04/07/23 厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会      第23回厚生科学審議会疾病対策部会         厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会                         第23回議事録                           日時:平成16年7月23日(金)13:00〜15:00                    場所:全国町村会館 2階 第1会議室           ○永野補佐  定刻になりましたので、ただいまより第23回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞 移植委員会を開催いたします。  本日は、橋本委員、小達委員、坂本委員、新美委員からご欠席とのご連絡をいただい ております。  また、議事に即し、日本赤十字社の白戸血液事業部長、沼田血液事業部次長、骨髄移 植推進財団の小瀧移植調整部長に参考人としてご出席いただいております。  議論をいただく前に、厚生労働省に人事異動がございましたので、ご挨拶をさせてい たきます。 ○片岡室長  皆様、初めまして。本日付で臓器移植対策室長を拝命いたしました片岡と申します。 今日初めてということで不慣れなところがございますが、今後ともよろしくご指導のほ どお願いしたいと思います。  簡単に自己紹介をさせていただきますと、私は厚生労働省に入りまして19年目になり ますが、最初の10年は厚生労働省の中でいろいろな部局で仕事をさせていただきまして 、あとの10年は外のいろいろなところへ行かせていただいております。8年ほど前に外 務省に出向いたしまして、ベルギーにおいてEUに対する日本政府代表部で3年間、外 交官として働かせていただきました。  日本に戻りまして、感染症新法の国会審議のころ保健医療局に勤務させていただき、 その後、障害者対策を担当し、その後は、医療経済研究機構で研究マネジャーをやりま して、直前までは千葉市に出向いたしまして、千葉市の保健福祉局長として3年3カ月 勤務しておりました。  そのような経歴でございまして、この分野につきましてはまだまだ不勉強なところが ございますが、皆様方に教えていただきまして努力したいと思いますので、前任者同様 、温かいご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いしたいと思います。簡単でございますが 、着任のご挨拶とさせていただきます。 ○永野補佐  次に資料の確認をさせていただきます。  資料1として造血幹細胞移植委員会における議論の整理という横長の表がございます 。  資料2として骨髄ドナー登録要件の緩和についてというペーパーがございます。  資料3として骨髄ドナー登録推進のための目標設定の考え方というペーパーがござい ます。  資料4として「100日プロジェクト」についてがございます。  その他、席上配付資料を配付させていただいております。  資料は以上ですが、不備等がございましたら事務局までお申し出いただきますようお 願いいたします。  それでは、議事進行を委員長にお願いしたいと思います。 ○齋藤委員長  本日の議事は、いずれも骨髄ドナー登録に関することであります。今から3時まで、 活発なご議論をお願いしたいと思います。  それでは、最初の議題「骨髄ドナー登録要件の緩和について」に入りたいと思います 。  資料1「論点整理ペーパー」にもあるとおり、造血幹細胞移植委員会において今後検 討していかなければならない課題の一つとして、骨髄ドナープール30万人目標の達成が あります。  前回の当委員会では、ドナー登録の現状を踏まえた上で、ドナー登録を拡大するため にとるべき施策について議論しました。  今回は、前回の議論を踏まえた上で、骨髄ドナー登録要件の見直しについて案をまと めましたので、事務局より説明をお願いします。 ○永野補佐  それでは、資料2「骨髄ドナープール拡大のために」に基づいて説明させていただき ます。今回、骨髄ドナー登録要件の緩和について検討してまいりますが、その前に、ド ナープールの拡大のために今後何をやっていくべきかということについて簡単にまとめ ましたので、こちらを説明させていただきます。  事務局で考えている案として今のところ4つありますが、このほかに今後考えていっ て、さらにいい案が出てきたら追加してまいりたいと思います。  まず1点目は骨髄ドナー登録機会の拡大ということです。  行政側としてやっていくこととして、骨髄ドナー登録の要件を見直し、日赤やボラン ティアなど関係者の協力が得られやすい環境を作ることにより、骨髄ドナー登録の窓口 を増加させる必要があるのではないかと考えています。  現在、日赤でしたら献血ルームで登録の受け付けをやっていただいておりますが、登 録要件として説明をしなければいけないという要件がありますので、これがネックにな っておりまして、説明をするような設備がないとか、ビデオなどの物理的なものがない ところで受け付けができないという状況があります。こういうところを今後改善してい くべきだと考えています。  2点目は骨髄提供意思確認の実施です。  これも前回に引き続いての議論ということになりますが、関係機関の協力を得ながら 、普及啓発を図るとともに、チェックリスト方式の実施等により募集の強化を図る必要 があるということです。  3点目は地域間格差の解消及び取り組みの強化です。  現在、関係者や善意のボランティアの方に協力していただいておりますが、個人に頼 っている状況ですので、地域格差が大きくなっています。これを改善していくために、 今後、地域レベルで実情に応じた目標を設定し、目標達成のための関係者間の連絡会議 などを開いて連携を強化する必要があると考えています。  4点目は骨髄提供年齢の拡大です。  現在、骨髄提供年齢は20歳以上50歳以下となっていますが、上限を55歳に引き上げる ことにより、ドナープールの拡大を図る必要があるのではないかと考えています。安全 性の面や実施体制の面について今後引き続き検討していく必要がありまして、それを検 討した上で、採取施設の理解を得ながら進めていくべきであると考えています。  以上がドナープール拡大のために検討していかなければならない事項です。  続きまして、各論部分になりますが、2ページの「ドナー登録要件の緩和について」 をご覧いただきたいと思います。関係機関と調整させていただいておりまして、必ずし もコンセンサスを得られたものではありませんが、私どもの案としてお示ししました。  1.検討のポイントですが、ドナープール拡大の観点に配慮して、ドナー登録の要件 及び運用を見直す必要があるのではないかと考えています。  2.現在のドナー登録の要件について簡単に確認させていただきたいと思います。  現在のドナー登録要件については、平成3年、4年ごろの議論を踏まえて、提供時の ドナー適応基準と同様のものになっていますが、ドナー登録から実際に骨髄を提供する までにかなりの期間が経っているケースが大半と考えられます。その間にドナー登録者 を取り巻く環境や家族構成が変わっていくという点と、ドナー候補者になってコーディ ネート過程に入った後に説明や同意の取得が十分に行われることを鑑みると、ドナー登 録要件としてドナー適応基準と同様の要件を求めるのではなく、緩和できるところは緩 和していくという検討が必要であると思います。  10ページの別紙3をご覧いただきたいと思います。「ドナー登録からドナー確定まで の期間」というグラフを載せております。  前回の4月23日の当委員会で、私どもで計算しました値を5.3年というふうに示しまし たが、そのあと東京都骨髄データセンターの協力を得て計算し直したものです。  両者の相違点としては、私どもが前回示したのは、2003年度にコーディネートを開始 した方について計算したところ5.3年になった。