040/06/08 医薬品産業政策の推進に係る懇談会第1回議事録           医薬品産業政策の推進に係る懇談会 第1回            平成16年6月8日(月) 15:00〜17:00            於:厚生労働省専用第18〜20会議室 17階 1.開会 ○高倉経済課長  それでは定刻となりましたので、ただ今より今年度の医薬品産業政策の推進に係る懇 談会、第1回になりますが開催をさせていただきます。  私は、司会進行をさせていただきます医政局経済課長の高倉と申します。よろしくお 願い申し上げます。 2.挨拶 ○高倉経済課長  最初に、岩尾厚生労働省医政局長より御挨拶がございます。局長、よろしくお願い申 し上げます。 ○岩尾医政局長  厚生労働省医政局岩尾でございます。本日、お忙しい中お集まりいただきましてあり がとうございました。  厚生労働省は、一昨年の8月に医薬品産業ビジョンを策定、公表いたしました。この 中で今後5年間をイノベーション促進のための集中期間と位置づけまして、国が行うべ き施策をアクションプランとして提示し、これら施策を計画的・段階的に実施している ところでございます。  御案内のとおり、昨年度初めて、平成14年末時点でのアクションプランの進捗状況を 取りまとめ、関係者の皆様から御意見を伺いました。  昨年度の懇談会におきましては、アクションプラン全体として概ね一定の評価をいた だいたと理解しておりますが、治験環境、審査、薬価をはじめ、厳しい御意見も承った ところでございます。厚生労働省として、いただいた御意見を踏まえ、できる限り前倒 しをしながら施策の推進に努めたいと考えております。  アクションプランを確実に推進、実りあるものにするためには、少なくとも年に1度 はその道のりを振り返って点検し評価するということが必要と思っております。このた め、今年度も医薬品・医療機器産業政策推進本部におきまして、平成15年度末時点での アクションプランの進捗状況を点検し、本日お手元に配布いたしました資料としてまと めております。  本日はこれを踏まえまして、アクションプランの今後の進め方を含め、広く医薬品産 業政策全般につきまして、関係者の皆様から忌憚のない御意見を承り、一層の施策の充 実に努めたいと考えております。率直な御意見、活発な御議論を賜りますようお願いい たします。  また、御多忙にも関わりませず、本懇談会のために時間をとっていただきました本日 の先生方に感謝申し上げるとともに、今後とも御指導、御鞭撻を賜りますよう改めてお 願い申し上げて私の御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。 3.出席者紹介 ○高倉経済課長  ありがとうございました。続きまして、本日の出席者の御紹介をさせていただきま す。意見発表を行っていただく順に御紹介させていただきます。  まず、医薬品産業情報研究会、PIフォーラムの会長の浅野克彦様でございます。キリ ンビール医薬カンパニー株式会社の社長でいらっしゃいます。  次に、医薬工業協議会会長の吉田逸郎様でございます。東和薬品の社長様でいらっし ゃいます。  実は、意見発表のほうの議事次第にお三方目に書かせていただいております、日本大 衆薬工業協会の上原副会長におかれましては、並行して本日別途行われおります医薬品 の販売制度改正検討部会のほうの議論が少し遅れているということで、4時ぐらいを目 処で後ほどお越しいただくということで、ちょっと発表順等はあとのほうになろうかと 思います。  続きまして、4番目には日本医薬品卸業連合会会長の松谷様でございます。東邦薬品 の社長でいらっしゃいます。  続きまして、大阪大学大学院の医学系研究科長、医学部長の山西弘一先生でいらっし ゃいます。  国立病院機構の大阪医療センター副院長の楠岡英雄先生でございます。  次に、事務局、厚生労働省側を紹介させていただきます。  先ほど、医政局長岩尾より御挨拶させていただきましたが、その隣が医療保険・医政 担当審議官の中島でございます。  その左側が、大臣官房の厚生科学課研究企画官の成田でございます。  右にまいりまして、医薬食品局の安全対策課長の平山でございます。  右のほうの流れで紹介させていただきます。保険局の医療課保険医療企画調査室の武 田でございます。  同じく医療課の企画官の中村でございます。  同じく医療課の薬剤管理官の川原でございます。  その隣が、医薬食品局の審査管理課の医療機器審査管理室長山本でございます。  次の審査管理課長、岸田は海外出張中でございまして、代理として同課の関野課長補 佐が出席させていただいております。  私の左側が医政局の研究開発振興課長でございますが、国会用務で遅れておりまして 代理として課長補佐の廣田が出席をしております。  その次が、経済課の首席流通指導官市山でございます。  その次の国立病院課長は後ほど遅れてこちらにまいるという予定でございます。  続けて、同じく国立病院課の国立病院機構管理室長の池永でございます。  同じく国立病院課の高度専門医療指導官の冨澤においては、若干遅れて別の会議が済 んでからの出席となります。 4.意見発表 ○高倉経済課長  それでは、これから本日お手元に配布させていただいております議事次第に従いまし て、御出席の皆様から御発言をお願いしたいと存じます。  冒頭、局長の御挨拶で申しましたように、医薬品産業ビジョンアクションプランの進 捗状況の評価を中心に幅広く御意見をということでございますので、時間が許せば本来 私どものほうで作りました、「産業ビジョンのアクションプランの進捗状況等」という 本日の資料としては参考資料ということで配布させていただいておりますものについ て、御説明をした上で御意見を伺うという段取りが通常かもしれませんが、時間が大変 限られおりますので、事前に資料を送らせいただいておるということで、資料説明のほ うは割愛をさせていただきたいと存じます。  もし、その内容等についての御質問などございましたら、後ほどの意見交換の場の時 間などの中でも確認をいただければと思います。したがいまして、行政側のいろんな状 況の説明等については省かせいただきまして、きょうは基本的にお越し頂いた方々から の御意見をこの議事次第にございます順序で述べていただいて、その上で意見交換等を させていただきたいと考えております。  事前の御案内で、お一人5,6分程度でお願いをしたいと申し上げておりますけれど も、大変幅広いことでございますので、なかなか厳密にはそういかないかもしれません が、できれば後ほどの意見交換の時間なども長く取りたいという趣旨でのお願いでござ いますので、そのあたり御留意いただければありがたいと思います。  なお、本日意見発表していただく方々に対しましては、事務局より別途これこれこう いう点を中心に御意見を伺いたいということをお伝えさせていただいておりますけれど も、傍聴の方々の便もございますので、改めて司会者のほうからこういったことをお願 いしているということで、御披露させていただきます。  4点でございます。1点目は、医薬品産業ビジョンの国際競争力強化のためのアク ションプラン、この進捗状況に関する評価それ自体でございます。  2点目としましては、このアクションプランの中で、今後特にもっと重点的に取り組 むべきと考えられる事項でございますとか、あるいは書かれていないけれどもこういっ たことも盛り込んで取り組むべきではないかといったようなことについての御意見。  3点目といたしましては、そういったアクションプランといったような部分に限ら ず、広く医薬品産業の国際競争力強化という大きな課題に向けて、医薬品産業政策全般 について何か御意見があればそれも是非ということで書いております。  4点目につきましては、これはもし該当があればということでございますけれども、 医薬品産業ビジョンにおきましては、行政側の施策を書くだけでなく産業政策でござい ますので、個々の企業あるいは産業の団体等にもいろいろお取り組みをお願いしたいと 呼びかけでもあるわでございまして、そういった呼びかけに対応するような団体、ある いは傘下の企業等における国際競争力強化に向けた具体的な取り組みなど御披露いただ けるようなものがあれば合わせてお願いをしたいと。そんなことを事前に送らせて頂い たところでございます。  一つの御参考にしていただいて、全体の趣旨に合う形であれば後は御自由にというこ とでございますけれども、御発言をいただきたいと存じます。  なお、これはただのハウスキーピングですけれども、意見陳述に当たりましては、マ イクのスイッチを入れて御発言をお願いいたします。また、御発言を終わった場合には 切っていただかないと逆に雑音等入るということでございますので、終わりましたらお 手元のスイッチは消していただくということについて御協力をよろしくお願いいたしま す。  それでは、最初に浅野会長から御発言をお願いいたします。よろしくお願いいたしま す。 ○浅野会長  御紹介いただきました、医薬品産業情報研究会で会長をしております浅野と申しま す。どうぞよろしくお願いいたします。  今年も、この懇談会にお招きをいただきまして誠にありがとうございます。私どもの 会は、たぶんほとんどの方は御存知ないと思いますので簡単に御説明申し上げます。専 業ではない、非専業の医薬品事業をやっている会社の集まりでございます。そういう訳 で、この医薬品業界にはそれほど長い歴史を持っていないグループなものですから、そ ういうグループが集まってお互いに協力しながら勉強をし、切磋琢磨して成長していこ うではないかという趣旨で集まり、いろいろな情報交換をしている団体でございます。  約24社ぐらいありまして、サイズは様々でございますが、もともと非専業でございま すのでそれほど大きな製薬事業をやっているというわけではございませんが、売上高で いくと大きい方が2千億円ぐらいでございましょうか、小さいほうは数百億円というよ うな規模のグループが集まっておりまして、主に研究開発を中心に新薬を開発していく とこういう企業が中心でございます。そういう会の代表として、構成会社からでました 意見も含めまして、今日は簡単にこのビジョンについてのコメントをさせていただきた いと思います。  お手元に資料1がございますので、それに従って要点だけ御説明をさせていただこう と思います。全般につきまして、最初に簡単に申し上げますと、そこにも書きましたよ うに、ビジョンの実現に向けて着実に前進をしているという印象を持っております。昨 年も同じように申し上げましたが、「year by year」と申しましょうか、毎年確実に前 に進んでいるという印象を持っておりまして、厚生労働省の皆様方の御努力に敬意を表 したいとこういうふうに考えております。  昨年お招きいただいた時にも申し上げましたけれど、きょうも主に治験の推進に関す る問題、それから薬価制度を中心にした事業環境と申しましょうか、私どもの立場から いえばそういう2点について意見を申し述べさせていただきたいと思っております。  全体で申しますと、治験環境の整備については着実に進捗が見られるというふうに考 えております。全国治験活性化3カ年計画というのも、スケジュールに従って着実に実 現がされてきているというふうに考えております。ただ、やはり国際競争力という観点 から比べ、欧米と私ども日本を比較いたしますと、依然としてその差はまだ大きいとい うことを感ぜざるを得ないわけでありまして、改革のスピードアップというのがとても 重要ではないかと感じているところでございます。  一方、薬価を中心とした事業環境につきましては、昨年も申し上げましたけれど具体 的な進捗がまだない、あるいはそういうことに関するコメントがほとんど進捗報告には 述べられていないというのが残念であると、こういうふうに思っているところでござい ます。  アクションプランについてのもう少し具体的なお話をさせていただきますと、まず治 験実施体制の整備については、先ほども申し上げましたように着実に進んでいると拝見 しております。特に治験コーディネーターの養成と配置が進んでいるということは、実 際に私どもが感じているところでございますし、症例報告や有害事象報告、カルテの直 接閲覧こういったものについても従来に比べますと、大変スムースに進むようになった とこうふうに実感しているところでございます。  