04/07/28 第9回社会保障審議会医療保険部会議事録            社会保険審議会医療保険部会(第9回)                    議事録           日時:平成16年7月28日(水)15:00〜17:00           場所:厚生労働省専用第15会議室 星野部会長  定刻になりましたので、これより第9回医療保険部会を開催いたします。委員の皆様 には、本日はご多忙の折お集まりいただき、御礼申し上げます。  今日はノーネクタイ、背広を脱いでやりましょうと申し上げたのですが、紳士淑女の 集まりだものですから、皆さん、すっかりネクタイを締めて。2、3、私に協力してく ださった方もいるようですが、部屋の中はかなり冷房がきいていますから、逆に言うと お風邪を召さないように、適宜御自由に、リラックスしておやりいただいたらと思って おります。どうぞよろしくお願いいたします。  開会の前に、前回の部会以後、厚生労働省の人事異動があり、保険局及び社会保険庁 幹部が交代しておりますので、事務局より紹介いただきたいと思います。それではよろ しくお願いします。 間杉課長  それではご紹介申し上げます。  保険局長の水田でございます。  社会保険庁運営部長の青柳でございます。  保険局保険課長の今別府でございます。  国民健康保険課長の唐澤でございます。  医療課長の麦谷でございます。  社会保険庁医療保険課長の武田でございます。  保険局総務課老人医療企画室長の濱谷でございます。  医療課保険医療企画調査室長の堀江でございます。 星野部会長  では、水田局長からちょっと。 水田局長  改めまして、7月23日付で保険局長を拝命いたしました水田でございます。よろしく お願い申し上げます。  まずは、この部会におきまして、医療保険制度の運営につきましてご尽力いただいて おりますことを御礼を申し上げたいと思います。  当部会の最大の課題、これは昨年3月にまとまりました制度改正の基本方針をどう具 体化するかでございます。医療保険改革という大きな仕事が目前にあるわけでございま すが、いずれにしましても、この日本の社会において、言ってみればインフラストラク チャーとなっている、この重要な医療保険制度を、安定しかつ持続可能なものにすると いうことが使命であると、このように思っております。  先ほどの基本方針の実施に関しまして、これまで8回にわたって精力的にご審議いた だいているわけでございますけれども、私どもも、先ほど申し上げましたような趣旨、 気持ちでもって誠心誠意取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくご 指導賜りますようにお願い申し上げます。 星野部会長  ありがとうございました。次に、本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。 本日は、井伊委員、西村委員より、ご欠席の連絡をいただいております。  続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りいたします。浅野委員 (全国知事会社会文教調査委員会委員長・宮城県知事)の代わりの厚地参考人(全国知 事会調査第一部長)、上野委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革部会長) の代わりの遠藤参考人(日本経済団体連合会国民生活本部副部長)のご出席につき、ご 承認いただければと思いますが、いかがでしょうか。 各委員  異議なし。 星野部会長  ありがとうございます。では、よろしくお願いします。  それでは本題に移りたいと存じます。今回は、これまでの審議の整理を行いたいと思 います。事務局より説明を聴取し、議論いたします。  まず事務局から説明を願います。 間杉課長  今、部会長からございましたように、一巡目のご議論でどういう議論が出たかという ふうな点を整理をさせていただき、また秋以降、二巡目の議論をお願いしたいと思って ございますが、事務局としてどういうふうな点についてさらに踏み込んだご議論をいた だきたいかというふうなことについて、今日はご提示をさせていただき、ご審議賜りた いと、これが本日の趣旨でございます。  まずお手元に、資料1でございますが、「基本方針に基づく医療保険制度改革に関す る論点案」。これは、これまで8回のご審議の中で私どもが毎回、パーツ、パーツごと に論点案ということでご議論の材料を提示をさせていただいてきましたものを網羅的に まとめたものでございます。これまでご議論いただいている材料でございまして、した がいまして、これについてはご説明を省略をさせていただいているところです。  資料2でございますが、これはそういった論点案に対しまして、これまで各委員から ご意見、ご指摘をいただいた事項でございます。お名前こそ個別に書いてございません けれども、私どものほうで議事録を精査をし、関連するご意見、ご指摘事項すべて、網 羅的に触れさせていただいております。私のほうから本当に簡単にご紹介だけさせてい ただきたいと思います。  まず1ページ目。「基本的な考え方」とございますが、ここに「国民に安心」、こう いうふうなことが必要ではないかとか、あるいは、負担の公平論のときには、保険料だ けではなくて、税負担も含めた議論、総合的な改革を行うべきではないかというふうな ご議論がございました。それから、最初に入ったのは高齢者の医療論でございましたけ れども、そのときに、やっぱり75歳を境として、集団としては大きな違いがみられるの ではないかというふうなご議論。あるいは、下のほうにまいりますけれども、例えば 「歯科の口腔ケアというものが医療費の適正化にも効果があるのではないか」あるい は、「予防、インセンティブをどう考えるか」等々のご議論があったと思います。  その一方で、2ペ−ジでございますけれども、下の2つの○でございますが、「心身 の特性とは75歳を境にせずに連続的に変化しているのではないか」というふうなご議 論、あるいは「年齢層ごとの特性に応じた医療の在り方というとらえ方というのは、い ったいどうなのだろうか」と、こんなふうなご議論もございました。  それから、高齢者医療制度の制度論でございます。社会保険方式の維持ということが 閣議決定でうたわれてございますが、一番上にございますように、「社会保険方式とい うのはすぐれている」というふうなご意見、あるいは、その反面、「税で医療を保障し てもよいのではないか」というふうなご議論もございました。  下のほうにまいりまして、75歳以上の者を区分して独立の制度をつくるというふうな ご提案を私ども、させていただいてきているわけでございます。ダブりますが、先ほど ご覧いただきましたように、「75歳を境として生理的な特性に大きな変化がみられる」 というふうなご意見。  3ページにまいりまして、上のほうから、やはり「老衰という要素もあって、後期高 齢者の医療というのは若齢期と異なるのではないか」と。それから、「医療保険という ものの性格上、確率的にリスクが高い集団である後期高齢者を含めて全部で、若い人も 含めて一つの保険制度運営というのはなかなか難しいので、別立てとする考え方も理解 できるのではないか」というふうなご意見等々がございました。  それから、ちょうど真ん中ほどでございますが、「医療の在り方からではなく、むし ろ財政的な限界とか公費の重点化というふうなことから、75歳以上を別立てにすること について議論したほうがわかりやすいのではないか」というような、財政論的なアプロ ーチのご意見もございました。  その一方で、3ページの下4つ目ぐらいからになりますけれども、「そういった考え 方も理解できるけれども、前期高齢者も後期高齢者も年金受給者だということを考えれ ば、年金受給者に対する医療保障という観点から物事を考えていくべきではないか」と いうふうなご意見。あるいは、75歳以上を独立させるということが、本当に国民にとっ て安心できる制度の構築につながるのか。安心というふうな観点から議論が必要なので はないか」というふうなご意見もあったと思います。  4ページにまいりまして、保険料でございます。後期高齢者の保険料でございます が、一番上にございますように、「後期高齢者が「明日は我が身だ」という気持ちを持 って、疾病に関するリスクに備えるために保険料を納めようと、そういうふうな気持ち になる、それから、給付と負担のバランスが取れる仕組みにできるかどうかというふう なことが重要だ」というふうなご意見。それから、「保険料の負担については応能を基 本とすべきだ」というふうなご意見。「負担能力は個人ではなく、世帯で計るべきでは ないか」というふうなご意見がございました。  それから、上から4つ目にございますように、「前期高齢期と後期高齢期の保険料負 担が著しく異なるような事態を生じてはならない」というご意見。それから、「すべて の高齢者から保険料負担を求めるべきである。ただ、低所得者対策は必要だ」と。それ から、「高齢者の資産というものを考慮に入れるべきだ。徴収については年金から行う べきだ」というふうなご意見がございました。  それから、これに関連をいたしまして、一番下でございますけれども、「食費負担、 ホテルコストといったものも含めて、患者負担全般について検討すべきである」という ふうなご意見をいただきました。  5ページでございます。社会連帯的な保険料につきましては、私どもも様々な考え方 を提示させていただきましたし、ここでも本当に色々なご議論が立ったと思います。  上から大体4つ目ぐらいまででございますけれども、やっぱり現役世代の負担増とい うのは避けられないという中で、「わかりやすく公平で透明な制度にすることを基本的 な理念とすべきだ」というふうなこと。それから、上から2つ目でございますけれど も、「国民全体を保険集団と考えるならば、保険料として整理することも可能なのでは ないか」というふうなご意見。それから、「年金の賦課方式と同じように考えればいい のではないか。それで一理あるのではないか」というふうなご意見。それから、「老人 医療拠出金と連帯保険料との相違が明らかではない」。これはいくつかご意見をいただ きました。「としても、現役世代による高齢者のための何らかの負担というのは必要で はないか」というふうなご意見がございました。  一方で、上から5つ目になりますが、「消費税により、現役世代からも支援を行うと いうのも一案ではないか」というようなご意見。それから、「老健拠出金制度との相違 を明らかにしてくれ」というふうなご意見。それから、「保険料というのであれば、や はり反対給付制というふうなものを考えていくべきではないか」というふうなご意見も あったかと思います。  それから、5ページの下から2つ目の○からでございますけれども、所得再分配とい う観点からの年金制度との関係。それから、世代間扶養というふうな機能から見た年金 と介護保険制度との関係。そういったことにつきましても、議論がございました。  それから、6ページ目の上からの○でございますけれども、ここでは特に、現役世代 が負担をする、そのための理解と納得というふうなことにつきまして、様々なご意見が あったわけでございます。  それから、下から3つ目の○でございますけれども、「保健事業を熱心に行う医療保 険保険者には後期高齢者に対する支援費の負担を減らすといった、保険者に対するイン センティブ」。それから、下から2つ目の○でございますが、被保険者に対するインセ ンティブスキームが必要なのではないか」ということでございます。それから、一番下 にございますが、「突き抜け方式というものがやはりふさわしいのではないか」という ふうなご意見も出ております。  それから7ページでございます。後期高齢者医療制度の保険者でございます。これも 前回のご議論でございますが、一番上の○にございますように、「国保の抜本的な改革 が行われないままに、今やっている国保あるいは介護に加えて新たな高齢者医療制度の 保険者を受けるというのは困難だ」と。「仮に高齢者医療制度を地域保険で担うとすれ ば、それに先立って国保の再編統合のイメージ、あるいは財政的な意義、それから都道 府県の果たすべき役割、こういったものについて明らかにしていく必要があるのではな いか」というふうなご指摘をいただいたわけでございます。  それから保険者につきましては、「県単位で民営化するというふうなことも視野に入 れたらどうか」というふうなご意見がございました。  