04/06/14 労災保険料率の設定に関する検討会 第3回議事録          第3回 労災保険料率の設定に関する検討会                        日時 平成16年6月14日(月)                           16:30〜                        場所 経済産業省別館825会議室 ○岩村座長  ただいまから、第3回「労災保険料率の設定に関する検討会」を開催いたします。本 日は、阿部委員が欠席です。本日の議題は、前回決めさせていただきましたように、 「メリット制」についてです。事務局から配付資料の説明をお願いいたします。 ○数理室長   「労災保険のメリット制について」資料No.1−1から順にご説明いたします。メリ ット制の趣旨については、第1回の検討会のときにも申し述べたところですが、事業の 種類が同じでも、事業場内の作業工程、機械設備、作業環境等の良否、事業主の災害防 止努力の如何により、事業ごとの災害率に差があるということで、事業主の保険料負担 の公平性と、事業主の災害防止努力をより一層促進する観点から、当該事業の災害の多 寡により労災保険率又は労災保険料を上げ下げする制度です。  継続事業と有期事業に大きく分かれていますので、まず一括有期を含む「継続事業」 の場合についてです。適用する事業としては、連続する三保険年度の各年度において、 次の(1)から(3)の規模の要件を満たす事業により、当該連続する三保険年度のいちばん 最後の年度の3月31日現在において、労災保険の保険関係が3年以上経過している事業 についてメリット制の適用があるということです。詳しい適用状況については、後ほど 2枚目でご説明いたします。  規模の要件としては、100人以上と、20人以上については、使用者数に事業の種類ご とに定められている労災保険率から非業務災害部門を除いたものを乗じたものが0.4以 上という条件で規模の要件を定めております。「一括有期」については、確定保険料が 100万円以上という要件です。  何を基準として上げ下げするかというのが、「メリット収支率」です。これは、連続 する三保険年度の間における保険給付状況、保険料の状況で、メリット収支率の考え方 として、この算式に従って計算しております。そのうち分子に算入する保険給付につい ては、資料No.1−2に、メリット収支率の分子に算入する額という一覧を作っていま す。上から障害補償年金、障害特別年金、遺族補償年金等については、保険給付の額で はなく、一時金の形で算入します。  例えば、障害補償年金の1級であれば1,340日分を算入する。遺族補償年金について は1,000日分を算入することとしております。この1,000日分、障害等級別の日数分とい うのは、労働基準法に定められている額に相当するものです。  療養補償給付、休業補償給付、介護補償給付等については、療養の開始後3年以内の 給付だけを算入するということです。  遺族補償年金の前払一時金等については、年金の前払制度がありますので、年金給付 が開始した時点で、労働基準法相当額を算入しておりますので、これらの前払一時金等 については算入していません。  上記以外の保険給付及び特別支給金、これは葬祭料や障害一時金、障害等級について は1級から14級で、8級から14級については一時金で支払うことになっております。そ れらの障害一時金については、原則としてメリット収支率に算入する整理としておりま す。  1頁に戻りまして、メリット収支率の分子についてはそういう形で算入する。分母に ついては、三保険年度における保険料額に第1種調整率を掛けております。分子につい ての長期給付の評価額については、労働基準法相当額としているところですが、分母の 保険料の計算に当たっては、年金給付は充足賦課額で算定された費用を基にして算定し ておりますので、分母に調整率を乗じることにより、分子との不均衡を調整しています。 なお、このうち林業、建設事業、港湾貨物及び港湾荷役の事業については、特定疾病 というものがあります。それについては分子に算入しないという整理をしておりますの で、分母に乗じる調整率については、一般事業とは異なっています。  特定疾病の関係については資料No.1−3で、港湾貨物取扱事業又は港湾荷役業、林 業又は建設業及び建設事業のうち、例えば港湾荷役事業では非災害性腰痛、林業又は建 設事業では振動障害、建設事業ではじん肺症について、メリット収支率の算定基礎から 除外することにしております。  これらの事業については、事業場を転々と変わる労働者が多いということがあります。 それから、ここに掲げた疾病については、一定の年数以上そういった業務に従事しな いと発症しないと言われており、発症した時点の事業場だけの責任とするというのは適 当でないということで、これらの疾病については一定年数以内しか従事していない場合 についてはメリットの算定から除外することにしております。  上記のように計算されたメリット収支率の大きさにより、労災保険率が非業務災害分 の率を減じた率を±40%の範囲内で上げ下げをして、これに非業務災害分を加えた率を メリット適用後の労災保険率としています。  適用の関係については2頁の真ん中の概略図で、この例では基準となる3月31日は平 成15年3月31日としています。それ以前の3年度間、つまり平成12・13・14年度につい てメリット制の適用要件を満たしているものがメリット制の適用になります。平成12・ 13・14年度がメリット収支率の算定期間になります。その算定期間における保険料、保 険給付等を用いてメリット収支率が計算されて、それに基づく増減率が適用されます。 その適用される年度は、平成16年度の保険料にメリット労災保険率が適用されるといっ た適用関係になっています。  「有期事業」の場合は、継続事業と違い、工事が終わると工事現場を解散することも あり、工事終了後なるべく早めに精算することにしております。適用事業としては、 (1)(2)の適用要件で、(2)メリット収支率の算定においては、分母は継続事業と同じ ように、一般保険料から非業務災害分を除いたものを用い、分子については事業終了日 から3カ月又は9カ月を経過した時点までの業務災害に係る保険給付等によって計算す ることとしております。  ここで3カ月目を用いるか、もしくは9カ月目を用いるかの判断については3頁に書 いております。事業終了後6カ月経過時点でのメリット収支率を計算し、その結果が3 カ月目で計算したメリット収支率による増減率区分が、3カ月目と6カ月目で同じであ る場合、いわゆる増減メリット収支率の計算結果によってメリット増減率の増減の幅が 3カ月目で計算したものと、6カ月目で計算したものと全く同じである場合には、それ 以上メリット収支率が変わらないだろうということで、この場合は3カ月経過時点をメ リット収支率の算定日としているところです。  そうでない場合については、労災事故があって、保険給付等が続いている場合になり ますが、そういう場合は事業終了後9カ月目まで待ち、9カ月目を経過した時点をもっ てメリット収支率の算定日としています。この場合、9カ月目まで経過したということ で一応精算するわけですけれども、実際の給付は9カ月目以降も保険給付が行われます が、メリット収支率の算定の際、分子にその部分は算入されないということで、その部 分を考慮した第2種調整率ということで、第1種調整率よりも低い調整率を使って調整 しております 有期事業の概略については、3頁の下の図になります。事業開始日から 終了日、基本的には3カ月目が収支率算定期間になりますが、6カ月目の事業終了日か ら6カ月目経過時点での収支状況と、3カ月目での収支状況が変化した場合については 9カ月目までが算定期間になり、それでメリットの精算としております。  以上が通常のメリット制ですが、それ以外に「特例メリット制度」があります。