ただ症例を施設、病院と契約して集めるわけですが、そこのところのスピードについ てはなかなか私どもが期待したほど改善されていないなというところが一つ、この治験 環境については大きな課題ではないかと感じております。これが、よく言われますよう に欧米と日本を比べた場合に治験期間が日本の場合非常に長くなり、その結果として1 症例あたりのコストが非常に高くなると、こういった原因にもなっているのだろうとい うふうに感じまして、ここをもう少し抜本的に見直して行く必要があるのではないかと 考えております。  それから研究開発促進税制、これにつきましてはこのビジョンがでましてから早速こ ういう制度を取り入れていただきまして、大変私どもにとってはありがたい制度という ふうに評価をさせていただいております。これは継続してこれからもお願いしたいとこ ろでございますが、現在は、次年度までにしか繰越控除というのが認められておりませ んけれども、産業側から申し上げますと、この控除をもう少し長く3年ないし5年ぐら いの期間でやれるようにしていただけないだろうかという希望を持っております。  それから本年4月から発足しました医薬品医療機器総合機構に関しましては、前から 一貫性のある治験の相談そして評価というようなことを、産業側としても強く期待して おったわけでございますが、これが実現することになって大変私ども大きな期待を持っ て今これからの治験の推進に寄与していただけるだろうと考えているところでございま す。特にこれからいろんなチャレンジをなさると思うのですけれども、先ほど来申し上 げましたようにスピードというのが非常に重要、特に国際競争力という観点からすれ ば、スピードというのが非常に大きな要素になってくると思いますので、治験相談ある いは審査そのものが一体化したわけでございますので、スピード感のある審査をお願い したいと思います。これも、昨年少し申し上げましたが、科学的な合理性に基づいた柔 軟な審査と申しましょうか、完璧なものを求めるのではなくて科学的合理性に基づいて 是非を論じると、そういうようなスタンスで審査をお願いしたいと考えております。  それから従来からの課題で、これもございますがブリッジングについても可能な限り 柔軟に対応していただいて、治験の効率化につながるようなそういう施策をお願いでき たらありがたいと思っております。  それから申請データの保護、知的財産という観点からの保護については、これは産業 界からいろいろと意見をお出ししておりまして、私どもも同じように、保護期間を現在 6年だったと思いますけれども10年ぐらいにまで認めていただけないだろうかという希 望を持っておりますので是非御検討いただきたいなと思います。  それから新しい医療として、最近は再生医療等が非常に大きな将来の医療の課題とし てあるわけでございます。こういったようなものの治験の体制あるいは審査の体制、そ れからそれに対する産業界から申し上げれば知的所有権と申しましょうか、そういうよ うなものについての新しい考え方と申しましょうか、そういうものをもう少し明確に打 ち出していただけるとありがたい。これは国際競争力という観点からしますとまだ新し い分野ですので、日本も十分世界に互して、こういう領域であれば新しい価値を日本の 医療の中に入れていくチャンスのある分野だと思いますので、是非国策としてそういう ことを積極的に御検討いただければなというふうに思っております。  今申し上げましたように2年間拝見させていただいて、私ども自身も実際に臨床試験 をやりながら進捗があるというふうに感じておるわけですけれども、これも冒頭申し上 げましたけれど国際競争力という観点で彼我の比較をいたしますと、やはりまだ満足で きる状況でないということは歴然としているというのも事実でございます。先ほど申し 上げましたように、もう少しスピードを早めて、早くキャッチアップをしていただくこ とを是非お願いしたいと考えているところでございます。  それから事業環境の整備につきましては、一番大きなのはどうしても薬価制度という ことになります。従来の薬価算定方式に囚われない、薬の価値に見合った薬価の算定を 是非お願いしたいということを言ってまいりましたし、そういう議論は産業界とのいろ いろな形で御議論をしていただいていると思いますけれども、大きな産業にとってのイ ンセンティブでございますし、国際競争力という観点からしましてもこういうものが一 つの大きなインセンティブになって始めて産業側のチャレンジというものもできるわけ でございます。是非ここにつきましては、もう少し具体的に踏み込んで御議論をいただ きたいなと思っております。  特に、進捗報告で拝見しますと、産業界による研究会に厚生労働省からも参加して進 めている薬価制度、薬剤給付のあり方というふうに書いてございますが、その検討して いらっしゃる状況とか、あるいはタイムラインと申しましょうか、ロードマップと申し ましょうか、いつ頃までに何をというようなところは、もう少しはっきりお示しいただ けないだろうかと考えているところでございます。  それから最後にもう一つだけ注文をつけさせていただきますと、来年の4月に改正薬 事法が施行されるわけでございますが、ここの中身についてはアナウンスが非常に遅れ ておりまして、未だに十分中身が私どものところに示されていないと、それによっても うあと1年を切っているわけですが、私どもがそれに対する準備をするのに非常に今苦 慮しているというところもございますものですから、こちらを是非早く進めて産業側に もその中身をお知らせいただきたいなとこういう希望を持っております。  コメントを閉じるに当たりまして、全般的にもう一度申し上げますと、やはり国際競 争力を強める。それから医薬品産業というものを、技術立国を目指す日本の国策として 推進していく場合に、やはり国を挙げてという視点が非常が重要ではないかと思ってお ります。もちろん厚生労働省の皆様方の御努力というのは、冒頭申しましたように着実 に現れてきているとは思いますけれども、しかしまだ国策として大きな枠組みの中で推 進するというところまで至っていないような部分もあるように思います。特に、財政の 裏付けが必要な課題が非常に多いということを考えますと、やはり財務省等を巻き込ん だそういう省庁の壁を乗り越えた改革というのをやっていくということがとても重要で はないか、何度も申しますけれどもスピード感のある改革、そして国際競争でキャッチ アップできるようなそういう競争力をつけるためには、なんとしても大きな視点からの 改革というのも重要になってきているというふうに、改めてこの御報告を拝見して感じ た次第でございます。以上でございます。 ○高倉経済課長  浅野会長、どうもありがとうございました。それでは続きまして、吉田会長よろしく お願いいたします。 ○吉田会長  医薬工業協議会会長の吉田でございます。本日は、このような席にお招きいただきま して誠にありがとうございます。アクションプランの進捗状況につきまして、医薬工業 協議会を代表いたしまして一言意見を述べさせていただきたいと思います。  昨年開催されました第1回の懇談会におきまして、後発医薬品のさらなる使用促進の ための4つの要望事項を述べさせていただきました。その1つは、平成14年度の診療報 酬の改正で、処方箋料ならびに調剤料の加算というインセンティブが設けられましたけ れども、さらなる加算をという点でございます。  2点目が、加算点が院外だけでございましたので、院内のほうにも同じ加算をする措 置を導入していただきたいということでございます。  3点目は、採算割れをしている小包装についての措置がございました。  4点目が、現行の薬価制度に変わる新しい制度の導入ということを述べさせていただ きました。  我々医薬協といたしまして、基本的な要望は昨年と同じでありまして、最終的な要望 としましては、現行薬価制度に変わる新しい制度の導入というものがございます。とこ ろがこの新しい制度の導入というものには時間がかかるということでございますので、 したがいましてその間、政策誘導はよくないという意見もございますけれども、ジェネ リック医薬品の使用促進の観点から診療報酬の中でインセンティブを要望しているとこ ろでございます。  昨年の1年間、中医協で議論されてきた平成16年度の薬価制度改革で、新規後発品の 薬価算定がありましたけれども、これが先発薬価の0.8掛けを0.7掛けに変更したという ことだけで、後発品の使用促進につながる政策が一つも導入されなかったということが ございます。アクションプランで後発医薬品企業が、品質や価格に関する情報を医療関 係者および国民に提供することに対する必要な支援という項目がございますけれども、 それに照らし合わせますと、その進捗状況といたしましては、あまり進展がなかったの ではないかとそのように感じております。  最近の欧米のジェネリック医薬品の使用状況でございますけれども、資料2を御覧い ただきたいと思います。欧米で1997年の時点で、ジェネリック医薬品がすでに非常に高 いシェアを示しておりまして、4年後の2001年では50%を越えております。アメリカは 52%、ドイツなどは54%になっております。すなわち国や患者の薬剤費の削減策、軽減策 として最大限にジェネック医薬品を有効活用しているということが言えるかと思いま す。  日本のジェネリック医薬品の現状といたしますと、2頁ですが医薬協調べでは数量で 99年度が10.8%で、2002年度では12.2%と微増したものの欧米と比較するとまだ4分の1 にも満たないという低いシェアでございます。  平成14年の後発医薬品の使用に対するインセンティブの導入、国立病院等への後発医 薬品の使用促進の通知など、国のこのような支援策に対して医薬協としては非常に感謝 をしているところでございます。また医薬協といたしましても、昨年から後発医薬品の 使用が促進されるよう、医療関係者だけでなくて一般国民からも後発医薬品が信頼され 使用されるよう、ジェネリックメーカー各社が全国紙にジェネリック医薬品の広告掲載 を行ったり、テレビCMを流すということで、普及・啓発活動を積極的に進めているとこ ろでございます。  しかしながら、大学病院の先生、特に薬剤部の先生でございますけれども、その先生 方の中でジェネリック医薬品の品質について漠然とした不安があって、これを完全に払 拭できないと言われる先生方がおられます。薬事法に基づく公的溶出試験法ではなく て、先生方独自の試験方法でデータを取られて、そのデータにばらつきがあって品質に 問題がある薬剤があるということを言われる先生もおられます。品質再評価の結果のオ レンジブックでございますけれども、これの評価にさえ厳しい評価をされる先生もいら っしゃいます。このようなことに関して、国あるいは厚生労働省のほうでもジェネリッ ク医薬品の品質についての広報活動というものを積極的に御支援をいただきたいと思っ ております。また、そういう場においては、意見調整というものも時と場合によっては お願いしたいというふうに思っております。  3頁でございますが、特許および再審査期間が終了した先発医薬品で後発品のある先 発医薬品をすべて後発医薬品に変えた場合の試算でございます。1兆円の薬剤費が削減 できるということが我々医薬協の試算ではでております。これは前回もその数字をお示 ししたところでございますけれども、若干数字のほうは上がっております。この数字に 関して、医薬品産業の国際競争力強化に向けた取り組みということに関して、この1兆 円の削減というものは、画期的な新薬のさらなる評価のための財源にも配分することが 可能ではないかと考えております。つまり、画期的新薬が上市される暁には、新規収載 薬価に対して今以上の評価をすることによって、速やかな研究開発費の回収と次の研究 開発の先行投資の財源確保が特許期間中に可能になるということが言えるかと思いま す。  特許が満了して独占販売期間が過ぎれば、速やかにジェネリック医薬品が市場に参入 してジェネリック医薬品が使用促進されるにしたがって、患者の薬剤費負担の軽減とい うことと、保険財政の健全化が図られると考えます。有効性の高い画期的新薬とジェネ リック医薬品のそれぞれの役割を果たせるメリハリのある制度にすることが、すなわち 日本の製薬産業の発展に繋がり、国民がその恩恵にあずかるものと確信しております。  