04/06/28 第2回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録    第2回社会保障審議会統計分科会 疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録 1 日時  平成16年6月28日(月) 15:30〜16:40 2 場所  厚生労働省共用第6会議室 3 出席者   <五十音順>   大江和彦委員、菅野健太郎委員、藤原研司委員、松尾宣武委員、松田晋哉委員   事務局       人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長 4 議題 (1)2003年世界保健機関国際分類ファミリー協力センター分類改正委員会における    保留14項目の検討 (2)その他 5 議事内容 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、予定の時間となりましたので、第2回「社会保障審議会統計分科会疾病、 傷害及び死因分類専門委員会」を開催いたします。  先生方には、本当にお忙しいところ、本委員会に御出席いただき、厚く御礼申し上げ ます。  まず、お手元の資料の確認をお願いいたします。  最初に座席表がございます。  次に、第2回「社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会」の 「議事次第」がございます。  資料といたしまして、番号がないものがございます。題名は、「2003年世界保健機関 国際分類ファミリー協力センター分類改正委員会における保留14項目に対するWHOへ の回答として寄せられた意見」というものです。  参考資料の1といたしまして、「WHOにおけるICD−10の改正について」。  参考資料2、「カルテ病名のコード化」。  参考資料3、「第1回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会 議事録」でございます。  委員の先生方、資料はそろっていらっしゃいますでしょうか。  資料の確認は以上です。  なお、本日は、山本委員長、田中委員が欠席でございます。山本委員長は、急病によ る欠席でございまして、本日の議事の進行については、菅野委員にお願いしてはどうか との御提案がありました。  事務局といたしましては、山本委員長の御提案どおり、菅野委員に本日の座長をお願 いしたいと思いますが、皆様いかがでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、菅野委員、よろしくお願いいたします。 ○菅野委員長代理  それでは、御指名ですので、議事の進行を司らせていただきたいと思います。  お二方の先生、お一方は御病気ということと、急用で御欠席になりました。  今日は、議事に入る前に、WHO本部の方から御来賓がいらしておりまして、一言ご あいさつをいただきたいと思います。  (英語) ○ユーストン氏  (英語にてあいさつ) ○疾病傷害死因分類調査室長  簡単に御挨拶の内容を紹介させていただきます。  ドクター・ユーストンは、大の日本びいきで、最初は、文部省のスカラシップでいら っしゃったということで、今回5回目の日本訪問とのことです。  この委員会に出席できたことは名誉でありうれしいということです。ICDにつきま しては、第43回のWHO総会で10年ごとにリビジョン(改訂)することが決められまし たが、ICD−9からICD−10に移行するときに、今までの改訂と異なり、多くの要 素を盛り込まなければなりませんでした。特に医学的(クリニカル)な問題が非常に多 くて、10年ごとの改訂では難しいだろうということで、20年の間隔でICD−10から ICD−11の改訂を行うこととしたということです。  今後、ICD−11への改訂は2010年以降に予定されていますが、その方向としまし ては、ヘリコバクターとかSARSといったような、医学的に複雑な例が多いことか ら、これらに対応するために医学の進歩に同調すること(クリニカル・コヒーレンスィ )を重要視したものにしたいとのことです。  また、改訂と同時に、ICD−10のアップデートに関しても同時並行して進めたい。 日本は非常に重要なメンバー国であって、協力国でありますので、その改訂、改正の協 力と同時に、ICD−10の2003年版という最新アップデート版の使用を是非お願いした いということでございます。  そのほかICD−11に関するフィールド・トライアルのことなどもお話しになりまし た。以上要約させていただきました。 ○菅野委員長代理  どうもありがとうございました。(英語)              (ドクター・ユーストン氏退室) ○菅野委員長代理  本日の最初の議事は、前回お願いしておりました14項目につきまして、皆様方の御意 見がどのようのものであったか、事務局から御説明をいただきたいと思います。今日、 御欠席の委員の方もいらっしゃいますけれども、それぞれの御意見を基に資料としてま とめていただいております。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、「資料」をご覧下さい。先生方からいただきました御意見をまとめさせて いただいております。これについて御説明させていただきます。  1番目は、病的な付着胎盤で、田中委員と松尾委員の御担当でした。morbidly adherent placentaは、“病的な付着胎盤”ではなく、“癒着胎盤”が相当する。