04/07/30 薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会 平成16年7月30日議事録 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年7月30日(金) 14:00〜   法曹會舘 高砂の間 2.出席委員(8名)五十音順    井 上   達、○大城戸 宗 男、 奥 田 晴 宏、 杉 村 民 子、    米 谷 芳 枝、◎溝 口 昌 子、 望 月 正 隆、 山 本   都 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(3名)    神 田 敏 子、 長 尾   拓、 吉 岡 初 子 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    川 原   章(審査管理課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    揚 松 龍 治(医薬品医療機器総合機構審議役)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点から非公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、ただいまから化粧品・医薬部外品部会を開催させて いただきます。現在のところ、当部会委員数11名のうち8名の先生方の御出席をいただ いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。本日は委員の 先生方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうござい ました。また、長尾拓先生、神田敏子先生、吉岡初子先生が御欠席でございます。  事務局側の方でございますけれども、この7月23日付けで人事異動がございましたの で、御紹介させていただきます。大臣官房医薬担当審議官に就任いたしました黒川審議 官でございます。次に審査管理課長に就任いたしました川原課長でございます。次に医 薬品医療機器総合機構の揚松審議役でございます。まずは黒川審議官よりごあいさつさ せていただきます。よろしくお願いします。 ○審議官 平成16年7月23日より医薬担当審議官に着任いたしました黒川でございま す。よろしくお願いいたします。本日は先生方大変お忙しい中化粧品・医薬部外品部会 に御出席いただきまして、本当にありがとうございます。委員の皆様には日ごろから医 薬安全行政に御理解と御協力を頂きまして、重ねて御礼申し上げます。  近年、国民の健康に対する意識の高まりを背景に、化粧品や食品など身近な製品の安 全性に対する国民の関心はますます大きなものとなっております。また同時に科学技術 の進歩や国際流通の進展など、薬事行政を取り巻く環境も大きく変化しつつあるところ でございます。  このような様々な変化に適切に対応し、一層の薬務行政の充実のため、来年4月から いよいよ改正薬事法が全面施行されるということになっております。内容について若干 触れますと、製造という行為に対して許可を与える現在の仕組みを製造販売、すなわち 上市する、販売行為を行うということでありますけれども、こういったことに対する許 可と、品目ごとに承認を与える制度に切り替えるものであります。製造に着目していた のが、販売に視点が移っていくことであります。こういったことは申請者が直接製造設 備を持たなくても製造販売業の許可を受けることができる、また、完全委託製造を可能 とするという、これらの点で従来とは大きく異なってくるわけでありますが、内容とい たしましては市販後の安全対策の許可の要件というところで、その充実を図っていきた いということを考えている次第であります。  私どもが先生方にお願いしております化粧品・医薬部外品でございますけれども、国 民にとって極めて身近な薬事法関連製品であります。また生活の安全といった面で、あ るいは品質の面でも国民の関心が高いものでございまして、これらの要請に対しまして 私ども迅速に対応するため、努力をしていきたいと思っております。  本日は個別製品の承認の可否、それから化粧品基準の改正に関する議題が用意されて おります。委員の皆様におかれましては、薬事・食品衛生審議会に対する国民の厚い信 頼にこたえるべく、それぞれの御専門の分野におかれまして最新の科学的知見や御経験 を基に厳正な御審議を賜りますよう、伏してお願い申し上げる次第であります。簡単で すが、私のあいさつとさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。 ○事務局 ありがとうございました。それでは溝口部会長の方におかれましては以後の 議事進行をよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 それでは本日の議題に入らせていただきたいと思います。事務局から配 付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 確認させていただきます。本日の資料といたしましては、事前に先生方の方 には資料1及び資料2を送付させていただいております。机上の方には、まず一番上が 議事次第の1枚紙でございます。それに続きまして本日の座席表でございます。次が委 員名簿でございます。次が本題の資料でございますが、資料1といたしまして今回の製 造承認の可否について「諮問書」というものを置かせていただいております。次に資料 2は資料2-1と2-2に分かれてございますが、資料2-1が冊子になってございます「ユ ビデカレノンの化粧品基準収載に関する資料」でございます。次に資料2-2はこのよう にひもでとじてありますが、「『2,2'-メチレンビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イ ル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)』の化粧品基準収載に関する資料」で ございます。次に資料3でございますが、「『安全上特に問題がない』ものの一般小売 店での販売について」という5枚紙の資料でございます。次の資料4も資料4-1と4-2 に分けさせていただいておりますが、資料4-1が「セイヨウアカネ根又は茜草根由来の 成分を含有する医薬品、医薬部外品及び化粧品に関する調査について」という、これは 厚生労働省の医薬食品局安全対策課長通知でございます。次の資料4-2も同じく通知で ございますが、1枚紙の7月26日付けの安全対策課長通知の写しでございます。次の資 料5も通知でございますが、「シンフィツム(いわゆるコンフリー)を含有する医薬品、 医薬部外品及び化粧品に関する調査について」ということで、これも6月18日付けの安 全対策課長通知の写しでございます。それ以外にもう1部、資料番号は打ってございま せんが、本日化粧品基準の改正について御審議いただくということで、いわゆる化粧品 基準の本体を参考資料として配付させていただいているところでございます。以上が本 日の資料でございますが、御確認の上不足等がございましたら事務局の方までお申し付 けくださいますよう、よろしくお願いいたします。不足等ございますでしょうか。それ では部会長、進行をよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 議事に入ります。まず議題1でございますが、医薬部外品「S-AXエッ センス」の製造承認の可否について、事務局からまず御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは議題1について、総合機構から審査の概要を御報告いたします。諮問 書が表紙になっているもので、医薬部外品「S-AXエッセンス」の製造承認の可否につ いての資料1をお願いします。審査報告書に沿って御説明いたします。  3ページでございます。販売名「S-AXエッセンス」、申請者は株式会社資生堂でご ざいます。成分・分量のうち、アデノシンが医薬部外品として新規に配合された有効成 分でございます。用法・用量は、適量を頭皮に塗擦する。効能・効果は、育毛、薄毛、 かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、養毛として申請されております。  本品目については専門協議における議論を踏まえ、総合機構において審査を行ってお ります。最初に当該品目の開発の経緯について簡単に御説明いたします。「イ.起原又は 発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」の3行目に記載しておりますが、 申請者は男性型脱毛者では長径40μm以下の細く短い毛髪が多くなっていることを発見 しております。また、男性型脱毛を改善するには、うぶ毛化した毛髪を太毛化すること により、外観的な薄毛の範囲を縮小させることが重要と考え、さらに男性型脱毛部位の 組織学的観察において、退行期毛包下部の結合織性毛根鞘が肥厚し、毛乳頭及び下部毛 包周囲の血管数が減少することにより毛包が栄養障害に陥り、男性型脱毛に至る可能性 が論文等で指摘されていることについても着眼し、血行促進や細胞賦活などの効果を持 つ成分を探索したということでございます。その結果、リボヌクレオシドの一種である アデノシンを見出し、新規育毛剤有効成分として開発を進めたものでございます。  次に、4ページの2段目になります。アデノシンの外国における使用状況については、 CTFA(米国化粧品工業会)により、INCI(化粧品成分国際名称)に収載され、化粧 品原料として使用されており、ボディ用ジェル、美容乳液等が、日本、フランス、米国、 イギリスなどの30か国以上で販売されております。