それから、一番下から2つ目でございます。「高齢者医療制度の保険者は、健康づく りなどに責任を持ち、保険者機能を発揮することが重要である」というふうなご議論。 それから一番下でございますけれども、「やはり財政に関する議論を詰めてからでない と、なかなか保険者に関する議論というのは行いにくいのではないか」というふうなご 議論もあったということです。  8ページが、後期高齢者医療制度の財政方式でございます。老健制度の廃止というふ うなことを申し上げてございますけれども、「保険者の医療費適正化の努力が報われる ような仕組みを設けるという考え方についてはうなずけるけれども、具体的にどういう ふうな尺度で努力評価を行うのか」というふうなことがございました。  それから保険料、被用者保険、国保による支援、公費により医療費を賄う制度という ふうなことでございますけれども、「各世代の負担能力は具体的に何に着目して判断す るのか」。あるいは「現役世代というのはもうすでに年金とか介護で負担をしていると いうふうなことを考慮して、現役世代の負担については経済成長の範囲内にすべきだ」 というふうなご意見等々もあったわけでございます。  それから、後期高齢者医療制度の財政方式。中ほどでございますが、国保による支援 金負担の在り方。ここは私ども、頭割りはどうかというふうなご提案をさせていただき ましたけれども、「制度間の所得格差の大きさを考えれば、負担配分を加入者割とする かどうかについては、さらに検討が必要ではないか」というふうなこと。それから、や はり負担の公平という観点から、「所得に着目した負担も求めるべきではないか」とい うふうなご意見がありました。その一方で、「所得に応じた負担配分というけれども、 その前提として、所得捕捉が本当に透明・公平に行われているのか」というふうなこ と。それから、「理想は能力に応じた負担で、長期的には所得捕捉をやっていくべきだ けれども、そこはタイムスパンがあるのではないか」というふうなご意見もございまし た。  それから、9ページでございます。後期高齢者に公費を重点化するというふうな考え 方を私ども、申し上げさせていただいておりますけれども、公費につきましては、「将 来のことを考えれば、さらに割合を増やすべきではないか」というふうなご意見でござ います。  それから、前期高齢者の医療費の調整でございますけれども、これは「前期高齢者だ けではなく、全年齢で調整すべきだ」というふうなご意見。1番でございます。その一 方で、「いや、それは反対だ。全年齢で調整をするとすれば、それはもはや保険とは言 えない」というふうな、こうしたご意見の対立があったというふうに考えています。  それから下のほうで、前期高齢者に対する公費負担の在り方でございますけれども、 「前期高齢者の医療費負担の不均衡調整については、やはり公費の投入を検討すべきで はないか」というご意見と、それから、「増大する医療費については、公費ではなく、 保険料を財源として保険者が責任をもって賄うということを原則とした制度をつくるべ きだ」という、ここも異なるご意見がございました。  10ページからが、「保険者の再編・統合」でございます。まず基本的な考え方でござ いますけれども、ここは上から順次まいりますと、「医療費が高額になっているという ふうなリスクを飲み込めるような、そういう保険者の規模にしていくべきだ」と。ある いは、「規模というのは、保険者機能の発揮という観点から検討することが必要だ」 と。  それから、上から4つ目の○でございますけれども、「医療提供体制の権限を持って いる主体と、医療保険の保険者というのは本来同じであるべきではないか。やはり都道 府県が一定の役割を果たしていくべきではないか」というふうな点等々、ここでは規 模、保険者機能、あるいは医療の提供体制との関係というふうなご議論が伺えました。  10ページの下から3つ目の○でございますけれども、「都道府県単位の運営を行うと 問題がどのように解決されるのか。将来の姿を明らかにすべきだ」というふうなご意 見。それから、「色々な参加しているプレイヤーがいるけれども、そのモチベーション が重要だ」というふうなご意見等々がございました。  それから11ページでございますけれども、「都道府県というのはわからないでもない けれども、都道府県に丸投げするのではなく、国もちゃんと役割を果たせ」というふう なご意見もあったわけでございます。  11ページの(2)からが各論でございまして、市町村国保でございます。市町村国保 につきましては、上、○4つぐらいまでは、「将来的には都道府県が一定の役割を果た していくべきだ」というご意見、それから「都道府県単位での再編・統合というのは、 一元化に向けた段階的な措置として評価できるのではないか」等々のご意見。それから 4つ目の○でございますけれども、「二次医療圏内でほぼ同水準の医療サービスにアク セスし、ほぼ同じ所得でありながら、市町村が異なることにより保険料負担に差がある というのは、おかしいのではないか。やはりそこに都道府県が何らかの形で仲介の労を とるべきではないか。また、そういう役割を果たせるような都道府県の何らかの権限と いうふうなものを検討すべきではないか」というふうなご意見でございました。  その一方で、下から3つ目の○からでございますけれども、「いったいそれで問題が どのように解決されるのか」。それから、「地方の自主性を尊重すべきだ」と。それか ら、「県には今のところ、保険者としての財政責任も保険運営に関する権限もない」。 等々のご意見がございました。  12ページの中ほどでございますけれども、国保の収納率問題でございます。「国保の 収納率が低いというふうなことなど、国保の問題というのは国保で解決すべきだ。そこ を一元化によって解決するのは安易な議論ではないか」というふうなご意見がございま す一方で、「国保の収納率の低さというのは、リストラなどによってサラリーマンを辞 めた者も受け入れざるを得ない、そういう制度の構造にも一因がある」といったご意見 もございました。  12ページの下にまいりまして、国保の保険者の機能等でございますけれども、下から 2つ目の○でございますが、「保険者が地域の医療費をコントロールできる、そういう ふうな仕掛けが必要ではないか」。それから、現在の調整交付金の配分でございますけ れども、「保険者が医療費の適正化に真剣に取り組むことができるような、そういう仕 組みに改めるべきではないか」というご意見がございました。  それから、医療費水準と保険料に関連して、「医療費が上がれば保険料を上げると、 そういう仕組みがとれるということは、保険者機能の大前提ではないか」というふうな ご議論がございました。  それから、国保組合でございますけれども、「市町村国保との公平性の観点から、し っかり議論していくべきである」というふうなご意見がございました。  13ページの中ほど、政管健保でございます。上のほうからまいりますが、「都道府県 単位で被保険者の意見を反映する、それは評価できる。地方でも同様の仕組みをつくべ きではないか」と。それから、「軽々に政管の国庫補助金を削減するべきではない」。 それから、政管健保の収納率。これは「要因を分析して対策を急げ」というふうなご意 見。それから、「事務経費の増加や行政組織の肥大化を招くな」。そういったご意見も ございました。  14ページが、健保組合でございます。健保組合の保険者機能の強化につきましては、 「都道府県単位で再編・統合と、それも1つだけれども、多分様々な視点を含めた検討 が必要ではないか」といったご意見がございました。  14ページの(5)が、最後でございますが、地域における取り組みでございます。ま ず総論でございますが、「医療費の適正化なくして医療保険制度は存続し得ない。中長 期的な取り組みだけではなく、短期的に効果が出る取り組みが必要だ」というふうなこ と。それから、「効果が出るまでに時間を要する問題なので、すでにもう後期高齢期に 達している者の医療費の適正化についての議論もすべき」というふうなご意見もござい ました。それから、「保険者だけではなかなか難しい。都道府県の取り組みも必要だけ れども、国も逃げるな」と、こういったご意見もあったわけでございます。  それから、増大する高齢者の医療費の適正化というふうなことでまとめてございます けれども、やはり「高齢者の医療費の適正化への取り組みを欠いたままに、徴収しやす い者、負担しやすい者に対して負担増を求めるというふうな議論は受け入れられないの ではないか」というふうなこと。それから、「高齢者の医療費について、要因を分析 し、新しい知見も動因してその評価・分析を急げ」というふうなご意見がございまし た。それから、下から2つ目でございますけれども、「問題は高齢者の医療費の妥当性 を検討すべきで、単に高水準であるということをもって問題にすべきではない」。それ から、「初めに医療費削減ありきではなく、医療の質を向上させる、そういう視点が必 要だ」というふうなご意見があります。  それから介護につきましても、介護保険創設後の医療費と介護サービスの関係、社会 的入院等々についてご意見がございましたし、下から3つ目の○でございますが、医療 提供。急性期を手厚くし、在院日数を短縮し、在宅に必要なケアを受ける、そういうふ うな仕組みに変えていく必要があるのではないかというふうなご意見。さらに、保健事 業につきましてもご意見をいただいているところです。以上でございます。  それで、今ざっとご覧をいただきまして、私どももこれをしっかり頭の中へたたき込 んで、資料の3でございますが、「今後の検討の方向性(事務局案)」というふうなも のでございます。このペーパーは、何もこの紙について今この場で審議会の先生方が、 「では、これで全部OK」という性格のものでは、もちろんございません。多々、ご議 論のあるところが多いわけでございますが、私どもも秋口からの第2ラウンドに備え て、どういう角度で我々事務局として検討して、再度ご議論をお願いをするかと、その 目次のようなものを準備をさせていただいたというふうなものでございますので、また 忌憚のないご意見をいただいて、二巡目以降のご議論に生かさせていただきたいと思い ます。そういう性格のものでございます。  それで、「基本的な考え方」とございますけれども、医療保険制度の前提にあたって は、年金とか介護保険制度、関連する社会保障制度全般の改革との整合性というふうな ことについても、検討を進めていくべきではないかというふうなことでございます。  それから、「高齢者の医療の在り方」でございますが、あくまでも生活の質の向上を 重視をするという観点から、高齢者にふさわしい医療サービスの在り方を検討すべきで はないかと。それから、高齢期の医療は生活習慣病と深く結びついてございます。生活 習慣病を中心とした疾病の予防に若齢期から努めることを重視すべきではないか。それ から、患者一人一人の意識、それから受診行動についても議論すべきではないかと。そ のような点についての検討を通じて、やはり望ましい医療サービスの在り方というもの を1つ展望する。これを促す助けになるような高齢者医療制度を設計すべきではないか と思います。  3番目が「高齢者医療制度」でございます。基本的な考え方として、社会保険方式の 維持でございますが、国民皆保険の枠組みを維持するということを前提として、社会保 険方式を維持することは適当ではないか。この場合、関係者が制度運営に参加し、関与 し合っていくというふうな、運動論的な発想を重視した組み立てが必要ではないかとい うふうなことでございます。  それから、前期高齢者と後期高齢者それぞれの特性に応じたサービスに着目した制度 でございますけれども、高齢者の心身の特性の変化は、大きく言って、後期高齢期に入 るときから見られると言っていいのではないか。そういうふうな特性の違いに着目した 上で、後期高齢者については、生活の質の確保、あるいは医療費の適正化を図る観点か ら、地域において介護サービスと連携した後期高齢者にふさわしい医療サービスが提供 でき、かつ地域ごとの医療費水準に応じた保険料設定ができるよう、独立した制度を設 ける方向で議論を詰めるべきではないか。一方で、前期高齢者については、65歳を境と して受療動向に質的な変化が見られないことに着目し、予防に重点を置くためにも、従 来の医療保険制度の枠組みの中に位置づけるべきではないか。