04/06/16 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録(平成16年6月16日開催分)                薬事・食品衛生審議会                  食品衛生分科会                平成16年6月16日(水)              合同庁舎5号館 共用第7会議室 ○事務局  定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催い たします。  本日は御多忙のところ御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。本日は、垣添 委員、児玉委員、品川邦汎委員、正田委員、長尾拓委員が欠席との御連絡を事前に受け ております。また、6月16日付をもちまして、新たに当食品衛生分科会委員に御就任い ただきました委員の御紹介をさせていただきます。齊藤久美子委員でございます。  現在、分科会委員総数22名のうち17名の御出席をいただいておりますので、本日の分 科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、開催に当たりまして、食品安全部長の遠藤からごあいさつを申し上げま す。 ○遠藤部長  食品安全部長の遠藤でございます。本日は委員の先生方にはお忙しい中お集まりをい ただきまして、誠にありがとうございます。また、平素からそれぞれのお立場で食品安 全行政の推進に御指導、御協力をいただいておりますことをこの場をお借りいたしまし て厚く御礼申し上げます。  本日は議事として4つ用意させていただいておりますが、まず食品衛生分科会の運営 についてということで、昨年7月に食品安全委員会が発足をいたしまして、また、農林 水産省との関係でありますとか、政府内で一体的にこの食品安全にかかる事務を進めて いこうというふうな動きの中で、WTO通報との関係で食品衛生分科会の審議の時期に ついて少し御相談をさせていただきたいという内容であります。  それ以外の農薬の残留基準、あるいは動物用医薬品の残留基準、また食品添加物の新 規指定等について、それぞれ御審議をいただければと考えております。農薬の残留基準 につきましては、ピリダリル、ボスカリド、動物用医薬品につきましてはフェバンテル と飼料添加物のカンタキサンチン、食品添加物につきましては香料3品目の新規指定と グルコン酸銅、グルコン酸亜鉛の使用基準改正の可否ということでございます。  報告事項といたしましては、コンフリーの取扱いについてということで、一昨日発表 いたしましたもの、それから健康増進法で虚偽誇大広告の禁止規定を昨年盛り込んだわ けですけれども、その行政指導の状況、また「健康食品」に係る制度のあり方に関する 検討会、田中平三委員が座長をされて、このほど提言がまとまりましたので、それらに ついて御報告をさせていただこうと思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げ ます。 ○事務局  それでは、以後の進行につきましては吉倉分科会長にお願いいたします。 ○吉倉分科会長  では、資料の確認からお願いします。 ○事務局  それでは、お手元の資料について御確認をさせていただきます。まず、議事次第がご ざいまして、座席、名簿等がございますが、その次に分科会資料としまして資料の1か ら整理したものが紙2枚でございますが、これと併せて見ていただければと思います。  まず、資料1でございますが、分科会の運営について、1枚紙でございます。次の資 料2−1はピリダリルに関する資料、その次に資料番号を振ってございませんけれど も、答申書の案がつけてございます。それから、資料の3はボスカリドに関する資料、 資料の4はカンタキサンチンの資料、その後ろにも番号はございませんが、答申書の案 をつけてございます。それから、資料の5でございますが、フェバンテルに関する資料 です。その次に資料5−4として、これに関する意見、情報の募集結果について資料が ございます。それから資料6ですが、諮問書の下記の欄の1、グルコン酸亜鉛に関する 資料、それから資料の7でございますが、下記の2のグルコン酸銅に関する資料、それ から資料8でございますが、下記の3に関する資料、それから、資料の9でございます が、同じく下記の4に関する資料、それから資料の10としましてイソブタノールの資料 です。  それから、報告資料としまして、1番目でコンフリーに関するもの、報告資料2とし て健康増進法に基づく行政指導に関する資料、それから報告資料3として健康食品の提 言、それから、参考資料1と2がございます。  以上でございます。不足等がございましたら、事務局の方にお申しつけいただければ と思います。資料はございますでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  よろしいですか。それでは、今日の議事は議事次第に書いてあるとおりですが、最初 の「食品衛生分科会の運営について」というところから、事務局、説明をお願います。 ○中垣課長  基準審査課長の中垣でございます。よろしくお願いいたします。  資料1に基づいて、食品衛生分科会の運営について御説明させていただきたいと思い ます。今、遠藤部長の方から御紹介いただきましたとおり、昨年の7月以来、食品安全 委員会が発足し、更には農薬取締法でございますとか、動物薬に関係します薬事法とか が改正されまして、農薬として国内で使用を認める、動物薬として国内で使用を認め る、これと同時期に食品衛生法の残留基準を整備するというような体制が整ってきたと ころでございます。このようなリスク評価、あるいはリスク管理を円滑に動かすため に、食品安全委員会は毎週開催されておりますし、この分科会の下にございます農薬・ 動物用医薬品部会、あるいは添加物部会は毎月開催をさせていただいているところでご ざいます。  したがいまして、毎月一定の品目が部会で審議され、そこで可となった品目につきま しては、WTO通報でございますとか、国民からの意見聴取という手続に入っていくわ けでございますが、部会あるいは食品安全委員会の審議とこの分科会の審議をどのよう に組み合わせるかという観点から検討させていただいたところでございまして、審議全 体の効率化と一層の充実を図るというような観点から今回の案を考えさせていただいた ものでございます。  すなわち、右に現在、左に新しい御提案を図示させていただいているところでござい ます。現在どのようになっているかということでございますけれども、諮問をし、各部 会で審議していただいた後、FSGという外国の大使館からなる会合、更にはWTO通 報、国民からの意見聴取、いわゆるパブリックコメントを行って、これらの結果が出た 段階でこの分科会で御審議を願っている。これが現在までの言わば慣例でございます。  これを、左側でございますけれども、部会の審議を行って、FSGでございますと か、WTO通報でございますとか、こういう手続を行っている最中にまず分科会の審議 を行っていただこう。分科会の審議は審議として行っていただいて、パブリックコメン ト、あるいはWTO通報等で出てきた意見、あるいはそれに対する考え方というのは事 務局でまとめさせていただいて、それを分科会の各委員にお送りし、集まって議論が必 要だというような御意見があるのであれば、そういう御意見を分科会長の下に集めて、 分科会長の御判断で分科会を再度開いていただこうという形に変えさせていただこうと いうふうに考えておるところでございます。  2枚目に食品安全委員会との関係を図示しております。食品安全委員会はまず厚生労 働大臣からの評価依頼をもって審議を始めるわけでございますけれども、食品安全委員 会の下部組織として専門調査会というのがつくられております。例えば農薬の専門調査 会、添加物の専門調査会などなど下部組織がございまして、この下部組織で報告書をま とめるというのが最初のステップとしてあるわけでございます。この報告書がまとまっ た段階で、慣例として食品安全委員会は4週間のパブリックコメントをやっているとこ ろでございまして、我が方、食品衛生分科会といたしましては、この専門委員会の報告 書が出た段階で部会の審議を行っていただいているところでございます。  一方、食品安全委員会はパブリックコメントの4週間が終わった段階で食品安全委員 会本体そのもので審議を行って、その結果を厚生労働大臣に回答するという手続になる わけでございまして、この回答を待って分科会で審議していただくという形で考えてい るところでございます。  すなわち、各部会は毎月行っていただく。分科会につきましては、2か月から3か月 に一度の割合で行っていただくという形を慣例にしていただいているわけでございます が、分科会に御審議をお願いするタイミングを、1ページでございますけれども、まず 1回目の審議というのはWTO通報、パブリックコメントなどと並行して行わせていた だいて、その結果、いろいろな意見が集約された結果、再度審議が必要ということでご ざいましたら、分科会で再度審議をしていただくというような体制に変えさせていただ こうと考えているところでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  御意見はいかがですか。この資料はわかりますか。古いものでは、この1ページのも のからいうと、各部会審議をやって、FSG、WTO、パブリックコメント、これを全 部終わってから部会報告書にする。それで分科会の審議に上がってきたんだけれども、 今度の案ですと各部会審議が終わったら、パブリックコメント、WTO通報、その他が 終わらないうちに、各部会審議に引き続いてすぐ部会報告書をまとめるという意味です ね。それで、部会報告書が上がったら分科会審議に上げる。要するに、そこのかぎ括弧 のところを、その期間待たないという話で、あと、それでまたパブリックコメントなど が来ていろいろ問題があったら、分科会審議の後になりますから、それをもう一回分科 会審議を必要に応じてやる。問題がなければそのまま答申するということです。  それから、次のページがわかりにくいんだけれども、この左側の食品衛生分科会と食 品安全委員会とは一種パラレルに動いているようなんですが、その辺はどうなっている んでしょうか。 ○中垣課長  どちらが主、どちらが従と、どちらに引っ張られるというようなことは考えておりま せんけれども、一つの整理といたしまして、この審議会の部会で御審議いただくために はその基となりますリスクアセスメント、リスク評価の結果というのが必要であるとこ ろでございまして、そういう意味から申し上げますと、食品安全委員会の専門調査会の 報告書が出た段階で各部会で御審議をいただく。更に、この分科会でございますが、分 科会で御審議いただくのは、審議会としての最終決定を行っていただくことになります ので、そのリスクアセスメントについても最終決定である食品安全委員会としての正式 な回答が終わった後に、この分科会で最終的な御審議をいただくということを図示して いるところでございます。 ○吉倉分科会長  そうすると、各部会審議と部会報告書の間が余り短くならないような気がするんです けれども、それはどうなんでしょうか。 ○中垣課長  部会審議と部会報告書の関係を申し上げますと、各部会で審議が終わって、部会とし ては可ということになりましたら、速やかに部会報告書をつくっていただくこととなり ます。 ○吉倉分科会長  それは厚生労働大臣への評価結果通知を待つわけですか。 ○中垣課長  待たずにつくっていただくことになろうと思います。 ○吉倉分科会長  そうすると、この「厚生労働大臣への評価結果通知」の矢印は食品安全委員会の「分 科会審議」の方へ来るんですか。 ○中垣課長  分科会長の御疑念がよくわかって、ある面で申し上げますと、この資料のつくり方が 悪かったんだろうと反省をいたしております。  形式的に申し上げますと、「専門調査会報告書」から「各部会審議」というところに 矢印が入っていて、「厚生労働大臣への評価結果通知」が「部会審議」と「分科会審議 」の間に入っている。これは首尾一貫しないではないかということだろうと考えるとこ ろでございます。食品安全委員会と審議会というのは直接つながっているわけではござ いませんで、食品安全委員会とつながっているのは、そういう意味で申し上げますと、 厚生労働省がつながっているわけでございますから、最初の矢印を「諮問」と「各部会 審議」の間に変えさせていただくのが正確だろうと考える次第でございます。 ○吉倉分科会長  上の矢印は「諮問」と「各部会審議」のところへ持っていく。下の矢印はこれでいい んですか。 ○中垣課長  はい。 ○吉倉分科会長  一応そういう仕組みということですが、ややこしいことを言っても、簡単に言えば、 パブリックコメントをやっている間に審議会をやってしまうという単にそれだけのこと で、それでもしもパブリックコメントで何か問題があったらもう一回この分科会をやり ましょうということです。よろしいですか。丸井先生。 ○丸井委員  確認ですけれども、FSG会議、WTO通報、パブリックコメントの募集、これは順 次行われるのではなくて、並行して行われるというふうに読めばよろしいんでしょう か。 ○中垣課長  FSGとWTO通報は順次、FSGをやって、それからWTO通報ということになり ます。これは対外国あてですから、そういう意味でその順番で行う。パブリックコメン トというのは国民からの意見募集でございまして、国内的なものでございますから、こ れは並行して行う。国内と国外を並行して行うということになります。  それと、今丸井委員から御意見を賜った点で、資料1に基づいて一つ説明を抜かして いたなと反省しているわけでございますが、表示の部会というのは前にこの分科会にも 御報告させていただきましたけれども、表示の部会の下に調査会がございまして、この 調査会が農林水産省の表示を行っているJASの調査会と共同で、共同会議という仕組 みの中で行っていただいております。すなわち、農林水産省の規制と厚生労働省の規制 がそごを生じないよう、逆に申し上げますと、整合がとれるようにそういう仕組みを一 昨年設けさせていただいたところでございまして、その共同会議の中でパブリックコメ ントをさせていただいておりますので、これとちょっと違う形で動いております。  そういう意味から申し上げますと、資料1の説明文の中の4行目に「原則として」と 言っているのは、まさしく例外となるのは表示の部会がこの例外となるということを御 説明させていただきたいと思います。 ○吉倉分科会長  どうぞ、神田先生。 ○神田委員  この新しい方法でいきますと、今までの方法と比べてどのぐらい日数的に短縮される のか。食品安全委員会のところでもパブリックコメントを4週間とって、そして最終的 に厚生労働大臣への評価結果通知が出るわけですから、少なくともそこで1か月以上は かかるのかなと思うときに、こちらの方のパブリックコメントを1か月とるわけですか ら、パブリックコメントを出すタイミングがいつなのかということとの関係だと思いま すけれども、ここは何日ぐらい縮まるということなんでしょうか。 ○中垣課長  全体の縮まるという観点から申し上げますと、1ページの図で申し上げますと、各部 会、特に農薬、添加物、動物用医薬品、これらが問題となってくるわけでございます が、各部会は毎月行われております。すなわち、毎月FSG、WTO、あるいはパブリ ックコメントの手続に入るわけでございます。この終了を待って、一方では分科会とい うのは先ほど申し上げましたように2か月から3か月に一度ということにさせていただ いているわけでございます。ですから、品目ごとによって縮まる月数というのは違うわ けでございますが、一番縮まるものでは3か月縮まる、一番効率が悪いものは全く変わ らないという形になろうかと思います。  ですから、改善策としては、現行で分科会を毎月やるというのが一つの改善策になり ます。2番目には、分科会審議事項を、逆に申し上げますと、農薬であると非常に新規 性が高いものであるとか、そういうものに絞った形にして、普通のものというのは部会 に権限を下ろしていただく、こういった2つの方策も考えたわけでございますけれど も、分科会を毎月開くというのも御負担が多いのではないか、また更には部会に権限を 下ろすというのも、分科会として、我々としてしっかりした審議を行っていただきたい という気持ちもありまして本日の提案にさせていただいたところでございます。 ○吉倉分科会長  食品安全委員会のパブリックコメントと食品衛生分科会のパブリックコメントのタイ ミングはどっちがどうなんですか。同じときにやるんですか。それともずれるんです か。 ○中垣課長  始まるタイミングは食品安全委員会が早いことになります。その後、部会で一発でと いうか、速やかに可ということになりますれば、一部期間並行して行われることもあり 得ようと思います。 ○吉倉分科会長  大体よろしいですか。豊田先生。 ○豊田委員  資料1の表の方で、旧の方法の場合、各部会で審議が行われて、パブリックコメント 等で、従来の方法ですと一部手直しする場合には、毎月多分開かれておりますので、そ こら辺のところで了解を得れば分科会審議の方に行くと思うんですけれども、新の方で すと、そこら辺のところは各部会の審議、そこら辺のところとダブらなくなってしまう んですけれども、そこら辺のところはどういうふうに考えているのか、考え方がちょっ とよくわからなかったもので詳しく教えていただければと思うんですけれども。 ○中垣課長  考え方の整理だけから申し上げますと、新しい方式で申し上げますと、部会審議が終 わって報告書をまとめていただいて、分科会審議、すなわち上部機関の審議に移るわけ でございます。その上部機関の審議のときにいろいろな意見が出てくるわけですから、 あとは上部機関である分科会で裁いていただくこととなります。これが考え方自体の整 理でございます。  ただ、運用といたしましては、WTO通報とか、パブリックコメントで専門的な意見 が出てきますと、この分科会ですべてを裁いていただくというわけにはいかないと思い ますから、今先生がおっしゃった、毎月開いていただいています部会に御報告をし、御 意見を賜って、それをまた分科会にも反映させていただくという形になるんだろうと思 います。 ○吉倉分科会長  大体よろしいですか。そうすると、この1枚目の上の四角の「分科会審議」と点線の 「分科会審議」がありますが、四角の中の「分科会審議」というのは一応結論は出すけ れども、結局はパブリックコメントが出るまではあくまでも仮置きという理解ですね。 それで、パブリックコメントが全部出てきたところで最終的に決める。だから、あらか じめ分科会審議で合意に達していても、一応プロビジョナルなという考え方でやるとい う考え方です。  もしもこれ以上御質問がなければ、これはこういう格好でともかくやってみるという ことであろうと思いますが、何か具合が悪くなったら、またこれは考えるんですね。差 し当たりはそれほど制度を変えるわけではありませんから。  それでは、次へ行きましょう。その次は、「農産物等に係る農薬の残留基準の設定に ついて」です。 ○中垣課長  資料2−1に基づきまして、ピリダリルについて御説明したいと思います。資料2− 1が5月22日付で大臣から審議会会長あての諮問書でございます。  次のページ、資料2−2でございます。1月15日付で食品安全委員会の委員長から厚 生労働大臣へのピリダリルのリスク評価の結果の通知でございまして、1日摂取許容量 が0.028ミリグラム/キログラム・体重/日と設定するということでございまして、1 枚めくって5ページでございますが、専門調査会でまとめられた評価書がここに附属さ れております。  9ページをごらんいただきますと、1番で用途として殺虫剤、2番でピリダリル、構 造式とかがございまして、7番、開発の経緯のところを見ていただきますと、このもの はフェニル誘導体の構造の殺虫剤で、鱗翅目、総翅目害虫に対して防除効果を発揮する というようなことが載っております。10ページから、体内動態、あるいはいろいろな毒 性試験のまとめがございますけれども、22ページに総まとめがございますので、そこで 御説明したいと思います。  22ページをごらんいただきますと、III.総合評価としてまとめられております。最 初のパラグラフで代謝試験について述べておりまして、ラットを用いた動物代謝試験、 あるいはハクサイ、トマト、イチゴを用いた植物体内運命試験、土壌中運命試験、水中 分解試験、キャベツ、ハクサイ等の作物残留試験、更には土壌残留試験などが行われた ということがここでまとめられております。  また、安全性でございますが、1行スペースがございまして、22ページの下から8行 のところでございますが、急性経口LD50、経皮LD50についての記述がございまし て、亜急性毒性試験、更にはラット及びイヌを用いた試験で認められた肺毒性について の考察が載っているわけでございまして、23ページの最初のパラグラフ、3行目でござ いますが、このような肺毒性というのは、「当専門調査会は、この現象は、高用量投与 群のみに認められた反応であり閾値が想定できる」などの記載がございます。  また、次のパラグラフでは、ラットで卵巣、副腎といった内分泌臓器の空胞化という 観点から、ホルモンレセプターに対する直接作用、ホルモンの合成等々に関する試験を 行ったというようなことが書かれておりますし、慢性毒性、発がん性試験、繁殖毒性試 験、催奇形性試験、遺伝毒性試験等々に関する記載がございます。  24ページをごらんいただきますと、それぞれの試験におきます無毒性量がここでまと められておりまして、最終的にはラットの2世代の繁殖試験の混餌投与が無毒性量とし て一番低くて、これに100倍の安全係数を掛けてADIを導き出したことが記載されて おります。  29ページに移らせていただきたいと思います。29ページの資料は6月9日付で、農薬 ・動物用医薬品部会長の豊田委員から分科会長への報告書でございます。  31ページをごらんいただきますと、ピリダリルで、殺虫剤であって、構造式が書かれ ておりますし、5の適用病害虫の範囲あるいは使用方法を見ていただきますと、キャベ ツ、ハクサイ、ダイコン、32ページに移りまして、レタス、ナスなどについての適用病 害虫とその使用方法についてまとめられております。  また、6番として作物残留試験結果が書かれておりますけれども、次の34ページに表 にまとめておりますので、表をごらんいただきたいと思います。34ページが作物残留試 験結果をまとめたものでございまして、キャベツからイチゴまでの作物について、個々 の使用条件に基づきましてその最大残留量を表にしております。  7番がADIで、先ほど御説明しましたので省略させていただきます。  35ページ、8番に諸外国の使用状況がございます。このものはまだコーデックス、あ るいはアメリカ等々において残留基準は設定されていないということでございまして、 これらに基づいて部会で基準値案の設定について御審議を願ったところでございます。  36ページの表をごらんいただきたいと思います。今回基準をつくろうとしております のは、キャベツ、ハクサイからイチゴまででございまして、それぞれ作物残留試験の成 績に基づきまして、キャベツですと作物残留試験の結果が0.04ppm 、あるいは0.03ppm ということですから、これに基づいて0.2ppmという基準値の案、ハクサイですと、同様 に作物残留試験が0.37から0.17ppmということですから1ppmというような基準値の案を 作成させていただいているところでございまして、35ページに戻らせていただいて恐縮 でございますけれども、9の基準値の案のところでございますが、今見ていただいたよ うな基準値の案を提案するとともに、こうした場合の予測される農薬の摂取量について 試算をしていただいておりまして、ADIの8%から17%程度であるというようなこと から、この基準値案を部会として提案していただいているところであります。  39ページをごらんいただきたいと思います。これが(1)がその基準値案に対する国 民からの意見の募集、パブリックコメント、(2)がWTO通報の結果でございます が、いずれも意見はございませんでした。  以上でございます。よろしく御審議をお願いいたします。 ○吉倉分科会長  では、御質問、その他をお願いします。豊田先生、何かありますか。 ○豊田委員  特にありません。 ○吉倉分科会長  どなたかありますか。  34ページを見ますと残留試験成績があるんだけれども、最大残留量で圃場のAとかB と書いてありますね。経過日数で1、3、7日と、これはいつから経過した日数なんで すか。 ○中垣課長  最終散布からでございます。ですから、回数のところに2回、4回というのがありま すが、2回でございますと2回から、4回でございますと4回、最後の散布が終わって からの経過日数です。 ○吉倉分科会長  そうすると、最大残留量というのは1日目が一番多くてだんだん減るので、何かこれ は変なように思うんですが、これはどういう意味ですか。 ○中垣課長  先生がおっしゃるとおりでございまして、ここの最大残留量のところは、例えばキャ ベツでございますと経過日数1が普通常識的に考えて一番残留量が多いわけでございま して、そのために最大残留量の欄は何も書いてないんですが、レタスのところに※がご ざいまして、※については表の一番下に「※で示した作物については、申請の範囲内で 最高の値を示した括弧内に示す条件において得られた値を採用した」と書かれておりま して、最大残留量の欄を見てみますと、1回、7日というのが一番高かった。これは恐 らく散布の仕方で、たまたまそこにたくさんかかったのかどうかというのはわかりませ んけれども、たまたまそういうことがあったのでその値を書いているということを明記 しているところでございます。 ○吉倉分科会長  これは使用するときに農薬を散布して何日置けとか、そういうのはないんですか。 ○中垣課長  31ページをごらんいただきたいと思います。ここに使用方法が表でまとめられており ます。例えばキャベツですと使用時期が収穫7日前まででございますから、7日前まで ということでございます。 ○吉倉分科会長  ということは、キャベツの1、3、7というのは、使用禁止期間といいますか。 ○中垣課長  申し訳ございません。キャベツでいうと、この表というのは認められる条件下ですか ら、最大残留量は経過7日のものでございます。先ほど申し上げましたレタスで申し上 げますと、レタスは32ページをごらんいただきますと、収穫7日前までで使用回数2回 以内となっているわけでございます。常識的に考えると、使用2回の方が残留の濃度が 高いというふうに考えられるわけでございますが、34ページの表のレタスのところを見 ていただきますと、最大残留量のところが1回、7日となっておりますように、これは 1回の方が高かったということを明示しているものでございます。 ○吉倉分科会長  要するに、最大残留量というのは、31ページの使用回数、使用時期、それを考慮した 上での最大残留量で、だからキャベツだと7日置かなければいけないから7日だし、ハ クサイだと7日ですね。だから、34ページの図で言えば、ハクサイは 7、14、21、それ はどれでもいい、そういうふうなことです。よろしいですか。  ほかに御質問がなければ。どうぞ。 ○齊藤委員  質問させていただきたいのですが、まず35ページの諸外国の使用状況のところで、コ ーデックス、米国、カナダ、欧州連合、オーストラリア及びニュージーランドにおいて は残留基準値は設定されていないということですが、そのことにつきましての詳しい説 明と、もう1点は、36ページの基準値と右側に残留試験成績というのがありますが、そ の基準値と右側の作物残留試験の数値が相当違うのもありますので、それにつきまして 説明してください。 ○中垣課長  まず最初のコーデックス、あるいは外国で売られていないということについてでござ いますが、この農薬というのはたしか住友化学が開発されたものでございまして、国内 に最初に導入をしているということだろうと考えております。  2番目の基準値と作物残留試験の結果との関係でございますが、国際的な考え方もご ざいまして、例えば残留試験の結果が0.5であれば2とか、3とか、要するにある程度 ここは余裕を持って決めておかないと直ちに違反が出てしまうというようなことから、 残留試験の結果と基準値の案には一定の幅を持たせようというのが国際的にも考えられ ているところでございます。  また、国民の健康保護ということから考えますと、トータルとして摂取する農薬の量 というのが問題となるわけでございますから、そういう意味で、予測される農薬の摂取 量の試算を35ページに部会でも行っていただいて、この基準値であれば予測される農薬 の摂取量というのはADIの18%から17%程度である、ADIを大きく下回っているの で問題はないというようなことが議論されているところでございます。 ○吉倉分科会長  イチゴなんかは、イチゴばかり食べている人間はいないから、そういうことも考えて いるわけですが、豊田先生、今のところで何か。それでよろしいですか。 ○豊田委員  特にないです。これで十分だと思います。 ○丸井委員  ただいまの質問に関連するんですけれども、諸外国における使用状況ですけれども、 例えばほかのこの後出てくるような添加物等々についての場合には、米国及びEUにお いて登録されているというような形の表現で問題ないと思うんですが、ここの35ページ の8番、コーデックス等々において残留基準は設定されていないという、これは何を言 おうとしているのかがよくわからないんです。つまり、諸外国においては全く使用され ていないという事実なのか、これ以外の国では使われていて何らかの形で基準が設定さ れている可能性があるのか、あるいは、この国々については調査をしたけれども、設定 されていないという限定された意味なのか、これは実はよくわからない内容だと思いま す。 ○中垣課長  そういう意味では、不親切なんですが、「コーデックス、アメリカ、カナダ、EU、 オーストラリア、ニュージーランドについて調査した結果、いずれの地区においても基 準を設定されておらず、いまだ使用が認められていない」というのが正確な記述になる んだろうと思います。 ○吉倉分科会長  いかがですか。簡単に言うと、ほかの国ではまだ使用が認められていないけれども、 我が国ではこういう基準の下に使うことができるようにしましょうと、砕いて言えばそ ういう話ですね。  この部会報告案で特に問題がないということであれば、これを基に答申案にしたいと 思いますが、これは最終的には答申の具体的な内容としては36ページのこの表が内容に なるわけですね。 ○中垣課長  資料2−1というつづりの後ろに「(案)」と書いた2枚紙の答申書が配られている と思います。これが答申書の案でございます。 ○吉倉分科会長  36ページの表と全く同じですね。 ○中垣課長  全く同じでございます。 ○吉倉分科会長  だから、36ページのこの表、結局こういうことでピリダリルの食品規格を設定すると いうことですが、よろしいですか。 ○品川(森)委員  ちょっと教えていただきたいんですが、例えば最大残留量を調べるような農薬の場 合、ただ2つの圃場を使ったということで、圃場の間でかなりばらつきがあるわけです よね。物によって非常に近いものもあるんですが、普通、この程度のことで決めている というものなんでしょうか。 ○中垣課長  これは従来から登録保留基準という形で、環境省が農林水産省とともに決めてきたと いう経緯があるわけでございます。2か所の圃場、具体的に申し上げますと、都道府県 の農業試験場等を中心に実施されているようでございますけれども、2か所を2つの分 析機関で分析をした結果を基に決めてきたようでございます。  勿論、国によっては非常に広い、あるいは気象条件が異なるということから4か所で あるとか、6か所であるとか、例えばアメリカであると、北はアラスカとは言いません が、ワシントン州みたいなところからフロリダみたいなところまでかなりあるんだろう と思いますけれども、そういう意味でたくさんのデータをとられているんだろうと思い ますが、我が国では今まで慣例的に2か所の圃場のデータを基に決めてきたようでござ います。 ○吉倉分科会長  要するに、こういう量で日本の農場は大体いけるという話ですね。一応こういう計算 でやって、摂取量としても別に問題ない、それが出ているわけです。  それでは、この部会報告でよろしいということでしたら答申したいと思いますが、答 申案は配られておりますか。 ○中垣課長  配られております。 ○吉倉分科会長  それでは、それをごらんになって、よろしいでしょうか。  では、この配られた案から「(案)」をとって答申するということにします。どうも ありがとうございました。  その次は、もう一つ別の農薬があります。お願いします。 ○中垣課長  ボスカリドについて御説明申し上げます。資料3−1をごらんいただきたいと思いま す。5月21日付で大臣から審議会の会長あての諮問書でございます。1枚めくっていた だいて、3ページが 5月20日付で食品安全委員会から大臣あてのリスク評価の結果の通 知でございまして、1日摂取許容量を0.04ミリグラム/キログラム・体重/日と設定す るということでございまして、その専門的な評価書がその後に続いているわけでありま す。  9ページをごらんいただきたいと思います。ボスカリドというのは用途は殺菌剤でご ざいまして、化学名、構造式等がございますが、7の開発の経緯のところを見ていただ きますと、アニリド系化合物の殺菌剤であって、既にアメリカ、カナダ、韓国、ドイ ツ、英国で登録されているというようなことが載っているわけでございます。10ページ から、同じように吸収、排泄、あるいは安全性試験のデータがございますけれども、ま とめが23ページにございますので、そこで御説明したいと思います。  23ページ、IIIの総合評価でございます。代謝試験について、ラットを用いた動物体 内運命試験、レタス、ブドウなどの植物体内運命試験、土壌中運命試験、水中加水分 解、光分解試験、土壌残留試験の結果がここにまとめられております。また、安全性で ございますけれども、23ページの下から5、6行目のところでございますが、急性経口 のLD50、更には経皮吸入のLD50についての記載がございます。  また、その次のパラグラフで、ラットを用いた慢性毒性試験、発がん性試験でござい ますけれども、肝臓への影響が認められた、肝の解毒系の亢進に関連すると考えられる 酵素誘導が認められるということでございます。  最後の行、ラットを用いた各種試験で甲状腺ろ胞細胞腺腫のほか、24ページでござい ますが、甲状腺への影響が認められたということから、甲状腺への影響というのを調べ ているわけでございますけれども、下垂体−甲状腺のネガティブフィードバックの機構 を介してTSH濃度が増加する、それによる影響ではないだろうかというような考察が なされているところでございます。また、亜急性毒性試験、2世代繁殖試験、発生毒 性、遺伝毒性についてまとめられておりまして、最終的には25ページに表としてまとめ られているところでございます。  これらの試験結果から、一番無毒性量が少ないというのが25ページの下に書かれてお ります慢性毒性試験、ラットの24か月でございまして、4.4ミリグラム/キログラム・ 体重/日ということで、それに安全係数100を掛けてADIが導き出されております。  次に31ページをごらんいただきたいと思います。31ページが、15日付で農薬・動物用 医薬品部会から分科会長あてに提出された報告書でございます。  33ページをごらんいただきたいと思います。ここにボスカリドの使用方法、適用病害 虫の範囲が書かれておりまして、ブドウからインゲンマメまで、ここに書いているよう な病害虫、灰色かび病ほかについて使用が申請されているところでございます。  また、34ページをごらんいただきますと、(2)としてボスカリド・ピラクロストロ ビン水和剤という、ボスカリドという農薬とピラクロストロビンという農薬を合わせた ものがリンゴ、ナシ、桜桃について申請があるということでございます。この表の下に なお書きがございまして、ピラクロストロビンについてでございますが、これについて も同様に、食品安全委員会にリスク評価をお願いしているところでございます。  6番が作物残留試験の結果でございます。36ページに表にまとまっておりますので、 これをごらんいただきたいと思います。ブドウ、イチゴから桜桃まで、先ほど分科会長 から御紹介のあったような形で表をまとめさせていただいているところでございます。  37ページに基準値の案があるわけでございますが、案自体は次のページにございます ので38ページをごらんいただきたいと思います。このものは、最初に御紹介しましたと おり、アメリカ、あるいはカナダなどで既に使用が認められており、基準がつくられて おりますので、そういうところで使われた農作物が我が国に輸入される可能性もあるわ けでございますので、この場合にはアメリカの基準値を参考にして、アメリカで認めら れているものについても基準をつくるということで整理されているところでございま す。すなわち、大豆についてはアメリカでは0.1ppmという基準があるので我が国として も同じ基準にしようということでございまして、それ以外のところもずっとそうでござ います。  上からちょうど3分の1ぐらいのところに、トマト3ppm、登録申請中、外国基準値 の欄が1.2、アメリカと書いて、作物残留試験成績が0.852、1.09というふうに書かれて いるわけでございます。これについては、0.852、1.09という作物残留試験の結果から トマトについては基準値の案がつくられたということを示しているわけでございます。 トマトの下にピーマンがございますが、ピーマンはアメリカの基準値、ナスについては 作物残留試験の結果、上記以外のなす科野菜についてはアメリカの基準値から来ている というところでございます。また、ちょうど真ん中あたりにキュウリ(ガーキンを含む )と書いてありますけれども、これは5ppmという基準値でございまして、アメリカの 基準値が0.2である、それに対して作物残留試験の結果というのが1.0と2.1ppm、それか ら基準値の案があるわけでございます。  このような形で見てみますと、この基準値の案というのはアメリカの基準と作物残留 試験の結果からつくられているということでございまして、38ページの一番下から3行 目ぐらいから畜産物、牛の肉、39ページに入って豚、羊、その他畜産物、また最後、菜 種、落花生油、干しぶどうという加工食品についても基準値をつくろうということで、 部会で議論していただいているところでございます。  この中で部会で議論になりましたのは先ほど御紹介いたしましたキュウリ、あるいは 38ページの下から10行目ぐらいのところにイチゴがございます。イチゴが基準値の案が 15ppm、それに比べてアメリカの基準値が1.2ppm。また、下から同じく7、8行のとこ ろにブドウが10ppm、アメリカの基準値が3.5ppmということで、特に今御紹介申し上げ ましたキュウリ、イチゴ、ブドウがアメリカに比べて我が国の残留試験の結果というの がかなり高く出ている。この場合に基準値をどうするかということが議論になったとこ ろでございますが、37ページの真ん中に表がございまして、予測される摂取量とADI の比を書いているわけでございますけれども、その下になお書きで、イチゴ、ブドウ等 の基準については参考とした米国の基準値と大きく異なっているが、摂取量はADIの 範囲内にとどまるものであるということ、更には農薬の使用方法がアメリカとどうも異 なっているし、気象条件等も異なっているというようなことから、我が国の作物残留試 験の結果を踏まえて作成してよろしいのではないかというのが部会としての御結論でご ざいます。  あと、最初に御議論いただきました国民からの意見募集、パブリックコメント、ある いはWTO通報との関係で申し上げますと、これは現在やらせていただいているところ でございます。  以上でございます。よろしくお願いします。 ○吉倉部会長  だから、先ほどのものは集まっているからそれでいいわけですね。これから先ほどの 新しい審議のやり方ということになって、もしここであれすれば、パブリックコメント が来た段階でもう一回チェックするということですね。  それでは、何か御質問はございますか。これは最終的には38ページ、39ページの表が 答申になるわけですか。 ○中垣課長  この食品名と基準値の案までが答申の内容として考えているところでございます。 ○吉倉分科会長  38ページと39ページの大きい表ですね。どれですか。 ○中垣課長  38ページと39ページの表のうち、欄で申し上げますと食品名の欄と基準値案の欄、こ の2つが答申の内容として考えているものでございます。 ○吉倉分科会長  どうぞ。 ○齊藤委員  37ページの基準値案のところについて質問させていただきたいと思います。基準値案 でこれはADIの範囲内にとどまると書かれておりますが、範囲内にとどまるものでは ありましても、私が特に問題意識を持っておりますのは、幼小児の73.6%という、80% 以内だということにはなりますが、73.6という数値は必ずしも低い数値ではない、高い と思います。  特に、幼小児の場合には、先ほど問題になっております、キュウリもそうですが、イ チゴ、ブドウというのはよく食するものです。それと幼小児の1歳と6歳での平均はど のようになっているのですか。1歳と6歳におきましては年齢によって相当体重差もあ ります。それをどのように計算されて、このように73.6という数字が出てきたのでしょ うか。そして生理的にも子どもの場合には大人とは違うと思います。その点をどのよう に考えてこの数値を出されているのか。イチゴが15ppmという数値は案として非常に高 いのではないかという観点からの質問でございます。 ○吉倉分科会長  神田先生、お願いします。 ○神田委員  同じ場所です。もう少し説明をしてほしいと思います。基準値の方がかなり高いもの について、ADIの範囲にとどまるものということはありますけれども、先ほどの御説 明で、農薬の使用方法が異なる、あるいは気象の違いというふうな御説明がありました けれども、これはこの数字が高いもの、基準値を高く設定しているものについてのみが 農薬の使用方法が異なるのか。気象の違いといいますとほかの作物とも共通するという ふうに思いますけれども、その辺をもう少し説明していただきたいと思います。 ○吉倉分科会長  豊田先生からお願いします。 ○豊田委員  今の考え方、幼児に対するという、細かいことは事務局の方から御説明願いたいと思 いますけれども、とりあえずこういった基準値を決める場合の方法論というものを我々 は決めておりまして、一応ここで御紹介しているのは、先ほど事務局から御説明があり ましたような、いわゆる作物残留実態成績と諸外国、そういったものとの兼ね合いで決 めるということを行っておりまして、そういうことをケースバイケースでむやみに変え るわけにはいかない。しかも、その基準となるものはあくまでもこの37ページに出てお りますEDIあるいはADIというところで、これを100%とはしていないというとこ ろで抑えておきまして、70から80%ぐらいまでならばいいであろうという考え方で行っ ているとこういうふうになるということでございます。  勿論、我々も部会の方で実際に先ほどの件につきましてはるるディスカッションがあ ったわけでございますけれども、私の解釈といたしましては、やはり現在の一見したと ころちょっと高いようにも見られるというような傾向はあるということで、そこの今お 話しになった細かい、例えばイチゴの摂取量がどうこうというのは、現在ではその摂取 量につきましてはあくまでも厚生労働省の調べております摂取量調査に基づきません と、いろいろな勝手な数値を個々に使ってしまいますと収拾がつかなくなる。