、先生がおっしゃられるとおり、これが最大であるかのような印象を受 けてはいけないということで、まず削っております。 ですので、2,500 万人分というのはあくまでも選択肢であるという、ほかに ももしでき得れば、もっと上の数字もあるのではないかということで「選択肢 として挙げられる」という表現を使わせていただいているので、それで御了解 いただけないかというふうに思います。 ○岡部委員 そういう内容であるということで。 ○事務局 それでは、修正点について確認させていただきます。 「VI. 治療薬」、1のところ、最初のポツ、抗インフルエンザ薬のところで、 「塩酸アマンタジン」の後に「リン酸アマンタジン」を付け加える。 また、「このうち、国内の確保量は表3のとおりである」というふうに訂正 いたします。 また、「2.抗インフルエンザウイルス薬の特徴等」で、その 次の行を「抗インフルエンザウイルス薬のうち、国内で流通している3薬につ いて、その特徴を表4にまとめた」ということで、ザナミビルについても、こ の表4に追加すると。 「3.抗インフルエンザウイルス薬の備蓄」、(1)のタイトルを「ノイラ ミニダーゼ阻害剤」に修正する。 その最初のポツの「さらに」から「以下のとおり整理する」を削除する。 次のポツ、「昨シーズン(2003−2004年)は、約1,420 万人分のリン酸オセ ルタミビル、21万人分のザナミビル水和物が確保され、前者の確保量は全世界 の約半数を占めている。このように諸外国と比べると、我が国では、通常のイ ンフルエンザの治療として、ノイラミニダーゼ阻害剤が広く利用されており、 既に一般の医療機関への流通が確保している」。 「また」以下の文を削除い たしまして、「このため、日本においては、医療機関を受診すると推計される 患者の多くがノイラミニダーゼ阻害剤を処方されることを想定して、必要と思 われる量を推計することが大切である。新型インフルエンザの患者数は、前述 の医療供給体制によれば、2,500 万人程度の患者が医療機関を受診されると推 計される。従って、現在、国内の供給体制において確保することが可能なノイ ラミニダーゼ阻害剤を含め、政府としては、官民併せて2,500 万人分を確保す ることが選択肢として挙げられる」のように修正いたしたいと思います。 また、次のページ「塩酸アマンタジン」を「M2イオンチャンネル阻害剤」 というふうに修正いたします。 以上です。 済みません、1か所漏れがございまして、(2)の前のポツにつきまして、 「国内で」を削りまして、「抗インフルエンザ薬の備蓄方法としては、製剤買 い上げ、バルク買い上げ、流通備蓄などが考えられる。これらの方法を、国内 で量も多く使用されているリン酸オセルタミビルを例として、表5にまとめた」。 以上のように修正いたします。 ○雪下委員 ちょっとよろしいですか。 この備蓄というのは、私はこれは、そこに買って持っているということだと 思うんです。だから、先ほど言った33ページの一番最後に、国とか地方自治体 が買ってそれを確保しておくというなら備蓄ですけれども、別にそれを買って 持っているわけではないわけですから、この場合、備蓄するのはあくまでも医 療機関に備蓄しろということになるわけだと思うんです。そうではないんです か。 それで、医療機関である程度備蓄というか、医療機関で使用して、必要量に ついては地方自治体並びに国が責任を持つというような、それを担保するとい うような感じになるだろうと思うんです。 だから、これは自治体が備蓄すると、自治体が責任を持って、それを買って 持っているということになるし、医療機関で持っていったのは有料で使って、 その備蓄されたものはどうやって使うのかという問題も起こってくると思うわ けで、その辺ははっきりさせておいた方がいいのではないかというふうに。あ るいは、備蓄という言葉をやめるか。 ○岡部委員 流通量の確保ですね。 ○雪下委員 流通量の確保です。 だから、国と自治体が備蓄して、今の抗ウイルス剤については国から無料で 国民に使ってもらうということだったら、この備蓄でいいと思うんですけれど も、実際は全部医療機関で、それを保険なり有料なりでやるわけですから、備 蓄というのがちょっと適当な言葉ではないと思うのが1つと、それともう一つ、 医療機関に備蓄するということになりますと、恐らく国立病院とか、私立病院 とか、公立病院に備蓄するということを想定されているんだと思うんです。