というようなことでござ います。  2番目が、高齢者の保険料でございます。まず水準でございますが、高齢者の負担す る保険料について、現役世代との均衡を考慮し、適切な保険料負担を求めることとし、 応益と応能のバランスを具体的にどのように設定することが適正か、さらに検討すべき ではないかと。それから高齢者の負担能力について、所得、資産がどのような指標によ り、どのような単位で評価することが適切か、さらに検討すべきではないか。  それから低所得者に対する配慮をどのように講ずるか、さらに検討すべきではない か。  確実な保険料徴収の方法として、保険料を年金から徴収する方向で検討すべきではな いか。  それから患者負担でございますが、基本方針閣議決定時の経緯も踏まえ……。これ は、閣議決定をいたしました際に、与党の自民党から、前期高齢者というふうなジャン ルをつくるのであれば、現在は1割グループと3割グループと、自己負担組が混在して ございますけれども、これを2割というふうな統一的な扱いにしたらどうだというよう なご提言がございました。こういったことも含めて、患者負担についてどう考えるかと いうことでございます。  それから、社会連帯的な保険料のまず性格でございますが、従来から公的医療保険制 度において、世代間の連帯を含めた保険手段全体の連帯によって医療費の負担が行われ ていたということを踏まえてとらえるべきではないか。それから、社会連帯的な保険料 について、その性格や仕組みについて具体的に検討すべきではないか。それから、社会 連帯的な保険料の負担を現役世代に求める前提として、給付と負担の関係をいかにわか りやすいものとするか。実効性ある医療費の適正化をどのようにして進めるのか。それ に対して保険者がどのように関与していくか、具体的に検討すべきではないか。  それから、負担の方法でございますが、現役世代の理解、納得を得ることが重要では ないか。その観点からということで、社会連帯的な保険料の負担の配分について、現役 世代に属する各保険者の保健事業などによる医療費適正化の努力、あるいは成果が評価 されるとともに、各医療保険の保険者が後期高齢者医療制度の運営に関与できる、そう いう仕組みを設けることが必要ではないかということでございます。  それから保険者でございますが、後期高齢者医療制度を地域保険として設けること と、既存の地域保険でございます国保の再編・統合の考え方、あるいはその進め方を含 めた制度改革全体の姿との関係を整理することが必要ではないか。この場合、後期高齢 者医療制度の保険者に求められる機能・役割や財政方式、さらに医療費適正化のための 仕組みや都道府県の役割についても具体的に明らかにすることが重要ではないか。  5番目が、財政方式でございます。まず老健制度の廃止でございますが、負担関係が わかりにくい。あるいは医療費適正化の動機づけが働きにくい。そういった老健拠出金 制度に関する現状の問題点を踏まえ、新たな高齢者医療制度の導入の前提としては、老 人医療費の適正化の仕組みが設けられている。それから、新制度の財政方式において、 負担関係をわかりやすくすること。それから、医療費適正化の努力や成果が報われる仕 組みを設けると、そういったことが必要ではないか。それから、医療費適正化の努力や 成果をどのようにして評価するか、具体的に検討することが必要ではないかということ でございます。  それから、後期高齢者医療制度の財政方式でございます。高齢者の保険料と現役世代 からの支援金の位置づけ、割合というところでございますが、高齢者と現役世代の双方 とも、各世代全体の負担能力が向上した場合、少なくともそれぞれに見合う負担をすべ きではないか。  4ページでございますが、一方で負担能力を上回って高齢者医療費が伸びた場合、そ の部分をどのように評価し、負担をすべきか、具体的に検討すべきではないかというふ うなことでございます。  それから、年金制度等において、保険料を負担していること、介護保険制度における 議論を踏まえ、現役世代の負担について、食費やホテルコストについての患者負担の在 り方についても検討を行うべきではないかというふうなことでございました。  それから、被用者保険と国保の間での支援金負担の配分でございますが、後期高齢者 に対する支援費負担の被用者保険と国保の間の配分に関して、所得捕捉の現状、あるい は将来における所得捕捉の1つの在り方を視野に入れた上で検討すべきではないかと。 それから、後期高齢者医療制度に対する公費、支援金の交付に当たっては、保険者間の 財政力格差、医療費水準の格差、それも被保険者構成による部分とそれ以外の部分がご ざいます。まさにここに着目した調整を行うべきではないか。  それから前期高齢者の医療費の調整でございますが、医療費調整を行う前期高齢者に 関して、後期高齢者の偏在による医療費負担の不均衡を調整することについて、さらに 具体的に議論をすべきではないか。  それから、前期高齢者に対する公費負担の在り方について、後期高齢者に公費を重点 化するというやり方は今とってございますけれども、前期高齢者の公費負担の在り方に ついてどう考えるか。  それから6番で、この閣議決定がございましたけれども、保険給付の内容・範囲の在 り方等についても議論をすべきではないか。  4ページの下から、「保険者の再編・統合」でございます。基本的な考え方でござい ますけれども、都道府県単位を軸とした保険運営を目指すべきではないかということ で、安定運営の規模が必要。それから、地域の保険医療政策が都道府県を中心に行われ ていること。  5ページにまいりまして、患者の受診行動が都道府県の圏域で概ね完結していると書 いていますが、4点目に、地域の医療特性は都道府県単位で違いが大きい。それが、都 道府県ごとの医療費の格差に反映しております。こうした地域特性を踏まえ、保険者、 医療機関、地方公共団体等の関係者が都道府県単位で連携し、質の高い効率的な医療の 提供を図りながら、医療費の適正化に取り組む必要があるだろうというふうなこと。そ れから、いずれの制度体系をとりましても、地域の医療費水準に応じた保険料水準の設 定を行う。そのことによって、そういった、上記のような取り組みの促進が図られるこ とが期待できるのではないかということでございます。  それから2番目が、国保の再編・統合でございますけれども、都道府県単位を軸とし た保険運営を目指し、当面は医療費の適正化及び保険料の平準化を進めるべく、都道府 県の二次医療圏を基本に、再編・統合のことについてさらに議論を深めるべきではない かというふうなことで、上が3つ、書いてございます。次の○でございますけれども、 都道府県全体に医療費水準の大きな格差がない場合には、都道府県一本の保険者の再編 ・統合というのも検討してはどうかということでございます。  それから、保険者の医療費適正化努力を促しながら、地域の医療費水準に応じた保険 料負担が行われるよう、国保の財政調整交付金の配分方法等を見直すべきではないか と。それから、市町村保険者を指導する立場にある都道府県が、都道府県内あるいは二 次医療圏における医療費の適正化、保険料の平準化の実現に向けて、一定の役割を果た すことができるよう、都道府県の具体的権限の在り方について検討すべきではないか と。それから、保険料収納率の向上を図るため、制度的な対応を含めた方策を検討すべ きではないか。  それから6ページ目がありまして、最初が国保組合になるわけでございまして、国庫 助成の在り方について、市町村国保との均衡も含めて見直しをすることができたらとい うことです。  それから3番が政管健保の再編で、政管健保の財政運営を基本的に都道府県を単位と したものにすべきではないか。それから、その場合に国庫補助の配分方法の見直し、あ るいは都道府県間の保険料収入の移転によって、都道府県別の年齢構成や所得について 調整を行う。それを行ったうえで、地域の医療費水準が反映された保険料率の設定を行 う仕組みとすべきではなか。それから、被保険者等の意見を反映した自主性・自律性の ある保険運営が行われる仕組みを設けるべきではないか。  4番目が健保組合でございますけれども、保健事業を中心に地域の他の保険者と共同 ・連携することによって、保険者機能の充実を図るべきではないか。2番目が、企業、 業種を越えて、健保組合同士が合併して形成する地域型健保組合の設立を認めるべきで はないかといったこと。それから、小規模・財政窮迫組合につきましては、保険者機能 の発揮ということも含めて、必要に応じて他の健保組合との共同事業や統合を促すべき ではないか。それから、共済組合の在り方を探す。  最後になりますが、地域の取り組みということで、高齢者の医療費の負担について、 現役世代の理解を得るためには、保険者も関与できる形で実効性ある医療費適正化の枠 組みを明らかにする必要があるのではないか。それから、地域住民の生活の質を向上さ せるとともに、医療費の適正化を実現するという考え方を基本とすべきではないか。そ れから、地域の取り組みに当たっては、保険者、医療機関、都道府県、市町村等の関係 者の役割を明確にする必要があるのではないかというふうなことです。  それから、医療計画、皆保険事業支援計画、健康増進計画等の事業所掌をしている都 道府県の役割は特に重要ではないか。こうした観点から、都道府県の権限の具体的在り 方について検討すべきではないか。  それから、生活の質の向上と医療費の適正化を進めていくため、急性期医療を手厚く し、在院日数を短縮し、在宅で必要なケアが受けられるよう、医療機関の機能分化と連 携の推進、あるいは介護サービスとの連携のもとでの高齢者の生活機能を重視した医療 サービスの提供が必要ではないか。そのため、医療提供の在り方等を見直す必要がある のではないか。それから、生活習慣病対策を中心とする国家的な健康づくりについて、 保険者同士、それから保険者と地域保健行政が共同・連携して取り組む体制をつくるべ きではないか。そのほか、中長期的な取り組みだけではなく、短期的な効果を上げる取 り組みが必要ではないか。また、国の役割を明確にするとともに、これに沿った取り組 みも必要ではないかというふうなことでございます。以上でございます。  それでは最後でございますが、前回ご要請がございまして、資料4、簡単にご説明い たします。介護保険の議論に関連をいたしまして、介護保険導入によって各都道府県ご とに見た場合に、老人医療費が増えているのか減っているのかと、こういうふうなお話 でございました。一番左の欄の上を見ていただきますと、老人医療費の総額でございま すが、11年度、11兆8,000億円。12年度、11兆1,900億円。13年度、11兆6,000億円とい うことで、12年度に下がり、13年度に全体としては少し上がったという傾向でございま す。  それで、真ん中の欄でございますけれども、11年度を100として老人医療費がどう推 移していったかというふうなことでございまして、例えば宮城県なんか見ていただきま すと、老人医療費全体では100を超えたこともございますが、それぞれ一番右の1人当た りの医療費にいたしますと、いずれも100を切り込んできておりまして、12年度、13年 度とそれぞれ、1人当たり老人医療費はすべての都道府県で減少をいたしてございま す。ただ、パターンがいくつかございまして、12年度、13年度ともに下がったところ、 12年度は下がって13年度は上がったところ、などのパターンは確かにあるようでござい ます。  それから最後の資料でございますけれども、これもご要請がございまして、在院期間 別に見た退院患者の年齢構成ごとにやってみてくれというふうなことを言われていたわ けです。6か月以上、3か月〜6か月以上とやってまいりまして、一番短いところは0 〜14日というふうなことで、長くなるにつれて、75歳以上ないし65歳〜74歳というとこ ろが増えているというふうなデータでございます。以上でございます。 星野部会長  どうもありがとうございました。それではご意見、ご質問等、お願いいたします。ど なたからでも結構でございます。  どうぞ、清家委員。 清家委員  あまり出席していなかったもので、もうすでに議論されていることかと思いますが、 1つだけ基本的な考え方を伺いたい。今の間杉課長の最後のご説明のところでもあった わけですけれども、1つのポイントは、地域でいえば、地域ごとの医療費水準に応じた 保険料を決められるような仕組みをつくりましょうということですね。