04/06/25 医療用医薬品の流通改善に関する懇談会第1回議事録          医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(第1回)            平成16年6月25日(金) 14:00〜16:00            於:八重洲富士屋ホテル 「赤松の間」 1.開会 ○村松課長補佐  定刻にはまだ若干時間がございますけれども、本日、ご出席いただくとご連絡いただ きました方には、皆さん、ご出席いただいておりますので、ただ今から第1回「医療用 医薬品の流通改善に関する懇談会」を開催させていただきます。まず、開会にあたりま して、岩尾医政局長からご挨拶を申し上げます。 2.挨拶 ○岩尾医政局長  厚生労働省医政局の岩尾でございます。本日はお忙しい中、ご出席いただきまして、 ありがとうございます。医薬品産業関係行政に、日頃からご尽力をいただいております ことを、あらためて感謝いたします。今日の高齢化社会の中で、医療用医薬品は国民の 保健医療水準の維持向上のために不可欠なものとして、非常に重要な使命を負っており ます。この医薬品が全国各地の医療機関で役割を十分に発揮するために、生命関連商品 というべき特性を踏まえた適正かつ効率的な流通が確保される必要があり、また、自由 ・公正な競争が確保されなければなりません。このような問題につきまして、昭和58年 に、当時の厚生省薬務局長が設置いたしました流通近代化協議会におきまして、医療用 医薬品の流通近代化を進める観点から調査検討を行い、値引き補償制の廃止、価格形成 の透明化、モデル契約の普及などをはじめとして、医薬品流通改善に向け、大きな役割 を果たしてまいりました。  いわゆる流近協は、平成9年の旧厚生省の組織再編により、薬務局が廃止されたこと もありまして、この年をもって廃止されております。その後は流近協としての各流通当 事者に対する最後の具体的な提言であった、平成7年2月の「医療用医薬品の流通近代 化の推進について」などを踏まえ、様々な努力が重ねられてきたところでありますが、 当時の指摘に関する対応は、いまだ不十分な状況にあるというふうに考えております。  一方、近年、医薬分業の進展によりまして、流通当事者としての調剤薬局の比重が高 まっていること、それから卸売業の経営環境が厳しくなる中で、業界の再編が大きく進 展したということ、さらに改正薬事法による、生物由来製品に関する市販後の安全対策 の充実に伴いまして、トレーサビリティーの強化が求められていることなど、昨今、こ の医療用医薬品の流通に関して様々な状況の変化が見られております。加えまして、本 年4月の診療報酬および薬価・材料価格改定にあたっての中医協の審議経過の中でも、 医療用医薬品の流通過程における価格形成の実態に関する問題意識が示されたところで もございます。  本懇談会は、こうした状況を踏まえ、医療用医薬品の流通過程の現状を分析し、公的 医療保険制度のもとでの不適切な取引慣行の是正等について検討を行うことによりまし て、医療用医薬品に対する国民の期待に応える、今後の流通改善の方策を検討するため に開催したということでございます。本懇談会にご参集いただきました皆様方におかれ ましては、国民の期待に応えるべく、医療用医薬品の流通当事者としての現状認識を踏 まえ、流通改善に向けた率直かつ前向きなご議論を賜りますようお願い申し上げます。 ご多忙にもかかわりませず、本懇談会のためにお時間をとっていただきました皆様に、 厚く感謝を申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いしま す。 3.委員紹介 ○村松課長補佐  それでは、議事に入ります前に、本懇談会のメンバーとしてご参集の方々をご紹介申 し上げたいと思います。皆様方には五十音順でお座りいただいておりますので、順にご 紹介をさせていただきたいと思います。なお、本日、あまり広くない会場ということ で、やや窮屈な座席配置となっておりますことを、まずお詫び申し上げたいと思いま す。どうぞご容赦ください。なお、私、事務局を担当しております経済課の課長補佐の 村松でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは伊藤様から順にご紹介させていただきます。まず、社団法人日本医薬品卸業 連合会流通近代化検討委員会委員の伊藤高人様でございます。 ○伊藤委員  伊藤でございます。よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  続きまして、医薬工業協議会ジェネリック研究委員会副委員長の井上昭様でございま す。 ○井上委員  井上でございます。よろしくお願いします。 ○村松課長補佐  日本保険薬局協会会長、今川美明様でございます。 ○今川委員  今川でございます。よろしくどうぞ。 ○村松課長補佐  日本薬剤師会副会長の漆畑稔様でございます。 ○漆畑委員  漆畑でございます。よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  日本ジェネリック医薬品販社協会会長の江口博明様でございます。 ○江口委員  江口でございます。よろしくお願いします。 ○村松課長補佐  日本製薬工業協会流通適正化委員会委員長、大来邦夫様でございます。 ○大来委員  大来でございます。どうぞよろしく。 ○村松課長補佐  社団法人日本医療法人協会副会長、大塚量様でございます。 ○大塚委員  大塚でございます。 ○村松課長補佐  社団法人日本歯科医師会常務理事、奥村弘一郎様でございます。 ○奥村委員  奥村でございます。このたびは何かと皆様に直接、間接にご迷惑をかけるような不祥 事を起こしまして、本当に申し訳ないことと思っております。初めて本席に出させてい ただいております。どうぞ、これからもよろしくご指導をお願いしたいと思います。よ ろしくお願いします。 ○村松課長補佐  事務局を飛ばしまして社団法人日本私立医科大学協会副会長の柿田章様でございま す。 ○柿田委員  柿田でございます。よろしくお願いします。 ○村松課長補佐  社団法人日本精神科病院協会常務理事の河崎建人様でございます。 ○河崎委員  河崎でございます。よろしくお願いします。 ○村松課長補佐  慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授であり、財団法人医療科学研究所の所長でい らっしゃいます嶋口充輝様でございます。 ○嶋口委員  嶋口でございます。よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  続きまして社団法人日本病院薬剤師会からは、委員としては専務理事の関口様にご出 席いただくこととしておりますが、本日は副会長の藤上様にご出席をいただいておりま す。 ○藤上氏  関口専務が、所用がございまして、代わりにまいりました、藤上でございます。 ○村松課長補佐  日本製薬工業協会流通適正化委員会副委員長、高見守泰様でございます。 ○高見委員  高見でございます。よろしくお願い申し上げます。 ○村松課長補佐  同じく日本製薬工業協会流通適正化委員会副委員長の仲谷博明様でございます。 ○仲谷委員  仲谷でございます。よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  社団法人日本医薬品卸業連合会会長の松谷高顕様でございます。 ○松谷委員  松谷でございます。よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  社団法人日本医師会常任理事の三上裕司様でございます。 ○三上委員  三上です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  青山学院大学経営学部教授でいらっしゃいます三村優美子様でございます。 ○三村委員  三村でございます。よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  日本歯科用品商協同組合連合会専務理事、宮内啓友様でございます。 ○宮内委員  宮内です。よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  社団法人全国自治体病院協議会副会長の宮川信様でございます。 ○宮川委員  宮川でございます。 ○村松課長補佐  社団法人日本医薬品卸業連合会流通適正化委員会専門委員の渡辺秀一様でございま す。 ○渡辺委員  渡辺でございます。よろしくお願い申し上げます。 ○村松課長補佐  明治大学大学院グローバルビジネス研究科教授の上原征彦様にも、本懇談会のメンバ ーとしてご参集いただくことになっておりますが、本日は所用によりご欠席であること をご紹介申し上げます。  続きまして事務局を、メインテーブルのみ紹介させていただきます。冒頭、ご挨拶を 申し上げました医政局長の岩尾でございます。 ○岩尾医政局長  よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  医政局経済課長の高倉でございます。 ○高倉課長  高倉でございます。よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  同じく経済課首席流通指導官の市山でございます。 ○市山指導官  よろしくお願いいたします。 ○村松課長補佐  私、課長補佐の村松でございます。 4.座長選出 ○村松課長補佐  次に、本懇談会の座長につきまして、お諮りいたしたいと思います。本懇談会の座長 には、流通システムやマーケティングを専門とされ、以前ございました医薬品流通近代 化協議会にもご参集いただき、医療用医薬品の流通問題について造詣の深い嶋口慶應義 塾大学大学院教授にお願いしたいと存じます。また、座長代理といたしまして、嶋口教 授とともに医療用医薬品の流通問題に関するご研究を重ね、本問題に造詣の深い、三村 青山学院大学教授にお願いしたいと存じます。ご異論がなければ、嶋口座長には座長席 へお移りいただきまして、一言ご挨拶をお願いしたいと思います。 ○嶋口座長  嶋口でございます。座長ということでご指名をいただきましたが、先ほど岩尾局長か らお話がございましたように、前流近協がスタートしてから約24年たっておりまして、 たしかその最後のときに私も、その流近協のメンバーとして1回か2回だけ、出たこと があるんですが、そのときは、なかなか厳しい会だということが、非常に強く印象に残 っております。まだ、少なくとも今よりは若かった頃でございますが、そのときはメン バーの先生方が、もう、われわれの一人負けだとか、いや、われわれが一人勝ちだと か、いろいろ、そういう議論があって、なかなかたいへんな会だと思いましたが、今 回、また、縁あってこの会に参加させていただくことを、たいへん光栄に思っておりま す。  この会は医政局長の懇談会ということで進められるわけでございますが、基本的には 患者さんのための医療のシステムのあり方、その中で医療医薬品の流通を、どのように 適正かつ効率的に進めていくかということを懇談する会でございます。皆様方、エキス パートの方々のご意見を忌憚なく発揮していただきまして、素晴らしいあり方が、アウ トプットとして出てきたらいいと、そのように思っております。  ということで、早速これから議題の中身に入っていきたいと思いますが、まず、議事 に入らせていただく前に、本懇談会の議事や資料の公開等について、事務局より一言、 ご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 5.議事 ○村松課長補佐  それでは、本懇談会の議事、資料の公開等について、ご説明申し上げます。本懇談会 については、もう既にお入りいただいておりますけれども、傍聴者も入れた形で、公開 で行いたいと思っております。議事録につきましては、事務局でまとめたものを、ご出 席いただいた方に確認をいただいたのち、厚生労働省のホームページで公表するという 形をとりたいと思いますので、ご了解いただきますように、よろしくお願い申し上げま す。  また、懇談会の運営を効率的なものにするという趣旨から、事前にある程度、関係者 間の意思の疎通を図ることが必要ではないかというふうに考えております。そのため、 各卸、メーカー、医療機関等の流通当事者から資料をご提出いただく際など、関係者ど うしでそのための準備をしていただきたいと考えております。