04/06/08 社会保障審議会福祉部会生活保護制度の在り方に関する専門委員会第12回 議事録    社会保障審議会福祉部会 第12回生活保護制度の在り方に関する専門委員会 日時:平成16年6月8日(火)15:00〜17:00 場所:厚生労働省 7階専用第15会議室 出席委員:石橋委員、岩田委員長、大川委員、岡部委員、京極委員、田中委員、根本委員、      布川委員、八田委員、松浦委員         後藤委員、鈴木委員は欠席 議題  :(1)保護施設の在り方について       (2) その他 (岩田委員長)  定刻を過ぎましたので、ただいまより第12回「社会保障審議会福祉部会生活保護制度 の在り方に関する専門委員会」を開催します。  お忙しい中、皆様にはお集まりいただき、誠にありがとうございます。  それでは、事務局から本日の委員の出席状況及び配布資料についての説明をお願いい たします。 (事務局)  まず、委員の出席状況ですが、後藤委員及び鈴木委員からご欠席との連絡をいただい ております。また、八田委員及び松浦委員が若干遅れるということでございます。  続きまして、資料の確認をさせていただきます。  上から順番に、 ・議事次第 ・座席表。 ・資料1「説明資料」 ・資料2「田中委員提出資料」 ・資料3「岡部委員提出資料」 ・資料3−・「岡部委員提出資料」 ・資料4「布川委員提出資料」 ・資料5「大川委員提出資料」 ・第11回の議事録(案) を配布させていただいております。  資料は以上でございます。お手元に以上の資料がない場合は、お知らせください。事 務局の方よりお渡しをいたします。  なお、「第11回の議事録(案)」は、これから各委員に内容の御確認をいただくため ですので、委員のみの配布となっています。  以上でございます。 (岩田委員長)  ありがとうございました。  それでは、本日の議事でございます。前回からの積み残しとして労働能力活用の問題 と資産保有の問題等が残っているのですが、前回御案内のとおり、本日はずっと引き延 ばしておりました施設問題を先に議論させていただき、その後、時間のある限り、前回 からの積み残しを議論したいと思います。  それから、前回、岡部委員から御意見がございました国籍要件と他法他施策、特に国 保との関係について、若干事務局から資料を用意していただいておりますので、これも 時間がある限り議論をしたいと思います。議論し尽くせないとは思いますが、その場合 は次回に回したいと思いますので、よろしく御協力いただきたいと思います。  まずは事務局からご説明いただきまして、その後田中委員からご説明いただきたいと 思います。  大変恐縮ですが、大川委員、布川委員、岡部委員におかれましては資料を出していた だいていますが、それについては御発言の折に御紹介いただければと思います。御協力 をお願いします。  それでは、まず事務局より説明をお願いいたします。 (岡田保護課長より資料1「説明資料」に基づき説明) (岩田委員長)  ありがとうございました。それでは、続きまして田中委員、お願いいたします。 (田中委員)  事務局資料の1ページに保護施設の一覧表があるのですが、私は主に保護施設の中の 救護施設について資料を提出させていただきました。多少、事務局資料と重複する点も あろうかと思うのですがご理解願います。この資料は団体の意見集約でもありまして、 最初にこれをとりまとめた経緯について簡単に申し上げたいと思います。 事務局資料 の数字もございますが、私どもの団体の実態調査においては救護施設の数は全国で182 となっておりまして、利用者は一応、1万7,000 名となっております。  今回、この生活保護制度の在り方に関する専門委員会に対応するために、全国救護施 設協議会でも救護施設の在り方検討委員会を昨年から設置いたしました。そこで、いろ いろな問題について、保護施設側からどういう意見であるかということをまとめさせて いただいたわけでございます。  この資料にもありますように、1ページに全体の意見を5つのポイントにまとめまし た。この5点について申し上げる前に、施設の実態について簡単に申し上げたいと思い ます。  先ほど申しましたように、施設の数は大体180 、1万7,000 名ということになってお ります。救護施設の施設あたりの規模は平均92.5名となっております。生活保護法 の中での保護施設でございますから、当然、一つのセーフティーネットとしての役割が 非常に強いわけでございまして、各都道府県にそれなりの救護施設があるわけですが、 京都、栃木、富山、福井、岐阜、鳥取、鹿児島、この1府6県には救護施設が1か所し かございません。これも地域の事情にもよりますが、保護施設自体がセーフティーネッ トとしての機能が非常に強く、その中でも救護施設は一番利用者の多い施設になってい ることから、現状は若干アンバランスの面があるのではないかと考えております。  ただ、それはそれとして、救護施設は最近、非常に高齢化が進んでおりまして、既に 全国での年齢平均が60歳を超しているわけです。昨年の実態調査によりますと、救護施 設の全国平均年齢が61.5歳になっておるわけで、かなり高いのではないかと思っており ます。50歳から60歳代の入所者が全体の30%を占めており、50歳以上でみると全体の6 割も占めているような状況で、大変高齢化が進んでおるわけでございます。  それから、救護施設が生活保護法下にあることから、生活保護受給者が入っている施 設と言われるのですが、やはり現実には障害者の施設でありまして、入っている人がす べて何らかの障害を持っております。  実態調査によりますと、身体障害のみの利用者は9%で約一割です。知的障害のみの 利用者は21%になっております。その一方で、精神障害のみの利用者は28%と30%近く になっておりまして、また、重複障害の利用者は約3割、30.5%となっております。重 複障害の利用者で見ますと圧倒的に、精神障害の利用者が非常に増えつつあります。  そんなことで、法の文言にもありますように、心身のあらゆる障害を持つ方を受け入 れているとあるとおり、この180 の施設に、それぞれが混合的に入所しているわけでご ざいます。したがって、各施設の状況はかなり違いがあるのです。だから、救護施設を 1か所、2か所見て、これが救護施設ですというふうにはなかなかいきません。どの障 害の利用者が多い施設かによってそれぞれみんな違うわけです。同じ救護施設でも、そ れぞれにかなり違いがあるというのが一つの救護施設の特徴ではないかと思います。そ んなことで、救護施設はあらゆる障害者に、まず第一時的に保護の手を差し伸べている という機能が一つの特徴であって、障害を持つ方々にそれなりのセーフティーネットと しての役割を果たしているのではないかと考えております。  そういう方々に対して、在宅も困難、地域生活も困難という判断の下で、今は措置制 度ですから、措置されて、それぞれの施設に入ってくるわけでございます。そういう方 々に対して、実は施設は施設なりに、法の文言では、救護施設は生活扶助を行うことを 目的とする施設だとはっきり明言してあるわけです。しかし、実態は決してそれだけで はなく、もう一つの自立支援というものを、各施設とも障害の違いはありますが、みん なそれぞれ行っております。  そんなことで、法の定めでは確かにはっきりと生活扶助を行う施設だとなっておりま すが、この資料の1ページの最初のポイントにありますように、「生活扶助を行うこと を目的とするだけではなく、自立支援を行うことを目的とする施設として、その位置づ けを法律上も明確にすべきである」というのが私ども、全国救護施設協議会の集約した 意見の1つでございます。これがどういうふうな困難性があるかどうかは別問題とし て、現実には既に、私どもの表現で言うと、生活扶助機能が半分、自立支援機能が半分 というふうに現実的に行っているわけでございまして、それならやはり、今後の保護施 設の在り方として救護施設にもきちっと文言的に、生活扶助を行うことに加えて、自立 支援を行うべきと明確にされるべきではないかと思います。  もう一つは、資料1ページの2番目のポイントでございます。これは、あらゆる障害 者を受け入れる機能を今日まで50年以上、救護施設は果たしてまいりました。精神障害 者の方、あるいは身体障害者の方、その重複の方も含めて、更にそのほかに、生活障害 と言われる方。