(1) | 対策の方向
・ | 過重労働については、総合対策の確実な実施、特に適正な労働時間管理を図るとともに、健康診断を軸として健康管理を進めることが基本であるが、やむを得ず長時間労働になった場合にはそれに応じた健康確保のための措置を講ずる必要がある。 |
・ | メンタルヘルスについては、4つのケアにより心の健康づくりを進めることが基本であるが、自殺予防の観点からメンタルヘルス不全に早期に対応できるようにする必要がある。 |
・ | 過重労働による健康障害、メンタルヘルス不全については、いわゆる作業関連疾患に分類されるものであり、業務上の要因のほか個人の要因がその発症に影響するものであることから、有害物質による健康障害の防止対策のように、一律に対応することが困難な面がある。 |
|
(2) | 事業者の責務
・ | 過労死等の判例に見られるように、一般的に、事業者には労働時間管理や労働者の健康状況を把握し、それに応じた適切な措置を講ずる責務があり、実行する意志を表明し、実行する義務がある。 |
・ | 事業者は、健康診断結果、産業医による職場巡視、時間外労働時間の状況等様々な情報から労働者の心身の健康状況及び職場の状況を把握し、それに応じて職場環境の改善、積極的な健康づくり、労働時間を含む適切な作業管理等様々な措置を展開することが必要である。 |
・ | 職場のリスク低減を図ることにより、過労死等の労災の防止はもちろん、心と身体の健康の保持増進、いきいきとした職場づくりが進む。これにより、労働者の労働意欲が高まることが期待できる。 |
|
(3) | 労使による自主的な取組み
・ | 過重労働対策、メンタルヘルス対策については、国が一定の基準を示し、それに沿った措置を実施するばかりでなく、労使一体となった取組みが必要であり、特に衛生委員会等を活用した労使の自主的取組みが重要である。 |
|
(4) | 労働者自身による取組み
・ | 労働者自身が積極的に自己の健康管理を行うことも大切であり、労働者自身の自主的努力、取り組みを促進することも重要である。 |
|
(5) | 産業医等の関与
・ | 過重労働対策、メンタルヘルス対策については、医学的知識を基礎とした健康管理が対策の軸となるものであり、産業医等の医師の適切な関与が重要である。このため、関係者の教育等により産業保健活動の充実を図ることが必要である。 |
・ | 業種や事業場規模に関係なく全ての事業場において対策を講ずることが求められる。産業医の選任義務のない小規模事業場への産業保健サービスの提供のため、地域産業保健センターが設置されているが、対策の適切な実施のために、この充実を図ることが必要である。 |
|
(6) | 健康情報の保護
・ | 事業場において対策を実施する場合、個人の健康情報の保護について十分な配慮が必要である。特にメンタルヘルス対策で肝要である。 |
|