そ うすると、実際に来るのは一般の医療機関ですから、一般の医療機関で今度は ないということになると、それでは全部、公立の病院に行くとかそういうこと になって、かえって混乱を起こすということになると思うんです。 だから、医療機関での備蓄というのもおかしいというふうに思うんですけれ ども、その辺のところ、ちょっとわかるように書き直していただきたいと。 ○事務局 先生、備蓄という言葉を確保に置き換えるということではいかがな んでしょうか。 ○雪下委員 だから、今、私が言っているような意味を考えて確保と考えてお られるのかどうかということです。その辺のところを。 ○廣田委員長 田代先生。 ○田代委員 そのイメージでは雪下先生のおっしゃっておられたことと違って、 やはり国ないし自治体がお金を出して買い上げておくと。それを実際に、医療 機関にどういうふうに分配するかというのは、そのメカニズムについてはこれ から検討していただくことになるかもしれませんけれども、国がお金を出した 必要量だけを確保しておくと。普通、それが備蓄ですね。そういうようなイメ ージでいたんですけれども、そうではないんでしょうか。当然、予算措置が必 要だから、勝手にここに書いてそのとおりになるかどうかはわかりませんけれ ども。 ○雪下委員 実際はそういうことであれば、それが理想的だと思うんですけれ ども、今のインフルエンザワクチンの場合、私も、だから毎年不足する不足す るというので、その不足しないようにかなり大量につくってもらって、残った 分は国で補償すべきだということを前から言っているんですが、それはどうし ても受け入れられないというので、恐らく国は金出すつもりはないのだろうと いうふうに私は思って、だから、本当は国で買い上げておいて、何らかの形で それを過不足なく医療機関に配布してもらうというのが理想だと思いますけれ ども。 ○牛尾課長 今の時点で、まだ明確なことが固まっていないというのが正直な ところでございます。 それで、この備蓄という表現が妥当かどうかはわかりませんが、55ページに 一応は備蓄方法ということで、これが備蓄という名前に値するのかどうか、こ れは表現もございますが、「製剤買い上げ」がいわゆる一番わかりやすい備蓄 という方法だろうと思います。 あと、「バルク買い上げ」、「流通備蓄」とありますが、若干苦慮しており ますのが、例えば天然痘のワクチンのように全く普段は使わずに、一旦何かあ れば、そのときだけ使うというものではないということが、この抗インフルエ ンザ薬のときにあるということ。 もう一つは、医師の処方せんがなければ、 この抗インフルエンザ薬は投与できないということになりますという条件があ りますから、当然、医療機関での処方ということになる。そこの兼ね合いの中 で、だから通常のインフルエンザならば、先生御指摘のように、通常の十分量 が流通の中で確保されていれば特段問題ないだろうという認識なわけです。 しかしながら、一旦パンデミックが起こった場合、現在の流通している中に おいては不足する事態が考えられるので、それ以上のものについて、どこかに 別途確保すべきではないだろうかという思いがあります。 その確保方法について、ここでは一旦、備蓄という表現を使っておりますが、 それを実際、どのように使いやすくやるのかということについては更に詰めて いきたいというのが私の思いでございます。 今の時点では、それぐらいでちょっと御容赦いただけないかなというふうに 思っておりますが、全く国が金を出さないということではなくて、それは私と しては最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。 ○菅谷部長 今の課長の意見なんですけれども、結局、要するに2,500 万人分 をノイラミニダーゼ阻害剤で確保するということがここに書かれているわけだ から、あとの具体的なやり方は、私は実際、すごくいろんな意見があると思い ます。