もちろん、現実的にはホームレスの方等も含めて、そういう方々をも地 域によってはかなり受け入れている施設もございます。  そんなことで、今後とも、この機能といいますか、あらゆる障害を持つ方々を受け入 れるという幅の広い柔軟性のある機能は、救護施設だからこそできることではないのだ ろうかと思います。最近の施設は限りなく専門性で分かれているわけですが、そういう 意味で救護施設のいわゆる多機能といいますか、いろいろな障害者に手を差し伸べる機 能というものは、私は救護施設の特徴として今後も伸ばしていくべきだろうと思うので す。  これは時間の関係で全部説明できませんが、これらの方々にそれぞれの地域性に応じ た自立支援を今、いろいろな形で行っているところでございます。  最後に、今朝こちらへ来る前に、精神障害を持つ利用者のために非常に熱心に自立支 援を行っているある施設からファクスをいただきまして、これを是非、皆さんに紹介し てほしい、申し上げてほしいと依頼されました。説明を加えると時間が長くなりますの で、ちょっと最後にご紹介します。  これは、自立支援を行うときに生じる福祉事務所の移管問題です。ちょっと読ませて いただきます。  保護施設の利用者が地域生活を希望したとき、どうしても施設周辺が対処せざるを得 なくなります。その理由としては、1、2ありますが、一つは、長い間病院や施設への 在籍したことで、前に住んでいた地域が全く変わっていたり、家族や知人もほとんどい なくなっていることがあります。そういうわけで、自立をするときに施設周辺にどうし ても集まってしまいます。  もう一つの理由として、特に精神障害者の場合、対象を長期的に支えてくれる人や機 関が絶対に必要となります。前の居住地を探すのは困難なことが多く、どうしても施設 から出るときには、よその実施機関から措置されても、結局は施設周辺の地域に移って いきます。  生じている問題点として、一つ目は、施設周辺の福祉事務所の負担が大きくなってい ます。これは、前からいろいろ言われている問題ですが、他の区、市の保護を受けてい る人は、なかなか受け入れ難い。最終的にはもちろん、受け入れるでしょうが、やはり そこにいろいろスムーズにいかない問題が発生してしまうという状況になっています。  二つ目は、現在保護施設から社会復帰させようと思ってもなかなか難しい面が、そう いう問題でも発生しています。これなども、是非、本委員会で何らかの形で協議してい ただきたいものだという切実なファクスをいただきました。  そんなことで最終的には、例えば市町村の実施機関から都道府県に保護の移管をする とか何とかできないだろうかという御意見でした。この福祉事務所の移管の問題が解決 されれば、通所事業、あるいは居宅生活訓練事業の保護施設における地域生活支援制度 もかなり効果が発揮していくのではないだろうか。どうか、この問題を一つ、検討して くださいというファクスが私、こちらに来る直前にいただきましたので、私の予定にな かったことですが、あえて申し上げさせていただきました。  大変大雑把ですが、以上、よろしくお願いいたします。 (岩田委員長)  どうもありがとうございました。  保護施設については、私の知っている限りで言えば、昭和30年代の初めに保護施設の 再建整備計画ということで1回見直しがあったかと思いますが、それ以降だんだん数が 減っていくというようなことで、余り関心がそこに注がれないままに来ているかと思い ます。今、田中委員が御報告のように、例えば救護施設ではいろいろな種類の障害者の 生活扶助と、それから自立支援を実際上やっているというような御紹介があったわけで す。  それで、保護施設問題ですが、居宅を原則とする生活保護と保護施設の関係をどう捉 えるかという、多分、根本の問題がまずあるのではないかと思うのです。保護施設は、 言ってみれば非常に古いタイプのと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、貧 困層以下にある要保護者に対する保護の在り方としては、歴史的に見れば割合古いタイ プの対応ではないかというふうに思われるわけです。もちろん、存続してきたというの は、それなりのニーズがあるからだというのが、今の田中委員の御報告にもあったわけ ですが、そうしますと生活扶助部分を、施設という形でやっていく、しかも、この分類 でやっていく合理性というのは今後もあるのかどうかというのが、一番目の問題として ある。  これは特に専門性とも関係しまして、保護施設は障害者施設というふうに謳っている わけではありませんし、障害者種別も非常に雑多な障害種別、あるいは重複障害が、さ っき田中委員がおっしゃったように、言わば混合収容という形でなされているというの は近代以前という感じもしないわけではなく、そういう危惧はどうなのか。あるいは更 生施設と救護施設というのは事実上、地域によってはかなり同じような対象にサービス を行っておりこの辺をどう考えるかという問題があります。  それから、二番目の問題は保護決定と施設への措置との関係です。これは、現行法上 は決定が施設措置と一致して行われるという判断になっていて、これは裁判でもそうな っていると思います。それで先ほど、課長の方から御説明がありましたように、社会福 祉基礎構造改革のときに保護施設はいわゆる契約型にはなじまないという判断になった と思うのですが、これを、例えば保護決定は決定、施設入所は入所と分離してはいけな い理由がどこかにあるのか私には疑問です。  全体的に見れば、重度の障害者の方でも地域で自立していくというのが今の福祉の一 つの方向であるし、それをサポートしようということで基礎構造改革等が出てきたとい う流れとどう整理していくかだと思います。  それから、3番目に、今田中委員の方から御紹介がありました、例えば救護施設のも っとサービス機能を重視した位置づけ、あるいは移管等の問題をどういうふうに考える かというような個別問題が恐らくあるのだろうと思います。  これは岡部委員の方からも授産施設に関して資料が出ており、もちろん、更生施設で あるとか、医療保護施設であるとか、それはそれぞれに個別問題というのは、またある と思われるわけですが、そもそも保護施設と生活保護との関連については、そういう3 つぐらいのレベルの違う問題があるかというふうに思います。  いかがでしょうか。どうぞ、皆さんの御意見をいただければ。 (田中委員)  ちょっと補足してよろしいでしょうか。  保護施設の数は、現在は一応180 ですが、これは昭和25年に今の生活保護法が発足し たスタート段階では、記録によりますと救護施設が全国で13施設しかありませんでし た。それが、次の昭和26年は18施設という記録が残っているのですが、これが昭和30年 代、昭和40年代になって数がずっと増えまして、それが現在の180 という数になったの です。私なんか、この救護施設に関係するようになったのはかなり昔、昭和30年代から なのですが、その当時から救護施設は他法専門施設の補完的な役割、あるいは他法優先 であるから、いずれはこの救護施設はそっちの方に行き、恐らく今後は増えないだろう という議論がありました。昭和30年代からそういう議論はあったのです。  ところが、逆に昭和30年代、昭和40年代がずっと増えた年代となりました。そして、 昭和50年代、60年代になってから、微増傾向が続きました。年に1とか、多くて2施設 が新設されました。  現在でも若干、増えつつあると聞いております。年に2か所ぐらい増えるであろうと いうような情報も得ておりますが、いずれにしても、いろんな専門施設はたくさんあり ますが、どうしても重複の方、あるいは緊急性を有する障害の重い方が、直ちに利用で きる施設として、その需要を満たすものとして、いろいろ言われながらも現実にそれぞ れの地域で救護施設が増えていったと思うのです。  確かに全体的には混合的な形態が多いのですが、この現状を見れば、必ずしも、混合 は専門性がないとか、あるいは不適切であるというわけでもないのです。一方、混合な るがゆえに、様々な長所もあるのです。いろいろな障害者同士が助け合うとか、自分と 違う、いろいろな障害を持っている人たちと励まし合うとか、そういうよさもあるので す。