癒着 と付着は意味が異なり、癒着胎盤とは絨毛が子宮筋層に入り込んで癒着している状態を 言い、癒着胎盤はplacenta accretaに対応しており、癒着胎盤、かん入胎盤、穿孔胎盤 の3つの胎盤は癒着胎盤を含み、retained placenta は遺残胎盤に対応することから、 きちんと英語と日本語の対応を明瞭にした方がよろしいという意見をいただきました。  こういった対応を含めて、もう少し検討を深めれば、もっと我が国にとっても使いや すいものができるのではないかということでした。  2番目のクロイツフェルト・ヤコブ病に対する遺伝性のものでございますけれども、 これは松尾委員の御担当でございました。イギリスの専門家の意見がベースに出てきた わけでございますが、今、このクロイツフェルト・ヤコブ病を遺伝性疾患と言いきるに は多少問題があるであろうということでございまして、その病態解明が進むまで、すべ てのクロイツフェルト・ヤコブ病をA81の範疇に残したらどうかという御意見でした。  3番目、再発性心筋梗塞、田中委員と山本委員の御担当ですけれども、これも非常に 難しい問題でございまして、そもそも再発性というものの定義をきちんとする必要があ るだろうということです。なおかつ、死因統計と疾病統計の中でも、意味の使われ方が 異なることが予想されるので、もう少し議論が必要ではないかという御意見でございま した。  4番目、アイゼンメンゲル症候群、松尾委員の御担当でございます。これも用語の定 義の問題がかかわる問題でございまして、欠損、複合体又は症候群を区別して定義づけ ることが必要であろうということでした。この定義を踏まえた上で、再分類するのであ れば、アイゼンメンゲル症候群は、心臓性肺疾患であって、肺循環疾患の下でI28、そ の他の肺血管の疾患に分類することが妥当と考えられる。  そのほかに、アイゼンメンゲルに関係する病気でアイゼンメンゲル症候群と言われて いるようなEisenmenger's defectとか、Eisenmenger's complex、disease といった ものは、Eisenmenger's syndromeに統一することを提案する、という御意見でございま した。  5番目でございます。細菌性肝炎、これは菅野委員と藤原委員の御意見でございまし た。特に菅野委員からは、この別紙の後ろの方にございますように、非常に詳しい御説 明をいただいております。  まず、我が国では、非常に細菌性肝炎はまれで、果たしてこれをコードすることが必 要であるかどうか。そして、なおかつ肝内胆管炎と肝膿瘍と果たしてこの細菌性肝炎が 同義であるかどうかというような鑑別も必要だということでした。  具体的な提案としては、K77.0の*印を用いた二重分類の定義がないが、肝炎の起因 菌となり得る細菌について、索引表への定義を示し、二重分類とするとか、あるいは起 因菌が特定できなくても、急性肝炎であればK72、慢性肝炎であればK73とする。  なおかつ、起因菌が不明とか、そのほかの状況もないときは、K75.0、肝膿瘍や K75.3肉芽腫肝炎等に分類することも考えなければならない。  非常に症例数が少ないので、新コードの設立は不要ではないかという御意見でござい ました。  6番目は、新生児の低酸素性虚血性脳症、松尾委員の御担当でございますが、これ は、海外からの提案の新生児脳虚血と、Hypoxic ischaemic enephalopathy を分けて 考えるという提案がございまして、これにはもっともであろうという御意見でございま した。  次に、7番目ですが、これは松田委員の御担当で、受動喫煙についてです。受動喫煙 というのは、非常に多岐のコンディションにまたがったもので、何を受動喫煙とするか というような明確な定義づけが必要であるということで、コードをつくる前に定義をき ちんとすべきであろうという御意見でした。  8番目のくる病による脊柱後弯症でございますけれども、これは*印のコードの今の 問題がございまして、今の候補といたしましては、第1のコードとしてM40.1、第2の コードとしてE64.3を付けたらよいのではないかという御意見でした。  9番目、性転換症/性同一性障害でございますが、現在は、精神疾患のFに付いてお りますが、遺伝的な素因があるということで、もう少し考えたらいいのではないかとい うことでございました。しかし、この疾患を遺伝性疾患と言うには、先ほどの、遺伝性 クロイツフェルト・ヤコブ病と同じように、まだ時期尚早ではないかということでござ いました。  10番目、アルコール性膵炎でございます。これは何を求められているかと申します と、アルコール性だけでなくて、いわゆる急性膵炎の場合、慢性膵炎の場合をきちんと 系統立てて考えたらいいのではないかということで、これは菅野委員から別紙2の方に 非常に詳しい、具体的な分類案が出されております。  11番目、先天性心疾患国際専門用語プロジェクト、これは大江委員と松尾委員の御担 当でございました。必要なことであって、現在各国の状況を調査中であるという御意見 でございました。  12番目、副反応及び合併症を起こした医療器具ということで、これは、本日欠席なさ いました田中委員の御担当でございましたが、具体的に海外からの提案にあるグルーピ ングをしたらどうかというような御意見でございました。  13番目、菅野委員、藤原委員御担当の家族性非溶血性先天性黄疸のことでございます けれども、これは、ジルベール症候群とクリグラー・ナジャー症候群がきちんと索引か ら行かないということです。それであれば、1つのコードに統一して、分類名を Familial nonhaemolytic congenital jaundiceと明示して、疾患名としてジルベール 症候群、クリグラー・ナジャー症候群を併記したらよい、という御意見でございまし た。  