我々、医薬工業協議会は必要な情報収集、提供を行うとともに、高品質で経済的な医 薬品を安定的に供給することで、社会貢献していきたいと常々考えております。  以上で、私どもの意見陳述を終わらせていただきますけれども、本日、御出席の先生 方並びに厚労省の先生方に是非御理解をいただいて、今後ともジェネリック医薬品の使 用促進のために御協力、御支援のほどよろしくお願い申し上げます。本日は、このよう な発言の機会を与えていただきまして誠にありがとうございました。以上で、私の発言 を終わらせていただきます。 ○高倉経済課長  吉田会長、どうもありがとうございました。それでは冒頭申し述べましたような事情 で上原様遅れておられますので、続きましては、日本医薬品卸業連合会の松谷会長、よ ろしくお願いいたします。 ○松谷会長  日本医薬品卸業連合会の会長をさせていただいております松谷と申します。よろしく お願いいたします。  本日は、このような懇談会にお招きいただき、意見を申し述べる機会を与えていただ きまして本当にありがとうございます。私ども、卸連合会は日本での医療用医薬品の95% を各医療機関および調剤薬局に納めさせていただいているという、日本での医療用医薬 品の物流を大部分担っているという中で、特に販売及び流通に関して、医薬品産業ビジ ョンの中で問題になっていたいくつかの点について意見を述べさせていただきたいと思 っております。  個別の事項といたしましては、医薬品のコードの標準化の問題でございます。医薬品 コードの標準化は次の観点から早急に実現が図らなければならないと考えております。  第1には、改正薬事法に定められる医薬品のトレーサビリティを確保するためであり ます。  第2番目には、投薬ミスの防止など、医療過誤の発生を防止するためであります。  第3番目には、医薬品流通の効率化、コストカットを通じた医療保険財政、国民経済 への貢献であります。  現段階では、行政の強いリーダーシップの下に、コード標準化検討会がこの5月にス タートするなど目標の実現に向かって着々と進んでおり、卸業界としても可能な限りの 協力をしていきたいと考えております。この問題について、今後重要な点は次の3点だ というふうに考えております。  1つは、国際的な整合性の重視であります。医薬品は、国際商品としての性格をます ます色濃くしており、流通段階におきましてもグローバル標準を重視した上で流通コー ドの標準化を進める必要があります。  米国ではすでに、IAN128が採用され、日本からの直接輸出医薬品についてはIAN128が 表示されております。また、EUもアメリカに同調しております。このような観点から、 新たな医薬品コードはIAN128を基本にすることが有力であると考えております。ただ し、製造業および卸業において、現在、一般的に汎用されております、既にある意味で はインフラ化しておりますJANコードをこのIAN128と併記するするような、経過処置を することが必要であると考えております。  第2番目に、医薬品コードの標準化のシステムの円滑な運用について、行政が適切な 関与を継続していただきたいということであります。私は、前回の時にコードのメンテ ナンスについては、ナショナルセンター的なものを是非設けていただきたいということ を申し上げましたけれども、例えば標準化された医薬品コードの運用についてもコード 番号の付番のルール設定、監視、コード番号の再使用の規制など、公的な立場からの関 与が絶対に必要であります。また、現在使用されている医薬品コードを連結する機能を 持つホット番号の普及・推進をしていく上からの障害は、メンテナンスが不十分である ということで、メンテナンス体制が整備されなければホット番号は使用に耐えられませ ん。行政による適切な指導、処置が必要であるというふうに考えております。  第3番目に、コードキャリアの問題であります。バーコードか電子タグかあるいは時 間的には一方が先行するのか、いずれかに収斂するのか、技術的な問題でありますが、 企業としては新たな投資判断が伴いますので適切な情報提供をお願い申し上げます。  続きまして、医療用医薬品の流通の適正化問題でございます。医療用医薬品の流通適 正化については、これまでも多く議論がなされ対策が講じられました。お陰様で一定の 改善が図られたことは事実でございます。多くの未解決の課題、新たに生じた問題等も ございます。この問題に関しては、行政が関与した最近の提言である、平成7年の医薬 品流通近代化協議会の報告書から約10年が経ち、当時と現在では医薬品の取引状況に構 造的な大きな変化が生じております。  例えば、医薬分業の進展に伴い拡大する調剤薬局チェーンや全国に展開する病院グル ープ等による大量購入を理由とした過度な値引き、サービス要求、これに伴う価格交渉 の混乱、交渉長期化、仮払い、仮納入の発生等、また医療保険財政の悪化に伴う薬価水 準の抑制、トレーサビリティ対策をはじめとする医薬品安全対策のためのIT投資による コストアップ等が課題になっております。ちなみに、医薬分業率は平成5年では15.8% が平成4年では、48.8%。現在推定では50%を越えております。また、販売額でも調剤薬 局のシェアは平成5年には5.8%であったものが、平成14年では32.6%、現在では35%を越 える販売金額になっていると思います。したがいまして、このような状況を踏まえて関 係者、関係機関による医薬品流通の適正化について、基本的な議論をする必要性が高ま っているものと思っております。かつて、厚生省にあり、数々の貴重な提言を取りまと めました医薬品流通近代化協議会が平成9年に廃止されておりますので、昨年もこの場 で要望いたしましたけれども、この際、これを引き継ぐ議論の場を設置していただくこ とを強く望んでおります。  第3番目に市販後調査、PMSの推進であります。生命関連商品である医薬品を取り扱 う事業者として、卸業者の立場において、医薬品の安全対策に積極的に関与していくこ とは当然のことと考えております。医薬品卸業者は、改正薬事法により製造販売業者の 委託に基づき、市販後安全管理に関する業務PMS業務を行うことができるようになりま した。医薬品卸業は、多くの製造販売業者、医療機関等、病院・診療所・調剤薬局との 接触をする多くの機会を持っております。情報入手のスピードが早いという特性を生か し、市販後調査PMS業務に貢献したいと考えております。  改正薬事法、第18条3項には、製造販売業者は一定の要件に適応する卸業者に対し て、製造販売後、安全管理に係る一定の定型的な業務を委託することができるというふ うになっております。このため、日本医薬品卸業連合会は、新たにPMSマニュアルを自 主的に作成し、またその研修会を開催して担当者の資質向上を図っております。つきま しては、医薬品卸業者が実施するPMS業務の内容充実について格段の御配慮をお願いい たします。  終わるにあたりまして、医薬品産業ビジョンの実現のためには企業、業界の自主的な 努力が必要であることは十分認識しております。しかし、医薬品産業の製品である医薬 品については、製造から医療機関における使用に至るまで各段階において、強い公的な 関与がなされております。このため、医薬品産業が期待される役割を果たす上で行政と の共同歩調が大変重要であります。今後とも、適切な情報提供と対話の充実をお願い申 し上げて意見陳述を終わらせていただきます。 ○高倉経済課長  松谷様、どうもありがとうございました。それでは、続きまして大阪大学の山西様、 よろしくお願い申し上げます。 ○山西医学部長  大阪大学の山西です。このようなところで意見を述べさせていただくことは初めてで すが、若干私の考えを述べさせていただきます。  この医薬品産業ビジョンのアクションプランを読ませていただきまして、それに対す る感想と、それから大学というものがどういうような立場にあるかも含めまして、考え を述べさせていただきたいと思います。  まずこのアクションプランの一つひとつを読ましていただきまして、研究という欄が ございます。研究は我々の基盤とするところですが、そこでこれから国際的に医薬品業 界が伸びていくためには何が必要かということが書かれております。その中には、疾患 関連タンパクの解析が非常に重要であるというようなことが書かれておりました。これ が2003年から動き出したということであります。これは非常に評価されることであると 思っております。  御存知のようにこのゲノムがだんだんとわかってきまして、それに対するタンパクと いうのがわかってきますので、非常に重要な研究で大型プロジェクトが動いているとい うふうに聞いておりますから、これは非常に成果が楽しみだなと思っております。是非 進めていただきたい。  これに関連しまして、新しく医薬基盤技術研究施設というのが2004年からできあがる ということでありまして、これに関しましては具体的にまだどういうものが動くかとい うことは述べられておりませんけれども、是非具体的なものを早く動かしていただい て、これは産官学連携に関与するものだと思っておりますから、これも具体性を持って これからやっていただきたいというふうに思っております。  またこの中には、ヒューマンサイエンス財団で研究資源のバンクの充実ということも かかれております。ヒューマンサイエンス研究に関する研究資源ですけれども、これも これから研究開発に非常に重要なことです。この新しいバンクが、2002年から動いてい ることになっておりますが、実際どのような材料でどのような数等の評価が実際にどの ぐらい行われているかということは是非お聞きしたいと思っております。本当にこれで ファンクシャルなものができるかどうかということもこれから確かめて行く必要がある と思っております。  それから、これは日本の国が抱えている問題で、開発途上国に対する薬剤の問題、そ れからワクチン開発及び供給を含めまして開発途上国に関して我々がなすべきことはた くさんあると思っております。しかしながら残念ながらそういう基盤が日本は脆弱だと 思いますので、なかなか自分で開発して貢献できないというのが現状であるというふう に思います。これらのことに対する資金の援助、またいろんな施設をはじめ援助を行っ ていただきたいと思っております。  次に開発の点に関しましては、これは先ほどずいぶん意見を述べられましたし、次の 楠岡先生もたぶん言われると思いますけれども、治験の問題は非常に重要な問題だと思 っております。先ほどのお話でも我が国の治験が遅くて、高くて、あまりクゥオリティ が高くないという話しがでておったと思いますけれども、そのことに関しましては、こ れから治験をする立場にありますものは反省をして、きっちりやっていく必要があると 思いますので、我々の大阪大学はどのようなことを考えていっているかということ最後 に示させていただきます。  我々大学の義務としまして教育というのは非常に重要ですが、この中のアクションプ ランの進捗状況では、文部科学省と厚生労働省がこの教育に関してどうも共同歩調でや っていただけているということが評価されると思っています。特に、今我々に不足して おります生物統計学の専門家、それからバイオインフラテックスの専門家のこれからの 養成というのは、この医薬品の開発にとっても非常に重要なものと思いますので是非共 同歩調でやっていただきたいと思っております。  全体的ですが、これは個人的なお願いもあります。我が国は少子化、高齢化、個別化 というようなことになってきております。それに対する医薬品の開発というのも重要な 問題になっておりますけれども、それ以外に、今医薬品は治療薬が主ですけれども是非 予防に関しても、我が国全体としてお金をかけてこれから我が国の健康を守るための枠 組みを作っていただきたいと個人的には思っております。  最後に、特定非営利活動法人の臨床研究・教育センターというパンフレットがお手元 にあると思います。大阪大学の医学部は新しくNPOを立ち上げました。そこで何をしよ うかということで、総括的なことになりますが1枚めくっていただきますと、例えば先 ほど言いました製薬メーカーよりいろいろな要望がございます。