しかし、これらの化粧品におけるア デノシンの配合量は、申請者の分析によると0.1%程度(本申請品目は□□%)と推定さ れております。  次に、「ロ.物理的化学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料」については特 段申し上げることはございませんが、アデノシンの構造は□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□等で確認されております。また製剤の規格及び試験方法には、 □□□□、□□、□□、□□□□(□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□)、□ □□(□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□)が設定されており、特段の問題は ございません。幾つか有効成分の規格として整備すべきところがありましたので、総合 機構から指摘いたしておりまして、この点は申請者により整備され、改善されておりま す。  次に、「ハ.安定性に関する資料」についても、特段の問題はございませんでした。  次に、「ニ.安全性に関する資料」についてですが、アデノシンの安全性については単 回投与毒性試験(経口)、反復投与毒性試験(経口)、生殖発生毒性試験、抗原性試験(皮膚 感作性試験、光感作性試験)、遺伝毒性(復帰突然変異試験、染色体異常試験、小核試験)、 皮膚一次刺激性試験、連続皮膚刺激性試験、光毒性試験、眼刺激性試験及びヒトパッチ 試験が行われております。  ラットを用いた単回経口投与毒性試験において、アデノシンの概略の致死量は 2,000mg/kg以上と推定されております。また、ラットを用いた28日間反復投与毒性試 験において、アデノシンの無毒性量は雌雄共に1,000mg/kgと判断されております。  そのほか安全性に関して検討を要した事項についてでございますが、遺伝毒性試験(哺 乳類の培養細胞を用いる染色体異常試験)において、連続処理法で構造異常出現率が陽性 を示し、in vitroで哺乳類の培養細胞に対して染色体異常誘発性を有すると判断されて おります。ただし、マウスにおけるげっ歯類を用いる小核試験においては、小核を有す る多染性赤血球の増加は認められず、in vivoでの染色体異常誘発性は認められており ません。染色体異常試験においては染色体異常誘発性を示しましたが、小核試験の結果 より、染色体異常誘発性については生体でその可能性は低いと判断されております。し たがいまして、これらについては毒性学的な問題はないと判断いたしました。  次に、「ホ.効能又は効果に関する資料」ですが、効能又は効果を裏付ける試験につい ては、モルモットによる皮膚血流試験、ヒト単離毛包による毛包器官培養試験、ヒト培 養毛乳頭細胞でのFGF-7遺伝子発現亢進効果試験及びヒトによる配合濃度設定試験が行 われております。モルモットによる皮膚血流試験においては、アデノシンはニコチン酸 アミドと同程度の皮膚血流に対する血行促進効果を有すること、またヒト単離毛包によ る毛包器官培養試験においては、アデノシンは毛包組織に作用し成長期形態維持効果を 持つこと、それからヒト培養毛乳頭細胞での表皮細胞増殖因子(FGF-7)遺伝子の発現亢進 効果試験においては、このFGF-7遺伝子発現はアデノシンの添加により発現量が2倍程 度に増加したことが確認されております。  ヒト(健常成人)によるアデノシン配合製剤の育毛用医薬部外品有効成分として妥当な 配合濃度の設定試験が皮膚血流試験により検討されております。□.□%以上で陰性対照 に対する有意差が認められ、プラトーに達したことから、申請者はアデノシンの配合濃 度を□.□%として、アデノシン配合製剤の育毛用医薬部外品としての適性について、男 性型脱毛改善効果並びに安全性を指標に評価することを目的とし、ヒト使用試験が健常 人102名(本製剤使用群51名、陽性対照として□.□%ニコチン酸アミド製剤使用群51 名) 対し行われております。この試験においては、アデノシン配合製剤はニコチン酸アミド 配合製剤に比べ主要評価項目とした全般改善度が有意に高く、副次的評価項目の薄毛部 における太毛率の増加率も有意に高い結果が得られております。  なお、特に審査に影響するというほどの事項ではございませんが、安全性面ではアデ ノシン配合製剤使用群で軽微な落屑(フケ)3例、脂漏2例が認められております。しか し、試験責任医師はいずれも本剤との因果関係はなしと判断しております。  総合機構は、専門協議における審議結果を踏まえ、本製品が効能・効果にフケを防止 する製剤でございますので、この実使用試験においてフケが発生したということは、考 え方としては重篤な有害事象ととらえるべきではないかということで、因果関係なしの 根拠を明確に説明するよう申請者に求めました。  試験責任医師の見解によると、被験者のエントリーにおいてフケに対する配慮が十分 でなかったため、フケの多く見られる被験者の除外を明確にしていなかったこと、もと もとフケが多い被験者を入れてしまったということでございます。フケが発生した3例 の被験者は、1例は頭皮をかいたことによる角層の剥離が原因であること。ほかの2名 はフケの出やすい被験者であったということ。また3例のうち2例については、洗髪方 法として余り爪を立てずに洗うといった指導をした結果、その後フケが消失していると いうことがございます。これらのことが本製剤との因果関係はないとした根拠でござい ますが、再びフケの出やすい2名の被験者のデータを除外して解析を行いましたけれど も、結果の変動は有意差検定を左右するものではないことから、試験結果の信頼性には 影響を与えない旨回答を得ております。  総合機構は試験結果については問題のないことを理解した上で、申請者に対しては、 被験者のエントリー基準、洗髪方法に対する被験者への説明等に十分でない点があった ことから、試験実施計画書、被験者に対する試験の目的についての適切な説明等につい て、今後は厳重に留意するよう指導を行いました。当該試験結果については受け入れる ことといたしております。  これらの試験成績等を基に、本成分による育毛、薄毛の予防等、またかゆみやフケに ついては、配合されているβ-グリチルレチン酸やl-メントールなどの既承認の有効成 分の効能に基づいておりまして、これらの効能又は効果、用法及び用量は適切に設定さ れており、本申請品目は通常の使用では適切なものと判断いたしました。  以上の審査を踏まえ、総合機構は提出された申請内容について本品目を承認して差し 支えないとし、化粧品・医薬部外品部会において審議されることが適当であると判断い たしました。なお、本申請品目のアデノシンが医薬部外品として新規有効成分であるこ とから、承認後少なくとも2年間の安全性に関する市販後調査を実施することが適当と 考えております。以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関しまして御討論お願いい たします。御質問、御意見ありましたらお願いいたします。非常に詳細でしたので、 少 し内容を分けて御審議いただければと思います。4ページにありました最初のロの物理 化学的性質と、ハの安定性に関する問題についてはいかがでしょうか。また後から御意 見を頂くことも可能でございます。外国で販売されているよりも濃度が高いようですけ れども、推定で0.1%が□.□%でございます。したがいまして4ページからずっとござ いますニの安全性に関する問題はいかがでしょうか。井上先生、よろしくお願いします。 ○井上委員 安全性に関する点ですので、一言質問をさせていただきます。こういった 塩基、核酸のたぐいは一時いろいろトライがなされたと思いましたので、新規だという のはちょっと驚きでしたけれども、in vitroでは、例えば核酸のたぐいですと意外に毒 性があって、このような外用剤として使用したりするような際の毒性等については余り 危惧される点がないという認識でおりました。質問は、国外で利用されている濃度との 違いについては、効能の考え方が全く違うというふうに考えてよろしゅうございますか。 ○溝口部会長 事務局の方からお願いいたします。 ○機構 実はこれが化粧品で使用されているというのは国外だけではなく、既に国内で も使われております。今お話があったように濃度が低いという問題は、化粧品ですので 有効性がそれほど期待できる量は配合していないということです。肌をきめ細やかにす るとか肌を整えるといった目的で化粧品には使われているようでございます。 ○井上委員 その点はよく分かりました。それで、毒性データを拝見する限り危惧され る点はないと私は判断いたしましたが、細胞周期とか細胞の代謝などを促進するとか、 そういう影響などは特にないと考えてよろしいですか。あるいは申請者は見ておられま すか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。セルサイクルの問題について、事務局の方からお答 えいただけますでしょうか。 ○井上委員 影響はないと思っているのですけれども、落屑が増えたとかいうようなこ とも、そういうふうに考えれば考えられないこともないものですから、念のため伺いま す。 ○機構 その点については確認をしておりませんでしたので、確認をさせて頂いた上で 回答させて頂くことでよろしゅうございますでしょうか。 ○溝口部会長 ではその点をよろしくお願いします。井上委員、よろしゅうございます か。ほかに御意見ございますか。どうぞ山本委員、お願いします。 ○山本委員 ちょっと教えていただきたいのですが、インターネットや何かでこういう 育毛剤などを調べたら、ATPはいろいろなところで普通に使われているように出てき たのですけれども、このアデノシンが今度新規というのは、ATPの方との関係という のは何かあるのでしょうか。 ○溝口部会長 事務局の方からお願いいたします。 ○機構 アデノシン三リン酸については、添加剤としては使用前例がございます。アデ ノシンそのものというのは今回が初めてということでございます。 ○山本委員 そこではATPを使っていて見たところでは同じように賦活とかそういう ことだったので。ただアデノシンとして新規ということなわけですか。その場合有効性 とか安全性はまた違ってくるという形でやっているということなのですか。そこら辺私 は詳しくないものですから分からないのですが。 ○機構 アデノシンというものを育毛効果を目的としまして、その毛包細胞の血行を促 進するということに申請者が着眼して申請してきたということでございまして、今簡単 に調べましたところ、アデノシン類については添加剤としては三リン酸の使用前例があ るということでございますが、有効成分として配合した前例はございません。アデノシ ンそのものを配合するのは添加物としても有効成分としても初めてでございます。 ○溝口部会長 ありがとうございました。ではATPとしてはあっても、アデノシンそ のものでは今回が初めてということでよろしゅうございますか。では大城戸委員、お願 いいたします。 ○大城戸部会長代理 6ページの真ん中から下の方の、「ウサギにおける眼刺激性試験 は、アデノシン100%(0.1g)及び□.□%(0.1mL)(媒体:注射用水)で」とありますけれ ども、これはどういう意味なのでしょうか。この□.□というのは本体のことで、このア デノシン100%というのは…。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。事務局からお願いいたします。 ○機構 アデノシン100%については、原体そのものを使用したということでございま す。 ○大城戸部会長代理 それから9ページの上から9行目なのですけれども、多分これは 間違いだと思うのですが、「安全性面では、アデノシン配合製剤使用群で軽微な落屑(フ ケ)3例、脂漏2例が認められた」うんぬんと書いてあるのですが、175ページにこの有 害事象の一覧表が出ておりまして、どうも数字が合わないのです。多分どちらかが間違 っている…。脂漏は1例でしょうね。 ○溝口部会長 そうですね、そうでないとトータルで4になりません。 ○機構 申し訳ありません。これも確認の上回答させていただきたいと思います。 ○溝口部会長 では確認をお願いします。5ではなくて4になるわけですね。175ペー ジの方は4で…。 ○大城戸部会長代理 これは提出者がまとめたものですね。 ○機構 資料概要の方は申請者がまとめたものでございます。 ○大城戸部会長代理 これは間違いです。それからこの治験の内容を見てみますと、「洗 髪は配布シャンプーを使用」というのが169ページに出ておりまして、つまりこれは育 毛の方だけを見るためにシャンプーで洗えと、これはよろしいのですね。そうしますと、 専門協議でも問題になったと御説明がありましたが、効能・効果で「ふけ」とだけ…。 これは多分「ふけの予防」でしょうね。フケの予防で50例中2例ですか、フケを予防す るものなのにフケが出るという…。しかもこれはシャンプーを別に使わせているから、 これはフケは副作用ではないのですか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。事務局からお願いいたします。 ○機構 ただいまの御指摘のとおり専門協議におきましても、当初このフケというもの に関しまして申請者がそれほど有害事象というとらえ方で考えておりませんでしたの で、これについては副作用ととらえまして、試験責任医師の判定では因果関係なしとい うことでございましたが、その根拠について説明を求めたところでございます。そうし ましたら、もともとフケの多い被験者をエントリーするというのは間違いであったが、 エントリー基準をきちんとしていなかったものですから、フケの多い被験者を入れてし まったといったことがございましたので、そのデータを除外して検定し直してもらった 上で判定結果に影響しないということで、この試験結果は受け入れられものと判断いた しました。 ○溝口部会長 いかがでしょう。大城戸委員、よろしくお願いします。 ○大城戸部会長代理 それはよく分かりました。そうすると、効能・効果のところにふ けの予防と入れるのはおかしいのではないかということを言っているのです。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。フケの効果はこのアデノシン以外のものにある効果 を加えたのだと思いますが、アデノシンが入ってどうなるかという問題もあろうかと思 いますので、事務局の方からお答えいただきたいと思います。 ○大城戸部会長代理 それでフケの出やすい人を省いたらこの有害事象を外せたと、統 計的有意な差という…。しかし、フケの予防というのも効果に入っていてフケの人を外 してというは、どうもちょっとおかしいような気がいたしますけれども、どうでしょう か。 ○機構 今部会長からお話がありましたとおり、このフケのほかにかゆみという効能も 申請しておりますけれども、それについてはほかの有効成分であるβ-グリチルレチン酸 とl-メントールの消炎作用による効能として付けております。 ○溝口部会長 大城戸委員、よろしゅうございますか。 ○大城戸部会長代理 逆にその二つの治験をやり直したようなものではないですか。こ のふけの効能という…、意地悪く言いますと、例えば、β−グリチルレチン酸が本当に フケとかかゆみに効くのかどうかというのをちょうどこの製剤でやってみたら、かえっ てフケの被験者は外さないといけなかったということなので…。 ○機構 試験の目的がフケの有用性を掲げておりませんでしたので、もしフケの有用性 について確認するということになると、やはりエントリー基準は厳しくしたものだと思 いますので、この結果からのみでふけの効能を取るというのはちょっと難しいのではな いかと思われます。 ○溝口部会長 今問題にされているところが、ホの効能又は効果を含めた副作用、安全 性になってしまいましたが、アデノシンの血流あるいは毛を太くするということに関し ましてはこの効能・効果が問題ないとなりますと、この副作用がどうかということにな ります。この治験は実際の製品、このβ−グリチルレチン酸とかl−メントールが入っ ているものでやっているわけですね。9ページの「フケの出やすい2名の被験者のデー タを除外して解析を行ったが、結果の変動は有意差検定を左右するものではない」とい うことは、毛髪とか血流の方を左右するものでないということであって、フケのことに 関してはまた別の話なわけですね。治験担当の医師は本剤と関係ないと判断はしている のですけれども、この製品全体がフケにも効果があると書いてあることを大城戸委員は 問題にしているのだと思いますが。 ○大城戸部会長代理 9ページでこの文章がおかしいのは、治験担当医師に問い合わせ ているのですが、「フケが発生した3例の被験者は、1例は、頭皮をかいたことによる 角層の剥離であり」と出ておりまして、175ページの「□□□」という症例が多分これ に当たると思うのですが、これはN群の方で、本体の有害事象ではないのではないです か。これはコントロール側の方の有害事象の説明を、こちらにあたかも…。 ○審査管理課長 S群の方の表の一番上の「□□□」の症例も「洗髪時にかいたためと 思われ」というところがございまして、そういう意味では両方に1例ずつあるという形 でございます。 ○大城戸部会長代理 分かりました。失礼しました。 ○審査管理課長 今溝口部会長におまとめいただいたように、医薬部外品の場合は作用 が緩和な成分で、効果もどちらかというと緩徐なものが多いわけでございますが、ちょ っとフケの部分が積極的に…、先ほど説明したような取扱いになっておりますので、一 般的には配合成分によってこういう効能をうたえるというルールで、半分モノグラフ化 といいますか、ちょっと基準的な運用をして審査をしております。フケの部分について 議論になっているということで、この取扱いは今までの既存の取扱いとの整合性と本品 で出てきているデータで、一応担当の医師は因果関係はないのではないかというふうに は言っているのですけれども、そこの判断が難しいところかなと思います。 ○溝口部会長 担当の医師は関係ないと判断しているようですけれども、これは新規の 医薬部外品として2年間市販後調査をするということなのですが、これにフケとかそう いうことも将来入ってくる可能性もあるわけですね。これでおしまいということではな くて、2年間は…。こういう医薬部外品の場合そういった有害事象というのはどのよう に上がってくるのでしょうか。医薬品と同じように上がってくる可能性があるのでしょ うか。 ○機構 医薬部外品の市販後調査については、この部会で安全性において調査が必要と いうことを判断いただければ申請者に調査をさせます。そのときには医薬品と同じよう に市販後調査計画書を出してもらいます。どういった点に気を付けるというような目的 の中に、当然フケに限らず何か有害事象、あるいは不都合な作用といいますか、そうい ったものが出た場合にはきちんと統計をとって出すということになっております。報告 も1年ごとにやるということで、2年目には総括報告も出してもらうことになっており ます。 ○溝口部会長 では大城戸委員、お願いいたします。 ○大城戸部会長代理 これは冗談だと思って聞いてほしいのですが、これが今言いまし た0.1%でいろいろなボディ用ジェルとか美容乳液等に入っているわけですね。これで 全身の毛が濃くなるということはないのでしょうね。女の人が塗っているとうぶ毛が…。 ○機構 化粧品についてはこの後化粧品基準にかかわる説明がございますが、タール色 素や紫外線吸収剤といったもの、特に配合してはならないと化粧品基準で掲げているも の以外は製造業者の責任の下に使っていいということになっているため、これもそうい う使われ方をされているということでございます。