04/06/02 薬事・食品衛生審議会平成16年6月2日(水)医薬品等安全対策部会議事録         薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年6月2日(水) 16:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(17名)五十音順  ○池田 康夫、  井上 章治、 岩崎  学、 上田 志朗、   大澤 真木子、 甲斐 知恵子、菊地 博達、 岸田  浩、   北村 啓次郎、 倉田  毅、 倉田 雅子、 柴川 雅彦、   首藤 紘一、  田島 知行、 土屋 文人、 埜中 征哉、   長谷川 隆一、◎松本 和則、 山口 照英   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(5名)五十音順   青葉 安里、  相楽 裕子、 田代 眞人、 堀内 龍也、   渡辺  亨 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、平山 佳伸(安全対策課長)、   俵木 登美子(安全使用推進室長)、   黒川 達夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   伏見  環(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)、   渡邊 伸一  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局  首藤先生と山口先生が遅れているようですけれども、定刻になりましたので平成16年 度第1回医薬品等安全対策部会を開催させていただきたいと思います。本日の部会は従 前の取扱いと同様に公開で行うこととしておりますが、カメラ撮りをされる方がいらっ しゃいましたら議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解と御協力の ほどよろしくお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまし て誠にありがとうございます。委員の交代がございましたので、御紹介させていただき たいと思います。日本医師会常任理事の田島理事が今回から新たに委員になられており ます。田島委員、よろしくお願いいたします。 ○田島委員  田島でございます。何分初めてこのようなところに出てくるもので、慣れておりませ ん。池田先生などにもいろいろお世話になるかと思いますが、ひとつよろしくお願いい たします。               ── 首藤委員着席 ── ○事務局  本日事前に青葉委員、相楽委員、田代委員、堀内委員、渡辺委員の5名の委員の方々 から御欠席の連絡を頂いておりますが、本部会の定員は24名でございますので本日の部 会は定足数に達していることお知らせしたいと思います。また、本日委員の方々とは別 に独立行政法人医薬品医療機器総合機構の黒川安全管理監と伏見安全部長に出席してい だだいております。  ここで独立行政法人医薬品医療機器総合機構について簡単に御紹介させていただきた いと思います。委員の先生方のお手元には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のパ ンフレットをお配りさせていただいているところでございます。このパンフレットの8 ページを御覧ください。医薬品医療機器総合機構は国立医薬品食品衛生研究所医薬品医 療機器審査センターと医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、また財団法人医療機 器センターの一部の業務を統合して本年の4月に設立され、業務を開始しております。 本日の部会に関係する安全対策の業務を行う部門といたしまして、8ページの右下から 三つ目の部分に示しておりますように「安全部」が設置されております。それと本日出 席していただいております黒川安全管理監という官職もできております。  従前行っておりました厚生労働省における安全対策と今般設立されました独立行政法 人医薬品医療機器総合機構の安全対策業務の関係について、パンフレットの25ページを 御覧いただければと思います。総合機構を中心に右側に厚生労働省、左側に企業という ような図を示させていただいておりますように、この総合機構の方で企業から副作用の 報告等を受け付け、海外の規制情報や文献情報などを一元的に収集し、情報の整理を行 っていただきます。収集していただいた情報につきましては、即座に厚生労働省とも共 有することになっております。 医薬品機構においては企業ヒアリング、あるいはデー タ収集、分析、評価等を行い、情報を整理し調査結果を厚生労働省に報告していただき ます。厚生労働省ではその報告結果を踏まえて、本日これから報告いたしますような添 付文書改訂の指示などの措置を従来どおり企業に対して行います。このように従前は厚 生労働省で行っていた医薬品等の情報収集、評価、整理というルーチン的な業務を、今 年の4月から医薬品機構で実施していただいているという状況にございます。簡単では ございますけれども、医薬品機構について紹介させていただきました。  それでは議事に入りたいと思いますので、これ以後の議事の進行は松本部会長にお願 いしたいと思います。よろしくお願いいたします。               ── 山口委員着席 ── ○松本部会長  この度新たに委員に加わっていただきました田島先生、よろしくお願いします。それ では、まず事務局から本日の配付資料の確認をお願いします。 ○事務局  配付資料でございますけれども、お手元に用意させていただいております。まず委員 名簿の一枚紙が配付されていると思います。その次に「平成16年度第1回薬事・食品衛 生審議会 医薬品等安全対策部会 議事次第」の一枚紙、そして「配布資料一覧」の一枚 紙がございまして、その次から資料番号が右上に付された資料が続いております。資料 1-1が「平成15年度の安全対策について(まとめ)」。資料1-2が「医薬品等の使用上の注 意の改訂について」。資料2-1が「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛 生審議会への副作用・感染症等報告について」。資料2-2が「国内副作用報告の状況(医 療用医薬品)」。資料2-2の参考資料といたしまして「薬効分類表」が付いております。 その次に資料2-3といたしまして「国内副作用報告の状況(一般用医薬品)」。資料2-4 が、「国内感染症報告の状況」。資料2-5が「外国での新たな措置の報告状況」。資料 2-6が「研究報告の報告状況」。資料3-1が「医薬品等の回収報告の状況について」。資 料3-2がA4の横になりますけれども、「平成15年度医薬品等自主回収一覧」。その次 にA4の横になりますが、資料4-1が「感染症定期報告の状況」。資料4-2が「報告文献 別一覧表」になっております。次に資料5-1が「一般用医薬品の指定医薬品解除につい て」。資料5-2が「一般用ファモチジン製剤について」。以上の資料となっております。 ○松本部会長  資料はそろっていますでしょうか。それでは、早速議題に入りたいと思います。まず 議題1の医薬品等の市販後安全対策についてです。事務局から資料に沿って説明をお願 いします。 ○事務局  資料1-1、「平成15年度安全対策について(まとめ)」を御覧ください。医薬品の副作 用等の報告につきましては、製造業者等からのものと医療機関の医薬関係者からのもの がございます。昨年度の制度改定により、平成15年7月30日から薬事法の改正に基づき 「医薬品医療用具等安全性情報報告制度」として報告を求めているところでございま す。  医薬品の報告について、平成15年度の医薬関係者からの報告につきましては、本制度 に基づき約1,000件以上の増加が見られ、5,399件の報告を受けております。製造業者等 の報告については、国内報告分として28,004件の報告を受けております。また研究報告 として1,276件の報告を受けております。製造業者等の報告につきましては、「注1」 にございますように制度としては変わっておりませんけれども、平成15年10月27日から 電子報告ということで報告を受けております。