14番目、これは松尾委員の御担当で、弁膜疾患です。今のICDー10にあるコーディ ングの記載の仕方が非常にわかりにくいということと、それからリウマチ性、非リウマ チ性、先天性の3つのグルーピングにおける分類がわかりにくいということから、これ をもう少し整理した方がよいというような、非常に包括的な御意見をいただきました。  以上でございます。 ○菅野委員長代理  非常に包括的な内容のものから、細かい内容のものにわたって御検討いただきました けれども、各御担当いただきました先生方から追加あるいはコメントはございますで しょうか。  ざっと駆け足で御説明いただきましたが、内容等に御不明な点がございましたら、事 務局の方に御連絡いただくということで、よろしいでしょうか。  それでは、追加等がございましたら、事務局の方に御連絡いただきたいと思います。  次に、第1回の委員会の議事録がございますが、非常に包括的な内容といいますか、 今後の大きな問題点も含めて御議論いただきました。それにつきまして、事務局から、 その後の経過等も含めて、説明していただきたいと思います。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、参考資料1から3までについて御説明させていただきます。  まず最初は、ICDを巡る状況の補足説明です。参考資料1「ICD−10の改正、ア ップデート」についてでございます。  WHOは、先ほどの話にありましたように、現在、医学の進歩等に対応するためにI CD−10のアップデート、すなわち、ICD−10のまま改善を加え、アップデートする こととしています。この改正には、大改正、小改正の2つがございます。改正の原則と 改正手続ですが、基本分類表の改正は3年ごとの大改正と、毎年行われる小改正に分け られており、基本分類表に影響を与えない索引については、毎年改正されることとなっ ています。  大改正については、毎年10月のWHO−FIC協力センター長会議においてWHOが 受理したICD−10の改正項目のうち大改正に該当する更新事項が翌年のWHOの websiteに公表され、「大改正(Major change)」と表示されて、指定された大改正の 年の1月から施行されることになっております。  小改正については、毎年10月のWHO−FIC協力センター長会議において、WHO が受理したICD−10の改正項目のうち、小改正に該当する更新事項が翌年のWHOの website に公表され、その年の翌年1月から施行されることとなっております。  次に、大改正と小改正の違いでございますが、大改正とは、新たなコードの付いたコ ードの削除、コードの移動、あるコードについて3桁分類項目のカテゴリーの変化を伴 う索引の改正、罹患率もしくは死亡率に関するデータ収集の精度に影響を与えるルール もしくはガイドラインの改正、新たな用語の索引への導入等でございます。  小改正とは、あるコードについて、同一の3桁分類項目のカテゴリー内における索引 の修正もしくは明確化、内容例示表もしくは索引の強化、例えば、包含、除外項目の追 加、及び二重分類の追加などです。  また、あるコードについて、概念の変化ではなく表現の強化をする、罹患率あるいは 死亡率に関するデータ収集の精度に影響を与えないルールあるいはガイドラインの改 正、誤植の修正となっております。  次に「バージョン管理」について御説明させていただきます。  ICD−10は、施行年がわかるようにすべてに施行年を明示することとされておりま す。 例えば、1999年に施行開始されたICD−10は、「ICD−10(1999)」と示さ れることとなっております。  我が国は、現在ICD−10の1990年版を使用いたしております。  WHO−FIC協力センター長会議では、今のところICD−10に関して以下の表に ありますようなアップデートのスケジュールを決めております。この予定につきまして は、ページ下にあるホームページアドレスによりアクセスすることができます。  次に資料2でございますが、これは前回の委員会のときにもお配りいたしたもので、 「カルテの病名のコード化」についてです。ドクターの書くカルテ病名からICDに至 る対応がこのようになっているということを確認するため再度提出させていただたきま した。説明は前回と同じですので、割愛させていただきます。  参考資料3は、第1回専門委員会において各委員から出された要望、意見等につい て、正確性を期すために、議事録を参考資料として提出させていただいております。  それでは、これについて事務局の考え方を説明させていただきたいと思います。  まず、第1点目として、私どもがWHOから得ている情報をまとめますと、仮にIC D−10からICD−11の改訂を行うにしても、過去の経験によれば、作業開始から約10 年を要するため、それまでの間は、ICD−10の改正、アップデートで対応することと なる。  また、改訂、リビジョンの作業を行うとすれば、ICD−10のこれまでのアップデー ト結果の見直しから始められることになろう。  第2点目、我が国は、WHO加盟国として、WHOの定めるICDに準拠して疾病傷 害死因分類を行うこととしており、現状において最優先すべき課題は、ICD−10の改 正、アップデートの最新版を日本に適用することであると考えています。現に、欧米先 進国はすべてICD−10、2003年版を適用しており、我が国は先進国中の後進国となっ ている現状を理解していただきたい。  第3点目として、事務局としては、早急にこれまでのICD−10のアップデートに対 応する体制を整えて、検討に着手したい。  