医学教育を大学で行っ ていって、もっと現場に即した医薬品の開発に対する情報を提供したいというふうに思 っておりますし、臨床試験の推進に関しましては、たぶん後から楠岡先生が話されると 思いますけれども、治験をなるべくスピードアップする手だてを考えようというような ことを考えております。  それから先ほどプロテオームファクトリーの話しもさせていただきましたけれども、 そこに対する材料の提供です。これを担うのは病院であり、非常に稀な疾患も含めまし てたくさん材料を持っているうちの一つは大学病院だと思いますし、また関連病院と共 にこのインフォームド・コンセントを取った後に、その材料を我々のところに集中的に 集めましてそれを活用していただいて、新しい疾患に対する薬剤の開発に役立てるよう なことも考えております。大学も産官学の連携に関しまして、法人化しましたのでやり やすい状況にあると思いますから、これから一緒になって新しい国際化のための製薬に 対して貢献していきたいと思っております。以上です。 ○高倉経済課長  山西様、どうもありがとうございました。それでは続きまして、国立病院機構大阪医 療センターの楠岡先生よろしくお願いいたします。 ○楠岡副院長  国立病院大阪医療センターの楠岡でございます。このように意見を述べる機会を与え ていただきましてありがとうございます。  お手元にキーワードだけを並べたような資料を用意しておりますので、それを御覧に なっていただきたいと思います。  私は、特に医療の現場におきまして治験にかなり携わっておりますので、アクション ンプランの中の治験の部分に関しまして、意見を述べさせていただきたいと思います。  既に何人かの方々からも御指摘いただいておりますが、現在、日本におきまして医薬 品として開発されたものが、国民へ広がって行く過程におきまして、治験の遅れが一つ のボトルネックになっているという現状に関しましては、まだそれほど改善していない という認識でございます。  もう一つは、この治験だけではなく、治験もいわゆる臨床試験の一部でございますけ れども、日本におきまして臨床試験そのものがあまり根付いていない、またそのための 体制が十分にできていない。臨床試験の中のごく一部の治験が遅れるというのも、その ような構造的なものが問題としてある可能性があると思います。臨床試験、特に大規模 臨床試験等がうまくなされませんと、これは医薬品の開発だけの問題ではなく、現在も う一つの大きなターゲットでありますEBMを形成して医療の標準化を進めていこうとい う過程の中に、我が国でのエビデンスが全くないままにEBMが形成されていくという 問題が生じてまいります。現に、EBMの形成のために厚生労働省の補助金で、EBMとかガ イドラインを策定する委員会等ができておりますけれども、一部の疾患においては我が 国におけるエビデンスが不十分であるために、外国のエビデンスのみに基づいてガイド ラインを策定せざるを得なかったという結論をだしているようなところもあります。し たがって、治験を含めまして臨床試験全般に関しての取り組みが非常に大事だと思って おります。  治験に対しましては、全国治験活性化3カ年計画といたしまして、(1)から(5)にあり ますような点に関しまして、いろいろ取り組みをなされていただいております。それに つきましては、次のスライドのところで少し意見を述べさせていただきたいと思いま す。  現在の、治験活性化3カ年計画におきまして、1番目及び2番目も関与いたします が、大規模治験ネットワークに関しましては、現状としてはまだシステムができた段階 であって、実際これが動き出すのはこれからだと思っております。昨年12月から大規模 治験ネットワークに基づく事業が開始されましたが、まだ現在進捗中という状況であり まして、このネットワークが果たしてうまく機能するものかどうかという最終的な評価 は、やはりもう1年程度かかるのではないかと思っております。  それから次に、よく指摘されます治験の実施体制に関しましては、確かにいろんな施 設で治験を実施する部署ができるとか、あるいはリサーチコーディネーターの養成が進 むというような、ストラクチャーの部分はかなりできていると思います。しかし、治験 を実施する施設等では、治験実施部門というのは病院の中のごく一部のセクションで、 そこで2人とか3人という少人数の方々が働いている状況にありますので、そのプロセ スにおきましてはかなり手探り状態であるというのもやはり現実であります。したがい まして、このプロセスに関しまして何かサポートしていくということが非常に大事なも のではないかと思います。  一つの取り組みとしまして、日本製薬工業協会が「治験119」という、治験に関する いろんなQ&Aを広く進めるような体制を取っておられますが、このようなプロセスをサ ポートするようなものをさらに強化していく必要があると思っております。  まだ、この3カ年計画もスタートした時点でプロセスも進行中でありますので、なか なかアウトカムが見えてこないというのも現状であります。このアウトカムが見えてこ ない一つの理由といたしまして、今まで治験を進めていく枠組みの中で、モデルとして はアメリカの治験体制と言いますか、臨床試験体制をひとつの大きなモデルとして採用 し、それに沿った方向で進んできたわけでありますけれども、どうもそのモデルが本当 に良かったのかどうか、特に医療制度等との関係を受けまして、このモデルを少しシフ トさせる必要があるのではないかというのが最近感じているところでございます。  それは何故かといいますと、4番目の患者の治験参加を支援するというところです が、医療制度の違いというのが患者の治験への参加のインセンティブに関わってきます ので、この点をやはり考慮しないと問題があるというふうに感じております。確かに治 験を実施する側の熱意は非常に高まっているのですが、それに実際参加する患者さんの リクルートが進まないというところがひとつの問題点であります。その一つとして患者 さんにもっと治験のことを知っていただく必要がある。すなわち国民に直接的に治験に ついての啓発を図る、何か実効ある対策を取っていく必要があるのではないかと考えて おります。  臨床研究全体の推進も、先ほど申しましたように臨床試験を進めるということは、治 験も含めてEBMの形成に非常に大事なところでありますけれども、これに関しましても まだ制度面で一部不十分なところがあると思っております。例えば、医師主導型の治験 という制度が導入されましたけれども、まだ環境としては整っているとは言い難い。例 えば治験である以上保障の問題がございますけれども、医師主導型の治験に関しまして の保障制度というものはまだできていないのが現状でありまして、大規模治験ネットワ ークで現在それができつつあると聞いております。これがさらに一般にも利用できる形 にならないと、医師主導型治験を実際に行うのはなかなか難しいのではないかと考えて おります。  臨床研究全体に関しまして、今疫学研究、臨床研究等に関しまして幾つかの倫理指針 が出されております。しかしこの倫理指針もやや整合性を欠くような部分、それから現 場からいいますと、どの倫理指針を採用していけばいいのかという混乱もございます。 このような倫理指針をある程度統一化する必要が臨床研究全体を推進する上で極めて重 要な問題ではないかと考えております。  現在の治験の実施状況に関しましては、次のスライドです。これは治験推進協議会で 製薬工業協会が示されたスライドを借用してきたものであります。現在、治験実施施設 が非常に大きく変わっているというのが現状でございます。1995年、96年におきまして は、国立大学をはじめとするいわゆる大規模病院で行われる治験がかなりの割合、8割 以上を占めていたわけでありますが、最近ではむしろ医療法人、特に診療所レベルでの 治験が非常に進んでおります。大規模病院等での治験の割合というのは、50%以下を切 っているというのが現状でございます。  このような状況の一つのきっかけとしましては、SMOの活躍があげられます。SMOが関 与するところでは、確かに費用としてはかかるけれども治験のスピードは進んでいる、 症例の組み入れは進んでいるという現実がございます。したがいまして、このSMOの活 躍による治験の推進の部分というのは、評価すべき点ではあると思っております。しか し、この場合ターゲットになりますのはどうしても生活習慣病のようなものが中心にな りまして、希少疾患であるとか、あるいは専門医でないと使えないような薬、特に抗ガ ン剤のようなものに関しましては、やはり診療所レベルでの治験ではなかなかまかない きれないところがあります。こういうものに関しまして並行して進めていきませんと、 薬全体の開発バランスが崩れてしまうことになると思いますので、今後、特に専門医を 必要とするような治験においてどのような手段を取っていくかというのが非常に大事な 点と考えております。  最後のスライドでございますが、以上のような点から、やはり臨床試験、治験を推進 させるところで現在大きな問題になるのは、被験者のインセンティブと研究実施者のイ ンセンティブ、この両方をいかに強めていくかということと考えております。  研究実施者のインセンティブに関しましては、現在のシステムにおきましてかなり進 んでいると思われます。ただ、まだ若干問題点は指摘されておりますが、これに関しま しては従来よりもずっと進んでいると思っております。やはり被験者のインセンティブ をどうやって高めていくか、実際のリクルートにおきまして、一番のネックになる点は ここでございますのでこれをどうするかというのが今後大きな問題になっていくと思い ます。  それからもう1点、治験のコーディネーターと協力者がかなり増えてきまして、その 治験の実施体制の強化には繋がっておりますけれども、今後この協力者の処遇をどうし ていくかというのも大きな問題でございます。ほとんどの協力者が非常勤という不安定 な身分での雇用であるとか、あるいはSMOを中心とした比較的小さい企業での雇用であ るというような状況がございます。今後、こういう協力者にどういうふうな処遇を考え ていくかということを考えませんと、せっかく育ってきた協力者がまた減っていくとい うようなことになりかねませんので、この点に注意が必要かと思っております。  特に協力者の認定制度、これは臨床薬理学会でCRC認定制度とかあるいはソクラ (SOCRA)の日本支部ができて認定制度とかできております。治験の協力者というのは 医療職だけではなくて、国家資格等がなくても協力者として活躍されている方もおられ ますので、そういう方を含めた形のなんらかの認定制度等を考えていく必要があるかと 思います。  それから治験というのは、社会制度の上に乗って行われますので、最初に申しました ようなアメリカ型のモデルで本当にいいのかどうか、現在の国民皆保険の制度の中で治 験を進めていくための、我が国に適したモデルというものをもう一度考える必要がある のではないかということを考えております。  その中で、現在治験はすでに我が国だけの問題ではなく、非常に有力な薬になればな るほど国際同時開発ということで国際治験という形になってまいります。この国際治験 への対応というのは今まであまり考えられておりませんでしたが、今後は国際治験への 対応を考えていく必要があるかと思います。医師にしろ、治験協力者にしろ全ての人が 外国語に堪能な方ばかりではありませんので、国際治験に対応するとなると言語のバリ アというようないろいろな問題も発生いたしますし、また患者さんに対しても国際的な 治験慣習と我が国の医療慣習が異なるようなこともあって、そこの齟齬という問題もで てまいります。国際治験をどういうふうにするかという対応について考え、これに対す る支援をしていく必要があるかと考えております。  それからこれは直接的なものではございませんが、治験等で新薬が開発され、それが 医療をあるいは国民の健康福祉を本当に良くしたかという評価を行うとか、あるいは EBMの中で医療の標準化を行っていく場合に、我が国では患者さんに関するデータがほ とんどないというのが現状でございます。特に、主要疾患例えば癌とか急性心筋梗塞、 脳卒中のような3大死に直結する患者の発生数がどれぐらいあるかというような、悉皆 調査的なものがほとんどございません。