事項 |
論点案 |
当面の検討の方向性(案) |
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○ |
国保の保険者との関係 |
・ |
地域を基盤とした生活実態 |
・ |
安定的な保険運営の確保 |
・ |
保険者の再編・統合の進捗状況 |
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○ |
後期高齢者については、生理的能力・生活機能の低下に起因する医療・受療行動の特性がみられるが、そのような特性を有する高齢者にふさわしい生活の質(QOL)の確保や医療費の適正化を図る観点からは、医療サービスと介護サービスとの適切な役割分担と連携を図ることや、地域を基盤として生活している高齢者に対して密接な働きかけができるよう、後期高齢者医療制度の保険者については地域で担うことが適当ではないか。 |
○ |
また、後期高齢者医療制度を担う保険者については、
(1) |
後期高齢者にふさわしい生活環境の中で介護サービスとの密接な連携を図りつつ、被保険者に対して良質・効率的な医療サービスを確保し、さらに、保健事業や受療に当たっての患者への情報提供などに取り組むこと |
(2) |
被保険者に対して(1)のような取組みを通じて医療費適正化を図り、安定的な財政運営を果たすこと |
(3) |
地域の医療費水準に応じた水準の保険料を設定し、給付に見合った公平な負担を求めるなど、医療保険保険者(国民健康保険及び被用者保険)の再編・統合の基本的な考え方に合致したものであること |
を基本として、保険者として期待される機能・役割を明らかにすることが必要ではないか。
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< |
財政方式> |
・ |
財政方式に関する基本的な考え方 |
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○ |
現行の老人保健制度は、保険料を財源とした各保険者からの拠出金、公費、患者の一部負担により老人医療費をまかなう制度であり、
1) |
実施主体(市町村)に対して、医療費の多寡にかかわらず、現にかかった医療費に見合う拠出金と公費が投入される仕組みであり、 |
2) |
保険者の負担する拠出金については、各保険者に医療費適正化の動機づけを与えることをねらいとして、その算定に当たり各保険者ごとの老人医療費(自己医療費)の水準を用い、 |
3) |
公費については、国、都道府県及び市町村が4:1:1の割合で、給付費に対して定率の負担をしている。 |
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○ |
このような現行老人保健制度については、
1) |
老人医療費が世代間・保険者間でどのように負担されているか分かりにくい |
2) |
実施主体と財政主体が分かれており、保険料徴収も行わず財政責任がない実施主体には医療費適正化の動機づけが働かない |
3) |
老人医療費の適正化のためには若齢期からの予防が重要であるが、各医療保険制度に加入する現在の老人の医療費の水準のみを評価の対象としているため、医療費適正化の動機づけが十分に機能していない |
4) |
老人医療費の水準に大きな地域差がみられるにもかかわらず、実施主体に対して拠出金・公費が一律投入されている |
という問題点が指摘されている。
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○ |
新しい高齢者医療制度を設計するに当たっては、
1) |
後期高齢者の医療費の負担について、誰がどのような考え方によりどれだけの負担をしているかが明らかになり、負担について理解・納得がしやすい仕組みにできないか |
2) |
後期高齢者医療制度の保険者が、保険料の徴収などの財政責任を果たす中で、介護サービスとの適切な連携を図ることなどを通じて自ら積極的に医療費適正化に取り組めるようにし、その取組が現役世代からの支援に反映される仕組みにできないか |
3) |
併せて、連帯保険料による支援金を負担する医療保険保険者についても、後期高齢者医療制度の保険者と連携しつつ、現役世代からの健康づくりを通じた後期高齢期に至るまでの医療費の適正化に努める動機づけが与えられるような仕組みにできないか |
といった点を考慮することが必要ではないか。 |
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○ |
保険料、被用者保険・国保による支援、公費により医療費をまかなう制度 |
・ |
高齢者の保険料と現役世代からの支援金の配分 |
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○ |
新たな高齢者医療制度では、後期高齢者について独立した保険制度を設け、高齢者本人の保険料と現役世代からの支援を区別することにより、高齢者の医療費が世代間でどのように負担されているかが明確になるが、同時に、高齢者と現役世代の間の負担の割合(高齢者本人の保険料と現役世代からの支援金の割合)を明示的に決定することが必要となる。この割合については、
1) |
高齢者と現役世代の双方とも、各世代全体の負担能力が向上した場合、少なくともそれぞれに見合う負担をすべきではないか。 |
2) |
一方、負担能力を上回って高齢者医療費が伸びた場合、その部分をどのように評価し、負担すべきか。 |
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○ |