そのシステムの変更に伴いまして、これ まで重複して含まれていた追加報告に関する報告件数は含まれておりません。また、こ れまで報告件数に含まれていた取り下げいただいた報告につきましても、こちらには含 まれておりません。  次に1ページ飛びまして3ページを御覧ください。「(2)安全対策上の措置」といた しまして、平成15年度に実施した使用上の注意の改訂等について報告いたします。まず 緊急安全性情報(ドクターレター)として1件の指示をいたしました。また「医薬品・医 療用具等安全性情報」への情報掲載として57件を報告しております。それから使用上の 注意の改訂として180件指示しております。  具体的には5ページを御覧ください。「(3)緊急安全性情報」として、平成15年9月 に「経口腸管洗浄剤『ニフレック』等による腸管穿孔及び腸閉塞について」で 緊急安 全性情報を配布しております。次に6ページを御覧ください。「(4)医薬品・医療用具 等安全性情報」といたしまして、平成15年4月に188号といたしまして、「ゲフィチニ ブにおける市販後安全対策について」、「ガチフロキサシン水和物による重篤な低血 糖、高血糖について」という情報を掲載しております。また平成15年7月には191号と いたしまして、「一般用かぜ薬による間質性肺炎について」を掲載しております。同年 9月の193号におきましては「塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する医薬品によ る脳出血に係る安全対策について」を掲載しております。同年10月の194号につきまし ては、「経口腸管洗浄剤『ニフレック』等による腸管穿孔及び腸閉塞について」、 「インフルエンザウイルス抗原の検出を目的とする体外診断用医薬品の自主点検結果 及び適正使用について」を掲載しております。それから平成16年1月の197号におきま しては、「卵胞ホルモン製剤の長期投与と安全性について」という記事を掲載してい るところでございます。以上が平成15年度の安全対策についての簡単なまとめでござ います。  続きまして資料1-2の説明に移らせていただきます。昨年の第2回医薬品等安全対策 部会の後に指示をいたしました医薬品等の使用上の注意の改訂について御報告いたしま す。1月30日付けで、レフルノミドにつきまして「重大な副作用」の項に「間質性肺炎 」等について記載整備を行いました。2月6日発出のチアマゾールにつきまして、「重 要な基本的注意」の項に「少なくとも投与開始後2か月間は、原則として2週に1回、 それ以降も定期的に白血球分画を含めた血液検査を実施する」旨等の改訂の指示を行い ました。2月18日発出分につきましては、塩酸ベラパミル(経口剤)ほか9成分につきま して改訂の指示を行っているところでございます。次に1ページめくっていただきまし て3ページ以降でございますけれども、4月1日発出分でメシル酸ドキサゾシンほか25 成分に改訂の指示を行っております。6ページに飛びますが、4月13日発出分の防疫用 殺菌消毒剤でございますフタラールにつきまして、超音波白内障手術器具用にはこれを 使わないようにとする旨の指示を行っております。5月12日発出分ではメシル酸イマチ ニブほか8製剤につきまして改訂の指示を行っているところでございます。最後のペー ジになりますが、5月31日発出分でシロスタゾールにつきまして脳出血に関する注意喚 起の指示を行っております。以上でございます。 ○松本部会長  ありがとうございました。ただいま平成15年度の安全対策について説明していただき ましたが、委員の先生方、御意見・御質問ございませんでしょうか。特に御意見がない ようでしたら次に進ませていただきます。  議題2は医薬品等の副作用等報告の状況についてです。まずは事務局の方から御説明 をお願いします。 ○事務局  それでは資料2-1、「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会へ の副作用・感染症等報告について」という資料に基づき以下順次御説明いたします。本 報告規定は昨年7月30日より施行された改正薬事法におきまして、医薬品等の市販後安 全対策に係る薬事・食品衛生審議会の機能強化を目的に盛り込まれたものでございま す。今回は1月23日の前回部会に引き続き第2回目の報告ということになりますが、本 報告におきましては平成15年10月27日〜平成16年3月31日までに受け付けた副作用等報 告の状況について御報告いたします。報告事項は大きく分けて二つございまして、一つ 目は製造業者、輸入販売業者などからの医薬品等の副作用・感染症等報告。二つ目は医 師、薬剤師、歯科医師など医薬関係者からの副作用・感染症等報告でございます。なお 先ほど資料1-1のところでも御説明いたしましたけれども、企業報告に関しては平成15 年10月27日より電子的な報告を求めているところでございます。  資料2-1の1でございますけれども、製造業者等からの報告のうち(1)は国内症例の 報告状況について記載しております。我々のデータベースにおきましては特に医療用医 薬品と一般用医薬品を区別してはいないのですけれども、資料では分かりやすいように 分けて記載してございます。具体的な件数としましては、当該報告期間中に医療用医薬 品の副作用報告が12,635件、感染症報告が183件、一般用医薬品の副作用報告が142件と いうことでございます。一般用医薬品の感染症報告のところは「-」という形で記載し ておりますけれども、これは感染症伝搬のリスクがある医薬品については生物由来製品 ということで指定されておりまして、これらはすべて医療用医薬品に該当いたします。 したがって、一般用医薬品による感染症症例報告は想定されないということで、表の当 該カラムに横棒を記載しております。実際報告はございません。なおこれらの報告数の うち、医療用医薬品の副作用報告につきましては横に括弧して「資料2-2」、感染症報 告については「資料2-4」、一般用医薬品については「資料2-3」という形で書いてあり ますが、これは補足説明資料として併せて配付させていただいております。  それから(2)外国症例の報告状況でございます。薬事法施行規則におきましては、国 内承認の医薬品と成分が同一の海外で売られているものに係る同様の副作用等の報告規 定がございまして、それに基づき報告されたものが副作用報告としては22,218件、感染 症報告として24件あるということです。続きまして(3)外国での新たな措置の報告状況 でございます。これは国内承認の医薬品と成分が同一の外国の製品について、海外で回 収や添付文書の重要な改訂などが行われたような場合にその旨を報告する規定がござい まして、それに基づく報告が114件ということでございます。次に(4)研究報告の報告 状況についてです。国内の医薬品と成分が同一の海外で売られているものの副作用等に より、がんその他の重大な疾病が発生するおそれがあるものについて報告することとな っており、その件数が今回の報告期間中に497件あったということでございます。実は 先生方に事前に送付させていただいた資料ではここの数字が間違っておりましたが、 本日席上配付させていただいた資料2-1の497件が正しい数字でございます。この場をか りて訂正させていただきます。  それから2として医薬関係者からの報告でございますけれども、本報告期間中に2,521 件ございました。薬事法改正で昨年7月30日より医薬関係者からの報告が法制化された こともありまして、前年度の同じ時期と比較しますと約5割程度の件数の増加が見られ ております。また、これらの報告につきましては製造業者等にすべてフィードバックし ておりまして、企業におきましては安全性情報として活用するとともに、必要に応じて 詳細な調査を行った上で改めて企業報告という形で提出してきている状況でございま す。その意味で、これらの医薬関係者からの報告内容はすべて製造業者等からの報告に 含まれていますので、件数につきましては資料2-2〜資料2-4の中に包含されてございま す。以上が医薬品等の副作用・感染症等の報告状況でございまして、これらに基づいて 何らかの安全対策が必要であると考えられた場合には、最初の資料1-2で示したように 使用上の注意の改訂を指示するなどの措置を採っております。  