これはおそら く、私の理解では、人口構成だとかあるいは所得格差等による調整はあるとして、それ 以上の医療費の格差については、医療費が高いところはたくさん保険料を払い、低いと ころは低い保険料率と、そういう理解ですね。  一方で、最後のほうで、医療費の適正化という話が出てくるわけですけれども、そう すると、これは、保険者のガバナンスの問題もあると思いますけれども、例えばある地 域が、「うちはものすごい手厚い医療をやって、保険料は高くてもいいんだ」というふ うに参加者の人たちが決定すれば、それはそういうのもありというふうに考えるのか。 それとも、やはり全般として医療費の適正化を図るのか。  つまり、最初のポリシーがもしうまくいけば、あとはもう個々、極端なことを言えば 保険者の選択で、高コスト、高負担の仕組みもありだし、というふうに考えるのか。そ れとも、やはりそうではなくて、全般として医療費の適正化というのを図るのか。最初 の仕組みが多分、うまくいけばインセンティブとして、大体医療費の適正化が図られる ということがあるのだと思いますが、その辺、どういうふうに考えていったらいいの か、ちょっと教えていただきたい。 星野部会長  どうぞ、答えてください。 間杉課長  基本的に、先生がおっしゃいますように人口構成とか所得とか、そういった要因につ いては調整をしたい。だけれど、その上でなお持っております地域差については、やっ ぱり地域ごとのサービスに応じた保険料というふうなものを設定していくべきではない かというのが、基本的な考え方でございます。  その上で、一言に医療費の地域差と申しましても、それはもう様々な要因があると思 っております。それで、やはりその辺を分析評価をするというふうな取り組みが必要だ というので、これも老人医療費でございますけれども、もうすでに取り組みを始めてい るというふうなことでございます。  それで、やはり最終的には、そういった地域の医療費の水準について、あるいは医療 のサービスについて、地域の方々がこれでいいと言うのであれば、それはやっぱりそう いった保険料というふうなものを受け入れていくというのが基本ではないのかなという ふうに、私は考えます。それをどういう仕掛けによってやっていくのか。そこは確かに ご議論があるところであり、そのあたりも大事だと思っております。 清家委員  そうすると、1つだけ確認ですが、最後のところあたりに書かれていることは、そう いう意味では最終的には保険者が選択するときに、きちっと客観的な情報が分析された 上で物事が決められるような環境をまず整えることが大切である、そういうような趣旨 というふうに理解してよろしいでしょうか。 星野部会長  今のご質問は非常に重要なご質問だと思うので。平均的な制度はわかるでしょうけれ ど、地域ごとにそれぞれ特色のある制度を持ってもいいということになると、最終的に 出てくる制度設計そのものが、かなりそういうものをちゃんと許容するような状況にな るようなものをつくってくるということになるのですけれど、そういうことも含めてい るという確認をしていいですか。 間杉課長  はい。そういったことを、どういうふうな仕掛けで、関係者の意見をきちんと反映を した形でその保険料の設定をやっているかというふうな仕掛けが必要だろうと、私ども も思っておりまして。それも検討しております。 星野部会長  よろしく。どうぞ、久保田委員。 久保田委員  質問と意見を申し上げますが、今の議論も含めて、しっかり議論をすることがポイン トではないかと思います。  いずれにしても、マネジメントやコスト意識等を働かせなければ、医療費は放ってお くと非常に高くなっていきます。議論を詰めていく必要があるのではないかと思いま す。  いくつかございますが、まず1つは、資料2のこれまでの議論の整理は、私から要望 してきたことが、整理をされておりますが、質問が2つあります。  1つは、13ページの国保組合の在り方についての記述ですが、「市町村国保との公平 性の観点から」というのは、どういう意味合いを言っているのか。  私が主張したのは、国保組合といっても様々な歴史的経過がありますし、それぞれの 事情もありますので、一律的にはいきませんが、それぞれの現状と実態を正確に把握 し、オープンにする中で、必要なところについては措置、支援は必要だと思います。し かし、必要ないようなところまで、これまでの経過の中でやっていることについては、 整理をする時期ではないか。  例えば医師国保だとか、弁護士だとか、あるいはゼネコンの一部だとかいうのは、何 で国保組合なのか。大きな公費負担になっているのは、いったいどういう理由なのか。 「国民的議論の場では、それは納得できないのではないか」、「国民的な納得性の中 で、しっかり整理をしていくべきではないですか」ということを申し上げたつもりなの で、この表現とは大分ニュアンスが違っている。このままいけば何となく、そこはそこ でずっと置いておいたまま、公平性の観点が、自己負担なのか、公費の割合の観点なの か、よくわかりません。こういう点で問題を指摘したわけではないと思っております。  2つ目に、これまでの議論を整理をしていただいたのは結構なのですが、それと今後 の検討の方向性と事務局案との関連性において、連合からの様々な意見は、「聞き置く けれどもあまり入ってないよ」ということかと思っています。今後の議論の中でという ふうに思いますが。特に後期高齢者の独立方式ということについて、一巡目で議論をし てきて、二巡目の枠組みは「これが前提です」というようなことでたがをはめられます と、正直言ってストンと落ちてもおりません。この議論では賛成か反対かと言ったら反 対です。  と考えておりますので、行きつ戻りつということになりますが、具体的な政策検討や 選択については、2つなのか3つなのか、ある程度オールタナティブな、選択可能性の あるものを、両方向で財政シミュレーションや現実性や、様々な観点から検討しなが ら、選んでいく、あるいは議論を詰めていくという姿勢で、ぜひやっていただけない か。要望として申し上げます。  3つ目に、後期高齢者医療制度は、この議論の整理の中で書いてありますけれども、 年齢一本だけで、しかもリスクの非常に高い集団を独立させて、保険として機能し、本 当に安心な制度ということが可能なのかどうか。それから、人生の終末に近いところで の生活の質が画一なのか。男性からすると、平均寿命まで、75歳だったらあとわずかだ とかですね。  それからもう1つ、比較的若いときから生活習慣病まで含めて、予防という観点でず っと積み重ねていくことによってそういうことがなされていくという、連続性というよ うな観点から見ても、本当にこの後期高齢者独立ということがどうなのかということで ございます。  それからもう1つは、やっぱり肝心な保険者がどこになるのか。どこが責任を持って やるのか。結局、保険者が保険運営をどうやるか、財政運営にどれだけの明確な責任を もつか。そして、医療提供体制の改革も含めて、医療費の適正化に向けた努力やマネジ メントを働かせる仕組みをしっかりやらなければ、どんな机上の制度をつくっても機能 していかないのではないかと思います。その肝心な保険者が、決まらないままです。  二巡目の議論として事務局案を前提にということについては、現段階では「これで結 構です」というわけにはいかないと思います。  繰り返すようですが、節目の議論というようなことで、意見を言わせていただきまし た。 星野部会長  どうぞ。 間杉課長  今、久保田委員からご質問にわたる点がございました。先ほどの各委員の先生方から のご意見について、ご発言の趣旨を必ずしも、私どもよく理解していなかったところが ございました。これはぜひ訂正をさせていただきたいと思いますし、きちんと趣旨を書 きたいと思います。市町村国保との公平性の観点から、どういうつもりで書いたのだと おっしゃいますが、ちょっと我々も閣議決定のときのいきさつにとらわれておりまし て、国保組合の公費について、市町村国保とのバランス上、どういうふうに考えておけ ばいいかというふうな議論が当時あったものですから、ちょっとそれに引っ張られたと いうきらいがございまして、大変失礼いたしました。 星野部会長  それではどうぞ。お待たせしました。 対馬委員  今の久保田委員の話とも関連するのですけれども、各委員の意見を整理していただい たということで、大変ありがたいのですけれども、この委員の意見が特に大きなポイン トのところで必ずしも十分反映されていないのではないかと、こんな感じがするもので すから。前回、部会長のほうからは、事務局案にあまりこだわらずにと、自説にこだわ らずにと、箱を揺すぶりながらと、こういう含蓄の深いお言葉があったと思いますけれ ども、私なんかの感じからしますと、箱があまり揺さぶられていないかな。ないしは揺 さぶり方がちょっと少ないのではないか、こんな感じがするのですけれども。  具体的に何を言っているかといいますと、2つほど、さしあたり絞って申し上げたい というふうに思います。1点目は、基本的な考え方のまさに前期、後期のところ、1ペ ージ目の下のほうですけれども、ここでは各委員、複数の委員の方々から、本当に75歳 でどうなのかと。特に高齢者の特性とか受療動向、こういったものについても疑問が複 数の委員から出されていると。そういう中でどうかということはあります。  さらに、社会制度としてどうかというのは、おそらく多数意見に近いぐらい色々な意 見があったのではないかというふうに思うわけですけれども、そのあたりが1ページ目 の一番下のところ、それから2ページ目にかけて、どうも、そういった整理になってな いのではないか。特に、やや細かくなって恐縮ですけれども、1ページ目の後期高齢者 のところでは、大きく言えば相違があると、こう言っておいて、前期になりますと途端 に、65歳で切れば質的な変化は見られないというのは、やや恣意的ではないのかと、こ んな感じがするのです。いずれにしても、ここは基本のところですから、二巡目の議論 の中でぜひ織り込めるように再整理をしていただきたい。こういうふうに思うわけであ ります。  それから2点目ですけれども、ここもかなり基本にかかわるところですけれども、保 険者の再編・統合。4ページ目の下のところに書いてありますけれども、これは保険者 の再編・統合に限るとことではないのですけれども、どうも「何々すべきではないか」 という表現が極めて多いんですね。「ではないか」という問いかけをしていますから、 少しやわらかくなっているようでありますけれども、「ではないか」の「ないか」を取 れば、「である」と。こういうように仮にすれば、きわめて断定的な感じになるので す。  例えばこの4ページ目の下から3行目。「都道府県単位を軸とした保険医療を目指す べきではないか」と、こう書いていますけれども、またこのあたりについては、それこ そ複数の委員というよりは色々な方から色々な意見が出ているわけでございまして、私 どもからしましても、単に都道府県単位だけではなくて、ほかの諸々の視点を踏まえた 検討が必要ではないか、こういったことも申し上げていますし、やはりちょっと断定的 に過ぎはしないか。このあたりについてはぜひ、二巡目の議論の中で議論させていただ きたいと、こういうふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 星野部会長  どうぞ。 河内山委員  今度のこの改革の中で常に言われますのは、保険者機能ということだと思います。保 険者機能を高めていくことによって、最終的には後期の高齢期において、生活の質が保 てるような予防も行ってまいろう。あるいは、医療費の適正化も行っていこうというこ とでございますので、この保険者機能を果たすというのが非常に大事なポイントになる と思うわけであります。  その点におきまして、市町村国保の再編・統合の中のいわゆる二次医療圏の問題。こ れにつきましては、やはり我々といたしましては、少しどころか相当疑問を持たざるを 得ないですね。やっぱり目指すべきは、都道府県単位でとか、都道府県でという、そう いうところをどういうふうにして実現をするのかということについて、これからの議論 というのはしっかりやっていくということがやっぱり基本ではないかと思うわけです。  