あくまで もそういったものを使わざるを得ないというところから、こういったような数値が出て きていると思うんです。  ですから、先生のお考えになっているような御心配につきましては、厚生労働省の方 で多分そこら辺の摂取量についても御検討中であり、もう少し細かい摂取量の調べが出 てくれば、当然そこでまた再度我々のところに持ってきていただいて見直しをするとい うようなことも念頭に私は入っているんです。補足がありましたらお願いします。 ○中垣課長  まず、37ページのここの表の意義づけからお話をしたいと思います。先ほど来申し上 げましたように、基準値を設定する際に予測される農薬の摂取量の試算を行っていただ いているわけでございます。この試算の方法というのはこの審議会で御議論賜りまし て、平成10年でございますか、審議会として意見具申を大臣にやっていただいたもので ございます。  その骨子となっておりますのは、この試算というのは幾つもの限界があるので、過剰 になるように過剰になるように試算をする方式が採用されております。すなわち、試算 をして例えばADIの80%になるというようなものについて、基準が設定された後に実 際にどれぐらい国民が摂取しているんだろうということを調べた結果というのを、平成 4,5年以来、次々と公表しているわけでございますけれども、実際に摂取している量 というのは3%とか、5%というか、そういう量にとどまっております。すなわち試算 すると80ということになるわけですが、試算にはやはり幾つもの限界がある。毎日毎日 同じ食物を食べるという仮定があるわけでございますから、そういった仮定に基づくと どうしても余りに過剰な試算になるというような限界を上げつつ、空気中であるとか、 水であるとか、食品以外からの摂取というのも考えて過剰になるということは考えつつ も80%を下回るのであれば、そういう意味で問題ないだろうというのが平成10年ごろに まとめていただいた審議会としての考え方でございます。  そういう限界があるんだということでこの試算をまず見ていただきたい。実際の摂取 量、また今部会長からおっしゃられておりますのは、このボスカリドについてもほかの 農薬と同じように基準設定後に実際の量を調べていって、それがADIとどうなのかと いうのをまた厚生労働省が調べるんでしょう、その結果必要があれば見直すんでしょう ということを部会長はおっしゃっているんだろうと思いますし、我々としてもこれにつ いてもそうしたいと思っております。  次に、神田委員がおっしゃられた、基準値がどうしてアメリカとこんなに違うのかと いう点でございます。企業から出ておりますのは、例えばブドウについて申し上げます と、日本の場合、10アール当たり散布する量というのが約8倍高い、高くせざるを得な いんだと。1つには、その背景には、勿論私が申し上げましたような気象とか、そうい う条件もあるのかしれません、高温多湿というような条件もあるのかもしれませんが、 もう一つあるのは商品価値の問題です。日本の消費者、場合によっては農業者なのかも しれませんが、そういうところから量として約8倍ぐらいの量をまかざるを得ない。更 に、散布日から収穫日との関係で申し上げますと、アメリカが14日間になっているんだ けれども、国内はきれいなものを出荷するためには7日ぐらいで出荷せざるを得ないと いうようなことがあるというふうに報告をいただいているところでございます。 ○吉倉分科会長  要するに、これは抗かび剤ですね。イチゴによく生えてくるあのかび。一応ADIを 出すときに100倍の係数を掛けているということですが、なお御意見はありますか。 ○長尾(美)委員  お伺いしたいんですが、ブドウとかリンゴ、ナシの場合には皮つきのままの残留です か。それとも皮を除いて。 ○中垣課長  まず、リンゴは皮つきでございます。ブドウも皮つきだろうと思いますが、ちょっと そこまで覚えておりません。申し訳ありません。 ○吉倉分科会長  どうぞ、お願いします。 ○齊藤委員  実施状況に応じて見直しするかもしれないというお答えをいただきましたが、私はこ の基準値が高いイチゴとか、皮のまま食べるブドウとか、このようなものにつきまして は実施状況を見てもう少し基準値を下げるということにしていただきたいと思います。  それと、商品価値云々のお話がありましたが、この会ではそのようなことではなく て、安全であろう数字、安全ということについて決めていただきたい。確かに、多くの 消費者はかびが生えていたりしたら買わないかもしれませんが、以前よりは多くの方々 は安全、安心という観点から商品を選択する人が増えています。したがって、商品価値 においてこの数値が必要だというような基準ではなくて、どうしても必要だからという 数値、安全という数値にしていただくようお願いしたいと思います。 ○中垣課長  安全、安全ではないという議論を始めますと、ここの基準値が、例えばブドウの基準 値がどうとか、リンゴがどうということではなくて、この農薬が使われる農作物として 個々の人が、国民が摂取する量、すなわち37ページの真ん中にある試算のトータルが問 題となるわけでございます。個々の基準値、あるいは個々の使用方法につきましては、 ある面で申し上げますと、農林水産省が第一義的に管轄をしていて、我々としてトータ ルの量がADI許容量を超えるようであれば、農林水産省にその使用方法を変えろとい うようなことを言っていかなければいけないと思っておりますけれども、安全、安全で はないというのはこのトータルとしての量なんだろうと考えています。  また、先ほど部会長がおっしゃって、私も申し上げたのは、いわゆる国民がいろいろ な食物から例えばこのボスカリドという農薬を摂取するわけでございますから、トータ ルとしてどれだけのボスカリドを摂取しているかというのを、マーケットバスケット調 査という一定の手法を使って調べているわけでございます。今まで調べたのは百いくつ の農薬だと思いますけれども、ADIの数パーセント程度でございますから、恐らくこ れもそうだろうとは思いますけれども、この農薬が仮にADIに対する比率が高いよう な摂取量を示すようであれば、それはまたこの部会、分科会に御審議賜らなければいけ ないだろうということを申し上げたところでございまして、そのような結果が予測され るとも私は思っておりません。 ○神田委員  商品価値の問題というのはわかりました。ただ、その商品価値を上げるのにしても、 これだけの大きな数字にしなくてはいけないのかというところです。商品価値はいいじ ゃないかというふうには申し上げませんけれども、そうだとしても、ここまで高いのか なというところがいまいちすとんと来ないということを申し上げたいと思います。 ○吉倉分科会長  一応今のような疑問があったというのはどうせ記録に残しますから、そういうことで いかがかと思います。かびを食べるか、殺菌剤を食べるか、そんなような話になってく るんですが、ある程度のバランスの問題もあるだろうし、差し当たりこういうふうなと ころで答申して、厚労省の方では厚労省独自に調査、モニタリングしたいという話のよ うです。  一応こういうようなことで答申にしてよろしいかということですが、勿論、先ほども ありましたように、パブリックコメントその他が。これはWTOのものはまだ来ていな いわけですね。 ○中垣課長  WTO、あるいはパブリックコメントは今実施しているところでございますので、差 し支えなければ、本日の分科会は結論ということではなくて、そのようなコメント、あ るいはその回答案を事務局で準備できた段階で、先ほど御説明させていただいたよう に、各分科会の委員にお送りをし、その内容を御検討いただいた上で、再度分科会の審 議が必要か否か、分科会長のところにまとめさせていただきたい、それで分科会長の判 断を仰ぎたいというふうに考えているところでございます。 ○吉倉分科会長  ということで、要するに、この38ページ、39ページのがパブリックコメントに出て、 それで最終的にパブリックコメント、WTOその他が集まった段階で答申案をつくる。 なお、審議が必要だという状況になれば分科会でもう一回審議をするということです。 いずれにせよ、答申案は分科会の委員の先生方に回るわけですね。  それでは、どうもありがとうございます。ちょっと時間がなくなってきましたので、 次をお願いします。 ○中垣課長  次は動物用医薬品2品目について御審議をお願いしたいと思います。まず、最初がカ ンタキサンチンという飼料、えさに混ぜる添加物でございます。  資料4−1をごらんいただきたいと思います。5月21日付で大臣から審議会の会長あ ての諮問書でございます。次に1枚めくっていただきまして、資料4−2が同じように 食品安全委員会会長から大臣へのリスク評価の結果でございまして、2番、カンタキサ ンチンの1日摂取許容量を0.025ミリグラム/キログラム・体重/日と設定するという ことでございまして、1枚めくっていただいて5ページからリスク評価の結果について まとめがあるわけでございます。  6ページをごらんいただきますと、カンタキサンチンの構造式が出ておりますし、真 ん中よりちょっと上、(3)起源、発見の経緯等を見ていただきますと、カンタキサン チンは自然界に存在するカロテノイドの一種で、食用キノコ、フラミンゴ等の赤毛の羽 毛、サケ、マスの体内からも検出されている。合成が1956年になされて、鶏の卵黄、あ るいは皮膚の色調強化に使われるようになってきたというようなことが書かれておりま す。EU諸国においては、養殖サケ、マス、鶏に使用が認められている。また、欧米で は食品の着色料として、いわゆる食品添加物として使用が認められていて、JECFA でも安全性が評価されているということでございます。  4番が安全性に関する試験成績の概要でございますが、14ページに表の形で整理され ておりますので、それで説明に代えさせていただきたいと思います。  14ページに各種試験、提出された試験の内容、無毒性量が整理されておりまして、イ ヌ、ラット、サル、またヒトのデータというのも提出されております。これらの結果か ら、催奇形性、あるいは発がん性は認められない、繁殖毒性も認められないということ で、それぞれの無毒性量についてまとめられているところでございます。  リスク評価全体といたしましては、14ページの5、「食品健康影響評価について」と いうところでございまして、対象物質はカンタキサンチン、ADI0.025ミリグラム、 その設定資料というのがヒトの網膜電図の視覚検査による。人が5週間食べたというこ とで、0.025で影響が出なかった。これに安全係数10を掛けてADIを求めた。先ほど 見ていただきました農薬では安全係数が100になっていたわけでございますけれども、 通例的に国際的に用いられておりますのは、ヒトと動物の種差が10、ヒトの間の差が10 ということでございまして、10と10を掛け合わせて先ほどは100という安全係数が用い られたわけでございますが、この場合にはヒトのデータが用いられておりますので、ヒ トの間の差ということで安全係数は10が用いられてADIが設定されているところでご ざいます。  17ページが農薬・動物用医薬品部会から分科会長あての報告書でございまして、18ペ ージをごらんいただきますと、2番の用途でございますが、色調強化の目的で用いられ るということで、先ほどの安全委員会の報告書と同じようなことがここに書かれており ます。  5の適用方法及び用量でございますが、採鶏卵、卵をとる鶏だと飼料1トン当たり8 グラム、ブロイラーだと同じく1トン当たり8グラム、サケ科魚類、甲殻類だと1トン 当たり80グラムということが載っているわけでございます。  6番が対象動物の分布、代謝でございまして、魚類、甲殻類及び、19ページには鶏に ついてデータがまとめられております。  また、7番の残留試験結果でございますが、(1)としてニジマス、20ページに移ら せていただいて、下の方から(2)としてサケ科の魚類、21ページに(3)としてクル マエビ、(4)として鶏、また23ページには自然界に存在するカンタキサンチンの含有 量。先ほど御紹介しましたように、えさとして与えなくても、サケとかマスの赤い身の ところにカンタキサンチンがあるということでございまして、そのデータがここに載っ ているわけでございます。  (6)にまとめられているわけでございますが、サケ科魚類だと残留量が13.7ppm、 甲殻類は検出されない。いくら、すじこだと15ppm。また、24ページに移りまして、鶏 だと3.3から1.1、鶏の卵黄だと22ppmというような結果でございます。  これらの結果から、10番の残留基準値の案をごらんいただきますと、サケ科魚類には 20、甲殻類には設定をしない。設定をしないというのは、18年5月までにポジティブリ スト制になりますので、いわゆる一律基準が適用されるという形になります。また、い くら、すじこ、鶏、鶏の卵黄についてこのような基準値の案が提出されているところで ございます。  申し訳ございません。9番の諸外国における使用状況、これは安全委員会のところで 御紹介をしたところでございますが、EUはサケ、マス、ブロイラー、採鶏卵に使用が 認められている、米国ではブロイラー、サケ科魚類に使用が認められているけれども、 基準としては設けられていない。どういうことかと申し上げますと、使っていい、その 結果どれだけ残留しても規制はしませんというのがアメリカのやり方、あるいはEUの やり方でございます。それに対して、部会ではADIという上限が定まったので、アメ リカ、EUとは違うアプローチ、すなわち基準値をセットしようということが部会での 御議論でございまして、先ほど御紹介したような基準値の案がまとめられているところ でございます。そのADIと摂取量の推計につきましては25ページの方に表があるわけ でございますが、先ほど繰り返し御説明しましたように、一定の限界、あるいは過剰な 試算になるというようなことはありますけれども、22%から73%というような試算の結 果でございます。  29ページにパブリックコメントをした結果が出ておりまして、提出された意見はござ いません。また、WTO通報も終わっておりますが、WTO通報でのコメントというの もございませんでした。  次が、もう一つの動物用医薬品、資料5−1をごらんいただきたいと思います。フェ バンテルという動物用医薬品でございまして、5月21日付で大臣からの諮問が出ており ます。