これはちょっと個人的推察になるの ですが、この□.□%のこの製剤の試験結果を見る限りにおいては0.1%程度ではそれほ どの作用はないのではないかと考えられます。 ○大城戸部会長代理 どうも失礼なことを聞きました。 ○溝口部会長 今効能・効果も含めて御討論いただいていますが、先ほどの安全性も含 めまして今「ホ」のところに入っておりますけれども、ほかに御意見…。望月委員、お 願いいたします。 ○望月委員 今のお話に随分出たように0.1%が外国で使われて、今回は□.□%という ことですけれども、この吸収を見てみると全体の0.8%程度しか吸収しないで、94.2% は回収されると。そのときになぜ□.□で□.□ではないかというのは、167ページの血 流量変化だと思うのですけれども、□.□では全く有意差がなくて□.□で突然上がって、 1.0ではそれがプラトーに達しているということです。こういうことを普通に考えると なぜ□.□で何も出ないのだろう、□.□にしても吸収する量はほんの微量であるという ことを考えると、このデータは私には非常に面白いのですけれども、これがこういう血 流量試験では当たり前なのかどうかという点をちょっと教えていただきたいのですが。 私は知らないからお聞きしているので、どうぞよろしく。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。大変難しい御質問だと思いますが、事務局の方から お願いいたします。 ○機構 専門委員の中にも吸排の専門の先生に入っていただいて検討しておりました が、その点については特にご指摘はございませんでした。今望月委員の方からお話があ ったとおり、□.□%では対照と比べて有意差がないということで、□.□%を製剤の濃 度としているわけでございます。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。確かに、□.□を□.□にしただけで急に有意 差が出てくるというのは面白いといえば面白いことですけれども、これは血流に対する 効果だけですね。血流がよくなれば毛髪に効くのは当然ですが、毛が太くなるといった ことに関しては□.□と□.□は比べているのでしょうか。 ○機構 この試験では血流を比較したものです。 ○溝口部会長 血流だけの比較でそういう現象が見えている。これは単に現象としてと らえているだけかと思いますけれども、望月委員いかがでしょうか。不思議に思うのは ごもっともで、私もそう思います。 ○望月委員 いまだに不思議に思っております。よく分からない…。 ○溝口部会長 吸収される量にもあって、それでパーセントを変えるとここで有意差が 出てくるのがなぜかという疑問は当然上がりますが、一応専門協議ではこれは特に問題 にならなかったということで、このままこういう現象として受け止めるよりしようがな いかもしれませんけれども、よろしゅうございますか。 ○望月委員 結構でございます。 ○溝口部会長 どうぞ奥田委員、お願いいたします。 ○奥田委員 教えていただきたいのですけれども、男性型の脱毛者ということでこの試 験が組まれていて、臨床試験も男性だけということですね。これは女性にもやはり効果 があるということで、こういうふうに全体の効能は特に区別をされていないということ でしょうか。それが前提になっていると。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。事務局からお答えいただけますか。被験者は男性で、 実際の効能には性別が書いていないということです。 ○機構 今の御質問というのは、試験データを見ると男性にしか効果がないようである けれども、承認される効能・効果については特に男性が特定されていないという御質問 でございますか。 ○奥田委員 そうです。 ○機構 医薬部外品の効能・効果というのは医薬品と違い、その範囲が決まっておりま して、男性に特定するといった効能の持ち方はしておりません。したがいまして、この ような効能・効果を掲げるということになります。 ○奥田委員 分かりました。その辺の考え方だけ聞かせていただければ結構です。 ○溝口部会長 今の点について私からちょっと質問させていただいてよろしいですか。 ミノキシジルのときは使うときに最初に男性に限られていたと思うのですけれども、こ れはそれをしなくてもよろしいと考えていいですか。どうぞお願いいたします。 ○審査管理課長 実はこの毛髪剤の関係は、医薬品、医薬部外品、それから化粧品のヘ アトニック的なものまで3種類ございまして、ミノキシジルの場合は医薬品になってお ります。あと医薬品の育毛剤等はカロヤンなどもございますけれども、成分がやや劇性 が強いといったものについては医薬品の範疇になっておりまして、成分などが緩和なも のになりますと医薬部外品というジャンルになっております。あるいは単なるヘアトニ ック的なものですと化粧品で販売されているものもあると。それで医薬部外品について は、先ほど総合機構の方から説明がございましたように大体今までの前例の成分で、こ の成分が入っていればこういう効能といったような形で運用していると。  ただ、今回こういう化粧品といったようなものに内外で少し使っている成分ではある のだけれども、アデノシンの濃度を非常に上げて、育毛とか養毛のより積極的な効能を うたう有効成分としては初めてという形で出してきたということでございます。そのよ うな中で処理をしておりますので、そういう意味ではほかの部分の評価の字句とか評価 方法を直接持ってこなければいけないという形にするかどうかは非常に難しいところか と思いますが、今までの育毛剤といったようなものは実際の審査の方ではどのような形 で…。医薬部外品は大体このような試験の成績を求めてという形ですか。 ○溝口部会長 事務局の方からお願いいたします。 ○機構 育毛剤については今回提出された資料でよろしいかと思います。このような資 料を求めているところでございます。 ○溝口部会長 ありがとうございました。ほかに、この「ホ.効能又は効果に関する資料」 で御質問あるいは御意見おありになりますでしょうか。よろしければ、全体で何かあり ましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。それでは案のとおり御了承いた だけますでしょうか。 ○大城戸部会長代理 この文章をちょっと…。 ○溝口部会長 先ほど大城戸委員から御指摘がありました一部文章の訂正とか二、三、 質問にお答えいただくことがあるかと思いますが、それをクリアしていただきたいと思 います。その点がクリアできましたら、これは分科会の方に報告事項として提出させて いただくことになりますが、よろしゅうございますか。どうぞ、お願いいたします。 ○事務局 ただいま十分御審議いただいたことを少し整理させていただこうと思いま す。基本的に本件について取扱いを認めていただけるということだと思いますが、いろ いろ御意見を頂いたことを踏まえまして、例えばフケの効能に関しまして有効性のデー タについては、今回恐らく配合成分からそういった効果が期待できるという中の設定か と思います。その一方で、少なからず有意差がない中にも若干フケの副作用かどうかと いったところでの御指摘もございましたので、その辺りの両者の関係をもう一度確認さ せていただきたいと思います。それから審査報告書の中での例数の取扱い、3例、2例 といった数の正しいところを確認いたしまして、審査報告書の整備をさせていただくと いうことも併せてやらせていただきます。そういった今日御意見頂いたものを一通り我 々の方で洗い直しまして、その上で取扱いの方を整理させていただきたいと思っており ます。また改めて部会長の方にも相談いたしまして、分科会の報告等を含め取扱いを決 めさせていただきたいと思います。 ○溝口部会長 分かりました。それではまず宿題をクリアしていただくということで。 どうぞ、お願いいたします。 ○審議官 井上先生から細胞周期に対する影響とフケの関係についての御懸念から細胞 周期のデータはどうかというようなお話が出たのだと思いますけれども、これも今まで そういったサジェスチョン、例えば表記とかかなりあるわけでしょうか。 ○井上委員 落屑の話が出たこととの関係で質問しましたが、この投与群全体にそうい う傾向があったというお話ではありませんし、このものについての危惧は先ほども申し ましたように必ずしも持っておりません。落屑との関係で細胞周期の亢進を示唆するこ とがあり得るということは、それは別の発言です。 ○溝口部会長 ありがとうございました。フケを防止するシャンプーなどはセルサイク ルを抑えるものが入っているところから、井上委員の御発言があったのだと思いますが、 それを改めてする必要はないととらえてよろしゅうございますね。資料があればという ことでよろしゅうございますか。それでは何かほかに御指摘がなければ次に移らせてい ただきますが、よろしゅうございますか。  それでは議題2の化粧品基準の一部改正について、資料2-1、2-2でございますが、事 務局の方から御説明お願いいたします。 ○事務局 御説明させていただきます。資料は資料2-1、2-2と、もう一つ資料番号はご ざいませんが、「化粧品基準」というものを本日先生方に配らせていただいております。 それに基づきまして御説明させていただきたいと思います。  まずは資料2-1の表紙をめくっていただきますと「諮問書(写)」というものがござい ます。それをもう1枚めくっていただきますと諮問書になってございますが、もう1枚 めくっていただきまして諮問書の後ろに「(別紙)」ということで、「化粧品基準の一部 改正(案)について」というものが付いていると思います。これが表裏のペーパーになっ てございます。まずはこれに基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。  