04/06/28 社会保障審議会児童部会第2回合同検討会議議事録              総合施設に関する合同の検討会議 (中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育部会と                    社会保障審議会児童部会の合同の検討会議)                  ( 第2回 )                    議事録         平成16年6月28日(月)14:00〜16:00            ホテルフロラシオン青山 3階 クレール                   文部科学省           総合施設に関する合同の検討会議(第2回) 議事   1.開会   2.委員の異動等について   3.両部会における議論の概要について   4.関係団体の意見について   5.自由討議   6.閉会 配付資料   資料1 総合施設に関する合同の検討会議委員   資料2 総合施設に係る幼児教育部会及び児童部会における議論の概要   資料3 総合施設に係る関係団体の意見について(幼稚園関係)   資料4 総合施設に係る関係団体の意見について(保育所関係)                    出席者     委員              事務局 (幼児教育部会)         (文部科学省)   田村主査             金森初等中等教育局担当審議官   無藤副主査            嶋野主任視学官   門川委員             義本幼児教育課長   國分委員             その他関係官   酒井委員                北條委員   山口委員 (児童部会)           (厚生労働省)   岩男主査             伍藤雇用均等・児童家庭局長   無藤副主査            北井雇用均等・児童家庭局担当審議官   柏女委員             中村総務課長   津崎委員             唐澤保育課長   中村委員             その他関係官   吉田委員                              午後2時00分 開会 ○田村主査  定刻になりましたので、ただいまから、第2回中央教育審議会幼児教育部会と社会保 障審議会児童部会の合同の検討会議を開催いたします。  本日は、大変御多忙のところ、この検討会議に御参集いただきまして、ありがとうご ざいます。  今回の司会は幼児教育部会側の、落語で言うと月番という番でございますので、私が 司会の進行をさせていただくということになります。何とぞよろしくお願い申し上げた いと思います。  それでは、議事に入る前に、児童部会の委員に異動がありましたので、事務局から御 説明をお願いいたします。また、前回御欠席され、今回初めて御出席される委員もいら っしゃいますので、その委員の御紹介もあわせてお願いしたいと思います。よろしくお 願いいたします。 ○義本幼児教育課長  第2回の事務局を担当させていただきます文部科学省幼児教育課長の義本でございま す。本日はよろしくお願いいたします。  まず、委員の異動についてでありますが、社会保障審議会児童部会の委員でありまし た猪股祥委員が辞任され、後任としまして社会福祉法人花巻保健福祉会若葉保育園園長 をされておられます中村美喜子さんが委員に就任されました。この合同部会につきまし ても、猪股委員の後任の委員にお願いいたしましたので、御紹介させていただきます。 ○中村委員  中村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○義本幼児教育課長  次に、前回御欠席され、今回初めて御出席される委員の御紹介をさせていただきま す。  まず、幼児教育部会委員で、前日本芸術文化振興会理事長の國分正明委員でございま す。 ○國分委員  國分でございます。よろしくお願いいたします。 ○義本幼児教育課長  次に、児童部会委員で、花園大学社会福祉学部教授の津崎哲郎委員でございます。 ○津崎委員  津崎です。よろしくお願いいたします。 ○田村主査  ありがとうございました。  それでは、早速議論に入らせていただきます。  まず、前回の会議において、幼児教育部会及び児童部会の両部会における議論の概要 について、項目ごとに比較した資料を作成してほしい旨の発言が委員の中からございま した。これを受けまして、事務局が資料を用意してくださいましたので、御説明をお願 いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○義本幼児教育課長  お手元資料2を御覧いただきたいと存じます。A3の横長の資料でございますが、 「総合施設に係る幼児教育部会及び児童部会における議論の概要」という形で、それぞ れの部会におきます意見を各項目ごとに整理させていただきました。なお、右のほう に、<参考>といたしまして、現行の幼稚園制度、保育所制度につきましても、あわせ て、違いがわかるように載せておりますので、適宜御参照いただければと存じます。  1ページでございますが、まず、いわゆる幼児教育・保育の現状と課題についての、 それぞれの部会ごとの基本認識及び意見でございますが、この資料にございますよう に、幼児教育部会におきましては、近年の子どもの育ちの課題、例えば社会性ですとか 表現力、運動能力、あるいは基本的生活習慣の課題があるというふうなことが顕著にな っているということが問題点として指摘されまして、その背景としては、家庭とか地域 の教育力の低下の課題、子どもの育ちの視点が重視されてこなかったというふうな問題 があるのではないかというような御指摘が部会の中でございました。それとあわせまし て、近年の子育て支援の在り方としまして、ややもすれば安易に施設への依存、例えば 低年齢化するとか、あるいは長時間の託児というふうな形での依存が高まっているので はないかというふうな、いわゆる育児の外部化の傾向があるのではないかという御指摘 がございました。それとあわせまして、いわゆる地方におきまして幼保一体型の取組、 施設が進んでおりますが、行政の所管が異なることによりましての事務の煩雑化あるい は非効率化の問題があるのではないかという御指摘がございました。  他方、児童部会におきましては、特に、親が十分な子育てができないという意味での 「保育に欠ける」という状態が存在する。その中で、子育ての力が家庭において低下す る中で、特に、保育に欠けない3歳未満児の子育ての支援が手薄で、その中において育 児の不安定化が進んでいる。これらの者に対する社会的養育をどう考えるかというのが 課題になっているというふうな意見がございました。  それを踏まえまして、総合施設の意義・理念でございますが、幼児教育部会には三つ ほどの御指摘がございます。一つは、幼児教育の機会の拡大の問題でございます。先ほ どの育ちの課題を受けまして、すべての子どもたちに対して幼児教育の機会をひとしく 提供していくということにおいての意義があるのではないか。特に、少子化の中におい て集団が成り立たないとか、あるいは就労の形態によりまして機会が受けられないと か、あるいは幼稚園自身の地域的な偏在という中において、総合施設を設けることによ って幼児教育の機会の拡大につながるのではないかというふうな意義ないし御指摘がご ざいます。2点目としては、先ほどの課題にも対応いたしますが、「親育ち」のための 子育て支援の推進ということで、育児の肩代わりではない、親と子がともに育つという ふうな幼児教育の一環として子育てを支援していくという新たな意義があるのではない か。3点目としましては、幼稚園・保育所をめぐります諸課題の解決。先ほどの、所管 が違うことによります事務の煩雑化・非効率化、あるいは基準なり財政的な仕組みが異 なりますところにおいての取り扱いの差異ということについて、地域の実情に応じた柔 軟な取組を可能にするとか、あるいは縦割り行政の解消をするとか、あるいは小学校と 就学前の教育・保育の施設との連携と言われますけれども、そういう新しい制度を設け ることによって小学校との連携を重視することにつながっていくのではないかというふ うな御指摘ないしは意見がございました。  児童部会におきましては、特に、ここにございますように、子どもの育ちを支える、 次世代育成支援に資するという観点から検討することが大切だ。特に、先ほどの課題に ございましたような、3歳未満児やパートや専業主婦の方々を含めた親の多様なニーズ にこたえていく、それから幼児教育のニーズを満たしていくということにあるべきだ。 それから、現在においては、地域において、親の就労の有無によって子どもの集団が分 断されているという事態に対しても、地域のつながりを構築していくという観点からの 意義があるということでございます。  幼稚園、保育所の目的は、ここに御覧いただいたとおりでございます。  それから、意義・理念を踏まえましたような性格なり基本的な機能でございますが、 幼児教育部会においては、特に、生涯にわたる人間形成の基礎を培う幼児教育の観点を 基本にして考えていくべきだ。それとともに、教育的な視点から、親の育児力の向上、 いわゆる子育てそのものが生涯学習であるというふうな視点から、その支援を行ってい く。安易な施設への依存を高めるような、外部化につながるような制度設計は避けるべ きだというふうな御指摘がございました。それとともに、既存の幼稚園、保育所の機能 を活用するなど、多様な形態を認めていくべきではないかというふうな御指摘がござい ました。  この点においては、児童部会においては、特に親子を対象に子育て支援をすることが 重要だ。その中で、特に児童虐待が社会問題化している中においては、特に親支援をし っかりやっていくべきだというふうな御意見がございます。それとともに、従来におい ては、家庭の養育の補完というふうな発想から、家庭の育児力の向上を図っていくとい う考え方への発展が必要だというふうな御指摘がございます。特に、それを具体的に敷 衍する形で、地域における子育て家庭の多様なニーズにこたえていくというふうな機能 を重要視すべきだということと、幼稚園、保育所の機能に加えまして、総合施設におい ては、子育てのネットワーク機能、コーディネート機能を備えたようなものとするイメ ージですとか、あるいは児童相談所とか保健センターなどと連携して重層的な支援を行 っていく、あるいは、総合施設に来ない層、来られない層をケアするために、ソーシャ ルワーク的な機能を持たせるべきではないかというふうな、多様な機能というふうな観 点からの御意見なりがあったところでございます。  1枚はぐっていただきまして、2ページでございます。  そういうふうな基本的な機能なり性格を踏まえまして、それでは、対象者とか利用形 態等をどう考えるかでございますが、幼児教育部会には、特に、対象者につきましては 3〜5歳を主たる対象とし、地域の実情に応じて低年齢児も対象可能にするというふう な、いわゆる幼児教育を重視するというふうな視点からの取組が必要ではないか。それ とともに、発達段階に応じた幼児教育・保育の実施ということで、3歳児については4 時間を標準とする幼稚園の教育を基本とした幼児教育が大事ではないか。希望する者に 対しては、午後の時間にいわゆる「預かり保育」を実施するという形での対応が必要で はないか。それから、三つ目の「○」にございますように、親の子育て力の向上という ふうな観点からは、特に0〜2歳児の低年齢のお子さんについては、親と子がともに育 つ場として、短時間保育ですとか親子登園、異年齢の交流の機会ということを重視して いくべきではないかというふうなことがございました。それから、低年齢のお子さんに ついては、「保育に欠ける」というふうな保育は引き続き保育所がその役割を果たして いくということでの役割分担を、地域の実情によりますが、講じていくべきではないか というふうな御指摘がございました。それとともに、いわゆる就労形態にかかわらず教 育・保育を提供していくという観点から、「保育に欠ける」という要件を設けないとい うことが基本ではないかというふうな御指摘がございました。利用形態としては、特に 保護者と施設が直接向き合う関係を重視するという観点から、直接契約を考えていく。 その際に、真に保育が必要な低年齢のお子さんについては、保育所との適切な役割分担 のもとに、市町村がその入所の優先順位を決定する等の配慮を行っていくべきではない かというふうな御指摘がございました。  児童部会においては、親子を対象にし、親と子がともに利用できる施設にすべきだと いうふうなことから、対象とする子どもさんについては、0〜5歳を対象にする。集団 保育が可能か否かという観点のみならず、異年齢児が一緒に過ごす社会的な教育の効果 も重視していくべきではないか。