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血企第230号
平成平成16年6月30日

厚生労働省医薬食品局血液対策課長 様


日本赤十字社 社長


日本赤十字社の血液事業の機能強化について(回答)


 平成16年6月15日付薬食血発第0615001号でご依頼のありました標記の件については、別紙のとおり回答いたします。



日本赤十字社の血液事業の機能強化について(回答)

1.  日本赤十字社は、血液事業の機能強化に当っては、組織改革に至った背景、経緯、要点を明確にし、将来構想を明らかにすること。
(回答)
 (1)  背景
 これまで日本赤十字社の組織の縦割りの中で意思決定がなされてきた仕組みを改め、新たに民間企業で導入されている事業本部制を導入し、日本赤十字社の血液事業関係者をはじめ、民間製薬企業の経営経験者、厚生行政経験者、学識経験者等で構成する経営会議で審議し、決定する体制を整備します。これによって血液法、改正薬事法の施行に向けた適切かつ機動的、弾力的な対応ができる体制を構築します。また、安全対策も強力に推進します。
 (2)  検討の経緯
 平成15年7月1日付けで、本社関係部局長、都道府県支部事務局長及び血液センター所長等の参加を得て「血液事業の将来構想と実施体制等に関する検討委員会」を立ち上げ全社的な検討を行ってきました。検討過程では、血液事業を赤十字から切り離し、財団法人化することも検討を行いました。
 (3)  新たな実施体制の要点
ア.  本部長には常勤の理事(常任理事会理事)を充てます。
イ.  本部長には血液事業の実施に当っての代表権を付与します。
ウ.  薬事法及び血液法に基づく医薬品製造販売業等の許可・変更申請等は、血液事業本部長が行い、薬事法及び血液法上の責任者とします。
エ.  決裁権限の範囲は社長と同様の決裁権限とします。
オ.  血液事業本部長を支援し、血液事業の経営を行う、血液事業経営会議を設置します。
カ.  血液事業経営会議は、血液事業本部長が総理します。
キ.  血液事業経営会議は、血液事業の経営にあたり、血液事業本部の所掌にかかる重要事項を審議し、決定します。
ク.  血液事業経営会議委員は、日赤の血液事業関係者のほか、民間の製薬企業経営経験者、厚生行政経験者等で構成します。
 (4)  将来構想
 血液事業の将来構想については、安全性確保対策、事業の効率化・集約化或いは国内自給を踏まえた血漿分画製剤の製造・供給体制及びこれらを踏まえた長期収支見通し等様々な課題があり、今後、新設される血液事業経営会議等において審議されていくこととします。

2.  血液事業の機能強化は、「輸血医療の安全性確保のための総合対策」の成否に重大な影響を及ぼすものであるから、日本赤十字社は、機能強化案を策定するに当っては、輸血を行う医療関係者から幅広く意見を聴取して問題点を抽出するとともに、その解決のための措置を講じること。
(回答)
 日本赤十字社の血液事業の実施体制については、最終的には、最高意思決定機関である理事会・代議員会において意見を聞いた上で承認を受ける仕組みとなっております。
 このたびの組織改編にあたっては、事前に本社関係部局長、都道府県支部事務局長及び血液センター所長等の参加を得て「血液事業の将来構想と実施体制等に関する検討委員会」を立ち上げ全社的な検討も行なった上で、改革案を取りまとめ、6月22日に血液事業審議会を開催し、外部の識者の意見を聞いたところであります。
 今後も血液事業の重要事項については、血液事業審議会でご審議いただき、外部の識者からの意見を広く聴取したいと考えております。

3.  血液事業の機能強化に当っては輸血医療や安全対策にかかる技術革新について最新の知見を取り入れることが必要であり、公正かつ透明な実施体制の確保が求められることから、日本赤十字社は、血液事業審議会の位置付けを見直すなど、外部の有識者からの意見を取り入れる仕組みを構築することを検討すること。
(回答)
 日本赤十字社では、従前より血液事業に関わる重要事項について審議するため、社長の諮問機関として、血液事業審議会を設置している。当審議会は主に日赤以外の外部委員で構成され、事業の実施にあたって外部の識者の意見を徴しており、現委員には医療関係者や患者団体の代表者等に参画をいただいております。今後も血液事業の重要事項については、血液事業審議会で審議いただき、外部の識者からの意見を広く聴取したいと考えております。なお、会議については今後頻繁に開催することによって、皆様のご意見を事業運営により一層反映させてまいりたいと考えております。

4.  日本赤十字社は、血液事業についての専門的な経営陣容を整えるに当っては、その構成員の責任の所在と範囲を明確にすること。
(回答)
 経営会議は、本部長の総理のもとに重要事項の審議・決定を行うものであり、本部長は、経営会議の委員に分掌させることができることとされており、この分掌の取り扱いについては、経営会議において議論し、その上で決定をしていくこととしています。

5.  安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律により、地方公共団体と採血事業者の責務が明確に規定されたことを踏まえ、日本赤十字社は、血液事業に関する人事、財務を始めとする各支部の責任と権限を見直すことを検討すること。
(回答)
 血液センターは支部管下とし、血液センターの経営及び監督を行う現状の取り扱いは変更いたしません。
 ただし、薬事法等に基づく査察や技術的指導は血液事業本部が一元的に実施します。また、本社の財政調整制度を強化し、各血液センターの安全対策等についての支援を本格的に実施する等の改革を行います。
   なお、日本赤十字社は一つの組織であり、血液センター、病院、支部の相互交流が必要であることから一体的に人事を行うことが原則であります。しかしながら、人事上の問題で血液センターの経営上の問題が生じているような場合は、関係者が協議して人事に反映させるような取り扱いをすることも考えられます。

6.  血液事業特別会計の内容が複雑かつ難解であるので、機能強化後の専門的な経営部門においては、問題点を迅速に把握し、合理的な経営ができるよう、日本赤十字社は、会計に関する事項の見直しを検討すること。
(回答)
 血液事業特別会計において、これまで血液センター間の内部取引の関係から二重に収支を計上していた取引があり理解しにくい面があったことから、会計規則の見直しを行ない、平成16年度からは極力内部取引に伴う収支を除外した予算計上を行っています。

7.  日本赤十字社は、血漿分画製剤の製造体制の今後の在り方について、国際的な状況も踏まえ、戦略的に実行できる体制を構築すること。
(回答)
 血漿分画製剤の製造体制の今後の在り方については、血液事業の重要課題であることから、血液事業経営会議等で審議していく所存であります。

8. 日本赤十字社は、今般行われる血液事業の機能強化後も、血液事業の状況の推移に応じ、本社内の血液事業の各部門の望ましい在り方について検討を継続するとともに、その内容を公表すること。
(回答)
 本年10月に設置予定の経営会議での審議状況を見守ってまいりたいと考えております。


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