第4点目、医師が記載する病名に対して適正なICDコードを付与することについて は、関係部局と連携して進めていくこととする。  以上でございます。 ○菅野委員長代理  ありがとうございました。  少しわかりにくい点もあったかもしれませんけれども、大改正、小改正のおおよその 区分と、それから、すこし時間差がある、すなわちwebsite に出てから実際の改正に至 るまでは時間的な差があること、小改正と大改正とでは改訂の間隔が違うという説明も ございました。  それから、前回の議事録については、公開されているわけでございますが、種々の問 題点も指摘されております。例えば、緑本のものは大改正を適応せずにそのままになっ ているという問題もございました。ただ今、こうした点への御回答もあったのではない かと思います。  以上の御説明に対して御議論ございますでしょうか。特に、最後のページになります と、松田先生、それから大江先生のグループにも少し関係してこようかと思います。 ○藤原委長  確認と理由をお聞きしたいのですが。ICD−10の大改正に関しては、1999年1月 に公表したものと、2002の1月に公表したものとがあるわけですね。つまり、最新の公 式な実施日は2003年1月の大改正ということですね。これが今、広く欧米では扱われて いるということでよろしいですね。我が国で今使っているのは1990年ですが、新しいも のを使わなかった特別な理由というのはありますか。 ○人口動態・保健統計課長  私が承知しているところでは、ICD−10の扱いについて、小改正、大改正といった 形でいくというルールを決めるまでに少し時間がかかったようです。ですから、我が国 として、この大改正、小改正というものの、行方を少し見ていたということだと思いま す。しかし、次のICD−11を視野に入れるにしても、1990年から20年以上かかるとい うことがわかってきた。一方、大改正については、98年の大改正と、それから2001年の 大改正が行われた。我が国はこれまで改訂についてきちんと対応してきた国だと思われ ていますけれども、次の改訂は、20年後であって、実際に小改正、大改正が行われ、他 の先進国がICD−10の改正(アップデート)を適用しているという流れの中で様子を 見ていましたけれども、日本でも適用していかなければならないのではないだろうかと いうことです。 ○藤原委長  先ほどのお話しにあったように、20年ぐらいは時間がかかる、そのとおりだと思うん ですね。だからこそ大改正、小改正とやっていた。しかも、この大改正とされる項目を 見ると、私ども消化器病学会として提起した問題のものも、アップデートの中で対応出 来る可能性がありますね。アップデートの内容は私も見たことがないんですが。 ○疾病傷害死因分類調査室長  確認させていただきますが、リビジョンというのはWHOの方で、ICD−9からI CD−10のように、数字が変わるときに使うものです。先生がおっしゃっているのは アップデート、改正といってますが、そのお話しだと思います。先ほどの課長の話につ け加えますと、この大改正は非常にインパクトの大きいものでございまして、ここに書 かれているように、罹患率もしくは死亡率に関するデータ収集の程度に影響を与えるル ールの変更が含まれます。例えば、ICD−9から10に変わりましたときも、かなり罹 患率なり有病率の値が大きく変わってしまった。いわゆる統計の連続性の確保というこ とから、我が国としてそれをすぐに受け入れるということが難しかったと。  それからもう一つ、我が国が各国と違うのは、このICD−10のコードそのものが統 計法に基づく政令で、疾病、傷害及び死因別の統計を作るときに用いることとされ、告 示されていますので、それを変えるには、慎重にならざるを得ない。そういう現実がご ざいました。  我が国としてはそういう状況にあったということでございます。 ○菅野委員長代理  なかなか難しい点があって、実際ICD−10がWHOで採択されて、実際に日本で使 われるのには少し時間差があって、統計法や政令などいろいろ縛りがあるということだ と思います。  したがいまして、WHOの方の御説明だと、ICD−11への改訂については、1990 年から20年後の2010年辺りを目指しているとのことですが、その頃に採択されたとして も、日本国内での適用については更に時間差が出てくる。したがいまして、その前の改 正(アップデート)を取り入れる必要があるのではないか、と私は理解しています。 ○藤原委長  そうしますと、時間がかかるだろうというのはよく理解できるんですが、今、我々が 現場で一番困っている電子カルテの問題等も含めて、どれを基にして、どのように診断 に使えばいいのかということになる。事務局として、これをやるならばいいんだとか、 このように修正した方がいいとか、そういったお考えはありますか。現実問題として何 が可能なのか。その辺の見通しについて、教えていただけますか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  まず確認でございます。参考資料2をご覧下さい。カルテ病名、先生がおっしゃった 診断名から、ICD−10に至る道のりが書いてあります。診断名から、今、先生がおっ しゃったような電子カルテに使われておりますような標準病名集を経て、一番粗い分類 に集約されICD−10コードに至るものでございます。  先生の御質問についてもう少しお答えさせていただきますと、確かに、前回の議論で もありましたように、医師が記載している病名に対してきちんと適正なICD−10コー ドがふられていないおそれがあるのではないかという問題も含まれていると思いますの で、そのことについて少し御説明させていただきます。  