それは、今、雪下先生がいろいろおっしゃっていたような問題もあるし、 医療機関で備蓄するとは一体どういう意味なのかという、非常にあるんですけ れども、私なんかはまた全然別に解釈して、普通は医療機関は、私たちの病院 でも流行期に必要な分を買い込むわけですけれども、それを2年分ぐらい買い 込んでおくとか、あるいは3年分ぐらい買い込んで徐々に回していく。 要するに、使っていかなかったら全部無駄になってしまうわけですから、そ の具体的な方法については是非、また国で考えていただくとして、ただ、2,50 0 万人ということが一つの、それはミニマムなのか、マックスなのかわかりま せんけれども、2,500 万人はということがここに書き込まれれば、私はこれで いいと思います。 ○廣田委員長 それでは、この備蓄というのを先ほどおっしゃったような形に でも修正いただいて、それでは、次に行きましょうか。 ○事務局 それでは、先生、備蓄という意味は万一に備え蓄えておくこととい う意味みたいですので、いろんな解釈はここではできるかもしれませんが、我 々としては、この報告書は国に対して、きちんと蓄えて万一に備えて準備して おくようにという方針を、この委員会として強く示す必要があるという意味で、 この備蓄という言葉を使わせていただいておりますので、この最後の分段は原 案のとおり、「地方自治体及び医療機関において備蓄を行うこととする」とい う、原案のままさせていただければというふうに思っておりますけれども、い かがでしょうか。 ○廣田委員長 雪下先生、いかがでございましょうか。気持ちはわかったかな と。 ○雪下委員 気持ちがわかっていただければいいんですが、例えば、今、菅谷 先生も言われた医療機関といっても、例えば開業医が使うか使わないかわから ないようなものを何十人、何百人かもわからないものを現実問題として備蓄し ておけるのかどうかと。それは不可能だと思うんです。 そうすると、さっき申し上げたように、やはり大きな病院だけで備蓄すると いうようなことになると、実際起こるのは、大きな病院からインフルエンザ起 こるわけではありませんから、一番末端の各医療機関に発生してくるわけなの で、そこで速やかな対応を取れるのかどうかという問題。そこになくて、そう いうところにあって対応できるのかどうか。それがまた問題になってくるので はないかというふうに思うわけですので、その辺のところ、わかってもらって もなかなか、後になって本当に発生したときにわかってもらえないと困るので、 やはり何らかの形でその辺のところをきちっと書いていただければというふう に思いますけれども。 ○事務局 先生の御意見を踏まえました上で、ここは適切な役割分担、方法の 下でということで、そこはきちんと行政として考えさせていただくということ で。 ○雪下委員 あるいは、医療機関は消すかですね。備蓄という問題。医療機関 は省いて、国なり自治体で備蓄と。 ○事務局 先生、それでは、この原案につきましては、適切な役割分担、方法 の下で、地方自治体等においても備蓄を行うこととするという原案で、とりあ えず、委員長預かりとさせていただくということで、いかがでしょうか。 ○雪下委員 結構です。 ○事務局 それでは、済みません、時間も過ぎておりますけれども、申し訳ご ざいませんが、このまま続けさせていただきたいと思います。 続きまして、34ページ「4.抗インフルエンザウイルス薬の効果と留意点」。 (34ページ24行目から36ページ4行目まで朗読) ○事務局 「7.薬剤耐性ウイルスモニター体制の整備」。ここは、文書の簡 素化をしました。 以上でございます。 ○廣田委員長 いかがでございましょうか。よろしいですか。35ページで、2 行目から、入院や死亡といった重症化を一定の割合で減少させること、及び社 会機能のとしてください。というのは、ノイラミニダーゼ阻害剤でまだ死亡を 減少というのは、まだはっきりなっていませんので、データありませんので、 「減少させること、及び社会機能の」と。 ほかにございませんでしょうか。それでは、次、お願いします。 ○事務局 それでは、続きまして、37ページ「VII .新型インフルエンザワク チン」に移ります。ここも章の移動をまず行っております。