東京都骨髄データセンターで計算してい ただいた分は、骨髄バンクができあがってから直近までにコーディネートを開始した人 について、初回のドナー候補者になった時までの期間を算定したもので、こちらで計算 しますと、平均値で2.8年ぐらいとなっています。  これらの期間を考慮しても、ドナー候補者を取り巻く環境はかなり変化していると考 えられますので、このへんを加味しながら要件を考えていくべきだと思います。  2ページに戻りまして、現在のドナー登録要件は次のようになっています。  (1) 骨髄提供について必要かつ十分な説明を受け、骨髄提供の内容について十分理解    した上で同意した者。  (2) 年齢が20歳以上50歳以下の健康な者。  (3) 体重が、男性は45kg、女性は40kg以上の者。  (4) 骨髄提供について家族の同意を得ている者。  以上4点となっています。  この要件に対する考え方ですが、6ページの別紙1をご覧いただければと思います。  1点目の要件の「骨髄提供について必要かつ十分な説明を受け、骨髄提供の内容につ いて十分理解して同意した者」についてです。  ドナーの登録をしてから提供にかかるまでの期間を考えますと、これは必ずしも必要 かつ十分な条件ではないと考えられます。  提供の内容について十分理解していることは必要なのですが、説明を受けることまで は必ずしも要求していないと考えていますので、「骨髄の提供について必要かつ十分な 説明を受け」という要件は緩和できるのではないかと思われます。  参考として、ドナー候補者となった時から実際に骨髄が提供されるまでに、表1のよ うに、コーディネート開始時、確認検査時、最終同意面談時に、コーディネーターが対 面で説明をしているという現状があります。  また、コーディネートの過程に入ってからドナー理由によってコーディネートを中止 する者の割合がドナー候補者の6割にも達しているという現状がありますので、ドナー 登録者が候補者になった時点で十分に説明を受けたとしても、提供に係る一番重要なボ ランティア的な任意性・自発性が損なわれる懸念は少ないと考えられます。  2点目の「年齢が20歳以上50歳以下の健康な者」についてです。  先ほどのフロントのペーパーで示させていただいたとおり、提供の年齢についても今 後検討していくことになっておりますので、それにあわせて登録要件も考えていくべき であると思われますが、必ずしも提供の年齢と登録要件を一致させる必要はないのでは ないかと考えています。これについては十分議論が必要だと思います。  ドナー登録をしてから候補者になるまでの期間が短い人で1週間程度、長い人で5年 以上、平均して2.8年という現状を考える必要があると思います。  3点目の「体重が、男性は45kg、女性は40kg以上の者」についてですが、体重は期間 がたつと変動することが予想されますので、この要件は登録時には必要な要件ではない と考えています。  4点目の「骨髄提供について家族の同意を得ている者」についてですが、ドナー候補 者がコーディネートを中断する理由として家族の同意が得られなかったという例があり ますので、このへんを加味していく必要があると考えています。  2ページに戻りまして、3.見直し後のドナー登録要件及びその運用(案)に移りま す。これはイメージでして、関連機関と調整をしているところですので、ご承知いただ きたいと思います。  (1) 見直し後のドナー登録要件(案)です。  あくまでも私どもが考えているものですが、骨髄提供の内容と要件について理解をし た上で登録することが必要ではないかと考えています。  ドナー登録者が理解すべき骨髄提供の内容と要件としては、提供可能年齢、提供可能 な体重の要件、骨髄の採取の仕方、提供する際に家族の同意が必要であることなどです が、その時点で確認する必要はないまでも、承知しておいていただく必要があると考え られます。  (2) ドナー登録要件の運用方法です。  まず1点目として、提供の内容と要件について理解していただくために、チェックリ ストというのは一つの手段ではないかと考えています。  チェックリストのイメージですが、5ページをご覧いただければと思います。参考資 料2として、私どもが考えた案を示しています。理解しておいていただく事項を漏れな く含むことは必要なんですが、あまりに数が多いと希望者の負担になりますので、関連 機関と調整をして、少しでもいい案を考えていきたいと思っています。  チェックリストを使用した場合の手順ですが、参考資料1として4ページに示してい ます。まずドナー登録会場で意向確認をした時に、Yesとおっしゃった方にはチェッ クリストによって理解度を確認します。理解している場合はドナー登録申込をしていた だいて登録をする。理解していない場合はビデオやチャンスを配付したり説明をしたり して、理解していただいた上で、再度の意向確認をする。ビデオやチャンスを見て、嫌 だとおっしゃった場合は、登録はしないことになると考えています。  (2) の2点目として、今日、配付資料として「日本骨髄バンク登録申込書」というも のをお配りしていますが、これに自分で署名していただいて、これらの要件については すべて理解したということを受付の方が確認するという手順があるのではないかと思い ます。  3点目として、ドナー登録受付を行う方は、希望があった場合にはパンフレット、リ ーフレット、ビデオ等を活用して提供の内容について理解を深めていただく。登録をし てからでもこういうことはありえるのではないかと考えています。  以上、登録要件の緩和と、どういう手順になるのかという説明でございました。 ○齋藤委員長  ありがとうございました。  骨髄ドナープールの拡大の一つの具体的な方法として、登録要件の見直しについて説 明していただきましたが、もともと登録要件と提供要件が全く同じだったわけですね。 しかし時間の経過で変わりうるということで、登録要件を少し緩やかにしてもいいので はないかという考え方なんですが、これについてご意見はございませんか。  一方、早く30万人を達成したいために、意思のあいまいな方を組み入れても仕方がな いということで、そこは現実的に考えて、登録時点で隅々まで理解し、固い意思でなく ても後の説明などでだんだんそういうふうにもっていけばいいのではないかという考え 方だと思うんですが、いかがでしょうか。 ○小寺委員  骨髄移植推進財団でもこのことについてはいろいろ討議されておりまして、いま事務 局から新しい考え方でいろいろなご提案があったことはすばらしいことだと思います。  7ページに、コーディネートを始めてからドナー候補者の6割が中止をするとありま すが、これはいろんな理由があって、その時に「ちょっと」という方が多いんだと思い ます。そういうことを逆に考えて、間口を広くするというか、そういう案だと思うんで すが、これは一つの新しい考え方だと思い、私は評価したいと思います。  年齢については、ドナーの安全を担保することがこういった事業では基本にあるべき 姿勢ですが、50歳という年齢は必ずしも根拠のあるものではないと考えますと、50歳で 登録された方が数年間は提供の機会があるというのは、ドナーの健康チェックのシステ ムをきっちり置いておけば、ドナープールの拡大という点からも大事ではないかと思い ます。 ○齋藤委員長  チェックリスト方式という一つの案が4ページ、5ページに出ておりますが、これに ついて何かご意見はございますでしょうか。  席上配付の「日本骨髄バンク登録申込書」について、追加で説明していただけますか 。 ○永野補佐  「日本骨髄バンク登録申込書」は、ドナー登録を希望された方が最終的にドナー登録 をされる時に申し込みをいただく用紙です。現在、登録要件というものが提供要件と併 せて定められていますが、提供要件について受付で説明をするなりビデオを見ていただ くなりして、希望された方に理解していただいて、そういうことを全部承知された後で 、登録申込書に署名をいただくという流れになっています。  署名をしていただいた時に、その署名を受付の方が確認して、すべて登録の要件は満 たしたということを確認するためのものとしても機能しています。 ○石井委員  拡大するというのはいいことだと思うんですが、今でも途中でだめになるケースが6 割に達しているということですね。