04/07/06 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会第19回議事録         障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会                   (第19回)           日時:平成16年7月6日(火)15:00〜18:00           場所:厚生労働省17階専用第18会議室  江草座長  ただいまから第19回の障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会を開きた いと思います。とても暑い今日でございますので、上着を着ていらっしゃる方はよろし ければおとりいただいて、少し楽にして議論を進めていきたいと思います。どうぞよろ しくお願いいたします。それでは事務局から本日の委員の出欠状況、進め方、資料など についての御説明をいただきたいと思います。  高原課長  本当にお暑い中をお集まりいただきまして御礼申し上げます。本日の出欠ですが、大 谷委員、大森委員、森貞述委員が御欠席です。竹中委員、佐藤委員、有留委員は少し遅 れておられるようでございます。  本日の傍聴ですが、今回も多数の御希望をいただいておりますので抽選をさせていた だいております。また、小島局長は4時半から官邸におきまして拉致問題の会合がござ いますので、中座をさせていただきますので、予めお知らせさせていただきます。  次に本日の進め方でございますが、本日の議題としては、前回たたき台としてお出し しました議論の整理(案)につきまして、委員の皆様の御意見をふまえて修正を加えた ものを事務局で作成をいたしましたので、これをもとに引き続きの御議論をお願いした いと思います。  次にお手元にお配りしている資料の確認をさせていただきます。資料1ですが、これ は全体的な議論の整理(案)です。それから資料2は、国庫補助基準及び長時間利用サ ービスの在り方に関する議論の整理(案)です。そして資料3は前回第18回の検討会の 議事概要です。また、大熊委員、大濱委員、中西委員から予め資料の御提出をいただい ておりますのでお配りしています。資料の不足等ございましたら事務局にお申しつけく ださい。  江草座長  ありがとうございました。それでは議題の1、これまでの議論の整理及び国庫補助基 準の在り方についてから始めたいと思います。事務局から御説明をいただきたいと思い ます。  宮本補佐 それでは資料の1から朗読をさせていただきたいと思います。  (資料1 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する議論の整理(案)読み上げ )  (資料2 国庫補助基準及び長時間利用サービスの在り方に関する議論の整理(案) 読み上げ)                   (省略)  江草座長  ありがとうございました。ただいまの議論の整理の扱い方について高原課長から何か ございますか。  高原課長  いずれにしましても今日御意見をいただきまして、それをふまえて必要な修正等を加 えていきたいと思っておりますが、この検討会は、社会・援護局長の私的懇談会という ことでございますので、今後の施策に当然これを反映させ、あるいは障害者部会などに も御報告をさせていただくという段取りになろうかと思っております。  江草座長  それではただいまから約1時間をメドに御意見、御質問をいただきたいと思います。 また、大熊委員、大濱委員、中西委員からは資料を御用意いただいているようですか ら、それをもとにこの60分の中で御説明をいただくということにしたいと思います。で はどなたからでもどうぞ。  大濱委員  資料1の地域生活を支えるサービス体系の在り方の件ですが、この中の1の(1) の、「障害者が地域生活を送るためには、障害者が主体性をもって生活を送るための力 をつけていくことが必要である。また、そのためには家族や職場等の協力も重要である 」とありますが、この家族や職場等の協力とある部分というのは、資料5頁目の就労支 援の障害者が社会を支える一員となり、誇りをもって生きていけるようにという部分と 非常に食い違ってくるんじゃないか。  要は、障害者が自立をするということは、家族の支えじゃなくて、やっぱり一人で暮 らしてちゃんと自立して生きるということなので、家族のサポートということをここで 予め謳うというのは、ここは相反するんじゃないかと思うんですね。ですから家族がな くても一人で自立していける、普通の健康な子どもだったらそうだと思うんですが、20 歳過ぎて成人になったら一人暮らしをするというのは当たり前のことですから、やっぱ りその中で最初から家族ありきという、そういう文言というのは外した方がいいのでは ないかと思います。  江草座長  はい、次は太田さん、お願いします。  太田委員  国庫補助基準の見直しの件について意見を申し上げたいと思います。この検討会がで きた経過は、昨年1月の条例設定問題に端を発してこの検討会が始まった。それを厚生 労働省と障害団体の間で国庫補助基準の見直し部分を含めて地域支援サービスの在り方 について障害者当事者団体を含めた検討の場を設置するというような確認のもとで出発 をしたんだろうと思います。しかし、国庫補助基準の方を読ませていただくと、国庫補 助基準の在り方ということで、2頁から3頁にかけて、この検討会がなぜ始まったかと いうテーマがそのまま書いてあるような感を受けます。これを検討するのが検討会のは ずであった。様々な意見を、もっと地域生活をというような部分は補助を拡充すべしと いう意見や、財源不足の中でやはり見直しをするのが必要であるというような意見があ ったというふうに私は思っています。  そういうあまり突っ込んだ議論はなされていませんが、やはり補助基準の在り方につ いて具体的な言及をしないまま検討会の発足の時には命題をそのまま報告書的なものに 乗せるということについては、昨年の1月の運動に加わった一員として同意しかねる。 やはりここのところは検討会で本来行われる、私の責任も含めて、検討会で行われるの であったというような、やはり私も総括していますし、検討会全体としても総括は必要 なのではないかというふうに認識しています。  大濱委員  全く太田さんの言われている通りだと思っていまして、国庫補助基準の配分の仕方 で、例えば資料2の3頁目で、具体的にサービス水準の低い地域の底上げとか、そのあ たりが書かれてあるのですが、これはわかりますが、それと一番最初の頁にある、この 基準を一律に適用した場合、サービス量の多い自治体の補助金を減少する。  要するにここに書いてあることは従来高いサービス量があるところを切って、低いサ ービス量のところに回せというふうに受け止められるんですね。そういう国庫補助基準 の在り方について、きちんと総括していく必要があるのではないか。それでこの部分の 1頁の下の○の部分というのは、これは単に高い現在の水準を経過措置として認めると 受け取れる、こういう文言なら非常にまずいと思います。低いところを底上げレベルす るというのは、それはわかりますが、これとはリンクしたら絶対にいけない。そこらへ んをこの中で討議していただきたいと思います。  江草座長  それではどうでしょうか。事務局の方でこれについて見解をお示しいただければと思 います。  高原課長  本日この場でも今の問題提起について御議論をいただければお願いしたいと思います し、そして今太田委員からの御指摘があったような、もう少しこれまでの検討会におけ る議論の積み重ねをきちんとレポートに書き込むべきではないかというような点につき ましては、これは事務局としても工夫をさせていただきたいと思います。  江草座長  中西さん、どうぞ。  中西委員  この全体について、全身性作業班で話されたことのないような内容が案として出てき ているし、要するにこの在り方検討委員会というのは一体何だったんだろう、それに関 係なく事務局が案を作っちゃう。このまとめの文章も我々前回こういう議論もしたでは ないかというので、最後の頁に1頁半ぐらいにわたって、様々なことを議論した内容を 書いたんですが、捨象されてしまっている部分が非常に多いと思うんですね。そういう 問題もあって、今の大濱さんたちの指摘というのも僕ももっともだとは思いますので、 そのあたりをきちんと議論するのであれは、今が議論する場かなと思います。  それからこの文章でわからないところがあるので、これだけ疑問に答えて欲しいので すが、例の包括のところで、1類と2類とを分けますね。1類と2類とで分ける意味 を、医療が必要な人と、必要じゃない人という分け方をしているようなんですが、この あたり、そういう分け方って現実にできるのかな。実際に医療が必要がなかったり、呼 吸器を使っていなくても、常時死に瀕するような貧血に襲われるような人はいるのに、 そのあたりをどういうふうに仕分けるつもりのかというのが一つ聞きたいことです。  それから第1類型の中では、包括の中の全体の中で医療的ケアと介護を組み合わせて いく、その中に資格要件を緩和した形で、今まで支援費制度にないような介助者を使っ ていくというふうな読み取りができると思うんですが、このあたりはどういうのを指し ているのか。  第2類型の中でも社会参加を支援する事業所というのは言われているのですが、社会 参加を支援する事業所というのは、今までの支援費の類型の中にはこういう事業所とい うのは認可されたことはないんですが、これというのは実際に世の中にNPOにしても ボランティア組織にしても、介助のことをやる組織というのは支援費制度施行以降なく なってしまっているんですね。ほとんど支援費か介護保険をやる事業所に変わっていっ てる。NPOだった団体はそういう方向に変わっていったんですが、これを一体どうい うことをイメージしてらっしゃるのか。この三点の議論ですね。  これの包括的な意味というのは、僕が捉えたみたいに医療と、そういう緩和したサー ビスとを今までの支援費サービス、三つを包括的に使えということなのか、そのあたり を説明をしていただきたいんですね。そうでないと答えようがないなと思います。  高原課長  まず1の類型と2の類型ということで区分けをさせていただいているのですが、これ はこれまで私ども全身性の作業班でもいろんな御意見をいただき、あるいは自治体での 聞き取り調査などを関係者の方からいろいろとお話を聴いていく中で、本当に重い方と いうことを考えた場合に、いわゆる全身性障害者の方が全て、本当に重度で長時間のサ ービスがないと生命の維持が困難ということではなくて、全身性障害者の方の中にも多 様な方がおられるということ、それからもう一つ、強度の行動障害の方のように、いわ ゆる全身性障害者の方以外にも長時間のサービスを必要とする重度の方がおられるとい う、こういうことを共通の御意見としてお伺いしてきたわけであります。  従いましてこういう長時間のサービスを考える際にも、本当に重い方で長時間のサー ビスがないと生命の維持が難しいような方と、そうでない方とをある程度整理をして考 えるべきではないかということを、事務局として整理をさせていただいたわけでござい ます。長時間のサービスがないと生命の維持が困難な方というのは、これは医療のサー ビスも当然かなり必要になるということが事実だろうと思いますので、そういうことを この文章では書かせていただいています。  ではこの1の類型と2の類型を具体的にどういうふうなメルクマールで仕分けをして いくのかということにつきましては、私どもいろいろ厚生労働科学研究の特別研究など でもそのフィールドスタディをやらせていただいたり、調査研究は進めさせていただい ているわけですが、さらにもう少し専門的な見地もふまえました研究なり調査をして、 具体的な線引きについて、整理をしていく必要があるだろうと思っております。  中西委員からお話のありました社会参加を支援する事業所が、支援費の施行でもうな くなっているんじゃないかとか、あるいはその実態についてどういうふうに認識をして いるのかという点でありますが、これはむしろ各委員の皆様からも現場の状況など御意 見をいただければというふうに思っているのですが、私どもは別にそういう実態が全く なくなっているという認識はしておりませんし、イメージとしましては、資料2の7頁 を御覧いただければと思います。  