ここにあります標準病名ということに関しましては、先生がおっしゃった病名集より ももっと分類の粗いものでございます。医師がつける病名をある程度制限しようとする ものです。WHO−FIC協力センター長会議においても標準病名を設定しようとする SNOMED−CTというプロジェクトがございまして、WHOはこの方向を支持して いるわけではございませんが、そういった動きもございます。  具体的には、この病名集というのは、標準病名集という医療情報システム開発センタ ー、メディスの発行しているもので、市販されています。このカルテ用標準病名集は毎 月1回改定されていますが、その際にメディス側で決定できなかった事例としてICD 室に照会があった分については、公表前にICD室から意見を提出するルールが確立さ れています。  このメディスの標準病名集は医政局の管轄ではございますが、外部からの標準病名集 におけるICD−10コードに関する質問等については、随時対応することとしておりま す。 ○人口動態・保健統計課長  一言補いますが、要するに、藤原先生がおっしゃった診断名云々のところにつきまし ては、この参考資料2でいうところの「カルテ病名」であり、場合によっては「標準病 名」であろうかと存じますが、この設定は医政局の方の問題で、私どもの方では特段何 もしておりません。ただし、標準病名からICD−10への対応につきましては、ICD −10のコードが正しくコーディングされる必要があるので、先ほど話がありましたよう に、病名を追加あるいは標準病名を設定する際、必要に応じてこちらに照会がまいりま すので、このようにつけてください、という回答をしているという意味でございます。 ○菅野委員長代理  前回の委員会よりは少し風通しがよくなって、関係者で連絡がついているように思わ れます。大江先生は標準病名にかかわっておられますが、何かコメントございますか。 ○大江委長  今の回答でちょっとわからなかったのは、回答にあったICD−10というのは、90年 版なのですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  90年版です。 ○大江委長  ですから、今のところ、電子カルテなどの情報システムでICD−10コードを付けて いるが、それは90年版に準拠した形になっている。  これを先ほどのお話ですと、ICD−10の2003年版に移行していくことを具体的に 検討されようとしているということですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  そうです。 ○菅野委員長代理  DRGの方からはいかがでしょうか、松田先生。大分、問題があるという御発言が前 回の議事録にございますけれども。 ○松田委長  我々の研究会にも病名に対するICDのコーディングの疑義照会がきていますが、そ れを公的に決定できる仕組みがない。私たちが答えても、それに権威があるわけではあ りませんので。何かそういうものを厚生労働省としてお考えかどうかということです が。 ○疾病傷害死因分類調査室長  公式には、ICD室の答えが、決定とされております。 ○松田委長  それはスピードが問題だと思います。現場から疑問が出てきたときに、それにどのく らいのスパンで答えられるのか。その仕組みをこれからつくっていかないといけない。 例えば、これからいろいろな電子レセプトとかがでてきて、その中で主病名、副傷病 名、ICD−10まで付けるということも将来的には議論としてあり得ると思います。そ のときに、現場から疑義が発生した場合に、それにかなり速かに答えられる仕組みをこ れからつくっていかないといけないと思います。 ○疾病傷害死因分類調査室長  私どもに、非常に問い合せが多いのは事実でございまして、例えば、先ほどのメディ スの方だけではなくて、一般の方からメールが来ることもございますし、電話が来るこ ともございますし、あるいはICD−10の質問窓口等のある厚生統計協会を通じてきま すが、それらに関しては適宜速かに回答することとしております。 ○松田委長  あとは、Q&Aみたいな形で、それがカテゴリー化されて、インターネットか何かで 見られるようになっていると非常にいいのかなと思います。是非、何かそういう取り組 みをお願いしたい。これはもしかすると研究的なものになるのかもしれませんが、大江 先生が班長になっていただくのが一番いいんだろうと思うんですけれども。そういうも のをお作りいただけないかなと思っております。 ○菅野委員長代理  ありがとうございます。問題点があるので解決していくべきだという前回の議論を踏 まえて、具体的に少しずつは動き出しているという事務局の説明にもございましたし、 更に、それを強化していくべきだという御発言だと思います。松尾先生、いかがでしょ うか。 ○松尾委長  ICD室長の御説明で、日本が一番ICD−10の導入が遅れているというお話でした けれども、アメリカはICD−9を使っていると私は理解しているんですがどうでしょ う。 ○疾病傷害死因分類調査室長  私の申し上げたのは、先進諸国における状況でございまして、これらの国では、ほと んどが2003年版を使っているということです。先生がおっしゃったCMに関して申し上 げれば、アメリカはCMをDRGのみに使っております。WHOに報告する死因統計、 あるいは疾病統計については、アメリカ自身が2003年版の一番新しいソフトウエア をつくっており、それを各国が使用しているという状況でございます。 ○藤原委長  そうしますと、我が国としては、これから何をするんですか。