あいまいな理解で登録をしてしまうことが最終的に はドナーにならない人が増えてしまうということになるとロスも多いですし、患者さん のほうも期待を持っているのに途中でだめになってしまうとすると、残念なケースが増 えてしまうということの問題性が大きいと思います。  登録する人もよく理解しないでおいて、現実に自分が提供者として問われた時には、 すでに自分の骨髄を必要としている人がそこにいるという形で問われることになると、 厳しい選択を迫られることになると思うので、最初の時に十分な理解が必要ではないか という気がします。 ○齋藤委員長  一方、3年とか5年とか時間があるので、登録要件と提供要件が全く同じでなければ いけないのかという見方もありますよね。そのへんをどう整合性をとるのか。 ○石井委員  時間があるので、登録したあと、登録している人に情報が提供できるようなシステム が考えられないんでしょうか。いったん登録したあと、次はあなたが提供者の候補者に なりましたというアクセスではなくて、その間に十分な理解が進むような形で継続的な コンタクトができるといいと思うんです。 ○齋藤委員長  登録要件の緩和の考え方の裏側には、そういうこともあると思うんですね。それを具 体的にどのようにやるかということについてはいかがでしょうか。 ○永野補佐  現在、ドナー登録をされている方は18万人おられますが、骨髄移植推進財団で「バン クニュース」というものを年2回発行して、登録者に必要な情報を与えていると伺って います。 ○小瀧参考人  骨髄移植推進財団では年に2回、「骨髄バンクニュース」を発行させていただいてお りまして、住所が変わられたり、何か登録に支障のあるようなことがあったら連絡をし てくださいというインフォメーションを入れております。 ○齋藤委員長  骨髄提供の意義とか重要性とか、そういうことも、それを読んでいれば伝わるように なってるんですか。 ○小瀧参考人  はい。特集などを組みまして、登録いただいてるということはこういうことですとい うことで、患者さんからいつお声がかかっても準備をしていただけるようにお願いした いという情報提供を行ったりしております。 ○掛江委員  私も必ずしも登録要件がドナーの要件を満たす必要はないと思います。事務局でまと めて下さいました資料にございます体重の件とか家族の同意の件については登録の時点 で必要であるとは思わないんですが、石井委員も指摘されたように、「十分な説明を受 けて理解を」という部分が問題になるかと思います。どのくらいの情報が提供されて、 どのくらい理解されているかをチェックリストで確認するというご提案だと思うんです が、チェックリストがあまりにもシンプルになりすぎていて、これで確認できるのか。 このリストで確認できる程度の理解でいいとはなかなかいえないのではないかというの が気になる点です。 ○永野補佐  チェックリストのイメージですが、あくまでもいま私どもが考えているものでして、 これだけで必要なものをすべて満たしているとは考えておりません。あまりに多くなり ますと負担になってしまうのではないかという懸念がありますので、どの内容が必要で 、どの内容をちゃんと理解していただくべきかということを関係者と話し合いながら精 査してまいりたいと思っております。 ○齋藤委員長  4ページのフローの真ん中の「ドナー登録希望者の骨髄提供の内容及び要件について の理解の確認」というところをもう少し具体的にきちっと基準を決める必要があるとい うご指摘だと思います。 ○青木委員  私は緩和するのは結構だと思います。年齢については、18とか19の時に登録を受け付 けて、20歳から提供できるという形にすれば、もうちょっと広がるんじゃないかという 気がします。50歳以上に広げるということになると、相当慎重に健康被害の状況を調べ ないと、55歳ぐらいの人で末梢血の血縁者間での事故があったような気がするんですが 、そのへんはかなり慎重にやらないといけないんじゃないかと思います。 ○齋藤委員長  血縁者間における骨髄移植というのは50歳以上でもずいぶんやられてるんですよね。 今は上限の案が出てますけど、下ももっと引き下げるかということについても、骨髄移 植推進財団では検討されて、下は20歳という結論ですか。 ○小瀧参考人  年齢引下げにつきましては、18歳以上でも可能であるという結論に至っております。 一方、年齢拡大につきましては議論を慎重に重ねておりましたが、55歳まで提供可能で はないかということになったところです。ただ、健康上のいろいろな有害事象等のデー タを見合わせながら、採取施設の現場の先生方のご意見も踏まえながら、どういった体 制で55歳までの提供が可能なのかどうかを慎重に検討する必要があるということになっ ております。 ○齋藤委員長  いろいろな資料を出していただいて、この委員会で年齢のことについて議論したいと 思います。 ○青木委員  先ほど申しました18、19というのは、そこから提供できるということではなくて、事 前に登録を受け付けて、20歳になったらできるという形はいかがかということです。 ○掛江委員  脳死臓器移植の法律では提供年齢の下限は15歳に設定されていますが、そのこととの 整合性についてもしくは整合性が必要か否かについて今までどこかで議論がなされたこ とはあるんでしょうか。 ○齋藤委員長  この委員会では脳死臓器移植との関連での議論はなかったと思うんですが、移植対策 室で何かありますか。 ○永野補佐  脳死の場合は、臓器を提供するという本人の意思と、脳死判定に従うという意思を書 面により記していただく必要があります。書面による意思表示が何歳からできるかを考 えた場合、民法の遺言可能年齢を参考にして15歳と決めております。 ○掛江委員  脳死臓器移植の場合は15歳であっても自己決定ができるし提供することもできるとし ているのに対して、生体臓器である骨髄の場合は20歳にならないと提供できないという のはどういう根拠で決まったのか、今まで議論があったのなら教えていただきたいんで すが。 ○永野補佐  事務局としては今のところそういった議論はしておりません。 ○石井委員  脳死が死かというのはカッコに入れまして、臓器移植のほうは死後の提供ということ になるんですよね。こちらは生体からということなので、やっぱり違うのではないかと 私は思うのですが。 ○掛江委員  引き受けるべきリスクに違いがあるので、20歳のラインは崩さないということで委員 会内の合意があるのであれば、それはそれでいいんですが、もしないのであれば、もう 一度、提供年齢の下限について15歳なのか、18歳なのか、それとも20歳が適切で あるのか、議論をしてもいいのではないかと思ったまでなんですが。 ○齋藤委員長  ほかにご意見はいかがでしょうか。現在、議論の焦点は登録要件の見直しということ ですが、それを見直した時に、誰がどのような役割を果たすのかということは次に議論 があると思います。今までドナーに対する説明会とか広報に関してはボランティアの方 々の力が非常に大きかったわけですよね。今後それをどうするかということは次に議論 が出ると思います。  最初の議題については、登録要件と提供要件が全く同じでなくてもいいのではないか というご意見が多かったと思います。必要な見直しについては事務手続きも含めて事務 局で作業をしてもらうことになりますが、チェックリストはあくまでも案でして、さら にもっときちっとしたものにするという条件付きで、少し見直しをしてみようという流 れでよろしいでしょうか。  それでは次の議論に入りたいと思います。前回の委員会において、各都道府県単位で ドナー登録を推進する場合に差があるので、明確な目標値が必要という日赤からのご提 案がありました。  この点につきまして、事務局において考えをまとめましたので、説明をお願いします 。 ○永野補佐  資料3について説明させていただきます。「骨髄ドナー登録推進のための目標設定の 考え方」ですが、私どもが考えているものでございます。  1.