具体的にこの点もこれから詰めていく必要があると思っておりますが、私ども現段階 のイメージとしましては、支援費のような個別の支援費の支給決定というようなことで はなくて、一定の事業費を国や地方公共団体が一定の法人に補助をさせていただいて、 その事業者に社会参加事業を実施していただくような、そういう仕組みをイメージして おります。  太田委員  高原課長のおっしゃる趣旨はわかるのですが、それがこの文章だと読み取れない。つ まり1類型と2類型をなぜ分けているか。1類型の人だって社会参加をするわけであっ て、1以外のもので社会参加等々を書いている。わざわざ1以外のものでというふうに 分けるとそれは非常に難しいし、現実から切り離していると思いますし、実際の市町村 レベルでもしこのような考え方が一人歩きしたら、硬直したサービスになり得るのでは ないか。もう少し書き方の工夫が必要だというふうに思います。  高原課長  今の点につきましては、1類型と2類型を区分させていただいたのは、長時間のサー ビスがないと生命身体の維持に重大な支障が生じる方とそうでない方と、こういう区分 があるだろうということで整理をさせていただいております。太田委員のおっしゃっ た、いわゆる御提案の1類型の方にとって、社会参加が必要でないなどということを申 し上げているつもりはございませんので、そこは少し文言の工夫をさせていただきたい と思います。ただ、おそらく2類型の方の場合には主に社会参加活動のためにサービス を利用されているというのが実態であろうかと思いますので、そこを書かせていただい ているところです。誤解を招くような部分については、文言の工夫をさせていただきた いと思います。  江草座長  それでは中西さんはいい資料を持っておられるので、これがかなり具体的ですから、 これについてお話をいただいたらどうでしょうか。  中西委員  今の問題で言えば、そう言われるけれども、命に関わるというのを吸痰と人工呼吸で なければ対象にならないようにこの文章は読み取れる文章ですよね。それがそれ以外に 吸痰、人工呼吸以外にも認めているということを意味しているのでいいんですよね。お 返事がなければそれで了承と思います。  それでは僕の資料は左右対照して見てもらえば大体わかるようになっています。公的 サービスが中心となるのは当然であるが、それのみならず地域の様々な社会資源を組み 合わせることが必要である。この基本的に生活を支えるものというのは、僕は国がやる べきであって、地域の様々な社会資源というふうなボランティア的な支援とか、そうい うものを国が最初から前提にすることは間違いじゃないかというので、削除を行いまし た。  それから地域への財源移行を行うことが重要である。配分を見直すというと見直して 何もやらないということもあり得るので、明解にこういうところは書いていかないと施 設在宅移行が現実にならないと思って入れました。  それから2頁目ですが、ここも削除したのは他のサービスの役割分担の見直しという ことで、ホームヘルプサービス以外のものをまたここで触れているので、それを削除さ せてもらいました。  次のパラグラフは適切に選択、これは中高校生など、これが選択できることは必要で あるというのは、適切にというのは何か基準を設けてしまうので、本人の意向通り選べ るということがいいと思います。  それからガイドヘルプサービスについては、障害特性を考慮するとともに、サービス 提供の公平性や社会通念上の相当性を十分ふまえた上で検討すべきである。こういう何 か抽象的な言葉を前回も削除をお願いしたんですが、消えてなかったんですが、やはり 市町村がこのあたりは決めるべきで、国からやっていくと一律な基準になってしまう。  支援費制度というのはまさにスタートしてしまっているので、様々なガイドヘルプサ ービスの使い方があり、市町村によって違うんですね。市町村特性を尊重していくので あれば、そのあたりも見るべきじゃないか。このあたりで上限設定の言葉をあまり国が 振り回さない方がいいだろうというふうに思いました。  それからガイドヘルプの単価について、介護の有無で大きな単価差があるがという、 これはALSや身体介護なしの対価では対応できない人たちも中にはいます。そういう のを組み合わせて何とか地域では暮らしてきたわけですね。長時間介助の人たちの涙ぐ ましいつぎはぎ細工の生活なんですが、それがこういう移動のところにおいても、そう いうのがあって初めて暮らせている人たちがいるということも配慮しないと、一律にと いう話ではなかなかできないので、これも時間をかけて検討しなければいけない命に関 わる問題だと思います。  次は5頁です。ここで削除したのは、専門性の必要な部分とそうでない分野を分けた 上でというところとか、本人の選択により支払い方式も可能なようにと、このあたりは 専門性が必要な分野とそうでない分野を仕分けて、公費でやるというふうな言い方なん ですが、これがそういうふうな仕分けが実際に国レベルでそういうことは不可能だか ら、これも市町村に任せていかないと、現場はそれぞれ工夫してやっているところに、 割に単純な均一なこういう文章が出てくると混乱するだろうなということで削除をお願 いします。  それからこの国の責務である、そしてまた資源は有限であるという、これは言わずも がなの話なので、こういうふうに言うと最初からこれは減らす話をしようという含意が 含まれるので、例えばサービスの今の現行の水準を保ちながら、とかの安心する言葉は どこにも含まれていなくてこれが出てくるというのは、非常に不安をかきたてるだろう なというふうに思います。  それから支援費制度については運営状況を十分ふまえて、利用条件や単価設定を見直 し、より経済的なと、この利用条件という言葉が入ったのはどういう意味なんだという ことなんですね。具体的に何かやらないと、利用条件という言葉はいろいろと適当に使 いやすい言葉なので、これもわかりにくい言葉は削除した方がいいだろうということで す。  それから7頁の17年対応なんですが、費用については一定の制約、地域で暮らせるた めに必要なサービスの質と量を確保する観点から以下のというふうな感じで書いてある んですが、利用者の一人一人が必要とする介助が受けられることが保障されること、事 業所が運営が可能なようなことを保障されるような対応というのを基本ベースにおい て、ここの17年対応をやるんだということをやはり書いておかないと、実質的にやって くれる事業所がどこもないというような事態に陥る可能性があるかと思います。  それからガイドヘルプサービスについては、身体介護つきの有無も含めてというふう な話は、この全体の中でこれは後段の包括の話とも絡んでいくので、そっちの問題をま ず解決しないと、このガイドヘルプの話というのはなかなか議論しづらい問題がある。 特に身体介護つきを全くなくすことはALSの人たちにとって死活問題なので、ここに ついては有無という書き方はまず削除しておかないと、それを検討するということはや ぶさかでないということになります。でも、これは包括の方の話をきちんとまとめない と、こちらの話というのはなかなか連動性のある話なので、しづらいだろうなという気 がします。  次に加算単価の問題ですが、1の類型については、資格を緩和するということは、全 体からいって読み取ると、資格緩和もして、単価も引き下げて、そして包括によって長 時間の介助というのをある程度の時間数に押さえ込むみたいな感じで受け取れているわ けですが、このあたり、命に関する人たちに対してこういうふうなことをしてしまうこ との意味ということですね。  ですからまさに命、身体の維持に関わる人たちの問題ですから、一人でもこういうふ うな変革によって死んでしまったり、地域で暮らせなくなるような人を起こしてもらい たくないんですね。そのためには慎重な上にも慎重にこういうことに当たらなくてはい けなくて、今、実際に我々が聴いている限りでも、そのことについて非常な不安を感じ ている人たちがいます。そこの一人一人に対してきちんとどういう対応がとれるのかと いう説明ができるようでないと、この包括という言葉だけが先に一人歩きしながら、実 際に支給される金額は未確定のままでいけば、非常な混乱が生れるだろうな。これにつ いては、どういうふうな基準で生活が維持できるようにするか、という言葉がここには どこにもないということが不安をかきたてているということだと思います。  国としてそれは保障すると言われても、ここで言われているのは、ボランティア的な もの、学生をベースにというようなことで、生活を長期間にわたって維持させることは そういう人たちを中心にしては無理だったんですよね。それで現実に今学生のそういう ボランティア的な人を募集しても、もうほとんど集まらなくなっている状況もありまし て、こういうところに元に戻してしまうということは、命に関わる人たちにとっては、 その1時間2時間間が空いちゃうだけで呼吸器の見守り手がいなくなるという危険を感 じているわけですから、このこと自体想定することも不可能な話になります。  ですからまず実態をきちっと捉えられて、実際そういうことが机上の空論でなく、現 場でちゃんと実施できるものなのかというのを時間をかけて、これは検討をすべき問題 で、16年17年度に実施というのはとても難しい話だと思うので、僕はもっと延期して、 この包括の問題をもう一度現場にかえってやっていただく。調査をやってくださってい るといっても、我々実際の利用者のところには調査はされてない。ALSの方たちもそ ういうことでは非常に不安を感じているということがありますので、ぜひともここはそ ういうふうに考えていただきたいというふうに思っております。  江草座長  ありがとうございました。それでは中西さんのお話を聞きましたので、続いて資料を 御用意いただいております大濱委員さんからお話をいただきたいと思います。  大濱委員  この命に関わる障害者の介護コストの事例ということで、包括報酬体系の件は今中西 さん、それから太田さんも国の基準の問題で言われてましたが、この包括報酬体系は、 ここに書いてありますように、このあたりの資料は介護保険部局の方からもいろんな数 字を協力してもらっているようですが、まず1頁目に書いてあるように、本当に重度の 全身性障害者はどれぐらい費用がかかるんだろうかということで算出しますと、本当に 262万かかるわけです。ではどれぐらい介護者が入っているかというと、ヘルパーは950 時間ぐらい入らないと、この人たちは生きていけないわけです。  実際この人たちはそういう形で今生きているのが実態だということです。こういう形 で入っていて、そこにかかる日常生活支援で、今の支援費の単価で計算した場合は、 222万ぐらいになるということですから、本当にこれはCIL型の人たちがかなり頑張 ってそのALSの人たちだとか、本当に重度の人たちを応援してくれているんだという 数字になります。  実際にALSの方の何でこんなにコストがかかるんだということがその後に書いてあ りますので、それをお読みいただきたいと思います。2頁目です。私なんかの頚損もそ うなんですが、そして太田さんなんかも多分そうでしょうが、目に見えないところとい うんでしょうか、たとえば介護者を育てることについても時間的な手間もかかります し、常に2人介護というものがないとお風呂なんかもできないし、トイレもできないし というのが実態なんです。  ですからこの950というのは何も大きく出した数字でなくて、実質的に本当にこれぐ らいかかりますよと、それではこれは全国にどれぐらいこういう人たちがいるんですか という、これは一応数字が出ていますが、全国レベルでは十数人ぐらいしかいないわけ です。ですからその部分についてやっぱり包括報酬ということの中で、今すぐに決め込 むというのは非常に危険がある。包括報酬を例えば1類型にして、250万までいいんで すよ、その中で自由にやってくださいとか、そんな包括報酬が今決められないわけでし ょう。その中で包括報酬を決めていくというのは、今の段階ではかなり無理があるんじ ゃないか。  ですから先程中西委員が言われたように、やはり今年来年については、そのあたりの 本当に費用はどれぐらいかかるんだということを精査した上でないと、本当に命に関わ ることになってくるということで、これは非常に危険だと思っている。ですから包括報 酬体系を今どのように厚生労働省内部で考えられているのかを話していただければわか ってくると思うんですが、現段階で例えば一つとか二つとか三つぐらいの分類に分けて しまうというのは非常に危険があるということです。  