いろいろな方が団体生活、あるいは集団で生活することで、専門性、一つの障害だ けの施設とまた別のメリットがあるのではないか、生活の中では非常に豊かな生活がで きているのではないかと私は思います。  一方、私の法人にも実は身体障害者の授産施設もあります。旧重度の施設です。それ から、身体障害者旧重度更生施設があります。ほかの身体障害者の利用施設と救護施設 が同じ敷地内にあるのです。その中で、最も障害の重いのが救護施設なのです。  しかし、それでは救護施設はそういう人たちを受け入れておりますが、救護施設とし ての専門性が劣るかというと、決してそんなことはありません。もっと幅の広い、いろ んな障害の種類がありますから、職員集団はやはりそれに対応する勉強が当然必要にな ります。  ですから、総合的な専門性というものが最も必要で大切なのが救護施設であるわけ で、それが50年も続けば、救護施設は確かに生活保護法下の施設ですが、他法の専門施 設と称される施設に劣らない総合的な専門性を十分に、私は全国の救護施設がそれを持 っているのではないかと思います。自画自賛になってもいけませんが、現実にそういう ものが求められるので、50年も経てかなり定着しているのではないかと思います。やは りこれを何とか生かす形でのこれからの保護施設の在り方というものを新しく構築して いきたいと願っております。 (岩田委員長)  そのほか、いかがでしょうか。  どうぞ、岡部委員。  (岡部委員)  私の方は、授産施設についてお話しするという整理でよろしいでしょうか。 (岩田委員長)  どうぞ。 (岡部委員)  今、救護施設について田中委員からお話がありましたが、私も資料を出しております ので、その資料に沿ってお話をしたいと思います。併せて、委員長から出されたことに ついて意見を述べたいと思います。  授産施設について、次の3つの観点からお話をさせていただきます。  第1に、授産施設の位置づけ、沿革。  第2は、授産施設の現状。  第3には、授産施設の役割、意義と課題。  まず、授産施設につきましては、事務局資料の1ページの表に保護施設の中における 授産施設の位置づけが書いてあります。これについては、心身の理由と就業能力に限り のある要保護者に対して就業と技能修得の機会を提供し、自立助長を図る点にありま す。  生活保護授産と並んでおります社会事業授産に関しては同じ位置づけですが、要保護 者でない者、あるいは就業能力に限定されない者が就労の機会を持たない場合、就業の 機会を提供するとなっております。  授産施設というのは就業の機会の提供、あるいは職業訓練、あるいは日中活動の場と して位置づけられるという性格を持つと考えます。授産施設の数と施設数の推移が事務 局資料の2ページに書いてありますように、授産施設は、昭和45年で118 あるわけです が、現在22施設と減っています。  これに反して、救護施設は保護施設の中で唯一増えている施設です。この理由とし て、授産施設は、沿革のところで次にお話をしたいと思いますが、歴史が古く、それぞ れの時代の生活課題に対応する施設として機能しています。この具体的にその変遷につ いては、3ページから5ページに歴史的変遷をお示ししております。後で見ていただけ ればと思います。  9ページには、「設立の背景」が載っています。戦争直後に職業更生のために設立し たものというのが非常に多くて、以下、結核回復者、障害者の就労の場、戦後の母子世 帯の救貧対策、過疎地対策、高齢者の生きがい対策とあります。授産施設の守備範囲は 広く、大きくは就業の機会の提供と、職業訓練を目的としています。その時代時代の背 景を持っているということは、そういう意味で、その地域の中で社会資源、雇用の場が 十分でない、あるいは社会福祉施設でそれに相当するものがないという場合には、授産 施設がその役割を果たしてきたということでもあります。これが、私の提出資料1の 「生保・社会事業授産施設の歴史的位置づけ」で書いている現状と沿革になります。  2点目の現状につきましては、これは今、お話ししたように数が減ってきておりま す。現在、生保授産22、社会事業授産154 で、トータルで6,132 人が利用という実態に あります。  これも先ほど言いましたように、地域的には相当偏在しております。その数は主とし て東京都と長野県が非常に多い。これはそれぞれの地域の中で、例えば高齢者対策をや ろうとか、その中で障害者の施設が十分でなかったので、授産施設は代替的な役割を果 たしてきた事情があるということです。  それでは利用者はどうなのかということは、これは2ページの中段の「(2)利用者 の状況」の中で書いてあります。全体で障害者が51.4% 、母子が18.6% 、高齢者が12.2 %となっており、内訳からすると、先ほど救護施設でお話が出た混合的な性格を持って おります。  工賃については授産全体でいくと、例えば知的障害者福祉法で規定されている授産施 設、身体障害者福祉法で規定されている授産施設等と比べて、生活保護授産、社会事業 授産の工賃は高くなっています。  これは逆に言うと、障害のない利用者で労働能力が高いレベルにある方も中にいると いうことで、その層が工賃を押し上げていることがあります。  それでは、授産を持っている意味がどこにあるのかという、これは役割という形が3 ページのところに少し書かせていただいたものです。  私は、これは大きく分けて2点あるというふうに考えております。  これはある意味では救護施設と同様という形になるかもしれませんが、障害の有無で あるとか、種別であるとか、程度の高低であるとか、年齢等を問うていないわけです。 そういう条件下で就業の機会とか、職業訓練、場合によっては職業訓練に行き着かない ような日中活動の場としても機能しています。  また、今日的な経済・雇用状況から判断しますと、障害者の雇用というのは随分頑張 って取り組んでいただいておりますが、それでも、やはり雇用環境というのが非常に厳 しい状況の中で、障害者であるとか、母子であるとか、高齢者の就労の場がなかなか確 保できない。このような状況下では、授産施設の必要性・重要性の意味合いもまたある のではないか。更には、近年ではDVであるとか、ホームレスであるとか、多重債務等 のそういうようないろんな課題を抱えている方も授産施設で作業を行っています。  就労の在り方として、一般の労働市場の中で仕事をされる方、福祉的な雇用、半就労 ・半福祉的なところで仕事される方、福祉という枠の中で作業される方がおります。そ の際に就労場所として身障・知的・精神用に同じように施設があるわけですが、その中 ではなかなか対応できない利用者を生保授産、社会事業授産の中で対応しているという 実態にあります。これは、そういう面からもいろんな労働を通じて、生活のいろいろな 課題のある人を支える、最終的なセーフティーネットとしての機能も果たしているので はないかと。これが1点目の授産施設の役割です。  授産施設の役割の2点目は、福祉から雇用へという考え方からすると、授産施設とい うのは一つの結接点、つまり結び目の位置づけを持っているのではないかと。ですか ら、授産施設というものをどういうふうに考えるか。現状の中では、一定の必要性があ ると認識しております。この位置づけをより明確化していくということが今後より必要 なのではないかと考えます。  重要な役割として2つ挙げましたが、では問題はないのかということですが、課題と して私の方としては2つ挙げさせていただきます。  1つ目の課題は、一般労働市場への移行が難しいという点です。入所者がある程度長 期化しており、出口がなかなか見出せないため、新規の入所、通所の人が利用すること ができません。もう少し通過施設としての機能をもつ方策が必要ではないかと思いま す。  2つ目の課題は、授産施設というのは、(1)就業の場、(2)職業訓練の場、(3)日中い ろんな生活の課題を持ってらっしゃる方たちが、日中そこで活動される場としても機能 している。現在これらを一つに混在して行っているわけです。それは、ある意味で効率 性から言えば機能分化した方がいいのではないかという考え方もあります。しかし、逆 に言うと機能をそれぞれ分化するのではなくて、組み合わせということも考えて授産を とらえていく必要があるのではないかと思います。  