検討のポイントですが、ドナー登録推進についての地域における取り組みの格差 を解消し、ドナー登録を拡大するために、地域においてどのような目標を設定し、その 目標を達成するためにどのような取り組みを関係者が行うべきかということについて検 討していきたいと考えています。  2ページに都道府県別ドナー登録者数の一覧表を示しています。  真ん中の「ドナー登録者数(平成15年度末)」の欄ですが、全国で186,153人で、各 県の登録者数を示しています。  今の登録要件が20歳から50歳までとなっていますので、国勢調査の20〜49歳によって3 0万人を各都道府県に割り振った場合にどのような数になるかということを試算して、現 在の累積の登録者数の乖離がどのようになっているかを示したのがB/Aの欄です。こ こを見ますと、下は30%から沖縄県は192.4%で、かなり格差があるというのが現状です 。新潟県、島根県でも100%を超えています。  予算上、新規のドナー登録者数は3万人と積算されていますので、これを人口で割り 振った場合、どのような達成状況になるかを見たのが右端の欄ですが、最近はかなり格 差が広がっています。特に沖縄県は新規のドナー登録者は430.6%になっています。  1ページに戻りまして、2.都道府県ごとの目標値作成の考え方ですが、次の3点の 要素に配慮して目標を設定する必要があると考えています。  1点目は、累積ベースでの各地域におけるドナー登録目標値をどのように割り振るか 。献血でも同じような考え方だと伺っていますが、全国ベースでのドナー数の目標値30 万人を、各都道府県別の骨髄提供年齢(20歳以上50歳以下)人口により配分するという 考え方です。  2点目は、全国ベースでのドナー・プール30万人の目標を達成するために、今後、各 地域でどのくらい獲得していかなければならないか。30万人のうち現在は19万人ほど獲 得されていますので、あと11万人をどのように獲得していくかということを目標値を設 定しながら考えていくということです。  3点目は、各地域のこれまでの実績を考慮する。累積ベースで100%を超えている県が ありますので、これらの県は目標を設定したことによって逆に頭打ちになっては困りま すので、このへんも加味していきたいと思います。  目標を設定する地方自治体のレベルとしては、指定都市、中核都市等の扱いについて も検討していきたいと思います。  3.地域における関係機関の連携の確保です。  昨年12月に健康局長名で出した「骨髄移植の指針」というものがありまして、その中 で、各都道府県ごとに関係機関による連絡協議会を設置して連携を確保してくださいと いう努力規定を置いています。連絡協議会が設置されている県を私どもで調べましたと ころ、34都道府県に聞いた中で13都道府県において設置されていました。  連絡協議会の中で議論されている主な事項としては、ドナー登録会を開催する時にど のような体制でやっていくかという議論はされてるんですが、新規でどのくらい獲得す るかという大局的な議論はなされていないようです。私どもが開いています担当者会議 などで、なんとか都道府県が中核になって目標を設定しながら取り組みを進めていただ けないかと考えています。  以上が目標設定の考え方の簡単な説明でございます。 ○齋藤委員長  ありがとうございました。  登録推進のための目標値を設定して、関係者がどのように連携したらよいかというこ とですが、2ページの表でも明らかなように、すでに200%というところもあるわけで、 こういうところの目標値の設定の仕方は難しいですよね。上限を決めると、そこで終わ ったということでは全体としては増えないし、そのへんについていかがでしょうか。 ○石井委員  水を差すようなことをいって申し訳ないんですが、登録目標値を設定するというのは どうかなと思うんですね。登録会の開催数とか、そういう形の目標値のようなものを設 定して、各都道府県でできるようにしたほうがいいと思うんです。登録要件の緩和とあ わせて、十分な説明もないままに、ともかく数値目標に達するためにという登録がなさ れていってしまう危険性を感じるんですね。セールス目標みたいな形で作って、そうい うことをすることが果たしていいのかなという気がします。 ○齋藤委員長  沖縄県は突出してますよね。人口の一番多い関東圏で40%以下というところがかなり ありますね。それぞれの地域におけるボランティアの方の熱心さとか、地方自治体の関 与の程度にもよると思うんですが。  石井委員から目標値は設定しないほうがいいのではないかというご意見が出ましたが 、いかがでしょうか。 ○石井委員  設定する目標値が違うんじゃないかと思うんです。登録数じゃなくて、登録機会を増 やすという目標値のほうがいいのではないかという趣旨です。なぜこういう差になって るのかという原因を見ると、機会が少ないということがあると思うんです。 ○齋藤委員長  これだけの差が出ている原因として、財団として何か説明はありますか。 ○小瀧参考人  沖縄県では血液センターのご協力が非常に大きいと聞いております。ほかの都道府県 においても、行政の担当の方が替わられても、行政の協力が継続的に担保されていると ころでは登録会が継続して行われているという背景があります。バンク関係だけではな く、血液センターとか行政の方々の理解度がどのくらいあるかということに数字も連動 しているような傾向があります。 ○西川委員  20年ほど前に私は沖縄中部病院に一週間ほど習いに行っていたことがあるんですけど 、アメリカ軍と沖縄が完全に一体化したような医療運営が行われていて、その当時から 短期入院というシステムができあがってましたから、県としての一つのシステムがもの すごくうまくいってるなという感じがしました。輸血も骨髄移植についてもオーガナイ ゼーションのとり方として、基幹病院の仕組みが最もわかりやすく、しかも運用されて きたところなので、そういうことがあるのではないかという気がします。  もう一つは、沖縄の方というのは連帯意識が非常に強いんですね。先ほど掛江先生が おっしゃった部分に関係すると思うんですが、20歳という設定をしてしまうと、骨髄移 植というものが存在して、それが人を救うんだという話を中学校や小学校でやって、熱 い心にすることはできないわけです。採取は20歳からでいいと思うんですが、そういう ことが可能であって、それがいろんな方の命を救うんだということはもっと早いうちか らやっていくには、石井先生がおっしゃるような違う目標値というのがあると思うんで すね。  目標値は30万で、今は18万だから、あと12万ですという話はおかしいと思うんです。 ドイツでは登録が200万ですから、日本は底辺なわけです。30万を35万にするという話で はなくて、目標値はもっと高くていいんじゃないかと思います。どこで骨髄移植の話を させていただけるかというのが一番重要で、若い時ほど連帯意識が芽生える可能性があ るし、それ自身、情操教育になるわけですから、そういう機会を増やしていただきたい という気がします。 ○齋藤委員長  30万というのは、日本人のHLA型でやって、根拠はあるんですけどね。それだけ同 質だということだと思うんですが。 ○掛江委員  私も石井委員の意見に賛成です。30万人を目標とするというのは医学的な目標として 構わないと思うんですが、登録推進活動としては、説明を聞いてくださった方が何人に 達することを目指す、そのためにどういう会を何回開くかという計画を立てる。登録で はなくて説明を聞いていただくところに目標を設定したほうが筋としてはいいのかなと いう気がします。 ○柴田委員  現在のやり方としては、献血会場で説明会場を別途設けてやっていくというやり方で 、大阪府の経験では、献血者数の10%前後がそこで登録されるという状況です。目標設 定値を数にするのか、それとも回数にするのかというのは、よく説明をすれば1割前後 の方に登録してもらえるということを考えれば、回数を増やすのが一番いいのではない かと思います。要件の緩和と今の話とは結びつかないと私は思っています。 ○青木委員  1割ということは、12万人増やすためには120万人の献血者あるいは一般の国民にアピ ールするという目標を新たに作るということですね。  