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第5回今後の労働安全衛生対策の在り方に係る検討会議事要旨


 日時 平成16年6月29日(火)午後2時から午後4時まで
 場所 経済産業省別館第1012会議室
 出席者
  参集者: 櫻井委員(座長)、北浦委員、北山委員、小出委員、高委員、芳賀委員、畠中委員、平野委員、森委員、山田委員 (中窪委員は欠席)
  厚生労働省(事務局): 恒川安全衛生部長、中沖計画課長、西本安全課長、中林労働衛生課長、飛鳥化学物質対策課長、高橋建設安全対策室長、高橋環境改善室長、角元化学物質評価室長、田中調査官、浅田主任中央産業安全専門官、高橋主任技術審査官、高橋主任中央労働衛生専門官、山崎主任中央じん肺審査医
 議題
(1)今後の労働安全衛生対策の在り方について
(2)その他
 議事概要
(1)前回議事要旨(資料1)について、内容確認の上何かあれば事務局に連絡するよう要請がなされた。
(2)事務局より、本検討会の報告書骨子案(資料2)について説明がなされ、これに基づいて意見交換が行われた。その主な内容は次のとおり。

目次・構成について
(特段の意見なし)

1(1)「検討の視点」について
まず修文的な話から。3ページ目2つ目の○「もとより〜」の文章で、「幾多の判例」→「幾多の裁判例」、「安全配慮義務」→「安全配慮義務の存在」、「賠償金」→「損害賠償」。「また〜」のパラグラフで、3行目の「積極的に」の前に「労働者も主体的にかつ」を挿入、末尾から2行目の「協力義務」は、法第26条のことなら「対応義務」に、最後の文は、労働災害防止は第一義的には事業者責任であるので「労働者が」は「労働者も」に修正。
 次に実質的な話として、2ページ目最後の○から3ページ目の骨太の方針まで書かれているが、国際環境の変化は入れなくて良いか。一つはILOでOSHMSガイドラインを策定したこと。もう一つはISOでCSRのガイドライン策定に着手することになったこと。また、4ページ目の2つ目の○については、安全衛生法制の基本的な哲学を大転換させるものであることを明記すべきではないか。即ち、先取り的予防に転換すること。

3(1)ア「危険・有害要因の調査、低減措置等の推進」について
危険・有害要因の調査という語が良く使われている。ここでは事業者のやることであるのだろうが、有害性の調査とは具体的にどのようなことを表そうとしているのかよくわからない。危険・有害要因の特定及び評価をもって「調査」というのか。言葉が判りにくい。
特定、評価及び措置の検討までのリスクアセスメントといわれる部分を「危険・有害性の調査」とした。ほかによい表現があればお示しいただきたい。