それから、その前提に立って、すべての子どもさんに 対して一定の保育時間を保障すべきだというふうなことがございますし、障害のあるお 子さんについての利用に配慮というふうな話がございます。利用形態については、幼児 教育部会と同じように、直接契約が望ましいというふうな御指摘がございましたし、そ の際に、市町村が要保育の認定を行うなどの一定の配慮が必要だという点についての御 意見がございました。それとともに、特に配慮が必要な親子を排除しないという観点か ら、保育所と同様に、サービスの利用につきまして応諾義務を課していくということが 必要だというふうな御意見がございました。  ちなみに、幼稚園と保育所の制度につきましては、対象児あるいは利用形態はここに 挙がっているとおりでございますが、幼稚園につきましては保護者と幼稚園の設置者に よる直接の契約、保育所につきましては保護者と市町村の契約によっているということ で、設置主体にかかわらず市町村が保育の実施について義務があるというふうな制度を 保育所のほうはとっているところでございます。それから、対象時間については、これ は開園時間となっていますが、標準の保育時間が4時間という形において各園が定める という形を幼稚園はとっておりますし、保育所については、開所時間として11時間を 原則にしているというふうなことになっているところでございます。  続きまして、教育・保育内容でございます。教育・保育内容につきましては、幼稚園 は幼稚園教育要領、保育所につきましては保育所保育指針によって行っているところで ございますが、保育指針につきましては、幼稚園教育要領と整合性をとるというふうな 形での対応をしてきているところでございます。  幼児教育部会においては、特に3〜5歳については幼稚園教育要領に基づく教育を基 本にする。特に、同一の年齢の集団による学級編制ですとか、コア時間を設ける、ある いは異年齢の交流を確保するということを原則として考えてはどうかというふうな御指 摘がございました。  児童部会においては、特にカリキュラムの充実ですとか指導方法の充実については幼 稚園において求められておりますので、総合施設においてもその点を意識すべきだとい うふうな御指摘があったところでございます。  それから、設置基準、具体的には職員配置と施設設備の基準でございます。右側を御 覧いただきますように、幼稚園については、職員配置については、1学級35人以下と いう形で、学級に専任の職員をつける。保育所につきましては、年齢ごとに、保育士1 人当たり乳幼児数何人という形での定め方を、御覧のとおり定めているところでござい ます。施設設備につきましては、ここに御覧いただいたとおりでございますが、ほぼ似 通っておりますが、保育所については調理室を必置としております。幼稚園について は、そういうものはございません。運動場については、幼稚園は同一敷地内に確保する という形になっておりますけれども、保育所につきましては、屋外遊技場は付近にある 例えば公園でも対応は可能というふうな形での弾力的な対応をとっているところでござ います。  幼児教育部会においては、特に教育・保育の実施の根幹に必要な最低限となる基準 と、いわゆるそれぞれの地域の弾力的な対応が必要なことも配慮しまして、望ましい、 標準的なものということと区別して考えていくべきではないかというふうな御指摘があ ったところでございます。  児童部会においては、子どもの生活の場であることを念頭に置いて、例えば調理室な どの基準については、保育所と同様に設けるべきだ。それから、いわゆる幼稚園、保育 所の現行の基準では十分でないところもあるので、総合施設においては、そういうこと についての検証をした上での検討をすべきだということがございます。それから、子育 て支援につきましては、保育者のあいた時間でいわゆる片手間にやるということは無理 なので、専任を配置すべきだというふうな御指摘があったところでございます。  3ページをお開きいただきたいと存じます。  職員資格でございます。資格については、幼稚園については、学校の中でいわゆる教 員の免許、いわゆる大学院、大学、短大という形で、それぞれ専修免、一種免、二種免 という形で定めております。保育所につきましては、国家資格としての保育士という形 での位置づけがなされているところでございます。  資格については、幼児教育部会においては、両方の資格についての併有を原則とす る。ただ、既存の施設からの転換ということも考慮し、当分の間についてはいずれかの 対応で可だという形にすべきではないかというふうな御意見があったところでございま す。ただ、保育士資格のない者が低年齢児を担当するとか、あるいはその逆に、幼稚園 の教諭の免許のない者が3〜5歳児の学級担任をすることについては慎重な取り扱いな り対応が必要だというふうな意見があったところでございます。それから、総合施設に おいては、やはり高い識見なり専門性が必要だということから、将来的には両方の高い 専門性を有する新たな資格についての検討が必要だというふうな問題提起があったとこ ろでございます。それとともに、職員の専門性の向上のために、日常的な園内の研修で すとか園外研修の機会の充実確保に努めるべきだということですとか、あるいは、研修 の指導者ですとか、カウンセリングを行う専門家など外部の人材を積極的に活用すべき だというふうな御指摘があったところでございます。  児童部会においては、保育士、幼稚園教諭のいずれかの資格のみで可能とすべきだと いうことと、3歳未満については保育士の資格を必須とすべきだというふうな御意見が あったところでございます。幼児教育部会と同様に、研修の充実強化ということについ ての御指摘がございますし、例えば、子育てについては、保育ソーシャルワークの観点 から、ソーシャルワーカーというふうな専門的な職種についても検討すべきではないか というふうな御指摘があったところでございます。  設置主体・管理運営でございます。これは、現行制度においては、保育所については 設置主体の制限はございません。あるいは、いわゆる公設民営という形で、公立の施設 を、民間に運営を委託するということも可能になっているところでございます。幼稚園 については、いわゆる学校というふうな制度の中において、設置主体については、地方 公共団体、学校法人等が設置主体という原則を定めているところでございます。ただ、 この点につきましては、構造改革特区において、一定の継続性・安定性を確保するとい うふうな仕組みを整えた上での特区での対応を今始めているところでございます。それ から、いわゆる運営委託については、現行の制度においてはできないということになっ ているところでございます。  この点について、幼児教育部会においては、継続性・安定性、質の確保の仕組みを整 えた上で、設置主体ですとか設置の形態あるいは管理運営の委託も含めた在り方につい ての弾力化を可能な限り検討すべきではないかというふうな御指摘をいただいていると ころでございます。  児童部会においては、特にこの点についての言及はございません。  財政措置の問題でございます。この点については、この右にありますように、保育 所、幼稚園それぞれ公立と私立によっての対応が異なっているところでございます。公 立については、運営に関する経費は、基本的には交付税で措置するという形で幼稚園、 保育所もそれぞれなっているところでございます。私立については、幼稚園については 私学助成によります経常経費の補助、それから、いわゆる保育料の軽減措置でございま す就園奨励費等々のものも合わせまして、ここにございますような予算になっていると ころでございます。保育所については、民間分については、いわゆる国庫負担金という 形での措置をしているところでございます。  財政措置の点については、幼児教育部会においては、特に公・私立の幼稚園、保育所 において、保護者の負担ですとか公的負担においてのアンバランスがございますので、 その不均衡の是正ということを考えていくべきではないか、あるいは都道府県と市町村 の適切な役割分担も視野に入れつつ、その仕組みについてはさらに検討が必要だという ふうな御指摘があるところでございます。それから、育児休業の取得など、企業も含め 社会全体で子育てをサポートするような取組なり仕組みを整えていくべきだというふう な御指摘がございました。  児童部会においては、ここにございますように、特に、いわゆる高齢者関係給付と児 童家庭関連給付の不均衡を維持したままでの対応ということについては課題があるので はないかというふうな御指摘ですとか、幼稚園、保育所、総合施設を含めました上での 財源の在り方について検討すべきだ。それにも関連いたしますが、3点目は、税ですと か保険、あるいは財源がばらばらになっているところについても、この際整理するとい うふうな検討が必要ではないかというふうな御指摘があったところでございます。それ から、費用負担の原則については、地方での負担ということを原則にしますが、次世代 育成支援という観点から国も一定の負担をするというふうな整理が必要ではないか、そ れから、企業での負担も考えていくべきではないかというふうな御指摘があったところ でございます。  保育料・利用料でございます。ここは、制度的には、この右にありますように、幼稚 園については、基本的には設置者が定めるというふうな形式をとっているところでござ います。私立については幼稚園、すなわち学校法人が設定しますし、公立については市 町村の教育委員会がそれぞれ設定するという形になっているところでございます。保育 所につきましては、市町村ごとに市町村が地域内で一律に費用を設定するという形にな っているところでございます。利用料については、就園奨励費という形で幼稚園につい ては所得に応じた減免措置を講じておりますし、保育所につきましては、いわゆる応能 負担の考え方、すなわち所得に応じて保育料を決定するというふうな仕組みにしている ところでございます。  幼児教育部会での御議論でございますが、ここにございますように、先ほども触れま したが、公・私立の幼稚園、保育所との保護者負担の不均衡の是正ということの観点か らの検討が必要であるということと、保育料につきましては、地域内での均衡に配慮し た上でそれぞれの設置者が決定するという原則をとるべきではないかというふうな御指 摘があったところでございます。  児童部会においての意見としては、利用者の負担の在り方がそれぞれ異なりますの で、ルールとしてある程度そろえるべきだということと、利用者負担については、現行 の保育所と同じように、応益負担を原則としつつも、応能負担的な要素も加えるという ことがよろしいのではないかというふうな御指摘があったところでございます。  施設設備でございます。これは、幼稚園につきましては、ここにございますような、 いわゆる新築・改築についての補助制度を設けておりますし、保育所につきましては、 ここにございますように、市町村立の公立については、国が2分の1を負担し、都道府 県が4分の1を負担する、民立については、同じような補助率で、補助というふうな仕 組みをとっているところでございます。  この点について、部会での御指摘は、特に児童部会においては、施設設備の経費につ いては、現行は社会福祉法人のみを対象にしておりますけれども、その他の主体にも補 助の対象を広げるべきではないかというふうな御指摘があったところでございます。  もう1枚はぐっていただきたいと存じます。  所管(行政体制)の問題でございます。行政体制については、現行の幼稚園・保育所 制度それぞれ都道府県の知事が私立の幼稚園については設置認可をする。同じように、 市町村立の、公立の幼稚園については都道府県の教育委員会が認可するという形になっ ているところでございます。市町村の教育委員会が、いわゆる設置者の立場で公立の施 設についての設置管理を行うという形になっているところでございます。保育所につい ては、都道府県の知事が設置の認可・取消、立ち入り検査というような権限を設けてい ますし、市町村長が、それに基づきまして、市町村の中においての保育の実施の責任を 負うという形をしていますと同時に、入所者の決定ですとか保育料の徴収等をしている ところでございます。  所管については、幼児教育部会において、ここにございますように、原則、地域の実 情に応じた柔軟な対応を可能とするというふうなことが必要ではありますが、教育機能 は重視されるべきで、教育委員会が積極的な役割を果たしていくことを期待していると いうふうな意見があったところでございます。  それから、県・市町村の役割・権限でございますが、ここにございますように、特に 幼児教育部会においては、いわゆる低年齢のお子さんについての市町村の入所の優先順 を決定する等の権限の御指摘がございますし、児童部会においても同様な指摘があった ところでございます。  