また、前回までの 御指摘を踏まえまして、まず最初に現在の生産技術を使用した新型インフルエ ンザワクチン生産について触れ、次に新たな技術を用いた新型インフルエンザ ワクチンの生産について記述しております。1は、新たな項目ですので、まず 1についてのみ朗読いたします。 (37ページ2行目から9行目まで朗読) ○事務局 一旦ここで切りたいと思います。 ○廣田委員長 この項、いかがでございましょうか。よろしいですか。 それでは、次、お願いします。 ○事務局 それでは、次。 (37ページ10行目から15行目まで朗読) ○事務局 続きまして、39ページのちょうど真ん中辺り。 (39ページ13行目から18行目まで朗読) ○事務局 ここは、専門家の意見を元に1文の挿入を行っております。 続きまして、40ページの真ん中より少し上、ここは仮定の話をきちんと書い ております。 続きまして、41ページ「ワクチン接種の優先順位」、ここは前 回の御意見を踏えまして、以下のように修文を行っております。なお、社会機 能の維持とまん延の予防上の緊急性を照らし、この中でも集団C(社会機能の 維持の立場から見た集団)の優先度が高いと考えられる。 次のポツの途中からですけれども、ここでは、接種体制について触れるべき であるという前回の意見を踏まえまして、「また、十分な量が供給されるよう になった状況では、自治体においては、多数の人への接種に対応できるよう、 接種体制についても整備することが重要である」。 「5.副反応モニタリング及び評価」については、特に変更ございません。 以上です。 ○廣田委員長 では、37ページから41ページ、御意見をお願いいたします。 加地先生、どうぞ。 ○加地教授 田代先生、この前ちょっとお話しになったかもしれませんが、37 ページの新型インフルエンザワクチンの生産のところで、動物では抗体が上が るんだけれども、ヒトでは十分な抗体の上昇が得られなかったというのは、何 か理由はわかっていますか。例えば、ウイルスの抗原性の問題だとか。 ○田代委員 原因は、はっきりわからないです。アジュバントを入れて上がっ てくるので、免疫原性はあると思いますけれども。 ○加地教授 そうですか。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○岡部委員 41ページのところの表6の「ワクチン接種の優先順位」なんです が、これはもう既に前の報告書にも優先順位が書いてありますが、必ずしも一 般のヒトたちの理解を得られていることではない。これは、情報センターの調 査でもわかってきているんですけれども、十分な国民の理解を得るということ は、非常に重要だと思うので、ここに書くか書かないかは別としても、今後こ の意義を伝えていく必要はあると思います。 ○稲松委員 41ページの今の優先順位の件ですけれども、欧米の文献で社会機 能の維持というと、実際的には軍隊とか消防とか交通機関の何とかという話に なって、医療機関は別枠になっているような感じがするんだけれども、そんな ことないですか。 ○岡部委員 医療機関は、ランクの高いところに入っていますね。 ○稲松委員 高いんだけれども、こういう社会機能の維持という言い方をして しまうと。通常は交通機関の何とかとか、そういう話にならないの。 ○岡部委員 でも、明確に書いてあったんじゃないですか。あるいは、この表 6のところにそれを書くかどうか。 ○稲松委員 ここに、医療機関の何とかを含めてとか、何か一言欲しいような 気がします。○岡部委員 前の報告書には、たしかありましたね。 ○稲松委員 これは消えているから。アメリカなんかの優先順位の論議のとき には、こういうのはむしろ軍隊とかそういう話になりませんか。 ○岡部委員 必ずしもそうでもないです。WHOの議論の中だと、医療機関で の、とにかく医療をする人の確保が必要だというふうになっています。 ○稲松委員 当然入ってくるわけですね。 ○岡部委員 というふうに思っていますけれども、ただそれは社会から理解が 得られているわけではない。 ○稲松委員 はっきり医療関係者とか書いてもらった方が、恐らく社会的には よく理解されることだろうと思います。 ○田代委員 あらかじめ、国民の同意を得られるような努力をする必要がある と思います。それを、この提言の中に入れたらいいんじゃないでしょうか。 ○菅谷部長 ここはやはり結構問題になるかもしれないから、でも稲松先生が 言ったのは、医療機関と書けば医療機関が大事なことは、この間のSARSの ことや何かでも、すごく国民の間でわかっているから、理解を得るために医療 機関と書いておかないと。 ○稲松委員 などと一言。それから、実際救急隊がほとんどワクチンを打って ないんですね。現在のワクチンはね。その辺もやはり予算上の何とかができな くて、救急隊員はワクチン費用よりも寿司屋に行く方がいいとか、そんなばか な話がありましてね。だから、救急隊なんかも公的な費用をちゃんとするべき だと思うんですけれども、警察に言うとうちは厚生省じゃないというんですね。 だから、そんな理解の程度ですから、少しきちっと書いておいた方がいいよう な気がします。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○田代委員 40ページの4番の「新型インフルエンザワクチンの接種」ですけ れども、これは具体的に集団接種に近いというか、そういう形になるんじゃな いかということが予想されるんですけれども、その辺についても現行の方法の 個別接種ではないと、臨時の予防接種になる。そういうことを記載しておいた 方がいいと思います。 それから、それに応じてワクチンも1mlの小さい場合だけではなくて、10ml とか、ボリュームを大きくした能率のいい接種ができるようなことを考えてお く必要があると思います。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○事務局 まず、優先接種につきましては、基本的に前回の委員会においてし っかり議論いただいてあるものを踏まえた上で、今回の議論に立っているとい うふうに認識しております。 それで、具体的な表現をどうするかにつきましては、いろんな意見があるか と思いますが、そこはまた専門家の先生方の間で、集団についてどのような集 団があるのか見直しいただいておるというふうに聞いておりますので、ここで は岡部先生がおっしゃられましたように、この考えられるの後に、国において は緊急時における優先接種の必要性を広く周知し理解を求めることが必要であ るような文面を加えることにしたいと思います。 また、続きまして、田代先生の御意見につきましては、臨時の予防接種とし て取り扱うことが必要と考えられると。ここでそのときの状況を考慮した上で、 必要な法的措置を行うことを考えておるつもりでございます。 なお、10mlとかバイヤルを必要ということは十分認識しておるんですけれど も、そこはその状況に応じた方法論として取らせていただきたいと考えており ます。 ○雪下委員 これは予防接種としてやるということでいいわけですね。法律の 下にやると全国民。 ○事務局 そこは、必要な場合はそのようなことを考えております。 ○雪下委員 当然それは無料でやるということですね。 ○事務局 いえ、必ずしも。まず、臨時の予防接種として取り扱った場合の費 用負担は国ということになっていますけれども、今回の報告書ではそこまで踏 み込んで議論はしておりません。費用負担については、その場の状況等を見な がら、そこで判断すると、行政的に判断させていただくことになるかと思いま す。 ○稲松委員 今の問題は極めて重要で、例えば、副作用が出たときの補償をど うするかとか、全部連動してくるんですね。そういう意味で、きちっとしてお かないと、ちょっと混乱する可能性がありますね。 ○事務局 ワクチンにつきましては、薬品被害救済対象になりますので。 ○稲松委員 現在のインフルエンザワクチンと同じようなシステムでやるのか、 あるいは、一応形としては任意接種、希望者に対して任意接種してとか、いろ いろあるわけでしょう。○事務局 ですので、そこはその状況をかんがみない と、今の段階では行政判断はできないと考えておりますので、予防接種法に基 づく臨時の予防接種として、とりあえず使うことが必要と考えられると。今の 段階では、この表記しかできないのかなと思っております。○廣田委員長 よ ろしいですか。では、次お願いします。 ○事務局 それでは、先ほどの意義を伝えていくという修正を行いまして、続 きまして、42ページ「VIII.