二次医療圏ということが話題に上りましても、その二次医療圏で本来、この制度改革 の求めるところの保険者機能が果たせるようなものが二次医療圏で出来上がるのかどう かということについては、これは議論を深めていくべきではないかと書いてありますけ れども、議論を深めた上でも、なかなか保険者機能というのが出てこないのではないか と思います。  もちろん今までも、市町村で一部事務組合であるとか、あるいは最近できた広域連合 であるとか、色々な制度の枠組みはあるのですけれども、市町村行政を日ごろやってお りまして、こういう一部事務組合なんかにうまく合致をしますのは、やはり消防である とか、あるいは広域の水道であるとか、そういう非常に専門的で、ある意味では専門的 でありますけれども非常に単一的な機能をもったような行政分野の事務事業を行うのに は適しておりますけれども、保険者機能というような非常に、徴収の問題もあり、健康 づくりというような問題もあり、予防の問題もあり、さらには適正化というような非常 に重要な行政課題というか、これに対応するのがはたしてこの二次医療圏単位というも のがすぐさまつくれるのだろうかというようなことが、やっぱりどうしても疑問です。  したがいまして、話をもとに戻しますけれども、二次医療圏単位を基本に再編・統合 を行うことについて、さらに具体的に議論を深めるべきではないかということだけはで すね。やはり一気に進みまして、都道府県単位でとか、都道府県においてとか、都道府 県の役割とか、色々都道府県という名詞がたくさん出てくるんですけれどね。そこで の、再編・統合にやはり議論を深めるべきではないかということを申し上げたいと思い ます。  世の中には、当面ということでつくり上げて、当面というのが本当に長期間続いてい るものがたくさんありますので、抜本的な改革をするということであれば、当面のとこ ろを目指すのではなくて、やはりあるべき姿のほうをしっかり議論するべきではないか ということを申し上げて、まとめについてはたくさん、我々の意見もきちんと踏まえて いただいておりますので、大変ありがたいと思いますけれども、その点だけは少し気に なりますので、あえて申し上げた次第でございます。 星野部会長  ありがとうございました。それ以外にどうぞ、ご自由に。  山本委員、どうぞ。 山本委員  私も欠席がちで、あまり流れがよくつかめないのですけれども、今日、資料3のとこ ろで、説明をしていただいたのですけれども、国保の県単位の一本化ということはいい ことだと思いますので、これはぜひ実現させなければならないと思いますけれども、た だ、この二次医療圏は、県ごとで違うと思うのです。ですから、全国統一的に二次医療 圏でやるということができるのかどうかというのは、少し疑問があるような気がしま す。ですから、二次医療圏の確立されているところであれば、これでうまくいくだろう と思います。  それからその次は、この医療費の標準化とか言っておりますが、あるいは適正化とい う言葉を使っていますが、ではいったいだれが医療費というものを適正化、標準化する ために、どういう作業やどういうことをやっていくのかというのが、書かれてないので す。だから、診療というのは専門的なことですから、我々のような行政人が「こうしま しょう、ああしましょう」というのは、できるわけがないのです。では、だれがどこ で、どういうふうにして決めるのかということが、少し気になるのです。ですから日本 の場合は、この診療報酬の統一化というのは基準ですから、いわゆるこの医療の基準点 を決めるのは大変難しいような感じがしないでもないのです。ですから、簡単に適正化 や標準化というのは、なかなかこういうことではできないのではないかと思いますが、 そこらあたりはどういうふうにしてやっていくのだということを、やはり書くべきでは ないでしょうか。私から言わせると、こういう文句を並べると、簡単にできそうな感じ を受けるのですけれども、実際には難しいのではないかと、私は思います。  ですから、もう少しそのあたりを突っ込んだ議論が必要だと思います。こういう単純 な言葉だけで、これから国保の再編だとか統合だとか、あるいは健保だとか、政管とか いうのはこうなっていくのだということを、ある意味で決めることは、私は非常に不十 分だと、そういうように思います。ですから、そこらあたりをもう少し検討する必要が あるのではないでしょうか。  それから次に、書かれている文言をずっと、先ほどから読んでいただきましたのです が、この高齢者の、前期・後期の高齢者ですが、独立させるというやり方は、確かに1 つのものの考え方としてはあるかもしれません。ところが、全体的な医療費というのは いったいだれがどう負担するのかということについては、少し疑問があるのです。それ はどういうことかと言いますと、我が国の年金はそういうものをすべて賄い得るだけの 額に達していないのです。これはもう、ここは専門でしょうからおわかりになると思い ます。  したがって、私があるところへ2、3日前に行きました。「この施設に入るのにはこ れぐらいの自己負担が要ります」と、こう言うのです。「では、そのお金はどうしてい るのですか」と言ったら、「年金をもらっているけれども、この年金では足りません」 と、「あと自分が持っている金をこれに加えて、そして入所しております」と、こう言 うのです。だから年金が、言うならばこういう負担に耐え得るだけのものを給付してい るかどうかというところも、やっぱり議論の価値があると思うのです。  ですから、ただ低額にしておけばいい……。低額にするならば、その不足分はいった いだれが、どこでどういうふうにして負担するか、という問題が起こるのです。公費が それだけ見ればいいのですけれども、公費のほうはきちんと、「2分の1以上は見ませ んよ」とか、あるいは「この残りの2分の1については、それぞれの保険組合から負担 してください」とか、そういうようなことを大体考えるだろうと思います。しかしそれ も、おのずから限界が出てくるわけですから。  それからもう1つは、この高齢者、前期高齢者、後期高齢者の人たちが、保険料がど うしても増額させなければならないときに負担に耐えられない、負担をするだけの能力 がないと私は思う。その能力をつくってあげるならば、年金を上げればいいんです。国 民年金をうんと上げてあげればいい。しかし、国民年金をあげるような議論はないでし ょう? ですから、負担に耐えられないようなことをそういうふうに書かれるのはいか がなものかと、私はそう思います。だからもう少し、そこらあたりは検討をする必要が あるのではないかというふうに思います。  それから、この診療側が国保であまり議論が出ていない。診療側のほうのことはあま り言わない。ここはそういうことを言うところでないかもしれませんが、私にはわかり ませんが、例えば施設のほうについては、厳しい基準を設けようとしているわけです。 これはおそらく医療費を抑制するために、例えば廊下の幅が今は1.8メートルでいいの ですけれども、それを2.5メートルにしろなどと言って、施設の改良を求めています。 それから、1人の入院する部屋の広さは8平米にすべきであるとかね。そういう意味で 今、そんな倍以上のそういう施設を改良すべきであるという意見が、まだ決まってはい ないかどうか知りませんが、そういう話が随分あります。ということは、これは施設の 改善をすることはいいことではありますけれども、結局は、ぐるっと回っていって、こ れが医療費の増嵩につながるのです。おわかりになりますか、言っていることが。  だから負担を多くすれば診療側も、負担を多くした分だけそれで補わなければなりま せんから、結局はぐるっと回ってくるということだと、私は思います。だから、医療費 を抑制するために考えられるようなことを全体的にやるということは、私は少し考えが 悪いのではないかと思います。ですから、もう少しそういう点は、専門的な人たちの集 まりで議論をしていただいて、どうすれば適正化がイメージになるのかとか、そういう ことをやったらいかがでしょうか。だから、何かこの、上から押さえつけるようなやり 方をするということは、決していいことではないと思います。だから、その点はお考え をいただければと、そういうように思います。  なおまた医療費の増嵩、生活習慣病対象者の増加というのは、これはもう確かにそう いうように出てくるだろうと思いますけれども、75歳以上は後期高齢者などと言って決 めていますけれども、確かに考えると75歳ぐらいまでが元気の限界点かなというのは、 私自身が、自分がわかります。そういう意味からいくと、この75歳以上の人に対して、 老人医療の独立性を求めるということであればいいのですが、75歳までは元気がいいじ ゃないですか、今の日本では。それを65歳から74歳までが前期で、75歳以上が後期だと かいって決めて、その決めるのはそれで結構ですが、それを1つの国の制度の中にはめ 込んでいくというのがいかんのですよ。だから、そういうことをやるべきではないと、 私は思う。75歳以上なら理解ができます。しかし、75歳までは一般と同じ扱いで。そう いうふうにするから、だんだん老人が何もしないで、自分の体を守ろうとしない。こう いうことですね。  それからもう1つ、極めて残念なことをここに書かれてあるのですけれども、予防な のです。予防はもう、介護もそうなのですが、この医療もそうなのです。予防をこの医 療、介護の枠内でやりましょうという。これは全く違っていると思いますよ。予防とい うのはそういうものではなくて、きちんとした、独立した制度としてやることが必要で はないですか。だから、医療にも行かない、介護にも行かないようなことをやることが 予防なのです。だから、医療の中で予防、介護の中で予防というやり方をするというの は、私は本当の意味での予防にならないと、そういうように思いますので、独立させた 制度として予防を推進しているという考え方のほうが望ましいのではないかと思います ので、要らんことを申し上げたような気もしますけれども、実感をしておりますので、 申し上げさせていただきました。よろしくお願いします。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ。 山本委員  いいですか。何か私の言ったことで、「いや、お前の言うことはいけない。こうだ」 というのがあったら、言っていただきたい。何回も言ったけれど、聞くだけでは意味が ないでしょう? 間杉課長  大変失礼しました。75歳が元気の限界点だというのは、大変私どもも意を強くした言 葉でございます。前期高齢者と書いてございます、75歳を過ぎたらやっぱり違うのだろ うと。だからそこは分けて、独立制度につくろうというふうなことで。前期高齢者とい うのは、多分そこを、医療費が高いので色々調整していかなくてはいけないというので 名前をつけておりますけれども、主目的では75歳で切ろうというふうなことで、そこは 大変意を強くしました。 山本委員  予防のほうですけれども……。 間杉課長  予防は、独立した制度としてというのは、ちょっと私……。今、医療保険の中でも、 健保組合とか政管なんかでも、一生懸命予防事業をやっています。色々な形でやってい ます。ですから、それがそれぞれここに合った形で、会社ごとに、あるいは地域ごとに 色々合った形でやられているので、それは予防事業という形でぜひ、我々、これから組 み込んでいきたいなと思っております。別な形のほうがいいということは、もう少しお 教えいただければまた幸いでございますけれども。 山本委員  ついでですが、明日、「健康日本21」がありますね。ですから、ああいうふうにして やろうとしているわけでしょう? やりなさいといって、法律までつくった、制度まで つくったわけでしょう。それがなぜ、こういうように分割されなければいかんのか、全 く理解できないのです。だから、予防というのは健康を守ることなのです。「元気でい てくださいよ」ということなのです。だから、「健康日本21」と。「健康日本」でしょ う? だから、「健康日本」をつくるためには、いつも筋力トレーニングや色々なこと をやって、体力を維持するということが大事なのです。それが何で、この医療の中や介 護の中で予防というのをやるというのか、全くわかりません。  「病気になったから、これ以上悪くなるなよ」と。それから、「お前は予防をやれ」 と。予防というのは、「こういうトレーニングをやれ」とか、「リハビリをやれ」とか いうのと同じじゃないですか。そういうのは病人でしょう? 