これ は中小企業を対象に、労働安全衛生施策とメリット制をリンクさせるということで、労 働災害の予防に資する必要があるとの観点から設けられたものです。特例メリット制度 の要件として、(1)建設の事業及び立木の伐採の事業以外の事業であること、(2)中小企 業事業主が行う事業であること、(3)次の安全衛生を確保するための措置を講じた事業 であることということで、都道府県労働局の認定を受けた快適職場推進計画により、快 適職場の形成のために講ずる措置を行った事業であり、そのメリット制の特例適用の申 告が行われたときに適用するものです。この場合に、メリットの増減幅を特例的に±45 %にするものです。  具体的には概略図で、例えば平成14年度に快適職場の措置、いわゆる安全衛生措置を 行い、平成15年度の前半9月30日までに申告をしていただくといった場合、平成16年度 以降特例的なメリット、いわゆる±45%にしたメリット制度が適用されるというもので す。平成14年度に安全衛生措置がとられたという仮定でいくと、平成14年度が算定期間 に入るような期間、つまり平成14年度をメリット収支率算定期間として含まれる平成12 ・13・14年度で平成16年度、平成13・14・15年度の算定期間で平成17年度、平成14・ 15・16年度の3年間で平成18年度でメリットの適用になりますけれども、平成14年度が 算定期間として入る平成16・17・18年度が特例メリットの適用を受けるというものです。  以上がメリット制の概要です。  資料No.2−1は、実際にメリット制でどのように保険料が変わるのかという試算を したものです。試算条件としては、いろいろな事業の例があるかと思います。ここでは、 労災保険率1,000分の8程度「その他の製造業」の適用事業場で、仮に労働者の平均 年収が500万円と仮定したものです。被災労働者の年収も500万円、給与が大体30万円、 賞与年額140万円と仮定しました。3年ごとに料率改定が行われるわけですが、この試 算では料率改定は考えていません。  労働者数100名程度規模の場合と、8頁には500名程度の規模の場合の試算があります。 標準保険料(表定料率)での保険料額は、100名とすると賃金として年収500万円に100 (名)を掛けて1,000分の8を掛けるということで、標準的な保険料としては400万円に なります。そのうち業務災害分については、1,000分の8のうちの1,000分の0.9が非業務 災害分ですので、それを除いたものが1,000分の7.1になりますので、500万円に100(名) を掛けて1,000分の7.1ということで、業務災害分に係る保険料が355万円、これは全く メリットの適用がない場合の標準的な保険料になります。  (1)は労働災害が全くない場合という仮定で計算すると、メリット収支率の分子に計 上される額は0になりますので、その場合のメリット収支率は当然0%です。その場合 にメリット増減率はいくらになるかというと、−40%になります。  メリット収支率と、メリット増減率の関係については18頁に書いてあります。メリッ ト収支率が10%以下の場合には、最大40%引下げになります。10%を超え20%の場合は 35%と決めているわけです。この仮定の場合は0%ですので、メリット増減率は−40% ということです。  労災の保険率はどうなるかというと、業務災害分の料率に1+メリット増減率、この 場合は40%減ということで、この分は60%になります。それに非業務災害分を加えたも のがメリット適用後の労災保険率になります。非業務災害分0.9を除いたものに、1,000 分の8から1,000分の0.9(非業務災害分)を除いたものに±40%、この場合は−40%を 掛けて、最後に非業務災害分を加えると、メリット適用後の労災保険率は1,000分の 5.16になります。これで保険料を計算すると、メリット適用後の保険料額は500万× 1,000×1,000分の5.16=258万円になります。  (2)災害が起きた場合ですが、これは不幸にも入院加療後死亡した場合という仮定を 置きました。この場合の被災労働者の給付基礎日額は、給与を30万円としておりますの で、過去3カ月約91日で90万円となりますので、給付基礎日額は9,890円となります。 労働基準法の場合、死亡災害の場合は1,000日分を加算することになりますので989万円 が遺族補償年金の労働基準法相当分ということで入ります。  遺族特別年金については、算定基礎日額は1,978円となりますので、その1,000日分が 197万8,000円です。その他葬祭料が約61万円、医療費等は100万円といたしましたが、 それで1,348万円相当がメリット収支率の分子に算入されます。  それでメリット収支率を計算すると314.9となり、18頁の対比表でいくと150%を超え る場合には40%の増加になりますので、この場合にはメリット増減率は+40%という結 果になります。それで、メリット適用後の労災保険率は括弧の上の算式に従って計算す ると1,000分の10.84となりますので、メリット適用後の保険料額は542万円となります。 無災害時と比べると284万円の増加になります。  8頁では、その規模を500名にしたらどうなるかという例です。この場合、標準の保 険料額は500名ですので2,000万円になります。全く労働災害がない場合、メリット増減 率は同じく−40%になり、メリット労災保険率は1,000分の5.16ですので、100名程度の 規模と変わりません。メリット適用後の保険料額を計算すると1,290万円になります。  (2)は、労働者数が100名程度規模の場合と同じような災害が起きた場合です。この場 合、メリット収支率の算定式の分子については、労働者数が100名程度規模と同じにな ります。分子が保険料としてということで大きくなりますので、メリット収支率として は63%になります。この場合、メリット増減率は18頁の表と見比べると10%減という扱 いになり、この場合のメリット労災保険率については、この算式でメリット増減率は− 10%と置くと、メリット適用後の労災保険率は1,000分の7.2となり、メリット適用後の 保険料額は1,822万円ということで、無災害時と比べて532万円ほどの増加といった試算 です。  9頁は、そういった仮定で置いた場合の保険料額はどのように推移するかというもの です。労働者数が100名程度の場合(1)労働災害がない場合は−40%のメリット増減率の 適用になるので、保険料額258万円がずっと続いていきます。(2)は、例えば平成14年度 に先ほどの仮定の死亡災害が生じた場合は、平成14年度が入る算定期間とするものとし て、平成16年度が保険料額が542万円。ただし、平成12・13・14・15年度については、 無災害の場合の保険料額258万円になり、平成16年度に542万円となります。  500名規模の場合も同じように、労働災害がない場合には、メリット増減率−40%適 用の1,290万円の保険料額が毎年続くわけです。同じく平成14年度に労働災害が起きた 場合については、試算の例では平成15年度までは1,290万円ですが、平成16年度は1,822 万円に保険料額が上がってしまいます。  資料No.3−1は、メリット制の現状の適用状況を整理したものです。左の列から各 業種別の事業場数、労働者数、メリットの適用事業場数、メリットの現状の適用事業割 合です。これは、いちばん左の事業場数を分母としたメリット適用事業場の割合です。 いちばん右が、平成15年度のメリットの最低規模ということで、規模の最下限の状況で すが、これは業種によって異なります。建設事業については、人数の規模要件がないと いうことで、ここは「−」で入れております。  資料No.3−2は、メリット増減率の階級別事業場数の分布表です。資料No.3−3は それを業種別に見たものです。これは、第1回検討会のときにも出させていただいた資 料ですので説明は省略いたします。  