検査等]に移ります。検査等は、特に大きな修正 はございません。表現の一部を見直している部分と、一番下の削除は前述のと おり、前回ここまで必要ないという御意見に基づき削除を行っております。 以上です。 ○廣田委員長 この部分、御意見ございますでしょうか。 それでは、次お願いします。 ○事務局 続きまして「IX.国際的な連携」「1.国際機関との連携の強化」、 ここは感染症情報センターのアドバイスによりまして、加筆修正をしておりま す。時間の関係から、朗読は省略させていただきたいと思います。 それ以外、特に変更箇所はございません。以上です。 ○廣田委員長 この43ページから45ページまで、御意見ございましたらお願 いします。 南先生、どうぞ。 ○南委員 申し訳ありません、その前のところなんですが、優先順位のところ で、A、B、Dを削除すると、ここでCというのが出てくるわけです。表6と いうのを報告書に付けるわけですね。それで、A、B、C、Dと分けたものの 報告書の中では、Cについてだけ言及するということになりますか。 ○廣田委員長 そういうことになりますね。 ○南委員 ということは、なぜCだけ分けておいて、Cだけ言及するのかとい うふうな感じにならないかと思うんですけれども。 ○事務局 そこは、前回の委員会でそのような説明いたしますということで、 御理解をいただけたのではなかったかと思ったんですけれども。 ○南委員 前回の委員会で、分けることは分けるけれども、Cにだけ言及する ということですか。 ○事務局 もともと、A、B、C、Dの集団がありますということは、まず平 成9年度にこのような議論がされておりまして、今回検討会を開催していく中 で、基本的にこのA、B、C、Dという集団があることについては変わないと。 ただ、昨今のSARS等の感染事情を考えますと、特に医療従事者などの社会 機能の維持に必要なものについては、重要性があるのではないかという御意見 がございましたので、この1文のみを加筆してはどうかというふうに説明した 上で、御理解を得られたのかなと思っておったところでございます。 ○南委員 そうすると、前回までの委員会の理解の上に立ってということです か。 ○事務局 はい。 ○廣田委員長 よろしゅうございますでしょうか。この43〜45で、いかがでし ょうか。 ○田代委員 今のところは、平成9年の委員会で表6のような区分をしてある けれども、その中でCをという文章を加えておけばわかりやすいと思います。 ○事務局 南先生、田代先生の御意見を反映して、そこはわかりやすく表記に 努めさせていただきたいと思います。 ○廣田委員長 ちょっと確認ですけれども、集団Cには、医療従事者が入るわ けですね。○事務局 そうです。 ○廣田委員長 それから、集団Aに、最近の集団Dで昔から考えていた、23か 月までの乳児、幼児に、非常に小さい子どもというのは、今は集団のAですね。 それでよろしゅうございますか。 ○事務局 そうです。 ○廣田委員長 確認させていただきました。 ほかにございませんでしょうか。それでは、次。 ○事務局 それでは、最後に「X.終わりに」について、これも初めての提示 ですので、朗読させていただきます。 (46ページ1行目から18行目まで朗読) ○廣田委員長 ここいかがでございましょうか。どうぞ。 ○加地教授 一番最初に申しましたように、この感染拡大を遅らせというとこ ろは、やはり防止という方がいいんじゃないでしょうか。 ○廣田委員長 私もそれを考えていたんですけれども、ただ防止というのは確 実に防止ではないんですね。広がってしまえば、全部インフルエンザになるの で、結局は感染拡大になってしまうので、WHOの考え方もこれをプリペンシ ョンするのは無理であると。たしかゲインタイムといったような形で、時間を 稼いで、その間にいろんな備えをして、被害を少なくするという考え方だった と思うんですけれども、感染の拡大を防止しというと、もうストップという印 象になるんじゃないかと私は思っているんですけれども。 ○加地教授 そういうニュアンスであれば、防止でなくてもいいんですけれど も、私が言いたいのは、遅らせるだけだったら非常に消極的なんですね。