病気になっている人たち ですから、病気になっている人たちに「それ以上悪くなるな」ということもあり得るけ れども、全体的にみんなが病院に行かなくてすむ、介護を受けなくてすむというような やり方をすることのほうが望ましい。だから、独立した制度にすべきではないかと、私 は言っている。  それをそういうふうに、だから極めて簡単に「こうです」と言うのは、納得ができま せん。 星野部会長  どうぞ、ほかにご意見。どうぞ、北郷委員。 北郷委員  資料3の基本的な考え方ですが、Iのほかの制度との整合性は確かに大切なのだとは 思う。今、山本委員が言われたように、「年金が足りないじゃないか」という問題はあ るのですが、さっき間杉課長が言われていたような持続性とか、「医療費がどんどん高 くなってくるから、医療保険がもたないじゃないか」とか。今、問題なのは、高齢者が 増えてもたないということを片づけようというのが基本的な考え方だと思うのです。ほ かの制度との関連というようなところが、基本的な考え方というのは、どうかなと。医 療保険自体の存続、ある程度適正な医療費水準を維持しなければ保険料を払えなくなる とか、こういうことを片づけようというのが、まず基本的な考え方ではないかというふ うに思うわけです。  それからもう1点、高齢者医療ですが、「生活の質の向上を重視する観点から」とこ うなっているが、例えばある医療で、治療が成功すれば普通に生活できる、失敗すれば 死んでしまうとか。そういうQOLの向上を重視するということの意味です。事務局の ほうの方のお話もいただきながら、大内委員のご意見を教えていただければと思いま す。以上、2点でございます。 星野部会長  ありがとうございました。お名前が出ましたので、大内先生、もしよろしければ。 北郷委員  先に基本的な考え方のところをちょっと。 星野部会長  はい。 間杉課長  大変失礼いたしました。医療保険制度の改革の基本的な考え方、これは閣議決定の中 で、持続可能な制度を目指す。それから、給付の平等・負担の公平を目指す等々、そう いった医療保険制度自体の改革の基本視点については、書かせていただいてございまし た。したがって、あえて重複を避けるというふうな意味で、ここの審議会であったご意 見として、年金とか介護とかの関係が随分上にあったものですから、ちょっとそこが頭 にあって書かせていただいたところでございます。基本方針どおりでございます。 大内委員  特に後期高齢者になりますと、疾病の治癒ということももちろん重要ですけれども、 もう1つは、個人としての、人間全体としての機能を重視して、それを維持・向上、向 上はなかなか難しいかもしれませんが、少なくとも維持する方向で行かなければいけな い。それが結局は、高齢者のQOLの向上あるいは維持につながっていくという、そう いう考え方だというように理解しています。 星野部会長  どうぞ。 北郷委員  非常に厳しい選択を迫られる場合もあるわけですね。医療の治療方法なんかについ て。 大内委員  はい。急性期の医療については、これはやはり若い人と同じようにやっているわけで すね。ですから、それはそのままやればいいわけで、問題はその急性期の治療が終わっ たあとに起こってくるわけです。 星野部会長  どうぞ、遠藤参考人。 遠藤参考人  いくつか意見と、それから質問を述べさせていただきたいと思います。まず意見です が、資料3のIの「基本的な考え方」。社会保障制度の改革の整合性を確保するというこ とは大変重要なことだと思いますが、肝心要のことを考えますと、やはり税制の改革と の整合性といったこともある程度念頭に置いて検討を進めていく必要があるのではない かと思っており、この辺も含めた検討を今後、進めていく必要があると、私自身は思っ ているところでございます。  また、あえて事務局のほうで、医療保険制度の持続可能性については基本方針に書い てあるので書かなかったということですが、一応私も念のため、持続可能性のことは非 常に重要だと思っておりますので、できれば「基本的な考え方」の中の1項目に入れて おいたほうがよろしいのではないかと思っております。それの関係で、IIの「高齢者医 療の在り方」についてですけれども、今後、高齢者医療費の適正化を進めていく場合 に、可能かどうかはわからないのですが、経済財政諮問会議では、目標値を置いた取り 組みも検討するということでございます。この医療保険部会の中で検討するかどうかは 色々ご議論いただかなければならないかと思いますが、その辺のことも1つ加えていく 必要があるのではないかと思っております。  次に、IIIの「高齢者医療制度」についてです。年齢区分は、やはり今の実感が、ま だ75歳で区切りとすることについては腑に落ちないところがあります。生活者の視点か らすると、年金給付とか介護との整合性も考えれば、やはり65歳以上ということについ ての国民的な合意があると思っているところでございます。  そのほか、ちょっと細かい点ですが、2ページに「高齢者の保険料」について大分詳 しく書かれております。所得とか資産という仕組みを例示的に書いていただきまして、 ありがとうございます。基本的に保険者、今議論があったところでございますけれど、 そのときに地域保険というニュアンスが大分色濃いと思います。したがいまして、扶養 ・被扶養の区分等を設けないで保険料をご負担いただくのが、今求められる方向ではな いかと思っているところでございます。  それから、その「高齢者の保険料」の「患者負担」に、「基本方針閣議決定時の経緯 も踏まえ」と書いてあります。この会合にすべて出ているわけではないので、詳しく覚 えていませんが、委員の意見としてこの「基本方針閣議決定時の経緯も踏まえ」という ようなニュアンスのご発言をされた方がいらっしゃったのかどうか、その辺を確認させ ていただければありがたいと思います。私自身としては、現役の方々の患者負担の割合 等、均衡の観点から、もちろん低所得者の方に対する配慮は必要でございますけれど も、その一部負担割合の引き上げという方向について検討していく必要があると思って いるところでございます。  さらに、「社会連帯的な保険料」のところ、これは老人保健拠出金につきまして、被 用者保険のコントロールがなかなかきいてこなかったところもあり、その二の舞となる ような制度改革というのはぜひ避けていただくことが必要だろうと思っております。  それから質問ですが、2ページの一番下に、「社会連帯的な保険料の負担を現役世代 に求める前提として、給付と負担の関係をいかに分かりやすいものとするか」と書いて ありますが、これも社会連帯的な保険料の負担に伴って何らかの給付を設ける趣旨で書 かれていらっしゃるのかどうかということを、確認させていただきたいと思っておりま す。  また、ちょっと長くなって大変恐縮ですが、4ページの一番上に「一方、負担能力を 上回って高齢者医療費が伸びた場合、その部分をどのように評価し、負担すべきか、具 体的に検討すべきではないか」と書いてあります。私どもとしては、負担者側とそれか ら診療側、両面での負担配分というようなことを第2ラウンドのときに検討をしていく 必要があるのではないかと思っているところでございます。  次に、「支援金負担の在り方」については、もちろん医療保険者が医療費の効率化に 取り組むことを前提に、その保険者が責任の取れないようなところについての格差調整 をしていくべきだと考えているところでございます。  それから、前期の高齢者の医療費における財政調整につきましては、今現在、保険者 間に国庫負担割合の差があるわけです。そのことを前提とした場合に、安易な財政調整 につきましては、ちょっと我々としては踏み込むことについて慎重でありたいと考えて いるところでございます。  さらに、先ほどの議論に出ましたが、保険者機能の強化が真剣に、再編・統合に関連 しまして、意見としてたくさん書かれているところでございますけれども、これもある 程度例示的に示唆する形で示していくことが、今後は求められてくるのではないかと思 っております。  最後に、財政調整交付金だけではなくて、国庫補助の配分方法そのものについてもい くつか見直すということも、第2ラウンドの議論の1つのテーマとしていただきたいと 思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。以上でございます。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、お答えください。 間杉課長  ただいま2点、ご質問にわたる部分がございましたので、お答え申し上げます。まず 2ページ目の患者負担、「基本方針閣議決定時の」というのは、この中でだれが言った か。それは言っておりません。これは私が書きました。  それで、中身を申し上げますと、今、現行制度は70歳までが患者負担3割、70歳以上 が1割となってございます。それで、先ほどご説明申し上げましたように、閣議決定の 際、自民党から「前期高齢者という統一的な枠組みをつくるのであれば、この間は、 今、1割と3割がいるけれども、統一的に2割としたらどうだろうか」と、こういうア イデアも検討してみたらどうかというふうなご提案がありました。そのことも踏まえて のことでございますが、さらにもう少し幅広いご意見だということでございますので、 それは了解させていただきます。  それから、2ページ目の一番下に「給付と負担」。これは何らか、負担の現役世代に 給付があるのかということでございますが、ここで文章上書きましたこの給付は、高齢 者に対する給付と、若年者の負担、その関係が明確にわかるようなという趣旨で書かせ ていただきましたが、なお、確か北郷委員だったと思いますけれども、これまでのご議 論の中で、保険料というからには反対給付性みたいなものは必要ないのだろうかと、そ ういうふうなご意見もございましたので、その点も改めて、第2ラウンドに吟味させて いただきたいというふうに思っております。 星野部会長  どうぞ、北郷委員。 北郷委員  ちょっと細かいですけれど、4ページに老人医療の仕組みがありますが、「被用者保 険、国保による支援金負担のあり方等」というところの上から7、8行目に「所得捕捉 の現状や将来における所得捕捉の在り方を視野に入れた上で」と書いてあるのですが、 このほかにもしのせていただければ、所得の現状みたいなものが当然入ると思うんです ね。所得捕捉だけを問題にするというのはおかしいと思います。 間杉課長  所得のまず現状があって、それがどう捕捉されているかということでございますの で、当然それも入れたいと思います。 星野部会長  どうぞ、磯部委員。 磯部部会長代理  この事務局案を拝見して、全体として今後、都道府県に大きな役割を担ってもらうと いうところにポイントの1つがあると思うわけですけれど。それは私、結論的には十分 あり得ることだろうと思うのですが、今日の議論の冒頭に清家先生がおっしゃったよう に、一方でこの地域の判断で、高負担・高コストですか、高いサービスを求めるけれ ど、その分コストがかかってもいいよというような判断を地域がするならば、それはそ れであり得るという。一方でそういう地域性尊重の軸があり、他方では全体として制度 の平準化であるとか、調整というような言葉が出ていたように、全国区的な制度なのだ という軸と、両方存在しているわけです。  これは、そういうものだと言ってしまえばそのとおりなのですけれど、やや観念的な 議論をしているように思われるかもしれないのですけれど、やはりこの医療保険という 行政事務の本質的な性格は、いったい何なのか。国の事務なのか、それとも自治体の事 務という性質を持つのか。これは両方の、国も役割を担い、都道府県も役割を担い、市 町村も、ということになるのだろうと思いますけれども、例の分権改革以降は、そう簡 単にも言っていられないわけです。ちょっとその、失礼ながら全体の印象として分権改 革以前の国の機関委任事務制度があった時代の制度イメージがかなりの程度残存してい て、国が基本的な骨格を決めて、都道府県にはこういう役割を担ってもらうようにし て、この国が決めた範囲内でできるだけうまくパフォーマンスを期待するというような 制度設計になっているような気がする。そういう印象を持ちました。  