化粧品については先生方御存じのとおり、平成13年4月1日より原則として承認制と いうものを廃止いたしまして、この別紙で配らせていただきました「化粧品基準」、平 成12年9月29日付けの厚生省の告示でございますが、この規定に違反しない成分につ いて企業責任の下に安全性を確認し選択した上で配合できるということになったところ でございます。本日先生方にお諮りいたします改正内容については二点でございます。  まず一点目でございますが、この化粧品基準において化粧品は医薬品の成分を配合し てはならないということになっておりますが、添加物としてのみ使用される成分ですと か、こちらの別表の方に掲げられている成分についてはこの規定が除外されているとこ ろでございます。資料の下の方に、「別表第2の2 化粧品の種類により配合の制限のあ る成分(注)」という下線が引いてあるところがございますが、このように新たに別表第 2の2を起こしまして、ここに今回御審議いただきますユビデカレノンを収載すると。 それとともに粘膜に使用されることがない化粧品といたしまして、ここにもございます ように100g中の最大配合量を0.03gに定めるものでございます。  次に二点目でございますが、1枚めくっていただきまして見開きのページでございま す。これは同じく基準の改正でございますが、化粧品へ配合できる紫外線吸収剤という ことで、ちょっと長い名前でございますけれども、この成分名のところに書いてある品 目を収載するとともに、粘膜に使用されることがない化粧品といたしまして100g中の 最大配合量を10.0gに定めるものでございます。この基準の改正案をこの部会にお諮り するに当たりまして、総合機構の方でこの二つの成分の評価を行ったところでございま すので、まずは総合機構の方から成分の評価について報告していただきたいと思います。 よろしくお願いします。 ○機構 それでは化粧品基準収載に関する資料について、2成分ございますが、総合機 構における評価の概要について御報告いたします。御覧になっていただいております資 料2-1の評価報告書でございます。3枚目の「化粧品への配合を希望する医薬品の成分 の評価に関する報告書」でございます。成分名はユビデカレノン、一般的名称はユビデ カレノン。これは日本薬局方収載の成分でございまして、日局の名称もユビデカレノン でございます。これについて配合量としましては、化粧品100g中の最大配合量として、 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないものに0.03gという内容の収 載要請でございます。これについても専門協議における専門委員の意見を踏まえ、医薬 品医療機器総合機構において評価を行いました。  まず、「イ.医薬品の成分に相当することを示す資料及び化粧品としての外国における 使用状況等に関する資料」でございますが、ここではユビデカレノンの医薬品としての 経過、また現在食品としての使用も認められておりますので、そういった点について簡 単に述べさせていただきます。ユビデカレノンは1957年に初めてウシの心筋から結晶と して分離され、心筋ミトコンドリアの電子伝達系に位置してエネルギー産生に必要な役 割を果たすことが確認されたものでございます。種々の心疾患でユビデカレノンの欠乏 者が多いこと、また動物で実験的高血圧を作ると血圧の上昇に伴ってユビデカレノンの 欠乏が高まってくるということなどが証明されていることから、我が国におきましては うっ血性心不全症状の改善薬として開発されまして、1973年4月にエーザイ株式会社が ノイキノンカプセルとして承認を取得しております。その後錠剤や顆粒剤も開発されま して、現在では24品目販売されております。  参考資料-1でございますが、エーザイの製品であるノイキノンのインタビューフォー ムが添付されております。インタビューフォームの11ページの上の方でございます。こ こに記載されておりますが、ユビデカレノンの医薬品としての効能又は効果は「基礎治 療施行中の軽度及び中等度のうっ血性心不全症状」となっております。用法及び用量は、 「ユビデカレノンとして通常成人は1回10mgを1日3回食後に経口投与する」となって おります。また参考資料-2でございますが、日本薬局方に収載されているということで その規格が掲げられております。  また評価報告書の最初のページに戻りますが、下から5行目ほどになります。ユビデ カレノンの食品としての取扱いでございますが、平成13年3月27日に医薬局長通知が 出されておりまして、「医薬品の範囲に関する基準の改正について」により、「医薬品 的効能効果を標榜しない限り食品と認められる成分本質(原材料)リスト」に掲げられて おります。この名称については「コエンザイムQ10」ということで、健康食品等に使用 されております。なお、鐘淵化学工業株式会社の商品名が「カネカ・コエンザイムQ10(食 品用)」というものが現在食品として主に流通しているようでございますが、こちらは日 局に収載されているユビデカレノンの規格に適合しております。今説明の方は省略いた しますが、カネカ・コエンザイムの規格については参考資料-3、日局の規格が参考資料 -4に掲げられておられます。  それでは評価報告書の2ページ目でございますが、ユビデカレノンの化粧品としての 外国における使用状況でございますけれども、要請者の情報によりますと保湿成分とし て配合した化粧品が1990年代後半よりドイツで製造・販売が開始されております。それ 以降、そこに記載されておりますように欧米を含む29か国で発売されております。  次に「ロ.物理的化学的性質に関する資料」についてでございます。ユビデカレノンは 体内でも合成されている補酵素の一種でありますが、水に不溶性の物質でございまして、 その物理学性質については外観・性状、溶解性、吸湿性、融点、酸塩基解離定数、旋光 度及び吸光度が調べられております。遮光、室温保存で2年間の安定性が確認されてお ります。  次に「ハ.安全性に関する資料」についてでございます。ラット単回経口投与毒性試験 において最小致死量は5,000mg/kg以上でございまして、反復投与毒性についてはラッ トを用いた4週間回復性観察を含む52週間反復経口投与毒性試験により検討が行われ、 無毒性量は試験最高用量である1,200mg/kg/日と推定されておりまして、本成分の反復 投与毒性についてはとくに問題はないものと判断されます。  その他安全性については特段の問題は見受けられませんでしたが、次ページの中ほど になりますけれども、ウサギによる皮膚一次刺激性試験については0.03%、1%液群及 び対照液群の擦過傷部位のほとんどに軽度の紅斑が見られたということがございまし た。念のためこの所見について要請者に説明を求めましたところ、要請者からは、溶媒 対照であるオリーブ油貼付部位にも同様の反応が見られたこと、15%液群では紅斑は一 切観察されなかったことから、溶媒又は個体の感受性の差異に由来すると判断されるこ と、本成分により生じたものではないと考えられるとの回答がなされまして、総合機構 はこの回答を了承いたしました。また、ウサギにおける2週間累積皮膚刺激性試験にお いて、「非擦過」に紅斑が確認されているため、この所見について説明を求めましたと ころ、要請者から、肉眼では確認し難い毛剃操作による表皮の微細な傷が原因で、「非 擦過」部位でも「擦過」部位に近い反応が出てしまうことは珍しくないということでご ざいまして、当該反応については本成分由来のものではないと考える旨の回答がなされ ております。総合機構はこの回答を了承いたしております。  次のページでございます。下の方でございますが、経皮吸収については特段試験が行 われておりません。要請者によりますと、本製品0.03%の推定使用量を1日8gとして、 体重60kgで全量が経皮吸収されたと仮定した場合、1日当たりのヒト体内曝露量はそこ に記載していますとおり「8,000×0.0003÷60=0.04mg/kg/日」と推定され、反復投与 毒性試験の無毒性量(1,200mg/kg/日)及び生殖毒性試験の無毒性量(600mg/kg/日)を比 べると、各々約30,000倍、約15,000倍の安全率が確保されるとしており、問題はない と考えられます。  以上の結果から見まして、総合機構は本成分については「化粧品100g中の最大配合 量として、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないものに0.03g」とし て、化粧品に配合して差し支えないと判断いたしました。  続きまして次の成分でございます。資料2-2の2,2'-メチレンビス(6-(2H-ベンゾトリ アゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)というものでございま す。これも評価報告書に沿って御説明いたします。こちらは医薬品の成分ではなく、成 分分類に記載のとおり紫外線吸収剤として収載要請されております。  要請者の希望する配合量は、化粧品製品100gの最大配合量として、粘膜に使用され ることがない化粧品のうち洗い流すものに10.0g、粘膜に使用されることがない化粧品 のうち洗い流さないものに10.0gでございます。この要請は、本年3月以前のものでご ざいましたので、審査センターで専門協議が行われたものを総合機構が引継ぎ審査いた しました。  本成分の開発の経緯を簡単に御説明いたします。「イ.起原又は発見の経緯及び外国に おける使用状況等に関する資料」についてでございますが、本成分はチバ・スペシャリ ティ・ケミカルズ株式会社によって開発された紫外線吸収剤でございます。UVA及び UVB領域に紫外線吸収能力を有し、光安定性に優れ、通常化粧品に使用する溶媒系に 対する溶解度が「極めて溶けにくい」又は「ほとんど溶けない」領域に属する本成分を スクリーニングにより見いだしまして開発しております。  