こうした準備作業会合に つきましては、まさに懇談会のための準備作業であって、それぞれの当事者の機密情報 にあたることも披露しながら作業を行っていただく必要がございますので、非公開とさ せていただきたいと思います。以上でございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。今のご説明どおりでございますが、本懇談会においては、 これはもちろん、公開でございます。うしろに関係者の方々がいろいろいらっしゃって いますが、公開でやります。ただ、限られた会でございますので、作業部会を何回か行 わなくてはいけません。その作業部会については、いろいろ事情がありますので、これ は非公開とさせていただいて進めるという、そういうことと理解しております。よろし くお願いいたします。それでは早速、本日の議題に入りたいと思いますが、本日は第1 回目でありますので、この懇談会の設置の趣旨などについて、それから、これまでの流 通改善の取り組みとか最近の状況変化等に関して、だいぶ進行しておりますので、これ らについて一括して事務局のほうから説明していただきたいと思います。  皆様方のお手元のほうに膨大な資料が入っていると思います。それに基づいて説明し ていただきますが、そのあとで、本日ご出席の皆様方から、医療用医薬品の流通に関す る状況変化に対する認識であるとか、あるいは、こんなふうに思っているという課題な どについてご意見をおうかがいできればありがたいと思っております。事務局の説明資 料に関する質疑につきましても、その折りにお願いしたいと思っております。それでは 早速、資料に基づいて、事務局サイドから説明をお願いいたします。 ○高倉課長  それでは、まず、趣旨についてという部分につきまして、私のほうから、資料1―1 に沿ってご説明をさせていただきたいと存じます。  この懇談会の設置趣旨につきましては、先ほど、冒頭の岩尾医政局長の挨拶の中で触 れられた点そのものでございますけれども、まず、過去の取り組みといたしまして、平 成7年2月の医薬品流通近代化協議会の提言などを踏まえて、従来、様々な努力をして きている。しかし、必ずしも十分ではない。不十分な状況にある。そういう認識がある ということです。そしてまた、近年、いろいろと状況の変化が見られるということ。さ らには、非常に密接な関係のございます、医療保険制度、薬価制度も含めて議論をする 中医協における審議経過の中でも、こういった流通過程における医療用医薬品の価格形 成の実態に関する問題意識が示されたところでもございます。こういった状況を踏まえ まして、医政局長の意見聴取の場として開催させていただきたいというものでございま す。  医療用医薬品の流通過程の現状を分析したうえで、公的医療保険制度のもとでの不適 切な取引慣行の是正といった課題をはじめ、諸般の問題について検討を行うことにより まして、今後の、この分野での流通改善方策を検討することとしたい、こういう趣旨で ございます。構成につきましてはご覧のとおり、2に書いてあるような構成でございま して、先ほどご紹介させていただきました、今日ご参集の方々にお願いをしているとい うことでございます。  主な検討事項は3番のところでございますけれども、3点ほど、大くくりに書いてご ざいます。1点目としましては、それでは最近の状況の変化というものは、どうなんだ ろうということを確認していこう、と。ここに書いてあるような項目につきまして、ま ず、若干、資料も用意をさせていただいております。そういったことを参考にしなが ら、状況の変化を確認して、情報を共有したうえで議論していこうということでござい ます。  資料をおめくりいただきまして、2番目の、ひとつの柱といたしましては、冒頭のほ うでも申し上げた、平成7年2月の流通近代化協議会の提言で、いろいろと、メーカ ー、卸さん、医療機関等、それぞれの流通主体ごとに、具体的な改善に向けた提言がな されているわけですけれども、こういった点について、それでは現時点での対応状況は どこまで来ているのかといったことを含めた、いわゆる価格形成の実態関係を語ってい きたい。そのうえで、3番目でございますけれども、状況変化、あるいは価格形成関係 の対応状況などを踏まえまして、当面、流通改善としてはどんな推進方策が考えられる のか、そういった問題について、当事者の皆様方でご議論をいただければということで 書いてございます。  スケジュールでございますけれども、一応、この平成16年末、今年の末を目途に、一 定の結論を得ていただければ、ありがたいと考えております。  それから5の、その他のところでございますが、私ども医政局の経済課で事務をやら せていただきますが、その他、必要に応じ、参考人を招いて意見を聞くということを書 かせていただいております。これは、本日はどうしても都合がつかないということでご 参集いただけませんでしたけれども、次回以降に向けまして、私どもで今考えておりま すのは公正取引委員会が、非常にこの取引問題については関わりの深い行政委員会でご ざいますので、公正取引委員会の方を参考人としてメインテーブルにお座りいただい て、お話し合いに参加していただければと思っております。  また、最後の行のところは、先ほど事務局から公開・非公開のところで申し上げまし たが、本会合と別に準備作業会合というものも必要に応じて開くということを書かせて いただいております。  その次の名簿は、先ほどご紹介させていただきましたので省略させていただきまし て、この資料1―1の最後のページの検討スケジュール(案)についてご説明させてい ただきます。第1回が本日、6月下旬ということで、前身にあたる流通近代化協議会の 提言自体を若干、資料として復習的にご報告したうえで、主として次の「・」でござい ます、流通に関する状況の変化ということにつきまして、事務局で集められる範囲のも のをそろえてございますので、そこを報告させていただき、そのうえで、そういった変 化に関する状況認識や、その他の課題等についての意見交換をしていただければと思っ ております。そのうえで、第2回に向けて、7〜8月の時間の中で、準備作業というこ とで、いろいろとお願いしたいと考えております。  そのうえで8月下旬ないし9月を目途に、第2回におきまして、とくにこの7年2月 の提言への対応状況などの価格形成の部分につきまして、ご準備いただいたところを踏 まえた議論をしていただき、現状認識はどうだろうかといったことを、第2回目でお願 いしたいと思っております。そのうえで10月、11月にかけて3回、4回ということで、 今後の対応をどうするかということをご議論いただき、提言案といったようなものにつ いて、意見を深めていただいたうえで、12月にできればと思っておりますけれども、流 通改善に向けた提言といったことをおまとめいただき、また、それ以外の、何か今後の 対応などが必要かどうかという点についてもご議論いただければと、このように考えて おります。  12月というふうにいたしましたのは、考え方としましては、実際の医療用医薬品の流 通改善に少しでも役に立つような、そういう懇談の場でありたいと願っておりますの で、何らかの、いわば平成7年2月の流近協時代の最後の提言の、今日的な目で見たア ップデートというものを、年末までにおまとめいただければ、1〜3月を活用して、現 場への普及啓発、周知徹底等を行ったうえで、来年度の、新年度における流通といいま しょうか取引の中に反映いただけるのではないかという考えから、一応、年末を目途に ということで案を持っているものでございます。結果として、討議する中で、若干、も う少し掘り下げて、というようなことになるかどうかは、これからの議論次第でござい ますが、できれば新年度に現場に反映できるようにということで、年末までにというこ とでご協力いただければありがたいと考えております。  以上が、この趣旨の関係でございます。引き続きまして、状況変化関係につきまし て、1―2以降の資料にて、別途、村松補佐のほうから説明をさせていただきたいと存 じます。 ○村松課長補佐  それでは引き続きまして、流通改善のこれまでの取り組みおよび近年の状況変化につ きまして、資料に基づいてご説明を申し上げます。まず資料1―2でございますが、 「医薬品流通近代化協議会の取り組みの経緯」というタイトルの表でございます。流通 近代化協議会(流近協)は、そもそも医薬品流通対策研究会というものが、かつて医薬 品流通に関する基本的な諸問題の検討をする場ということで設置されておりましたが、 その昭和55年の報告がございまして、これに基づきまして設置されたものでございま す。趣旨といたしましては、流通当事者間における取引条件および流通活動の改善に関 する方策等について、調査検討することを目的とするということで、58年3月、当時の 厚生省薬務局長の私的諮問機関として設置されたものでございます。  その後、62年の報告書におきましては、流通当事者間の取引条件改善のためのモデル 契約書の策定といったことが報告に盛り込まれておりますし、また、平成2年6月、 「医療用医薬品の流通の近代化と薬価について」という、これはかなり膨大な報告書で ございますけれども、その中で値引き補償の廃止ですとか、マージンに占めるリベート 割り戻し割合の縮小、未妥結や総価山買いなどの不適切な取引慣行の是正といった問題 の他、薬価算定方式に関する提言といったものがなされたところでございます。その 後、そうした提言を受けて、加重平均値一定価格幅方式への移行ですとか、新仕切価制 への移行といった取り組みがなされたところでございます。なお、たいへん恐縮でござ いますが、その資料の中で平成3年6月の中医協建議とございますものは、これは5月 31日が正式な日付でございまして、5月の誤りでございます。恐縮でございますがご訂 正願えればと思います。  その後も提言、報告が流近協として重ねられたところでござまして、先程来申し上げ ております平成7年2月の提言が、最後に各流通当事者に対する具体的な留意事項等を 確認したというものでございます。その後、平成9年の8月、旧厚生省の組織再編もご ざいまして、流近協は廃止されたという動きになっております。  次の資料1―3が、先程来申し上げております流近協メッセージ(平成7年2月22日 )ということで、いわゆる最後の提言でございますけれども、この中で、メーカー、 卸、医療機関に対しまして、メーカーに対しては割り戻しアローアンス割合の縮小です とか支払基準の明確化・透明化、さらに卸売業者に対しては不適切な取引慣行の是正と か文書契約の推進といった、それぞれ、とくに留意すべき事項についてメッセージがな されたところでございます。  次に、資料2でございます。ここからは流通状況の変化という大くくりなタイトルで ございますけれども、その中で医薬分業の進展に関わる資料として、まず、保険薬局数 と医薬分業の推移でございます。保険薬局数につきましては、平成元年度から平成14年 度に比して、約1.5倍という増加幅でございます。それに対して右隣にございます処方 せん受取率、これは日本薬剤師会さんのほうで、医薬分業進捗の指標ということで用い られているものでございますけれども、脚注のほうに参考としてございますとおり、病 院・診療所の外来患者さんのうちで、投薬の対象とされる患者に対して、保険薬局で調 剤を受けた方の受取割合というものでございます。この、日本薬剤師会さんの調べによ れば、平成元年度の11.3%から、とくに近年、その割合は高まっておりまして、14年度 直近では、ほぼ50%に近いところまで伸びてきております。  2ページ目でございます。これは昨年の5月の中央社会保険医療協議会薬価専門部会 において、卸連の専門委員の方からご提出のあったものに、1年分を追加で伸ばしたも のでございます。これを見ていただきますと、従来、卸売業者の医療用医薬品の販売先 として、病院・診療所がほとんど8割強であり、結果として保険薬局は16.4%にすぎな かったわけですけれども、これが平成15年になりますと36.1%ということで、5年間で 2倍以上にその比率が高まっているという資料でございます。  続きまして資料3でございます。ここは薬価差の縮小、薬価制度の変化といったとこ ろに対応したものが資料3―1、3―2と続いております。資料3―1の1枚目は、こ れも中医協提出資料より引用させていただいております国民医療費・薬剤費等々の推移 でございます。さらに調剤金額につきましては、注のほうにございますが「MEDIAS―最 近の医療費の動向―」といったものから抜粋した数値でございます。