既存制度(幼稚園、保育所)との関係でございますが、総合施設については、既存の 幼稚園、保育所の機能を活用する等、多様な形態を認めていくというふうなことですと か、特に既存の幼稚園、保育所との間において適正な配置の調整を可能とするような仕 組みについての検討が必要ではないかというふうな御指摘が幼児教育部会であったとこ ろでございます。  児童部会においては、子育て支援機能は、幼稚園と保育所とともに付加するのか、総 合施設のみなのかについての検討が必要だというふうな御指摘があったところでござい ます。  最後に、その他でございますが、幼児教育部会においては名称の問題について取り上 げております。名称については、その理念とか機能を踏まえたような幅広い議論が必要 とした上での適切な名称を決定すべきだというふうな御指摘。前回の合同検討会議でも ございましたけれども、同様な指摘があったところでございます。それから、児童部 会、幼児教育部会それぞれ、いわゆる就学前教育・保育施設と小学校との連携を重視し ていくということについての御指摘をいただいたところでございます。  簡単でございますが、以上でございます。 ○田村主査  ありがとうございました。  それでは、次に、幼稚園関係団体、保育所関係団体両方から総合施設の在り方につい ての意見書をちょうだいしております。この機会にそれぞれ簡単に御紹介をお願いした いと思っております。  まず、幼稚園関係団体からの意見書につきまして、義本幼児教育課長からよろしくお 願いいたします。 ○義本幼児教育課長  続きまして、幼稚園関係団体、5団体から意見をいただいているところでございま す。資料3を御覧いただきたいと存じます。5つの団体についていただきました意見書 につきまして、そのまま提示させていただいております。それぞれ簡単に、その概略に ついて御説明させていただきたいと存じます。  1ページをお開きいただきたいと存じます。まず1番目が、全日本私立幼稚園連合会 のほうから、「いわゆる『総合施設』についての考え方(中間まとめ)」という形での 御意見をお出しいただいているところでございます。  1ページにございますように、その前提条件として、いわゆる小学校入学前のすべて の子どもたちに対して公平・公正で良質な幼児教育を保障するということへの一里塚と しての議論の前提に立って進めていくべきではないかということを踏まえた上で、「2 」にございますような「『総合施設』の位置づけ」につきましては、小学校入学前のす べての子どもたちに良質な教育を保障するという観点から再構築していくべきだという ふうな御指摘をいただいているとともに、そこで、その施設については、地域の幼稚園 と保育所の設置状況、子育て支援の実施状況などに応じて多様な形態の施設となるよ う、可能な限り柔軟な枠組みの施設と位置づけるというふうな御指摘をいただいていま す。  なお、総合施設については、ニーズのある地域においてのみ選択される施設の形態と すべきであるというふうな御指摘がございます。  1枚はぐっていただきまして、2ページ以下がその具体的内容でございます。「(1)」 から「(11)」まで御指摘がございますが、所管については、ここにあるように、文科省 とすべきではないか。名称については検討中。設置主体については、学校法人に準ずる ものも認めた上で学校法人、社会福祉法人というふうな形での御指摘をいただいている ところでございます。  「(4)」の「事業内容」でございますが、幼児教育を中心に考えていくという観点か ら、3歳児から5歳児を対象に、1日4時間を標準として幼稚園教育要領を基本に考え ていくというふうなことをコアとすべきである。それと、その「(1)」の時間に前後 しまして、3歳児から5歳児については1日4時間を限度とした子育て支援を、いわゆ る預かり保育に準じたような形態で実施していくというふうな御意見でございます。2 歳児については検討課題というふうな扱いになっております。  それから、いわゆるコアの事業に対します附帯事業としましては、「(1)」、 「(2)」にございますように、地域の子育て支援として、0・1・2の親子登園、保 護者の子育て力の向上を重視したような支援、相談・交流支援、情報提供等の事業を行 うべきだというふうなこと。2番目については、設置者の判断によりまして、教育時間 の4時間を含む8時間を超えて行う就労支援、いわゆる託児支援ということを、費用に ついては全額利用者の負担として考えていくべきだというふうなことについての御指摘 がございます。  3ページをはぐっていただきまして、その事業内容とか附帯事業のイメージは、この 図式されているところのようでございます。  評価については、第三者評価の仕組みを導入する。  設置基準については、施設・設備・備品については、運動場も含めて幼稚園設置基準 を基本とすべきだ。職員配置については、特に3歳以上については幼稚園設置基準を最 低基準とし、就労支援あるいは子育て支援については専任の者を配置するというふうな 基準を設けるべきだという御指摘がございます。資格要件については、幼稚園教員免許 を有する者を原則とするという御指摘がございます。  4ページでございます。公費負担については、既存の公私幼稚園・保育所の施設間の 公費負担の水準の格差是正を総合施設においては図っていくべきだというふうな御指摘 がございます。  費用負担については、利用者負担を原則とし、一律の料金体系を基本にして設置者が 決定し、利用者が直接支払う、直接契約、応益負担の考え方が示されております。それ から、先ほどの8時間を超える就労支援の部分については、企業からも受益者として負 担を求めるべきだ、それとともに、保護者の所得に応じたような、いわゆる軽減措置を 講じるような、利用者に対する助成システムを考えるべきだという御指摘がございま す。  入園方法については、直接契約とし、「保育に欠ける」という要件を設けないという ふうな意見になっているところでございます。  適正配置の問題としましては、特に、総合施設の計画段階において、地域のニーズが 過不足なく充足されるように、計画・構想の段階から地域の、地元の幼稚園、保育所等 の関連施設の適正配置、機能分担については、私立幼稚園関係者の意見が十分反映され るような連絡協議会を設けるべきだというふうな御指摘をいただいているところでござ います。 以上が全日本私立幼稚園連合会の御意見でございます。  2番目が、全国国公立幼稚園長会から、「「総合施設」についての考え方」という形 で5ページから10ページまで意見がございます。  かいつまんで御説明させていただきますと、特に、女性の社会進出ですとか、家庭や 地域の子育ての環境等の変化の中で、地域によっては、既存の幼稚園・保育所では対応 できないという現状が出ている。特に、現在、地方自治体において、いわゆる幼稚園を 含めました施設の統廃合を進めている中において、総合施設の設置とともに、適正な配 置の見直しが必要だということが出ているというふうな御指摘があるところでございま す。  そういうふうな観点に立って、必要性なり意義なりということについては、5ページ の下のほうからございますように、現状において幼稚園の設置が地域によって偏在して いる中で、小学校就学前の希望するすべての幼児に対して幼稚園教育を受ける機会を保 障する必要があるだろう。  1枚はぐっていただきまして、そういう観点からの、すべての就学前の子どもさんた ちに対して良質な教育を提供する観点からの再構築を考えていく必要がある。そういう 意味において意義があるだろう、それから、多様なニーズに対応して、選択肢を拡大す るというふうな観点からの意義があるだろうということについての御指摘がございま す。  それから、いわゆる次世代を担う人材の育成と、乳幼児のそれぞれの発達段階を踏ま えましたような、その時期にふさわしい教育・保育の環境整備という観点から進めてい くべきだというふうな御指摘があったところでございます。  性格としましては、幼稚園、保育所と並びます第三の就学前教育・保育の制度としま して、特に子どもの視点に立つということを最優先とし、教育の機能、保育の機能、子 育て支援の機能の三つの機能を有するような性格のものとすべきだ。その際、地域や自 治体の自主性を尊重し、多様な形態での設置、あるいは、一律の設置ではなくて、必要 な市町村においての設置を考えていくというふうな性格づけをすべきだというふうなこ とがございます。それから、「性格」の最後のところにありますように、保護者の就労 の有無などの要件を問わないようなものとして、すべての子どもたちを対象とすべきだ ということについての御指摘があったところでございます。  名称については、例えば「乳幼児総合園」など内容にふさわしい名称を考えていくべ きというような御指摘がございます。  所管については、子どもの視点に立つことを最優先とし、教育機能を重視すべきだと いう観点から、文科省の所管としたいというふうな御指摘があります。ただし、低年齢 の乳幼児には養護的なケアが必要という観点からの連携をしっかりやっていくべきだと いう御指摘がございます。  7ページ、設置主体でございますが、市町村、学校法人、社会福祉法人の三つを対象 とすべきだという御指摘がございます。  実施事業ですが、教育事業、保育事業、子育て(次世代育成)支援事業という形で、 特に教育事業においては、幼稚園教育要領に基づいた教育を、3〜5歳を対象に実施す べきだ、5歳については、特に小学校教育との連続性を考慮した内容とすべきだという ような御指摘ですとか、小1プロブレムへの対応ということを視野に、小学校との連携 を一層進めるべきだというふうな御指摘がございます。  保育事業については、特に養護に重点を置いて、保育所保育指針に準じたような保育 を実施する。その際、保育時間とか人員の配置などについての事業に配慮すべきだとい うふうなことの御指摘がございます。  子育て支援事業としては、親育ちの支援を実施するという観点から、障害のあるお子 さんですとか、子育てに困難を抱える家庭に対する支援ということについてのシステム を構築するですとか、小・中・高校生、大学生などが子どもと直接に触れ合う機会です とか、体験的に子どもを理解するというふうな事業を実施するとか、父親とか企業の関 係者の保育参加ということについての言及があるところでございます。  1枚はぐっていただきまして、設置基準でございますが、3〜5歳については、教育 の場という形で幼稚園設置基準を基本として考えていくべきだ。ただし、1学級35人 を定数とするような、現状においても課題があるものについては、この際見直してはど うかというふうな御指摘があったところでございます。  財政措置でございますが、既存の幼稚園、保育所、総合施設ともに一律の経済負担と なるようなシステムを構築すべきだという観点から、例えば子育て切符のようなものを 配布し、選択するような形にしてはどうかというふうな御指摘ですとか、あるいは「子 育て税」というようなものを設けて、国民全体で負担する仕組みづくりを考えてはどう かというふうな御指摘があります。  入所の方法については、直接契約ということについての御指摘があるところでござい ます。  それから、実施事業の質の確保という観点から、特に、いわゆる0〜5歳を見通した ようなカリキュラムですとか、3〜5歳については教育課程を編成すべきだ、あるいは 教員の資質の向上のための研修の機会を十分とっていくべきではないかというふうな御 指摘がございます。  9ページでございますが、特に、園内研修と呼びますような、テーマを持っていくよ うな、外部講師から助言をいただくような研修制度を設けることによって日常的な資質 の向上を図っていくべきだ、あるいは、総合施設の特性を考慮したような新たな研修も 考えていくべきではないかというような、研修重視を特にうたっておられます。それか ら、いわゆる職員の勤務については、週、日の安易なローテーションとすべきでなく て、学級経営などが十分充実できるような形での専門性の確保という観点の御指摘があ るところでございます。  それから、保育の質の確保という観点からは、特定の大人との関係の中で情緒の安定 を図るというふうな要素がございますので、人材の確保、あるいはその関係が成立する ような取組、あるいは第三者評価等についての御指摘があるところでございます。  その他でございますが、特に免許、資格については、幼稚園を志して、保育士の資格 を持たないためになれないというような、門戸を閉ざすことのないように配慮が必要だ というようなことですとか、0〜5歳の教育・保育を実施するということについて言え ば、専門的な免許なり資格を創出すべきだというふうな御指摘があったところでござい ます。  10ページでございますが、施設長の問題に触れておられます。施設長については、 特に教育・保育に関する高い識見、コーディネートの力、豊かな人間性、リーダーシッ プが要求されるという観点、特に教育機能を重視するという観点から、幼稚園の園長の 経験がある者、あるいは教育機能の部分についての責任者として幼稚園の園長を充てる などの取組が必要ではないかというようなことについての御指摘があるところでござい ます。  