説明が長くなって申し訳ないのですけれども、資料2-1に副作用・感染症報告の集計 結果についての注意事項を書かせていただいております。これは以下の資料を御覧いた だく際に御注意いただきたいということでまとめたものです。まず各資料に副作用報告 件数が記載してございますけれども、これらの副作用・感染症報告につきましては医薬 品との因果関係が不明なものを含めて製造業者等及び医薬関係者から報告されたもの で、個別に医薬品との関連性を評価したものではないといった点に御留意ください。そ れから、今回お示ししている数字は本報告期間中に提出された最新の報告書の件数でご ざいまして、例えば同一の症例に複数の被疑薬が存在し、当該症例が複数の企業からそ れぞれ報告されたような場合ですと重複してカウントすることになりますので、ここに 示めされた報告件数がそのまま症例数ということにはならない点にも御留意いただきた いと思います。また、副作用・感染症報告の件数につきましては、報告者が本報告期間 中に一度報告した後、追加情報により因果関係が否定されたため報告を取り下げたよう な場合には、件数から除外しております。外国症例の報告及び医薬関係者からの報告の 件数につきましては、医療用医薬品と一般用医薬品の合計になっている点について御理 解いただきたいと思います。それから5)〜7)につきましては個別の資料の補足資料で 説明いたします。  引き続き資料2-1を補足する意味で、残りの資料につきましてごく簡単に御説明した いと思います。まず資料2-2、「国内副作用報告の状況(医療用医薬品)」でございます けれども、非常に厚い医薬品別、副作用別報告件数の表でございます。医薬品ごとの同 様の集計表というのは、これまでも以前の医薬品機構、現在の独立行政法人医薬品医療 機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページにおいて掲載しているところでご ざいます。また資料2-2〜資料2-5につきましては、資料における数字等の意図するとこ ろを正確に御理解いただきたいということで、ただいま御説明いたしました資料2-1の 注意事項を資料2-2の表紙に代表して再度書かせていただいております。1)につきまし ては、先ほど申しましたように個別に医薬品等の関連性を評価した上での数字ではない という点を御理解ください。それから4)でございますが、資料2-2、2-3は医薬品ごと の副作用別の件数を示しておりますけれども、一症例で複数の副作用を発現する場合も ございますので、例えば資料2-2における報告件数を合計すると先ほどの資料2-1に示し た報告件数よりも多くなるといった点に御留意いただきたいと思います。それから資料 2-2の見方でございますが、薬効分類順に医薬品を並べた薬効分類表を併せて配付させ ていただきましたので、そちらも参考にしていただければと思います。なお、資料には 副作用別の数字が列記してあるわけですけれども、例えば使用上の注意から予測できな い未知の副作用のうち重篤なものなどについて、薬事・食品衛生審議会の専門委員に個 別の評価を頂いた上で日々安全対策の必要性を検討しております。なかなか難しいの は、報告症例数が何例になれば使用上の注意を改訂するというような機械的な判断がで きるわけではございませんので、例えば報告数が多くても患者の合併症や臨床経過等か ら因果関係が否定的な症例が多ければ安全対策上の措置を採る科学的根拠に乏しいとい うことにもなりますし、一方報告数が少なくても薬との因果関係が強く疑われる症例が 多ければ、それを根拠に使用上の注意の改訂を行う必要性が生じることもあるというこ とでございます。このような評価を行った結果、使用上の注意の改訂に至ったものを資 料1-2でまとめております。したがいまして、繰り返しになりますけれども、この資料 に示した件数のみで単純に安全性の評価ができるわけではございませんし、また類薬と の比較についても各医薬品の販売数量が大幅に異なるということもございますので、副 作用発現率等の単純な比較ができるわけではないということを御承知おきいただきたい と思います。  資料2-2については以上でございまして、資料2-3、「国内副作用報告の状況(一般用 医薬品)」でございますけれども、こちらの方では医療用医薬品と同様に成分名ごとの 副作用別報告件数を示しております。一般用医薬品の場合は配合剤が多く成分名だけで はちょっと分かりづらいということもありまして、左側に当該医薬品の薬効群を示して おります。 ○事務局  続きまして資料2-4、「国内感染症報告の状況」について御説明したいと思います。 この資料は平成15年10月27日〜平成16年3月31日までの国内感染症報告の状況一覧でご ざいます。先ほど御説明したとおり総数としては183症例でございますが、欠番となっ ているものがございます。これはこの期間内に報告の取下げをした症例ということで、 5ページの最後の番号が209にはなっておりますが、報告数としては183でございます。 報告が多い製剤としましては人赤血球濃厚液、人血小板濃厚液、新鮮凍結人血漿。ま た、報告が多い感染症はB型肝炎、C型肝炎、細菌感染、敗血症でございます。「参考 事項」という項目がございますが、こちらの方に記載していますとおり、こうした報告 を受けた後企業等によって保管検体の検査などが実施されています。その結果はNAT 陰性、無菌試験の陰性など、検査陰性であることが多かったのですが、NAT陽性例な どの製剤によってこれら感染症に感染した可能性があるという症例も幾つか確認されて おります。具体的には人赤血球濃厚液あるいは新鮮凍結人血漿などによりB型肝炎に感 染したのではないかという事例が14あります。このうち日本赤十字社の遡及調査による ものが9例ですが、そのうち保管検体がNAT陽性だったものが7例、陰性が2例。ま た人赤血球濃厚液が一つ、洗浄人赤血球浮遊液が一つにより伝染性紅斑に感染した可能 性のあるものが2例。新鮮凍結人血漿によるHIV-1、いわゆるエイズウイルスに感 染したのではないかという事例が1例ございまして、これも日本赤十字社の遡及調査で 陽性が確認されたものでございます。これらの症例についての情報収集や対応は企業あ るいは医療機関を通じて既に採られておりますが、今後は輸血医療の安全性確保のため の総合対策などにのっとり、特に輸血製剤の安全性確保につきましては関係部局課と連 携して対応を進めていきたいと考えております。以上でございます。 ○事務局  引き続き資料2-5、「外国での新たな措置の報告状況」につきまして簡潔に御説明い たします。本資料は報告順に医薬品の成分名と報告内容、また措置国についても併せて 示しております。報告の多くは日本における影響がなく対応が不要のものや、日本にお ける副作用報告がなく現時点では対応を採る必要性に乏しいと判断されるもの、あるい は既に日本における添付文書では必要な注意喚起が行われているため対応が不要といっ たものでございます。例えば1ページの番号4、硫酸バリウムによる死亡に関して、こ ちらは回収が行われているのですけれども、原料の問題で輸入さていないということか ら国内における対応は不要だった例でございますし、番号7のアレンドロン酸ナトリウ ムの眼障害に関しては、日本の添付文書で既に注意喚起をしていたため対応が不要と判 断された例でございます。実際に措置が行われた事例といたしましては7ページを御覧 ください。番号89に「塩酸クロミオウラミン」とありますが、「塩酸クロミプラミン」 の間違いでございましてこの場をかりて訂正いたしますが、これにつきましてスイスで セロトニン症候群及び先天性QT延長症候群に関する使用上の注意の改訂がなされたと いう件でございます。こうした措置の報告や国内におけるこれらの副作用等に関する症 例の集積報告状況も含め検討した結果、例えば先ほどお配りしました資料1-2の7ペー ジ、04-32のところに塩酸クロミプラミンの記載がございまして、使用上の注意の改訂 内容で[禁忌]の項に「QT延長症候群のある患者」を追記したり、[副作用]の「重 大な副作用」の項に「セロトニン症候群」に関する事項を追記するなどの措置を採って いるところでございます。また資料2-5にお戻りいただきたいのですが、2ページの番 号17に血中HBS抗体測定試薬に関して「微生物の混入が発見された」という記載がご ざいます。これは米国において回収された事例でありますけれども、こうしたものにつ いては既に企業が国内における該当ロットを自主回収しているものも幾つかございま す。