分権改革以後は、この国と自治体の役割分担原則などというものは非常に強い規範性 をもつに至っておりますし、さらに自治体の事務であってもそれが都道府県の事務なの か市町村の事務なのか、これもそう勝手に決められる話ではないわけでして、ましてや 二次医療圏などというのは、先ほども出ておりましたけれど、非常に中途半端な位置づ けになったりすると、制度的に設計としてあまりうまくないという気もいたしますの で、関係者が全部それでいいと言うならばそれでいいのかもしれないですけれど、一方 で非常に大きな地方制度改革、分権改革のうねりがあり、という以上、この医療保険制 度というものの事務の性格、そこにおける国の役割、都道府県の役割、市町村の役割と いうものは、相当程度きちっと説明できるようなものである必要があると思います。 ちょっとその辺、もし現段階でお考えがクリアになっているのでしたら、伺っておきた いという質問になります。  ついでにもう1つ質問をさせていただくと、先ほどもちょっと出ていました、1ペー ジ目の冒頭の「基本的な考え方」というところで、この医療保険制度というものが自己 完結的な制度として自立しているといいますか、それだけで持続的に成り立つものでは なくて、当然他の関連制度と大いに関係はするし、整合性を確保することが大事だとい う当然の指摘があるわけですけれど、この辺のところを。  もちろん年金制度、介護保険制度との整合性というのも当然あると思いますが、他方 で、いわゆる地方制度改革というのもちょっと、今後どうなっていくかわからないとこ ろはあるわけで、市町村合併なんかはかなりの程度に進行しました。都道府県だって合 併の仕組みが今度、地方自治法に書かれるとかです。いきなり道州制とか何とかいうふ うには進まないかもしれませんけれど、都道府県制度永遠なりという保証も必ずしもな いわけですし、さらに、お金の話を中心に、いわゆる三位一体改革等はどうなるのかな どという話と、この話とが、どういうふうにリンクしてくるのか。これは政治のコンテ クストの中で行われることでしょうから、当然事務局だって、そう聞かれたってお困り になるだろうとは思いますけれども。例えば財政調整をこの医療保険制度の中で何か試 みるというようなことも可能かもしれませんけれども、もっと大きな、国と地方との間 の様々な財政調整制度の枠組みの変革の中では、そう簡単には行かないという話になる かもしれませんので、その辺も。これは質問しても困るかもしれません。何かお考え が、あるいは見通しなどお持ちなのか。もしお答えいただければと思います。 星野部会長  どうぞ。 間杉課長  地域性と全国調整、さらには国の事務なのか、地方の事務なのかというような本質的 なご質問がございました。それで、私どもが全体を通じて考えていることの1つという のは、冒頭にもございましたけれども、やはり医療保険制度、社会保険制度でございま すから、そこで受ける、地域で受けるサービスの水準と、保険料の水準というふうなも のは、基本的に連関を保っていくべきだろうと思っていることです。それが1つの大き な柱だと。  ただそのときに、その地域の中での水準といっても様々、高齢化のしわがよっている ところもあれば、様々な所得差。そういうふうな、やはり中で全国規模で調整をするべ きところは調整をしていく。だけれども、本当にその地域の特質として残ったその医療 費の負担というふうなものについては、明確に保険料負担に反映をさせたらどうか。そ んな考え方でやっていきたいと思っております。したがって、市町村合併の話も、私ど も、実は非常に関心を持っています。それはやはり国保の、今、大きな再編・統合をこ れから進めていこうという中での1つの、本当に久方ぶりのムーブメントでございます から、それは関心を持ってございます。  それから、人為的にどういうふうな境界が引かれていくかということはもちろんある のですけれども、やはり人間、生活をしていく上で、日常大体この範囲で、9割方、あ るいは100%近く、医療のサービスは充足されるよという範囲が、おのずから出てくる と思うので、そういうふうな単位単位ぐらいのところで、医療費の水準と保険料の水準 というふうなものをファイナンスさせていけないかというふうなのが、基本的な考え方 でございます。したがって、そういう意味で、地方にお願いする分、しかしやはり国と して全体的な調整をやっていかなければいけない部分、そういう部分は残ると思います けれども、先生のご指摘はよくわかりますので、そこはさらに制度的な詰め、ものの考 え方の整理をやってみたいと思っております。 星野部会長  どうぞ、岩本委員。 岩本委員  感想に近い意見ですけれども、この審議会のほうで、この検討の方向性でも、医療費 適正化にインセンティブを与える仕組みづくりというのが提唱されておりまして、これ は経済学者がインセンティブということを強調して、それを伝えるのが経済学者の1つ の役割なのですけれども、ただ、この審議会に参加してびっくりしたのは、皆さん委員 の方がそれを重要なことと認識されて話しておられて、私は経済学者として、そういう ことを言うまでもないという状態だったと。これはちょっとびっくりしました。  今の段階で、このことについて、この全体の制度改革の中でそれがどれだけの役割を 果たすのかということを少し、私の考えていることやらを、ちょっとここでしゃべらせ ていただきます。こういうインセンティブをつくっても、これはあくまで制度としては 可能性を与えただけであって、それで実際にその中で本当にそういう効率化が起こるか どうかということは、まさに活動する主体、この場合保険者なのですけれども、保険者 の活動にかかっているわけです。だから実際、それが本当にあらわれるかどうかという ことに関しては、必ずあらわれるとは断定できないものがあります。  またこれは、制度を設計するのは、そういうものが出てくると期待するだけであっ て、実際、そういう人たちをさらにつくっていくという仕事は、政府の仕事ではないと 考えております。そういう効率化を起こす主体というのは、民間の中で自発的に起こっ てくるというのが市場経済の原則でありまして、手取り足取り、保険者機能を発揮する ような主体をつくるというようなことは、若干自己矛盾なものになるわけです。そうい った意味で、あくまでも可能性であって、どれだけこれが成果につながるかということ は、ある意味、賭けの部分があるというのが1点です。  それからもう1つは、色々な適正化が図られたとしても、その数量がどれくらいにな るのかというように考えた場合、これから高齢者人口はさらに増えて、全体の国民の医 療費が上がっていった場合に、それを相殺するだけのものになるのかどうかというふう に考えますと、やはり量的には、それは足りない。国民全体の負担能力を超えて上がっ ていって、保険料率も上げざるを得ないだろうというふうに思いますので、確かに考え 方は大事なのですけれども、これで高騰する医療費の問題は片づかないだろうという感 触を持っております。したがいまして、増えていく医療費をどうするのかというのがや はり残るということを認識する必要があるのかなというふうに思っております。  保険者機能をだれが発揮するのかと言うところの、今日もご質問が出ましたけれど も、これも私の全く個人的な考え方ですけれども、市町村がやるにしては随分専門的な ことが多くなるだろうというふうに考えますと、やはりこれは、専門的なエージェント なり会社なり、そういったビジネスとして成立させるというのが、1つの考え方ではな いかというふうに、私は感じております。  それで、極端まで行きますと、今やっているような保険の業務ですけれども、これも かなりの部分を民間の保険会社なり、あるいは新しい会社なりが引き受けて、アウトソ ースという形で事業を展開していくという形になってもいいのではないかと思っており ます。その場合の国なり地方の役割というのは、そういった会社をしっかり選択をし て、それで暴走をしないように監視するということになるのではないかという気がいた します。これが1つ、大きなインセンティブの問題に関しての感想であります。  私は、今まではこの審議会では閣議決定された基本方針を肉づけするということで議 論に参加させていただいたわけで、閣議決定自体をひっくり返すというふうなことはあ まりしゃべっておりません。私は個人としては、医療保険制度はどうあるべきかという ことは持論があって、それはその閣議決定された基本方針とは違うところもありますけ れども、それは封印した上でこれまでしゃべってきたのですけれども、今日は何とな く、中間段階でもう少し大きなことをしゃべってもよさそうな感じなので、1つだけ思 っていることをしゃべらせていただきます。もともと高齢者の医療制度が大変大きな問 題なのですけれども、山本委員が先ほどおっしゃいましたが、高齢者は保険料を負担で きないようになるのかと、年金も上げられないから、という話がありましたけれども、 これは話をひっくり返して、年金が上げられるのであれば、かなりの問題が片づくとい う言い方ができるかと思います。  高齢者は今、医療費がかかっているわけですから、それに見合った保険料をもし徴収 できれば、高齢者医療制度の財政の問題はもうなくなってしまうわけです。その場合、 相当年金を上げないと、どうしようもないということになるのですが。ある意味、保険 局の悩みは多々あるのですけれども、年金を上げられるということであれば、問題を全 部年金局に投げてしまって、医療保険の問題はかなり片づくという考え方もできるわけ です。  突拍子もないような考え方に見えるかもしれませんけれども、例えば私の年代です と、郵便局へ行きますと、学資保険に入らないかということをすすめられるわけです。 子供が大きくなれば、それだけ出費がかかるということがわかっているから、前もって 貯蓄しておけと。それを政府の機関が教えてくれるわけです。しかしながら、私がこれ から年寄りになって、多分医療費がたくさんかかるだろうということは、ある程度わか っているわけですけれども、それに関して、私が前もって貯蓄しろと政府は言いません し、私にかわって医療保険の貯蓄をしてくれているわけでもない状態です。そういう形 で、今の日本の制度ですと、高齢者になったときに蓄えもない状態でたくさん医療費を 使わなければいけないという状態で投げ出されるという、そういう現状があるわけで す。それをどうするのかというのが、高齢者医療制度の抱えている一番深刻な問題だと いうことになっているわけです。  私個人でしたら、今、医療のことを自分で研究していますので、将来医療費がかかる ということがわかりますから、私個人では前もって今から貯蓄しておきたいというぐら いです。でも、それをさせてくれないような制度になっているわけですね。ですからそ のために、これは非常に深刻な状態にあとで陥るのですけれども、この医療制度の設計 というのは、そういう、ちょっと言葉は悪いかもしれないですけれども、尻拭いといい ますか、そういった状況をいかにして救済するかという、そういう設計になりますの で、ある意味、矛盾がそこにしわ寄せされているものになっているわけですから、色々 と理念のことを言っているのですが、やはりきれいな姿にはなっていない。どうしても 後ろ向きの対応ではないかというふうな気がしております。その後ろ向きな対応の中 で、いかにしてこの若年者支援を合理的に説明するかということを積み重ねていって、 この置かれた状況というものを改善するというつもりで接しているのですけれども、本 当は前もって貯蓄できれば、それにこしたことはないという気持ちはありまして、そう すると、大きな問題がかなり片づくのではないかという、そういうふうな印象を持って おります。ちょっと雑駁な話で申し訳ないのですけれども。以上です。 星野部会長  どうもありがとうございました。どうぞ、漆畑委員。 漆畑委員  総括的な、感想みたいなお話で申しわけないのですが、これまでの議論の整理と今後 の検討の方向性は、私は事務局の説明を受けて、ここの論客の大勢いる議論の整理とし ては、ムーブメントをよくまとめていただいたかなと。それから、今後の検討の方向性 については、若干事務局の意向が強くにじみ出ているのですけれども、それでも、これ からこれについて議論をするという意味では、よく整理をしていただいたと思います。 事務局の考え方の色の強いのは、ちゃんと「事務局案」と書いてあるから、それはいい かなと、そんな感じで聞かせていただきました。 それで、具体的なことを3つほど感想を述べたいのですが、効率化とか適正化というの は全く反対しませんで、必要なことだと思いますが、前回、大内委員が多分おっしゃっ たと思いますが、やっぱりその中に必ずしも抑制だけの話ではなくて、必要な費用はき ちっと担保されるようなことも、精査の中でご議論いただきたいわけでありますけれど も。