メリット制は災害との関連ということで、災害防止の促進の観点からメリット制を導 入した関係もありますので、災害の発生状況との関連を整理したものが資料No.4−1 です。災害の発生状況の推移を見たものですが、13頁で縦棒に線を入れたのは、制度の 改正が行われた時を示しています。昭和40年度は一括有期が創設された時期です。昭和 51年度と昭和55年度については、メリット増減幅の拡大が行われました。昭和51年度は、 継続事業については±30%から±35%、昭和55年度に±35%から±40%になりました。  有期事業の関係については、昭和51年度に±20%から±25%に。昭和55年度に±25% から±30%になりました。最近であれば、平成13・14年度に有期、一括有期については メリット増減幅を±30%から±35%に拡大した時期です。  これは、赤の線が全業種の新規受給者割合、いわゆる適用労働者数分の新規受給者の 割合の推移を見たものです。いちばん上の緑色が林業、青紫が建設事業、青が製造業と いう色分けにしております。昭和41年度以降減少してきている状況ですが、昭和55、6 年以降も一貫して低下しています。最近は低下傾向かと思いますが、ほぼ横ばいしなが ら少しずつ低下しているような状況が見受けられます。  資料No.4−2は、それを「度数率」で見たものです。度数率は、厚生労働省の統計 情報部で実施している労働災害動向調査の結果です。縦棒の線は、新規受給者割合と同 じ線です。調査産業計でいくと、昭和27年以降のグラフになりますけれども、一貫して 低下傾向にあるという状況が見て取れます。  資料No.4−3は「強度率」のグラフです。強度率は、災害の重篤度を表すグラフで す。これについては総合工事業で、大型工事の建設現場が主に当たる所ですが、それと 林業については強度率はわりとデコボコしながら推移しているようです。調査産業計、 いちばん下の製造業については一貫して低下傾向で続いているような状況です。  資料No.4−4は、「メリット増減幅改正の経緯」です。これは、第1回検討会の資 料でもお示ししましたが、いままでのメリット増減幅の推移を示したものです。  参考資料は、メリット制の関係法令について、法律と施行規則の関連を、継続事業、 有期事業の関連ということで整理したものですので、後でご覧ください。  参考資料3は、メリット制についての事業主に対する意識調査を、平成5年に民間の 調査機関に委託して実施したものです。調査の概要については24頁に書いてあります。 全業種の労災保険適用事業場で、平成3年度に新たにメリット制の適用を受けることに なったもののうち約4,000事業場。昔、メリット制の適用があり、途中でメリット制の 適用がなくなり、また平成3年度に新たにメリット制の適用になったという事業場も含 まれておりますが、そういった事業場を約4,000と、平成4年度まで全くメリット制の 適用を受けていない事業場約2,000を合わせた約6,000事業場について、平成5年1月に 実施したものです。  有効回答は約2,000事業場です。その内訳として第1表は業種別、第2表は規模別の 状況です。25頁以降でどういう集計表があるのかを紹介いたします。25頁の第3表は、 メリット制の認知状況を調べたものです。メリット制を知っているか知っていないかと いうことで、全体としては知っている事業場が6割です。ただ、規模が小さくなると、 知っていた割合が低くなる状況です。  26頁の第4表は、メリット制を知った時期、いわゆる「メリット制の適用前から知っ ていた」が4割、「適用後に知った」が46%という状況です。第5表は、メリット制に 関する関心の度合ということで、「メリット制を知っていた」と答えた事業場について、 「大いに関心を持った」が45%、「やや関心を持った」が42%です。  27頁は、過去におけるメリット制の適用状況です。過去にメリット制の適用を受けた ことがあるが約半分の事業場です。そのときにメリット制の適用を受けたことがある場 合に、そのメリット増減率の状況を見たのが第7表で、ほぼ3分の1が−40%適用です。 分布状況は、現行の適用状況と近いのかと思いますが、−40%が大体3分の1を占め ています。  28頁の第8表は、メリット増減率階級別に見た関心の度合です。マイナスとなってい る所の関心の度合は6割を超えていますが、プラスになった所については7割を超える ような関心の度合になっています。  29頁は、メリット適用前における災害防止活動に対する意識です。災害防止活動を是 非実施しようと思ったのが76%という状況です。30頁の第10表は、災害防止活動に対す る意識について、メリットの増減率階級別に見たものです。メリット増減率がプラスに なった所について、是非実施しようと思った割合が8割、9割近いようなデータになっ ています。  31頁の第11表については、メリット適用後の関心の度合と災害防止活動に対する意識 の関係のクロス表です。関心の度合が高いほど、是非実施しようと思った割合が高くな っている状況です。  32頁の第12表は、災害防止活動に対する意識について、災害防止活動の実施状況を見 たものです。全体としては、災害防止活動を実施したが8割近いということです。第13 表は、実施した災害防止活動の内容です。高いのは健康診断の実施、定期自主点検の実 施、安全衛生教育等の実施になっています。34頁の第14表は、先ほどの災害防止活動の 実施状況を業種別に見たものです。  35頁は、今後のメリット制の適用希望を規模別に聞いたものです。「メリット制を適 用してほしい」という希望が76%です。規模が大きいほどその割合が少し高くなってい るような状況です。36頁の第16表は、メリット適用の有無と、今後のメリットでの適用 希望です。受けたことがあるほど、適用してほしいという希望が高いという状況です。  37頁の第17表は、メリット増減率階級別のメリットの適用希望のクロス表です。マイ ナスとなっているのが、当然「適用してほしい」という割合が高くなっておりますけれ ども、+35%、+40%であれば、「適用してほしくない」というのが18%ということで、 ほかの区分より高い割合になっております。  38頁の第18表については、メリット制の関心の度合と今後のメリット制の適用希望の クロス表です。関心を持った度合が高いほど適用してほしいという希望が高いというこ とです。  39頁の第19表は、メリット制の適用希望別の理由を聞いたものです。適用してほしい という希望であれば、「保険料が割引きとなる可能性がある」、という割合が高いです。 それから災害防止活動のきっかけとなるということです。メリット制を適用してほし くないという場合は、保険料が割り増しとなる可能性があるということ、「もともと労 働災害が少ないので」という理由を挙げている所が高い状況です。  40頁の第20表は、適当と思われるメリット増減率の範囲について聞いたものです。拡 大の希望が16%、現状が64%、縮小が5%という状況です。本日お示しした資料のご説 明は以上です。 ○岩村座長  ただいまの資料の説明に対してご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。 ○高梨委員  第1回の会合に欠席した際に、「メリット制については個別事業主による自主的な労 働災害防止のインセンティブを強めるため、増減幅を大幅に拡大し、現実の負担が個別 事業場の災害率の実態をできるだけ反映したものとなるようにすべきである」というメ モを出しました。  ちょっと付け加えますと、いまは±40%の上限・下限が設定されているわけですが、 それをもっと拡大したらどうかというのが1つです。もう1つは、対象になる所が、一 定の規模要件がかかっているのですが、その辺の対象がもっと拡大されていいのかと思 っています。  データの面で事務局に教えていただきたい点がいくつかあります。