いずれにしましても、こうした海外での措置に関する報告についても必要に応じて 薬事・食品衛生審議会の専門委員の御意見も伺いながら対応を行っているということで ございます。  次に資料2-6、「研究報告の報告状況」を御覧いただければと思います。本資料は報 告順に医薬品の成分名と研究報告内容について記載したものでございます。これらの研 究報告につきましても、先ほどの措置報告と同様に日本における添付文書では既に必要 な注意喚起がなされている場合であったり、あるいは文献における1例のみの副作用症 例報告であったり、さらには詳細情報が不明で因果関係の評価が困難であるなどの理由 で現時点で対応する必要性に乏しい場合が多うございます。例えば番号1のシクロホス ファミドによる急性骨髄性白血病の発現ですとか、番号2の芍薬甘草湯による低カリウ ム血症やミオパチーの発現に関しましては、既に現行の添付文書の記載において注意喚 起がなされておりますので、現時点で特段の対応が不要と判断された事例でございま す。今回これらの研究報告を基に実際に使用上の注意の改訂を指示した事例はございま せんでした。いずれにしましても、このような研究報告についても必要に応じ薬事・食 品衛生審議会の専門委員に御意見を伺いながら対応を行っているところでございます。 以上資料2の説明でございます。 ○松本部会長  どうもありがとうございました。大変多くの内容について説明していただきましたの で分かりにくい点が多かったのではないかと思います。そのことも含めて御質問、御意 見ございましたらお願いします。 ○上田委員  資料1-1の6ページで平成15年9月のところに「塩酸フェニルプロパノールアミンを 含有する医薬品による脳出血に係る安全対策」とありますが、それ以降の資料2-3を見 ますと、関連はまだ評価されていないのですけれども、やはり塩酸フェニルプロパノー ルアミンによる視床出血と脳出血が副作用としてあります。これはもう既に注意喚起の 前に使用されて、10月27日以降に報告があったということでしょうか。その辺分かりま したらお願いいたします。 ○松本部会長  事務局、いかがですか。 ○事務局  それでは御説明いたします。資料2-3に塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品 による視床出血等の記載がございますけれども、本報告期間中、10月27日以降の症例と しましては3例報告がございまして、すべて昨年の8月に措置を採った後で発症したも のでございます。この措置の際、特に過量服用のところが問題にされていたかと思いま すけれども、やはり3例中2例につきましては1回1カプセルのところを4カプセル飲 んだといったような事例でございまして、もう1例は投与量の詳細がよく分からないと いうことで、情報も不足しており因果関係等の評価も難しいという状況でございます。 塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する一般用医薬品につきましては、代替となり 得る成分である塩酸プソイドエフェドリンを含有する製剤への切替えも指導しておりま す。現在今年の2月までに承認申請したものについては迅速に処理するということで、 厚生労働省の承認品目と都道府県知事承認品目についても切替えを指導してきているわ けですけれども、その点につきましてはほぼすべての製品について既に新たな承認を取 得しているか、あるいは現在承認審査中といった報告を受けております。 ○松本部会長  よろしいですか。まだ切替えはしばらく続くということになりますね。注意喚起して からも3例くらい報告があって、それは過量投与と。そのもの自体はしばらくは存在す る…。 ○事務局  以前に製造されたものは市場には残っていますので、その点も踏まえまして本年3月 にも日本薬剤師会と関係団体等に対し副作用、服薬指導等の徹底につきまし改めて御協 力をお願いしたところでございます。 ○松本部会長  先生、よろしくお願いします。 ○池田部会長代理  資料2-4、血液製剤の国内感染症報告のことでちょっとお伺いします。これは「C型 肝炎」とか「C型肝炎抗体陽性」とか「C型肝炎陽性」というように記載の仕方がいろ いろあるのですけれども、この診断の精度というのはこの記載によって分けて考えるも のなのでしょうか。 ○事務局  感染症名につきましては「MedDRA」という医薬品の副作用関係の用語で記載されてい きます。先生のおっしゃるとおりC型肝炎に関連する用語はたくさんございまして、例 えば先ほど御指摘がありました「C型肝炎」というものもあれば「C型肝炎抗体陽性」 もありますし、「C型肝炎陽性」もあります。感染症名は報告頂きましたメーカーが付 けてきますので、私どもはそれを見て、例えば「これはC型肝炎全体のグループだ」と いう考え方で対応しております。同じようにB型肝炎にも「B型肝炎抗体陽性」もあれ ば「B型肝炎」もあります。 ○池田部会長代理  そうすると表現の仕方で診断の精度が違うということではなくて、同じように扱って いいということですね。 ○事務局  大きい考え方としては同じように扱ってよろしいかと思います。 ○池田部会長代理  それでこれが血液製剤との因果関係についてどれくらい確認を…。全部保管検体のN AT検査をしているわけですけれども、これをすべて輸血後の感染症と理解していいも のなのかどうかということについて、どこかでジャッジをするのでしょうか。それとも この感染症の報告を見て「こんなにたくさんあるのか」と考えるのか、「とにかくメー カーから上がってきたものはこういうふうにあったのだ」と考えておくべきなのか、我 々はどう考えたらいいのでしょうか。 ○事務局  結論とすれば後者ということでございます。実際に感染が起こったかどうかというの を保管検体などを調べながら調査するわけですが、もちろん調査中に例えば医療機関側 から実はこういった製剤が原因ではなく別のルートで感染したことが判明したり、ある いは抗体検査をもう一度し直したら実は陰性だったりすることがございまして、こうし た検査結果から製剤側が取り下げることもあり、それでも納得されない医療機関があれ ば、取下げはされず未完了のまま継続されることもあります。ですから真実はどこにあ るかというのは個別症例ごとに対応しないといけないのですが、私どもとしましては制 度の中で報告を受けたものはこのようにお出ししているということでございます。 ○池田部会長代理  今の段階ではそういう理解でいいと。 ○事務局  そうでございます。 ○池田部会長代理  そうすると、この中で血液製剤のメーカーが医療機関にもう少し精度の高い診断名を 求める、あるいはもっと調査をきちっとするように指導することは可能ですか。 ○事務局  基本的にはメーカー側から調査の依頼をして、できる限りのデータを供給してもらう ようにはしておるところでございますが、例えばこれは血液事業部会の方でもよく話題 になっていることでございまして、先生は委員でもありますので御存じだと思います が、手術前の検査がされていなかったということもあります。ですからどうしてもその 辺は個別症例ごとで対応をしていくしかないのかと…。 ○池田部会長代理  少なくともB型、C型と書いてあるからには、それに関しての検査は間違いなくして あるということですよね。 ○事務局  例えば輸血後に検査をしているということです。 ○池田部会長代理  分かりました。 ○松本部会長  確認なのですけれども、この「B型肝炎陽性」というのは何を意味しているわけです か。 ○事務局  基本的にはウイルス抗体の陽性だとは思うのですが、先ほど申し上げたMedDRAの用語 で付けてくるので…。 ○松本部会長  しかしやはり「肝炎陽性」というのは余り…。みんな誤解してしまうのではないです かね。「抗体陽性」とか「抗原陽性」ならばともかく「肝炎陽性」というのは余り一般 的には使われない…。これは直せないですね。MedDRAでこういうふうになっているわけ ですか。 ○事務局  用語の件につきましては、今後私どもの方でも研究してまりたいと思います。 ○松本部会長  そうですね。たとえそうなっていたとしてもこれはちょっと誤解しやすいので、ほか のはっきりする言葉に切り替えた方がいいのではないかと思います。いかがでしょう か。