3ページをごらんいただきたいと思います。資料5−2でございます。4月22日 付で安全委員会の委員長から大臣あてにフェバンテルのリスク評価の結果が通知されて おりまして、1日摂取許容量を0.007ミリグラム/キログラム・体重/日(フェバンテ ル、フェンベンダゾール、オクスフェンダゾールのグループADIとして)と設定する ということが出ております。  4ページからその毒性を中心とした資料が出ているわけでございまして、4ページの 物質名、フェバンテル、また構造式がございます。(2)効能・効果として、フェバン テルというのは体内でベンズイミダゾール、このベンズイミダゾールというのが効果を 発揮するわけでありますけれども、そのプロドラッグであるということが書かれており ますし、線虫、条虫に対する広いスペクトルを有する経口の駆虫薬であるということが 書かれてあります。また(3)として、フェバンテルを主成分とする動物用医薬品は我 が国では馬、犬が認められているし、JECFAではフェバンテルが生体内でフェンベ ンダゾール、オクスフェンベンダゾールと互換性がある、すなわちフェバンテルが代謝 されてフェンベンダゾールになり、オクスフェンベンダゾールになるということから、 それらを合わせてグループADIが設定されている。最終的には、食品安全委員会もこ れと同じような考え方を持ったわけでございます。  2番として、毒性試験の概要として、吸収、排泄について、ほ乳類すなわちラット、 ウシ、ヒツジ等々の経口投与試験の結果があります。また、5ページの下からトラフグ を用いた試験がございますし、6ページから毒性試験として、急性毒性、亜急性毒性、 慢性毒性、発がん性、更には10ページに繁殖毒性、催奇形性、11ページに遺伝毒性がま とめられているところでございます。  これらのまとめが15ページの6の「食品健康影響評価について」というところでござ います。フェバンテルのADIについてラットを用いた2世代繁殖試験の肝臓に対する 影響に基づいて安全係数100を考慮して0.002と設定できる。しかしながら、フェバンテ ルは生体内でフェンベンダゾール、オクスフェンベンダゾールに代謝されることが明ら かとなっており、これらを主成分とした動物用医薬品が既に現時点で国内、国外で使用 されている。これらを考えて、フェンベンダゾール、オクスフェンベンダゾールも合わ せてADIを設定をするという形で、0.007という数字がここで決められているわけで ございます。  19ページは、6月9日付の農薬・動物用医薬品部会から分科会長への報告でございま す。20ページをごらんいただきますと、用途として寄生虫の駆除剤、先ほど申し上げた とおりでございます。プロドラッグであって、体内でフェンベンダゾール、オクスフェ ンベンダゾールとなるというようなことが書かれています。  5番の適用方法及び用量でございまして、国内で今回この検討の経緯となったのはフ グに対して使うということでございまして、その使用方法がここに書かれているわけで ございます。6番で代謝、21ページの7番で残留試験、いずれもフグについてのデータ がまとめられております。22ページの8番でADIの評価でございまして、先ほど御説 明したとおりでございます。9番、諸外国における使用状況でございます。アメリカ、 EUなどで牛、豚、羊、家きん等に使用されていて、コーデックス、米国、EU、カナ ダ、オーストラリア、ニュージーランドで基準が設定されているということがここで紹 介されているところでございます。  これらの結果を踏まえて、24ページをごらんいただきたいんですけれども、今回、リ スク評価を食品安全委員会にお願いをしたのは、フグに対して使うということを契機に 安全委員会に評価をお願いしたところでございまして、ADIがそこでセットされたわ けでございますが、基準をつくるという意味から申し上げますと、国内で使われるフグ だけではなくて、国内で既に使われている馬とか、そういうものも含めて、更には輸入 されるということから考えますと、外国で使われているものを含めまして基準をつくろ うということで部会で御議論願ったところでございまして、牛、豚、羊、馬、ヤギ、そ れ以外の陸棲哺乳類、更には七面鳥、あるいは七面鳥以外の家禽、乳、更にフグという ことで、フグにつきましては残留試験の結果から0.05ppm、それ以外につきましてはコ ーデックスの基準、あるいはコーデックスの基準がない場合にはオーストラリア、アメ リカ、あるいはニュージーランドの基準、これらの基準を基に基準値の案がセットされ ているところでございまして、その摂取量の推計というのが23ページの下にまとめられ ておりますけれども、21.7%から77.7%であるということで、部会としてはこれで御了 解を得ているところでございます。  次に資料5−4は、フェバンテルについてパブリックコメントをやったときに出され た意見と、その回答の考え方でございます。いただいた意見は1件でございまして、そ の内容が3つに分かれているということから3件とここに書いているところでございま す。  最初の御意見というのは、フグについてリスク評価をお願いしたのに、部会審議の結 果というのはフグ以外にも基準値の案をつくっているではないか、これはリスクアセス メントポリシーとしてどうなんだ、基本的な問題ではないかというような御意見でござ います。回答のところでございますが、フグへの使用について農林水産省から厚生労働 省に意見が求められたので食品安全委員会にリスク評価をお願いした。ただ、このフェ バンテル、あるいはその代謝物は国内で使用されるだけではなくて、既に国外でも使用 されていて、それらが残留する食品というのも輸入される。そのようなことからフグ以 外についても、コーデックス、あるいは先ほど御紹介しましたようなアメリカなどの基 準を基に基準設定することとしたと。  一方、食品安全委員会のリスク評価というのは動物ごとに行われるのではなくて、ヒ トの許容量、ADIを設定することとなっているので、そういう点から申し上げます と、設定されたADIの範囲内で国内での使用実態を考えて残留基準値を設定するとい うのは一つの考え方なんだろうということで答えているわけでございますが、一方で は、食品安全委員会がADIを評価する際にも、どういうところに使われているかとい うことの情報というのはある意味でいくと非常に貴重なものでございますから、そこを 我々としても反省をし、今後諸外国での使用状況についても、安全委員会にリスク評価 をお願いする際に安全委員会にちゃんと届けますということをお約束しているところで ございます。  次のページ、意見の2でございまして、基準値の設定についてJECFAのデータを この審議会、あるいは安全委員会で審議すべきだということでございます。JECFA のデータというのは、国際基準、コーデックス基準の基となるものでございまして、そ ういう意味で申し上げますと、JECFAのデータというのはコーデックス基準に反映 されていて、我が国はSPS協定を結んでいるわけですから、基本的にはコーデックス 基準を遵守をするというようなことから、また、更には試算された摂取量がADIの範 囲内であるというようなことから、基準値の案というのは健康確保に問題はないんだろ うというようなことを答えているわけでございます。  意見の3番目は食品安全委員会のリスク評価に関係するものでございまして、フェン ベンダゾール、オクスフェンベンダゾールの毒性評価が必要だ、更にはAmesだけで なくていろいろな変異原性試験を実施すべき、催奇形性があるのではないかというよう なことでございます。  この点については、食品安全委員会から既に回答されておりますので、我々が直接ど うのこうのという話ではないんだろうと思いますけれども、「したがって」のところに 書いてございますように、JECFAでの新たな評価結果、あるいは新たな毒性学的知 見が出た場合には、必要に応じて我々としては食品安全委員会にリスク評価をお願いす るのはそれは当然であるということを答えているわけでございます。  参考としてつけてありますのは、最後の関係で食品安全委員会からのコメントをつけ られているわけでございます。  なお、WTO通報については現在実施をしているところでございますので、また意見 があった際に分科会の委員の方々にお伝えしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○吉倉分科会長  今、2つ続けてあったわけですが、1つはカンタキサンチンで、もう一つはフェバン テルです。何か特別な御質問はありますか。 ○小沢委員  カンタキサンチンについてです。部会の委員で、部会の中でも申し上げたんですが、 やはり今後の宿題になるのではないかと思う点が1点と、部会で聞きそびれた質問が1 点ございます。  1つは、こういう生鮮のものに対する着色、色調強化ということなんですが、日本で は食品衛生法では添加物によるこういう生鮮物への着色は禁じられている。外からつけ るのは禁じられていて、中から色を出すのはどうかという問題はあるんですが、そうい う場合の表示の関係で申し上げたいと思います。アメリカの場合は食品添加物として既 にこういったサケに対する表示が義務づけられていて、表示されているシールも現物を 見ました。丁寧に書いてございまして、これは養殖の場合のえさからくるカンタキサン チン、アスタキサンチンが入っていますよということが明確に記されているんですね。 EUでもそういった方向で議論が進んでいるというふうに聞いております。  そうした問題について、日本だと非常に縦割りに物事が進んでいるので、こういった カンタキサンチンの基準を決めるときに、では表示はどうするという話になかなかなり にくいんですが、やはり消費者からすると、勿論天然にも存在する色素ではあるんです が、そういった意図的に、養殖だと多分色がきれいに出ないので、きれいなサケにした いというふうなこともあるのでしょうし、いくらの場合ですと、消費者は亜硝酸塩での 発色を嫌いますので、逆にこういったカンタキサンチンを使えば表示をしないで済むと なれば、そういった手だてでおいしそうないくらをつくるということも実際はできるの かもしれないので、やはり表示ということを併せて議論できるようなルートというか、 方法というのを考えなければいけないのではないかというふうに思った次第でございま す。  もう一点は、これは宿題ではないのですが、カンタキサンチンの報告書のADI比を 決めるときの算出で、確かに過剰に出るという話はあると思うんですが、25ページです が、基準値案と摂取量を掛けたのではなくて、摂取量と各試験における残留量を掛けた 計算でいくと、ADI比は上に記されたような数字が出てきて、基準値案で掛けると、 計算はしていませんが、恐らく子どもの場合はADI、 100を超えるのではないのかな というふうに思っているので、ここらあたりの考え方はどういうふうに考えたらよろし いのかということがございます。 ○吉倉分科会長  どうぞ、お願いします。 ○中垣課長  最初の点、表示の点につきましてアメリカが実施、EUも検討中ということでござい ますから、我々としても国際的な流れで、ただ、それが健康保護の点からなのか、消費 者への情報提供の観点からなのか、ここはまたよくよく検討しなければならない。すな わち、我々としては健康保護の観点からしかできないわけでございますけれども、先ほ ど申し上げましたように、農林水産省とは丸井先生を座長として共同会議というシステ ムをつくっておりますから、そういうところも活かしながら宿題として承っておきたい と思います。  2番目の点、25ページの試算の点でございますが、今、先生がおっしゃった基準値の 案を掛けたらと、これは残留試験の結果を掛けているという点でございます。そのやり 方こそが先ほど御紹介したこの審議会の意見具申でございます。すなわち基準値を掛け るということはあり得なくて、基準値いっぱい残留する食品を一生涯食べ続けるという 事態というのはあり得ない。それで試算をした際にADIの80%を超える、その際には 残留試験の最大値を掛けろと。あるいは、幾つかの残留試験があるときにはその中央値 を掛けるというのが審議会としての意見具申の中身でございまして、これは残留試験の 最大値を掛けても22%から73%であるということから、そういう意味で申し上げます と、前にいただいた審議会の意見具申に沿った整理がされているんだろうと考えており ます。 ○吉倉分科会長  よろしいですか。これをずっと聞いていて、要するに、食品安全委員会はADI値を 出してくるわけですね。それで、こちらの厚労省の方ではエスクポージャーから農作物 その他に残留も含めてマネジメントとしてこういう値をつくるということで、その辺の 分業といいますか、その辺をもう少し説明してもらうと、さっきの話も含めてもうちょ っとわかりやすいと思うんですが。 ○中垣課長  まさしく今分科会長が御説明されたとおりなんですが、食品安全委員会としては個々 の農薬、個々の動物用医薬品ごとに、ヒトが一生涯食べても問題とならない、健康上影 響がない量を評価して厚生労働省に通知をするというのが一つの役目で、それをADI と言っているわけでありますけれども、厚生労働省としてはこの審議会にお頼みして部 会で御検討いただいておりますのは、例えば農薬ですと幾つもの農作物から摂取してく る、動物用医薬品にしても幾つもの動物、あるいは臓器から摂取してくる、これをトー タルとしてどのような形でコントロールできるのかというのがまさしくこの基準値、あ るいは各農作物への配分の問題でございまして、その摂取量の推計というのが分科会長 がおっしゃったエクスポージャーといわれる曝露の評価で、この曝露評価については、 平成10年ごろだったと思いますが、審議会としてその方法をまとめていただいていて、 現在その方法で恐らく国際的にも準拠してやっているというような状況でございます。 ○齊藤委員  カンタキサンチンについてお伺いしたいと思います。24ページ、25ページのADIの ことですが、これの基になっているのは次の26ページの国民栄養調査に基づく食品の摂 取量から計算されていると思いますが、鶏卵黄の摂取量のところでして、子どものを見 ましたら、摂取の内容が実際とは異なるのではないかと思いました。ゼロ歳児から離乳 食として卵を食します。プリンとか、茶碗蒸しとか、という食べ方なので、子どもたち に関しましては大人と同じような算出方法では実態に即さないのではないかと思いま す。 ○吉倉分科会長  それでは、答えてください。 ○中垣課長  国民栄養調査というのは、実際上は独立行政法人の国民健康栄養研究所、すなわち田 中委員のところでやっていただいていますから、その方が正確なんだろうと思いますけ れども、ここで使っておりますのは国民栄養調査を毎年1回やっていただいているもの から抽出してきたものでございまして、そういう意味で申し上げますと、確かにプリン 等で摂取される部分というのも幾つかあるんだろうと思いますが、主なものとしてはこ こに書いているような全卵を初めとするものであるということから、こういう試算にな っているんだろうと考えております。 ○吉倉分科会長  田中先生、何か。 ○田中委員  ちょっと風邪をひいておりまして、声が聞きづらく申し訳ありません。卵のこういう 摂取量につきましては原則としてすべて換算して出していると聞いております。例えば プリンなどの場合は、そこに含まれている卵の量を計算して、換算してそしてプリンに 含まれている当該成分量を出すということです。  要するに、全ての食品について成分の含有量を測定し、その食品の摂取量から計算す るというのが食事摂取量測定の原則ですが。 ○吉倉分科会長  要するに、換算してここには出ているという話ですね。ほかにいかがですか。時間も 来ましたので、特に御反対がなければ、この部会報告は1つはカンタキサンチンについ てはそこについている答申案というのがありますが、もう一つのフェバンテルについて は最終的には24ページの別添の表ですね、部位、対象動物、基準案、ここのところが入 るわけですね。 ○中垣課長  23ページのちょうど真ん中の表が答申に附属されるものになります。 ○吉倉分科会長  どうも失礼しました。23ページの真ん中の表、(2)のところですね。そういうので 答申に出そうということです。これはWTOから何からもう全部済んでいるわけです ね。 ○中垣課長  フェバンテルの方はWTO通報中でございます。 ○吉倉分科会長  そうすると、今日、答申案が出せるのはカンタキサンチンのところですね。こういう 文書でよろしいでしょうか。  それでは、時間がだんだん詰まってきました。次をお願いします。食品添加物。 ○中垣課長  私の説明が要領が悪くて申し訳ありません。添加物、グルコン酸亜鉛とグルコン酸銅 について御説明申し上げます。  資料6−1をごらんいただきたいと思います。3月29日付で大臣から会長あての諮問 書でございます。1枚めくっていただくと、安全委員会の委員長から大臣あてのリスク 評価の結果でございまして、グルコン酸亜鉛の許容上限摂取量を亜鉛として30ミリグラ ム/ヒト/日と設定する。なお、今回評価を行った許容上限摂取量は成人を対象とした もので、乳幼児〜小児が過剰に亜鉛を摂取することがないよう、適切な注意喚起が行わ れるべきだと。  5ページがその内容でございまして、まず「はじめに」のところをごらんいただきま すと、グルコン酸亜鉛は、人工栄養児の亜鉛強化の目的で母乳代替食品に使用が認めら れている。一方、アメリカでは一般に安全と認められる物質として、栄養強化剤、いろ いろなものに用いられている。EUでは、栄養強化剤というのは食品扱いであって添加 物ではない。JECFAは亜鉛についてADIを設定していない、設定する必要がない としているんだけれども、TDI、耐容量としては0.3から1ミリグラムとしている。 グルコン酸については「特定せず」となっているということでございまして、その後、 6ページに「安全性に関する検討」とし、体内動態、相互作用、毒性として、マウス、 ラット、更には6ページの下から3行目から、ヒトへの試験について評価が書かれてお ります。  7ページの4)「亜鉛の許容上限摂取量について」。我が国では、第6次改訂の日本 人の栄養所要量において許容上限摂取量が30ミリグラム/ヒト/日となっている。JE CFAあるいはEPAの評価結果として、更には米国栄養評議会、米国医学学会、EU での上限量について、8ページの中ほどにある表で整理をしているところでございま す。  結果としては、9ページでございますが、この評価結果のちょうど真ん中ぐらい、 「これまでの」から始まる段落でございますが、これまでの我が国のUL、上限量は30 ミリグラム/ヒト/日と設定されているが、それよりも高い用量で安全性を示すデータ があり、今回変更を必要とするような情報は得られていないことから、この30ミリグラ ムでよろしいという評価結果になっているわけでございます。  次に、15ページが6月10日付の添加物部会から部会長の長尾先生から分科会長への報 告書でございます。  17ページをごらんいただきますと、2番に使用基準改正の概要というのがございまし て、母乳代替食品に加えて保健機能食品を、保健機能食品というのは栄養機能食品並び に特定保健用食品を指すわけでございますが、追加しようということでございます。ま た、その量としては、下線部でございますけれども、グルコン酸亜鉛は保健機能食品の 1日当たりの摂取目安量に含まれる当該亜鉛の量が15ミリグラムを超える量を含有しな いように使用しなければならないということでございます。  その理由でございますけれども、諸外国の使用状況は先ほどと同じでございますので 省略させていただいて、4番の有効性のところでございますが、(1)として、栄養素 としての亜鉛についてはこの審議会の今年の3月16日付答申に基づいて、18ページでご ざいます、栄養機能食品の表示に関する基準が既に認められた。そこで、使用量として も15ミリという形でセットしていただいておりますので、さきの審議会の答申、3月の 答申に合わせてこの添加物規制というのも整備をするということを部会で御結論いただ いているわけでございます。  したがいまして、18ページの下から5、6行目、6の使用基準案でございますが、対 象品目を保健機能食品として追加をする。19ページの使用量でございますが、3月のこ の審議会の答申、これの上限が15ミリでございますから、15ミリにセットをする。(3 )その他の項でございますが、3月の答申で注意事項として食品安全委員会から言われ た乳幼児・小児の問題については、「乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください」と いう表示を義務づけているので、それで食品安全委員会の御指摘にも応えたことになっ ているということが書かれているわけでございます。  次に資料7−1、グルコン酸銅でございます。1ページ目がグルコン酸亜鉛と同様の 諮問書、1枚めくっていただいて、5月27日付の食品安全委員会からのリスク評価結果 の通知でございまして、グルコン酸銅の許容上限摂取量は銅として9ミリグラム/ヒト /日である。なお、乳幼児〜小児が過剰に銅を摂取することがないよう、適切な注意喚 起が払われるべきであるということで、5ページに、まさしくグルコン酸亜鉛と全く同 じでございまして、現在、母乳代替食品への使用のみが認められている。アメリカ、E Uの状況、あるいはJECFAの状況というのもグルコン酸亜鉛とほぼ同様でございま すので省略します。  6ページに、安全性に関する検討として、変異原性、体内動態、更には毒性としてマ ウス、ラット、更に7ページにはイヌ、ウサギのデータが整理されているところでござ います。  また、8ページの上から5行目ぐらいからはヒトのデータが整理されております。5 )、銅の許容上限摂取量について、我が国では第6次改訂の日本人の栄養所要量で、9 ミリグラム/ヒト/日と設定しているというようなこと、またJECFA、CRN、I OM、EUなどの状況というのもグルコン酸亜鉛と同様でございます。  その結果として、9ページの6の評価結果というところでございますが、グルコン酸 亜鉛と同様に、10ページにまとめがあるんですが、上から4行目、これでの我が国のU L、許容上限摂取量は9ミリグラム/ヒト/日と設定されているが、この値はヒト12週 間投与試験のNOAEL、無毒性量10ミリグラム/ヒト/日よりも小さい値であって、 今回入手した情報からはこれを変更する必要はないと考えられることから、9ミリグラ ム/ヒト/日で問題ない。乳幼児〜小児が過剰に銅を摂取することがないよう、適切な 注意喚起を行うべきだということが述べられているわけでございます。  これを受けて15ページでございますが、同じく6月10日付の添加物部会長から分科会 長への報告でございます。グルコン酸亜鉛と全く同様でございまして、17ページの下か ら4行目のところを見ていただきますと、薬事・食品衛生審議会の3月16日付の答申 で、栄養機能食品の表示に関する基準ということで、18ページでございますが、銅につ いて赤血球の形成、体内酵素の正常な働き、骨の形成などが認められたと。また、その 使用量については、18ページの下から2行目、答申の上限が5ミリであることから、今 回も添加物としての使用基準も上限を5ミリとする。19ページ、(3)その他として、 「乳幼児・小児には本品の摂取を避けてください」と栄養機能食品の中で表示を義務づ けているということで、保健機能食品を追加し、上限を5ミリとすることが適当である という形で、部会としてまとめていただいているところでございます。  23ページをごらんいただきますと、先ほどグルコン酸亜鉛のところでも御紹介すべき だったんですが、全く同じ意見でございますのでここで御紹介させていただきますが、 パブリックコメントとしては意見は厚生労働省として受けておりません。ただ、食品安 全委員会がパブリックコメントした際に、医療用に供される濃厚流動食品に亜鉛あるい は銅を使いたいんだと。それから考えると、今回の基準改正というのはいかがなものだ ろうかというような意見が出されております。  これについて我々として申し上げますと、今回、保健機能食品に追加したというの は、栄養機能食品との関係、関係企業からの要請に基づいてやるんだと。この濃厚流動 食品についても、実は検討の段階で関係団体にこういったものがあるというのも考えて おりましたし、関係団体に検討をお願いしたんですが、関係団体の意見がまとまらずに 今に至っている。今後、関係団体からまた申請があれば、我々としてまたこの審議会に お願いをし、基準改正も行うということで答えをまとめているところでございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  諮問書は6−1と7−1ですね。あと、3、4があるんだけれども、これはどうしま すか。銅と亜鉛だけをまずやっていいですね。この銅と亜鉛についてはいかがでしょう か。要するに、これを食品添加物の新規指定にするという提案ですが、よろしいか。こ れはパブリックコメントその他は全部済んでいるわけですね。 ○中垣課長  パブリックコメントは今御紹介したように終わっておりますが、WTO通報はまだ期 間が終わっておりません。 ○吉倉分科会長  では、それが出た段階で、もしもよろしければ答申にするということです。  それでは、次をお願いします。 ○中垣課長  次が資料8−1、9、10、これは香料3品目について御説明をしたいと思います。ま ず、参考資料2をごらんいただきたいと思います。参考資料2に「国際的に汎用されて いる香料の安全性評価の方法について」と、ここにおられます井上委員を中心に香料安 全性評価法検討会というのをつくっていただいて検討していただいた結果でございま す。  なぜかと申し上げますと、2ページの下から7、8行目に、「2.国際的に安全性が 確認され、かつ、汎用されている添加物の取扱い」というのがございます。平成14年7 月のこの分科会において、いわゆる未指定香料が使われていたという一連の問題の中 で、国際的に安全だと評価されていて、更にアメリカでもヨーロッパでも使われている というようなものについては、業者からの申請をただ単に待っているのではなくて、国 際整合性という観点から国が主体的に指定に向けた検討を行うべしというような意見を この分科会からいただいたところでございます。  その具体的な条件というのは、JECFAで安全だと言われている、アメリカでもヨ ーロッパでも使うことが認められ使われているという2つの条件でございまして、それ に基づいて今作業を行っているところでございますが、作業を行うに当たって香料はど のような形で評価すべきかというのが分科会から宿題としてございましたので、この宿 題について井上委員を座長として検討会で議論していただいたところでございます。  9ページをごらんいただきたいと思います。9ページがJECFAで実施されており ます評価の仕組みでございまして、最初のstep1のところに構造クラス分類というのが ございますように、構造活性相関、すなわち構造が似ているものというのは同じような 毒性を持つだろうということを前提としてこのスキームというのはつくられております し、更に右下、step5Bというところの使用実態、「使用実態は1.5 μg/day 以上の 曝露になるか?」というようなところがございまして、一定の閾値を全面に出した形で JECFAはやっているわけでございます。  と申しますのも、JECFAというのは新しい香料を指定するという立場ではなく て、既に使われている香料の安全性をチェックするという立場からこのようなスキーム になっているんだろうと思うわけでございますが、この検討会で部会の御意見も聞きな がらまとめていただいたのが21ページ、我が国では今から新しい添加物を指定してい く、新しい香料を指定していくということから考えると、このようなスキームで考えた らどうかというのが検討会の結論でございまして、まず発がん性があるかどうかという 観点から遺伝毒性は必ずチェックしよう、また、反復して投与した場合にどうだという ことから、反復投与毒性試験、この2つのデータは必須にしようというところでJEC FA法と大きく異なります。その後、(1)代謝の関係、(2)推定される摂取量の関係、 (3)食品中に含まれるかどうかという関係を考慮した上で、推定される摂取量が動物試 験の無毒性量と比べて十分な余裕を持っているかどうか、これを比べて余裕があるので あればいいのではないかというような考え方で整理がされているわけでございます。  これらの整理に従って食品安全委員会に一つずつ評価をお願いをし、また部会で評価 をお願いしてきたのが資料8、9、10でございまして、ほぼ同じでございますが、資料 8−1で諮問書があるわけでございますけれども、具体的には3番に2−エチル− 3, (5or6)−ジメチルピラジンというのがございますけれども、これでございます。1 枚めくっていただくと、5月27日付の安全委員会のリスク評価結果がございまして、こ の2−エチル−3,(5or6)−ジメチルピラジンを食品の着香の目的で使用する場合、安全 性に懸念はないと考えられるというのが食品安全委員会の結論でございます。  