数字を見てみます と国民医療費のうちで薬剤費の占める比率というものは平成3年度の約30%から平成12 年度にはほぼ20%にまで低下しております。推定乖離率につきましては、これは薬価調 査の結果によるものでございますが、概ね平成3年度の20%を超えるところから、直近 の平成15年度には6.3%と、回を重ねるごとに、年を追うごとに、その幅は低下、減少 してきているというところでございます。なお、右端の調剤金額につきましては、保険 薬局における取扱額でございますけれども3兆円を超える規模にまで拡大しているとい う状況でございます。  2枚目は、薬価改定の経緯と主な薬価改定方式の変遷ということでございますけれど も、42年の当時は、これは90%バルクライン方式という形で、90%の取引までは補償す るという方式でございましたけれども、58年に81%バルクライン方式と、若干変更にな り、さらに63年に、その81%バルクライン方式を基本としながらも、市場実勢、加重平 均値というものを、その中で一部、考慮する、加味するという形で修正バルクライン方 式というものに変更されております。その後、平成4年に加重平均値一定幅方式という ものが導入されて、その幅、R幅の設定が15から始まったものでございまして、その 後、平成10年のR5というところまで引き下げられましたのち、平成12年になりまし て、このR幅が調整幅という形に名称変更されて、2%と定められたところでございま す。その後、14年と先の16年の4月につきましても、この調整幅方式そのもの、また、 その幅の2%というものも維持されているところでございます。  次に資料3―2、薬価算定の基準の概要でございます。冒頭3枚がこれに該当いたし ます。現行の薬価基準につきましては、16年の2月13日に中医協がとりまとめました 「薬価算定の基準について」という膨大な資料に基づいて算定されておりますけれど も、大きく分けて既収載医薬品の薬価算定ルールと新医薬品または新規後発品に係る新 規医薬品の薬価算定ルールでございます。この中で既収載医薬品の薬価算定ルールとし ては、この1ページ目の2の1)の1番のところでございますけれども、先ほどご紹介 申し上げたとおり、かつては加重平均値一定幅方式であったところでございますけれど も、2番にありますように平成12年4月より市場実勢価格加重平均値調整幅方式という 名称に改められております。  具体的には資料の4枚目をご覧ください。この、2の図のほうをご覧いただければと 思いますが、当該既収載品の平均的購入価格、これが加重平均値ということになります けれども、これに消費税の処理をいたしまして、さらにそれに調整幅を改正前薬価の2 %、100分の2に相当する額を加えたもの、これが新薬価、ここで言えば加重平均値80 円に調整幅として100円の2%である2円を加えて82円という形で今、現状は薬価が決 められているところでございます。ただし改正前薬価を超えないということもまたルー ルになっております。なお、紹介いたしませんでしたが新規医薬品の算定ルールにつき ましては、基本的には1日あたり薬価を既存類似薬の1日薬価にあわせるという類似薬 効比較方式でございまして、また、後発品に関しましては先発品に、かつては0.8掛、 今後は0.7掛という一定の係数を掛けて算出、算定するものでございます。  次のページ、5枚目でございますけれども、こちらは昨年の中央社会保険医療協議会 においての審議報告でございますけれども、この中で、2の「薬価および特定保険医療 材料価格改定」の項の3行目にございますけれども、「流通過程における価格形成の実 態を含め、市場実勢価格を踏まえた薬価の適正化」を図るということで、流通関係に対 する若干の問題意識が中医協の場でも示されたというご紹介でございます。  また6枚目、最後のページでございます。これは医政局長通知でございますけれど も、これは毎回、概ね2年に1度の薬価改定に際しまして、医政局長名で流通関係者に 対して、流通改善の推進の取り組みについて、お願いをしているものでございまして、 薬価基準の告知と同日付で発出させていただいております。この中で2段落目にござい ますように、毎回、「平成7年2月の流近協提言を踏まえ」という形でお願いをしてい るところでございまして、既に平成16年が直近でございますが、それでもいまだに平成 7年を使っているというのが実態ということでございます。  次に資料4でございます。医薬品卸売業の経営状況でございます。この資料は日本医 薬品卸業連合会(卸連)さんが会員構成員を対象として行った経営のアンケート調査の 結果でございます。とくにご覧いただきたいのは(4)の営業利益率でございますけれ ども、かつては2%程度――平成4年度が2%という数字でございますが――これが直 近、平成12年、13年、14年といったところでは1%弱、場合によれば0.5%を切るとい った水準にまで低下してきているというのが実態でございまして、このような厳しい経 営状況の中で、業界再編が続いているということで、表のいちばん下の部分ですけれど も、連合会の会員企業数は平成3年度末の351社という数字から、14年度末には154社と 大幅に減少しているところでございます。  次のページは、医薬品卸の売上の上位集中度でございますけれども、これは近年の、 先ほど申し上げたような大幅な業界再編というものを反映いたしまして、医薬品卸の販 売額の上位集中度も年々上昇しております。とくに上位10社で見た場合に、平成6年で 3分の1強であったものが、平成15年には60%を超えるところにまで大手への集中度が 高まっているという状況でございます。  次に資料5でございます。これはIT化の進展の状況として、ひとつの例ということで お示ししているものでございますけれども、JD-NETの利用状況でございます。これは医 薬品メーカーと卸業者の間の、主に受発注データの処理件数を見たものでございますけ れども、この15年間、平成元年度から15年度末までの間で約5倍程度にまで、全体のデ ータ処理件数でございますけれども、折れ線グラフで急激に高まってきているという状 況でございます。このJD-NETは昭和63年から稼働しておりまして、そのデータ量は、な かなか全体でのボリュームというのは把握できないんですが、聞くところによりますと 国内では金融機関のサービスに次ぐ、トップレベルの利用状況であるということで、大 手メーカー、卸のほとんどが本システムを利用しているということでございます。  続きまして資料6でございます。医薬品コードの標準化ということで、IT化との関わ りがかなり強いといいますかIT化そのものではございますけれども、その趣旨として安 全対策の充実の要請という観点からとらえることもできると思っております。現在、医 療用医薬品の流通面で使用される医薬品コードには、包装単位別ですとか販売会社別に 13桁の数字からなるJANコードというものがつけられておりまして、化粧箱や輸送用の 段ボールといったところにバーコードが印刷されて商品管理に利用されているところで ございます。昨年の7月、平成15年の7月に改正薬事法が施行されたところでございま して、これに伴って、生物由来製品、すなわちヒトや動物の細胞組織等に由来する原料 や材料を用いた製品、たとえば血液製剤やワクチンといったものでございますけれど も、そうした生物由来製品については市販後の安全対策を強化するために、納入先の医 療機関名やロット番号等の販売記録の保存がこの7月から義務づけられているところで ございます。しかしながら、この3つ目の「○」にございますように、現在のJANコー ドというものは、ロット番号が認識されておりませんので、新たなコードの標準化と、 その情報を表現する新たな情報媒体を検討することが必要だというふうに認識しており ます。このため、現在、厚生労働省と医薬品メーカー、卸、業界が連携をいたしまし て、その対応を検討しているところでございます。このように、近年、医薬品業界にお いては安全対策の充実という面からもIT化がめざましく進展しており、また、さらにそ の充実が求められているといった資料でございます。  資料7は「大規模災害時における医薬品等の供給」というタイトルでございますが、 テロなどの災害時の対応ということで、災害が起きた場合に医薬品をいかに適正に効率 よく、現地に供給するかという際に、卸売業者さんが担っている役割ということを図式 化したものでございます。この医薬品供給ネットワークにつきましては、平成7年の阪 神淡路大震災の教訓を活かしまして、厚生労働省経済課が関係団体、日本医師会さん、 日本薬剤師会さん、日本製薬団体連合会さん、日本医薬品卸業連合会さん等と都道府県 も含めて協力をいただきながら、平成8年3月にとりまとめたものでございまして、1 ページ目が初動期における体制というものでございます。この中で医薬品卸売業の役割 というのは、機動力や品ぞろえといった観点から、できるかぎり医療機関の需要に対応 するということでございまして、また、災害時の通信の混乱などによって医療機関との 連絡がとれないような場合には、卸業者が連携して医療機関を巡回するなどすることに よって、その需要を把握し的確に供給を行うといった役割も担っているところでござい ます。  2ページ目でございますけれども、これは被災地外からの供給ルートということで、 緊急時の対応から若干、3〜4日たったような状況において、被災地内の備蓄医薬品が 不足するのではないかというような事態が生じた場合に、厚生労働省医政局経済課が主 体となりまして、関係団体の協力を得ながら、被災地へ医薬品の供給を行う、その場合 のモデルスキームでございます。こうした場合に都道府県から厚生労働省に要請のあっ た品目および搬送ルートといったものを関係団体を通じて卸さんが直接、要請品目を被 災地内に供給していくといったことで、いずれの場合においても卸売業者さんの役割と いうものは、位置づけられているところでございますし、とくに次のページでございま すが、これは武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案ということ で、国民保護法でございますけれども、近年、こうした災害時対応の要請については、 アメリカにおける事件、事故ですとか最近のイラク問題といったようなこともあって、 そうした不安、懸念というものが国民の中で急速に高まっているという状況の中で、先 の通常国会において、この国民保護法というものが成立したわけでございまして、この 法律の中においても、この2ページ目でございますけれども、救援に関する措置という 中で、医薬品、食品等の緊急物資についての保管命令等々といった形で、医薬品に関し て緊急かつ適切にそれを配送するといった趣旨の規定が盛り込まれていることなど、今 後さらに医薬品の供給、緊急輸送といった面における卸の役割というものが高まってい くのではないかというご紹介でございます。  次に参考資料でございます。参考資料1につきましては、これは医療提供体制の改革 のビジョンというもので、厚生労働省の医政局で昨年の8月にまとめたものでございま す。近年の少子高齢化の進展、医療技術の進歩等々を背景として、より質が高く効率的 な医療サービスを提供するために、医療提供体制を今後、改革していかなければいけな いという思いがございまして、そのために、どういう視点でやっていくのかということ が、この骨子のところにございます患者の視点の尊重、質が高く効率的な医療の提供、 さらに医療の基盤整備という3つの柱立てでございまして、この、最後の3番目の医療 の基盤整備の中で、医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化というものがあげられて いるところでございます。最後、ひっくり返していただくと14ページ目にちょうど、医 薬品・医療機器産業の国際競争力の強化の該当部分がございますけれども、この中で 「医薬品については」という中の5行目あたりでも、「流通機能の効率化・高度化など の施策を着実に実施する」ということで、医薬品流通の問題についても大きな施策の柱 と位置づけているところでございます。  次の参考資料2でございますけれども、先ほどの医療提供体制の改革のビジョンの中 で、医薬品産業の国際競争力の強化ということが全体の中で位置づけられている、その 具体論というものになるわけですが、これは実は平成14年の8月に既に策定して、今、 着実にその施策を推進しているところでございますけれども、この医薬品産業ビジョン の中では、医薬品製造業や卸売業、小売業を含めて医薬品産業全体の国際競争力の強化 ということを目的としてビジョンをつくっているわけでございます。