委員長からお話しをしていただきましたが、救護施設であるとか、授産施設は他法の 施策が充実していろんな施設ができたときには、減少するものであるということを絶え ず言われていましたし、私もそう考えておりました。しかしながら、救護施設について は、どんどん拡大傾向にあります。授産施設については、数は減っていますが、まだそ の必要というものはあります。このことをどう考えたらいいのかという問題があると思 います。  このことで私の方で考えるのは、他法の施設でなぜ受けられないのかということで す。例えば、高齢者であれば、介護保険の施設に入っていいのではないか、また、身体 障害者であれば身体障害者向けの授産施設に入った方がいいのではないか。問題は要す るに、重複の問題を、例えば、身体で精神のある方を身体の施設で受け入れてくれるの か。精神の方で受け入れてくれるのか。あるいは、障害の程度は軽いが、いろいろな生 活の課題のある方は、ではどこで受けたらいいのか。そういう状態にある方たちに対し て、例えば、それぞれ各法の施設の中できちっと受け皿をつくるというやり方もある し、救護、あるいは授産のような形で、ある程度そういう場というのはより現状の中で 有効機能していくという、そういう方策もあるのではないかと考えます。  私は、生保授産ないしは社会事業授産という立場でお話をしていますが、広く言え ば、例えば障害の雇用をどう考えるのかとか、福祉施設体系全体をどう考えるのかとい うところの論議にもつながってくるのではないかと考えています。  以上です。 (岩田委員長)  ありがとうございました。今の授産の問題は、救護施設と一緒には考えられません。 さっき通過施設とおっしゃいましたが、生活扶助の施設ではないので、通過という意味 がちょっと違います。授産施設、医療保護施設、それから宿所提供施設は、医療保護施 設はちょっと別かもしれませんが、生活扶助については居宅の基準で保護を受けて利用 するものと考えられます。しかし、更生施設と救護施設は、それ自体生活扶助の施設で す。  私も現実的にニーズがあってそういう矛盾があるというのはよく知っています。施設 のご苦労について評価をしていますが、だから今のままでいいかどうかはまた別の話 で、それはやはりさっきの保護の決定の問題と密接に絡んでニーズが増えているとも言 えるのではないか、少しそういう見方もあり得るのではないかと思います。  いずれにしても、最初の2つと後の問題は、少し分離した方がいいと思います。  根本委員、どうぞ。 (根本委員)  二つのポイントがあるような気がします。  一つのポイントはやはり大きい流れの中で、措置から利用へという流れ、これは一般 施策としてあると思うのですが、その中で障害者施設等が充実する中で、可能であれば 生活保護の利用者も、そういう一般施設としての施設を積極的に利用できるということ になると思います。そういうところで保護の決定の問題があります。このことと併せ て、一般施策における施設と保護施設とはどう違うのか。そこに利用プラス措置、ある いは措置のみという形がどの程度あるかというのが、一つの話題としてあるような気が します。  もう一つのポイントは、一般施策がいかに充実したとしても、いかなる仕組みをつく ったとしても、それが生活保護の一つの宿命というか、機能としてある総合的なセーフ ティーネットがそうだと思うのですが、いかなる仕組みがあったとしても、それを結果 として利用できない、あるいは利用しにくい人が出ると思います。そのためにあるの が、またこの生活保護という制度だろうと思います。保護施設というのは、そういうふ うな位置づけとしてあると思います。  そういう前提として見た場合に、現行の施設体系でよいのかという問題があります。 先ほど事務局から4種類の保護施設について御説明がありましたが、私自身ちょっと不 勉強で、もしかしたらもうそうなっているのかもしれませんが、少なくとも法律上は5 種類の保護施設があるはずですが、医療保護施設について、あえてここで出ていないの はどういうことなのでしょうか。医療保護施設もあるのであれば、整理だけはきちんと しておく必要があるのかなと思います、このような公的な場で検討をするのであれば、 なおのこと、総括しておくことが必要と思います。  また、施設体系を問う場合に、これもずっと出ておるわけですが、施設の利用者が非 常に多様化してきています。現行の救護施設と更生施設、授産施設の利用者の議論でも あったかと思うのですが、非常に多様化している中で、現行の保護施設の仕組みで果た していいのかどうかということです。  更に、新しいニーズとして住宅保障とか就労支援がこれまでにないかたちで浮上して いるときに、そのようなニーズを充足する仕組みとして、果たして現行の施設体系がな じむのかということも、十分見ておきたいところです。  特に、住宅保障との関連からすると、これも田中委員の方から出ておりましたが、緊 急一時保護的なものとか、そういう現在特に必要と思われるニーズが生まれている中で の体系、そこら辺も一回掘り起こしておく必要があるのかなと思います。 (岩田委員長)  ありがとうございました。どうぞ、大川委員。 (大川委員)  私も、1年ほど救護施設の担当をやったことがありまして、率直に言って実施機関か らすると、救護施設に入れてしまうと、施設に本当にお任せにしていたことに少し反省 も込めながら、田中委員のお話を聞かせていただきました。  確かに、今、社会福祉基礎構造改革の中で、サービスをいろいろ選べる時代になって いく中で、一方でどのサービスも選べない人が出てくるという状況は、これは以前より も増してきたのだろうと思っています。そういう中で、救護施設の持っている役割を、 いろんな面で再評価をしなければいけないのかなと思っています。  ただ、当初施設が持っていたイメージ、あるいは制度設計の中にあったものが、実際 の流れの中でそれとだんだん合わなくなってきている問題は、これはどの社会福祉施設 も同じ問題をずっと抱えてきているように思うのです。  典型的な例が、重度心身障害者の子どもの施設、これが実は圧倒的に過年齢児、つま り18歳を超えた子どもで占められているそうです。障害者の施設においても、当初制度 でイメージした以上に重度化が進んでいくとか、いろんな当初の予定と違っている状況 が起きてきていると思います。  その中で、最近全体の施設がどういう方向で動いているかと考えますと、やはり収容 から地域へということで、とにかく施設の箱の中で1か所にまとめて処遇をするのでは なくて、地域での生活に近づける、脱施設化なんていう言い方もありますが、方向で進 んでいると思うのです。  そういった流れの中で救護施設の在り方を見直していくべきだろうと思っているので す。ですので、救護施設が長い中で、混合収容みたいな言われ方もありましたが、やは り先々はケア付きのグループホーム的なところに移行していくべきではないかと思いま す。ただ、それは今ある救護施設の自助努力だけでどうこうできるものでもないので、 これを制度的にどう担保するか。もちろん、1年、2年でできることではないと思いま すが、将来的にはケア付きのグループホームを、そこの中に言ってみれば他の制度で十 分包み込めなかった人たちに、援助の場として積極的に整備をしていくという考え方が あるのではないかと思っております。  もう一つは、岩田委員長の方から出ておりました、措置と決定の関係ですが、これは 私も基本的には同意見で、やはり、例えば今の場合、生活保護の救護施設に入るという のも、実施機関の決定において行われているわけですが、考え方からすれば生活保護に ついては、適用するかどうかについては当然行政決定として残すべきです。ただし、生 活保護法の中で持っている救護施設については、保護受給者が利用できる施設と考えた 上で、例えばそこの利用料として国が一定の負担をし、そして場合によっては入院患者 日用品費のような形で金銭を給付するという考え方があるのではないかと思っておりま す。  もしかして、ほかの施設が減少しているのに、救護施設が増えているのは、生活扶助 という、非常に特異な形で施設運営を行っていることが原因の一つではと思います。だ から、他の施設で受け入れるべき人たちが移行しないまま、極端に言えば「終のすみか 」として救護施設が使われてしまっているという現象があるのではないかと思っていま す。  