世界 中に広がるんだけれども、とにかく時間稼ぎだけしようという感じなんですね。 実際そうですか。そうではなくてやはり。 ○廣田委員長 ある程度、広がることは広がると思います。 ○加地教授 ある程度広がりますけれども、そこはスペインインフルエンザの ときは違って、ワクチンもできましょうし、抗インフルエンザ薬もありますか ら、昔のようにただ広がっていくスピードだけを遅くするという意味ではない だろうと思うんですね。そこのところを拡大を遅らせというと、どうもやはり スペインインフルエンザのときのように、どうしても全世界に広がるのは防げ ないと。ただ、時間を稼いで広がるのを遅らせるだけしかできないんじゃない でしょうか。どうでしょう。 ○雪下委員 拡大を防止するんだから、拡大しないからいいんじゃないですか。 ○加地教授 例えば、グローバルなレベルで言えば、それでもあるでしょうけ れども、それは日本であるとか、あるいは日本での特定の集団とか、そういう ところはある程度では拡大は防げるだろうと。ハイリスクグループの集団とい ろいろあるわけで、そのレベルによって違うかもしれません。確かに、WHO なんかで、グローバルなレベルで言えば防止なんてできることではないわけで すけれども、もうちょっと視野を変えてみれば防げる集団もできてくるんでは ないか。というのは、今はワクチンもありますし、抗インフルエンザ薬もあり ますし、いろんな方法もあるかと思います。 ○菅谷部長 岡部先生のおっしゃるとおりだと思うんですけれども、ただこの ニュアンスは、だから防止という意味は岡部先生の言っている遅らせるという 意味です。 この感染拡大を遅らせという、何か日本語としてはおかしいんですね。そう 意味で、加地先生の防止でいいと思うんですけれども、ただ実際問題としては、 そういうふうに時間稼ぎになると思います。 ○廣田委員長 事務局から、どうぞ。 ○事務局 岡部先生、加地先生の御意見、多分目指しているところは同じもの だと思っておるんですけれども、事務局といたしましては、ここは目的でござ いまして、平成9年の委員会でここは目的としてこの表現を使っておりますの で、そこは今のままで、ただし聞かれた場合にはきちんと加地先生、岡部先生 がおっしゃられたことを目指しておりますということを説明する方が、前回の ことを踏まえた議論であるということからは、表現はそのままにしておった方 がいいのかなと思っているところですけれども、いかがでしょうか。○雪下委 員 加地先生、前に言われた2か所ぐらいは防止としてあるんですから、拡大 防止だから遅らせることなんで、感じとしては遅らせるというと、遅れるけれ ども拡大するのかと、それは学者の先生はそうなんだと言われますけれども、 国民側としてはやはり遅らせるというと、何か心配ではないですか。拡大を防 止の方が、安心できるんじゃないかと思いますけれどもね。 ○加地教授 先生、ここの文章の中にも2か所拡大防止と書いてあるんですね。 言葉としては、その整合性もあるかもしれません。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○事務局 それでは、皆様方の御意見を踏まえまして、公衆衛生学的な介入に より、感染をできる限り防止し、健康被害を最小限にとどめるとともに。とい う表現ではいかがでしょうか。 ○田代委員 もう一つだけお願いなんですけれども、下から4行目のところで、 我が国においても本報告書に基づき着実に具体的な準備を進めていくことが重 要であるというふうにあるんですが、これは重要であるのではなくて、既にも う具体的なパンデミックプランに対する策定を行うべきであるというふうな形 に、もっと強く表現をしていただいた方がいいだろうと思います。 これは、本報告書に基づきではなくて、私の考えとしては、本報告書に引き 続き、基づきというと非常にこれに縛られるというか、このとおりにやって、 更に応用問題というふうになっていくんじゃないかと思うんですが、総論はこ れでできているけれども、これに従ってスタートするという意味では、報告書 に引き続きというふうにしていただいた方がいいのではないかと思います。 ○加地教授 それは全くそうですね。先生おっしゃるとおりです。