そのビジョンの目 的と役割、その全体としては、この2010年頃という四角の枠にございますように、魅力 ある創薬環境の実現ということと国際競争力の強化ということを通じて、よい医薬品を 早く世界の患者に提供するということを大目標といたしまして、そのために次の四角の 中にございますようにイノベーション促進のための集中期間として今後5年間といった ものを規定して、製薬企業自らが努力すること、国として支援すべきことといったもの を定めているところでございます。具体的にはご紹介申し上げませんが、研究、開発、 生産、販売といった各フェイズにおいて取り組むべき事項というものがアクション・プ ランで述べられております。  次のページ、1ページという番号が振られておりますが、これが医薬品卸売業に関係 するところでございまして、医薬品卸売業の現状としては、「現状」のいちばん右側に ございますような、近年の変化ということで、先ほど申し上げたような近代化の進展、 薬価引き下げ、医薬分業、IT化といったような状況変化に伴って、それを踏まえて経営 状況の悪化、また、IT化の進展等々に対応するためにはある程度の事業規模が必要では ないかという現状認識がございまして、そうした現状認識のもとで、今後、将来の課題 とあるべき姿ということで、医療用医薬品を約16万ヵ所という膨大なユーザーに対して きめ細かく提供していくという「毛細血管型」物流機能への対応をするために、流通の 効率化・高度化といったものを図っていかなければならない、と。また、同時に、経済 合理性に基づいた価格交渉力の形成といったことで、製薬企業や医療機関等と対等の取 引主体になることが求められるといったような課題を提示しているところでございま す。  そうした課題に対応して、次のページが具体的なアクション・プランでございますけ れども、流通機能の効率化・高度化のために、IT化・標準化の推進ということで、流通 ・在庫管理業務の効率化はもとより、先ほども申し上げた生物由来製品等の安全性確保 といったものを図っていくということで、IT化・標準化の推進を進めていくということ です。また、2番目に、新たな流通秩序の形成と不適切な取引慣行の是正ということ で、3行目あたりにございますが、流通当事者どうしが課題について話し合う新たな場 づくりに努める――実はこれが、今回の検討会の場になるものというふうに考えており ます。こうした場の設定を通じて、不適切な取引慣行の是正を図るということ、さらに 医薬分業の進展に対応したきめ細かなサービスということで、きめ細かなニーズに対応 していくことが必要であるということ、さらに新たなニーズへの対応ということで、後 発医薬品の使用促進といったことに対しても、対応をいただく必要があるのではない か、と。その他、治験、流通機能の国際化といったことにも触れられております。  次のページ、5番目では医薬品の安全確保への協力ということで、市販後調査の充実 といったことについても指摘をしているところでございます。また、先ほども若干触れ ました後発品の関係については、別途、後発医薬品市場の育成ということで、後発品が その役割、すなわち患者の経済的負担を軽減し医療保険財政の効率化を図るという目的 に比して、現状はそのバランスがあまりよくないのではないかという指摘があり、これ をバランスよく流通させることが必要であるということから、この4つ目の「・」あた りでございますけれども、後発医薬品企業さんに求める努力ということと同時に厚生労 働省としても各種施策を進めているということをご紹介申し上げております。  最後に参考資料3でございます。これは先ほど申し上げた医薬品産業ビジョンのアク ション・プランにつきまして、平成14年8月に策定したのち、14年度末、すなわち15年 の3月時点に一度、その進捗状況をとりまとめましたけれども、今般、平成15年度末、 平成16年3月時点でございますが、その進捗状況をあらためて確認したものでございま す。その中の流通関係の抜粋というふうになっております。具体的には医薬品コードの 統一化、IT化・標準化の推進というところでは、4番目の「・」あたりでございますけ れども、コードの標準化について次のとおり推進ということで、1番として15年3月に 厚生労働省や関係業界のメンバーからなるワーキング会合を設置して、17年7月までに その標準化・IT化を実現できるよう作業を実施するということ、2番として平成16年度 の実証実験に向けて現在まさにその実現を図って、今、最終的な詰めをしているという こと、また3番として16年度に検討会を設置検討予定――これは昨年度末の時点でござ いましたので、予定となっておりますけれども、これは既に検討を始めているところで ございます。その他、不適切な取引慣行の是正、小包装化の推進といったことも適宜、 進めております。  次のページ、診療報酬における後発品の使用環境整備ということで、これは前回の14 年度診療報酬改定における結果でございますけれども、処方せん料における評価ですと か調剤報酬における加算といった措置を通じて後発医薬品の使用環境整備を図っており ます。また、次の最後の四角で、後発品の品質や価格に関する情報提供等々、必要な支 援ということで、ここに掲げられてございますように、2つ目の厚生労働省ホームペー ジにおける一覧表の提供ですとか、6番目あたりの品質再評価およびその結果の公表と いったもの、さらにはいちばん最後の「・」でございますけれども、医薬品情報提供シ ステムにおいて添付文書等、副作用情報等をホームページにおいて掲載しているといっ たことも進めているところでございます。  最後に3ページで、参考と書いてございますけれども、先ほどご説明したアクション ・プランの進捗状況につきまして、関係者から意見をいただくということで、先般、平 成16年6月の8日と14日の2回に分けまして、「医薬品産業政策の推進に係る懇談会」 を開催したところでございまして、その中で各団体からご覧のとおり意見を賜ったとい うことをご紹介申し上げます。  以上、やや雑駁な説明でございましたが、事務局からの説明を終わらせていただきま す。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。かなり膨大なデータでございますので、全部理解で きたかどうかというのは、まだわかりませんが、それでも基本的にはこれらのデータを ベースにして厚生労働省の医政局では、流通に関わるいろんな政策を作成しているので はないかと拝察いたします。細かいところについては、またあらためてどうぞ各先生方 でじっくり見ていただきたいと思いますが、今の説明を踏まえて、これから今日のメン バーの方々から、医療用医薬品の流通に関わるこの状況変化に対する、皆さん方ご自身 の認識、あるいは、こんなふうに課題として思っているという、そういうところについ て、ざっくばらんで結構でございますので、ご意見をいただけたらありがたいと思いま す。  今回はメーカーさん、卸さん、それから医療機関、薬局、いろいろな立場の代表の方 々にご参集いただいておりますが、ご自分の立場から、マクロではこうかもしれないけ れども実態はちょっと違うよとか、こういう課題があるんだとか、そういうあたりのご 意見がございましたら、ぜひご披露願いたいと思います。ただ残念ながら、実は今日の 時間が4時までというふうに区切られております。今回は21人の方にご出席いただいて おりますが、1人2分でも40分を超えますし、3分話していただいても1時間はかかっ てしまう。そうするとあと1時間10分しか残っておりませんので、言いたいことはたく さんあると思いますが、最大3分くらいで要点をまとめてお話しいただいて、それに対 して必要に応じて事務局サイド、厚生労働省サイドのほうからご説明をいただいたり、 あるいはそのあと時間があったらフリーディスカッションをするという形で進めたいと 思います。それでは、せっかくの機会ですから、一応、お一人ずつにご意見をご披露い ただく機会を持ちたいと思いますので、恐縮ですが先ほどの紹介の順にしたがいまし て、プレイヤーの中心である卸のほうのお立場で、まず伊藤さんから、よろしくご意見 をいただきたいと思います。 ○伊藤委員  それでは、僭越でございます。日本医薬品卸業連合会流通近代化検討委員会の伊藤高 人でございます。よろしくお願いいたします。平成7年の流近協メッセージのひとつ に、価格形成の透明性を確保するために、仕切価格設定にあたっては市場の実勢を十分 勘案するとともに、マージンに占めるアローアンスを含むリベートの割合を縮小し、こ れを仕切価格に反映させること、また、リベートの支払基準を明確かつ透明なものとす ることを求めております。  平成7年からこの間、それぞれのところで努力をしてまいったわけでございますが、 しかしながら、平成7年当時に卸が得られていた売買差益は3〜4%あったわけでござ いますが、平成15年度では医療機関さん、あるいは大手調剤薬局チェーンさんとの厳し い価格交渉で、ほとんどゼロという状況になっております。アローアンスを含むリベー トの水準が、平成7年当時の7%程度から8%程度に上がってはきておりますが、結果 として、売買差益とアローアンスを含むリベートとの割合を比較すると、圧倒的にアロ ーアンスを含むリベートの割合が増加しているという状況でございます。  近年、各企業に四半期決算における開示等、企業の業績をはじめとする情報開示が求 められてきております。当然のことながら卸各企業それぞれが、社員一人ひとりまで流 通改善の必要性を認識して、質を重視した営業活動を行い、そのことによって流通機能 の効率化・高度化を図り、企業の業績に結びつけなければならないのは当然でございま すが、一方で仕切価格の設定方法の問題や、あるいは医薬分業の進展により、医薬品と いうものを中心にした価格体系のあり方そのものにも問題が出てきたのかと、そういう ものにも問題は潜んでいるのかと、このように感じるわけでございます。  これらのことも含めて、この懇談会の場での議論に参加できればと、このように考え ております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○井上委員  後発医薬品の団体であります医薬工業協議会の井上でございます。後発医薬品は、わ れわれ流通の段階では、だいたい数量ベースで60%が俗に言われます小規模卸、業界で 販社と呼んでおりますが、その販社を経由して販売されております。この販社の場合 は、大手卸さんと違いまして、完全な販社による自販力によって、販社が独自にメーカ ーからの仕入にマージンを載せて販売しているということですので、販社経由に関しま しては、リベートというのは最大でもだいたい3%から5%です。ですから、そういう 形態で現在、販売されているわけですが、私は医薬工業協議会としてこの後発医薬品の 使用促進、品質と情報と安定供給について、流通ですのでこの安定供給に関しては、か なりいろいろとご批判もございまして、実態とかなり異なったご批判があるということ でございますので、この懇談会の中で、なんとかそういう間違った認識をされていると ころを改善できればというような形で、よろしくお願いをいたしたいと思います。 ○今川委員  日本保険薬局協会は、この4月に新たに設立されました協会でございます。日薬さん のご理解の中で、私どもも誕生いたしまして、全国で直接の調剤薬局の会社数が160社、 店舗数で7,000店舗、総商いで1兆円ぐらいの商いをしている調剤薬局の協会でござい ます。この、価格につきましては非常に表現が難しいんですが、大きなチェーン店はあ るパーセントをとっていらっしゃる。個々の個人経営をしていらっしゃる薬局さんは、 消費税を含めるとマイナスになってしまうという状態がございます。一方で自由経済競 争という資本主義社会の原則があり、一方で皆保険という、税金によるひとつの補助と いうものがある、その狭間の中で、どう価格体系があるべきかという問題があります。  それには単純に薬価差がいくらというのではなく、薬品の管理の問題も絡んでまいり ます。今、不特定多数の処方せんがまいりまして1万品目からの薬がございます。だい たい大型薬局で3,000品目、個人薬局で200〜300品目、不特定の患者さんが来られます。 日本の処方せん制度は品名指定でございまして、ここで在庫がない、在庫を入れるとあ る時点で在庫切れになる、こういう問題があります。