この包括報酬体系でどんな問題があるかというのをここに書いてあるわけですが、例 えば厚生労働省が今考えられているのは、多分いくつかの分類に分けるだろうというこ となんでしょうけど、例えば包括報酬で100万だよとか50万だよという数字が出た場合、 本当に24時間介護の必要な人たちが地域に出て来れるのか、そこらへんに私たちは非常 に疑問を持っているわけです。それで今の段階では包括報酬体系には反対せざるを得な いということを書いてあります。  そして私が先程申し上げたように、その包括報酬に関する現段階の予算に占める割合 というのは本当に0.3%ぐらいなんですね。ですからその長時間の命に関わる部分とい うのは、これは介護保険という制度の中では馴染めない。結論に書かせてもらっていま すが、このような命に関わる最重度の24時間介護の必要な障害者を福祉の制度でいかに 担保するかということが、やっぱりこの日本という国、厚生省に課せられた課題であろ う。この部分を保険で賄うというのは現行の制度では本当にできるんでしょうかとい う、本当にこれは根本的な疑問なんですが、そこらへんをぜひはっきり答えていただき たいというのが本音のところです。  したがってここで私が思うには、このような命に関わる重度障害者の人たちが地域で 誇りをもって普通に暮らしていけるためには、やっぱり国がその9割程度の費用を負担 して、地方自治体には1割程度というようなことがあっても全然不思議ではない。この ことを提案させていただいています。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは次は大熊委員さん、お願いします。  大熊委員  私もその包括報酬を、2類型に分けたのがどういうメリットがあるのか、何か別な深 い訳があるのか、その辺がわからないのです。それは質問としてお願いをしたいと思い ます。  今日用意しました資料は、出立てのホヤホヤの介護保険情報の7月号に私が書きまし た介護保険物語第四話『「自立」VS「自立」』のコピーです(大熊委員ホームページ (http://www.yuki-enishi.com/)の介護保険物語の部屋参照)。これを御配付いただこ うと思ったのは、今のこの状況が1980年頃、20年前にとてもよく似ている、しかもこの 話の中にはあちらにおられる谷口委員や板山副座長が主役として登場する物語になって おります。1980年当時は実態調査をめぐって障害者団体と厚生省が非常に緊迫した状況 にありまして、入り口のドアを閉めちゃおうとか、それから更生課とお隣の部屋の間に 秘密の隙間というのがあって、障害団体の方が見えると更生課長さんがそこからスルッ と隣の課に逃げ出す、忍者屋敷みたいな、そういう仕掛けがあったという時代です。そ ういうことの結果、お互いに非常に不信感があった。  その状況を変えたのが若き日の板山更生課長さんでありまして、もうシャッターを閉 めたりはしない、秘密の隙間は閉じる、2日徹夜とかでも話し合うという中で、太田さ んなどもそこに登場されておられたんですが、お互いの間に理解ができて、そして自立 ということについての考え方の合意ができていきます。「自立生活とは隔離や差別から 自由な、地域生活における生活でなければならない」とか、「自己実現に向けての自立 が追求されなければならない」という言葉が、すでに1982年にきちんと研究会報告で出 されて、2冊の全社協からの立派な本にもなっています。  それがあったために障害基礎年金ができたりとか,その後の大変大きな政策のきっか けにもなったわけです。それと似たような厚生省を取りまく大行動が去年のお正月にあ りました。ホームヘルプの上限を設けるということのへ不安とか、そういうことがきっ かけで、それがもとでこの検討会というのが発足したわけです。この検討会が1980年頃 の板山課長さんがなさったような改革のもとにならないと、何のためにこの検討会に大 勢の人が何回も何回も集まった甲斐がないような気がいたします。塩田部長さんが本当 に板山更生課長さんのような、前進するようなことをここで打ち出しておられるのかな と、疑問に感じるわけです。  ここにいる方たちは、おそらく地域生活に関わる予算を今のままでは少な過ぎるか ら、もっと増やさなければいけないという思いでは同じなのではないかと思います。施 設は義務的経費で必ず保障されるけれども、地域生活については裁量的経費だから、ど うなるかわかりませんという不安は、ここにおられる委員に共通しており、多くの委員 の口から何度も出たわけですから、このとりまとめでは「これまでの施設から地域へ移 し替える」というような表現が必要なのではないか。  「見直す」というような曖昧な表現ではなくて、移し替えるというような言い方や、 さらに全体のパイを膨らませることを世間に向かって、新聞記者やテレビの方も来てお られますが、メディアの人を通じて国民にわかってもらう「とりまとめ」でなければな らない。財務省やら国会議員やら地方議員やら首長さんたちがこの報告書を読むと、あ あなるほど、やっぱり地域で暮らすということは非常に基本的なことで大事で、そのた めにはお金がかかるので、そのために国会議員も首長も頑張らなければいけない、とい うふうな気持ちになるようなものに、報告書がなっていなければ甲斐がないというふう に思うんです。  ところが低いところを上げましょうということだけを書いてある。これまで努力して 比較的高いレベルにあったもの、国際的に見れば全然高くはないわけですが、これが削 られるのではないかということが心配されるような書きぶりになっています。前回の資 料3のところに主な意見というまとめがありますが、そこには「先駆的に高い水準でサ ービス提供を行ってきた自治体の補助金を削るというのは、障害者の自立生活に重大な 支障をきたす恐れがある、高いサービス水準のところを維持しながら、低い水準の自治 体を底上げすることが必要である」と書かれてあるのに、そしてこれを発言した方は何 人もいるのに、このとりまとめには書いてない。もっと打って出なければいけないの に、「ごめんなさい、もう自分のところでやりくりして、何とかいたします」というふ うに言っちゃっているような、この場での発言と離れているように思います。  それから社会通念上というような言葉が何回か出てくるわけですが、社会通念を変え ていくものこそ、ここの検討会では出さなければいけない。「障害を持っている人が地 域で一人で暮らすのは贅沢なことで、施設に戻ればいいのに」という社会通念がもしあ るとすれば、いやそうじゃないんだということを打ち出すのがこの検討会の提言である べきだというふうに思います。  私は決して素っ頓狂なことを言っているわけではなく、配布資料の1枚目のところに 書いてありますように、すでに1975年、国連は「たとえ障害があっても同年齢の市民と 同様な基本的な権利をもっていて、できるだけ普通の、また十分に満たされた相応の生 活が送ることができる権利がある」と宣言しています。  日本だって障害者基本法の第3条の2に、「全て障害者は社会を構成する一員として 社会経済文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする」と書 き込まれていることなので、このことをもっとさらに強調して堂々と世の中に発言する というようなまとめになっていないといけないのではないかなというふうに思います。  そういうことから考えると、重い方を二つの区分に分けて、片一方は包括にしました というような結論はあまりにもみみっちい提言であるように思います。ここにおられる 方だけ拝見しても、あそこにALSの方がいらっしゃいますが、多分その方とここにい らっしゃる太田さんのどこにどういうふうに線を引くのかというのはとってもわかりに くい、イメージのわきにくいような、ここがもっとイメージがわくようにあとで御説明 をくだされば、「ああ、なるほど」というふうに思うのですが、ということです。  それから2、3頁のところに写真を入れまして、諸外国の重度の障害を持っている方 たちがどのような自立生活支援を受けているかというのを書いてあります。アメリカの エド・ロバーツさん、これはポリオで鉄の肺に入るような人ですが、その方がカリフォ ルニア州の局長さんで、230億円の予算の責任をもって2,500人の部下を指揮していると か、デンマークでは1980年にもう1日24時間のヘルパー介助費用が公的に保障されてい るという事実をご紹介しています。ただ、24時間介助が必要な人というのはそうやたら に多いわけじゃなくて、ここでこのような方式の利用者は日本の人口で1万人、その3 分の1ぐらいが24時間体制ということですから、そこから逆算すると日本の中で探して も多分3,000人ぐらいの方で、その方たちのことを取り立てて、「お金がかかって大変 だ、資源は限られています」とかというようなことを何度も書きこんだりするというの は何か方向性が少し違っているんじゃないかなという気がしています。  最後に、このような検討会は、「検討会報告がまとまりました。ああご苦労さん、あ とはお役所の我々がやりますから、皆さんさようなら」という、そういう仕掛けになっ ているわけで、それはとても淋しいことでもあり、不安なことでもあります。どこでも そうというわけではなくて、既に堂本さんの千葉県ではそのような検討会をすると、そ の検討会メンバーはさらに残って、本当に自分たちが提言したことが行われているかど うか見守るという、そういう仕組みをすでに始めたりしていますので、この検討会も今 日でおしまい、さようならというふうにならない仕掛けを作っていただきたいと思いま す。ちょっと長くなりました。  江草座長  ありがとうございました。今ちょうど時間が半分ぐらい経ちましたので、残りの半分 をあと12、3人のまだ御発言なさってない委員の方々にお話をいただければありがたい と思っております。それでは早崎さんからお願いいたします。  早崎委員  大熊先生が先程おっしゃっていただきましたので、何となく胸のつかえがとれたよう な気がいたします。私の方はずっと一貫してお願いさせていただいております相談支援 の問題と、ケアマネジメントに関することですが、資料1の2頁目の○の二つ目に市町 村圏域も含めた適切なサービスや障害種別を越えて総合的な相談支援を行う機能を重層 的に整備する必要があるというふうに書いております。  これは具体的にどういうふうにしていくのかということが、やはりきちっと書いてい ただく必要があるのではないかということで、残念なことに一般財源化をしてしまいま したが、障害者の生活支援事業なり、療育の相談支援事業があるわけすが、私の知る限 り社会福祉協議会でも委託事業が廃止された、その理由は一般財源化したためにその市 は障害者支援事業はもうやらない、だから社会福祉協議会との委託契約は解除するとい う連絡をいただきました。どうしたらいいのかというようなことでしたが、社会福祉協 議会独自にでもそれはやるべきだというふうにお願いしましたが、それに関係して7頁 にケアマネジメントに関する内容があります。  これも7頁では○の初めのところですが、効果的かつ公正にマネジメントするために は、ケアマネジメントについて客観性・中立性があることが第三者からも明らかである 仕組みが必要である。ここも同じように総合相談をする部門と類するかというふうに思 いますので、できましたならばこういうところにはきちっとその相談機関であるという ような事業名並びにそのセンター名的なものを書くべきではないか。  前回もお話ししましたが、やはり高齢者の部門と抱き合わせて包括的に相談支援をす るというふうになると、基幹型の在宅支援センターという名称も役割を担っているとい う部分がありますので、検討を加えていただけるということであれば、そういう部門と 総合的に抱き合わせることが可能であれば、そういう機関名もここに書く必要があるの ではないか。非常に全体的にボヤッとしておりますので、見る人からすると何をどうい うふうにしていくのかということがちょっと見えないということがありますので、具体 的にもうすでにあるような部分についは、ここにも入れていくという作業も必要ではな いかというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは村上さん、どうぞ。  村上委員  先程、大熊委員さんの御意見をお聞きしまして、全く同感だなというふうに思いまし た。それから大濱さん、太田さん、中西さんの御意見もお聞きして、私自身が重度の知 的障害者の親であるということからしても、もちろん全部ではございませんが、でもか なり理解できるところがあるつもりです。  