最後に、国公立幼稚園が培ってきたようなノウハウを最大限生かしていくことが望ま れるというような御指摘をいただいているところでございます。  3番目が、11ページでございますが、全日本教職員組合でございます。こちらにつ いては、11ページから14ページまで、後半部分がアンケートでございますが、意見 をいただいているところでございます。  特に、国の公的な責任を明確にした議論を求めますということで、いわゆる規制改革 会議等の議論においては、低い基準に合わせていくというふうな観点から、国の財政責 任を後退させ、保育・教育を切り捨てるような方向に進んでいるということに対する懸 念を表明されておられます。その中で、特に国の基準等についての公的責任を明確にす べきだということについての御指摘があるところでございます。  それを具体的にする話としましては、職員配置とか設備の改善ということについて は、12ページをお開きいただきたいと思いますが、その改善が必要だ。それから、 「(2)」にございますように、親の願いにこたえた幼稚園・保育園の充実をという観点 からすれば、特に9,000人を対象としましてアンケートをとっておられまして、そ の中で、特に、「子育てや環境について不安に思うこと」の内容としましては、「忙し くて子育ての時間が減った」とか、「子どもが病気でも休めない」とか、「急な用事に 子どもを預かってくれるところがない」とか、「イライラする」というふうな観点から の回答があるということを踏まえまして、条件整備が急務ということで、その場合、い わゆる幼稚園と保育所の壁を取り払うことではなくて、それぞれを充実させるというこ とについての意見が明確になっているところでございます。  それから、解決すべき具体的な課題としましては、対象児と形態としては、特に直接 入所の制度については、保護者の負担や障害者の入所の障害になるというような懸念も あるので問題であるというような御指摘ですとか、教育・保育の内容については、どの ようなカリキュラムにするかについては、現場の実践を踏まえながら、発達の課題に即 して考えていくべきだというような御指摘があるところでございます。  13ページでございますが、施設設備・職員配置については、特に現行におきます幼 稚園の35人、保育所の4〜5歳児の30人というような現状については、基準を国の 責任で早急に改善すべきだというふうなことについての御指摘があるところでございま す。  最後に、公的な責任について、保護者・現場の声を踏まえた議論をということで、先 ほどから意見として出されているように、現行よりも低い基準としてスタートすれば、 財政削減のモデルにはなっても、教育・保育の質の低下につながるということで、その 懸念を表明されているところでございます。  15ページをお開きいただきたいと思います。日本教職員組合のほうから御意見をい ただいております。「これからの乳幼児教育と総合施設に関する考え方」ということで ございます。  冒頭にありますように、いわゆる幼稚園と保育所の行政の二元体制ということについ ては、地域の小学校に入る子どもたちにとって課題がある、この際、就学前の子どもに ふさわしい保育・教育の場をひとしく保障していくことは子どもの権利であるというふ うなことをうたわれまして、その観点から総合施設については基本的には賛成という立 場で、以下にあるような点については最低限必要だという形で表明されているところで ございます。  1番目は、特に幼稚園教育要領と保育所保育指針を合わせた教育・保育をひとしく0 歳から就学前の子どもに保障できるような内容をつくっていく。その際、小学校での教 科教育を乳幼児期におろすことですとか、短時間の幼稚園の教育をそのまま長時間化す ること、あるいは年齢を0歳までおろすというような安易なやり方については問題だ。 それから、これまで保育所で培われたような0歳から2歳までの乳幼児教育を土台にし て、3歳以上については遊びを通した幼児教育を積み上げていくということを考えてい かないといけないというような御指摘があるところでございます。それから、公立幼稚 園の取組について消えてしまうということについては教育界の損失であるという形で、 幼稚園教育のよさを有効に生かしていく、提供していくことが必要だということを触れ ております。  2番目が、幼稚園設置基準と児童福祉施設最低基準に照らして、より高い基準を設定 する必要があるということについての御指摘がございます。  1枚はぐっていただきまして、3点目としましては、在園時間の問題として、いわゆ る短時間児、長時間児が出てくるということを考えました場合、保育者の負担が増える という形で、打ち合わせの時間を十分確保するとか、保育の準備時間をとるということ について保障する体制を確保すべきではないか。  資格については、いずれかの資格を持っている人には一定の研修を保障して、両方の 資格が取れるように配慮すべきだ。  それから、研修の重要性という形で、幼稚園教員については義務づけられている。特 に公立でございますけれども、研修制度については、日常的な研修としてやっていくべ きではないか。  6点目としては、公立の幼稚園を有効に活用して、0歳からの新しい育ちの場を提供 するということについては期待しているということについての御指摘があるところでご ざいます。  1枚はぐっていただきまして、最後に全日本教職員連盟でございます。2ページにわ たりまして御意見があるところでございます。  特に、問題認識としましては、地域によりまして幼児教育の機会が偏在していると か、親の就労形態によって受けられないとかというふうな現状においては、幼児教育に おける量の拡大とか質の向上が必要という観点から検討を進めていくべきだという観点 から、17ページ、18ページ、3点の御指摘をいただいているところでございます。  1番が、健全な成長を第一にという形で、特に、いわゆる施設の監督官庁の一元化、 あるいは円滑な連携による乳幼児教育から小学校教育への一貫した教育の流れをつくっ ていくということについて議論すべきというふうな御指摘をいただいています。  2点目が、家庭と地域の教育力の回復という形で、教育力の低下というふうな現状を かんがみた場合、18ページ以下でございますが、安易に長時間子どもを預ける場にな ることのないように総合施設はすべきだ。特に、親同士の触れ合いですとか、親と教師 (保育士)や専門家とのかかわりの場を設けるなど、子育て支援のセンター的な役割を 持つべきだ、それから、親の責任を明確にした上で具体的な計画をつくっていくべきだ というふうなことについての御指摘があるところでございます。それから、「また」以 下にございますように、教育委員会が主体性を発揮して、ボランティアの導入ですとか 小学校との交流を進めていくべきという御指摘があります。  最後に、教育の充実という形で、この時期は特に人格形成においても大きな意味を持 つということで、幼児期に適切な教育を受けるということが、現在ございますような学 習意欲の低下の問題という観点からしても大事な課題だ、幼児期に学ぶ楽しさを親子と もに感じるということが重要になってきているというふうな御指摘がございまして、そ の観点から、1日8時間子どもを預かった場合、幼稚園教育要領に従って1日4時間程 度の教育時間を確保するという取り扱いは総合施設となっても必要だというふうな御指 摘。その場合でも、一律に考えるのではなくて、週単位とか月単位のサイクルの中で考 えていくというような御指摘があるところでございます。  以上、長くなりましたけれども、御紹介させていただきました。 ○田村主査  ありがとうございました。  次に、保育所関係団体から意見書が出ておりますので、唐澤保育課長から御説明をお 願いしたいと思います。 ○唐澤保育課長  それでは、お手元の資料4というものを御覧ください。「総合施設に係る関係団体の 意見について(保育所関係)」となっておりますが、必ずしも保育所だけに関係してい るということではなくて、もうちょっと広い立場から御意見をいただいております。関 係上こういう整理をさせていただいているということで御理解いただきたいと思いま す。  全部で6団体・グループの方から御意見をいただいております。  最初に、社会福祉法人全国社会福祉協議会・全国保育協議会の御意見でございます。  お時間もございますので簡潔にお話しさせていただきますが、端的に申しまして、ま ず、総合施設の位置づけにつきましては、次世代育成支援システムの中に位置づけられ た施設(制度)としていくこと。最初の位置づけのところにそのことが述べられており ます。こうした次世代育成支援システムの位置づけとして、既存の保育所・幼稚園とは 別の、三つ目の選択肢にするということが基本的な位置づけでございます。  次に、基本的な機能でございます。全国保育協議会では三つの機能を基本とするとい うことが提案されております。  一つは「就学前の子どもを対象に、必要な養護と教育を与えることができる機能」、 2番目といたしまして「子育て家庭の親を対象に、子育てにかかわる必要な相談・助言 ・支援を与えることができる機能」、第3に「小学校低学年の放課後児童を対象に、必 要な養護を与えることができる機能」という三つの機能を基本的機能とすべきである。 さらに、これに追加して様々なオプション機能を、地域の実情に応じて実施していくと いうことが提言されております。  2ページをお開きいただきたいと思います。  施設・人員・運営の基準につきましては、質の高い養護と教育内容の確保を基本とす る、こういう観点から考えていくべきである。  利用につきましては、いつでも必要なときに子どもを預けたり、気軽に相談・助言・ 支援を受けたりすることができる、こういう形の利用ができるようにすべきだというこ とを提言されております。  財源は、市町村だけで財源を負担するということではなくて、国、都道府県、企業等 も含めて、国民全体がひとしく負担をする仕組み、こういう御提言をいただいているわ けであります。  3ページはそれを図にしたものでございます。省略させていただきます。  4ページは、社会福祉法人日本保育協会からの「総合施設について(中間とりまとめ )」の御提言でございます。  まず最初に述べられておりますのは、理念を明確にすべきである、どういう方向を目 指すのかということを明確にすべきであるということが第1にうたわれておりまして、 その際に、現行制度との違いを明確にしていくということで、検討されている三つの機 能、次世代育成支援・幼児教育機能、地域の子育てニーズにこたえる機能、待機児童の 解消に資する機能、こういう機能を活用していくべきであるということでありますが、 それぞれの地域の実情によってそうしたものを取り入れていくべきであるということが 言われているわけであります。  5ページのほうにまいりまして、そういうことで、屋上屋を架すような制度とすべき ではないという御指摘がございまして、同時に、すべての子どもの健全な育ちを保障す るような仕組み、子育て中の親を支えるような仕組み、こういうものにしていくべきで あるということで、ただし、これは幼保の二つの制度の一元化を進めるようなものであ ることについては避けるべきである、こういうことでございます。  それから、子どもの福祉の視点、子どもの幸せの視点というものを中心に議論をすべ きである。財政の効率性でありますとか、そういうようなものに重点を置くべきではな いということを御指摘いただいております。  6ページでございます。6ページにおきましては、0歳から就学前の子どもの発達の 連続性という観点から、一貫した保育が必要であるということで、いわゆる3歳未満は 保育で、3歳以上は教育に重点を置くというような「年齢輪切り論」については適当で はない、そういうことでございます。それから、教育の内容については、心と身体を総 合的にはぐくむ、そういう人間教育が必要である、こういう御指摘でございます。  費用負担につきましては、国策として国が責任を持って行うべきであり、市町村の関 与に基づく責任体制を確立することが必要であるということを言われております。  最後に、7ページにおきまして、保育士の資格と資質の向上について触れられており ます。  8ページでございます。8ページは社団法人全国私立保育園連盟の意見書でございま す。  私立保育園連盟におきましては、8ページの一番下のほうの段に近いところにござい ますけれども、次世代育成支援に当たるという考え方を思い切って打ち出すという観点 から、「保育総合施設」というものを検討してはどうかということが提言されておりま す。その内容は9ページからでございます。  総合施設の機能として三つの機能を提言されておられます。