10頁の資料No.3 −1で、適用事業場数とメリット適用事業場数が出てきて、適用事業場の割合が5.66% となっています。そもそもこの264万というのはすべての適用事業場だと思うのです。 メリット制は、3年間継続していないと適用にならないと思うのです。そうだとすれば、 264万のうち3年未満のものがいくらあるのかというデータがほしいのです。建設業 などは、ちょっと難しい点があるのかもしれません。  3年を超えて事業をやっている中で、100人以上はどれぐらいあるのでしょうか。そ れから、20人以上はどのぐらいあるのですか。20人以下は、そもそも現在でも落ちてし まうわけです。もちろん全体の適用率は大事なのですが、そもそも対象にならないグル ープが結構あるのです。対象になり得る所との関係でどうなのかを知りたいと思うので、 その辺のデータが欲しいのです。  メリット適用事業場は先ほども説明がありましたが、プラス適用と、ゼロ適用と、マ イナス適用とあるわけです。15万事業場についての適用率階級といいますか、それごと の数が出てくるのかどうなのか。 ○数理室長  資料の11頁に出ています。横が、適用される増減率の階級です。 ○高梨委員  それは、わかりました。別のことになりますが、特例メリットがあるのですが、これ を中小企業に絞る理屈といいますか、なぜ中小企業に絞られているのでしょうか。(3) で都道府県労働局長の認定を受けた快適職場の推進計画というのは、たぶん大企業がほ とんどだろうと思うのです。一部中小企業も認定を受けているのでしょうけれども、認 定を受けている件数は大企業もひっくるめて何件ぐらいあって、規模要件に該当する対 象事業場がどれぐらいあって、手を挙げた所が何件あるのでしょうか。現実の特例メリ ットを受けている企業の数は何件あるのでしょうか。  折角、ここのところについては拡大しましょうという考え方になっているのでしょう けれども、空振りになっているのではないかと思ったりもします。この辺の実態はどう なっているのでしょうか。 ○岩村座長  本日わかるものとわからないものがあると思いますので、わからないものについては どの程度資料があるか等の制約もあるかと思いますが、この後メリット制を話題とする ときに用意していただくということになると思います。事務局で仕分けをしていただい て、わからないというものと、調べていただくものと、本日答えをいただけるものがあ りましたらお願いいたします。 ○数理室長  3年未満のものがどのぐらいあるかというのは、いまのところデータを持ち合わせて いないのと、集計できるかどうかわからないです。規模別についてはできると思います が、いま手元にありません。  特例メリットについては、労働安全衛生施策を中小企業に広げたいということもあり、 そのときにメリット制とリンクさせて安全施策を中小企業にも広めたい、という観点 で特例メリット制が導入されたという経緯だったと思います。それで、中小企業に絞っ た形で、特例メリット制が適用されています。認定件数については、いま手元にないの でわかりません。どのぐらいが特例メリットに手を挙げたのかについてもわかりません。 ○高梨委員  特例メリットの件数もわからないのですか。 ○数理室長  いま、それだけを区別することができませんのでわかりません。 ○岩村座長  それは調べていただいて、改めてデータを出していただければと思います。 ○大沢委員  前回休みましたので、理解が行き届かないかと思うのですが、資料No.1 −1で第1種調整率という話が出てきました。次の頁の上に、「事業の種類によって第 1種調整率が違う」とあります。事業の種類によって調整率が異なる理由というのは、 1頁の下の「なお、」からの最後のパラグラフに書いてあると思うのです。一般の事業 で0.67となる理由は、その上の段落で、分子は労働基準法相当額ですから1,000日とか 何だとかで切れているけれども、分母の保険料額の基礎になる保険料率は、純賦課方式 と充足賦課方式でかかってきた料率で、この場合には3年というのは1,000日よりも長 いわけです。長期は7年で、その後は業種間調整されてしまうからというようなもので 出てきたのと、労働基準法が定める1,000日とか何かという差額があるはずだから、そ こに1より小さい数を掛ける必要があるということだと思うのです。それが0.67となる 根拠がよくわからないので教えてください。 ○数理室長  分子と分母の関係で、分子は労働基準法相当額しか入れていません。分母については いま言われたように、短期給付については純賦課で、長期給付については充足賦課とい うことで入れております。これは、給付実績を基にして、 林業、建設、港湾荷役は除 いたところの事業について、給付実績を基にして計算して0.67という数字が出てきたと いうことです。 ○大沢委員  7頁で、労働者数が1,000名規模の場合で、(1)の労働災害がない場合のメリット収支 率の分母に213万と入っているのですが、単純に解説を読むと、ここには355万が入らな ければならないような気がするのです。 ○数理室長  これは、継続事業でずっと続いているということです。 ○大沢委員  ずっと継続されてメリット制が適用されているという意味なのですか。 ○数理室長  はい。 ○大沢委員  いずれにしても、一旦事故が起こると、災害1件が発生して、それが無災 害時の場合と比べて300万円近い割増しになるというか、無災害だったらそれだけが節 約できているということなので、これは相当大きいことなのではないかという気がいた します。  例えば、年金のほうを考えてみても、これは相当大きい節約なので、労災防止に向け てのインセンティブはかなりのものがあるのではないかという印象を受けます。  ただ、林業、建設業等々の第1種調整率ですが、特定疾病というところで差別化して いるみたいなのですが重篤な災害が起こって、長期給付になっている所と、それが少な い所との差異化はどうなっているのかを疑問に思いました。 ○数理室長  重篤であれば、その分だけ医療費が高くなる等の関係で差別化ができると思います。 短期給付については、療養費や休業補償給付については療養開始後3年分しか入れない という整理をしていますので、長くなればなるほど最高3年分までは入るし、短かけれ ば1年ぐらいで医療が終わればそれでおしまいという形で分子に反映していくのだろう と思います。 ○岩村座長  大沢委員がお聞きになった、第1種調整率の件ですが、0.67というのは、先ほどの説 明だと給付実績で出しているのだということでした。もしそうだとすると、第1種調整 率というのは結構動かなければいけないという気がするのですが、そうではないですね。 ○数理室長  平成4年以降見直しを行っていないということもありますが、今後は実績に合わせて 必要があれば見直しをしていきたいと思っております。 ○岩村座長  これは、どのスパンで見直しをするというのは法令上はなかったですね。 ○数理室長  法令上はないです。実績に近い形で、本来見直しをしていく必要はあると思います。 ○倉田委員  基本的な話ですが、データの点でお聞きします。10頁で高梨委員のお話に もありましたが、検討課題としては、適用事業場の割合をもう少し拡大するという話と、 メリット制を適用した場合の±40%を±50%とか±60%に上げるという2つの方向性 の議論があると思います。  平成14年度の数字でいうと、メリット適用の事業場割合は、全産業で5.66%となって いますが、過年度分はどうなっているのかというデータがあればと思います。適用事業 場の要件、法律上変わっている場合には数字も大きく変わるだろうと思うのですが、大 体この辺りの数字で推移しているのかどうかをお聞きします。 ○岩村座長  経年的なデータはあるでしょう。 ○数理室長  本日は用意しておりませんけれども、ありますので用意させていただきます。 ○倉田委員  私の質問は、これがわかった次の質問なのですが、どういうことかというと労災保険 率というのは、基本的に労災保険給付の総額に労働者の賃金を割ったものとして計算さ れているわけです。