3(1)イ「自主的取り組みの推進と普及促進のための優遇措置」について
団塊の世代の大量退職への対応としてマネジメントシステムがあるが、一般に技能継承はノウハウの継承。これはマネジメントシステムに含まれるのか。
 インセンティブについて、企業名の公表がインセンティブとされているが、行政手法としては企業名が公表されるというのはマイナスイメージではないか。行政が公表する意味合いは、一定の基準に達していることのお墨付き的なものとするのか。
ノウハウの継承はマネジメントシステムに含まれる。個人の能力に依存しない、システマティックなもの。
ノウハウの伝承はこれまでもやっていた。システムのみで完全になるか。両者相まって力を発揮するものだろう。一般的な技能継承の、形式知に残す地道な努力も必要である。
8ページ目の教育のところで、過去のノウハウを伝えていく旨のことが書いてある。
システムの話が出ているが、日常活動で展開されるヒヤリハットやKYにシステムが加わることが必要。その旨を文章中に加えるべき。
7ページ目でマネジメントシステム指針とILOガイドラインとの整合性について記述があるが、もう少し説明がいるのではないか。
 また、会社内でのノウハウ継承も必要だが、ベストプラクティスの共有も必要。インターネットなどで誰もが共有できる形。
 インセンティブはもっと良いものはないか。例えば政府調達や入札条件など。マイナスインセンティブとしてはサプライヤーの取り組みを促すなど。ISOではCSRの規格を作ることを決定した。海外のサプライヤーに対して安全衛生の取組状況を聞く。途上国は法の執行体制がないので、発注側である企業に手伝ってもらう。
 公益通報者保護制度で、安全衛生対策が回っていないような下請の情報を受ける場所があっても良い。市場に任せっぱなしではなく、情報を行政が得る仕組みを。
指針とガイドラインは別物である。理解できる形で修文する。
7ページの「また、その際・・・」のパラグラフに関し、経営トップが如何に表明するかという議論があったが、現在は10条3項の措置しかない。これとリンクさせてはどうか。
 指針とガイドラインの整合性については、指針を出すときにかなりの比較をしたはずであるが、不足しているということか。
例えば請負の部分はない。その辺の整合性が必要。
労働省指針が先で、その後にILOガイドラインが出来たので、そこと合わせていくということである。
視野に入れるのは誰か?
主語がバラバラである。実施するのは事業者か、行政か?
指針については、主語は行政である。表現振りについて修正する。
経営トップの話が考慮されているかという点については、これでは判りにくい。
経営トップのことは、この中に入っている。
入っていればよいが、読み切れない。
PDCAを回す最初の段階でトップが表明するのが大前提である。
指針の整合性について、各団体が作っているガイドラインでやることは認められるのか。
今での各団体でマネジメントシステムを作っている。厚生労働省指針に則って作られていれば問題ない。
業種別・規模別に作るとなると、厚生労働省指針とは100%合わない部分も出てくるのではないか。
建設業など、ぴったり合わせるのは難しいだろう。
ILOガイドラインでも、国別、業種別・規模別の3層構造を想定している。危険有害要因や作業が異なるので、それぞれで作るのはよいことである。
業界規格も認める方向がよい。
インセンティブ付与のときは、一定水準をクリアする必要があるが、自主的にやる分には、何でもOKである。
その場合、業界規格を第三者が評価することになるのか。
具体論がないと議論しづらい。
この項はタイトルは「自主的取り組み」とあるが、内容的にはマネジメントシステムの取り組みということでよいのか。本文に「自主的」の語が出てこない。
主旨はマネジメントシステムである。しかし取り入れるか否かは企業の判断なので、即ち「自主的取り組み」である。
わかりにくい英語を使わないために「自主的」と言っているが、基本はマネジメントシステムをやって欲しいということである。
実施すべき事項の明確化とあるが、パフォーマンス事項を明確化するという意味か?
指針を作る以上は、事業者が何をすべきかが判るようにすべきではという主旨である。
マネジメントシステムを導入していることは認証されればインセンティブにつながるのだろうが、三菱重工のように、ISO9000を取っていたがあのような事態となった。認証機関は「品質ではなくプロセスを認証した」と言っていたが、三菱はプロセスにも偽りがあった。すると認証機関は「三菱が本当のことを言わなかった」となる。その程度なら認証など誰でも出来る。真実を見抜ける能力が必要。
マネジメントシステムはILOでシステムを作った。これは、働く人を対象とする以上、システムだけでなく、運用と結果が必要という考えがベース。つまり、認証ありきではなく、基盤整備が必要。
 インセンティブに関して言えば、単なる企業名の公開ではなく、快適職場のように一定の評価基準による評価にあったものとするのがよい。それを加味した文章に。
OSHMSについては現在スタンダードがない。
「安全衛生水準が高いと認められる事業場」として、その点は考慮している。
必ずしもプロセスのみではないということである。

3(1)ウ「安全衛生委員会の活性化」について
7ページ下から5行目の「そのため・・・」の具体的なイメージが湧かない。このようなことでなぜ安全衛生委員会が活性化されるのか。
委員の選出は、パートや派遣の意見を代弁する手段。審議事項は、リスクアセスメントの中身を加えること。決定事項の扱いは、委員会で決められた事項を尊重して今後の対策に活かすこと。これにより委員会の存在価値を高め、活性化に繋げる。
決定事項を活かすのはいまだもやっているのでは?それとも、委員会では何も決めていないとか、決定事項が店ざらしにされているということか。
報告事項のみで委員会として機能していないのではという問題意識がある。
安全衛生委員会の在り方の見直しは事業者が行うのか。
行政がやることである。
活性化の方法はいろいろあるが、トップが関わるには、全社安全衛生委員会や監査委員会などを設け、取締役会に報告させるなど、組織に位置付ければ、権限が持てる。
 取締役会は、営業の人が多いと現場管理が疎かになる。営業の人は顧客にいい顔をして現場に無理をさせる。現場を判っている人が入っていく仕組みが必要。タイヤ工場の事故も、工場に無理がかかっていた。
安全衛生委員会は労働者数50人以上の事業場に設置されるが、会社全体の安全衛生委員会の設置を推進するとはどのようにやるのか。法令か?
まだ詰めていないが、法令レベルではない。
中小企業の場合は、会社全体でやらせることが重要である。
マネジメントシステムを導入している企業の多くが、企業全体でマネジメントシステム導入を決め、1事業場をモデルとして推進している。しかしこの報告書で「全社」の考え方が出てくるのはここだけ。この意欲をもっと入れて欲しい。
本日の議論を踏まえて修文を考える。
4ページ目の一つ目の○(安全衛生委員会の役割の件)は各論に移してはどうか。
気持ちとしては、事業者の役割→労働者の役割→安全衛生委員会の役割という3段論法であったが、各論への移動、了解した。
安全衛生委員会はマネジメントシステムに組み入れ、先取り予防という転換を図るという部分はもっと良く出ていると良い。その流れが一貫していない。もっと文章を精査すべき。
 安全衛生委員会の委員の選出については、就業形態の多様化による労使協議制の空洞化の問題があり、(1)既存の安全衛生委員会の限界、(2)先取り的思想の下での活性化、を問題点として指摘する。
トップの思想、総括安全衛生管理者が如何に気持ちを出すか。まず総論でトップの意識の持ち方を出せば、細かいことには触れなくて良い。トップに如何に理解させ、安全衛生委員会でマネジメントシステムを動かすか。トップで全体の流れを出すとすっきりするのではないか。
 各労働局の集団指導でも、トップが一生懸命出てきている。それだけの位置づけが出始めている。