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○田代委員 前回話して、かなり苦労されたんだと思いますけれども、今のと ころですけれども、着実に具体的な準備というのは、これは国がやるわけです けれども、その中に前回話したような、ナショナル・パンデミック・プランを つくると、この報告書に書かれているフレームワークを達成するために具体的 なアクションプランをつくるということをやってほしいわけで、ですから、そ ういうことを含めて着実に具体的な準備ということを一言入れてもらいたい思 います。 ○事務局 まず、田代先生がおっしゃられました、まさに具体的な準備の中に 考えておるところでございます。 それで、この一文につきましては、岡部先生の御意見を踏まえまして、我が 国においても本報告書に引き続き、着実に具体的な準備を進めていくべきであ る。という表現に変えるということで、よろしいでしょうか。 ○岡部委員 準備の策定ですね。準備プランをつくるわけですから。 ○田代委員 プランをつくって、それをインプリメントしておかなければいけ ないわけでしょう。ただつくっただけじゃどうしようもないわけですから。 ○岡部委員 そうすると、準備でいいですか。 ○田代委員 具体的な準備、その中に、今、中里さん言われたようなことを含 んでいるとすれば、言葉はそれでいいと思います。 ○廣田委員長 よろしいですか。あと後ろの表とかもよろしいですか。 ○事務局 表については、先ほどザナミビルを投入とか、そういったことにつ いては、事務局の方でまた案を修正して後日見ていただくということで、御了 解をいただければと思っております。 また、必要な資料については、委員長とも御相談させていただいた上で、必 要なものについては追加していく。その場合には、委員の皆様方の確認を得る ということをしたいと思っております。 それと、最後に定義というものを設けておりますけれども、そこもまた事務 局の方で案をつくりまして、わかりにくい言葉については定義を載せていくこ とをやっていきたいと思っております。 事務局からは、以上でございます。 ○廣田委員長 以上、この議題1でございますが、この最後の委員会で報告書 全体について御確認をいただきましたので、これをもって本報告書の案とさせ ていただきます。 議題2で「その他」とありますけれども、事務局から何かありますか。 ○事務局 それでは、長時間に及ぶ御議論ありがとうございました。本日、御 意見いただきました修正箇所について反映させていただいた上で、また委員及 び参考人の方々に最後の御確認をいただきまして、この報告書を、具体的なは っきりした時期はまだ未定でございますが、できる限り8月の終わりぐらいに 冊子として公表していくという形が取れればと考えておるところでございます。 以上でございます。 ○廣田委員長 どうぞ。 ○田代委員 質問なんでけれども、この議事次第の最初の紙を見ますと、厚生 科学審議会感染症分科会感染症部会の下に小委員会がくっ付いているわけです けれども、この報告書は、分科会に提出して、そこで議論してもらうというか、 ノレッジしてもらうというプロセスになるわけですか。審議会として厚生労働 省に答申をするという形になるんでしょうか。 ○事務局 これは、先ほど田代先生がおっしゃられましたとおり、分科会に報 告することを予定しております。 ○廣田委員長 ほかにございますか。いかがでしょうか。 ○牛尾課長 特にございません。本当に長時間ありがとうございました。予定 よりも1時間ぐらい超過しました。なかなかまだ我々の方でも準備しなければ ならないことがたくさんございますが、この報告書を最大限尊重して行政を進 めていくことが今度我々の仕事だと認識しております。 本当にありがとうございました。 ○廣田委員長 それでは、これで閉会とさせていただきます。 21 (照会)                                厚生労働省健康局結核感染症課                     担当:近藤(内)2379                         佐藤(内)2386          TEL03−5253−1111