基本的には当該年度、もしくは年金については長期給付ですから、 その後の年金総額を算定し、必要と思われる給付額に相当するお金を集めるために、そ こを議論の出発点として保険料計算は成り立っていると理解しています。  このメリットを適用すると、本来払うべき保険料よりも低くなったり高くなったりす るわけです。この適用があったときのマクロの増減はどうなのでしょうか。つまり、メ リット適用のマイナス適用事業場のほうが多いという風にグラフに出ているわけです。 そうすると、本来集めるべきはずのお金よりも、少ないお金になっているのではないか という気がするのです。このように物を考えるときに、本来必要なのが例えば100万円 であるというときに、ここは災害が少ないから減らすということで減らした場合には、 予定収入よりマイナスが出ますから、予定収入のマイナスを埋めるためにプラスをつく らなければいけない。運よく高い事業場が出てきたときに、そのプラスが出て、マイナ スと相殺になるのだと考えるとつじつまが合うわけです。  現実の計算において、その辺のプラス・マイナスが合っているのか合っていないのか。 おそらくこの計算方式でいくと、それとは無関係に決まっているはずなので、実際に は5.6%の事業場の中で、本来まともに保険料率を適用したときに得られる収益よりも、 この5.6%の事業場から集まっている保険料の収益はマイナスになっているのではな いかと思うのですが、その点はいかがですか。 ○数理室長  料率の計算のときにご説明いたしましたが、分母の賃金総額を計算するときに、実際 の賃金総額ではないと言いました。そのときに、メリットによる返還金についても考慮 してやっておりますので、メリットの適用によって減少する分も考慮した形で賃金総額 を定めているということになります。そういったメリットの適用状況を考慮したような 賃金総額で料率を計算しておりますので、料率の計算の中には、メリットの適用による 減少分を含んだ形で計算しているという考え方に立っております。 ○倉田委員  計算上は履行されているということですね。 ○数理室長  そうです。 ○倉田委員  私が思ったのは、メリット制の適用事業場割合を拡大していくことになった場合に、 元の労災保険料率の計算のところで、またその数字をいじらなければならないことにな りますね。 ○数理室長  そうです。 ○倉田委員  その辺りの技術的な見通しはどうなのですか。 ○数理室長  確かにメリット制の適用事業割合を増やすと、通常は割引きが多いわけですから下が ります。その分を考慮して料率を引き上げる形で計算されるかと思います。それは、具 体的にどのぐらい適用拡大するかによって決まってきますので、それによってある程度 拡大を図ったときに、どのぐらい下がるかというのはある程度推計して賃金総額の減収 を見込んで料率を計算する形でいくことになりますので、それで表定料率分は少し上が るという形で計算されるのかと思います。全体的に災害が減っていて、分子が減少すれ ば、拡大して料率が下がるとか料率が同じという例も当然あり得ると思います。 ○倉田委員  あくまで印象論で申し上げますけれども、100分の5.66にメリット制が適用されてい るということなので、数字自体が小さいという印象で思っています。業種ごとで見ると 随分バラつきがありますし、その他各種事業だったら、割合としては3.01なのですけれ ども、事業場数でいくと4万事業場ということになっていますから、この辺りがもし グッと増えていくと、その辺りの計算の見込みは難しいのかという印象をもちました。 ○岩村座長  いまの議論の1つは、メリット制の収支で、特にマイナスにいくというのが、実際ど のぐらい災害防止につながっているのか、全体としての労働災害の減少につながるのか という因果関係、統計的な有意性、相関関係の問題ということ。もう1つは、うまく制 度設計をしないと、結局メリットの適用を受ける事業場が増えれば、特にマイナスのほ うが現状では多いので、うまく設計しないとそのマイナスの分がほかのところに全部転 嫁されていってしまって、デフォルトの保険料そのものが上がってしまうという影響を 持つということですね。 ○倉田委員  はい、そういうことです。 ○岩村座長  私から質問させていただきたいのですが、この1頁にもあるように、メリット制のも ともとの趣旨というのは、保険料率の上げ下げで事業主の災害防止努力を促進しようと いう考え方に立っていて、見方としては、事業場について支払われた保険給付の額とい うのが事業主の災害防止努力を反映しているであろうという想定で上げ下げをする。つ まり、ほかに災害防止努力を測る数値的指標がないので、そのかわりに保険給付がどれ だけ多くなったり少なくなったりしているかということで災害防止努力を見ようと、そ ういう形で継続しようという考え方だと思うのです。  そうすると、問題は、その点についてのきちんとしたデータ的な検証があるのかどう かということなのです。事業主が行っている災害防止努力のための投資と保険給付額の 増減、大きさとが相関するということがある程度出れば、災害防止努力の投資を全部の 事業場に使うわけにいかないので、それをもとにして、かわりに保険給付の増減で計測 しようということになると思うのです。要は、保険給付の額が上がったり下がったりす るというのが本当に事業主の災害防止努力というものと結び付いているのかどうかとい うことのような気がするのです。旧労働省も含めて、そういったことを検証する試みを いままでにされたことがあるのかどうか。私も労災をやっていて、そのメリット制の趣 旨はよく知っているのですが、厳密に考えるとそういうことだと思うのです。  特にこのメリットを適用された料率の分布を見たときに、全部、上と下に張り付いて しまっているので、本当に反映されているのかなと思ったのです。今日出してもらった グラフで見ても、メリット増減幅の拡大が何らかの形でインセンティブを事業主に与え ているかというと、どうもあまり関係なさそうな感じもするのです。思うのですが、例 えば強度率、これは重大災害の発生の状況ですが、総合工事とか林業を見ると、全体と しては低下傾向にあるのだけれども、年度によってかなりばらつきがあり、メリットを 動かしたことが必ずしも相関していない気がする。その辺はどうなのかなという気がす るのです。参考資料3でご紹介いただいたアンケート調査以上に、いままで何か試みた ということはあるのでしょうか。 ○数理室長  私が記憶するところでは、していないと思います。座長が言われるように、特定の事 業場を捉えて、その経年的な推移がどうなっているのかを見たらよくわかるのかもしれ ませんが、そういった分析はやっていません。 ○高梨委員  座長がおっしゃることは私も全くそのとおりだと思うのですが、結論的には、私はや はり拡大をしたほうがいいと思います。事務系の仕事なので、事業主として安全衛生の 努力など全くやっていなくても、結果的に特別な負傷もないし、病気も出てこなかった ということが何年か続いて、メリット制の適用を受けるというところも現実にあると思 います。ただ、今回の調査を見ると、かなりのところがメリット制があるということを 知っているし、その適用を受けたことがある。今の上限についても、圧倒的に引上げを 望むところが多いわけではないが、引き上げるほうが幅を縮めるよりは多い。こういう 現状からすれば、災害防止をさせるためということを意図して拡大をしていくというこ とは、当然考えられるのではないかと思います。 ○岡村委員  先ほど大沢委員が質問されたことに関連するのですが、7頁、(1)の213万円という数 字は、3年間無事故であったということを想定している数字ですね。 ○数理室長  そうです。 ○岡村委員  そうしますと、それに基づいて5.16というメリット労災料率が出て、計算が上から下 へとつながっていくわけですが、ここで逆転しますね。