西川先生のお話の、小さい時から認識を持たせるというのは非常に重要なことだと思 います。献血についても同様のことが言えて、小学校教育からやってくれという話をし てるんですが、ドナーになってみんなの役に立ちましょうという教育と併せて骨髄の啓 発というのを同じような枠の中でやっていくべきだろうと思います。 ○齋藤委員長  目標値を登録者数ではなくて説明対象に置き換えてはどうかというご意見がだいぶあ りますが、南委員は何かありますか。 ○南委員  一人でも多くの方に説明をということは努力として必要なことだと思いますけど、登 録を増やすという目標があるわけですから、それを数として競うかどうかは別として、 どのくらい登録したかという目安は必要ではないかと思います。その目標に達しないか らどうこうということを言いだすとまずいと思うんですけど、説明を聞いてくれる人の 目標値と別な意味合いもあるかなという気はします。 ○齋藤委員長  表と裏みたいな関係で、何かは必要ですよね。 ○小寺委員  すそ野を広げることが大事であって、それが本当に提供してくださる方の拡大につな がっていくんでしょうが、比較的短い間に有効ドナー数を30万人にすることも実際に必 要です。先ほどの緩和条件でも18歳から登録というのはすばらしいと思うんですが、実 際に提供できる方は自分で意思決定ができる20歳後ということになりますと、20歳から5 5歳までを30万人にすることは常に考える必要があるわけです。この数字は有効ドナー数 を早く増やす上での一つの戦術として、それを考える上では意味のある数字かなと思い ます。  実際に提供されたドナーの分布はどうなっているのかという資料は出ると思うんです 。これは日本全国の仕事ですからいいんですけど、採取に赴くまでに利便性の高いとこ ろのドナーと、なかなか採取施設まで行けないというドナーもいるわけで、実際に提供 されたドナーのパーセンテージはちょっと違ってくると思うんです。有効な提供してく ださる方を確保するという点では、このデータも参考になるのではないかと思います。 ○小澤委員  ドナーの年齢の話が出たんですが、効率的にということになった場合、年齢によって 提供されてる方のディストリビューションがどうなのかということをまず見ることは実 際的ではないかと思うんですね。20歳ぐらいの方がどの程度提供しているのかというこ とも調べる必要があるのではないかということと、効率性から考えますと、そういう方 々に焦点を絞って説明する機会を増やすことも考えられるのではないかと思います。 ○麦島委員  先ほどから数値のことが出てますけど、一般の人に具体的なことを知らせる必要はな いとしても、関係者は知っていてもいいのではないかと思います。  34都道府県中13都道府県に連絡協議会が設置されているということですが、そういっ た都道府県では具体的に成果が上がっているのかどうかお聞きしたいと思います。 ○齋藤委員長  連絡協議会が設置されている13都道府県とドナー登録者数の関係というのはわかりま すか。 ○永野補佐  これはヒアリング調査をしただけで、そのへんの関係は見てなかったんですが、全都 道府県が集まった段階で、そちらも精査してまいりたいと思っております。 ○齋藤委員長  麦島委員がおっしゃったような詳しいデータは財団にはあると思うんですね。  関係機関の連携のところに話がきてるんですが、ドナー登録推進のために地方自治体 も財団も日本赤十字社も医療関係者、もちろんボランティアの方も努力しているわけで す。今日は日本赤十字社からも参考人としてご出席いただいておりますので、何かご意 見をいただけますでしょうか。 ○沼田参考人  先ほど沖縄のことが出ましたので、沖縄の状況について少し説明させていただきたい と思います。財団の方から血液センターの協力が大きいというお話が出たんですが、私 ども赤十字の血液センターは骨髄ドナー募集についても全国で同じ活動を行っておりま す。あるセンターがものすごく協力して、ここは全然しないということはございません 。  沖縄の場合は非常に熱心な骨髄ボランティアの方がいらっしゃって、毎日のように血 液センターの献血会場にいらしてるそうです。血液センターとしては同じことをやって るけど、その方が毎日献血会場に来て、献血者に「骨髄ドナー登録はいかがですか」と 呼びかけてる。それで1日1人とか2人とか登録していただいて、毎日やってるから積 み重なって、これだけの実績が出ているということだそうです。  目標値の設定につきましては、前回、ここで参考人として説明させていただいた時に 、そういう考えもできますよということをお話しさせていただきました。血液センター は年間目標、月間目標、1日の目標を立てて輸血用血液を安定的に供給してるんですが 、それはノルマではないんですね。努力目標ということで、職員全員が納得して、その 目標に向かって一丸となってやる。ノルマですと数さえ集まればいい、骨髄を提供する 意思なんて関係ないんだから、あなたやってよという形になってしまいますので、そこ は明確な区分が必要だと思います。  目標値を立てますと、それに向かって誰が責任を持ってリーダーシップをとって達成 していくのか。今回、骨髄ドナーの目標値を仮に立てたとしても、その目標を達成する ために誰が責任を持つのか。国が持つのか、都道府県が持つのか、財団が持つのか、赤 十字が持つのか、そのへんを明確にしないといけないと思います。 ○白戸参考人  ドナー確保の目標値があってもいいし、説明会の開催目標値があってもいいし、どれ か一つということではないと思うんですね。いろんな目標設定があって、それに向けて 皆さんの合意を得ながら進めていくということだと思いますので、これ、あれというふ うにこだわる必要はないだろうと思っております。  コーディネートの過程で6割の方が辞退されるということですが、ある程度のご理解 を得てから登録していただかないと、確実な登録者の確保というのは無駄になる可能性 があるのかなと感じでおりますので、そのへんは少し議論をしていただいたほうがよろ しいのではないかと思います。 ○齋藤委員長  6割というのはいろんな考え方があると思うんですね。登録時点で1カ月後とか2カ 月後に提供のチャンスがあれば、もう少し少ないかもしれないですよね。数年たってる ということも一つの原因じゃないかと思います。  複数の関係者のうち誰がリーダーシップをとって推進するかですが、今まではボラン ティアの方に大きな比率でご努力いただいてるんですね。ボランティアに頼るというの はシステムとしては不安定なところもあるので、ボランティア以外の地方自治体なり日 本赤十字社なり財団なりがリーダーシップをとってやるという方向のほうが安定性はあ りますよね。そのへんの役割分担についてはいかがでしょうか。  厚生労働省から各都道府県にお願いするというのは指針の形で出てるんですか。指針 というのはどの程度の効力があるのかよくわからないんですが。 ○永野補佐  指針というのは拘束力のあるものではありません。関係機関が連携して連絡協議会を 設置してくださいということも指針に書かれていると先ほど申しましたが、そういう努 力をしてくださいというだけで、どこが責任を持って何をしてくれということまで拘束 力があるものではありません。 ○中林委員  先ほどの沖縄の話ではないんですけど、人を増やすには地域密着型というか、そこに 密着した人ほど影響力が強くて、上にいけばいくほど国は物は言っても実際には人は動 かないので、地域に密着した人に責任というか、こうしてくださいという形があったほ うが効率的にはいいのではないか。小寺先生のようになるべく早い時期に達成したいと いうことであれば、速効性のある方向を行かなければいけないのかなと考えます。 ○青木委員  法律があるわけではないので、どこが何をする責任があるかというのがわからない部 分なんですが、一番の責任は厚生労働省だと思うんです。骨髄移植を推進しましょうと いってやってるわけですから。指針じゃなくて、権限の範囲をもうちょっと強くして、 各県に目標値を与えて、それを強く指導する。国がリーダーシップをとって、都道府県 に具体的に動いてもらうというふうにしないと、目標達成にはなかなか至らないと思う んですね。  