5ページをめくっていただきますと、「はじめに」のところでございますが、このも のはアーモンド様の加熱香気を持っていて、食品中に天然に存在、加熱により生成する ということで、背景、名称がございまして、4の安全性でございますが、遺伝毒性と反 復投与試験の結果がここに述べられております。  6ページでございますが、5番で摂取量の推計がなされておりまして、先ほど申し上 げました6番で安全マージン、安全マージンというのはこの場合ですと90日間反復投与 試験成績の無毒性量と想定される摂取量を割り返してみて、そこの比をとっているわけ でございますが、その比が2万から10万というふうに安全マージンが推定される。7番 が構造クラスでございますけれども、ピラジンの誘導体の食品成分だと。8番がJEC FAでも安全だと言われている。9番が今申し上げた検討会の評価法に基づく評価です が、クラスIIに分類されて生体で特段問題となる遺伝毒性はない。7ページ目でござい ますが、安全マージンは適切だと言われている1,000を大幅に上回るというような ことから、着香の目的で使用する場合、安全性上の懸念はないというのが安全委員会の 結論でございます。  これに基づきまして、9ページは添加物部会から分科会への報告書でございます。  11ページでございますが、4番、諸外国での使用状況でございますけれども、言うま でもなく、アメリカでもヨーロッパでも使われているところでございます。6番、摂取 量の推計でございますけれども、12ページのところをごらんいただきますと、1行目で ございますが、9マイクロから44マイクログラム程度ではなかろうかと。4行目、米国 では、食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は意図的に添加された本 物質の98倍であるというような推定もあるというようなことでございます。使用基準と しましては、着香の目的以外に使用してはならない。  8番の成分規格でございますが、13ページにございますように、含量、性状、確認試 験、純度試験、定量法というような方法が言われているところでございます。  17ページでございます。パブリックコメントした結果、早く使えるようにしてくださ いというのが食品安全委員会に出されております。  次に資料9−1でございます。これも全く同様でございまして、4番の2,3,5,6-テト ラメチルピラジンでございます。3ページ、資料9−2、食品安全委員会のリスク評価 の結果でございますが、先ほどのものと全く同様に、食品の着香の目的で使用する場 合、安全性に懸念はないと考えられるという結論でございます。  5ページでございます。「1.はじめに」でございますが、このものはローストナッ ツ様の加熱香気を有して、食品中に天然に存在、または加熱により生成する。欧米で は、焼き菓子、アイスクリームなどなどに使われているということでございまして、4 番の安全性でございますが、遺伝毒性、反復投与試験の結果が書かれております。  次に6ページでございますが、摂取量の推定、安全マージンの算出、構造クラスの評 価、JECFAの評価が述べられておりまして、6ページの下から2行目、9番で、先 ほどの評価方法に基づく評価としてクラスIIである。生体内で問題となるような遺伝毒 性はない。  7ページでございますが、安全マージンは1,000を大幅に上回る、クラスIIの許容摂 取量を超えないというようなことが書かれておりまして、10番でその他として、薬理作 用から添加物としての使用に疑問を呈するような論文もあったけれども、濃度が全く違 うので香料として使う限り問題はないというようなことが述べられているところでござ います。  9ページが6月10日付の添加物部会から分科会への報告書でございまして、11ページ に外国での使用状況、安全委員会の結果、摂取量の推計、使用基準の案、更に12ペー ジ、13ページに成分規格というのがございますけれども、先ほどと同様に、着香の目的 以外に使用してはならないという使用基準をつくり、成分規格が提案されているところ でございます。  次が資料10−1、イソブタノールでございます。これも香料でございまして、1枚め くっていただきますと、安全委員会から大臣への評価結果の報告で、着香の目的で使用 する場合、安全性に懸念はないと考えられるということでございます。  5ページに評価結果がございますが、1番にイソブタノールは果物、野菜などの香気 成分として食品に天然に含まれているほか、酒、パン等の加工食品にも一般に含まれて いる。欧米では清涼飲料、キャンディー等、いろいろなところに使われていると。  4番の安全性でございますが、遺伝毒性の結果と、6ページに反復投与試験の結果が 書かれておりますし、5番として摂取量の推定、6番として安全マージンの算出、7番 で構造クラスに基づく評価、7ページに移りまして8番でJECFAの評価、9番で先 ほどの評価方法に基づく評価として、クラスIに分類され、生体内で特段問題となる遺 伝毒性はない。安全マージンは1,000を大幅に上回る。想定される摂取量はクラスIの許 容摂取量を超えないということから、10番として、安全性の懸念はないということがま とめられております。  次に9ページでございますが、同じく添加物部会から分科会への報告でございます。 11ページをごらんいただきますと、食品安全委員会の評価結果、6番として摂取量の推 定、7番として使用基準、12ページに成分規格の案、13ページにその詳細が載っており ます。いずれもほかの2品目と同様で、使用基準として着香の目的以外に使用してはな らない、成分規格としては、含量、性状、確認試験、純度試験、定量法を提案されたと ころでございます。  以上でございます。急ぎ足でございますが、よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  今の3品目ですが、食品添加物の新規指定としてよろしいですか。特に御異議がなけ れば。これは全部手続は済んでいるんですか。 ○中垣課長  いずれもWTO通報がまだ終わっておりませんし、最後のイソブタノールはパブリッ クコメントも今実施しているところでございます。 ○吉倉分科会長  それが終わった段階で答申案をつくって、皆さんに何らかの格好で見てもらうという ことです。  どうもありがとうございます。そうしたら、あとちょっと時間が切れてしまっていま すが、あと報告ですね。お願いします。 ○中垣課長  報告資料1、「シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いに ついて」について御報告申し上げます。  下から5、6行目のところ、「《参考》シンフィツム(いわゆるコンフリー)とは」 というのがございますが、コンフリーというのはムラサキ科の植物でございまして、60 センチから70センチぐらいになる葉っぱ、特に若い芽を天ぷらとかおひたしにして食べ るほか、健康食品としてお茶でございますとか、錠剤でございますとか、そういう形で 流通しているようでございますが、昨年の12月にカナダで肝毒性の観点から消費者に食 べるのをやめようというような勧告をしていることをつかみまして、資料を集め、食品 安全委員会に今年の3月にリスク評価をお願いしたところでございます。  その結果、6月14日でございますけれども、食品安全委員会の下部組織でございます 専門調査会において、コンフリーが原因と思われるヒトの肝静脈閉塞性疾患等の健康被 害例が海外で多数報告されている。なお、国内ではございません。また、日本でそのよ うな食品が売られているというようなことを考えると、日本でコンフリーを摂取するこ とによって健康被害を生じるおそれがあるというような意見の一致を見たところでござ います。  食品安全委員会としては、今後パブリックコメントをして、最終的に回答をまとめて 厚生労働省に返すということになるのではないかと思いますが、専門調査会の議論が終 わった段階で、厚生労働省といたしましては、(1)でございますが、事業者に対して 製造、販売、輸入等の自粛、自主的な回収、更に(2)として、一般消費者に対して食 品の摂取をおやめいただく。特に、自生しているとか、自家栽培しているというような ことが考えられますので、その摂取もやめていただくというようなことをお願いするた めに記者発表をし、この裏でございますが、Q&Aをつくって厚生労働省のホームペー ジに掲載したところでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  何か御質問はございますか。では、次をお願いします。 ○尾形室長  お疲れのところ恐縮ですが、2件御報告申し上げたいと思います。まず、報告資料2 でございますけれども、「健康増進法に基づく行政指導について」ということで、虚偽 誇大広告の指導を行ったということを御説明したいと思います。健康増進法にかかわる 問題でありますが、最近新聞にも幾つか取り上げられたりしておりますので、御参考ま でに。  昨年、食品関係の規制の大改正を行いました。その際に、健康増進法も併せて改正い たしまして、食品の虚偽誇大広告を禁止したわけでございます。その仕組みといいます か、スキームについてはめくって2ページ目に書いてあるとおりでありますが、要は著 しい虚偽、著しい誇大な広告を食品についてしてはいけない、違反した場合には勧告、 そしてそれに違反しますと更に命令、それにも違反しますと罰則というような形になっ ているわけで、この禁止規定に基づきまして今本省と自治体、自治体は特に保健所の栄 養担当でございますけれども、協力して監視、指導を行っている、主として行政指導を 行っているわけでございます。  この間、1年弱が経過しているわけでございますけれども、いろいろやってきた中 で、今般特にいわゆるバイブル本といわれる書籍を指導したということでございます。 バイブル本というのは、御存じの方もいらっしゃるかと思いますけれども、よく新聞の 広告に出ている「がんが自滅」とか「医者にかからなくても何とかが治った」というよ うな非常に煽情的なキャッチフレーズを使って、ある特定の食品を販売促進する目的で つくられた書籍でございます。従来、これは書籍だという理由で薬事法の規制をくぐっ てきたわけでございますけれども、我が方といたしましては、その書籍中に特定の健康 食品の販売事業者の連絡先などを記載してあるというようなことで、広告性が認められ るものについては、「タイアップ販売」というようなことを言ったりするんですが、そ の出版社とタイアップ販売を行った健康食品販売業者を指導するというようなことを行 ったわけでございます。  指導内容といたしましては、資料の最後にありますように、販売業者の連絡先を削れ と。要するに、広告性はここにかかっているわけでございますので、この連絡先を削れ というようなこと等、必要な措置をとるべき旨の指導を行いました。  なお、この指導を行ったのがこの報告資料の日付にあります5月25日でございまし て、同日付でこういう指導を行いました。そして、このバイブル本というのは極めて虚 偽誇大性が高いものであるという趣旨を業界団体、それから消費者団体、それから日 医、日薬、栄養士会といったプロフェッショナルな団体にも通知申し上げて、御理解、 御協力をお願いしたところでございます。こちらがバイブル本の指導でございます。  続きまして、時間がございませんので、報告資料3の方を御説明申し上げたいと思い ます。「『健康食品』に係る今後の制度のあり方について(提言)」ということでござ いまして、部長からも御説明申し上げましたように、田中平三委員が座長となりまし て、「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会に、去る6月9日にこの提言をま とめていただきました。  1枚目のページにありますように、要するに、「国民1人1人が、食生活の状況に応 じて適切な選択ができるような正確な情報を広く提供する」というコンセプトで取りま とめさせていただいたものでございます。  これも昨年の食衛法等の抜本改正に端を発しておりまして、その改正作業の中で浮上 してきた問題、去年の法改正の中では積み残してしまった課題について今回別枠で議論 し、検討するという極めて政策的なものでございましたが、健康づくりにおける健康食 品の役割、それから消費者の適切な選択に資するような情報提供の在り方といったもの を議論していただいたものでございます。  一般的な食品行政からはみ出した部分がございまして、すぐれて健康政策的な側面が ございます。また、薬事法規制といったものとのかかわりもあることから、本検討会は 健康局長、医薬食品局長、そして我が食品安全部長の2局長1部長の共催という形をと っております。  3ページの「はじめに」というところで経緯が書いてございますが、去年の4月に発 足いたしまして13回やってまいりました。検討会のメンバーにつきましては、最後の12 ページに書いてございますが、田中座長を初め本分科会のメンバーである方も何人かこ の中に含まれております。  議論は、ヒアリング等を通じまして希望のありましたすべての関係団体の御意見を拝 聴する、あるいは広く国民からのパブコメ類似の意見募集を行うということで、幅広い 方々の意見を踏まえてまとめさせていただいたというものでございます。  健康食品の問題につきましては、繰り返しになりますけれども、昨年の法改正の中で 安全性については抜本的なドラスティックな規制強化を行いました。この分科会でもお 諮り申し上げましたけれども、アマメシバを暫定的に流通禁止するというあの措置でご ざいますけれども、まさに去年の食衛法の改正の中で措置されたものでありまして、健 康食品をターゲットにしたそういう安全性の規制強化というものはかなり図られたとこ ろでありますけれども、健康食品をめぐるいろいろな情報の氾濫といった部分につきま しては手つかずであったということでございます。その辺につきましては3ページから 4ページ、「『健康食品』を巡る状況」というところに書いてございますけれども、国 民の健康ブームの中で健康に関するいろいろな食品の表示というのが企業の中でも切実 な問題になり、あるいは消費者にとっても非常に関心の高いものになっているが、表示 規制、特に薬事法などで規制されている中で余り明確な表示ができないということが認 識のポイントでございます。  4ページの(6)にあるようなところでございますが、薬事法では医薬品的な、病気 を治すとか、予防するという効果だけでなく、体の構造/機能にかかわる表示も全面的 に禁止している。