まず最初に213万が上にあって、 5.16が出てきて、5.16から0.9を引いたものに500万円掛ける100名を出して213万円を 出すと。ということは、それまでもすでにメリットが適用されていたということを前提 にするのでしょうか。 ○数理室長  はい、そうです。100名程度なのでもともとメリットの適用要件に入っているという 前提条件を説明し忘れましたが、もともとメリット制の適用があって無災害が続いてい たという条件が、その前に付くということです。 ○岡村委員  わかりました。(1)の場合は分母の数字が何であっても分子がゼロなので問題ないので すが、これは(2)のほうに関係してきますので。 ○数理室長  そうですね。 ○岡村委員  (2)のほうの労働災害がない場合の業務災害分の労災保険料の率ではなく額が213万円 ということですね。 ○数理室長  はい。 ○岡村委員  8頁の(2)も額ということでよろしいですか。 ○数理室長  はい。 ○岡村委員  そうであれば、いま私が質問させていただいた213万円の根拠については理解できま した。もう1つ、資料No.4−2、3についてですが、この縦軸の単位は何ですか。 ○数理室長  度数率、強度率とも単位はありません。100万延労働時間の災害件数が1のときに度 数率1と計算するのです。 ○岡村委員  40ということは、その40倍ということですか。 ○数理室長  100万延労働時間に約40件の災害が起きたということです。 ○岡村委員  そうすると、単位は、40件/100万延労働時間ということになりますか。 ○数理室長  あえて表記すると、そういうことになります。強度率は、1,000延労働時間分の労働 損失日数です。労働損失日数は、実際の休業日数、それから、死亡や全労働不能の場合 は7,500日を算入するということで計算した災害の重篤度です。100万延べ労働時間とい うと、年間労働時間が1,800労働時間ぐらいだとすると、規模550人の事業場で1年間の 労働時間が約100万延労働時間になります。 ○岡村委員  29頁、表9の「電気・ガス・水道」のところで「特に実施しようとは思わ なかった」という数字のパーセンテージが高いという説明でしたが、39頁には、「もと もと労働災害が少ない」という答えで、「今後メリット制の適用を希望しない」あるい は「どちらでもいい」という割合が高いという数字が出ています。これが関係する点は あるのですか。 ○数理室長  「電気・ガス・水道」については、これに当たった事業場の数が非常に少ないという ことでまとめたのですが、これらの事業については確かに災害が少ないような事業だと 思われます。でも、これらの関係については、10年以上も前の調査なものですから、ち ょっとわかりかねます。 ○岡村委員  確かに、関係があるような、ないような感じですね。ただ、この「電気・ガス・水道」 というのは、適用は9.56と1割弱ぐらいで、残りの9割ぐらいは適用されていません。 あまり関心がないということなのでしょうか。何かほかに考えられる理由がありますか。 ○数理室長  数字以外の背景については、特に。 ○岩村座長  電気、ガス、水道というのは非競争セクターであるということがあるかもしれません ね。 ○岡村委員  保険でいちばん怖いのはモラルハザードですので、そのようなものが絡んでいるとす れば問題だと思うのです。 ○数理室長  「電気・ガス・水道」という表示が悪いのかもしれませんが、この区分にはその他の 事業も入っています。 ○岡村委員  その他が全体を引っ張っているということですか。 ○数理室長  その他の事業のほうが数としては多いと思います。ですから、そちらの結果に引っ張 られている可能性はあると思います。 ○岡村委員  メリット制を災害防止努力を表す1つの指標として捉えたい、そういう材料にしたい という政策的判断があるわけですが、それがここでは効果がないといいますか、あまり 参考にされ得ていないわけです。それで、啓蒙するなり何なりの対策が必要な分野の1 つに入るのではないかと思って、今のような質問をさせていただいたわけです。 ○数理室長  確かに料率が低いところというのは、もともと災害が少ないところです。事務職のよ うなものもそうですが、高梨委員が言われた無災害がずっと続くという業種ですと、災 害防止意欲も製造業などに比べるとそんなに高まらないのではないかという気はします。 そういった面もなきにしもあらずかなという気はしますが。 ○倉田委員  前に座長がおっしゃったことに関連してお聞きします。メリット制の適用を決める基 準というのは、給付実績と、それまでに払った保険料という2つの数字を使って出して いくという格好になっています。それだと災害の防止・予防とのマッチングがないので はないかという議論もありますが、普通にイメージすると、ある業種の中に平均的な事 故の中心というのがあって、標準偏差で散らばっていくのではないかと思うのです。真 ん中のあるところが±0で、標準偏差で高いところと低いところにいくとそれぞれ保険 料が上がったり下がったりするというイメージを普通は持つと思うのですが、これはそ ういう計算になっていない。実際に労災保険給付として当該事業場がいくら使ったかと いうことを数字として使って、それまでの3年間に投資した保険料の額との比率で基本 的に計算するという格好になっています。労災保険という仕組みの中で、事故の多いと ころと少ないところ、投資効果というものを測るためには、給付実績と保険料の額で見 ていくことしかやりようがないのかなとは思いつつ、もっと別な指標というものを考え ることができれば少し違った展開になるのかなという印象を持ってお話を伺っていまし た。いかがなのでしょうか。 ○数理室長  今は確かに給付実績をもとにやっていますが、例えば労働災害が1件起きてしまった ら1割増加するとか、そのようなことをイメージされているのですか。 ○倉田委員  平均事故率のようなものがあって、平均事故率から離れていると保険料が上がったり 下がったりするというのが、損害保険的なイメージとしてあるのです。労働災害という 保険事項についてはそういう考え方がなかなか馴染まないとか、現行の労災保険制度の 仕組みの上ではそういう数字がなかなかとり得ないという技術的な問題があれば、それ はそれなりに考えていかなければいけないのではないかと思うのです。  件数と事故の大きさと2つあると思うのです。どれだけ医療費がかかったかというの は事故の大きさを測る指標になると思うのですが、何日休んだかというのも大きいと思 います。賃金が高い人が事故に遭っても1件、賃金が低い人が事故に遭っても1件です が、給付額はそれぞれ違う。件数主義で見ていくとその辺が合わない部分があるのでは ないかと思ったのです。 ○数理室長  件数だと重篤度が測れません。給付実績は件数と重篤度を兼ね合わせたような指標と して使えるのではないかということで、実際、労災の場合は給付データがあるので、そ れをもとにして収支率を計算するという考え方だと思います。災害の発生状況の分布は 普通はポアソン分布と言われる分布で、ゼロのほうが高くて、災害件数が右にいくほど どんどん低くなっていきます。真ん中を中心として偏差を見るという見方は、労働災害 の場合はしにくいのかなと思います。 ○倉田委員  その辺のところをもう少し整理していかないといけない。事故率に合わせてメリット 増減をするという発想があって、それに対して応えようとするのであれば、そういうの とはちょっと違うのだということを、データなどでもう少しきちんと示していかないと いけないのではないかという気がします。 ○岩村座長  これはデータ的には大変難しいということを前から伺ってはいるのですが、実際にメ リットの増減というのがどのぐらい行われているのか。実際上出てきた最終的な統計を 見ると、+40%と−40%の上と下に完全に張り付いてしまっている。