血液の場合はおととし新法ができて、国の責任、赤十字の責任、採血事業者の責任、 製造事業者の責任が法律で決まったわけですが、それまでは同じような閣議決定ひとつ で、あいまいな部分があったので、非常に難しかったわけです。同じようなことがこれ でも起きてると思うので、国の強い指導力を発揮していくしかないんじゃないかと思い ます。 ○齋藤委員長  おおよそのご意見は出たと思いますが、今までのご意見をまとめますと、各都道府県 で取り組みに格差があるという現状ははっきりしているということと、努力目標のよう なものを作って、各都道府県でそれぞれの関係者に努力していただく。連携の仕方につ いては事務局で検討していただいて、もう一度ここに出していただくということでよろ しいでしょうか。売上げの目標ではなくて、説明の目標でもいいんですが、具体的なも のを作るということですよね。 ○石井委員  反対するわけではないんですが、3のところが重要で、先ほど赤十字の方がおっしゃ ったように、そこなくして目標値だけというのは問題で、目標を達するためのというと ころをきちんとした上で目標値を出していただきたいと思います。 ○齋藤委員長  そういう条件付きでお願いしたいと思います。  今までドナー登録者30万ということを議論してきたんですが、もう一つ重要なことは 、コーディネート期間を短縮するということが大事だと思います。  9ページの横の表を見ていただきたいんですが、コーディネートを開始して移植に至 るパーセントが出ています。  上の表ですが、15,215件のコーディネートをして、実際に移植までいったのが723件、 4.8%なわけです。この中にはドナー理由というのが6割ぐらいあるんですが、患者さん の理由で、病状が悪化したとか死亡されたとか、いろんなことで移植が受けられなかっ たということがあります。コーディネートを短縮するという努力を財団としてはこれま でやってきておられると思うんですが、その一環として現在進んでおります「100日プロ ジェクト」について小瀧さんに説明をお願いします。 ○小瀧参考人  資料4をご覧いただきたいと思います。現在、骨髄移植推進財団では「100日プロジェ クト」というものを行っております。患者さんのニーズに合ったコーディネートを展開 していこうということで、コーディネート期間をより一層短くすることが内外ともに求 められておりました。  左側の棒グラフは、患者さんが患者登録をなさってから取り消しまでの日数と件数を 表しています。登録から100日以内で登録を取り消さざるをえなかった患者さんがまだま だ多く、中間色のところが容体悪化のために登録を取り消された件数ですが、この方々 の救命をより一層推進していくことを含めまして、100日プロジェクトを立ち上げました 。  私たちはアメリカのNMDPの日数をよく比較対照としておりますが、向こうでは登 録から移植までが120日前後というデータがあります。現在、財団でのコーディネート期 間は登録から移植まで175日前後になっていますので、50日ほどの日数をなんとか短縮し て、100日前後で移植まで結びつけたいと考えています。  10項目の施策をあげておりまして、簡単に説明させていただきます。2ページをご覧 いただきたいと思います。左端に施策案が書いてありまして、次にスケジュール、短縮 効果の見通し等が書いてあります。  1.迅速コースの設置。特定の条件や状況下にあって早期に移植を希望する患者さん のニーズにこたえるものです。これは8月16日から申請受付を開始しますが、対象ドナ ーの方々に患者さんがいつごろ移植を希望されているので、それに合ったスケジュール を立てていただきたいけど大丈夫かということを確認しながら進めていきます。  2.初期行程での有効的なドナー督促の実施。コーディネートの初期段階においてド ナーの方にドナー候補に上がりましたとお手紙を出すんですが、そのお返事をいただく 督促期間を短くしようというものです。これは本年3月中旬から行っていますが、毎月 1,200件のお手紙発送者に対して1日の短縮効果がみられました。たった1日という見 方もありますが、1,200人全体で1日ということで、少し効果が出ているのではないか と思っています。  3.確認検査判定結果の有効利用。現在はドナーが候補に上がるたびにHLAタイピ ングを実施していますが、以前にHLA−DNAタイピングを実施している場合は、そ のデータをもって次のステップへ進めるようにするということです。現在、検討を開始 していますが、これが今回の施策の中で短縮効果が一番見込めるのではないかと踏んで おりまして、最大30日ほどの短縮効果を見込んでいます。ドナーの方との検査の日程調 整が不要になりますし、検査が不要になりますので、効果としては大きいものとして見 込んでいます。  4.最終同意面談と術前健診の同日実施。今まで最終同意面談と術前健診を別の日に 行っていましたが、これを同日にすることで1日で済みますので、短縮効果を図りたい というものです。これも開始済みで、目立った効果はみられておりませんが、ほぼ同等 の効果が上がっています。  5.一施設あたりの骨髄採取件数のUP。2月に先生方がお集まりになる研究班会議 で、採取を今までより多く受けていただくようにお願いしました。特に関東地区なんで すが、今まで引き受けていただけなかった施設とか数が少なかった施設については増加 がみられて、少し解消しているようです。ほかの地域にはあまりないんですが、関東エ リアについてはドナーの候補数も多く、採取施設が不足しているという状況があり、こ のような施策を立てたものです。  6.登録ドナーへの広報活動強化。ドナーの方々へ継続的なアナウンスをして、リテ ンション効果をねらったものです。「バンクニュース」を年に2回発送していますが、 ここで特集を組んだり、何かあった場合は連絡していただきたいということで、登録し ていることを常に意識をしていただく方策を考えるということです。7月に「バンクニ ュース」を発送しましたが、今回は特集として、より具体的なコーディネートの流れの 説明とか、ドナーとして都合が悪く、すぐに対応していただけない場合は連絡がほしい ということを強調した特集を組んでいます。次回は12月に発送を予定していますが、継 続的に続けていきたいと考えています。  7番以降については多くの問題をはらみますので、すべて検討という形になっていま す。  7.並行コーディネートドナー数のUP。現在、1コーディネートで5人のドナーを 並行して進めることができますが、この数を10人、20人に増やしてみてはどうかという ものです。  8.ダブルワークアップ。現在はドナーを1人に絞り込んだ時に最終同意面談確認と いうのを行いますが、これを2人で行おうというものです。ドナーにとっては最終決断 のところで、提供するかどうかわからないような状況の中でそういったことを相談させ ていただくことがいいのかどうかという議論がありましたので、慎重に検討することに なっています。  9番、10番は財団内だけでは解決できないような大きい案件です。  9.確認検査ならびに採取に特化された施設の設置。先生方は非常にお忙しいので、 確認検査を迅速に受けていただけない。採取施設も月に1件か2件お受けいただいてい ますが、現場の先生方としてはそれが精いっぱいであるという現状があります。これを 集約させることによって効率化が図れないかというものです。  10. 調整医師の役割見直し。お忙しい先生方の役割を少し見直すことによって解消が 図れないかということです。  このような施策を約半年間にわたって●のところを進めてきました。その結果、2003 年の1月から6月までの患者さんの登録から移植までが176日です。2004年の上半期も17 6日で変わっておりません。ドナーの方が候補に上がってから提供に至るまでの日にちに ついては2003年の上半期は150日だったものが2004年の上半期は147日となり、3日間の 短縮効果がみられました。  以上、簡単ではございますが、100日プロジェクトについて説明させていただきました 。 ○齋藤委員長  ありがとうございました。  いろいろなステップで、少しでも短縮するための施策がすでに始まっているものもあ りますが、ご意見はいかがでしょうか。  1番の迅速コースですが、登録された患者さんでも急がないという方はどういう方な んですか。すべてが迅速コースを希望されるような気がするんですが。 ○小瀧参考人  いま行っている登録はそのままでして、それよりも急がれるという方について、この コースの申し込みを受け付けるということです。 ○掛江委員  誰もがより早く移植をしたいのではないかと考えると、すべての方が迅速コースを希 望されると思うんですけど、従来コースでも構いませんという登録をされる方はどうい う状態の方なんでしょうか。 ○小瀧参考人  このコースを設置するにあたって、どういう方が迅速なのだろうかということを検討 しました。その時に病態がどのくらいかという数字を見てみたんですが、急がれる方は どういう状況であっても急がれるのであろうということで、申請があれば受け付けるこ とにさせていただきました。  ドナーの方を1人に絞り込む行程のところでドナー選定という行程があります。その 時にピンポイント調整といって、20日後、30日後に移植を希望するという方々の割合が 全体の6割ぐらいになっていますので、より短い日にちで希望しますという方が全体の 6割ぐらいと考えています。残りの4割の方は、ドナーの方が絞り込まれても、お急ぎ になって移植を希望されないという表現は正しくないですけど、40日後でも50日後でも 移植は大丈夫ですといった方々も実際にはいらっしゃるということで、こういう設定に なりました。患者さんがすべて急がれる状況ではないというのが実態です。 ○小寺委員  少し補足いたしますと、例えば骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病でグリベックを 投与しながら臨床効果を見ている方とか、再生不良性貧血で免疫抑制剤の治療を行い、 その効果を見ている方とか、今の治療がうまくいかなかった場合は移植にということで 登録をされる人たちがいます。その人たちは必ずしも迅速コースでなくてもいいという ことになりますので、むしろ半年ぐらいの余裕をもったほうがよいという考え方の施設 があり、そういう患者さんがいますので、そういう方たちは迅速コースの対象にはなら ないと思います。 ○小瀧参考人  ここ1、2年の動きかと思いますが、移植ソースとしてさい帯血というものが出てき ております。さい帯血移植をされたあと骨髄移植を考えておられるという事例がパラパ ラありまして、そういう方々は移植後の経過をご覧になったあと、本当に骨髄移植が必 要なのかどうかを見極めたいというニーズがあるというのも最近の特色かと思われます 。 ○齋藤委員長  170日を100日にするというのは大変ですよね。この中で最も短縮効果の多い、最大30 日短縮という確認検査判定結果の有効利用というのをもう一度説明していただけますか 。どうして30日短縮できるのか。 ○小瀧参考人  現在、ある患者さんの候補に上がったドナーの方々はすべてHLA検査の再検査を行 っていただいています。例えば2週間前にコーディネートが終了しドナープールに戻っ たドナーの方が、今日、新しく違う患者さんのドナー候補に上がりました。このドナー の方は2〜3週間前に検査をしたにもかかわらず、もう一回検査をしていただきます。 その日程調整がありますし、検査結果が出るまで待たなければなりません。2〜3週間 前にやった検査結果を有効に利用して、もう一回検査をしないでいいようにしようとい うのがこの施策です。検査をしないで、前回出ていたデータで検索をし、主治医の先生 がそれでよしということになったら、検査をしないで次のステップに進めるようにしま しょうということで、その期間が30日ぐらい短縮されるだろうということです。 ○齋藤委員長  それは例外的じゃないですか。すべてそういうドナーがあるとは限らないと思うんで すけど。 ○小瀧参考人  コーディネート開始になったドナーの8%から9%の方々がここの対象になるという 試算です。 ○小寺委員  財団で100日プロジェクトにもかかわっている立場の者として、2ページの5、7、9 についてちょっと補足いたします。5番ですが、患者さんの登録から移植までの日数が かかる要因は必ずしも財団のシステムそのものだけではなくて、移植病院の都合、採取 病院の都合ということもあります。特に採取病院の都合がつかなくて1週間、2週間と 採取が延びる、従って移植ができないということもあります。そんなことから特段のご 協力を願いたいということを採取施設にお願いしていくということです。  先ほど地域差ということを申し上げましたが、年間700件の移植のうちの3分の1のド ナーは首都圏の方ということがあるわけです。特に首都圏において採取施設を充実させ ることは非常に効果が大きいわけでして、採取に特化したというか、そういった施設を できればお願いしていきたいということです。  7番ですが、今まで移植を受けられた方は10人コーディネートして1人が提供してく ださるという数字になっていますので、5人しか並行コーディネートができないと、そ のサイクルを2回まわさないとドナーに当たらないということになります。だったら最 初から10人でスタートしたほうがいいじゃないか、そうすれば必ずそこから1人は得ら れるのではないか、得られる確率が上がるだろうということです。  9番は5番と関係するんですが、確認検査という検査そのものにも時間がかかります 。これも確認検査に特化した施設をお願いする。何も見返りなしにお願いするというこ とで、なかなか難しいんですが、もともと100日プロジェクトというのは、当面、お金を かけないで内部の人員だけでやろう、あとはお願いでいこうという計画なもんですから 、できるだけやって、どうしてもできないということが出てきたら予算措置その他も考 えて関係部署にお願いしていく。そういう考えでやっております。 ○青木委員  前回か前々回、HLA検査の方法を変えるということがありましたね。それはまだ実 施されてないわけですね。 ○小寺委員  まだ検討段階です。 ○青木委員  それは今の登録者を4桁で検査し直すという、そうなってくると3番はうんと短くな るわけでしょ。どのくらい短くなるんですか。 ○小寺委員  確認検査というのは大きく分けると二つあって、HLAのタイピング検査と、もう一 つはドナーの健康診断があります。HLAがDNAタイピング化されると、その人固有 の情報になります。今の血清タイピングですと、2人いたとして、そのうちのどちらが DNAレベルまで適合してるのかわからないもんですから、そこで検査が必要になりま す。DNAタイピング化されてますと、最初から決めてかかれますので、その点では非 常に有効なコーディネートが開始できることになります。 ○齋藤委員長  米国の場合は平均120日という数字がありましたけど、米国と日本のシステムはどこが 違うんですか。 ○小瀧参考人  日本の場合はファーストコンタクトが手紙になりますけど、アメリカの場合は電話で 直接相談することがあるという違いはあります。あとの流れにおいては大きな違いはあ りません。採取ができる施設の数は日本とあまり違わないんですが、日程調整はあまり かからないで提供に至っているようです。 ○小寺委員  いつでも採取してくれるわけでしょ、日本は。 ○小瀧参考人  そうですね。今回の迅速コースは、ドナーの方にスケジュールを合わせていただける かどうか、県を飛び越えてでも検査に行っていただけるか、提供のために入院していた だけるかどうかということもご相談していくことになります。例えば東京都内にお住ま いでも、東京都内の採取施設はいっぱいですので、埼玉、千葉、茨城の採取施設に2〜 3時間かけて行っていただくことが可能かどうかということをご相談していくことにな ります。  迅速コースの効果測定の項目を作成していますので、どこかでご披露できればいいか と思いますが、見方は二つありまして、患者さんの登録から移植されるまでの期間がど れだけあったかという見方と、ドナーの方が候補に上がられてから提供に至った日数が どうであったか。