それから、やはり国民の経済的負 担という問題を、どうしたら適正にしていけるか。ジェネリックを諸外国のレベルにま でどうやって普及できるか。こういう問題も含めまして、ひとつの適正な価格というも のをまた、この会で今後――実情はわれわれとしてたくさんの事例を持っていますの で、提供させていただきながら――皆さんと協議していきたいと考えております。以上 でございます。 ○漆畑委員  日本薬剤師会の漆畑でございます。3分間ということですので、何かご意見をお話し するというような時間ではございませんので、ご挨拶がわりというようなことになって しまうんですが、この中に医薬分業の推移の資料がございますけれども、この資料にも ありますように、たいへんな勢いで、今まで分業が伸びてまいりました。「今まで」と 申し上げたのは、実は今は必ずしもそういう状況ではないわけでありまして、たとえば 昨年の12月ですと、国全体の処方せんの発行――ここに書いてあります、いわゆる処方 せん受取率は3%ほど伸びているわけでありますけれども、47都道府県のうちの11県で は、実は平成14年12月に比べまして、処方せんの件数は減っておりまして、全体として は伸びていますけれども、地域によっては、いわば分業の数的なものについては行き着 いたところがあるというような状況でございます。それに加えて、いろんな要素、たと えば受診抑制などもありまして、患者さんが減っているということもあるわけでありま すけれども、そういう意味では分業はこれからも進むとは思うんですが、個々の地域で 個々の薬局から見ると、処方せんは必ずしも伸びていないという状況に既になっており ますので、流通の面でも、今までの、単に処方せんが伸びる時代とは違った意味あいで の流通に求められるものが出てくるのかなという、そういう状況でございます。  先ほど卸さんの資料の中に、経営の内容の資料がございましたけれども、薬局もこう いう資料を出したいくらいの状況のところもあるわけでございまして、機会がありまし たら、そんなことも議論させていただきたいんですが、いずれにしても分業が進んだこ とで、卸さんとしては、全体の医薬品そのものの総量が増えない中でユーザーが増えた わけでありますから、当然、効率が悪くなっているわけでありまして、そこのところが 多分、卸さんの経営のたいへん厳しい状況の一因にはなっていると思います。ただ、そ れだけではないと私どもも思っておりますので、この場の議論の中で、そういうことも 検証したり、あるいは教えていただければ、私どもとして努力することがはっきりして くるわけでありますから、そういう意味ではご協力をさせていただきたいと思っていま す。  それから、総論ではありますけれども、医薬品は、ここでは物として、物流として議 論されるわけでありますけれども、医療の現場では、医薬品は物というよりも医療手段 でありますから、患者さんの疾病を治療したり、生命に関わる医療手段でありますの で、その確実な流通というのはいちばん大事なことだと思います。そういう意味で、流 通の別な意味で、取引の内容とか取引条件とか、そういうものが多分、議論されること になると思うわけでありますので、そういう医療手段をきちっと医療現場に届ける、あ るいは患者さんのもとに届けるという意味で、流通の議論に、私としては参加をしたい と思っております。 ○江口委員  日本ジェネリック医薬品販社協会の江口でございます。日本ジェネリック医薬品販社 協会と申しましても、多分、ご存じなかった方がほとんではなかろうかと思うわけでご ざいますけれども、私どもはジェネリック医薬品を専門に扱う会社の集団といいます か、卸の集団でございます。現在、全国に、この資料によりますと94社と書いていただ いておりますけれども、われわれは今、5月に総会を行いまして、70社でございます。 流通業者のこういう場に入れていただいたということだけでも、私は感動をしているわ けですけれども、それと同時に、現在、この後発医薬品の果たす役割というのは、われ われが思う以上に重要なところに来ているのではないだろうか、と。そういう責任のあ る仕事をわれわれはしているんだ、と。たとえば私の会社そのものでは38年の歴史を持 っているわけでございます。ということは、いろんなところに医療用医薬品を販売して きたわけでございますけれども、どちらかというと日陰者的な――ちょっと、ひがみ根 性の発言になるかもしれませんけれど――そのような立場での見解をとられたことがあ ると思うんです。それで私も厚生労働省の経済課のほうに行きまして、ぜひ、われわれ の話も聞いていただきたいということを、過去、申し上げてきたわけでございますけれ ども、こうして、こういう場に出席を許されましたので、私どもとしては光栄に思うと 同時に、後発医薬品が果たす役割を十分に果たせるだけの会社といいますか組織にする ということと同時に、皆様方のご援助も頂戴をしたいと考えております。それと同時に また、卸連合会の皆さんと調和を図りながら、流通の一端を担う会社として、協会とし て、きちっとした方向に持っていきたいというふうに思っております。ともかく今日 は、こういう団体があるんだということをお知りおきいただいたことを誇りに思ってお ります。どうもありがとうございました。 ○大来委員  日本製薬工業協会の、流通適正化委員会の委員長をしております大来でございます。 今日はこの流通適正化委員会から3名の委員が出席させていただいております。流通に 関する状況の変化に対する認識について3名がおのおのの項目についてお話をさせてい ただきたいと考えております。  私は医薬分業に伴う状況の変化と課題につきまして、コメントさせていただきます。 資料3にございますとおり、分業率も上がってきており、保険調剤薬局が増えていると いうような状況です。流通というのは物流と商流と情報流と、この3つがあるわけでご ざいますけれども、この中においての物流ですとか商流については、卸さんの関係する ところであろうと思います。メーカーといたしましては、増えてきている件数に対して 情報流、つまり情報の提供をいかに行っていくかという問題につきまして、問題意識を 持っているということであります。  それから、この分業の進展に伴いまして、グループ調剤が増加をしてきています。こ のグループ調剤の増加ということに伴って、実は処方元がよくわからなくなってきてい る。したがって、どのように医薬品情報を届けていいのかという問題がここに生じてき ている、という問題があります。それから、医薬分業の進展により処方元に対する不適 切な薬価差の供与による処方の誘引はなくなってきております。しかしながら近年、グ ループ調剤の拡大に伴い一括購入という問題が出てきている。こういった購入形態の場 合は厳しい薬価差要求が伴い、これらをどういうふうに考えるかという問題意識を持っ ています。また、医薬分業の進展に伴いまして、薬剤師会あるいは保険薬局のほうか ら、これまで以上に小包装の要求が提起されるのではないかというふうに考えていま す。 ○大塚委員  医療法人協会の副会長をいたしております大塚でございます。私は医療法人の立場、 ならびに4つの病院が四病協で団体協議会をつくっておりますが、そこでのいろいろな 問題も含めてお願いをするし、ご審議をお願いしたいというわけでございます。  まず、医療機関にとりましては、早速影響があるのは、やはりR幅でございます。こ のR幅が現在、非常に小さくなって、高い場合は薬価の98%、それから、まあまあ平均 的に84〜85%というところではないでしょうか。したがいまして、この薬価差益がも う、ほとんどない。いわゆる薬に関わる人件費、それから薬剤の損失などを加えて、き ちっと統計をとらなければいけない段階になっているとは思います。したがいまして、 このR幅があまりにも小さいと、国内の競争原理が働かないんじゃないかと思います。  それと、平成元年に消費税が始まりましたけれど、このときわれわれは、直接課税と 付加価値税というものをよく認識していませんでしたので、医療は非課税だというよう な立場から、ずっと要求を続けているけれど、まだ改善されておりません。一部、社会 保険の報酬に対して加算があるということで、医療機関の個別性も考えない、非常に不 安定な解決で終わっておりますので、やはりこれをなんとか、きちんと、整合性を持っ ていただきたいということです。  それから、過日、私どもの委員会で問題になりましたのは、アイソトープ協会という ものがございます。これは放射性同位元素を扱っている社団法人の協会でございます が、これを医療機関が発注する場合には、そのアイソトープ協会を通して発注するとい うことになっておりますけれど、実際は放射性医薬品メーカーというものがございまし て、そこを通して発注しているのが実情です。というのはアイソトープ協会を通して注 文すると、いつ物が入るかといったあたりで非常に不安定であるからです。しかし医薬 品メーカーのほうを通すとすぐに「○日に発送します」というようなことで、これは直 接、取引が普通に行われているわけです。ところが、お金の支払いになると、アイソト ープ協会を通さなければ決済できません。同じようにコバルト60などについても、これ はもう、まったく独占でございます。そこを通さなければコバルト60は、病院として手 に入りません。細かいことを申しますと、原価が2,500万のものが医療機関に入ってく る場合は、消費税を含まなくて1億2,000万になって医療機関に入ってきております。 このように非常に、この、手数料といいましょうか、物の流れが非常にアンフェアと考 えられる点がございます。こういう点も含めて、ご審議願えたらということでございま す。 ○奥村委員  日本歯科医師会の奥村でございます。私のほうは、歯科関係というのは診療所が中心 でございまして、非常に小規模なわけでございますけれども、われわれの診療所におい ても、最近ではIT化の影響が非常に大きくなっております。多分、こういった医薬品の 発注も、ほとんどがEメールで発信されるというような状況が出てきたということを、 まず、皆さんにご報告しておきたいというふうに思っております。  それから私どもでは、そうなりますと、いろんな薬品の中でも、とくに安全性を追求 するものもかなり出てまいりまして、今度は要望でございますが、製薬工業協会の皆様 方には、やはりトレーサビリティーといいますか、さっき局長がおっしゃいましたけれ ども、そういうことが可能なような扱いを、ぜひお願いしたい。それからまた、今回、 中医協の皆様方にたいへんご迷惑をかけたんですけれども、大雑把に言って歯科の点数 は少し低いわけでございまして、そういったことで、われわれ診療所のメンバー、歯科 医はかなり苦しんでいるわけですが、ぜひ、こういった点でも卸業連合会の皆様には、 今はやりのロジスティクスといいますか、そういったことで在庫管理、あるいは流通経 費の削減というものを、なお一層図っていただきたい。  それから今度は厚労省の医政局のほうにお願いしたいんですけれど、今まで製薬工業 の皆さんは、今まで一般医科を主な対象とされておりますから、どうしても歯科関係は 無視される。したがって、歯科への適用というのは非常に制限されておりまして、われ われ、たいへん困っているわけです。中医協の審査の問題でも、たいへん不自由を感じ ておりますので、歯科への適用認可もぜひ視野に入れていただきたい。それからまた、 そういった許認可についても、厚労省の皆さんはぜひ、ひとつご理解をいただいて、な るべく許認可のスピードアップをお願いしたい。この点をお願いしておきたいというふ うに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○柿田委員  私立医科大学協会の柿田と申します。私立医科大学協会というのは、日本に国公私立 の医科大学が80ございますけれども、そのうちの29の私立医科大学が協会という形で団 体を組織し、医科大学の教育、研究、診療の情報交換、運営に関する意見交換、行政官 庁との調整、連絡等々の役割をしているところでございます。  私自身は北里大学病院の病院長の6年間を経て、現在病院担当副会長をやらせていた だいております。前の流近協のときには私立医科大学協会というのは入れていただいて いなかったと思いますが、今回、お声がかかって、まいりました。私は本来、外科医で ございまして、経済が専門ではございませんが、大学病院の立場で参加させていただき ます。