ただ、今回一番最初にこの検討委員会というのが、もう財源がないんだ、財源に限り がある、そういう中で少しでも必要なサービスを必要な方に安定的にお届けできる方法 はないだろうか、そのために利用者の代表の方、事業者、自治体、学識経験者いろんな 方が集まって一体どこが問題なんだろうか、どういうふうに工夫したらサービスをその まま提供し続けることができるんだろうか、確保できるんだろうかということで始まっ たんじゃないかなと思いました。そこで私はその財源不足を乗り切るためにはどうした らいいんだろうか、どんな工夫があるのだろうかということで、いろんな議論に加わっ てきたつもりです。  もちろん国も努力をしていただきたいとは思うのですが、今当面お金がない、生活費 はこれだけだと決まっている、1カ月これだけなんだよ、じゃあどんな方法があるかと いう時に、会社にお願いして給料を増やしてもらうという方法もあるかもしれません。 でもそれがなかなか無理な時点においてはどうするかというと、じゃあやっぱり1カ月 の生活費の使い方の見直しをしてみようじゃないか、あるいは他の何か工夫をしながら 1カ月生活をしていく方法がないだろうかと、普通の家庭だったらそういうふうに考え るのかなと思いながら、何か具体的な方法がないだろうかと思って頭を働かせてまいり ました。  ところがやっぱり問題が非常に大きなものですから、そういう具体的な細かいところ まで検討する時間が結局はとれず、何だかちょっと達成感のないまま終ってしまうのか なというふうに感じております。それから今後本当に安定的な必要なサービスを必要な 量、必要な時に利用できるような、そういうシステムを作っていく、そういったことが 必要ではないか。そのためには前回も出ておりましたが、これは社会保障審議会の障害 者部会に引き継ぐということですので、それはそれでぜひ本当にお願いしたいというふ うに考えております。本当にどうもありがとうございました。  江草座長  次は室崎さん、お願いいたします。  室崎委員  私も実は大熊先生とはいろんなところで御一緒させていただいて、先生の話はいつも を手を叩いてそうだそうだと言っているものの一人です。  しかし、私たちも社会の構成員の一員であるということですが、お金がない現実の中 で、構成員としての果たす役割に理念と現実とのギャップが大きすぎる部分があり、意 気込みだけではこれもどうにもならないのかなと感じています。そこで社会のシステム を変えていくことをまず前提に、これから施設の流れを在宅に変えていくんだという大 きな流れをきちっとふまえなくてはいけない。  今ここで先程村上さんがおっしゃるように、目の前のことを考えた時に、私にまずこ の資料で意見としては、知的障害はどうしても本人さんたちが緊張してなかなか言えな かったりするので、親がずっと50何年間も同じように代弁というよりか、隠してきた歴 史があるものですから、今この座に来てみてその代弁と本人の意思の間にズレが現れて いるなということを改めて感じました。  そしてここに来て、このシステム以前の本人のニーズを把握する支援、自立体験プロ グラム等という点ではまだ課題が残されていると思っております。また、本人の意見の 中に、やはり地域で普通に暮らすんだけれども、地域生活支援センター等を作り、相談 にのってくれたり、安心して暮らせるようにしてくださいと本人さんが言っておられる んですよね。支援センターは施設や通勤寮の中などにつけずに、みんなが下駄履きでも 行きやすいところに、土曜日も日曜日もあるところに作って欲しいという意見が相当あ ったように思うんです。  ということでやはり知的障害の人たちは地域生活支援センターの設置とともに、施設 の支援と地域生活の支援との違いをふまえて、重要な意見だったというふうに私たちは 思っております。施設からの支援じゃなくて、やはり地域の中で独立した生活支援セン ターがあって、やっぱりそういう相談をやって欲しいなという部分があったように思っ ております。  以上、こういうことをふまえてみますと、サービスを適切に供給するシステムの在り 方について、セルフケアマネジメントがある部分可能な他の障害と違い、知的障害の場 合にはケアマネジメントの制度化とマルサの設置、同時にケアマネジメントを行う地域 生活支援センターの明確な設置、施設に付随したりするのではなくて、相談、サービ ス、調整のみの中立性のあるもの、そしてセルフケアマネジメントができる全てのサー ビスに自立体験できるシステムを設置すること、また本人たちが一番苦手とするサービ ス契約や、様々な判断を助ける権利擁護等の視点、サービス調整会議により個々の問題 を社会化し、地域に反映すること、親のニーズは本人のニーズとは限らないということ は重要といえると思っております。  それで長時間利用のホームヘルプの在り方についてですが、1の類型に医療的ケアの 必要な方に加えて、強度の行動障害のために常時見守りが必要なもの等が含まれている 点、2の類型に社会参加活動のためにと、先程いろいろと意見がありましたが、長時間 サービスを利用できるものが含まれているという点は今後の議論は私たちは期待されて いると思っています。  特に行動障害、事業所や支援するヘルパーが障害特性を理解して支援ツールを個々に あわせて開発できる程度の力量がやはりなければこれはダメなんじゃないか、ただ単な る見守りというのではなくて、そういうことをきちっとする力量がいるんじゃないかな ということを言っております。  それから大濱さんが先程おっしゃっておりましたが、地域生活を支えるサービス体系 の在り方というのが、家族や職場等の協力も重要であるということですが、私たちはい つも家族というところで前に出て支えておりましたので、ここの家族や職場等というと ころをやはりちょっと考える必要があるのかなということで、大濱さんの意見には共鳴 したところでもございます。よろしくお願いいたします。  江草座長  それでは森さん、お願いいたします。  森(祐司)委員  私はこの検討会というのは障害者の自立と地域生活の支援という大きなテーマのもと で検討されてきたなと思っておりましたが、そういう面からいうとこの中では一つはや はりホームヘルプの問題だったと思うんですね。そこで実は大濱さんのこの資料を見さ せていただいて、本当にこういうことについてもう少し課題別にお互いに研究すべきで はないのかと、そういう気がしてしようがないんです。  全体的に見ますと、実は非常に抽象的でございます。そしてまた本当に時代的に遅れ るような形で家族の問題を出してみたり、あるいは事業者、あるいは企業の協力体制と いうものを出してみたり、本当は今はそれこそ知的も身障も精神もそれぞれみんな種類 をこえてやろうじゃないかという中に、今度は中でいわゆる長時間かかる人たちについ て1類と2類と分けてみているというような、本当に具体的に分けられるんですかと思 いますが、私はこれはおそらく難しい問題を含んでいるのではないかなという気がして なりません。  そして一方においては、財源というものがなければ何もできないわけですから、その 辺のことももう少しふまえた上で深くお互いに研究した方がよかったのかなという、私 とすれば申し訳ないですが、そういうような何か新しいものが何も出てないなという気 がして非常に残念でございます。以上です。  江草座長  次は山路委員さん、どうぞ。  山路委員  中西委員と大濱委員の方から包括払いに反対するという、その一つの大きな根拠とし て命に関わるALS患者等のサービスが上限抑制がかかって、命が危なくなる恐れがあ るということも言われました。ただ、この検討会の出発点でもあり結論でもあると思う んですが、命に関わる障害者に対するサービスについては惜しんではならないというの がこの検討会の結論だということは、これは全員一致でみんな認めることだろうと思う んですね。  その意味では包括払いとの関連でそういうことを言われるというのは、私もちょっと 理解に苦しむところがあるのですが、結論としては命に関わるサービスを削るようなこ とは決してあってはならないというのが、この検討会の前提だと思うんですね。問題は 包括払い制度をどう考えるのかということが、最後の段階になって大きな問題になりま した。  私は医療保険制度改革を取材して書いてきた人間として、私は医療保険制度の場合は 可能な限り出来高払いから包括払いに、定額払いに移行させるべきだということを主張 し続けて、ある程度外来以外の入院についてはようやくその包括払いが導入されるよう になった。やっぱり青天井の出来高払いというのは様々なモラルハザードを生んできた というのは医療保険制度でははっきり言えるわけですね。  医療保険制度とたしかに障害者のケアとは違います。違いますが、現実にこの検討会 の中で一つ明らかになったことは、私が言い続けてきたことでもあるのですが、とにか く物差しがない。私の住んでいる多摩地区はその典型なんですが、支援費制度になって 基準がないままに青天井の出来高払い制度で出し続けているわけですよ。それでいいの か。本来貰えるべき人が貰えなくて、貰っちゃあいけない人がとまでは言いませんが、 本当に妥当な出され方をしているのかどうかさえわからないわけですよ。そういう中で 支援費のホームヘルプサービスが足りないとか言ったって、私は説得力がないというふ うに思うんですね。  その意味ではやっぱり物差しを導入するべきだ。ある程度物差しを導入した場合に、 やっぱり移行できるところは包括払いに移行していく。ただ、包括払いというのは非常 に危険性も含んでいるわけですね。まとめてポンと払うわけだから、モラルハザードが 起きる危険性もある。よほど慎重な試行事業をして、本当にある程度スタンダードにサ ービスを標準化した上で、包括払いを導入していくべきものは導入していくというふう な段階を踏んでやらざるを得ないわけですが、繰り返しになりますが、今の状況の中で 物差しもなく、青天井の出来高払いを続けるということについては、この検討会は私は 全員が認めたということは言い難い、少なくとも私はそんなことは納得できないという ことを申し上げたいと思います。  大熊委員が社会通念を変えていくべきだということも言われました。それはその通り だと思うんですね。今の社会福祉サービスというのは全体的にはまだまだ、特にヨーロ ッパに比べると非常に低い水準にあるという意味で、一般的に高い水準にしていくべき だという点では賛成です。  ただ、一般の人間は、これはつい最近まで私も含めてなんですが、現実に障害者福祉 の社会通念とは何だろうかということも考えてもらいたいと思うんですね。今のような 物差しもなくて、障害者福祉の制度として実際機能してない中で、どう社会通念を変え ていくのかということも、やっぱり改めて私たちは考えてみる必要があるんじゃないか ということを申し上げたいと思います。以上です。  江草座長  はい、ありがとうございました。次は有留委員からお願いいたします。  有留委員  なぜか国庫補助金の在り方について、前回だいぶ東京バッシングみたいな形で、要す るにサービスを多く提供しているところと少ないところとの対立の構図みたいな、非常 に不毛な構図があったと思います。これについてはやはり私どもの見解を改めてお話し させていただきます。  たしかに国庫支出金の中で国庫負担金と補助金というのがあって、国庫負担金という のは生活保護だとか義務教育みたいな、いわば国の責務としてやらなきゃあいけないも ので、国庫補助金はそうじゃない、奨励的な補助みたいな位置づけなんですが、性格を 見るとやはり障害者の命に関わるという意味では、内容的には限りなく国庫負担金に近 い中身ではないか。そういう意味で国の責務、あるいは国と自治体が共同責任でやはり 必要なサービスを提供するようにするというのが補助金の実質的な役割じゃないかとい うふうに私どもは考えています。  従いまして、高いところを削って低いところに回すという発想は、今のレベルで東京 都が相対的に高いからといって、御指摘もありましたが、必ずしもまだ満足のいく水準 ではないというふうに私どもも認識しております。ただ、一方で私たちも行政ですか ら、サービスをいっぱい提供すれば国民負担、都民負担も重くなるという現実があるわ けで、そういう限られた財源、限られた情報、限られた時間の中で私たちは具体的な政 策展開をしていかなくちゃあいけない。  そういうことを考えますと、当面経過的に予算増はやむを得ないと思うんですが、や っぱり中長期的な財源確保の方策というのもきちんと議論していく必要があると思いま す。