唯一の例外が保健機能食品制度ということになっているわけでありま すが、この保健機能食品制度にエントリーできませんと、緩やかな機能のようなことも 全く書けないということでありまして、例えば「さらさら」とか、「すっきり」とか、 「負けない体」、「錆びない体」といったような、暗示はしているけれども、根拠は全 く不明な、あいまいな表示が横行するということになるわけでございます。更に、我が 方の大変残念ながら監視体制の不十分さも相まって、誇大広告規制をやっている中でも 相変わらず違法な誇大広告というのが絶えないということがありまして、このあいまい な表示とか誇大な表示をどうするかということが最大の問題でございました。  その答えといいますか、それに対する総論的な方向性が4ページの枠で囲んだ3でご ざいまして、健康食品といっても科学的根拠が検証された上であれば一定の役割が期待 されるという前提で、そういうある意味でいい健康食品についてこれを適切に利用でき る環境整備を行うことが必要だと。健康食品というのは、食べたりしてもわかりません し、見ても消費者には判断できません。結局はパッケージに書いてある表示が命という ことでありますので、何よりも表示に対する信頼を確保し、正確で十分な情報提供が行 われなければならないという考え方に立っております。  そういう考え方に基づきまして、4ページから5ページにかけてでございますけれど も、この健康食品に関する表示制度について、表示内容の充実、表示の適正化、充実す るだけでなく適正化も図るという2本立てで見直しを考えております。  併せて、表示の問題だけでなく、昨年のドラスティックな規制強化に加えて、更に安 全性の観点ももう一度見直す必要があるということで、5ページ以下、具体的な今回の 提言内容に入っていくわけでございます。一口で申し上げますと、安全で信頼できる健 康食品を提供できる環境整備ということになるわけでございます。  まず、表示の充実、適正化という部分でございますけれども、やはり科学的根拠がな ければだめだということでございます。ところが、今の保健機能食品制度というのはそ の科学的根拠が非常に厳しく求められている。これは勿論、医薬品と比較すれば随分緩 やかなわけでございますけれども、食品にそもそも医薬品の基準をある意味で便宜的に 当てはめているというところにいろいろな問題がありまして、そこから漏れていくもの がでたらめ、あいまいなことをやっているというわけでございますので、その科学的根 拠というものを改めてとらえ直して、あいまいだったものを制度の中に組み込んでいこ うというのが思想でございます。その際、現行の保健機能食品制度を基礎にするという ようなことが4の(2)、5ページから6ページにかけて書いてあるところでございま す。  そして、具体的には6ページの(3)「表示内容の充実」というところでございます けれども、保健機能食品制度については科学的根拠に基づく表示の制度として一定の信 頼・期待に応える面を持っているわけであるが、更に下の図のように、科学的根拠に基 づく表示内容の充実を図るということでございます。これは一言で申し上げますと、選 択の幅を広げるということでございます。  特定保健用食品というところに(1)、(2)、(3)というのがございます。この(1)、(2)、 (3)が今回の具体的な表示内容の充実に関するアイデアでございます。条件付というの は、今の特定保健用食品については、これは部会のある先生のお言葉をそのまま引用す るんですが、選ばれたエリートの中から更にエリートを選ぶ、エリート中のエリートを 選ぶというようなことで食品を切っている。消費者の求める食品というのは、それだと かなりあぶれてしまう。言葉をあえて選びませんが、そういう中で置き去りになってい るもののうち、よりましなものをそれとわかるような形で表示させてやってもいいので はないかというのがこの条件付というところの考え方でございます。  条件付ということの具体的な意味でありますけれども、7ページでございますが、こ こにも図がございまして、科学的根拠のレベルA、Bというのが現行の特定保健用食品 であるとすれば、Cというのが今回の条件付特性保健用食品の考え方で、表示文のとこ ろを注意して見ていただきたいんですが、従来の特保であれば、「何々の改善に役立つ 」とか、「何々に適している」で終わるんですが、「何々の改善に役立つ」の後に「そ の根拠は必ずしも確立されていない」ということを付記させる。そういうことで、「確 立されていない」ということを付記し、その科学的根拠のレベルを明らかにした上で、 それでも一定の根拠があるものについては具体的にどこがどうだというのを書かせる。 「すっきり」とか、「さらさら」ではなく、「便通の改善に役立つ」とか、「抗酸化作 用がある」とか、そういったことを書いてもいいというようなことを認めていこうとい うものであります。  次が(2)の規格基準型でございますが、これは一言で言いますと、薬食審の負担軽減 と審査事務の迅速化ということでございます。過去にたくさんの許可件数が累積してい る成分については、審議が形骸化と言ったら言葉が悪いんですけれども、ルーチン化し ておりますので、こういったものは役所の方だけで仕事ができるようにするということ でございます。  それから、(3)の疾病リスク低減表示でございますが、これは主として栄養欠乏症の ようなことを念頭に置いていただきたいと思うんですけれども、医学的、栄養学的にも う科学的根拠が確立していると思われるような食品成分と疾病の関係、例えば8ページ にございますけれども、カルシウムと骨粗鬆症、あるいは葉酸と神経管閉鎖障害、こう いったような事例については、あえて回りくどい言い方をさせるよりは、つまり病気名 を書いてはいけないという薬事法の規制をそのまま適用して回りくどい言い方をさせる よりは、もうストレートに、カルシウムをとることによって骨粗鬆症になるリスクが低 減するかもしれないということを書かせてやってもいいのではないかということでござ います。  ただし、病気というのはいろいろな要件、危険因子があったり、十分な運動といった ことも非常に大事であることから、今言ったような条件や過剰摂取をしないようにとい うことも配慮した表示を条件としてこういったことを認めていくということを考えてい るわけでございます。  更に、あくまでも食品としての機能でありますので、医薬品でがちがちにはめている 部分については、少しそこは食品にふさわしいものの見方を考えていこうというような 思想も打ち出したところでありまして、そこは(4)となっているわけでございます。  以上が充実でありますが、一方、現行の保健機能食品制度の中でも乱用されている事 例とか悪用されている事例もあったりすることから、やはり企業にモラルを求めるとい うのが(4)でございます。  1つは健康食品に過剰に頼る人がやはり出てくる。マニアックな健康食品の愛用者と いうものを想定し、ヘルスクレームというんでしょうか、こういう健康の機能について 保健機能食品制度を使ってアピールするような場合には、同時に「食生活は、主食、主 菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」といった表示を義務づけるというようなこと を一つ考えております。これは食生活指針の表現そのままでございます。  次に、栄養機能食品については、これはビタミン、ミネラルのための制度なわけです けれども、ダイエット食品でこの栄養機能食品というような事例が非常に多く見られま す。既に行政指導をしておりまして、かなり業者には強くお願いしているところなんで すが、なかなか法的な後ろ楯がないので、引き続き、美しい女性の写真か何かが掲げて ある隣に、そういうダイエット食品のようなものに栄養機能食品を使うという乱用をや めさせる。(3)、(4)についても同様でございまして、要は栄養機能食品の本来の使い道 に従った使い方をしてもらおうという適正化でございます。  安全性の確保についてもガイドラインベースでございますけれども、GMPのような ものや原材料の安全性を確保するというような措置を考えております。  以上のようなことを提言として取りまとめさせていただきました。今後、また所要の 手続を経て個々の具体の措置を実現していきたいと思っております。 ○吉倉分科会長  どうもありがとうございました。大体もう時間が終わりなんですが、特に何か。 ○田中委員  この健康増進法に基づく行政指導についてでございますが、バイブル本に対しての行 政指導を行われたということですが、今日でも全国紙ではその広告は載っております ね。要するに、新聞広告がバイブル本の広告を出すわけですね。これは全国紙ですから 非常に影響が大きい。新聞広告、バイブル本、健康食品と結びついていくわけですし、 ある意味ではそのバイブル本が回収されていて、売っていなくても売っているような広 告を出せば、直ちにその新聞広告から健康食品にも結びつくというところでありまし て、私としてはそういうことの指導ができるのか否か、もしないとしたら、こういう場 ですので、マスコミ側のモラルといいますか、そういったことがどうにかならないかな ということを希望している次第です。 ○吉倉分科会長  ありがとうございます。どうぞ。 ○土屋委員  ちょっとくどいようなんですけれども、この条件付特保ということを導入するという 御説明が今あったわけですけれども、この中で科学的根拠のレベルについては別途検討 ということになっております。これは本来は医薬品並みにやられるべきです。健康被害 が起こってからでは遅いので、やはり科学的な根拠をきちっと検証したものをこの中に 入れていくという考え方はこれからも行政の皆さんには求めていきたい。これは今まで もこの検討の過程で私は申し上げてきましたけれども、もう一度この席でそれを確認し ておきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  ほかにいかがですか。井上先生。 ○井上委員  健康、特保の食品では、残念ながら意図したこととは別に健康被害が予想されるよう なものがあるということが現実に起こり得るんですね。それに対して、恐らく行政の側 としては対応する方法が余りない、ことに安全性の問題についてはないところがいろい ろ危惧される点だと思われます。それで、実際問題としてそういうことが起こることは 極めて少ないだろうというふうな認識で進められていて、現実には少ないんだろうと思 いますけれども、私どもは安全性のいろいろな試験をやっている中で全く遭遇していな いわけではないんですね。そういうことがありますので、是非こういった提言をまとめ ていかれる中では科学的な安全性というもの、万一何か出た場合でもとにかく構いませ んので、何か打つ手をきちっとつくっていただきたいというのが私どもの立場としては ございます。  それは、土屋先生がおっしゃったのとはちょっと別の意味なんですけれども、全部が 全部そういうふうな形で済むかどうかはわからないんですけれども、中にはそういうも のが出てくる、紛れ込んでくるということが現実にあり得るんだということをちょっと 指摘しておきたいと思います。  以上です。 ○吉倉分科会長  どうぞ。 ○村上委員  健康食品の施策についてはこのところ今までにない動きがあって、それはとても評価 されていいことではないかと思っております。  御報告にもあった広告行為というところに結びつけた法律の使い方でバイブル本の取 り締まりをなさったのは非常にいいアイデアだと思うんですけれども、そうした広告行 為のないいわゆる健康書や雑誌、あるいはテレビ番組などにも、虚偽、誇大の情報が非 常にあふれている。その辺には何か先ほど使われた秘策のようなものがありますでしょ うか。可能性はあるのかどうか。  先ほどの新聞に広告が載るという件は、これはもう非常に気になっているところです けれども、言論・出版の自由もあって、書籍や雑誌の広告に出てくるタイトルや目次、 雑誌なら見出しなどが元の本や雑誌通りであれば、広告掲載を拒否できないことがある んです。勿論書籍や雑誌の種類にもよりますけれども、現在のところ、いわゆる健康書 や雑誌の広告などは出ておりますね。それに対して何か秘策がおありになるか、うまく 法律の援用ができるものか、ちょっと伺ってみたいと思います。 ○吉倉分科会長  厚労省でできる話かどうかは難しいところですね。 ○尾形室長  お二人から御指摘がありましたので、どこまで我々が規制というか、対策が練られる かという話でございますけれども、まず健康増進法という法律に基づいて、この禁止規 定に基づいて規制できる対象というのはあくまでも食品についての広告であります。新 聞広告というのはあくまでもバイブル本という書籍についての広告ですので、やはりこ ういった言論の自由という基本的人権の及ぶ分野についてはみだりに法令の文言を拡張 解釈してはならないということもありまして、この健康増進法の規定で指導するという のは難しいだろうというふうに思っております。  ただ、私どもとしては規制対象とはならないだろうが、当該そういう新聞広告に載っ ていたりする書籍の誇大性が明らかであって、やはりこういうものを広告するというの は健康政策上は望ましくなかろうというふうに思っております。新聞社の方々にも、取 材等々の折りとかに良識に従った御対応というのを期待しているということは申し上げ ております。大きな新聞社には自主的な審査機構があるわけでございますので、そうい うところの役割に期待しているわけでございます。  それから、健康系の情報番組でございますが、すべての番組が誇大だとは思いませ ん。一部非常に良心的な番組もあるわけですけれども、消費者の方々はそれは選別でき ないですね。私どもも、秘策というのではないんですけれども、最近考えておりますの は、田中理事長の国立栄養研で今回健康食品のデータベースを立ち上げる、そのデータ ベースの中で、その都度、その都度、健康系番組で流した情報についてちょっとこれは どうかなと思うものがあった場合は、こっちの情報がより中立で客観的ですよというよ うなことを情報提供して消費者の方々に広く提供しようということを、私個人ですけれ ども、頭の中で思い描いているところであります。 ○吉倉分科会長  アメリカなんかに行くと、ニュースの続きに広告ともインタビューともわからないの がありますけれどもね。難しい話ですが、もしもよければ、これで今日は終わりにした いと思いますが、よろしいですか。  では、今日は大変遅くなりまして済みませんでした。                                       了 照会先:医薬食品局食品安全部企画情報課  03−5253−1111(2449)