したがいまして、仮に新しい薬が出たときに、 それが本当に医療環境あるいは患者さんのQOL等がどれぐらい改善したかというこを客 観的に評価することが現在あまりできないというのが現状でございます。  したがいまして、主だった疾患に関しましては、これは個人情報保護法との関係もご ざいますけれども、なんらかの悉皆調査に相当するような患者データベース、患者が発 生するごとに、それをオンラインで登録していきその経過をある程度把握できるような システムというのが必要かと思います。  がんに関しましては、全がん協等でがんの患者のデータベース形成とか、あるいは登 録システムがございますが、これも完全ではございません。他の脳卒中とか心筋梗塞に 至っては患者調査のような、ワンデイ調査ぐらいがある程度で、実際どれぐらい発生し ているかというのもよくわからないような状況ですので、これに関しましてなんらかの データベース構築を図っていく必要があるかと思います。  こういうものができていきますと、薬:新薬等の効果の評価も客観的にできますし、 またそういうことがきっかけになりまして、それぞれの病院が自分の行っている医療に 関しまして全国的なデータの中で自分の病院の位置というものを知ることが出来ます。  昨今、いくつかの病院の間で医療の内容について調べてみるとばらつきがあるという ことが指摘されておりますが、こういうようなばらつきを減らして医療の標準化を行う 上でも患者データベースを構築し、その中で各医療機関がどういうような位置づけをし ているかというのを見ていく、自己評価していく必要があるかと思っております。  以上、治験を中心といたしまして、現在のアクションンプランに関します進捗状況に 関しての感想を述べさせていただきました。ありがとうございました。 5.意見交換 ○高倉経済課長  楠岡先生、どうもありがとうございました。上原委員はまもなくお見えとは思います けれども、少しまだ遅れておられますので、今ひととおり意見発表を終わりましたこと を受けて、意見交換のほうに入らせていただきまして、また後ほどお見えになったらき りの良いところで大衆薬工業協会からの御意見を伺いたいと思います。  本日、非常に幅広い角度から、医薬品産業の産業政策の推進ということで御意見を承 ったと思います。大きく分けまして、流れ順でいいますと、研究にはじまり販売に至る という流れがございますので、まずそういった面でやや話題を整理してみますと、研究 開発の関係と研究プロパーの問題、あるいはまた治験環境の整備の問題と、そういった あたりにつきましてひとつ大きな論点があろうかと思います。  もう一つは、冒頭浅野会長からの御指摘の中に特にございましたけれど、薬価制度の 関係があろうかと思います。それと、ある意味で薬価制度にも関わるわけですけれど、 また独自の視点もある課題として後発薬品市場の育成というのが一括りあろうかと存じ ます。 そしてまた流通の問題というのがいえる。これは全製品がいろいろ関与するの ですが一括りの問題。また、最後に大衆薬市場の育成というそういった大きく分ければ 研究開発関係、薬価関係、後発医薬品関係、流通関係、大衆薬関係と5つほどの括りで 冒頭おっしゃっていただいた話しに対する応答的なところから入らせていただきまし て、さらなる意見交換をさせていただきたいと思っております。  ただ、治験関係等については、かなりコメントをはじめますと長いと思いますので、 次の進行との関係上、ある意味ひとまとまりという意味ではよろしければ流通の問題に つきまして、特に卸連の松谷会長から問題提起いただきました点についてのコメント、 主としてこれは経済課の事項が中心で若干安全対策的なことも絡んでおりますので、そ こに対するコメントからまず始めさせていただきたいと思います。  先ほどの松谷会長の話の中で、個別事項として大きく3括り。1つが医薬品コードの 標準化問題と、2つ目が流通の適正化一般の問題。3つ目でPMSの推進における卸の役 割とこいったようなことだったかと思います。  1点目の医薬品コードの標準化関係につきまして、特に具体的に御指摘いただいたこ とといたしましては、国際的整合性を重視して流通コードの標準化を進めるべしと、た だその際に、今現に用いられているJANコードを併記するような経過措置もと、そうい うかなり具体的な御意見をいただいたと思います。ここにつきましては、当省のほうの 作業の進捗状況を御報告させていただきたいと思います。  アクションンプランの進捗状況等という参考資料3で申しますと、11頁の一番下の行 に話題として出ている部分でございます。ここに関しまして、この進捗状況等資料まと めましたのは時点として3月31日現在ということで書いてございますので、このあと更 に若干進展がございます。今の松谷会長からの御指摘の標準化ということに関しまして は、11頁の一番下に(3)でコード表示する情報の内容や体系などについて、16年度に関 係業界を含めた標準化のための検討会を設置して検討予定ということで年度末現在のこ とが書いてございますけれど、その後、検討会が既に発足をいたしております。5月の 連休明けに安全対策課が中心となりましてのコードの標準化の検討会というものを発足 させていただいておりまして、そこには関係業界も入っていただいております。そうい う検討の場におきまして本日提出いただいた具体的な意見も含めて、これから検討を進 めてまいりたいと考えておりますことの報告を追加させていただきます。  また、そのコード関係の2点目の御指摘としましては、ホット番号がメンテナンス体 制を整備しないと使用に耐えないという大変率直な厳しい御指摘でございました。おっ しゃるとおりきちっと、ここの11頁に普及・推進と書いてはありますけれども、メンテ ナンスの部分をきちっとアップデートしていきませんと、齟齬をきたすといけないとい うことで、これは大きな課題と考えております。主として医療技術情報推進室が中心に なっておりますけれども、ホット番号など引き続きこれを使っていくわけでございます ので、メンテナンス体制整備問題というのは課題と受け止めて対応してまいりたいと考 えております。  そのコード関係、3点目でおっしゃったコードキャリア、バーコードか電子タグか云 々という部分でございますけれど、これは横長表の11頁の資料の中で少しだけしか書い てございませんが、(1)、(2)でいろいろとワーキンググループを設置してIT化の作業を 進めてきたということ、また(2)で15年度の厚生労働科学研究事業をしたと、これは16 年度の実証実験に向けて検討中と、年度末現在の表記で書いてございますけれども、そ の後話しが具体化しまして16年度、今年度におきましてはこれは日薬連さんが中心とな って、また卸連さんにも協力をもちろんいただくような形でございますが、この縮小バ ーコードのような形態で行く場合どうするか、あるいはまた電子タグでやったらどうか というその2種類の実証実験を行っていただいて、具体的に検証していくとこういう段 取りになっておりますので、その進展にあわせて行政としての考え方というものについ ては、御要請ございましたとおり適切な情報提供に努めてまいりたいと考えておりま す。  また、大きな流通関係で2点目としておっしゃられた、流通の適正化という医療用医 薬品の流通の適正化ということで、いろんな環境の変化もあったので、それを踏まえて 今日的な意味での医薬品流通の適正化の話し合いの議論の場を設置の要望ということで ございます。従前から御指摘をいただいておるところでございますけれども、この点に つきましては正に御指摘のとおりいろいろ足下が変わってきておりますし、ちょうど昨 年の12月の中医協におきましても、最後の審議報告の機会に流通過程における価格形成 の実態も含め、適正化のさらなる検討を図るべきとこういった御指摘もいただいている と。いろんなことを踏まえまして、できる限り御要望のようなこういう現代の変化して きた状況を踏まえての流通当事者や中立的な方々からなる話し合いの場を設けたいとい うふうに考えておりまして、現在努力中でございます。まだ完全に整理して、これでと いうのを公表できるまでには至っておりませんけれども、これを実現すべく現在努力中 であるということを御報告させていただきたいと思います。  流通関連のコメントの最後でございます。PMSの推進における卸売業者さんが実施す る部分の内容充実についても格段の配慮と。これは、正に卸業連合会として積極的にや っているということを十分安全対策部局等においても、理解、認知しておくようにとい う御要請と理解をしてよろしいでしょうか、それは正にそういうふうに積極的に取り組 んで頂いているということも、PMS対策を進めております安全対策課を始めとする関係 部局においても、十分認識しながら、場合によってはいろんな逆にお願いをしたりする ようなこともあろうかと思います。そういうことで認識を十分させていただいて進めて まいりたいと思います。まず、ひととおり流通関係についての関係する行政の動きにつ いての追加報告ということから始めさせていただきました。  ちょうど今、別の審議会のほう終わられて上原会長もお見え頂きましたので、ここで 到着早々で恐縮ではございますけれども、日本大衆薬工業協会副会長の上原様から意見 発表をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたしまs。 ○上原副会長  上原でございます。遅れてまいりまして申し訳ございません。私のほうからは、医薬 品産業政策の推進に係るその後ということで、大衆薬OTCファーマー、このへんについ てのその後の進捗についての状況報告ということが求められているというふうに考えて おります。  2002年11月に中間報告が、懇談会のほうから、また厚生労働省のほうから発表されま した。ちょうど11月に世界大衆薬協会の世界大会がございました。そこでその前のサテ ライトと申しますか、プレのシンポジウムで御発表いただきまして、大変世界の中から 高い評価を受けまして、日本のセルフメディケーションの展望といいますか、どのよう になるかということに対して大変注目されておりまして、毎年ヨーロッパでも大会がア メリカでもあるわけですが、そこへ参りますと是非最近の最も新しいニュースを聞かせ てくれと、こういうような熱っぽい質問がございます。  その答申の中に、私ども求められる一般医薬品ということで、効能の範囲を見直すと か、スイッチOTCを促進するとか、漢方生薬の活用、剤形の拡大等いろいろな御提言を 頂戴いたしました。また、信頼され安心して使用できる一般用医薬品ということで、安 全対策市販後調査の強化それから再評価の促進、情報提供の充実、こういったようなも のを重点的に推進しなければいけない。さらには承認審査の流れの改善ということで、 審査体制の整備、申請区分の見直し、添付資料の軽減化等いろいろな御提言をいただい たわけであります。  その後の流れといたしましては、既に御承知のように機構ができましたことによりま して、承認審査の申請区分の見直しとか、添付資料の軽減化あるいは審査体制、特に事 前相談制度でございますとか、専任の審査部門こういうものが設置され、この4月から スタートされたわけでありますが、いかんせん過渡期と申しますか、そこに至る期間に おきましては、いろいろな機構がスタートするに際しての仕事のあるいは申請の中断で ございますとか、4月以降も審査部門ができたにしろ人員が充足していないということ で、その後の審査業務の機構の進捗が今非常に止まっていると申しますか、遅々として その後なかなか進んでいないということを感じております。  また求められる医薬品ということで、スイッチとかあるいは剤形の多様化とか生薬と かいろいろと御提言いただいたわけでございますが、私どもといたしましては工法成分 のリスト、さらには使用実態試験AUT(アクチャル・ユース・トライア)ですか、こうい ったものに関していろいろな御提言等をさせていただき、センターへもいろいろと提出 させていただいておりますけれども、まだそれも軌道に乗っていないといった実感を持 っております。  信頼され安心して使用できる医薬品ということで、再評価の推進あるいは新規承認基 準案といったものについても、今いろいろと御一緒になって検討部会等についても私ど も大衆薬工業協会として案づくりに励んで、そしてそういったものを提出して御審議を いただきたい、あるいは御検討いただきたいと考えております。  