それから同時に、やはり財源に限りがあるというと、また別な批判も受けますが、 これは現実なわけで、本当に必要な人に必要なサービスが行き渡るような実態にあった サービス提供基準だとか運用上の工夫を行っていく必要があると考えています。  ですからこういう財源論に対して、理念論でぶつけて、命だから命だからと言い続け ても、やっぱりこれもまた不毛の構図になっていくと思うんですね。国も東京都も自助 努力をいろいろしていますが、それから団体の皆さんも事業者の皆さんもそれぞれ工夫 しあう、それも地域によって大都市と地方と違いますから、そういう工夫をしあうよう な発想がないと前向きな議論というのは、あるいは建設的な議論にならないんじゃない かというふうに思っております。  包括的な報酬体系については、これは一つサービス提供時間を確保するための一つの 考え方というふうに私どもは見ていますが、まだ具体的な制度設計が述べられておりま せんのでコメントは差し控えますが、一つだけ申し上げたいのは、やっぱり本当に必要 な人には必要なサービスが提供されること、それからもう一つは従事者の問題なんです が、支援費制度で資格制度を導入して、質の向上を図ったわけですが、この結果、障害 者サービス自体が非常に透明性の高いサービスにあった、そういうメリットがあると思 います。そういう意味で無資格の従事者やボランティアをサービスの基本に据えるよう な発想はちょっと如何なものかというような感じがいたします。  それからあとは全般でございますが、19回にわたっていろいろと議論をしたわけです が、私はこの検討会はいろいろ問題意識はあるかと思いますが、国と東京都も含めて、 国や地方それぞれ様々な取り組み、工夫がされていて、これに触発されて地方を見に行 ってまた勉強して帰って来る。そういうものが発信されて、共有されていったという意 味で、非常に意義ある検討委員会であったというふうに考えております。  そういう成果をふまえた上で、こういうまとまりというのはどうしても抽象的なもの になりがちではありますが、今後の展開の中で、一つは強力な地域生活支援策、初年度 に移行期においては需要増への対応も十分ではなかったわけですが、今度は質的な意味 で本当に地域居住の場をどうしていくんだ、日中活動の場をどうしていくんだ、就労支 援をどうしていくんだという各論の段階で観念論ではない、具体的な方策を打ち出して いただきたいということです。  二点目は、今、地方分権の議論が非常に盛んになっておりまして、三位一体改革につ いては東京都だけが全国知事会と違う意見を出しておりますが、そこには立ち入りませ んが、国の立場としてできるだけ地方に任せる、緩やかに、あれもこれもじゃなくて、 口を出すところは最小限にしていただいて、大都市、地方いろいろありますから、フレ キシビリティを持たせるような施策展開をしていただければありがたいというふうに考 えております。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは安藤委員さんお願いします。  安藤委員  私は厚生労働省の部長さんや課長さんの御苦労もわかる気がします。政府の三位一体 の改革とか財政事業を考えると、資源の有限とか、公的サービスの限界等を出さざるを 得ないでしょう。  ただ、現実的な問題があるんですが、この検討会も19回を重ねてきています。ホーム ヘルプサービスの問題だけではなくて、障害者の自立とか就労など、非常に基本的な問 題を討議してきたと思うんですが、ただ、その結論といいますか、それが先送りになっ て障害者部会に提案されるようですが、障害者部会で具体的な検討がなされるとして も、今のところ国の障害者福祉施策に反映させるのはもっと先のことになるのではない かと思うんです。そうするとこの検討会が立ち上げられた時の重度の障害者の皆さんの 期待に全く応えられないというような問題が出てきます。  具体的に17年度予算とか16年度で出てきている問題は、包括的な報酬とか、長時間の 加算の見直しなど、それは単価を低く抑え、現在の厚生労働省の予算に合わせた切り下 げというような問題だけですか、これはないということです。これではちょっと今まで の検討が何だったのかというような反省が私たちに必要になるのではないでしょうか。  それと全身性障害者の問題は、もともと昭和25年の障害者福祉法が施行された時点か ら対応が遅れていた問題です。今ようやく24時間の介護を必要とする全身性障害者の問 題が論議されているのです。この分野についてはきちんと今回の報告の中で、国の責務 としての在り方というようなものを具体的に出していくというようなことが必要ではな いかと思うんです。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは板山副座長からお願いいたします。  板山副座長  大熊さんから今から25年前の紹介がありましたので、私もちょっと発言をします。そ うですね、1981年の国際障害者年を迎えようという時に実態調査、計画をするためには データが必要だと考えて、障害者団体の皆さんとお話し合いをする中で、私が大きく目 を開かされたことが一つある。まさに全身性障害者、生れながらの重度重複の障害を持 つ人たちがいかに惨めな生活実態にあるかということを教えられました。  それは差別と偏見の中、経済的困窮、様々な状況にあることを教えられた。それが全 身性障害者という言葉を初めて政策の上に、行政の上に作り出そうとした、私たちの取 り組みであったんです。それが全身性障害者問題研究会で、今日この中にも2、3人の 方がその当時のメンバーとして参加されていますが、当時、その研究会の成果を園田直 という厚生大臣が、「君のやっている研究会は大変いい研究会だから、省の審議会、検 討委員会にしよう、そしてそれを政策にまで打ち出していいよ」と、こういう状況を作 ってくださった。  今、私たちはいろんな議論をしておりますが、所詮日本の障害者政策、あるいは年金 制度にしても、社会福祉の諸施策にしましても、それは日本という社会、日本という国 が到達したレベルが具体的に政策として今現れてきている。今から25年前の環境はゼロ からの出発でありましたが、それをよりよいものにしていこうとする厚生労働省の姿勢 がありました。私は4年間厚生課長という仕事をさせられました。一つの仕事をなし遂 げるためには4〜5年のその責任あるポストにいるものは取り組まなきゃあダメだ、1 年や2年で変わってはダメだと言い続けられていたのでありまして、そういう環境が当 時あった。  あれから25年、今の小泉内閣のもとにおける厚生労働省の姿は、三位一体改革や補助 金の削減、財政困難、そんな中でせっかく精神病入院患者の地域への社会参加、あるい は知的障害者の施設から地域へという大きな展開を遂げようとする時でありますけれど も、決してそれを温かく迎え、あるいはそれを押し進めようとするスタンスはない。そ れは小泉内閣という政府がもっている政策そのもの、日本の社会がそれを許している、 そのことを私たちは大前提として持たなければいけない。  そんな中で今厚生労働省の障害保健福祉部は新しい地域生活支援の在り方を模索して いる最中です。しかしそれは様々な制約の中で模索をされているので、局長さん以下、 部長さんたちの御苦労はよくわかります。そしてこの検討会で打ち出そうとするこの案 も、所詮その部下が案を作り、その課長が決裁をした、判断をされた文章でありますか ら、皆さんが御指摘のように極めて不十分な、私たちにとってもっと前向きなものを出 して欲しいということがたくさんある。むしろそれは現状よりも引き締めに働くかもし れない、そんな提案になりがちな文章になる。そのことはよくおかれた状況というのは わかると思うんです。  ただ、さっき山路さんもおっしゃったが、本当に必要なサービスは、命を守らなきゃ あならんようなサービスは絶対に後退してはいけない。これは日本の社会福祉行政、障 害者行政がやってきた、重症心身障害児対策を含め、月に百何十万のお金を出している んです。現にやっているんです。だからそれを後退させるようなことがあってはならな い。支援費制度の中でも、今後においても、たとえ介護保険と統合されようとも、その 絶対に必要な最低限の保障は公的責任において守らなければいけない。  公的責任というのは国だけではない、地方自治体が一緒になってやればいい、そうい うことをやっていって欲しい。東京都はその先端を行っている。東京都はちゃんと地域 生活支援緊急3カ年計画を作っている、ぜひこの提案を受けて厚生労働省も障害者の地 域生活支援3カ年計画ぐらい、たとえ乏しい財源であっても打ち出して欲しいなと、こ れは最後にお願いでありますが、この検討結果を受けてぜひそんなことを考えていただ きたいと思います。以上です。  江草座長  ありがとうございました。続きまして京極先生お願いいたします。  京極委員  私は社会保障審議会の障害者部会長なので、部会長とした発言は差し控えますが、一 検討会のメンバーとして申し上げることがどの程度ができるか、同じ一人の人間が二つ やるということは不可能なんですが、ただ、この検討会は何の目的で開かれたかという ことの原点に立って考えて、やはりまとめる方向で一つ整理をしていただく。意見が違 うのが出たら、意見が違うということを明記していただいていいと思うんですね。これ はあくまでも社会・援護局長の私的懇談会ということでございますので、社会・援護局 長にこういうことができましたということで提出して役割が終るわけですが、もちろん それは冒頭で高原課長がおっしゃったように、今後の施策や審議会にもこの議論のまと めが来るということで、まとまったものが出ることを私は期待しております。  その上であえて申し上げますと、特に支援費制度の立ち上げについては、私は障害者 部会長として積極的にむしろ推進したので、ずいぶん反対の方もいっぱいいらっしゃい ましたが、最後はまとまったということでスタートいたしました。しかし、支援費制度 は決して完全なものではなくて、措置制度からの一歩前進ということなんですが、後退 した面もあるわけなんですね。全部良くなったわけではない。  その点はたしかに障害者のサービスの選択権ということを保障したということは大き なことなんですが、例えば国の基準というのが財政的には給付は国基準よりもっと高く してほしい、しかし負担は国基準より低くということで、その間は市町村でどうぞ勝手 にやってくださいという形で、ややもしますと普通は新しい制度を作る時にはもう少し 標準的な基準を作ったり、障害別にきめ細かな対応をしたり、いろいろするのですが、 その検討が不十分なままスタートしちゃって、そしてその前に上限問題がだいぶ大きな ことになって、この検討会を作るきっかけにもなったわけですが、やはり制度的な詰め が必ずしも十分じゃないということが言えるわけで、それが財政的な思わぬ増高に現れ ていると思います。  だから支援費制度についてはもっと改善する余地がまだまだあるわけで、私は介護保 険の統合問題にももちろん関心をもっていますが、統合するか否かに関わらず、支援費 制度の中で不十分な制度のところは、やはりそれなりに検討をしなくてはいけないと思 っているわけであります。  特にサービスを充実させるために、定型的なサービスと社会参加とか、必ずしも資格 をもったヘルパーさんであるかどうかというのとはちょっと違った、骨格の部分はいろ んな委員がおっしゃったように、資格を持った人で、しかももっと訓練しなくちゃあい けないと思うんですね。障害者のケアについては必ずしも大学でも専門学校でも教えて いるわけではありませんので、もっとそういうところは訓練が必要だ。  それはそれで置いておいて、しかし非常に弾力的なサービスについては、支援費制度 スタートの中でやや画一化してしまったということは明らかに制度を国が縛っちゃった ということなんですね。だからもうちょっとそこは二重構造でやるべきで、かえって措 置制度の方が弾力的にやられていたこともありまして、特に視覚障害者の方々等からこ の会議でもいろいろ発言されたと思いますが、そういうやや後退したところはやはりも う一回考え直して、現行の中でも改善するべきものは改善するということで、それがだ んだん決まってきませんと、在宅サービスについて裁量的な経費として位置づけがなか なかできないわけで、青天井でいくらでも上げてもいいですよということでは財政的に は義務的経費にならないわけですから、だからそこはやはりどこにどう区分するかとい うことは、ここの中では包括払いとか、いろいろな言い方をされていますが、少し丁寧 に議論をして整理しなくちゃあいけないと思っています。  