2003に沿って、ICD −10を充実させて、そして医療現場、電子カルテ用にも2003年版を使ってもらうという ことになるんですか。 ○人口動態・保健統計課長  冒頭の藤原先生のご質問にお答えしましたように、日本におけるICDの変更は、一 般的な意味で統計の精度に与える影響、それから、政令に基づく告示の改正が必要とい うことで、手続も結構重いのでそう頻繁にやっては大変だということがありました。一 方では、今御指摘のありました電子カルテの問題とか、DPCの問題もあります。非常 に広範囲なんですが、その辺をどういうふうに進めていくのか、今後の検討体制、着手 ということについて考えていきたいと思っております。 ○菅野委員長代理  今後については、また御議論いただくといたしまして、とりあえずICD−10の改 正、それからその概要とそれに対する質疑応答ということはよろしゅうございますで しょうか。今後これを踏まえてどうするかということは、この後、御議論をいただきた いと思います。  松田委員が、もう一つの委員会があるそうでございますので、これで退席されるとい うことです。今の御発言は大変ありがたかったと思います。またよろしくお願いいたし ます。                 (松田委員退席) ○菅野委員長代理  今、4つの内容の御発言がありましたけれども、もう一度確認のために、繰り返して いただけますでしょうか。 ○疾病傷害死因分類調査室長  それでは、繰り返させていただきます。  まず第1点といたしましては、WHOからの情報でございます。これについてお伝え したということでございまして、繰り返させていただきますと、ICD−10から11に変 えるにしても、非常に時間がかかるので、それまでの間はICD−10のアップデートで 対応するというのがWHOの決定でございます。  また、過去の経験からしますと、この改定作業を行うとすれば、現行のICD−10の 見直しから行われます。WHOが正式に現行と言っておりますのは2003年版でございま す。 第2点目として、我が国は、WHOの定めるICDに準拠して、告示しておりま して、最も優先すべき課題は、これからの改訂への布石でもある、ICD−10のアップ デートの最新版、2003年版の我が国への適用を検討することであると考えております。  3点目は、事務局といたしましては、これまでのICD−10のアップデート、我が国 に適用するための体制を整えて、検討に着手したいということです。  最後の4点目でございますが、医師が記載する病名に対して適正なICDコードを付 与することについては、関係部局とさらなる連携を強めていくことにするということで ございます。以上4点、繰り返させていただきました。 ○菅野委員長代理  ありがとうございました。今、述べられたことが基本となる土台であろうと思いま す。これを具体化していくにはどうしたらいいかということで、いろいろな部局との調 整が必要になるかと思いますが、スケジュールや考え方がありましたら、お示しくださ い。 ○疾病傷害死因分類調査室長  今後は、この委員会からいただいた御意見を基にいたしまして、新たな委員会を設置 する方向で調整させていただく考えですので、また、皆様については、御足労いただく こともあるかと思います。何とぞ、これからも御協力よろしくお願いいたします。 ○人口動態・保健統計課長  補足ですが、「新たな委員会」という言葉を今使わせてもらいましたが、その意味 は、第1回の委員会でも、この委員会は何を議論する場かということがあり、14項目に ついて検討するということを確認し今回いろいろ御意見をいただきました。今、話題に なりましたアップデート・改正についての検討ということになりますと、新たに枠組み を設定しなければいけないということから、新たな委員会という言葉遣いをさせていた だきました。  もともとこの委員会自体は、統計分科会の下に置かれた委員会でございますから、分 科会との関係もありますが、内容はこのように専門的なことでございますので、専門委 員会、何らかの意味での委員会の設置ということになるだろうということで考えさせて いただいているという趣旨でございます。 ○菅野委員長代理  当面は2003年版をとにかく日本版としてアップデートし、日本が世界にキャッチアッ プするようにするということが、一番大きな目標であるというふうに理解できると思い ますし、そのための体制づくりという意味で、新しい委員会というのがその具体的な作 業の場の一つになるだろうと思います。 ○藤原委長  具体的な作業を進めるため新しい委員会をつくるということですが、たしか2月24日 でしたか、日本医学会の定例評議員会のときに、森会長が、ICD問題に関して、これ は重要な課題であるというようなことをちらっとコメントされておりましたが、こちら とのかかわりは何かございますか。 ○人口動態・保健統計課長  特にございません。 ○藤原委長  新しい視点に立ってアップデートを審議することは、かなり専門性が高いと思うんで すね。いろいろな学会のこういうものに見識のある方にお集まりいただかないと、具体 的な作業は進まないように私には思えます。そういう意味では、日本医学会の協力とい いますか、各医学会に個別にあるいはまとめてお願いすることが、具体的に展望が開け る気がしてお伺いしたんですが。その辺のお考えなりあるいは具体的な作業をどういう ふうに進める予定ですか。 ○人口動態・保健統計課長  ありがとうございました。私どもとしては、内容については医学との関係があります ので、専門家の皆さんの御意見が必要と考えておりましたので、ただいまの、貴重な御 提案、アドバイスを踏まえまして、どういうふうに進めていくか検討させていただきま す。 ○疾病傷害死因分類調査室長  補足でございますけれども、日本医学会と我が室が全く情報交換をしていなかったと いうことではなく、これまでの専門委員会と同様に、14項目に関わるこの委員会に関し ても、日本医学会からも重要な御意見をいただいております。ICDは医学の分類でご ざいますから、日本医学会ともっと連携を強めていかなければならないと考えておりま す。 ○菅野委員長代理  4番目の項目の中に含まれると思いますが、コーダーとの協力関係というのも重要に なってくるようにも思うんですが。 ○疾病傷害死因分類調査室長  先ほどの、WHOの代表部の話では、これからのICDの改訂を進めるためには、臨 床的に合っていると同時に、種々のステークホルダーの協力が必要であろう。医師だけ でなく、看護師とか、あるいは統計学者とか、あるいはほかのユーザーとか、そういっ たネットワークを確立することが非常に重要であるという話をされておりましたので、 まさしく先生のおっしゃるとおりと思っております。 ○菅野委員長代理  そうすると、メディス等への関与が必要になってくるだろうと思いますが、大江先 生、この点について何かございますか。 ○大江委長  藤原先生のおっしゃるとおりで、学術団体などに幅広く声をかけて、継続的に、長い スパンで作業をしていただかないといけないのではないかと思います。 ○菅野委員長代理  今日は出席の方が少なかったのですが、メインの議題である14項目の討議について は、大体の方向性というのが見えてきたのではないかと思います。ICDについても今 後の2003年のアップデート版の日本への応用といいますか、実地活用に向けて活動につ いて方向性が示されたものと理解しております。  14項目のとりまとめと後段の議論のとりまとめにつきましては、事務局と私の方で少 し調整いたしまして、また先生方にお示しするということとさせていただきます。  今後ともいろいろの面で御協力いただかないといけないということになろうかと思い ますし、医学会との関係について、藤原先生から御提案がありましたが、我々としても その方向への働きかけもやっていくべきではないかと思います。 ○藤原委長  そうしますと、2003年版の検討に取り組むことは結構だと思いますが、具体的に、 今、既に電子カルテをつくっているところでは、従来どおりの標準病名集に沿ったもの をとりあえず使うしかないということになりますか。 ○人口動態・保健統計課長  ICDのコードを担当している私どもはそういう考え方ですが、電子カルテやDPC などICDの利用範囲が広がってきている部分について、いわゆるユーザーとの関係で どうするかということは、まだ担当部局との話を進めているわけでもございませんし、 また、どのように向こうが考えているかも現段階ではわからない状態です。それから、 先ほど医学会との関係について話がありましたが、私どもも医学会の皆様、専門の方々 から、いろいろお知恵をいただかなければならないのは当然と考えていますが、一方で カルテの問題などもございますので、関係部局の方と相談しながらとしか、申し上げら れない状態でございます。いずれにしても、コードの変更となるとシステムも含め大き な話になりますので、どのように整理されるのか、その辺についても相談させていただ きたいと思っております。  ただ、ICDコードということだけ申しあげれば、利用範囲が広がっていくので変更 すると影響が大きいとは言いつつも、ICDコードの見直しは一定程度進めていかない といけないという私どもの事情があります。  担当部局と相談させていただきながら考えさせていただきたいと思います。今現在、 電子カルテの担当と直接会って話を進めているわけではございません。この委員会で、 御議論をいただいておりますので、私どもが考えております方向をお示ししたという段 階でございます。 ○大江委長  電子カルテで病名を入力したときに、何のためにコーディングする必要があるかとい うと、一つは臨床研究すなわち、臨床家にとっての統計処理ができるようにするという ことがあると思うんですね。これは、御存じのように、現状のICD−10(90年版)で は、臨床上は分類が粗過ぎて役に立たない部分がたくさんありますし、分類自体が必ず しも適切でないものも多い。ですから、現時点で、もし、臨床研究、臨床統計に役に立 つコーディングをしようとすれば、ICD−10から離れざるを得ない、あるいはICD −10を大幅に臨床家の視点で拡張したものを用意せざるを得ないと考えられます。  それから、もう一つは、包括医療制度を導入している病院にとっては、ICDコード がDPCに直結する仕組みになっていますので、今のDPCがICD−10(90年版)を ベースとして使用される仕組みになっている以上、臨床研究のコードとは別に、ICD ー10コーディングをしないといけない、という状況なわけです。それを一つのICD− 10でやろうとしているので無理があるわけですが、今は一つしかない。  それから、標準病名マスターにICD−10コーディングをするときに、ICD−10 (90年版)の緑本を見て全く問題なく、違和感なくコーディングできるものはコーディ ングするわけですが、非常に違和感を感じた場合であっても、緑本によればどうしても このコードにせざるを得ないというのがあります。しかし、今の臨床的な視点から、そ のコードではどうもおかしいので、こちら側のコードにした方が臨床統計を取るときに は便利ではないかというような状況が発生することがあります。それがかなりの病名に 発生していたわけです。