ただ、この過程で非常に感じておりますことは、一つは先ほど申し上げましたけれど も総合機構が新たにスタートしたわけですが、人員が充足されていない、全体的に不足 であるということで、審査部門を専任で作っていただいたものもそれがなかなか起動し ていない、機能していないとこういう実感を持っております。  それからもう一つ、効能の拡大でありますとかあるいはスイッチOTC、これ全て個別 案件、各企業が申請したことに対して対応しようというようなベースでのお取り組をい ただいております。これですと、担当官個人の見解であるとか解釈であるとか、要する に思い切った新しい効能であるとかスイッチOTCを認めた場合に、それは担当官個人の 責任と判断でこれを回答しなければならないということは、今一つの大きな流れとして これを促進しようという中では、大きすぎる問題ではないかなと思っております。そう いった観点から、正に海外などもで国としてこのスイッチOTCとかあるいは効能拡大を どういった成分のものとか、どういった上限のものをこれを認めようとか、あるいはこ ういう効能にしようという専門家をお集めいただいた上での、着地すべき領域をはっき り示さないと、担当官個人の方が御自分の判断でこれを許可するというのはなかなか難 しいのでないかなと思います。そういった意味では、ひとつの流れといいますか、こう いうものが出来た時点ではそれで結構でございますが、新しい革新的なひとつの方向付 けをするためには、ガイドラインと申しますかそういうものを是非作っていただきたい というふうに考えております。ワーキンググループなり、何かそういった検討部会がや はり必要なのではないか、そういった路線に沿ったいろいろな御検討、御審査のほうを やっていただきたいとこのように考えております。  それからもう一つ、非常に危機を持っておりますのは、健康食品のあり方検討会で従 来のこういう疾病の方にというような観点から、疾病リスクを提言表示できる、容認す るような、表現が例えば病気がこれで少なくなるかもしれないといったような表現のこ とが論議されているというふうに聞いております。そういった観点からしますと、健康 食品の表示のあり方という問題、だからそれをやめろということでなくて、むしろ医薬 部外品とか医薬品とか、そういった観点での先ほどとも重なりますが効能表示のあり方 というものをもっと前向きに考えるような方向での御検討をいただけたらありがたいな と考えています。以上で報告を終わります。 ○高倉経済課長  どうもありがとうございました。それではまた意見交換のほうに移らせていただきた いと思います。  先ほど、若干分野を整理して申し上げましたところに沿って言いますれば、まず川上 のほうからで恐縮ですが、研究開発関係、治験環境整備論の関係で、複数の方からこの 関係でいろんなコメントをいただいておりますので、そこから始めさせていただきたい と思います。  いろいろと現状に対するコメント等ございましたので、よろしければまず行政側のこ の分野についての、きょう頂いたコメントに対するコメントなり、あるいは状況の報告 なりそういったところから始めさせていただきたいと思いますので、まず安達課長よろ しくお願いします。 ○安達研究開発振興課長  研究開発振興課長をしております安達でございます。本日は、国会用務のため遅れま して申し訳ございません。座らせていただきます。したがいまして、先生方のコメント を聞かずにコメントをするということで、ちょっと総花的になること御容赦いただきた いと思います。  まず、治験についていろいろと御意見をいただいたというふうに聞いております。治 験につきましては、御案内のとおり昨年、治験推進3カ年計画を策定いたしまして、そ の促進に努めているところでございます。内容につきましてはホームページ等でも公開 しておりますし、皆様方ある程度は見ていただいたこともあるのではないかと思ってお りますので省略させていただきますが、基本的に治験3カ年計画の絵を書くのはそれな りに皆様の意見を聞いて作ったと思うのですが、重要なことはその3カ年計画を確実に 実施していく、また具体的な目標を定めて、それがその目標に到達できるように進めて いくことだというふうに考えております。そのような観点から単に計画を作るだけでは なくて、その進捗状況をきちんとフォローアップし、さらにフォローアップの結果をま たアクションプランに反映していくということが重要だと考えまして、今年が2年目に 入るところでございますので、フォローアップ会議というものを設定いたしまして、製 薬協さんあるいはFhARMA、EFPIAといった関係団体の方々からの意見も踏ま えながらフォローアップをしているところでございます。  さらに、そこでいろいろと御意見もいただいたわけでございますが、より具体的に中 身を考えていこうということで、実務者レベルでのより具体的なフォローアップをして いこうということで、関係業界の方々、実務者レベルの方に参加していただいて、例え ば国立病院が今回独立行政法人化されまして、治験のためのセクションを作ったと、そ れについてどういう問題点があるのか、どいうふうなことを国立病院は考えていてそれ に対して治験を促進する上でどういうふうにしていけばいいのかといった、より具体的 な問題あるいは国立大学につきましても独法化されたということで、よりそれぞれのケ ースバイケースに応じて具体的な問題を明らかにしつつその問題を解決していこうとい うことで、実務者レベルのフォローアップ会議も立ち上げることにいたしまして、今月 中に第1回の会合を予定しております。  いずれにしましても、治験推進3カ年計画を実効あるものにするよう、皆様の御意見 を伺いながら進めていきたいというふうに考えております。  また、大規模治験ネットワークについても幾つか御指摘をいただいたと聞いておりま すが、そこで御指摘いただいた患者の理解の促進、啓発、倫理指針の統一化あるいは補 償の問題等、例えば補償の問題につきましては日医が受け皿になるということで、保険 会社もある程度新しい制度といいますか、新しい補償制度を作っていただけるという目 処がほぼついたところでございます。これにつきましては、個別具体にいろいろと御相 談させていただきたというふうに考えております。  それから研究開発関係でございますが、ちょうど来年4月に開設予定の医薬基盤研究 所の内容についても御質問をいただいたというふうに聞いております。ちょうど今、本 法案が衆議院で審議されるかどうかの瀬戸際でございまして、なんとか成立していただ きたいなということで走り回っております。内容につきましては、法律制定後、基本的 には予算、概算要求の段階で決まっていくということで、現在、別途内部的に検討して いる段階でございます。  遺伝子バンク等の実績につきましては、資料がございますので後ほど直接お渡しさせ ていただきたいと思います。いずれにしましても研究開発につきましては、産官学共同 での取り組みというものを私どもより実効あるものにしていくよう、皆様の御意見を伺 いながら進めていきたいと思っております。  私、よく言いますが、研究開発振興課のドアは保険局と違っていつでも開いておりま す。是非、お知恵を拝借できればというふうに思っています。どうぞよろしくお願いし ます。 ○高倉経済課長  安達課長、どうもありがとうございました。ちょっと今の治験関係で1点、細かいこ とで恐縮です、浅野会長からの御指摘の中で、契約症例の実施徹底のお話がでておりま して、確か去年もこの話題が少しなって、その時国立病院は13年11月に通知も出して徹 底しているんだけれどなという会話があったように記憶しております。それで今回のア クションプラン進捗状況表の中でも、当省の部分につきましてはそういうことでいろい ろ努力中と、徹底を図っていると書いた上で、合わせて文部科学省からも情報を出して いただいて、国立大学におきましての契約徹底実施率向上に努めるようにと通知は出し ていますと、周知も図るようにしていますというところまでは書いていただいているわ けですが、あれですか問題があるということでございましょうか。 ○浅野会長  そうですね、そういうご主旨は徹底されて努力されていらっしゃるのだろうと思うの ですが、現実にはやはりそういうものが完全にはなくなっていない。例えばこういう比 較をしては申し訳ございませんが、私立と従来の国公立の場合にやはりちょっと違って いるなという感触もございまして、もう少しそこは徹底をしていただきたいなというふ うに感じております。 ○高倉経済課長  ありがとうございました。そういった具体的な点も含めて、先ほど安達課長が申しま した実務者レベルでのさらにフォローアップを詰めていくという予定でございますの で、そういった中でもまた、これ文部科学省もでていただく予定になっておりますの で、さらに具体的にフォローアップをしてまいりたいと、経済課としましては、本日の これでは旧国立大学ということで旧国立病院ではなかったことで、ちょっと安心をして おりますけれども、引き続き国立病院でも問題がでないように当然徹底に努めてまいる べきことだと考えております。  今の研究開発等について何かございますでしょうか、どうぞ。 ○浅野会長  楠岡先生に御質問よろしいでしょうか。先ほどの御議論の中で治験の推進のところで すが、治験実施者のほうのインセンティブはだいぶ進んできたけれども、被験者のほう のインセンティブがという御指摘がございまして、アメリカと日本は違う、アメリカ型 ではないそういうシステムを考えなければいけないという御指摘はそのベースにあると 思うのですが、去年も少しそういう議論をさせていただいて、高倉さんからは、最近は 患者さんの募集を国保を使って出来るようになったとか、そういうこともあってずいぶ ん理解を進める仕組みはできてきたという御指摘がありましたが、それでもやはりなん と申しましょうか生活習慣病みたいな病気の場合には、一般の方々もそういうことを理 解しやすいと思うのですが、非常に稀な病気であったり必ずしも一般的でない病気のよ うな場合に、そういう広告効果というのは必ずしも期待できないと議論したことがある のでございますけれど、先生の御指摘の中で、具体的には何かアメリカ型でないそうい う患者さんに対するインセンティブのあり方というのはございますでしょうか。 ○楠岡副院長  なかなか具体的なモデルを書くのは難しい問題だと思います。今御指摘されたような 点は、実は現場からいうとむしろ逆でありまして、非常に希少疾患で有効薬がなかった ような部分に新しい薬がでてきたような場合は、患者友の会などが患者さんにどんどん 広報していって、こういう薬の治験がでてきたと、早くこれを認可に持っていかないと 我々みんなが使えないからということで、そういうところのサポートは逆に得られると いうことがあります。  それから非常に違いがわかりやすい、具体的なことを申し上げて恐縮ですが、例えば インターフェロンに対してペグインターフェロンの治験が始まった場合は、週3回の投 与が1回で済むということでこれは非常に参加者の希望が多かったということがありま す。そういうはっきりその薬のメリットがわかるようなものでありますと、非常に治験 の進みも早いですし患者さんのインセンティブも非常に高いということになります。  逆に、確かに医学的に非常にはっきりしたメリットがあるのだけれど、患者さんにと ってのメリットがもうひとつ見えにくいような薬に関しましては非常に難しい。患者さ んに対し説明をして患者さんは理解されても、家に帰ると御家族から反対を受けて、結 果的に同意を撤回するとか同意に至らないという例が結構あります。ということは、患 者さんだけをターゲットにするのではなくて、現在健康なその患者さんの回りにいる人 たちにも治験に対する理解がないと、なかなか被験者のインセンティブに繋がらない。 患者さんも、病院をでるときは受けるつもりだったのだけれども家に帰ると家族みんな が反対するので、次の日電話をかけてきて申し訳ありませんということが実際にありま すので、そこのところをどういうふうにしていくかというのが一つ大きな問題だという ふうに考えています。  それからもう一つは、インセンティブは必ずしも経済的メリットだけではありません けれども、日本の場合は経済的メリットとしてのインセンティブが非常に働きにくい状 況にある。