それから加えて財政的な問題については、これはちょっと議論の前提であまり財政問 題は議論しちゃあいけないという空気があるようですが、これは財源問題からスタート した検討会で、原点を忘れて、もう降るほどお金があってさあどうぞ使ってくださいと いうのだったら、こういう検討会はやらなくていいわけですから、率直に言いまして事 実を申し上げているわけで、だからその時に山路委員もおっしゃったけど、やはり合理 的な財源の使い方がどうなのか、財務省と厚労省が予算戦争をした時にやっぱり勝てる 論理で、より財源をもっととれるような論理で戦わないと、一般的に増やせ、国家の責 任だと言ってもこれは一文も出てきませんからね。そういう争いは無駄な争いで、やは り具体的な論理を詰めてやらなくちゃあいけない。  そして量的には今は非常に厳しい歳出削減がされているわけで、そういう中でどうい う予算戦争ができるのか、特に17年度はおそらく16年度の予算よりもっと大変だと思う んですね。だからその時にここまでは定型的なサービス、ここは弾力的なサービスとい うふうに、分け方も一つの工夫だと思いまして、私はこの議論の整理案については基本 的には賛成でございます。  だからそういう量的にも厳しい条件の中で、どうしたら財源を増やせるかという時 に、例えば全身性障害者の問題については、これはきちっと確保しますよということを 書いてあるわけだから、その上で社会参加のいろんなことについてはもう少し柔軟な使 い方でやっていいですよ、そのかわり時間も、地域特性が違うわけですから、例えばボ ランティアがいるところ、いないところ、離島、山村も違うし、それぞれの地域でそれ は市町村が考えていただいて、どんなやり方をするのか、障害者団体と話し合いながら 決めていただくというのが筋じゃないかなと思います。国家が、行政が何か縛っちゃっ てやるのではなくて、もうちょっとみんなで考えていくような要素があっていいと思う んです。  それに、根幹の基幹的なサービスを何か緩やかにしちゃって、資格もはっきりしな い、基準も単価も下げちゃうとか、そういうことがあってはならないので、そこは二つ 分けて考えるということうもう少し文章上明確になれば、私も大いにこれは今後の施策 の改善になると思っております。  江草座長  ありがとうございました。それでは笹川委員さん、どうぞ。  笹川委員  大体これまで皆さんから出るだけのものはみんな出たと思います。私は最初から抽象 論よりも具体的な問題点をもっと検討しようということを申し上げました。というのは この支援費制度が始まったこの中身を見て、視覚障害者は本当に大変なことになったと いう印象を受けました。そういう点は厚生労働省の方でもしっかり受け止めていただい て、比較的具体的にこの整理の中で書いていただいています。  ただ問題は、この整理案を見て本当に安心して地域で生活できるかというと、なかな かそうもいかんというか、というのは書き方が非常に抽象的なものですから、はたして どうなのかなという気がします。ですから今後厚生労働省の方でしっかり具体性のある 内容にしていただきたいということが一つです。  それから財源の問題は当然のことで、無制限に財源があるわけではありませんから、 その辺はやはり我々障害者自身も十分認識しなくちゃあならないと思います。ただ、こ れまで何度も出ているように、全身性障害で本当に生命の危険のあるような方について は、これはもう財源の問題ではないというふうに思いますので、本当に万全の対策を講 じていただきたい。  それから施設もやはり地域生活の一部だと私は考えています。施設を廃止してそれで 全てが解決するかというと、決してそうではなくて、中にはやはり施設生活を希望する 方もあるわけですから、施設は施設でちゃんと条件を整備していく。特に今全国に60カ 所ほど目の見えない老人のホームがあります。そこで生活している人たちは、おそらく どんなに地域で受け入れ体制ができても施設から出るということはなかなか言わないと 思うんです。  というのはたえず不安がある、特に70才を過ぎて失明したような方は、もう24時間不 安なんです。そういう人を地域に出して、見守りましょうとか、世話をしましょうと言 ったって本人が納得しないんです。ですからやはり施設の役割というのは非常に大きい んです。だからその点はただ地域にみんな出せばいいということでは決してない、その 辺は十分考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。  それから板山先生が課長時代に実態調査をされた、これは本当に大変な事業だった し、大きな成果があったと思いますが、ちょっと今の身体障害者あるいは知的障害者、 精神障害者の実態把握が実態とあっていないような気がします。この辺はぜひ一つ研究 をして、今度の支援費の問題でもそうですが、予想以上に需要がどんどん出てきたなん てことのないように、本当に障害者が安心して暮らせる環境整備をぜひお願いしたいと いうふうに思います。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは佐藤委員お願いいたします。  佐藤委員  私は自分の意見を述べる前に立場を明確にしたいと思うんですが、介護保険との統合 については頑固な推進論の立場に立っております。もうこれしかないというふうに思っ ていまして、それはしかも一刻も早くきちっとした議論をやるべきだというふうに思っ ています。  今日のまとめのペーパーを読ませていただいても、現実には例えば先程お話もありま したが、社保審の障害者部会でも現実的な選択肢の一つであるというような議論がなさ れているにも関わらず、この中で一度もきちっとした議論をやらない、しかも最後のま とめもそのことについて、まあ介護保険という言葉は一言もないと思ったら、1カ所だ け出てきたんですね。ケアマネジメントの絡みで1カ所だけ出てくる、大体こういうこ とをやっているから議論がちゃんと進まないんだというふうにさっきからずっとイライ ラしていました。  やっぱりどういうふうに今後制度設計をしていかなければならないのかという時に、 支援費はすでに現実的な問題としてもう機能しない、昨年それは明らかになって、今年 さらにどうするか、また来年どんな事態を迎えるのかというような、まさに綱渡りの中 で、抑制的に働かざるを得ないというのは、もう現実の問題として本当にどうしようも ないと思うんですね。  私は支援費の前提になる理念はともかく、これは何ら依存はないわけですが、しかし 制度としては介護保険から後退したというふうに考えています。一つはダイレクトペイ メントを約束しなかったということですね。もう一つはケアマネジメントをきちっと制 度化しなかったということで、少なくとも公的な制度として支援費制度は介護保険より は後退したというふうな認識を持ってまして、障害福祉のレベルを今の介護保険が全て いいというふうには考えておりませんけれども、しかしあそこに込められている理念と か、あるいは運用が今後日本の福祉を変えていく起爆剤にはなり得るだろう、それにで きるかどうかというのは多くのそれこそ国民的合意が必要なわけですが、その世界に統 合していくというのは、単に財源の問題だけでなく必要なことだというふうに考えてい ます。  従って今日出てきた中で、包括払いのことがいろいろ議論になっていますが、私は介 護保険の制度というのはいわば包括払いだと思っておりますので、その一つのアプリケ ーションとして包括払いというのが、介護保険で言えば要介護度何になるのかわかりま せんが、想定されてしかるべきだろうと思っています。包括払いの考え方を導入すると いうことは、介護保険との統合を進めていく上でもステップになるだろうというふうに 思うので、賛成です。  しかし先程来出ているように、では例えばそれをいくらにするかという世界の中で、 そんなことされたら死んでしまう人がいるかもしれないということは、何人かの方がお っしゃったように、それはきちっと手当をする方法は別途あり得るだろうし、それはし なければならないことだというふうに思っています。大濱さんの試算によれば年間3,000 万ぐらいという、この額だけ見ますと驚いてしまうわけですが、逆にこれは実は10万人 に1人なんだということでしたら、千数百人の方ということになりますね。予算から言 えばそれは0.3%なんだと言われたら、いわば障害福祉の世界のサービスを受ける人た ちの中では例外的な存在と考えていいと思うんです。  私が先程から支援費制度を介護保険の中に統合して議論を進めていくべきだというの は、障害者だけでも100万のオーダーですね。精神障害者の方も入れたら現実に200万300 万という、高齢者の方を除いてもそれだけの人たちの地域生活を支えていく仕組みとし て考えなければならないし、そう思うと10万人に1人という該当者であれば、いわば制 度の中ではそれは例外なので、その例外はきちっと手当ができるというふうにも、逆に 言えば思います。だからそういうことで誰も取りこぼさないということを前提にしなが ら考えれば、例外を前面に押し出して、次の制度の展開について議論をするのはあまり 生産的ではないような気もします。  さらにこれは余計なことかもしれません。多分余計なことなんだと思いますが、国の 責任とか公的責任とかいうお話が出てきますが、私は30年この世界で仕事をしていて、 やっぱりなかなかそういうふうに世の中思っている人は多くなくて、高速道路を作った り新幹線を作ったりすることは国の責任だという政治家はたくさん知っているし、時に は軍隊を出すのも国の責任だと最近はなってきて、そういういろんな見解が分かれてい る中で議論を進めていこうとした場合に、やっぱり多くの人たちが安心して制度を利用 できる、活用できるというものを作っていかないと、支援費制度はそうは言ってもまだ 実際の潜在的利用者の数から言えば10分の1とか20分の1とかという人しか使ってない んですから、まだまだ多くの人たちの合意を障害福祉を中心にとりつけていくというこ とは時間がかかるようにも思います。  そんな意味でいい加減、厚生労働省は介護保険との統合ということを正面に掲げて議 論をされたらいかがでしょうか。このまま時間がないということでずっと来年の2月 に、どっちに転んでも介護保険の改正は出さなきゃあいけない、その時にいきなりポッ と出てきたらますます議論は混迷するんじゃないかなと思っていまして、どうせ見えて いる結論であれば、それはどうなるか、私は賛成派ですが、そうでない方もたくさんい らっしゃると思いますので、いろんな意味でいろんな場所で、いろんな人たちが議論す るようなことにぜひしていただきたいと思います。それができれば1年間おつきあいし た甲斐もあったというふうに思います。以上です。  江草座長  はい、ありがとうございました。それでは高橋委員さんどうぞ。  高橋委員  最近ちょっと作業的にある推計をしてみたんですが、1万人の町にどのくらいの要介 護者が、要支援者がいるか。ところが障害というのは本当にいい数字がないということ がわかりまして愕然といたしましたが、大体こんな感じですね。1万人あたりの町で65 才未満の身体障害者が140人いて、そのうち在宅は130人。そして知的障害者、これが65 才未満で大体30人が在宅で10人が施設。それから精神障害者が170人在宅していて、30 人は精神病院に入院している。そして例の72,000人を10,000人に戻しますと大体6人と いう数字で、そして支援費を利用している人たちは今33万というふうに推計されていま すから、そうしますと大体1万人の町で大体30人ぐらいだろう。  するとこれは今までのいわゆる実態調査の数字ですから、この30人と身体130人、知 的30人という数字、精神障害者が入ると170人というのですから、いかにギャップの大 きい数字かというのが明らかで、そして6人の精神病院から出てくる人たちを地域で受 け止めるということになれば、グループホームやいろんな施設を根っこから整備しなお さなければいけないという意味では、大体今障害者関係費が8,000億でしょうか、支援 費関係が4,000億から5,000億、在宅は600億程度というふうに言われておりますが、私 はこの数字はとても間に合わないと思う。  