一つは「既存の保育所が 持っている「保育に欠ける子」を対象とする保育の機能」、それから「既存の幼稚園が 持っているすべての幼児に開かれた幼児教育の機能」、三つ目に「すべての在宅子育て 家庭(特に0〜2歳児)への子育て支援機能」、こういう三つの機能をあわせ持つ施設 とすべきだということでございます。  基準の設定につきましては、両制度の現行基準の高いほうを採用すべきである。  それから、小規模な施設の設置を可能にするというようなことがあわせて提言されて おります。  利用の仕方につきましては、要保育認定という入所と自由な入所決定による入所を共 存させるということで、自由な入所ができますけれども、優先度の判定、こういうよう なことを考えていく必要があるということでございます。  保育費用につきましては、国が決める最低の基準に基づいて市町村で決定する。保護 者の負担についても、現行と同様にして、自由価格にすべきではないということを御提 言いただいております。  次に10ページでございますけれども、子育て支援機能として備える様々な機能、こ れは、ひろば、一時保育、ケースマネジメント、コーディネート等の様々な地域の子育 て支援機能を備えるべきである。  それから、ソーシャルワーカーの配置というものを視野に入れて、その費用を手当て する。  設置主体につきましては、市町村、社会福祉法人、学校法人に限定すべきである、こ ういうようなことでございます。  「保育に欠ける」規定については、例えば障害を持つ子どもさんでございますとか、 ひとり親家庭の子どもさん、あるいは育児能力に欠ける家庭の子どもさんというよう な、少し範囲を広げることを検討すべきだ、こういうことでございます。  そのほか、既存の施設とのバランス、地域の状況に応じて柔軟に対応できる制度とい うような点についての御提言をいただいております。  11ページは、引き続きの検討課題ということになります。  12ページをお開きいただきたいと思います。12ページは全国社会福祉施設経営者 協議会からの御意見でございます。  総合施設については、保育所、幼稚園のいずれか緩い基準で設置するということでは なくて、利用する子どもの視点に立って、その役割や機能を検討する必要がある、それ から、最低限実施されるサービスの範囲というものを明確にして、その上で、多様なサ ービスの提供、地域の実情に合わせたサービスの提供ということが行えるようにしてい くべきだ、こういうような御意見をいただいております。  利用の仕方については、利用者と施設が直接向き合うような関係を基本とする仕組み にしていくべきだ、利用者負担については、それぞれのサービス利用量に応じた負担と して、低所得者の人については別途の措置を講ずる、さらに、総合施設の財源として、 新たな財源を確保する必要があるというような御提言でございます。  13ページは全日本自治団体労働組合の見解でございます。自治労の御意見につきま しては、最初のほうは経過がございますので、15ページをお開きいただきたいと思い ます。  15ページでは、ベースとしては、一番上にございますように、地域におけるすべて の子どもへの保育を保障する「保育所制度をベースにした総合施設」になるようにして いく必要があるという御指摘の上で、真ん中より下でございますが、幼保の基本的な課 題として、基本的性格・役割といたしましては、保育(幼児教育)を希望するすべての 子どもと、育児のサポートを希望するすべての家庭が利用可能な施設にすべきだ、それ につきましては、公的責任で実施される保育所制度をベースに検討されるべきだという ことでございます。  15ページの下には、果たすべき機能・役割ということで、いろいろな御指摘がござ います。  次に16ページでございますが、16ページにつきましては、まず、利用の範囲とい たしましては、利用を希望するすべての親子を対象にし、0歳から就学前までの一貫し た育ち合いや保育を必要とするということで、年齢による利用対象の区分は設けるべき ではない。さらに、学童期を含めた保育の実施も視野に入れるべきだということでござ います。 利用につきましては、利用の拒否が生じないように応諾義務を課す必要があ る。  さらに、設置・運営基準につきましては、所管につきましては厚生労働省、自治体に おきましては市長部局で対応していくべきではないかというような御指摘がございま す。  さらに、次のページにまいりまして、施設職員の資格等につきまして少し触れさせて いただきますと、これは両免許所持者が望ましいけれども、実情に応じて考えるという ことも必要ではないか、また、研修についての充実をしていくべきだというようなこ と。  職員配置基準につきましては保育所配置基準を基本とすべきである、費用負担につき ましては、次世代育成支援のための予算を確保する必要がある、国庫補助負担金という ものをきちんと確保する必要があるというような御指摘をいただいております。  最後に、19ページをお開きいただきたいと思います。19ページは、関係団体とい うことではございませんで、保育・子育ての環境づくりを進める会ということで、大日 向先生、汐見先生、森上先生、3人の世話人代表による御提言でございますけれども、 「「総合施設」を足がかりに次世代育成支援施策の大きな展開を!」という御提言をい ただいております。  まず、総合施設につきましては、子育ち、子育ての危機、非常に困難に直面している 現在の状況というものに対して、すべての子どもに良質な保育・幼児教育を保障する視 点、仕事と育児の両立を図る視点、すべての子育て家庭を援助し、親としての育ちを助 ける視点をともに持ってアプローチする施設とすべきだ、これがまず最初の「1」とし ていただいております。  「2」といたしまして、幼児教育と児童家庭福祉の接点を持つ場という御提言。  「3」として、20ページでございますが、新たな子育ての社会化と子育て力再生の 拠点としていくべきだ。  そういう上に、4番目で、総合施設に求められる三つの機能というものを御指摘され ております。まず一つは、既存の保育所が開発・蓄積してきた乳児の「養育・保育機能 」、それから、幼稚園・保育所が開発・蓄積してきた「保育・教育機能」、3として、 すべての在宅子育て家庭への「子育て支援機能」、こういう三つの機能を統合した施設 であるという御指摘でございます。ただし、これは他の団体と違っておりますのは、教 育と保育というような書き方で分けておりませんで、もう少し幅広目の機能の表現の仕 方をとっておられるということでございます。  5番目は、幼稚園・保育所が開発し蓄積してきた保育・教育機能の統合をしていく。  6番目に、多様性に配慮した保育の展開を行っていく。これは、子どもさんの多様性 というものを評価していくべきという考え方であろうと思います。  7番目に、幼児教育を受ける権利を保障しつつ、要保護児童もしっかりと受けとめら れる制度にしていくべきである。  施設の基準については、より高い運営設備基準を構築し、市町村レベルの所管による 総合化というものが必要である。これはそれぞれの、公・私、幼・保で所管が、都道府 県・市町村、教育委員会・首長部局と分かれておりますので、そうした点についての御 指摘でございます。  最後に、地域行動計画策定と子育てを応援する仕組みの必要性、地域の市民による運 営委員会の必要性、こういうことについて御提言いただいております。  以上でございます。 ○田村主査  ありがとうございました。団体と、団体にかかわる、あるいはかかわらないでも関係 の方々の御意見が出まして、大変参考になりました。  それでは、ここから、約1時間程度ございますので、各委員の先生方に総合施設につ いての御論議をいただきたいと思います。  先ほど事務局から御説明いただきました幼児教育部会及び児童部会における議論の概 要の資料をどうぞ御参照していただきながら、特に両部会の議論が相違している点など を中心に御意見をちょうだいできれば大変ありがたいと思います。  それでは、どなたからでも結構でございますので、御発言よろしくお願い申し上げま す。  どうぞ、酒井先生。 ○酒井委員  本当にいろいろな方々の意見をお聞きして、また新たに考えねばならないこともあっ たなと思いながら興味深く聞かせていただきました。  資料2の2ページ目ですが、「幼児教育部会における意見」の「○」の二つ目、「3 〜5歳児は4時間を標準とする」、また、その下のほうの「教育・保育内容」のところ では、「4時間を標準とした教育時間(コア時間)を確保する」というふうにしており ます。それに対して児童部会のほうでは、右の上の枠の「◇」の三つ目ですが、「すべ ての子どもに一定時間の保育を保障すべき」というふうにしております。この「すべて の子どもに一定時間の保育を保障する」ということにつきましては、私は多少異論がご ざいます。  まず、4時間を標準とするということは法律的に幼稚園教育要領でうたわれているわ けですけれども、子どもの生活リズム等に配慮してこの4時間という数字が出てきてい るわけです。1日24時間としますと、半分は睡眠、あとの半分を集団生活、そして地 域での生活、家庭での生活というふうに大ざっぱに三つに分けることができるのだろう と思いますけれども、そのあたりから幼稚園での教育時間は4時間を標準とするという ようなことが出てきているわけです。実際に子どもたちの生活リズムを見ております と、4時間程度、年長なんかですと5時間を超える場合もございますけれども、そこを 超えたときに子どもたちに相当疲労感があるということは感じております。ですから、 4時間を標準とするとした場合の教育内容、保育内容というのは、めり張りのある、幼 稚園教育のメニューで提供することができると思うのですけれども、ここを例えばすべ ての子どもに一定時間の8時間保障したといたしますと、この辺の教育メニューという ようなところが少し変わってくるのではないかと考えております。長時間を視野に入れ て、中には午睡ですとか食事のことですとか、そういったこともケアしていかねばなら ないような、そういった生活面を考慮したメニューになってくるのではないか、その辺 の構築の仕方が変わってくると思うのです。教育をぜひとも重視してほしいと私は思っ ておりますので、この「4時間を標準とする」というところでそういった違いが、まず 子どもの生活のリズムの中から出てくるなということを感じております。  ちなみに、小学校1年生も4時間程度の時間割です。総合施設においては、小学校と の連携あるいは学びの接続といったことも重視したいと考えておりますので、小学校と の接続ですとか、それから小・中・高といった学校としてのつなぎを考えた場合も、4 時間を標準とするというあたりはぜひとも実現していきたいなと思っております。  2点目ですけれども、保護者の側から言えることもございます。4〜5歳児の6割近 くが幼稚園に就園しているという実態がございます。もし総合施設を、すべての子ども に8時間なり一定時間を保障するというようなことにした場合、4時間程度で済む人ま で8時間にしてしまうことに問題があるなと感じております。4時間程度をコアとして 設けて、すべての幼児に共通の教育時間と考えるのが理にかなっているのではないかな と思います。希望に応じた柔軟な対応ですとか、また、反対に、真に保育に欠ける子へ のきめ細かな対応、そういったことを促すためにも、4時間を標準とするコアタイムと いうのはぜひとも設けたいなと思っております。  今、少子化がとまりませんけれども、少子化を抑制するというのは、長時間子どもを 預けるとか、子育てサービスですとか外注化ではないわけで、国公幼のほうのデータで すけれども、つらいこともあるけれども、そこを克服して乗り越えてこそ喜びもあり、 そしてそれが子どもを産むという具体的な数値につながっております。そういった面か らも、教育時間を、4時間を標準として、コアタイムというものを設けるということが 大切なのではないかと思います。  まだまだほかにもあるのですけれども、一応このぐらいにしておきます。 ○田村主査  ありがとうございました。総合施設にかかわって、まずコアタイムの問題が出てまい りました。  どうぞ。 ○柏女委員  柏女と申します。今の御意見に関連してなのですが、「すべての子どもに一定時間の 保育を保障すべき」と言ったのは、きっと私の意見をこうして書いていただいたのでは ないかなと思っているのですが、私は、この「一定時間」というのは、例えば3、4、 5歳は4時間というふうに考えています。すべての子どもに8時間の保育を保障すべき だとは思っておりません。でも、すべての子どもたちに、例えば0歳の子でも1歳の子 でも2歳の子でもほかの子どもたちとつながれる時間を、一定の時間をやはり配慮して いくことが必要なのではないかということを思っています。例えば0歳の子がほかの子 どもたちと手をつなぎ合える場というもの、そういうものを例えば週に1回でいいか ら、2時間ぐらいでいいから、そういう時間は例えば親子でつなぎ合えればいいと思い ます。