そうなると、イン センティブが働いた結果ともとれるけれども、上の+40%というのはたまたま事故が起 きてしまったから+40%になってしまっているという感じも受ける。その辺はどうなの かな、というのはちょっと気になります。 ○数理室長  分布表の上で、事業場が右に行ったり左に行ったりする状況が見られないかというこ とですね。 ○岩村座長  そうですね。どの程度動いているのかということが見られないか。小さいとそもそも 母数が少ないということもあるのですが、上下に張り付いてしまっているものでも目立 つものと目立たないものがあるのかなという気もする。メリットの実際の機能がどう果 たされているのかというのが今一つ見えてこない気がします。  インセンティブとの関係で言うと、資料No.2−1でメリットが極端に働く例を挙げ ていただいています。3年間以上無事故できて、40%で下がっていちばん下まで行って、 死亡事故が1件発生するとどうなるかということを、100人という規模で示していた だいている。 そういう意味で、保険料額の増減がかなり強く表れる例です。大沢委員 がおっしゃったように、皆さんがこれを見て大変なことになるということがわかってい れば、一生懸命やろうという話になると思うのです。いままで、こういうことを事業主 等にレクチャーするという活動をしてこられたのでしょうか。  それから、これは保険料がぼんと跳ね上がる例なので、極端に出ているのですが、イ ンセンティブになるとともに、下手をすると、うまく立ち回って災害を隠してしまおう というインセンティブにもなってしまうのです。その辺は、いままでに実情を調査され たことはありますか。実は、別の仕事をしていたときに、労災の申告をしなければ企業 がちゃんと面倒を見てやるから、というような例がたまたま出てきたのです。そういう ことがあると、メリットをつくっていることが逆効果になってしまう部分もある。その 辺はいままでに調べられたことはあるのでしょうか。それがメリットをどうするかとい う議論にかなり関係してくると思うのですが、いかがでしょうか。 ○数理室長  初めの話については、メリット制のQ&Aのようなものを作って、全事業場を回るわ けではありませんが、機会あるごとにメリット制について説明はしています。でも、P Rとしては不足しているのかなという感じはしています。労災隠しの問題については、 統計は特にとってはいません。基本的には労災隠しは犯罪であるという立場で、事故が 起きたら必ず申告しなさいということとしております。労災保険の立場からいえば労災 隠しは別問題という扱いで、全然関連がないことはないのかな、という意識なのかもし れませんが、公共工事の関係であれば事故があれば指名停止という罰則があるように聞 いていますので、その関連も強いのかなと思っています。ただ、どれぐらいあるのかに ついては調べたことはありません。 ○岩村座長  隠しているものは調べようがないというのが実情かもしれませんね。 ○大沢委員  隠さなくても、事故に遭った労働者が適用される労働者ではなかったと移していくこ とがあり得るのかどうか。年金とか健康保険で社会保険料倒産ということが普通に言わ れていますから、事業主負担分を回避したいということはものすごく強い動機としてあ る。そのときに、年金なら週の労働時間で境があるので30時間未満にしてしまったり、 それ以外でも、雇用関係にないということにしてしまう、個人請負のようにして従業員 全員を契約労働者、自営業にしてしまうようなケースすら見受けられる。私が承知して いる限り、労災保険というのは適用対象としての労働者を押さえている幅がいちばん広 いと思うのですが、みんな個人事業主のようにしてしまうことがあり得るのかどうか。 その辺に関心があります。  それから、メリット制をやることによってどれだけ予防のインセンティブになってい るのかということですが、今日のお話を聞いていて、健康保険における自己負担分のよ うな印象を受けました。健康保険も、使うと自己負担があるということになっている。 でも、そのことによってどれだけ本人が病気にならないように努力するか、そのインセ ンティブがあるかないかということは、あまり健康保険では議論にならない。労災保険 も、社会保険としてのあり方の中で一定の予防効果を発揮させようとしている仕組みな ので、どれだけ労災予防投資がなされたか、それで事故がどれだけ減ったかというよう にするべきことなのかどうかは、ちょっと疑問に感じました。 ○数理室長  前半のご質問については、時間の制限はなくて、1時間でも働いていて事故が起きた ら労災の適用をするということになっています。 ○大沢委員  でも、雇用関係にないといけませんよね。 ○労災部長  それは、名称のいかんにかかわらず、就業の実態が使用従属的であれば。 ○大沢委員  コントラクターであっても、このごろディペンデント・コントラクターと いうのがありますよね。 ○労災部長  確かに、それだけではない様々な個別ケースがありますね。 ○大沢委員  特に製造業などでは、業務請負というのがすごく増えてきています。 ○労災部長  個々の労働者が事業主的な立場で業務請負をするというケースについては、非常に判 断が難しいケースがあることは確かです。 ○大沢委員  業者が一括業務請負をしているような場合には、その業者が労災の適用に なるわけですね。 ○労災部長  そうです。そこは問題ありません。 ○大沢委員  いちばん問題なのは、個々の労働者がみんな一人請負のようにされてしま うと手が出ないということですよね。 ○岩村座長  健康保険などは別として、労災保険の場合は労基法と同じで、要は名称ではなく実態 であるということで判断しますので、コントラクト・レイバーになっていても、実態と して普通の労働者と全然変わらないということであれば適用になってしまうというのが、 少なくとも法律論の世界での整理だと思います。実際に適用するのが容易かどうかと いうのは、また別の問題になりますが、整理としてはそうです。 ○大沢委員  そうだとすれば、メリット制があることによって非雇用の労働が野放図に 広がるという心配はしなくていいということですね。 ○岩村座長  それは、どれだけ実効性を持ってその辺を追求できるかというところにかかってくる と思います。 ○大沢委員  私は、労災予防投資のようなものをそれほど厳密に考える必要があるかどうかと言い ました。事務系ばかりの職場とか、営業職の職場などでも、今は過労死とか過労自殺に まで労災が適用になる。そういう適切な働かせ方をしている事業主がメリットを受ける というのは、必ずしも投資ということでなくても、リーズナブルだと思うのです。 ○高梨委員  事業主としての負担の重さの問題からすれば、厚生年金保険料が13.58%ですから、 その半分ということで、労災のほうは平均0.7%程度ですから、ウエイトはだいぶ違う のです。もちろん料率の高いところもあることはありますが、一旦自分のところで災害 が起きれば、実際のメリット制の問題のほかに、従業員に対してどういう手当をするか という問題が当然出てきますので、単に労災保険のメリット制が拡大するから自営業に してしまうというような発想は出てこないのではないでしょうか。 ○岩村座長  全部が全部ということではないと思うのです。ただ、業種としてはあるのかなと。7 頁の資料と8頁の資料を比べてみるとわかるのですが、絶対額でいうと8頁の資料のほ うが多く出るのですが、増加率でいうと7頁のほうが大きく出るのです。100名という 通常の継続事業の下限をとってやってみても、絶対額でいうと小さいほうが1件起きた ときのインパクトは大きく出るところがある。そういう点では、大企業よりも中小企業 のほうが予防のほうに考えがいくのか、そもそも隠してしまえというほうにいくのか、 その辺の発想の違いが出てくるのかなという感想を持ちました。 ○小畑委員  健康や生命というのはかけがえのないものなので、そもそも労災というのはあっては ならない。