それから障害概念、とりわけ知的の概念でいえば自閉なり、学習障害なり、アスペル ガーなり様々なことを言えば、私の尊敬する岡田喜篤先生が先日障害の三部会の作業の 時に、おそらく今の知的障害の把握は0.5%ぐらいだけど、人口では1.5〜2%ぐらいで あろう、そしてキーワードは地域生活を支援するという、そういうキーワードであると いうことはほぼ合意がとれているわけですから、とすると議論はもうはっきりしている のでありまして、これは佐藤委員の結論ではありますが、今、支援費をこのまま延ばし ていきますと、中途障害者と知的障害者と、そういう方たちの取り合いの話になってい る、すでにそういう傾向があるというふうに私は思っています。  そしてすでに自治体は財政破綻をしかけていて、私の知り合いの障害担当は嘆いてま した。財政当局から全額15%カットしろと言われている、それなりになぜ支援費だけ15 %贈での予算を要求するのかという、そこでもうせめぎ合いを今やっているという、こ れは東京都でも1億でフォルターが起こっているとか、いろんな議論がありますけれど も、となるともう結論ははっきりしているので、それをどういう形で政策化するかとい うのが課題であろう。そういう意味では支援費というのはここ1年2年をどういうふう にしていくかという工夫をせざるを得ないので、これはともかく有無を言わせないとい う感じが私はしております。  そういう意味でその中で何をするのか、選択の幅は極めて限られているというふう に、少なくとも私は思っております。ただ、何よりも重要なのは、中西委員や大濱委員 をはじめとして、今日たくさん御列席の当事者の方々がいらして地域生活がキーワード だということを、やっぱりそれを後退させるような政策なり、結果をもたらすような事 態は、これは渾身の力をもって避けるという、これは前提でございます。  ただ、私は介護保険を矮小化して議論されては困るというふうに思っております。3 時間が上限ということが流布しておりますが、これは基本的に間違いだというふうに私 は思っておりまして、介護保険は介護保険のロジックの中で自らのあり方をいま変えよ うとしています。ただし、今の時点でそれが政治的にできるかどうかと言いますと、そ ういう時点ではございません。  これは京極部会長がいろんな形で介護保険に報告をされた段階でございますが、それ から一方で基本的な論調を伺っておりますと、法定受託事務に障害者福祉を戻せとい う、そういう制度的な議論をされているというふうに私は受け止めております。これは 要するに国が責任をもって生活保護のようにコントロールしなさい、しかし一方で地方 自治体に自由にやらせろという議論があります。これは制度的にも無理です。  これは平成2年以降の福祉改革の流れについて、これは無理だというふうに、その流 れに逆行するものですから、そういう意味では先程有留委員がおっしゃったように、地 方自治体と国の共同の仕事としてきちんと確立するということが必要で、それについて はやっぱり市町村の首長さんをはじめとする自治体の認識はまだまだだということは、 これは確かでございますが、やっぱり地域に住んでいる全ての住民に責任を持つ仕掛 け、そしてそれは一方でいえば地域の1万人の人たちが税金を払っているわけですか ら、そういうことにも耐え得る仕掛け、これは山路委員が先程おっしゃった通りかとい うふうに思いますが、そういう議論をやはり私はしたかったというふうに思っておりま す。以上でございます。  江草座長  ありがとうございました。それでは竹中委員お願いいたします。  竹中委員  先程大熊委員がお出しになった資料の中で、日本の障害者の自立運動というのはやは りアメリカのIL運動から始まってきて、そしてエド・ロバーツさんの衝撃というのは 非常に大きなものがあり、たくさんの感銘を受けた、私もその一人ではあります。エド ・ロバーツさんの素晴らしかったところは、全身性の障害をお持ちで、介護が必要で、 なおかつ夜間は鉄の肺といいますか、酸素吸入等も必要であったからすごかったのでは なくて、やはり州のリハビリ局長にまでなられて、多くのアメリカ国民、あるいは多く のカリフォルニア州民のために働かれ、なおかつその州民の中に障害も持つ方も持たな い方もいらっしゃる、そういう中で彼が局長というお仕事をなされ、自分自身の働きぶ り、あるいは目標、理念を世界にも発信してこられた。なおかつ当然彼は局長のお仕事 までされておったわけですから、地域と立場とそして収入があり高額の納税者であった という、この総合的なことを私たちは学ぶべきであったにも関わらず、残念ながら、も うこれは何度も言ったのでもうこれ以上言いたくはないのですが、この検討会の議論は そうではないというのが私にとって最も残念です。  日本の国は今予算の問題だけではなくて、いろんな意味で分水嶺に多分来ているんだ と思うんですね。それは本当に一人でもたくさんの人が社会を支えようという意識を持 つのか持たないのかという、これは障害あるなしに関わらずですが、そこのところの気 持ちを自分たち当事者一人一人が語り合うことなしに、私は何かを受けるのだという議 論だけに終始をするということは、おそらくもう皆さん限界が来ていることはわかられ ていると思います。  そして私はやはりこのエド・ロバーツさんに学ぶのであれば、多くの障害を持つ人た ちが働く当然権利があるわけですし、義務があり、また納税の権利と義務もあるわけで すから、それを全うに達成できるような、つまり社会に支えられつつも支える一員にな れるという仕組みをやはり構築する方向に日本は行っていただきたいというふうに思っ ています。  それからこの議論の整理の1頁目に、家族や職場の協力も重要という部分のところ で、また家族を引っ張り出すのかという言い方もありましたが、ただ、この文章を冷静 に読んでみると、障害者自身が主体性をもって生活を送るための力をつけていくには家 族や職場の協力も重要であるということなんですね。これは私たちが就労支援のための コンピュータセミナーなど、あるいはそれからいろんな物づくりに向かう人たちのバッ クアップをやっていてわかることですが、例えばコンピュータ一つ学ぼうという時に、 御本人が学びたいと行っても止められる親御さんがいらっしゃいます。  そして特に知的の障害などを持っていると、「この子等にこんな高いものを触らせん といてください」とはっきりとおっしゃる家族の方だとか、あるいはその施設の方、あ るいは作業所の職員の方々もいらっしゃって、私は大変残念で非常に身近な人たちがそ の人のチャンスの一歩踏み出すことすら芽を摘んでいるという現状をたくさん見てきま した。  ですからそういった根っこのところから、その人の持てる力を世の中に発揮するため の協力者というのは、家族も教育機関も全てだろうと思います。私はここの文言はその ようにもう少し表現をやはりきちっと変えていただきたいなというふうに思っていま す。本当に日本はこのままでは、私は支えることを拒否するではないですが、支えるこ とよりまず支えられる議論だけに終始することを続けていれば、これは障害者だけでは なくて高齢者の問題であれ、女性の問題であれ、もう間違いなく破綻をきたしてしまい ます。  そして女性に置き換えてみますと、昔と言ってもほんの60年ほど前までですが、女と いうのは家庭にあって、妻として子を産み母としてそして夫を支えるということが女の 役割であって、最も女として素晴らしい生き方であって、そしてもちろん参政権等々も なかった。そのような位置づけから、女がやはり自分が人間としての存在の意義という のは何かと考えた時に、世の中には男性と女性としかいなくて、そして男性と同じよう に女性も社会を支える一員であるべきだという考え方で、女性の地位の向上や、あるい は男性とともに社会を支える仕組みが徐々に徐々にできてきたわけですね。  その時に障害を今持つ人と、まだ持たないという、この2種類の人が、まだ持たない 人が今持っている人は、社会に出て来なくてもいいのだ、支える一員にならなくてもい いというのは甚だおかしい議論であるし、障害を持つ方自身がまた自らをそのように規 定してしまうというのは大変悲しいことです。ですからもう一度この自立運動の出発点 といいますか、エド・ロバーツさんから学ぶことは何だっだか、彼がそのような体で働 き、そして燃焼し尽くして亡くなった、そのことが私は非常に尊かったと思っています が、それからもう一度私たちは学んでもいいのではないかなというふうに思っていま す。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それでは最後になりましたが谷口さん、どうぞ。  谷口委員  私がここに参加させていただいている立場というのは、地域の支援センターの相談員 ということで、ずっと来させていただいております。でも最後だけは私は障害当事者で あり、またこの4月から大学の教員として働いておりまして、その辺の研究者の立場か らも発言をさせていただければと思っております。  まず、佐藤委員から立場をはっきりということでさっき出たのですが、私も研究者と いうのは非常識が言える職種なんじゃないかなと思っています。それで私は今どういう 立場が一番いいのかと考えた時に、財源は介護保険で、でもシステムは支援費でという ふうに考えています。それはどういうことかといいますと、支援費制度のいいところは やっぱり残して欲しいなとすごく思っています。支援費制度でやっぱり障害を持つ方々 の生活が変わったことは確かですし、それも支援費制度に合わせるということは、大胆 に全体を日常生活支援ぐらいの金額にしてもいいんじゃないのと私は思っています。そ うしたら財政も全部OKじゃないかな、こういう論議を今私の周りりではしています。  なぜかと言いますと、この支援費制度というのは現場にいてわかるのですが、障害を 持つ方が幸せになったことは確かなんですが、それと同じぐらい、あるいはそれ以上に 事業所が幸せになっています。私はそこら辺が単価の問題が非常に大きいのではないか なと感じている次第です。  そしてもう一つ竹中さんもおっしゃったように、私は親の協力というのは全然なくし ては考えられないと思っています。私の親を見てもそうです。エンパワメントを考えた 時に、本当に障害を持つ方々の足手まといにならない親というのがものすごく重要だな と思っています。だからここの書き方も私は大事だと思っています。  そしてボランティアの問題なんですが、ケアマネジメントの研究をしておりますと、 社会資源、アメリカの統計なんかを見ますと、大体70%から80%がボランタリーな資源 です。公的資源はやっぱり少ない。それをうまくコーディネートして生活をする、私も アメリカで介護を受けながら生活をしておりましたが、やっぱり遊びに行くとかレクリ エーションに行くとかというのは実はボランティアベースが非常に高いんですね。それ で日本のボランティアは今非常に危ない状況にあると思っています。  私は今1年生を教えていますが、1年生からアンケートをとると、90%近くがボラン ティアをやりたいと言っています。しかしだんだん2年生、3年生、4年生になってい くとこの数が減っていく。これは一体何なんだろうなと思っています。やっぱり私も含 めて障害を持つ我々がボランティアを否定してきたことにも問題があるのではないか な。「責任をとってくれないじゃん。」と言い過ぎたんじゃないかなとものすごく思っ ている次第です。  それで大濱さんの資料、ヘルパーの人件費ということで950時間というのが出てきて いますが、やっぱりこんな言い方をすると怒られるかもしれませんが、これは事業所さ んの査定なんですね。障害を持っている方本人からすれば、一番上の778時間、これで OKなんです。それでこれを包括払いにしていただくともっと効率的に使えるのではな いかな。今1,500円払ったとしても事業所が3分の1から半分ぐらい取っていっちゃう。 けれど包括払いにしていただくと直接払えるのではないかな。そうしたら質の高い介助 者にはもっとたくさん払えるのではないかな。その代わり質の悪い介助者には、お前は 横で寝ているだけやから安くしておいてね、それはそれでいいんじゃないかなと私は思 うわけです。  やっぱり包括払いというのを認めていかない限りは、ダイレクトペイメントにつなが っていかないと私は思っています。ですからダイレクトペイメントを良しとするなら ば、包括払いというのもやはり最初の一歩として考えていく必要があるのではないかな と私自身は思っています。  これから障害を持つ方々の介護がどういう方向に進むにしろ、障害を持っている方が 生きていることは確かでございますし、施設から出たいとおっしゃっているのも確かで あります。