例えば被験者負担軽減費というのははっきり目に見えるものであります。特 定療養費の問題に関して、これは患者さんからするとあまり目に見えないもので額とし てはかなりの患者さんにとってはメリットなっている部分もあるとは思われるのです が、患者さんにとってはあまりよくわからないところである。こういうところはやはり 非常に説明しにくいところであるので、インセンティブに繋がりにくいところがあると いう点があるかと思います。 ○浅野会長  ありがとうございます。 ○高倉経済課長  どうもありがとうございました。また後ほど研究開発関係について何か追加がござい ましたら、コメントをいただければと思います。少し別の話題に移らせていただきたい と思います。  次の話題としましては、これは浅野会長からの御意見の後半の部分でございました が、医療保険制度あるいは薬価制度といったあたりについて一つ重要な御指摘がござい ました。具体的には、特に今回のアクションプランの進捗報告において参考資料3の10 頁に書いてありますような、産業界による研究会に厚生労働省も参加し検討を進めてい るというその叙述につきまして、もう少し具体的に検討状況あるいは今後の見通しとい ったことについての御質問がございましたので、その点に対する御報告から意見交換を 始めさせていただきたいと思います。  ここのアクションプランの進捗状況レポートに書きました産業界による研究会への参 加ということについては、文字通りそういうことで参加をしておりまして、私のほうか らどこまで産業界の研究会自体の状況を具体的に申し上げるのがいいか必ずしも明確で はございませんが、参加させていただいてきておりますので、せっかくお尋ねございま したので御報告させていただきます。  このアクションプランを発表しまして、この部分についてはこういった中長期的な観 点からの検討という課題設定でございましたので、その検討を研究会で行うということ でそこを重ねてきております。ただ、現時点までに何かしら具体的なこうしたらという 案に至っている状況にはないというのがまず一言でいえば現状でございます。当然なが らそういったある程度絞ってきて案というようなことになってくれば、改めてまたこれ はそういう個別の研究会ということではなくて、業界団体全体でのいろんな御検討もで てこようかと思いますし、また行政側でも本格的検討ということになり得るかと思うの ですけれども、現時点におきましては、まだいわば勉強を重ねておるという段階でござ います。  また、これも率直に申し上げまして昨年の特に晩秋以降でございますけれども、16年 4月の薬価制度改定、診療報酬改定の中での薬価の制度改正のあり方という、当面の改 訂の対応の部分に産業界においても、また行政においても注力する必要がございまし て、この中長期的観点からの研究活動というのはしばらく休んでおるというのが実情で ございます。これはいろんな角度から、基礎的な勉強も含めて意見交換をさせていただ いている中での経済課としての感想でございますけれども、アクションプランにも書い てございますが、片方で国際競争力の強化という観点からは、特にイノベーションの価 値を正しく評価というのが大変必要だろうと、現行の薬価制度においても、基本的に類 似薬価比較方式の中で真に優れているという場合に、画期性加算その他補正加算を行う という仕組みはあって、それなりに運用もされてきてはいると。しかしながら例えばで すけれど、問題として研究会の議論なりあるいは業界全体でも議論されておりますこと としては、そうは言っても本当に画期的で類薬がないような医薬品の場合の現行の方式 において、その部分のイノベーションの評価というものが十分にできるのかという点に ついても多々疑問の声が発せられていると。これが一つの大きな課題と。  他方で、しかし皆保険を堅持していくことが必要で、いろんな努力をしている我が国 の医療保険体系、その医療保険財政の厳しさがむしろ増しているという状況の中から、 いかにそこの両者の調和を図っていくのかと、張り出しの議論だけでなくメリハリとい ったような形で全体の設計をしていかなければ案にはならないのかなというようなこと を感じてきておりまして、それはなかなか実際に成案を得ていくのはそれほど容易では ないというのが率直な感想でございます。ただ、幸い16年4月の改訂の議論は済みまし て、その4月改訂後の新しい改訂薬価の下での対応等も産業界として一通り済んでいる と、薬価交渉等は現在進行形ではございましょうけれども、だいたい整理できたという ことでまたそろそろ、それでは中長期的観点からの検討ということにつきましても、改 めて今後検討を更に進めていこうというような基本的な考え方を持って、産業界とも話 し合いをまた進めていこうとしているという状況でございます。  申し訳ございませんけれども、なかなか具体的な何年何月にどうというタイムライン を描きにくい事柄でございまして、その意味でのお尋ねにあったロードマップ、タイム ラインといった部分については、きょう今日具体的に報告できるものはございませんけ れども、非常に重要な課題というふうに受け止めて取り組みを続けているということ を、まず経済課の立場からの御報告とさせていただきます。  その上で、これはなんと言っても保険制度自体の問題でございますので、今の提案あ るいはそれを含めた薬価制度全体の国際競争力との関係ということで、保険局のほうか らまたコメントをお願いしたいと思います。 ○川原薬剤管理官  はい。保険のほうからの話しになりますと、どうしても産業の推進という形よりは医 療保険制度、先ほど経済課長のほうからもお話ございましたけれども、これを持続可能 なものとするということが大命題でございまして、基本的に国民が等しく医療の保障を 受けられるような、医療保険全体を考えた上でその中で薬を見ていかなければいけない というところが大前提になりますので、そういう中で薬を見るということが行われてい るわけです。 私ども保険のほうからいたしましても、先ほど経済課長からも中長期的 に新たな方式がないかを少し業界のほうで検討されているということのようでございま すけれども、私どものほうから見ましても、平成12年、それまでもずっと検討されてき ているわけですけれども、今の基本的な骨格の部分については、平成12年から既存薬そ れから新薬についてもいろんな算定のルール、そういった骨格が定まりまして、それに つきましては、新規制の加算でございますといったものもかなり大幅にアップをされる というようなこととか、それから薬価算定組織みたいなものもできまして、ルールの適 用とかそういったものについての透明性もかなり高まっているわけでございます。  そして、14年それから今年の16年でございますが、その都度実際に運用した上での問 題点については修正が中医協の審議などを経まして行われておりまして、より完成度等 については高まってきているのではないかというふうに考えております。  中医協の議論の中で、もちろんまだ決着がつきませんで、今後も議論をされるような 項目の部分もありますが、今のところそういうルールができていてそれが完成度もかな り高いのでありますけれども、今後もそういう問題点がでてきたらばそれを改善してい くやり方でありますので、そういう点からいきますと、それに変わるような新しい方式 みたいなものがでてくるのかどうか、そこにつきましては先ほど経済課長のほうからお 話があったとおりだと思いますので、私のほうからそこについて特にコメントすること はございませんがそのような形でやっておるということでございます。以上でございま す。 ○高倉経済課長  どうもありがとうございました。おそらく問題提起された浅野会長としても、いろい ろとおっしゃりたいことがあろうかと思いますけれども、恐縮ですが時間の都合もござ いまして、あと2つ、きょうは後発医薬品の関係と大衆薬の関係、それぞれ若干ずつ意 見交換させていただいた上で、なお余力があればまた戻りたいと思います。  後発医薬品の使用促進関係についての若干の意見交換ということにさせていただきた いと思います。先ほど、吉田会長のほうから縷々、例えば診療報酬体系におけるインセ ンティブの更なる強化と、昨年もおっしゃっていただきましたけれどもそこをもっとと いうようなこと、あるいは広報等についてももっと行政としても推進をすべきといった ようなこと、あるいは品質の面も含めそういったこともございました。  御参考までに御報告しますと、私もこの経済課長の仕事をしていましてテレビ取材の 申込が過去1年間でありましたのは、もう後発医薬品の使用促進、これだけでございま す。これについては私の課に来たのだけども4社です。それぞれ別の、とにかく普及促 進をしたいと、ついては行政もちゃんとそういうコメントを説明すべしということで来 て、そういうのは正に私どもの役割ということで積極的に対応はさせていただいておる ということです。予算を取って広報というのが厳しくて、できない中でせめてそういっ たお申し込みがあったら、できるだけ積極的に対応ということで、他の分野でお断りす るのも実はあるのですができるだけこれは対応するようにしているということは、まず 御報告させていただきたいと思います。  その上で、診療報酬体系の中でのインセンティブ強化論ですとか、あるいは品質面の 話しとか幾つか問題提起がございました。それぞれ関係部局から何かコメントがあれば お願いしたいと思います。  ○川原薬剤管理官  後発品の話しも一部吉田会長のほうからございましたように、一部の後発品について は情報提供ですとか安定供給などについての懸念もあるというようなことで、そういう 意味では、良質な後発品を医療の現場でどんどん使用推進していこうというところにつ いてはおそらく中医協でも議論をされているわけですけれど、おそらくそういうところ についてはかなり合意が形成されているのではないかと思うのです。そこの「良質」な というところに、その品質の面だけではなくて、情報提供とか安定供給といった部分も 絡んできているというところが難しいところではないかというふうに思います。  最近は、先ほど経済課長からお話もありましたが患者さんも含めて後発品への関心は かなり高まってきているという中で、それぞれの関係者が品質だけではなくて情報提供 だとか安定供給の関係も含めて、心配とかそういうところがおありだということであれ ば、そういったところについての懸念などが払拭されるような形での理解を得ていくこ とを進めていって、後発品の使用推進をどんどん進めていくという方向になるのだろう ということです。そういう意味では、このアクションプランのほうに書いてあるような ことを一つひとつ進めていくということではないかなというふうに思います。 ○高倉経済課長  では、続けて審査の部局のほうから、お願いします。 ○関野審査管理課長代理補佐  審査管理課の関野でございます。本日、課長が不在で私では役不足かもしれませんが 一応関連の事項につきまして、コメントさせていただきたいと思います。  吉田会長のほうからも少しお話があった点でございますが、後発品のジェネリック医 薬品の信頼性確保という意味では我々のほうで、品質再評価のほうを実施してきており まして、平成7年4月以降の品目については承認の段階で確認しておりまして、それ以 前のものについては遡って一通りチェックをかけてきているという段階に来ておりま す。そういう意味では、だいぶ信頼性を確認するだけの環境というものは整ってきたの ではないかなと思っております。  あとは、実際確認をするための試験方法というものも公表されておりますので、先ほ どのコメントの中でも御指摘ありましたとおり、それぞれが試験方法に沿ってもしも何 か不安があれば確認をできるという状況にもなってきているということで、これはある 意味悪い状況とは言えないと思っております。  ただ、その受け止め方が厳しいかどうかという点につきましては、具体的に個々にそ の試験をやられた先生方がどういうやり方をされているのかというのを確認の上、個別 の対応ということになるかと思いますけれども、ある程度各自いろいろな薬、ジェネリ ック医薬品を使う立場の方々が、そいういう信頼性というものを確認するような行動を 起こしてきているということは悪いこととは言えないと思っています。  