次のページでございます。外国における使用状況でございますが、スイスでは1999 年、化粧品紫外線吸収剤として安全であると認められております。EUでは2000年に、 ブラジルでは2000年に、それぞれ本成分10%までの配合が化粧品用紫外線吸収剤とし て使用が認められております。  次に「ロ.物理的化学的性質等に関する資料」でございますが、特段御説明する事項は ありませんけれども、化学構造は元素分析、赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、 核磁気共鳴スペクトル及び質量スペクトルにより決定されております。  次に「ハ.安全性に関する資料」でございますが、本成分については単回投与毒性試験、 反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験、皮膚一次刺激性、連続皮膚刺激性試験、感作性 試験、皮膚光毒性試験、光感作性試験、眼刺激性試験及び遺伝毒性試験が実施され、ヒ トパッチ試験は本成分を50%含む製品でございますTinosorb Mの20%水溶液並びに同 Tinosorb Mを20%配合したサンスクリーン製剤が用いられ、ヒト皮膚での透過試験及 び分布試験(in vitro)は本成分の10%製剤が用いられ実施されております。  4ページをお願いいたします。単回投与毒性試験は概略の致死量は雄雌ともに 2,000mg/kg以上と推察されております。反復投与毒性試験はラットにより行われ、28 日間強制経口投与試験においてはいずれの投与群においても毒性的意義のある所見は認 められず、無毒性量は1,000mg/kg/日であると考えられ、ラット90日間強制経口投与毒 性試験についても毒性的意義のある所見は認められておりませんで、無毒性量はやはり 1,000mg/kg/日であると考えられました。そのほか安全性についても特段の問題は見受け られませんでした。  6ページでございます。2段目のところでございますが、本成分の皮膚分布を測定す る目的でのヒト皮膚における分布試験(in vitro)が実施された結果、本成分を配合した 製剤をヒトの皮膚に塗布した場合、24時間後に約56%は表面物質として存在し、約20 %ほどが表皮成分に吸着することが確認されましたので、総合機構が本成分の光吸収後 の吸収、分布、代謝、排泄についての説明を求めました。要請者からは、本成分は光安 定性が高く、紫外線吸収による分解物生成や他の成分への有意な化学変化は検出されず、 したがって、光吸収後の本成分の吸収、分布、代謝、排泄についての挙動は、光吸収以 前の本成分での試験と同様の結果であるとの回答がなされており、総合機構はこの回答 を了承いたしました。  また、光吸収後の本成分の皮膚及び生体への影響について説明を求めましたところ、 要請者からヒトでの光毒性試験及び光感作性試験が新たに提出された結果、当該試験結 果は陰性であり、紫外線照射後もほとんど変化が認められないことが光安定性試験によ り確認されていることから、本成分の光吸収後の皮膚及び生体への影響は本成分と同等 であり問題はないというふうに考えられます。  以上提出された資料から見まして、総合機構では本成分は紫外線吸収剤として「化粧 品製品100gの最大配合量として、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流す ものに10.0g、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないものに10.0g」 で、ポジティブリストに収載して差し支えないと判断いたしました。以上でございます。 ○事務局 最後でございますが、繰り返しになりますけれども、この総合機構の評価を 踏まえまして、本日基準の改正案をお諮りすることになりました。この基準の改正案で ございますけれども、当部会の御了承が得られましたらその後パブリックコメントなど の手続を経て改正案の公布、施行に向けまして作業を行っていく予定でございます。先 生方の御審議をよろしくお願いいたします。以上でございます。 ○溝口部会長 ありがとうございました。ちょっと分かりにくいところがあるかとは思 いますが、化粧品基準の一部改正案を審議するのに、この一つ一つの上がっているもの を審査しながらということでよろしいのでしょうか。 ○事務局 そうでございます。 ○溝口部会長 今年の3月25日に審査管理課長通知によりというのは、化粧品の配合を 希望する医薬品の方の成分の取扱いですね。それともう一つの今御説明いただいた方は 医薬品ではないけれども、前からポジティブリストとして要請があったものが今回の改 正案にも関係しているわけですか。 ○事務局 そうです。 ○溝口部会長 それではその一つ一つの品目に従って進めていくということでよろしゅ うございますか。まず、医薬品として使われたものを化粧品に配合するということで出 ております最初のユビデカレノンの化粧品基準収載に関してでございますが、御討論お 願いいたします。いかがでしょうか。  ちょっと私から質問させていただきたいのですけれども、これが化粧品として収載が 認められますとどういうもの…、化粧品一般に入ってしまうのですか。医薬部外品では ないので効能・効果というのは変かもしれませんけれども、化粧品一般に入ってしまう ということでよろしいのですか。何か特別な化粧品に入る…。 ○事務局 資料2-1でございますが、先ほど「化粧品基準の一部改正(案)について」と いうペーパーがございました。そちらの下のところでございますが、化粧品一般という ことではなく、「粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの」と、同じく 「粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの」と。 ○溝口部会長 そういう定義しかないわけですね。保湿剤とか医薬部外品ではないので 特定なものではなくて、この縛りだけでよろしいということですね。 ○事務局 そういうことでございます。 ○溝口部会長 分かりました。いかがでしょうか。どうぞ、お願いいたします。 ○米谷委員 基本的なところでちょっと分からないので教えていただきたいのですが、 化粧品というのは効能・効果があってはいけないわけですけれども、この医薬品の成分 を入れるとそういう効果が出てしまうという懸念があると思うのですが、その辺はどの ように考えていらっしゃるのでしょうか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。事務局の方からお答えいただきたいと思います。 ○事務局 化粧品に今回のこの成分を配合することによって、効能・効果が出てしまう ことについてどうかということでございますが、化粧品は一定の範囲内でであれば効能 をうたうことができることになっております。 ○事務局 少し補足で御説明いたしますが、今回御審議いただいているユビデカレノン に関しましては、一応これまでの使用実績を見た場合に医薬品として使われているとい うものでございます。これが使用に当たって今の基準の中ではなかなか使え得ないとい う中で、今回一定の安全性を評価いたしまして、もし可能であればこういったものを化 粧品の範疇で使えるようにしていくということで御審議いただきたいと思っておりま す。したがって、医薬品としての現時点の用途といいますのは循環器の系統の領域で使 われているお薬がございますけれども、今回はあくまで化粧品の中で使われるという範 疇でございますので、その目的は薬事法の定義でいいますと体を清潔に保つ、あるいは 美化するといった範囲にとどまるということで考えております。この辺りは実際の具体 的な製品で取り扱われる中で、当然のことながら医薬品的な効能・効果の標榜ができま せんので、そういった薬事監視的なところでのチェックを併せて行うことで、化粧品の 範囲にとどめる使用を図っていくという考え方かと思います。 ○溝口部会長 米谷委員、今のお答えでよろしゅうございますか。 ○米谷委員 ちょっと分かったような分からないような状態なのですけれども、すなわ ちもともと医薬品であるからには有効性、効果があるわけで、その濃度などを減らすと いうことですか。確かに医薬品ですから安全だと思うのですけれども、入れる必要性と いうときには医薬品で使われている効能と違うもので使うということでしょうか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。お願いいたします。 ○審査管理課長 先ほどの説明にもございましたけれども、海外ではこれぐらいの量の ユビデカレノンを配合して保湿剤という形で化粧品として売られているということで、 医薬品として使われている成分ではあるわけですが、そういったものが量を変えて化粧 品といったものに別の目的で配合されて、一般的な化粧品の効能を発揮する一部の成分 として入ってくるということです。そういう意味では例えばビタミン剤のたぐいでござ いますとか、そういうふうに医薬品から化粧品までいろいろ配合されているものはある かと思います。 ○溝口部会長 確かにこの中にも、欧米では保湿、抗酸化作用を期待して化粧品に入っ ていると書かれているのですけれども、多分米谷委員は化粧品として使った場合、例え ば保湿ですと全身に使うこともありますが、医薬品の効果が出てしまうのを御心配だと 思うのです。うっ血性心不全状態の改善薬ということですが、化粧品に入れるからには 安全性が最も大切だとは思いますけれども、この濃度ではその効果が期待できなくてこ の表面のだけ期待できると解釈してよろしいのでしょうか。では事務局の方からお願い いたします。 ○機構 ユビデカレノンの最後の方で御説明しましたが、このものを0.03%という濃度 で推定使用された場合に1日8gで体重60kg、これがすべて経皮吸収されるという前提 に立ちますと、そういった内服の錠剤等で確認されている無毒性量と比べて約3万倍と か、生殖発生毒性試験については1万5,000倍という安全性が確保されているというこ とでございます。 ○溝口部会長 米谷委員よろしゅうございますか。 ○米谷委員 ちょっとまだ分からない点がありますが。 ○溝口部会長 お願いいたします。 ○審議官 これは外皮ですよね。例えば心不全に使うと経口でNYHAのIとかIIの改 善に使うというわけですね。ですから、ADMEで見てほとんど吸収されなければまず 問題ないということで説明できるのではないでしょうか。米谷先生、まだ御得心いただ いていないと思いますので、その辺のデータがあるのかないのか、あったらどう確かめ ているかを…。先生は安全性とか何万倍ではなくて、有効性の出ることがあるのかない のかということをお尋ねになっているので、そこをきちんと答えてください。 ○溝口部会長 どうぞ、お願いいたします。 ○機構 このものについては経皮吸収のデータは出されておりません。 ○溝口部会長 資料概要のロの11という番号が振ってあるところに、ユビデカレノンが 「分子量:863.36」と書いてありまして、大体正常の皮膚から入る分子量が推定で500 以下という報告がございますので、このぐらいですと普通の状態の皮膚からはなかなか 入りにくいと考えられます。ただ、実際の吸収のデータはとっていないということだそ うでございます。井上委員、お願いいたします。 ○井上委員 大体お話は整理がついたように拝聴いたしましたけれども、安全性の面か ら見るとこれは問題がないわけですが、先ほど来米谷先生の方から御指摘がありました ように、効能が出てしまう場合の危惧というのは今のような形でないと整理されないと いうことを、やはり毒性の立場からも申し上げておきたいと思います。ちなみに特別な 健康状態のときにどうなのかとか、あるいは薬剤として許可されている場合にはしばし ばリスク・ベネフィットの問題もあって使われているわけで、その出方は化粧品の場合 とおのずと違うということがありますので、ただいまのお話でもって私は分かりました。 以上です。 ○溝口部会長 ありがとうございます。今のは井上委員のコメントというふうに頂いて よろしゅうございますね。 ○井上委員 そうですね、薬剤というのは安全だとは私ども毒性の立場では受け取って おりません。 ○溝口部会長 薬剤はリスクとベネフィット、病気があるので内服するということがあ りますが、化粧品の場合は安全性を重視しますので、米谷委員の御懸念はごもっともだ と思います。事務局の方の御説明は、濃度その他の経皮吸収の問題から医薬品としての 効果を発揮しにくいととらえてよろしいのでしょうか。先ほど健常人と申しましたが、 保湿を主にしてアトピー性皮膚炎などに使いますと経皮吸収されてしまう可能性はある のですけれども、化粧品ですとまず顔にしか使わないというふうに考えてよろしいかと 思います。ただ、化粧品は宣伝では効果をうたっていると思いますが。 ○機構 化粧品については通知で55ほど効能が掲げられておりまして、それを標榜する といいますか、うたうことは可能となっております。 ○溝口部会長 ポジティブリストでも表示はされるわけですね。全表示になっています ので、ただ表示を見ても消費者はなかなか効果が分からないと思いますが、米谷委員た だいまの御説明でよろしゅうございますか。ほかに何か御意見ございますか。どうぞ。 ○山本委員 化粧品成分としての有効性の方で保湿性とか皮膚に対する張りというとこ ろがあるのですけれども、この制限の方で化粧品中に0.03%までとなっていて、中の「資 料概要」の6〜7ページのところで、実際に皮膚に対する保湿性とか張り付与特性など を見たところでは0.3%で下の方にグラフがあるのですが、この制限量の100g中0.03 gぐらいでの化粧品としての有効性というのは確かめられているのでしょうか。 ○溝口部会長 事務局の方からお願いいたします。 ○機構 化粧品基準に収載されるに当たっては有効性に関する資料は求められておりま せん。したがって有効性は判断しておりません。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。 ○山本委員 では安全性が問題なければ、化粧品は余り有効でなくても使えるというこ とになるのですか。 ○機構 化粧品基準に収載するに当っては、有効性については求めないという考え方で ございます。 ○溝口部会長 ほかに御意見おありでしょうか。 ○審査管理課長 今一応事務局の方でお答えしたのですけれども、そこを行政の方は規 制をして、ほかの成分なども混ぜてしっとり感を出すとかいわゆる有効性というのです か、そういういろいろな工夫は民間が自由にできるルールの中で作ってやるから、そこ までは行政で見ないという整理になっているということだと思います。 ○溝口部会長 よろしゅうございますでしょうか。そうなりますと既にビタミン剤とか いろいろありますが、今後医薬品の安全性がクリアされれば化粧品の中に含まれる可能 性は増えてくると考えてよろしいでしょうか。それはちょっと言い過ぎですか。 ○審査管理課長 本当に物によるという感じではないかと思います。こういうユビデカ レノンのような場合ですと体の中にもある成分で、医薬品としての使用経験もかなり長 くあり、化粧品の成分としても有用性が見いだされてこういう形で使われているのだと 思いますので、成分によると思いますが、天然物に近いようなもの以外はなかなか難し いのかなという感じもいたします。 ○溝口部会長 ありがとうございます。もしよろしければ次の製品の御意見をちょうだ いしながら、この化粧品基準の一部改正について御議論いただきたいと思います。資料 2-2に関しまして先ほど御説明いただきましたが、御意見をお願いいたします。奥田委 員、お願いいたします。 ○奥田委員 議論の前に確認なのですけれども、資料2-2の2,2'-メチレンビスの方で よろしいですか。「資料概要」の15ページに「4)化学構造式」とあって構造が出てい るのですが、この構造は多分間違いで、18ページの下の方にもう一つ構造式が出ている のですが、多分これが正しい構造だと思うのです。というのは名前で「テトラメチルブ チル)フェノール」となっているので、このフェノールのところにぶら下がっている側鎖 はブチルでなければいけないのですが、これは一つ炭素がないのです。 ○審査管理課長 メチレンが一つずつ飛んでいるのですね。分かりました。 ○奥田委員 そこはちょっと訂正をして、18ページにある方を前提にしての議論という ことでいいですね。 ○溝口部会長 御指摘ありがとうございます。これは訂正をお願いいたします。 ○審査管理課長 訂正させます。 ○溝口部会長 お願いいたします。ほかにいかがでしょうか。これは紫外線吸収剤とし て日本で開発されたのですけれども、使われたのは外国が早いようでございます。これ をポジティブリストとして収載するということでございますが、いかがでしょうか。井 上委員、お願いいたします。 ○井上委員 安全性について確認のようなコメントを申し上げます。紫外線吸収剤で光 変異性等が危惧される可能性があるわけですけれども、実際に出ている試験によれば問 題ないと。それから事務局の御説明にもありましたが、食品でも使われているというこ とで90日間試験等が行われておりまして、様々な面での毒性を勘案して問題がないと考 えられます。以上です。 ○溝口部会長 コメントありがとうございます。毒性に関しましては今井上委員から御 発言がありましたが、光毒性に関しても問題がないというふうにとらえてよろしゅうご ざいますね。ありがとうございます。いかがでしょうか。紫外線吸収剤と散乱剤があり まして、今出回っているものでは吸収剤にかぶれて使えないという人は皮膚科では結構 経験しておりますが、これは既に海外で1999年に使われているということですと、海外 でもこのかぶれの報告などはないと考えてよろしいでしょうか。 ○機構 海外での使用状況については、そういった安全性に関する情報もできる限り提 出するように求めておりまして、特にそういった情報はないということでございます。 ○溝口部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。光を少々受けても安定な物 質のようでございますが、これをポジティブリストとして収載するということで、ほか に御質問、御意見おありになりませんでしょうか。そうなりますとこの物質を化粧品基 準、ポジティブリストとして収載するということに関しましてはよろしゅうございます か。ありがとうございます。それでは御了承いただいたものとしますが、これでこの二 つのものを化粧品基準の一部改正にのっとって御検討いただいたことになると考えてよ ろしいのでしょうか。ちょっと私自分で司会をしながらその辺がよくのみ込めていない ので、申し訳ないのですけれども…。 ○事務局 先生方に今この品目の評価をしていただいたことになりますのでこれを受け まして、一応この改正案を付けておりますが、これを法令的にも見てパブリックコメン ト等にかけて正式な基準としていきたいと考えております。どうもありがとうございま した。最終的にはこれは分科会の方に報告という形になろうかと思います。 ○溝口部会長 そうしますと今の二つの品目、化粧品基準の一部改正案と共に分科会の 方に報告されるということでよろしいですか。 ○事務局 今回の部会を受けましてもう一度パブリックコメントをかけ、基準の案を改 正した後に分科会の方に報告するという形になろうかと思います。 ○溝口部会長 そうしますと、この改正案についてこの部会に出てくるのはこれで終わ りですか。 ○事務局 そういうことになります。 ○溝口部会長 ということだそうですけれども、よろしゅうございますか。