まず、これまでの御発言をうかがった印象を述べさせていただきますが、ちょっ と、どうも場違いなところへ来てしまったかなと思っております。というのは今のお話 をうかがいますと、各業界、各団体の利益をどうするか、われわれのほうをなんとかし ろという話ばかりで、本来ここへ来たのは流通をどうするかという話だったと思ってい ますが、如何でしょうか。  今、私が申し上げたいのは、われわれの大学病院が、今求められているのは患者中心 の医療の推進であり、包括医療も導入されました。したがって、この薬価についても、 包括の中に入っていっておりますので相当な問題を抱えながら頑張っております。大学 病院の薬剤の購入については、多分、卸の団体の方がいちばんよくご存じだと思います が、私立大学も北は岩手から南は九州までの大学のそれぞれの担当者はたいへん苦労を してやっております。本日の会議の本来の趣旨は、限りある医療費財源を節約して薬価 の無駄を省いて、きちっとした医療を患者に提供するために、このような会が催される ものだと理解してまいりましたので、やはり座長が最初におっしゃったように、とても 怖いところへ来てしまったなと思っております。それぞれの利益の団体が、私のところ を儲けさせろ、という話のみではとてもまとまらないと思います。私は医師ですから敢 えて申し上げますが、どうぞお願いは、趣旨にしたがって純粋に受け止められて、それ ぞれ適正な利益を得られるのはもちろん構いませんが、やはり医療というものを中心に お考えいただきたいと思います。  今、中医協で議論されているのは、特に包括医療の導入で、技術と物、つまり人と物 のところは切り分けるという考え方で薬価と技術料と本体が決まったのはご承知のとお りですが、薬価で適正な利益を得られるのはもちろん構いませんけれども、われわれの ところを儲けさせろとかゼロだとか、そんな話よりも、皆さん、そういう団体におられ るわけですから、医療そのもののためにどうするかという議論をなさったらどうかと思 って、先ほどから聞いておりました。たしかに非常に不具合な流通の問題があるように うかがっておりますけれども、やはり、どういうふうにしたら限られた保険診療財源の 中で少ない医療費を有効に使うかということを、この流通の面からお考えいただくとい うふうな視点で、それぞれの領域の方が適正な利益を得られるための方策をお考えいた だいたらいかがか、と思っております。  たとえば私立医大病院本院の院外処方への転換は、現在、関東ブロックが大学病院18 の15大学、関西は11大学の7大学病院です。そのほとんどが8割以上の院外処方率にな っています。したがって、大学病院の膨大な、医薬品費の流れも変わりつつあることに なりますし、とくに包括医療が入っておりますのでこれらの変化について十分な検討は 必要かと思います。しかし、いい技術をいかに提供して、物は物として適正な利益を計 上する必要はありますが、やはり物で収益を得るよりも技術でいただくというのが本来 の医療の本質だと私は考えております。実際に、今日そういう方向へ動いていると理解 しております。中医協のほうの包括の流れもそうなっておりますので、どうぞ、ご議論 を、それぞれに数字をお出しいただいて、皆さんに納得のいく適正な流通機構というも のをお考えいただければと思います。ちょっと、ものを申しすぎたかもしれませんが、 うかがっていて、いささか場違いなところに来たかなというのが本音でございます。以 上です。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。決して場違いではなくて、そういう正論があって、 それこそ大事な考え方だと思いますので、ぜひ、これからも議論をしたいと思います。 ○河崎委員  日本精神科病院協会の河崎と申します。日本精神科病院協会は、全国で約1,200を超 える会員病院を有しておりまして、今、日本には精神科病床が約34万床ございます。そ のうちの約30万床が、われわれ民間の精神科病院協会のベッド数というようなところで ございます。先ほど大塚先生から四病協のお話もしていただきまして、私どもの協会 も、医療法人協会ともども四病協の一員として、病院の団体として、この中で発言をし ていくということになろうかと思いますが、ただ、やはり精神科医療というような部分 で見ていきますと、とくにこの薬剤に関しましては、最近非常に精神科医療の部分で は、この4〜5年、ずいぶん、とくに統合失調症の方、あるいはうつ病の方たちに対す る新しい薬品がどんどん開発、販売されてきたという状況がございます。そういうよう な形で、実は精神科医療に占める薬剤比率というのは、多分、一般の病院あるいは一般 の医療に比べて、これまではずいぶん低かったというふうに認識はしておりますが、そ れが結構、高くなってきているというような傾向がございます。それがひとつの特徴で あるのかと思っております。  もうひとつは、これは、診療報酬上での精神科病床の機能分化であるわけですが、包 括の病棟がずいぶん増えてきております。現在、われわれの加盟している会員病院の中 で、包括の病棟を持っている病院が約62〜63%ございます。そうしてきますと、いわゆ る薬価差云々とか、そういうような問題は逆にあまり大きな意味を持たなくなってく る。ですから、先ほど柿田先生がおっしゃったように、適切に医療を、どのような形で 行っていくのかというような形の中で、やはり精神科医療というものも、薬剤費あるい は薬剤の投与というようなところを考えていくような時代に、当然、入ってきているの かなというようには思っております。  勉強不足ですので、こういう経済的なことはよくわかりませんが、この中で、いろい ろ勉強させていただきながら、意見を言えるところは言っていきたいというふうに思っ ておりますので、よろしくお願いいたします。 ○藤上氏  日本病院薬剤師会の藤上と申します。まだまだ大学病院にしても一般の病院にして も、薬価差が手放せない状況にある医療機関が多いというのは事実だろうと思います。 柿田先生もおっしゃいましたように、薬価差に頼らなくても運営ができるような体系と いうものも必要だろうと思いますけれども、総価山買いとか、薬価改定後1年たっても 価格が決まらず仮納入、仮払い等の不適切な取引慣行など、医薬品業界だけに通用する ような流通体系というものを是正して、通常の、正常な、あたりまえな商取引に立ち返 る必要性があるということはもう、皆様方の共通認識だろうと思います。前近代的な流 通慣行と薬価算定ルールの陳旧化が生んだ薬価差の確保ということが至上命題で、病院 診療所薬剤師業務の中心というのは、外来患者の院内調剤に偏らざるを得なかった時代 もありました。ただ、その後、薬価差の圧縮とか分業の基盤整備の推進、あるいは医療 をとりまく環境の変化等によって、病院診療所薬剤師の業務というのは様変わりしてお ります。その間、着々と進められていた制度改革の意味、あるいは提言とか報告の形で 表れた社会からのメッセージというものに対して、もう少し早く、私たちが対応できて いればというふうに反省しているところでもございます。今後は薬剤師の職能を活かし て、情報の評価にしても、あるいは品質の評価にしても、あるいは経済的にも適切な医 薬品の選択ということに、私は関与していきたいと思っております。不適切な流通とい うのは、医薬品そのものの寿命も短くしていきます。価値のある医薬品を息長く育成し ていくというようなことに、病院薬剤師として貢献していきたいというふうに考えてお ります。 ○高見委員  製薬協の流通適正化委員会から出席しました高見と申します。私は3番目の項目の薬 価差の縮小および薬価制度の変化ということについて、若干、コメントをさせていただ きたいと思います。  現在の認識でございますが、先ほど資料でご説明いただきましたように、平成7年当 時は17.8%の乖離率であった。これがR幅の縮小、あるいは調整幅の導入に伴いまし て、平均的な乖離率は改善傾向にあるのかなと考えております。また、この薬剤比率あ るいは薬価差も縮小してまいりまして、一定の水準に収斂してきているのかなと思いま す。  薬価差の縮小と薬価制度との関係におきましては、財政面や制度論としてはいろんな 事情があろうかと思いますが、流通当事者の立場から申し上げますと、やはり市場価格 によらない薬価の引き下げということにつきましては賛成できないというのが現状でご ざいます。それから、そういう状況変化に伴う課題といたしましては、まず1つ目は調 整幅2%という現在の条件下でのいわゆる経済合理性を根拠にした価格交渉のあり方と いうものを検討したいと考えております。  次に、いわゆる薬価差の問題ですが、今日的な薬価差の意味というのでしょうか、こ れはどうなんだろうかということを、やはりきちっと検討したい。それから具体論にな りますが、国立病院の独法化と共同購入とか、あるいはチェーン薬局さんの一括購入等 における価格交渉の問題、あるいは総価山買いの問題、現実的にはいろんな問題があろ うかと思います。そういうことを考えてみますと、要は経済行為としての価格交渉と薬 価制度あるいは公的保険のもとでの過剰な薬価差是正につきまして、本当にどう理解す ればいいのか、これが私は大きな課題であろうと認識しております。以上でございま す。 ○仲谷委員  同じく製薬協流通適正化委員会の委員をしております、仲谷と申します。私は、薬を 処方されるお医者さん、また、それを投薬される薬剤師の先生方、そして実際にそれを 服薬される患者さん、その方たちの安心という立場から、安全対策の充実の要請がござ いますが、それの取り組み状況とその評価、課題等について現状を述べさせていただき たいと思います。  このような取り組みといいますと、具体的には再審査期間中の市販後調査の見直しで すとか、あるいは間違えやすい品名の修正等がございますが、とくに流通に関わる安全 対策といたしましては、市販直後調査の実施と生物由来製品の市販後の安全対策の強 化、この2点が大きな課題として現在取り組んでいることになります。  まず、市販直後調査のほうでございますけれども、これにつきましては、実際にその 実施に伴いまして、適正使用の促進、たとえばソリブジンのような副作用の発現といっ たような事案の再発の防止ということについて、十分な効果をあげてきているという認 識を持っております。また、もうひとつ、重篤な副作用の早期の発見ということにつき ましても、たとえば肺がん治療薬での間質性肺炎の問題などがございますが、それらに つきましても、この市販直後調査によって、より早く、より適切に情報を把握・整理で き、またそれについての対応ができたというふうな印象を持っております。  このように、この市販直後調査の実施ということにつきましては、成果は十分あがっ ているように思います。ただ、MRを中心に、非常に大きな労力をかけているというのも 事実でございますが、それらも含めて、今後もこの市販直後調査の充実ということにつ いては、さらに取り組んでいかなければいけない課題だろうというふうに思っておりま す。  もう1点、生物由来製品の市販後安全対策ですけれども、これは先生方もご存じのよ うに、血液製剤ですとか、あるいは動物由来の製剤の場合には、未知の感染症の発現と いうことが想定されます。そのようなことが発現した場合に、より迅速に、また、より 適切に対応しなければいけないということから、薬事法の改正とともに導入されたこと でございますが、本年の年初に、私たち流通適正化委員会では、独自にこの実態につい て調査をしましたけれども、医療用医薬品の流通ということが非常に複雑な経路をたど っている、あるいはルートが非常にたくさんあるというようなことが原因と考えられる ような、いくつかの課題というものが出てきております。そういうことで、それらの課 題について取り組みながら、この生物由来製品の市販後の安全対策ということについ て、これからもいろいろ検討させていただき、より充実したものにしていきたいと、そ のように考えております。 ○松谷委員  私のほうからは、ちょうど流近協のアピールが平成7年に発表されましたけれども、 その当時、私、中医協の薬価専門委員をさせていただいておりましたので、7年からそ のあとに中医協で薬価のことについて議論されたことについて、ちょっと、問題点をい くつか、おさらいをしてみたいと思っております。  平成7年の当時はまだ、R幅方式が15%から10%まで持っていくという過程の中でご ざいました。2年に1回ずつ、15が13になり、13が11になり、11から10になるときには 2年連続の薬価改定と消費税の値上げというのがあったものですから、繰り返しますと 3年連続の薬価改定というのが行われまして、いきなりR幅が10%に、すぐ、なってし まったわけであります。