どうぞ。 ○山口委員  今の池田先生の御質問に関してですが、昨日血液事業部会安全技術調査会でその点が 議論になりましたので、ちょっと御紹介いたします。今B型肝炎とC型肝炎になったと 病院から情報が来たとしても、輸血前の検体があれば、又は輸血前に検査をしていれば ある程度因果関係が分かるのです。事務局の方にも聞いてみますと、保険点数の関係な どの問題がありまして、なかなか安全対策課だけでは結論が出せないところでございま すが、委員の中からそれをきちんとしてほしいという意見は出されております。 ○松本部会長  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。ないようでしたら次に進 みたいと思います。  議題3は医薬品等の回収報告の状況についてです。事務局の方から資料3を基に説明 してください。 ○事務局  それでは資料3-1、「医薬品等の回収報告の状況について」ということで、薬事法第 77条の4の4に基づきまして御報告させていただきたいと思います。平成8年の薬事法 改正によりまして医薬品、医薬部外品、化粧品等の製造業者、輸入販売業者等は、その 製造若しくは輸入等しました医薬品等の回収に着手しましたときは、その旨を厚生労働 大臣又は都道府県知事に報告しなければならないこととなりました。これは薬事法第77 条4の3で規定してございます。平成12年には「医薬品・医療用具等の回収に関する研 究(平成11年度厚生科学研究)」の報告書を受けまして、医薬品等の回収に関する監視指 導要領を通知し、回収に当たっての基本的な考え方や対象の範囲、手続の詳細等につき まして明確化を図りました。また、製造業者等から回収着手報告がなされた場合には、 すべての事例をインターネット上で公開する手続を踏むことといたしました。  以下、回収件数の推移を示したものでございます。今回は医療用具が混ざってござい ますけれども、医薬品、医薬部外品、化粧品ということで、平成15年度はそれぞれ255 件、24件、72件となっております。全体としては350件程度で、医療用具を合わせて643 件となってございます。  次に裏をめくっていただきまして、平成15年度の医薬品等の回収件数及びクラス分類 ということでございまして、先ほど手続の話を申し上げましたけれども、回収があった 場合においては健康被害の観点上それぞれどれくらいの影響度があるものなのかという ことを判断し、クラス分類をしてございます。クラスIはその製品の使用等が、重篤な 健康被害又は死亡の原因となり得る状況にあるもの。クラスIIはその製品の使用等が、 一時的な、若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性があるか、又は重 篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況にあるもの。クラスIIIは、その製品の 使用等が健康被害の原因となるとはまず考えられない状況のものとなってございます。  続きまして資料3-2、「平成15年度医薬品等自主回収一覧」でございます。こちらは 今インターネットで公開しているものがありますけれども、その一部を抜粋したもので ございます。医療用具は今回除いております。こちらの方はインターネットに掲載した 日付、クラス分類、種類、販売名、製造業者名、回収理由でございます。インターネッ ト上ではそのほかに当然回収ロットであるとか出荷期間、連絡先といったようなものに ついても公開させていただいております。以上でございます。 ○松本部会長  ありがとうございました。既に回収済みのものについて報告していただきましたけれ ども、この点につきまして御質問、御意見ございませんでしょうか。特にないようでし たら次の議題に進ませていただきます。  議題4は医薬品の感染症定期報告の状況についてです。事務局から資料4について説 明をお願いします。 ○事務局  それではお手持ちの資料4-1と4-2を御用意ください。薬事法第68条の8に基づきまし て御報告いたします。まず資料4-1、「感染症定期報告の状況」でございますが、平成 15年10月16日〜平成16年3月31日までに生物由来製品の製造業者等から報告された感染 症定期報告のうち、文献の調査につきまして報告、登録順に表にして並べたものでござ います。事務手続上大変恐縮なのですが、309番が欠番となっておりますので、513の報 告のうち感染症に関する文献を添付してきた報告数が259、してこなかったものは254で ございました。この報告を同一文献ごと、感染症ごとに整理してまとめたものが資料 4-2、「報告文献別一覧表」でございます。本日はこの資料4-2に基づきまして概要を御 説明いたします。  報告者からの報告で、約70の感染症に関して約300の文献が提出されました。文献が 多く提出された感染症といたしましては、まず1〜18ページまで並んでいるウイルス性 肝炎で、特に8〜18ページのE型肝炎に関するもの。続きまして19〜22ページにインフ ルエンザに関するもの。少し飛びますが、31〜50ページまでのウエストナイルウイルス 感染に関するもの。53〜68ページまでのクロイツフェルト・ヤコブ病に関するもの。70 〜73ページの重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSに関するもの。それから84〜87 ページのマラリアに関するものでございます。これらにつきましては国立感染症研究所 長の倉田委員に御相談しながら、必要があるときには事前評価委員の先生方に査読して いただき、緊急に措置を講ずることがあるかどうか御意見を頂いているところでござい ます。これら文献の主な点につきまして御報告いたします。  まず8〜18ページのE型肝炎でございますが、前回の部会で御報告したブタのHE V、E型肝炎ウイルスの保有率などの文献がまた出ております。それに加え8ページの 一番下、東京近郊で調べた肝臓病患者さんのHEVIgG抗体の保有率が約15%という 報告と、15ページの輸血によりHEV感染が疑われた症例報告の文献がございました。 現在のところE型肝炎対策は献血時における問診及びスクリーニングによる肝機能デー タの確認で対応しておりますが、日本赤十字社では他の肝炎マーカーが陰性で、かつA LT高値で不合格になった献血者の血液を全国的に収集いたしまして、HEV-RNA及びH EV抗体の検査を基礎とした疫学調査を実施していくということでございます。  続きまして19〜22ページのインフルエンザにつきまして御説明いたします。この調査 期間はちょうど鳥インフルエンザがアジアで流行していた時期でございまして、それに 関係する論文が提出されております。鳥インフルエンザが医薬品製造に与える影響とし て考えられるものにワクチンなどで用いる鶏卵への影響などがありますが、こういった 点につきまして事前評価委員からは医薬品への影響は否定的という御意見を頂いており ます。  次に31〜50ページに当たるウエストナイルウイルス感染に関する文献のことでござい ます。ウエストナイルウイルスに関しましては米国での流行状況を受けまして、関係す る文献が多数提出されております。特にアメリカ国内での当該感染症の流行状況に関す る報告が多いのですが、この中で31ページの下から2段目、ウエストナイルウイルスに 感染するリスクが輸血であるということばかりではなく、これが妊婦に感染すると、例 えば感染血で輸血された場合、この論文のように新生児に先天性網脈絡膜瘢痕及び中枢 神経系奇形を起こしたというような症例報告が出されているわけでございます。我が国 におきましては現在まだウエストナイルウイルスの感染が発生していないことから、日 本赤十字社の方に確認したところ、平成15年2月28日より帰国後3週間の献血延期措置 で対応しているということでございます。今後はウエストナイルウイルス感染の流行状 況に注意を払うとともに、日本赤十字社ではこれのNAT試薬について評価を開始する と聞いているところでございます。  続きまして53〜68ページのクロイツフェルト・ヤコブ病に関する論文についてでござ います。こちらにおきましてはこの調査期間中で大きな話が二つございました。一つは 53ページをお開きいただきたいのですが、「口蹄疫」のすぐ下の「クロイツフェルト・ ヤコブ病」の段でございます。