ですからもっと住まいとか労働とかという意味で、本当に障害を持っている 方自身が、先程エド・ロバーツの話が出ましたが、彼は「タックスペイヤーになろう、 納税者になろうよ」ということを一番言っていたわけですね。私はそういうこともこれ から考えていかないといけないんじゃないかなと、この委員会を通して最後にコメント をさせていただきます。ありがとうございました。  江草座長  ありがとうございました。それではオブザーバーの方からお話をいただきたいと思い ます。  小田島(オブザーバー)  東久留米から来ました小田島です。やっぱり知的障害者というのはここにいろいろ書 いてあるのですが、その中にはあまり載ってないので、そしてこれからは施設から出る 人たちもまだたくさんいるので、いないということじゃなくて、いるので、そのお金も 出るように厚生省の方で頑張って欲しいなというところがあって、そして一人で暮らし ていくのは本当にお金もかかることだし、それで僕達もこれからお金の出るところがな いなんて言われたら、本当に淋しくなっていくんじゃないかなと思っています。  それで寝たきりだけがこの程度にとるといって、知的障害者とか身体障害者とか車椅 子の人は24時間つかないというようなことは本当にこれは検討委員会でもう一回直し て、見直してもらいたいと思っています。知的障害者一人暮しで、親の会と僕達とは違 います。知的障害者の親の会はグループホームを作ると言ってるけど、僕達は自立をや っていますので、そのことをよく考えて欲しいと思います。それだけです。  佐々木(オブザーバー)  このまま介護保険になったら、これから自立をしたい人はできなくなります。サービ スがどんどん減ったら、やっぱり最後は親の面倒を受けることになってしまいます。や っぱりそういうことは勘弁して欲しいと思います。以上です。  奈良崎(オブザーバー)  育成会の奈良崎です。6月中に西駒郷に行きました。この委員会の作業部会で出会っ た山田さんの施設に行きました。施設の本人たちといろいろな話をしていて、一番私が 印象的だなと思うのは、本人が施設に入って嫌だなという人が、私はそれを聞いて、 「エエっ、何で? 」と聞いたら、施設の中は1日の予定が組まれているのがすごく嫌 だよと言われて、逆に施設から出て何をしたいと聴いたら、グループホームに入りたい と言いました。でも「グループホームっ何? 」って、グループホームという言葉だけ で本人たちが知らなかった人がすごく多かったんですね。それともう一つが、いろんな サービスの内容もそうなんですが、サービス内容が本人たちがわからないのに、本当に 地域に出ていいのかなと私はいつも思った感想です。  あとグループホームやホームヘルパーとか、皆さんすごくカタカナ語なんですが、本 当に言ってその言葉に対して本当に本人の訳語なら、ホームヘルパーの訳語をお手伝い さんなんだよとか、そういう優しい言葉で訳してもらえばいいなと思いました。以上で す。  山田(オブザーバー)  この検討委員会は19回やって、オブザーバーとして大体出ていると思うんですが、最 後にもう一回言いたいのは、我々も知的障害者自体も委員にして欲しいなという、最初 からの意見です。それとあとはこの資料の1の7頁の、障害者自らがケアマネジメント する方法が適切である場合もあることから、セルフケアマネージャーができる仕組みも 導入すべきであると、そして知的障害者本人が勉強もし、これからも参加する中で、そ ういう部分の、我々のことを決める時には我々も交えて決めてくださいという知的障害 者の訴えが一番あるんですね。そういうことで本人を仲間と一緒に支え、また自分も支 えてもらうということで、そういう仕組みができたらいいなと思います。  プラスして、資料1の2頁の住居支援というところで、入所施設やグループホーム等 から移行先として希望するものには民間アパートや公営住宅で安心して暮らせるよう、 本人や家主に対して緊急時に対応できる地域の支援体制を推進すべきである。我々知的 障害者はアパートや公営住宅、公営住宅は特に枠がないとよく言われてしまう、老人枠 はあるんだけど知的障害者の枠はなかなかなくて、単身では住めない人が多いんです ね。それで親と一緒に住んでいる場合はいいんですが、親が亡くなった場合、一人では 住めなくなり追い出されてしまう部分もあるので、そういうことはないようにして、我 々が地域で自立して暮らせるように、先程小田島さんの方から言われたように、アパー トか、それも全部本人の考えの中の一つとして、もちろんグループホームもそうだし、 小田島さんが言うようにアパートか、または公営住宅みたいなところで知的障害者が暮 らしていけるようにしていただきたいなと思います。以上です。  江草座長  ありがとうございました。それではこれで一通り御意見が終りましたので、高原課長 から少しお話をしてください。  高原課長  各委員の皆様、それからオブザーバーの皆様の非常に重い御発言、御意見をいろいろ 聴いておりますと、なかなか事務局としても発言の言葉を選ばざるを得ないような気持 ちになってしまいますが、今日議論が集中した包括払いの点についてだけ、一点御説明 をさせていただきたいと思います。このレポートの中にも書かせていただいております が、重度の障害者の方も含めて地域での暮しをちゃんと支えていけるような、そういう サービスの質と量を確保していくという、こういう基本的な考え方に立って、どういう ふうにこれから制度を運営していくかという、これが基本だろうと思っております。  ただ、現実の支援費制度を見てみますと、必要な方に本当に必要なだけのサービスが 提供されているのか、あるいは非常に長時間のサービスを受けておられる方の場合、コ ストでいいますと、やはり平均的なサラリーマン所帯の3家族分の年収、あるいは4家 族分の年収、もっと多いケースも出てきているわけでございます。  これは私は田舎は岡山ですが、田舎の友人知人で福祉に直接関わりのない人間と雑談 をしていますと、こういう現状が良いのかどうか、なかなかやっぱり理解してもらえな い現実もあることを感じていますが、ただ、これは制度設計にかなり問題があるのでは ないのかということも感じています。  それは必要なお一人お一人のニーズとサービスをきちんと結びつけるケアマネジメン トの仕組みが制度化されてないとか、あるいは今まで割と長時間の利用においては、そ の地域地域で工夫されながら弾力的にやられた部分をかなり単価も一律に引き上げて、 画一化してしまったこととか、あるいはいわゆる出来高青天井の費用の計算方式にして いるとか、あるいは本当に長時間のサービスがないと生命の維持の困難な方とそうでな い方との区別がされてないとか、そういうところについてはやはりこれは制度設計上の 問題だと思っておりますので、そういう問題点については見直しをさせていただきたい ということで、この国庫補助基準の見直しなり、長時間サービス利用の点についても御 提案をさせていただいております。  もちろん、いろいろと医療も含めてどうすれば包括的な、例えば夜間や緊急時の対応 も含めたサービスが提供できるかどうか、そういったところについては今後きちんとし た調査なり議論も必要だと思っておりますし、そこらへんは今後私ども詰めていきたい と思っておりますが、物事の考え方として一定の費用の範囲内できちんとしたサービス が提供できるような、そういうことはぜひ検討をしていきたいという趣旨でございま す。  あとは全体的にいただいた御意見につきましては、この案におきまして、もっと明確 にすべきところは明確に、あるいは追加すべきところは追加するといったような工夫を 事務局としてさせていただきたいと思っております。以上でございます。  太田委員  太田ですが、文章を修正させるということでございますが、もう検討会はないわけで ございまして、修正した場合の分析というか、例えば検討会として出すのか、検討会事 務局として出すのか、手続き上の問題はどうなるのでしょうか。  高原課長  この種の検討会のとりまとめを行うにあたって、事務局として考え方を出すというこ とは、これはあり得ないわけでして、やはり検討会での御議論を整理したものをとりま とめていくということになります。手順としましては、事務局の方で今日の御意見をふ まえたものを座長、座長代理と御相談をして、再度修正したものを各委員に見ていただ く、そしてさらに御意見があれば修正をしていくという、こういう形で進めていきたい と思います。  江草座長  ありがとうございました。予定の時間がもう25分過ぎておるのでありますが、今日は 非常に大事な会でございましたし、また皆さんの活発な御議論がございまして、私は議 論は深まったというふうにも思っております。もちろん皆さんの中には物足りないと か、もっと具体的にとか、もっと本質的な前進をとか、いろいろと御意見があったこと もありがたいことでありますが、やはり20人余りの委員の平均的なまとめということも やらなければいけません。いろんな御意見があったことは当然記録に留めるということ はしなければいけないと思います。  しかし、今課長からお話がありましたように、今日の議論のまとめをいただきました 御意見をふまえて修正案を作りまして、そして皆さんにまた再度お目にかけるというこ とにしたいと思います。そしてまた、個別にどうしてもこういうことをということがあ れば、事務局の方へお申しつけくだされば、当然お話を聞くにやぶさかではないはずで あります。そして事務局の案ではなくて、事務局はあくまでもまとめるということでご ざいますので、そのことは太田さんも御理解をいただけるだろうと思います。それでは 大変長い時間でございましたが、皆さんの御協力を感謝いたします。最後に部長から御 挨拶がございます。  塩田部長  今日も含めまして19回にわたりまして、それぞれの御立場から心温まるお言葉をいた だいたと思っております。私たちも知らなかったこととか、こういうことに気がつかな かったとか、これからこうしたらいいんだろうとか、いろんなことに気づかせていただ きましたし、できるだけ皆さんから出た意見を政策として実現すべく最大限努力したい と思っております。  この検討会は昨年1月の障害者団体と厚生労働省の話し合いから始まったものです し、原点は障害者の方が地域で普通に暮らせるようにするにはどうしたらいいかという ことをみんなが考えるということであったと思います。その原点は私たち、少なくとも 厚生労働省では忘れないで、政策の見直しとか改革に務めていきたいと思っておりま す。  私も就任しまして10カ月ちょっと経ちましたけれども、障害者福祉のことを考えると いうことは、地域社会のことを考えることでもあるし、日本の社会、これからどんな方 向にもっていいかということを考える作業そのものだということをつくづくと感じてお ります。理念というか目標を実現するのは平坦ではないのですが、最大限難しい課題で はありますが、省をあげて板山前課長に負けないように私も頑張りたいと思いますの で、よろしくお願いいたします。チャレンジしたいと思います。  それから議論はまさにこれからが本番でありますので、今日で終わりということでな くて、多分夏以降いろんな地方自治体の方とか、経済界の方とか、医療保険の関係の方 とか、当然政治家の方も選挙が終わればいろんな立場から議論をしていただけると思い ますし、まさにこれから本番ですので、この検討会はとりあえず閉めるということにな るかもしれませんが、形を変えて、いろんな形、いろんなチャネルを通じてぜひ皆様方 にも御意見もいただきたいと思いますし、ぜひ応援して欲しいと心から思っております ので、激励をしていただれば、この検討会の原点である目標を実現すべく頑張りたいと 思います。本当に長い間ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたしま す。 照会先           [障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会事務局]                            厚生労働省社会・援護局                            障害保健福祉部障害福祉課                              藤原(内線3043)                              TEL 03−5253−1111                              FAX 03−3591−8914