費用を抑制するだけではいけないと思います。特に、あくまでも生活の質の向上を 維持する観点からと言っているわけでありますから、効率化した上で、やはりかけると ころには費用をかけるということもご議論いただきたいと思います。  それから、保険者の機能でありますけれども、保険者ははっきりしていないので、な かなか議論しにくいのですけれども、いずれにしても、疾病予防とか健康増進というこ とになりますと、後期高齢者の保険者が、もうその時点で75歳以上の方に疾病予防とか 健康増進といっても、意味がないというわけではないですが、非常に効果は薄いと思い ますので、これは若人の保険者と一体となってやる必要があると思うし。それから、保 険者だけではなく、医療提供側とそういうものを一体となって進める必要があると思い ます。今の医療保険制度というのは、疾病予防について非常に手薄ということが、現在 の状況があると思いますので、そういうことも議論をしたいと思います。  それから、全体ですけれども、保険者とかその制度のことで色々、診療側のことも、 医療提供側のことも書いてございますけれども、被保険者のことがこの中にほとんど出 てこないのです。やっぱり保険ですから、当事者として、保険料のことはもちろん書い てあるのですが、被保険者がいったいどういう意識を持って、自分は自分の保険に、保 険料を払うだけではなくて、あるいは医療を受けるだけではなくて、保険に参加すると いうことが大事で。私は費用の効率化という点では、大変そこのところが重要だと思い ますので。具体的に今、何かアイデアがあるわけではないのですが、被保険者と議論が できるといいと思います。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、山本委員。 山本委員  大事なことでございますから、ちょっとお尋ねしますが、この5ページの一番下の○ のところを見ていただきますと、「市町村保険者を指導する立場にある都道府県が」と 書いてあるのです。これ、いまだにこういう言葉を使っているのですか。これはちょっ とわかりませんが。そこで、その言葉はまたあとで結構ですけれども、この都道府県 が、私の理解では保険者になると思ったのですが、保険者になるのではなくて、言うな らば国のかわりをするという意味なんですか。このあたりをひとつ、ちょっと教えてい ただけないでしょうか。  県で一元化をするというのは、県が保険者になると、こういうふうに私は理解をし て、今日まできたのですが、この文句からいくと、そうではなくて、さっきのお話に も、県は国にかわるべき仕事をすると、そういう職務を持つと、こういう意味なのか。 そこのところを説明していただけませんか。非常に大事なことですから、ちょっと教え てください。 星野部会長  はい、どうぞ。 間杉課長  ここで「市町村保険者を指導する立場にある都道府県が」と書きましたのは、国保法 の今の規程の中に「国及び都道府県の義務」と言ってございます。「都道府県の義務」 という規程がございます。それで、都道府県の義務として、「都道府県は国民健康保険 事業の運営が健全に行われるように、必要な指導をしなければならない」という規程が ございます。したがって今、既に国保法の中で、都道府県というのは国保がうまくいく ように一定の義務を負っているのではないか。そういう立場にある都道府県なので、さ らにこういう改革全体の中で、国保の再編の中で具体的にどういう役割を持ってもらう か、あるいはどういう権限を持ってもらうか、それはもう少し検討したらどうかとい う、そういう気持ちで書いております。 山本委員  いいですか。今、そういう言葉を使わないですね。そういうことはもう完全に変わっ てしまったわけですよ。今は対等、協調の間柄になっているわけですよ。都道府県と市 町村とは同じになったわけですよ。だから、そんな古い言葉をいまだに使ってこういう 文言を出すのはいかがなものかと、私は思います。  それから、都道府県は保険者になるのか、国にかわるのか、それをはっきり言ってく ださい。何か難しい言葉で言わなくても結構ですから。どちらになるんですか。 間杉課長  保険者が県になるのかどうかということですか。 山本委員  今までの議論から考えると、県に一元化をするというのは、県も保険者になるという ふうに、私は理解できたのです。ところが、こういう文句を書かれておりますと、国に かわるとこういう意味にとれるのです。さっきのお話を聞いていると、そういう意味で 思うのですが、国にかわるということになれば、公費負担が例えば2分の1あるとすれ ば……。その2分の1を県が負担をしていくと。財源をどこからどう出すというのは、 そういうことは抜きにして、県が公費負担分を負担をしていくと、こういうことになる のだと思いますが、どちらなんですか。 間杉課長  これまで、かつて何回目かの議論、国保の再編成のときに、私どものほうでお示しを したと思いますが、「当面は二次医療圏ごとに、例えば広域連合といった形で市町村が 保険者になるのですが、その際に、私どもとしては、できれば県も一緒にそこに入って くれませんかというふうなことをお願いをしております」というふうなお話をさせてい ただいたと思います。ですから、県も市町村も広域連合の構成員となるということで す。 山本委員  ということは、県は保険者になるということですよ。 間杉課長  私どもとしては、県も広域連合に入ってくれということをお願い申し上げています。 山本委員  簡単にそう言うけれど、そんなことを言っていいか悪いかは別として、今、ちょうど それを決める時期に来ているんですよ。おわかりでしょう? わかりますか。 間杉課長  はい。わかります。 山本委員  だから、こういう文句で書かれるならば、そういう考え方で出てくるならば、決める ときに、言うならば廃止の方向で議論してもいいと、私は思う。わかりますか。それで いいんですね。もう少しきちんと書かれたらどうでしょうね。これはわざと、ほかの人 にはわからんように言ってるんですよ。聞いていても何を言ってるのだかわからないと お思いだろうと思うけれど、わからんほうがいいんです。だから、あなたたちはわかる はずですから、これをあと何日かで決めなければならんわけですよ。これ、対象にして いいんですか。 星野部会長  ちょっと今の質問と関連しまして、厚地参考人のほうが発言を求めていますので。ど うぞ。 厚地参考人  知事会の厚地でございますが、今、山本委員のほうから話があった件でございます が、これはすでに厚生労働省さんご案内のとおり、市町村国保の再編・統合の件が出て きたときに、都道府県は保険者にはならないということで、はっきり意見を申し上げて おります。これは全国の都道府県知事の意見を踏まえたものでございます。よろしくお 願いします。 星野部会長  どうぞ。 間杉課長  今、両方のご意見がございまして、保険者については知事会のお立場、それから町村 会、市長会のお立場、それぞれ異なるものがございます。我々は、まだここはまとまっ ているとは決して思っておりません。それから、私どもは何も国保の国庫負担を一般財 源化をするというふうな、そういうふうなことまで含めて、ここで書いているわけでは ございません。 星野部会長  どうぞ、河内山委員。 河内山委員  きょうは浅野知事がおこしになっていないので、厚地参考人に申し上げたいですが、 この間の、厚労省のほうが音頭をとられました再編統合のガイドラインづくりの委員会 でしたか、これは結論が出ておりませんけれども、保険者であるというようなことを決 めるかどうかというのは別としまして、ぜひ、本当に県民のため、国民のための制度に なるように、都道府県の方々とぜひ一緒に、市長会、町村会、一緒になって、県がどう いうふうな役割だとか権限だとか、そういうものを果たされるのかということについ て、いま一度、また真剣にご議論を、ぜひお願いをしたいということを申し上げたいと 思います。 星野部会長  どうぞ。お答えになりますか。 厚地参考人  私、先ほど、保険者にならないというお話をしました。これは前回の、今お話があり ましたとおり、統合・再編についての厚生労働省試案が示された際に、全都道府県知事 に意向を聞いております。その結果を踏まえて、今発言しているような状況でございま す。ご理解いただきたいと思います。 星野部会長  こういう状況のようでございます。ご議論が大変、最後に盛り上がってきましたけれ ど、実はこのペーパー自体が、途中で色々ご議論がありましたように、よく見ると、こ れからこの方向について検討するとか、具体化はこうだろうとか、これから詰めるのは きつい。要するに方向の具体的なところはまだ白い箱に入っていて、中身が書いてない というペーパーなのです。そういう意味では、これをさらに第2ラウンドでは、皆さん のお知恵をまた借りて、その箱の中をどうやっていくかというところが、次の一番大き な問題、この会の問題になるのではないかと思うものですから、ひとつそういう性格の これはペーパーだというふうに理解していただいたらいかがかなというふうに思いま す。  そういう意味では、久保田委員や対馬委員が、これは大きな問題で突き抜け方式だと か、そういうことを言われたところもシミュレーションの中に入るのか、入らないのか です。おそらく、シミュレーションの中に入れないと収まらないでしょう。事務方は大 変だと思うけれど。一応結論に導いていく。だからそういう意味では、これからかなり 広い範囲で具体的に制度設計、それから財政計算みたいなものを、これから第2ラウン ドでは逐次詰めていくという方向になるのだと思いますが、その都度、作業はしにくい ところ、しやすいところ……。  しにくいところというのは、いつも申し上げますけれども、外野がいっぱいだもので すから、おそらく事務方は出すタイミングが非常に微妙で難しいと思う。それはご理解 をひとつしていていただいて、その上で、全体をぱっと詰めて描けると本当は一番いい のですけれど、全体の姿をかいた途端に空中分解する可能性があるものですから、とり あえず部品ごとに出していくというような格好で、皆さんの想像力をかなりお借りしな ければならないという部分がある、非常に奇妙な審議会だと思いますけれど、ひとつよ ろしく、そういうことでご理解をいただいて、その都度、どうぞ、土俵については、今 日久保田委員などが言ったように、自分の吐露が狭くなりそうだと思ったら、広げてく れという要求をしていただいて、それで切りよく、座長としては事務方に指示をいただ きたいとは思っております。いずれにしても、そんな非常に不明な状況をこれからいよ いよ第2ラウンドを迎えますので、ご理解のほどをよろしくお願いをしたいと思いま す。  先ほどの最後の山本委員、それから厚地参考人の議論なども、実はまだ本当は固まら ない話でございますから、これから山本委員みたいに威勢のいい人がどんどん意見を言 って、それに対して世間がどう反応していくかということを見ながら、多分今度は総務 課長が「ああ、これならいけそうだ」という絵をかくという、こういうような手順もあ り得るかと思いますけれど。どうぞ、この場ではガンガン意見を出していただいたら、 私はいいと思うわけでして。だけれど、それがそのまますぐ「決定したんですね」と、 先ほどの山本委員のように開き直られると、事務方はたじろいでしまうと、こういうこ とになりますので。そこはもう1つご理解を、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、大変どうも勝手なことを申し上げてあれでございますが、本日はこの辺で 閉めさせていただきたいと思います。なお、今日出たご意見は当然ファイナルではござ いませんので、今申し上げますけれども、各委員から出た意見を踏まえながら、次の段 階の作業、つまり制度設計だとか、あるいは財政試算が必要というものについて、ご参 考にさせていただきながら作業を進めさせていただいて、また委員の皆さんとよくご議 論を尽くしたいと、こういう運びにしていきたいと思いますので。一応第1ラウンドは これで終わらせていただきまして、改めて第2ラウンドにご協力をお願いしたいと思い ます。本当にありがとうございました。                                    (終了) (照会先) 厚生労働省保険局総務課企画調査係 (代)03−5253−1111 (内線)3218