我々といたしましても、実際品質の再評価というのを行っている立場上、信頼性に関 する事柄についていろいろな紹介等があれば、我々の制度的な部分とあと実際の部分と それはある程度ファクトデータに基づいたコメントが求められるかもしれませんが、い ろいろな形で説明といいましょうか、情報提供といいましょうかそういうことはさせて いただきたいと思っております。  そういった中で、全体的にジェネリック医薬品というものが医療の中で受け入れられ ていければいいのではないかというふうに考えております。以上でございます。 ○高倉経済課長  あと、リアクションの前に後発医薬品使用促進に関しましては、旧国立病院・療養所 グループ、今の独立行政法人の機構におきましても14年度に研究をして、15年度3月に は公表して、要するに後発医薬品の選択の基準とチェックリストというようなものを作 って、実際採択の増加を見ておるというふうに承知しております。国立病院サイドか ら、いわゆるユーザー側として、何かコメント等あればお願いしたいと思います。特に なければ結構ですがどうでしょうか。後発医薬品の使用促進関係でですが。 ○楠岡副院長  国立病院では院外処方を推進しております。そうしますと、院外処方の問題として、 後発医薬品の処方が難しいという現状がございます。と言いますのは、一般名処方で後 発医薬品を処方しないと、商品名で処方してしまうと当該調剤薬局に該当品がなかった 場合の変更の問題とかでてきます。そういう意味で一般名処方をするというようなこと をやっていかないと無理。調剤薬局側のほうの受け入れの問題もありますので、当院の 場合も大阪府の薬剤師会ともいろいろ検討を重ねているのですが、まだ院外処方に関し て一般名処方ができない状況で、結果的に院外処方率は90%を越えているのだけれども、 その中のジェネリックの使用というのは非常に限られたものになってしまっている。そ れに対して院内の処方に関しましては、これは院内の合意さえできれば出来ますので、 却ってそちらのほうがジェネリックの導入は進んでいるということがございます。この 問題に関しましては、ジェネリックを推進するという意味では、かなり根本的に考え方 を変えないといけないのではないかというのが私個人の意見でございます。医師の裁量 権の問題には関わることではありますけれども、結果的に患者さんが薬局で自分で選択 できるようなシステムを入れる必要があります。処方である薬を指定されてしまいます と、その変更というのは現状なかなか難しいわけで特にそれをジェネリックに変えてい くというのは難しいのです。患者さんのほうからすれば、どういう薬を欲しいかという のは患者さんの主観的な問題ですから、ある意味医師の裁量権として多少そこは制約は されることにはなりますけれども、医師が指示するのは一般名としての薬であって、ど の薬を選択するかというのは、患者さんの選択に任せるようなシステムを作らざるを得 ないのではないかと思っています。  これに関しましては、医師の側がジェネリックと先発品との同等性が保障されている ということであれば、それに対する抵抗はないかと思います。諸外国でジェネリックが 高いのは、保険制度においてジェネリックは保険が利くけれども、そうでないのは利か ないとかいう制度上の問題が反映されているところがあります。そういうようなシステ ムが今の保険制度とかあるいは処方の基準等に入っていけばかなり改善するところはで てくると思っております。  そのへんのところは、現状の医師のパターナリズムをどこまで認めるか、医師の裁量 権をどこまで認めるかという議論と、消費者の選択、消費者の自己責任というところの 問題とやはり同じラインの問題であると思いますので、そのへんは少しじっくり検討す る必要があるのではないかと思っております。 ○高倉経済課長  どうもありがとうございました。それではいろいろまだあるとは思いますけれども、 先ほど上原様のほうから大衆薬関係について、いくつか審査部門の人員充足、不十分だ とかあるいは個別な対応だと難しいからガイドラインをとか、あるいは健康食品の効能 表示のあり方の整理とか、いくつか具体的な御意見をいただいております。その点につ いての今の薬事側の状況をちょっと報告していただきます。 ○関野審査管理課長代理  私のほうから少しコメントをさせていただきます。まず独立行政法人の関係ですが、 確かに御指摘のとおり、昨年末いろいろな準備ということを踏まえて、一時期我々のほ うからお願い致しまして、その審査業務というものが一時中断した時期もございます。 逆にその4月以降の問題としては、立ち上がった後当然先ほど各先生方からお話があっ たように、独立行政法人に対する期待感が大きいわけでありますが、その立ち上がりの 段階でやはり内部的なところの仕組みといいましょうか、効率的な業務を行っていく上 でのある程度の考え方といいましょうか、具体的な運用といいましょうか、そのあたり の整理が一部残っているということもあり、なかなか御期待に添うような形でのパフォ ーマンスが見えてきていないのかもしれません。このあたりは、一方で年度ごとの中期 計画あるいは中期目標というものを設定していく中でかなり対外的なところからもチェ ックがかかるような仕組みになっておりますので、その刺激を十分念頭におきながら、 いつまでも立ち上がりということで甘えずに実効の上がるような形でがんばっていきた いという形で、あまり具体的なコメントではございませんが、そういう形で詰めさせて いただければというふうに思っております。  もう1点でありますが、いろいろな大衆薬に関します効能拡大、あるいはいろいろな 新たな品目の承認審査に関しまして、申請主義になっているのではないかということ で、ある程度予めいろいろ方向付けと言いましょうか、ターゲットになるようなところ を行政のほうが示す必要があるのではないかという、そういう御指摘ではなかったかと 思いますけれども、これに関しまして具体的にそれぞれ審査官個人個人の責任というこ とではなく、あくまで組織としての対応、あるいは国との関係も含めてですが最終的に 承認する・しないというものは総合的な全体としての責任になるかと思いますけれど も、その一方である程度大衆薬というものがどういう方向にあるべきかということにつ きましては、御指摘のありました検討会の報告書ができてから、この秋といいましょう か少し涼しくなった段階で、かれこれ2年経ってしまうという状況にもなりますので、 その後のフォローアップという意味でいろいろな形で具現化していけたらいいなと思っ ています。  それが場合によって言い換えれば、その専門家による検討という御指摘もありました けれども、基準のような形で一つのターゲットとなるような薬効分ですとか、製品、そ ういったものが具体的に示せれば、おそらく御期待に添えることになるのではないかと 思いますけれども、このあたりはちょっと今御意見いただいたところですぐにお約束の できる部分でもないと思いますので、一応その意見を酌み取らせていただきまして検討 させていただきたいと思っております。 ○高倉経済課長  どうもありがとうございました。時間がだんだん迫ってまいっているわけでございま すが、せっかくの機会でございますので、きょうお越しいただきました方々、何かこの 機会に、どうしても一言クギを刺しておくとか、あるいは言っておきたいことがござい ましたら。 ○山西医学部長  産業ビジョンを読ませていただいて、進捗状況を読ませていただいたのですが、その 中でこれは経済課がされているので私のいうことは関係ないかもしれませんが、ここ見 ていますと、私は大学におりますので研究と開発が重要だと思っているのですが、研究 者の人口というのは、日本はどんどんとアメリカに遅れていると書いてあるのです。そ れで国際化にとても対応できないと私は思っていまして、進捗状況には何も書かれてい ないのですが、それに対して厚労省はじめどういう対応で、将来はどういうことを考え て、アメリカ、ヨーロッパにキャッチアップするか、または追い越すか知りませんけれ どそういうことを考えてられるかと。  一つは、私は産学官ともう少し連携することが重要だと思いまして、企業からもどん どんと法人化しました大学にもっともっと来られるような体制にするとかいろんな手当 があると思うのですけれども、これは文科省との共同作業になるかもしれませんけれど も、何かそういうアイデアを出していただいたほうがもっと将来が明るいのではないか と思います。この中には何か暗い話ししか書いてないのです。単にこれは私の意見です けれど、それをお願いしたいと思っております。 ○成田企画官  厚生科学課でございますが、今の山西先生から御指摘の点につきましては、厚生労働 省だけでという話しではなくて、総合科学技術会議のほうでも非常に問題点として取り 上げておりまして、人材の育成でありますとか地域でありますとか、産官学の連携とか 検討をしていただいております。それで、今科学技術の基本計画というのが17年度まで でございますけれども、18年度を見越して、これから改訂作業が始まるというふうに聞 いております。それに対応しまして、厚生労働科学研究につきましても先日の厚生科学 審議会の中で、厚生科学研究のあり方を一年かけて検討していこうということで、専門 委員会を設けるということになっておりますので、その中の一つのテーマかなというふ うに思っていますので、いろいろ御意見いただければと思っております。 ○高倉経済課長  1点だけ、全体の医薬品産業ビジョンのとりまとめ事務局役として申しますと、暗い 話しだけということでいいますと、厳しい現実をいろいろと赤裸々に整理してみんなで 事実認識を共有する、これがこのビジョンペーパーの第1の目標だったわけです。た だ、第2の目標は、そこだけ見つめていると本当に暗くなりますので、将来のこうある べきという明るい姿を打ち出そうと、そこに向かって歩いていく道筋もつくろうという ことで、むしろ明るいことをいろいろ書いてあるのではないか、医薬品産業はスパイラ ル発展していって国民の健康の保持増進に大きく貢献する、そしてまた国際的にも我が 国の技術立国を目指す日本にとって非常に重要な産業であって、どんどん環境整備をし ていきたいと。  それをやっていくプロセスで、当然ながら今の研究者層についても十分、研究者層の 雇用も確保されてしっかりと国の中でいろんな知的な価値を生み出していく部分の活動 がもっともっと活発になる。そういう明るさを目指しているということをちょっと付言 させていただきたいと思います。  いろいろ、アクションプラン当然足りないところもあるというのは御指摘のとおりと 思いますので、さらに努力をしてまいりたいと思います。 6.閉会 ○高倉経済課長  いろいろ皆様まだまだ御意見あろうかとは思いますけれども、予定の時間になってし まいました。きょう、どうしても申し足りないといったことについては、私どもにお寄 せいただければと思っております。それでは最後に中島審議官のほうから一言お願い致 します。 ○中島大臣官房審議官  本日は、大変長時間にわたりまして、熱心に御審議、御意見の交換をさせていただき ましてありがとうございました。本日、皆様方から頂きました貴重な御意見、御指摘に つきましては、今後の医薬品産業政策のさらなる推進の参考とさせていただきたいとい うふうに考えております。  また、時間の関係等でお話いただけなかったことなどございましたら、事務局のほう に別途御連絡をいただければ幸いに存じております。  保険局のほうもいろんな事情で扉が閉じていることもございますが、決して連絡不能 の陸の孤島ではございませんので、こちらのほうもよろしくお願いしたいと思います。  御多用中にも関わりませず、お時間をいただきまして皆様方には心からお礼を申し上 げますとともに、今後とも一層の御協力を賜りますようお願いを申し上げたいと思いま す。本日はどうもありがとうございました。 ○高倉経済課長  どうもありがとうございました。それでは、これをもちまして本日の懇談会を終わら せていただきます。どうもありがとうございました。                                      以上 照会先:医政局経済課 担当者:村松達也 連絡先:(代表)03-5253-1111 内線2524