そんな場を保障していかなければいけないのではないか。3、4、5歳は、ほと んどの子どもたちが、特に4、5歳は、4時間の時間は幼稚園か保育所のどちらかで利 用している方がほとんどですから、そういう利用の仕方、保育を保障していって、あと は子育て支援というジャンルでそれ以上のものを保障していく、こういう考え方がいい のではないかということで申し上げました。  もう一つは、前回も申し上げたのですが、こうした考え方をぜひとるべきだと思って いるのは、例えば病院に長期入院している子どもたち、そうした子どもたちにもやはり 保育が必要なのではないか。病棟保育などが今モデル事業として始まっていますけれど も、そうした子どもたちになかなか届いていないという現状があるので、あるいは在宅 で長期療養を余儀なくされている子どもたち、こうした子どもたちに対してもやはり保 育というのは届けられていいのではないか、そういう意味でここは申し上げたもので す。ですから、そんなに違っていないのではないかなと思っています。 ○田村主査  よろしいでしょうか。  山口先生、どうぞ。 ○山口委員  今の保育時間のところはとても大切なことだと思うのです。資料1の1ページ目の意 義・理念や性格・基本的機能のところに、例えば、「親育ち」のための子育て支援とい うこととか、親子を対象に子育て支援をすることとかいう文言があります。私はやは り、そういう意味では、できるだけ低年齢の場合は時間的にも無理をしないで、親子で しっかり楽しめるならそれを楽しむ。でも、それだけでは今の時代足らないから、やは り全体で交流するというか、それをバックアップするような場を必要とするのだと思う のです。そして、総合施設として開かれている時間と、それが利用されている時間とい うものを区別して考えないと、開かれているからその間全部子どもがいるのだというの ではなくて、半日でいい場合は半日で帰ればいいし、週に2日来ればいいのだったら2 日親子で来ればいいみたいな柔軟な制度設計を必要とするのだと思います。 ○田村主査  ありがとうございます。  今の保育所は決まった時間というふうに、11時間と決まっていますね。 ○山口委員  それは「保育に欠ける子」というふうになっていますよね。 ○田村主査  それとは違ったものを考えないといけないということですね。 ○山口委員  それとは違って、総合施設の場合は保育時間や保育形態についても柔軟に考えたほう がいいのではないかと思うのですけれども。 ○田村主査  ありがとうございました。  いかがでしょうか。  どうぞ、中村先生。 ○中村委員  保育園の中では、11時間開設ですけれども、その中で親が必要な時間帯を保育を提 供するというふうになっております。ですから、私もここの「すべての子どもに一定時 間の保育を保障する」という読みを、「希望するすべて」というふうにとらえておりま した。働くお母さんもいれば、午前中だけのお母さんもいれば、午後からのお母さんも おりますので、それぞれの必要なニーズに応じた保育を提供するというふうに私はとら えておりました。 ○田村主査  ありがとうございます。  では、これはそういう認識でとらえてよろしいわけですか。  どうぞ、岩男先生。 ○岩男主査  非常にナイーブな質問をさせていただきたいと思うのですけれども、幼稚園における 教育というものを知らないので伺いたいのです。教育が非常に重要だということをおっ しゃるときの、その幼稚園での教育というのが、よくわからないのです。どうも私は、 教育と言われるとすぐお勉強的なものを頭に浮かべてしまうのですけれども、私が考え る幼稚園のあるべき教育というのは、いわゆるしつけなのだというふうに思っていま す。私は大学で、多くの学生たちは幼稚園を経過した十数年後を引き受けているわけで すけれども、恐らく小さいときには好奇心の塊だったときもあったに違いないのにと非 常に残念な思いをしながら日ごろ学生に接している人間として、幼稚園に期待されてい る教育というものの内容というものをやはり考え直す必要はないのだろうか。どういう ことをしていらっしゃるかよくわからないので伺うものですから、そのあたりをちょっ と教えていただければということが1点です。  それから、小学校との連携を重視なさるということなのですけれども、いわゆる附属 の幼稚園的なところはおのずから連携がとれているわけですけれども、小学校の先生方 とお話をすると、小学校のほうは別に連携を求めていないというような声を聞いていま す。これが相互の合致したニーズなのか、一方的というか、片思いでおっしゃっている のか、そこら辺も含めてちょっと教えていただけるとうれしいと思うのですけれども。 ○田村主査  どうしましょうか。 ○酒井委員  責任上、私のほうで先にさせていただいて、あとはまた……。よろしいですか。 ○田村主査  はい。では、どうぞ。 ○酒井委員  本当に鋭いところをついていただいたなと思います。そのことは私どももいつも自分 たちで自問自答し、評価、反省しというふうにしているところです。  幼稚園は、御承知のように、人間形成の基礎づくりのところですから、しつけですと か、人間として大切なこと、そういったものは確かに重視しております。例えばの話に なって恐縮ですけれども、この前、プラネタリウムの遠足に、徒歩で行けるところにあ るのですけれども、行く朝、思いがけない雨が降ってきました。半分ぐらいの子どもし か傘を持っておりませんでした。あとどうするかということになったときに、多目に持 ってきていた子どもが貸してあげるということもありましたし、中には年中組にお友達 がいますし、借りにいって、そういったところでいい関係が芽生えたというふうなこと もございます。こういうことも重視しております。  それから、例えばジャガイモを、親子で植えたものを親子でとったことがございまし た。そのときに、子どもたちは大喜びでやっているわけですけれども、教員はかなりそ の辺を意図的に知的な活動を取り入れているわけですね。どういうふうにしたかといえ ば、大きな模造紙を三つほど用意しておいて、大き目のはこちら、中ぐらいのはここ ね、小さいのはこっちのほうに10ずつの固まりに分けてみてというふうに子どもたち に促します。そうすると、10ずつの固まりが全部で12個と、1個だけ半端のお芋が あって、みんなで、これで121だというようなことが即座に数えられたわけですね。 こういったことは小学校の算数につながっていきますし、算数を勉強するときに具体的 なそういうイメージがあるということで、相当知的な助けにはなるわけですよね。その 辺のことを私は申し上げているわけです。そのことが、教員にしてみれば、きちんと指 導計画等に位置づいている、組織的に、計画的に行っているということになるわけで す。  ほかのところは補足していただければと思います。 ○田村主査  どうぞ、北條先生。 ○北條委員  今、酒井先生が丁寧にお話しいただきましたが、それと同時に、やはり小学校との関 係で申しますと、岩男先生、ただいま、小学校の先生にはそういう希望はないよという お言葉でしたが、私、ここ30年ぐらい幼稚園をやっておりますけれども、ひしひしと 感じるのは、ここ10年ぐらいで小学校の先生方の御認識が相当変わってみえた。御承 知のように、幼稚園には指導要録というものがございまして、小学校にその写しを送付 いたします。30年前、20年前ですと確かに、御指摘のように、そんなの送ってくれ ないでいいですよ、どうせ見ませんよという先生が多かった、確かにそのとおりでござ います。しかし、ここ10年ぐらいは本当に変わりました。いつもきちっと送ってくれ てありがたい、しっかり読んでいますというふうに変わってまいりました。また、私ど もの側も小学校の先生に呼びかけて幼稚園の様子を見ていただく。また、小学校の側 も、このところ大変公立の小学校などは門戸を開いて、地域の方々に授業を見に来てく ださいという機会が大変多くなっております。私どもも、教員も参りますし、また保護 者もそういうところに出かけてまいります。そういうところで交流しよう、連携しよう という気持ちはとても強くなってきております。また、私ども幼稚園で保育をいたしま す場合、5歳児になればやはり小学校との連続性ということを踏まえた保育の組み立て をしてまいりますし、そういった教育課程、指導計画を立ててまいります。  また、これからもいよいよ小学校のほうでも、小1プロブレムと言われるような事態 がすべてを説明するわけではありませんけれども、解決しなければならない一つの大き な課題ではあると思います。そういうものにやはり小学校と幼稚園あるいは保育園がと もに手を携えて解決していくということを考えれば、やはり幼児期の教育・保育の在り 方と小学校との連続性というのは今まで以上に真剣に、大事に考えていかなければなら ない課題ではないかな、そんなふうに思っております。 ○田村主査  以上でよろしゅうございますか。  門川先生、どうぞ。 ○門川委員  こういう場で本当に率直な意見交換ができることは非常にいいなと改めて感じている のですけれども、今、小学校教育、特に低学年教育の中では、保育園、幼稚園との連携 をどうつくっていくか、相互の理解をどうしていくかということが一番大事な課題にな っています。そして、小学校の教員が保育園、幼稚園に出向いていって話を聞く、子ど もの育ちの姿を見る、また幼稚園、保育園の保育士、教員が小学校に来てもらう、ある いは合同研修会をやるとかという取組が最も大切にされて、学びの継続性ということを 一番重要視している、その取組がようやく起こり出した、そういう段階でして、保育園 と幼稚園が二元化されている、あるいは非常に多様な幼稚園、保育園があることで、一 つの小学校に入学してくる子どもが、幼稚園、保育園を含めまして平均的に10園ぐら いに及ぶ、そういう非常に難しい面があるわけですけれども、だからこそ余計にカリキ ュラムを統一していくとか、あるいは関係者(親も含めて)が相互理解していくとかと いうことが最も求められている教育改革の課題の一つではないかな、そのように認識し ています。 ○田村主査  ありがとうございました。  よろしゅうございましょうか、今のことについては。  主査はあまり話してはいけないのですけれども、意欲というのは自立の問題だろうと 思いますね。ですから、子どもが大人になるというのは自立することだと思うのですけ れども、自立できていないから意欲が起きてこないということだと思うので、幼児教育 がそれに関係しているのではないかという考え方から、幼児教育にかかわるところがい ろいろ苦労しているという、こういう状況なのだろうと思うのですね。自立させないと 意欲は出てこないと思いますので、どういうふうにそこまで持っていくかということな のだと思いますね。  大変いい御質問を岩男先生からいただいたのですが、さて、続いて何か御意見いただ けますでしょうか。  どうぞ、津崎先生。 ○津崎委員  花園大学の津崎といいます。ちょっとまた別の観点からの問題提起になるのですが、 先ほど、委員の方が、幼児教育は4時間をコアとすべきだという意見を言われていまし た。私も幼児教育という観点で考えたら4時間ぐらいが一番妥当ではないかなと思うの ですが、ただ、これまでの幼児教育も、ある意味では保育も同じなのですけれども、要 は家庭でしっかりと養育なりケアの体制があるということを前提にして今の幼児教育が 成り立ったり、保育が成り立ったりしている。ところが、今課題になってきているの は、0、1、2も含めて家庭で保育あるいは養育ができない、その前提が崩れてきてい るという事象に対して、社会としてどう保育あるいは幼児教育という形でカバーをして いくのかという新たな状況が出てきているということなのです。その部分が非常に子育 ての不安の前提としてあり、あるいは、場合によっては、家計の維持のためにも、0、 1、2であっても預けて働くほうがその家族にとっては潤いがある。だから保育のニー ズがどんどん拡大し、待機児解消というふうなことでいろいろ都市部では保育所の枠を 増やしているわけですけれども、増やしても結局減らないのですね。なぜ減らないかと いうと、従来、0、1、2という部分は、ほとんどが家庭で見られていた。保育所がで きて、保育の入所の枠が緩やかになればなるほど、そのニーズがどんどん掘り起こしに なっていくのです。そういう状況でどんどんと待機児の解消だけが進んでいくと、0、 1、2を全部保育所に入れなければいけないという事態も起こり得る。  そういうことを考えたときに、0歳から就学前の6歳までも含めた保育の基本的な戦 略を社会としてどう持つのかということが、やはりもっとしっかりとした政策としてな いといけないのではないか。例えば、ここにも指摘されていますように、安易な育児の 外部化はよくない。私も理念的にはそう思いますけれども、しかし、そういう理念だけ で個々の処理はできないわけです。