英国で輸血によりvCJDに感染し死亡した事例がある という報告で、ほかにもたくさん同じような報告が出ております。もう一つは54ページ の一番下に出ておりますが、米国でBSE感染牛が発生したということでございます。 このほかにも異常プリオンの沈着部位の確認あるいは検査法に関する論文などが提出さ れております。事前評価委員にこれらの論文を見ていただきました結果、委員からの御 意見としましては、米国で発生したBSEの対応についての措置がやはり必要であると 考えているところだけれども、既にTSE調査会の審議に基づき我が国として米国産牛 を原料とする医薬品等への措置を行っているので、今後は米国の汚染状況の情報を入手 するようにという御意見を頂いております。また日本赤十字社では献血の問診時に過去 の海外渡航歴を確認し、欧州36か国に一定期間滞在歴を有する場合は献血を延期してい ると聞いておるところでございます。その他、例えば重症急性呼吸器症候群については 中国での流行状況、マラリアにつきましては海外渡航歴のない感染例の報告などの論文 が出されているところでございます。その他の感染症についてはこちらの資料のとおり の論文が報告されているのですが、これらの概要につきまして倉田委員、甲斐委員、山 口委員にも御覧いただいたところ、ウイルスの不活化などを踏まえると緊急の措置を講 ずる必要はないが、今後とも報告者は情報収集に努めるようにとのことでございます。 御意見があれば、またよろしくお願いいたします。なお、文献以外の情報につきまして も事務局で適宜対処いたしておるところでございます。報告は以上でございます。 ○松本部会長  ありがとうございました。先ほど御紹介にありましたように、この感染症定期報告は 事前に国立感染症研究所の倉田委員が御覧になっているそうでありますが、倉田先生、 何か御発言ございませんか。 ○倉田委員  これらの論文はこの期間に製剤と関係のある、あるいは人に使われているようなもの との関連で出たほとんどすべてのものを網羅しているというくらいに、文献としては非 常に面白いものがたくさん載っています。今事務局からお話があったとおり、緊急対応 が必要かという問題では、例えばどこかで数例出たということやアフリカで出たという ことが直ちに日本の輸血行政あるいは製剤という問題に響くかということでいくと、そ れは少し違うだろうということがあります。そういうことがどのように波及するかとい うことを考えまして、今の事務局のような説明になると思います。  E型肝炎が増えているというのは、これは日本の方々の食生活の仕方が随分変わって きたことに原因があろうかと思います。今ここには出ていないのですが、牛を生でどん どん食べてブルセラ病で亡くなってしまったなどということもありまして、こういうか なり個人の食生活に関連したものでの問題が響いていくだろうと思います。インフルエ ンザの場合は長期間にわたって人の体の中で生き残るということはありませんし、また ウエストナイルウイルスに関しまして1例、体内感染が起こったということで一応注目 されますが、例えばここにおられる方の90%以上の人が持っているサイトメガロウイル スでは、1,000例に1例、先天性の体内奇形で生存できないという子供さんが生まれて いるわけです。そういうことから考えるとこの問題というのは注目しておく必要はあり ますが、日本においてウイルス保有蚊が見付かっていない、あるいは患者の実体がない ということからいったら、直ちに日本人の血液を何とかしなければならないという話で はなかろうというふうに思います。  また、クロイツフェルト・ヤコブ病に関しましても御説明のあったとおりで、米国の ものに関しては相当注意する必要があろうかと思います。これは公式発表と別に米国で こういう疾病担当の人と話しますと、一言で言いますと日本のような厳しさで調べては いないということですので、日本としてはそういうものに対して注目する必要があると いうことだろうと思います。それからSARSはメディアで非常な注目を浴びています が、このウイルスは血中でどうこうという話とはちょっと違っていまして、肺胞上皮細 胞のところでとまってしまっていますし、話題性はともかくとして血液、医薬行政その 他に問題を起こすかということでは違うかなと思います。あとそのほかにつきましては 説明のとおりだと思います。 ○松本部会長  ありがとうございました。山口先生、いかがですか。 ○山口委員  倉田先生や事務局が説明されたとおりだと思うのですけれども、一点だけHCVのこ とがあったのでそのことだけ追加しておきます。HCVの感染力価が非常に問題になっ ているのですけれども、文献的にちょうどチンパンジーを使った実験と過去の保管検体 を用いた実験の二つほど出ております。これについてはもともと言われたことですが個 別NATをしてもすり抜ける可能性があるということで、ウィルスの濃縮等、検査の高 感度化を行ったり、それとも遡及調査をきちんとやるなどの対応をする必要があるとい うことなのだろうと思います。したがって、今の緊急の対応という形ではなかなか難し いものだろうと考えます。 ○松本部会長  ありがとうございました。甲斐先生、いかがでしょうか。何か御意見ございませんで しょうか。 ○甲斐委員  事務局がよくまとめてくださって、そのとおりであると思います。この感染症定期報 告は、今問題になっているものを本当によく調べて全部挙げていただいておりまして、 大変いいことだと思います。実際の報告者が作っておられるものに製造工程で生物由来 成分が少しでも入っていればこういう義務がありますので、全部勉強して挙げてきてい ただいているのですけれども、実際に挙げてきていらっしゃる方の製品にはバリデーシ ョンも行われておりまして、特にウイルスに関係するものは全く問題がないと思われま した。ただ、このように全体を網羅して常に報告していただけると、現在何が問題にな っているかそのほかの分野、実際の血液の輸血においても関心が高まりますので、是非 続けていただきたいと思います。それから先ほど倉田委員がおっしゃいましたけれど も、クロイツフェルト・ヤコブ病に関しては問題が非常に違いますので簡単な不活化で はいきませんから、もちろん特別の委員会でやっておりますように原産国を厳しくする とか、現在は大丈夫ですけれども、今後米国の動向をきちんと追ってどういう生物由来 成分が入っているかということに関しても注意するべきだとは思っております。以上で す。 ○松本部会長  どうもありがとうございました。ほかの委員の先生方、この問題に関しまして御意見 ございませんでしょうか。特に問題がないようでしたら次に進みます。  議題5は一般用医薬品の指定医薬品解除についてです。事務局から資料5-1について 御説明お願いします。 ○事務局  それでは資料5-1、「一般用医薬品の指定医薬品解除について」ということで、事務 局から御説明申し上げます。最初に一般用医薬品の指定医薬品解除における取扱いにつ いて書かせていただいております。「指定医薬品」といいますのは、薬事法第29条に基 づき厚生労働大臣の指定する医薬品でございまして、薬局又は一般販売業におきまして 薬剤師による取扱いを必要とし、薬種商販売業においては販売することができない医薬 品のことでございます。ちなみに薬種商販売業といいますのは、都道府県知事が薬事法 第28条に基づき指定医薬品以外の医薬品の取扱いにつき必要な知識、経験を有すると認 められる者に対して、店舗ごとに許可を与える一般用医薬品の販売業でございます。  一方、医療用医薬品の成分のうち薬剤師等の指導の下、一般使用者自らの判断によっ ても十分に安全かつ適正な使用が確保され得ると考えられるものにつきましては、医療 用医薬品の成分から一般用医薬品の成分として承認しているところで、これをいわゆる 「スイッチOTC」と言っております。そのスイッチOTCとしての承認時には通例一 般用医薬品としての使用経験は少ないということがありますので、その際は指定医薬品 として薬剤師による取扱いを求めているところでございます。スイッチOTCにつきま しては、承認に際して少なくとも3年間、原則として内用薬では3,000例、外用薬では 1,000例の市販後調査(PMS)の実施を求めているところでございます。指定医薬品の 解除につきましては平成11年以降ここに書いたような取扱いとさせていただいておりま して、医薬品等安全対策部会における審議を踏まえ品目ごとに解除しているということ でございます。