3(1)エ「安全衛生担当者の教育の充実」について
トップも大事だが実際には担当がそれなりの能力を持つべき。しかしこの中には方法論がほとんどない。どうするのか。教育体系を作るのか。
(計画課長)マネジメントシステムは安全管理者が中心で推進する。そのためにはリスクアセスメントの基本的な知識が必要。
現在もやっている始業前伝達を教育に置き換えるのは問題。緊急時対応については、個々人が思想を持つべき。指示待ちから打破するため、何ヶ月か基礎教育を受けさせるなど。また、その教育の実績をインセンティブに反映させるなど。
平成9年に安全衛生教育要綱を改訂したが、これを全面的に見直すのか。
教育要綱の見直しは意識している。
衛生管理者は試験があるが、安全管理者は試験も講習もなく、能力向上教育も自主的。選任された以上自覚を持たせる仕組みが必要。今は能力向上教育くらいしかないし、任意である。
ここの教育について、義務的なものとするか努力義務とするかについて検討していく。
この報告ではリスクを捉え、労働者にも前向きに取り組めとしているが、それに対応する施策はあるのか。教育か。労働者に対する教育についてさらっと書きすぎ。意識を変えるなど、踏み込んだ書き方を。
今回の報告のポイントは労働者の積極的な関わり。例えばリスクアセスメントへの参加や安全衛生委員会への関わり。このような労働者の責務を果たす上で、法4条をどうするか。

3(2)「元方等を通じた安全衛生管理体制の実現」について
元方等の「等」とは何か。
注文者のことではないか。
受注者のことではないのか。
ウのところで注文者について書いているので、注文者である。
9ページのウ(イ)について、前々回までの資料の災害事例を見ると、この手の災害の被災者は当該請負労働者に限られるわけではない。書き方を工夫してはどうか。具体的には、「管理権原を有しておらず」→「管理権原を有していないところから」、「設備が危険な状態にあり改善の」→「設備等にかかる労働災害防止のための措置を行う」、「改善措置がなされず」→「十分な措置がなされず」、「請負事業者の労働者」→「関係労働者」、など。
「場の管理」という新しい言葉が出ている。これは工場の敷地というイメージか。
敷地内に複数の所属の人がいるという意味である。
親が関係会社を全て見ろということか。
分社すると同じエリアに複数の会社が存在する例がある。ある部分のみを全く別会社に移す例もある。
混在作業に伴う危険の有無が判断基準となる。混在性あるいは工程上の管理が全く独立していれば、排除は可能。
多くの協力会社を使うときの総安体制とこれとの違いは?いろいろな形で制約を受けることになるのか。
現行総安体制でもいろいろ対応しているが、十分でない面も見られている。混在の度合いも異なっている。騒音のみで不十分なところを補うか、総安のやり方自体に問題があれば改めていく。
統括的な安全衛生管理とは何か。
建設とイコールとまで考える必要があるかどうかはともかく、何が不足しているかは考える必要がある。
管理権原については事務局で整理のこと。

3(3)「その他の安全衛生対策上検討すべき事項」について
SRIについて書き込んでいただいたが、情報提供をする。株式については金額的に大したことはないが、年金は金額が大きく、これをどう動かすかで世の中が変わる。公的年金の運用の中で、信託銀行に投資を委ねる際に選択肢を示す。安全衛生の取り組みが進んでいるところを選ぶだけでなくても良いが、取り組みが不十分なところに改善要請するなど。信託銀行に丸投げでは勿体ない。本来信託銀行は運用者の利益を求めるべきであるが、公的年金の受益者は国民であり、忠実義務違反にはならない。こういう議論をここから発信していきたい。
 今回の議論は国内限定でやってきたが、国際舞台にも展開可能である。日本の企業が国際的舞台でこのようなことをする社会的責任について、最後に言及して欲しい。
抜本的な議論をすると、ILO155号条約の「緊急時の労働者の退避」についてどう解釈するか。法25条にも退避義務はあるが。
労働者自らの判断による退避権を入れるか否か。
 現在の考え方では当然退避できる権利があるが、これを法に入れるかどうかは未定。
外部専門機関の活用について、メンタルヘルスではそのような事案が増えている。安全衛生についてこういうことを認めるというのは、具体的にはリスクアセスメントを外注するとか?単なるコンサルティングではなく、年間契約で安全衛生委員会にも陪席するようなイメージか。
中小企業向けにいろいろなサービスがある、コンサルタントの充実もある。中身の濃い部分としては、中小企業へのリスクアセスメント導入支援もある。
活用する仕組みのイメージは?
仕組みというと大げさに聞こえるが、運用の問題を含め、利用の仕方について行政としても考えていく。

(3)次回は8月4日(水)14:00〜16:00。



(以上)
照会先: 厚生労働省労働基準局安全衛生部
計画課
TEL03−5253−1111
(内線 5550)
担当:森戸、中野、虎澤


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