被用者保険・国保による支援金負担の在り方 |
・ |
負担を配分する基準 |
・ |
保健事業など医療費適正化努力の評価 |
・ |
後期高齢者医療保険の運営に対する被用者保険・国保の関与 |
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○ |
後期高齢者医療制度に対する支援金の負担については、医療保険保険者の間で負担を配分することになるが、その際には、以下の点を考慮することが必要ではないか。
1) |
被用者保険と国保の間は、共通の所得捕捉が困難である現状を考慮すれば、加入者割とせざるを得ないのではないか。 |
2) |
被用者保険・国保が保健事業など将来における高齢者医療費の適正化努力を行っている場合には、支援金の負担配分の算定に当たり、その努力や成果を評価する仕組みが考えられないか。 |
3) |
支援金を負担する医療保険保険者が高齢者医療制度の運営について意見を申し述べるなど高齢者医療制度の運営に関与する場が設けられることが必要ではないか。 |
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○ |
後期高齢者に公費を重点化するという平成14年改正法の考え方を維持 |
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○ |
後期高齢者については、生理的能力等の低下に起因する医療・受療行動の特性のもと、医療費が一般的に高く、保険制度としてみた場合定型的にリスクが高い集団であることを踏まえ、後期高齢者自らの保険料を後期高齢者医療制度に充てることを前提とした上で、後期高齢者に公費を重点化するという平成14年改正法の考え方を維持することが必要である。 |
○ |
現行老人保健制度においては実施主体に対して公費が一律に投入されているが、新たな高齢者医療制度を地域保険として設けることとする場合には、保険者間の財政力の格差、医療費水準の格差(被保険者構成の違いによる部分とそれ以外の部分)や保険者による医療費適正化の努力や成果の相違などに着目した調整を行うべきではないか。 |
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○ |
後期高齢者医療制度の保険者に対する支援金の交付の在り方 |
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○ |
医療保険保険者の負担する支援金を後期高齢者医療制度の保険者に交付する際にも、公費の投入と同様の考え方による調整を行うべきではないか。 |
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○ |
これまで老人保健制度に達しない高齢退職者(退職に伴い被用者保険から国民健康保険に移行する者)については、医療費が高まる年齢層となる一方で、その医療費については国民健康保険の若齢者に重い負担となるという問題を解決するため、被用者保険OBについては被用者保険が支えるとの考え方に基づき退職者医療制度において負担を行ってきた。 |
○ |
しかしながら、今後の退職年齢である65歳以上の前期高齢者については、雇用の流動化を背景として被用者保険が支えるグループとそうでないグループの境目が曖昧になっていることから、医療費が高い点に着目し健康づくりや効率的で適切な医療サービスの在り方を求めつつ、当該年齢層で被保険者がいずれの保険制度に加入・移行しようとも、公平な負担の下に医療が保障されるよう調整を行う制度に移行する。 |
○ |
前期高齢者については、医療のあり方から見て予防の観点を重視しつつ、QOLの向上や医療費適正化を図るべきであるとともに、経済的にみても現役世代と遜色のない負担能力を有することから、現役世代と区分することのない被保険者として従来通りの保険集団(国保・被用者保険)の加入関係を残したまま、制度間の前期高齢者の偏在による医療費負担の不均衡を調整してはどうか。
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○ |
この場合、調整金の負担・交付については、以下の点を考慮することが必要ではないか。
1) |
前期高齢者の医療費を公平に負担する考え方としては、被用者保険と国保の間は75歳未満の加入者数の割合に応じて負担することが適切ではないか。 |
2) |
また、被用者保険・国保が保健事業など医療費の適正化努力を行っている場合には、調整金の算定に当たり、その努力を評価する仕組みが考えられないか |
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増大する高齢者の医療費の適正化>
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・ |
介護保険との関係 |
・ |
医療提供との関係 |
・ |
保健事業との関係 |
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○ |
高齢者、とりわけ後期高齢者の状態に相応しい医療サービスの在り方を検討し、医療費の適正化を図るべきではないか。 |
○ |
その際、急性期の医療から退院後の在宅における医療・介護に至るまでのサービスについて、変化する高齢者の状態に応じた適切なサービスが提供されるよう、医療保険と介護保険の役割分担と連携の在り方についても検討すべきではないか。 |
○ |
75歳未満の医療保険制度においては、後期高齢者の医療費適正化、さらには介護予防にもつながることを念頭に置いて、生活習慣病対策など保険者による保健事業を強化すべきではないか。 |