ですから、そういった意味で、例えば、生活保護施設として、一定の役割とシステム を維持しながら、利用という形で実質を担保し、利用料を国と自治体の負担として生活 保護の部分で給付をしながら、ある程度自分の自由に使える金銭を留保するという制度 改革の方向が、もちろん、これも一足飛びにいかないと思いますが、そういう方向が考 えられるのではないかと思っています。  最後に移管の問題で、これは現場では現実の問題としてあるように思います。私の勤 める横浜市では、比較的交通は便利ですから、自分の勤めている自治体でない救護施設 に入所したとしても、訪問等することは、比較的しやすいのです。それにしては余り行 かなかったという反省もあるのですが、やはり非常に広域にわたってくると、その方へ のきめ細かな援助がどうしても施設任せになってしまいます。  ただ、逆にその施設のあるところの自治体に実施責任を任せてしまうと、さっき言っ た問題、つまり施設のある街はそこの施設から出ることに非常に消極的になります。つ まりうちに施設があるからといって、例えばうちの管轄内に救護施設の退所者にアパー ト設定をさせないでくださいといったようなブレーキがかかりかねません。ですので、 この辺については、当然ある程度のルールは整備しないといけないと思います。これに ついてはある程度、生活保護費の根本の問題で、現在国が4分の3、自治体が4分の1 という負担割合ですが、この考え方をきちっと維持した上でやらないと、今、言われて いるように単純に財源移譲で自治体の負担を増やした場合に、今、言った救護施設の退 所者の行き場を結果として失ってしまう問題が出るように思っています。  私は救護施設を出た方の自立支援については、自治体任せにしない何らかのシステム というのをちゃんと考えないと、救護施設が結果的に苦労するだろうと考えておりま す。  以上です。 (岩田委員長)  ありがとうございました。今日は出ませんでしたが、更生施設も同様の問題を抱えて いると思います。それから、更生施設については、救護施設以上に、例えば、ホームレ スと言われる方たちの生活保護決定に関しては幾つかの自治体は施設収容を先行させる という慣習と言いますか、方針が明記されてきました。さっきの保護の決定と措置とい うのがそこで一致していて、そのニーズになるものがむしろそういうやり方でつくられ てきたというところもあるように思います。  しかし、他方でさっき根本委員がおっしゃったように、緊急一時保護的な機能とか、 それから例えば病院退院後少し、あるいは高齢者の介護においても、短期の生活訓練な どを実施する、そういう機能を備えた中間施設のようなものはやはり必要だろうと思い ます。  ですから、施設の在り方は生活保護だけ特殊ではなくて、社会福祉全体の中で考えら れている現在の方向のどこかに、今すぐということではないのですが、いずれ生活保護 の施設も整理していくことは、今後の課題としては大きいのではないかと思います。  そのときに、医療保護の問題と、それから宿所提供施設のむしろ住宅機能、この辺り は今の2つとはまた別に整理していく必要があるのではないかと思います。  どうぞ、京極委員。 (京極委員)  私は、公的扶助の研究者でもなければ、保護施設について直接運営しているものでは ないものですから、一人の国民としての立場でお話しします。  現に保護施設がそれぞれ、救護施設も含めて担っている役割とか、存在理由は認める ものでありますが、ただ制度全体として長期的にどう考えていくかという点に立ちます と、やはり現状をちょっと微調整するだけでは済まない大きな問題があると思います。  歴史的に見ますと、やはり戦後直後は生活保護しかなかったわけで、居宅保護と施設 保護とに分けて、施設保護に養護老人ホームから保育園まで全部入っていて、それがだ んだんと各法が独立していって、残されたのが保護施設として残っているというわけで す。  更に措置施設として独立していったものも利用契約制度に、徐々にではありますが、 幾つかは残っていますが、移行しています。  そういう基礎構造改革の中では、生活保護者を対象とするから利用にはなじまないと いうことで据え置かれたわけですが、現に利用施設においても生活保護者が入っている わけでありまして、その理由でなじまないというのは、私はおかしいのではないかと思 います。つまり、それぞれ保護施設に分類されている施設をどうするかということはま た別に置いて、保護施設の存在理由そのものが、生活保護に規定されている施設が保護 施設だということですが、果たしてすべて保護施設というのは生活保護に置いておくべ きかどうかということ自体が私は問題ではないかと思います。むしろ流れから言って、 別途の施設にするか、あるいは保護施設がどうしても緊急一時保護とか、その他施設で はできないものについての役割に限定するということはあるとしても、基本的にはそれ ぞれ、高齢者だったら高齢者の施設に、障害者だったら障害者施設に独立分化して社会 福祉法上の施設として位置づければいいのではないかと思います。  国の補助金も、先ほどの事務局の説明では同じとおっしゃっていましたが、従来の措 置施設は2分の1が国の補助でありまして、保護施設だけ4分の3になっています。で も、必ずしも4分の3を国が出す理由は、保護施設に置いてあるからだけの理由であり ますので、どうしても国が保護しなければいけないということではないと思います。や はり地方の力も借りて、そして考えていくということ、その生活保護の給付とはまた別 の意味で、施設というのは地域によって支えられるということをこれからやっていかな ければなりません。現状は先ほどいろいろ出たように、施設から出て小規模化のところ に移るとか、あるいは在宅に移るとか、そういうことを妨げてしまうような傾向がある と思います。  施設にお住まいの方は、居心地がいいということで、ずっと長くいらっしゃるわけで すが、やはり本来の持っている能力などに着目すれば、もうちょっと今の流れから言い ますと、地域に出てくることが可能なわけで、そういう方向に導くような政策体系をつ くっていくために制度改革ということも、将来においては必要だと思います。  その上で、それぞれの施設ごとの役割がそれぞれあると思います。特に宿所提供施設 なんていうのは、かえって今、ホームレスがたくさん出てきましたので、逆に見直され ているのかなと思ったりしますが、どちらかというと短期給付というか、短期的な保護 施設として専門特化し、あとはやはり専門的な施設に振り変わっていくというのが流れ のような気がいたします。  以上です。 (岩田委員長)  松浦委員、どうぞ。 (松浦委員)  国の役割、この施設でも4分の3国庫補助があるわけですが、今年の2月でしたね、 生活保護を一般財源化するという話があって、みんな相当驚いて、私もそのときに三位 一体改革だから必ずそのお金は確保できる、一般財源にしても同額だけは確保できると いう前提において、それであれば落としませんということを申し上げたことがありま す。今、見てみますとそういう状況ではありませんので、ひっくるめて福祉の後退とい うのは、今のような財政状況の中では、避けられないのではないかと思います。  これが特に一般財源化されますと、私の市では早くから気が付いて、これはいかんと いうことで予算を減らし、6年間ずっと減額予算を組んでいます。この3年間でも、大 体予算規模250 億規模ですが、その中で10億、10億、10億と、もう3年連続10億ずつ減 らしています。そこまでしても、今年度の予算は基金から6億取り崩している状況で す。  ですから、今のような財政状況の中では、それはあらゆる面に緊縮財政が及んでいま すから、だからこれだけ予算を増やしていく、まして地方がこれをやっていくというこ とは、非常に難しい状況に追い込まれていると思います。 (岩田委員長)  それは、生活保護全般という意味ですね。 (松浦委員)  あらゆる事業がですね。もちろん、公共事業もです。 (岩田委員長)  それでは、あと30分ほどしかありませんが、次の稼働能力の取り扱い、あるいは資産 保有の問題に移ります。 (岡田保護課長)  その前に、今日施設の関係で、さまざまな議論が出ましたので、我々も頭の整理をさ せていただいて、次回論点整理みたいな形で出させていただきたいと思います。  それから、先ほど医療保護施設について、資料の提出がないんじゃないかというよう な御指摘をいただきましたが、これも次回お出ししたいと思います。