そのときに、R幅という言葉につきましては、その当時の中医 協の建議におきまして、包装単位の大小であるとか取引条件の違い等で、医薬品の価格 の幅ができるのは当然であるので、加重平均値をそのまま薬価にすると、それで現物給 付のできない事例が出るから、旧薬価の15%を載せて10%まで引き下げていくというの が、これは流近協の平成3年の提言とほぼ同じような形が、20%から始まるのが15%か ら始まったわけですけれども、10%になった時点で、そのときの取引実態を見ながらも う一度議論するというふうに、中医協建議に書かれてあったにもかかわらず、その当時 で言うと、ちょうど橋本内閣の行政改革があって、いきなり議論なしに5%になってし まった。しからば本当に経済的合理性の中の価格幅というのは、どういうところにある かという議論が一切されずに5%になった。  そのあと、続いてまた2年後には、もう、それこそゼロというような案が事務局から 出てきたのを、私ども卸連はとても流通の実態からすると容認できないということで、 強く反対もしたし、いろいろお願いをして、最終的には政治決着ということでR幅方式 から一定価格幅方式という形に変わったわけでありますけれども、そのときの理論づけ というのを、いつも中医協の薬価専門部会で必ずしてほしいということのお願いを、そ の都度したわけですけれども、結局、1度もされずに、最終的に、もう、中医協の最終 予算を決める12月直前になって決まってしまうというのが実情でございました。  そういう意味では、その流近協がなくなったこと自体が、私どもとしては非常に、そ ういうおたがいで議論する場がないということで、これの復活をお願いした次第であり ます。また同時に、薬価差がだんだん縮まった中で、先ほどからありますように、われ われのお得意様の主体がだんだん調剤薬局さんに移行していったということ、それか ら、同時に薬価そのものを使わないで薬剤の償還がされるDPCだとか、また包括化の払 いが出てきたとか、そういうときに、薬価で償還されない薬剤の薬価調査はどうするの かだとか、いろんな新しい問題として、今後、出てくる問題について、今、中医協はと てもそういう細かい議論をする場にないと思いますので、できればこういう場所で、そ ういう部分も含めて、新しく変わろうとしていることについて議論をしていく、要する に今までの検証をすると同時に、これからどうあるべきかということについて、ぜひ、 議論をしていただきたいということをお願いいたします。  それからIT化、標準化の問題というのは、先ほどお話がありましたけれども、生物由 来だけではなくて、これは全体の医療そのものの合理化または安全性につながるという 方向で、この標準化等を持っていかないと、生物由来で終わってしまうということは、 非常に問題だと思います。せっかく、そこまでやるなら、きちんと医療機関また患者さ んのためにまでなるような標準化、IT化を目指していくべきではないかと思っていま す。 ○三上委員  日本医師会の三上でございます。初めて出させていただきましたが、いろいろ興味深 い話を聞かせていただきました。医薬分業の件ですが、分業率がかなり50%に近づいて きて、3兆4,000億ですか、医療費としても歯科診療分を抜いたというようなことも聞 いておりますので、非常に注目しているわけですが、これは今まで非常に経済誘導策と して、院外処方に出させるように、医療機関から薬剤を手放させるという目的で、院外 処方に誘導させるような診療報酬が決められていたわけですが、これについても門前薬 局、第2薬局、あるいはこのごろでは門前診療所といったようなチェーン薬局が診療所 を誘導するというようなモラルハザードが起きている。モラルハザードというのは、い ろいろなところで起きておりまして、たとえば先ほどありましたDPCにおいてもモラル ハザードは起こっておりますし、1疾患1DPCということと、退院して再入院すればリ セットされるということから、土曜日に退院して月曜日に再入院というようなことも、 起こっております。だから、どういう制度にしろ、モラルハザードは起こるんだ、と思 います。だからこういう場で、そういったものが、なるべくなくなるように、いろいろ と研究をしなければならないだろうと思っております。  また薬価につきましては、仕切価が制定されたときに、もともとは卸が医療機関に納 めて、その売上の13%ぐらいをリベートとしてメーカーから卸がもらっているというの が本来の考え方でございましたが、仕切価が導入されたときに売買差益を7%に設定す ることでリベートは半分の7%になり、実際にはメーカー側からすると7%値上げをし たということを、ごまかしのような形でされたというようなことも聞いております。ま た、流近協でいろいろされていましたけれど、その中で、公正競争規約というのができ ました。私からしますと紳士協定ということだろうと思いますが、官製談合というんで すか、カルテルっぽい話ではないのかというふうな気もいたしましたし、そのへんのと ころは非常に微妙であるという気もいたしました。R幅につきましても、現在、2でご ざいますが、実際、私のところの医療機関でもデッドストック等がございまして、2で は逆ざやになるという可能性も高く、こういったR幅の問題もやはり考えていかなけれ ばならないと思っております。  また、消費税につきましては、2度、3%、5%に対応して、それぞれ0.77、0.76と いう、あわせて1.53を診療報酬の中に入れたんだという話でございますが、薬について は5%がそのままかかっているということで、内科系のところには非常に損税が発生し ている可能性が高いと思われます。現在、私、医業税制の担当もいたしておりますが、 課税業者になるべきではないか、すなわち、課税をして、インボイス方式で還付するか 何かの形で、損税が発生しないような形にしてはいかがかと考えており、そのためにも しも消費税分が入っているとするならば診療報酬をその分下げていただくことも厭わな いという意見もちらほら出ております。また、今日は病院薬剤師の方も来られています が、調剤にしても院外で調剤しようが院内で調剤しようが、調剤料は同じであるという ように、対価が適正に判断され、補償されるような制度になればと思っております。以 上です。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。三村先生からは最後にコメントをいただくというこ とで、先に宮内さんからお願いします。 ○宮内委員  歯科のほうの宮内でございます。以前の平成9年のときの流近協にも参加させていた だきまして、今日は1回目ということもあって、以前より大激論は少ないと感じている んですけれど、前のときのいちばんの問題点は、当時は薬務局でございまして、ですか らここでお話ししても、医師会の先生方がよく言われたのは、健政局に話を持っていか ないと、ここでいくら話しても同じだというふうな言葉が聞かれたわけですけれど、今 度は議論の場が、当時の健政局である医政局になっており、まったく同じジャンルにな ったので、その点は新たに期待するところがあるのではないかと感じている次第でござ います。  それから、10年近くたってもまったく変わらないというのは、医療機関側の先生方 が、薬価差がないと経営がやっていけないという以上、それを診療報酬の点数上に反映 すればある程度解決できる問題もあるのではないかということです。再診料、初診料、 いずれにしても目に見える形でそういうものの補填を図るというふうなことも、今回、 短い回数ですけれど、まとめられたらいいのではないかという感じがいたします。  それから、総価山買いの問題がいちばん問題だったんですけれど、約10年ほど前は、 現在ほどコンピュータ化が進んでおりませんでした。ですから、そういうふうな問題 で、いわゆる迅速かつ確実な伝票処理をするというふうなことにおいては、総価山買い もある程度仕方がないという雰囲気もあったように感じております。しかし今日のよう にバーコードが普及し、IT化が進んで、家庭で、また個人でも簡単にパソコンを使いこ なすという時代に入っていれば、ある程度、取引その他の慣行の透明化というものが進 められるのではないかというふうに感じている次第でございます。  いずれにしても、数年前に金融機関が4つくらいに統合された、ところが医薬品の卸 のほうは、それより先立って10年ほど前にもう統合が進んでいるというふうなことを考 えると、ちょっと、この流近協に参加していた業界のほうが先を行っていたのかなとい う感じがしております。また、当時、私どももバーコードの研究をしておりましたが、 この指摘の中にも入っておりますけれど、あまりにも昭和の末にJANコード、いわゆる @MD-Netを使ったがゆえに、今はトラッキング、トレーサビリティーができないという ふうなことで、EAN128への転換を提言されておりますが、先に進んだがゆえにデメリッ トが出てくるというふうな点は、国家予算等でのいろんな補助等を要望したいと考えて おります。5回の中でどんな意見を出せるかわかりませんが、そのようなことを考えて いる次第でございます。以上でございます。 ○宮川委員  私は全国自治体病院協議会の代表としてまいりました。全国自治体病院協議会と申し ますのは県立、市町村立、組合立病院の集まりでございまして、だいたい1,100病院が ございます。そこからの代表として、一言、お話をさせていただきたいと思いますが、 やはり私が申し上げたかったのは、私立医科大学協会の柿田教授がお話しになったこと でございます。やはり私ども全国自治体病院協議会としても、柿田教授が発言したこと を考えていたところであります。また、医療法人協会の大塚先生、そして医師会の三上 先生もお話しになりましたから、それ以外のことで、ちょっとお話をさせていただきた いと思います。  私、今日初めて聞いたんですが、やはり流近協のお陰で、前は直接、製薬会社との価 格交渉をやっておりましたけれども、今は卸問屋との交渉ということになりました。そ れで私どもは自治体病院でございますから、入札という形をどうしてもとらなくてはい けないということでありまして、そういう点で、非常に、価格に関しては公平な形で購 入しているのではないかというふうには考えております。先程来、R幅という話がでて おりますが、今現在、薬品を買うとしても、5%が消費税でございます。そして不良在 庫が1.8%から2%でございまして、やはり7%までの幅がないと、これはもう、病院 側としては赤字になってしまうというのが現状でございまして、そのようなところか ら、私どもは医薬分業というよりは院外処方――私は院外処方は医薬分業の一部だろう というふうには考えておりますが――に踏み切ったというところでございます。先ほ ど、処方せんの数がプラトーになったというお話を聞きましたが、これはそうではなく て、薬剤料としては多くなったんではないかと思います。というのは処方の期間が前は 2週間しかできなかったものが3ヵ月でもそれ以上でもできるようになりましたから、 その数、すなわち処方せんの枚数では、ちょっと話は違ってくるのではないかというふ うに、私は考えております。  それから私どもの病院、個人的な、自分の飯田市立病院のことをお話ししますが、災 害拠点病院でありまして、とくに今度は在庫に関しては、卸業者が2週間分、私どもの 病院に対する、災害病院のための在庫を持っていただくという、非常にありがたい契約 でございまして、その点に対しては非常に感謝を申し上げます。以上でございます。 ○渡辺委員  渡辺でございます。最後になるみたいでございまして、冒頭、座長のほうから、平成 7年2月の流近協メッセージについて、現状はどうなっていますかということでござい ました。そのとき、私も当事者ではございませんで、今回、新たに参加をした次第でご ざいますけれども、そのときの内容は、先ほど皆さん方にも資料が行っていると思いま す。資料1―3だったと思います。メーカーについてということで、「仕切価格の設定 にあたっては、市場の実勢価格を十分勘案してマージンに占める」云々と書いてありま す。2つ目は、卸側の業者に対してということで「流通の一層の合理化、効率化に努め るとともに、価格交渉は適切な利益管理のもとに主体性をもって行うこと」、それから 「取引価格の未妥結・仮納入・総価山買い等の不適切な取引慣行を是正すること」、 「医療機関等との取引条件の明確化のため、文書による契約の締結を進めること」。