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○ |
地域における、一連の流れとしての質の高い効率的・効果的な医療サービス・介護サービスの提供と健康づくり |
○ |
地域における医療提供の機能分化・連携の促進 |
○ |
保険者による保健事業の推進 |
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○ |
生理的能力・生活機能の低下が進む後期高齢者については、その心身の状態に相応しい医療サービスの在り方を検討するとともに、介護との役割分担を明確にした上で連携を強化すべきではないか。この場合、介護保険導入後のサービスの移行状況やいわゆる「社会的入院」についてどのように評価するか。 |
○ |
既に要介護認定を受けている後期高齢者が心身の状況に応じた必要な医療を受けるため、医療・介護の間で一層連携がとられ、地域において生活機能を重視した形で総合的にサービスが提供できるようにするなどの仕組みが必要ではないか。また、このためには、とりわけ在宅でサービスを受ける後期高齢者に対して地域で主治医やケアマネージャーが一層協働できるようにする必要があるのではないか。
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○ |
前期高齢期・後期高齢期を通じて患者のQOL向上や医療費の適正化を図る観点から、地域における医療提供の機能分化・連携を促進すべきではないか。具体的には、地域の医療資源の状況をより詳細に明らかにし、変化する患者の状態に応じ、急性期から退院後の在宅等に至るまでのサービスが確保されるよう、介護サービスとの適切な役割分担と連携のもとで、医療提供(医療機関・病床)の機能分化と連携を強化することを検討すべきではないか。
・ |
良質で効率的な急性期医療 |
・ |
急性期後の患者について適切な医療サービスが途切れなく確保されるための地域における医療機関の連携 |
・ |
自宅以外の住まいで生活する場合を含めた在宅における適切な医療サービス
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○ |
加入者の健康度やQOLを向上させるとともに、医療費の適正化に資するよう、生活習慣病対策を中心とする効果的な健康づくりを、地域(市町村による老人保健事業)と保険者が一体的に取り組む体制を構築し、両者の役割分担と連携を明らかにしつつ、保険者自らがより積極的に推進できるようにすべきではないか。
・ |
生活習慣病の症状の進行は血圧や血糖値など一定の指標の変化により把握し得るものであることから、個々人の健康時からの健診データを活用すれば、より効果的な予防が可能である。今後、現役世代から前期高齢期については、発症・重症化予防や医療費適正化について一定の成果を上げている事業・手法を検証しつつ、地域・保険者あげて、より効果的な保健事業を展開すべきではないか。 |
・ |
また、医療保険制度においては、保険者のこのような保健事業への努力や医療費適正化の成果が高齢者医療制度の医療費の負担に反映される制度を構築すべきではないか。 |
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○ |
保険者、医療機関、地方公共団体等の関係者の役割分担・連携
・ |
医療費の地域特性の把握・分析・評価 |
・ |
関係者の協議の場 |
・ |
医療費適正化に向けての取組 |
・ |
医療計画、介護保険事業支援計画、健康増進計画との整合性 |
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○ |
今後医療費の適正化を進めるに当たっては、
1) |
後期高齢者の生活機能(地域における生活)を重視した医療サービス・介護サービスの提供 |
2)生活習慣病予防を中心とした若齢期からの健康づくりに関する取組みを促進し、QOLの向上を図ることを通じて、医療費の適正化を実現するという考え方を基本とすべきではないか。 |
○ |
そのためには、地域の医療特性(疾病構造・受療行動・医療費など)について保険者・被保険者・医療提供者・行政など広く関係者の参画を得て十分な把握・分析を行った上で、下記の点に留意した医療費の適正化に向けて取り組むための計画を策定する必要があるのではないか。
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医療機関の機能分化と連携 |
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介護サービスとの連携のもとでの地域における高齢者の生活機能を重視した医療サービスの提供 |
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保険者と地域が連携して実施する効果的な手法による保健事業 |
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○ |
また、上記計画の策定に当たっては、保険者・被保険者・医療提供者・行政など関係者が果たすべき役割・責任を明らかにすることが必要ではないか。
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○ |
上記計画は、医療計画・介護保険事業支援計画、健康増進計画と相互に整合性を確保する必要があるが、特に都道府県の役割が重要ではないか。 |
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