今は事実上、指定 医療機関で現物給付という形で医療を行われています。恐らく、かつてこの生活保護制 度ができるときの問題だと思うのですが、普通の医療機関でなかなか生活保護の人が受 けられないという問題があって、医療保護施設が造られたのではないかと思います。現 状としてはそういうことはありませんので、実情は余り医療保護施設として機能してい ないので資料から割愛させていただきましたが、次回現状の資料も合わせて出させてい ただきたいと思います。 (大川委員)  次回の資料に、救護施設の通所事業とか関連の厚生労働省さんでやっておられる施策 の概要を説明した資料を出していただけませんか。よろしくお願いいたします。 (岩田委員長)  よろしいでしょうか。それでは、施設関連については、次回もう一度、今日の議論を 踏まえたまとめを出していただくということで、次に移りたいと思います。  まず、稼働能力の活用の問題ですが、これは前回尻切れトンボと言いますか、入口だ けちょっと入っただけで終わってしまいましたので、これについて御意見いただけます でしょうか。  どうぞ、布川委員。 (布川委員)  前回の続きになるのですが、今年の2月から、保護の要件とか自立支援ということで ずっと議論をしてきて、生活が困難になった状況の中で、どれだけ早めに保護で受け、 その上でどう自立を援助していくのかという議論をしてきたかと思います。その関連 で、稼働能力の活用ということについての提案として、今日の資料4を出させていただ きました。  全部は説明いたしませんが、どんなことを提案させていただきたいかと申しますと、 1点目は、先ほどの流れで言いますと、なるべく早く保護で受け、自立を支援していく ために、能力の活用の要件をどう見直したらいいのかということ。  2点目は、それとの関わりで言うと、自立の支援をちゃんとやっていこうと思えば、 保護を受けている利用者の方とケースワーカーの信頼関係が重要なのに、それが損なわ れているのではないか。入口のところでお互いの信頼ができないまま始まってしまうケ ースが多々あるかと思います。何回か前の議論で、自立の計画を立ててとか、契約をし てということも議論になりました。利用者の持っている困難な状況なり、可能性なりと いうのが話し合えるようにするには、能力の活用という要件の問題と、保護を受けてか らの権利と義務の関係とか、制裁という形で不利益変更というのがありますが、その辺 も含めて検討しなければいけないと思います。  ですから、能力の活用というだけではなく、少し広い問題提起になってしまいます が、御議論いただけたらと思います。  まず、資料の1枚目ですが、現行の規定がどうなっているのかという、私なりの理解 をまとめたのが左側で、それに対してこんなふうに改正をしたらどうか、こういう問題 点があるのではないかというのが右側の欄です。  まず、能力の活用というからには、能力の活用とはどういうものかという定義です が、ここで問題と思っているのはこんなことです。  例えば、私の知っている人で、保護を申請しながらホームヘルパー2級の講習に通っ ている方がいたのですが、保護は却下されました。稼働能力を活用していなかった、職 安に行っていなかったということだそうです。本人としたらヘルパーの資格を取って仕 事に就こうと思っているのですが、そういうふうには認めてもらえない状況がありま す。ですから、稼働能力の活用というのと、今、持っている能力だけでやれる方もいら っしゃるかとは思いますが、能力も高めていきながらという場合の整理が要るのではな いかと思います。能力の活用を余りにも近視眼的に言うのではなくて、キャリア形成と か能力開発というのがしっかりできるような位置づけにするのが必要ではないかという のが(1)のところです。  それから、二番目は、能力活用に関わる判断基準です。まず、勤労能力の有無の判断 が一つあると思います。  それともう一つは、2の(2)ですが、就労が期待できる職業かどうかという基準も あると思います。(1)はその方の年齢とか、身体的な状況で、勤労ができるかどうか 判断するのですが、それだけではなくて、その人の状況に合わせて、職歴・経験・資格 ・学歴も含め、どんな職業に就くことが期待可能なのか、それから家族、育児とか介護 などの状況から見ても、その人に合った職業、条件がどんなものなのかというのを、も っとしっかり見ていくべきです。(1)の仕事ができる、できないというだけではなく て、その人はどんな仕事なら就くことができるのかの、きめ細かい基準、判断も必要じ ゃないかと思います。そういう点について検討が必要というのが、2の(2)の右側の 上段です。  いずれにしても、私の思いは、仕事があるのに就かなかったのではないかとして保護 を適用しないのではなく、どういう仕事にどう就いていくのかと、自立支援、カウンセ リングを行い、その中でこういう仕事ができるのではないかと、前向きな形で自立計画 を作っていくためには、職業の期待可能性とか、期待ができる職業の判断がどうしても 必要なのではないかと思います。それが、能力活用ということに関わっての定義、判断 について感じていることです。  次は前回余りうまく言えなかったところです。2枚目ですが、能力の活用という問題 を、入口の問題と保護を受けてからの問題に分けた方がいいのではないかというのが前 回言いたかったことです。2枚目の3のところは、入口に関わることです。  保護申請と能力活用要件としましたが、まず申請段階での基本原則というのは、左の (1)基本原則のところにあるように、生活困窮の状況にあるならば、一応まずは保護 の対象として、そこからケースワークとか、生活支援、自立支援の措置を講ずるという ことを明確にしていく必要があるのではないかと思います。それが入口のところでの基 本原則について思っていることです。  それと、そうは言っても、問題事例と言うのでしょうか。なかなかこの人はというこ とでいろいろ問題があるケースが出てくるかもしれません。そんなときに、どう対応す るのかというのが難しいところだと思うのですが、早いうちからカウンセリングを行う 専門的対応のできるシステムが必要だと考えています。  と同時に、そういうカウンセリングとか、就労の相談、援助をしている間に、アパー ト代が払えなくなってしまって、アパートを出ないといけなくなってしまうということ になりますと、それは逆に就労の支援が本当に困難になってしまいますから、そういう 急迫状態にある場合には、すぐに保護を適用する、保護を適用しながら支えていくとい う対応がどうしても必要ではないかと思います。  ただ、どうしても問題があるというふうに見える場合には、保護費を分割で支給する とかという対応もありましょうし、場合によってはあとで償還ということも可能かもし れません。自立支援とか就労の援助をするというときに、生活が困窮なままで、食べる ものもなく、職安に行くバス代もないというのでは何もできませんので、急迫性に基づ いた保護の支給というのが必要ではないかというのが、3番目のところです。   資料の3枚目が、保護受給中の能力の活用に関わることです。その人の自立支援をし っかりやっていくには見直しが必要ではないかと思うのが、生活保護法の60条に規定さ れています「保護受給中の権利と義務」です。被保護者は生活上の義務を負うことにな っていますが、この表現は50年前のものですから社会福祉基礎構造改革を経た今日で は、自己決定もこの中に入れた方がいいのではないかと思います。  保護を受けているときの基本原則を(1)のところに挙げましたが、これは惰民防止 という観点からではなくて、自立助長という見地からしないといけないという大事な指 摘です。ただ、受給する権利を得るのだから、その反対給付として義務を負うのだとい う規定になっています。現代的な権利として、この規定でいいのかという疑問がありま すが、それはまた後で述べます。  それが基本原則です。この60条に反しても、これで直接制裁があるというわけではな いのが今の規定です。ただし、程度を越して、生活の向上の義務を怠っている者に対し てということで、現行では法27条に基づいて、文書による指導指示を行って、62条に基 づいて保護の停廃止をするという対応が取られることになっております。