それでは今 事務局から御説明がありましたように、パブリックコメントなど必要な手続が済んでか ら分科会の方に報告させていただきますので、よろしくお願いいたします。これで審議 事項は終わりましたので、次に報告事項になります。一般用医薬品の医薬部外品への移 行について、事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3、「『安全上特に問題がない』ものの一般小売店での販売について」 でございます。これについては一般小売店での販売を可能とする関係政令、省令告示が 本日付けで施行になりましたので、御報告させていただきます。本件の経緯等について は先生方も御存じではないかと思いますが、昨年6月からいわゆる基本方針2003にのっ とりまして、医学・薬学の専門家の皆様方によりまして「安全上特に問題がないもの」 として選定されたものを医薬部外品として販売することが決定されたものでございま す。1ページの一番下の(2)でございますが、昨年行われた検討会の報告を受けまして、 今回私どもの方でどのぐらいの品目が該当するのか精査したところ、これまで一般用医 薬品として薬局等で販売されていた371品目を医薬部外品に移行するということになり ましたので、御報告させていただきます。  これらの製品を販売するに当たっては表示等、例えば3ページの(1)のところにもご ざいますように、一般の消費者に分かりやすいようにということで、商品名の横に「医 薬部外品」という文字をきちんと書いていただく。あるいは薬局・薬店以外のところで 販売されることになりますので、消費者の皆様に対しても表示事項がきちんと分かるよ うに、(2)のア〜オにございますような事項を必要に応じてきちんと書いていただくと いう表示の工夫を行って、今後販売されるということになろうかと思っております。  次の4ページでございますが、今回選定された医薬部外品の15区分の範囲と、もう1 枚めくっていただきますと、それらの移行品目数と具体例ということで示させていただ いております。報告は以上でございます。 ○溝口部会長 ありがとうございました。ただいまの御報告に関しまして御意見があり ましたらお願いいたします。この371品目のリストも前回のこの会で示されたかと思い ますが、本日からスーパーでもどこでも薬剤師さんがいないところでこれが売られるこ とになったという御報告でございます。そうしましたら一応報告事項の議題となってい ますから、何か御意見をちょうだいする必要がありますか。 ○審査管理課長 実際には医薬部外品の表示などをしなければいけないので、今日時点 で例えばこの一番後ろに書いてあるエビオス錠がどこででも売られているというわけで はないですね。 ○事務局 すみません、ちょっと説明の仕方がよくなかったので訂正させていただきま すと、今日からそういうことができるということで、メーカーさんの方も例えば表示を すべて直したり、そういうことをやるのになかなか時間が掛かって、恐らく今日から売 られるということはないと思います。要するに今日からできるようになるということで ございますので、ちょっと誤解のないように補足させていただきます。 ○溝口部会長 分かりました。ありがとうございます。どうぞ、お願いいたします。 ○大城戸部会長代理 来るとき夕刊紙を読んでいたら、スーパーなどで今日は間に合わ ないとか、どこかでこの記事が出ていました。 ○溝口部会長 それでは間もなくスーパーに行くと見られるかもしれませんが、「医薬 部外品」という表示がきちんとしてあるということでございます。ではこれは御意見よ ろしゅうございますか。もうゴーサインが出ているものでございますので。議題2に移 らせていただきます。セイヨウアカネ根又は茜草根由来の成分を含有する医薬品、医薬 部外品及び化粧品等について、資料4-1、4-2、それから資料5を事務局の方から御説明 願います。 ○事務局 資料4-1、4-2及び資料5について御説明させていただきます。まずセイヨウ アカネ根又は茜草根由来の成分を含有する医薬品、医薬部外品及び化粧品に関するもの についてでございますけれども、本件は食品安全部においてアカネソウ由来のアカネ色 素について製造・販売自粛等の措置が講じられたことに伴いまして、医薬品等に含有さ れる同様の成分についての措置を検討したところでございます。  まず資料4-1でございます。平成16年6月18日に食品安全部における措置を受けま して、実際の医薬品、医薬部外品、化粧品の承認状況等の調査を都道府県あてにお願い したという資料でございます。それを受けまして先週金曜日、7月23日に薬事・食品衛 生審議会の副作用の方の検討会でございます発がん調査会の先生を中心に、それと生薬、 皮膚科、肝臓の専門家の先生が御臨席の上検討させていただきまして、資料4-2の措置 を講じているところでございます。結果といたしましては、添加物としてアカネソウ由 来のアカネ色素を用いた医薬品、医薬部外品、化粧品については製造・輸入・販売を中 止するという措置を講じたところでございますけれども、実際の調査の結果そういう品 目は今のところ確認できなかったという状況でございます。  二番目といたしまして、同様にアカネ色素の原料でございますセイヨウアカネの根又 はセイヨウアカネの根から抽出したものを使用した医薬品等については、新たな製造又 は輸入を自粛するという措置を講じているところでございます。これについてはアカネ ソウ由来のものということで、化粧品の方で一部該当する品目がございまして、新たな 製造・輸入の自粛を求めているところでございます。医薬部外品については今のところ それに該当する品目はないと確認しております。  同様に資料5でございますけれども、いわゆるコンフリーという食品としても食べら れるハーブでございますが、こちらについて肝障害等が認められるので食べないように ということで、食品の方から出た通知を基に実際に医薬品、医薬部外品、化粧品につい てどういう状況があるかという調査を6月18日付けで都道府県に依頼しているところ です。実際の調査結果については医薬品には含まれておりませんでしたけれども、医薬 部外品、化粧品においては各々約1,000品目程度のものがございまして、今どのような 措置をするかは検討中という状況でございます。概略は以上でございます。 ○溝口部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。この資料5のコンフリーが 含まれている医薬部外品、化粧品があるということで、これからその措置について検討 するということでよろしいですか。 ○事務局 コンフリーについては先生も検討会に入っていただいて御存じと思いますけ れども、現在コンフリーを含む化粧品、医薬部外品の中にコンフリーの毒性の元である と考えられているアルカロイドの実際の含量等の調査しております。また、それと同時 に海外のコンフリーの規制がどのようになっているかを調査して、それが出た時点で再 度改めて検討していただくという状況になっております。 ○溝口部会長 大城戸委員、お願いします。 ○大城戸部会長代理 これはどういう化粧品に何の目的で使われているのですか。 ○事務局 使用目的は保湿剤等ということで、シャンプー、石けんなどに数多く含まれ ているようでございます。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。食品はもう製造・輸入・販売中止で、医薬品も同じ く新たな製造又は輸入を自粛と。報告事項になりますと、医薬部外品、化粧品がこの部 会では審査するべきものなのですけれども、分科会に報告されるときに先ほどおっしゃ った検討中ということで報告されるのですか。それとも終わってから報告されるのでし ょうか。 ○事務局 本日本件を御説明させていただいた経緯は今も説明があったように、医薬部 外品、化粧品に一部こういった安全対策を講じた成分が含まれていましたので、関連と いうことでございます。実際にはそういった安全措置をこれから検討していく部分もご ざいますが、そういうところはそれぞれの担当の部会あるいは検討会の中で取り扱われ ていくと思いますので、またその中でこの部会に密接に関係する事項がありましたら、 その都度御説明させていただくということでありまして、特に分科会等との関係は今の ところございません。 ○溝口部会長 分かりました。それではこの二つのものに関しましては化粧品、医薬部 外品に含まれているのでここで御報告いただいたということで、ここの審議が終わって 分科会に報告するというものではなくて、それぞれ別の担当で今後検討していただくと とらえてよろしゅうございますね。ということでございますが、よろしゅうございます か。何か御要望がありましたらおっしゃっていただきたいと思います。それではないよ うでございますので、ただいまの御報告は承ったということで終わらせていただきます。 議題1に関しても同じでございますので、報告事項に関しては承ったということで、審 議事項の議題1、2に関しては問題のあったところをクリアしてから分科会に出してい ただくということでよろしゅうございますか。四番目のその他というのは何でしょうか。 ○事務局 今後の日程等でございますけれども、今のところ特にございません。 ○溝口部会長 分かりました。では次回の日程は何か審議すべき議題が出てきたときに、 また皆様の御都合を伺って決めるということでよろしゅうございますね。 ○事務局 よろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 それでは全体について何か御意見おありになりますでしょうか。特にご ざいませんでしたら本日はこれで閉会とさせていただきます。御協力どうもありがとう ございました。   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 紀平(内線2738) - 1 -