具体的には、内用薬につきましては承認後3年のPMS期間終了時に安 全性の観点からの一定の評価を行った上で指定医薬品から解除する、又は必要な場合に は更に1年ないし3年の観察等を行った後に再度評価を行うことにより指定医薬品から の解除を検討する。また外用薬につきましては、原則として承認後3年のPMS期間終 了時に安全性の観点からの一定の評価を行った上で指定医薬品からの解除を行うという 取扱いでございます。  今般、指定医薬品からの解除を検討する一般用医薬品として二つ挙げてございまし て、別添1、別添2に書いております。一つ目が1個中ニコチンとして2mg以下を含有 するそしゃく剤(禁煙補助剤)、二つ目がフェルビナク0.5%以下(7cm×10cm1枚(膏体 1g)中5mg以下)を含有する貼付剤(消炎鎮痛剤)でございます。  次のページを御覧いただきたいのですが、まず一つ目のニコチンのそしゃく剤につき まして該当品目、市販後調査の状況等について御説明いたします。医療用製剤について は平成13年6月20日に一般用製剤の承認を受けた際に承認整理されておりますので、こ れは当時の承認内容ということで参考でございますけれども、このとき医療用効能・効 果としては「循環器・呼吸器・消化器疾患などを基礎疾患に持ち、医師により禁煙が必 要と診断された喫煙者が医師の指導の下に行う禁煙の補助」。また医療用用法・用量は 「喫煙欲求が生じたとき、本剤1回1個をゆっくりと間を置きながら、約30分間そしゃ くする。通常、1日6〜12個の投与より始めて1日の総投与量を次第に減らし、1日1 〜2個となった段階で投与を終了する。初期使用量は喫煙の状況により適宜増減する が、1日30個を限度とする。投与中は2〜4週ごと又はそれ以下の間隔で禁煙の進行状 況を検討し、本剤の継続投与の必要性を判断しながら、通常3か月をめどに投与を行う が、6か月を越えて投与しないこと」ということでございました。これに対応する一般 用製剤の承認が1個中ニコチン2mg含有するものとして「ニコレット」と、内容的には 変わりませんが、ミントの味が付いた「ニコレット・ミント」の2種類ございまして、 一般用効能・効果は「禁煙時のいらいら・集中困難・落ち着かないなどの症状の緩和 」。一般用用法・用量としましてはこちらに記載したような形になっております。  ニコレットの市販後調査の結果でございますけれども、平成16年2月18日までに既に 特別調査の予定症例数3,000例以上が集積されておりまして、その結果集計結果を記載 してございます。特別調査というのはモニター薬局・薬店と事前に契約しまして、薬剤 師が使用者に調査表等の記入を依頼して調査するものでございます。結果は3,014例中 314例(481件)(副作用発現率10.42%)。その内訳として主なものが吐き気70件、口内炎 57件、のどの不快感57件等となっておりますけれども、そのほとんどが「使用上の注意 」から予測できる軽微な副作用でありまして、厚生労働省への15日あるいは30日報告の 対象となる重篤なものはなかったということでございます。それから一般調査というこ とで、いわゆる使用者あるいは使用者が薬局や医療機関等を通して寄せる自発的な報告 の件数は188例(289件)ございまして、そのうち「使用上の注意」から予測できかつ軽微 な症状を除いた症例として40例(48件)認められております。特に未知の副作用について 言いますと24例(28件)ありまして、内訳としてはしびれ感3件、発熱、寒け、足部痛、 呼吸困難が各2件、心筋梗塞、狭心症、一過性難聴等が各1件という状況でございま す。そのうち「*」印の付いた心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、扁平舌癬、円形脱毛症、歯 肉損傷の6件につきましては、厚生労働省への報告対象症例であったという状況でござ います。しかしながら、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の症例は重篤な副作用に該当するわ けですが、そもそも今まで喫煙していた方ということで、喫煙自体がこういった疾患の リスクファクターであることや、実際の症例に関する情報不足もあり、因果関係の評価 が不明であるといった状況でございます。またその他の副作用につきましても、報告数 が少なく因果関係の評価が困難な状況でありまして、現時点で使用上の注意の改訂等の 必要性が乏しいというところでございます。したがいまして事務局としましては、市販 後に新たな安全性上の問題が生じているという状況ではないことと、先般の医薬品等安 全対策部会での議論も踏まえまして、全日本薬種商協会においても本剤の使用方法や禁 煙全般に関する研修を各都道府県ごとに実施し、終了しているという報告を受けている ことから、こちらに対応案として書かせていただきましたように1個中ニコチンとして 2mg以下を含有するそしゃく剤を指定医薬品から解除してはいかがかと考えているとこ ろでございます。次のページからは参考に添付文書と外箱についてお付けしておりま す。  それから8ページを御覧ください。二つ目のフェルビナクに関してでございます。参 考となります医療用製剤としましては、フェルビナク3%を含有しているものとしてナ パゲルン軟膏、ローション、クリーム等がございます。そのほか貼付剤としてフェルビ ナクを0.5%含有しているセルタッチ、3.5%含有しているスミルテープなどがございま す。医療用の効能・効果、用法・用量につきましては、こちらに記載したとおりでござ います。一般用製剤でございますけれども、軟膏剤、液剤に該当する製品、それから 「アペインクール<エアゾール剤>」と書いてありますけれども、こういったエアゾー ルなどがいずれもフェルビナクを3%含有している製剤でございまして、こちらについ ては既に平成11年あるいは平成12年に指定医薬品から解除されているという状況でござ います。今回御検討いただくのはパスタイムFX、フェイタスという7cm×10cm貼付剤 でございまして、1枚(膏体1g)中フェルビナク5mg(フェルビナク0.5%)含有するも のでございます。一般用効能・効果、用法・用量につきましては記載させていただいて いるとおりでございます。これまでの指定医薬品の解除における外用剤の取扱いについ てですが、同一成分のほかの剤形で同じ濃度の製品が指定医薬品から既に解除されてい るといったような場合には、当該指定医薬品の解除の検討に際しては、既に解除されて いる品目の市販後調査結果をもって解除を行ってきているということでございます。今 回の事例につきましては0.5%の貼付剤でございますけれども、それよりも高濃度の一 般用製剤が既に指定医薬品から解除されているという状況にかんがみて、「一般用医薬 品市販後調査結果等」の欄には既に解除されている軟膏剤、液剤の当時の市販後調査結 果を記載しております。その内容でございますけれども、特別調査としましては1,833 例中8例(13件)(副作用発現率0.44%)でございまして、一般調査でも6例(12件)でござ いますが、いずれも重篤なものは見られなかったということでございます。参考でござ いますけれども、本貼付剤につきましては1年間のPMSは既に終了しておりまして、 そちらの結果も参考までに記載してございます。特別調査としては267例中8例(15件) (副作用発現率3.00%)。内容としてはそう痒症、紅斑等でございます。それから一般調 査として11例(19件)で、こちらに書いたそう痒症、紅斑等が見られておりますけれど も、いずれも既に解除されている製品と同様に重篤な副作用は報告されておらず、特に 大きな安全性上の問題は生じていないという状況でございますので、本製剤につきまし ても膏体1g中5mg以下、フェルビナク0.5%以下を含有する貼付剤を指定医薬品から 解除する方向で考えているところでございます。御審議のほど、よろしくお願いいたし ます。 ○松本部会長  ありがとうございました。ただいま事務局からの説明をお聞きになりまして、この一 般用医薬品2剤の指定医薬品解除について御意見ございませんでしょうか。特に御反対 の方がおいでにならなければ、今度の医薬品につきまして指定医薬品を解除することに させていただきます。それでは次に資料5-2について事務局から説明してください。 ○事務局  それでは資料5-2、「一般用ファモチジン製剤について」と題した資料につきまして 御説明いたします。ガスター10等の一般用ファモチジン製剤及びその他のH2ブロッカ ーを含有している一般用医薬品に関しましては、スイッチOTCとして承認された平成 9年当時から指定医薬品という取扱いでありまして、平成12年に3年間のPMSが終了 した後も自己判断で継続服用したような場合に胃癌等の重篤な消化器症状を隠ぺいする ようなおそれがあるといったことから、やはり薬剤師による取扱いが必要であろうとい うことで、現在も指定医薬品とさせていただいているところでございます。一般用ファ モチジン製剤につきましては、昨年6月の医薬品等安全対策部会におきましても引き続 き安全性情報の収集が必要であるといったような御議論もいただいたところでございま すけれども、その後の状況報告ということでここに2例紹介しております。  症例1としてましては、上腹部痛に33日間使用後、症状の急性増悪で緊急外来に担送 された結果上部消化管に穿孔が認められ、緊急手術により切除した胃壁内にがん細胞の 浸潤が散在性に見られたといった事例。また症例2としましては、胃痛に1週間使用し て、痛みは治まったが、数日間黒色の下痢が継続し、製薬企業の勧めで医療機関を受診 した結果、十二指腸潰瘍による出血と診断された事例でございます。このような状況を 踏まえますと、やはり使用者の自己判断による継続使用によって重篤な消化器疾患が見 過ごされるおそれがあるのではないかと考えられますので、事務局としては引き続き販 売時の薬剤師による服薬指導の徹底が重要ではないかと考えているところでございま す。こちらに御紹介したのはファモチジンの例でございますけれども、他のH2ブロッ カーについても同様に薬剤師による服薬指導が引き続き必要ではないかと考えていると ころでございます。以上報告でございます。 ○松本部会長  どうもありがとうございました。この薬剤師による服薬指導につきましては前回の部 会でも話題になりましたが、現在の日本薬剤師会の取組につきまして、井上委員、何か 御発言ございますか。 ○井上委員  関連がございますので、簡単に御報告させていただきたいと思います。日本薬剤師会 では厚生労働省とタイアップいたしまして、年に1度10月に「薬と健康の週間」という 全国統一事業を行っております。平成15年度のこの事業につきましては、任意の1日を 取って薬剤師による一般用医薬品提供時の相談業務に関する事例収集を行いました。こ の全国統一事業には7,297件の薬局・薬店が参加し、報告を頂いております。それによ りますと、これに参加した約7,000件の薬局・薬店で1日当たり約13万5,000人が一般用 医薬品を購入しており、このうち約30%の約4万人から薬剤師が何らかの相談と質問を 受けているということが明らかになりました。これを全国の薬局・薬店の数である 61,729件に当てはめますと、全国の薬局・薬店では1日平均約115万人が一般の薬を購 入しており、そのうち34万人が購入時薬剤師に何らかの相談や質問を行っているという ことになるわけです。内容はほかのお薬との飲み併せ、薬選択に関する助言、自分の今 持っている症状についての御質問といったものがメインでございます。先ほどお話いた しました4万人の方からの相談・質問のうち、この調査の中でH2ブロッカーを含有す る一般用医薬品の販売に当たる相談事例が約120件ほど報告されております。その相談 事例に対して薬剤師がどのように答えているかと申しますと、ほとんどが医師への受診 勧告となっておりまして、中には紹介先の医師によるマスキングされた胃癌や胃穿孔寸 前の事例の発見など、先ほどの事務局からの御報告と同様の事例も見受けられているよ うでございます。  今回、販売時の薬剤師による服薬指導の徹底が重要であるという御指摘を受けている わけでございますけれども、この全国統一事業の結果に基づきまして日本薬剤師会では 改めて薬局・薬店での医薬品提供体制の整備を行うこととしております。医薬品購入時 の薬剤師による相談を必ず実施するために、H2ブロッカー等の指定医薬品は直接購入 者の手が触れられない場所へ陳列することなどを指導しておりまして、一般用医薬品や スイッチOTCなども含め、より適切な医薬品の販売方法等、購入者との相談業務の実 施に関して、5月24日に全国の会員薬店に通知を出したばかりでございます。また、今 回のH2ブロッカーの相談内容に関する情報のように、医薬品の適正使用にとって大切 な情報はできるだけ多くの医師、薬剤師を始めとする医療関係者に伝えられるべきでは ないかと考えております。さらに、指定医薬品を始めとする医薬品の適切な販売方法と 適正な相談業務の実施につきましては、全国に薬剤師が大体23万人くらいおりますが、 日本薬剤師会の会員は9万6,000人でございまして、全体を十分にカバーできるもので はないと考えております関係上、行政を通じまして全国の薬局・薬店などへ御指導いた だければと思います。以上でございます。 ○松本部会長  ありがとうございました。これは大変な数ですね。ほかに御意見ございませんでしょ うか。倉田委員、どうぞ。 ○倉田(雅)委員  今、薬剤師さんが購入しにきた一般の方の約30%から質問を受けて答えていると伺い ました。しかし購入者は本当はもっと聞きたいのだと思うのです。私のような購入者の 方から言いますと、スイッチOTCのような薬というのは処方薬と全く同じ成分のもの で、やはり相談したいと思うのです。処方薬の場合は処方してくれた医師に聞くことが できますけれども、スイッチOTCの場合は薬剤師さんに聞きたいのです。ところが、 話すきっかけがなかなかつかめないのが現状だと思うのです。質問ができないで買って 帰ってしまうような場合も多々あると思いますが、そのときに例えば「私は○○薬局の ○○です。もし何か変わったことや質問したいことがありましたら、是非私に御相談く ださい」という紙などを薬と一緒に渡していただけると、もしその薬を飲んで何か変化 があってどうしようと思ったときに相談できるきっかけになると思うのですが、そうい うようなことはいかがでしょうか。 ○松本部会長  先生、いかがですか。 ○井上委員  この件につきましては、私どもの中でまた前向きに検討させていただきたいと思いま す。それからもう一つ、現在、法システムが大変充実しておりまして、PL法という法 律もあります関係から、製造業者の方でお薬の中に入っている能書に相談窓口の連絡先 が記入されている場合もございます。こういったものを御活用されるのも一考かと思い ますし、当然私ども薬剤師にも御相談いただきたいと思いますので、そのためのきっか け作りとして対応させていただきたいと思っております。今日は大変貴重な御意見を頂 き、どうもありがとうございました。 ○松本部会長  倉田委員、よろしいですか。 ○倉田(雅)委員  もう少し言わせていただきたいのですけれども、私たち購入者としては薬を買って帰 ったときに、その薬に関してお医者さんにかかっているのであればそちらに行けます が、そうでない限りちょっとお医者さんのところへは行きにくいのです。今、電話で対 応してくれる製薬企業もあるとおしゃってくださいました。分かっている人もいると思 いますが、大多数は余りそういうところに電話した経験はないと思うのです。なぜかと 言いますと、これは購入者の勝手な憶測だと思うのですけれども、どうせ企業に言って も都合の悪いことはいい顔をして余り聞いてくれないのではないかと思ってしまったり するからです。そうなると、最後に残るのがやはり薬局の薬剤師さんたちなのです。で すから是非そのきっかけを作っていただいて、「いつでも何でも私に聞いてください」 というような方法を考えていただけたらと思いました。以上です。 ○松本部会長  よろしくお願いいたします。ほかに全体を通じて何か御意見ございませんでしょう か。事務局の方から連絡事項は何かありますか。 ○事務局  特にございません。 ○松本部会長  本日は大変順調に審議が進みましたが、もし特に御意見がなければこれで部会を終了 させていただきます。長い時間どうもありがとうございました。                                   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 渡邊(内線2748)