程度を越して 怠る者とは、これはもう古い書物になりますが、『別冊問答集』を見ると、この1〜7 の事例が挙がっています。これにどう対応するかというのは、これまでいろいろ積み上 げられてきているかと思います。  程度を越して怠る者にどう対応するのかについての提案は、右側の方に書きました が、一点目は、就労義務を果たさないから制裁という論理の組み立てではなくて、やは り自立の支援ということですから、本人を保護するのが逆に本人にとって自立の妨げに なっている場合という位置づけでの不利益変更、という論理になるのではないか。  二点目は、保護の停廃止、削減というのは、その人にとってみますと最低生活以下の 生活をもたらすことになるわけですから、不利益変更後の本人の生活状況を十分考慮し ないといけないのではないかと思います。  三点目は、不利益変更後も、ケースワークを継続する義務を、実施機関が負うという ことです。その人が最低生活以下の生活をするのを知った上で、保護を廃止する、生活 状況が悪い中で保護を出さないという決定をするわけですから、実施機関はその後の責 任も負うのだと思います。  もう一つは、そうした就労拒否と判断する前提としては、職安に行けば仕事があった という程度ではなく、やはり停廃止をするということについては、実施機関の方がその 人に合ったこういう仕事が明確にあるというのを提示する義務を負わないといけないの ではないかと思います。  以上が、自立支援と、それをどう利用者と実施機関の側が信頼しながらやれるかとい うことも含めまして、こうした改正が必要ではないかと思います。御意見をいただけれ ばと思います。 (岩田委員長)  ありがとうございました。かなり包括的な御意見だったと思いますが、どの辺からい ったらいいでしょうか。そうしましたら、今の布川委員の御発言に関連しても結構です し、あるいははそれとはまた別の角度から、この労働能力の活用、能力活用というの は、要件の一つとして、保護の補足性の中に書かれている基本原理なわけですが、これ をどういうふうに解釈していったらいいかということでもかまいません。 (京極委員)  労働能力といってもかなり厳しい生活保護受給者が多い現状です。戦後あるときまで は存在した職がないために保護を受けていたという人たちはほとんど解消したのではな いかと思います。だから、その面で言いますと、かつての戦後のある時期までの生活保 護者の能力活用という問題は、もうほとんど解決済みというか、新しい時代になって 今、非常に難しい方々が生活保護を受けているという時代認識をまず前提にしなくては なりません。その上で能力活用というのは、現在直ちに発揮できる勤労能力というふう に問答集では書いてありますが、障害者の自立支援とかを考えますと、潜在的能力も含 めて、直ちに発揮できるものは活用すべきですが、能力を開発していくということをど う考えていくか、それを福祉事務所や保護施設の方がいろいろ努力されて、いかに支援 していくかということが大事ではないかということをまず申し上げたい。  それから、能力という場合に意欲と関係しておりますので、やはり精神障害をお持ち の方とか、潜在能力はあるが、意欲がないという方もいらっしゃると思うので、そうい う方々をどう働きの場に持ってくるかという課題があると思います。  私は、生活保護を受けたことが、自立していない生活だというふうには考えておりま せん。一部生活保護を受けながら、例えば稼得収入も一部ありながら生活していくとい うことも含めて、今日的には自立だと考えます。経済的な自立助長という意味ではない のですが、そういう点で考えますと、潜在能力を生かしていくことが自立生活だという 考え方で、ちょっと現行の生活保護の自立助長とは違うのですが、確かに難しいケース がたくさんあることは重々承知の上で、もっと地域社会で何らかの能力を発揮してやっ ていけるように、その流れの中でやっていく必要があると思います。  その辺で言いますと、被保護世帯として地域でそのままずっと暮らして行くのか、長 期化するか、あるいは保護施設に入って一生を送るかということになってしまいがちな わけで、それを何とか打破する方法を考える必要があります。  そうすると、能力の解釈とか、そういうことも今日的な解釈で少し見直していく。そ れから意欲をどうするかというのは、ソーシャルワーク機能をもうちょっと高めなけれ ばならない。給付決定したらそれで生活保護としてはおしまいではなくて、それから先 が大事だということで、もっとソーシャルワーク機能を充実させて就労につなげていく べく方策を改善していく必要があると思っております。 (岩田委員長)  ありがとうございました。田中委員、どうぞ。 (田中委員)  私はどうしても保護施設の問題になってしまいます。保護施設と自立支援の問題とし て、つい最近私どもがひとつの失敗例として味わった例を申し上げ、自立支援を行う場 合に、施設側と、それから保護の実施機関とかなり綿密な連絡を取っていかないと、1 人の人の自立生活をずっと進められることが非常に難しいということをわかっていただ きたいと思います。私もむしろ皆様からいろいろ教えていただきたいのですが、私ども の施設に1人の弱視者が3年ほど前に入りました。どういうふうに自立していくかとい うことで別の更生施設から依頼されて入った人です。本来であれば、更生施設で十分の ケースですが、弱視ということで私どもの施設に入ったわけです。  私どもの施設は盲学校に比較的近いところにあるものですから、3年間盲学校通うこ とを考えました。ただもう50歳過ぎておりますから、盲学校へ行きなさいというだけで はとても通わないのですね。施設のワーカーが本人とかなり話し合いまして、ようやっ と本人も、ではもう一遍自分の人生を切り開いていこうと決心されました。弱視になっ たために、実は今まで働いていた仕事が全部だめになったケースでした。それで、3年 間通いました。 その間、もう勉強がつらいから辞めるということが何回もありました。 それを何とか話し合いをして、励ましながら、ようやっとこの3月に卒業しまして、あ るところにマッサージ師として就職をしました。我々も喜びました。実施機関の方も、 大変珍しいケースだいうことで、大変喜んだわけです。  ところが、私どもも反省しているのですが、1つの組織の中、企業の中に働いていく には、かなり人間関係のやり方を指導していかないと、本人もかなり勉強していかない と難しかったのです。ついこの間職場に連絡しましたら、いやもう辞めましたというこ とでした。ほとんど1か月ぐらいしか仕事が続きませんでした。そこで我々も慌ててい ろいろ探したのですが、なかなかうまくいかない。そういうときに、実は、施設側だけ の力だけでは、なかなかうまくいかない場合もあります。やはり実施機関が一緒になっ て連携していけば、かなりのケースも解決できる面があると思います。  通常、生活保護の適用の問題を考える際には、適用の有無とか金額云々という問題は 出ますが、それ以前にやはり社会復帰ないしは自立支援を実現するには、相当本人に対 する指導、今は指導という言葉が余りよくないらしいのですが、そういうものが必要で す。今後、生活保護から脱却をして、少しずつ自立支援を実現していくためには、相当 厳しく指導を行うことがかなり大切な要素なのではないか。ただ、金額がどうのこうの だけでは解決できない問題が出てくるのではないかと思います。  そのようなケースは、実は施設側の方にはかなりあります。先ほど来言われているよ うに、施設に長く生活をしていますと、確かに生活自体は一定の解決を得ます。しか し、外の世界ではそうはいきませんので、出ていくには相当の勇気が要ります。これは 理屈の問題は別として、相当の勇気も要るのです。その辺のことは、施設だけではなか なか解決できない。実施機関の、特に専門的なそういう方々と一緒になってやってい く。そういうシステムを、私は今後、保護施設の立場から言えば、そういう連携的な問 題を、もっともっと制度的にもきちっと謳ってやっていくことが必要ではないかと。こ れをまず1点申し上げます。 (岩田委員長)  田中委員、済みません。時間がもうないということと、ここでの議論は、労働能力の 活用問題は、もちろん、自立問題と大変深い関係がありますので、田中委員おっしゃる とおり、いろんな連携や援助が必要だと思うのですが、まず決定の際の要件として、ど ういう場合を能力活用してないと考えるかということと、受給中にその活用を怠ったと いうことで保護が廃止になるというのは、どういう場合かという話なのです。  