ですから、労災が起きてしまったことで保険料が上がるというのは理由はあ ると思うのです。残念ながら、健康や生命がかけがえのないもので、労災はあってはな らないということにあまり賛同しない人に対しては、メリット制を予防の説得のための 材料に使うことができるということはあると思います。あと、事業の種類だけで保険料 が決まってしまうというのは、地道に努力をしている事業主にとっては不公平感のよう なものがあると思います。それを考えると、やはりその意味での意義というのがあるの ではないかということは、少なくとも言えるのではないかと思いました。 ○倉田委員  7頁と8頁の計算にもあるように、事故がなければ保険料が下がるし、事故があれば 上がる。つまり、事故がある、ないということと保険料が上がる、下がるという結果の 間には因果関係があるのですが、原因と結果の間の開きがあまりにも大きいと、メリッ ト制というシステムが予定した効果が減じられるのではないか、という議論が中心とし てある。だから、そのやり方をどうするか、ということなのだろうと思うのです。「あ なたのところが上がったのは事故を起こしたからだよ」と言えば確かにそのとおりなの ですが、上がり方、下がり方の問題としてもうちょっと考えていかなければいけない、 と座長は整理されたいのではないかと思うのです。 ○岩村座長  別に結論を先取りするわけではないのですが、ここで出していただいているのは非常 に極端な例なので、あまり一般化はできないと思うのです。これで見ると、どちらかと いうと小規模の100人の場合、死亡事故が1件起きると、過去無事故であってもかなり ぼんと上がる。それを見たときに、事業主によっては、本来想定されるのと別な反応を 示すかもしれないということです。 ○労災部長  メリット制そのものは、事前の予防努力、予防効果を期待した考え方なのでしょうけ れども、結果的には保険給付という結果に依存した形で保険料の負担が上下する。別の 見方をすれば、これはペナルティではないか、という捉え方をする可能性もある。ペナ ルティだとするなら、ペナルティを回避せんがための労災隠しのようなものがあるかも しれない。その面をどう考えるか。倉田委員の意見を伺って、制度の本来の趣旨と制度 の効き方の違いというのは難しい面があるのだろうなと思いました。 ○岩村座長  先ほど岡村委員が触れたように、保険を使った場合にはモラルハザードが怖い。それ を防ぐためにメリットが入っていると思うのです。それはどこの国でも皆そうなのです が、それがどう効いているかというのは見極めが難しいと思うのです。 ○高梨委員  現在、基本は上下±40%にしているわけです。それをどこまで拡大するか。先ほど例 えばということで±50%、±60%とおっしゃいましたが、そうではなくて、もっと幅広 くするという考え方をとったときの、いろいろなデメリットの問題というのがあり得る と思うのです。仮に±40%を動かすにしても、合理的なところまで動かすことしかでき ないのだろうと思います。  それから、質問ですが、資料No.1−3で、除外する特定疾病の範囲を腰痛、振動障 害、じん肺として、業種も固定していますね。これは最後の事業主に雇用される期間に よって区分するわけですが、該当するものとしないものがどれぐらいの比率になるかと いうのはわかるのでしょうか。最後の事業主のところで発病するケースはほとんどない のではないかと思うのですが、実際にデータのようなものはあるのでしょうか。 ○数理室長  疾病が発症したときに最後の事業場でどれぐらい働いていたかというデータですよね。 ○高梨委員  最後の事業場のケースと、最後の事業場には当たらないケースがあるわけですよね。 もちろんそれは労災認定されるわけですが。 ○数理室長  中で全部計算されていますので、除外しているかどうかは給付状況から見るとわから ないのです。 ○岩村座長  逆に言うと、特定疾病については違う調整率を掛けているわけですよね。でも、過去 5年間で特定の調整率が適用された人数を調べても、それ以外かどうかというのはわか りませんね。 ○数理室長  その部分は除けるかもしれませんが、全体に対してどれぐらいの割合かというのはわ からないかもしれません。 ○数理室長補佐  単年度で調べるしかないですね。メリット制の場合には特定疾病はコードを付けて計 算しているはずですから、メリット制の中で排除した特定疾病の給付額というのは出て くるはずなのです。それと当該年度の全体、例えば建設業という業種の給付の疾病部分 を特別集計して比べれば、差は出てきます。せいぜいその程度までしかできません。 ○岩村座長  ただ、それが新規裁定分の中でどれぐらいの比率かということになってしまうと、非 常に難しくなりますね。 ○数理室長補佐  メリットのほうは新規ですが、そうでないところはわかりません。 ○高梨委員  ある意味で事務的な質問なのかもしれませんが、11頁では、メリット制がゼロという のは75%から85%となっています。10%の刻みがゼロになるわけですね。ところが、上 下のほうは5%刻みで動いていくわけです。この刻みを10%にするとか、増減率を±5 %ずつにするとかいう考え方はあるのですか。 ○数理室長  これは間違いです。+10というのは+5です。 ○高梨委員  刻みは最初からこうなのですか。 ○数理室長  作ったときに、確か75から85をゼロにして、初めは5%、あとは10%刻みで持ってい ったと思います。 ○高梨委員  ただ、最初は有期事業は20%まででしたよね。 ○数理室長  そういう時代もありました。 ○高梨委員  そのときは上のほうも+20のところで止まっていたのですか。最初は上下±20でした よね。 ○数理室長  そうです。継続は±30でしたが。 ○高梨委員  そのときのメリット収支率は±40%が打止めだったのでしょうか。 ○岩村座長  それは調査すればわかると思いますので。 ○数理室長  例えば18頁では建設などが±35になっていて、普通の継続事業と区分の仕方が違いま す。これは、70から50のところを収支率で20%を1つの区分にしている例です。こうい った形で、収支率区分が10刻みではなくて20刻みの時代があって、それを1つの収支率 の増減区分として入れていたのだと思います。調べまして、またご説明したいと思いま す。 ○岩村座長  そのほかにありますか。特にないようでしたら、今日の議論はここまでにさせていた だきたいと思います。今日はメリット制について議論しましたが、前回も申し上げまし たように、課題について順次検討してみてということですので、メリット制については また後日、検討させていただきたいと思います。それでは、次回の第4回の検討会につ いて事務局のほうからご提案いただければと思います。 ○数理室長  3つの課題ということで、次回は最後の業種区分についてお願いしたいと思います。 ○岩村座長  次回は業種区分をテーマにして議論したいということですが、よろしいでしょうか。 初回でも、あるいは高梨委員の意見書でも、この点についてはデータ要求等があったと 思いますので、可能なものについてはそのときに出し切っていただければと思います。 ○数理室長  はい。 ○岩村座長  それでは、次回は業種区分について検討させていただくということで、具体的な日程 について事務局からお願いします。 ○数理室長  先生方の日程を事前にお聞きして事務局で調整したのですが、第4回は6月28日 (月)の午後4時半から6時半でお願いできればと思っています。 ○岩村座長  ありがとうございました。次回は6月28日(月)の16時30分から開催したいというこ とですが、よろしいでしょうか。特にご異論もないようですので、今日の検討会はこれ で終了させていただきます。長時間にわたり、どうもありがとうございました。 照会先 労働基準局労災補償部労災管理課労災保険財政数理室 電話:03−5253−1111(代表) (内線5454,5455)