むしろどんどんと外部化したいという思いのほうが 一般化していって、それを家庭だけで養育するということは、ある意味では非常にハン ディを背負うというふうな事態があったときに、そういう理念だけを訴えて現象がとま るかというと、やはりとまらない。  そういうことも含めていろいろ考えていったときに、0歳児も含めたケアの在り方 を、社会として一定の考え方を持って、政策としてどういう方向に誘導していくのがい いのかということをしっかりとした戦略として持たないといけない。そういう意味で私 は、前提には養育あるいは保育という考え方があって、養育・保育のそれぞれの状況に 対して、今度は教育というものがどういうふうにそこにコミットする体制がいいのかと いうことを持たないと、そういう状況に関係なく、こういう理念だと言っても、それが 根づくような体制になければ意味がないわけで、そういう意味では、今問題になってき ているのは、何回も私は児童部会で言っているのですけれども、0、1、2の、今まで は暗黙のうちに家庭で養育するということを前提にしていた部分が崩れている。その崩 れてきている部分を社会としてどう担うのか。そこから派生して、すべての政策をどう いうふうに整備していくのかということをしっかりと押さえないと、そこを押さえず に、ただ単にもっと現象の部分をこうしたらいい、ああしたらいいということだけでは なかなか整合性のある施策に持っていくことはできないのではないかというのが私の基 本的な考え方ですので、一定披露しておきます。 ○田村主査  ありがとうございました。  どうぞ、北條先生。 ○北條委員  ただいま伺っておりまして、確かにそういう現象というのはあるのであろうと思いま す。ただ、私は幼稚園でございますので、幼稚園で30年ほど仕事をしておりまして、 確かに家庭の子育ての力が落ちたという指摘はされております。そういうふうに感ずる ことはございます。しかし、まだまだ私は家庭には力があるというふうに、幼稚園をし ている限りは思います。しっかりと幼稚園が家庭と手を携えて子どもを一緒に育てよう よというメッセージをしっかり家庭に伝えていけば、お母さんたち、あるいはお父さん 方も、自分の子どもを自分で見たいという方々はまだまだ多いです。こういう方々を励 ましていくということが大事なことだろうと思います。  ですから、前回の第1回の合同会議のときでも、ここでの御議論が、おおむね、総合 施設を考える場合には、これはピカピカの箱物をつくろうという話ではないのだ、シス テムです、プログラムですというお話がございました。とても大事だと思います。もう 一つ、子どもの視点に立ちましょう、子どもの権利を守りましょうというお話がありま した。これも大事なことだと思います。また、親子というものを考えて、総合施設とい うのは親子を相手にするのだというお話もたくさん出ました。こういうことも大事だと 思います。こういうことを含めて、やはりもう一回私どもは立ち向かっていかなければ いけないのではないかと思うのです。  家庭の教育力が落ちたからといって、それに対応してサービスを次から次へと拡充し ていくという方向を出すのなら ―そういう出し方もあると思いますよ。であれば、た だいま先生が御指摘になりましたように、我が国はすべて0歳児から保育所で預かるの だという、そういう政策をとらざるを得ないわけです。しかし、私は、今の段階ではそ ういうふうにはまだなっていない。まだまだ立ちどまって、踏みとどまって、踏み戻す ことができる段階にある。それを幼稚園と保育園の先生が手を携えてやっていこうよ、 こういう話だろうと思っています。  そこで、総合施設をせっかく今検討して、前回のようないろいろな御意見が出たわけ ですので、我々としては、ここで子どもの権利というのをもうちょっと強く社会に対し て打ち出していくよい機会だと思います。数次にわたって労働基準法が改正されまし て、労働時間は短くなったわけでございます。週48時間が40時間労働になったわけ でございます。そうはいったって職場は厳しくて、残業がいっぱいある、そのとおりで ございますけれども、しかし法定労働時間は48が40になったわけです。それなの に、どうして子どもは8時間が11時間になり、13時間、これはすべての子どもでは ないですけれども、そういう例だって出てきてしまっている。やはりこれは何とかしな ければいけない。もう一回家庭の教育力を回復するにはどうしたらいいかということを 一緒に考えていく、そういうきっかけとしてこの総合施設の議論をさせていただいて、 広く国民の方々に強目のアピールをこの場から出していただければ本当に幸いなことだ と思っております。 ○田村主査  ありがとうございます。  いかがでしょうか。  吉田先生、どうぞ。 ○吉田委員  今の件を少し補足しながら、私の違う視点の話を申し上げたいと思うのですが、例え ば家庭の力が落ちたというのが今議論になっていますけれども、もう少し具体的に考え ると、親一人一人の力が落ちたというよりは、例えば家庭の中に兄弟の数が減ったと か、三世代同居とか、身近な親戚がいないとか、一人一人の親が、その地域で近所づき 合いできる方がかなり減っているとか、要はそういうことで、実は親ひとりの能力の問 題ではない、関係性の弱さではないかと私は思うわけです。そういう意味では、家庭の 力を取り戻すということは、すなわち地域の力をもう一度取り戻す、こういうことに実 はなるのではないか。  そういう意味で、私、先週、総合施設に関してヨーロッパに行ってきまして、一昨日 帰ってきまして、まだ39度ぐらい熱があるものですから、非常に体調が悪くて申しわ けないのですけれども、ロンドンでEarly Excellence Center という、日本でいう総合 施設を見てまいりまして、大変おもしろかったのは、そこの一番大きなテーマは、その 地域の活性化あるいは再生ということでした。ただ、日本と違うのは、移民が多いの で、移民が多い地域とか、経済的にかなり困窮した地域を、上位20%ぐらいを重点的 にセンターをつくっていくというのが現状でしたけれども、つまり子どもとお年寄り、 特に子どもを持った家庭をかなり地域で支えていけるようにして、その町全体を活性化 させようというねらいで、この各団体の意見でも出ていたように、要するに養育・養護 の機能と幼児教育、教育の機能と子育て支援の機能、この三つを総合的にやろうという ことで、幾つかそのためのスペースもあって、人材もかなり外部から、月曜の午前中は こういう機能、午後はこういう機能、火曜日の午前中は、午後はという形でかなり多様 な機能をそこに全部持っているというよりは、外部の人材も入れながら機能を非常に多 様化させているというものでした。  私は、それはかなり参考になるなと思って、ちょっとまとめる体力と時間がなかった もので申しわけないのですけれども、それを見ている限りは、基本はこの議論、根っこ は同じだと思うのですが、どこに重点を置くかということで、そういう意味では、幼児 教育に重点を置けば、4時間を標準とした教育ということが当然大事になるのだと思い ますが、これは堂々めぐりの議論で、それを成り立たせるためには家庭がしっかりしな ければいけない、そのためには地域だということで、何かもう少し視点を変えて、この 三つをそれこそ総合的にとらえていく軸を押さえて、そこから発展させていったほうが 実はいいのではないか。あまりうまく言えないのですけれども、そんな感じがします。 ○田村主査  ありがとうございました。また新しい視点を指摘していただきました。  では、山口先生、次に酒井先生。 ○山口委員  今のお話はとても大切だと思うのです。一人の子どもが育っていくということの有縁 というものを考えたときに、親であり、おじいちゃん、おばあちゃんであり、兄弟であ り、やはり近隣というのもすごく大切であると思うのですね。そういう意味では、ここ での子育て支援というのは、子どもをめぐった周りの大人たちをうまく結びつけられる ような形でないと、それを総合施設が全部取り込むというのは、私はやはり限界がある のだろうと思うのです。そういう面で、そこでいろいろなものが交わり合いながらお互 いに支えていく。今、その力が地域社会で一番落ちてきている。それを取り戻す核とし て、子育てというのは、私は非常に効果的であると思うのです。そういう意味で、やは り子どもを核にしたネットワークをどう地域に広げていき、それを活性化させる場とし ての総合施設での子育て支援というものを考えていかないと、取り込むだけではなく て、もっと広げるという形が今やはり非常に求められているのではないかと思います。 ○田村主査  ありがとうございました。  それでは、酒井先生。 ○酒井委員  私も今までの何人かの先生方の意見に本当に賛成です。  ささやかな本園の実践を考えてみますと、四つ言えるのかなと思うのです。場がある ということ、体験ができるということ、父親がいるということ、そして地域があるとい うことだと思うのです。家庭の力、地域の力を揺るぎないものにしていくために、その 四つが言えると思うのです。  例えば、本園は、幼稚園ですから、毎日、0、1、2歳の弟妹が一緒に来ます。親子 登園をしているようなものです。朝送ってきたとき、それから帰るとき、いっとき、3 0分から1時間程度幼稚園で遊んでいきます。そういう場を提供していますので、そん なところに場があるということで、0、1、2歳のお子さんを持つお母様方も相当の情 報、あるいは子どもにも友達ができるということが言えると思います。  それから、体験ができる。今の方というのは体験が少ないのだと思うのです。力は持 っているけれども、したことがないから火が起こせないとか、そういうふうなことにな るわけで、体験ができるというのは非常に貴重なことだと思うのです、これから進めな ければならないことだと思うのです。  そういう意味では、本園にはPTAという組織がありますので、PTAを通して様々 な体験をしています。細かなことはちょっと省きます。  それから、父親がいるというのは、父親の出番を意図的につくっております。これは 幼稚園、保育園に限らず、こういったことはかなり多くされていると思いますけれど も、父親が出てくるということは、バックに社会があるということですから、社会に父 親の力をかりながらいろいろなことを広げていくことができるかなと思っています。  そして、最後に、地域があるということですけれども、地域の御近所さんと子どもた ちは仲よしです。焼芋焼いたよといっては持っていって、かわりにお花をいただいてき たり、そういった地域の方々との接点をきめ細かに、大切にしています。そして、小・ 中学校との交流、保育所との交流、児童館との交流、こんなこともどんどん進めてい く。  これは私なりのささやかな例ですけれども、こういったことが今後、総合施設におい てもヒントにしながらなされていくと、力は確実につくだろうと思います。 ○田村主査  ありがとうございます。  では、順番ですので、岩男先生から。 ○岩男主査  先ほど津崎先生から戦略性という御指摘がございまして、私も非常に大事な点だと思 うのです。今、酒井先生からお父さんのお話も出てきましたけれども、これまでの議論 あるいはこのまとめを見ると、何となく親が、お母さんが中心に描かれているような、 そんな気がして仕方がないのです。今、政府でも父親の育児休業10%という政策を立 てられて、それを推進しておられる。これが、多くの人は、なかなか実現しそうもない なと思っているわけですけれども、その理由の一つに、お父さん自身も、育児休業をと って自分だけで子育てをすることに対する不安感がおありなのですね。お父さんだけが 不安かと思うと、実はお母さんのほうも、お父さんに任せることに対する不安感がおあ りなのですね。ですから、こういう総合施設なりプログラムというものが、お父さんの 子育てを支援するセンターの機能を発揮するという、そういうものを前面に打ち出すと いうか、新しい、今必要とされている機能をここへ盛り込むとすごくいいなと思ってお ります。  もう一つは、多様性とか柔軟性というのはこれからどうしても必要になってくること ですけれども、それに加えて、やはり開かれたシステムである必要があって、アメリカ のたまたま見にいったデイケアで、ランチの時間にお母さんが時間があいたからと寄っ て自分の子どもだけ連れ出してレストランで食事をしてもいいことになっている。私 は、おそらくこれは日本だったら不公平だといって、きっと問題になって許してもらえ ないのではないかと思いました。こうしたことが、今までの日本の悪い横並び意識とい うものを変えていく一つのきっかけにもなると思いますので、そういう意味で、多様な 形での開かれたシステムにしていくということもその戦略の一つに入れたらいいのでは ないかと思います。 ○田村主査  ありがとうございます。  どうぞ、柏女先生。 ○柏女委員  今かなり子育ての問題で話が出ているように思うのです。話題を変えてもよろしいで しょうか。 ○田村主査  どうぞ。 ○柏女委員  私は設置基準とか、そちらのほうを少し考えてみたいのですけれども、今、幼稚園も 保育所も、この報告の中にもありましたけれども、地域偏在が見られているわけです ね。幼稚園が全くない市町村、あるいは保育所のないところというようなところがある わけですが、そうしたところで、先ほど私が申し上げました、すべての子どもたちに一 定の保育、教育なりを保障していくということを考えたときに、今問題になっているの が三つのタイプがあると思うのです。  一つは、保育に欠ける0歳から2歳の子どもたちです。この子どもたちには、保育園 がないところがあるわけですね。どのくらい全国にあるのか、そんなたくさんはないと 思いますけれども、保育園のないところ、ここで保育に欠ける0〜2歳の子どもたちの 育ちの場というものを保障していかなければいけないだろう。あるいは、それが足りな いところがあります。これは待機児童問題だと思いますが、そこに保育に欠ける0〜2 歳の子どもたちの育ちの場を保障していかなければいけないというのがあると思いま す。  もう一つは、保育に欠けない0〜2歳の問題です。先ほど津崎委員がおっしゃってい ましたが、ここでは二つの側面からのアプローチが必要で、一つは、子どもがつながっ て、ともに育っていける場というもの、これはつどいの広場などもそうだと思います し、それから保育園なども一部その役割を果たしていくべきだと考えています。  もう一つは、親の子育てを支援する。子育て支援については、補完機能と、いわば発 信・教育機能といいましょうか、二つがあると思うのですが、どちらかといえば、子育 て支援という議論がされていたときには、親のニーズを補完、代替する、そういう意味 が子育て支援だというふうなとらえられ方がここでなされているような気がしていたの ですが、実はそうではなくて、例えば一時保育などは、一時保育をすることによって、 その機会をとらえて親に対して様々な発信ができるわけですね。そういうことを考える と、親のニーズを肩代わりしていくというだけではなくて、そこから親に対して様々な アプローチができるということを考えると、いわば受信型、補完型のものと、それか ら、それが常に発信していく、発信型になっていくということは、やはり子育て支援の 場合は考えておかなければいけないのではないかなと思いました。  もう一つ、保育に欠けない3歳から5歳の子どもたちの幼児教育・保育の場をどう保 障するかという問題です。これは、全国の市町村で幼稚園のないところに、今は保育園 が割と緩やかな「保育に欠ける」認定をしながら幼児教育を保障しているということに なるわけですが、ここの子どもたちの育つ場をどう保障していくのか、こうしたことを 総合的に考えていく必要があるのではないか。適正配置の問題というのはそういうこと なのではないか。  そうしますと、幼稚園教育、保育所保育、子育て支援、この三つを十分に持つという ものが大事になってきますし、もう一つは、幼稚園、保育所のいわばいいところといい ましょうか、それを設置基準などでも含めて考えていかなければいけないのではない か。例えば幼稚園も保育に欠ける0〜2歳児を受け入れるという機能を総合施設のほう に持つとするならば、それはやはり0歳から5歳までの保育をしている保育所が例えば 調理室を持っていますが、そうした調理室なども持てるようにしていくような、そうい う設置基準なども考えていくことが必要なのではないかなと。だから、一部言われてお りますが、そのどちらか低いほうにという意見は、私は、子どもの育ち等々を考えた場 合には適切ではないのではないかというような気がしています。 ○田村主査  ありがとうございます。  どうぞ、國分先生。 ○國分委員  今の御発言に関連して、総合施設に求められる機能というのは人によっていろいろな 見方はあると思いますけれども、三つだとか四つだとかいろいろあると思いますけれど も、私は、その辺の機能というものを固定的に、コンクリートにして、これが全部そろ っていなければ総合施設ではないということではなくて、むしろ、もちろんコアになる ものはコアになるものとして、あと地域の実情あるいは保護者のニーズ、いろいろなも のが地方、地方によって違うわけですので、それらを非常に弾力的な構造でこの施設を 考えたほうがいいのではないかと私は思っております。  それから、私自身、田村部会長のもとで幼児教育部会の副部会長をやっておりますの で、その立場でちょっと申し上げますと、理念的だというお話もありましたけれども、 一番問題になったところは、例えば次世代育成であるとか、あるいは就労支援であると か、これは大変大事なことだ。大事なことではあるけれども、それを本来のねらいとは 別に、それを充実すればするほど、極端な言い方をする方は、それは家庭あるいは親の 教育機能の崩壊をもたらす、あるいは地域の教育機能の崩壊をもたらすものだと言う人 までいるくらいで、それをあまりに入れるために、保護者はそれに依存する形でどんど んそういった機能が低下していく。しかし、それが現実ではないか、理念だけではない かとおっしゃいますけれども、やはりそこのところは歯どめをかけなければいけないの で、その工夫がどうあったらいいかという問題は別途あるのではないだろうかと思って おります。  結局、これは、そういう観点から立って、幼児教育部会としては、福祉と教育という のは別に対立するものではないし、これはどちらでなければならないということではな いですけれども、やはり現状を考えると、教育機能というものをかなり重視した施設に して、それ以外の需要、先ほど0歳から2歳児、あるいは4時間を超えたいろいろなも の等々は、地域の実情あるいは住民のニーズに対応して柔軟に対応できる、そういう施 設にしたらどうだろうかというところが、幼児教育は別にまだ最終的なまとめをしたわ けではありませんけれども、議論の過程ではそういうふうに出ているということでござ います。  もう一つ、今日出ていない問題で一つ申し上げますと、例えば保育料などについては 団体の意見でいろいろあるようですけれども、私どもとすれば、それは設置者が決める べきである。ただ、全体の均衡性というのは別途何らかの形で必要ですが、そういうこ ともあり、それから、総合施設が提供するサービスの内容について、やはりきちんとし た自己評価、自己点検を行って、なおかつ、こういう時代ですので、情報公開して、説 明責任を果たし、しかもそれを第三者が評価する、そういう仕組みをぜひとも設けるべ きだ、こういう意見もあったことを申し上げておきたいと思います。 ○田村主査  ありがとうございました。確かにそこの部分は非常に大きな問題でありまして、親の 教育力と福祉をゼロサムの関係にしないようにする配慮をしていかないと、とんでもな いことになっていくということを非常に危惧している方が委員の中に多くいらっしゃい ました。現実にそういうことが見えるということですね。それは非常に重要な指摘でご ざいますので、ぜひテークノートしていただきたいと思うのですが。  それでは、時間がそろそろなくなってきているのですけれども、これだけは言ってお きたいという御意見……。  どうぞ、中村先生。 ○中村委員  乳児の保育についてなのですけれども、私どもの保育園が始まりましたのは、地域の 乳児保育の必要性が高まってきたからだったのです。当時、お母さんの働く先の屋根裏 で転がされておりました赤ちゃんが、時間になったらまくら元にタオルを丸めて哺乳瓶 をあてがって、それでまた仕事に戻るのですけれども、次に行ったときにはその哺乳瓶 が外れてしまって、全然減っていないまま、赤ちゃんはおなかがすいて泣いていた、そ して疲れ切って眠ってしまったところにお母さんが行くという、そういう現状があった のですね。それで、乳児の保育は人の手と目と心が必要なのだということで乳児保育が 始まりました。  ですから、今もいろいろお母さんたちの働く働き方というのは変わってきているとは 思いますけれども、現実に乳児保育の必要性は増えておりますし、そのために保育園の 待機児童も増えてきている現状にあります。本当は3歳まではお母さんが育てるのが一 番だというのはどなたもわかることだと思うのですけれども、これは本当に社会のニー ズとしてどんどん増えてきているというのが現状ですので、総合施設の中でそういう部 分も、しっかりとした乳児保育の認識を持った、知識を持った方が、人格形成の大事な 時期ですので、そのことを心しながら十分に対応していくということが大事ではないか なと思っております。  あと、子育て支援の部分ですけれども、私どものほうで子育て支援をやっておりま す。地域の要するに3歳未満の保育に欠けない家庭のお子さんたちが親子で集まってき ているわけなのですけれども、これも本当に大事な事業だなと、毎日見ていて思うので すが、やはり家庭の中で親子でいることがかなり煮詰まるみたいで、支援センターにや ってきて、親子でお友達ができて社会性が広がって、そこで子どもも親も元気はつら つ。親が元気であることが子どもの育ちにとってとても大事なことだと思いますので、 そういう意味では、そこにベテランのコーディネーターがおりまして、公園デビューが うまくできなかったお母さんとかがこういうところに来て、コーディネーターの手助け をかりながら、お友達ができ、子どもも社会性が身につきというふうな状況が展開され ております。ぜひそういう部分も総合施設の中には加えていただきたい部分だと思って おります。 ○田村主査  ありがとうございました。大変いいお話をお伺いしました。  いかがでしょうか。  どうぞ、無藤先生。 ○無藤副主査  幼児教育というものは、すごく簡単に言えば、子どもたちと先生とが生活をともにし ながら教育していくことだと思うのですけれども、その際に、既に御指摘があったよう に、保育園、幼稚園の外にある家庭、地域の生活の在り方次第で、結局、保育園、幼稚 園どうしたらいいか、随分変わるということだと思うのです。家庭、地域の生活は今多 様化していますから、その部分をどう補うかとか、どう高めていくかという手だてとい うものはいろいろあって、そのアイデアというのはこの議論で随分たくさん出ていると 思うのです。ですから、そのうちのどれを採用しないと総合施設でなければならないか というよりは、いろいろなアイデアの組み合わせを、その地域のニーズに応じながらう まくつくっていけるような、そういうことをイメージしたほうがいいのではないか。そ ういう意味では、何度も出ておりますが、柔軟で多様な在り方を可能にするようなもの にしていただければと思っています。 ○田村主査  ありがとうございます。  いかがでしょうか。そろそろ時間でございますので、これでまとめたいと思うのです が。  確かに幼稚園、保育園というのは地域で偏在していることも事実ですね。沖縄の場合 は、アメリカの占領が長かったために、ほとんど保育園がなくて、幼稚園ばかりという 状態が出ています。また、県によっては、保育園ばかりで、幼稚園がないというところ もあります。そういうことも現実として踏まえながら総合施設を考えていくというのは 非常に大事だと、私も今お伺いしながら思いましたので、今、無藤先生がおっしゃった ような、柔軟な発想でつくっていけるといいなというような感じがしております。  それでは、よろしゅうございましょうか。  ありがとうございました。予定の時刻をちょっと過ぎておりますので、本日はこれく らいにさせていただければと思っております。  今後の議論の進め方ですが、本日までに委員の合意が得られている事項、もう少し議 論が必要な事項について、ある程度形が出てきたような気がします。  したがいまして、次回は、これまでの議論を整理しました資料を事務局でおつくりい ただきまして、これに基づいた議論を行いたいと考えておりますが、いかがでございま しょうか。よろしゅうございましょうか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○田村主査  ありがとうございます。それでは、その方向で進めさせていただければと存じます。  最後に、事務局から次回の日程について御説明をいただけますでしょうか。 ○義本幼児教育課長  次回の開催についてでございますが、7月23日(金)、15時からを予定しており ます。委員の皆様には、第3回事務局の厚生労働省のほうから追って御連絡をさせてい ただきますので、よろしくお願いいたします。 ○田村主査  それでは、これをもちまして第2回の合同の検討会議を閉会したいと思います。  本日はどうもありがとうございました。お疲れさまでございました。                              午後4時00分 閉会                    (照会先)                    雇用均等・児童家庭局総務課 (担当)水口                    03−5253−1111(内線7823)