今日はもう時間もありませんので、また引き続きということになってしまうかもしれ ません。  それと、先ほど京極委員がおっしゃった、失業問題が解決済みという現状認識につい ては、やや異なった見方も当然あるだろうと思います。特に最近この10年ぐらい、ある いは今後、雇用環境が非常に変わっております。仮に景気回復しても、雇用形態やその 長さということについてはこれまでと全く違う環境の中で雇用を継続するという時代に なってくることを前提にして、生活保護の考え方を少し議論する必要があるのではない か。  というのは、日本の場合は失業扶助というのを別に設けているわけではなくて、生活 保護が一般扶助ですべての機能を取り込んでおりますので、失業者に対する扶助として どのように機能するかを考える時に、先ほど京極委員がおっしゃったとおり、この問題 が非常に関係してくるのだと思うのです。  ですから、今後どういう雇用環境になるかというのはまだ未知数ではありますが、京 極委員がおっしゃったように、現在の被保護層というのは、いろんな意味で大変な困難 を抱えてらっしゃるので、自立支援の方向の中ではかなり能力の再開発とか、意欲をど ういうふうに持っていただくかということが課題になるだろうと思います。むしろ補足 性との関係で言いますと、どういう状態を能力活用している状態と考えるかというふう に、その辺ややこしいですが、ちょっと区別して議論した方がいいかなというふうに思 います。  現場でも随分いろいろな地域差はあると思いますが、「能力活用」ではなくて、「能 力」だけで判断する、例えば、65歳以上とか、障害や病気をお持ちであれば要件を満た すが、そうではない場合はだめだというような神話が、現場である時期まかり通ってい た。つまり「能力」の方は医学的判断ならそれなりに客観的に出ますので、まだつかみ やすいのかもしれませんが、「能力活用」となりますと、大変わかりにくいということ があるのかなと思います。  ですから、福祉の場合はこれを総合的判断せざるを得ず、またそれはある社会状況の 中で決めるしかないので大変難しいとは思いますが、その辺りをまた整理して、本格的 にやったら結論はなかなか出ないと思いますが、次回もう一回確認と言いますか、この 時点でどの辺りのことが言えるかを議論したいと思います。  それから、資産保有の方がもう大分議論が進んでいたので、そっちを先にすればよか ったのですが、ちょっとうっかりしてしまいましたので、それはまた次回、大川委員に まとめていただいたものを御報告いただきたいと思います。  それから、今日まだ積み残しが、外国人の問題とか、他法他施策との関係とか幾つも ありますし、まだ更にあると思いますが、それも次回ということで、今日の議事につい てはここまでというふうにさせていただきたいと思います。 (田中委員)  ちょっと確認をさせていただきたいのですが、保護施設の問題に私もこだわるのです が、今日それなりの資料を提出させていただいて、問題提起も、私の発表そのものは十 分ではありませんが、これからの保護施設の在り方、機能の問題等、これはもうちょっ と突っ込んだ議論を次回やっていただけるのでしょうか。 (岩田委員長)  先ほど課長がおっしゃったように、事務方の方で今日の議論を整理した上で、もう一 回出してくださるそうです。ですから、次回もう一回できます。  大川委員、どうぞ。 (大川委員)  それからの進め方ですが、専門委員会の任期もあとわずかということで、恐らく8月 中に何らかのまとめを出していかなければいけないと思っています。  この間、いろいろ論議が行ったり来たりはしていますが、その中には、例えば、特に 時間を取って論議をしなくても、ある程度共通認識に立っているだろうものもあると思 います。その辺の整理も兼ねて、最終取りまとめに向けて起草委員会というと大げさで すが、そういった形で論議のまとめの作業に委員の中で何人かを選出して入ることがで きないかどうか、これを御検討いただきたいというのが一点です。  もう一点は、自治体の方で、では前回実際根本委員の方からも民生委員のヒアリング ということが御提案としてありましたが、例えばこの論議の枠以外に民生委員、自治体 関係者、可能かどうかわかりませんが生活保護受給者も含めて、やはり何らかの意見を 聞くという場を設定できないかというふうに考えております。  ただ、今の問題は、ヒアリングについては時間的に大変厳しいという面もあるかと思 うので、もしそれがかなわない場合は、可能かどうかわかりませんが、例えば最終とり まとめを出した以降に、パブリック・コメントのような形が取れるかどうか。広く一般 の人と言いますか、市民、住民に、この論議の内容を明らかにして意見をもらって、そ れをちゃんと厚生労働省の中で集約して具体的に作業に入るといったことが、今後専門 委員会のラストの日程の中に組み込めないかということです。  いずれにしても、専門委員会の取りまとめについては、できれば起草委員会のような 形で選任できればということで、意見として考えておりますので、よろしくお願いいた します。 (岩田委員長)  その点は、事務局の方は、また御相談しますか。 (事務局)  起草委員会の点は、そういったものが必要なのかどうかという点について御相談させ ていただきたいと考えております。  あとパブリック・コメントの点については、こういった委員会の報告についてパブリ ック・コメントに付すというのは、通常なされないところでございますが、いずれにし ても、委員会のとりまとめにつきましては、公になるものというふうに考えております ので、それについては公になったものに対する御意見というのは、私ども真摯に耳を傾 けていきたいと考えております。 (岩田委員長)  よろしいでしょうか。 (大川委員)  どういう取りまとめをするかについて、次回が始まる前ぐらいに、もし何らかの形で 委員の方に示していただければと思います、次回も今、言った救護施設の問題とか、稼 働能力の問題とか、論議しなければいけないことはたくさんあるので、若干外でのやり 取りになると思いますが、作業の御検討をお願いします。 (岩田委員長)  次回できるかどうかちょっとわかりませんが、それではなるべく早い時点で、いずれ しなければならないわけですが、取りまとめを行いたいと思います。中間報告がかなり 大変だったので、そうならないようにということだろうと思いますが、それは事務局と 私の方で相談させていただきたいと思います。ヒアリングも含めて、この委員会が終わ るまでのレベルでできるか、あるいは終わった後ということで相談いたします。  それでは、最後に次回以降の日程等について、事務局から説明をお願いします。 (事務局)  次回以降の委員会の日程でございますが、次回につきましては、6月29日火曜日の午 前10時〜12時に厚生労働省5階共用第7会議室にて開催する予定でございます。次々回 につきましては、7月14日水曜日の午前10時〜12時、更にその次につきましては、7月26 日月曜日の15時〜17時を予定しております。  詳細につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願 いいたします。  以上でございます。 (岩田委員長)  6月、7月は月2回づつで大変申し訳ございませんけれども、どうぞよろしくお願い いたします。 (岡部委員)  1つだけ。先ほどの取りまとめの件ですが、事務局の方が中間報告をやっていただき ました。しかし最終報告につきましては、委員全員ということではなくて、何人かの方 々が最終報告のたたき台の詰めをやっていただければと思います。それを基にして議論 させて頂ければと考えております。是非そういう方向で考えていただければというのが 私の意見です。 (岩田委員長)  わかりました。それでは、そういう御意見を踏まえて事務局と相談して、次回御報告 させていただきます。  それでは、時間オーバーで大変申し訳ございません。長時間の御議論どうもありがと うございました。また、次回どうぞよろしくお願いいたします。 (照会先) 社会・援護局 保護課 企画法令係       電話 03-5253-1111(内線2827)