バンク事業としては患者さんの登録から移植までの日数を全体として 見ますが、このコースの見方としては、二つの見方で見ていきますということです。 ○中林委員  100日プロジェクトというのは大変興味深いんですけど、ドナーの方がよくなる率を目 的とすると、それに関係するのは日数であったり、どういう機序で上がってきた人であ ったりとか、いろいろなものを解析していくと、どういう方が最も効率的であるという ことがわかるのではないかと思うんです。そういうものがわかれば、そこをより強化し ていくという方法が速効性があると思うんですが、そのへんの検討はどうなってるんで すか。 ○小瀧参考人  ご指摘のとおりだと思っております。迅速コースでご提供いただいたドナーの方がど ういう状況で登録なさっていて、どういう状況で進まれてきたかということは丁寧に解 析していく必要があると思っています。登録の時にはどういうアナウンスが必要で、ど ういう状況で広く公募を行っていくかという参考になるかなと思っています。 ○中林委員  年齢とか、採血の時に一緒に来た方が多いとか、いくつかの因子があろうかと思うん ですが、そういう因子分析をしていくと、もう少し効率的なことができるのではないか という質問なんですけど。 ○小瀧参考人  年齢については、提供いただいた方々のデータを見ますと、20代、30代、40代のうち 、40代前半の方が提供に至る率が一番高くなっています。20代の方は家族の同意が得ら れなかったとか、ご本人だけでは決めにくい環境があるようです。30代後半から40代の 方々についてはご両親も高齢で、ご本人の意思だけで決められるという要因があるのか なと思っておりますが、中林先生がおっしゃったようなことも今後は十分に解析してい きたいと思います。 ○柴田委員  私は実際にタッチしてないのでわからないんですが、さい帯血移植と骨髄移植を同時 に希望される主治医の方はありますか。今までは、さい帯血は骨髄移植のバックアップ だという考え方だったんですが、それがだんだん変わってきてるんですよね。そのへん がどうなってるのかという傾向はまだわかりませんか。 ○小瀧参考人  登録の段階で、他の登録をなさっているかという項目は設けておりませんので、わか りません。患者さんが登録を取り消された時の理由として、治療方針変更という項目が ありますので、その中にさい帯移植という項目を入れて、チェックできるようにしてい ます。もうちょっとすれば、途中でさい帯血にスイッチされた方がどのくらいいらっし ゃったかという数字は拾えるかと思います。 ○齋藤委員長  それは時期的に待てないということだと思うんですね。さい帯血にスイッチするのを 。 ○青木委員  移植の3分の1が関東ブロックであるということですね。調整医師のスケジュール等 が難しいという話を聞いたんですが、3分の1も関東であれば、医師を1人採用して検 査専門でやったほうが早いと思うし、それが患者さんのためになるんじゃないでしょう か。 ○小寺委員  私もそう思います。私は関東ではありませんが、関東地区の移植認定病院の多くは大 学病院です。大学病院の皆さんは業務が多様なんですね。地域によっては認定病院の主 力が一般公的病院であるところもありますが、お願いしてから採取までの時間は公的病 院のほうが格段に短いです。関東地区についていうなら、公的病院で特別にお願いする 病院を1、2増やすだけでずいぶん効果が上がると思います。 ○齋藤委員長  これは非常に多くの分野の方が関与するので、それぞれができることをやってジワジ ワと短縮するということになると思います。 ○掛江委員  今の調整医師の問題は、専門の医師を置く、もしくは専門的に契約している施設をき ちんと作ればずいぶん改善できるということだとすれば、そういう新しい制度を立ち上 げるのはバンクの業務ではないと思うんですが、どこが責任をもって検討するかという のを確認しておかないと、どこにも検討していただけないという状況になるのではない かと不安に思ったんですが。 ○齋藤委員長  そのへんはいかがでしょうか。 ○小寺委員  関係各部署ということなんですが、実際に全体を見ていろんな戦術を立てることがで きるのは骨髄移植推進財団だと思うんですね。移植病院、採取病院というのは提携して るだけですから、そういうところについては関連学会と協議の上でやっていくことにな ると思います。全体の進捗管理については、今のところ現実的にそれができるのは骨髄 移植推進財団ではないかと思います。 ○齋藤委員長  全般を通じてご意見、ご質問はありますでしょうか。よろしいですか。  コーディネートの迅速化については関係機関と連携して検討していただいて、もう一 度報告していただくことにしたいと思います。  事務局から最後に何か連絡はありますか。 ○永野補佐  次回の委員会につきましては委員の皆様方の日程を調整させていただいて、決まり次 第、文書でご連絡をさしあげたいと思っております。皆様におがれましてはお忙しいと ころ恐縮ですが、日程の調整につきましてご協力をよろしくお願いいたします。 ○麦島委員  さい帯血バンクの件で申し上げたいことがあります。5年前にさい帯血を提供した5 歳の患者さんが白血病になられたことが判明しました。幸いなことにそのさい帯血は使 われてなくて保存されてるという状況なんですが、同じような事例が東京さい帯血バン クの中であと2件あります。我々小児科医なもんですから、患者さんのお父さんやお母 さんにさい帯血を提供したことがあるかどうかということをお伺いしないと、漏れてし まうということがあるので、小児科学会とか小児血液学会に質問をする時に、そういう 形にしていただきたいということを提案していただく必要があるんじゃないかと思って るんですが。 ○齋藤委員長  5年前にさい帯血を提供した赤ちゃんが白血病になって、それは使われてないことは 確認できた。それは戻ることはできるわけですよね。今のシステムでは。 ○麦島委員  登録を取り消すことになります。さい帯血バンクの事業が始まってから4年半ですか 。4歳何カ月の患者さんに白血病が出た時には、さい帯血を提供したことがあるかどう かを家族に聞いていただかないと、わからないで、そのままいってしまう可能性がある んですね。 ○中林委員  それに関しては、この前、さい帯血からドナー由来の白血病が出た時に同時に検討し まして、小児科の先生方にお聞きすることを広報しようという形に、さい帯血ネットワ ークではなりました。 ○麦島委員  できるだけ早急にやっていただいたほうがよろしいかと思います。 ○青木委員  子どもだけじゃなくて、提供した母親、父親が白血病になった時も連絡をもらえば、 そのさい帯血も外す必要があるのではないかと思います。 ○齋藤委員長  それは科学的根拠があるかどうかですよね。 ○西川委員  万一、提供した子どもから出たとしても、親に関しても知らせるかどうかについては 、どのくらい科学的根拠が現時点であるかということがディスカッションされて、それ は果たして知らせるべきかということが大きな議論になったくらいですから、結果的に は知らせないという方向になろうかと思います。 ○齋藤委員長  学会を通じて全国に情報提供するということでしょうね。 ○麦島委員  何か通知があって、それをもって理事会なり小児血液学会なり小児科学会に、こうい う形で周知徹底してほしいというアナウンスをする必要があると思うんです。 ○齋藤委員長  それはさい帯血バンクのほうからね。 ○中林委員  4つか5つの学会に、今までこういったことがあるということをご報告するようにな っています。 ○齋藤委員長  それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがと うございました。                                    −了−                     問い合わせ先:健康局臓器移植対策室                     担当者   :齋藤・永野                     内線    :2362・2366