医 療機関さん側については「過度の薬価差要求」をしない、「取引価格の未妥結のままの 納入の要請、総価山買い等の不適切な取引慣行を是正すること」、「卸売業者との取引 条件の明確化のため、文書による契約の締結を進めること」。診療報酬上の問題とあり ますけれど、そのときの7年と、先ほど委員の先生方からも出ましたように、相当、世 の中の環境は変わってきているのかなという気はしないでもございません。  先ほど、委員の方の中から出ましたが、流通の近代化ということは、私は、価格だけ ではないと思うんです。実は、卸側から見ますと、納入する場所が、この近年の中で、 分業が進んだことによって15万件ぐらいになっております。これは中医協でも出た資料 のようですけれど、平成4年のときには12万5,000という納入場所で、要するに医療機 関、病院さん、一般診療所さん、保険調剤薬局さん。13年の資料でございますので、そ れが14万7,900、そこからまた2〜3年たっておりますので、多分、15万件ぐらいにな っているのかと思いますが、そうすると流通の近代化というのは、普通に一般人が聞き ますと「近代化」ということで場所が狭くなるんだろうと思うんですが、増大している という問題点も出てきているのではないかと思います。  そういう中で、薬価差というのも先ほど各委員の中から出たと思いますけれども、7 年のときは資料3―1で17.8、現在は6.3。この中での配分といいますか、座長と三村 先生の昔の本を引っ張り出して読みまして、そのときあらためて思ったんですけれど、 公定価格外での利益の再配分には、もう限度が来ているのかなという気がしないでもあ りません。調整幅が2になって、先ほど出ておりましたように6.3%でございます。こ れは実質の薬価差のことでしょう。外税で税金を入れますと11%台ということになるん でしょうけれど、そういう形で、いろんな制度の中の再配分は難しくなってきているの かなと思っております。結論的に言いますと、私どもはそのときに、この要望に対し卸 側の結論としては、残念ながら価格交渉と総価山買い等も、改善はされていないという 資料になっております。ただ、このように改善をされていないから、双方、医療機関さ ん側、卸側、メーカー側が努力しなかったかというと、そうではないように思われま す。といいますのは、実際にはこういう総価山買いだとか未妥結のできる要因の背景に は、多分、医療機関さんもみんな省力化をしているんだろうと思うんです。いちばん便 利な方法なのかもしれないということも、あるように聞いております。  先ほど、ある委員の方から出ました、IT化が進んで画面で見ればいいということを言 いますと、この薬価改正のあとの入札をするには、新価格を出すのはメーカーさんから 来るのが3月の中旬以降です。医療機関さんは4月から価格が決まっていますから、そ の一斉入札というと、全部のお得意様が入札とは思いませんけれど14万5,000件が一斉 入札はできないと思います。いただいたほうも、見積りというか、先ほど自治体のお話 がございましたが、これは入札でございます。見積りと入札の違いというのが最近、出 てきているのかなと思います。参考見積りと本価格の決定の差というものが、あるので はないかと、このように思います。こういうものが、7年のときと今の段階で大きく状 況が変わってきた中で、流通の近代化をどうすべきかというのが、この会議に出て、ひ とつは医療現場に近い、また、私どもの社員を見ておりまして、実勢の中の、この、決 めようとしていることと実際に各現場で起きていることの歪みについて、ひとつは意見 を出せればと思っています。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。では最後に座長代理をしていただいています三村先 生のほうからお話をいただきたいと思います。三村先生はこの分野のエキスパートであ りまして、ちょっとコメントをいただければと思います。 ○三村座長代理  最後ということで、3点ほど申し上げたいと思います。やはりこの7年、あるいは10 年ほどの変化というのは、たいへん大きな変化であったという感じがいたします。先ほ ど柿田先生のほうから、たいへん明確な、いわゆる政策の変更ということをご指摘いた だいたわけですが、明らかにそれが、医薬品流通のあり方に相当に効いてきているとい う感じがいたします。ただ問題は、いわゆる大量供給型の流通から、基本的には非常に 少量小口で機動的な流通へと変わっていかなければいけない。しかも実需にあわせた形 で変わっていかなければいけないという方向性だけは明確にあるわけですが、残された 問題がまだ非常に大きい。つまり古い問題と新しい問題が、おそらく同時に起こってい るという感じがいたしました。  今日、私が感じましたのは3点です。第1に、やはりアローアンス、リベートの比率 がたいへん大きいということとか、未妥結、たとえば仮納入、仮払いといったような、 そういった取引があるということは、当然のことながら、流通機能を非常に曖昧化す る、つまり何が必要でどのようなコストが発生し、そのときに、どういったような改善 の必要があるのかという議論が非常に曖昧になるということでありますし、当然このよ うな取引慣行は、医薬品流通のイメージを非常に悪くしているというだけではなく、医 薬品流通が近代化するというより、本来は高度化するべきという観点から考えたとき に、やはりこのような状態から早く脱皮していく必要があると思います。  現在、日本の流通も、やはり先ほどのお話がございましたようにIT化とかロジスティ クスの発展という流れの中で、アローアンスとかリベートなどは簡素化の方向に、必然 的になっております。医薬品流通も取引慣行を改善すべき時期に来たのではないかとい う感じがいたしました。  それから第2点ですが、価格交渉そのものの議論よりも、たとえば在庫問題というこ とについて、皆様が共通して問題認識をしていらっしゃるということです。当然これ は、ITとか、あるいは流通情報化が、相当これから効いてくると言えると思うんです。 ただ、多頻度小口配送を、たとえば特定の卸だけの負担とか、特定のメーカーだけの負 担でやると、とんでもないことになる。つまり多頻度小口、機動的、そして、厚生労働 省のビジョンにありますように、毛細血管型の流通に変わっていくためには、実は相互 にルールを明確に決めなければいけない。つまりそれは、たとえばどういった納品時期 でいいのかとか、納品単位をどうするのかとか、あるいは配送場所をどこにするのか、 配送時間あるいは時間待ちがどの程度かということを含めて、これは相互にきちんとし た打ち合わせの中で決めていくべきことであります。ところが現在のところ、それにつ いてのルール化であるとか話し合いができる状況が、生まれていないところがあって、 先ほどの、在庫は多めに持たなければいけないとか、欠品が起こるとかというような話 が非常にたくさん出てくるのが実情ではないかという感じがいたします。これは新しい 問題として、整理ができるような感じがいたしました。  第3点として、やはり医薬分業をどう考えるかということが、いちばん大きい問題だ ろうと思います。最初に工業会の方からご指摘がありましたように、調剤と処方が完全 に分離することによる情報の不透明化という問題は、やはり何らかの形で、そろそろメ スを入れるべきだろうということと、それからもうひとつは、現在の医薬分業というの は、本当に患者にとって便利なのか、あるいはやさしいのかという視点からも、もう一 度このあり方を考えていくべきではないか、しかもそれも医療政策上だけでなく流通の システムとか、流通政策上、何かそれに対して改善するとか、あるいはもっと新しい、 よりよい仕組みに変えていくための方策等について、こういった場で、皆様からのご提 案等があれば、いいのではないかと思いました。以上です。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。ご出席の皆様方から、ひととおりお考えを述べてい ただきまして、おのおのの立場からのご意見、それから思いがけないご意見も含めて、 たいへん貴重かつバラエティーに富んでいたと思います。時間があまりないんですが、 高倉さんのほうから何か、これらについてのコメントがございましたらお願いします。 ○高倉課長  嶋口座長、ありがとうございます。今、先生がおっしゃったとおり、皆様方、非常に バラエティーに富んだご意見、ご指摘も出していただきましたので、今日ここでいろい ろコメントをするというよりも、出された意見をきちっと整理いたしまして、また今後 の、この場でのご検討の参考になるように、事務局として精一杯、整理をし、ご支援を させていただきたいと思っております。 ○嶋口座長  今日のご意見は、医療用医薬品全体の流通システムの理念だとか理想に関する、こう いう問題は当然、考えなければいけないというご指摘と、それからもうひとつは、そこ で行われている実際のプロセスの問題があって、プロセスの中では、とりわけ前流通近 代化協議会でいろいろ方向づけはされたものの、実際の中では必ずしも流れがうまくい っていない部分と、それからうまくいっている部分とが混在していると考えており、そ の中でもとりわけ、そのプロセスの中ではやはり医薬分業に関する評価についての、そ れぞれのお立場からの意見がかなり違うなという感じを受けました。それから、薬価制 度と薬価差の問題、このあたりでも、いろいろなご意見をいただきました。それから、 総価山買いに代表されるような、いくつかの取引慣行上の問題について、やはりたくさ んご指摘を受けたと思います。それから、あとはメーカーさんとか卸さんの利益構造の 問題とか、多様なご意見があったと思いますが、これらについては、今、高倉課長から お話がございましたように、一度、事務局サイドでこのあたりをうまくまとめていただ きまして、そしてそれを何らかの形で作業部会のほうに落とし込んでいただくような形 で、また新たにここへ提案していただいて、そしてまた皆様方の意見をいただきたいと 思っている次第でございます。  ふと考えたら、流通近代化協議会というふうに、いまだに「近代化」と言っているの は流通の分野くらいかなという感じがいたしますが、しかし、そのぶんだけ、やや、ま だ新しい仕組み、もっと理想的な仕組みに近づいていないので、そこに近づく努力をも っともっとしていかなければいけない、と。そういう意味では、そこの貴重なプレイヤ ーであるメーカーさん、卸さん、それからユーザーサイドである医療機関さん、薬局さ ん、こういうところの全体のご意見を反映させて、まさに最適な流通のあり方というも のを、もっともっと検討していけたらいいのかなと考えており、そこにこの懇談会の意 義が強くあるのかなと、そういうことを感じました。  本来なら、予定ではこのあとまた、もう1ラウンドくらい、ざっくばらんにお聞きす るところでございましたが、残念ながら4時になってしまいましたので、一応、今回は ここまでということで、皆さん方からまず声を出していただき、それから、こんな問題 意識を持っているということをお話しいただきました。たいへん貴重なご意見を、あり がとうございました。それでは、今後の設定を含めて事務局サイドから何かございます でしょうか。 ○村松課長補佐  では、事務局のほうから申し上げます。冒頭のほうの資料1―1のスケジュール案で ご説明させていただきましたように、次回のこの会合としては8月の終わりか9月、夏 休み明けというイメージでおりますけれども、それまでの間に、第2回目のここでの議 論を有効なものとするための準備作業会合のようなものを、今日出されたいろいろなご 意見の論点等を整理したうえで、また座長、また関係の皆様とご相談しながら、準備作 業会合の持ち方につきまして、取り急ぎ検討をさせていただきまして、また、その作業 会合のほうにもご協力をいただく、そういう形で次につなげさせていただきたいという ふうに考えております。よろしくお願いいたします。 ○嶋口座長  はい、ありがとうございました。それでは、準備作業会合の設定につきましては、追 ってまた事務局のほうからお願いその他、ご連絡をさせていただきたいと思いますが、 一応、時間がまいりましたので、今日はこれで閉会にしたいと思います。今日は本当に ご苦労様でした。ご協力ありがとうございました。                                    (終了) 照会先:医政局経済課 担当者:村松達也 連絡先:(代表)03-5253-1111 内線2524