それで、どちらにするかというときに、作業班としては、どち らかというと臨床家が見てなるべく不自然でないコードにしたい。一方で、明らかに緑 本で、この病名はこうコーディングせよと、ルールが明記されているものを、ICD− 10という以上は無視するわけにはいかない。現在の標準病名集はこのようなジレンマの 中でつくられているわけです。  ですから、標準病名マスターは、ICD−10のコードが確実であるというフラグが付 いている病名と、ICD−10のコードはふってあるけれども、疑義があるというフラグ が別に付いた病名があるという状況で現在リリースされているわけです。  私の個人的な意見としては、現時点で臨床家にとって妥当なコードを割り当てたいと 思ったわけですけれども、一方で、保険局のレセプト電算マスターと医政局の標準病名 マスターを統合した形で、同じ厚生労働省から出るもので、しかもそれがICDと名乗 っている以上は、緑本に明記されているルールから大きく逸脱することはできないとい うのが現状なわけです。  ですから、今後、ICD−10、2003年版とか2006年版に準拠したコーディング・コー ドに変えるというのは、一つの方策だと思います。また、今後の臨床統計を考えると、 ICD−10とは別に、臨床統計分類ができるような、きちんとした拡張型のコードを別 にふるということが必要になるだろうと思います。ここで別にふるコードというのは、 どうやって作るかというと、国際的にもいろいろな国でいろいろ議論がされていまし て、アメリカなどでは臨床上はICD−9CMがまだ実際にはかなり使われています。 10CMという可能性もあるでしょうし、先ほどICD室長から話がありましたけれど も、全く別の体系としてSNOMEDCTという新たなコーディング・システムがあり ますので、それを採択するという方法もあると思います。まだまだいろいろな選択肢が あって、いずれにしても、日本語の臨床上使う病名コードとの対応はまだ取れていない というのが事実です。 ○菅野委員長代理  ありがとうございました。実際にそういった皆さんがお困りな点が出ている中で、よ うやく対応がスタートしたというところではないかと思います。 ○疾病傷害死因分類調査室長  貴重な御意見、本当にいろいろありがとうございました。強調させていただきたいこ とは、ICDはWHOの分類で、医学統計を取るためにできたものでございます。その ために、WHOは、100 年以上前からルールを決定し、なおかつ各国に対し唯一の版権 を許可するという形で現在まで来たわけでございます。ICDに関する決定は、WHO のFIC協力センター長会議を通じ、WHOが認定するという形で行われています。大 江先生がお話しになったことは、まさに各国が共通に抱える問題でございます。しかし ながら、きちんと理解しなければならないことは、ICDの根幹が揺らいでしまっては DPCのような応用編もなくなるということです。このことから考えますと、今、私ど もがすべきことは、とにかく、一番アップデートされたものに対する我が国の適応の検 討を行うということであると思います。  それから、先生は、CM、AMにならうような、仮に名付けるとすればJMというよ うな観念をお持ちだと思いますが、WHOは、そういった総称してXMと言われている ものについて、ICDそのものとは隔離して考えているということに気をつけなければ ならないということです。なぜなら、XMはクリニカルベースという非常にあいまいな 言葉で使われますけれども、CMであろうがAMであろうが、あるいは北欧の分類であ ろうが、このようなすべての分類は医療費の支払いに関するものでございます。果たし て医療費の支払いに関するものをクリニカルな適応型と呼んでいいのかという議論がご ざいます。これは非常に大きな議論で、まだまだ続いております。そのために、WHO は、XMについては、メタデータベースとして扱うが、版権コントロールはしないとい う、いわゆるICDの原本とは距離を置いたものとして扱っているという事実をお伝え いたします。 ○藤原委長  WHOの基本、原点にあったとおりの考え方で、我が国では医療現場にICDをその まま使ってしまった。現実とずれているということが問題であって、我々として一番ニ ーズが高いのは2003年版の検討を進めなければならないということは理解できるのです が、同時に、現場に即したものにするということも並行して進めていくという御努力も していただきたい。 ○菅野委員長代理  現場とのずれを扱う主体が今のところはっきりしていないというのが、藤原先生、大 江先生の御意見ではないかと思います。 ○藤原委長  日本が一番進んでしまった。現実に進んでしまった以上、何とかしなければならない わけですからね。事務局としてその努力をしていただければと思います。 ○菅野委員長代理  委員の御発言は、この委員会の議事録には是非載せていただいて、今後御議論いただ きたいと思います。 ○人口動態・保健統計課長  皆様の御意見は関係部局の方にも伝えさせていただこうと思います。 ○菅野委員長代理  大きな立場の議論もございましたが、これは今後も引き継がれていくという理解で、 是非進めていただきたいと思います。多少、まだ時間が残っていますけれども、ほぼ議 論が出尽くしたのではないかと思います。特にございませんか。  それでは、先生方、どうもお忙しい最中、御出席いただきまして、ありがとうござい ました。  今回の専門委員会は以上で閉会したいと思います。 照会先 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課     疾病傷害死因分類調査室 電話  (代表)03-5253-1111(内線)7493